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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】電池モジュール及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240911BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240911BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20240911BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240911BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240911BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240911BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/625
H01M10/6555
H01M10/658
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/342 201
H01M50/367
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023529097
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 CN2020129376
(87)【国際公開番号】W WO2022104514
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520189625
【氏名又は名称】サイック・モーター・コーポレーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー、クーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、ディンシエン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】シー、ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、ペンフェイ
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197663(JP,A)
【文献】特開2020-119765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0164061(US,A1)
【文献】国際公開第2020/152857(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルと、
内部フレームと、複数のチャンバーを形成するように内部フレームと組み立てられる外部ケースとを含むセル拘束構造と、を含み、
前記複数のチャンバーは、前記複数のセルをパッケージし管理するように前記複数のセルを一対一で受け入れる電池モジュールであって、
内部フレームは、各チャンバーの少なくとも1つの第1の表面を形成する弾性素子を含み、弾性素子は、各チャンバー中に受け入れられた対応するセルによって予定量で押圧されて弾性変形することにより、弾性変形した弾性素子が対応するセルに第1の作用力を加え、
対応するセルが動作中に可逆的に膨張又は収縮することに応じて、弾性変形した弾性素子は、第1の作用力が対応するセルの受ける拘束力を決定するように、さらに押圧されるか、又は回復しようとし、
セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセルにおける正極タブ及び負極タブを有する前面との間に介在する煙誘導素子をさらに含み、煙誘導素子は、メインパネルとメインパネルの前記複数のセルに面する表面に設けられる凸状とを含み、前記凸状は、前記複数のセルの前面に当接し、メインパネルの両側にメインパネルに対して垂直に延びる二つの第1の凸状部と、前記二つの第1の凸状部の内側に平行に間隔をあけて設けられる二つの第2の凸状部と、前記二つの第2の凸状部との間に垂直に設けられる複数の第3の凸状部とを含み、前記複数の第3の凸状部は、各セルの幅に対応する間隔で互いに平行に設けられ、前記二つの第2の凸状部のうちの少なくとも1つは、隣り合う二つの第3の凸状部の間に開口が設けられている
電池モジュール。
【請求項2】
対応するセルが動作中で不可逆的に膨張し始めることに応じて、弾性変形した弾性素子は、弾性変形の限界までにさらに押圧される
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
弾性素子は、2つの弾性層と、前記2つの弾性層の間に介在する断熱層と、を含む積層製品である
請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
内部フレームは、各チャンバーの少なくとも1つの第2の表面を形成する断熱素子を含み、断熱素子は、前記複数のセルを支持し、低い熱伝導率を有する
請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
複数の弾性素子及び複数の断熱素子が設けられており、前記複数の弾性素子及び前記複数の断熱素子は、各チャンバーの前記少なくとも1つの第1の表面及び前記少なくとも1つの第2の表面を形成するように互いに垂直に交互に配列され、第1の表面の面積は、第2の表面の面積よりも大きい
請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
電池モジュールは、前記複数のセルを支持し冷却するための冷却素子を含み、冷却素子は、各チャンバーの第3の表面を形成する冷却板を含み、冷却板は熱伝導性接着剤を介して前記複数のセルに貼り付けられている
