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特許7554366水供給システムにおける低温水供給モード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】水供給システムにおける低温水供給モード
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/156 20220101AFI20240911BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/429 20220101ALI20240911BHJP
   F24H 15/486 20220101ALI20240911BHJP
【FI】
F24H15/156
F24H15/281
F24H15/429
F24H15/486
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023547365
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 IB2022051068
(87)【国際公開番号】W WO2022168037
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111070.5
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】コノワルチク、 ピーター
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221686(JP,A)
【文献】特開2014-173752(JP,A)
【文献】特開2007-078314(JP,A)
【文献】特開平08-014592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水出口に供給される水供給を制御するための水供給システム用のヒータ準備システムであって、前記水出口は使用者に加熱水を供給するように配置され、前記ヒータ準備システムは、
前記水出口から離れて配置された水加熱デバイスと、
前記水加熱デバイスに通信可能に結合された制御ユニットであって、
a)使用者からの要求を受けて、加熱水が第1の温度で前記水出口に一定の第1の時間供給されるようにし、かつ前記一定の第1の時間が経過すると前記温度が第2の温度まで低下されるようにする、低温水供給モードを有効にするように構成され、
b)a)における前記要求を受けた使用者について、前記使用者が前記水出口を開けたことを検知すると、加熱水を前記第1の温度で前記第1の時間供給し、その後、前記第1の時間が経過した後に、前記加熱水の温度を前記第1の温度から前記第1の温度よりも低い前記第2の温度まで低下させる制御ユニットと
を備え、
前記第1の温度及び第2の温度は、前記制御ユニットによって実行される人工知能アルゴリズムによって設定され、
前記第1の時間は、前記制御ユニットによって実行される人工知能アルゴリズムによって設定され、
前記人工知能アルゴリズムは、前記水供給システムの過去の使用量に関連するデータに基づいて、前記第1の温度及び第2の温度の値を予測し、
前記人工知能アルゴリズムは、前記水供給システムの過去の使用量に関連するデータに基づいて、前記第1の時間の値を予測し、
前記予測した値は、前記水供給システムの過去の使用量に関連する訓練データによって前記人工知能アルゴリズムが訓練された後に、前記人工知能アルゴリズムによって導き出される、ヒータ準備システム。
【請求項2】
a)における前記要求は、ユーザーインターフェースを介して前記使用者によって開始される、請求項1に記載のヒータ準備システム。
【請求項3】
前記温度は、前記一定の第1の時間が経過した後に、前記第1の温度から前記第2の温度まで段階的に低下される、請求項1に記載のヒータ準備システム。
【請求項4】
段階的な低下の速度が5秒ごとに摂氏1度である、請求項3に記載のヒータ準備システム。
【請求項5】
前記水加熱デバイスは、ヒートポンプと熱エネルギー貯蔵デバイスとを備える、請求項1に記載のヒータ準備システム。
【請求項6】
前記熱エネルギー貯蔵デバイスは相変化材料のデバイスである、請求項5に記載のヒータ準備システム。
【請求項7】
前記相変化材料はパラフィンワックスである、請求項6に記載のヒータ準備システム。
【請求項8】
前記パラフィンワックスは、40℃から60℃の温度で溶融する、請求項7に記載のヒータ準備システム。
【請求項9】
前記相変化材料の潜熱容量は180kJ/kgから230kJ/kgの間であり、比熱容量は液相で2.27Jg-1-1、固相で2.1Jg-1-1である、請求項6、7又は8に記載のヒータ準備システム。
【請求項10】
水供給システムにおいて水出口に供給される水供給を制御する方法であって、前記水出口は水加熱デバイスから使用者に加熱水を供給するように配置され、前記方法は、
a)使用者からの要求を受けて、加熱水が第1の温度で前記水出口に一定の第1の時間供給されるようにし、かつ前記一定の第1の時間が経過すると前記温度が第2の温度まで低下されるようにする、低温水供給モードを有効にするステップと、
b)a)において前記要求を受けた使用者について、前記使用者が前記水出口を開けたことを検知すると、加熱水を前記第1の温度で前記第1の時間供給し、その後、前記第1の時間が経過した後に、前記加熱水の温度を前記第1の温度から前記第1の温度よりも低い前記第2の温度まで低下させるステップと、
を含み、
前記第1の温度及び第2の温度は、制御ユニットによって実行される人工知能アルゴリズムによって設定され、
前記第1の時間は、前記制御ユニットによって実行される人工知能アルゴリズムによって設定され、
