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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】送電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20240912BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20240912BHJP
   H02J 50/30 20160101ALI20240912BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/20
H02J50/30
G08B21/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020212074
(22)【出願日】2020-12-22
(62)【分割の表示】P 2020073652の分割
【原出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021170919
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】519416853
【氏名又は名称】株式会社Space Power Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 実
(72)【発明者】
【氏名】森田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】高林 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】岸本 篤始
(72)【発明者】
【氏名】武田 祐司
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149851(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097676(WO,A1)
【文献】特開2013-252039(JP,A)
【文献】特開2013-192420(JP,A)
【文献】特開2011-120410(JP,A)
【文献】特開2020-005468(JP,A)
【文献】特開2014-217093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0032252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/00-50/90
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H04B5/00-5/79
G08B19/00-21/24
A61B6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア内で人物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定する手段と、
前記放射制限エリアよりも広い警報エリア内で前記人物の存在が検知されたことを含む警報実施条件が成立するか否かを判定する手段と、
前記放射制限条件が成立しない場合に、前記送電装置に給電用電磁波を放射させる手段と、
前記放射制限条件が成立する場合に、前記送電装置による前記給電用電磁波の放射を制限する手段と、
前記放射制限条件が成立せず、かつ前記警報実施条件が成立する場合に、人物の第1感覚器官に訴える警報を警報装置に出力させ、前記警報エリア内で存在が検知された前記人物に対して、前記警報の効果が低い場合は、前記第1感覚器官とは異なる第2感覚器官に訴える警報を前記警報装置に出力させる手段と、
を具備する、送電制御装置。
【請求項2】
前記第1感覚器官は、視覚、聴覚、または触覚のいずれかであり、
前記第2感覚器官は、前記第1感覚器官とは異なり、かつ、視覚、聴覚、または触覚のいずれかである、
請求項1に記載の送電制御装置。
【請求項3】
送電装置による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア内で障害物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定する手段と、
人間により携行可能であって受信電力を測定可能なモバイル装置から前記送電装置から放射された給電用電磁波の受信電力の測定値を取得し、前記測定値が基準値を超過するか否かを判定し、前記放射制限エリアよりも広い警報エリア内で障害物の存在が検知されたか否かを判定し、前記測定値が前記基準値を超過したことまたは前記警報エリア内で障害物の存在が検知されたことの少なくとも一方が成立する場合に、警報実施条件が成立すると判定する手段と、
前記放射制限条件が成立しない場合に、前記送電装置に前記給電用電磁波を放射させる手段と、
前記放射制限条件が成立する場合に、前記送電装置による前記給電用電磁波の放射を制限する手段と、
前記放射制限条件が成立せず、かつ前記警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を警報装置に出力させる手段と
を具備する、送電制御装置。
【請求項4】
送電装置による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア内で障害物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定する手段と、
警報実施条件が成立するか否かを判定する手段と、
前記放射制限条件が成立しない場合に、前記送電装置に給電用電磁波を放射させる手段と、
前記放射制限条件が成立する場合に、前記送電装置による前記給電用電磁波の放射を制限する手段と、
前記放射制限条件が成立せず、かつ前記警報実施条件が成立する場合に、光源に前記給電用電磁波の放射経路に沿って可視光線を含むガイド光を出力させ、プロジェクタに前記送電装置に対する受電装置を特定する情報を含む画像を投射させるプロジェクションマッピングを行わせる手段と
を具備する、送電制御装置。
【請求項5】
前記警報実施条件が成立するか否かを判定する手段は、前記送電対象期間内である場合に前記警報実施条件が成立すると判定する、
請求項4に記載の送電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送電制御装置、モバイル装置、送電装置、受電装置、送電制御方法、送電方法、送電制御プログラム、および送電プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線給電の分野では、給電用電磁波が人体に悪影響を与えないようにすることが求められる。周囲に人間が存在しない状況下に限って無線給電を行うことで、給電用電磁波による人体への悪影響を回避できる。他方、無線給電を実施可能な状況を制限することは、給電効率の低下を招く。
【0003】
特許文献1には、物体が所定の範囲内にある場合、被給電物への電波による給電を停止することなく、当該物体の位置に到達する電波の強度を弱める無線給電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-005468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の無線給電装置によれば、被給電物への電波による給電を継続しながらも、所定の範囲内に居る人間への当該電波による悪影響を緩和できる可能性がある。しかしながら、この無線給電装置を用いたとしても、人間が所定の範囲内に入った場合には、電波強度の減少による給電効率の低下は避けられないし、当該人間への電波による悪影響も完全に取り除くことはできない。
【0006】
本開示の目的は、給電用電磁波による人体への悪影響を防止しつつ給電効率の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の送電制御装置は、送電装置による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア内で障害物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定する手段と、送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段と、放射制限条件が成立する場合に、送電装置による給電用電磁波の放射を制限する手段と、放射制限条件が成立しない場合に、送電装置に給電用電磁波を放射させる手段と、放射制限条件が成立せず、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、給電用電磁波による人体への悪影響を防止しつつ給電効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のピッキング支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態の受電装置の外観の一例を示す図である。
図3】第1実施形態の受電装置の適用例を示す図である。
図4】第1実施形態の送電制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態の送電装置の構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態の受電装置の構成を示すブロック図である。
