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特許7554404光学積層体、転写シート、光学部材、及び移動体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】光学積層体、転写シート、光学部材、及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20240912BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240912BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20240912BHJP
   B60R 19/52 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G02B3/08
B32B7/023
B32B3/30
B60R19/52 C
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2024501267
(86)(22)【出願日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2023037303
(87)【国際公開番号】W WO2024080378
(87)【国際公開日】2024-04-18
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2022165786
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022165793
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】與田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】小山 慶祐
(72)【発明者】
【氏名】古川 正
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】大川 晃次郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 豪
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/246509(WO,A1)
【文献】特開2019-025787(JP,A)
【文献】特開2020-106743(JP,A)
【文献】実開平02-113701(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第112859214(CN,A)
【文献】特開2016-050951(JP,A)
【文献】特開2015-141766(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063732(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/08
B32B 7/023
B32B 3/30
B60R 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆い当該賦形面に密着する輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記輝度調整層は、顔料又は染料を含み、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記接続面の前記法線方向に対する角度が、15°以上55°以下である、加飾積層体。
【請求項2】
前記輝度調整層は、顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項3】
前記輝度調整層は、黒色顔料又は黒色染料を含む、請求項1に記載の加飾積層体。
【請求項4】
前記輝度調整層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項3に記載の加飾積層体。
【請求項5】
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆い当該賦形面に密着する輝度調整層と、
を備えた加飾積層体であって、
前記加飾積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記輝度調整層は、反射層または屈折率変調層であり、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記加飾積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記接続面の前記法線方向に対する角度が、15°以上55°以下である、加飾積層体。
【請求項6】
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項5に記載の加飾積層体。
【請求項7】
顔料又は染料を含み、前記輝度調整層を覆う着色層を更に備えた、請求項5に記載の加飾積層体。
【請求項8】
前記賦形層及び前記輝度調整層は透明である、請求項7に記載の加飾積層体。
【請求項9】
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.4%≦RSCE≦25%、
2≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、請求項7に記載の加飾積層体。
【請求項10】
前記着色層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記加飾積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす、請求項9に記載の加飾積層体。
【請求項11】
前記凹凸構造の高さが、1μm以上10μm以下である、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項12】
前記賦形層の厚みを前記凹凸構造の高さで除した値が、1.5以上8.0以下である、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項13】
前記加飾積層体の表側面を形成する保護層を更に備え、
前記賦形層は、前記保護層と前記輝度調整層との間に配置されている、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項14】
前記賦形層の前記賦形面とは反対側の面が前記加飾積層体の一方の面を形成する、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項15】
前記加飾積層体の一方の面を形成する保護層をさらに備えた、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項16】
前記加飾積層体の一方の面を形成する、又は、前記一方の面と前記賦形層との間に配置された着色層をさらに備えた、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項17】
前記加飾積層体の一方の面を形成する、又は、前記一方の面と前記賦形層との間に配置されたバッカー層を更に備えた、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項18】
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、直線部を含む、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項19】
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、多角形状である、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項20】
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、円形状又は楕円形状である、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項21】
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、曲線部を含む、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項22】
平面視において、前記傾倒面は円弧状に延びる部分を有する、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項23】
平面視において、前記傾倒面は直線状に延びる部分を有する、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項24】
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は多角形状であり、
前記単位賦形要素の各傾倒面は、前記外輪郭のいずれかの辺と当該単位賦形要素の光軸との間を、当該辺と平行に直線状に延びる部分を含む、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項25】
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
前記単位賦形要素の前記傾倒面及び/又は前記接続面に、同一方向に沿って延びる複数の凸部及び複数の凹部が形成されている、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項26】
前記複数の凸部及び前記複数の凹部が延びる方向と垂直な面に沿った前記加飾積層体の断面において、前記複数の凸部が並ぶ方向に沿った当該複数の凸部のピッチが1μm以上5μm以下である、請求項25に記載の加飾積層体。
【請求項27】
前記複数の凸部及び前記複数の凹部が延びる方向と垂直な面に沿った前記加飾積層体の断面において、前記凹部を画成する凸部の頂部を基準として前記複数の凹部が並ぶ方向と垂直な方向に沿って測定した当該凹部の深さが0.5μm以下である、請求項25に記載の加飾積層体。
【請求項28】
前記賦形面において、各単位賦形要素にはフレネルレンズ構造が形成されている、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項29】
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、請求項1又は5に記載の加飾積層体。
【請求項30】
転写用基材と、
請求項1又は5に記載の加飾積層体と、
を備えた転写シート。
【請求項31】
成形部と、
前記成形部の少なくとも一部を覆う請求項1又は5に記載の加飾積層体と、
を備えた加飾部材。
【請求項32】
前記成形部は曲面を含み、
前記加飾積層体は、前記曲面を覆っている、請求項31に記載の加飾部材。
【請求項33】
請求項1又は5に記載の加飾積層体を備えた移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学積層体、転写シート、光学部材、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内外装製品(インストルメントパネル等)、家電製品、住宅等を加飾するための加飾部材や加飾積層体が知られている。JP2013-154670Aには、フレネルレンズとして機能するフレネルレンズ構造が形成されたフレネルレンズ層を含む加飾部材が開示されている。フレネルレンズ層は、複数のレンズ面と、隣り合うレンズ面を接続する複数のライズ面と、を含むフレネルレンズ面を有している。複数のレンズ面は、連続した凸レンズ面を分割してなる。各ライズ面は、フレネルレンズ層の光軸と平行に延び、隣り合うレンズ面を接続する。加飾部材にフレネルレンズ層が形成されていることにより、加飾部材を凸レンズとして機能させることによる加飾部材の厚みの増大を、効果的に抑制できる。
【0003】
ところで、近年、フレネルレンズを、自動車の内外装製品(インストルメントパネル等)、家電製品、住宅等を加飾するための加飾部材や加飾積層体に適用することが検討されている。加飾積層体は、例えばJP2020-081961Aに開示されているように、複数の層を積層して成る。
【0004】
このような加飾積層体に凹凸面を有するフレネルレンズを適用すると、加飾積層体の製造上、様々な問題が生じる。例えば、フレネルレンズ層の凹凸面と他の層とが密着せず、加飾積層体の意匠を損なう。また、加飾積層体が適用される製品によっては、加飾積層体に高級感を伴った意匠表現が求められる。
【0005】
また、上述したフレネルレンズ層は、賦形型を用いて樹脂を賦形することにより形成される。賦形型は、例えば、次のようにして作製される。まずは、所望のフレネルレンズ構造に対応する凹凸構造が切削によって形成された母型を準備する。次に、母型の凹凸構造上に電鋳処理によって、賦形型となる金属層を形成する。次に、金属層を母型から分離する。これにより、母型の凹凸構造に対応した凹凸構造を有する賦形型が作製される。
【0006】
複数のレンズ構造を含む層を形成する場合、賦形型を作製するための母型は、複数の母型片を組み合わせて形成される。すなわち、複数の母型片を母型片固定用の枠内に隙間なく敷き詰め、枠内の複数の母型片を一つの母型として用いる。各母型片は、板状の母型片形成用部材に、切削によって所望のフレネルレンズ構造に対応する凹凸構造を形成し、この凹凸構造を含む母型片形成用部材の一部を、母型片として切り出すことにより、作製される。各母型片には、1つの上記凹凸構造が形成されている。母型片の寸法や形状は、母型において隣り合う母型片の間に隙間が生じないよう、また、母型における凹凸構造の配置が所望のフレネルレンズ層の凹凸構造の配置に対応するよう、決定される。
【0007】
しかしながら、このような母型の作製方法は、様々な問題を有する。例えば、母型片を意図した寸法や形状で正確に切り出すことは、困難である。また、母型片を枠内に敷き詰めた際に隙間が生じないよう、一般に、母型片は意図された寸法よりも若干大きく切り出される。このような母型片を上記枠内に敷き詰めようとすると、隣り合う母型片の縁部が重なったり、全ての母型片を同一平面上に配置できず、一部の母型片が他の母型片よりも浮き上がってしまう。この結果、母型に意図しない凹凸が形成される。母型の凹凸は、賦形型に反映され、この結果、フレネルレンズ層に意図しない凹凸が形成される。フレネルレンズ層に形成された意図しない凹凸は、加飾部材又は加飾積層体の意匠を損なう要因となっている。
【発明の開示】
【0008】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであって、光学部材又は光学積層体の意匠性を向上させることを目的とする。
【0009】
本開示の一実施の形態は、以下の[1]~[59]に関連する。
【0010】
[1]
凹凸構造が形成された賦形面と、前記賦形面とは反対側の非賦形面と、を有する賦形層を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、複数の単位光学要素を有し、
前記賦形層は、複数の単位賦形要素を有し、
各単位賦形要素は、1つの単位光学要素に対応し、
各単位賦形要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
隣り合う2つの単位賦形要素の高さの差は、一方の単位賦形要素の複数の傾倒面のうち他方の単位賦形要素に最も近接する傾倒面の頂部と前記非賦形面との間の距離と、他方の単位賦形要素の複数の傾倒面のうち前記一方の単位賦形要素に最も近接する傾倒面の頂部と前記非賦形面との間の距離との差として測定され、
いずれの単位賦形要素も、当該単位賦形要素と隣り合う他の単位賦形要素との高さの差が2.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域を含む、光学積層体。
【0011】
[2]
いずれの単位賦形要素も、当該単位賦形要素と隣り合う他の単位賦形要素との高さの差が0.5μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域を含む、[1]に記載の光学積層体。
【0012】
[3]
凹凸構造が形成された賦形面と、前記賦形面とは反対側の非賦形面と、を有する賦形層を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、複数の単位光学要素を有し、
前記賦形層は、複数の単位賦形要素を有し、
各単位賦形要素は、1つの単位光学要素に対応し、
各単位賦形要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
隣り合う2つの単位賦形要素の高さの差は、一方の単位賦形要素の複数の傾倒面のうち他方の単位賦形要素に最も近接する傾倒面の頂部と前記非賦形面との間の距離と、他方の単位賦形要素の複数の傾倒面のうち前記一方の単位賦形要素に最も近接する傾倒面の頂部と前記非賦形面との間の距離との差として測定され、
いずれの単位賦形要素も、当該単位賦形要素と隣り合う他の単位賦形要素との高さの差が2.0μm以下である、一辺の長さが前記単位賦形要素の最大長さの3倍以上である正方形の領域を含む、光学積層体。
【0013】
[4]
いずれの単位賦形要素も、当該単位賦形要素と隣り合う他の単位賦形要素との高さの差が0.5μm以下である、一辺の長さが前記単位賦形要素の最大長さの3倍以上である正方形の領域を含む、[3]に記載の光学積層体。
【0014】
[5]
凹凸構造が形成された賦形面と、前記賦形面とは反対側の非賦形面と、を有する賦形層を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、複数の単位光学要素を有し、
前記賦形層は、複数の単位賦形要素を有し、
各単位賦形要素は、1つの単位光学要素に対応し、
各単位賦形要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
中心に位置する単位賦形要素の幾何中心と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の幾何中心と、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域を含む、光学積層体。
【0015】
[6]
中心に位置する単位賦形要素の幾何中心と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の幾何中心と、の間の距離の最大値と最小値の差が1.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域を含む、[5]に記載の光学積層体。
【0016】
[7]
凹凸構造が形成された賦形面と、前記賦形面とは反対側の非賦形面と、を有する賦形層を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、複数の単位光学要素を有し、
前記賦形層は、複数の単位賦形要素を有し、
各単位賦形要素は、1つの単位光学要素に対応し、
各単位賦形要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
中心に位置する単位賦形要素の幾何中心と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の幾何中心と、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺の長さが前記単位賦形要素の最大長さの3倍以上である正方形の領域を含む、光学積層体。
【0017】
[8]
中心に位置する単位賦形要素の幾何中心と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の幾何中心と、の間の距離の最大値と最小値の差が1.0μm以下である、一辺の長さが前記単位賦形要素の最大長さの3倍以上である正方形の領域を含む、[7]に記載の光学積層体。
【0018】
[9]
凹凸構造が形成された賦形面と、前記賦形面とは反対側の非賦形面と、を有する賦形層を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、複数の単位光学要素を有し、
前記賦形層は、複数の単位賦形要素を有し、
各単位賦形要素は、1つの単位光学要素に対応し、
各単位賦形要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
中心に位置する単位賦形要素の光軸と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の光軸と、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域を含む、光学積層体。
【0019】
[10]
中心に位置する単位賦形要素の光軸と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の光軸と、の間の距離の最大値と最小値の差が1.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域を含む、[9]に記載の光学積層体。
【0020】
[11]
凹凸構造が形成された賦形面と、前記賦形面とは反対側の非賦形面と、を有する賦形層を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、複数の単位光学要素を有し、
前記賦形層は、複数の単位賦形要素を有し、
各単位賦形要素は、1つの単位光学要素に対応し、
各単位賦形要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
中心に位置する単位賦形要素の光軸と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の光軸と、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺の長さが前記単位賦形要素の最大長さの3倍以上である正方形の領域を含む、光学積層体。
【0021】
[12]
中心に位置する単位賦形要素の光軸と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の光軸と、の間の距離の最大値と最小値の差が1.0μm以下である、一辺の長さが前記単位賦形要素の最大長さの3倍以上である正方形の領域を含む、[11]に記載の光学積層体。
【0022】
[13]
前記正方形の領域において、中心に位置する単位賦形要素の幾何中心と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の幾何中心と、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、[1]乃至[4]及び[9]乃至[12]のいずれかに記載の光学積層体。
【0023】
[14]
