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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】穀稈の刈取作業方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/00 20060101AFI20240912BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A01D69/00 302D
A01D69/00 302H
A01B69/00 303M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022071551
(22)【出願日】2022-04-25
(65)【公開番号】P2023161275
(43)【公開日】2023-11-07
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 宏樹
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-188756(JP,A)
【文献】特開2019-4792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 69/00
A01B 69/00
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載した機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀処理を行う脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設け、該操縦部(5)にコンバインを自動走行させる設定経路(45,46)を設定するコントローラ(30)を設けたコンバインを使用して圃場の穀稈を刈取る穀稈の刈取作業方法であって、
前記設定経路(45,46)に沿ってコンバインが自動走行している自動走行中に、前記エンジン(E)の負荷が予め設定した設定負荷を超えた場合には、前記コントローラ(30)は、前記エンジン(E)の出力回転速度の増速を停止して、前記走行装置(2)の走行速度を減速させ
前記設定経路(45,46)の終端部の手前に減速開始位置(47)を設け、前記コンバインが減速開始位置(47)に到達した場合には、前記コントローラ(30)は、前記走行装置(2)の走行速度を減速させ、
前記刈取装置(3)と脱穀装置(4)が駆動している場合には、前記走行装置(2)の走行速度を維持して減速を行わないことを特徴とする穀稈の刈取作業方法。
【請求項2】
前記エンジン(E)の負荷が設定負荷以下になった場合には、前記コントローラ(30)は、前記走行装置(2)の走行速度を減速前の走行速度に増速させる請求項1記載の穀稈の刈取作業方法。
【請求項3】
前記エンジン(E)の負荷が設定負荷以下になった場合には、前記コントローラ(30)は、前記走行装置(2)の走行速度を予め定めた設定速度に増速させる請求項1記載の穀稈の刈取作業方法。
【請求項4】
前記設定速度をコンバインの最高走行速度の50~70%に設定した請求項3記載の穀稈の刈取作業方法。
【請求項5】
前記刈取装置(3)内に穀稈が無く、前記刈取装置(3)が上昇して待避姿勢にある場合には、前記コンバインの自動走行を停止する請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法。
【請求項6】
前記コンバインの位置情報を送受信するアンテナ(28,29)の通信が不通になった場合には、前記コンバインの自動走行を停止する請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法。
【請求項7】
前記設定経路(45,46)は、前記コンバインの手動走行中に穀稈条列に沿って設けられた第1基準点(41)と第2基準点(42)を結ぶ直線状の基準経路(43)に基づいて設定された請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインを自動走行させて穀稈の刈取作業方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の穀稈の刈取作業方法では、コンバインの刈取装置の下部に畦や塀等の障害物を検出するセンサを設け、センサが障害物を検出した場合には、コンバインの自動走行を停止して、コンバインが障害物に衝突して破損するのを防止する技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016―10372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の穀稈の刈取作業方法では、コンバインがセンサでは検出できない圃場の水溜まり等の泥濘にはまり込んだ場合には、コンバインの走行装置の走行速度を増速させてコンバインを泥濘から脱出させるために、エンジンの負荷が急上昇し、エンジンがオーバヒート等の作動不良に陥る恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、エンジンに過度な負荷が加わるのを防止してエンジンが作動不良に陥いることを防止することができる穀稈の刈取作業方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジン(E)を搭載した機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀処理を行う脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設け、該操縦部(5)にコンバインを自動走行させる設定経路(45,46)を設定するコントローラ(30)を設けたコンバインを使用して圃場の穀稈を刈取る穀稈の刈取作業方法であって、
前記設定経路(45,46)に沿ってコンバインが自動走行している自動走行中に、前記エンジン(E)の負荷が予め設定した設定負荷を超えた場合には、前記コントローラ(30)は、前記エンジン(E)の出力回転速度の増速を停止して、前記走行装置(2)の走行速度を減速させ、前記設定経路(45,46)の終端部の手前に減速開始位置(47)を設け、前記コンバインが減速開始位置(47)に到達した場合には、前記コントローラ(30)は、前記走行装置(2)の走行速度を減速させ、前記刈取装置(3)と脱穀装置(4)が駆動している場合には、前記走行装置(2)の走行速度を維持して減速を行わないことを特徴とする穀稈の刈取作業方法である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記エンジン(E)の負荷が設定負荷以下になった場合には、前記コントローラ(30)は、前記走行装置(2)の走行速度を減速前の走行速度に増速させる請求項1記載の穀稈の刈取作業方法である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記エンジン(E)の負荷が設定負荷以下になった場合には、前記コントローラ(30)は、前記走行装置(2)の走行速度を予め定めた設定速度に増速させる請求項1記載の穀稈の刈取作業方法である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記設定速度をコンバインの最高走行速度の50~70%に設定した請求項3記載の穀稈の刈取作業方法である。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項記載の発明は、前記刈取装置(3)内に穀稈が無く、前記刈取装置(3)が上昇して待避姿勢にある場合には、前記コンバインの自動走行を停止する請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法である。
【0013】
請求項記載の発明は、前記コンバインの位置情報を送受信するアンテナ(28,29)の通信が不通になった場合には、前記コンバインの自動走行を停止する請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法である。
【0014】
請求項記載の発明は、前記設定経路(45,46)は、前記コンバインの手動走行中に穀稈条列に沿って設けられた第1基準点(41)と第2基準点(42)を結ぶ直線状の基準経路(43)に基づいて設定された請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、設定経路(45,46)に沿ってコンバインが自動走行している自動走行中に、エンジン(E)の負荷が予め設定した設定負荷を超えた場合には、コントローラ(30)は、エンジン(E)の出力回転速度の増速を停止して、走行装置(2)の走行速度を減速させ、設定経路(45,46)の終端部の手前に減速開始位置(47)を設け、コンバインが減速開始位置(47)に到達した場合には、コントローラ(30)は、走行装置(2)の走行速度を減速させ、刈取装置(3)と脱穀装置(4)が駆動している場合には、走行装置(2)の走行速度を維持して減速を行わないので、エンジン(E)に過度な負荷が加わるのを防止してエンジン(E)が作動不良に陥ることを防止することができる。また、走行装置(2)の走行速度を緩やかに減速させて、設定経路(45,46)の終端部を超えてコンバインが自動走行するのを抑制して、設定経路(45,46)の終端部で自動走行から手動走行に切替えてコンバインの旋回走行等を効率良く行うことができる。さらに、刈取装置(3)の刈取作業と脱穀装置(4)の脱穀作業の効率の低下を抑制することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、エンジン(E)の負荷が設定負荷以下になった場合には、コントローラ(30)は、走行装置(2)の走行速度を減速前の走行速度に増速させるので、走行装置(2)の走行速度を減速前の走行速度に速やかに復帰することができ、穀稈の刈取作業の効率の低下を抑制することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、エンジン(E)の負荷が設定負荷以下になった場合には、コントローラ(30)は、走行装置(2)の走行速度を予め定めた設定速度に増速させるので、走行装置(2)の走行速度の急加速を防止して安全性を高めることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、設定速度をコンバインの最高走行速度の50~70%に設定したので、走行装置(2)の走行速度の急加速を防止して安全性をより高めることができる。