図7】第1実施形態のモバイル装置の構成を示すブロック図である。
図8】第1実施形態の送電装置および受電装置の適用例を示す図である。
図9】第1実施形態の送電装置および受電装置が配置される倉庫の一例を示す図である。
図10】放射制限エリアの説明図である。
図11】放射制限エリアの説明図である。
図12】本実施形態の警報実施エリアの説明図である。
図13】本実施形態の警報実施エリアの説明図である。
図14】第1実施形態の送電制御処理のフローチャートである。
図15】第2実施形態のモバイル装置の構成を示すブロック図である。
図16】第2実施形態の警報制御処理のフローチャートである。
図17】変形例4の送電処理のフローチャートである。
図18】変形例5の受電処理のフローチャートである。
図19】警報実施エリアの変形例の説明図である。
図20】警報実施エリアの変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(1)第1実施形態
第1実施形態について説明する。
【0012】
(1-1)ピッキング支援システムの構成
ピッキング支援システムの構成について説明する。図1は、第1実施形態のピッキング支援システムの構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態の受電装置の外観の一例を示す図である。図3は、第1実施形態の受電装置の適用例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、ピッキング支援システム1は、送電制御装置10と、送電装置20と、受電装置30と、モバイル装置40と、警報装置50と、作業管理装置60とを備える。
【0014】
送電制御装置10、送電装置20、受電装置30、モバイル装置40、警報装置50、および作業管理装置60の少なくとも一部は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して互いに接続される。一例として、ネットワークNWでは、特定小電力無線通信、または無線LAN(Local Area Network)通信が行われる。
【0015】
送電制御装置10は、送電装置20によって行われる送電(無線給電)を制御する。
後述するように、送電制御装置10は、放射制限条件が成立する場合には、送電装置20からの送電を制限することで人体防護を実現する。送電制御装置10は、放射制限条件が成立しない場合であっても警報実施条件が成立する場合には、送電装置20からの送電を維持しつつ人間が知覚可能な警報を例えば警報装置50に出力させることで、当該人間の注意を喚起して放射制限条件の成立を防ぐ。
【0016】
送電装置20は、送電制御装置10からの制御に従って、送電(無線給電)を行う。送電装置20は、送電制御装置10が放射制限条件の成立しない時に発行する第1の制御信号に応じて、所定の指向性を有する給電用電磁波を所定の放射方向に所定の強度で放射することで送電を実施する。送電装置20は、送電制御装置10が放射制限条件の成立する時に発行する第2の制御信号に応じて、給電用電磁波の放射を制限する。給電用電磁波の放射の制限の具体例は後述する。
【0017】
受電装置30は、バッテリを備える。受電装置30は、送電装置20から放射される給電用電磁波を受信し、当該給電用電磁波のエネルギーを用いてバッテリを充電する。
【0018】
受電装置30の一例は、倉庫内のピッキング作業に用いられる(無線)表示器である。図2に示すように、受電装置30は、プッシュボタン351と、表示器361と、ランプ362とを備える。表示器361は、例えば、電子ペーパー、またはディスプレイである。
【0019】
図2の受電装置30は、ピックスポットと1:1対応するように配置される。ピックスポットには、ピック対象となる物品を載置可能である。ピックスポットには単一の物品を配置してもよいし、同種の複数の物品をまとめて配置してもよい。図3に示すように、受電装置30は、ピック対象となる物品ITを収納可能な棚RCの例えばフレームに取り付けられる。すなわち、ピックスポットは、棚RCの一区画に相当する。
【0020】
物品ITは、工業製品、工業部品、原材料、日用品、食料品、飲料品、被服、書籍、雑貨、化学品、および薬品などの任意の有体物である。
【0021】
受電装置30は、作業管理装置60から表示開始指示を受信すると、当該表示開始指示に含まれる作業者への指示内容(例えばピック数量)を表示器361に表示するとともに、ランプ362を点灯する。
【0022】
作業者は、表示器361に表示された指示内容に従ってピッキングを行い、その後にプッシュボタン351を押下する。プッシュボタン351の押下に応じて、受電装置30は、上記作業の完了報告を作業管理装置60へ送信する。受電装置30は、ランプ362を消灯する。
【0023】
モバイル装置40は、人間(例えば、作業者)により携行可能である。一例としてモバイル装置40は、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、スマートグラス、HMD(Head Mounted Display)、スマートウェア、イヤホン、または長靴、ベルト、ヘルメット、もしくはゴーグル型のデバイス)やスマートフォン、タブレット、ハンディターミナル等である。
【0024】
モバイル装置40は、以下の少なくとも1つの機能を有する。
・作業者に作業の指示内容を伝える機能(作業支援機能)
・警報を出力する機能(警報出力機能)
【0025】
作業支援機能を有するモバイル装置40は、作業管理装置60から作業指示を受信すると、当該作業指示の内容(例えば、ピッキングリスト)を作業者に例えば視覚情報、および聴覚情報の少なくとも1つとして伝える。ピッキングリストは、作業者にピックを要求される1以上の物品、または当該物品が載置されるピックスポットの情報を含むことができる。
【0026】
一例として、モバイル装置40は、作業者が選択可能な1以上のピッキングリストを当該作業者に提示してもよい。モバイル装置40は、作業者からのピッキングリストの選択を受け付けると、選択されたピッキングリストを作業管理装置60に報告する、
【0027】
警報出力機能を有するモバイル装置40は、人間が知覚可能な警報を出力する。一例として、警報出力機能を有するモバイル装置40は、送電制御装置10から警報出力指示を受信すると、作業者が知覚可能な警報を出力する。警報は、人間の視覚または聴覚に限られず、触覚、嗅覚、または味覚を刺激することで、当該人間に警報の存在それ自体、および警報の内容の少なくとも1つを知覚させる。
【0028】
警報装置50は、送電制御装置10から警報出力指示を受信すると、周囲の人間(例えば作業者)が知覚可能な警報を出力する。一例として、警報は、人間の視覚または聴覚に限られず、触覚、嗅覚、または味覚を刺激することで、当該作業者に警報の存在それ自体、および警報の内容の少なくとも1つを知覚させる。
【0029】
以降の説明において、警報装置(警報装置50以外も含む)は、光源、ランプ、表示器、プロジェクタ、物理的状態を電動制御可能な機械(例えば、人間の通行を阻害するための電動ゲート)、発煙装置、スピーカ、振動装置、ミスト発生装置、匂い発生装置、味覚刺激装置(例えば、装着者の舌に味覚刺激液を供給可能なマウスピース型のデバイス)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0030】
作業管理装置60は、ピッキング作業を管理する。具体的には、作業管理装置60は、オーダーデータと物品ITの所在情報とに基づいて1以上のピッキングリストを作成し、当該ピッキングリストを含む作業指示をモバイル装置40へ送信する。作業管理装置60は、モバイル装置40から作業者によって選択されたピッキングリストを受信し、当該ピッキングリストに関連付けられる1以上の受電装置30(無線表示器)を特定し、当該受電装置30へ表示開始指示を送信する。作業管理装置60は、受電装置30から作業完了報告の受信に応じて、ピッキングリストの進捗を管理する。
【0031】
(1-1-1)送電制御装置の構成
送電制御装置10の構成について説明する。図4は、第1実施形態の送電制御装置の構成を示すブロック図である。
【0032】
図4に示すように、送電制御装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。送電制御装置10は、入力デバイス15および出力デバイス16と接続可能である。
【0033】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0034】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理(例えば、送電制御処理)を実行するアプリケーションのプログラム
【0035】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0036】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、送電制御装置10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、コンピュータの一例である。
【0037】