前記正方形の領域において、中心に位置する単位賦形要素の幾何中心と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の幾何中心と、の間の距離の最大値と最小値の差が1.0μm以下である、[13]に記載の光学積層体。
【0024】
[15]
前記正方形の領域において、中心に位置する単位賦形要素の光軸と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の光軸と、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の光学積層体。
【0025】
[16]
前記正方形の領域において、中心に位置する単位賦形要素の光軸と、当該単位賦形要素と隣り合う三以上の他の単位賦形要素の光軸と、の間の距離の最大値と最小値の差が1.0μm以下である、[15]に記載の光学積層体。
【0026】
[17]
各単位賦形要素の前記傾倒面の高さが、1μm以上10μm以下である、[1]乃至[16]のいずれかに記載の光学積層体。
【0027】
[18]
各単位賦形要素の前記複数の傾倒面のピッチが、10μm以上である、[1]乃至[17]のいずれかに記載の光学積層体。
【0028】
[19]
前記接続面の前記法線方向に対する角度が、15°以上55°以下である、[1]乃至[18]のいずれかに記載の光学積層体。
【0029】
[20]
前記賦形面を覆う輝度調整層を更に備えた、[1]乃至[19]のいずれかに記載の光学積層体。
【0030】
[21]
凹凸構造が形成された賦形面を有する賦形層と、
前記賦形面を覆う輝度調整層と、
を備えた光学積層体であって、
前記光学積層体は、入射した光を前記凹凸構造に応じて反射、屈折および/又は回折させる、少なくとも1つの単位光学要素を有し、
前記単位光学要素において前記賦形面は、前記光学積層体の法線方向に沿って延びる任意の基準線に向かう方向に並び且つ前記基準線に向けて傾倒する複数の傾倒面と、隣り合う傾倒面を接続する複数の接続面と、を含み、
前記傾倒面の前記法線方向に対する角度が、当該傾倒面に接続する前記接続面の前記法線方向に対する角度よりも大きく、
前記接続面の前記法線方向に対する角度が、15°以上55°以下である、光学積層体。
【0031】
[22]
前記凹凸構造の高さが、1μm以上10μm以下である、[21]に記載の光学積層体。
【0032】
[23]
前記賦形層の厚みを前記凹凸構造の高さで除した値が、1.5以上8.0以下である、[21]又は[22]に記載の光学積層体。
【0033】
[24]
前記光学積層体の表側面を形成する保護層を更に備え、
前記賦形層は、前記保護層と前記輝度調整層との間に配置されている、[20]乃至[23]のいずれかに記載の光学積層体。
【0034】
[25]
前記輝度調整層は、顔料又は染料を含む、[20]乃至[24]のいずれかに記載の光学積層体。
【0035】
[26]
前記輝度調整層は、顔料又は染料で着色され、
前記光学積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[25]に記載の光学積層体。
【0036】
[27]
前記輝度調整層は、黒色顔料又は黒色染料を含む、[25]に記載の光学積層体。
【0037】
[28]
前記輝度調整層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記光学積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[27]に記載の光学積層体。
【0038】
[29]
前記輝度調整層は、反射層または屈折率変調層である、[20]乃至[24]のいずれかに記載の光学積層体。
【0039】
[30]
前記光学積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[29]に記載の光学積層体。
【0040】
[31]
顔料又は染料を含み、前記輝度調整層を覆う着色層を更に備えた、[29]又は[30]に記載の光学積層体。
【0041】
[32]
前記賦形層及び前記輝度調整層は透明である、[31]に記載の光学積層体。
【0042】
[33]
前記光学積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.4%≦RSCE≦25%、
2≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす、[31]又は[32]に記載の光学積層体。
【0043】
[34]
前記着色層は、黒色の顔料又は染料で着色され、
前記光学積層体の表側面の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす、[33]に記載の光学積層体。
【0044】
[35]
前記賦形層の前記賦形面と反対側の面が前記光学積層体の表側面の側を向いている、[1]乃至[34]のいずれかに記載の光学積層体。
【0045】
[36]
前記賦形層の前記賦形面とは反対側の面が前記光学積層体の表側面を形成する、[35]に記載の光学積層体。
【0046】
[37]
前記賦形層の前記賦形面は、前記光学積層体の表側面の側を向いている、[1]乃至[34]のいずれかに記載の光学積層体。
【0047】
[38]
前記光学積層体の表側面を形成する保護層をさらに備えた、[1]乃至[35]のいずれかに記載の光学積層体。
【0048】
[39]
前記光学積層体の表側面を形成する、又は、前記表側面と前記賦形層との間に配置された着色層をさらに備えた、[1]乃至[35]のいずれかに記載の光学積層体。
【0049】
[40]
前記光学積層体の表側面若しくは裏側面を形成する、又は、前記表側面若しくは前記裏側面と前記賦形層との間に配置されたバッカー層を更に備えた、[1]乃至[39]のいずれかに記載の光学積層体。
【0050】
[41]
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、直線部を含む、[1]乃至[40]のいずれかに記載の光学積層体。
【0051】
[42]
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、多角形状である、[1]乃至[41]のいずれかに記載の光学積層体。
【0052】
[43]
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、円形状又は楕円形状である、[1]乃至[40]のいずれかに記載の光学積層体。
【0053】
[44]
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は、曲線部を含む、[1]乃至[40]のいずれかに記載の光学積層体。
【0054】
[45]
平面視において、前記傾倒面は円弧状に延びる部分を有する、[1]乃至[40]のいずれかに記載の光学積層体。
【0055】
[46]
平面視において、前記傾倒面は直線状に延びる部分を有する、[1]乃至[40]のいずれかに記載の光学積層体。
【0056】
[47]
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は多角形状であり、
前記賦形層は、互いに隣り合う単位賦形要素の間に間隙領域を有し、
前記正方形の領域において、前記間隙領域は、互いに隣り合う単位賦形要素の前記外輪郭の複数の辺のうち当該間隙領域を挟んで隣り合う一組の辺の間を、一定の幅で延びている、[1]乃至[20]のいずれかに記載の光学積層体。
【0057】
[48]
前記正方形の領域において、前記間隙領域の幅は、20μm以上5000μm以下である、[47]に記載の光学積層体。
【0058】
[49]
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
平面視において、前記単位賦形要素の外輪郭は多角形状であり、
前記単位賦形要素の各傾倒面は、前記外輪郭のいずれかの辺と当該単位賦形要素の光軸との間を、当該辺と平行に直線状に延びる部分を含む、[1]乃至[40]のいずれかに記載の光学積層体。
【0059】
[50]
前記賦形層は、前記単位光学要素に対応する単位賦形要素を有し、
前記単位賦形要素の前記傾倒面及び/又は前記接続面に、同一方向に沿って延びる複数の凸部及び複数の凹部が形成されている、[1]乃至[49]のいずれかに記載の光学積層体。
【0060】
[51]
前記複数の凸部及び前記複数の凹部が延びる方向と垂直な面に沿った前記光学積層体の断面において、前記複数の凸部が並ぶ方向に沿った当該複数の凸部のピッチが1μm以上5μm以下である、[50]に記載の光学積層体。
【0061】
[52]
前記複数の凸部及び前記複数の凹部が延びる方向と垂直な面に沿った前記光学積層体の断面において、前記凹部を画成する凸部の頂部を基準として前記複数の凹部が並ぶ方向と垂直な方向に沿って測定した当該凹部の深さが0.5μm以下である、[50]又は[51]に記載の光学積層体。
【0062】
[53]
前記賦形面において、各単位賦形要素にはフレネルレンズ構造が形成されている、[1]乃至[52]のいずれかに記載の光学積層体。
【0063】
[54]
前記複数の傾倒面は、レンズ面であり、
前記複数の接続面は、ライズ面である、[1]乃至[53]のいずれかに記載の光学積層体。
【0064】
[55]
転写用基材と、
[1]乃至[54]のいずれかに記載の光学積層体と、
を備えた転写シート。
【0065】
[56]
成形部と、
前記成形部の少なくとも一部を覆う[1]乃至[54]のいずれかに記載の光学積層体と、
を備えた光学部材。
【0066】
[57]
前記成形部は曲面を含み、
前記光学積層体は、前記曲面を覆っている、[56]に記載の光学部材。
【0067】
[58]
[1]乃至[54]のいずれかに記載の光学積層体を備えた移動体。
【0068】
[59]
凹凸構造を有する賦形層を賦形するための賦形型の製造方法であって、
基板を準備する工程と、
前記基板の一方の面上に感光材層を形成する工程と、
前記感光材層の各位置に、前記凹凸構造の対応する位置の凹凸の高さに対応した強度のレーザー光を、3段階以上の多階調で照射する工程と、
レーザー光が照射された前記感光材層を現像して、前記凹凸構造に対応する凹凸面を有する母型を作製する工程と、
前記母型の前記凹凸面で前記賦形型を成形する工程と、
を備えた製造方法。
【0069】
本開示によれば、光学部材又は光学積層体の意匠性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、一実施の形態を説明する図であって、光学部材を含む移動体を示す斜視図である。
図2図2は、図1のF2-F2線に沿った断面図であって、図1の光学部材をセンサとともに示している。
図3A図3Aは、一実施の形態による光学部材の構成を示す断面図である。
図3B図3Bは、図3Aに対応する図であって、光学部材の変形例を示す図である。
図3C図3Cは、図3Aに対応する図であって、光学部材の他の変形例を示す図である。
図3D図3Dは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3E図3Eは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3F図3Fは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3G図3Gは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3H図3Hは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3I図3Iは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3J図3Jは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3K図3Kは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3L図3Lは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3M図3Mは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図3N図3Nは、図3Aに対応する図であって、光学部材のさらに他の変形例を示す図である。
図4図4は、一実施の形態による光学積層体を示す平面図である。
図5A図5Aは、図4の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図5B図5Bは、図5Aに示す領域内の複数の単位賦形要素の幾何中心間の距離及び光軸間の距離を説明するための図である。
図6A図6Aは、図5AのF6A-F6A線に沿った断面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示す断面のうち二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図7A図7Aは、図6Aに対応する図であって、光学積層体の変形例を示す断面図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す断面のうち二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図8図8は、単位賦形要素の外輪郭を構成する辺が直線であるか否かを判定する方法を説明するための図である。
図9図9は、図5Aに対応する図であって、光学積層体の変形例を示す図である。
図10図10は、図5Aに対応する図であって、光学積層体の他の変形例を示す図である。
図11図11は、全光線反射率及び拡散光線反射率の測定方法を説明するための図である。
図12A図12Aは、一実施の形態によるフレネルレンズ層の作用を説明するための図である。
図12B図12Bは、一実施の形態によるフレネルレンズ層の作用を説明するための図である。
図13A図13Aは、一実施の形態による光学部材の製造方法の一例を説明する図である。
図13B図13Bは、一実施の形態による光学部材の製造方法の一例を説明する図である。
図13C図13Cは、一実施の形態による光学部材の製造方法の一例を説明する図である。
図13D図13Dは、一実施の形態による光学部材の製造方法の一例を説明する図である。
図13E図13Eは、一実施の形態による光学部材の製造方法の一例を説明する図である。
図14図14は、一実施の形態による光学部材の製造方法の一例を説明する図である。
図15A図15Aは、一実施の形態による賦形型を製造するための母型の製造方法の一例を説明する図である。
図15B図15Bは、一実施の形態による賦形型を製造するための母型の製造方法の一例を説明する図である。
図15C図15Cは、一実施の形態による賦形型を製造するための母型の製造方法の一例を説明する図である。
図16A図16Aは、一実施の形態による賦形型の製造方法の一例を説明する図である。
図16B図16Bは、一実施の形態による賦形型の製造方法の一例を説明する図である。
図17図17は、一実施の形態による賦形型と、賦形型により賦形された賦形層とを示す断面図である。
図18図18は、単位賦形要素を拡大して示す平面図である。
図19図19は、図18のF19―F19線に沿った断面を示す図である。
図20図20は、図6Aに対応する図であって、変形例による光学積層体を示す断面図である。
図21図21は、図20に示す光学積層体の反射層を拡大して示す平面図である。
図22A図22Aは、図20に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図22B図22Bは、図20に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図23図23は、図6Aに対応する図であって、他の変形例による光学積層体を示す断面図である。
図24図24は、図6Aに対応する図であって、さらに他の変形例による光学積層体を示す断面図である。
図25図25は、図6Aに対応する図であって、さらに他の変形例による光学積層体を示す断面図である。
図26A図26Aは、図25に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図26B図26Bは、図25に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図27図27は、図6Aに対応する図であって、さらに他の変形例による光学積層体を示す断面図である。
図28A図28Aは、図27に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図28B図28Bは、図27に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図28C図28Cは、図27に示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図29A図29Aは、図3Jに示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図29B図29Bは、図3Jに示す変形例による光学積層体の製造方法の一例を説明する図である。
図30図30は、図5Aに対応する図であって、光学積層体のさらに他の変形例を示す図である。
図31図31は、図5Aに対応する図であって、光学積層体のさらに他の変形例を示す図である。
図32図32は、図5Aに対応する図であって、光学積層体のさらに他の変形例を示す図である。
図33図33は、一実施の形態による光学部材の変形例を示す斜視図である。
図34図34は、従来の方法で作製された賦形型の母型を示す断面図である。
図35図35は、従来の方法で作製された賦形型の母型を示す断面図である。
図36図36は、従来の方法で作製された賦形型の母型を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0072】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する方向が、共通する符号を付した矢印により示されている。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印は、例えば図2に示すように、円の中に×を設けた記号により示されている。さらに、図面の紙面に垂直な方向に沿って手前に向かう矢印は、例えば図4に示すように、円の中に点を設けた記号により示されている。
【0073】
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られず、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0074】
本明細書において、「フィルム」、「シート」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「転写シート」は、転写フィルムと呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0075】
図1乃至図3A図4乃至図14は一実施の形態を説明する図である。このうち図1および図2は、光学積層体10を備えた光学部材3の適用例を示す図である。光学積層体10は、シート状に形成され、光学シートとも呼ばれる。光学積層体10は、入射した光に光学作用をもたらす。光学積層体10は、この光学作用によって意匠を表示し、光学積層体10が適用された物品(図1に示す例では光学部材3)等に意匠性を付与できる。あるいは、光学積層体10によって光学作用がもたらされた光を所望の対象物や室内空間に入射させることで、当該対象物や室内空間を拡散した光で照明したり、当該対象物や室内空間に複数の光の像を投影することで、当該対象物や室内空間を演出できる。意匠を表示する光学積層体10は、加飾積層体とも呼ばれる。また、意匠を表示する光学積層体10が適用された光学部材3は、加飾部材とも呼ばれる。以下に説明する一実施の形態による光学部材3及び/又は光学積層体10は、その意匠性を向上させるための工夫がなされている。
【0076】
なお、図1乃至図3Aに示された例において、光学部材3は、移動体1に用いられている。図示された例において、光学部材3は、移動体1のフロントパネル2に設置されている。フロントパネル2は、エンジン車においてフロントグリルとして形成されている。一方、電気自動車においては、ラジエータ等の空冷されるべき熱交換器が設置されないこともある。したがって、フロントパネル2は、多数の孔が形成されたグリルとして、形成されなくてもよい。
【0077】
以下、図面に示された具体的な適用例を参照しながら、一実施の形態を説明していく。図1に示された移動体1は自動車である。ただし、光学部材3が適用される移動体1は自動車に限られない。光学部材3は、移動可能な装置としてのその他の移動体1にも適用可能である。自動車以外の移動体1として、鉄道車両、台車、船、飛行機、ヘリコプター、ドローン、ロボットが例示される。また、光学部材3及び光学積層体10は、移動体の内装体に用いられてもよい。また、光学部材3及び光学積層体10は、例えば、内装材、外装材、天井材、床材等の建材や、家電のケース、通信機器筐体、化粧品容器等にも適用可能である。
【0078】
<<光学部材>>
まず、図2を参照して光学部材3の全体構成について説明する。図2に示すように、光学部材3は、表側面3aと、表側面3aに対向する裏側面3bと、を有している。表側面3aおよび裏側面3bは、それぞれ、後述する成形部65の表側面66および裏側面67に沿って拡がっている。図示された例では、表側面3aおよび裏側面3bは、それぞれ、X方向DxおよびX方向Dxに直交するY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面3aおよび裏側面3bは、X方向DxおよびY方向Dyの両方向に直交するZ方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、表側面3aおよび裏側面3bは、曲面状でもよい。
【0079】
図2に示す例では、光学部材3は、光学積層体10と成形部65とを有している。図2に示す例では、成形部65と光学積層体10とは、光学部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向(Z方向Dz)に、この順で積層されている。図2に示す例では、光学部材3は、センサ5に対面して配置されている。図2に示す例では、成形部65がセンサ5に対面し、光学積層体10が観察者6に対面する。
【0080】
光学積層体10は、表側面11と裏側面12とを有している。図2に示す例では、表側面11は、光学部材3の表側面3aを形成する。裏側面12は、光学部材3の裏側面3b側(成形部65側)を向く。表側面11および裏側面12は、後述する成形部65の表側面66に沿って拡がっている。図示された例では、表側面11および裏側面12は、それぞれ、X方向DxおよびY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面11および裏側面12は、Z方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、表側面11および裏側面12は、曲面状でもよい。
