(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】半導体構造及び半導体構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240911BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240911BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240911BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L21/52 A
H01L25/08 E
H01L21/52 C
(21)【出願番号】P 2023535076
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2021112029
(87)【国際公開番号】W WO2022179061
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202110212890.2
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ズオ ミンシン
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-024941(JP,A)
【文献】米国特許第06084299(US,A)
【文献】特開2006-066551(JP,A)
【文献】特開平08-181166(JP,A)
【文献】特開2019-102568(JP,A)
【文献】特開2001-291805(JP,A)
【文献】特開2011-046809(JP,A)
【文献】特開2000-340612(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111312666(CN,A)
【文献】特開2006-173416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、チップと、第1接着層と、を含む、半導体構造であって、
前記基板の表面に絶縁層が設けられ、前記チップは、前記第1接着層を介して前記絶縁層の表面に配置され、
前記絶縁層にホールスロットが設けられ、前記ホールスロットの位置は、前記第1接着層のエッジの少なくとも一部に対応し、前記ホールスロット内に第2接着層が設けられ、前記第2接着層の表面の少なくとも一部は、前記第1接着層に接続され、
前記第2接着層の弾性率は、前記第1接着層の弾性率より小さい、半導体構造。
【請求項2】
前記ホールスロットは、前記絶縁層を貫通する、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記ホールスロットは、前記第1接着層のすべてのエッジに対応するように閉環状をなしている、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記第1接着層は矩形状であり、前記第1接着層のエッジは、4つの側辺を有し、前記ホールスロットは、矩形環状をなしている、
請求項3に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記基板の表面において、前記ホールスロットの正投影パターンの外側エッジは、前記第1接着層の正投影パターンのエッジの外側に位置する、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記基板の表面において、前記ホールスロットの正投影パターンは、前記第2接着層の表面全体が前記第1接着層に接続されるように、前記第1接着層の正投影パターンによって完全に覆われる、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記基板の表面において、前記ホールスロットの正投影パターンの外側エッジは、前記第1接着層の正投影パターンのエッジと重なる、
請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記ホールスロットのスロット幅は、前記第1接着層の幅の5%~10%である、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記第2接着層の弾性率は、前記絶縁層の弾性率より小さい、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記第2接着層の弾性率は、前記チップの弾性率より小さい、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項11】
前記第2接着層の熱膨張係数は、前記第1接着層の熱膨張係数より小さい、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項12】
前記第2接着層の熱膨張係数は、前記絶縁層の熱膨張係数より小さい、
請求項11に記載の半導体構造。
【請求項13】
前記第2接着層の熱膨張係数は、前記チップの熱膨張係数より小さい、
請求項11に記載の半導体構造。
【請求項14】
前記第1接着層と前記第2接着層との間の接着強度は、前記第1接着層と前記チップとの間の接着強度より小さい、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項15】