前記人工知能アルゴリズムは、前記水供給システムの過去の使用量に関連するデータに基づいて、前記第1の温度及び第2の温度の値を予測し、
前記人工知能アルゴリズムは、前記水供給システムの過去の使用量に関連するデータに基づいて、前記第1の時間の値を予測し、
前記予測した値は、前記水供給システムの過去の使用量に関連する訓練データによって前記人工知能アルゴリズムが訓練された後に、前記人工知能アルゴリズムによって導き出される、方法。
【請求項11】
a)における前記要求は、ユーザーインターフェースを介して前記使用者によって開始される、請求項10に記載方法。
【請求項12】
前記温度は、前記一定の第1の時間が経過した後に、前記第1の温度から前記第2の温度まで段階的に低下される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
段階的な低下の速度が5秒ごとに摂氏1度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
機械可読コードを含むコンピュータ可読媒体であって、前記機械可読コードは、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項10から13のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
通信チャネルを介して水供給システムの動作を制御するように構成された制御モジュールであって、前記水供給システムは、本管からの水を加熱するように構成されかつ前記制御モジュールによって制御される加熱システムを備え、前記水供給システムは、前記加熱システムによって加熱された水を1つ以上の水出口で使用者に供給するように構成され、前記制御モジュールは、プロセッサ上で実行するソフトウェアを有し又は予め構成されたハードウェアロジックコンポーネントを有し、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたプロセッサを備える、制御モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、建物内の複数の水出口(蛇口)に温水を供給するための水供給システム用のヒータ準備システムなどの、水供給システムにおける水/エネルギーの流れのユーティリティ管理に関する。特に、本開示は、水及び/又はエネルギーを節約するための水供給システムにおいて、水出口への水及び/又はエネルギーの流れの無駄を削減するための低温水供給モード(又は見込まれる量)の実現に関する。
【背景技術】
【0002】
商業環境でも家庭環境でも、加熱水は一年中一日中必要である。言うまでもなく、加熱水の供給には浄水と熱源の両方が必要である。加熱水を供給するために、多くの場合集中型の水供給システムに加熱システムが提供され、例えば使用者が設定した所定の温度まで水を加熱し、使用される熱源は従来、1つ以上の電気発熱体又は天然ガスの燃焼である。一般的に、エネルギー(例えば、ガス又は電気)の需要が高い時間帯に、ユーティリティ供給者はピーク料金を導入し、ピーク料金は、部分的には顧客に供給するためにより多くのエネルギーを購入しなければならない追加コストをカバーし、部分的には不必要なエネルギー使用を抑制するために、エネルギー単価を上げる。その後、エネルギーの需要が低い時間帯に、ユーティリティ供給者はオフピーク料金を導入し、オフピーク料金は、顧客がピーク時間帯ではなくこれらのオフピーク時間帯のエネルギー使用に切り替えるようにインセンティブを与え、長期にわたって全体的によりバランスのとれたエネルギー消費を達成するために、エネルギー単価を下げる。しかしながら、このような戦略は、顧客が料金の変更を常に認識し、さらにエネルギー消費習慣を変えるための意識的な努力を行う場合にのみ有効である。
【0003】
ユーティリティとしての浄水が現在、大きく注目されている。浄水が不足するにつれて、浄水の保全と、水流を減らすための空気混入シャワー及び蛇口、動きを感知しないと水の流れを止めるモーションセンサを備えたシャワー及び蛇口などの水の消費を減らすシステム及びデバイスの開発について一般の人々を教育するために多くの努力が払われてきた。しかしながら、これらのシステム及びデバイスは1つの特定の用途に限定され、問題のある水の消費習慣への影響は限定的である。
【0004】
エネルギー消費による環境への影響に対する懸念が高まる中、近年、家庭用加熱水を供給する方法としてヒートポンプ技術の利用への関心が高まっている。ヒートポンプは、熱源から熱貯蔵器に熱エネルギーを伝達するデバイスである。ヒートポンプは、熱源から熱貯蔵器に熱エネルギーを伝達する仕事を成し遂げるために電気を必要とするが、一般に少なくとも3又は4の性能係数を有するため、電気抵抗ヒータ(電気発熱体)よりも効率的である。これは、同じ電気使用量の下で、電気抵抗ヒータに比べて3又は4倍の熱量をヒートポンプによって使用者に提供できることを意味する。
【0005】
熱エネルギーを運ぶ熱伝達媒体は、冷媒として知られている。空気(例えば、外気、又は家の中の暑い部屋からの空気)又は地中源(例えば、地中ループ又は水で満たしたボアホール)からの熱エネルギーは、受熱交換器によって抽出され、含まれている冷媒に伝達される。エネルギーが高くなった冷媒は圧縮され、温度が大幅に上昇し、この高温になった冷媒は熱交換器によって熱エネルギーを加熱水ループに交換する。加熱水供給との関連で、ヒートポンプによって抽出された熱は熱エネルギー貯蔵部として機能する絶縁タンク内の水に伝達することができ、加熱水は必要に応じて後で使用することができる。加熱水は、必要に応じて、1つ以上の水出口、例えば、蛇口、シャワー、ラジエーターに回すことができる。しかしながら、ヒートポンプは一般に、水を所望の温度まで上昇させるのに電気抵抗ヒータに比べてより多くの時間を必要とする。
【0006】
