(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ICチップ付き物品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/26 20060101AFI20240912BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20240912BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240912BHJP
H01Q 1/50 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
H01Q9/26
H01P11/00 102
G06K19/077 216
G06K19/077 280
H01Q1/50
(21)【出願番号】P 2020085924
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】近 禅
(72)【発明者】
【氏名】新井 浩次
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033748(JP,A)
【文献】特表2015-522881(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198712(JP,U)
【文献】国際公開第2010/050361(WO,A1)
【文献】特開平04-349689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0315511(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/26
H01P 11/00
G06K 19/077
H01Q 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材と、
前記第1基材上のアンテナと、
前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、
前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、
前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含
み、
ICチップが接続又は容量結合された電極対と、アンテナ付き基材とから構成され、
前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、第2基材と、前記ICチップとを有し、
前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナと、前記ループ状導体とを有し、
前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、前記第1基材に対して前記ループ状導体及び前記アンテナの反対側の面に位置している、ICチップ付き物品。
【請求項2】
前記アンテナは、第1印刷層から構成され、前記ループ状導体は、前記第1印刷層と、前記第1印刷層の上方あるいは下方に位置する第2印刷層とを含む、請求項
1に記載のICチップ付き物品。
【請求項3】
第1基材と、
前記第1基材上のアンテナと、
前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、
前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、
前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含み、
ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体と、アンテナ付き基材とから構成され、
前記ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体は、第3基材と、前記ループ状導体と、前記ICチップとを有し、
前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナとを有し、
前記ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体は、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置している
、ICチップ付き物品。
【請求項4】
第1基材と、
前記第1基材上のアンテナと、
前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、
前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、
前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含み、
ICチップが接続又は容量結合された電極対と、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体と、アンテナ付き基材とから構成され、
前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、第4基材と、前記ICチップとを有し、
前記ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体は、第5基材と、前記ループ状導体とを有し、
前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナとを有し、
前記ICチップが接続又は容量結合された電極対及び前記ループ状導体は、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置している
、ICチップ付き物品。
【請求項5】
第1基材と、
前記第1基材上のアンテナと、
前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、
前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、
前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含み、
前記ループ状導体及び前記ICチップは、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置している
、ICチップ付き物品。
【請求項6】
第1基材と、
前記第1基材上のアンテナと、
前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、
前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、
前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含み、
ICチップが接続又は容量結合された電極対と、アンテナ付き基材とから構成され、
前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、第2基材と、前記ICチップとを有し、
前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナと、前記ループ状導体とを有し、
前記ループ状導体及び前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置している
、ICチップ付き物品。
【請求項7】
RFIDタグである、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のICチップ付き物品。
【請求項8】
包材である、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のICチップ付き物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ICチップ付き物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の情報を管理や識別する目的で、商品等にICチップを搭載した非接触式RFID(Radio Frequency Identification)タグが利用されている。RFIDタグのICチップには商品等に関する情報が書き込まれており、商品等を管理や販売する際には、リーダライタによって、これらのICチップの情報を無線で読み取り、利用することができる。このようなRFIDタグは、商品管理の利便性向上や安全性の向上、また人為的ミスをなくす等大きなメリットをもたらしている。
【0003】
RFIDタグには、電池を内蔵し、自ら電波を発信できるアクティブタグと、無線で電力を受け取り、ICチップを起動するパッシブタグとがある。近年、構成が簡単で、安価で生産できるパッシブタグが、多く採用されはじめている。パッシブタグには、電力を受けとる線状アンテナと、ICとのインピーダンス整合をとり電力を効率よく伝えるループ状導体を有するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のRFIDタグにおいては、線状アンテナ及びインピーダンス整合のためのループ状導体をエッチング法により形成する場合が多く、生産コストが高くなりやすい。これに対して、導電インキを用いて線状アンテナ或いは線状アンテナとループ状導体の双方を印刷により形成することも考えられる。しかしながら、導電インキは塗膜を保持するために樹脂を一定量混合する必要があり、エッチング法に採用されているような真空プロセスで製膜した金属膜と比較して塗膜のシート抵抗値が高くなるという課題がある。高抵抗の導電インキを用いた場合、ループ状導体の抵抗値が高くなり、インピーダンス整合が不十分となるおそれがある。ループ状導体の抵抗値を下げる目的で、平面視上のループ状導体の幅を太くする方法も考えられるが、RFIDタグのような高周波回路では、電子が距離の短い経路を選択的に通過してしまい、十分な効果が得られない。
【0006】
本開示は、インピーダンス整合のためのループ状導体の抵抗値を下げることが可能な、ICチップ付き物品及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態によるICチップ付き物品は、第1基材と、前記第1基材上のアンテナと、前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含む。
