(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/08 20100101AFI20240912BHJP
B67D 7/14 20100101ALI20240912BHJP
【FI】
B67D7/08 B
B67D7/14
(21)【出願番号】P 2020550018
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019033096
(87)【国際公開番号】W WO2020071004
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-04-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2018188014
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
(72)【発明者】
【氏名】布施 高之
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】鎌田 哲生
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特許第5814888(JP,B2)
【文献】特開2002-234600(JP,A)
【文献】特開2013-216332(JP,A)
【文献】特開2002-225996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105412(US,A1)
【文献】特開2018-049383(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105469502(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00- 7/86
B67D 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客毎に、顧客ID、油種、給油方法及び精算方法を含む給油設定に関する情報を記憶する記憶手段と、
顧客IDに対応する給油設定に関する情報を前記記憶手段から検索する検索手段
を有し、給油装置及び携帯端末と通信可能なクラウドを構成するサーバと
、
所定の領域に信号を送信する送信手段を有し、前記サーバ及び携帯端末と通信可能な給油装置とを備え、
携帯端末が前記給油装置から前記信号を受信すると、該携帯端末は前記サーバに顧客IDを出力し、該顧客IDが入力されたサーバは、該顧客IDに対応する給油設定に関する情報を検索し、検索された給油設定に関する情報を前記給油装置に出力し、該給油設定に関する情報を前記給油装置が受信すると、該給油装置に給油設定がなされることを特徴とする給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、給油動作の簡略化を図った給油所システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット等の携帯端末は利便性の高さから接客、施設や在庫の管理、点検等、様々な業務に利用され近年急速に普及している。また、ガソリン等の燃料油を供給する給油所においてもIoT(Internet of Things、モノのインターネット)等の新たな技術の活用が求められている。
【0003】
そこで、本出願人は特願2017-62182号においてIoTを活用してメンテナンスに必要な労力及び時間を軽減したシステムを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記発明も有効であるが、メンテナンス以外にも給油所においてIoTを活用することが考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、顧客による給油設定の簡略化、混油防止等を図った給油所システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の給油所システムは、顧客毎に、顧客ID、油種、給油方法及び精算方法を含む給油設定に関する情報を記憶する記憶手段と、顧客IDに対応する給油設定に関する情報を前記記憶手段から検索する検索手段を有し、給油装置及び携帯端末と通信可能なクラウドを構成するサーバと、所定の領域に信号を送信する送信手段を有し、前記サーバ及び携帯端末と通信可能な給油装置とを備え、携帯端末が前記給油装置から前記信号を受信すると、該携帯端末は前記サーバに顧客IDを出力し、該顧客IDが入力されたサーバは、該顧客IDに対応する給油設定に関する情報を検索し、検索された給油設定に関する情報を前記給油装置に出力し、該給油設定に関する情報を前記給油装置が受信すると、該給油装置に給油設定がなされることを特徴とする。
【0007】
本発明の給油所システムによれば、顧客が予め給油設定データを携帯端末に設定しておけば、所定の領域(給油エリア)に停車する車両内で給油装置の給油設定を簡単に行うことができ、給油装置において、顧客が手動で給油設定を行うための機構を省略することができる。これにより、給油所側の設備投資を削減することができ、顧客が給油の度に給油設定を行うことで誤った給油設定がなされることも回避することができ、混油の防止にも寄与する。
【0008】
また、顧客の携帯端末が給油装置から信号を受信した後、給油装置と携帯端末の間で通信が遮断されてしまった場合でも、サーバを介して両者の間における通信を確立することができる。
【0009】
さらに、クラウドを構成するサーバによって給油所側の設備投資の削減等を可能とすると共に、顧客の携帯端末が給油装置から信号を受信した後、給油装置と携帯端末の間で通信が遮断されてしまった場合でも、サーバを介して両者の間における通信を確立することができる。
【0010】