【0081】
成形部65は、表側面66と裏側面67とを有している。裏側面67は、光学部材3の裏側面3bを形成する。表側面66は、光学部材3の表側面3a側(光学積層体10側)を向く。図示された例では、表側面66および裏側面67は、それぞれ、X方向DxおよびY方向Dyに平面状に広がっている。そして、表側面66および裏側面67は、Z方向Dzにおいて対向している。ただし、この例に限られず、表側面66および裏側面67は、曲面状でもよい。
【0082】
成形部65は、樹脂材料やガラス等、種々の材料により形成されてよい。成形部65をなす樹脂材料は特に限定されない。成形部65をなす樹脂材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン(AES)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート(ASA)が例示される。
【0083】
成形部65は、着色されていてもよい。この場合、光学部材3に所望の色を付与できる。成形部65は、透明でもよく、不透明でもよい。成形部65が不透明である場合、成形部65によって、光学部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽できる。例えば図2に示す例では、成形部65が不透明であることにより、光学部材3はセンサ5を隠蔽できる。着色された成形部65は、後述する着色層30aと同様の材料で作製可能である。
【0084】
なお、本明細書で用いる「透明」とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。
【0085】
ところで、図2に示すように、光学部材3は、可視光よりも長波長の電磁波を用いたセンサ5に対面して配置され得る。センサ5は、一例として、移動体1の周囲の状況を監視してもよい。センサ5の検出結果は、移動体1の制御装置4に送信され得る。制御装置4は、センサ5の検出結果に基づき、警報を発してもよく、または移動体1の移動を制御してもよい。例えば、センサ5は、移動体1の前方の障害物等を検出してもよい。このセンサ5は、電磁波を発信可能かつ電磁波を受信可能であってもよい。センサ5が、障害物等で反射した反射波を受信することによって、障害物の有無や障害物までの距離を検出できる。センサ5は、ミリ波レーダ装置としてもよい。ミリ波レーダ装置は、波長が1mm以上10mm以下のミリ波を電磁波として用いてもよい。あるいは、センサ5は、ライダー装置としてもよい。ライダー装置は、赤外線を電磁波として用いてもよい。
【0086】
センサ5は、光学部材3の裏側面3bに対面している。図2に示す例では、センサ5で用いられる電磁波は、Z方向Dzに沿って、光学部材3を透過する。図2に示す例において、表側面3aおよび裏側面3bは、電磁波の出射面および入射面となる。表側面3aおよび裏側面3bは、少なくともZ方向Dzにセンサ5と対面する領域において、平坦面となっていることが好ましい。表側面3aおよび裏側面3bを平坦面とすることによって、電磁波の拡散によるセンサ5の感度低下を抑制できる。
【0087】
<<光学積層体>>
次に、光学積層体10について、より詳細に説明する。図4は、光学積層体10の平面図である。図5A及び図5Bは、図4の二点鎖線で囲まれた領域Uを拡大して示す図である。図5Bでは、図示の明確化のため、後述する凹凸構造25の図示を省略している。図6Aは、図5AのF6A-F6A線に沿った断面図である。図3A及び図6Aに示すように、光学積層体10は、賦形層20および輝度調整層30を備えている。図6Aに示すように、賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆っている。図5Aに示すように、光学積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。各単位光学要素13は、表側面3aに入射した光を、賦形面20aの凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。これにより、光学積層体10の厚み以上の立体感を表現できる。この結果、光学積層体10の意匠性が向上する。図示された例では、光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。これにより、複数の単位光学要素13の組み合わせによる複雑な意匠を、光学積層体10に付与できる。
【0088】
光学積層体10は他の層を備えていてもよい。例えば、図3A及び図6Aに示す例では、光学積層体10は接合層35及び機能層37を備えている。この例では、接合層35、輝度調整層30、賦形層20及び機能層37が、光学積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。この例では、機能層37が光学積層体10の表側面11を形成し、接合層35が光学積層体10の裏側面12を形成している。賦形層20は、光学積層体10の表側面11と輝度調整層30との間に配置されている。輝度調整層30は、光学積層体10の裏側面12と賦形層20との間に配置されている。もちろん、賦形層20が光学積層体10の表側面11を形成してもよい。また、輝度調整層30が光学積層体10の裏側面12を形成してもよい。
【0089】
<賦形層>
まず、賦形層20について説明する。図6Aに示す例では、賦形層20は、少なくとも1つの単位賦形要素23を有している。図示された例では、賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。1つの単位賦形要素23が1つの単位光学要素13に対応する。賦形面20aにおいて、各単位賦形要素23には、凹凸構造25が形成されている。凹凸構造25は、賦形層20を後述する賦形型100を用いて賦形することで、形成され得る。
【0090】
図4に示す例では、賦形層20は、4つの領域20I~20IVを有しており、各領域が賦形型100で賦形されている。言い換えると、図4に示す光学積層体10では、賦形層20は、4つの賦形型100を組み合わせた大型版を用いて賦形されている。ここで、図4に示す領域Uは、平面視において、1つの賦形型100で賦形される領域20Iの内側に位置する正方形の領域である。図示された例では、領域Uは、その中心UCと、ある単位賦形要素23(以下では、「第1単位賦形要素231」とも呼ぶ。)の中心(ここでは、第1単位賦形要素231の幾何中心GCまたは光軸Ax)とが一致するように、決定されている。また、領域Uの一辺の長さは、単位賦形要素23の最大長さの3倍以上である。図示された例では、領域Uは、少なくとも、その中心に位置する第1単位賦形要素231と、第1単位賦形要素231と隣り合う少なくとも3つの単位賦形要素232~234(以下では、「第2単位賦形要素232」、「第3単位賦形要素233」及び「第4単位賦形要素234」とも呼ぶ。)と、を含む。言い換えると、領域Uは、少なくとも4つの単位賦形要素231~234を、完全な形状で(欠けの無い状態で)含む。図示された例では、領域Uは、第1単位賦形要素231と隣り合う他の単位賦形要素235~237(以下では、「第5単位賦形要素235」、「第6単位賦形要素236」及び「第7単位賦形要素237」とも呼ぶ。)を更に含む。領域Uの一辺の長さは、単位賦形要素23の寸法によるが、例えば、5cm以上50cm以下である。
【0091】
賦形面20aが凹凸構造25を有することにより、単位光学要素13に入射した光に、凹凸構造25に応じた光学作用(反射、屈折及び/又は回折)がもたらされる。図示された例では、凹凸構造25は、光学積層体10の表側面11に入射した平行光を集束および/又は発散させるように、決定される。賦形層20が凹凸構造25を有する単位賦形要素23を含むことにより、光学積層体10は、その厚み以上の豊かな立体感を表現できる。また、賦形層20が複数の単位賦形要素23を含むことにより、光学積層体10に複数の単位光学要素13を形成できる。本実施の形態では、各凹凸構造25は、各単位光学要素13が、単位光学要素13に入射した光に凸レンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらすように、構成されている。凸レンズと同様の光学作用に対応する光学作用とは、例えば凸面鏡と同様の光学作用を意味する。これにより、単位光学要素13は、凸レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する。この結果、光学積層体10は、光学積層体10の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表現でき、立体感を表現できる。そして、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。もちろん、各凹凸構造25は、各単位光学要素13が、光学積層体10の表側面11に入射した光に凹レンズと同様の光学作用又は当該光学作用に対応する光学作用をもたらすように、構成されていてもよい。この場合も、光学積層体10は、光学積層体10の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表現でき、立体感を表現できる。この結果、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。
【0092】
光学積層体10の平面視における各単位賦形要素23の寸法(したがって、各単位光学要素13の寸法)は、特に限定されず、光学積層体10が表現する意匠に応じて適宜設定可能である。ただし、単位光学要素13による視覚効果を有効にする観点から、各単位賦形要素23は、各々を肉眼で識別可能な程度の大きさを有していることが好ましい。具体的には、単位賦形要素23の最も短い長さを、1.0mm以上としてもよく、3.0mm以上としてもよく、5mm以上としてもよく、10mm以上としてもよく、20mm以上としてもよい。また、単位賦形要素23の最も長い長さを、200mm以下としてもよく、100mm以下としてもよく、50mm以下としてもよく、30mm以下としてもよく、20mm以下としてもよい。光学積層体10の平面視における各単位賦形要素23の寸法は、1.0mm以上200mm以下であってよい。
【0093】
図5Aに示された例において、複数の単位賦形要素23(複数の単位光学要素13)は、平面視において同一形状を有している。また、図示された例では、複数の単位賦形要素23は、各領域20I~20IV内において、規則的に配列されている。したがって、領域U内においても、複数の単位賦形要素23は、規則的に配列されている。図5Aに示す例では、複数の単位賦形要素23は、平面視において正六角形状の外輪郭23aを有する。また、図5Aに示された例では、複数の単位賦形要素23はハニカム構造を形成している。ただし、この例に限られない。複数の単位賦形要素23は、互いに異なる形状の外輪郭を有していてもよい。複数の単位賦形要素23の外輪郭23aは、六角形状以外の多角形状であってもよい。例えば、図9に示すように、四角形状の外輪郭23aを有する単位賦形要素23が、正方配列されていてもよい。また、図10に示すように、八角形状の外輪郭23aを有する単位賦形要素23が、千鳥配列されていてもよい。また、複数の単位賦形要素23の外輪郭23aは、多角形状以外の形状を有していてもよい。すなわち、単位賦形要素23の外輪郭23aは、曲線部や円弧状に延びる部分を含んでいてもよい。単位賦形要素23の外輪郭23aは、例えば、円形状、半円形状、楕円形状、扇形、三日月形、ハート形、文字の形状等、任意の形状であってよい。複数の単位賦形要素23は、不規則的な配列で配置されていてもよい。さらに、図示はしないが、各単位賦形要素23は、上述した形状が互いに重なり合った形状であってもよい。複数の単位賦形要素23が最大長さの異なる単位賦形要素23を含む場合、領域Uの一辺の長さは、最大長さが最も長い単位賦形要素23の最大長さの3倍以上であってよい。
【0094】
図5A図9及び図10に示すように複数の単位賦形要素23が各領域20I~20IV内において規則的に配列される場合、平面視における複数の単位賦形要素23の幾何中心GCが、各領域20I~20IV内において規則的に配列されてよい。本実施の形態では、図5Bに示すように、領域U内における隣り合う単位賦形要素23,23の幾何中心GC,GCの距離が、実質的に均一である。より具体的には、第1単位賦形要素231の幾何中心GCと、第2~第4単位賦形要素232~234の各々の幾何中心GCとの間の距離L12、L13、L14の、最大値と最小値の差が20.0μm以下である。図示された例では、第1単位賦形要素231の幾何中心GC1と、第1単位賦形要素231と隣り合う全ての単位賦形要素232~237の各々の幾何中心GCとの間の距離L12、L13、L14、L15、L16、L17の、最大値と最小値の差が20.0μm以下である。このような賦形層20は、後述する方法で作製された賦形型100を用いて作製できる。上記幾何中心GC,GC間の距離の差が光学積層体10の意匠性に影響を与えることを効果的に抑制する観点から、上記幾何中心GC,GC間の距離L12、L13、L14、L15、L16、L17の最大値と最小値の差は、好ましくは1.0μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以下である。
【0095】
あるいは、複数の単位賦形要素23が各領域20I~20IV内において規則的に配列されている場合、複数の単位賦形要素23の光軸Axが、各領域20I~20IV内において規則的に配列されていてもよい。この場合、各領域20I~20IV内において(したがって、領域U内において)、隣り合う単位賦形要素23,23の光軸Ax,Axの距離が、実質的に均一である。より具体的には、第1単位賦形要素231の光軸Axと、第2~第4単位賦形要素232~234の各々の光軸Axとの間の距離L22、L23、L24の、最大値と最小値の差が20.0μm以下である。図示された例では、第1単位賦形要素231の光軸Axと、第1単位賦形要素231と隣り合う全ての単位賦形要素232~237の各々の光軸Axとの間の距離L22、L23、L24、L25、L26、L27の、最大値と最小値の差が20.0μm以下である。上記光軸Ax,Ax間の距離の差が光学積層体10の意匠性に影響を与えることを効果的に抑制する観点から、領域U内における上記光軸Ax,Ax間の距離L22、L23、L24、L25、L26、L27の最大値と最小値の差は、好ましくは1.0μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以下である。なお、図5Bに示す例では、各単位賦形要素23の光軸Axは、平面視における当該単位賦形要素23の幾何中心GCを通るが、これに限られない。各単位賦形要素23の光軸Axは、平面視における当該単位賦形要素23の幾何中心GCを通らなくてもよい。
【0096】
図示された例では、互いに隣り合う単位賦形要素23の間に間隙領域24が形成されている。より具体的には、第1単位賦形要素231の外輪郭23aの一の辺23bと、第2単位賦形要素232の外輪郭23aの一の辺23bとは、間隙領域24を挟んで隣り合っている。そして、第1単位賦形要素231及び第2単位賦形要素232の外輪郭23aの上記辺23bの間に、間隙領域24が形成されている。また、第2単位賦形要素232の外輪郭23aの一の辺23bと、第3単位賦形要素233の外輪郭23aの一の辺23bとは、間隙領域24を挟んで隣り合っている。
【0097】
図5Aに示す例では、各領域20I~20IVにおいて(したがって、領域Uにおいて)、間隙領域24を挟んで隣り合う辺23b,23bは、互いに平行に延びている。言い換えると、各領域20I~20IVにおいて(したがって、領域Uにおいて)、間隙領域24は、単位賦形要素23の外輪郭23aに沿って延びている。単位賦形要素23の間に単位賦形要素23の外輪郭23aに沿って延びる間隙領域24が設けられていることにより、各単位賦形要素23の外輪郭23aを視認することが容易になる。間隙領域24の幅W24は、例えば、20μm以上5000μm以下である。これにより、各単位賦形要素23の外輪郭23aを効果的に際立たせることができる。同時に、複数の単位賦形要素23の連続性を光学積層体10の観察者に感知させることができ、複数の単位賦形要素23の組み合わせによる複雑な意匠を表示できる。本実施の形態では、各領域20I~20IVにおいて(したがって、領域Uにおいて)、間隙領域24は、隣り合う辺23b,23bの間を、一定の幅W24で延びている。一定の幅W24の間隙領域24を有する賦形層20は、後述する方法で作製された賦形型100を用いて作製できる。
【0098】
図5A乃至図6Bに示すように、各単位賦形要素23において、賦形面20aは、光学積層体10の法線方向Dnに対して傾倒する複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含んでいる。各単位賦形要素23に含まれる傾倒面26Aの数は、10以上でもよく、50以上でもよく、100以上でもよく、200以上でもよい。
【0099】
図5A乃至図6Bに示す例では、複数の傾倒面26Aは、連続した凸レンズ面をその厚み方向に垂直な面に沿って分割した複数のレンズ面に対応する。接続面26Bは、隣り合うレンズ面を接続するライズ面に対応する。このような凹凸構造25によれば、単位光学要素13を凸レンズとして機能させることによる光学積層体10の厚みの増大を、効果的に抑制できる。例えば、図示された例のように、光学部材3が車両のフロントグリルに用いられる場合、光学部材3は軽量化の観点から薄肉化が要望されることがある。また、光学部材3がセンサ5に対面して配置される場合、光学積層体10はセンサ5から発せられる電磁波が光学部材3を高透過率で透過することが求められる。この場合、光学積層体10の厚みを小さくすることが好ましい。
【0100】
図示された例では、傾倒面26Aは、単位賦形要素23(単位光学要素13)の輪郭に沿って延びている。これにより、各単位光学要素13の輪郭を効果的に際立たせることができる。また、図示された例では、互いに隣り合う単位賦形要素23の間に間隙領域24が形成されている。このことによっても、各単位光学要素13の輪郭を効果的に際立たせることができる。
【0101】
本明細書では、光学積層体10の法線方向Dnに対する傾倒面26Aの角度(以下、「傾倒面角」とも称する)θAは、図6Bに示すように、複数の傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った賦形層20の断面において、各傾倒面26Aの頂部と底部を結ぶ直線LAの、法線方向Dnに対する角度として、測定される。同様に、本明細書では、光学積層体10の法線方向Dnに対する接続面26Bの角度(以下、「接続面角」とも称する)θBは、図6Bに示すように、複数の接続面26Bが並ぶ方向に沿った賦形層20の断面において、各接続面26Bの頂部と底部を結ぶ直線LBの、法線方向Dnに対する角度として、測定される。各傾倒面26Aの傾倒面角θAは、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの接続面角θBよりも大きい。
【0102】
図5Aに示す例では、複数の傾倒面26Aは、法線方向Dnの沿って延びる基準線Axを取り囲むように延びる。このため、図6Aに示すように、複数の傾倒面26Aが並ぶ方向に沿った単位光学要素13の断面において、基準線Axの両側に複数の傾倒面26Aが存在する。図示された例では、基準線Axは、単位光学要素13の光軸である。
【0103】
図6Aに示す例では、各単位賦形要素23の賦形面20aには、凹凸構造25としてフレネルレンズ構造が形成されている。この場合、複数の傾倒面26Aは、球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズのレンズ面を、当該曲面レンズの厚み方向(光軸方向)に垂直な面に沿って複数に分割することにより得られる複数のフレネルレンズ面に対応する。複数の接続面26Bは、隣り合うフレネルレンズ面26Aを接続するライズ面に対応する。図6Aに示す例では、各単位光学要素13は、光学積層体10の表側面11から入射した光に凸レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学作用をもたらすよう構成されている。しかしながら、これに限られず、各単位光学要素13は、光学積層体10の表側面11から入射した光に凹レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学作用をもたらすよう構成されていてもよい。これにより、光学積層体10の厚み以上の豊かな立体感を表現できると共に、複雑な意匠を表現できる。
【0104】
各単位光学要素13が球面レンズやシリンドリカルレンズのような曲面レンズと同様の光学機能又は当該光学機能に対応する光学機能を発揮する場合、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、上述したように、複数の傾倒面26Aは、光軸Axに向かう方向に並ぶ。複数の傾倒面26Aは、光軸Axに向けて傾倒する。図6Aに示す例では、上記断面において、傾倒面26Aは、光軸Axの一側(例えば図6Aの左側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1に傾倒し、光軸Axの他側(例えば図6Aの右側)で上記法線方向Dnに対して第1方向D1とは反対の第2方向D2に傾倒する。
【0105】
また、付加的特徴として、単位賦形要素23は、次のような特徴を有している。すなわち、図6A及び図6Bに示すように、上記断面において、傾倒面26Aの、光軸Axの一側(例えば図6Aの左側)におけるピッチW1の標準偏差が、5μmより大きい。また、複数の傾倒面26Aの、光軸Axの一側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。さらに、図6Aに示すように、上記断面において、光軸Axの他側(例えば図6Aの右側)にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、光軸Axの他側におけるピッチW2の標準偏差が、5μmより大きい。また、複数の傾倒面26Aの、光軸Axの他側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μm以下である。当該高さH26は互いに等しくてもよい。ピッチW1,W2は、それぞれ、光軸Axから離れるにつれて小さくなる。ピッチW1の平均値とピッチW2の平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0106】