【0008】
本実施の形態によるICチップ付き物品は、第1基材と、前記第1基材上のアンテナと、前記アンテナに接続又は容量結合されたループ状導体と、前記ループ状導体に接続又は容量結合されたICチップと、を備え、前記ループ状導体の厚みは、前記アンテナの厚みよりも厚い。
【0009】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記アンテナは、第1印刷層から構成され、前記ループ状導体は、前記第1印刷層と、前記第1印刷層の上方あるいは下方に位置する第2印刷層とを含んでもよい。
【0010】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記アンテナ及び前記ループ状導体は、同一の材料からなってもよい。
【0011】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、ICチップが接続又は容量結合された電極対と、アンテナ付き基材とから構成され、前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、第2基材と、前記ICチップとを有し、前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナと、前記ループ状導体とを有してもよい。
【0012】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、前記第1基材に対して前記ループ状導体及び前記アンテナの反対側の面に位置していてもよい。
【0013】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体と、アンテナ付き基材とから構成され、前記ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体は、第3基材と、前記ループ状導体と、前記ICチップとを有し、前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナとを有してもよい。
【0014】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体は、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置していてもよい。
【0015】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、ICチップが接続又は容量結合された電極対と、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体と、アンテナ付き基材とから構成され、前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、第4基材と、前記ICチップとを有し、前記ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体は、第5基材と、前記ループ状導体とを有し、前記アンテナ付き基材は、前記第1基材と、前記アンテナとを有してもよい。
【0016】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記ICチップが接続又は容量結合された電極対及び前記ループ状導体は、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置していてもよい。
【0017】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記ループ状導体及び前記ICチップは、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置していてもよい。
【0018】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、前記ループ状導体及び前記ICチップが接続又は容量結合された電極対は、前記第1基材に対して前記アンテナの反対側の面に位置していてもよい。
【0019】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、RFIDタグであってもよい。
【0020】
本実施の形態によるICチップ付き物品において、包材であってもよい。
【0021】
本実施の形態によるICチップ付き物品の製造方法は、第1基材を準備する工程と、前記第1基材上にアンテナを形成する工程と、前記アンテナにループ状導体を接続又は容量結合する工程と、前記ループ状導体にICチップを接続又は容量結合する工程と、を備え、前記ループ状導体は、前記アンテナの材料よりも体積抵抗率が低い材料を含む。
【0022】
本実施の形態によるICチップ付き物品の製造方法は、第1基材を準備する工程と、前記第1基材上にアンテナを形成する工程と、前記アンテナにループ状導体を接続又は容量結合する工程と、前記ループ状導体にICチップを接続又は容量結合する工程と、を備え、前記ループ状導体の厚みは、前記アンテナの厚みよりも厚い。
【0023】
本実施の形態によるICチップ付き物品の製造方法において、前記アンテナは、印刷によって形成されてもよい。
【0024】
本実施の形態によるICチップ付き物品の製造方法において、前記アンテナ及び前記ループ状導体は、それぞれ印刷によって形成されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本実施の形態によれば、ループ状導体の抵抗値を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図2】
図2(a)(b)は、第1の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図1のIIA-IIA線断面図、
図1のIIB-IIB線断面図)。
【
図3】
図3は、変形例によるICチップ付き物品を示す断面図。
【
図4】
図4は、変形例によるICチップ付き物品を示す断面図。
【
図5】
図5は、RFIDタグであるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図6】
図6は、包材であるICチップ付き物品を示す斜視図。
【
図7】
図7(a)-(d)は、第1の実施の形態によるICチップ付き物品の製造方法を示す断面図。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図9】
図9(a)(b)は、第2の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図8のIXA-IXA線断面図、IXB-IXB線断面図)。
【
図10】
図10は、第3の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図11】
図11(a)(b)は、第3の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図10のXIA-XIA線断面図、XIB-XIB線断面図)。
【
図12】
図12は、第4の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図13】
図13(a)(b)は、第4の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図12のXIIIA-XIIIA線断面図、XIIIB-XIIIB線断面図)。
【
図14】
図14は、第4の実施の形態の変形例を示す部分拡大平面図。
【
図15】
図15は、第5の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図16】
図16(a)(b)は、第5の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図15のXVIA-XVIA線断面図、XVIB-XVIB線断面図)。
【
図17】
図17は、第6の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図18】
図18(a)(b)は、第6の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図17のXVIIIA-XVIIIA線断面図、XVIIIB-XVIIIB線断面図)。
【
図19】
図19は、第7の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図20】
図20(a)(b)は、第7の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図19のXXA-XXA線断面図、XXB-XXB線断面図)。
【
図21】
図21は、第8の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図22】
図22(a)(b)は、第8の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図21のXXIIA-XXIIA線断面図、XXIIB-XXIIB線断面図)。
【
図23】
図23は、第9の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図24】
図24(a)(b)は、第9の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図23のXXIVA-XXIVA線断面図、XXIVB-XXIVB線断面図)。
【
図25】
図25は、第10の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図26】
図26(a)(b)は、第10の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図25のXXVIA-XXVIA線断面図、XXVIB-XXVIB線断面図)。
【
図27】
図27は、第10の実施の形態の変形例を示す平面図。
【
図28】
図28は、第11の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図29】