前記第1接着層と前記第2接着層との間の接着強度は、前記第1接着層と前記絶縁層との間の接着強度より小さい、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項16】
前記第2接着層の材質は、シリカ、エポキシ樹脂粘着剤を含む、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項17】
半導体構造の製造方法であって、
表面に絶縁層が設けられた基板を提供するステップと、
前記絶縁層上に、前記絶縁層を貫通するホールスロットを形成するステップと、
前記ホールスロット内に第2接着層を形成するステップと、
前記絶縁層の表面に、第1接着層を介してチップを配置するステップであって、前記ホールスロットの位置は、前記第1接着層のエッジの少なくとも一部に対応し、前記第2接着層の表面の少なくとも一部は、前記第1接着層に接続され、前記第2接着層の弾性率は、前記第1接着層の弾性率より小さい、ステップと、
前記絶縁層の表面に封止層を形成するステップであって、前記チップ及び前記第1接着層は前記封止層内に封止される、ステップと、を含む、半導体構造の製造方法。
【請求項18】
前記ホールスロットの形成工程は、
前記絶縁層の表面にフォトレジストを設けるステップと、
前記フォトレジストをパターニングするステップと、
パターニングされた前記フォトレジストを露光して、前記フォトレジストに遮蔽されていない前記絶縁層の部分を除去することにより、前記ホールスロットを形成するステップと、を含む、
請求項17に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項19】
前記第2接着層の形成工程は、
前記ホールスロット内に緩衝接着剤を滴下塗布するステップと、
加熱焼成により、前記緩衝接着剤を前記第2接着層に固化させるステップと、を含む、
請求項17に記載の半導体構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2021年02月25日に中国特許局に提出された、出願番号が202110212890.2であり、発明の名称が「半導体構造及び半導体構造の製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、半導体技術分野に関し、特に、半導体構造及び半導体構造の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
既存のチップ(memory thin die stack)のパッケージング工程では、チップ、接着層は、基板(Substrate)上のソルダーマスク(SR:solder mask、「グリーンレジスト」とも呼ぶ)と直接接触する。この分野では、基板(ソルダーマスクを含む)やチップの薄型化が進んでおり、チップ自体が曲がったり、外力によって変形したりしたとき、又は高温信頼性(TC reliability)検出などの検出工程において、チップと基板の接続部のエッジ位置に、応力集中によりダイクラック(die crack)又は基板クラック(Substrate crack)が発生しやすくなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例の一態様では、半導体構造を提供し、前記半導体構造は、基板と、チップと、第1接着層と、を含み、前記基板の表面に絶縁層が設けられ、前記チップは、前記第1接着層を介して前記絶縁層の表面に配置され、前記絶縁層にホールスロットが設けられ、前記ホールスロットの位置は、前記第1接着層のエッジの少なくとも一部に対応し、前記ホールスロット内に第2接着層が設けられ、前記第2接着層の表面の少なくとも一部は、前記第1接着層に接続され、前記第2接着層の弾性率は、前記第1接着層の弾性率より小さい。
【0005】
本発明の実施例の別の態様では、半導体構造の製造方法を提供し、前記製造方法は、表面に絶縁層が設けられた基板を提供するステップと、前記絶縁層上に、前記絶縁層を貫通するホールスロットを形成するステップと、前記ホールスロット内に第2接着層を形成するステップと、前記絶縁層の表面に第1接着層を介してチップを設けるステップであって、前記ホールスロットの位置は、前記第1接着層のエッジの少なくとも一部に対応し、前記第2接着層の表面の少なくとも一部は、前記第1接着層に接続され、前記第2接着層の弾性率は、前記第1接着層の弾性率より小さい、ステップと、前記絶縁層の表面に封止層を形成するステップであって、前記チップ及び前記第1接着層は前記封止層内に封止される、ステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図2】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である
【
図3】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である
【
図4】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である
【
図5】
図4に示すステップにおける半導体構造の上面図である。
【
