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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】紙類検査装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240912BHJP
   B42C 19/08 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B65H7/06
B42C19/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024076842
(22)【出願日】2024-05-09
【審査請求日】2024-05-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、公開日:2023年5月30日、公開場所:株式会社シンクグロー(石川県金沢市玉鉾4丁目165)、公開者:有限会社折りの丸新、公開された発明の内容:有限会社折りの丸新が、新垣幸平が発明した紙類検査装置を株式会社シンクグローに販売した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524176306
【氏名又は名称】有限会社折りの丸新
(74)【代理人】
【識別番号】100223907
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】新垣 幸平
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/134936(WO,A1)
【文献】特開2018-132511(JP,A)
【文献】特開2021-95278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/06
B42C 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、
駆動力を発生するモーター(209)と、
前記上側ローラーに前記モーターの駆動力を伝達する駆動力伝達部(260)と、を有し、
前記駆動力伝達部は、
前記モーターの駆動力が伝達される第1回転プーリー(261)と、
前記第1回転プーリーの上方であって前記第1回転プーリーの下流側に配置された第2回転プーリー(262)と、
前記第2回転プーリーの上方であって前記第2回転プーリーの上流側に配置された第3回転プーリー(263)と、
前記第3回転プーリーの上方であって前記第3回転プーリーの下流側に配置され、前記上側ローラーに回転連結された第4回転プーリー(264)と、
前記第4回転プーリーの上方であって、上下流方向に並んで配置された第5回転プーリー(265)及び第6回転プーリー(266)と、
前記第1回転プーリー~前記第6回転プーリーに巻き掛けられた回転ベルト(269)と、を備えることを特徴とする紙類検査装置。
【請求項2】
前記駆動力伝達部は、前記回転ベルトを外側から押圧するテンショナー(267)を、更に有することを特徴とする請求項に記載の紙類検査装置。
【請求項3】
前記移動部は、付勢部材(276)によって下方に付勢されていることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の紙類検査装置。
【請求項4】
前記搬送部は、
回転する下側搬送ベルト(236)と、
前記下側搬送ベルトの上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト(246)と、を有し、
前記紙類を、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトの間で搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙類検査装置。
【請求項5】
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、を有し、
前記搬送部は、
回転する下側搬送ベルト(236)と、
前記下側搬送ベルトの上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト(246)と、を備え、
前記紙類を、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトの間で搬送するように構成されており、
前記検査部は、前記下側搬送ベルト及び前記上側搬送ベルトの両側方に配置されていることを特徴とする紙類検査装置。
【請求項6】
前記検査部は、前記紙類が搬送される方向と直交する幅方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項に記載の紙類検査装置。
【請求項7】
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、を有し、
前記搬送部は、
回転する下側搬送ベルト(236)と、
前記下側搬送ベルトの上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト(246)と、を備え、
前記紙類を、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトの間で搬送するように構成されており、
前記下側搬送ベルトは、回転可能に設けられた下流下側プーリー(231)と、前記下流下側プーリーの前記紙類の搬送方向の上流側に回転可能に設けられた上流下側プーリー(235)に巻き掛けられ、
前記上側搬送ベルトは、下流上側プーリー(241)と、前記下流上側プーリーの前記紙類の搬送方向の上流側に配置された上流上側プーリー(245)に巻き掛けられ、
前記下流上側プーリー及び前記上流上側プーリーは、上側支持部材(242)によって回転可能に取り付けられ、
前記上側支持部材は、前記下流上側プーリーの回転中心と同一の回動中心で、回動可能に設けられていることを特徴とする紙類検査装置。
【請求項8】
前記上側支持部材の回動角度を調整するプーリー調整機構(249)を更に有することを特徴とする請求項に記載の紙類検査装置。
【請求項9】
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、
前記移動部の上下方向の位置を調整する高さ調整部(299)と、を有することを特徴とする紙類検査装置。
【請求項10】
前記高さ調整部は、前記取付部材に間隔をあけて取り付けられた一対のサイドフレーム(298)と、
前記サイドフレームの上端部を接続するように取り付けられた板状のキャリパーフレーム(227)と
一対の前記サイドフレームの間に配置されて、一対の前記サイドフレームに回動可能に取り付けられ、一端部が前記移動部と接触している第1リンクアーム(283)と、を有し、