様々な家庭、職場及び商業空間が加熱水使用量に対する様々な要件及び好みを有するため、ヒートポンプが電気ヒータの実用的な代替手段となることを可能にするために、加熱水供給の新しい方法が望まれる。また、エネルギーと水を節約するために、エネルギーと浄水の消費を調節することが望ましい可能性がある。しかしながら、ユーティリティの消費を調節することは、単に使用量の包括的な上限を定めることではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、水供給システムにおけるユーティリティの消費を調節することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の、水出口に供給される水供給を制御するための水供給システム用のヒータ準備システムを提供する。
【0009】
本発明はまた、請求項10に記載の、水出口に供給される水供給を制御する方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、請求項14及び15に記載の、対応するコンピュータプログラム製品及び制御モジュールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次に、本開示の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
図1】例示的な水供給システムのシステム概観図である。
図2】例示的な水供給システムにおいて、エネルギー及び/又は水の流れを一時的に減少させることに関わるステップを示すフローチャートである。
図3】低温水供給モードを実現することに関わるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記を考慮して、本開示は、ヒートポンプを用いた又はヒートポンプで補助した加熱水の供給のための様々なアプローチ、場合によっては、水及びエネルギーの浪費を低減するために水及びエネルギーを含むユーティリティの使用を調節するための様々なアプローチを提供する。本アプローチは、水供給システムから受信したセンサデータに基づいて制御モジュールによって水供給システムのための水供給を制御及び調節するように訓練された1つ以上の機械学習アルゴリズム(MLA)を用いて実施することができる。例えば、訓練段階中に、MLAは家庭環境における家庭の加熱水使用量を監視し、通常の使用パターンを確立することができる。MLAは、時刻、曜日、日付、天候などの複数の異なる入力に基づいて異なるタイプの水使用(例えば、シャワー、手洗い、暖房など)を認識するように訓練され得る。いくつかの実施形態では、MLAは、例えば、システムの水出口が開け閉めされる時間、使用時間、使用者によって設定された水温、及び加熱水が使用者に供給されるときの実際の水温に関する追加データを収集することができる。使用中、MLAは、学習した使用パターンを様々な異なる方法で使用して、ヒートポンプを用いた又はヒートポンプで補助した加熱水供給の効率及び有効性を改善することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、MLAは、水出口を開けるとき又は開ける前に1つ以上の省エネ戦略を実施するように訓練することができ、任意選択で、例えば水及び/又はエネルギーの使用量を徐々に低減するために、水及びエネルギーの使用習慣を変えるのに役立つ1つ以上のインタラクティブな戦略を実施するように訓練することができる。
【0014】
以下に、1つ以上のMLAが使用される実施形態のための複数の異なるタイプの機械学習アルゴリズムの簡単な概要を示す。しかしながら、通常の使用パターンを確立するためのMLAの使用は、本技術を実施する1つの方法に過ぎず、必須ではないことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、特定の加熱水の使用量、例えば過剰な水流を目標とし、予め定められた方法で応答するために、適切なソフトウェア機能を用いてプログラムされ得る。
【0015】
MLAの概要
当技術分野では多くの異なるタイプのMLAが知られている。大まかに言うと、教師あり学習ベースのMLA、教師なし学習ベースのMLA、強化学習ベースの3タイプのMLAがある。
【0016】
教師あり学習MLAプロセスは目標結果変数(又は従属変数)に基づいており、これは所定の予測変数(独立変数)のセットから予測される。これらの変数セットを用いて、MLAは(訓練中に)、入力を所望の出力にマッピングする関数を生成する。訓練プロセスは、MLAが検証データで所望のレベルの精度を達成するまで継続する。教師あり学習ベースのMLAの例には、回帰、デシジョンツリー、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰などが含まれる。
【0017】
教師なし学習MLAには、目標又は結果変数自体の予測は含まれない。このようなMLAは値の母集団を異なるグループにクラスタリングするために使用され、これは特定の介入のために顧客を異なるグループにセグメント化するために広く使用されている。教師なし学習MLAの例には、アプリオリアルゴリズム、K平均法が含まれる。
【0018】
強化学習MLAは、特定の意思決定を行うように訓練される。訓練中、MLAは訓練環境にさらされ、試行錯誤を継続的に用いて自身を訓練する。MLAは過去の経験から学び、正確な意思決定を行うために可能な限り最高の知識を獲得しようとする。強化学習MLAの例はマルコフ決定プロセスである。
【0019】
異なる構造又はトポロジーを有する異なるタイプのMLAが様々なタスクに使用され得ることを理解すべきである。MLAの1つの特定のタイプは、ニューラルネットワーク(NN)としても知られる人工ニューラルネットワーク(ANN)を含む。
【0020】
ニューラルネットワーク(NN)