図6】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図7】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図8】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図9】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図10】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図11】1つの例示的な実施例による半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図である。
【
図12】別の例示的な実施例による半導体構造の製造方法の1つのステップにおける半導体構造の上面図である。
【
図13】別の例示的な実施例による半導体構造の概略図である。
【
図14】別の例示的な実施例による半導体構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、例示的な実施例をより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施例は、様々な形態で実施することができ、本明細書に記載された実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例を提供する目的は、本発明が包括的且つ完全になるようにし、例示的な実施例の構想を当業者に全面的に伝えるようにすることである。図中の同じ参照符号は、同じ又は類似の構成を示しているため、ここでは繰り返して説明しない。
【0008】
図11を参照すると、本発明で提案する半導体構造の概略図が代表的に示されている。当該例示的な実施例では、本発明で提案する半導体構造は、メモリチップのスタックに適用されるパッケージ構造を例として説明する。当業者であれば理解できるように、本発明の関連設計を他のタイプの半導体構造に適用するために、以下に説明する具体的な実施例に対する様々な変形、追加、置換、削除または他の変更を加えることができ、これらの変更は依然として本発明で提案する半導体構造の原理の範囲に含まれる。
【0009】
図11に示すように、本実施例では、本発明で提案する半導体構造は、主に、基板110、チップ130、及び第1接着層140を含む。具体的には、当該基板110の表面には絶縁層120が設けられる。当該チップ130は、当該第1接着層140を介して絶縁層120の表面に配置される。ここで、絶縁層120には、ホールスロット121が設けられており、当該ホールスロット121の位置は、第1接着層140のエッジに対応する。また、ホールスロット121内には第2接着層122が設けられており、当該第2接着層122の表面の一部は、第1接着層140に接続される。それに加えて、第2接着層122の弾性率は、第1接着層140の弾性率より小さい。上記の設計により、本発明で提案する半導体構造は、チップ130と基板110(基板110の表面に設けられた絶縁層120を含む)との接続エッジにおける応力分布を最適化することができ、そのため、半導体構造が曲がったり変形したりしたときに、チップ130と基板110との接続エッジで断裂が生じにくくなる。
【0010】
任意選択的に、
図11を参照すると、本実施例では、ホールスロット121は、絶縁層120を貫通してもよい。別の実施例では、ホールスロット121は、絶縁層120を貫通しなくてもよく、例えば、絶縁層120の上面のみに開口してもよい。
【0011】
任意選択的に、
図5を参照すると、
図5には、ホールスロット121の形成ステップにおける半導体構造の上面図が代表的に示されており、本実施例では、ホールスロット121は、第1接着層140のすべてのエッジに対応するように、大体に閉環状をなしていることができる。上記の設計により、本発明では、チップ130と基板110との接続エッジのすべての位置における応力分布を最適化することができるため、チップ130と基板110とのすべての接続エッジで断裂が生じにくくなる。
【0012】
さらに、
図5を参照すると、ホールスロット121が閉環状をなしているという設計に基づき、本実施例では、第1接着層140は、大体に矩形状をなしていることができ、且つ第1接着層140のエッジは、4つの側辺を有する。それに加えて、ホールスロット121は、大体に矩形環状をなしていることができる。別の実施例では、ホールスロット121が第1接着層140のすべてのエッジに対応するという設計に基づき、第1接着層140が円形、三角形、台形などの他の形状である場合、ホールスロット121も、対応する円形環状、三角形環状、台形環状をなしていることができ、本実施例に限定されるものではない。
【0013】
任意選択的に、
図11に示すように、本実施例では、基板110の表面において、ホールスロット121の正投影パターンの外側エッジは、第1接着層140の正投影パターンのエッジの外側に位置することができる。したがって、ホールスロット121に設けられた第2接着層122は、第1接着層140のエッジの外側に延在することができ、そのため、本発明では、第1接着層140のエッジの外側に位置する基板110の一部の領域における応力分布を最適化し、関連領域で断裂が生じることをさらに回避することができる。
【0014】
任意選択的に、
図9を参照すると、