前記紙類を前記第1リンクアームと前記キャリパーフレームとの間に差し込むと、前記第1リンクアームが回動して、前記移動部が上方に移動するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の紙類検査装置。
【請求項11】
前記高さ調整部は、
一対の前記サイドフレームの間であって、前記第1リンクアームと前記キャリパーフレームとの間に上下方向に移動可能に設けられた板状のキャリパーレバー(228)と、
一対の前記サイドフレームの間であって、前記第1リンクアームの下方に、一対の前記サイドフレームに回動可能に且つ前記第1リンクアームと平行に設けられた第2リンクアーム(284)と、
ブロック状であり、前記第1リンクアーム及び前記第2リンクアームの基端にピン支持された第1スライダー(285)と、
ブロック状であり、前記第1リンクアームの先端に回動可能に取り付けられ、上面が前記キャリパーレバーの下面と面接触している第2スライダー(286)と、を更に有し、
前記第1スライダーは、前記取付部材及び前記移動部に当接し、
前記紙類の折れを検査する際には、前記紙類を前記キャリパーレバーと前記キャリパーフレームの間に差し込むように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の紙類検査装置。
【請求項12】
前記第1スライダーの上面は、前記移動部にねじ込まれ軸線方向が上下方向と一致する第1調整ボルト(292)を介して前記移動部と当接していることを特徴とする請求項11に記載の紙類検査装置。
【請求項13】
前記第1スライダーの下面は、前記取付部材にねじ込まれ軸線方向が上下方向と一致する第2調整ボルト(293)を介して前記取付部材と当接していることを特徴とする請求項11に記載の紙類検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子やパンフレット等の紙類を検査する紙類検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、冊子の欠落を検査する冊子検査装置が有った。この冊子検査装置は、くるみ製本機が製本した冊子の厚みを計測する冊子用変位センサーと、冊子集積装置が排出した冊子束の厚みを計測する第2の冊子束用変位センサーと、三方断裁機から排出された冊子束の厚みを計測する第1の冊子束用変位センサーと、冊子束の厚みと冊子束に含まれる冊子の厚みの合計値を比較することで、冊子の脱落を検査するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6236961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される冊子検査装置では、冊子の脱落を検査することはできるが、冊子やパンフレット等の紙類の折れや異物の混入等の異常を検査することはできなかった。
【0005】
本発明は、紙類の折れや異物の混入等の異常を検査することができる紙類検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載の発明である紙類検査装置は、
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、
駆動力を発生するモーター(209)と、
前記上側ローラーに前記モーターの駆動力を伝達する駆動力伝達部(260)と、を有し、
前記駆動力伝達部は、
前記モーターの駆動力が伝達される第1回転プーリー(261)と、
前記第1回転プーリーの上方であって前記第1回転プーリーの下流側に配置された第2回転プーリー(262)と、
前記第2回転プーリーの上方であって前記第2回転プーリーの上流側に配置された第3回転プーリー(263)と、
前記第3回転プーリーの上方であって前記第3回転プーリーの下流側に配置され、前記上側ローラーに回転連結された第4回転プーリー(264)と、
前記第4回転プーリーの上方であって、上下流方向に並んで配置された第5回転プーリー(265)及び第6回転プーリー(266)と、
前記第1回転プーリー~前記第6回転プーリーに巻き掛けられた回転ベルト(269)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これによれば、折れや異物の混入が有る紙類が下側ローラーと上側ローラーとの間を通過すると、位置検出部からの検出信号が、正常な紙類と異なる値となることから、紙類の異常を検出することができる。このため、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置を提供することができる。
また、上側ローラーが駆動されているので、上側ローラーが駆動されていない場合と比較して、紙類が上側ローラーと下側ローラーの間に侵入する際に上側ローラーが上方に持ち上がることが抑制される。このため、上側ローラーが上方に持ち上がることによる正常な紙類が異常と判断される誤検知を抑制することができる。
また、上下方向に移動する上側ローラーに、モーターの駆動力を確実に伝達させることができる。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、
前記駆動力伝達部は、前記回転ベルトを外側から押圧するテンショナー(267)を、更に有することを特徴とする。
【0013】
これによれば、上側ローラーの上下方向の移動に伴って、第4回転プーリーが上下方向に移動したとしても、回転ベルトが弛まずに、回転ベルトのテンションを維持できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項に記載の発明において、
前記移動部は、付勢部材(276)によって下方に付勢されていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、移動部に取り付けられた上側ローラーが下方に付勢されているので、紙類が上側ローラーと下側ローラーの間を通過する際に、上下方向に移動可能な上側ローラーが紙類に押し付けられて追従する。このため、紙類の厚さを正確に検知することができ、ひいては、より精度高く紙類の異常を検知することができる。
【0016】
なお、前記上側ローラーの直径は、前記下側ローラーの直径よりも、大きく設定されていることが好ましい。
【0017】
これによれば、上側ローラーと下側ローラーの設置のスペースが限られているなか、上側ローラーの直径を可能な限り大きくすることにより、紙類が上側ローラーと下側ローラーの間に侵入する際に、紙類と上側ローラーの角度を低減することができる。このため、紙類が上側ローラーと下側ローラーの間に侵入する際に上側ローラーが上方に持ち上がることが抑制される。このため、紙類の折れを精度高く検出することができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記搬送部は、
