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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】充放電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240912BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240912BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J7/00 L
H02M3/00 H
H02J7/34 G
H02J9/06 110
B60R16/02 645A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021037648
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137921
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 恭兵
(72)【発明者】
【氏名】村松 宏基
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-278564(JP,A)
【文献】特開2020-018044(JP,A)
【文献】特開2017-127112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0013175(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0064274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02M 3/00
H02J 7/34
H02J 9/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、蓄電部と、前記電源部に基づく電力を負荷に供給する経路である第1電力路と、前記蓄電部に基づく電力を前記負荷に供給する経路である第2電力路と、を備えた電源システムにおいて充放電を制御する充放電制御装置であって、
前記電源部に基づく電力が伝送される経路である第1導電路と、
前記第2電力路と前記第1導電路との間に介在する第2導電路と、
前記蓄電部に電気的に接続される第3導電路と、
前記第2導電路と前記第3導電路との間で電圧変換を行う電圧変換部と、
前記第1導電路と前記第2導電路との間に設けられ、前記第1導電路から前記第2導電路へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第1スイッチと、
前記第2導電路と前記第2電力路との間に設けられ、前記第2導電路から前記第2電力路へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第2スイッチと、
前記第1導電路を介して供給される電力に基づいて前記電圧変換部とは異なる経路を介して前記蓄電部に電力を供給する供給状態と、前記蓄電部への電力供給を停止する停止状態とに切り替わる補充電部と
制御部と、を有し、
前記制御部は、第1制御と、第2制御と、第3制御と、を行い、
前記第1制御は、前記第1スイッチをオン状態としつつ前記電圧変換部に対し前記第2導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第3導電路に印加する動作を行わせる制御であり、
前記第2制御は、前記第1スイッチをオフ状態とし、前記第2スイッチをオン状態とし、前記補充電部を前記停止状態とし、前記電圧変換部に対し前記第3導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第2導電路に印加する動作を行わせる制御であり、
前記第3制御は、前記第1スイッチをオフ状態とし、前記第2スイッチをオン状態とし、前記補充電部を前記供給状態とし、前記電圧変換部に対し前記第3導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第2導電路に印加する変換動作を行わせる制御である
充放電制御装置。
【請求項2】
前記電源システムは、前記第1電力路の電圧が前記第2電力路の電圧よりも低い所定の電圧低下状態となった場合に前記第2電力路を介して前記負荷に電力が供給され、前記所定の電圧低下状態でない正常状態である場合に前記第2電力路を介した前記負荷への電力供給は遮断され、
前記制御部は、前記第2制御を行う場合、前記正常状態となる出力電圧を前記第2導電路に印加するように前記電圧変換部に前記変換動作を行わせ、前記第2制御を行っている状態で所定条件が成立した場合に前記第3制御に切り替える
請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記蓄電部が前記第3導電路に印加する出力電圧が閾値以下に達することである
請求項2に記載の充放電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充放電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用電子制御ブレーキ電源システムが開示される。特許文献1に開示されるシステムにおいて、バックアップ電源は、第一のキャパシタと第二のキャパシタとを備える。第一のキャパシタは、車両のイグニションスイッチがオンされた場合に、オルタネータにより充電される。第二のキャパシタは、車両のイグニションスイッチがオフされた場合に、第一のキャパシタと並列に接続されて、第一のキャパシタに蓄積された電荷の一部を受領して充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-234489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両などに搭載される電源システムは、電源部(メインバッテリ等)から負荷へ電力が供給されなくなった電源失陥時に、上記電源部とは異なる蓄電部の電力を利用してバックアップ動作を行う。この種の電源システムがバックアップ動作を行う場合、蓄電部からの電力に基づいて電圧変換部(DCDCコンバータ等)に入力される電圧を、電圧変換部が所望の出力電圧に変換し、負荷に向けて電力を供給する。