入出力インタフェース13は、送電制御装置10に接続される入力デバイス15から信号(例えば、ユーザの指示、センシングデータ)を取得し、かつ、送電制御装置10に接続される出力デバイス16に信号を出力するように構成される。
【0038】
入力デバイス15は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、センサ又は、それらの組合せである。
【0039】
出力デバイス16は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、警報装置、又は、それらの組合せである。
【0040】
通信インタフェース14は、送電制御装置10と外部装置(例えば、送電装置20、警報装置50、作業管理装置60、および図示されない障害物センサ)との間の通信を制御するように構成される。
【0041】
(1-1-2)送電装置の構成
送電装置20の構成について説明する。図5は、第1実施形態の送電装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
図5に示すように、送電装置20は、記憶装置21と、プロセッサ22と、入出力インタフェース23と、通信インタフェース24と、送電回路27とを備える。送電装置20は、入力デバイス25および出力デバイス26と接続可能である。
【0043】
記憶装置21は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置21は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0044】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理(例えば送電処理)を実行するアプリケーションのプログラム
【0045】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ
【0046】
プロセッサ22は、記憶装置21に記憶されたプログラムを起動することによって、送電装置20の機能を実現するように構成される。プロセッサ22は、コンピュータの一例である。
【0047】
入出力インタフェース23は、送電装置20に接続される入力デバイス25から信号(例えば、ユーザの指示、センシングデータ)を取得し、かつ、送電装置20に接続される出力デバイス26に信号を出力するように構成される。
【0048】
入力デバイス25は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、センサ又は、それらの組合せである。
【0049】
出力デバイス26は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、警報装置、又は、それらの組合せである。
【0050】
通信インタフェース24は、送電装置20と外部装置(例えば、送電制御装置10、および受電装置30)との間の通信を制御するように構成される。
【0051】
送電回路27は、プロセッサ22からの制御信号に応じて、給電用電磁波を放射するように構成される。給電用電磁波は、例えば、マイクロ波、または光波(レーザ光やLED光)である。
具体的には、送電回路27は、信号源と、信号処理回路と、アンテナとを備える。
信号源は、例えば、給電用電磁波を発生する発振器である。
信号処理回路は、信号源によって発生された給電用電磁波に対して、例えば、位相調整、振幅調整、およびフィルタリングの少なくとも1つを含む信号処理を行う。
アンテナは、信号処理回路から出力された給電用電磁波を空間に放射する。アンテナの周囲には、警報装置としてのランプが取り付けられてもよい。これにより、周囲の人間がランプの点灯による警報を知覚しやすい。
【0052】
(1-1-3)受電装置の構成
受電装置30の構成について説明する。図6は、第1実施形態の受電装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
図6に示すように、受電装置30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34と、受電回路37と、バッテリ38とを備える。受電装置30は、入力デバイス35および出力デバイス36と接続可能である。
【0054】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0055】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理(受電処理)を実行するアプリケーションのプログラム
【0056】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ
【0057】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、受電装置30の機能を実現するように構成される。プロセッサ32は、コンピュータの一例である。
【0058】
入出力インタフェース33は、受電装置30に接続される入力デバイス35から信号(例えば、ユーザの指示、センシングデータ)を取得し、かつ、受電装置30に接続される出力デバイス36に信号を出力するように構成される。
【0059】
入力デバイス35は、例えば、プッシュボタン351、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、センサ又は、それらの組合せである。
【0060】
出力デバイス36は、例えば、表示器361、ランプ362、ディスプレイ、スピーカ、警報装置、又は、それらの組合せである。
【0061】
通信インタフェース34は、受電装置30と外部装置(例えば、作業管理装置60)との間の通信を制御するように構成される。
【0062】
受電回路37は、空間を伝搬する給電用電磁波を受信して電力を得るように構成される。給電用電磁波は、例えば、マイクロ波、または光波(レーザ光、またはLED光)である。
具体的には、受電回路37は、アンテナと、電力変換器とを備える。
アンテナは、空間を伝搬する給電用電磁波を受信する。
電力変換器は、アンテナによって受信された給電用電磁波を(直流)電力へと変換する。
給電用電磁波がマイクロ波である場合に、アンテナおよび電力変換器は、レクテナであってもよい。給電用電磁波が光波である場合に、アンテナおよび電力変換器は、光電変換器であってもよい。
【0063】
バッテリ38は、受電装置30の各部に電力を供給する。バッテリ38は、受電回路37の得た電力によって充電される。
【0064】
(1-1-4)モバイル装置の構成
モバイル装置40の構成について説明する。図7は、第1実施形態のモバイル装置の構成を示すブロック図である。
【0065】
図7に示すように、モバイル装置40は、記憶装置41と、プロセッサ42と、入出力インタフェース43と、通信インタフェース44とを備える。モバイル装置40は、入力デバイス45および出力デバイス46と接続可能である。
【0066】
記憶装置41は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置41は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0067】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理(作業支援処理、または警報出力処理)を実行するアプリケーションのプログラム
【0068】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ
【0069】
プロセッサ42は、記憶装置41に記憶されたプログラムを起動することによって、モバイル装置40の機能を実現するように構成される。プロセッサ42は、コンピュータの一例である。
【0070】
入出力インタフェース43は、モバイル装置40に接続される入力デバイス45から信号(例えば、ユーザの指示、センシングデータ)を取得し、かつ、モバイル装置40に接続される出力デバイス46に信号を出力するように構成される。
【0071】
入力デバイス45は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、センサ又は、それらの組合せである。
【0072】
出力デバイス46は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、警報装置、又は、それらの組合せである。
【0073】
通信インタフェース44は、モバイル装置40と外部装置(例えば、作業管理装置60)との間の通信を制御するように構成される。
【0074】
(1-2)実施形態の概要
第1実施形態の概要について説明する。図8は、第1実施形態の送電装置および受電装置の適用例を示す図である。図9は、第1実施形態の送電装置および受電装置が配置される倉庫の一例を示す図である。図10は、放射制限エリアの説明図である。図11は、放射制限エリアの説明図である。図12は、本実施形態の警報実施エリアの説明図である。図13は、本実施形態の警報実施エリアの説明図である。
【0075】
図8に示すように、送電装置20は、倉庫内に設置され物品ITを収納可能な棚RCのフレームに取り付けられる受電装置30に対して上方から給電用電磁波MWを照射することで無線給電を行う。図8の例では、送電装置20は、棚RCのフレームに取り付けてられているが、例えば、棚RCの他の場所(例えば、倉庫の天井、壁、床、または柱)、または移動ロボットに取り付けられてもよい。