回転する下側搬送ベルト(236)と、
前記下側搬送ベルトの上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト(246)と、を有し、
前記紙類を、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトの間で搬送するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、紙類を下側搬送ベルトと上側搬送ベルトで挟んで上流側から下流側に搬送するので、安定して紙類を搬送することができ、ひいては、安定して紙類の折れを検出することができる。
【0020】
上記目的を達成するためになされた、請求項5に記載の発明である紙類検査装置は、
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、を有し、
前記搬送部は、
回転する下側搬送ベルト(236)と、
前記下側搬送ベルトの上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト(246)と、を備え、
前記紙類を、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトの間で搬送するように構成されており、
前記検査部は、前記下側搬送ベルト及び前記上側搬送ベルトの両側方に配置されていることを特徴とする。
【0021】
これによれば、折れや異物の混入が有る紙類が下側ローラーと上側ローラーとの間を通過すると、位置検出部からの検出信号が、正常な紙類と異なる値となることから、紙類の異常を検出することができる。このため、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置を提供することができる。
また、紙類を下側搬送ベルトと上側搬送ベルトで挟んで上流側から下流側に搬送するので、安定して紙類を搬送することができ、ひいては、安定して紙類の折れを検出することができる。
また、紙類の折れが発生しやすい紙類の幅方向の両端部を検査部で検査することができ、より確実に紙類の折れを検出することができる。
【0022】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、
前記検査部は、前記紙類が搬送される方向と直交する幅方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0023】
これによれば、幅が異なる紙類であっても、紙類の幅方向の両端部を検査部で検査することができる。
【0024】
上記目的を達成するためになされた、請求項7に記載の発明である紙類検査装置は、
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、を有し、
前記搬送部は、
回転する下側搬送ベルト(236)と、
前記下側搬送ベルトの上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト(246)と、を備え、
前記紙類を、前記下側搬送ベルトと前記上側搬送ベルトの間で搬送するように構成されており、
前記下側搬送ベルトは、回転可能に設けられた下流下側プーリー(231)と、前記下流下側プーリーの前記紙類の搬送方向の上流側に回転可能に設けられた上流下側プーリー(235)に巻き掛けられ、
前記上側搬送ベルトは、下流上側プーリー(241)と、前記下流上側プーリーの前記紙類の搬送方向の上流側に配置された上流上側プーリー(245)に巻き掛けられ、
前記下流上側プーリー及び前記上流上側プーリーは、上側支持部材(242)によって回転可能に取り付けられ、
前記上側支持部材は、前記下流上側プーリーの回転中心と同一の回動中心で、回動可能に設けられていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、折れや異物の混入が有る紙類が下側ローラーと上側ローラーとの間を通過すると、位置検出部からの検出信号が、正常な紙類と異なる値となることから、紙類の異常を検出することができる。このため、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置を提供することができる。
また、紙類を下側搬送ベルトと上側搬送ベルトで挟んで上流側から下流側に搬送するので、安定して紙類を搬送することができ、ひいては、安定して紙類の折れを検出することができる。
また、厚さが異なる紙類であっても、上側支持部材が回動することによって、上流上側プーリーと上流下側プーリーの離間距離が調整され、紙類が上流上側プーリーと上流下側プーリーの間に侵入して、紙類が下側搬送ベルトと上側搬送ベルトによって搬送される。このため、厚さが異なる紙類であっても、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置を提供することができる。
【0026】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、
前記上側支持部材の回動角度を調整するプーリー調整機構(249)を更に有することを特徴とする。
【0027】
これによれば、プーリー調整機構によって、上側支持部材の回動角度を調整することにより、紙類の厚さに応じて、上流下側プーリーと上流上側プーリーとの離間距離を調整することができる。このため、厚さが異なる紙類により対応できる紙類検査装置を提供することができる。
【0028】
上記目的を達成するためになされた、請求項9に記載の発明である紙類検査装置は、
取付部材(252)と、
前記取付部材に回転可能に取り付けられた下側ローラー(296)と、
前記取付部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部(270)と、
前記移動部に回転可能に取り付けられ、前記下側ローラーの上方において前記下側ローラーと対向配置された上側ローラー(279)と、
前記移動部の前記取付部材に対する上下方向の位置を検出する位置検出部(280)と、
を備えた検査部(290)と、
紙類を前記下側ローラーと前記上側ローラーの間に上流側から下流側に通過させる搬送部(250)と、
前記紙類が前記下側ローラーと前記上側ローラーとの間を通過した際の前記位置検出部からの検出信号に基づいて、前記紙類の異常を検出する異常判断部(43c)と、
前記移動部の上下方向の位置を調整する高さ調整部(299)と、を有することを特徴とする。
【0029】
これによれば、折れや異物の混入が有る紙類が下側ローラーと上側ローラーとの間を通過すると、位置検出部からの検出信号が、正常な紙類と異なる値となることから、紙類の異常を検出することができる。このため、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置を提供することができる。