【0005】
しかし、この種の電源システムでは、電源失陥が生じてから電圧変換部を立ち上げると、電圧変換部が正常に動作して適正な電圧を出力するまでにある程度の時間を要するため、負荷に電力が供給されない期間が生じる懸念がある。従って、電圧変換部をできるだけ早期に立ち上げることができ、且つ電圧変換部の動作をできるだけ継続可能な構成が望まれる。しかし、その一方で、この種の電源システムでは、バックアップ動作に用いられる蓄電部に対し所望の時期に充電を行うことも求められる。但し、蓄電部の充電を行うために電圧変換部の動作を停止させることが必須であると、電圧変換部の動作停止時に上記電源失陥が生じた場合に、負荷に電力が供給されない期間が生じてしまう。
【0006】
本開示は、電源部に関連する電源失陥が生じた場合に負荷に電力が供給されない期間が生じることを抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つである充放電制御装置は、
電源部と、蓄電部と、前記電源部に基づく電力を負荷に供給する経路である第1電力路と、前記蓄電部に基づく電力を前記負荷に供給する経路である第2電力路と、を備えた電源システムにおいて充放電を制御する充放電制御装置であって、
前記電源部に基づく電力が伝送される経路である第1導電路と、
前記第2電力路と前記第1導電路との間に介在する第2導電路と、
前記蓄電部に電気的に接続される第3導電路と、
前記第2導電路と前記第3導電路との間で電圧変換を行う電圧変換部と、
前記第1導電路と前記第2導電路との間に設けられ、前記第1導電路から前記第2導電路へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第1スイッチと、
前記第2導電路と前記第2電力路との間に設けられ、前記第2導電路から前記第2電力路へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第2スイッチと、
前記第1導電路を介して供給される電力に基づいて前記電圧変換部とは異なる経路を介して前記蓄電部に電力を供給する供給状態と、前記蓄電部への電力供給を停止する停止状態とに切り替わる補充電部と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術は、電源部に関連する電源失陥が生じた場合に負荷に電力が供給されない期間が生じることを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の充放電制御装置を含む車載システムの一例を概略的に示す回路図である。
図2図2は、図1の車載システムにおいて、第1実施形態の充放電制御装置が蓄電部の充電を行う場合の制御(第1制御)を説明する説明図である。
図3図3は、図1の車載システムにおいて、第1実施形態の充放電制御装置がバックアップの準備を行う場合の制御(第2制御)を説明する説明図である。
図4図4は、図1の車載システムにおいて、第2制御中に電源部からの電力供給が途絶える電源失陥が生じた場合について説明する説明図である。
図5図5は、図1の車載システムにおいて、第1実施形態の充放電制御装置がバックアップの準備を行いつつ蓄電部を充電する場合の制御(第3制御)を説明する説明図である。
図6図6は、図1の車載システムにおいて、第3制御中に電源部からの電力供給が途絶える電源失陥が生じた場合について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示に係る実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔4〕の特徴は、矛盾しない組み合わせでどのように組み合わされてもよい。
【0011】
〔1〕電源部と、蓄電部と、前記電源部に基づく電力を負荷に供給する経路である第1電力路と、前記蓄電部に基づく電力を前記負荷に供給する経路である第2電力路と、を備えた電源システムにおいて充放電を制御する充放電制御装置であって、
前記電源部に基づく電力が伝送される経路である第1導電路と、
前記第2電力路と前記第1導電路との間に介在する第2導電路と、
前記蓄電部に電気的に接続される第3導電路と、
前記第2導電路と前記第3導電路との間で電圧変換を行う電圧変換部と、
前記第1導電路と前記第2導電路との間に設けられ、前記第1導電路から前記第2導電路へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第1スイッチと、
前記第2導電路と前記第2電力路との間に設けられ、前記第2導電路から前記第2電力路へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第2スイッチと、
前記第1導電路を介して供給される電力に基づいて前記電圧変換部とは異なる経路を介して前記蓄電部に電力を供給する供給状態と、前記蓄電部への電力供給を停止する停止状態とに切り替わる補充電部と、
を有する充放電制御装置。
【0012】