図29(a)(b)は、第11の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図28のXXIXA-XXIXA線断面図、XXIXB-XXIXB線断面図)。
【
図30】
図30は、第11の実施の形態の変形例を示す平面図。
【
図31】
図31は、第12の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図32】
図32(a)(b)は、第12の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図31のXXXIIA-XXXIIA線断面図、XXXIIB-XXXIIB線断面図)。
【
図33】
図33は、第13の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図34】
図34(a)(b)は、第13の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図33のXXXIVA-XXXIVA線断面図、XXXIVB-XXXIVB線断面図)。
【
図35】
図35は、第14の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図36】
図36(a)(b)は、第14の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図35のXXXVIA-XXXVIA線断面図、XXXVIB-XXXVIB線断面図)。
【
図37】
図37は、第15の実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図。
【
図38】
図38(a)(b)は、第15の実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図(それぞれ
図37のXXXVIIIA-XXXVIIIA線断面図、XXXVIIIB-XXXVIIIB線断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら一実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0028】
(第1の実施の形態)
以下、
図1乃至
図7を参照して、第1の実施の形態について説明する。
【0029】
[ICチップ付き物品]
まず
図1及び
図2を参照して、本実施の形態によるICチップ付き物品の構成について説明する。
図1は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す平面図であり、
図2は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す断面図である。
【0030】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態によるICチップ付き物品30は、第1基材(物品用基材)41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、一対のアンテナ42に接続されたループ状導体20と、ループ状導体20に接続されたICチップ12とを備えている。このICチップ付き物品30は、図示しないリーダライタとの間で非接触の無線通信を行うものである。
【0031】
第1基材41は、ICチップ付き物品30を支持する支持体としての役割を果たすものである。第1基材41としては、樹脂シート(フィルム)や紙基材を用いることができる。樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルフイド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリウレタン等の素材が使用される。また、紙基材としては、例えば、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、ラテックスやメラミン含浸紙等が使用できる。なお、第1基材41の厚みT1は、例えば5μm以上3mm以下とすることができる。
【0032】
アンテナ42は、第1基材41上に積層されている。各アンテナ42は、内側であってループ状導体20側に設けられた内側端部43と、この内側端部43の外側に接続され、平面視でジグザグ状に複数屈曲したアンテナ配線部44とを有している。なお、アンテナ42は各種の平面形状とすることができ、折れ曲がったミアンダ形状のほか、パッチ状、その他の形状であってもよい。
【0033】
ループ状導体20は、第1基材41上に積層されている。またループ状導体20は、一対のアンテナ42に直接接続されているか、又は容量結合されている。ループ状導体20は、入力端子間にキャパシタンスが存在するICチップ12と接続した状態でのアンテナ42の共振周波数を所定周波数近傍に調整するための素子である。具体的には、ループ状導体20は、細長いループ状に構成されており、ICチップ12に覆われる一部分を除き、環状に形成されている。この場合、ループ状導体20は、切り欠かれた部分(空隙部24)を除いて、平面視で四角形形状となっている。ループ状導体20を構成する四角形の一辺は、第1方向DLに平行に位置し、当該四角形の他の一辺は、第2方向DSに平行に位置する。
【0034】
またループ状導体20は、第1方向DLに沿って延びる一対の第1方向部分21と、第2方向DSに沿って延びる一対の第2方向部分22とを有している。一対の第1方向部分21は互いに平行に配置され、一対の第2方向部分22は互いに平行に配置されている。また、各第1方向部分21と各第2方向部分22とは互いに直交するように配置されている。なお、一対の第1方向部分21のうち、ICチップ12側に位置する一方の第1方向部分21は中央部分で途切れており、この第1方向部分21には、一対の接続部23が形成されている。一対の接続部23同士の間には、空隙部24が形成され、空隙部24を介して一対の接続部23同士が対向している。一対の接続部23は、それぞれICチップ12に電気的に接続されている。
【0035】
ICチップ12は、ループ状導体20上に積層されている。ICチップ12は、ループ状導体20に直接接続されているか、又は容量結合されている。ICチップ12は、データの記憶領域(メモリ)を有し、入出力機能、制御機能、信号変調、復調を備える通常のものを用いることができる。このICチップ12は、アンテナ42から得られた電力及び信号を受け、メモリの書き込み及び読み出しを行うものである。ICチップ12は、無線通信用のインターフェースや、ICチップ付き物品30を管理するために利用するデータを記憶させるメモリ等を有していても良い。ICチップ12は、図示しない接続層を介して、ループ状導体20の一対の接続部23に電気的に接続されている。この接続層としては、例えば異方性導電膜(ACP、あるいはACF:Anisotropic Conductive Film)が用いられても良い。異方性導電膜は、ニッケルや銀、金などの導電体でコーティングされた樹脂粒子やニッケルや銀、金などの導体粒子が高分子に分散された構造を有しており、異方性導電膜をループ状導体20とICチップ12との間に配置して加熱しながら圧力を加えることで、これらの金属がループ状導体20とICチップ12とを電気的に接続する。
【0036】
本実施の形態において、ループ状導体20及びアンテナ42は、ともに導電性を有する材料により構成されている。この場合、ループ状導体20は、ほぼ一様な厚さを有する薄膜とみなせるから、ループ状導体20はアンテナ42よりもシート抵抗が低くなるように構成されていてもよい。具体的には、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいてもよく、これによりループ状導体20は、アンテナ42よりもシート抵抗が低くなっていてもよい。
【0037】
具体的には、ループ状導体20のシート抵抗は、5Ω/□以下としても良い。またアンテナ42のシート抵抗は、50Ω/□以下としても良い。望ましくは、ループ状導体20のシート抵抗は1Ω/□以下、アンテナ42のシート抵抗は10Ω/□以下であり、さらに好ましくは、ループ状導体20のシート抵抗は0.3Ω/□以下である。また、ループ状導体20のシート抵抗を、アンテナ42のシート抵抗の1/10以下としてもよく、望ましくは1/20以下としてもよい。シート抵抗は、例えば、本実施の形態で用いられるのと同一の材料、かつ同一膜厚の少なくとも150mm×150mmの面積を有する均一膜を同一手法で形成し、三菱ケミカルアナリティック社製低抵抗率計及び四端子プローブを用いることにより測定することができる。
【0038】
この場合、ループ状導体20は、導電性インキを印刷する方法により形成された印刷層であっても良い。導電性インキとしては、例えば、アルミ粉、銅粉、銀粉、金粉あるいはその表面を異種金属で被覆あるいは化学的に修飾した粒子を含む導電性インキを用いることができる。このように、ループ状導体20を例えば金属粉を含む導電性インキの印刷層により構成した場合、ループ状導体20を例えばエッチングにより形成する場合と比較して、生産コストを安価に抑えることができる。あるいは、ループ状導体20は、例えば、金属箔をケミカルエッチングする方法により形成されても良い。金属箔としては、例えば、アルミニウムや銅等を用いることができる。金属箔は、第1基材41上にめっきや蒸着、ドライラミネート、接着剤を用いた接着等により形成可能である。
【0039】
また、各アンテナ42は、例えば、導電性インキを印刷する方法により形成された印刷層であっても良い。導電性インキとしては、例えば、カーボン、アルミ粉、銅粉、銀粉、金粉あるいはその表面を異種金属で被覆あるいは化学的に修飾した粒子を含むなどの粒子を含む導電性インキを用いることができる。このように、各アンテナ42を例えばカーボンを含む導電性インキの印刷層により構成した場合、アンテナ42を例えばエッチングにより形成する場合や、例えばアルミ粉、銅粉、銀粉等の金属粉を含む導電性インキから形成する場合と比較して、生産コストを安価にすることができる。さらに、ループ状導体20及びアンテナ42を、ともに導電性インキを印刷する方法により形成する場合、例えば多色印刷機を用い、ループ状導体20用のインキとアンテナ42用のインキとを用いて、それぞれ印刷しても良い。この場合、ループ状導体20及びアンテナ42を安価に形成することができる。ループ状導体20とアンテナ42とで、インキの構成、金属と樹脂との比率、膜厚、印刷方法などを変えても良い。