請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項7】
外部ケースは、前記複数のチャンバーを封止するように、内部フレームを被覆するとともに冷却板に接続されている、
請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
冷却素子は、冷却板の両側に設けられ冷却板に対して垂直に延びる補強リブを含み、補強リブは、外部ケースに接続され、外部ケースを介して前記複数のセルに第1の作用力よりも大きい第2の作用力を加えることができる
請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記複数のチャンバーは、第1組のチャンバーと第2組のチャンバーとに分割され、冷却板は、対向する第1の冷却面及び第2の冷却面を含み、第1の冷却面は、第1組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成し、第2の冷却面は、第2組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成する
請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項10】
セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセルとの間に介在する絶縁素子を含み、絶縁素子は、熱伝導性接着剤によって前記外部ケース及び前記複数のセルに貼り付けられ、高い熱伝導率を有する
請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項11】
メインパネルは、前記複数のセルの前記前面の放熱を妨げない熱伝導率を有する絶縁材料で作られ、メインパネルの外部ケースに面する表面は、熱伝導性接着剤によって外部ケースに貼り付けられている
請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
第1の凸状部は、高い熱伝導率を有する材料で作られ、第2の凸状部及び第3の凸状部は、低い熱伝導率を有する材料で作られる
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記複数のセルの煙誘導素子に面する表面には、断熱パッチが設けられている
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項14】
外部ケースは、電池モジュールの一端側に位置するリリーフ弁を含み、リリーフ弁は、煙道を通ってリリーフ弁に流れる煙が側方に外部環境に排出されるように水平方向に位置決めされている
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項15】
リリーフ弁は、煙道を通ってリリーフ弁に流れる煙が先にフィルタ素子によって濾過されるように、フィルタ素子によって覆われている、
請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項16】
電池モジュールカセットと、
1つ又は複数の物理的又は電気的接続素子によって電池モジュールカセットに取り付けられている、請求項1~15のいずれか1項に記載の、1つ又は複数の電池モジュールと、
を含む
電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力電池の技術分野に関し、特に、電池モジュール及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池に代表される動力電池、特に二次動力電池を重要なエネルギー貯蔵装置として使用する交通機関(例えば、自動車、船舶、及び航空機など)がますます多くなり、必要な場合には、動力電池は、連続放電によって交通機関に全部の動力源又は主な動力源を提供することができる。様々な交通機関の電力需要を満たすために、動力電池のエネルギー密度は向上している。そのために、これらの動力電池の製造技術も改良され、より安全で、より経済的でかつより柔軟に各種の交通機関に適用される動力電池を提供している。
【0003】
現在、動力電池、特に電気自動車に適用される動力電池は、大きく2つの技術案に基づいて製造され得る。第1の技術案は、セル-モジュール-電池パックの3レベルに依存して動力電池を設計することであるが、関係部品が多く、集積効率が低く、かつ製造コストが高い。第2の技術案は、セル-電池パックの2レベルに依存して動力電池を設計することであり、例えば、モジュールレベルを除去するように、セルを接着剤を介して電池パックのトレイに直接固定している。しかしながら、第2の技術案は、製造プロセスが複雑で、安全性が低く、かつメンテナンスコストが高い。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、改良された電池モジュール及び前記電池モジュールにより動力を供給する電気自動車を提供することである。本発明の電池モジュールは、モジュール化された動力電池として使用され、高集積度で、簡略化された部品で完全な機能を持つエネルギー貯蔵装置を設計しているため、集積効率が高く、安全性が高く、メンテナンスコストが低く、かつ製造のプラットフォーム化を実現することができる。電気自動車に動力を供給するために、様々なタイプの電気自動車の電力需要に応じて、1つ又は複数の電池モジュールを電気自動車の適切な場所に直接取り付けることができる。
【0005】