上記〔1〕に記載の充放電制御装置は、第1スイッチをオフ状態とし、第2スイッチをオン状態とし、電圧変換部が、第2導電路に出力電圧を印加するように電圧変換を行うことで、バックアップ動作の準備をすることができる。この充放電制御装置は、電源部から第1電力路を介して供給される電力が途絶えるような電源失陥の前からバックアップ動作の準備がなされていれば、上記電源失陥が生じた直後でも負荷に対する電力の供給を即座に継続することができる。しかも、この充放電制御装置は、バックアップ動作の準備をしつつ、補充電部によって蓄電部の充電を行うこともできる。つまり、この充放電制御装置は、蓄電部の充電の際に、バックアップ動作の準備を中断するような事態を生じにくくすることができ、準備中断時に電源失陥が発生することに起因してバックアップ動作が遅れるような事態を防ぎやすい。このように、上記〔1〕の充放電制御装置は、電源部に関連する電源失陥が生じた場合に負荷に電力が供給されない期間が生じることを抑制するという面で、極めて有利な構成である。
【0013】
〔2〕上記〔1〕に記載の充放電制御装置において、以下の特徴を有する。〔2〕の充放電制御装置は、制御部を有する。上記制御部は、第1制御と、第2制御と、第3制御と、を行う。上記第1制御は、上記第1スイッチをオン状態としつつ上記電圧変換部に対し上記第2導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して上記第3導電路に印加する動作を行わせる制御である。上記第2制御は、上記第1スイッチをオフ状態とし、上記第2スイッチをオン状態とし、上記補充電部を上記停止状態とし、上記電圧変換部に対し上記第3導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して上記第2導電路に印加する動作を行わせる制御である。上記第3制御は、上記第1スイッチをオフ状態とし、上記第2スイッチをオン状態とし、上記補充電部を上記供給状態とし、上記電圧変換部に対し上記第3導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して上記第2導電路に印加する変換動作を行わせる制御である。
【0014】
上記〔2〕に記載の充放電制御装置は、制御部が第1制御を行うことで電圧変換部を利用して蓄電部を充電することができ、制御部が第2制御を行うことで電圧変換部を利用して蓄電部の放電を行うことができる。つまり、〔2〕の充放電制御装置は、電圧変換部を利用した蓄電部の充放電を第1制御と第2制御とによって切り替えることができる。更に、〔2〕の充放電制御装置は、第2制御中(即ち、電圧変換部を利用して第2電力路に電圧を印加する動作を行っている最中)に蓄電部を充電すべき事態が生じた場合には、第2制御から第3制御に切り替えることもできる。この場合、上記充放電制御装置は、「第2電力路に電圧を印加する動作(バックアップの準備動作)」を継続しながらも蓄電部の充電電圧を高めることができるため、蓄電部の充電時に上記準備動作が中断される事態を回避することができる。
【0015】
〔3〕上記〔2〕に記載の充放電制御装置において、以下の特徴を有する。上記電源システムは、上記第1電力路の電圧が上記第2電力路の電圧よりも低い所定の電圧低下状態となった場合に上記第2電力路を介して上記負荷に電力が供給され、上記所定の電圧低下状態でない正常状態である場合に上記第2電力路を介した上記負荷への電力供給は遮断され、上記制御部は、上記第2制御を行う場合、上記正常状態となる出力電圧を上記第2導電路に印加するように上記電圧変換部に上記変換動作を行わせ、上記第2制御を行っている状態で所定条件が成立した場合に上記第3制御に切り替える。
【0016】
上記〔3〕に記載の充放電制御装置が用いられる電源システムは、第1電力路の電圧が第2電力路の電圧よりも低い所定の電圧低下状態となった場合に、第2電力路を介して負荷に電力が供給される。従って、第2制御により、第2電力路に対して適切な電圧が印加されるように準備動作がなされていれば、第1電力路の電圧が大きく低下した場合であっても第2電力路を介して即座に電力が供給され得る。更に、上記〔3〕の充放電制御装置は、第2制御の状態で所定条件が成立した場合には、第2制御から第3制御に切り替えることで、上記準備動作を大きく中断せずに継続的に蓄電部の充電を行うことができる。第3制御中でも、第2電力路に対して適切な電圧が印加されるように準備動作がなされていれば、第1電力路の電圧が大きく低下した場合であっても第2電力路を介して即座に電力が供給され得る。
【0017】
〔4〕上記〔3〕に記載の充放電制御装置において、上記所定条件は、上記蓄電部が上記第3導電路に印加する出力電圧が閾値以下に達することである。
【0018】
上記〔4〕に記載の充放電制御装置は、蓄電部が第3導電路に印加する出力電圧が閾値以下に達する程度に低下した場合、上記準備動作を大きく中断せずに継続的に蓄電部の充電を行うことができる。従って、上記〔4〕の充放電制御装置は、蓄電部の出力電圧が閾値未満に低下した状態で準備動作が継続するような事態を回避することができるため、電源失陥に応じたバックアップ動作時に蓄電部の出力電圧が低すぎるような状況が生じにくい。しかも、上記〔4〕の充放電制御装置は、その対策のために上記準備動作を大きく中断せずに済む。
[本開示の実施形態の詳細]
【0019】
<第1実施形態>
1.車載システムの概要
図1には、車載システム2が示される。図1の車載システム2は、主に、車載用電源システム3と負荷101とを備える。車載用電源システム3は、以下の説明において電源システム3とも称される。車載システム2は、電源システム3によって負荷101に電力を供給し、負荷101を動作させるシステムである。図1では、負荷として、負荷101が例示されるが、車載システム2にはこれ以外の負荷が設けられていてもよい。
【0020】
負荷101は、車両に搭載される電気部品である。負荷101は、共通電力路80を介して供給される電力を受けて動作する。負荷101の種類は限定されない。負荷101としては、公知の様々な車載部品が採用され得る。負荷101は、複数の電気部品を有していてもよく、単一の電気部品であってもよい。