図9には、チップ130の形成ステップにおける半導体構造の上面図が代表的に示されており、本実施例では、ホールスロット121のスロット幅d1は、第1接着層140の幅d2の5%~10%、例えば、5%、6.5%、8%、10%であり得る。したがって、本発明では、ホールスロット121と第1接着層140との上記の幅比を、より合理的な範囲に制限することにより、ホールスロット121のスロット幅d1が大きすぎることによるチップ130全体的な粘度不十分を回避するとともに、スロット幅d1が小さすぎることにより、半導体構造が変形した場合に応力分布を最適化できず、断裂が生じることを回避する。別の実施例では、第1接着層140の幅d2におけるホールスロット121のスロット幅d1の割合は、5%未満であってもよく、又は10%以上であってもよく、例えば、4.5%、11%などであり得、本実施例に限定されるものではない。
【0015】
任意選択的に、本実施例では、第2接着層122の弾性率は、絶縁層120の弾性率より小さくてもよい。これにより、絶縁層120の対応する位置(例えば、ホールスロット121に隣接する位置、即ち、第1接着層140エッジに対応する位置)で断裂が生じにくくなる。別の実施例では、第2接着層122の弾性率が第1接着層140の弾性率より小さいことに加えて、第2接着層122の弾性率は、絶縁層120の弾性率以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0016】
任意選択的に、本実施例では、第2接着層122の弾性率は、チップ130の弾性率より小さくてもよい。これにより、チップ130の対応する位置(エッジ位置など)で断裂が生じにくくなる。別の実施例では、第2接着層122の弾性率が第1接着層140の弾性率より小さいことに加えて、第2接着層122の弾性率は、チップ130の弾性率以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0017】
任意選択的に、本実施例では、第2接着層122の熱膨張係数は、第1接着層140の熱膨張係数より小さくてもよい。これにより、半導体構造が熱によって変形した場合、第2接着層122が第1接着層140よりも熱膨張係数が小さいため、第1接着層140と同等又はそれ以上の膨張変形による第1接着層140のクラック不良を回避することができる。別の実施例では、本発明で第2接着層122を設けることにより関連位置での応力分布の最適化を保証することを前提として、第2接着層122の熱膨張係数は、第1接着層140の熱膨張係数以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0018】
さらに、第2接着層122の熱膨張係数が第1接着層140の熱膨張係数より小さいという設計に基づき、本実施例では、第2接着層122の熱膨張係数は、絶縁層120の熱膨張係数より小さくてもよい。これにより、半導体構造が熱によって変形した場合、第2接着層122が絶縁層120よりも熱膨張係数が小さいため、絶縁層120と同等又はそれ以上の膨張変形による絶縁層120のクラック不良を回避することができる。別の実施例では、第2接着層122の熱膨張係数が第1接着層140の熱膨張係数より小さいことに加えて、第2接着層122の熱膨張係数は、絶縁層120の熱膨張係数以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0019】
さらに、第2接着層122の熱膨張係数が第1接着層140の熱膨張係数より小さいという設計に基づき、本実施例では、第2接着層122の熱膨張係数は、チップ130の熱膨張係数より小さくてもよい。これにより、半導体構造が熱によって変形した場合、第2接着層122がチップ130よりも熱膨張係数が小さいため、チップ130と同等又はそれ以上の膨張変形によるチップ130のクラック不良を回避することができる。別の実施例では、第2接着層122の熱膨張係数が第1接着層140の熱膨張係数より小さいことに加えて、第2接着層122の熱膨張係数は、チップ130の熱膨張係数以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0020】
任意選択的に、本実施例では、第1接着層140と第2接着層122との間の接着強度は、第1接着層140とチップ130との間の接着強度より小さくてもよい。これにより、半導体構造が変形した場合、上記の接着強度の設計により、第2接着層122と第1接着層140との分離が、第1接着層140とチップ130との分離より早く行われるようにすることができ、大きな変形により薄膜構造の分離が発生した場合に、第2接着層122と第1接着層140との分離により、第1接着層140とチップ130との分離を回避又は緩和することができる。別の実施例では、本発明において第2接着層122を設けることにより関連位置での応力分布の最適化を保証することを前提として、第1接着層140と第2接着層122との間の接着強度は、第1接着層140とチップ130との間の接着強度以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0021】