本発明の一様態によれば、複数のセルと、内部フレームと、複数のチャンバーを形成するように内部フレームと組み立てられる外部ケースとを含むセル拘束構造と、を含み、前記複数のチャンバーは、前記複数のセルをパッケージし管理するように前記複数のセルを一対一で受け入れる電池モジュールであって、内部フレームは、各チャンバーの少なくとも1つの第1の表面を形成する弾性素子を含み、弾性素子は、各チャンバー中に受け入れられた対応するセルによって予定量で押圧されて弾性変形することにより、弾性変形した弾性素子が対応するセルに第1の作用力を加え、対応するセルが動作中に可逆的に膨張又は収縮することに応じて、弾性変形した弾性素子は、第1の作用力が対応するセルの受ける拘束力を決定するように、さらに押圧されるか、又は回復しようとする電池モジュールを提供している。
【0006】
対応するセルが動作中で不可逆的に膨張し始めることに応じて、弾性変形した弾性素子は、弾性変形の限界までにさらに押圧されてもよい。
【0007】
弾性素子は、2つの弾性層と、前記2つの弾性層の間に介在する断熱層と、を含む積層製品であってもよい。
【0008】
内部フレームは、各チャンバーの少なくとも1つの第2の表面を形成する断熱素子を含み、断熱素子は、前記複数のセルを支持し、低い熱伝導率を有してもよい。
【0009】
複数の弾性素子及び複数の断熱素子が設けられており、前記複数の弾性素子及び前記複数の断熱素子は、各チャンバーの前記少なくとも1つの第1の表面及び前記少なくとも1つの第2の表面を形成するように互いに垂直に交互に配列され、第1の表面の面積は、第2の表面の面積よりも大きくてもよい。
【0010】
外部ケースは、前記複数のセルを支持し冷却するための冷却素子を含み、冷却素子は、各チャンバーの第3の表面を形成する冷却板を含み、冷却板は熱伝導性接着剤を介して前記複数のセルに貼り付けられてもよい。
【0011】
外部ケースは、前記複数のチャンバーを封止するように、内部フレームを被覆するとともに冷却板に接続されてもよい。
【0012】
冷却素子は、冷却板の両側に設けられ冷却板に対して垂直に延びる補強リブを含み、補強リブは、外部ケースに接続され、外部ケースを介して前記複数のセルに第1の作用力よりも大きい第2の作用力を加えることができてもよい。
【0013】
前記複数のチャンバーは、第1組のチャンバーと第2組のチャンバーとに分割され、冷却板は、対向する第1の冷却面及び第2の冷却面を含み、第1の冷却面は、第1組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成し、第2の冷却面は、第2組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成してもよい。
【0014】
セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセルとの間に介在する絶縁素子を含み、絶縁素子は、熱伝導性接着剤によって前記外部ケース及び前記複数のセルに貼り付けられ、高い熱伝導率を有してもよい。
【0015】
セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセルとの間に介在する煙誘導素子を含み、煙誘導素子は、前記複数のセルに用いられる煙道を画定するように配置されてもよい。
【0016】
煙誘導素子は、高い熱伝導率を有する絶縁材料で作られるメインパネルを含み、メインパネルの外部ケースに面する表面は、熱伝導性接着剤によって外部ケースに貼り付けられてもよい。
【0017】
熱伝導素子は、メインパネルの前記複数のセルに面する表面に設けられた凸状をさらに含み、前記凸状は、前記複数のセルに当接することにより煙道を形成してもよい。
【0018】
前記凸状は、メインパネルの両側にメインパネルに対して垂直に延びる第1の凸状部と、第1の凸状部の内側に平行に間隔をあけて設けられる第2の凸状部と、第1の凸状部と第2の凸状部との間に垂直に設けられる第3の凸状部とを含み、第2の凸状部には少なくとも1つの開口が設けられてもよい。
【0019】
第1の凸状部は、熱伝導率を有する材料で作られ、第2の凸状部及び第3の凸状部は、低い熱伝導率を有する材料で作られてもよい。
【0020】
前記複数のセルの煙誘導素子に面する表面には、断熱パッチが設けられてもよい。
【0021】
外部ケースは、電池モジュールの一端側に位置するリリーフ弁を含み、リリーフ弁は、煙道を通ってリリーフ弁に流れる煙が側方に外部環境に排出されるように水平方向に位置決めされてもよい。
【0022】
リリーフ弁は、煙道を通ってリリーフ弁に流れる煙が先にフィルタ素子によって濾過されるように、フィルタ素子によって覆われてもよい。
【0023】
本発明の別の様態によれば、電池モジュールカセットと、1つ又は複数の物理的又は電気的接続素子によって電池モジュールカセットに取り付けられている、1つ又は複数の上述したような電池モジュールと、を含む電気自動車を提供している。
【0024】
これによって、本発明による電池モジュールにおけるセル拘束構造の個々の部品は、前記複数のセルを個別に又はグループ毎にパッケージし管理するために用いられ、これにより、個々の部品が最適に利用され、電池モジュールの集積効率を向上させることができる。特に、動作中のセルの受ける力は、弾性素子によってより良好に制御され得る。特に、断熱素子により、セルを支持し、セル間の熱伝導を遮断することができる。特に、2組に分割された前記複数のセルが、冷却素子に対して対称に配置されることによって、冷却素子の利用効率を向上させることができる。特に、絶縁素子によって、セルが外部ケースから電気的に絶縁され、かつ組み立てプロセスによるセルの損傷が防止される。特に、煙誘導素子によって、セルの熱暴走防止が最適化される。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の本発明の例示的な実施例の詳細な説明から明らかになる。
【0026】
明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施例を記述し、明細書と共に本発明の原理を説明するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態による電池モジュールの組立図である。
図2図2は、図1の電池モジュールの分解図である。