【0021】
電源システム3は、負荷101に電力を供給するシステムである。電源システム3は、電源部91又は蓄電部12を電力供給源として負荷101に電力を供給する。電源システム3は、電源部91から負荷101に電力を供給することができ、故障などによって電源部91からの電力供給が途絶えた場合には、蓄電部12から負荷101に電力を供給することができる。
【0022】
2.電源システムの概要
電源システム3は、電源部91と、蓄電部12と、充放電制御装置10と、第1電力路81と、第2電力路82と、選択部70と、を備える。
【0023】
電源部91は、負荷101へ電力を供給し得る車載用電源である。電源部91は、例えば、鉛バッテリ等の公知の車載バッテリとして構成されている。電源部91は、鉛バッテリ以外のバッテリによって構成されていてもよく、バッテリに代えて又はバッテリに加えてバッテリ以外の電源手段を有していてもよい。電源部91の正極は、第1電力路81に短絡した構成で第1電力路81に電気的に接続される。電源部91の負極は、グラウンドに短絡した構成でグラウンドに電気的に接続される。電源部91は、第1電力路81に一定値の直流電圧を印加する。電源部91が第1電力路81に印加する電圧は、上記一定値から多少変動してもよい。
【0024】
蓄電部12は、少なくとも電源部91からの電力供給が途絶えたときに電力供給源となる電源である。蓄電部12は、例えば、電気二重層キャパシタ(EDLC)等の公知の蓄電手段によって構成されている。蓄電部12は、電気二重層キャパシタ以外のキャパシタによって構成されていてもよく、キャパシタに代えて又はキャパシタに加えて他の蓄電手段(バッテリなど)を備えていてもよい。蓄電部12の正極は、第3導電路43に短絡した構成で第3導電路43に電気的に接続される。蓄電部12の負極は、グラウンドに短絡した構成でグラウンドに電気的に接続される。蓄電部12の出力電圧(蓄電部12によって第3導電路43に印加される電圧)は、電源部91の出力電圧(電源部91によって第1電力路81に印加される電圧)よりも大きくてもよく、小さくてもよい。以下で説明される代表例では、電源部91の満充電時の出力電圧が、電圧変換部30の出力電圧(第2導電路42に出力する電圧)よりも大きい。蓄電部12が出力する出力電圧は、電源部91の出力電圧よりも高くても、低くてもよく、可変してもよい。以下で説明される代表例では、蓄電部12の放電時には、蓄電部12が出力する電圧(第3導電路43に印加される電圧)を、電圧変換部30が、電源部91の出力電圧よりも少し低い電圧に昇圧又は降圧して第2導電路42に出力し得るようになっている。
【0025】
本明細書において、電圧とは、特に限定が無い限り、グラウンド電位(例えば0V)に対する電圧であり、グラウンド電位との電位差である。例えば、第1電力路81に印加される電圧とは、第1電力路81の電位とグラウンド電位との電位差である。第3導電路43に印加される電圧とは、第3導電路43の電位とグラウンド電位との電位差である。
【0026】
第1電力路81は、電源部91に基づく電力が伝送される経路であり、電源部91に基づく電力を負荷101に供給する経路である。図1の例では、第1電力路81には、電源部91の出力電圧と同一又は略同一の電圧が印加される。第1電力路81の一端は、電源部91の正極に短絡した構成で当該正極に電気的に接続される。第1電力路81の他端は、ダイオード71のアノードに電気的に接続される。第1電力路81は、第1導電路41に短絡した構成で第1導電路41に電気的に接続されている。第1電力路81には、リレーやヒューズが設けられていてもよい。
【0027】
第2電力路82は、蓄電部12に基づく電力が伝送される経路である。第2電力路82は、電源失陥時に、蓄電部12に基づく電力を負荷101に供給する経路として機能する。第2電力路82の一端は、第2スイッチ52の他端に電気的に接続され、第2電力路82の他端は、ダイオード72のアノードに電気的に接続される。
【0028】
選択部70は、負荷101に供給する電力を、電源部91に基づく電力とするか、蓄電部12に基づく電力とするかを選択する回路である。選択部70は、ダイオード71,72を備える。
【0029】
ダイオード71のアノードは、第1電力路81に電気的に接続される。ダイオード71のアノードには、電源部91に基づく電圧が印加される。図1の例では、ダイオード71のアノードの電位が第1電力路81と同電位とされ、ダイオード71のアノードと電源部91の正極とが短絡している。ダイオード72のアノードは、第2電力路82に電気的に接続される。ダイオード72のアノードの電位は、第2電力路82の電位と同電位とされる。ダイオード71,72の両カソードは、共通電力路80に電気的に接続され、両カソードは、共通電力路80と同電位とされる。共通電力路80は、負荷101に電気的に接続される導電路である。選択部70は、第1電力路81の電位が第2電力路82の電位よりも大きい場合に第1電力路81から共通電力路80に電流を流し、第2電力路82から共通電力路80へは電流を流さない。選択部70は、第2電力路82の電位が第1電力路81の電位よりも大きい場合に第2電力路82から共通電力路80に電流を流し、第1電力路81から共通電力路80へは電流を流さない。
【0030】
3.充放電制御装置の詳細
充放電制御装置10は、蓄電部12に基づく電力を出力し得るバックアップ装置である。充放電制御装置10は、第1導電路41、第2導電路42、第3導電路43、第1スイッチ51、第2スイッチ52、電圧変換部30、補充電部60、電圧検出部14、制御部16、蓄電部12、などを備える。
【0031】