【0019】
【0020】
【0021】
請求項記載の発明によれば、請求項1~4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、刈取装置(3)内に穀稈が無く、刈取装置(3)が上昇して待避姿勢にある場合には、コンバインの自動走行を停止するので、コンバインの手動走行に速やかに切替えることができ、コンバインが畦等に衝突するのも防止することができる。
【0022】
請求項記載の発明によれば、請求項1~4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、コンバインの位置情報を送受信するアンテナ(28,29)の通信が不通になった場合には、コンバインの自動走行を停止するので、危険を回避して、燃料の消費も抑制することができる。
【0023】
請求項記載の発明によれば、請求項1~4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、設定経路(45,46)は、コンバインの手動走行中に穀稈条列に沿って設けられた第1基準点(41)と第2基準点(42)を結ぶ直線状の基準経路(43)に基づいて設定されたので、コンバインを自動走行させて圃場の穀稈の刈取作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】コンバインの平面図である。
図3】測位ユニットの接続図である。
図4】コントローラの接続図である。
図5】第1往復刈りモードの説明図である。
図6】第2往復刈りモードの説明図である。
図7】回刈りモードの説明図である。
図8】共通操作方法の説明図である。
図9】第1往復刈りの操作方法の説明図である。
図10】第2往復刈りの操作方向の説明図である。
図11】回刈りの操作方法の説明図である。
図12】エンジンEの出力回転の伝動図である。
図13】無段変速装置の説明図である。
図14】自動走行時の操作方法の説明図である。
図15】エンジンの負荷が所定以上になった場合の説明図である。
図16】第1往復刈りモードのコンバインが(a)は減速開始位置に到達した説明図であり、(b)は走行装置の走行速度の減速の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0026】
操縦部5の下側にエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。
【0027】
操縦部5の操縦席の前側のフロントパネルの中央部に走行装置2の走行速度等を表示するタッチパネル式のモニタ11が設けられ、モニタ11の右側に走行装置2を左右方向に旋回と刈取装置3を上下方向の昇降させる操作レバー12が設けられ、モニタ11と操作レバー12の間には、穀稈を刈取るモードを切替えるモード切替スイッチ13が設けられ、モニタ11の左側には、異常発生時に警報を鳴らす警報機14が設けられている。
【0028】
走行装置2を左右方向に旋回させる操作レバー12の操作状態は、操作レバー12の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ12Aによって測定され、刈取装置3を昇降させる操作レバー12の操作状態は、操作レバー12の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ12Bによって測定される。モード切替スイッチ13は、操作レバー12に設けてもよく、また、モード切替スイッチ13のモードの切替え操作は刈取作業開始時に行われる。
【0029】
操縦部5の操縦席の左側のサイドパネルの前部に走行装置2の走行速度を増減速させる変速レバー15が設けられ、変速レバー15の後側には刈取クラッチ3Tと脱穀クラッチ4Tの接続と接続解除を行う刈脱レバー16が設けられ、変速レバー15の左側には排出クラッチ8Tの接続と接続解除を行う排出レバー17が設けられている。
【0030】
変速レバー15を中立姿勢にした場合には、エンジンEの出力回転の増減速と出力回転の回転方向の切換えを行う無段変速装置51の出力回転はゼロになる。変速レバー15を中立姿勢から前側傾斜姿勢にした場合には、前側傾斜姿勢の傾斜角度の大きさに応じで無段変速装置51の出力回転は増減速され、無段変速装置51の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と同じ正回転となる。また、変速レバー15を中立姿勢から後側傾斜姿勢にした場合には、後側傾斜姿勢の傾斜角度の大きさに応じで無段変速装置51の出力回転は増減速され、無段変速装置51の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と逆さの逆回転となる。また、変速レバー15の操作状態は、変速レバー15の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ15Aによって測定されている。
【0031】
刈脱レバー16を前側傾斜姿勢にした場合には、刈取クラッチ3Tと脱穀クラッチ4Tの接続は解除され、刈脱レバー16を後側傾斜姿勢にした場合には、刈取クラッチ3Tと脱穀クラッチ4Tが接続される。また、刈脱レバー16を前側傾斜姿勢と後側傾斜姿勢の間の中立姿勢にした場合には、刈取クラッチ3Tの接続は解除され、脱穀クラッチ4Tは接続される。また、刈脱レバー16の操作状態は、刈脱レバー16の下部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ16Sで測定される。
【0032】
刈取クラッチ3Tが接続されるとエンジンEの出力回転が刈取装置3に伝動されて刈取装置3は駆動し、刈取クラッチ3Tの接続が解除されるとエンジンEの出力回転の刈取装置3への伝動は遮断されて刈取装置3は停止する。また、脱穀クラッチ4Tが接続されるとエンジンEの出力回転が脱穀装置4に伝動されて脱穀装置4は駆動し、脱穀クラッチ4Tの接続が解除されるとエンジンEの出力回転の脱穀装置4への伝動は遮断され脱穀装置4は停止する。
【0033】
排出レバー17を前方傾斜姿勢にした場合には、排出クラッチ8Tが接続され、排出レバー17を後方傾斜姿勢にした場合には、排出クラッチ8Tの接続は解除される。また、排出レバー17の操作状態は、排出レバー17の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ17Aによって測定されている。
【0034】
排出クラッチ8Tが接続されるとエンジンEの出力回転が排出オーガ8に伝動されて排出オーガ8は駆動し、排出クラッチ8Tの接続が解除されるとエンジンEの出力回転の排出オーガ8への伝動は遮断されて排出オーガ8は停止する。
【0035】
図3に示すように、RTK-GPS測位方式である測位ユニット20は、測位衛星21と、既知の位置に設けられた基地局22と、コンバインに設けられた移動局26で構成されている。これにより、測位衛星21から移動局26に送信されてくる位置情報と基地局22から移動局26に送信されてくる補正用の位置情報から移動局26の位置によってコンバインの位置を正確に得ることができる。
【0036】
基地局22は、固定用通信機23と、測位衛星21からの位置情報を受信する固定用GPSアンテナ24と、移動局26に補正用の位置情報を送信する固定用データ送信アンテナ25で構成されている。
【0037】
移動局26は、移動用通信機27と、測位衛星21からの位置情報を受信する移動用GPSアンテナ(請求項の「アンテナ」)28と、基地局22からの補正用の位置情報を受信する移動用データ送信アンテナ(請求項の「アンテナ」)29で構成されている。
【0038】
図4に示すように、コンバインのコントローラ30は、CPU等からなる処理部31と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部32と、外部とのデータ通信用の通信部33から形成されている。
【0039】
処理部31は、後述する第1基準点41や第2基準点42の位置の算出、第1基準点41や第2基準点42に基づいて基準経路43や設定経路45の設定等を行う。
【0040】
記憶部32は、処理部31で算出された第1基準点41や第2基準点42の位置、第1基準点41と第2基準点42を通る直線状の基準経路43等の保存を行う。
【0041】
通信部33は、移動用GPSアンテナ28を介して測位衛星21や移動用データ送信アンテナ29を介して基地局22からの位置情報の受信を行う。
【0042】
コントローラ30の入力側には、機体フレーム1の左右方向の傾斜角度を測定する傾斜センサ1Aと、走行装置2の走行距離を検出する距離センサ2Aと、刈取装置3内の穀稈の有無を検出する穀稈センサ3Aと、刈取装置3の昇降位置、すなわち下降した作業姿勢と上昇した待避姿勢を検出する刈取センサ3Bと、脱穀装置4の揺動選別装置上の処理物を検出する穀粒センサ4Aと、操作レバー12の左右方向の操作姿勢を測定する角度センサ12Aと、操作レバー12の上下方向の操作姿勢を測定する角度センサ12Bと、第1往復刈りモード等の刈取りモードを切替えるモード切替スイッチ13と、変速レバー15の操作状態を測定する角度センサ15Aと、刈脱レバー16の操作状態を測定する角度センサ16Aと、排出レバー17の操作状態を測定する角度センサ17Aと、エンジンEの出力回転速度等を検出するエンジンセンサ18と、測位衛星21から送信されてくるコンバインの位置情報を受信する移動用GPSアンテナ28と、基地局22から送信されてくるコンバインの補正用の位置情報を受信する移動用データ送信アンテナ29が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0043】
コントローラ30の出力側には、エンジンEに過剰な負荷が加わっている等の異常時に警報を鳴らす警報機14と、走行装置2の左側クローラの回動を制動する制動装置38L及び右側クローラの回動を制動する制動装置38Rと、エンジンEに噴射する燃料を制御してエンジンEの出力回転等を制御するエンジンコントローラユニット(ECU)50と、無段変速装置51の増減速を操作する前進用モータ53及び後進用モータ54が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0044】
<第1往復刈りモード>