図3図3は、図1の電池モジュールの一部のさらなる分解図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による電池モジュールの外部ケースの透視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による電池モジュールの冷却板の透視図である。
図6図6は、図1の電池モジュールの断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態による電池モジュールの煙誘導素子の透視図である。
図8図8は、図1の電池モジュールの上面図である。
図9図9は、図8の破線枠内の電池モジュールの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の様々な例示的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。なお、これらの実施例に記載されている部品及び手順の相対的な配置、数式及び数値は、特に説明がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
関連分野の当業者に知られている技術及び装置について詳細に論じないことがあるが、適切な場合には、前記技術及び装置は明細書の一部とみなすべきである。
【0030】
本明細書に示され、論じされる全ての例において、任意の具体的な値は、単なる例示として解釈されるべきであり、限定とされるべきではない。したがって、例示的な実施例以外の例は、異なる値を有してもよい。
【0031】
なお、以下の図面において、類似な符号及びアルファベットは類似な項目を示すものであるので、ある項目が1つの図面において定義されると、それ以降の図面においては、それ以上の説明は不要である。また、以下では、本発明で提案する電池モジュールの相対的な方位を、図中の観察方向を基準として、X軸、Y軸、及びZ軸からなる直交座標系で記述しているが、電池モジュールの配置を限定することを意図するものではない。
【0032】
なお、本発明で提案する電池モジュールは、電気機器としての交通機関(例えば、電気自動車)に、1つ又は複数の物理的又は電気的接続素子によって直接取り付けられてもよい。したがって、このような電池モジュールは、もはや独立して動作することができ、さらにパッケージすることなく適用することができる。
【0033】
図1を参照すると、図1における組み立て済みの電池モジュール10は、電気自動車に適用することができる。本発明で言及された電気自動車は、単純な電気自動車またはハイブリッド自動車を含む。例えば、電気自動車は、シャーシ上に電池モジュールカセット(図示せず)が設けられており、電池モジュール10は、電池モジュールカセットに対し固定されかつ電気自動車の電動機に電気的に接続されるように、1つ又は複数の物理的又は電気的接続素子によって電池モジュールカセットに取り付けられてもよい。電気自動車の具体的な電力需要に応じて、具体的な電池モジュールカセットの体積は、電池モジュール10の体積の倍数に対応し、これにより、電池モジュール10を量産して異なる電気自動車に適用することができる。
【0034】
図2を参照すると、分解された電池モジュール10は、電池モジュールの内部に位置する複数のセル100を示しており、例えば、セル100は、三元系リチウムセルである。セルのパッケージの材質及び形状に応じて、セル100は、ハードケース、ソフトバッグ及び円筒などの異なるタイプを含むことができるが、これらに限定されない。例として、以下に説明するセル100の形状は、Z軸に対向する上面112及び下面114と、Y軸に対向する前面118及び後面116と、X軸に対向する2つの側面とを含む六面立方体であり、ここで、セル100の上面112及び下面114は、明らかにより大きな面積を有し、以下において大きな面と呼ばれる。
【0035】
電池モジュール10は、前記複数のセル100をパッケージし管理するように配置されたセル拘束構造を含む。セル拘束構造が前記複数のセル100をパッケージすることは、前記複数のセル100を物理的な空間に支持し、隔離して封止することを意味し、セル拘束構造が前記複数のセル100を管理することは、主に、前記複数のセル100を電気的接続、熱伝導、及び熱暴走防護の3つの面で管理することを意味する。特に説明がない限り、セル拘束構造における個々の部品の形状及び大きさは、いずれも電池モジュール10の安定の構造を実現するように、前記複数のセル100及び/又は前記複数のセル100からなるセル群110の形状及び大きさに対応している。
【0036】
好ましくは、セル拘束構造は、内部フレームと、行列状の複数のチャンバーを形成するように内部フレームと組み立てられる外部ケースとを含み、前記複数のチャンバーは、前記複数のセル100を一対一で受け入れて固定する。
【0037】
図3を参照すると、内部フレームは、弾性素子120及び断熱素子140を含み、弾性素子120は、各チャンバーの少なくとも1つの第1の表面を形成し、第1の表面は、対応するセル100の上面112及び/又は下面114に当接し、断熱素子140は、各チャンバーの少なくとも1つの第2の表面を形成し、第2の表面は対応するセル100の2つの側面の一方又は両方に当接する。したがって、各チャンバーの第1の表面の面積は第2の表面の面積よりも大きい。
【0038】
図示のように、複数の断熱素子140及び複数の弾性素子120が設けられ、前記複数の断熱素子140及び前記複数の弾性素子120は、前記複数のセル100に対応する複数の開放空間を形成するように互いに垂直に交互に配列されるシート材料であってもよく、これにより、前記複数のセル100を一対一で置く。例えば、断熱素子140の数はN+1個であり、弾性素子120の数はN個であり、2N個の開放空間を形成し、ここで、Nは整数であってかつN≧1である。
【0039】