あるいは、上記付加的特徴に替えて、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。図7A及び図7Bに示すように、上記断面において、傾倒面26Aの、光軸Axの一側(例えば図7Aの左側)におけるピッチW1の標準偏差が、5μm以下である。当該ピッチW1は互いに等しくてもよい。また、傾倒面26Aの、光軸Axの一側における高さ(Z方向Dzの寸法)H26の標準偏差が、1μmより大きい。さらに、図7Aに示すように、上記断面において、光軸Axの他側(例えば図7Aの右側)にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、光軸Axの他側におけるピッチW2の標準偏差が、5μm以下である。当該ピッチW2は互いに等しくてもよい。また、傾倒面26Aの、光軸Axの他側における高さH26の標準偏差が、1μmより大きい。高さH26は、光軸Axの一側および他側のそれぞれにおいて、光軸Axから離れるにつれて高くなる。ここで、ピッチW1の平均値とピッチW2の平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0107】
あるいは、上記付加的特徴に替えて又は追加して、単位賦形要素23は、次のような付加的特徴を有している。すなわち、上記断面において、傾倒面26Aの、光軸Axの一側における傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°より大きい。さらに、図6A及び図7Aに示すように、上記断面において、光軸Axの他側にも複数の傾倒面26Aが存在する場合、傾倒面26Aの、光軸Axの他側における傾倒面角θAの最大値と最小値との差が、1°より大きい。傾倒面角θAは、光軸Axの一側および他側のそれぞれにおいて、光軸Axから離れるにつれて小さくなる。光軸Axの一側の傾倒面角θAの平均値と光軸Axの他側の傾倒面角θAの平均値とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0108】
図5Aに示す例では、光学積層体10の平面視において、凹凸構造25としては、単位賦形要素23の外輪郭23aの少なくとも一部に沿って延びる傾倒面26Aを有する。このことによっても、単位賦形要素23の外輪郭23aを効果的に際立たせることができる。
【0109】
とりわけ、図5Aに示す例では、光学積層体10の平面視において、各傾倒面26Aの形状は、単位賦形要素23の外輪郭23aの形状と相似である。そして、各傾倒面26Aは、外輪郭23aの全周に亘って、外輪郭23aと平行に延びている。これにより、単位賦形要素23の外輪郭23aをさらに効果的に際立たせることができる。
【0110】
図5Aに示す例では、各単位賦形要素23の凹凸構造25としては、リニアフレネルレンズ、又はリニアフレネルレンズを組み合わせたレンズである。図5Aに示す例では、単位賦形要素23の各傾倒面26Aは、当該単位賦形要素23の外輪郭23aのいずれかの辺23bと当該単位賦形要素23の光軸Aとの間を、当該辺23bと平行に直線状に延びる部分を含む。これにより、単位賦形要素23の外輪郭23aを効果的に際立たせることができる。
【0111】
接続面角θBは、適宜設定可能である。接続面角θBは、0°であってもよいし、0°より大きくてもよい。言い換えると、接続面26Bは、凹凸構造25の光軸Axと平行にZ方向Dzに延びていてもよいし、光軸Axとは非平行に延びていてもよい。凹凸構造25を精度良く形成することや賦形面20aと輝度調整層30との密着性を考慮すると、接続面角θBは、好ましくは15°以上であり、さらに好ましくは25°以上である。また、傾倒面26Aの面積を十分に確保して凹凸構造25にレンズ効果を適切に発揮させる観点から(言い換えると、賦形層20に適切な奥行き感を表示させる観点から)、接続面角θBは、好ましくは55°以下であり、さらに好ましくは45°以下である。したがって、接続面角θBは、15°以上55°以下であることが好ましい。凹凸構造25が精度良く形成されることにより、光学積層体10の意匠性が向上する。また、賦形面20aと輝度調整層30との密着性が向上することによっても、光学積層体10の意匠性が向上する。さらに、傾倒面26Aの面積が十分に確保されて凹凸構造25がレンズ効果を適切に発揮することによっても、光学積層体10の意匠性が向上する。
【0112】
光学積層体10の厚み以上の立体感を表現しつつ、光学積層体10の厚みを小さくする場合、凹凸構造25の高さH25は、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましい。また、凹凸構造25の高さH25は、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。したがって、凹凸構造25の高さH25は、0.2μm以上50μm以下であってよい。凹凸構造25の高さH25が0.2μm以上であることにより、光学作用によって表示される意匠の視認性を更に向上できる。なお、本明細書中、「凹凸構造の高さH25」とは、当該凹凸構造を形成する傾倒面26A又は接続面26Bの高さ(Z方向Dzの寸法)H26(図6A及び図7A参照)の最大値を意味する。図6Aに示す例では、凹凸構造25の複数の傾倒面26A又は複数の接続面26Bの高さH26は互いに等しい。このため、図6Aに示す例では、高さH25は高さH26に等しい。
【0113】
光学積層体10の表側面11に虹光が発生するのを抑制する場合、凹凸構造25の高さH25は1μmより大きいことが好ましい。
【0114】
光学積層体10の表側面11に虹光が発生するのを抑制する場合、傾倒面26AのピッチW1,W2は、7.5μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。また、単位光学要素13の小サイズ化を実現する観点から、傾倒面26AのピッチW1,W2は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。したがって、傾倒面26AのピッチW1,W2は、7.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0115】
一方、光学積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、凹凸構造25の高さH25は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、この場合、凹凸構造25の高さH25は1.0μm以下であることが好ましい。したがって、凹凸構造25の高さH25は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
【0116】
光学積層体10の表側面11に虹光を発生させることが望まれる場合、傾倒面26AのピッチW1,W2は7.5μm未満であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。
【0117】
凹凸構造25を精度良く形成する観点から、凹凸構造25の高さH25は、0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、凹凸構造25のピッチW1,W2は、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることが更に好ましい。
【0118】
なお、図6Aから理解されるように、凹凸構造25のピッチW1,W2は、当該凹凸構造25の光軸Axからの距離によって異なってよい。具体的には、ピッチW1,W2は、光軸Axから離れるにつれて小さくなってよい。
【0119】
傾倒面角θAや、接続面角θB、高さH25、ピッチW1,W2は、走査型電子顕微鏡を用いて光学積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0120】
図6Aに示すように賦形層20の非賦形面20bが光学部材3の表側面3aの側を向く場合、光学部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞を効果的に抑制するため、凹凸構造25の高さH25に対する賦形層20の厚みT20の比(T20/H25)は、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましい。また、T20/H25が1.5以上である場合、賦形層20は十分な厚みを有するため、特に賦形型100を用いた凹凸構造25をより精度良く形成できる。また、賦形層20の厚みの増大による光学積層体10の厚みの増大を抑制する観点から、T20/H25は、8.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。したがって、T20/H25は、1.5以上8.0以下であることが好ましい。なお、本明細書中、「賦形層の厚みT20」とは、非賦形面20bと傾倒面26A又は接続面26Bの頂部との距離(Z方向Dzの寸法)T26(図6Bおよび図7B参照)の最大値を意味する。図6Bおよび図7Bに示す例では、非賦形面20bと複数の傾倒面26A又は複数の接続面26Bの頂部との距離T26は均一であり、厚みT20は距離T26に等しい。
【0121】
賦形層20を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂(例えばアクリル、アクリロニトリル(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂)、紫外線(UV)硬化樹脂、電子線(EB)硬化樹脂等を用いることができる。このうち、賦形層20としては、延伸性をもつUV硬化樹脂またはEB硬化樹脂を用いることが好ましい。これにより、賦形層20の凹凸が潰れてしまうことを抑制でき、かつ、三次元曲面への貼り付けも容易に行うことができる。
【0122】
図示された例では、賦形層20を構成する材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)にウレタンアクリレートを混合したものが採用される。また、図示された例では、賦形層20を構成する材料は、シリコーンを含んでいる。このような賦形層20は、その液状の前駆材料を後述する基材72等の上に塗布した後、これを賦形型で賦形し紫外線照射して硬化させることにより、形成できる。賦形層20の前駆材料は、例えば、重合性不飽和基を有してもよいアクリル樹脂と、(メタ)アクリル系重合性モノマー又はオリゴマーと、を含む紫外線硬化性樹脂であってよい。本明細書において、(メタ)アクリルという表現は、「アクリル」および「メタクリル」の一方または両方を意味する。紫外線硬化性樹脂における重合性不飽和基を有してもよいアクリル樹脂/(メタ)アクリル系重合性モノマー又はオリゴマーの質量比率は、35/65以上95/5以下であることが好ましく、70/30以上90/10以下であることがさらに好ましい。このようにして形成された賦形層20は、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、光学積層体10を成形部65の面に沿って湾曲または延伸させる際に、賦形層20を所望のように湾曲または延伸させることができる。言い換えると、賦形層20によって、光学積層体10の湾曲または延伸が妨げられる虞が少ない。
【0123】
図示された例では、輝度調整層30を表側面11から視認できるよう、賦形層20は透明である。また、図示された例では、賦形層20に含まれる複数の単位賦形要素23の複数の凹凸構造25は、継ぎ目無しで一体的に成形される(図6Aおよび図7A参照)。
【0124】
賦形層20にフレネルレンズ構造25が形成されている場合、フレネルレンズ構造25の焦点距離(すなわち、フレネルレンズの焦点距離)は、0.5mm以上350mm以下であることが好ましく、2mm以上250mm以下であることがより好ましく、5mm以上150mm以下であることが更に好ましい。フレネルレンズ構造25の焦点距離が0.5mm以上350mm以下であることにより、賦形層20の厚み以上の立体感を効果的に表現できる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性をより向上できる。
【0125】
複数の単位賦形要素23のうちの少なくとも一部におけるフレネルレンズ構造25の焦点距離は、他の単位賦形要素23におけるフレネルレンズ構造25の焦点距離とは異なっていてもよい。これにより、観察者は、各々の単位賦形要素23のZ方向Dzにおける位置を、互いに異なるように感知する。これにより、立体感によって意匠性を更に効果的に向上できる。
【0126】
上述した賦形層20は、凹凸構造25を形成する凹凸を有する。凹凸構造25を形成する凹凸は、意図して形成された凹凸である。賦形層20に、意図しない凹凸(例えば、段差や隆起)が形成されていると、意図しない光学作用がもたらされて、光学積層体10の意匠性を損なう虞がある。このような点を踏まえ、本実施の形態の賦形層20には、意図しない段差や隆起が、実質的に形成されていない。具体的には、各領域20I~20Vでは(したがって、領域Uでは)、いずれの単位賦形要素23も、当該単位賦形要素23と隣り合う他の単位賦形要素23との高さの差が2.0μm以下である。
【0127】
ここで、隣り合う2つの単位賦形要素23,23の高さの差は、以下のようにして測定される。まず、第1単位賦形要素231と第2単位賦形要素232の高さの差を測定する場合を例に挙げて説明する。この場合、図6Aに示すように、第1単位賦形要素231の複数の傾倒面26Aのうち、第2単位賦形要素232に最も近接する傾倒面26A12の頂部と非賦形面20bとの間の距離X12を測定する。また、第2単位賦形要素232の複数の傾倒面26Aのうち、第1単位賦形要素231に最も近接する傾倒面26A21の頂部と非賦形面20bとの間の距離X21を測定する。次に、距離X12と距離X21との差を求め、得られた差を、第1単位賦形要素231と第2単位賦形要素232の高さの差とする。
【0128】
また、第1単位賦形要素231と第5単位賦形要素235の高さの差を測定する場合を例に挙げて説明する。この場合、第1単位賦形要素231の複数の傾倒面26Aのうち、第5単位賦形要素235に最も近接する傾倒面26A15の頂部と非賦形面20bとの間の距離X15を測定する。また、第5単位賦形要素235の複数の傾倒面26Aのうち、第1単位賦形要素231に最も近接する傾倒面26A51の頂部と非賦形面20bとの間の距離X51を測定する。次に、距離X15と距離X51との差を求め、得られた差を、第1単位賦形要素231と第5単位賦形要素235の高さの差とする。
【0129】
より一般的に言えば、隣り合う2つの単位賦形要素23m,23n(231,232;231,235)の高さの差は、一方の単位賦形要素23m(231)の複数の傾倒面26Aのうち他方の単位賦形要素23n(232;235)に最も近接する傾倒面26Amn(26A12;26A15)の頂部と非賦形面20bとの間の距離Xmn(X12;X15)と、他方の単位賦形要素23n(232;235)の複数の傾倒面26Aのうち上記一方の単位賦形要素23m(231)に最も近接する傾倒面26Anm(26A21;26A51)の頂部と非賦形面20bとの間の距離Xnm(X21;X51)との差として測定される。
【0130】
上述したように、各領域20I~20IVでは(したがって、領域Uでは)、いずれの単位賦形要素23も、当該単位賦形要素23と隣り合う他の単位賦形要素23との高さの差が2.0μm以下である。したがって、各領域20I~20IVでは(したがって、領域Uでは)、各領域20I~20IVに含まれる複数の単位賦形要素23のいずれを選択しても、選択された単位賦形要素23と当該単位賦形要素と隣り合う単位賦形要素23との高さの差は、2.0μm以下である。
【0131】
上記隣り合う単位賦形要素23,23の高さの差が光学積層体10の意匠性に影響を与えることを効果的に抑制する観点から、上記高さの差は、好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.2μm以下である。このような賦形層20は、後述する方法で作製された賦形型100を用いて作製できる。隣り合う単位賦形要素23,23の高さの差も、走査型電子顕微鏡を用いて光学積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0132】
以上に説明したように、本実施の形態の賦形層20には意図しない段差や隆起が実質的に形成されていない。さらに、本実施の形態の賦形層20では、複数の単位賦形要素23の形状や配列の規則性が高く、隣り合う単位賦形要素23の光軸Axの距離が実質的に一定である。
【0133】
また、図示された例では、単位賦形要素23の外輪郭23aは、直線部を含む。言い換えると、単位賦形要素23の外輪郭23aを構成する複数の辺23bの少なくとも1つは、直線である。本明細書において、「辺23bが直線である」とは、辺23bが厳密な意味で直線である場合だけでなく、実質的に直線である場合も含む。外輪郭23aの辺23bが直線であるかどうかは、以下のようにして判定する。ここでは、図8を参照して、第1単位賦形要素231の第1の辺23b1を例に挙げて説明する。第1の辺23b1は、第1単位賦形要素231と隣り合う第2単位賦形要素232の第2の辺23b2と隣り合う。このような第1の辺23b1が直線であるかどうかを判定する場合、平面視において、第1の辺23b1と第2の辺23b2とが並ぶ方向(方向Dx)に垂直な仮想線Yを、第1単位賦形要素231に重ならない位置に定める。そして、仮想線Yと第1の辺23b1上の仮想線Yに最も近接する点との距離Zaを測定する。また、仮想線Yと第1の辺23b1上の仮想線Yから最も離れた点との距離Zbを測定する。そして、得られた距離Zbと距離Zaとの差が1μm以下であれば、第1の辺23b1は直線であると判定する。そして、この場合、第1単位賦形要素231の外輪郭23aは直線部を含む、と判定する。図示された例では、単位賦形要素23の外輪郭23aを構成する全ての辺23bが、直線である。このような単位賦形要素23は、規則的に配列でき、この結果、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。このような単位賦形要素23を有する賦形層20は、後述する方法で作製された賦形型100を用いて作製できる。
【0134】
ここで、図34乃至図36を参照して、従来のフレネルレンズ構造を賦形するための賦形型の作製方法について、説明する。従来の賦形型は、次のようにして形成された母型310を用いて作製されていた。すなわち、まず、板状の母型片形成用部材の表面をダイヤモンド製の切削工具を用いて切削し、単位賦形要素23のフレネルレンズ構造に対応する凹凸を形成する。次に、母型片形成用部材から、フレネルレンズ構造を含む母型片320を、手作業によって切り出す。一つの母型片320が、フレネルレンズ層20の一つの単位賦形要素23に対応する。このようにして作製された複数の母型片320を枠330内に並べることで、一つの母型310を形成する。次に、形成された母型310の凹凸面に電鋳処理を施し、賦形型となる金属層を形成する。その後、金属層を母型310から取り外す。このようにして形成された賦形型は、各母型片320に形成された凹凸を反映した凹凸を有する。
【0135】
しかしながら、母型片形成用部材から母型片320を意図した寸法や形状で正確に切り出すことは、困難である。また、母型片を枠330内に敷き詰めた際に隙間が生じないよう、一般に、母型片320は意図された寸法よりも若干大きく切り出される。このような母型片320を枠330内に敷き詰めようとすると、複数の母型片320を意図されたように配置できないことがある。例えば、図34に示すように、母型片320を配列する際に隣り合う母型片320の縁部が重なってしまい、母型片320により構成される母型310に意図しない段差310Sが形成されることがある。あるいは、図35に示すように、複数の母型片320の一部を他の母型片320と同じ平面上に配置できず(言い換えると、一部の母型片320が他の母型片320から浮き上がってしまって)、母型310の一部に、意図しない隆起310Tが形成されることがある。このような母型310の段差310Sや隆起310Tは、母型310を利用して形成される賦形型に反映され、この結果、賦形型によって賦形される賦形層20に、意図しない段差や隆起が形成される。このようにして賦形層20に形成された段差や隆起は、隣り合う単位賦形要素23間を延びる筋として観察されたり、意図しない光学作用をもたらす。
【0136】
さらに、母型片の平面視における形状が意図した形状と異なっていると、複数の母型片を意図した通りに配列できない。この結果、図36に示すように、母型片320の形状や配列の規則性が低い母型310が形成され、この結果、複数の単位賦形要素23の形状や配列の規則性が低い賦形層20が形成される。また、母型片形成用部材から手作業で母型片320を切り出すため、母型片320の縁が滑らかにならない。この結果、外輪郭が直線の辺を含む単位賦形要素を形成することは困難である。
【0137】
<輝度調整層>
次に、輝度調整層30について説明する。輝度調整層30は、光学積層体10で反射される光の輝度を調整する層である。光学積層体10で反射される光の輝度が調整されることで、高級感をともなった豊かな意匠を、さらに効果的に光学積層体10に付与できる。
【0138】
図示された例では、輝度調整層30は、光学積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率を調整するために設けられている。輝度調整層30は、賦形層20の賦形面20aを被覆している。これにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率が調整され、光学積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率が調整される。輝度調整層30の賦形層20に対面する面は、賦形面20aに対応する凹凸が形成されている。言い換えると、輝度調整層30には、賦形層20の凹凸構造25に対応する凹凸構造が形成されている。図6A及び図7Aに示す例では、輝度調整層30は、賦形面20aの凹凸を埋める平坦化層としても機能する。
【0139】
図示された例では、輝度調整層30は顔料や染料で着色された着色層30aである。着色層30aは光学積層体10に入射した光の一部を吸収し、これにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率が調整される。また、着色層30aにより、光学積層体10に所望の色彩を付与できる。着色層30aを構成する材料としては、樹脂に顔料や染料を混合したものを採用可能である。着色層30aは、さらに、紫外線吸収剤や光安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0140】
着色層30aに含まれる樹脂は、例えば、非紫外線硬化系のアクリル樹脂でもよい。
アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリレート化合物の重合体である。重合体は、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体でもよく、共重合体でもよい。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレートおよびエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ならびにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アクリル樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリレート化合物という表現は、「アクリレート化合物」および「メタクリレート化合物」の一方または両方を意味する。
【0141】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐熱性および耐摩耗性などの耐久性の観点から、例えば、25000以上でもよく、50000以上でもよい。アクリル樹脂のMwは、層間密着性の観点から、例えば、100000以下でもよく、80000以下でもよい。本明細書において、Mwは、ポリスチレンを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS K 7252-3:2016に準拠した方法で測定する。
【0142】
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性および耐摩耗性などの耐久性の観点から、例えば、70℃以上でもよく、85℃以上でもよい。アクリル樹脂のTgは、層間密着性の観点から、例えば、110℃以下でもよく、100℃以下でもよい。したがって、アクリル樹脂のTgは、70℃以上110℃以下であってよい。本明細書において、Tgは、JIS K 7121:2012に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られるガラス転移温度である。
【0143】
着色層30aに含まれる樹脂は、アクリル系熱硬化性樹脂の硬化物でもよい。該硬化物は、例えば、アクリル系熱硬化性樹脂と硬化剤とから形成される。アクリル系熱硬化性樹脂としては、例えば、一分子中に水酸基を2つ以上有するアクリルポリオールが挙げられる。アクリルポリオールとしては、例えば、原料モノマーとしてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーを少なくとも用いた、(メタ)アクリレート化合物の重合体が挙げられる。硬化剤としては、例えば、イソシアネート化合物が挙げられる。
【0144】
着色層30aが黒色に着色されている場合、着色層30aは典型的には黒色顔料を含んでいる。着色層30aは、黒色顔料に代えて黒色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックやチタンブラック、複合金属酸化物、ペリレンブラックを採用可能である。また、着色層30aが含む黒色染料としては、例えば、アゾ系ブラック染料、ニグロシンブラック染料を採用可能である。
【0145】
着色層30aが青色に着色されている場合、着色層30aは典型的には青色顔料を含んでいる。着色層30aは、青色顔料に代えて青色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む青色顔料としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、コバルトブルー、複合金属酸化物を採用可能である。また、着色層30aが含む青色染料としては、例えば、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
【0146】
着色層30aが赤色に着色されている場合、着色層30aは典型的には赤色顔料を含んでいる。着色層30aは、赤色顔料に代えて赤色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む赤色顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、複合金属酸化物、酸化鉄を採用可能である。また、着色層30aが含む赤色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ペリノン系染料を採用可能である。
【0147】
着色層30aが黄色に着色されている場合、着色層30aは典型的には黄色顔料を含んでいる。着色層30aは、黄色顔料に代えて黄色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む黄色顔料としては、例えば、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、縮合アゾ系顔料、複合金属酸化物、酸化鉄を採用可能である。また、着色層30aが含む黄色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、メチン系染料、キノフタロン系染料、ピラゾロン系染料を採用可能である。
【0148】
着色層30aが緑色に着色されている場合、着色層30aは典型的には緑色顔料を含んでいる。着色層30aは、緑色顔料に代えて緑色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む緑色顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料を採用可能である。また、着色層30aが含む緑色染料としては、例えば、トリフェニルメタン系塩基性染料、フタロシアニン系染料を採用可能である。
【0149】
着色層30aが紫色に着色されている場合、着色層30aは典型的には紫色顔料を含んでいる。着色層30aは、紫色顔料に代えて紫色染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含む紫色顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料を採用可能である。また、着色層30aが含む紫色染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、キノリン系染料を採用可能である。
【0150】
着色層30aが紅紫色に着色されている場合、着色層30aは典型的にはマゼンタ顔料を含んでいる。着色層30aは、マゼンタ顔料に代えてマゼンタ染料を含んでいてもよいし、顔料及び染料の両方を含んでもよい。着色層30aが含むマゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料を採用可能である。また、着色層30aが含むマゼンタ染料としては、例えば、唐紅、アントラキノン系染料を採用可能である。
【0151】
また、着色層30aは、上述した顔料や染料だけでなく調色顔料や調色染料を含んでもよい。例えば着色層30aを黒色に着色する場合であって、黒色顔料や黒色染料が赤みがかっている場合、着色層30aは調色顔料または調色染料として上述した青色顔料や青色染料をさらに含んでもよい。この場合の調色顔料としては、例えば、青色顔料の他、上述した赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、マゼンタ顔料、紫色顔料など、種々の着色顔料を採用可能である。また、この場合の調色染料としては、青色染料の他、上述した赤色染料、緑色染料、マゼンタ染料、黄色染料、紫色染料など、種々の染料を採用可能である。
【0152】
あるいは、着色層30aは、黒色顔料および黒色染料以外の上述した各色の顔料、染料を含んで黒色となっていてもよい。
【0153】
このような着色層30aは、その液状の前駆材料を賦形層20の賦形面20aに塗布し、これを硬化させることにより、作製される。着色層30aの前駆材料は、上述した着色層30aに含まれる樹脂と顔料または染料とを含む。
【0154】
<接合層>
接合層35は、光学積層体10の他の層と成形部65とを接合(接着、粘着または熱融着)させる。接合層35を形成する材料としては、熱可塑性樹脂や(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などを採用可能である。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等を採用可能である。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0155】
<機能層>
機能層37は、種々の機能を期待されて設けられる層である。種々の機能としては、保護機能、ハードコート機能、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等が例示される。図示された例では、機能層37は剥離層37aである。剥離層37aは、後述する基材72からの光学積層体10の剥離を容易にする剥離性を有する。剥離層37aを形成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を採用可能である。図示された例では、機能層37は光学積層体10の表側面11を形成する。光学積層体10の他の層は、機能層37を透過して観察される。したがって、機能層37は、透明となっている。
【0156】
以上の構成を有する光学積層体10の厚みは、0.005mm以上としてもよく、0.025mm以上としてもよく、0.05mm以上としてもよく、0.1mm以上としてもよく、0.15mm以上としてもよい。また、光学積層体10の厚みは、2mm以下としてもよく、1.0mm以下としてもよく、1mm以下としてもよく、0.75mm以下としてもよく、0.5mm以下としてもよい。したがって、光学積層体10の厚みは、0.005mm以上2mm以下であってよい。
【0157】
<光学積層体の反射率>
次に、本実施の形態の光学積層体10の反射率について説明する。本発明者らが得た知見によれば、着色層30aを有する光学積層体10において、光学積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を調節することにより、光学積層体10の厚みを、実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができる。具体的には、賦形面20a又は輝度調整層30が実際の賦形面20a又は輝度調整層30の位置よりも奥深くに位置しているように感じることができる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠を、さらに効果的に光学積層体10に付与できる。
【0158】
ここで、本実施の形態における光学積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、JIS Z 8722:2009に準拠して幾何条件cで測定される。本明細書における全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)は、JIS Z 8722:2009に準拠して、分光測色計を用いて、SCI方式及びSCE方式で測定した反射率Y値(三刺激値XYZのY)である。全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)の測定は、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型番CM-700d)を用いて行う。測定する際、測定条件、観察条件、及び、測定径/照明径を以下のように設定する。また、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)の測定は、平らな台の上に置いた光学積層体10の表側面11に分光測色計を垂直に押し当てて行う。この分光測色計の測定波長範囲は400nm~700nmであり、測定波長間隔は10nmである。
<測定条件>
・モード(正反射光処理モード):I+E(SCI+SCE)
<観察条件>
・表色系:L
・色差式:ΔEab
・視野角:10°視野
・主光源:D65
<測定径/照明径>
ターゲットマスクの交換及びレンズ位置切替えにより、Φ3mm/Φ6mm及びΦ8mm/Φ11mmのいずれかに設定。
【0159】
測定径/照明径は、単位光学要素13の寸法に応じて選択する。ここで、照明径は、分光測色計の照射領域の直径であり、測定径は、分光測色計の測定領域Cの直径である(図11参照)。
【0160】
図示された例では、単位光学要素13の幾何中心に測定領域Cの中心を合わせた場合に、当該測定領域Cに当該単位光学要素13の少なくとも40%が収まるように測定径/照明径を選択し、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を設定する。測定径は、選択可能な測定径の中から最も小さい測定径を選択する。例えば、単位光学要素13の少なくとも40%が直径3mmの仮想円内に収まる場合には、測定径/照明径がΦ3mm/Φ6mm及びΦ8mm/Φ11mmのいずれの場合であっても単位光学要素13の少なくとも40%が測定領域C内に収まるが、測定径/照明径をΦ3mm/Φ6mmに設定する。また、単位光学要素13の少なくとも40%が直径8mmの仮想円内に収まるが直径3mmの仮想円内に収まらない場合には、測定径/照明径をΦ8mm/Φ11mmに設定する。
【0161】
次に、図11に示すように、光学積層体10の平面視において、分光測色計の測定領域Cの中心が上記単位光学要素13の幾何中心と一致するように、単位光学要素13に対する測定領域Cの位置を決定して、全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を測定する。
【0162】
本発明者らは、着色層30aが顔料又は染料で着色されている場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、光学積層体10を観察した場合に着色層30aの色が鮮明に知覚されることを見出した。
【0163】
また、本発明者らは、着色層30aが黒色の顔料又は染料で着色されている場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、光学積層体10の漆黒性を高めることができることを見出した。
【0164】
さらに、本発明者らは、着色層30aが黒色の顔料又は染料で着色されている場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
4%≦RSCI≦6%、
0.3%≦RSCE≦0.6%、
8≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができると共に、光学積層体10の漆黒性を、さらに効果的に向上できることを見出した。
【0165】
なお、光学積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)は、着色層30aに含まれる樹脂(V)に対する顔料(P)の重量比(P/V)を調整することにより、調整可能である。より具体的には、着色層30aが、無色透明な樹脂と顔料とから形成される場合、P/Vは0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。また、着色層30aの耐久性や他の層との密着性の観点から、P/Vは2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。したがって、P/Vは、0.2以上2以下であってよい。
【0166】
輝度調整層30が着色層30aである場合、光学積層体10は、後述する隠蔽層60を更に備えていてもよい。隠蔽層60は、光学積層体10の裏側面12を形成する、または、賦形層20及び輝度調整層30と裏側面12との間に配置される。この場合、輝度調整層30の色と隠蔽層60の色とを組み合わせた色を、光学積層体10に付与できる。
【0167】
<<光学積層体の作用>>
次に、光学積層体10の作用について説明する。本実施の形態の光学積層体10は、意匠を表示し、光学積層体10が適用された物品等に意匠性を付与する。ところで、光学積層体10が立体感を表現できれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。光学積層体10による立体感は、物理的な凹凸構造を形成することによって、表現できる。その一方で、光学積層体10の用途等に依存して、光学積層体10の厚みを十分に厚くできない場合がある。このような制約によって、意匠性を十分に改善できないこともある。例えば、車両のフロントグリルに用いられる光学部材のように、多くの光学部材は軽量化の観点から薄肉化が要望される。また、ミリ波等の電磁波の透過を予定された光学部材の厚みは、ミリ波の波長に応じて設定され、制約を受ける。加えて、電磁波の透過率を改善する観点から、光学積層体の厚みを低減することが好ましい。
【0168】
これに対して、本実施の形態によれば、光学積層体10が、フレネルレンズ構造25を有する賦形層20を備えている。図12A及び図12Bは、賦形層20の光学作用を説明するための図である。本実施の形態では、賦形層20のフレネルレンズ面26Aに形成される反射界面は、凸面鏡として機能するように構成されている。この場合、図12Aに示すように、凸面鏡M1に映り込む範囲A1は、凸面鏡M1と同一位置に配置された鏡面反射面よりも広くなる。すなわち、凸面鏡M1に映り込む範囲A1は、Z方向Dzにおいて、観察者からより遠くに離間して配置された鏡面反射面M3に映り込む範囲A1と同一となる。結果として、上記反射界面への映り込みを観察した観察者は、凸面鏡M1として機能する賦形層20が実際の賦形層20の位置よりも奥深くに位置しているように感じる。すなわち、賦形層20は、賦形層20の実際の厚みよりも深い奥行き感のある意匠を表示できる。このようにして、賦形層20は、その厚みよりも奥行き感のある意匠を表示できる。したがって、賦形層20の厚みを薄くしながら、賦形層20の厚み以上の立体感を表現できる。これにより、高級感をともなった豊かな意匠表現を実現し、意匠性を向上できる。
【0169】
賦形層20のフレネルレンズ面26Aに形成される反射界面が凹面鏡として機能するように構成されている場合は、図12Bに示すように、凹面鏡M2に映り込む範囲A2は、凹面鏡M2と同一位置に配置された鏡面反射面よりも狭くなる。すなわち、凹面鏡M2に映り込む範囲A2は、Z方向Dzにおいて、観察者により近くに接近して配置された鏡面反射面M4に映り込む範囲A2と同一となる。結果として、単位賦形要素23への映り込みを観察した観察者は、凹面鏡M2として機能する単位賦形要素23が実際のフレネルレンズ層20の位置よりも手前に位置しているように感じる。したがって、この場合においても、フレネルレンズ層20の実際の厚みよりも奥行き感のある意匠を表示できる。
【0170】
<<光学部材の製造方法>>
次に、図13A乃至図17を参照して、本実施の形態による光学部材3(すなわち、図3Aに示す光学部材3)の製造方法について説明する。図13A乃至図13Eは、光学積層体10を成形部65に転写するための転写シート70の製造方法を示す断面図である。
【0171】
まず、図13Aに示すように、平板な基材72を準備する。基材72は、光学積層体10を成形部65に転写する際に、光学積層体10から剥離される部材である。基材72としては、例えばポリエステル樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム等、一般的な転写シートの基材として用いられるものを採用可能である。基材72の一方の面には、離型層が形成されていてもよい。離型層は、光学積層体10からの基材72の剥離を容易にする剥離性を有する。離型層を形成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬化樹脂を採用可能である。なお、基材72上に離型層を形成する代わりに、基材72の表面に公知の離型処理を施してもよい。この場合も、基材72を光学積層体10から容易に剥離できる。
【0172】
次に、基材72上に剥離層37aを形成する。基材72に離型層が形成されている場合には、離型層の上に剥離層37aを形成する。基材72上に剥離層37aが形成されることにより、基材72を光学積層体10から容易に剥離できる。
【0173】
次に、図13Bに示すように、剥離層37a上に、上述した賦形層20の前駆材料の層29を形成する。次に、図13Cに示すように、層29に賦形型100を押し当てて、これを賦形する。賦形型100は、凹凸構造25に対応した凹凸を有する。次に、層29に紫外線を照射し、これを硬化させる。これにより、賦形面20aに凹凸構造25が形成された賦形層20が、作製される。その後、賦形型100を賦形層20から取り外す。賦形型100は、層29に紫外線を照射する前に層29から取り外されてもよい。
【0174】
賦形型100の凹凸は、凹凸構造25の接続面角θBが0°ではなく、15°以上となるように、決定されている。これにより、賦形型100で層29を賦形する際に、層29に、賦形型100の凹凸を高い精度で反映させた凹凸を形成することが容易である。言い換えると、賦形層20に、賦形型100の凹凸に応じた凹凸構造25を形成することが容易である。また、凹凸構造25の接続面角θBが15°以上であることにより、賦形層20または層29を賦形型100から抜き取ることが容易である。
【0175】
次に、図13Dに示すように、賦形層20の賦形面20aに着色層30aを形成する。着色層30aは、樹脂に顔料や染料を混合してなる前駆材料を賦形面20aに塗布し、形成される。着色層30aの前駆材料に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である場合、前駆材料は、賦形面20aに塗布された後、乾燥されることで形成される。また、着色層30aの前駆材料に含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である場合、前駆材料は、賦形面20aに塗布された後、乾燥され加熱されることにより、あるいは乾燥され常温もしくは高温環境に一定時間置かれることにより、硬化してよい。着色層30aを硬化させた後、図13Eに示すように、着色層30a上に接合層35を形成する。これにより、図13Eに示す転写シート70が作製される。
【0176】
次に、転写シート70を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、光学積層体10上の裏側面12(すなわち、接合層35)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、図14に示すような転写シート70に接合された成形部65が、上記成形型内で成形される。その後、基材72を光学積層体10から剥離する。これにより、成形部65に光学積層体10が転写された光学部材3(図3A参照)が完成する。このような光学部材3の成形方法は、インモールド成形として知られる。
【0177】
<<賦形層の賦形型の製造方法>>
次に、賦形層20に凹凸構造25を賦形するための賦形型100の製造方法について説明する。
【0178】
まず、図15A乃至図15Cを参照して、賦形型100を形成するための母型110の作製方法について説明する。最初に、図15Aに示すように、母型形成用部材111を準備する。母型形成用部材111は、ガラス板等の平板な基板112と、基板112の一方の面を被覆する感光材層113とを含む。図示された例では、感光材層113は、ポジ型のレジストを用いて形成される。