第1導電路41は、電源部91に基づく電力が伝送される経路である。第1導電路41には、電源部91の出力電圧と同一又は略同一の電圧が印加される。第1導電路41の一端は、第1電力路81に電気的に接続される。第1導電路41の電位は、例えば、第1電力路81の一部又は全部と同電位とされる。第1導電路41の他端は、第1スイッチ51の一端に電気的に接続される。
【0032】
第2導電路42は、第2電力路82と第1導電路41との間に介在する導電路であり、第1導電路41と電圧変換部30との間に介在する導電路でもある。後述される第1スイッチ51がオン状態のときには、第1導電路41と第2導電路42は第1スイッチ51を介して短絡する。後述される第2スイッチ52がオン状態のときには、第2導電路42と第2電力路82は第2スイッチ52を介して短絡する。
【0033】
第3導電路43は、蓄電部12に電気的に接続される導電路であり、電圧変換部30の一端に電気的に接続される導電路でもある。電圧変換部30の停止時には、第3導電路43には蓄電部12の出力電圧が印加される。
【0034】
第1スイッチ51は、第1導電路41と第2導電路42との間に設けられるスイッチである。第1スイッチ51は、第1導電路41から第2導電路42へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる。例えば、第1スイッチ51がオン状態のときには、第1導電路41と第2導電路42との間において通電が双方向に許容される。第1スイッチ51がオフ状態のときには、第1導電路41と第2導電路42との間において通電が双方向で遮断される。
【0035】
第2スイッチ52は、第2導電路42と第2電力路82との間に設けられるスイッチである。第2スイッチ52は、第2導電路42から第2電力路82へ電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる。例えば、第2スイッチ52がオン状態のときには、第2導電路42と第2電力路82との間において通電が双方向に許容される。第2スイッチ52がオフ状態のときには、第2導電路42と第2電力路82との間において通電が双方向で遮断される。
【0036】
電圧変換部30は、第2導電路42と第3導電路43との間で電圧変換を行う装置である。電圧変換部30は、例えばDCDCコンバータなどの公知の電圧変換回路によって構成されている。電圧変換部30は、第2導電路42に印加される直流電圧を降圧又は昇圧して第3導電路43に出力電圧を印加する第1変換動作を行い得る。例えば、第1スイッチ51がオン状態になっているときに電圧変換部30が第1変換動作を行うことで蓄電部12に対して電源部91からの電力に基づく充電電流が供給される。電圧変換部30は、第3導電路43に印加される直流電圧を降圧又は昇圧して第2導電路42に出力電圧を印加する第2変換動作を行い得る。例えば、第1スイッチ51がオフ状態であり且つ第2スイッチ52がオン状態であるときに、電圧変換部30が第2変換動作を行うことで、蓄電部12からの電力に基づく直流電圧が第2導電路42及び第2電力路82に印加される。電圧変換部30の動作は、制御部16によって制御される。
【0037】
補充電部60は、電圧変換部30を介した経路とは異なる経路で蓄電部12を充電する装置である。補充電部60は、第3スイッチ64と、補充電回路62とを備える。補充電部60は、第1導電路41を介して供給される電力に基づいて電圧変換部30とは異なる経路を介して蓄電部12に電力を供給する供給状態と、経路を介しての電力供給を停止する停止状態とに切り替わる。電圧変換部30とは異なる経路とは、第3スイッチ64及び補充電回路62を通る経路であり、第1スイッチ51及び電圧変換部30を通らない経路である。
【0038】
第3スイッチ64は、第1導電路41と補充電回路62との間を導通状態と遮断状態とに切り替える。第3スイッチ64がオン状態のときには、電源部91から第1導電路41及び第3スイッチ64を介して補充電回路62に電力が供給される。第3スイッチ64がオフ状態のときには、第3スイッチ64を介しての通電が双方向に遮断され、第1導電路41から補充電回路62へは電流が流れない。
【0039】
補充電回路62は、第3スイッチ64がオン状態であるときに、蓄電部12に充電電流を供給し得る回路である。補充電回路62は、低ドロップアウトレギュレータ(LDO)であってもよく、DCDCコンバータであってもよく、その他の充電回路であってもよい。その他の充電回路を用いる場合、定電圧充電方式、定電流充電方式、定電圧定電流充電方式など様々な方式を採用し得る。
【0040】
制御部16は、情報処理機能、演算機能、制御機能などを有する情報処理装置である。制御部16は、電圧変換部30に上記第1変換動作を行わせる制御と、電圧変換部30に上記第2変換動作を行わせる制御とを行い得る。制御部16は、第1スイッチ51、第2スイッチ52、第3スイッチ64のオンオフを制御する。制御部16は、後述される第1制御、第2制御、第3制御を行う。
【0041】
電圧検出部14は、第1導電路41に印加された電圧の値を特定し得る値であるアナログ電圧値を出力する回路である。電圧検出部14は、第1導電路41に印加された電圧の値と同一の電圧値を制御部16に入力する回路であってもよく、第1導電路41に印加された電圧の値に比例した値を制御部16に入力する回路であってもよい。図1の例では、例えば、電圧検出部14が分圧回路とされており、第1導電路41に印加された電圧の値を分圧回路によって分圧した値が検出値として制御部16に入力される。制御部16は、電圧検出部14から入力される検出値(アナログ電圧値)に基づいて第1導電路41に印加された電圧の値を特定する。
【0042】
図1の充放電制御装置10では、第1スイッチ51、第2スイッチ52、第3スイッチ64の各々は、FET等の半導体スイッチであってもよく、機械式リレーであってもよい。