【0076】
倉庫内では、作業者がピッキング作業に従事する。図9に示すように、作業者Wは、ピッキングリストに従って、棚RC3B→棚RC2E→棚RC4Dのように、倉庫内を縦横に移動する。故に、作業者Wがピッキング作業を行う時間帯に無線給電を行うと、作業者Wの人体防護のために給電用電磁波の放射を必要に応じて制限しなければならない。
【0077】
例えば、図10に示すように、作業者Wが無線給電を行っている送電装置20の付近(例えば、送電装置20の真下)を通り過ぎようとしたとする。送電制御装置10は、無線給電の実行中、放射制限条件が成立するか否かを判定する。放射制限条件は、一例として、放射制限エリアR1において障害物の存在が検知されたことである。具体的には、放射制限エリアR1は、送電装置20による給電用電磁波の放射特性(例えば、指向性、放射方向、および強度の少なくとも1つ)に依存して定義される。
【0078】
図示されない障害物センサは、放射制限エリアR1における障害物の存否を検出し、送電制御装置10にセンシングデータを報告する。送電制御装置10は、放射制限エリアR1内に障害物の存在が検知されると、放射制限条件が成立すると判定する。
【0079】
障害物センサは、例えば測距センサ、位置センサ、または人感センサであるがこれに限定されない。障害物センサは、例えば、カメラ、ミリ波レーダー、赤外線センサ、超音波センサ、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0080】
一例として、障害物センサは、倉庫を俯瞰的に撮影するカメラであってもよい。カメラによって生成された画像データを解析することにより、特定の人物を認識したり、当該人物の動きを追跡したりすることができる。
【0081】
図11に示すように、送電制御装置10は、放射制限条件が成立する場合に、送電装置20による給電用電磁波MWの放射を制限(例えば、停止)する。これにより、人体を防護することはできるものの、無線給電の効率の低下は避けられない。
【0082】
そこで、送電制御装置10は、無線給電の実行中、放射制限条件とは異なる警報実施条件が成立するか否かをさらに判定する。警報実施条件は、一例として、警報実施エリアにおいて障害物の存在が検知されたことである。図12に示すように、警報実施エリアR2は、放射制限エリアR1よりも広く定義される。
【0083】
図示されない障害物センサが、警報実施エリアR2における障害物の存否を検出し、送電制御装置10にセンシングデータを報告する。送電制御装置10は、警報実施エリアR2内に障害物の存在が検知されると、警報実施条件が成立すると判定する。
【0084】
図13に示すように、送電制御装置10は、放射制限条件が成立せず、かつ警報実施条件が成立する場合に、警報を出力する。図13の例では、送電装置20の出力デバイス26に含まれる警報装置(光源)が、給電用電磁波の放射経路に沿って(つまり、上方から下方に向けて)可視光線を含むガイド光GLを出力する。これにより、作業者Wは自らの進路の先で無線給電が実行中であることを視覚を通じて認識し、進路を変更するよう促される。このように、作業者Wまたは他の人間が無線給電の実行中に放射制限エリアに近寄らないようにすることで、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0085】
(1-3)送電制御処理
第1実施形態の送電制御処理について説明する。図14は、第1実施形態の送電制御処理のフローチャートである。送電制御処理は、送電装置20による送電が予定される送電対象期間に亘って行われる。
送電制御装置10は、静的なスケジュールに従って送電装置20に対する送電制御処理を開始(すなわち送電対象期間を開始)してもよいし、受電装置30が例えばピッキング作業の支援により電力を消費する毎に、当該受電装置30へ送電可能な送電装置20に対する送電制御処理を開始してもよいし、受電装置30からの要求に応じて当該受電装置30へ送電可能な送電装置20に対する送電制御処理を開始してもよい。
【0086】
図14に示されるように、送電制御装置10は、判定材料情報の取得(S110)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、入出力インタフェース13を介して接続される入力デバイス15、および通信インタフェース14を介して接続される外部装置の少なくとも1つから判定材料情報を取得する。
【0087】
判定材料情報は、放射制限条件、および警報実施条件の判定を行うために利用可能な任意の情報である。判定材料情報は、以下の少なくとも1つを含む。
・放射制限エリアにおける障害物の存否を示すセンシングデータ
・警報実施エリアにおける障害物の存否を示すセンシングデータ
・モバイル装置40による給電用電磁波の受信電力の測定値を示すデータ
・倉庫内の作業者の作業内容を示す作業内容データ
【0088】
ステップS110の後に、送電制御装置10は、放射制限条件の判定(S111)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110において取得した判定材料情報に基づいて、放射制限条件が成立するか否かを判定する。一例として、プロセッサ12は、放射制限エリア内に障害物を検知した場合に放射制限条件が成立すると判定する。
【0089】
ステップS111において放射制限条件が成立しないと判定した場合に、送電制御装置10は、警報実施条件の判定(S112)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110において取得した判定材料情報に基づいて警報実施条件が成立するか否かを判定する。一例として、プロセッサ12は、警報実施エリア内に障害物を検知した場合に警報実施条件が成立すると判定する。
【0090】
ステップS112において警報実施条件が成立すると判定した場合に、送電制御装置10は、警報の出力(S113)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、人間が知覚可能な警報を、出力デバイス16に含まれる警報装置、または通信インタフェース14を介して接続された外部装置(例えば、送電装置20、受電装置30、およびモバイル装置40の少なくとも1つに備えられる警報装置、または警報装置50)に出力させる。
【0091】
以降の説明において、警報の出力は、以下の少なくとも1つを含む。
・光源が、給電用電磁波の放射経路に沿って可視光線を含むガイド光を出力する。
・光源が、放射制限エリアと少なくとも部分的に重複するエリアにスポットライトを照射する。照射位置に反射材を設置したり、作業者Wが着用する装備(例えば作業服)に反射材を取り付けたりすることで、スポットライトの視認性を一層高めることもできる。
・ランプ(例えば、送電装置20、または受電装置30に備えられたランプ)が、発光する。ランプは、警報非出力時にも点灯してよいが、一例として、警報出力時の発光制御パラメータは、警報非出力時の発光制御パラメータと異なるように定められる。発光制御パラメータは、発光色、点灯/消灯状態、点滅周期、および発光強度の少なくとも1つを制御する。
・表示器(例えば、モバイル装置40に備えられたディスプレイ)が、発光(例えば、輝度の増加、またはバックライトの点灯)、または点滅する。
・表示器(例えば、モバイル装置40に備えられたディスプレイ)が、所定の画像を表示する。所定の画像は、例えば、アラートメッセージ(例えば、無線給電を実行中の受電装置30が設置された棚RCの番号を通知するメッセージ)、アラート画像(例えば、無線給電を実行中の受電装置30が設置された棚RCの位置、当該受電装置30へ無線給電を行う送電装置20に関する放射制限エリア、および作業者の位置の少なくとも1つを表示するマップ画像)、またはそれらの組み合わせである。
・プロジェクタが、プロジェクションマッピングを行う。一例として、プロジェクタは、床、壁、天井、および棚RCの少なくとも1つに対して所定の画像を投射する。所定の画像は、例えば、アラートメッセージ(例えば、無線給電を実行中の受電装置30が設置された棚RCの番号を通知するメッセージ)、アラート画像(例えば、無線給電を実行中の受電装置30が設置された棚RCの位置を表示するマップ画像)、またはそれらの組み合わせである。
・物理的状態を電動制御可能な機械を作動させる(一例として、人間の通行を阻害するための電動ゲートを起動する)
・発煙装置が、煙を出す。
・スピーカが、音声を出力する。一例として、パラメトリックスピーカ、または指向性スピーカを用いることで、可聴範囲を絞ってもよい。別の例として、モバイル装置40に備えられた骨伝導スピーカが、当該モバイル装置40を携行する作業者のみに聞こえるように音声を出力してもよい。出力する音声は、例えば、アラートメッセージ(例えば、無線給電を実行中の受電装置30が設置された棚RCの番号を通知するメッセージ)、アラート音(例えば、ピープ音、ブザー、または他の不快音)、またはそれらの組み合わせである。
・振動装置を振動させる。一例として、振動装置は、モバイル装置40、床、壁、天井、および棚RCの少なくとも1つに備えられる。
・ミスト発生装置が、ミストを発生する。
・匂い発生装置が、匂いを発生する。