一般的に言えば、所定のNNは、計算に対するコネクショニストアプローチを用いて情報を処理する、相互接続された人工的な「ニューロン」のグループで構成される。NNは、入力と出力の間の複雑な関係を(実際には関係を知らずに)モデル化するため、又はデータ内のパターンを見つけるために使用される。NNは最初に訓練段階で条件付けされ、訓練段階ではNNに既知の「入力」のセットと(モデル化しようとしている所定の状況に対して)適切な出力を生成するようにNNを適応させるための情報とが提供される。この訓練段階中に、所定のNNは学習中の状況に適応してその構造を変更し、所定のNNが(学習内容に基づいて)新しい状況で所定の入力に対して妥当な予測出力を提供できるようにする。したがって、所定のNNは、所定の状況に対して複雑な統計的配列や数学的アルゴリズムを特定しようとするのではなく、状況に対する「感覚」に基づいて「直感的」な答えを提供することを目指している。したがって、所定のNNは、「ボックス」内で何が起こっているかが重要でない状況で、所定の入力セットに対する妥当な答えを決定するために使用できる、訓練された「ブラックボックス」と見なされる。
【0021】
NNは、所定の入力に基づいて出力を知ることだけが重要で、その出力が正確にどのように導き出されるかはそれほど重要ではないか又は重要ではない、多くのこのような状況で一般に使用される。例えば、NNは、サーバ間、及びフィルタリング、クラスタリング、信号分離、圧縮、ベクトル生成などを含むデータ処理におけるウェブトラフィックの分布を最適化するために一般的に使用される。
【0022】
ディープニューラルネットワーク
本技術のいくつかの非限定的な実施形態では、NNはディープニューラルネットワークとして実施することができる。NNは様々なクラスのNNに分類することができ、これらのクラスの1つはリカレントニューラルネットワーク(RNN)を含むことを理解すべきである。
【0023】
リカレントニューラルネットワーク(RNN)
RNNは、それらの「内部状態」(保存されたメモリ)を使用して入力のシーケンスを処理するように適応されている。このため、RNNは、例えば、セグメント化されていない手書き認識や音声認識などのタスクに適している。RNNのこれらの内部状態は制御することができ、「ゲート」状態又は「ゲート」メモリと呼ばれる。
【0024】
RNN自体もRNNの様々なサブクラスに分類できることに注意する必要がある。例えば、RNNは、長短期記憶(LSTM)ネットワーク、ゲート付き回帰型ユニット(GRU)、双方向RNN(BRNN)などを含む。
【0025】
LSTMネットワークは、ある意味、以前の非常に短い離散的な時間ステップ中に発生したイベントの「記憶」を必要とするタスクを学習できる深層学習システムである。LSTMネットワークのトポロジーは、実行することを「学習」する特定のタスクに基づいて変わる可能性がある。例えば、LSTMネットワークは、イベント間に比較的長い遅延が発生するタスク又はイベントが低い頻度と高い頻度で同時に発生するタスクの実行を学習することができる。特定のゲート機構を有するRNNはGRUと呼ばれる。LSTMネットワークとは異なり、GRUには「出力ゲート」がないため、LSTMネットワークよりもパラメータが少ない。BRNNは、反対方向に接続されたニューロンの「隠れ層」を有することができ、過去の状態及び未来の状態からの情報の使用を可能にすることができる。
【0026】
残差ニューラルネットワーク(ResNet)
本技術の非限定的な実施形態を実施するために使用できるNNの別の例は、残差ニューラルネットワーク(ResNet)である。
【0027】
ディープネットワークは、低/中/高レベルの特徴と分類子をエンドツーエンドの多層方式で自然に統合し、特徴の「レベル」は、スタックされた層の数(深さ)によって強化することができる。
【0028】
要約すると、本技術との関連で1つ以上のMLAの少なくとも一部の実施は、大きく2つの段階、訓練段階と使用中段階に分類することができる。最初に、所定のMLAは、訓練段階で1つ以上の適切な訓練データセットを用いて訓練される。次に、所定のMLAが入力として予想されるデータと出力として提供されるデータを学習すると、所定のMLAは使用中段階で使用中データを用いて実行される。
【0029】
水供給システム
本技術の実施形態では、冷水及び加熱水は、集中型の水供給システムによって、家庭環境又は商業環境における建物用の蛇口、シャワー、ラジエーターなどを含む複数の水出口に供給される。一実施形態による例示的な水供給システムを図1に示す。本実施形態では、水供給システム100は制御モジュール110を備え、制御モジュール110は機械学習アルゴリズム120を含むことができる。制御モジュール110は、例えばシステムの内部及び外部の水の流れを制御するように配置された1つ以上の弁の形態の流量制御部130と、周囲から熱を抽出し、抽出した熱を水の加熱に使用される熱エネルギー貯蔵部150に蓄積するように構成された(地中源又は空気源)ヒートポンプ140と、電気発熱体160に供給されるエネルギー量を制御することによって冷水を所望の温度まで直接加熱するように構成された1つ以上の電気発熱体160とを含む水供給システムの様々な要素に通信可能に結合され、これらの要素を制御するように構成される。加熱水は、熱エネルギー貯蔵部150によって加熱されるか、電気発熱体160によって加熱されるかにかかわらず、その後、必要に応じて1つ以上の水出口に向けられる。本実施形態では、ヒートポンプ140は、周囲から熱エネルギー貯蔵部150内の熱エネルギー貯蔵媒体へと、熱エネルギー貯蔵媒体が動作温度に達するまで熱を抽出し、次に、例えば本管からの冷水を熱エネルギー貯蔵媒体によって所望の温度まで加熱することができる。加熱水はその後、システム内の様々な水出口に供給することができる。
【0030】