【0043】
4.充放電制御装置の動作
(第1制御)
図2は、第1制御を説明する図である。制御部16は、予め定められた第1条件が成立した場合に、第1制御を開始する。上記の「第1条件」は、例えば、「車両が始動状態になる」という条件であってもよく、その他の条件であってもよい。例えば、制御部16は、車載システム2が搭載された車両が始動状態となった場合(イグニッションスイッチなどの始動スイッチがオン状態となった場合)に上記第1条件の成立と判定し、第1制御を開始する。
【0044】
第1制御は、蓄電部12を第1の充電方式で充電する制御である。具体的には、第1制御は、第1スイッチ51をオン状態としつつ電圧変換部30に対し第2導電路42に印加された電圧を降圧して第3導電路43に印加する動作を行わせる制御である。図2の例では、制御部16は、第2スイッチ52だけでなく第3スイッチ64もオフ状態とするように第1制御を行う。制御部16は、例えば、蓄電部12の満充電時の充電電圧を第1目標値とし、電圧変換部30が第3導電路43に印加する出力電圧を上記第1目標値とするように第1制御を行う。制御部16は、第1制御を、当該第1制御の終了条件の成立まで実行する。第1制御の終了条件は、蓄電部12の充電電圧が所定値(例えば、後述される第2閾値)に達したことであってもよく、第1制御の開始から一定時間が経過したことであってもよく、その他の条件が成立したことであってもよい。
【0045】
制御部16が第1制御を行っている最中は、図2のように第1スイッチ51がオン状態で維持されつつ、第2スイッチ52及び第3スイッチ64がオフ状態で維持され、電圧変換部30が上述の第1変換動作を行う。このような動作により、図2で示される太線の矢印のように、電源部91からの電力に基づく充電電流が蓄電部12に供給される。なお、制御部16が第1制御を行っている最中に、第2スイッチ52がオン状態とされてもよい。
【0046】
(第2制御)
図3は、第2制御を説明する図である。制御部16は、予め定められた第2条件が成立した場合に、第2制御を開始する。上記の「第2条件」は、例えば、「第1制御が終了したこと」という条件であってもよく、「第3制御が終了したこと」という条件であってもよく、その他の条件であってもよい。第2制御は、蓄電部12の充電を停止させ、蓄電部12を放電させる制御である。具体的には、第2制御は、第1スイッチ51をオフ状態とし、第2スイッチ52をオン状態とし、補充電部60を停止状態とし、電圧変換部30に対し第3導電路43に印加された電圧を昇圧して第2導電路42に印加する動作を行わせる制御である。図3の例では、制御部16は、第1スイッチ51だけでなく第3スイッチ64もオフ状態とするように第2制御を行う。制御部16は、蓄電部12の満充電時の充電電圧よりも大きく且つ電源部91の満充電時の充電電圧よりも少し小さい値を第2目標値とし、電圧変換部30が第2導電路42に印加する出力電圧を上記第2目標値とするように第2制御を行う。
【0047】
制御部16が第2制御を行っている最中は、図3のように第2スイッチ52がオン状態で維持されつつ、第1スイッチ51及び第3スイッチ64がオフ状態で維持され、電圧変換部30が上述の第2変換動作を行う。このような動作により、図3で示される太線の矢印のように、蓄電部12からの電力に基づく電圧が第2電力路82に印加される。なお、上述された例はあくまで一例であり、例えば、制御部16が第2制御を行っている最中に第2スイッチ52がオフ状態で維持され、電源部91の出力電圧が所定値以下に低下したことを監視部(例えば、電圧検出部14及び制御部16)が検知した場合に、即座に制御部16が第2スイッチ52をオン状態に切り替えてもよい。
【0048】
第2制御に応じて電圧変換部30が第2導電路42に印加する電圧は、電源部91が満充電時に第1電力路81に印加する電圧よりも少し小さい。このため、電源部91が満充電状態且つ正常状態(失陥状態ではなく、電源部91に基づく電力が適正に負荷101に供給され得る状態)であれば、図3のように、第1電力路81から共通電力路80に電流が流れることが許容され、第2電力路82から共通電力路80に電流が流れることは許容されない。具体的には、第1電力路81の端部(ダイオード71のアノード)に印加される電圧のほうが第2電力路82の端部(ダイオード72のアノード)に印加される電圧よりも大きければ、図3のように第1電力路81及び第2電力路82のうち第1電力路81の電流のみが共通電力路80に流れる。
【0049】
但し、第2制御が行われている最中に、何らの理由により第1電力路81に印加される電圧が第2電力路82に印加される電圧よりも低下した場合には、図4のように、即座に第2電力路82から共通電力路80に電流が流れる。具体的には、第1電力路81の端部(ダイオード71のアノード)に印加される電圧のほうが第2電力路82の端部(ダイオード72のアノード)に印加される電圧よりも小さければ、図4のように第1電力路81及び第2電力路82のうち第2電力路82の電流のみが共通電力路80に流れる。
【0050】
(第3制御)
図5は、第3制御を説明する図である。制御部16は、予め定められた第3条件が成立した場合に、第3制御を開始する。上記の「第3条件」は、例えば、「第2制御の実行中に、蓄電部12が第3導電路43に印加する出力電圧が閾値以下に達すること」であってもよく、その他の条件であってもよい。以下で説明される代表例では、「第2制御の実行中に、蓄電部12が第3導電路43に印加する出力電圧が閾値(第1閾値)以下に達すること」が第3条件である。そして、上記閾値(第1閾値)は、0よりも大きく蓄電部12の満充電時の出力電圧よりも小さい値である。この閾値(第1閾値)は、予め定められた固定値であってもよく、更新又は変化させ得る値であってもよい。
【0051】