図5に示すように、第1往復刈りモードでは、コンバインを第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43と所定の間隔を隔てて設けられた基準経路43に平行な複数の設定経路45を前進走行しながら刈取作業を行う。
【0045】
本実施形態では、作業者が手動前進走行中に、コントローラ30が第1基準点41と第2基準点42を設定して、第1基準点41と第2基準点42に基づいて基準経路43と複数の設定経路45を設定する。
【0046】
作業者は、基準経路43の終端部から基準経路43に隣接する設定経路45Aの始端部に向かってコンバインの手動旋回走行や、設定経路45Aの終端部から設定経路45Aに隣接する設定経路45Bの始端部に向かってコンバインの手動旋回走行等を行い、コントローラ30が、設定経路45に沿ってコンバインの自動前進走行を行う。これにより、作業者の作業負担を大幅に軽減することができる。なお、図5では、作業者がコンバインを手動走行させている経路は実線で示し、コントローラ30がコンバインを自動走行させている経路は破線で示し、基準経路43と設定経路45にはコンバインの進行方向を矢印で示している。
【0047】
(第1基準点)
コントローラ30は、作業者が操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にしてコンバインを穀稈条列に沿って手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出したON信号と刈取センサ3Bが刈取装置3の作業姿勢を検出したON信号の少なくとも一方が入力された場合に、移動用GPSアンテナ28と移動用データ送信アンテナ29を介して測位衛星21と基地局22からの位置情報を受信して第1基準点41を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0048】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合で、且つ、距離センサ2Aがコンバインの走行距離が予め設定した距離よりも走行したことを検出したON信号が入力された場合に、第1基準点41を設定することもできる。これにより、穀稈の刈り始めに比べてコンバインの走行状態等が安定した状態で第1基準点41を設定することができるので、前進方向に直交する方向の第1基準点41が穀稈条列に対して走行方向に直交する方向へのズレを抑制することができる。なお、所定の距離は、作業者が圃場面の凹凸状態や湿り気状態を考慮してモニタ11を介して設定することができる。通常は5~12mに設定される。
【0049】
(第2基準点)
コントローラ30は、コンバインの手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aが変速レバー15が中立姿勢に操作されたことを検出した中立信号が入力された場合に、移動用GPSアンテナ28と移動用データ送信アンテナ29を介して測位衛星21と基地局22からの位置情報を受信して第2基準点42を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第2基準点42を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。なお、第2基準点42は、第1基準点41から5~12m以上離れた位置に設けるのが好ましい。
【0050】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出しないOFF信号と刈取センサ3Bが刈取装置3の待避姿勢を検出したOFF信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を中立姿勢にした場合に、コントローラ30が第2基準点42を設定するのを規制することができる。
【0051】
(基準経路)
コントローラ30は、第1基準点41と第2基準点42に基づいて、第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0052】
(設定経路)
コントローラ30は、基準経路43に基づいて、基準経路43の下側に所定の間隔を隔てて複数の設定経路45を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく複数の設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。なお、所定の間隔は、作業者が穀稈条列の間隔を考慮してモニタ11を介して設定することができ、通常は刈取装置3の刈取幅に設定される。
【0053】
(自動前進走行の開始と停止)
作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にして、コンバインを基準経路43の終端部から基準経路43に隣接する設定経路45Aの始端部に向かって手動旋回走行させて、コンバインを設定経路45Aの始端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30が設定経路45の設定を停止することができる。なお、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢にした場合には走行装置2は左旋回し、右側傾斜姿勢にした場合には走行装置2は右旋回する。また、操作レバー12を前後方向の前側傾斜姿勢にした場合には刈取装置3は下降して作業姿勢になり、後側傾斜姿勢にした場合には刈取装置3は上昇して待避姿勢になる。
【0054】
作業者は、設定経路45Aの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を開始することができる。
【0055】
コントローラ30は、コンバインの設定経路45Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路45Aに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路45Aの始端部から終端部に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。なお、作業者は、コンバインの自動前進走行中にであっても操作レバー12を操作して刈取装置3の昇降と、変速レバー15を操作して走行装置2の走行速度の増減速を行うことができる。
【0056】
作業者は、設定経路45Aの終端部で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の右側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Aの終端部から設定経路45Aに隣接する設定経路45Bの始端部に向かって手動旋回走行させて、コンバインを設定経路45Bの始端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力され、コントローラ30はコンバインの自動前進走行を停止することができる。
【0057】
<第2往復刈りモード>
図6に示すように、第2往復刈りモードでは、コンバインを第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43と所定の間隔を隔てて設けられた基準経路43に平行な複数の設定経路45を前進と後進走行しながら刈取作業を行う。
【0058】
本実施形態では、作業者が手動前進走行中に、コントローラ30が第1基準点41と第2基準点42を設定して、第1基準点41と第2基準点42に基づいて基準経路43と複数の設定経路45を設定する。
【0059】
作業者は、基準経路43の終端部から始端部に向かって手動後進走行や、基準経路43の始端部から基準経路43に隣接する設定経路45の始端部に向かってコンバインの手動旋回走行や、設定経路45の終端部から基準経路43の終端部に向かってコンバインの手動旋回走行等を行い、コントローラ30が、設定経路45に沿ってコンバインの自動前進走行と自動後進走行を行う。これにより、作業者の作業負担を大幅に軽減することができる。なお、図6では、作業者がコンバインを手動走行させている経路は実線で示し、コントローラ30がコンバインを自動走行させている経路は破線で示している。
【0060】
(第1基準点)
コントローラ30は、作業者が操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にしてコンバインを穀稈条列に沿って手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、第1基準点41を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0061】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合で、且つ、距離センサ2Aがコンバインの走行距離が予め設定した距離よりも走行したことを検出したON信号が入力された場合に、第1基準点41を設定することもできる。これにより、穀稈の刈り始めに比べてコンバインの走行状態等が安定した状態で第1基準点41を設定することができるので、前進方向に直交する方向の第1基準点41が穀稈条列に対して走行方向に直交する方向へのズレを抑制することができる。
【0062】
(第2基準点)
コントローラ30は、コンバインの手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合に、第2基準点42を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第2基準点42を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0063】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出しないOFF信号と刈取センサ3Bが刈取装置3の待避姿勢を検出したOFF信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を中立姿勢にした場合に、コントローラ30が第2基準点42を設定するのを規制することができる。
【0064】
(基準経路)
コントローラ30は、第1基準点41と第2基準点42に基づいて、第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0065】
(設定経路)