本実施形態では、制御モジュール110は、複数のセンサ170-1、170-2、170-3、…、170nからの入力を受信するように構成される。複数のセンサ170-1、170-2、170-3、…、170nは、例えば、屋内及び/又は屋外に配置された1つ以上の気温センサ、1つ以上の水温センサ、1つ以上の水圧センサ、1つ以上のタイマー、1つ以上のモーションセンサを含むことができ、例えば乗員が携帯し、通信チャネルを介して制御モジュールと通信するスマートフォン上のGPS信号受信機、カレンダー、天気予報アプリなど、水供給システム100に直接リンクされていない他のセンサを含むことができる。制御モジュール110は、本実施形態では、受信した入力を使用して様々な制御機能を実行するように構成され、例えば、水を加熱するために熱エネルギー貯蔵部150又は電気発熱体160への流量制御部130を介した水の流れを制御する。
【0031】
ヒートポンプは一般に、電気抵抗ヒータに比べて水を加熱するためのエネルギー効率が高いが、ヒートポンプは、通常の動作状態に達する前に様々なチェックとサイクルを実行するので起動するのに時間がかかり、所望の動作温度に達する前に十分な量の熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に伝達するのに時間がかかる。一方、電気抵抗ヒータは一般に、より迅速に熱を供給することができる。したがって、ヒートポンプは、電気抵抗ヒータに比べて同じ量の水を同じ温度まで加熱するのに時間がかかる可能性がある。また、いくつかの実施形態では、ヒートポンプ140は、例えば、加熱時に固体から液体に変化する相変化材料(PCM)を熱エネルギー貯蔵媒体として使用することができる。したがって、PCMが固化した場合、ヒートポンプが液体化された熱貯蔵媒体の温度をさらに上昇させる前に、ヒートポンプが最初にPCMを固体から液体に変化させるのに十分な量の熱を伝達するのに追加の時間が必要とされる場合がある。水を加熱するこのアプローチは時間がかかるが、電気発熱体に比べて水を加熱するために消費するエネルギーが少ないため、全体としてエネルギーが節約され、加熱水を供給するためのコストが削減される。
【0032】
相変化材料
本実施形態では、相変化材料をヒートポンプ用の熱貯蔵媒体として使用することができる。1つの好適な相変化材料の種類は、家庭用温水のため及びヒートポンプと組み合わせて使用するための対象の温度で固液相変化を有するパラフィンワックスである。特に対象となるのは、摂氏40から60度(℃)の範囲の温度で溶融するパラフィンワックスであり、この範囲内で、特定の用途に適した様々な温度で溶融するワックスを見つけることができる。典型的な潜熱容量は約180kJ/kgから230kJ/kgの間であり、比熱容量は液相で2.27Jg-1-1ほど、固相で2.1Jg-1-1ほどである。溶融の潜熱を利用して非常に多くのエネルギーを貯蔵することができることがわかる。相変化液体をその融点を超えるまで加熱することでより多くのエネルギーを貯蔵することもできる。例えば、電力コストがオフピーク時間帯に比較的低い場合、ヒートポンプは熱エネルギー貯蔵部を通常よりも高い温度まで「チャージ」し、熱エネルギー貯蔵部を「過熱」させるように動作することができる。
【0033】
ワックスの好適な選択は、n-トリコサンC23又はパラフィンC20-C33などの融点が約48℃のものであり、これは、ヒートポンプが約51℃の温度で動作することを必要とし、例えばキッチンの蛇口、シャワー/バスルームの蛇口に十分な、一般的な家庭用温水の約45℃の満足できる温度まで水を加熱することができる。必要に応じて、冷水を流れに加えて水温を下げることができる。ヒートポンプの温度性能が考慮される。一般に、ヒートポンプによって加熱される流体の入力温度と出力温度の最大差は、好ましくは5℃から7℃の範囲に維持されるが、最大10℃であることができる。
【0034】
パラフィンワックスは熱エネルギー貯蔵媒体として使用するのに好ましい材料であるが、他の好適な材料も使用することができる。例えば、塩水和物は、本システムのような潜熱エネルギー貯蔵システムにも適している。この文脈における塩水和物は、無機塩と水の混合物であり、相変化はそれらの水の全部又は大部分の損失を伴う。相転移で、水和物結晶は無水塩(又は少ない水を含む塩)と水に分けられる。塩水和物の利点は、パラフィンワックスよりも熱伝導率がはるかに高く(2倍から5倍)、相転移による体積変化がはるかに小さいことである。本用途に適した塩水和物は、約48℃から49℃の融点、200~220kJ/kgの潜熱を有するNa223・5H2Oである。
【0035】
MLAの概要
当技術分野では多くの異なるタイプのMLA(機械学習アルゴリズム)が知られている。当技術分野では多くの異なるタイプのMLA(機械学習アルゴリズム)が知られている。大まかに言うと、教師あり学習ベースのMLA、教師なし学習ベースのMLA、強化学習ベースの3タイプのMLAがある。
【0036】
教師あり学習MLAプロセスは目標結果変数(又は従属変数)に基づいており、これは所定の予測変数(独立変数)のセットから予測される。これらの変数セットを用いて、MLAは(訓練中に)、入力を所望の出力にマッピングする関数を生成する。訓練プロセスは、MLAが検証データで所望のレベルの精度を達成するまで継続する。教師あり学習ベースのMLAの例には、回帰、デシジョンツリー、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰などが含まれる。
【0037】
教師なし学習MLAには、目標又は結果変数自体の予測は含まれない。このようなMLAは値の母集団を異なるグループにクラスタリングするために使用され、これは特定の介入のために顧客を異なるグループにセグメント化するために広く使用されている。教師なし学習MLAの例には、アプリオリアルゴリズム、K平均法が含まれる。
【0038】