また、仕様により厚さが異なる紙類であっても、高さ調整部によって、前記移動部の上下方向の位置を調整することにより、下側ローラーの外周面からの上側ローラーの外周面の離間寸法を調整することにより、適切に紙類の異常を検出することができる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の発明において、
前記高さ調整部は、前記取付部材に間隔をあけて取り付けられた一対のサイドフレーム(298)と、
前記サイドフレームの上端部を接続するように取り付けられた板状のキャリパーフレーム(227)と
一対の前記サイドフレームの間に配置されて、一対の前記サイドフレームに回動可能に取り付けられ、一端部が前記移動部と接触している第1リンクアーム(283)と、を有し、
前記紙類を前記第1リンクアームと前記キャリパーフレームとの間に差し込むと、前記第1リンクアームが回動して、前記移動部が上方に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0031】
これによれば、紙類を第1リンクアームとキャリパーフレームとの間に差し込むだけで、移動部が上方に移動し、これに伴って、上側ローラーもまた上側に移動する。このため、仕様によって厚さの異なる紙類の折れを検査する場合であっても、下側ローラーの外周面からの上側ローラーの外周面の離間寸法が適切に調整され、適切に紙類の異常を検出することができる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
前記高さ調整部は、
一対の前記サイドフレームの間であって、前記第1リンクアームと前記キャリパーフレームとの間に上下方向に移動可能に設けられた板状のキャリパーレバー(228)と、
一対の前記サイドフレームの間であって、前記第1リンクアームの下方に、一対の前記サイドフレームに回動可能に且つ前記第1リンクアームと平行に設けられた第2リンクアーム(284)と、
ブロック状であり、前記第1リンクアーム及び前記第2リンクアームの基端にピン支持された第1スライダー(285)と、
ブロック状であり、前記第1リンクアームの先端に回動可能に取り付けられ、上面が前記キャリパーレバーの下面と面接触している第2スライダー(286)と、を更に有し、
前記第1スライダーは、前記取付部材及び前記移動部に当接し、
前記紙類の折れを検査する際には、前記紙類を前記キャリパーレバーと前記キャリパーフレームの間に差し込むように構成されていることを特徴とする。
【0033】
これによれば、紙類の検査時に、紙類の下面が直接第1リンクアームと接触するのでは無く、紙類の下面が板状のキャリパーレバーと面接触するので、精度高く紙類の厚さ分だけ、移動部を上方に移動させることができる。
また、キャリパーレバーの下面が第1リンクアームの先端と直接接触するのでは無く、キャリパーレバーの下面が第2スライダーを介して面接触しているので、精度高く紙類の厚さ分だけ、移動部を上方に移動させることができる。
更に、第2リンクアームは、第1リンクアームと平行に設けられているので、第1リンクアームの回動角度によらずに、第1リンクアーム及び第2リンクアームにピン支持されている第1スライダーは、傾かない。このように、取付部材及び移動部に当接している第1スライダーが傾かないために、精度高く紙類の厚さ分だけ、移動部を上方に移動させることができる。
【0034】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、
前記第1スライダーの上面は、前記移動部にねじ込まれ軸線方向が上下方向と一致する第1調整ボルト(292)を介して前記移動部と当接していることを特徴とする。
【0035】
これによれば、第1調整ボルトの移動部へのねじ込み量を調整することにより、移動部の上下方向の位置を変更することができ、上側ローラーの上下方向の位置を変更することができる。このため、紙類の折れの検出時における、上側ローラーの下側ローラーに対する離間距離を折れの検出に最適な離間距離に設定することができる。この結果、より精度高く紙類の異常を検出することができる。
【0036】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、
前記第1スライダーの下面は、前記取付部材にねじ込まれ軸線方向が上下方向と一致する第2調整ボルト(293)を介して前記取付部材と当接していることを特徴とする。
【0037】
これによれば、第2調整ボルトの取付部材へのねじ込み量を調整することにより、移動部の上下方向の位置を変更することができ、上側ローラーの上下方向の位置を変更することができる。このため、第2調整ボルトの取付部材へのねじ込み量を調整することにより、上側ローラーの下側ローラーに対する離間距離を調整することができる。この結果、紙類が上側ローラーと下側ローラーとの間を通過していない時に、上側ローラーを下側ローラーよりも僅かに離間させることができ、上側ローラーが下側ローラーに接触することによる上側ローラーと下側ローラーの摩耗を抑制することができる。
【0038】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であるに過ぎず、特許請求の範囲の権利範囲に影響を及ぼさないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態の紙類検査装置の斜視図である。
図2】検査ユニットの斜視図である。
図3図2のA矢視図であり、検査ユニットの背面図である。
図4】検査部を取り除いた検査ユニットの斜視図である。
図5図4のB矢視図であり、検査部を取り除いた検査ユニットの正面図である。
図6図4のC矢視図であり、検査部を取り除いた検査ユニットの側面図である。
図7図5のD-D断面図である。
図8】検査部の斜視図である。
図9図8のE矢視図であり、検査部を外側から見た側面図である。
図10図8のF矢視図であり、検査部の正面図である。
図11図8のG矢視図であり、検査部を内側から見た側面図である。
図12図9のH矢視図であり、高さ調整ユニットと移動部の正面図である。
図13】紙類検査装置のブロック図である。
図14】紙類の厚さ情報を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(紙類検査装置の構造)
以下に、図1を用いて、本発明の一実施形態である紙類検査装置1000について説明する。図1に示すように、紙類検査装置1000は、上流側から下流側に向かって順番に、コンベアユニット100、検査ユニット200、振り分けユニット300を有している。
【0041】