・モバイル装置40に備えられた味覚刺激装置によって作業者Wの味覚を刺激する。
【0092】
ステップS112において警報実施条件が成立しないと判定した場合に、またはステップS113の後に、送電制御装置10は、送電の通常制御(S114)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、送電装置20に予め定められた給電用電磁波を放射させる。一例として、プロセッサ12は、送電装置20に第1の指向性を示す給電用電磁波を第1の放射方向に第1の強度で放射させるための第1の制御信号を生成し、送電装置20へ送信する。
【0093】
ステップS111において放射制限条件が成立すると判定した場合に、送電制御装置10は、送電の制限制御(S115)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、送電装置20による給電用電磁波の放射を人体防護のために制限する。一例として、プロセッサ12は、送電装置20に以下の少なくとも1つを行わせるための第2の制御信号を生成し、当該送電装置20へ送信してもよい。
・送電の停止(つまり、送電装置20は給電用電磁波を放射しない)
・給電用電磁波の放射強度の低減(一例として、送電装置20は、第2の制御信号に従って、給電用電磁波を第1の強度よりも低い第2の強度で放射する)
・給電用電磁波の放射方向の変更(一例として、送電装置20は、第2の制御信号に従って、給電用電磁波を第1の放射方向とは異なる第2の放射方向に放射する)
・給電用電磁波の指向性の変更(一例として、送電装置20は、第2の制御信号に従って、第1の指向性とは異なる第2の指向性を示す給電用電磁波を放射する)
【0094】
プロセッサ12は、障害物が検知された場所、および方向の少なくとも1つに基づいて、上記第1の放射方向および第1の指向性を設定した場合に比べて、当該障害物の位置に伝搬する給電用電磁波の強度が減少するように上記第2の放射方向および第2の指向性の少なくとも1つを決定してもよい。
【0095】
ステップS114の後に、またはステップS115の後に、送電制御装置10は、送電終了の判定(S116)を行う。
具体的には、プロセッサ12は、送電が終了したか否かを判定する。プロセッサ12は、例えば以下の条件の少なくとも1つが成立する場合に、送電が終了したと判定してもよい。
・受電装置30のバッテリ38の容量が閾値(例えば満充電)に到達した
・送電終了信号を受信した
・無線給電の開始から所定時間経過した
【0096】
ステップS116において、送電が終了したと判定した場合に、送電制御装置10は図14の送電制御処理を終了する。
【0097】
ステップS116において、送電が終了していないと判定した場合に、送電制御装置10は判定材料情報の取得(S110)を再び実行する。
【0098】
以上説明したように、第1実施形態の送電制御装置10は、放射制限条件が成立せず、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する。これにより、周囲の人間は自らの進路の先で無線給電が実行中であることを認識し、進路を変更するよう促される。このように、周囲の人間が無線給電の実行中に放射制限エリアに近寄らないようにすることで、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0099】
(2)第2実施形態
第2実施形態について説明する。
【0100】
(2-1)モバイル装置の構成
第2実施形態のモバイル装置の構成について説明する。図15は、第2実施形態のモバイル装置の構成を示すブロック図である。
【0101】
モバイル装置40Aは、給電用電磁波の受信電力(例えば、給電用電磁波と同じ周波数帯の受信電力)を測定する機能、および警報実施条件が成立するか否かを判定する機能、および警報出力機能を有する。さらに、モバイル装置40Aは、作業支援機能を有していてもよい。
【0102】
図15に示すように、モバイル装置40Aは、記憶装置41と、プロセッサ42と、入出力インタフェース43と、通信インタフェース44と、受電回路47とを備える。モバイル装置40Aは、入力デバイス45および出力デバイス46と接続可能である。
【0103】
受電回路47は、空間を伝搬する給電用電磁波を受信し、受信電力を測定するように構成される。給電用電磁波は、例えば、マイクロ波、または光波(レーザ光)である。
具体的には、受電回路47は、アンテナと、受信回路と、受信電力測定部とを備える。
アンテナは、空間を伝搬する給電用電磁波を受信する。
受信回路は、アンテナによって受信された給電用電磁波に対して所定の信号処理を行う。
受信電力測定部は、受信回路によって信号処理された給電用電磁波に基づいて、当該給電用電磁波の受信電力を測定する。
【0104】
(2-2)実施形態の概要
第2実施形態の概要について説明する。
【0105】
モバイル装置40Aは、警報実施条件が成立するか否かを判定する。警報実施条件は、一例として、受電回路47によって測定された、給電用電磁波の受信電力が基準値を超えることである。
【0106】
受電回路47は、定期的に給電用電磁波の受信電力を測定し、プロセッサ42に測定値を報告する。プロセッサ42は、測定値を基準値と比較し、測定値が基準値を超えていると、警報実施条件が成立すると判定する。基準値は、例えば、送電装置20が第1の指向性を示す給電用電磁波を第1の放射方向に第1の強度で放射している時に放射制限エリア内で測定される受信電力を下回るように定義されてよい。
【0107】
モバイル装置40Aは、警報実施条件が成立する場合に、警報を出力する。一例として、モバイル装置40Aの出力デバイス46に含まれる振動装置が振動する。これにより、作業者Wは自らの進路の先で無線給電が実行中であることを触覚を通じて認識し、進路を変更するよう促される。このように、作業者Wまたは他の人間が無線給電の実行中に放射制限エリアに近寄らないようにすることで、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0108】
(2-3)警報制御処理
第2実施形態の警報制御処理について説明する。図16は、第2実施形態の警報制御処理のフローチャートである。警報制御処理は、送電装置20による送電が予定される送電対象期間に亘って行われる。
【0109】
図16に示されるように、モバイル装置40Aは、判定材料情報の取得(S120)を実行する。
具体的には、プロセッサ42は、入出力インタフェース43を介して接続される入力デバイス45、通信インタフェース44を介して接続される外部装置、および受電回路47の少なくとも1つから判定材料情報を取得する。
【0110】
判定材料情報は、警報実施条件の判定を行うために利用可能な任意の情報である。判定材料情報は、以下の少なくとも1つを含む。
・警報実施エリアにおける障害物の存否を示すセンシングデータ
・受電回路47による給電用電磁波の受信電力の測定値を示すデータ
・倉庫内の作業者の作業内容を示す作業内容データ
【0111】
ステップS120の後に、モバイル装置40Aは、警報実施条件の判定(S121)を実行する。
具体的には、プロセッサ42は、ステップS120において取得した判定材料情報に基づいて警報実施条件が成立するか否かを判定する。一例として、プロセッサ42は、給電用電磁波の受信電力の測定値が基準値を超えた場合、または警報実施エリア内に障害物を検知した場合に、警報実施条件が成立すると判定する。
【0112】
ステップS121において警報実施条件が成立すると判定した場合に、モバイル装置40Aは、警報の出力(S122)を実行する。
具体的には、プロセッサ42は、人間が知覚可能な警報を、出力デバイス46に含まれる警報装置、または通信インタフェース44を介して接続された外部装置(例えば、送電制御装置10、送電装置20、および受電装置30の少なくとも1つに備えられる警報装置、または警報装置50)に出力させる。
【0113】
ステップS121において警報実施条件が成立しないと判定した場合に、またはステップS122の後に、モバイル装置40Aは、送電終了の判定(S123)を行う。
具体的には、プロセッサ42は、送電が終了したか否かを判定する。プロセッサ42は、例えば以下の条件の少なくとも1つが成立する場合に、送電が終了したと判定してもよい。
・受電装置30のバッテリ38の容量が閾値(例えば満充電)に到達した
・送電終了信号を受信した
・無線給電の開始から所定時間経過した
・受電回路47による受信電力の測定値が閾値(閾値は基準値よりも小さい)を下回った、または閾値を下回ってから所定時間経過した
【0114】
ステップS123において、送電が終了したと判定した場合に、モバイル装置40Aは図16の警報制御処理を終了する。
【0115】
ステップS123において、送電が終了していないと判定した場合に、モバイル装置40Aは判定材料情報の取得(S120)を再び実行する。
【0116】
以上説明したように、第2実施形態のモバイル装置40Aは、警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する。これにより、例えば、モバイル装置40Aを携行する人間は自らの進路の先で無線給電が実行中であることを認識し、進路を変更するよう促される。このように、周囲の人間が無線給電の実行中に放射制限エリアに近寄らないようにすることで、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0117】
