IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工冷熱株式会社の特許一覧

特許7554386水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法
<>
  • 特許-水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法 図1
  • 特許-水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法 図2
  • 特許-水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20240912BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20240912BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240912BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20240912BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F17C9/02
C01B3/00 Z
F17C13/00 302D
F25B27/00 Q
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022101415
(22)【出願日】2022-06-23
(65)【公開番号】P2024002308
(43)【公開日】2024-01-11
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】久慈 太郎
(72)【発明者】
【氏名】根塚 美沙
(72)【発明者】
【氏名】佐藤晋一郎
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110939861(CN,A)
【文献】特開2017-190829(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173136(WO,A1)
【文献】特開2015-158225(JP,A)
【文献】特開2019-052712(JP,A)
【文献】特開2017-067274(JP,A)
【文献】特開2021-021433(JP,A)
【文献】特開昭51-031674(JP,A)
【文献】特開昭50-142465(JP,A)
【文献】特開2014-111984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00 - 13/12
C01B 3/00
F25B 27/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で窒素ガスを循環させる窒素ガス用循環ダクトを有し、
該窒素ガス用循環ダクトは、窒素ガスを循環させるファンと、液体水素と窒素ガスとの間で熱交換する水素蒸発器と、窒素ガスとブラインとの間で熱交換する熱交換器とを、この順に有し、
該水素蒸発器において、冷却された窒素ガスは、該熱交換器において、ブラインを冷却する一方、液体水素が蒸発した水素ガスは、該熱交換器に送られることなしに燃料として利用され、
さらに、ブラインを貯留するブラインタンクと、
前記熱交換器から該ブラインタンクへ冷却されたブラインを供給するブライン往路と、
前記ブラインタンクから前記熱交換器へブラインを供給するブライン復路と、
前記ブラインタンクから冷却されたブラインを冷凍冷蔵設備に供給するブライン供給路とを
有することを特徴とする、水素用蒸発器ユニット。
【請求項2】
ブラインは、エチレングリコールまたはプロピレングリコール主成分のアルコール溶液である、請求項1に記載の水素用蒸発器ユニット。
【請求項3】
ブラインタンクは、前記熱交換器の下方に配置される、請求項1に記載の水素用蒸発器ユニット。
【請求項4】
ブラインタンクには、貯留されるブラインの温度センサーがさらに設けられ、ブライン温度が所定温度以下のときに、該ブライン供給路により該ブラインタンクからブラインを供給する、請求項1に記載の水素用蒸発器ユニット。
【請求項5】
前記熱交換器において、―40℃ないし―50℃の窒素ガスが、―30℃ないし―40℃の窒素ガスに加熱される一方、―35℃ないし―25℃のブラインが、―45℃ないし―35℃のブラインに冷却される、請求項3または4に記載の水素用蒸発器ユニット。