【0040】
図2(a)(b)に示すように、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5と同一となっていても良い。ループ状導体20の厚みT2は、必要とされるループ状導体20のシート抵抗に応じて適宜調整することができ、ループ状導体20の適正な厚みT2は、材料、印刷方法等によって決定されうる。一例として、ループ状導体20の厚みT2は、0.1μm以上50μm以下としても良く、アンテナ42の厚みT5は、例えば0.04μm以上50μm以下としても良い。なお、ループ状導体20の厚みT2及びアンテナ42の厚みT5とは、それぞれループ状導体20及びアンテナ42の主たる面の法線方向に測定した場合の、ループ状導体20及びアンテナ42の最大厚みをいう。
【0041】
また、ループ状導体20及びアンテナ42は、ともに導電性インキを印刷する方法により形成された印刷層であり、ループ状導体20がアンテナ42よりも厚く形成されていても良い。導電性インキとしては、例えば、アルミ粉、銅粉、銀粉などの粒子、あるいはカーボンなどの粒子を含む導電性インキを用いることができる。このように、ループ状導体20及びアンテナ42を導電性インキの印刷層により構成した場合、ループ状導体20及びアンテナ42を例えばエッチングにより形成する場合と比較して、生産コストを安価にすることができる。この場合、ループ状導体20をアンテナ42よりも厚く印刷することにより、ループ状導体20の厚みT2をアンテナ42の厚みT5よりも厚くしても良い。なお、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5の、例えば1.5倍以上3倍以下としても良い。さらに、ループ状導体20及びアンテナ42を、ともに導電性インキを印刷する方法により形成する場合、例えば多色印刷機を用いても良い。すなわちループ状導体20用の導電性インキとアンテナ42用の導電性インキとを用いて、それぞれループ状導体20の厚みT2がアンテナ42の厚みT5よりも厚くなるように印刷しても良い。この場合、アンテナ42の厚みT5を薄く形成することができるので、アンテナ42を安価に形成することができる。さらにアンテナ42の導電性インキは樹脂濃度を高めることができるため、塗膜強度を改善することができ、アンテナ42の耐擦性、耐屈曲性を向上することができる。
【0042】
図3及び
図4は、それぞれICチップ付き物品30の変形例を示す図であり、
図2(a)に対応する断面図である。
図3に示すように、一対のアンテナ42が連結部分42aで互いに連結され、この連結部分42a上にループ状導体20を配置しても良い。あるいは、
図4に示すように、ループ状導体20の一部が、各アンテナ42の一部に重なるように配置されていても良い。
【0043】
なお、本実施の形態において、(i)ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含み、かつ(ii)ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5と同一の厚みとなっている。しかしながら、これに限らず、例えば、(i)ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含み、かつ(ii)ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5よりも厚いか、アンテナ42の厚みT5よりも薄くても良い。
【0044】
また
図2に示すように、ICチップ付き物品30の全体の厚みT4は、200μm以上3600μm以下としても良い。
【0045】
図5に示すように、ICチップ付き物品30は、例えばRFIDタグ35であっても良い。このようなRFIDタグ35は、それ自体が独立して流通性をもつものである。RFIDタグ35は、例えば商品管理に利用される際、第1基材41に形成した図示しない粘着剤層を利用して商品に貼り付けられても良い。
【0046】
また
図6に示すように、ICチップ付き物品30は、例えば包材36であっても良い。この包材36には、図示しない印刷層が形成されていても良い。このような包材36は、内容物を収容するための収容部を有する容器を含んでいても良い。この場合、第1基材41が容器の主たる基材を構成する。あるいは、包材36としては、収容部を有する容器に対して取り付けるものであっても良い。この場合、第1基材41は容器の主たる基材とは別の基材を構成する。
【0047】
ICチップ付き物品30が包材36である場合、包材36としては、軟包装材、紙器又は樹脂成形品等であっても良い。このうち軟包装材としては、例えば、パウチ、ピロー、シュリンクラベル、インモールドラベル容器、蓋材等が挙げられる。また紙器としては、例えば、箱等の一般紙器、紙容器、紙カップ、紙トレイ又は台紙等が挙げられる。また樹脂成形品としては、ブリスター容器、真空成形容器、深絞り容器、射出成形容器、ブロー成形容器、プラスチックボトル等が挙げられる。なお、
図6においては、包材36が紙容器である場合を示している。
【0048】
ICチップ付き物品30が包材36である場合、アンテナ42は、容器の外面側(収容部の反対側)に位置していても良い。この場合、ICチップ12、ループ状導体20及びアンテナ42は、それぞれ第1基材41よりも外面側に位置していても良い。あるいは、アンテナ42は、容器の内面側(収容部側)に位置していても良い。この場合、ICチップ12及びループ状導体20は、容器の内面側(収容部側)に位置していても良く、容器の外面側(収容部の反対側)に位置していても良い。
【0049】
また、ICチップ付き物品30が包材36である場合、アンテナ42を覆うように、包材36用の通常の印刷層が形成されていても良い。
【0050】
[ICチップ付き物品の製造方法]
次に、本実施の形態によるICチップ付き物品30の製造方法について、
図7(a)-(d)を用いて説明する。
【0051】
この場合、まず
図7(a)に示すように、樹脂シート(フィルム)や紙基材等からなる第1基材41を準備する。
【0052】
次に、
図7(b)に示すように、第1基材41上に所定のパターンを有するアンテナ42を形成する。各アンテナ42は、例えば、導電性インキを印刷することにより形成されても良い。導電性インキとしては、例えば、カーボンなどの粒子を含む導電性インキを用いることができる。導電性インキを印刷する場合、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、又はインクジェット法が用いられても良い。
【0053】
続いて、
図7(c)に示すように、第1基材41上に所定のパターンを有するループ状導体20を形成する。このループ状導体20は、アンテナ42に対して結合される。ループ状導体20は、例えば、導電性インキを印刷することにより形成されても良い。導電性インキとしては、例えば、アルミ粉、銅粉、銀粉などの粒子を含む導電性インキを用いることができる。導電性インキを印刷する場合、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、又はインクジェット法が用いられても良い。あるいは、ループ状導体20は、例えば、金属箔をケミカルエッチングする方法、又は金属箔を打ち抜く方法により形成されても良い。なおこのとき、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含む。なお、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5と同一であっても良く、アンテナ42の厚みT5と異なっていても良い。
【0054】
なお、導電性インキを印刷で形成する場合、アンテナ42及びループ状導体20を同一の印刷機を用いて形成しても良い。また、導電性インキを塗布する印刷機と同一の印刷機を用いて、アンテナ42及びループ状導体20とともに、通常の印刷層(例えば包材36用の印刷層)を形成しても良い。
【0055】
なお上記に限らず、アンテナ42は、ループ状導体20と同時に形成しても良い。あるいは、ループ状導体20を形成した後、アンテナ42を形成しても良い。
【0056】
その後、
図7(d)に示すように、図示しない接続層を介して、ループ状導体20上にICチップ12を実装する。接続層としては例えば異方性導電膜を用いても良い。この場合、異方性導電膜をループ状導体20とICチップ12との間に配置して加熱しながら圧力を加えることで、ループ状導体20とICチップ12とを電気的に接続することができる。このようにして、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上でアンテナ42に結合されるループ状導体20と、ループ状導体20上のICチップ12とを備えたICチップ付き物品30が得られる。
【0057】
このように本実施の形態によれば、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含む。これにより、アンテナ42よりも低抵抗にすることが求められるループ状導体20のシート抵抗をアンテナ42よりも低くすることができる。このようにループ状導体20のシート抵抗を下げることにより、ループ状導体20の共振が不十分になることを抑え、ICチップ付き物品30を用いた無線通信の伝搬距離を延長することができる。
【0058】
また本実施の形態によれば、アンテナ42及びループ状導体20は、それぞれ印刷層である。これにより、アンテナ42及びループ状導体20を低コストで形成することができる。また、とりわけ印刷により形成する場合、アンテナ42のシート抵抗は必要とされる数値を満たしても、ループ状導体20のシート抵抗は必要とされる数値よりも高くなりやすい。これに対して本実施の形態においては、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含む。これにより、ループ状導体20のシート抵抗を低下させることができる。
【0059】
また本実施の形態によれば、アンテナ42は、カーボンを含んでいてもよい。これにより、アンテナ42を安価に作製することができる。また本実施の形態によれば、ループ状導体20は、銀を含んでいてもよい。これにより、ループ状導体20を低抵抗にすることができる。この場合、必ずしも低抵抗でなくても良いアンテナ42は、カーボンを含む安価な導電インキで作製し、低抵抗とすることが求められるループ状導体20は、銀を含む低抵抗の導電インキで作製することができる。これにより、生産コストを大きく上昇することなく、ループ状導体20のシート抵抗を下げることができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
