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▶ 稲見 昌之の特許一覧

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  • 特許-携帯型コインホルダーの構造 図1
  • 特許-携帯型コインホルダーの構造 図2
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  • 特許-携帯型コインホルダーの構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-10
(45)【発行日】2024-09-19
(54)【発明の名称】携帯型コインホルダーの構造
(51)【国際特許分類】
   A45C 1/02 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
A45C1/02 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023565521
(86)(22)【出願日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2023030531
(87)【国際公開番号】W WO2024053416
(87)【国際公開日】2024-03-14
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2022144207
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】719001440
【氏名又は名称】稲見 昌之
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(72)【発明者】
【氏名】稲見 昌之
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-090510(JP,U)
【文献】登録実用新案第3014064(JP,U)
【文献】特開2009-136689(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107232709(CN,A)
【文献】実公昭47-012351(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0245122(US,A1)
【文献】特開平08-010021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4種類のコインを種類別に収納し種類別に取出す携帯型コインホルダーにおいて、
コインホルダー本体の表側及び裏側にそれぞれ前記コインを収納する収納部があり、
前記コインホルダー本体の表側及び裏側にある収納部は前記コインホルダー本体の厚み方向にて略中間部分に配された仕切り板により仕切られていて、
前記コインホルダー本体の表側及び裏側には前記収納部を形成するための上下プレートがあり、
前記上下プレートを貫通して形成された操作用開口スペースがあり、
前記収納部を少なくとも3種類のコインに対して2箇所設け、同一種類のコインが収納されるべき2箇所設けられた収納部は前記コインホルダー本体の表側又は裏側の同一面側に配されていて、
前記操作用開口スペースは、前記収納部に前記コインを収納するコイン出入口の反対側に位置して外縁が閉じられた貫通孔であり、収納されている前記コインの中央から前記コイン出入口の反対側である前記コインの後方に亘って形成されていて、さらに対向する前記コイン出入口に対して隣り合う前記コインの中央が露出するように形成されていて、
前記操作用開口スペースから前記コイン出入口に対して反対側に位置する前記コインの後端が露出していて、
収納部数の増加により収納部1カ所当たりの収納枚数を減らし、
前記操作用開口スペースでコインを押出すことを特徴とする携帯型コインホルダー。
【請求項2】
前記収納部の少なくとも一方の側面には、Oリングが配設されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型コインホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は携帯型コインホルダーの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型コインホルダーは、一般的に流通するコインのうち少なくとも使用頻度の低いものを除く全種類のコインを種類別に保持し、また種類別に取出すことが出来る構造を持つ。
【0003】
通常携帯型コインホルダーはコインを種類別にそれぞれ全て重ねた状態で収納出来る複数のスペースを備える。出入口には内部にコインを保持しかつ容易に取出すことが出来るようにゴム、ばね等の弾性素材のストッパーを持つ、あるいは収納部の弾性変形により出入口がコインの出し入れに応じて拡大する等の構造を持つ。
【0004】
携帯型では全体サイズを小さく収めることが重要なので各種コインの収納部を出来るだけ隙間なく並べる(例えば特許文献1参照)。また、従来のコインホルダーの例を図1に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3215510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な携帯型コインホルダーでコインを収納部に入れる場合にはコイン端部を押し移動方向にのみ力を加えればよいが、取出すには移動方向に加える力とともに指でコインを保持する動作とそれに要する力も必要となる。具体的にはコイン両面を指ではさむ、つまんで引く、あるいは片面を強く押し指とコイン面の摩擦力でコインを保持しそのまま押出す、などの方法である。コインと指の摩擦力を利用する場合には指が乾いていると滑りやすくなるなど指の状態によって操作感覚は大きく変わる。こういった移動方向以外に要する動作や力は操作を複雑にして必要な操作力を大きくする。
【0007】
コインホルダーはコイン収納時コインが収納部から容易に出ない保持力を有し、かつコインの出し入れは容易であることが求められるが、携帯型コインホルダーに用いられるゴムやバネを使用する簡便な方法では保持力を大きくするほどコイン出し入れに要する力も大きくなるという相反する面がある。複雑な動作にともなう操作力の増大はこの両立を難しくする。
【0008】
図1の構造ではコイン収納部が種類別に各1箇所ずつであり、ケース構造上の制約から最大枚数を収納した場合の各種コインの総厚は同程度とする必要がある。このため使用頻度を基準に収納枚数を決めることが出来ず使用頻度が小さいコインも多く保持することになり全体サイズ増大につながる。たとえば日本であれば5,50,500円玉の使用頻度は1、10、100円玉に比べて小さい。また収納枚数決定に際してはコイン厚が種類毎に異なることも考慮する必要があり、米国であれば5セント貨厚の1.95mmに対し10セント貨厚は1.35mmと薄い。