【請求項6】
液体水素を貯槽する液体水素貯槽と、
水素用蒸発器ユニットと、
水素ガスを蓄圧する蓄圧ユニットと、
所定高圧水素ガスディスペンサーと、を有し、
液体水素貯槽と、水素用蒸発器ユニットと、蓄圧ユニットと、所定高圧水素ガスディスペンサーと、この順に互いに連絡する水素用管路と有し、
該水素用管路には、液体水素を液送する液送ポンプが設けられ、
前記水素用蒸発器ユニットは、
ユニット内部で窒素ガスを循環させる窒素ガス用循環ダクトを有し、
該窒素ガス用循環ダクトは、窒素ガスを循環させるファンと、液体水素と窒素ガスとの間で熱交換する水素蒸発器と、窒素ガスとブラインとの間で熱交換する熱交換器とを、この順に有し、
該水素蒸発器において、冷却された窒素ガスは、該熱交換器において、ブラインを冷却する一方、液体水素が蒸発した水素ガスは、該熱交換器に送られることなしに燃料として利用され、
さらに、ブラインを貯留するブラインタンクと、
前記熱交換器から該ブラインタンクへ冷却されたブラインを供給するブライン往路と、
前記ブラインタンクから前記熱交換器へブラインを供給するブライン復路と、
前記ブラインタンクから冷却されたブラインを冷凍冷蔵設備に供給するブライン供給路とを有することを特徴とする、水素ステーションシステム。
【請求項7】
窒素ガスを循環させつつ、液体水素を加熱気化し、水素ガスを再度冷却することなしに燃料として利用する一方、冷却された窒素ガスを下流に流す窒素ガス―液体水素間の熱交換段階と、
冷却された窒素ガスにより、ブラインを冷却する一方、加熱される窒素ガスを循環させる窒素ガス―ブライン間の熱交換段階と、
冷却されたブラインを冷却用途に用いる供給先に送りつつ、供給先で加熱されたブラインを窒素ガス―ブライン間の熱交換箇所に戻す段階と、を有することを特徴とする、液体水素のガス化の際の熱交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法に関し、より詳細には、液体水素加熱用媒体を繰り返し利用するとともに、液体水素加熱済媒体による排熱を有効に活用することが可能な水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、燃料電池車(FCV)の登場に伴い、燃料電池車にとっての燃料である水素を供給する水素ステーションが全国的に普及されつつある。
水素ステーションは、たとえば、特許文献1に開示されるように、液体水素貯槽からの液体水素を蒸発器において外気と熱交換することにより、液体水素を加熱してガス化し、ガス化した水素ガスを蓄圧したうえで、所定高圧水素ガスディスペンサーにより、燃料電池車(FCV)に供給するように構成されている。
しかしながら、このような水素ステーションにおいては、従来の液体水素を加熱することにより、冷却される外気は、単に大気に放出しており、活用されていないのが現状である。
そもそも、燃料電池車は、ガソリン車に比して、無尽蔵な水素を燃料とする点、つまり、エネルギー確保の観点から推進されているが、水素ガスを供給する水素ステーションにおいて、このようなエネルギーの無駄が生じるのは、本末転倒である。

【文献】特開2020-91016号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、液体水素加熱用媒体を繰り返し利用するとともに、液体水素加熱済媒体による排熱を有効に活用することが可能な水素用蒸発器ユニットおよび水素ステーションシステム、並びに液体水素のガス化の際の熱交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を達成するために、本発明の水素用蒸発器ユニットは、
内部で窒素ガスを循環させる窒素ガス用循環ダクトを有し、
該窒素ガス用循環ダクトは、窒素ガスを循環させるファンと、液体水素と窒素ガスとの間で熱交換する水素蒸発器と、窒素ガスとブラインとの間で熱交換する熱交換器とを、この順に有し、
該水素蒸発器において、冷却された窒素ガスは、該熱交換器において、ブラインを冷却し、
さらに、ブラインを貯留するブラインタンクと、
前記熱交換器から該ブラインタンクへ冷却されたブラインを供給するブライン往路と、
前記ブラインタンクから前記熱交換器へブラインを供給するブライン復路と、
前記ブラインタンクから冷却されたブラインを冷凍冷蔵設備に供給するブライン供給路とを
さらに有する、構成としている。
【0005】