コントローラ30は、基準経路43に基づいて、基準経路43の下側に所定の間隔を隔てて複数の設定経路45を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく複数の設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0066】
(自動前進走行の開始と停止)
作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を引続いて左右方向の中立姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にして、コンバインを基準経路43の終端部から始端部に向かって手動後進走行させて、コンバインを基準経路43の始端部の外側に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30が設定経路45の設定を停止することができる。
【0067】
作業者は、基準経路43の始端部の外側で、操作レバー12を左右方向の右側傾斜姿勢にした後に左側傾斜姿勢に、引継いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にした後に前進傾斜姿勢にして、コンバインを基準経路43に隣接する設定経路45Aの始端部に移動させる。
【0068】
作業者は、設定経路45Aの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を開始することができる。
【0069】
コントローラ30は、コンバインの設定経路45Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路45Aに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路45Aの始端部から終端部に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0070】
作業者は、設定経路45Aの終端部で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢した後に右側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢した後に後側傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Aの終端部から基準経路43の終端部に向かって手動旋回走行させて、コンバインを基準経路43の終端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を停止することができる。
【0071】
作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、引続いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて後側傾斜姿勢にして、コンバインを手動後進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、角度センサ12Aが操作レバー12が左右方向の中立姿勢に操作されたことを検出した中立信号と角度センサ15Aが変速レバー15が後側傾斜姿勢に操作されたことを検出した後側傾斜信号が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動後進走行を開始することができる。
【0072】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ12Aの中立信号と角度センサ15Aの後側傾斜信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力された場合に、自動後進走行を開始することができる。これにより、作業者が誤って操作レバー12を左右方向の中立姿勢や変速レバー15を後側傾斜姿勢にした場合に、コントローラ30が自動後進走行を開始するのを規制することができる。
【0073】
コントローラ30は、コンバインの基準経路43からの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを基準経路43に沿って自動後進走行させて、コンバインを基準経路43の終端部から始端部の外側に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0074】
作業者は、基準経路43の始端部の外側で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の右側傾斜姿勢にした後に左側傾斜姿勢に、引継いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にした後に前進傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Aの下側に隣接する設定経路45Bの始端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動後進走行を停止することができる。
【0075】
作業者は、設定経路45Bの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を開始することができる。
【0076】
コントローラ30は、コンバインの設定経路45Bからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路45Bに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路45Bの始端部から終端部に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0077】
作業者は、設定経路45Bの終端部で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢にした後に右側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にした後に後側傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Bの終端部から設定経路45Aの終端部に向かって手動旋回走行させて、コンバインを設定経路45Aの終端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を停止することができる。
【0078】
作業者は、設定経路45Aの終端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、引続いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて後側傾斜姿勢にして、コンバインを手動後進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、角度センサ12Aの中立信号と角度センサ15Aの後側傾斜信号が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動後進走行を開始することができる。
【0079】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ12Aの中立信号と角度センサ15Aの後側傾斜信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力された場合に、自動後進走行を開始することができる。これにより、作業者が誤って操作レバー12を左右方向の中立姿勢や変速レバー15を後側傾斜姿勢にした場合に、コントローラ30が自動後進走行を開始するのを規制することができる。
【0080】
コントローラ30は、コンバインの設定経路45Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを基準経路43に沿って自動後進走行させて、コンバインを設定経路45Aの終端部から始端部の外側に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0081】
作業者は、設定経路45Aの始端部の外側で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の右側傾斜姿勢にした後に左側傾斜姿勢に、引継いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にした後に前進傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Bの下側に隣接する設定経路45Cの始端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力されて、コントローラ30がコンバインの自動後進走行を停止することができる。
【0082】
<回刈りモード>
図7に示すように、回刈りモードでは、コンバインを第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43と、基準経路43を第2基準点42から走行方向に延在した設定経路46を前進走行しながら刈取作業を行う。
【0083】
本実施形態では、作業者が手動前進走行中に、コントローラ30が第1基準点41と第2基準点42を設定して、第1基準点41と第2基準点42に基づいて基準経路43と、基準経路43を第2基準点42から走行方向に延在した設定経路46を設定する。
【0084】
作業者は、設定経路46の終端部で、コンバインの走行方向を反時計回りに90度回転させる手動旋回走行を行い、コントローラ30が、設定経路46に沿ってコンバインの自動前進走行を行う。これにより、作業者の作業負担を大幅に軽減することができる。なお、図7では、作業者がコンバインを手動走行させている経路は実線で示し、コントローラ30がコンバインを自動走行させている経路は破線で示し、基準経路43と設定経路46にはコンバインの進行方向を矢印で示している。
【0085】
(第1基準点)
コントローラ30は、作業者が操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にしてコンバインを穀稈条列に沿って手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、第1基準点41を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0086】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合で、且つ、距離センサ2Aがコンバインの走行距離が予め設定した距離よりも走行したことを検出したON信号が入力された場合に、第1基準点41を設定することもできる。これにより、穀稈の刈り始めに比べてコンバインの走行状態等が安定した状態で第1基準点41を設定することができるので、前進方向に直交する方向の第1基準点41が穀稈条列に対して走行方向に直交する方向へのズレを抑制することができる。