【0179】
次に、図15Bに示すように、感光材層113にレーザー光Rを照射する。このとき、レーザー光Rの母型形成用部材111上における照射位置を移動させながら、感光材層113の全領域にレーザー光を照射する。また、このとき、レーザー光Rの強度は、3階調以上の多階調で制御される。レーザー光Rの強度の制御は、凹凸構造25を表すデータに基づいて制御される。このデータは、賦形層20の賦形面20aに形成すべき凹凸パターンに関する情報を含んでいる。この凹凸パターンは、賦形層20の複数の単位賦形要素23を含む(したがって、これら複数の単位賦形要素23間の間隙領域24も含む)領域の凹凸パターンである。また、この凹凸パターンは、賦形面20aに形成すべき凹凸の、非賦形面20bを基準とした高さ(深さ)を、3段階以上の多段階で表している。このようなデータを用いて、レーザー光Rの強度は、3階調以上の多諧調で制御される。また、レーザー光Rは、上記凹凸パターンを反映した強度で、感光材層113上の各位置に照射される。この結果、感光材層113の各位置におけるレーザー光Rの露光量は、上記凹凸パターンを反映した露光量となる。
【0180】
次に、図15Cに示すように、感光材層113を現像し、感光材層113の一部を除去する。上述したように、感光材層113の各位置におけるレーザー光Rの露光量が上記凹凸パターンを反映した露光量であるため、現像後の感光材層113には、上記凹凸パターンを反映した凹凸が形成される。このようにして、上記凹凸パターンを反映した凹凸を有する母型110が作製される。
【0181】
このようにして、複数の単位賦形要素23の複数の凹凸構造25に応じた凹凸を有する母型110が、継ぎ目無しで一体的に形成される。このため、母型110に意図しない凹凸が形成される虞が少ない。また、感光材層113のレーザー光Rの露光量が多階調で調整されることで、母型110に、上記凹凸パターンに応じた凹凸を精度良く形成できる。
【0182】
次に、図16Aおよび図16Bを参照して、賦形型100の作製方法について説明する。賦形型100は、母型110の凹凸面110aにより成形される。図示された例では、まず、図16Aに示すように、母型110の凹凸面110aに、金属層115を形成する。金属層115は、例えば電鋳処理によってニッケル等で形成されてよい。金属層115には、母型110の凹凸を反映した(したがって、上記凹凸パターンを反映した)凹凸が形成される。
【0183】
次に、図16Bに示すように、金属層115を母型110から分離する。金属層115は、例えば母型110の感光材層113を溶剤で溶解して除去することにより、母型110から分離されてよい。母型110から分離された金属層115が、賦形型100として用いられる。また、このようにして作製された賦形型100を複数組み合わせることにより、図3Aに示す複数の領域20I~20IVを一度に賦形可能な大型の賦形型を作製してもよい。
【0184】
図17に示すように、このようにして作製された賦形型100を用いることで、賦形層20の各領域20I~20IVに複数の単位賦形要素23を、意図された配列パターンで、一度に賦形できる。同時に、複数の単位賦形要素23間の間隙領域24も賦形できる。したがって、賦形層20に、複数の単位賦形要素23を、意図した平面形状および配列パターンで、精度良く形成できる。また、間隙領域24を、意図した幅W24で、精度良く形成できる。さらに、賦形型100は、意図しない凹凸が形成されている虞の少ない母型110を用いて作製されるため、意図しない凹凸を有している虞が少ない。したがって、賦形型100は、賦形層20に意図しない凹凸を形成する虞が少ない。
【0185】
さらに、このようにして作製される賦形型100は、従来の切削加工により作成された母型310を用いて作製される賦形型と比較して、凹凸構造25の設計の自由度が高い。具体的には、傾倒面26A及び接続面26Bの形状を、従来の方法と比較して、自由に設定でき、例えば、図5Aに示すような六角形状や図10に示す八角形状にできる。あるいは、曲線部や円弧状に延びる部分を含む形状にできる。また、隣り合う単位賦形要素23間の間隙領域24の幅W24を、図5A図9に示すように、一定にすることが容易である。
【0186】
なお、このようにして作製された母型110には、上記レーザー光Rの照射領域の移動方向に応じた微細な凹凸が形成されることがある。このため、この母型110を用いて作製された賦形型100によって賦形された凹凸構造25にも、図18及び図19に示すような微細な凹凸27が形成されることがある。図18及び図19に示す例では、この微細な凹凸27の凸部27a及び凹部27bは、Y方向Dyに沿って延びている。微細な凹凸27は、斜面として形成された傾倒面26A又は接続面26Bにも形成される。
【0187】
図19には、複数の凸部27a及び複数の凹部27bが延びる方向Dyと垂直な面に沿った光学積層体10の断面を示している。この例では、当該断面において、凹部27bを画成する凸部27aの頂部を基準として複数の凹部27bが並ぶ方向D271と垂直な方向D272に沿って測定した当該凹部27bの深さH27が、0.5μm以下である。また、上記断面において、複数の凸部27aが並ぶ方向D271に沿った複数の凸部27aのピッチW27が1μm以上5μm以下である。このような微細な凹凸27は、光学積層体10の表側面11に虹光を発生させることができる。凹部27bの深さH27や凸部27aのピッチW27も、走査型電子顕微鏡を用いて光学積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0188】
<<<変形例>>>
次に、図20乃至図33を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。図20乃至図33において、図1乃至図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0189】
<<輝度調整層の変形例1>>
上述した例では、輝度調整層30が着色層30aである例を示したが、これに限られない。図20に示すように、輝度調整層30は、反射層30bであってもよい。
【0190】
反射層30bは、賦形層20の賦形面20aを被覆することにより、賦形面20aと反射層30bとの間に反射界面を形成する。反射層30bによって、賦形面20aと反射層30bとの間の反射界面における可視光の反射率が向上し、これにより光学積層体10で反射される光の輝度が調整される。この反射層30bは、金属材料の蒸着またはコーティング等により形成される金属反射層である。反射層30bは、薄い膜状の層として形成される。反射層30bの厚みは、接続面26Bの高さH26よりも小さくてもよい。反射層30bの厚みは、接続面26Bの高さH26の半分以下でもよく、接続面26Bの高さH26の25%以下でもよく、接続面26Bの高さH26の10%以下でもよい。このような厚みの反射層30bは、賦形面20aの凹凸を埋めることなく、賦形面20aに対面する側とは反対の側に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する。
【0191】
図20に示す例では、反射層30bの凹凸は接合層35によって埋められている。しかしながら、図6Aに示す例と同様に、反射層30bは、賦形面20aの凹凸を埋めるように形成されてもよい。
【0192】
反射層30bの材料としては、反射層30bが形成する反射界面の反射率が向上する材料を用いることが好ましく、さらに電波透過性をもつ材料を用いることがより好ましい。この場合、反射層30bを構成する材料としては、例えば、アルミニウム、インジウム、錫等の金属材料を用いることができる。
【0193】
また、上述したように、センサ5で用いられる電磁波が、光学積層体10を透過する。反射層30bが、賦形面20aの全面に連続的に広がる層として形成されると、電磁波が遮断または減衰される。そこで、図21に示すように、反射層30bは、複数の金属粒部31を含んでもよい。金属粒部31は、金属光沢を有し、可視光を反射可能となっている。反射層30bは、いわゆる海島構造の島を形成している。島状の金属粒部31が、互いに離間している。複数の金属粒部31の間には、海島構造の海を形成するすき間が設けられている。センサ5で用いられる電磁波、例えばミリ波は、このすき間を通過することによって、反射層30bを透過する。このような金属層は、例えばインジウム材料として、スパッタリングや真空蒸着等の蒸着により形成され得る。反射層30bは、複数の単位賦形要素23にまたがって、継ぎ目無しで一体的に形成してもよい。
【0194】
反射層30bの厚みは、反射層30bが形成する反射界面の反射率を向上させることができる厚みであることが好ましい。反射層30bの厚みは、例えば、0.005μm以上であってよい。また、反射層30bの厚みは、20μm以下であってよい。したがって、反射層30bの厚みは、0.005μm以上20μm以下であってよい。反射層30b及び光学積層体10に含まれるその他の層の厚みも、走査型電子顕微鏡を用いて光学積層体10の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0195】
なお、本発明者らは、輝度調整層30が反射層30bである場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、光学積層体10の立体感を高めることができることを見出した。
【0196】
図20に示す光学積層体を備えた光学部材の製造方法>
次に、図13A乃至図13C図22A及び図22Bを参照して、図20に示す光学積層体を備えた光学部材3(すなわち、図3Aに示す光学部材3)の製造方法を説明する。図22A及び図22Bは、光学積層体10の製造方法を示す断面図である。
【0197】
まず、図13A乃至図13Cに示す方法と同様の方法により、基材72上に剥離層37aを形成し、剥離層37a上に、凹凸構造25を有する賦形層20を形成する。
【0198】
次に、図22Aに示すように、賦形面20a上に、スパッタリングや真空蒸着等の成膜技術により、反射層30bを形成する。なお、図示された例では、凹凸構造25の接続面26Bの接続面角θBが0°ではなく、15°以上である。これにより、接続面26B上に反射層30bを成膜することが容易である。
【0199】
次に、図22Bに示すように、反射層30b上に接合層35を形成する。なお、反射層30bの接合層35と接触する面は、賦形層20の凹凸構造25に応じた凹凸を有する。図示された例では、賦形層20の接続面26Bの接続面角θBが15°以上であることにより、接続面角θBが0°である場合と比較して、反射層30bの接続面26Bを覆う部分と接合層35との密着性が向上する。この結果、反射層30bと接合層35との密着性が向上する。以上により、光学積層体10を含む転写シート70が作製される。
【0200】
次に、転写シート70を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、光学積層体10上の裏側面12(すなわち、接合層35)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、転写シート70に接合された成形部65が、上記成形型内で成形される。その後、基材72を光学積層体10から剥離する。これにより、成形部65に光学積層体10が転写された光学部材3(図3A参照)が完成する。
【0201】
<<輝度調整層の変形例2>>
図20乃至図22Bに示す変形例において、輝度調整層30が反射層30bである例を示したが、これに限られない。輝度調整層30は、屈折率変調層30cであってもよい。屈折率変調層30cは、その屈折率が賦形層20の屈折率とは異なる層である。賦形層20の凹凸構造25が屈折率変調層30cによって覆われている場合、賦形層20と屈折率変調層30cとの間に反射界面が形成され、賦形面20aにおける光の反射率を向上させることができる。これにより、光学積層体10で反射される光の輝度を調整できる。
【0202】
屈折率変調層30cは、高屈折率材料(例えば、金属酸化物、金属硫化物又は金属窒化物)の蒸着またはコーティング等により形成できる。屈折率変調層30cは、透明蒸着層であってもよい。屈折率変調層30cを形成する高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウムのいずれか、若しくは、これらの組み合わせを採用可能である。また、屈折率変調層30cは、透明蒸着層であってもよい。屈折率変調層30cがこのような材料で形成されることにより、屈折率変調層30cの電磁波透過性を向上させることができる。
【0203】
屈折率変調層30cを高屈折率材料のコーティングで形成する場合、屈折率変調層30cは、例えば次のような方法により形成できる。すなわち、高屈折率材料で形成された平均粒子径100nm以下の高屈折率粒子を含むインキを準備し、これを賦形面20aにコーティングする。これにより、屈折率変調層30cを形成できる。このような高屈折率粒子を含むインキとしては、例えば、酸化ジルコニウム分散液(堺化学工業社製、SZR series(製品名))を採用可能である。インキは、バインダー樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。バインダー樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂等を採用可能である。電離放射線硬化性樹脂は、例えば、電子線硬化性樹脂である。紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂をバインダー樹脂として含む屈折率変調層30cは、柔軟性があり、延伸性を有する。このため、光学積層体10を成形部65の面に沿って湾曲または延伸させる際に、屈折率変調層30cを所望のように湾曲または延伸させることができる。言い換えると、屈折率変調層30cによって、光学積層体10の湾曲または延伸が妨げられる虞が少ない。
【0204】
図示された例では、凹凸構造25の接続面26Bの接続面角θBが0°ではなく、15°以上である。これにより、接続面26B上に屈折率変調層30cを成膜することが容易である。
【0205】
屈折率変調層30cは、図20に示す反射層30bと同様に、薄い膜状の層として形成されてよい。この場合、屈折率変調層30cの厚みは、接続面26Bの高さH26よりも小さくてもよい。屈折率変調層30cの厚みは、接続面26Bの高さH26の半分以下でもよく、接続面26Bの高さH26の25%以下でもよく、接続面26Bの高さH26の10%以下でもよい。このような厚みの屈折率変調層30cは、賦形面20aの凹凸を埋めることなく、賦形面20aに対面する側とは反対の側に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する。
【0206】
あるいは、屈折率変調層30cは、図5Aに示す例と同様に、賦形面20aの凹凸を埋めるように形成されてもよい。
【0207】
屈折率変調層30cの厚みは、屈折率変調層30cが形成する反射界面の反射率を向上させることができる厚みであることが好ましい。屈折率変調層30cの厚みは、例えば、0.005μm以上であってよい。また、屈折率変調層30cの厚みは、20μm以下であってよい。
【0208】
本発明者らは、輝度調整層30が屈折率変調層30cである場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができると共に、光学積層体10の立体感を高めることができることを見出した。
【0209】
<<輝度調整層の変形例3>>
上述した例では、輝度調整層30は賦形層20との間に反射界面を形成するが、これに限られない。輝度調整層30が着色層30a、反射層30bおよび屈折率変調層30cのいずれである場合も、輝度調整層30は、賦形層20に対面する面とは反対側の面33に対面する層(図20に示す例では、接合層35)との間に反射界面を形成してもよい。この場合、図20に示すように、輝度調整層30が上記反対側の面33に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有していれば、上記反対側の面33における反射界面は、賦形面20aの凹凸に対応した形状になる。このため、上記反対側の面33における反射界面によって、単位光学要素13に入射した光に、賦形層20の凹凸構造25に応じた光学作用がもたらされる。また、この場合も、輝度調整層30によって、当該反射界面における可視光の反射率が調整され、光学積層体10の表側面11の側で測定される可視光の反射率が調整される。
【0210】
したがって、輝度調整層30が屈折率変調層30cである場合であって、上記反対側の面33に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する場合、屈折率変調層30cは、上記反対側の面33に対面する層(図20では、接合層35)との間に反射界面を形成してよい。この場合、屈折率変調層30cの屈折率と上記反対側の面33に対面する層(図20では、接合層35)の屈折率とが異なっていてよい。この場合、屈折率変調層30cと賦形層20との間に反射界面が形成されていなくてもよい。より具体的には、屈折率変調層30cの屈折率と賦形層20の屈折率とが同じであってもよい。
【0211】
もちろん、輝度調整層30が上記反対側の面33に賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有する場合、輝度調整層30の両側に反射界面が形成されてもよい。
【0212】
<<その他の変形例>>
<着色層>
輝度調整層30が反射層30bまたは屈折率変調層30cである場合、光学積層体10はさらに着色層45を有していてもよい。これにより、光学積層体10を所望の色に着色できる。また、輝度調整層30だけでなく、着色層45によっても、光学積層体10での反射光の輝度を調整できる。図3B及び図23に示す例では、着色層45は、賦形層20および輝度調整層30よりも光学積層体10の裏側面12側に配置されている。より具体的には、接合層35、着色層45、輝度調整層30、賦形層20及び機能層37が、光学積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。着色層45は、輝度調整層30を覆う。図23に示す例では、着色層45は、機能層37、賦形層20および輝度調整層30を透過して観察される。したがって、機能層37、賦形層20および輝度調整層30は、透明となっている。なお、図3Cに示すように、着色層45は、賦形層20および輝度調整層30よりも光学積層体10の表側面11側に配置されていてもよい。この場合、賦形層20及び/又は輝度調整層30は着色層45を透過して観察される。このため、着色層45は透明である。
【0213】
着色層45は、顔料または染料を含む。着色層45は、上述した着色層30aと同様の材料で、着色層30aと同様の方法により形成されてよい。図23に示すように、着色層45は、輝度調整層30の凹凸を埋める平坦化層として機能してよい。
【0214】
図23に示す光学積層体10においても、光学積層体10が着色層45を含む場合も、光学積層体10の表側面11の全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)を調節することにより、光学積層体10の厚みを、実際の厚みよりも効果的に厚く見せることができる。
【0215】
着色層45が顔料又は染料で着色されている場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また光学積層体10を観察した場合に着色層45の色が鮮明に知覚される。
【0216】
具体的には、着色層45が黒色の染料又は顔料で着色されている場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、光学積層体10の漆黒性を高めることができる。
【0217】
さらに、着色層45が黒色の染料又は顔料で着色されている場合、光学積層体10の表側面11における反射率を次のように調節することにより、すなわち、全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が以下の式:
4%≦RSCI≦8%、
0.8%≦RSCE≦2%、
4≦RSCI/RSCE≦8、
を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することにより、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも遙かに厚く見せることができる。また、光学積層体10の漆黒性を効果的に高めることができる。
【0218】
なお、光学積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)は、着色層45に含まれる樹脂(V)に対する顔料(P)の重量比(P/V)を調整することにより、調整可能である。より具体的には、着色層45が、無色透明な樹脂と顔料とから形成される場合、P/Vは0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。また、着色層45の耐久性や他の層との密着性の観点から、P/Vは2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。したがって、P/Vは0.2以上2以下であってよい。
【0219】
<充填層>
輝度調整層30が賦形面20aの凹凸を埋めていない場合、光学積層体10は、輝度調整層30の凹凸を埋める充填層40を有していてもよい。充填層40は、輝度調整層30の凹凸を埋める平坦化層である。図24に示す例では、輝度調整層30の充填層40に対面する面は、賦形面20aの凹凸に対応する凹凸を有している。図24に示す例では、接合層35、充填層40、輝度調整層30、賦形層20及び機能層37が、光学積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。充填層40は、電離放射線硬化型樹脂の組成物を輝度調整層30上に供給し、輝度調整層30上で硬化させることによって、作製されてよい。
【0220】
充填層40は、透明または不透明な樹脂層であってよい。充填層40が不透明である場合、充填層40によって、光学部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽できる。例えば図2に示す例では、充填層40が不透明であることにより、光学部材3はセンサ5を隠蔽できる。すなわち、充填層40は後述する隠蔽層60を兼ねていてもよい。
【0221】
<バッカー層>
図3D及び図25に示すように、光学積層体10は、バッカー層55を有していてもよい。バッカー層55は、光学積層体10を補強し、光学積層体10の一体化物としての形態を保持するための層である。光学積層体10がバッカー層55を有することにより、光学積層体10の強度が向上する。この結果、後述するように、光学積層体10を、成形部65に接合する前に予備成形できる。図3D及び図25に示す例では、バッカー層55、接合層56、輝度調整層30、賦形層20および機能層37が、光学積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層55は、光学積層体10の裏側面12を形成している。