以上の構成を有する水素用蒸発器ユニットによれば、水素蒸発器において、窒素ガス用循環ダクト内を循環する窒素ガスにより、液体水素を加熱蒸発させ、水素ガスとし、燃料自動車等に供給される一方、冷却された窒素ガスは、水素蒸発器の下流側に配置された熱交換器において、ブラインタンクからブライン復路を介して供給されたブラインと熱交換し、ブラインを冷却し、ブライン往路を介してブラインタンクに戻され、ブライン供給路を通じて、ブラインタンクから冷却されたブラインを冷凍冷蔵設備に供給するようにしており、液体水素加熱用媒体を繰り返し利用するとともに、液体水素加熱済媒体による排熱を有効に活用することが可能である。
【0006】
また、ブラインは、エチレングリコールまたはプロピレングリコール主成分のアルコール溶液であるのがよい。
さらに、ブラインタンクは、前記熱交換器の下方に配置されるのがよい。
さらにまた、ブラインタンクには、貯留されるブラインの温度センサーがさらに設けられ、ブライン温度が所定温度以下のときに、該ブライン供給路により該ブラインタンクからブラインを供給するのがよい。
加えて、前記熱交換器において、―40℃ないし―50℃の窒素ガスが、―30℃ないし―40℃の窒素ガスに加熱される一方、―35℃ないし―25℃のブラインが、―45℃ないし―35℃のブラインに冷却されるのがよい。
【0007】
上記課題を達成するために、本発明の水素ステーションシステムは、
液体水素を貯槽する液体水素貯槽と、
水素用蒸発器ユニットと、
水素ガスを蓄圧する蓄圧ユニットと、
所定高圧水素ガスディスペンサーと、を有し、
液体水素貯槽と、水素用蒸発器ユニットと、蓄圧ユニットと、所定高圧水素ガスディスペンサーと、この順に互いに連絡する水素用管路と有し、
該水素用管路には、液体水素を液送する液送ポンプが設けられる、構成としている。
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の液体水素のガス化の際の熱交換方法は、
窒素ガスを循環させつつ、液体水素を加熱気化し、水素ガスとする一方、冷却された窒素ガスを下流に流す窒素ガス―液体水素間の熱交換段階と、
冷却された窒素ガスにより、ブラインを冷却する一方、加熱される窒素ガスを循環させる窒素ガス―ブライン間の熱交換段階と、
冷却されたブラインを冷却用途に用いる供給先に送りつつ、供給先で加熱されたブラインを窒素ガス―ブライン間の熱交換箇所に戻す段階と、を有する構成としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る水素用蒸発器ユニットを具備する水素ステーションシステム、および液体水素のガス化の際の熱交換方法の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における水素ステーションシステム100は、液体水素を貯槽する液体水素貯槽30と、水素用蒸発器ユニット10と、水素ガスを蓄圧する蓄圧ユニット34と、所定高圧水素ガスディスペンサー32と、を有する。
【0010】
液体水素貯槽30は、圧送式のタンクであり、断熱真空層(図示せず)と、低温流体貯蔵槽(図示せず)とを備えている。 断熱真空槽は、その内部が真空とされ、かつその内面に、例えば、銅板等の輻射シールド板(図示せず)が貼られた容器であり、この断熱真空槽の内部には、低温流体貯蔵槽が収容されるようになっている。 低温流体貯蔵層は、その内部に低温(例えば、20.3K)の液体水素(液状の水素)を貯蔵するものである。低温流体貯蔵層の内部に貯蔵された液体水素は、低温流体貯蔵層の内部圧力により水素供給ライン内に押し出されるようになっている。液体水素貯槽30には、図示しない液面計が取り付けられており、作業者が液体水素の残量を一目で把握できるようになっている。
【0011】
水素(水素ガス)を昇圧する圧縮機と、圧縮機で昇圧された水素を蓄圧器ユニット34に貯蔵可能としており、蓄圧器 ユニット34に貯蔵された水素ガスを、水素ガスディスペンサー32を介して、例えば燃料電池自動車(FCV)などの車両Vに搭載された水素燃料タンクTに充填するようにしている。
【0012】
蓄圧器ユニット34は、蓄圧器ユニット34に水素が流入する入口部と、蓄圧器ユニット34から水素が流出する出口部と、を有し、蓄圧器ユニットの入口部には、連結管の一端が接続され、連結管には、その途中に圧縮機が設けられている。
【0013】
蓄圧器自体は、円筒状の高圧水素容器であり、アルミニウムや樹脂などの内容器に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を巻き付けて形成される複合圧力容器であるか、又は、鋼製の圧力容器が好ましい。
【0014】