【0087】
(第2基準点)
コントローラ30は、コンバインの手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aが変速レバー15が中立姿勢に操作されたことを検出した中立信号が入力された場合に、第2基準点42を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第2基準点42を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0088】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を中立姿勢にした場合に、コントローラ30が第2基準点42を設定するのを規制することができる。
【0089】
(基準経路)
コントローラ30は、第1基準点41と第2基準点42に基づいて、第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0090】
(設定経路)
コントローラ30は、基準経路43を第2基準点42から進行方向に延在させて設定経路46Aを設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく複数の設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0091】
(自動前進走行の開始と停止)
作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を引続いて左右方向の左右中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aが変速レバー15が前側傾斜姿勢に操作されたことを検出した前側傾斜信号が入力されて、コントローラ30が設定経路45の設定を停止してコンバインの自動前進走行を開始することができる。
【0092】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの前側傾斜信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を前側傾斜姿勢にした場合に、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を開始するのを規制することができる。
【0093】
コントローラ30は、コンバインの設定経路46Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路46Aに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路46Aの始端部から終端部に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0094】
作業者は、設定経路46Aの終端部で、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢等に、引続いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢した後に後側傾斜姿勢にして手動旋回走行させて、設定経路46Bの始端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力され、コントローラ30はコンバインの自動前進走行を停止することができる。また、コントローラ30は、自動前進走行を停止の後に、記憶部32に保存されていた基準経路43を削除する。これにより、新たな基準経路43を設定することができ、図7に示すような回刈りを行うことができる。
【0095】
作業者は、設定経路46Bの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢して穀稈条列に沿ってコンバインを手動前進走行させる。
【0096】
コントローラ30は、手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、新たな第1基準点41を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく新たな第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0097】
コントローラ30は、コンバインの手動前進走行中に、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合に、新たな第2基準点42を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく新たな第2基準点42を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0098】
コントローラ30は、新たな第1基準点41と第2基準点42に基づいて、新たな第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の新たな基準経路43を設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく新たな基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0099】
コントローラ30は、新たな基準経路43を第2基準点42から進行方向に延在させて設定経路46Bを設定する。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく複数の設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0100】
作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を引続いて左右方向の左右中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させる。これにより、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aが変速レバー15が前側傾斜姿勢に操作されたことを検出した前側傾斜信号が入力されて、コントローラ30が設定経路45の設定を停止してコンバインの自動前進走行を開始することができる。
【0101】
また、コントローラ30は、コントローラ30の入力側に、角度センサ15Aの前側傾斜信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を前側傾斜姿勢にした場合に、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を開始するのを規制することができる。
【0102】
コントローラ30は、コンバインの設定経路46Bからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路46Bに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路46Bの始端部から終端部に移動させる。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0103】
作業者は、設定経路46Bの終端部で、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢等に、引続いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢した後に後側傾斜姿勢にして手動旋回走行させて、設定経路46Cの始端部に移動させる。これにより、コントローラ30の入力側に、穀稈センサ3AのOFF信号と刈取センサ3BのOFF信号の少なくとも一方が入力され、コントローラ30はコンバインの自動前進走行を停止することができる。
【0104】
<共通操作方法>
図8に示すように、ステップS1で、コントローラ30の処理部31は、変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aの入力信号を判断する。変速レバー15の入力信号が前側傾斜信号と判断した場合にはステップS2に進み、角度センサ15Aの入力信号が中立信号又は後側傾斜信号と判断した場合にはステップS1を繰返す。
【0105】
ステップS2で、処理部31は、走行装置2に装着された距離センサ2Aの入力信号を判断する。コンバインの走行距離が予め設定した距離よりも走行して距離センサ2Aの入力信号がコンバインの走行距離が予め設定した距離よりも長くON信号と判断した場合にはステップS3に進み、距離センサ2Aの入力信号がOFF信号と判断した場合にはステップS2を繰返す。これにより、穀稈の刈り始めに比べてコンバインの走行状態等が安定した状態で後述する第1基準点41を設定することができる。
【0106】
ステップS3で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号が刈取装置3内に穀稈が搬送されてON信号と刈取センサ3Bの入力信号が刈取装置3が作業姿勢に操作されON信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップS4に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にOFF信号の場合にはステップS3を繰返す。
【0107】
ステップS4で、処理部31は、移動用GPSアンテナ28と移動用データ送信アンテナ29を介して測位衛星21と基地局22からの位置情報を受信して第1基準点41を設定してステップS5に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0108】
ステップS5で、処理部31は、モード切替スイッチ13の切替状態を判断する。モード切替スイッチ13が第1往復刈りモードに切替えられている場合にはステップS6に進み、モード切替スイッチ13が第2往復刈りモードに切替えられている場合にはステップS17に進み、モード切替スイッチ13が回刈りモードに切替えられている場合にはステップS36に進む。