強化学習MLAは、特定の意思決定を行うように訓練される。訓練中、MLAは訓練環境にさらされ、試行錯誤を継続的に用いて自身を訓練する。MLAは過去の経験から学び、正確な意思決定を行うために可能な限り最高の知識を獲得しようとする。強化学習MLAの例はマルコフ決定プロセスである。
【0039】
異なる構造又はトポロジーを有する異なるタイプのMLAが様々なタスクに使用され得ることを理解すべきである。MLAの1つの特定のタイプは、ニューラルネットワーク(NN)としても知られる人工ニューラルネットワーク(ANN)を含む。
【0040】
ニューラルネットワーク(NN)
一般的に言えば、所定のNNは、計算に対するコネクショニストアプローチを用いて情報を処理する、相互接続された人工的な「ニューロン」のグループで構成される。NNは、入力と出力の間の複雑な関係を(実際には関係を知らずに)モデル化するため、又はデータ内のパターンを見つけるために使用される。NNは最初に訓練段階で条件付けされ、訓練段階ではNNに既知の「入力」のセットと(モデル化しようとしている所定の状況に対して)適切な出力を生成するようにNNを適応させるための情報とが提供される。この訓練段階中に、所定のNNは学習中の状況に適応してその構造を変更し、所定のNNが(学習内容に基づいて)新しい状況で所定の入力に対して妥当な予測出力を提供できるようにする。したがって、所定のNNは、所定の状況に対して複雑な統計的配列や数学的アルゴリズムを特定しようとするのではなく、状況に対する「感覚」に基づいて「直感的」な答えを提供することを目指している。したがって、所定のNNは、「ボックス」内で何が起こっているかが重要でない状況で、所定の入力セットに対する妥当な答えを決定するために使用できる、訓練された「ブラックボックス」と見なされる。
【0041】
NNは、所定の入力に基づいて出力を知ることだけが重要で、その出力が正確にどのように導き出されるかはそれほど重要ではないか又は重要ではない、多くのこのような状況で一般に使用される。例えば、NNは、サーバ間、及びフィルタリング、クラスタリング、信号分離、圧縮、ベクトル生成などを含むデータ処理におけるウェブトラフィックの分布を最適化するために一般的に使用される。
【0042】
ディープニューラルネットワーク
本技術のいくつかの非限定的な実施形態では、NNはディープニューラルネットワークとして実施することができる。NNは様々なクラスのNNに分類することができ、これらのクラスの1つはリカレントニューラルネットワーク(RNN)を含むことを理解すべきである。
【0043】
リカレントニューラルネットワーク(RNN)
RNNは、それらの「内部状態」(保存されたメモリ)を使用して入力のシーケンスを処理するように適応されている。このため、RNNは、例えば、セグメント化されていない手書き認識や音声認識などのタスクに適している。RNNのこれらの内部状態は制御することができ、「ゲート」状態又は「ゲート」メモリと呼ばれる。
【0044】
RNN自体もRNNの様々なサブクラスに分類できることに注意する必要がある。例えば、RNNは、長短期記憶(LSTM)ネットワーク、ゲート付き回帰型ユニット(GRU)、双方向RNN(BRNN)などを含む。
【0045】
LSTMネットワークは、ある意味、以前の非常に短い離散的な時間ステップ中に発生したイベントの「記憶」を必要とするタスクを学習できる深層学習システムである。LSTMネットワークのトポロジーは、実行することを「学習」する特定のタスクに基づいて変わる可能性がある。例えば、LSTMネットワークは、イベント間に比較的長い遅延が発生するタスク又はイベントが低い頻度と高い頻度で同時に発生するタスクの実行を学習することができる。特定のゲート機構を有するRNNはGRUと呼ばれる。LSTMネットワークとは異なり、GRUには「出力ゲート」がないため、LSTMネットワークよりもパラメータが少ない。BRNNは、反対方向に接続されたニューロンの「隠れ層」を有することができ、過去の状態及び未来の状態からの情報の使用を可能にすることができる。
【0046】
残差ニューラルネットワーク(ResNet)
本技術の非限定的な実施形態を実施するために使用できるNNの別の例は、残差ニューラルネットワーク(ResNet)である。
【0047】
ディープネットワークは、低/中/高レベルの特徴と分類子をエンドツーエンドの多層方式で自然に統合し、特徴の「レベル」は、スタックされた層の数(深さ)によって強化することができる。
【0048】
要約すると、本技術との関連で1つ以上のMLAの少なくとも一部の実施は、大きく2つの段階、訓練段階と使用中段階に分類することができる。最初に、所定のMLAは、訓練段階で1つ以上の適切な訓練データセットを用いて訓練される。次に、所定のMLAが入力として予想されるデータと出力として提供されるデータを学習すると、所定のMLAは使用中段階で使用中データを用いて実行される。
【0049】
図2は、例えば家庭環境においてユーティリティ使用量を制御する方法の一実施形態を示す。この方法は、S2001において、水出口(例えば、洗面台の蛇口)が水出口から離れて配置された水加熱システムによって供給される加熱水を受け取るために使用者によって作動され又は開けられたときに開始され、水加熱システムは、水出口から離れて配置されかつ水出口の下にある物体(例えば、手を洗っている人の手)の存在を感知するために水出口又はその近くに配置されたセンサ(例えば、図1に示すセンサ170-nの1つ)と通信する図1の制御モジュール110によって制御される。S2002において、制御モジュール110はセンサからの信号を受信し、S2003において、水出口の下に物体が存在するか否かを判定する。物体が存在すると制御モジュールが判定した場合、方法はS2002に戻り、制御モジュールは引き続きセンサからの信号を監視する。水出口の下に物体が存在しないと制御モジュールが判定した場合、S2004において、制御モジュールは、水出口に供給される加熱水の温度を低下させかつ/又は水出口に供給される加熱水の流量を低下させるように水加熱システムを制御する。方法はその後S2002に戻り、制御モジュールは引き続きセンサからの信号を監視する。そうすることで、エネルギー及び/又は水使用量を削減しながら、加熱水を水出口に供給し続けることができる。例えば、使用者が蛇口の下で加熱水で手を洗っているとき、使用者が例えば石鹸に手を伸ばすために蛇口の下から手を離すと、制御モジュールは、エネルギーと水を節約するために加熱水の温度と流量を低下させることができ、その後、使用者が蛇口に手を戻すと、加熱水の温度と流量を当初のレベルに戻すことができる。