(5)変形例
実施形態の変形例について説明する。
【0118】
(5-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、第1実施形態において説明した警報実施エリアを多段階に定義する例である。
【0119】
変形例1では、少なくとも第1の警報実施エリアおよび第2の警報実施エリアが定義される。第1の警報実施エリアは、放射制限エリアよりも広い。第2の警報実施エリアは、放射制限エリアよりも広く第1の警報実施エリアよりも狭い。
【0120】
プロセッサ12は、警報実施条件の判定(S112)において、第1の警報実施エリアにおいて障害物の存在が検知された場合に第1の警報実施条件が成立すると判定し、第2の警報実施エリアにおいて障害物の存在が検知された場合に第2の警報実施条件が成立すると判定する。
【0121】
プロセッサ12は、第1の警報実施条件が成立する場合に、警報の出力(S113)において、第1の警報を出力する。プロセッサ12は、第1の警報実施条件に加えて第2の警報実施条件が成立する場合に、警報の出力(S113)において、第1の警報の代わりに、または第1の警報に加えて、第2の警報を出力する。第2の警報は、第1の警報とは異なる。
【0122】
第1の警報および第2の警報は、同種の感覚器官を刺激してもよいし、異なる種類の感覚器官を刺激してもよい。第1の警報および第2の警報によって、異なる種類の感覚器官を刺激することで、一部の感覚器官に障害がある人間にもより確実に警報を認識させることができる。一例として、第1の警報はガイド光により視覚を刺激し、第2の警報は振動により触覚を刺激してもよい。
【0123】
(5-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、第2実施形態において説明した基準値を多段階に定義する例である。
【0124】
変形例2では、少なくとも第1の基準値および第2の基準値が定義される。第2の基準値は、第1の基準値よりも高い。
【0125】
プロセッサ42は、警報実施条件の判定(S121)において、受信電力の測定値が第1の基準値を超えた場合に第1の警報実施条件が成立すると判定し、第2の基準値を超えた場合に第2の警報実施条件が成立すると判定する。
【0126】
プロセッサ42は、第1の警報実施条件が成立する場合に、警報の出力(S122)において、第1の警報を出力する。プロセッサ42は、第1の警報実施条件に加えて第2の警報実施条件が成立する場合に、警報の出力(S122)において、第1の警報の代わりに、または第1の警報に加えて、第2の警報を出力する。第2の警報は、第1の警報とは異なる。
【0127】
第1の警報および第2の警報は、同種の感覚器官を刺激してもよいし、異なる種類の感覚器官を刺激してもよい。第1の警報および第2の警報によって、異なる種類の感覚器官を刺激することで、一部の感覚器官に障害がある人間にもより確実に警報を認識させることができる。一例として、第1の警報は振動により触覚を刺激し、第2の警報は音声により聴覚を刺激してもよい。
【0128】
(5-3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、倉庫内の作業者の作業内容を示す作業内容データに基づいて、警報実施条件が成立するか否かを判定する例である。以降の説明は、第1実施形態に対する変形を前提とするが、第2実施形態に対しても同様の変形が可能である。
【0129】
作業内容データは、判定材料情報の一例である。作業内容データは、例えば、作業者Wの選択したピッキングリストである。プロセッサ12は、判定材料情報の取得(S110)において、例えば作業管理装置60から作業内容データを取得できる。
【0130】
プロセッサ12は、警報実施条件の判定(S112)において、各作業者の作業内容データに基づいて、当該作業者が放射制限エリアに対して接近、滞留、または通過をするか否かを予測する。プロセッサ12は、放射制限エリアに対して接近、滞留、または通過する作業者が存在すると予測した場合に、警報実施条件が成立すると判定する。
【0131】
プロセッサ12は、警報の出力(S113)において、人間が知覚可能な警報を、出力デバイス16に含まれる警報装置、または通信インタフェース14を介して接続された外部装置(例えば、送電装置20、受電装置30、およびモバイル装置40の少なくとも1つに備えられる警報装置、または警報装置50)に出力させる。
【0132】
一例として、プロセッサ12は、ステップS112において、放射制限エリアに対して接近、滞留、または通過すると予測された作業者が携行するモバイル装置40に備えられる警報装置に警報を出力させてもよい。これにより、作業者にピッキングルートの見直しやピッキングルートの再選択を早期に促すことができる。
【0133】
(5-4)変形例4
変形例4について説明する。変形例4は、送電装置20が警報実施条件の判定および警報の出力を行う例である。
【0134】
変形例4の送電処理について説明する。図17は、変形例4の送電処理のフローチャートである。送電処理は、送電装置20による送電が予定される送電対象期間に亘って行われる。
【0135】
図17に示されるように、送電装置20は、制御信号の受信(S130)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、通信インタフェース24を介して、送電制御装置10からの制御信号を受信する。
【0136】
ステップS130において第1の制御信号を受信した場合に、送電装置20は、判定材料情報の取得(S131)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、入出力インタフェース23を介して接続される入力デバイス25、および通信インタフェース24を介して接続される外部装置の少なくとも1つから判定材料情報を取得する。
【0137】
判定材料情報は、警報実施条件の判定を行うために利用可能な任意の情報である。判定材料情報は、以下の少なくとも1つを含む。
・警報実施エリアにおける障害物の存否を示すセンシングデータ
・モバイル装置40による給電用電磁波の受信電力の測定値を示すデータ
・倉庫内の作業者の作業内容を示す作業内容データ
【0138】
ステップS131の後に、送電装置20は、警報実施条件の判定(S132)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、ステップS131において取得した判定材料情報に基づいて警報実施条件が成立するか否かを判定する。一例として、プロセッサ22は、警報実施エリア内に障害物を検知した場合に警報実施条件が成立すると判定する。
【0139】
ステップS132において警報実施条件が成立すると判定した場合に、送電装置20は、警報の出力(S133)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、人間が知覚可能な警報を、出力デバイス26に含まれる警報装置、または通信インタフェース24を介して接続された外部装置(例えば、送電制御装置10、受電装置30、およびモバイル装置40の少なくとも1つに備えられる警報装置、または警報装置50)に出力させる。
【0140】
ステップS132において警報実施条件が成立しないと判定した場合に、またはステップS133の後に、送電装置20は、送電の通常実施(S134)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、ステップS130において取得した第1の制御信号に従って、送電回路27に給電用電磁波を放射させる。一例として、プロセッサ22は、送電回路27に第1の指向性を示す給電用電磁波を第1の放射方向に第1の強度で放射させる。
【0141】
ステップS130において第2の制御信号を受信した場合に、送電装置20は、送電の制限制御(S135)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、ステップS130において取得した第2の制御信号に従って、送電回路27による給電用電磁波の放射を人体防護のために制限する。一例として、プロセッサ22は、第2の制御信号に従って、以下の少なくとも1つを行ってもよい。
・送電の停止(つまり、送電回路27に給電用電磁波を放射させない)
・給電用電磁波の放射強度の低減(一例として、送電回路27に、給電用電磁波を第1の強度よりも低い第2の強度で放射させる)
・給電用電磁波の放射方向の変更(一例として、送電回路27に、給電用電磁波を第1の放射方向とは異なる第2の放射方向に放射させる)
・給電用電磁波の指向性の変更(一例として、送電回路27に、第1の指向性とは異なる第2の指向性を示す給電用電磁波を放射させる)
【0142】
ステップS134の後に、またはステップS135の後に、送電装置20は、送電終了の判定(S136)を行う。
具体的には、プロセッサ22は、送電が終了したか否かを判定する。プロセッサ22は、例えば以下の条件の少なくとも1つが成立する場合に、送電が終了したと判定してもよい。
・受電装置30のバッテリ38の容量が閾値(例えば満充電)に到達した
・送電終了信号を受信した
・無線給電の開始から所定時間経過した
・前回の制御信号の受信から所定時間経過した
【0143】
ステップS136において、送電が終了したと判定した場合に、送電装置20は図17の送電処理を終了する。