【0222】
バッカー層形成用の材料としては、例えば、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂を採用可能である。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂のうち、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、成形部65を形成する材料がABS樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはABS樹脂が好ましい。成形部65を形成する材料がポリプロピレン樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはポリプロピレン樹脂が好ましい。成形部65を形成する材料がポリカーボネート樹脂である場合は、バッカー層形成用の材料としてはポリカーボネート樹脂が好ましい。バッカー層55は、上記バッカー層形成用の材料で作製されたフィルム状の部材であってよい。バッカー層55の厚みは、例えば0.1mm以上1.0mm以下である。
【0223】
バッカー層55は、透明でもよく、不透明でもよい。バッカー層55が不透明である場合、バッカー層55によって、光学部材3が適用される物品の少なくとも一部を隠蔽できる。例えば図2に示す例では、バッカー層55が不透明であることにより、光学部材3はセンサ5を隠蔽できる。すなわち、バッカー層55は後述する隠蔽層60を兼ねていてもよい。
【0224】
接合層56は、バッカー層55と光学積層体10の他の層とを接合させる。接合層56を形成する材料としては、接合層35と同様の材料を採用可能である。
【0225】
図3Dに示す光学部材の製造方法>
次に、図13A乃至図13D図26A及び図26Bを参照して、図3Dに示す光学部材3の製造方法を説明する。図26A及び図26Bは、図3D及び図25に示す光学積層体10の製造方法を示す断面図である。
【0226】
まず、図13A乃至図13Dに示す方法と同様の方法により、基材72上に、剥離層37a、賦形層20及び輝度調整層30を形成する。その後、図26Aに示すように、輝度調整層30上に接合層56を形成する。次に、図26Bに示すように、接合層56にバッカー層55を接合させる。最後に、基材72を光学積層体10から剥離する。このようにして、図25に示す光学積層体10が作製される。
【0227】
次に、光学部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて光学積層体10を予備成形する。その後、予備成形した光学積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、光学積層体10上の裏側面12(すなわち、バッカー層55)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、光学積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、図3Dに示す光学部材3が完成する。このような光学部材3の成形方法は、インサート成形として知られる。
【0228】
<機能層>
上述した例では、光学積層体10は、機能層37が剥離層37aである例を示したが、これに限られない。機能層37は、光学積層体10の他の層を支持する支持層37bであってもよい。図3E及び図27に示す例では、バッカー層55、接合層56、輝度調整層30、賦形層20及び支持層37bが、光学積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。
【0229】
支持層37bを構成する材料としては、適切な支持性を有するものであればいかなる材料でもよいが、例えば、アクリル酸エステル、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリプロピレンなどを採用可能である。
【0230】
図3E及び図27に示す例では、支持層37bは光学積層体10の表側面11を形成する。したがって、支持層37bは、耐擦傷機能を有することが好ましい。この場合、支持層37bは保護層としても機能する。このような支持層37bが光学積層体10の表側面11を形成することにより、光学部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞が、効果的に低減される。支持層37bは、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等、他の機能を有していてもよい。
【0231】
図3Eに示す光学部材の製造方法>
次に、図28A乃至図28Cを参照して、図3Eに示す光学部材3の製造方法を説明する。図28A乃至図28Cは、図3E及び図27に示す光学積層体10の製造方法を示す断面図である。
【0232】
まず、支持層37bとして平板な基材を準備する。次に、図28Aに示すように、支持層37b上に、賦形層20を形成する。賦形層20は、図13B及び図13Cに示す方法と同様の方法により形成される。すなわち、まず支持層37b上に賦形層20の前駆材料の層29を形成する。次に、層29に賦形型100を押し当て、その後、層29を硬化させる。これにより、賦形層20が形成される。
【0233】
次に、図28Bに示すように、賦形層20の賦形面20aに輝度調整層30を形成する。次に、図28Cに示すように、輝度調整層30上に接合層56を形成する。次に、接合層56にバッカー層55を接合させる。このようにして、図27に示す光学積層体10が作製される。
【0234】
次に、光学部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて光学積層体10を予備成形する。その後、予備成形した光学積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、光学積層体10上の裏側面12(すなわち、バッカー層55)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、光学積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、図3Eに示す光学部材3が完成する。
【0235】
機能層37が支持層37bである場合、光学積層体10は接合層56やバッカー層55を含まなくてもよい。図3Fに示す例では、輝度調整層30、賦形層20及び支持層37bが、光学積層体10の裏側面12から表側面11に向かう方向に、この順で積層されている。支持層37bが光学積層体10の表側面11を形成し、輝度調整層30が光学積層体10の裏側面12を形成している。
【0236】
図3Fに示す光学部材の製造方法>
次に、図28A及び図28Bを参照して、図3Fに示す光学部材3の製造方法を説明する。
【0237】
まず、図28Aに示す方法と同様の方法により、支持層37b上に賦形層20を形成する。次に、図28Bに示す方法と同様の方法により、賦形層20の賦形面20aに輝度調整層30を形成する。このようにして、図3Fに示す光学積層体10が作製される。
【0238】
次に、光学部材3の表側面3aの形状に応じた予備成形型を用いて光学積層体10を予備成形する。その後、予備成形した光学積層体10を、成形部65を成形するための成形型内に配置する。次に、光学積層体10上の裏側面12(すなわち、輝度調整層30)と成形型の内面との間に溶融樹脂を導入し、成形型内で樹脂を固化させる。これにより、光学積層体10に接合された成形部65が、成形型内で成形され、図3Fに示す光学部材3が完成する
【0239】
<隠蔽層>
光学積層体10は、後述するように、不透明な隠蔽層60を有していてもよい。隠蔽層60は、光学部材3が適用される物品や成形部65の少なくとも一部を隠蔽する。隠蔽層60は、例えば顔料及び/又は染料とバインダー樹脂とから構成されてよい。隠蔽層60は、着色層45と同じ材料で形成されてよい。隠蔽層60に含まれる顔料としては、例えば、カーボンブラック等の黒顔料や、酸化チタン等の白顔料、アルミ系顔料が好ましい。このような顔料が隠蔽層60に含まれることにより、隠蔽層60の隠蔽性が向上する。あるいは、隠蔽層60は、アルミニウムやインジウム、錫などの金属を、光学積層体10の他の層に蒸着させることにより、形成されてもよい。
【0240】
<その他の層>
光学積層体10は、上述した層以外の層を含んでいてもよい。例えば、光学積層体10は、図形、デザイン、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄が形成された絵柄層を含んでいてもよい。絵柄層は、光学積層体10に、背景を表示する意匠表現を行うこともできる。絵柄層には、例えば、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様が設けられていてもよい。絵柄層は、印刷によって形成された印刷層でもよいし、転写によって形成された転写層であってもよい。
【0241】
<<光学部材の変形例>>
図3A乃至図3Fに示す例では、光学積層体10が光学部材3の表側面3aを形成するが、これに限られない。図3G乃至図3Jに示すように、光学積層体10は、光学部材3の裏側面3bを形成してもよい。また、図3A乃至図3Fに示す例では、賦形層20と輝度調整層30とが、光学積層体10の表側面3aから裏側面3bに向かう方向に、この順で積層されているが、これに限られない。図3G乃至図3Iに示すように、賦形層20と輝度調整層30とは、光学積層体10の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されてもよい。
【0242】
図3Gに示す光学部材>
図3Gに示す例では、光学積層体10は、機能層37と、賦形層20と、輝度調整層30と、接合層35とを含む。機能層37、賦形層20、輝度調整層30及び接合層35は、光学部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。接合層35が光学積層体10の表側面11を形成し、機能層37が光学積層体10の裏側面12を形成している。接合層35は、成形部65の裏側面67と光学積層体10の他の層とを接合している。
【0243】
図3Gに示す光学部材3は、図3Aに示す光学部材3と同様の方法により作製できる。図3Gに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65及び接合層35を透過して観察される。したがって、成形部65及び接合層35は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0244】
図3Hに示す光学部材>
図3Hに示す例では、光学積層体10は、機能層37と、賦形層20と、輝度調整層30と、接合層56と、バッカー層55とを含む。機能層37、賦形層20、輝度調整層30、接合層56及びバッカー層55は、光学部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層55が光学積層体10の表側面11を形成し、機能層37が光学積層体10の裏側面12を形成している。バッカー層55は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0245】
図3Hに示す光学部材3は、図3Dに示す光学部材3と同様の方法により作製できる。図3Hに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、バッカー層55及び接合層56を透過して観察される。したがって、成形部65、バッカー層55及び接合層56は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0246】
図3Iに示す光学部材>
図3Iに示す例では、光学積層体10は、機能層37と、賦形層20と、輝度調整層30と、接合層56と、バッカー層55とを含む。機能層37、賦形層20、輝度調整層30、接合層56及びバッカー層55は、光学部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。バッカー層55が光学積層体10の表側面11を形成し、機能層37が光学積層体10の裏側面12を形成している。バッカー層55は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0247】
図3Iに示す光学部材3は、図3Eに示す光学部材3と同様の方法により作製できる。図3Iに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、バッカー層55及び接合層56を透過して観察される。したがって、成形部65、バッカー層55及び接合層56は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0248】
図3Jに示す光学部材>
図3Jに示す例では、光学積層体10は、隠蔽層60と、輝度調整層30と、賦形層20と、機能層37と、接合層35とを含む。隠蔽層60、輝度調整層30、賦形層20、機能層37及び接合層35は、光学部材3の裏側面3bから表側面3aに向かう方向に、この順で積層されている。接合層35が光学積層体10の表側面11を形成し、隠蔽層60が光学積層体10の裏側面12を形成している。接合層35は、成形部65の裏側面67に接合している。
【0249】
図3Jに示す光学部材3は、次のようにして作製できる。まず、図28A及び図28Bに示す方法と同様の方法により、機能層37の一方の面上に賦形層20及び輝度調整層30を積層する。次に、図29Aに示すように、輝度調整層30上に隠蔽層60を形成する。次に、図29Bに示すように、機能層37の他方の面上に接合層35を形成する。図29Bに示す工程の後、接合層35を成形部65の裏側面67に接合させる。これにより、図3Jに示す光学部材3が作製される。
【0250】
図3Jに示す例では、輝度調整層30及び/又は賦形層20は、成形部65、接合層35及び機能層37を透過して観察される。したがって、成形部65、接合層56及び機能層37は透明である。また、輝度調整層30も透明であってよい。
【0251】
<光学部材の反射率>
上述した例では、光学積層体10の表側面11における全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が上述した所定の式を満たすように、光学積層体10の表側面11における反射率を調節することで、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることを説明してきたが、同様の説明が光学部材3に対しても成り立つ。すなわち、光学積層体10が光学部材3の表側面3aを形成している場合、光学積層体10が光学部材3の表側面3aと成形部65との間に配置されている場合、光学積層体10が光学部材3の裏側面3bを形成している場合、及び、光学積層体10が光学部材3の裏側面3bと成形部65との間に配置されている場合のいずれの場合であっても、光学部材3の表側面3aにおける全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)が上述した所定の式を満たすように、光学部材3の表側面3aにおける反射率を調節することで、光学部材3の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0252】
図3G乃至図3Jに示すように、成形部65が光学部材3の表側面3aを形成している場合、及び、光学積層体10が光学部材3の裏側面3bと成形部65との間に配置されている場合(言い換えると、成形部65が光学部材3の表側面3aと光学積層体10との間に配置されている場合)、成形部65は透明であり且つ着色されていてよい。この場合、成形部65によって、光学部材3の表側面3aにおける全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)を調整できる。この場合も、光学積層体10は、図3K及び図3Lに示すように、着色層45を含んでいてよい。光学部材3が着色された成形部65及び着色層45を含む場合、成形部65及び着色層45によって、光学部材3の表側面3aにおける全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)を調整できる。なお、図3Lに示す例では、賦形層20及び/又は輝度調整層30は着色層45を透過して観察される。このため、着色層45は透明である。
【0253】
あるいは、図3M及び図3Nに示すように、光学積層体10は、着色層80を含んでもよい。この場合、着色層80によって、光学部材3の表側面3aにおける全光線反射率(RSCI)および拡散光線反射率(RSCE)を調整できる。図3Mに示す例では、着色層80は、光学部材3の表側面3aを形成している。とりわけ、図3Mに示す例では、着色層80は、成形部65の表側面66を覆っている。図3Mに示す例において、成形部65及び光学積層体10は、着色層80を透過して観察される。したがって、着色層80は、透明である。図3Nに示す例では、着色層80は、成形部65の裏側面67を覆っている。図3Nに示す例では、光学積層体10は、着色層80を透過して観察される。したがって、着色層80は、透明である。図3M及び図3Nに示す着色層80は、上述した着色層30aと同様の材料を、成形部65の表側面66又は裏側面67に塗布することによって、形成できる。
【0254】
<凹凸構造>
上述した具体例において、凹凸構造25はリニアフレネルレンズであるが、これに限られない。凹凸構造25は、サーキュラーフレネルレンズであってもよい。この場合、図30に示すように、平面視における各傾倒面26Aの形状は、真円であってもよいし、楕円形であってもよい。また、複数の単位賦形要素23の間で、当該楕円形の長軸が延びる方向(以下、単に長軸方向と記す)が異なっていてもよい。例えば、ある一つの単位賦形要素23における長軸方向が、他の一つの単位賦形要素23における長軸方向と、非平行であってもよいし、垂直であってもよい。また、図31に示すように、平面視において、各傾倒面26Aは円弧状に延びていてもよい。図32に示す例では、各単位賦形要素23の傾倒面26Aは、当該単位賦形要素23の光軸Axを中心とした円に沿って延びている。また、図32に示すように、賦形層20は、リニアフレネルレンズとして形成された凹凸構造25と、サーキュラーフレネルレンズとして形成された凹凸構造25を含んでいてもよい。複数の単位賦形要素23は、外輪郭23aの形状が異なる単位賦形要素23を含んでいてもよい。
【0255】
<光学部材の形状>
光学部材3の形状としては、任意の形状を採用し得る。言い換えると、光学積層体10が適用される成形部65の形状は、任意の形状であってよい。例えば、図33に示すように、光学部材3は曲面68を含んでいてもよい。より具体的には、成形部65は光学部材3の曲面3cに対応する曲面68を含んでおり、光学積層体10は成形部65の曲面68を覆っていてもよい。光学積層体10が曲面68を覆うことにより、光学部材3の曲面3cを観察する観察者6は、光学部材3に動かすことなく、光学積層体10への光の入射角度の変化に応じた光学積層体10の光学作用の変化を把握できる。言い換えると、光学部材3の曲面3c上においては光学積層体10に対する光の入射角度が場所によって異なるので、光学部材3の曲面3cを観察する観察者6は、視線を動かすだけで、平らな光学積層体10をその傾きを変化させながら観察した場合と同様の、光学積層体10からの反射光の動きを感知できる。光学積層体10の上記光学作用の変化を効果的に把握する観点から、光学部材3の曲面(したがって、成形部65の曲面)の曲率半径は、250mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましい。
【0256】
以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。各単位賦形要素23は、1つの単位光学要素13に対応する。各単位賦形要素23において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。隣り合う2つの単位賦形要素23m,23nの高さの差は、一方の単位賦形要素23mの複数の傾倒面26Aのうち他方の単位賦形要素23nに最も近接する傾倒面26Amnの頂部と非賦形面20bとの間の距離Xmnと、他方の単位賦形要素23nの複数の傾倒面26Aのうち上記一方の単位賦形要素23mに最も近接する傾倒面26Anmの頂部と非賦形面20bとの間の距離Xnmとの差として測定される。光学積層体10は、いずれの単位賦形要素23も、当該単位賦形要素23と隣り合う他の単位賦形要素23との高さの差が2.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域Uを含む。
【0257】
このような光学積層体10では、賦形層20は、凹凸構造25を形成する凹凸以外の意図しない凹凸を有していない。このため、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。なお、領域Uが光学積層体10の全領域に対して小さい場合であっても、光学積層体10がこのような領域Uを有するということは、光学積層体10の他の領域でも、領域Uと同様に、賦形層20は意図しない凹凸を有していないと考えられる。したがって、この場合も、光学積層体10の意匠性が向上されていると考えられる。
【0258】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。各単位賦形要素23は、1つの単位光学要素13に対応する。各単位賦形要素23において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。隣り合う2つの単位賦形要素23m,23nの高さの差は、一方の単位賦形要素23mの複数の傾倒面26Aのうち他方の単位賦形要素23nに最も近接する傾倒面26Amnの頂部と非賦形面20bとの間の距離Xmnと、他方の単位賦形要素23nの複数の傾倒面26Aのうち上記一方の単位賦形要素23mに最も近接する傾倒面26Anmの頂部と非賦形面20bとの間の距離Xnmとの差として測定される。この場合、光学積層体10は、いずれの単位賦形要素23も、当該単位賦形要素23と隣り合う他の単位賦形要素23との高さの差が2.0μm以下である、一辺の長さが単位賦形要素23の最大長さの3倍以上である正方形の領域Uを含む。
【0259】
このような光学積層体10においても、賦形層20は、凹凸構造25を形成する凹凸以外の意図しない凹凸を有していない。このため、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。なお、領域Uが光学積層体10の全領域に対して小さい場合であっても、光学積層体10がこのような領域Uを有するということは、光学積層体10の他の領域でも、領域Uと同様に、賦形層20は意図しない凹凸を有していないと考えられる。したがって、この場合も、光学積層体10の意匠性が向上されていると考えられる。