第3制御は、第1スイッチ51をオフ状態とし、第2スイッチ52をオン状態とし、補充電部60を供給状態(蓄電部12に充電電流を供給する状態)とし、電圧変換部30に対し第3導電路43に印加された電圧を昇圧(又は降圧)して第2導電路42に印加する変換動作を行わせる制御である。図3の例では、制御部16は、第3スイッチ64をオン状態とし、電源部91からの電力(第1導電路41を介して供給される電力)に基づいて蓄電部12に充電電流を供給する動作を補充電回路62に行わせるように第3制御を実行する。このように第3制御がなされると、図5で示される太線の矢印のように、電源部91からの電力に基づく電流が補充電部60を介して且つ第1スイッチ51を介さずに蓄電部12に供給されつつ、蓄電部12からの電力に基づく電圧が第2電力路82に印加される。なお、制御部16は、第3制御の実行中に所定の終了条件が成立した場合、第3制御を終了する。所定の終了条件は、車載システム2が搭載された車両の始動スイッチがオフ状態になることであってもよく、蓄電部12の充電電圧が第2閾値に達することであってもよい。この場合の第2閾値は、上記閾値(第1閾値)よりも大きい値である。第2閾値は、例えば、蓄電部12の満充電時の充電電圧であってもよい。制御部16は、第3制御の実行中に蓄電部12の充電電圧が第2閾値に達することで第3制御を終了する場合、第3制御から第2制御に切り替えればよい。
【0052】
第3制御においても、第3制御に応じて電圧変換部30が第2導電路42に印加する電圧は、電源部91が満充電時に第1電力路81に印加する電圧よりも少し小さい。このため、電源部91が満充電状態且つ正常状態(失陥状態ではなく、電源部91に基づく電力が適正に負荷101に供給され得る状態)であれば、図5のように、第1電力路81から共通電力路80に電流が流れることが許容され、第2電力路82から共通電力路80に電流が流れることは許容されない。この例でも、第1電力路81の端部(ダイオード71のアノード)に印加される電圧のほうが第2電力路82の端部(ダイオード72のアノード)に印加される電圧よりも大きければ、図5のように第1電力路81及び第2電力路82のうち第1電力路81の電流のみが共通電力路80に流れる。
【0053】
但し、第3制御が行われている最中に、何らの理由により第1電力路81に印加される電圧が第2電力路82に印加される電圧よりも低下した場合には、図6のように、即座に第2電力路82から共通電力路80に電流が流れる。具体的には、第1電力路81の端部(ダイオード71のアノード)に印加される電圧のほうが第2電力路82の端部(ダイオード72のアノード)に印加される電圧よりも小さければ、図6のように第1電力路81及び第2電力路82のうち第2電力路82の電流のみが共通電力路80に流れる。
【0054】
5.効果の例
充放電制御装置10は、第1スイッチ51をオフ状態とし、第2スイッチ52をオン状態とし、電圧変換部30が、第2導電路42に出力電圧を印加するように電圧変換を行うことで、バックアップ動作の準備(第2電力路82に電圧を印加した状態での待機)を行うことができる。この充放電制御装置10は、電源失陥(具体的には、電源部91から第1電力路81を介して供給される電力が途絶えるような電源失陥)の前から「バックアップ動作の準備」がなされていれば、電源失陥が生じた直後でも負荷101に対する電力の供給を即座に継続することができる。しかも、充放電制御装置10は、電圧変換部30によって「バックアップ動作の準備」を継続しつつ、補充電部60によって蓄電部12の充電を行うこともできる。つまり、充放電制御装置10は、バックアップ動作の準備(電圧印加状態での待機)を中断せずに蓄電部12を充電することもできるため、「バックアップ動作の準備中断時に電源失陥が発生することに起因してバックアップ動作が遅れるような事態」を防ぎやすい。このように、充放電制御装置10は、「電源部91に関連する電源失陥が生じた場合に負荷101に電力が供給されない期間が生じることを抑制する」という面で、極めて有利な構成である。
【0055】
充放電制御装置10は、制御部16が第1制御を行うことで電圧変換部30を利用して蓄電部12を充電することができ、制御部16が第2制御を行うことで電圧変換部30を利用して蓄電部12の放電を行うことができる。つまり、充放電制御装置10は、電圧変換部30を利用した蓄電部12の充放電を第1制御と第2制御とによって切り替えることができる。更に、充放電制御装置10は、第2制御中(即ち、電圧変換部30を利用して第2電力路82に電圧を印加する動作を行っている最中)に蓄電部12を充電すべき事態が生じた場合には、第2制御から第3制御に切り替えればよい。この場合、充放電制御装置10は、「第2電力路82に電圧を印加する動作(バックアップの準備動作)」を継続しながらも蓄電部12の充電電圧を高めることができるため、蓄電部12の充電時に準備動作が中断される事態を回避することができる。
【0056】
電源システム3では、「所定の電圧低下状態」となった場合に、第2電力路82を介して負荷101に即座に電力が供給される。従って、充放電制御装置10は、第2電力路82に対して適切な電圧が印加されるように第2制御がなされていれば、第2制御中に第1電力路81の電圧が大きく低下した場合であっても第2電力路82を介して負荷101に即座に電力が供給され得る。更に、充放電制御装置10は、第2制御の状態で所定条件が成立した場合には、第2制御から第3制御に切り替えることで、準備動作を大きく中断せずに継続的に蓄電部12の充電を行うことができる。第3制御中でも、第2電力路82に対して適切な電圧が印加されるように第3制御がなされていれば、第2制御中に第1電力路81の電圧が大きく低下した場合であっても第2電力路82を介して負荷101に即座に電力が供給され得る。
【0057】