上記サーバは、前記給油装置による給油が終了して該給油に関する情報を前記給油装置から受信すると、受信した給油情報と給油を行った顧客のIDを関連付けると共に、該給油情報として、油種、給油方法及び精算方法を記憶することができる。これにより、混油を確実に防止することができると共に、携帯端末にて精算を行うことができるため、給油所側で精算に関わる機器の設備投資を削減することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、顧客による給油動作の簡略化を図った給油所システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る給油所システムの一実施の形態を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る給油所システムの一実施の形態を示し、この給油所システム1は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコン(電波発信手段、以下単に「ビーコン」という。)2aを備えた給油装置2と、クラウドを構成するサーバ3とで構成され、両者は互いに通信可能であり、さらに両者は、車両V内又は給油エリアで顧客が所有する携帯端末4と通信可能である。また、給油所システム1は、給油後に顧客が精算を行うための精算装置(不図示)も備える。
【0015】
給油装置2のビーコン2aの指向性及び通信距離は、給油装置2の近傍の給油エリアに停車する車両Vに限られ、給油装置2は、給油所に存在する別の車両内の携帯端末と誤って通信することがない。
【0016】
サーバ3は、表1に示すように、顧客毎に定められた顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データと、給油データ(車両に給油を行った際の給油量等)を蓄積すると共に、給油データに基づいて給油所の売上データの管理を行う。
【0017】
携帯端末4は、顧客が所有するスマートフォンや、タブレット等であって、給油装置2及びサーバ3と通信する機能と、給油データや給油伝票等を表示する機能等を備える。携帯端末4が給油伝票を表示することができれば、給油所側で給油伝票を印字する機器の設備投資を軽減することができて好ましい。
【0018】
【0019】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。尚、顧客は予め携帯端末4のアプリ等を介してサーバ3に顧客ID、油種、給油方法及び精算方法に関する給油設定データを登録する。
【0020】
まず、給油装置2のステップS1において、ビーコン2aのビーコンIDを出力する。次に、携帯端末4のステップS21において、給油装置2からビーコンIDが入力されると(ステップS21;Yes)、サーバ3に対してビーコンIDと顧客IDを出力する(ステップS22)。
【0021】
サーバ3のステップS31において、携帯端末4からビーコンIDと顧客IDが入力されると(ステップS31;Yes)、対応する顧客の給油設定データを給油装置2に出力する(ステップS32)。
【0022】
給油装置2のステップS2において、サーバ3から給油設定データが入力されると(ステップS2;Yes)、給油装置2において給油設定が行われる。
【0023】
ステップS3において、顧客が給油ノズルをノズル掛けから取り外し、給油装置2のノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS3;Yes)、ステップS4において、ステップS2で入力された油種に対応する給油ノズルが取り外されているか否かを判定し、正しい給油ノズルが取り外されている場合には(ステップS4;Yes)、給油装置2の表示器にリセット信号が送信され、前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)がなされると共に、給油ポンプがONとなる(ステップS5)。
【0024】
一方、ステップS4において、顧客が誤った給油ノズルを取り外していた場合には(ステップS4;No)、表示器等を介して顧客に給油ノズルを確認するよう報知する(ステップS6)。
【0025】
ステップS5において、給油ポンプがONになることで流量計もONになり、さらに流量パルス発信器がONになることで(ステップS7;Yes)、流量パルス発信器からパルス信号が表示器に送信され、表示器において給油量の表示(計数表示)がなされる(ステップS8)。尚、流量パルス発信器がONにならない場合には(ステップS7;No)、給油ポンプがOFFでない限り(ステップS9;NO)、すなわち給油が中止されない限り、流量パルス発信器がONになるまで待機する。
【0026】
ステップS2で入力された給油設定に基づく給油が完了すると、給油ポンプがOFFになり(ステップS9;Yes)、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになる(ステップS10)。そして、給油データをサーバ3に対して出力する(ステップS11)。これで給油装置2の動作は終了する。
【0027】
サーバ3のステップS33において、給油装置2から給油データが入力されると(ステップS33;Yes)、給油データから精算データを生成した後、携帯端末4に対して給油・精算データを出力する(ステップS34)。
【0028】
携帯端末4において、サーバ3から給油・精算データが入力されると(ステップS23;Yes)、顧客が両データを確認するために両データを表示部に表示する(ステップS24)。その後、顧客が携帯端末4の支払ボタンを押すか、両データを確認するために両データの表示時間Tが所定時間t1に達すると(ステップS25;Yes)、顧客の確認が終了したとして給油・精算データをサーバ3へ出力する(ステップS26)。
【0029】
サーバ3において、携帯端末4から給油・精算データが入力されると(ステップS35;Yes)、決済処理完了信号を携帯端末4に出力する(ステップS36)。これでサーバ3の動作を終了する。携帯端末4において、サーバ3から決済処理完了信号が入力されると(ステップS27;Yes)、給油伝票を表示する(ステップS28)。これで携帯端末4の動作も終了して、給油動作が終了する。
【0030】
以上のように、本実施の形態における給油所システム1によれば、顧客が予め給油設定データを定めていれば、給油装置2の給油エリアに停車する車両V内又は給油エリアで顧客が所有する携帯端末4と通信するだけで給油装置2の給油設定を行うことができる。また、給油装置2において、顧客が手動で給油設定を行うための機構を省略することができるため、給油所側の設備投資を削減することができる。さらに、顧客が給油の度に給油設定を行うことで誤った給油設定がなされる回数が減り、混油の防止にもなる。
【0031】
尚、上記実施の形態では、電波発信手段としてBLEビーコンを用いたが、携帯端末と
通信できる発信手段(wifi等)は特に限定されることがない。
【符号の説明】
【0032】
1 給油所システム
2 給油装置
2a ビーコン
3 サーバ
4 携帯端末
V 車両