【0109】
<第1往復刈りの操作方法>
図9に示すように、ステップS6で、処理部31は、変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aの入力信号を判断する。変速レバー15の入力信号が中立信号と判断した場合にはステップS7に進み、角度センサ15Aの入力信号が前側傾斜信号又は後側傾斜信号と判断した場合にはステップS6を繰返す。また、処理部31は、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3Aの入力信号がOFF信号で刈取センサ3Bの入力信号がOFF信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を中立姿勢にした場合に、処理部31が第2基準点42を設定するのを規制することができる。
【0110】
ステップS7で、処理部31は、移動用GPSアンテナ28と移動用データ送信アンテナ29を介して測位衛星21と基地局22からの位置情報を受信して第2基準点42を設定してステップS8に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0111】
ステップS8で、処理部31は、第1基準点41と第2基準点42に基づいて、第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43を設定してステップS9に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0112】
ステップS9で、処理部31は、基準経路43に基づいて、基準経路43の一側に所定の間隔を隔てた位置に、基準経路43に平行な複数のコンバインを自動走行させる設定経路45を設定してステップS10に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなくコンバインを自動走行させる設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0113】
ステップS10で、作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を左右方向の一側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にして、コンバインを基準経路43の終端部から基準経路43に隣接する設定経路45Aの始端部に向かって手動旋回走行させた後に、設定経路45Aの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にしてコンバインを手動前進走行させてステップS11に進む。
【0114】
ステップS11で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号がON信号と刈取センサ3Bの入力信号がON信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップS12に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にOFF信号の場合にはステップS11を繰返す。なお、予め設定した設定時間が経過しても穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にOFF信号の場合には第1往復刈りモードを中止する。
【0115】
ステップS12で、処理部31は、コンバインの設定経路45Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路45Aに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路45Aの始端部から終端部に移動させてステップS13に進む。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。なお、作業者は、コンバインの自動前進走行中にであっても操作レバー12を操作して刈取装置3の昇降操作と、変速レバー15を操作して走行装置2の走行速度の増減速を行うことができる。
【0116】
ステップS13で、作業者は、設定経路45Aの終端部で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の他側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Aの終端部から設定経路45Aに隣接する設定経路45Bの始端部に向かって手動旋回走行させて、コンバインを設定経路45Bの始端部に移動させてステップS14に進む。
【0117】
ステップS14で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号がOFF信号と刈取センサ3Bの入力信号がOFF信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップS15に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にON信号の場合にはステップS14を繰返す。
【0118】
ステップS15で、処理部31は、コンバインの自動前進走行を停止してステップS16に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなくコンバインの自動前進走行を停止することができので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0119】
ステップS16で、作業者は、設定経路45Bの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にしてコンバインを手動前進走行させてステップS11に戻る。
【0120】
<第2往復刈りの操作方法>
図10に示すように、ステップS17で、処理部31は、変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aの入力信号を判断する。変速レバー15の入力信号が中立信号と判断した場合にはステップS18に進み、角度センサ15Aの入力信号が前側傾斜信号又は後側傾斜信号と判断した場合にはステップS17を繰返す。また、処理部31は、角度センサ15Aの中立信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3Aの入力信号がOFF信号で刈取センサ3Bの入力信号がOFF信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を中立姿勢にした場合に、処理部31が第2基準点42を設定するのを規制することができる。
【0121】
ステップS18で、処理部31は、移動用GPSアンテナ28と移動用データ送信アンテナ29を介して測位衛星21と基地局22からの位置情報を受信して第2基準点42を設定してステップS19に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0122】
ステップS19で、処理部31は、第1基準点41と第2基準点42に基づいて、第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43を設定してステップS20に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0123】
ステップS20で、処理部31は、基準経路43に基づいて、基準経路43の一側に所定の間隔を隔てた位置に、基準経路43に平行な複数のコンバインを自動走行させる設定経路45を設定してステップS21に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなくコンバインを自動走行させる設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0124】
ステップS21で、作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を引続いて左右方向の中立姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にして、コンバインを基準経路43の終端部から始端部に向かって手動後進走行させて、コンバインを基準経路43の始端部の外側に移動させてステップS22に進む。
【0125】
ステップS22で、作業者は、基準経路43の始端部の外側で、操作レバー12を左右方向の右側傾斜姿勢にした後に左側傾斜姿勢に、引継いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にした後に前進傾斜姿勢にして、コンバインを基準経路43に隣接する設定経路45Aの始端部に移動させてステップS23に進む。
【0126】
ステップS23で、作業者は、設定経路45Aの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させてステップS24に進む。
【0127】
ステップS24で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号がON信号と刈取センサ3Bの入力信号がON信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップS25に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にOFF信号の場合にはステップS24を繰返す。なお、予め設定した設定時間が経過しても穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にOFF信号の場合には第2往復刈りモードを中止する。
【0128】
ステップS25で、処理部31は、コンバインの設定経路45Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路45Aに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路45Aの始端部から終端部に移動させてステップS26に進む。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0129】