任意選択的に、本実施例では、第1接着層140と第2接着層122との間の接着強度は、第1接着層140と絶縁層120との間の接着強度より小さくてもよい。これにより、半導体構造が変形した場合、上記の接着強度の設計により、第2接着層122と第1接着層140との分離が、第1接着層140と絶縁層120との分離より早く行われるようにすることができ、大きな変形により薄膜構造の分離が発生した場合に、第2接着層122と第1接着層140との分離により、第1接着層140と絶縁層120との分離を回避又は緩和することができる。別の実施例では、本発明において第2接着層122を設けることにより関連位置での応力分布の最適化を保証することを前提として、第1接着層140と第2接着層122との間の接着強度は、第1接着層140と絶縁層120との間の接着強度以上であってもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0022】
任意選択的に、本実施例では、第2接着層122の材質は、シリカ、エポキシ樹脂接着剤(例えば、シリコーンエポキシ樹脂接着剤:Silicon epoxy)などを含む。
【0023】
本発明で提案する半導体構造の第1実施例の詳細な説明に基づき、以下では、
図12を参照して、本発明で提案する半導体構造の第2実施例について説明する。
【0024】
図12を参照すると、
図12には、第2実施例におけるホールスロット121の形成ステップにおける半導体構造の上面図が代表的に示されている。当該第2実施例では、本発明で提案する半導体構造は、上述した第1実施例とほぼ同様の設計を採用しており、以下では、第2実施例において、第1実施例と異なる設計について説明する。
【0025】
図12に示すように、本実施例では、ホールスロット121の位置は、第1接着層140のエッジの一部に対応する。したがって、本発明では、チップ130と基板110との接続エッジの一部の位置における応力分布を最適化することができ、そのため、チップ130と基板110との接続エッジの一部で断裂が生じにくくなる。換言すれば、本発明で提案する半導体構造の設計構想と一致する様々な可能な実施例では、ホールスロット121の位置は、第1接着層140のエッジの少なくとも一部に対応することができ、これにより、本発明では、チップ130と基板110との接続エッジの少なくとも一部の位置における応力分布を最適化することができる。
【0026】
任意選択的に、
図12に示すように、ホールスロット121の位置が第1接着層140のエッジの一部に対応するという設計に基づき、本実施例では、第1接着層140が大体に矩形状をなしている場合、ホールスロット121は、上記の矩形の1つ、2つまたは3つの側辺に対応する。もちろん、ホールスロット121は、任意の側辺に対応してもよく、又はホールスロット121は、矩形の四隅にそれぞれ対応してもよく、本実施例に限定されない。
【0027】
本発明で提案する半導体構造の第1実施例の詳細な説明に基づき、以下では、
図13を参照して、本発明で提案する半導体構造の第3実施例について説明する。
【0028】
図13を参照すると、
図13には、第3実施例における半導体構造の概略図が代表的に示されている。当該第3実施例では、本発明で提案する半導体構造は、上述した第1実施例とほぼ同様の設計を採用しており、以下では、第3実施例において、第1実施例と異なる設計について説明する。
【0029】
図13に示すように、本実施例では、基板110の表面において、ホールスロット121の正投影パターンは、第2接着層122の表面全体が第1接着層140に接続されるように、第1接着層140の正投影パターンによって完全に覆われる。換言すれば、本発明で提案する半導体構造の設計構想と一致する様々な可能な実施例では、当該第2接着層122の表面の少なくとも一部は、第1接着層140に接続される。
【0030】
さらに、
図13に示すように、ホールスロット121の正投影パターンが第1接着層140の正投影パターンによって完全に覆われるという設計に基づき、基板110の表面において、ホールスロット121の正投影パターンの外側エッジは、第1接着層140の正投影パターンのエッジと重なることができる。
【0031】
本発明で提案する半導体構造の第1実施例の詳細な説明に基づき、以下では、
図14を参照して、本発明で提案する半導体構造の第4実施例について説明する。
【0032】
図14を参照すると、
図14には、第4実施例における半導体構造の概略図が代表的に示されている。当該第4実施例では、本発明で提案する半導体構造は、上述した第1実施例とほぼ同様の設計を採用しており、以下では、第4実施例において、第1実施例と異なる設計について説明する。
【0033】
図14に示すように、本実施例では、チップ130は、多層スタック構造を採用することができ、即ち、チップは、交互に積層された多層ダイ131(die)とダイアタッチフィルム132(DAF:Die attach film)とを含む。それに加えて、チップ130は、依然として、全体構造として第1接着層140上に設けられ、具体的には、最下層に位置するダイ131が第1接着層140の上に設けられる。
【0034】
例えば、本発明で提案する半導体構造は、封止層160を含み得、当該封止層160は、ベースの表面に設けられ、且つチップ130及び第1接着層140を内部に封止する。
【0035】
別の例では、チップ130のダイ131は、結合線150(bonding wire)により基板110に接合される。
【0036】
本発明で提案する半導体構造のいくつかの例示的な実施例の上記の詳細な説明に基づき、以下では、
図1~
図11を参照して、本発明で提案する半導体構造の製造方法の1つの例示的な実施例について説明する。
【0037】
図1~
図11を参照すると、
図1~
図4及び
図6~