【0260】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。各単位賦形要素23は、1つの単位光学要素13に対応する。各単位賦形要素23において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。光学積層体10は、中心に位置する単位賦形要素23の幾何中心GCと、当該単位賦形要素23と隣り合う三以上の他の単位賦形要素23の幾何中心GCと、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域Uを含む。
【0261】
このような光学積層体10の領域Uでは、幾何中心GCが規則的に配列されている。言い換えると、光学積層体10は、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高い領域Uを含む。したがって、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。なお、領域Uが光学積層体10の全領域に対して小さい場合であっても、光学積層体10がこのような領域Uを有するということは、光学積層体10の他の領域でも、領域Uと同様に、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高いと考えられる。したがって、この場合も、光学積層体10の意匠性が向上されていると考えられる。
【0262】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。各単位賦形要素23は、1つの単位光学要素13に対応する。各単位賦形要素23において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。光学積層体10は、中心に位置する単位賦形要素23の幾何中心GCと、当該単位賦形要素23と隣り合う三以上の他の単位賦形要素23の幾何中心GCと、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺の長さが単位賦形要素23の最大長さの3倍以上である正方形の領域Uを含む。
【0263】
このような光学積層体10の領域Uにおいても、幾何中心GCが規則的に配列されている。言い換えると、光学積層体10は、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高い領域Uを含む。したがって、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。なお、領域Uが光学積層体10の全領域に対して小さい場合であっても、光学積層体10がこのような領域Uを有するということは、光学積層体10の他の領域でも、領域Uと同様に、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高いと考えられる。したがって、この場合も、光学積層体10の意匠性が向上されていると考えられる。
【0264】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。各単位賦形要素23は、1つの単位光学要素13に対応する。各単位賦形要素23において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。光学積層体10は、中心に位置する単位賦形要素23の光軸Axと、当該単位賦形要素23と隣り合う三以上の他の単位賦形要素23の光軸Axと、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺が5cm以上の正方形の領域Uを含む。
【0265】
このような光学積層体10の領域Uでは、光軸Axが規則的に配列されている。言い換えると、光学積層体10は、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高い領域Uを含む。したがって、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。なお、領域Uが光学積層体10の全領域に対して小さい場合であっても、光学積層体10がこのような領域Uを有するということは、光学積層体10の他の領域でも、領域Uと同様に、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高いと考えられる。したがって、この場合も、光学積層体10の意匠性が向上されていると考えられる。
【0266】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20を備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aと、賦形面20aとは反対側の非賦形面20bと、を有する。光学積層体10は、複数の単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。賦形層20は、複数の単位賦形要素23を有する。各単位賦形要素23は、1つの単位光学要素13に対応する。各単位賦形要素23において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。光学積層体10は、中心に位置する単位賦形要素23の光軸Axと、当該単位賦形要素23と隣り合う三以上の他の単位賦形要素23の光軸Axと、の間の距離の最大値と最小値の差が20.0μm以下である、一辺の長さが単位賦形要素23の最大長さの3倍以上である正方形の領域Uを含む。
【0267】
このような光学積層体10の領域Uでは、光軸Axが規則的に配列されている。言い換えると、光学積層体10は、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高い領域Uを含む。したがって、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。なお、領域Uが光学積層体10の全領域に対して小さい場合であっても、光学積層体10がこのような領域Uを有するということは、光学積層体10の他の領域でも、領域Uと同様に、複数の単位賦形要素23の配置の規則性が高いと考えられる。したがって、この場合も、光学積層体10の意匠性が向上されていると考えられる。
【0268】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、各単位賦形要素23の傾倒面26Aの高さが、1μm以上10μm以下である。
【0269】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、各単位賦形要素23の複数の傾倒面26Aのピッチが、10μm以上である。これにより、光学積層体10の表側面11に虹光が発生する虞を抑制できる。
【0270】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBが、15°以上55°以下である。この場合、賦形層20の凹凸構造25を高い精度で形成でき、また、賦形層20と他の層との密着性が向上する。
【0271】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、光学積層体10は賦形層20と輝度調整層30とを備える。賦形層20は、凹凸構造25が形成された賦形面20aを有する。輝度調整層30は、賦形面20aを覆う。光学積層体10は、少なくとも1つの単位光学要素13を有する。単位光学要素13は、入射した光を凹凸構造25に応じて反射、屈折および/又は回折させる。各単位光学要素13において賦形面20aは、複数の傾倒面26Aと、隣り合う傾倒面26Aを接続する複数の接続面26Bと、を含む。複数の傾倒面26Aは、光学積層体10の法線方向Dnに沿って延びる任意の基準線Axに向かう方向に並び且つ基準線Axに向けて傾倒する。傾倒面26Aの法線方向Dnに対する角度θAが、当該傾倒面26Aに接続する接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBよりも大きい。接続面26Bの法線方向Dnに対する角度θBが、15°以上55°以下である。
【0272】
このような光学積層体10によれば、賦形層20によって、光学積層体10の厚み以上の立体感を表現できる。また、この場合、輝度調整層30によって光学積層体10で反射される光の輝度を調整でき、光学積層体10の厚み以上の立体感を、さらに効果的に表現できる。また、角度θBが上述した角度であることにより、賦形層20の凹凸構造25を高い精度で形成でき、また、賦形層20と輝度調整層30との密着性が向上する。この結果、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能な光学積層体10を、容易に製造できる。
【0273】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、凹凸構造25の高さH25が、1μm以上10μm以下である。
【0274】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、賦形層20の厚みT20を凹凸構造25の高さH25で除した値が、1.5以上8.0以下である。この場合、光学部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞を効果的に抑制できる。また、凹凸構造25のを高い精度で形成できる。
【0275】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、光学積層体10は、その表側面11を形成する保護層37bを更に備える。賦形層20は、保護層37bと輝度調整層30との間に配置されている。この場合、光学部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞が、更に効果的に低減される。
【0276】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、輝度調整層30は、顔料又は染料を含む。この場合、輝度調整層30によって光学積層体10に入射した光の一部を吸収させることにより、賦形面20aと輝度調整層30との間の反射界面における可視光の反射率を調整できる。また、この場合、光学積層体10を所望の色彩を付与できる。
【0277】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、輝度調整層30は、顔料又は染料で着色されている。光学積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0278】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、輝度調整層30は、黒色顔料又は黒色染料を含む。
【0279】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、輝度調整層30は、黒色の顔料又は染料で着色されている。光学積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦8%、
0.15%≦RSCE≦1.2%、
4≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、光学積層体10の漆黒性を高めることができる。
【0280】
また、以上に説明してきた変形例において、輝度調整層30は、反射層30bまたは屈折率変調層30cである。この場合、輝度調整層30によって、輝度調整層30と賦形層20または輝度調整層30に隣接するその他の層(図20に示す例では、接合層35)との間の反射界面における可視光の反射率を向上できる。これにより、光学積層体10で反射される光の輝度を調整できる。また、この場合、凹凸構造25の表面に反射界面を形成することが容易である。
【0281】
この変形例において、光学積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.15%≦RSCE≦25%、
1.3≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0282】
また、以上に説明してきた変形例において、光学積層体10は、着色層45を更に備える。着色層45は、顔料又は染料を含み、輝度調整層30を覆う。この場合、光学積層体10を所望の色彩を付与できる。
【0283】
また、この変形例において、賦形層20及び輝度調整層30は透明である。
【0284】
また、この変形例において、光学積層体10の表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦35%、
0.4%≦RSCE≦25%、
2≦RSCI/RSCE≦15、
を満たす。この場合、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。
【0285】
また、この変形例において、着色層45は、黒色の顔料又は染料で着色されている。表側面11の側からJIS Z 8722:2009に準拠して測定した全光線反射率(RSCI)及び拡散光線反射率(RSCE)が、以下の式:
3%≦RSCI≦12%、
0.4%≦RSCE≦3%、
2≦RSCI/RSCE≦12、
を満たす。この場合、光学積層体10の厚みを実際の厚みよりも厚く見せることができる。また、光学積層体10の漆黒性を高めることができる。
【0286】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、賦形層20の賦形面20aと反対側の面20bが光学積層体10の表側面11の側を向いている。
【0287】
また、以上に説明してきた変形例において、賦形層20の賦形面20aとは反対側の面20bが光学積層体10の表側面11を形成する。
【0288】
また、以上に説明してきた変形例において、賦形層20の賦形面20aは、光学積層体10の表側面11の側を向いている。
【0289】
また、以上に説明してきた変形例において、光学積層体10は、その表側面11を形成する保護層37bをさらに備える。この場合、光学部材3の表側面3aに加わる外力によって凹凸構造25が損傷する虞が、更に効果的に低減される。
【0290】
また、以上に説明してきた変形例において、光学積層体10は、その表側面11を形成する、又は、表側面11と賦形層20との間に配置された着色層45をさらに備える。この場合、光学積層体10を所望の色彩を付与できる。
【0291】
また、以上に説明してきた変形例において、光学積層体10は、その表側面11若しくは裏側面12を形成する、又は、表側面11若しくは裏側面12と賦形層20との間に配置されたバッカー層55を更に備える。これにより、光学積層体10の一体性を向上できる。
【0292】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、平面視において、単位賦形要素23の外輪郭23aは、直線部を含む。
【0293】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例において、平面視において、単位賦形要素23の外輪郭23aは、多角形状である。
【0294】
また、以上に説明してきた変形例において、平面視において、単位賦形要素23の外輪郭23aは、円形状又は楕円形状である。
【0295】
また、以上に説明してきた変形例において、平面視において、単位賦形要素23の外輪郭23aは、曲線部を含む。
【0296】
また、以上に説明してきた変形例において、平面視において、傾倒面26Aは円弧状に延びる部分を有する。
【0297】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、平面視において、傾倒面26Aは直線状に延びる部分を有する。
【0298】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、平面視において、単位賦形要素23の外輪郭23aは多角形状である。賦形層20は、互いに隣り合う単位賦形要素23の間に間隙領域24を有する。上記正方形の領域Uにおいて、間隙領域24は、互いに隣り合う単位賦形要素23の外輪郭23aの複数の辺のうち当該間隙領域24を挟んで隣り合う一組の辺23b,23bの間を、一定の幅W24で延びている。このような光学積層体10では、一定の幅W24で延びる間隙領域24によって、光学積層体10の意匠性を向上させることができる。
【0299】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、上記正方形の領域Uにおいて、間隙領域24の幅W24は、20μm以上5000μm以下である。この場合、隣り合う単位賦形要素23の外輪郭23aを際立たせることができる。
【0300】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、平面視において、単位賦形要素23の外輪郭23aは多角形状である。単位賦形要素23の各傾倒面26Aは、外輪郭23aのいずれかの辺と当該単位賦形要素23の光軸Axとの間を、当該辺と平行に直線状に延びる部分を含む。これにより、単位賦形要素23の外輪郭23aを容易に知覚できる。
【0301】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、単位賦形要素23の傾倒面26A及び/又は接続面26Bに、同一方向に沿って延びる複数の凸部27a及び複数の凹部27bが形成されている。
【0302】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、複数の凸部27a及び複数の凹部27bが延びる方向と垂直な面に沿った光学積層体10の断面において、複数の凸部27aが並ぶ方向D271に沿った当該複数の凸部27aのピッチが1μm以上5μm以下である。これにより、光学積層体10の表側面11に虹光を発生させることができる。
【0303】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、複数の凸部27a及び複数の凹部27bが延びる方向と垂直な面に沿った光学積層体10の断面において、凹部27bを画成する凸部27aの頂部を基準として複数の凹部27bが並ぶ方向D271と垂直な方向D272に沿って測定した当該凹部27bの深さH27が0.5μm以下である。これにより、光学積層体10の表側面11に虹光を発生させることができる。
【0304】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、賦形面20aにおいて、各単位賦形要素23にはフレネルレンズ構造が形成されている。
【0305】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、複数の傾倒面26Aはレンズ面であり、複数の接続面26Bはライズ面である。
【0306】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、転写シート70は、転写用基材72と、上記光学積層体10とを備える。このような転写シート70を用いることにより、光学積層体10を備えた光学部材3を製造することが容易である。
【0307】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、光学部材3は、成形部65と、成形部65の少なくとも一部を覆う上記光学積層体10と、を備える。このような光学部材3によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0308】
また、以上に説明してきた一実施の形態および変形例において、成形部65は曲面68を含み、光学積層体10は上記曲面68を覆っている。このような光学部材3によれば、光学部材3の曲面3cを観察する観察者は、光学部材3に動かすことなく、光学積層体10への光の入射角度の変化に応じた光学積層体10の光学作用の変化を把握できる。
【0309】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、移動体1は上記光学積層体10を備えている。このような移動体1によれば、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能である。
【0310】
また、以上に説明してきた一実施の形態およびその変形例によれば、凹凸構造25を有する賦形層20を賦形するための賦形型100の製造方法は、基板112を準備する工程と、基板112の一方の面上に感光材層113を形成する工程と、感光材層112にレーザー光Rを照射する工程と、レーザー光Rが照射された感光材層112を現像して上記凹凸構造25に対応する凹凸面110aを有する母型110を作製する工程と、母型110の凹凸面110aで賦形型20を成形することで賦形型20に母型110の凹凸面110aに対応する凹凸を形成する工程と、を備える。感光材層113にレーザー光Rを照射する工程では、感光材層113の各位置に、当該位置に対応する上記凹凸構造25の位置での凹凸の高さに対応した強度のレーザー光Rを、3段階以上の多階調で照射する。
【0311】
このような製造方法によれば、賦形型100に、凹凸構造25に形成すべき凹凸パターンに応じた凹凸を、精度良く形成できる。その結果、賦形層20に、上記凹凸パターンを精度良く反映した凹凸構造25を、形成できる。
【0312】
具体例を参照しながら一実施の形態およびその変形例を説明してきたが、以上の具体例が一実施の形態及び変形例を限定することを意図していない。上述した一実施の形態及び変形例は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【符号の説明】
【0313】
1:移動体、3:光学部材、5:センサ、10:光学積層体、13:単位光学要素、20:賦形層、20a:賦形面、23:単位賦形要素、23a:外輪郭、24:間隙領域、25:凹凸構造、26A:傾倒面、26B:接続面、27:凹凸、27a:凸部、27b:凹部、30:輝度調整層、35:接合層、37:機能層、40:充填層、45:着色層、55:バッカー層、60:隠蔽層、65:成形部、70:転写シート、72:基材、100:賦形型、110:母型、150:レーザー照射装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
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図25
図26A
図26B
図27
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図30
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図32
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図36