セル100の組み立てにおいて、まず、前記複数のセル100を複数列のセルに分割し、例えば図2又は図3を参照すると、各列のセルは、Z軸方向に積層された上部セル及び下部セルを含み、弾性素子120は上部セルと下部セルとの間に挟まれ、弾性素子120は、以下で詳細に説明されるように、動作中のセル100に第1の作用力Aを与えることができる(図6参照)。好ましくは、弾性素子120は、ゴム、スポンジ、又は構造用接着剤などの弾性材料から作られる。
【0040】
次に、前記複数列のセルをX軸方向に一行に並べ、隣接して配置された2列のセルの間に断熱素子140を挟む。断熱素子140は、前記複数列のセル間の熱伝導を軽減や遮断することができる。好ましくは、断熱素子140はエポキシやエアロゲルなどの低熱伝導率の材料から作られるが、これらに限定されない。
【0041】
具体的な応用に応じて、異なる数、大きさ、及び/又は形状の断熱素子及び弾性素子を設けて、異なる行列状の複数のチャンバーを形成してもよい。好ましくは、各列のセルは、1または2以上のセル100を含んでもよい。例えば、各列のセルは、3つのセル100を含む。この場合に、断熱素子140の数はN+1個であり、弾性素子120の数は2N個であり、3N個の開放空間を形成している。各列のセルは、Z軸方向に順次積層された上部セル、中部セル及び下部セルを含み、2つの弾性素子120は、上部セルと中部セルの間、及び中部セルと下部セルの間にそれぞれ挟まれている。
【0042】
好ましくは、各列のセルのそれぞれのセル間の熱伝導を軽減するために、弾性素子120は、2つの弾性層と、2つの弾性層の間に介在する断熱層とを含む積層製品としてもよく、したがって、積層製品は、弾性も断熱性も有している。
【0043】
再び図2を参照すると、前記複数の開放空間における前記複数のセル100は合わせてセル群110を構成している。セル群110は、Z軸方向に対向する上面112及び下面114、Y軸方向に対向する後面116及び前面118、及びZ軸方向に対向する2つの側面119を含む。これに対応して、セル群110の上面112は、前記複数列のセルの上部セルの上面によって構成され、セル群110の下面114は、前記複数列のセルの下部セルの下面によって構成され、セル群110の後面116は、前記複数のセル100の後面によって構成され、セル群110の前面118は、前記複数のセル100の前面によって構成され、セル群110の側面119は、セル群110の両端側に位置する2列のセルの側面によって構成される。
【0044】
好ましくは、内部フレームは絶縁素子160をさらに含む。絶縁素子160は、外部ケースと前記複数のセル100との間に位置するように、セル群110の上面112及び下面114を覆う。絶縁素子160は、接着剤を介してセル群110の上面112及び下面114にそれぞれに貼り付けられている。絶縁素子160は、前記複数のチャンバーの体積にほとんど影響を与えない、厚さ0.2~0.5mmの耐摩耗性シート材料であってもよい。絶縁素子160は、セル群110の上面112、即ち大きな面を外部ケースから電気的に絶縁するとともに、セル群110が損傷されることを回避できるように配置されている。これは、外部ケースの組み立てにおいて、絶縁素子160は外部ケースとセル群110の大きな面との摩擦を防止できるからである。好ましくは、絶縁素子160は、セル群110の大きな面の放熱を妨げないように電気絶縁性と良好な熱伝導性の両方を有するために、シリコンゴムとガラス繊維の複合物などの高い熱伝導率を有する絶縁材料から作られるが、これらに限定されない。
【0045】
セル拘束構造は、電池モジュール10の電気的接続及び電気的検出のための電気システムをさらに含むことが理解される。例えば、電気システムは、高電圧接続装置、低電圧サンプリング装置、及び電気接続装置550を含む。
【0046】
さらに図3を参照すると、各セル100の前面118はいずれも2つのタブ(又はポスト)、すなわち正極タブ(又は正極ポスト)及び負極タブ(又は負極ポスト)を有する。正極タブ及び負極タブは、タブトップカバーによって部分的に覆われており、タブトップカバーは、外部環境の温度がセルの作動性能に影響を及ぼすことを防止するために、例えば、マイカシートなどの断熱シートが設けられてもよい。
【0047】
高電圧接続装置は、複数の高電圧接続シート520を含み、例えば、高電圧接続シート520は、アルミニウムバー、銅バー、または他の形態の電流キャリアである。高電圧接続シート520は、X軸方向に隣接して配列された2つのセル100のうちの一方のセル100の正極タブと他方のセル100の負極タブとを電気的に接続し、セル群110の一端側に位置する一対のセル100のうちの一方のセル100の正極タブと他方のセル100の負極タブとを電気的に接続する。
【0048】
好ましくは、低電圧サンプリング装置は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)、FPC(フレキシブル回路基板)、ハーネス、または他の形態の電気信号キャリアを含む。低電圧サンプリング装置は、各セル100の電圧及び温度を検出し各セル100の電圧及び温度に関する電気信号をBMS電池管理システム(図示せず)に伝送するように、各高電圧接続シート520に電気的に接続された金属サンプリングシート530を含む。BMS電池管理システムは、電池モジュール10とは別体されてもよいし、電池モジュール10に集積されてもよい。
【0049】
好ましくは、電気接続装置550は、セル群110の一端側に位置する1つの断熱素子140に(例えば、接着剤によって)設けられている。電気接続装置550は、セル群110の他端側に位置する一対のセル100のうちの一方のセル100の正極タブと他方のセル100の負極タブとにそれぞれ電気的に接続された2つの高電圧接続シート520aに一体に射出、吸引成形、係着、熱かしめされており、これにより、前記複数の高電圧接続シート520によって電気的に接続された前記複数のセル100から供給された電圧と電流を最終的に集約する。電気接続装置550は、各セル100の電圧と温度に関する電気信号を伝達するように、低電圧サンプリング装置にも係着、螺着、熱かしめされている。
【0050】