コンベアユニット100は、フィーダー装置(不図示)から順次供給された紙類が一定間隔をおいて搬送されるベルトコンベア110を有している。本明細書において、紙類には、束状の印刷物を綴じた冊子に加えて、紙を折り曲げたパンフレットも含まれるものとする。フィーダー装置の上流側には、紙を折り曲げる折装置(不図示)が配置され、場合によっては、折装置によって折り曲げられた紙を冊子状に製本する製本装置(不図示)が配置されている。
【0042】
検査ユニット200は、ベルトコンベア110から供給された紙類の厚みを計測して、紙類の端部が折れ曲がっていることや、紙類に異物が付着していることや、紙類が脱落していること等の異常を検出するものである。検査ユニット200の詳細については、後で説明する。
【0043】
振り分けユニット300は、アクチュエータ320(図13示)を有していて、検査ユニット200にて紙類の異常が検出されると、アクチュエータ320が作動して、この異常が検出された紙類を回収箱310へ振り分ける装置である。なお、正常な紙類は、そのまま、下流の紙類貯留部に貯留される。
【0044】
以下に図2図12を用いて、検査ユニット200について説明する。図2に示すように、検査ユニット200は、搬送部250と一対の検査部290を備えている。搬送部250は、コンベアユニット100から供給された紙類を、上流から下流側に向かって順番に一定間隔をおいて搬送するものである。検査部290は、搬送部250の幅方向の両側に配置されている。
【0045】
図2図4に示すように、検査ユニット200は、一対の対抗配置された支持板201を備えている。支持板201は、上下方向と上下流方向とを含む平面と一致する方向に延在している。図4に示すように、一対の支持板201は、長手方向が幅方向と一致する方向に配置された棒状の複数の接続部材202、203によって接続されている。本実施形態では、上下流方向に隣接して配置された2つの接続部材202によって一対の支持板201の下端部を接続され、1つの接続部材203によって一対の支持板201の上端部が接続されている。上下流方向に隣接して配置された2つの接続部材202のそれぞれの両端部には、下方に延在する支持脚205が取り付けられている。
【0046】
一方側の支持板201には、モーター209が取り付けられている。図5に示すように、モーター209の回転軸には、ドライブプーリー210が取り付けられている。
【0047】
以下に、図4図6を用いて、搬送部250について説明する。図4図6に示すように、一対の支持板201の間には、幅方向に延在する第1軸211~第3軸213が取り付けられている。
【0048】
第1軸211は、支持板201の上下方向の中間部にブラケット217を介して回転可能に取り付けられている。図5に示すように、第1軸211のモーター209が配置されている側の端部には、ドリブンプーリー219が取り付けられている。ドライブプーリー210とドリブンプーリー219にはモータードライブベルト220が巻き掛けられている。ドライブプーリー210とドリブンプーリー219のモータードライブベルト220が巻き掛けられている部分の直径は同一となっているので、第1軸211はモーター209の回転数と同じ回転数で回転する。第1軸211のドリブンプーリー219が取り付けられている端部と反対側の端部には、第1プーリー221が取り付けられている。
【0049】
第1軸211の上方であって下流側の支持板201には、第2軸212がブラケット217を介して回転可能に取り付けられている。第2軸212の端部には、第2プーリー222が取り付けられている。
【0050】
第2軸212の上方であってやや下流側の支持板201には、第3軸213がブラケット217を介して回転可能に取り付けられている。第3軸213の端部には、第3プーリー223が取り付けられている。
【0051】
第1プーリー221の上方であってやや上流側の支持板201には、第4プーリー224が、スライドブラケット218を介して回転可能に取り付けられている。支持板201には、上下流方向を長手方向とする2つの長穴201aが形成されている。スライドブラケット218は板状であり、支持板201の裏面側(内側)に配置されている。支持板201には、それぞれ長穴201aに挿入された2つのボルト218aが取り付けられている。2つのボルト218aのそれぞれには、ナット216が締め付けられている。ナット216を緩めると、スライドブラケット218及び第4プーリー224が上下流方向移動可能となる。このような構造によって、第4プーリー224の上下流方向の位置は調整可能となっている。
【0052】
第4プーリー224の上方であってやや下流側の支持板201には第5プーリー225が回転可能に取り付けられている。第2プーリー222の下方であってやや上流側の支持板201には、第6プーリー226が回転可能に取り付けられている。
【0053】
第1プーリー221~第6プーリー226には、後述の両歯ベルト229が噛み合う歯が形成されている。第1プーリー221、第4プーリー224、第5プーリー225、第3プーリー223、第2プーリー222、第6プーリー226には、両歯ベルト229が巻き掛けられている。両歯ベルト229に表面と裏面の両側には、第1プーリー221~第6プーリー226と噛み合う歯が形成されている。
【0054】
第1プーリー221は、両歯ベルト229の裏面側の歯とか見合っている。第2プーリー222は、両歯ベルト229の表面側の歯と噛み合っている。第3プーリー223は、両歯ベルト229の裏面側の歯と噛み合っている。第4プーリー224は、両歯ベルト229の表面側の歯と噛み合っている。第5プーリー225は、両歯ベルト229の裏面側の歯と噛み合っている。第6プーリー226は、両歯ベルト229の裏面側の歯と噛み合っている。このように、第2プーリー222は両歯ベルト229の表面側の歯と噛み合っている一方で、第3プーリー223は両歯ベルト229の裏面側の歯と噛み合っているので、第3軸213は、第2軸212と反対方向に回転する。
【0055】
このような構造によって、モーター209が回転すると、第1軸211が回転するとともに、第2軸212が第1軸211と反対方向に回転し、第3軸213が第1軸211と同じ方向に回転する。
【0056】
図5に示すように、第2軸212の中間部には、軸方向に並んで、2つの下流下側プーリー231が取り付けられている。2つの下流下側プーリー231の間の第2軸212には、上下流方向を長手方向とする板状の下側支持部材232の下流側の端部が取り付けられている。図6に示すように、一対の支持板201の上流側の端部の間には幅方向を長手方向とする上流側支持軸233が配置され、この上流側支持軸233の両端部がそれぞれ一対の支持板201に取り付けられている。図5図7に示すように、上流側支持軸233の中間部には、上流側支持軸233から上方に延出する支持部材234が取り付けられている。支持部材234の上端部に、下側支持部材232の後部が載置されて支持されている。
【0057】