次に、
図8及び
図9を参照して、第2の実施の形態について説明する。
図8及び
図9は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図8及び
図9に示す第2の実施の形態は、ループ状導体20が、第1印刷層32と第2印刷層33とから構成されている点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図7に示す第1の実施の形態と略同一である。
図8及び
図9において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
図8及び
図9に示すように、ICチップ付き物品30は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20と、ループ状導体20に接続されたICチップ12とを備えている。
【0062】
本実施の形態において、アンテナ42が単一の第1印刷層32から構成され、ループ状導体20が、第1印刷層32と、第1印刷層32の上方に位置する第2印刷層33とから構成されている。これにより、ループ状導体20の厚みT2がアンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている。この場合、第1印刷層32は、カーボンなどの粒子を含む導電性インキを印刷することにより形成されても良い。また、第2印刷層33は、第1印刷層32よりも体積抵抗率が低い材料を用いても良く、第1印刷層32と第2印刷層33とが互いに同一の材料から構成されていても良い。第2印刷層33は、例えば多色印刷機を用いて第1印刷層32上に重ねるように印刷形成されたものであっても良く、アルミ粉、銅粉、銀粉等の金属粉を含む導電性インキを第1印刷層32上に印刷することにより形成されても良い。このように、ループ状導体20が第1印刷層32と第2印刷層33とから構成されることにより、ループ状導体20及びアンテナ42を安価に形成することができ、かつループ状導体20をアンテナ42よりも低抵抗にすることができる。なお、図示していないが、ループ状導体20が3層以上の印刷層を含んでいても良く、アンテナ42が2層以上の印刷層を含んでいても良い。また、第2印刷層33が第1印刷層32の下方に位置していても良い。
【0063】
(第3の実施の形態)
次に、
図10及び
図11を参照して、第3の実施の形態について説明する。
図10及び
図11は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図10及び
図11に示す第3の実施の形態は、ループ状導体20の厚みT2がアンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図7に示す第1の実施の形態と略同一である。
図10及び
図11において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
図10及び
図11に示すように、ICチップ付き物品30は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20と、ループ状導体20に接続されたICチップ12とを備えている。
【0065】
本実施の形態において、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている。ループ状導体20の厚みT2は、必要とされるループ状導体20のシート抵抗に応じて適宜調整することができ、ループ状導体20の適正な厚みT2は、材料、印刷方法等によって決定されうる。一例として、ループ状導体20の厚みT2は、0.1μm以上50μm以下としても良く、アンテナ42の厚みT5は、例えば0.1μm以上50μm以下としても良い。この場合、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5の、例えば1.5倍以上3倍以下としても良い。
【0066】
ループ状導体20及びアンテナ42は、ともに導電性インキを印刷する方法により形成された印刷層であり、ループ状導体20がアンテナ42よりも印刷により厚く形成されていても良い。導電性インキとしては、例えば、アルミ粉、銅粉、銀粉などの粒子、あるいはカーボンなどの粒子を含む導電性インキを用いることができる。このように、ループ状導体20及びアンテナ42を導電性インキの印刷層により構成した場合、ループ状導体20及びアンテナ42を例えばエッチングにより形成する場合と比較して、生産コストを安価にすることができる。この場合、ループ状導体20とアンテナ42が同一の材料からなり、ループ状導体20を重ね塗り等することによりアンテナ42よりも厚く印刷しても良い。さらに、ループ状導体20及びアンテナ42を、ともに導電性インキを印刷する方法により形成する場合、例えば多色印刷機を用いても良い。すなわちループ状導体20用の導電性インキとアンテナ42用の導電性インキとを用いて、それぞれループ状導体20の厚みT2がアンテナ42の厚みT5よりも厚くなるように印刷しても良い。この場合、アンテナ42の厚みT5を薄く形成することができるので、アンテナ42を安価に形成することができる。
【0067】
(第4の実施の形態)
次に、
図12乃至
図14を参照して、第4の実施の形態について説明する。
図12乃至
図14は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図12乃至
図14に示す第4の実施の形態は、ICチップ付き物品30が、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とアンテナ付き基材40とから構成される点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図7に示す第1の実施の形態と略同一である。
図12乃至
図14において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図12及び
図13に示すように、本実施の形態によるICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続された、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。ICチップが接続又は容量結合された電極対60とアンテナ付き基材40とは互いに別体に構成され、これらを互いに接着することによりICチップ付き物品30が構成される。
【0069】
ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを備えている。このICチップが接続又は容量結合された電極対60は、アンテナ付き基材40と一体となって、図示しないリーダライタとの間で非接触無線通信を行うICチップ付き物品30を構成する。
【0070】
第2基材61は、平面視略矩形形状を有している。第2基材61はICチップ12を支持するものであり、樹脂シート(フィルム)や紙基材を用いることができる。樹脂シート及び紙基材としては、例えば上述した第1基材41に用いられるもの同様のものを使用することができる。
【0071】
接続端子62は、第2基材61上に形成されたものであり、銅等の金属箔導電層から構成されても良い。また接続端子62上に、ICチップ12が取り付けられている。このICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0072】
アンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20とを有している。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0073】
アンテナ付き基材40とICチップが接続又は容量結合された電極対60とは、互いに別体に作製された後、接着層63を介して接続される。接着層63としては、例えばウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレンブタジエン共重合体系接着剤、塩化ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ホットメルト用接着剤等の接着剤を用いることができる。
【0074】
本実施の形態によれば、アンテナ付き基材40とICチップが接続又は容量結合された電極対60とが互いに別体に構成され、これらを接着することによりICチップ付き物品30が作製される。これにより、ICチップ12をアンテナ42に対して実装する際、ICチップ12とアンテナ42との間で高い位置精度が求められることがなく、ICチップ付き物品30を容易に製造することができる。
【0075】
なお、
図14に示すように、接続端子62のうちループ状導体20と重なる部分62aは、接続端子62の他の部分よりも太くなっていることが好ましい。同様に、ループ状導体20のうち接続端子62と重なる部分(接続部23)は、ループ状導体20の他の部分よりも太くなっていることが好ましい。これにより、接続端子62と接続部23との間の容量結合を大きくすることができる。
【0076】
(第5の実施の形態)
次に、
図15及び
図16を参照して、第5の実施の形態について説明する。
図15及び
図16は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図15及び
図16に示す第5の実施の形態は、ICチップが接続又は容量結合された電極対60がループ状導体20の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図12乃至
図14に示す第4の実施の形態と略同一である。
図15及び
図16において、
図12乃至
図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
図15及び