充放電制御装置10は、蓄電部12が第3導電路43に印加する出力電圧が閾値以下に達する程度に低下した場合、準備動作を大きく中断せずに継続的に蓄電部12の充電を行うことができる。従って、充放電制御装置10は、蓄電部12の出力電圧が閾値未満に低下した状態で準備動作が継続するような事態を回避することができるため、電源失陥に応じたバックアップ動作時に蓄電部12の出力電圧が低すぎるような状況が生じにくい。しかも、充放電制御装置10は、その対策のために準備動作を大きく中断せずに済む。
【0058】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0059】
第1実施形態では、充放電制御装置10が蓄電部12を含んで構成されているが、蓄電部12が充放電制御装置10の外部に設けられた構成であってもよい。つまり、蓄電部12は、充放電制御装置10に含まれていなくてもよい。
【0060】
第1実施形態では、電源部91の満充電時の出力電圧よりも蓄電部12の満充電時の出力電圧のほうが小さいが、電源部91の満充電時の出力電圧よりも蓄電部12の満充電時の出力電圧のほうが大きくてもよい。この場合、第1制御は、第1スイッチ51をオン状態としつつ電圧変換部30に対し第2導電路42に印加された電圧を昇圧して第3導電路43に印加する動作を行わせる制御であればよい。そして、第2制御は、第1スイッチ51をオフ状態とし、第2スイッチ52をオン状態とし、補充電部60を停止状態(蓄電部12に電流を供給しない状態)とし、電圧変換部30に対し第3導電路43に印加された電圧を降圧して第2導電路42に印加する動作を行わせる制御であればよい。そして、第3制御は、第1スイッチ51をオフ状態とし、第2スイッチ52をオン状態とし、補充電部60を供給状態(蓄電部12に電流を供給する状態)とし、電圧変換部30に対し第3導電路43に印加された電圧を降圧して第2導電路42に印加する変換動作を行わせる制御であればよい。
【0061】
電源システム3では、第2制御又は第3制御が行われている最中に第1電力路81の電圧が第2電力路82の電圧よりも低い所定の電圧低下状態となった場合に、第2電力路82を介して負荷101に電力が供給される。この点に関し、第1実施形態では、「所定の電圧低下状態」は、第1電力路81の電圧が第2電力路82の電圧よりも低い状態であったが、この例に限定されない。「所定の電圧低下状態」は、第1電力路81の電圧が第2電力路82の電圧よりも一定値以上低い状態であってもよい。いずれの場合でも、「所定の電圧低下状態でない正常状態である場合」には、第2電力路82を介した負荷101への電力供給は遮断される。また、いずれの場合でも、制御部16は、第2制御を行う場合、上記正常状態となる出力電圧(具体的には、第2電力路82に印加される電圧が、第1電力路81に印加される電圧よりも少し低くなるような出力電圧)を第2導電路42に印加するように電圧変換部30に変換動作を行わせればよい。
【0062】
第1実施形態では、制御部16が上述の第1条件の成立に応じて第1制御を行う場合、第1制御の終了条件の成立まで第1制御を行い、第1制御の終了条件の成立に応じて第1制御から第2制御に切り替えることができるが、この例に限定されない。例えば、第1制御の終了条件の成立まで第1制御を行い、その後、第1制御から第3制御に切り替えてもよい。例えば、蓄電部12の充電電圧が上記第2閾値(例えば、満充電を示す閾値)に達する前に第1制御から第3制御に切り替え、第3制御によって蓄電部12の充電電圧が上記第2閾値に達した後に、第3制御から第2制御に切り替えてもよい。
【0063】
第1実施形態では、選択部の一例が挙げられたが、選択部70は、図1のような構成(ダイオード71,72による構成)に限定されず、図1の選択部70と同様の逆流防止制御を行い得る構成であってもよい。例えば、ダイオード71に代えて機械式リレー又は半導体リレーからなる第1リレーが設けられ、ダイオード72に代えて機械式リレー又は半導体リレーからなる第2リレーが設けられていてもよい。これらの第1リレー及び第2リレーは、例えば、オン状態のときに通電を双方向に許容し、オフ状態のときに通電を双方向に遮断する構成であるとよい。このような構成を採用する場合、充放電制御装置10又は負荷101若しくは他の電子制御装置が、電源部91の電圧(例えば、第1電力路81の電圧)を監視し、電源部91の電圧が所定閾値以上である場合に第1リレーをオン状態とし、第2リレーをオフ状態とし、電源部91の電圧が所定閾値未満である場合に第1リレーをオフ状態とし、第2リレーをオン状態としてもよい。或いは、図示されない切替装置が、第1電力路81の電圧が第2電力路82の電圧以上である大きい場合に、第1リレーをオン状態とし、第2リレーをオフ状態とし、第1電力路81の電圧が第2電力路82の電圧よりも小さい場合に、第1リレーをオフ状態とし、第2リレーをオン状態としてもよい。
【0064】
第1実施形態では、選択部70が充放電制御装置10とは異なる部品として構成されていたが、選択部70が充放電制御装置10の一部として組み込まれていてもよい。或いは、選択部70は、負荷101の一部として負荷101に組み込まれていてもよい。
【0065】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
2 :車載システム
3 :車載用電源システム
10 :充放電制御装置
12 :蓄電部
14 :電圧検出部
16 :制御部
30 :電圧変換部
41 :第1導電路
42 :第2導電路
43 :第3導電路
51 :第1スイッチ
52 :第2スイッチ
60 :補充電部
62 :補充電回路
64 :第3スイッチ
70 :選択部
71 :ダイオード
72 :ダイオード
80 :共通電力路
81 :第1電力路
82 :第2電力路
91 :電源部
101 :負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6