図4図6図7に示すように、下側支持部材232の上流側の端部の両側のそれぞれには、上流下側プーリー235が回転可能に取り付けられている。一対の下流下側プーリー231と一対の上流下側プーリー235の幅方向の位置は一致している。一対の下流下側プーリー231と一対の上流下側プーリー235のそれぞれには。下側搬送ベルト236が巻き掛けられている。
【0058】
図5に示すように、第3軸213の中間部には、軸方向に並んで、2つの下流上側プーリー241が取り付けられている。図7に示すように、2つの下流上側プーリー241の間の第3軸213には、上下流方向を長手方向とする板状の上側支持部材242の下流側の端部が回動可能に取り付けられている。上側支持部材242の上流側の端部の両側のそれぞれには、上流上側プーリー245が回転可能に取り付けられている。一対の下流上側プーリー241と一対の上流上側プーリー245の幅方向の位置は一致している。一対の下流上側プーリー241と一対の上流上側プーリー245のそれぞれには。上側搬送ベルト246が巻き掛けられている。
【0059】
図7に示すように、下流上側プーリー241は、下流下側プーリー231よりも下流側に配置されている。このように、下流上側プーリー241は、下流下側プーリー231よりも下流側に配置され、上下流方向にズレた位置に配置されているので、厚さが異なる紙類であっても、下流上側プーリー241及び下流下側プーリー231に接触し、且つ、下流上側プーリー241及び下流下側プーリー231の間を通過することができる。上流上側プーリー245は、上流下側プーリー235よりも下流側に配置されている。
【0060】
図4図5に示すように、接続部材203には、上流下側プーリー235と上流上側プーリー245との離間距離を調整するための、プーリー調整機構249が設けられている。プーリー調整機構249は、図7に示すように、支持部材247、調整ボルト248、被押圧部材239を有している。
【0061】
図7に示すように、支持部材247は、断面形状がL字型の部材であり、複数のボルト237(図5示)によって、一番上側の接続部材203の幅方向の中間部分に取り付けられている。図7に示すように、被押圧部材239は、断面形状がL字型の部材であり、複数のボルト238によって、上側支持部材242の先端に取り付けられている。支持部材247の折り曲げられた部分である第1部247aと、被押圧部材239の折り曲げられた部分である第2部239aは対向している。
【0062】
第1部247aには、調整ボルト248がねじ込まれている。調整ボルト248の先端は、第2部239aに当接している。調整ボルト248の第1部247aに対するねじ込み量を調整することによって、上側支持部材242の第3軸213を回動中心とする回動角度を調整することができる。これにより、紙類の厚みに応じて、上流上側プーリー245と上流下側プーリー235の離間距離を調整することができる。
【0063】
モーター209が回転すると、ドライブプーリー210、モータードライブベルト220、ドリブンプーリー219を介して、第1軸211にモーター209の駆動力が伝達されて、第1軸211が回転し、第1プーリー221が回転する。すると、両歯ベルト229が回転し、第2プーリー222及び第3プーリー223が回転し、下側搬送ベルト236及び上側搬送ベルト246が回転する。このようにして、コンベアユニット100から順次供給された紙類が、下側搬送ベルト236及び上側搬送ベルト246の間において、上流側から下流側に一定間隔をおいて搬送される。
【0064】
以下に、図2図8図12を用いて、検査部290について説明する。図2図6に示すように、一対の支持板201の下流側の端部の間には幅方向を長手方向とする下流側支持軸243が配置され、この下流側支持軸243の両端部がそれぞれ一対の支持板201に取り付けられている。図6に示すように、上流側支持軸233と下流側支持軸243は、上下方向に関して同じ位置に配置されている。
【0065】
図2図8に示すように、検査部290は、取付部材252、2つの摺動支持部材251を有している。取付部材252は、上下方向に縦長な部材である。取付部材252は、取付板252a、2つの側板252b、天板252cを有している。取付板252aは、上下方向に縦長な長方形板状である。側板252bは、上下方向に縦長な長方形板状であり、取付板252aの上下流方向の端部の辺にそれぞれ取り付けられ、取付板252aの延在方向と直行するように、取付板252aから幅方向の外側に延在している。天板252cは、取付板252a及び側板251bの上端部に取り付けられ、取付板252a及び側板251bの延在方向と直行する方向に延在し、取付板252aの延在方向と直行するように延在し、取付板252aの幅方向の外側に延在している。
【0066】
取付部材252の側板252bのそれぞれの下部には、上下流方向に並んで2つの摺動支持部材251が取り付けられている。摺動支持部材251には、幅方向に連通した連通穴251aが形成されている。2つの摺動支持部材251のそれぞれの連通穴251aには、上流側支持軸233と下流側支持軸243がそれぞれ挿通している。このような構成によって、一対の検査部290は、検査ユニット200に幅方向に移動可能に取り付けられている。なお、本実施形態では、摺動支持部材251は、ボールスプラインである。このため、一対の検査部290が幅方向にスムーズに摺動する。
【0067】
それぞれの摺動支持部材251には、ロック部材253が取り付けられている。図11に示すように、ロック部材253は、軸部材253a、レバー部253b、押圧部材253cとから構成されている。軸部材253aは、棒状であり、摺動支持部材251に形成されたネジ穴にねじ込まれている。軸部材253aは、上流側支持軸233と下流側支持軸243の延在方向と直行する方向に延在している。軸部材253aの先端には、押圧部材253cが軸部材253aに対して相対回転可能に取り付けられている。押圧部材253cには、上流側支持軸233や下流側支持軸243の外周面の形状に対応した形状であり、上流側支持軸233や下流側支持軸243の外周面と当接する押圧面253c1が形成されている。軸部材253aの基端には、レバー部253bが取り付けられている。レバー部253bを回動させることによって、押圧部材253cの押圧面253c1が上流側支持軸233や下流側支持軸243の外周面を押圧したり離間したりする。このような構造によって、作業者は、一対の検査部290を幅方向に関して、所望の位置に配置された後に、レバー部253bを回動させることにより、一対の検査部290を上記所望の位置において固定させることができる。
【0068】
図11に示すように、取付板252aの内側であって、上下方向の中間部には、下側ローラー296が回転可能に取り付けられている。下側ローラー296の上方の取付板252aには、上下方向に摺動可能に移動部270が取り付けられている。以下に、移動部270について詳細に説明する。