【0009】
既存のコインホルダーのように1種類のコインを1箇所にすべて重ねると厚くなり収納部もそれに応じて厚み方向に深くなる。収納部が深くなるとコインが1枚残る場合など収納コインが少ない場合に最大傾斜角が大きくなる(収納部内でコインが傾く角度が大きくなる)ことでコインの実質有効幅(平面視におけるコインの幅)の変動も大きくなる。このようにコインが収納部から抜出てしまう場合も考慮する必要がある為、収納部が深くなるとケースやストッパーの設計が浅い場合に比べて難しくなる。
【0010】
既存のコインホルダーでは通常図1のようにコイン1種類毎に個別のストッパーが必要で構造が複雑である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明では、図2図3に示す様に収納部1にコインを収納あるいは取り出すためのコイン出入口2の反対側に操作用開口スペース4を設けコイン取出時にこの操作用開口スペース4からコインを押出すことで、コインをつまむ、はさむ、指との摩擦によってコインを保持する、といった動作や力を不要とする、あるいは軽減する。本発明に係る携帯型コインホルダーはコインホルダー本体9とその厚み方向でコインホルダー本体9の表裏面を覆う上下プレート5を有する。操作用開口スペース4はこの上下プレート5を貫通する貫通孔にて形成されている。操作用開口スペース4からコインを押し出すために、収納部1に収納されているコインのコイン出入口2とは反対側の端部が露出していることが好ましい。
【0012】
さらにコインホルダー本体9の表裏に別の収納部を設け収納部数を約2倍(コインホルダー本体9の厚み方向における収納部の数)にして収納部1箇所あたりの収納枚数を約半分に減らすことで各収納部の深さを浅くすると同時に全体の厚さ増加を防ぐ。コインホルダー本体9の表側及び裏側にある収納部はコインホルダー本体9の厚み方向にて略中間部分に配された仕切り板8により仕切られている。すなわち、コイン収納部1は、仕切り板8と、この仕切り板8と間隔を存して配されている上下プレート5の間に形成されている。収納部を浅くすることで押出し操作スペースに指を奥深くまで入れる必要がなくなる。また収納部が浅くなることで収納部内でのコイン傾斜がより限定されコイン実質有効幅の変動が小さくなりストッパーなどの設計が容易になる。
【0013】
携帯型コインホルダーでは収納部内でコインがガタつき音が発生するのを防止する必要がある。図2図3にОリング7を利用してコインの動きを抑える構造を示す。Оリング7は本体部(仕切り板8)及び上下プレート5の穴に挿通されることによりその位置を拘束される。本構造によりОリング7の形状(Oリング7の内径形状)に沿って収納部1にコインが収まりやすくなる。また1個のОリング7を複数収納部のストッパーとして共用出来る。すなわち、収納部1の少なくとも一方の側面には、コインホルダー本体9の厚み方向に対して縦となるようにOリング7が配設されている。
【0014】
図2図3では上下プレート5に設けられた上下プレート固定穴6を使い、プッシュリベット等で上下プレート5をコインホルダー本体9に固定する構造を示す。
【0015】
約2倍となる収納部をコイン種類毎の使用頻度を考慮して適切に割振る。収納部1箇所あたりの収納枚数は2~4枚程度が妥当と考えられる。これによりコインレイアウトは図2図3のようになる。
【発明の効果】
【0016】
収納部深さを浅くしコイン取出しを押出し式にすることで操作が容易になる。つまり、収納部1にコインが収納されている状態で、操作用開口スペース4から指を入れ込み、コインをコイン出入口2側に押し出せば、簡単にコインを取り出すことができる。このとき収納部1の深さは浅いため、操作性は向上している。
【0017】
1個のОリングを複数収納部のストッパーとして共用出来るので構造を単純にすることが出来る。
【0018】
コイン種類毎の使用頻度を考慮して収納枚数を決められるのでよりコンパクトなコインホルダーの設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既存コインホルダー例
図2】日本国コインレイアウト
図3】米国コインレイアウト
図4】500円玉除外レイアウト検討例
【発明を実施するための形態】
【0020】
本体構造はプラスチック射出成型で、上下プレートは薄板金属板金等で製作が可能である。
【0021】
表裏のコインレイアウトは2×2のような複数列ではなく1×4のように1列とすることも出来る。
【実施例
【0022】
現時点の日本においては、1、5、10、50、100、500円玉の6種類のコインが対象となる。1、10,100円玉は使用頻度が高い一方、5,50,500円玉は使用頻度が低い。
【0023】
500円玉はサイズが最大でコインホルダー全体のサイズを小さくする設計の障害となる。また使用頻度もさほど高くなく1,2枚あった場合に単体でポケットに入れたとしても他の小さなコインより大きく動きにくくコイン同士が当たる音を発しにくいため、500円玉をコインホルダーの設計対象から除く。
【0024】
500円玉を除くと対象コインは5種類となり単純に並べると図1のレイアウトは図4のようになる。このように5種類のコイン収納部を単純に2+3で配置すると2×2の場合と比べて1種類が突出し収まりが悪いので図2のように片側の収納部を2×2の4箇所とし、表裏合計で8箇所とする。この8箇所の収納部に5種類のコインを収納する。
【0025】
8箇所の収納部はコインの種類毎の使用頻度を考慮して適切に割振る。1,10,100円玉は2箇所ずつ、5、50円玉は1箇所ずつとする。収納部1箇所あたりの収納枚数は2~4枚が妥当と考えられる。これによりコインレイアウトは図2の通りとなる。
【0026】
上記例では500円玉を収納対象から除外しているが、500円玉単独の小型専用ホルダーをチェーンやひもでつないで使うことも考えられる。この方法ではコインホルダー本体を大きくせず500円玉も収納出来る。収納しきれなかったコイン用に別の小銭入れをつないでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
既存のコインホルダー同様に一般向けに販売出来る。ノベルティ等にも活用出来る。
【0028】
コインホルダーはコンパクトになるほど利便性が高まるので、本願発明のコインホルダーは広く利用される可能性が高い。
【符号の説明】
【0029】
1 コイン収納部
2 コイン出入口
3 ストッパー
4 操作用開口スペース
5 上下プレート
6 上下プレート固定穴
7 Оリング
8 仕切り板
9 コインホルダー本体
図1
図2
図3
図4