ステップS26で、作業者は、設定経路45Aの終端部で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢した後に右側傾斜姿勢に、前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢した後に後側傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Aの終端部から基準経路43の終端部に向かって手動旋回走行させて、コンバインを基準経路43の終端部に移動させてステップS27に進む。
【0130】
ステップS27で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号がOFF信号と刈取センサ3Bの入力信号がOFF信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップS28に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にON信号の場合にはステップS27を繰返す。
【0131】
ステップS28で、処理部31は、コンバインの自動前進走行を停止してステップS28に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなくコンバインの自動前進走行を停止することができので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0132】
ステップS29で、作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、引続いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて後側傾斜姿勢にして、コンバインを手動後進走行させてステップS29に進む。
【0133】
ステップS30で、処理部31は、操作レバー12の基部に装着された角度センサ12Aと変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aの入力信号を判断する。角度センサ12Aの入力信号が中立信号で角度センサ15Aの入力信号が後側傾斜信号と判断した場合にはステップS31に進み、角度センサ12Aの入力信号が左側傾斜信号又は右側傾斜信号と角度センサ15Aの入力信号が前側傾斜信号又は中立信号と判断した場合にはステップS30を繰返す。
【0134】
ステップS31で、処理部31は、コンバインの基準経路43からの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを基準経路43に沿って自動後進走行させて、コンバインを基準経路43の後端部から始端部に移動させてステップS32に進む。
【0135】
ステップS32で、作業者は、基準経路43の始端部の外側で、変速レバー15を所定の時間中立姿勢にした後に、操作レバー12を左右方向の右側傾斜姿勢にした後に左側傾斜姿勢に、引継いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を後側傾斜姿勢にした後に前進傾斜姿勢にして、コンバインを設定経路45Aの下側に隣接する設定経路45Bの始端部に移動させてステップS33に進む。
【0136】
ステップS33で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号がOFF信号と刈取センサ3Bの入力信号がOFF信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップ34に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にON信号の場合にはステップS33を繰返す。
【0137】
ステップS34で、処理部31は、コンバインの自動後進走行を停止してステップS35に進む。
【0138】
ステップS35で、作業者は、設定経路45Bの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を引続いて前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させてステップS24に戻る。
【0139】
<回刈りの操作方法>
図11に示すように、ステップS36で、処理部31は、変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aの入力信号を判断する。角度センサ15Aの入力信号が中立信号が入力されていると判断した場合にはステップS37に進み、角度センサ15Aの入力信号が前側傾斜信号の場合にはステップS36を繰返す。
【0140】
ステップS37で、処理部31は、移動用GPSアンテナ28と移動用データ送信アンテナ29を介して測位衛星21と基地局22からの位置情報を受信して第2基準点42を設定してステップS38に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく第1基準点41を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0141】
ステップS38で、処理部31は、第1基準点41と第2基準点42に基づいて、第1基準点41と第2基準点42を結ぶ直線状の基準経路43を設定してステップS39に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなく基準経路43を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0142】
ステップS39で、処理部31は、基準経路43を第2基準点42から進行方向に延在させて設定経路46Aを設定してステップS40に進む。これにより、作業者は、操作レバー12と変速レバー15から手を離すことなくコンバインを自動走行させる設定経路45を設定することができるので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0143】
ステップS40で、作業者は、基準経路43の終端部で、操作レバー12を引続いて左右方向の左右中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢にして、コンバインを手動前進走行させてステップS41に進む。
【0144】
ステップS41で、処理部31は、変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aの入力信号を判断する。角度センサ15Aの入力信号が前側傾斜信号が入力されていると判断した場合にはステップS42に進み、角度センサ15Aの入力信号が中立信号の場合にはステップS41を繰返す。また、処理部31は、角度センサ15Aの前側傾斜信号が入力された場合で、且つ、穀稈センサ3AのON信号と刈取センサ3BのON信号の少なくとも一方が入力された場合に、第2基準点42を設定することができる。これにより、作業者が誤って変速レバー15を前側傾斜姿勢にした場合に、コントローラ30がコンバインの自動前進走行を開始するのを規制することができる。なお、予め設定した設定時間が経過しても角度センサ15Aの入力信号が中立信号の場合には回刈りモードを中止する。
【0145】
ステップS42で、処理部31は、コントローラ30は、コンバインの設定経路46Aからの走行方向に直交するズレ量に応じて走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動して、コンバインを設定経路46Aに沿って自動前進走行させて、コンバインを設定経路46Aの始端部から終端部に移動させてステップS43に進む。これにより、作業者は、操作レバー12を操作してコンバインの走行方向を調整する作業から解放されて作業負担をより低減することができる。
【0146】
ステップS43で、作業者は、設定経路46Aの終端部で、操作レバー12を左右方向の左側傾斜姿勢等に、引続いて前後方向の後側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢した後に後側傾斜姿勢にして手動旋回走行させて、設定経路46Bの始端部に移動させてステップS44に進む。
【0147】
ステップS44で、処理部31は、刈取装置3に装着された穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号を判断する。穀稈センサ3Aの入力信号がOFF信号と刈取センサ3Bの入力信号がOFF信号の少なくとも一方が入力されていると判断した場合にはステップS45に進み、穀稈センサ3Aと刈取センサ3Bの入力信号が共にON信号の場合にはステップS44を繰返す。
【0148】
ステップS45で、処理部31は、コンバインの自動前進走行を停止してステップS46に進む。
【0149】
ステップS46で、作業者は、設定経路46Bの始端部で、操作レバー12を左右方向の中立姿勢に、前後方向の前側傾斜姿勢にし、変速レバー15を前側傾斜姿勢して穀稈条列に沿ってコンバインを手動前進走行させてステップS41に戻る。
【0150】
<エンジンの出力回転の伝動図>
図12に示すように、エンジンEの出力回転は、伝動経路Aに設けられた無段変速装置51に伝動される。無段変速装置51に伝動され出力回転は、無段変速装置51で増減速と回転方向の切替えが行われてトランスミッション52に伝動される。
【0151】
トランスミッション52に伝動された出力回転は、トランスミッション52で増減速されて走行装置2と、刈取クラッチ3Tを介して刈取装置3に伝動される。
【0152】
エンジンEの出力回転は、伝動経路Bに設けられた脱穀クラッチ4Tを介して脱穀装置4に伝動される。
【0153】
エンジンEの出力回転は、伝動経路Cに設けられた排出クラッチ8Tを介して排出オーガ8に伝動される。
【0154】
<無段変速装置>
図13に示すように、無段変速装置51のトラニオン軸51Aには、扇形ギヤ51Bが支持され、扇形ギヤ51Bの外周部に形成されたギヤには、前進用モータ53の出力軸に設けられたギヤ53Aと、後進用モータ54の出力軸に設けられたギヤ54Aが係合している。これにより、変速レバー15の姿勢、すなわち、角度センサ15Aの測定値に基づいて前進用モータ53と後進用モータ54を駆動して無段変速装置51のトラニオン軸51Aを回動してエンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行うことができる。なお、エンジンEの出力回転は、無段変速装置51の入力軸51Cに伝動される。