電気システムは、セル群110の前面118及び側面に適切な方法で緊密に取り付けられる。セル拘束構造の他の構成要素をより明確に説明するために、電気システムに対するさらなる記述は合理的に省略されている。
【0051】
次に、外部ケースを組み立てる。好ましくは、外部ケースは、電池モジュール10にパッケージ剛性を与えるように、金属材料で作られ、内部フレーム(すなわち、セル群110の大きな面、前面118、及び2つの側面119)を被覆している。好ましくは、外部ケースは、セル群110の大きな面及び前面118に対応する、断面がU字状に類似する成形本体200(図4参照)と、成形本体200の両側に位置する第1の端板220及び第2の端板240とを含み、第1の端板220には、電気接続装置550に電気出力を与える高電圧ポート222及び低電圧ポート224(図1参照)が設けられており、第2の端板240には、煙中の可燃物を濾過するためのフィルタ素子600及びフィルタ素子に囲まれ又は覆われるリリーフ素子620が設けられている(図2参照)。
【0052】
図3及び図5を参照する。好ましくは、外部ケースは、前記複数のセル100を支持し冷却するための冷却素子300をさらに含む。例えば、金属材料からなる冷却素子300は、各チャンバーの第3の表面を形成する冷却板320を含み、第3の表面は対応するセル100の後面116に当接する。よって、セル群110の後面116は熱伝導性絶縁接着剤によって冷却板320に貼り付けられている。冷却板320の内部には、様々な形状の流路が設けられてもよい。冷却板320のX軸方向に沿った長さは、セル群110の長さよりも僅かに長くされ、これにより、冷却板におけるセル群110の長さ以上に張り出す一端に入口301及び出口302を開設し、冷却液源からの冷却液は入口301を介して冷却板320に入り、様々な形状の流路を流れ、出口302から出ることができる。電池モジュール10の配線を最適化するために、冷却液の入口301及び出口302は、第1の端板220と同じ側に位置する。
【0053】
好ましくは、冷却素子300は、冷却板320の両側に設けられ冷却板320に対して垂直に延びる補強リブ310をさらに含み、補強リブ310は、溶接、接着又は他の適切な手段によって外部ケースに接続され、例えば、前記複数のセル100を完全にパッケージするように、U字状の成形本体200の2つの自由端220(図4参照)に接続される。
【0054】
好ましくは、冷却素子300の利用効率を向上させるために、冷却板320には、対向する第1の冷却面312及び第2の冷却面314が設けられている。補強リブ310は、冷却素子300の断面形状が「工」字状となるように、冷却板320に対して対称に設けられている。したがって、セル群110は、同じ配置に分割された第1のセル群110a及び第2のセル群110bを含み、それに応じて、前記複数のチャンバーは、第1のセル群110aを受け入れるための第1組のチャンバー及び第2のセル群110bを受け入れるための第2組のチャンバーに分割され、第1の冷却面312は、第1組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成し、第2の冷却面314は、第2組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成する。これによって、冷却素子300は、第1のセル群110a及び第2のセル群110bを共通に支持し冷却する。
【0055】
一般に、セル100は、動作中に可逆的に充電膨張又は放電収縮することができ、すなわち、充電時にはセル100の体積が増加し、放電時にはセル100の体積が減少する。しかし、セル100の経年劣化に伴い、セル100は不可逆的に膨張し始める可能性があり、すなわち、セル100は体積が不可逆的に増加し得、不可逆的に膨張したセル100はさらに動作中に充電膨張又は放電収縮する。可逆的な膨張又は収縮によるセル100の体積変化と、不可逆的な膨張によるセル100の体積増加は、いずれも対応するセル100が受ける力の変化を引き起こす可能性がある。対応するセル100が受ける力は大きすぎたり、セル群110全体が受ける力は不均一であったりする場合に、セル100の使用性能と寿命が共に影響を受け、ひいては安全事故を引き起こすこともある。
【0056】
図6を参照すると、本発明では、各チャンバーに位置する対応するセル100は、弾性素子120、断熱素子140、冷却素子300、及び外部ケースの成形本体200によって拘束される。セル100の組み立てにおいて、各チャンバーが対応するセル100を受け入れて固定すると、弾性素子120が対応するセル100によって予定量で押圧されて弾性変形することにより、弾性変形した弾性素子120は、対応するセル100に第1の作用力Aを加える。対応するセル100が動作中に可逆的に膨張又は収縮することに応じて、弾性変形した弾性素子120はさらに押圧されるか、又は回復しようとするので、第1の作用力Aが対応するセル100の受ける拘束力を決定するようになる。弾性素子120の弾性のため、対応するセル100の体積変化が第1の作用力Aの値に対する影響は小さい。従来技術においてパッケージケースによってセル100に直接拘束力を与えることに比べ、弾性素子120によって与えられた第1の作用力Aがほぼ一定であって、セル100の動作により有利である。
【0057】
セル100の経年劣化につれて、対応するセル100が動作中に不可逆的に膨張し始めることに応じて、弾性変形した弾性素子120は弾性変形の限界までにさらに押圧される。このとき、対応するセル100は、弾性変形の限界に達した弾性素子120と共に外部ケースの成形本体200を押圧して、外部ケースを微量に変形させることで、外部ケースがセル100の受ける拘束力を決定し始めるようになる。これにより、経年劣化したセル100が受けた拘束力は合理的な範囲内にあり、セル100の使用性能及び寿命の急速減衰が回避されている。
【0058】