蓄圧器の水素の充填口と放出口を兼ねる出入口部には、専用の弁機構(例えば、電磁弁)及び圧力検知部が設けられており、出入口部に設けられた専用の弁機構および逆止弁を介して、蓄圧器ユニット34の入口部に接続されている。一方、蓄圧器は、出入口部に設けられた専用の弁機構及び逆止弁を介して、蓄圧器ユニット34の出口部に接続されている。なお、逆止弁は入口部側へ水素が流れること防止するものであり、逆止弁は出口部側から水素が流れること防止する。
【0015】
これにより、蓄圧器ユニットでは、弁機構を選択的に開くと、圧縮機で昇圧された水素が蓄圧器に充填され、一方、開弁した弁機構を閉じると所定の蓄圧器への水素の充填が停止される。
【0016】
水素ガスディスペンサー32は、水素燃料タンクに水素を充填することができる装置であり、具体的には、蓄圧器から放出された水素を水素燃料タンクTに充填する。水素ガスディスペンサー32には、車両Vから燃料タンクTに関する情報(圧力センサーにより測定された内圧(残圧)Pf 、予め設定された最高使用圧力など)が入力されるようになっている。本実施形態において、水素燃料タンクTは、例えば70MPaの水素を充填可能に構成されている。
【0017】
図示しない制御装置には、圧力検知部によって検知された蓄圧器の内圧(残圧)や水素ガスディスペンサー32に入力された燃料タンクTに関する情報(内圧P f 、最高使 用圧力など)を含む各種情報が入力され、入力された各種情報やオペレータによる動作指令などに基づいて、圧縮機及び弁機構などを適宜制御するようにしている。
【0018】
水素ステーション100では、燃料タンクTに水素ガスを充填するようにしているが、液体水素燃料電池車に液体水素を直接供給する水素ステーションにも適用可能である。このような水素ステーションは、通常、液体水素貯蔵タンクを有 しているので、燃料電池スタック が液体水素貯蔵タンク内において気化して液体水素貯蔵タンクから放出される水 素ガスを燃料に用いて発電するようにするのでもよい。
【0019】
さらに、水素ステーション100は、液体水素貯槽30と、水素用蒸発器ユニット10と、蓄圧ユニット32と、所定高圧水素ガスディスペンサー32と、この順に互いに連絡する水素用管路36と有し、水素用管路36には、液体水素を液送する液送ポンプ38が設けられる。
【0020】
図2に示すように、水素用蒸発器ユニット10は、内部で窒素ガスを循環させる窒素ガス用循環ダクト12を有し、窒素ガス用循環ダクト12は、窒素ガスを循環させるファン14と、液体水素と窒素ガスとの間で熱交換する水素蒸発器16と、窒素ガスとブラインとの間で熱交換する熱交換器18とを、この順に有する。
水素蒸発器16において、冷却された窒素ガスは、熱交換器18において、ブラインを冷却する一方、窒素ガスは、加熱される。
熱交換器18は、窒素ガス(気体)とブライン(液体)との間で熱交換を行う通常の熱交換器である。
たとえば、熱交換器18において、―40℃ないし―50℃の窒素ガスが、―30℃ないし―40℃の窒素ガスに加熱される一方、―35℃ないし―25℃のブラインが、―45℃ないし―35℃のブラインに冷却される。
【0021】
さらに、水素用蒸発器ユニット10は、ブラインを貯留するブラインタンク20と、熱交換器18からブラインタンク20へ冷却されたブラインを供給するブライン往路22と、ブラインタンク20から熱交換器18へブラインを供給するブライン復路24と、ブラインタンク20から冷却されたブラインを冷凍冷蔵設備に供給するブライン供給路26と、冷凍冷蔵設備から使用済のブラインをブラインタンク20へ戻す戻し管25とをさらに有する。
【0022】
ブラインは、エチレングリコールまたはプロピレングリコール主成分のアルコール溶液であるのが好ましい。
ブラインタンク20は、熱交換器18の下方に配置されるのがよい。
ブラインタンク20には、貯留されるブラインの温度センサー(図示せず)がさらに設けられ、ブライン温度が所定温度以下のときに、ブライン供給路26によりブラインタンク20からブラインを供給する。所定温度は、ブラインタンク20から冷却されたブラインがブライン供給路26を介して供給される先の用途に応じて、設定すればよい。
【0023】
なお、液体水素貯蔵タンク30の外部からの自然入熱などにより気化するガス(BOG)をBOG取り出し管39を介して加温器40により加熱するとともに、蓄圧器の外部からの自然入熱などにより気化するガス(BOG)を圧縮機44を介して、BOG回収タンク42に貯蔵し、ベントスタック46より適宜放出するようにしている。
【0024】