図11はそれぞれ、本発明で提案する半導体構造の製造方法の複数のステップにおける半導体構造の概略図を代表的に示している。当該例示的な実施例では、本発明で提案する半導体構造の製造方法は、メモリチップのスタックに適用されるパッケージ構造の製造方法を例として説明する。当業者であれば理解できるように、本発明の関連設計を他のタイプの半導体構造に適用するために、以下に説明する具体的な実施例に対して様々な変形、追加、置換、削除または他の変更を加えることができ、これらの変更は依然として本発明で提案する半導体構造の製造方法の原理の範囲に含まれる。
【0038】
図1~
図11に示すように、本実施例では、本発明で提案する半導体構造の製造方法は、主に、
表面に絶縁層120が設けられた基板110を提供するステップと、
絶縁層120上に絶縁層120を貫通するホールスロット121を形成するステップと、
ホールスロット121内に第2接着層122を形成するステップと、
絶縁層120の表面に第1接着層140を介してチップ130を配置するステップであって、ホールスロット121の位置は、第1接着層140の少なくとも一部のエッジに対応し、第2接着層122の少なくとも一部の表面は、第1接着層140に接続され、第2接着層122の弾性率は、第1接着層140の弾性率より小さい、ステップと、
絶縁層120の表面に封止層160を形成するステップであって、チップ130及び第1接着層140は封止層160内に封止される、ステップと、を含む。
【0039】
上記の設計により、本発明で提案する半導体構造の製造方法は、チップ130と基板110(基板110の表面に設けられた絶縁層120を含む)との接続エッジにおける応力分布を最適化することができ、そのため、半導体構造が曲がったり変形したりしたときに、チップ130と基板110との接続エッジで断裂が生じにくくなる。
【0040】
図1に示すように、
図1には、「基板110を提供する」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110及び絶縁層120を含む。ここで、絶縁層120は、基板110の表面に配置される。なお、本明細書の一部の説明では、絶縁層120を基板110の一部とみなして説明されており、実際の工程では、絶縁層120を有する完成品基板を直接製造することが可能であり、それらはいずれも、本発明の関連設計構想に違反するものではない。
【0041】
任意選択的に、
図2~
図4に示すように、本実施例では、ホールスロット121の形成工程は、具体的には、
絶縁層120の表面にフォトレジスト170を設けるステップと、
フォトレジスト170をパターニングするステップと、
パターニングされたフォトレジスト170を露光して、フォトレジスト170に遮蔽されていない絶縁層120の部分を除去することにより、ホールスロット121を形成するステップと、を含む。
【0042】
図2に示すように、
図2には、「フォトレジスト170を設ける」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、及びフォトレジスト170を含む。ここで、フォトレジスト170は、絶縁層120の表面に塗布される。
【0043】
図3に示すように、
図3には、「フォトレジスト170をパターニングする」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、及びパターニングされたフォトレジスト170を含む。ここで、フォトレジスト170がパターニング工程を経て除去される部分は、絶縁層120上の、ホールスロット121を設ける必要のある位置に対応する。
【0044】
図4に示すように、
図4には、「フォトレジスト170の露光により絶縁層120の一部を除去する」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、及び部分的に除去された後に残った絶縁層120を含む。ここで、絶縁層120の、フォトレジスト170に遮蔽されていない部分を除去することにより、絶縁層120を貫通するホールスロット121を形成し、このようにして、フォトレジスト170のパターンを絶縁層120上に転写する工程が完了する。
【0045】
図5に示すように、
図5には、「フォトレジスト170の露光により絶縁層120の一部を除去する」ステップにおける半導体構造の上面図が代表的に示されている。ここで、本実施例では、ホールスロット121が大体に閉環状をなしていること、即ち、ホールスロット121がチップ130(第1接着層140)のすべてのエッジに対応していることを例として説明し、したがって、ホールスロット121が、
図5に示す大体の矩形状をなしているようにするために、フォトレジスト170のパターニングされた開口部は、大体に矩形状をなしていてもよい。別の実施例では、
図12に示すホールスロット121の配置形態など、他の配置形態のホールスロット121を形成する必要がある場合、フォトレジスト170のパターニングされた開口部もそれに応じて調整することができ、本実施例に限定されるものではない。
【0046】
任意選択的に、
図6及び
図7に示すように、本実施例では、第2接着層122の形成工程は、具体的には、
ホールスロット121内に緩衝接着剤を滴下塗布するステップと、
加熱焼成により、緩衝接着剤を第2接着層122に固化させるステップと、を含む。
【0047】
図6に示すように、