【0144】
ステップS136において、送電が終了していないと判定した場合に、送電装置20は制御信号の受信(S130)を再び実行する。
【0145】
以上説明したように、変形例4の送電装置20は、第2の制御信号を受けておらず、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する。これにより、周囲の人間は自らの進路の先で無線給電が実行中であることを認識し、進路を変更するよう促される。このように、周囲の人間が無線給電の実行中に放射制限エリアに近寄らないようにすることで、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0146】
(5-5)変形例5
変形例5について説明する。変形例5は、受電装置30が警報実施条件の判定および警報の出力を行う例である。
【0147】
変形例5の受電処理について説明する。図18は、変形例5の受電処理のフローチャートである。受電処理は、送電装置20による送電が予定される送電対象期間に亘って行われる。
【0148】
図18に示されるように、受電装置30は、給電用電磁波の受信(S140)を実行する。
具体的には、受電回路37は、送電装置20から放射された給電用電磁波を受信する。
【0149】
ステップS140の後に、受電装置30は、バッテリの充電(S141)を実行する。
具体的には、受電回路37は、ステップS140において受信した給電用電磁波を直流電力に変換する。受電回路37は、得られた直流電力を用いてバッテリ38を充電する。
【0150】
ステップS141の後に、判定材料情報の取得(S142)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、入出力インタフェース33を介して接続される入力デバイス35、および通信インタフェース34を介して接続される外部装置の少なくとも1つから判定材料情報を取得する。
【0151】
判定材料情報は、警報実施条件の判定を行うために利用可能な任意の情報である。判定材料情報は、以下の少なくとも1つを含む。
・警報実施エリアにおける障害物の存否を示すセンシングデータ
・モバイル装置40による給電用電磁波の受信電力の測定値を示すデータ
・倉庫内の作業者の作業内容を示す作業内容データ
【0152】
ステップS142の後に、受電装置30は、警報実施条件の判定(S143)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS142において取得した判定材料情報に基づいて警報実施条件が成立するか否かを判定する。一例として、プロセッサ32は、警報実施エリア内に障害物を検知した場合に警報実施条件が成立すると判定する。
【0153】
ステップS143において警報実施条件が成立すると判定した場合に、受電装置30は、警報の出力(S144)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、人間が知覚可能な警報を、出力デバイス36に含まれる警報装置、または通信インタフェース34を介して接続された外部装置(例えば、送電制御装置10、送電装置20、およびモバイル装置40の少なくとも1つに備えられる警報装置、または警報装置50)に出力させる。
【0154】
ステップS143において警報実施条件が成立しないと判定した場合に、またはステップS144の後に、受電装置30は、送電終了の判定(S145)を行う。
具体的には、プロセッサ32は、送電が終了したか否かを判定する。プロセッサ32は、例えば以下の条件の少なくとも1つが成立する場合に、送電が終了したと判定してもよい。
・バッテリ38の容量が閾値(例えば満充電)に到達した
・送電終了信号を受信した
・無線給電の開始から所定時間経過した
・給電用電磁波の受信が途絶えてから所定時間経過した
プロセッサ32は、バッテリ38の容量情報を外部装置に送信してもよいし、バッテリ38の容量が閾値に到達した後に送電終了信号を発行し、当該送電終了信号を外部装置へ送信してもよい。
【0155】
ステップS145において、送電が終了したと判定した場合に、受電装置30は図18の受電処理を終了する。
【0156】
ステップS145において、送電が終了していないと判定した場合に、受電装置30は給電用電磁波の受信(S140)を再び実行する。
【0157】
以上説明したように、変形例5の受電装置30は、警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する。これにより、周囲の人間は自らの進路の先で無線給電が実行中であることを認識し、進路を変更するよう促される。このように、周囲の人間が無線給電の実行中に放射制限エリアに近寄らないようにすることで、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0158】
(6)その他の変形例
各実施形態および各変形例において説明した警報実施条件は例示に過ぎない。警報実施条件は、例えば送電対象期間であること、であってもよい。すなわち、送電対象期間に亘って、警報が常時出力されてもよい。
【0159】
各実施形態および各変形例の説明における送電制御装置10および送電装置20の機能分担は一例である。送電制御装置10の機能の少なくとも一部を送電装置20が担ってもよい。
【0160】
各実施形態および各変形例の説明では、主に倉庫内のピッキング作業に用いられる(無線)表示器への無線給電の例を示した。しかしながら、各実施形態および各変形例は、任意の無線給電アプリケーションに適用可能である。
【0161】
実施形態の説明において、送電装置20は、受電装置30に対して上方から給電用電磁波MWを照射することで無線給電を行うと説明した。これにより、棚RCの正面の空間を、物品ITの出し入れや人間の通行のために開けておくことができる。しかしながら、送電装置20と受電装置30との位置関係はこの例に限られない。具体的には、送電装置20は、受電装置30に対して正面、側面、下方、後方、またはそれらの組み合わせ、から給電用電磁波MWを放射してもよい。送電装置20が受電装置30に対して正面から給電用電磁波MWを放射する場合に、図12および図13を用いて説明した警報実施エリアは、図19および図20に示すように変形可能である。
【0162】
第2実施形態において、警報制御処理は送電が予定される送電対象期間に亘って行われると説明したが、モバイル装置40Aは警報制御処理を送電対象期間外にも(例えば常時、または当該モバイル装置40Aのユーザの操作に応じて)行ってよい。さらに、モバイル装置40Aは、無線給電における人体防護に限らず、例えば無線基地局の工事現場、または他の環境における人体防護にも有用である。
【0163】
警報は、段階的に出力されてもよい。警報の段階的出力の第1の例は、異種の警報を組み合わせて出力することである。警報の段階的出力の第2の例は、同種の警報の強度を上げることである。例えば、警報としての音声の音量を大きくしり、警報としての音声の周波数帯を人間にとって不快に感じやすいように調節したりしてもよい。警報は、警報実施条件の成立が継続している時間の長さ、および放射制限エリアからの距離の少なくとも1つに応じて段階的に出力されてよい。このように警報を段階的に出力することで、周囲の人間が警報に慣れて気が緩むのを防ぎつつ、放射制限エリアへ近づくことを抑止できる。すなわち、より確実に人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0164】
警報実施後の人間の挙動(例えば、警報後に放射制限エリアに入ったか、警報後どのくらいの時間で警報実施エリアを離脱したか、またはそれらの組み合わせ)を記録し、警報の効果を分析してもよい。例えば、視覚に訴える警告の効果が低い人間に対しては、聴覚に訴える警告を出力してもよい。このように人間の個性に合わせて注意を引きやすい警報を出力することで、より確実に人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0165】
警報実施後の作業者の挙動を記録し、当該作業者の人事評価の一指標として用いてもよい。これにより、作業者の警報に対する意識が高まるので、警報に初期に気づきやすくなる。すなわち、より確実に人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0166】
各実施形態は任意に組み合わせ可能である。例えば、第2実施形態のモバイル装置40Aを第1実施形態の送電制御装置10と組み合わせると、例えば障害物センサの故障により送電制御装置10が警報実施条件は成立しないと誤判定した場合であっても、モバイル装置40Aが受信電力に基づいて警報実施条件が成立すると判定して警報を出力できる。逆に、受電回路47の故障によりモバイル装置40Aが警報実施条件は成立しないと誤判定した場合であっても、送電制御装置10が例えば障害物センサのセンシングデータに基づいて警報実施条件が成立すると判定して警報を出力できる。すなわち、より確実に、人体防護を実現しつつ、給電用電磁波の放射制限を行う頻度を下げて給電効率の低下を抑制できる。
【0167】
各実施形態および各変形例の説明で例示した警報実施条件の判定および警報の出力は、送電制御装置10、送電装置20、受電装置30、モバイル装置40(40A)、警報装置50、および作業管理装置60のいずれが行ってもよい。