以上の構成を有する水素用蒸発器ユニット10によれば、液体水素のガス化の際の熱交換方法として、窒素ガスを循環させつつ、液体水素を加熱気化し、水素ガスとする一方、冷却された窒素ガスを下流に流す窒素ガス―液体水素間の熱交換段階と、冷却された窒素ガスにより、ブラインを冷却する一方、加熱される窒素ガスを循環させる窒素ガス―ブライン間の熱交換段階と、冷却されたブラインを冷却用途に用いる供給先に送りつつ、供給先で加熱されたブラインを窒素ガス―ブライン間の熱交換箇所に戻す段階と、を有することが可能であり、水素蒸発器16において、窒素ガス用循環ダクト内を循環する窒素ガスにより、液体水素を加熱蒸発させ、水素ガスとし、燃料自動車等に供給される一方、冷却された窒素ガスは、水素蒸発器16の下流側に配置された熱交換器18において、ブラインタンク20からブライン復路24を介して供給されたブラインと熱交換し、ブラインを冷却し、ブライン往路22を介してブラインタンク20に戻され、ブライン供給路を通じて、ブラインタンク20から冷却されたブラインを冷凍冷蔵設備に供給するようにしており、液体水素加熱用媒体を繰り返し利用するとともに、液体水素加熱済媒体による排熱を有効に活用することが可能である。
【0025】
以下に、本発明の第2実施形態について、図3を参照しながら説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本発明の第2実施形態の特徴は、水素ステーションの水素蒸発器ユニットにあり、第1実施形態においては、窒素ガスによりブラインを冷却し、冷却したブラインを冷凍冷蔵設備に利用していたが、本実施形態においては、窒素ガスによりCOガスを冷却し、冷却したCOを冷凍冷蔵設備に利用する点にある。
【0026】
より詳細には、図3に示すように、ブラインと異なり、第1実施形態における温度領域においては、COは、液相―気相間で相変化するところ、第1実施形態におけるブラインタンク20の代替として、COレシーバー54と、CO/NH3冷凍機60とを設け、ブライン往路22、ブライン復路24、ブライン戻し管25、ブライン供給管26および液送ポンプ29それぞれが、COガス供給管50、CO液戻り管52、COガス戻り管62およびCO液供給管56、およびCO液送ポンプ58に相当する。
CO/NH3冷凍機60は、COレシーバー54の液面上方のCOガスをCOガス供給管64を介して送り、蒸発器(図示せず)においてNH3冷媒により冷却し、CO液戻り管66を介して戻すようにしている。
【0027】
以上、本発明の第1実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、水素ステーションは燃料電池車に搭載された燃料タンクTに水素を充填するとして説明したが、それに限定されることなく、である限り、水素ステーションは、燃料電池車だけではなく、水素を燃料と する水素燃料車(レシプロエンジン車やロータリエンジン車などを含む)に搭載された燃料タンクTに水素を充填してもよい。
たとえば、本実施形態において、冷凍冷蔵設備に利用するものとして説明したが、それに限定されることなく、液体水素加熱用媒体を繰り返し利用するとともに、液体水素加熱済媒体による排熱を有効に活用することが可能であるである限り、冷却されたブラインの供給先は、任意に選定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る水素ステーションの全体概略図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る第1実施形態に係る水素ステーションの水素蒸発器ユニット10の全体概略図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る第1実施形態に係る水素ステーションの水素蒸発器ユニット10の、図2と同様な全体概略図である。
【符号の説明】
【0029】
CS 冷凍冷蔵設備
T 燃料タンク
100 水素ステーションシステム
10 水素用蒸発器ユニット
12 窒素ガス用循環ダクト
14 ファン
16 水素蒸発器
18 熱交換器
20 ブラインタンク
22 ブライン往路
24 ブライン復路
25 ブライン戻し管
26 ブライン供給管
28 温度センサー
30 液体水素貯槽
32 水素ガスディスペンサー
34 蓄圧ユニット
36 水素用管路
38 液送ポンプ
39 BOG取り出し管
40 加温器
42 BOG回収タンク
44 BOG圧縮機
46 ベントスタック
50 COガス供給管
52 CO液戻り管
54 COレシーバー
56 CO液供給管
58 CO液送ポンプ
60 CO/NH3冷凍機
62 COガス戻り管
図1
図2
図3