図16に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続された、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。このうちアンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20とを有している。ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを有している。ICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0078】
本実施の形態において、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第1基材41に対してループ状導体20及びアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちICチップが接続又は容量結合された電極対60とループ状導体20との間に、第1基材41が介在されている。この場合、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、ICチップ12を第1基材41側に向けた状態で、接着層63によって第1基材41に接合されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0079】
(第6の実施の形態)
次に、
図17及び
図18を参照して、第6の実施の形態について説明する。
図17及び
図18は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図17及び
図18に示す第6の実施の形態は、ループ状導体20が、第1印刷層32と第2印刷層33とから構成されている点が異なるものであり、他の構成は上述した
図12乃至
図14に示す第4の実施の形態と略同一である。
図17及び
図18において、
図12乃至
図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
図17及び
図18に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続されたICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。このうちアンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20とを有している。ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを有している。ICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0081】
本実施の形態において、アンテナ42が単一の第1印刷層32から構成され、ループ状導体20が、第1印刷層32と、第1印刷層32の上方に位置する第2印刷層33とを含んでいる。これにより、ループ状導体20の厚みT2がアンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている。この場合、第1印刷層32は、カーボンなどの粒子を含む導電性インキを印刷することにより形成されても良い。また、第2印刷層33は、第1印刷層32よりも体積抵抗率が低い材料を用いても良い。このように、ループ状導体20が第1印刷層32と第2印刷層33とから構成されることにより、ループ状導体20及びアンテナ42を安価に形成することができ、かつループ状導体20をアンテナ42よりも低抵抗にすることができる。なお、
図18において、接着層63の平面形状は第2基材61の平面形状よりも小さいが、これに限らず、接着層63の平面形状を第2基材61の平面形状と同一としても良い。また、第2印刷層33が第1印刷層32の下方に位置していても良い。
【0082】
(第7の実施の形態)
次に、
図19及び
図20を参照して、第7の実施の形態について説明する。
図19及び
図20は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図19及び
図20に示す第7の実施の形態は、ICチップが接続又は容量結合された電極対60がループ状導体20の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図17及び
図18に示す第6の実施の形態と略同一である。
図19及び
図20において、
図17及び
図18に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
図19及び
図20に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続された、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。このうちアンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20とを有している。ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを有している。ICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0084】
本実施の形態において、アンテナ42が単一の第1印刷層32から構成され、ループ状導体20が、第1印刷層32と、第1印刷層32の上方に位置する第2印刷層33とを含んでいる。また、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第1基材41に対してループ状導体20及びアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちICチップが接続又は容量結合された電極対60とループ状導体20との間に、第1基材41が介在されている。この場合、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、ICチップ12を第1基材41側に向けた状態で、接着層63によって第1基材41に接合されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。また、第2印刷層33が第1印刷層32の下方に位置していても良い。
【0085】
(第8の実施の形態)
次に、
図21及び
図22を参照して、第8の実施の形態について説明する。
図21及び
図22は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図21及び
図22に示す第8の実施の形態は、ループ状導体20の厚みT2がアンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている点が異なるものであり、他の構成は上述した
図12乃至
図14に示す第4の実施の形態と略同一である。
図21及び
図22において、
図12乃至
図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
図21及び
図22に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続された、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。このうちアンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20とを有している。ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを有している。ICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0087】
本実施の形態において、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている。ループ状導体20の厚みT2は、必要とされるループ状導体20のシート抵抗に応じて適宜調整することができ、ループ状導体20の適正な厚みT2は、材料、印刷方法等によって決定されうる。一例として、ループ状導体20の厚みT2は、0.1μm以上50μm以下としても良く、アンテナ42の厚みT5は、例えば0.1μm以上50μm以下としても良い。この場合、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5の、例えば1.5倍以上3倍以下としても良い。ループ状導体20及びアンテナ42は、ともに導電性インキを印刷する方法により形成された印刷層であり、ループ状導体20がアンテナ42よりも印刷により厚く形成されていても良い。例えば、この場合、ループ状導体20とアンテナ42が同一の材料からなり、ループ状導体20を重ね塗り等することによりアンテナ42よりも厚くしても良い。この場合、アンテナ42の厚みT5を薄く形成することができるので、アンテナ42を安価に形成することができる。
【0088】
(第9の実施の形態)
次に、
図23及び
図24を参照して、第9の実施の形態について説明する。
図23及び
図24は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図23及び
図24に示す第9の実施の形態は、ICチップが接続又は容量結合された電極対60がループ状導体20の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図21及び
図22に示す第8の実施の形態と略同一である。
図23及び
図24において、
図21及び
図22に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0089】
図23及び
図24に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続された、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。このうちアンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置され、一対のアンテナ42に直接接続されたループ状導体20とを有している。ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを有している。ICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0090】