最後に、セル100の寿命の末期において、セル100が膨張しすぎ、外部ケースを大きく変形させる傾向がある。このような場合、補強リブ310は、外部ケース(すなわち、U字状の成形本体200の自由端220)と接続されてなる接続面を介して前記複数のセル100に第2の作用力Bを加え、これにより、電池モジュール10のパッケージ構造の失効を回避している。第2の作用力Bは第1の作用力Aよりも大きい。
【0059】
セル100の組み立てにおいて、弾性素子120の弾性変形(すなわち、プリロード)の予定量は、弾性素子120の弾性率及び所望の第1の作用力Aに基づいて設計することができる。なお、弾性素子120の厚さは、対応するセル100の厚さと、対応するセル100が動作中に可逆的に膨張又は収縮する第1の膨張率及び/又は収縮率とに基づいて設計することができる。例えば、第1の膨張率及び/又は収縮率は、0~2%の任意の数値である。代替的に、弾性素子120の厚さは、対応するセル100の厚さと、対応するセル100が動作中に不可逆的に膨張し始める第2の膨張率とに基づいて設計することができる。例えば、第2の膨張率は、0~8%の任意の数値である。
【0060】
また、電池モジュール10のうちの1つ又は複数のセル100が動作中に熱暴走していると、前記1つ又は複数のセル100は急速に昇温して煙を噴出することになる。煙の熱は煙の拡散によって他のセル100に伝えてしまい、電池モジュール10全体の性能及び安全に影響を与える。一方、煙には大量の可燃物が含まれており、煙中の可燃物を処理せずに電池モジュール10のリリーフ装置から外部環境に排出すると、これらの可燃物が外部環境中の空気によって燃焼し、再び安全上のリスクをもたらす恐れがある。
【0061】
したがって、図3及び図7のように、セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセル100との間に位置決めされ、接着剤によって前記外部ケースに貼り付けられた煙誘導素子580をさらに含む。煙誘導素子580は、セル群110全体に用いられる共通の煙道590を画定するように配置されている。
【0062】
好ましくは、煙誘導素子580はメインパネル582を含み、メインパネル582は面積がセル群110の前面118の面積と等しく、メインパネル582は、セル群110の前面118の放熱を妨げないように高い熱伝導率を有する絶縁材料で作られる。図7中の煙誘導素子580は、メインパネル582のチャンバー又はセル100に面する接合面が示されるように図3中の煙誘導素子580を90°回転させたものであり、接合面にはメインパネル582に対して垂直に延びる凸状が設けられており、凸状は例えば基本的に直帯状である。
【0063】
好ましくは、凸状は、接合面の両側に設けられた第1の凸状部592と、第1の凸状部592の内側に平行に間隔をあけて設けられた第2の凸状部594と、2つの第2の凸状部594の間に設けられ前記2つの第2の凸状部594に垂直に接続された第3の凸状部596とを含み、第3の凸状部596の数は複数であり、前記複数の第3の凸状部596は、各列のセルのX軸に沿った幅に対応する間隔で互いに平行に設けられている。凸状をセル群110の前面118に当接させることによって、第1の凸状部592、第2の凸状部594はセル群110の前面118と共に煙道590を形成し、第2の凸状部594、隣り合う2つの第3の凸状部596は各列のセルの前面118と共にチャンバー隙間560を形成する。このように、チャンバー隙間560の数は、複数列のセルの数に対応している。煙道590の存在により、チャンバー隙間560の面積は、各列のセルの前面118の面積よりわずかに小さくなる。また、第2の凸状部594には、煙が主に煙道590を通ってフィルタ素子に流れるように、各チャンバー隙間560から煙道590に通じる少なくとも1つの開口598が設けられている。
【0064】
好ましくは、第1の凸状部592は、セル群110の前面118の放熱を容易にするために、高い熱伝導率を有する絶縁材料で作られるが、第2の凸状部594及び第3の凸状部596は、1つのセル100が熱暴走した場合に前記1つのセル100が他のセル100への影響を熱的に軽減するために、低い熱伝導率を有する絶縁材料で作られる。
【0065】
図8及び図9を参照すると、セル群110のうちの1つのセル100が熱暴走によりチャンバー隙間560に煙を噴出した場合、チャンバー隙間560中の煙は、対応する開口598を介して煙道590に流れ、煙道590に流れた煙は第2の端板240に位置するフィルタ素子600に導かれることにより、可燃物を含む煙は、可燃物が濾過されてから、リリーフ素子620から外部環境に排出される。好ましくは、リリーフ素子620は、リリーフ弁を含み、リリーフ弁は、煙が側方に外部環境に排出されるように、水平方向に位置決めされている。
【0066】
好ましくは、前記複数のセル100の煙誘導素子580に面する表面(すなわち、セル群110の前面118)に断熱パッチを設けて、各セル100の正極タブ及び負極タブのみを露出させるようにしてもよい。これにより、対応するセル100が熱暴走した後に発生する煙の逆流が隣り合うセル100に影響を及ぼすことをさらに防止している。
【0067】
対応するセル100が比較的簡単で迅速な方法で煙を導くことができる限り、他の構成の煙道590も考えられることを理解されたい。
【0068】
本発明のいくつかの特定の実施例を例示として詳細に説明したが、当業者は、上記の例示が単に説明のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図しないと理解すべきである。当業者は、本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない限り、上記実施形態に対する変更が可能であることを理解すべきである。本発明の範囲は添付された特許請求の範囲によって限定されている。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を付記する。
[1] 複数のセルと、