【0168】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【0169】
(7)付記
実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0170】
(付記1)
送電装置(20)による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア(R1)内で障害物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定する手段(S111)と、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S112)と、
放射制限条件が成立しない場合に、送電装置に給電用電磁波(MW)を放射させる手段(S114)と、
放射制限条件が成立する場合に、送電装置による給電用電磁波の放射を制限する手段(S115)と、
放射制限条件が成立せず、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段(S113)と
を具備する、送電制御装置(10)。
【0171】
(付記2)
警報を出力する手段は、放射制限条件が成立せず、かつ放射制限エリアよりも広い第1の警報実施エリア(R2)において障害物の存在が検知された場合に、第1の警報を出力する、
付記1に記載の送電制御装置。
【0172】
(付記3)
警報を出力する手段は、放射制限条件が成立せず、かつ放射制限エリアよりも広く第1の警報実施エリアよりも狭い第2の警報実施エリアにおいて障害物の存在が検知された場合に、第1の警報とは異なる第2の警報を出力する、
付記2に記載の送電制御装置。
【0173】
(付記4)
人間により携行可能であって受信電力を測定可能なモバイル装置(40,40A)による給電用電磁波の受信電力の測定値を取得する手段(S110)をさらに具備し、
警報を出力する手段は、放射制限条件が成立せず、かつ測定値が第1の基準値を超過する場合に、第1の警報を出力する、
付記1に記載の送電制御装置。
【0174】
(付記5)
警報を出力する手段は、放射制限条件が成立せず、かつ測定値が第1の基準値よりも高い第2の基準値を超過する場合に、第1の警報とは異なる第2の警報を出力する、
付記4に記載の送電制御装置。
【0175】
(付記6)
送電装置は、物品を保管する倉庫内に設置され、
送電制御装置は、倉庫内で物品のピッキング作業に従事する作業者の作業内容を示す作業内容データを取得する手段(S110)をさらに具備し、
警報を出力する手段は、送電対象期間において、作業内容データに基づいて警報実施条件が成立するか否かを判定する、
付記1乃至付記5のいずれかに記載の送電制御装置。
【0176】
(付記7)
人間(W)により携行可能なモバイル装置(40,40A)であって、
送電装置(20)による送電が予定される送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S121)と、
警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段(S122)と
を具備する、モバイル装置。
【0177】
(付記8)
人間(W)により携行可能なモバイル装置(40A)であって、
送電装置(20)によって放射される給電用電磁波(MW)の受信電力を測定する手段(47)と、
受信電力の測定値が基準値を超過することを含む警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S121)と、
警報実施条件が成立する場合に、警報を出力する手段(S122)と
を具備する、モバイル装置。
【0178】
(付記9)
警報を出力する手段は、測定値が第1の基準値を超過する場合に第1の警報を出力し、当該測定値が当該第1の基準値よりも高い第2の基準値を超過する場合に、第1の警報とは異なる第2の警報を出力する、
付記8に記載のモバイル装置。
【0179】
(付記10)
送電対象期間において、送電制御装置(10)からの第1の制御信号に従って、給電用電磁波を放射(MW)する手段(S134)と、
送電対象期間において、送電制御装置からの第2の制御信号に従って、給電用電磁波の放射を制限する手段(S135)と、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S132)と、
送電制御装置から第1の制御信号を受けており、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段(S133)と
を具備する、送電装置(20)。
【0180】
(付記11)
送電装置(20)による送電が予定される送電対象期間において、当該送電装置から放射される給電用電磁波(MW)を受信する手段(37)と、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S143)と、
警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段(S144)と
を具備する、受電装置。
【0181】
(付記12)
コンピュータが、
送電装置(20)による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア(R1)内で障害物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定すること(S111)と、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定すること(S112)と、
放射制限条件が成立しない場合に、送電装置に給電用電磁波(MW)を放射させること(S114)と、
放射制限条件が成立する場合に、送電装置による給電用電磁波の放射を制限すること(S115)と、
放射制限条件が成立せず、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力すること(S113)と
を具備する、送電制御方法。
【0182】
(付記13)
コンピュータが、
送電対象期間において、送電制御装置(10)からの第1の制御信号に従って、給電用電磁波を放射(MW)すること(S134)と、
送電対象期間において、送電制御装置からの第2の制御信号に従って、給電用電磁波の放射を制限すること(S135)と、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定すること(S132)と、
送電制御装置から第1の制御信号を受けており、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力すること(S133)と
を具備する、送電方法。
【0183】
(付記14)
コンピュータを、
送電装置(20)による送電が予定される送電対象期間において、放射制限エリア(R1)内で障害物の存在が検知されたことを含む放射制限条件が成立するか否かを判定する手段(S111)、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S112)、
放射制限条件が成立しない場合に、送電装置に給電用電磁波(MW)を放射させる手段(S114)、
放射制限条件が成立する場合に、送電装置による給電用電磁波の放射を制限する手段(S115)、
放射制限条件が成立せず、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段(S113)
として機能させる、送電制御プログラム。
【0184】
(付記15)
コンピュータを、
送電対象期間において、送電制御装置(10)からの第1の制御信号に従って、給電用電磁波を放射(MW)する手段(S134)、
送電対象期間において、送電制御装置からの第2の制御信号に従って、給電用電磁波の放射を制限する手段(S135)、
送電対象期間において、警報実施条件が成立するか否かを判定する手段(S132)、
送電制御装置から第1の制御信号を受けており、かつ警報実施条件が成立する場合に、人間が知覚可能な警報を出力する手段(S133)
として機能させる、送電プログラム。
【符号の説明】
【0185】
1 :ピッキング支援システム
10 :送電制御装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
15 :入力デバイス
16 :出力デバイス
20 :送電装置
21 :記憶装置
22 :プロセッサ
23 :入出力インタフェース
24 :通信インタフェース
25 :入力デバイス
26 :出力デバイス
27 :送電回路
30 :受電装置
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
35 :入力デバイス
36 :出力デバイス
37 :受電回路
38 :バッテリ
40 :モバイル装置
40A :モバイル装置
41 :記憶装置
42 :プロセッサ
43 :入出力インタフェース
44 :通信インタフェース
45 :入力デバイス
46 :出力デバイス
47 :受電回路
50 :警報装置
60 :作業管理装置
351 :プッシュボタン
361 :表示器
362 :ランプ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20