【0155】
<自動走行時の操作方法>
図14に示すように、ステップS1で、コントローラ30の処理部31は、コンバインを自動走行させて、ステップS2に進む。なお、自動走行とは、前述した自動前進走行と自動後進走行の総称である。
【0156】
ステップS2で、処理部31は、エンジンEの負荷、出力回転速度の状態を判断する。エンジンEの装着されているエンジンセンサ18が、エンジンEの負荷が設定負荷以下で、且つ、エンジンEの出力回転速度が設定出力回転速度以上を示している場合にはステップS3に進み、エンジンセンサ18が、エンジンEの負荷が設定負荷超を示している場合やエンジンEの出力回転速度が設定出力回転速度未満を示している場合にはステップS6に進む。なお、設定負荷、設定出力回転速度は、モニタ11で予め設定することができる。
【0157】
ステップS3で、処理部31は、コンバインが設定経路45,46の終端部の手前に設定された減速開始位置47に到達したか否か判断する。コンバインが減速開始位置47に到達していないと判断した場合にはステップS4に進み、コンバインが減速開始位置47に到達していると判断した場合にはステップS13に進む。なお、減速開始位置47は、設定経路45,46の終端部から手前に設定距離離れた位置に設けられ、設定距離は、モニタ11で予め設定することができる。
【0158】
ステップS4で、処理部31は、刈取装置3の刈取作業の状態を判断する。刈取装置3に装着されている穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出し、且つ、刈取センサ3Bが刈取装置3の作業姿勢を検出した場合にはステップS5に進み、穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出しない場合や刈取センサ3Bが刈取装置3の待避姿勢を検出した場合にはステップS17に進む。
【0159】
ステップS5で、処理部31は、コンバインの異常発生の有無を判断する。機体フレーム1に装着された傾斜センサ1Aが機体フレーム1の傾斜角度が設定傾斜角度以下を検出し、且つ、コントローラ30に接続されている移動用GPSアンテナや移動用データ送信アンテナ29が通信状態である場合にはステップS1に戻り、傾斜センサ1Aの入力信号が機体フレーム1の傾斜角度が設定傾斜角度超を検出した場合や移動用GPSアンテナや移動用データ送信アンテナ29が不通状態である場合にはステップS20に進む。なお、設定傾斜角度は、モニタ11で予め設定することができる。
【0160】
ステップS6で、処理部31は、警報機14を駆動して警報を鳴らしてステップS7に進む。これにより、エンジンEに過度の負荷が加わっていることを作業者に認識させることができる。
【0161】
ステップS7で、処理部31は、作業者が変速レバー15を操作して走行装置2の走行速度を減速したか否か判断する。変速レバー15の基部に装着された角度センサ15Aが、作業者が変速レバー15を前側傾斜姿勢から中立姿勢に操作していない場合にはステップS8に進み、角度センサ15Aが作業者が変速レバー15を前側傾斜姿勢から中立姿勢に操作している場合にはステップS9に進む。なお、コンバインの自動走行中においても作業者は、操作レバー12を操作して刈取装置3の昇降や変速レバー15を操作して無段変速装置51を介して走行装置2の走行速度を増減速させることができる。
【0162】
ステップS8で、処理部31は、無段変速装置51のトラニオン軸51Aを回動させる前進用モータ53と後進用モータ54を駆動して走行装置2の走行速度を自動減速させてステップS9に進む。これにより、図15に示すように、走行装置2の走行速度や刈取装置3の刈取速度が減速してエンジンEの負荷を設定負荷まで低減して、エンジンEのオーバヒート等の発生を抑制することができる。なお、処理部31は、エンジンコントローラユニット50を操作して走行装置2の走行速度を自動減速させることもできる。
【0163】
ステップS9で、処理部31は、エンジンEの負荷、出力回転速度の状態を判断する。エンジンセンサ18が、エンジンEの負荷が設定負荷以下で、且つ、エンジンEの出力回転速度が設定出力回転速度以上を示している場合にはステップS10に進み、エンジンセンサ18が、エンジンEの負荷が設定負荷超を示している場合やエンジンEの出力回転速度が設定出力回転速度未満を示している場合にはステップS7に戻る。
【0164】
ステップS10で、処理部31は、警報機14を停止して警報を止めてステップS11に進む。
【0165】
ステップS11で、処理部31は、作業者が変速レバー15を操作して走行装置2の走行速度を増速したか否か判断する。角度センサ15Aが作業者が変速レバー15を中立姿勢から前側傾斜姿勢に操作していることを示している場合にはステップS12に進み、角度センサ15Aが作業者が変速レバー15を中立姿勢から前側傾斜姿勢に操作していないことを示している場合にはステップS1に戻る。
【0166】
ステップS12で、処理部31は、無段変速装置51の前進用モータ53と後進用モータ54を駆動して走行装置2の走行速度を設定速度まで増速してステップS1に戻る。これにより、図15に示すように、走行装置2の走行速度等を速やかに設定速度に増速することができる。また、設定速度は、モニタ11で予め設定することができ、コンバインの通常の刈取走行速度である最高走行速度の約60%程度に設定するのが好ましい。これにより、コンバインの急加速を抑制することができる。なお、走行装置2の走行速度等を変速レバー15の傾斜姿勢に対応する走行速度にすることもできる。
【0167】
ステップS13で、処理部31は、刈取装置3内の穀稈と脱穀装置4内の処理物の有無を判断する。刈取装置3に装着されている穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出せず、且つ、脱穀装置4に装着された穀粒センサ4Aが脱穀装置4内の処理物を検出しない場合にはステップS14に進み、穀稈センサ3Aが刈取装置3内の穀稈を検出する場合や穀粒センサ4Aが脱穀装置4内の処理物を検出する場合にはステップS16に進む。これにより、刈取装置3内に後方に向かって搬送される穀稈が有る場合には、エンジンEの出力回転速度等を維持して刈取装置3等の刈取作業効率を維持することができる。
【0168】
ステップS14で、処理部31は、刈取装置3と脱穀装置4の駆動の状態を判断する。刈脱レバー16の基部に装着された角度センサ16Aが、刈脱レバー16が前側傾斜姿勢、すなわち、刈取クラッチ3Tと脱穀クラッチ4Tの接続が解除されて刈取装置3と脱穀装置4が駆動していない場合にはステップS15に進み、角度センサ16Aが、刈脱レバー16が中立姿勢や後側傾斜姿勢、すなわち、刈取クラッチ3Tが接続されて刈取装置3している場合や脱穀クラッチ4Tが接続されて脱穀装置4が駆動している場合にはステップS16に進む。これにより、刈取装置3等が駆動している場合には、エンジンEの出力回転速度等を維持して刈取装置3等の刈取作業効率を維持することができる。
【0169】
ステップS15で、処理部31は、無段変速装置51の前進用モータ53と後進用モータ54を駆動して走行装置2の走行速度を自動減速させてステップS1に戻る。これにより、図16に示すように、走行装置2の走行速度を緩やかに減速させて、設定経路45,46の終端部を超えてコンバインが自動走行するのを抑制して、設定経路45,46の終端部で自動走行から手動旋回走行に効率良く切替えることができる。また、燃費も向上して燃料消費の抑制も図ることができる。なお、処理部31は、エンジンコントローラユニット50を操作して走行装置2の走行速度を自動減速させることもできる。
【0170】
ステップS16で、処理部31は、無段変速装置51の前進用モータ53と後進用モータ54を駆動を停止して走行装置2の走行速度を維持する。これにより、刈取装置3内に後方に向かって搬送される穀稈が有る場合には、エンジンEの出力回転速度等を維持して刈取装置3等の刈取作業効率を維持することができる。なお、処理部31は、エンジンコントローラユニット50の操作を停止して走行装置2の走行速度を自動減速させることもできる。
【0171】
ステップS17で、処理部31は、操作レバー12の操作状態を判断する。操作レバー12の基部に装着された角度センサ12Aが、作業者が操作レバー12をコンバインを旋回走行させる左右方向傾斜姿勢に操作せず中立姿勢している場合にはステップS18に進み、角度センサ12Aが、作業者が操作レバー12をコンバインを旋回走行させるための左右方向傾斜姿勢に操作している場合にはステップS19に進む。
【0172】
ステップS18で、処理部31は、走行装置2の左側のクローラを制動する制動装置38Lと右側のクローラを制動する制動装置38Rを駆動を停止してコンバインの自動走行を中止してステップS19に進む。これにより、設定経路45,46の終端部を超えてコンバインが自動走行するのを規制することができる。
【0173】
ステップS19で、作業者は、コンバインを手動走行させて設定経路45,45の始端部に移動させてステップS1に戻る。なお、手動走行とは、前述した手動旋回走行、手動前進走行、手動後進走行の総称である。
【0174】
ステップS20で、処理部31は、無段変速装置51の前進用モータ53と後進用モータ54を駆動を停止し、走行装置2の走行速度の増減速を規制してステップS21に進む。これにより、急停止を抑制して作業環境の安全性を維持することができる。なお、処理部31は、エンジンコントローラユニット50の操作を停止して走行装置2の走行速度の増減速を規制することもできる。
【0175】
ステップS21で、処理部31は、走行装置2の制動装置38L,38Rを駆動を停止してコンバインの自動走行を中止してステップS22に進む。これにより、設定経路45,46の終端部を超えてコンバインが自動走行するのを規制することができる。
【0176】
ステップS22で、作業者は、コンバインを手動走行させて設定経路45,45の始端部に移動させてステップS1に戻る。
【符号の説明】
【0177】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
28 移動用GPSアンテナ(アンテナ)
29 移動用データ送信アンテナ(アンテナ)
30 コントローラ
41 第1基準点
42 第2基準点
43 基準経路
45 設定経路
46 設定経路
47 減速開始位置
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16