内部フレームと、複数のチャンバーを形成するように内部フレームと組み立てられる外部ケースとを含むセル拘束構造と、を含み、
前記複数のチャンバーは、前記複数のセルをパッケージし管理するように前記複数のセルを一対一で受け入れる電池モジュールであって、
内部フレームは、各チャンバーの少なくとも1つの第1の表面を形成する弾性素子を含み、弾性素子は、各チャンバー中に受け入れられた対応するセルによって予定量で押圧されて弾性変形することにより、弾性変形した弾性素子が対応するセルに第1の作用力を加え、
対応するセルが動作中に可逆的に膨張又は収縮することに応じて、弾性変形した弾性素子は、第1の作用力が対応するセルの受ける拘束力を決定するように、さらに押圧されるか、又は回復しようとする
電池モジュール。
[2] 対応するセルが動作中で不可逆的に膨張し始めることに応じて、弾性変形した弾性素子は、弾性変形の限界までにさらに押圧される
[1]に記載の電池モジュール。
[3] 弾性素子は、2つの弾性層と、前記2つの弾性層の間に介在する断熱層と、を含む積層製品である
[1]又は[2]に記載の電池モジュール。
[4] 内部フレームは、各チャンバーの少なくとも1つの第2の表面を形成する断熱素子を含み、断熱素子は、前記複数のセルを支持し、低い熱伝導率を有する
[1]~[3]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[5] 複数の弾性素子及び複数の断熱素子が設けられており、前記複数の弾性素子及び前記複数の断熱素子は、各チャンバーの前記少なくとも1つの第1の表面及び前記少なくとも1つの第2の表面を形成するように互いに垂直に交互に配列され、第1の表面の面積は、第2の表面の面積よりも大きい
[4]に記載の電池モジュール。
[6] 外部ケースは、前記複数のセルを支持し冷却するための冷却素子を含み、冷却素子は、各チャンバーの第3の表面を形成する冷却板を含み、冷却板は熱伝導性接着剤を介して前記複数のセルに貼り付けられている
[1]~[5]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[7] 外部ケースは、前記複数のチャンバーを封止するように、内部フレームを被覆するとともに冷却板に接続されている、
[6]に記載の電池モジュール。
[8] 冷却素子は、冷却板の両側に設けられ冷却板に対して垂直に延びる補強リブを含み、補強リブは、外部ケースに接続され、外部ケースを介して前記複数のセルに第1の作用力よりも大きい第2の作用力を加えることができる
[7]に記載の電池モジュール。
[9] 前記複数のチャンバーは、第1組のチャンバーと第2組のチャンバーとに分割され、冷却板は、対向する第1の冷却面及び第2の冷却面を含み、第1の冷却面は、第1組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成し、第2の冷却面は、第2組のチャンバーの各々のチャンバーの第3の表面を形成する
[6]~[8]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[10] セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセルとの間に介在する絶縁素子を含み、絶縁素子は、熱伝導性接着剤によって前記外部ケース及び前記複数のセルに貼り付けられ、高い熱伝導率を有する
[1]~[9]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[11] セル拘束構造は、外部ケースと前記複数のセルとの間に介在する煙誘導素子を含み、煙誘導素子は、前記複数のセルに用いられる煙道を画定するように配置されている
[1]~[10]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[12] 煙誘導素子は、高い熱伝導率を有する絶縁材料で作られるメインパネルを含み、メインパネルの外部ケースに面する表面は、熱伝導性接着剤によって外部ケースに貼り付けられている
[11]に記載の電池モジュール。
[13] 熱伝導素子は、メインパネルの前記複数のセルに面する表面に設けられたフランジをさらに含み、前記フランジは、前記複数のセルに当接することにより煙道を形成する
[12]に記載の電池モジュール。
[14] 前記フランジは、メインパネルの両側にメインパネルに対して垂直に延びる第1のフランジ部と、第1のフランジ部の内側に平行に間隔をあけて設けられる第2のフランジ部と、第1のフランジ部と第2のフランジ部との間に垂直に設けられる第3のフランジ部とを含み、第2のフランジ部には少なくとも1つの開口が設けられている
[13]に記載の電池モジュール。
[15] 第1のフランジ部は、熱伝導率を有する材料で作られ、第2のフランジ部及び第3のフランジ部は、低い熱伝導率を有する材料で作られる
[14]に記載の電池モジュール。
[16] 前記複数のセルの煙誘導素子に面する表面には、断熱パッチが設けられている
[11]~[15]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[17] 外部ケースは、電池モジュールの一端側に位置するリリーフ弁を含み、リリーフ弁は、煙道を通ってリリーフ弁に流れる煙が側方に外部環境に排出されるように水平方向に位置決めされている
[11]~[16]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
[18] リリーフ弁は、煙道を通ってリリーフ弁に流れる煙が先にフィルタ素子によって濾過されるように、フィルタ素子によって覆われている、
[17]に記載の電池モジュール。
[19] 電池モジュールカセットと、
1つ又は複数の物理的又は電気的接続素子によって電池モジュールカセットに取り付けられている、[1]~[18]のいずれか1項に記載の、1つ又は複数の電池モジュールと、
を含む
電気自動車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9