本実施の形態において、ループ状導体20の厚みT2は、アンテナ42の厚みT5よりも厚くなっている。また、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第1基材41に対してループ状導体20及びアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちICチップが接続又は容量結合された電極対60とループ状導体20との間に、第1基材41が介在されている。この場合、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、ICチップ12を第1基材41側に向けた状態で、接着層63によって第1基材41に接合されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、ループ状導体20及びアンテナ42は、ともに導電性インキを印刷する方法により形成された印刷層であり、ループ状導体20がアンテナ42よりも印刷により厚く形成されていても良い。例えば、この場合、ループ状導体20とアンテナ42が同一の材料からなり、ループ状導体20を重ね塗り等することによりアンテナ42よりも厚くしても良い。
【0091】
(第10の実施の形態)
次に、
図25乃至
図27を参照して、第10の実施の形態について説明する。
図25乃至
図27は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図25乃至
図27に示す第10の実施の形態は、ICチップ付き物品30が、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とアンテナ付き基材50とから構成され、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10がループ状導体20とICチップ12とを両方とも含む点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図7に示す第1の実施の形態と略同一である。
図25乃至
図27において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
図25及び
図26に示すように、本実施の形態によるICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材50と、アンテナ付き基材50に接続された、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とを備えている。ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とアンテナ付き基材50とは互いに別体に構成され、これらを互いに接着することによりICチップ付き物品30が構成される。
【0093】
ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10は、第3基材11と、第3基材11上のループ状導体20と、ループ状導体20に接続されたICチップ12とを有している。このICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10は、アンテナ付き基材50と一体となって、図示しないリーダライタとの間で非接触無線通信を行うICチップ付き物品30を構成する。
【0094】
第3基材11は、平面視略矩形形状を有している。第3基材11はループ状導体20及びICチップ12を支持するものであり、樹脂シート(フィルム)や紙基材を用いることができる。樹脂シート及び紙基材としては、例えば、上述した第1基材41に用いられるものと同様のものを使用することができる。
【0095】
ループ状導体20は、第3基材11上に積層されている。またICチップ12は、ループ状導体20上に積層されている。
【0096】
アンテナ付き基材50は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42とを有している。一対のアンテナ42は、ループ状導体20に対して接着層31を介して結合(容量結合)されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0097】
アンテナ付き基材50とICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とは、互いに別体に作製された後、接着層31を介して接続される。接着層31としては、例えばウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレンブタジエン共重合体系接着剤、塩化ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ホットメルト用接着剤等の接着剤を用いることができる。
【0098】
本実施の形態によれば、アンテナ付き基材50とICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とが互いに別体に構成され、これらを接着することによりICチップ付き物品30が作製される。これにより、ICチップ12をアンテナ42に対して実装する際、ICチップ12とアンテナ42との間で高い位置精度が求められることがなく、ICチップ付き物品30を容易に製造することができる。
【0099】
なお、
図27に示すように、ループ状導体20のうち、アンテナ42の内側端部43と重なる部分に、面方向外側に突出する突起部26を設けても良い。これにより、ループ状導体20の突起部26とアンテナ42の内側端部43との間の容量結合を大きくすることができる。
【0100】
(第11の実施の形態)
次に、
図28乃至
図30を参照して、第11の実施の形態について説明する。
図28乃至
図30は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図28乃至
図30に示す第11の実施の形態は、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10がアンテナ42の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図25乃至
図27に示す第10の実施の形態と略同一である。
図28乃至
図30において、
図25乃至
図27に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0101】
図28及び
図29に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材50と、アンテナ付き基材50に接続された、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とを備えている。このうちアンテナ付き基材50は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と有している。またICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10は、第3基材11と、第3基材11上のループ状導体20と、ループ状導体20に接続されたICチップ12とを有している。
【0102】
本実施の形態において、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10は、第1基材41に対してアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10とアンテナ42との間に、第1基材41が介在されている。この場合、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体10は、ICチップ12を第1基材41側に向けた状態で、接着層31によって第1基材41に接合されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0103】
なお、
図30に示すように、ループ状導体20のうち、アンテナ42の内側端部43と重なる部分に、面方向外側に突出する突起部26を設けても良い。これにより、ループ状導体20の突起部26とアンテナ42の内側端部43との間の容量結合を大きくすることができる。
【0104】
(第12の実施の形態)
次に、
図31及び
図32を参照して、第12の実施の形態について説明する。
図31及び
図32は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図31及び
図32に示す第12の実施の形態は、ICチップ付き物品30が、アンテナ付き基材50と、ICチップが接続又は容量結合された電極対70と、ループ状導体20を有するICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とから構成される点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図7に示す第1の実施の形態と略同一である。
図31及び
図32において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0105】
図31及び
図32に示すように、本実施の形態によるICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材50と、アンテナ付き基材50に接合された、ICチップが接続又は容量結合された電極対70と、ICチップが接続又は容量結合された電極対70に接合されたICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とを備えている。アンテナ付き基材50と、ICチップが接続又は容量結合された電極対70と、ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とは互いに別体に構成され、これらを互いに接着することによりICチップ付き物品30が構成される。すなわちICチップが接続又は容量結合された電極対70及びICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80は、アンテナ付き基材50と一体となって、図示しないリーダライタとの間で非接触無線通信を行うICチップ付き物品30を構成する。
【0106】