【0069】
移動部270は、一対のシャフト271、上板272、下板273、一対の支持板274、上側ローラー279、第1調整ボルト292(図12示)、ナット294(図12示)を有している。
【0070】
一対のシャフト271は、その軸線方向を上下方向と一致させて、上下流方向に間隔をあけて配置されている。一対のシャフト271の上端は、上板272によって接続されている。一対のシャフト271の下端は、下板273によって接続されている。取付板252aの内側の上部には、上下流方向に間隔をおいて、一対の摺動支持部材297が取り付けられている。一対のシャフト271のそれぞれは、一対の摺動支持部材297によってそれぞれ上下方向に摺動可能に支持されている。本実施形態では、摺動支持部材297はリニアガイドである。このような構成によって、移動部270は、取付板252aに上下方向移動可能に取り付けられている。
【0071】
下板273の下面には、幅方向に間隔をおいて、一対の支持板274が取り付けられている。上側ローラー279は、一対の支持板274の間に配置され、一対の支持板274に回転可能に取り付けられている。上側ローラー279は、下側ローラー296の上方において、下側ローラー296と対向配置されている。上側ローラー279は、下側ローラー296に接触又は離間可能となっている。
【0072】
取付板252aの内側の上部には、板状の支持部材278が取り付けられている。支持部材278の上面には、外周面にネジ山が形成されたシャフト277が取り付けられている。シャフト277の軸線方向は、上下方向と一致している。上板272には、挿通穴272aが形成されている。この挿通穴272aにシャフト277が挿通し、シャフト277は上板272の上面から上方に突出している。上板272の上面から上方に突出している部分のシャフト277の外周側には、付勢部材276が圧縮されて状態で配置され、シャフト277の上端には、ナット275がねじ込まれている。付勢部材276は、本実施形態では、コイルスプリングである。ナット275には、外周面からネジ穴に連通する割溝275a(図8示)が形成されている。ナット275には、割溝275aを横断するネジ穴(不図示)が形成され、このネジ穴に締め付けボルト275b(図8図10示)がねじ込まれている。このような構造によって、ナット275がシャフト277から緩まないようになっている。
【0073】
上記したような構成によって、移動部270は付勢部材276によって下方に付勢されており、上側ローラー279もまた下方に付勢されて下側ローラー296を押し付けている。ナット275のシャフト277へのねじ込み量を調整することによって、付勢部材276の付勢量を調整することができるようになっている。
【0074】
取付板252aの下板273の上方には、位置検出部280が取り付けられている。位置検出部280は、下板273の上下方向の位置を検出して、移動部270の上下方向の位置を検出するものである。本実施形態では、位置検出部280は、光電式の距離センサーであり、投光部280aと受光部280bを有している。位置検出部280は、投光部280aから投光され、下板273の上面で反射された光を、受光部280bで受光することにより、位置検出部280からの下板273の距離を検出して、移動部270の取付板252aに対する上下方向の位置を検出する。つまり、位置検出部280は、上側ローラー279の上下方向の位置を検出して、上側ローラー279と下側ローラー296の間を通過する紙類の厚さを検出する。
【0075】
上側ローラー279は、回転駆動される。以下に、主に図9を用いて、モーター209の駆動力を上側ローラー279に伝達する駆動力伝達部260について説明する。駆動力伝達部260は、ドライブギヤ254、ドリブンギヤ255、プーリーギヤ支持部材256(図8図11示)、支持部材257(図8図11示)、第1回転プーリー261~第6回転プーリー266、回転ベルト269、テンショナー267とから構成されている。以下に、詳細に説明する。
【0076】
図8に示すように、プーリーギヤ支持部材256は縦長な板状であり、取付板252aの内側の面の下部から離間して配置され、取付板252aの内側の面に取り付けられた支持部材257によって支持されている。プーリーギヤ支持部材256は、下側ローラー296を回転可能に支持している。下側ローラー296は、取付板252aと取付板252aの間に配置されている。
【0077】
ドリブンギヤ255は、取付板252aの内側の下部とプーリーギヤ支持部材256の間に配置され、取付板252aの内側の下部とプーリーギヤ支持部材256に回転可能に支持されている。
【0078】
プーリーギヤ支持部材256の下端部には、板状の第1ギヤ取付部材258がプーリーギヤ支持部材256の下端部から下方に突出するように取り付けられている。第1ギヤ取付部材258には、連通穴258aが連通形成されている。図9図10に示すように、取付板252aの外側の面の下端部には、板状の第2ギヤ取付部材259が、取付板252aの外側の面の下端部から下方に突出するように取り付けられている。第2ギヤ取付部材259には、連通穴259aが連通形成されている。連通穴258a、259aに第1軸211が挿通している。
【0079】
ドライブギヤ254は、第1ギヤ取付部材258と第2ギヤ取付部材259の間に配置されて、第1ギヤ取付部材258と第2ギヤ取付部材259に回転可能に取り付けられている。第1軸211の外周面には、スプライン溝が形成されている。第1軸211には、ドライブギヤ254が第1軸211の軸線方向に移動可能に、第1軸211に対して回転不納に取り付けられている。ドライブギヤ254は、ドリブンギヤ255と噛み合っている。このような構成によって、検査部290が幅方向に移動したとして、第1軸211の回転力がドライブギヤ254に伝達され、ドリブンギヤ255に伝達されるようになっている。
【0080】
図9に示すように、取付板252aの外側には、ドリブンギヤ255と同軸に配置され、ドリブンギヤ255と回転連結された第1回転プーリー261が取り付けられている。取付板252aの外側の第1回転プーリー261の上方であって下流側には、第2回転プーリー262が回転可能に取り付けられている。取付板252aの外側の第2回転プーリー262の上方であって、第1回転プーリー261の上流側には、第3回転プーリー263が回転可能に取り付けられている。
【0081】