図6には、「ホールスロット121内に緩衝接着剤を滴下塗布する」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、及び絶縁層120のホールスロット121に滴下塗布されている緩衝接着剤を含む。ここで、緩衝接着剤は、塗布装置300によって滴下塗布される方式で、ホールスロット121内を充填することができ、これにより、ホールスロット121への十分な充填を保証するとともに、後続の工程で形成される第2接着層122の材料の均一性と密度を最適化することができ、応力分布の最適化効果をさらに最適化することができる。別の実施例では、緩衝接着剤は、他の塗布方式によってホールスロット121に充填されてもよく、本実施例に限定されるものではない。
【0048】
図7に示すように、
図7には、「加熱焼成により、緩衝接着剤を第2接着層122に固化させる」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、及び固化された第2接着層122を含む。ここで、第2接着層122は、ホールスロット121内に充填された緩衝接着剤が加熱装置400の加熱により固化されて形成される。当該加熱装置400は、オーブンなどであってもよい。
【0049】
任意選択的に、
図8及び
図9に示すように、本実施例では、チップ130を配置する工程は、具体的には、
第1接着層140とチップ130とを基板110上に積層するステップと、
加熱焼成により、第1接着層140を、チップ130と基板110との間に接着させるステップと、を含む。
【0050】
図8に示すように、
図8には、「第1接着層140とチップ130とを基板110上に積層する」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、第2接着層122、第1接着層140、及びチップ130を含む。ここで、第1接着層140は、絶縁層120の表面に位置し、チップ130は、第1接着層140の表面に位置し、第1接着層140及びチップ130は、プレス装置200により基板110(実際には絶縁層120)の表面に積層されることができる。
【0051】
図9に示すように、
図9には、「加熱焼成により、第1接着層140を、チップ130と基板110との間に接着させる」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、第2接着層122、第1接着層140、及びチップ130を含む。ここで、加熱装置500の加熱により、第1接着層140を介してチップ130を基板110上に接着して固定することができる。
【0052】
さらに、本実施例では、「加熱焼成により、緩衝接着剤を第2接着層122に固化させる」ステップ及び「加熱焼成により、第1接着層140を、チップ130と基板110との間に接着させる」ステップにおいて、この2つステップにおける加熱装置400と加熱装置500は、同一の加熱装置を採用してもよい。これに基づき、第1接着層140を固化するためにチップ130を設ける加熱ステップとは異なり、第2接着層122を固化して形成するために行われる加熱焼成は、「事前焼成」として理解することができる。したがって、「事前焼成」により、第2接着層122を固化して形成することに加えて、半導体構造のローディング装置の予熱も実現することができる。
【0053】
図10に示すように、
図10には、「チップ130と基板110とを接合する」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、第2接着層122、第1接着層140、チップ130、及び結合線150を含む。ここで、結合線150は、チップ130と基板110との間に接続され、それにより、チップ130と基板110との接合を実現する。
【0054】
図11に示すように、
図11には、「絶縁層120の表面に封止層160を形成する」ステップにおける半導体構造の概略図が代表的に示されている。上記のステップにおいて、半導体構造は、基板110、絶縁層120、第2接着層122、第1接着層140、チップ130、結合線150、及び封止層160を含む。封止層160は、基板110の表面に形成され、封止層160は、基板110上の各構造、例えば、第1接着層140、第2接着層122、チップ130、結合線150などを封止する。
【0055】
上記に記載されたように、本発明で提案する半導体構造及び半導体構造の製造方法では、第1接着層のエッジの少なくとも一部の位置に対応するホールスロットを絶縁層に設け、弾性率が第1接着層より小さい第2接着層をホールスロット内に設けるという設計により、チップと基板との接続エッジにおける応力分布を最適化することができ、そのため、半導体構造が曲がったり変形したりしたときに、チップと基板との接続エッジで断裂が生じにくくなる。
【0056】
いくつかの典型的な実施例を参照して本発明を説明したが、理解すべきこととして、使用される用語は、説明及び例示のためのものであり、限定を目的とするものではない。本発明は、本発明の趣旨または本質から逸脱することなく、様々な形態で実施することが可能であるため、上述した実施例は、前述の詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される趣旨及び範囲内で広く解釈されるべきであることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲又はこれらに相当する範囲内にあるすべての変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。