【0050】
使用者が蛇口を閉め忘れる場合がある。したがって、代替的な実施形態では、又は前述の実施形態に加えて、水出口が作動して加熱水を供給すると、制御モジュールと通信するタイマーが作動して経過時間を記録する。S2005において、制御モジュールはタイマーからの信号を受信し、水出口からの加熱水の継続的な供給の経過時間Tを測定する。S2006において経過時間Tが所定の第1の閾値T1を超えていないと制御モジュールが判定した場合、方法はS2005に戻り、制御モジュールは引き続きタイマーからの信号を監視する。S2006において経過時間Tが第1の閾値T1を超えていると制御モジュールが判定した場合、制御モジュールはS2007において警告シーケンスを開始し、この警告シーケンスは、水出口で又はその近くで音を発するか又は光信号を作動させて、水出口が時間T1の間継続的に開いていることを使用者に警告し、加熱水がもはや必要ない場合に水出口を閉めるよう使用者に促すことを含み得る。S2008において、制御モジュールは経過時間Tが第1の閾値T1よりも大きい所定の第2の閾値T2を超えるか否かを判定する。経過時間Tが第2の閾値T2を超えていないと判定された場合、方法はS2005に戻り、制御モジュールは引き続きタイマーからの信号を監視する。S2008において経過時間Tが第2の閾値T2を超えていると制御モジュールが判定した場合、制御モジュールはS2009において水出口への加熱水の供給を停止するように水加熱システムを制御する。そうすることで、加熱水がもはや必要ない場合にエネルギーと水が無駄にならない。例えば、使用者が手を洗った後に蛇口を閉め忘れた場合、又は子供が遊びのために蛇口を開いたままにした場合に、加熱水の供給を自動的に停止してエネルギーと水を節約することができる。2つの閾値T1とT2の値は、予め定められた値に加えて、特定の建物での過去の水流の使用量に基づいて訓練された人工知能アルゴリズム(深層学習や他のMLAなど)に従って予測値を導き出すことによって、特定の家庭又は商業ビルでそのような水の使用が通常である状況では、警告が行われず、水が止まらないように決定することもできる。
【0051】
一実施形態では、経時的に収集された加熱水使用量データ(S2010)を使用して、エネルギーと水の使用量を削減するために、使用者に使用習慣を見直し、場合によっては変えるように促すツールとして使用量レポート(S2011)を生成することができる。
【0052】
図3は、所定の低温水供給モード又は見込まれる量に基づいて加熱水の温度を調節する方法の一実施形態を示す。この方法は、S2201でエネルギーモード及び/又は加熱水使用モードを設定することによって開始される。モードは、ユーザーインターフェースを介して使用者によって、又は例えば平均的な使用に基づいて費用対効果の高いモードを決定するソフトウェア機能又は人工知能(AI)方法によって設定され得る。使用者がS2202で加熱水を受けるために水出口を作動し又は開けると、制御モジュールはS2203で例えば上述のように経過時間Tを決定する。S2204で、経過時間Tが所定の第3の閾値T3を超えていると制御モジュールが判定した場合、制御モジュールはS2206で水出口に供給される加熱水の温度を、使用者が水出口を開けたときに設定した第1の温度からより低い所定の第2の温度まで低下させるように水加熱システムを制御する。好ましくは、この温度の低下は、例えばシャワーを浴びている間に。例えばより高い温度に慣れてしまった使用者にショックを与えないように、急激な温度の低下ではなく、段階的な温度の低下である。段階的な低下の速度は、例えば5秒ごとに摂氏1度であり得る。
【0053】
S2204で、経過時間Tが第3の閾値T3を超えていないと制御モジュールが判定した場合、制御モジュールはS2205で、例えば水加熱システムからの水流に基づいて、水出口がまだ加熱水を供給しているか否かを判定する。水出口がまだ加熱水を供給していると判定した場合、方法はS2203に戻り、制御モジュールは引き続き経過時間Tを監視する。水出口がもはや加熱水を供給していないと判定された場合、方法は終了する。本実施形態では、第3の閾値T3及び第2の温度は、エネルギー収支及び/又は加熱水使用量収支に基づいて制御モジュールによって設定される。したがって、そうすることで、加熱水使用量を制御及び調節して、エネルギー消費を見込まれる量に抑えることができる。
【0054】
AI法又はアルゴリズム(例えば、図1のMLA120)は、好ましくは、使用者による水供給システムの過去の使用量に基づく訓練データによって訓練された後、第1及び第2の温度の値、ならびに時間の値を予測する。
【0055】
制御モジュール110は、上述し、図2のステップで示した機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされる。代替的に、制御モジュールは、上述した機能を実行するようにハードウェアロジックで組み込まれる。
【0056】
当業者に理解されるように、本技術は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。したがって、本技術は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態の形を取ることができる。