ICチップが接続又は容量結合された電極対70は、第4基材71と、第4基材71上の接続端子72と、接続端子72上のICチップ12とを有している。第4基材71は、平面視略矩形形状を有している。第4基材71はICチップ12を支持するものであり、樹脂シート(フィルム)や紙基材を用いることができる。樹脂シート及び紙基材としては、例えば上述した第1基材41に用いられるもの同様のものを使用することができる。接続端子72は、第4基材71上に形成されたものであり、銅等の金属箔導電層から構成されても良い。また接続端子72上にICチップ12が取り付けられている。
【0107】
ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80は、第5基材81と、第5基材81上のループ状導体20とを有している。第5基材81は、平面視略矩形形状を有している。第5基材81はループ状導体20を支持するものであり、樹脂シート(フィルム)や紙基材を用いることができる。樹脂シート及び紙基材としては、例えば、上述した第1基材41に用いられるものと同様のものを使用することができる。ループ状導体20は、第5基材81上に積層されている。ICチップが接続又は容量結合された電極対70のICチップ12は、接続端子72を介してループ状導体20に容量結合されている。
【0108】
アンテナ付き基材50は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42とを有している。一対のアンテナ42は、ループ状導体20に対して接着層73を介して結合(容量結合)されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0109】
ICチップが接続又は容量結合された電極対70とICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とは、互いに別体に作製された後、接着層83を介して接続される。また、アンテナ付き基材50と、ICチップが接続又は容量結合された電極対70及びICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とは、接着層73を介して接続される。接着層73、83としては、例えばウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレンブタジエン共重合体系接着剤、塩化ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ホットメルト用接着剤等の接着剤を用いることができる。
【0110】
本実施の形態によれば、アンテナ付き基材50とICチップが接続又は容量結合された電極対70とICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とが互いに別体に構成され、これらを接着することによりICチップ付き物品30が作製される。これにより、ICチップ12をアンテナ42に対して実装する際、ICチップ12とアンテナ42との間で高い位置精度が求められることがなく、ICチップ付き物品30を容易に製造することができる。
【0111】
なお、本実施の形態においても、ループ状導体20のうち、アンテナ42の内側端部43と重なる部分に、面方向外側に突出する突起部26を設けても良い(
図27及び
図30参照)。
【0112】
(第13の実施の形態)
次に、
図33及び
図34を参照して、第13の実施の形態について説明する。
図33及び
図34は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図33及び
図34に示す第13の実施の形態は、ICチップが接続又は容量結合された電極対70及びICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80がアンテナ42の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図31及び
図32に示す第12の実施の形態と略同一である。
図33及び
図34において、
図31及び
図32に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0113】
図33及び
図34に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材50と、アンテナ付き基材50に接合されたICチップが接続又は容量結合された電極対70と、ICチップが接続又は容量結合された電極対70に接合されたICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とを備えている。このうちアンテナ付き基材50は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と有している。またICチップが接続又は容量結合された電極対70は、第4基材71と、第4基材71上の接続端子72と、接続端子72上のICチップ12とを有している。ICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80は、第5基材81と、第5基材81上のループ状導体20とを有している。
【0114】
本実施の形態において、ICチップが接続又は容量結合された電極対70及びICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80は、第1基材41に対してアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちICチップが接続又は容量結合された電極対70及びICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とアンテナ42との間に、第1基材41が介在されている。この場合、ICチップが接続又は容量結合された電極対70とICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とは、接着層83を介して接続される。また、アンテナ付き基材50と、ICチップが接続又は容量結合された電極対70及びICチップが接続又は容量結合されたループ状導体80とは、接着層73を介して接続される。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0115】
(第14の実施の形態)
次に、
図35及び
図36を参照して、第14の実施の形態について説明する。
図35及び
図36は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図35及び
図36に示す第14の実施の形態は、ループ状導体20及びICチップ12がアンテナ42の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図7に示す第1の実施の形態と略同一である。
図35及び
図36において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0116】
図35及び
図36に示すように、ICチップ付き物品30は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置されたループ状導体20と、ループ状導体20に接続されたICチップ12とを備えている。
【0117】
本実施の形態において、ループ状導体20及びICチップ12は、第1基材41に対してアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちループ状導体20及びICチップ12とアンテナ42との間に、第1基材41が介在されている。この場合、一対のアンテナ42は、ループ状導体20に容量結合されている。なお、一対のアンテナ42は互いに接続されているが、これに限らず、一対のアンテナ42が互いに分離していても良い。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0118】
(第15の実施の形態)
次に、
図37及び
図38を参照して、第15の実施の形態について説明する。
図37及び
図38は、本実施の形態によるICチップ付き物品を示す図である。
図37及び
図38に示す第15の実施の形態は、ICチップが接続又は容量結合された電極対60及びループ状導体20がアンテナ42の反対側に位置している点が異なるものであり、他の構成は上述した
図12乃至
図14に示す第4の実施の形態と略同一である。
図37及び
図38において、
図12乃至
図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0119】
図37及び
図38に示すように、ICチップ付き物品30は、アンテナ付き基材40と、アンテナ付き基材40に接続された、ICチップが接続又は容量結合された電極対60とを備えている。このうちアンテナ付き基材40は、第1基材41と、第1基材41上の一対のアンテナ42と、第1基材41上に配置されたループ状導体20とを有している。ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、第2基材61と、第2基材61上の接続端子62と、接続端子62上のICチップ12とを有している。ICチップ12は、接続端子62を介してアンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。また一対のアンテナ42は、アンテナ付き基材40のループ状導体20に容量結合されている。
【0120】
本実施の形態において、ICチップが接続又は容量結合された電極対60及びループ状導体20は、第1基材41に対してアンテナ42の反対側の面に位置している。すなわちICチップが接続又は容量結合された電極対60及びループ状導体20とアンテナ42との間に、第1基材41が介在されている。この場合、ICチップが接続又は容量結合された電極対60は、ICチップ12を第1基材41側に向けた状態で、接着層63によって第1基材41及びループ状導体20に接合されている。本実施の形態において、ループ状導体20は、アンテナ42の材料よりも体積抵抗率が低い材料を含んでいても良い。またループ状導体20の厚みがアンテナ42の厚みよりも厚くても良い。
【0121】
上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0122】
12 ICチップ
20 ループ状導体
30 ICチップ付き物品
41 第1基材
42 アンテナ
43 内側端部
44 アンテナ配線部