【0057】
また、本技術は、具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体で具現化されたコンピュータプログラム製品の形を取ることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又はそれらの任意の好適な組み合わせであり得る。
【0058】
本技術の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語及び従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述され得る。
【0059】
例えば、本技術の動作を実行するためのプログラムコードは、C又はアセンブリコードなどの従来のプログラミング言語(インタプリタ型又はコンパイラ型)のソースコード、オブジェクトコード又は実行可能コード、ASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)をセットアップ又は制御するためのコード、又はVerilog(登録商標)又はVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語用のコードを含むことができる。
【0060】
コードコンポーネントは、プロシージャ、メソッドなどとして具現化することができ、ネイティブ命令セットの直接機械命令から高レベルのコンパイラ型言語又はインタープリタ型言語構造まで、任意の抽象化レベルで命令又は命令のシーケンスの形態を取り得るサブコンポーネントを含むことができる。
【0061】
また、本技術の好ましい実施形態による論理的方法の全部又は一部は、方法のステップを実行するための論理素子を含む論理装置において適切に具現化することができ、このような論理素子は、例えばプログラマブル論理アレイ又は特定用途向け集積回路における論理ゲートなどの構成要素を含むことができることも、当業者には明らかであろう。このような論理構成はさらに、例えば、固定又は送信可能なキャリア媒体を用いて記憶及び送信され得る仮想ハードウェア記述子言語を用いて、このようなアレイ又は回路において一時的又は永久的に論理構造を確立するための可能化要素において具現化することができる。
【0062】
本明細書に記載された例及び条件を含む表現は、読者が本技術の原理を理解するのを助けることを目的としており、本技術の範囲をそのような具体的に記載された例及び条件に限定するものではない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載され又は示されていないが、それでもなお本技術の原理を具現化し、添付の特許請求の範囲によって定義される本技術の範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されるであろう。
【0063】
また、理解の助けとして、上記の説明は、本技術の比較的単純化された実施を説明している可能性がある。当業者が理解するように、本技術の様々な実装はより複雑であり得る。
【0064】
場合によっては、本技術の修正の有用な例と考えられるものも提示されている可能性がある。これは単に理解の助けとして行われたものであり、繰り返しになるが、本技術の範囲を限定したり、限界を示したりするものではない。これらの修正は網羅的なリストではなく、当業者であれば、本技術の範囲内にとどまりながら、他の修正を行うことができる。また、修正の例が示されていない場合、いかなる修正も可能ではないと、及び/又は記載されているものが本技術のその要素を実施する唯一の方法であると解釈すべきではない。
【0065】
さらに、本技術の原理、態様及び実施ならびにそれらの具体例を記載する本明細書のすべての記述は、それらが現在知られているか又は将来開発されるかにかかわらず、それらの構造的な同等物と機能的な同等物の両方を包含することを意図している。したがって、例えば、本明細書のすべてのブロック図が本技術の原理を具体化する例示的な回路の概念図を示すことが、当業者には理解されるであろう。同様に、すべてのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実質的に表現されかつ、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されるであろう。
【0066】
「プロセッサ」とラベル付けされたあらゆる機能ブロックを含む、図に示された様々な要素の機能は、専用のハードウェア及び適切なソフトウェアと共同してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は複数の個別のプロセッサ(その一部は共有され得る)によって提供され得る。また、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを保存するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性記憶装置を暗黙的に含み得るが、これらに限定されるものではない。従来及び/又はカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。
【0067】
ソフトウェアモジュール、又は単にソフトウェアであることが暗示されているモジュールは、本明細書では、プロセスステップの実行及び/又はテキスト記述を示すフローチャート要素又は他の要素の任意の組み合わせとして表され得る。このようなモジュールは、明示的又は暗黙的に示されているハードウェアによって実行することができる。
【0068】
本技術の範囲から逸脱することなく、前述の例示的な実施形態に対して多くの改良及び修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3