支持板274には、上側ローラー279と同軸に配置され、上側ローラー279と回転連結された第4回転プーリー264が回転可能に取り付けられている。第4回転プーリー264は、第3回転プーリー263の上方であって、上下流方向に関して、第2回転プーリー262と第3回転プーリー263の間に配置されている。裏面側の支持板274には、第4回転プーリー264の回転数、即ち、上側ローラー279の回転数を検出する回転検知部268が取り付けられている。本実施形態では、回転検知部268は、ロータリーエンコーダである。回転検知部268は、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296との間を通過する際に、図14に示すように、紙類の端部からの距離を検出するものである。
【0082】
取付板252aの外側の第4回転プーリー264の上方であって第4回転プーリー264の下流側には、第5回転プーリー265が回転可能に取り付けられている。取付板252aの外側の第4回転プーリー264の上方であって第4回転プーリー264上流側には、第6回転プーリー266が回転可能に取り付けられている。なお、第5回転プーリー265と第6回転プーリー266の上へ方向の位置は同じとなっている。
【0083】
第1回転プーリー261~第6回転プーリー266には、回転ベルト269が巻き掛けられている。取付板252aの外側の第2回転プーリー262の上流側には、テンショナー267が取り付けられている。テンショナー267は、アーム部267a、テンションプーリー267b、スプリング267cとから構成されている。
【0084】
アーム部267aは、第1アーム部267a1と第2アーム部267a2とから構成されている。第2アーム部267a2は、第1アーム部267a1よりも短く、第1アーム部267a1の基端部に接続して、第1アーム部267a1の延在方向と略直交する方向に延在している。アーム部267aは、第1アーム部267a1と第2アーム部267a2との接続部分で、取付板262aの第1回転プーリー261の上方であって上流側に回動可能に取り付けられている。
【0085】
テンションプーリー267bは、第1アーム部267a1の先端に取り付けられている。第2アーム部267a2の先端には、スプリング267cの一端が取り付けられている。スプリング267cの他端は、第2アーム部267a2の先端の上方側の取付板252aに固定されている。スプリング267cは、アーム部267aを反時計方向、つまり、テンションプーリー267bが回転ベルト269に押し付ける方向に付勢している。スプリング267cは、本実施形態では、コイルスプリングである。このような構成によって、テンションプーリー267bが回転ベルト269を外側から第2回転プーリー262側に押圧している。このため、第4回転プーリー264が上下方向に移動したとしても、回転ベルト269が弛まずにテンションを維持できるようになっている。このような構成によって、モーター209が駆動されると、上側ローラー279が回転駆動される。
【0086】
図11に示すように、取付板252aの上側ローラー279及び下側ローラー296の上流側には、紙類の上側ローラー279及び下側ローラー296への侵入を検出する上流側センサー281(281a、281b)が設けられている。取付板252aの上側ローラー279及び下側ローラー296の下流側には、上側ローラー279及び下側ローラー296から排出された紙類を検出する下流側センサー282(282a、282b)が設けられている。上流側センサー281及び下流側センサー282は、本実施形態では、光電センサーである。上流側センサー281と下流側センサー282は、上側ローラー279の上方に取り付けられた発光部281a、282aと、下側ローラー296の下方に取り付けられた受光部281b、282bとから構成されている。なお、発光部281a、282aと、受光部281b、282bの上限関係は逆であってもよい。
【0087】
図12を用いて、検査する紙類の厚さに応じて移動部270の上下方向の位置を調整する高さ調整部299について説明する。なお、図12においては、高さ調整部299、移動部270及び移動部270に取り付けられている部材のみを表し、他の部材は省いている。高さ調整部299は、一対のサイドフレーム298、キャリパーフレーム227、キャリパーレバー228、第1リンクアーム283、第2リンクアーム284、第1スライダー285、第2スライダー286、ピン287、第1ポスト288、第2ポスト289、付勢部材291、第1調整ボルト292、第2調整ボルト293、ナット294、ナット295を有している。
【0088】
一対のサイドフレーム298は、長方形板状の部材であり、天板252cの上面に上下流方向に間隔をあけて、天板252cから上方に突出するように取り付けられている。キャリパーフレーム227は、長方形板状の部材であり、その両端部が一対のサイドフレーム298の上端部を接続するように、一対のサイドフレーム298の上端部に取り付けられている。キャリパーフレーム227の延在方向は、水平方向と一致している。キャリパーフレーム227は、一対のサイドフレーム298の上端部から、外側方向に突出している。
【0089】
第1リンクアーム283は、板状の部材であり、一対のサイドフレーム298の間に配置され、その中間部が一対のサイドフレーム298の中間部に回動可能に取り付けられている。
【0090】
キャリパーレバー228は、板状の部材であり、一対のサイドフレーム298の間であって、第1リンクアーム283の上側に配置されている。キャリパーレバー228の幅方向の途中部分から内側の端部にかけての延在方向は、水平方向と一致している。キャリパーレバー228の幅方向の途中部分から外側の端部にかけて、幅方向の外側位置に位置するに従って下側に位置するように折れ曲がっている。キャリパーレバー228の基部には、連通穴279aが連通形成されている。この連通穴279aに、キャリパーフレーム227に取り付けられ、キャリパーフレーム227の下面から下方に突出するピン287が挿通している。このような構造によって、キャリパーレバー228は、一対のサイドフレーム298の間において、上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0091】
第2スライダー286は、ブロック形状であり、第1リンクアーム283の外側の端部に回動可能に取り付けられている。第2スライダー286の上面は、キャリパーレバー228の下面に当接している。
【0092】
第2リンクアーム284は、板状の部材であり、一対のサイドフレーム298の間であって第1リンクアーム283の下方に隣接して配置され、その外側の端部が一対のサイドフレーム298に回動可能に取り付けられている。
【0093】
第1スライダー285は、ブロック状であり、第1リンクアーム283の内側の端部及び第2スライダー286の内側の端部にピン支持されている。第2リンクアーム284は、第1リンクアーム283と平行の配置されている。そして、第2リンクアーム284は、第1リンクアーム283が回動したとしても、第1リンクアーム283と常に平行となるように回動する。このような構造によって、第1リンクアーム283がいかなる回動角であったとしても、第2スライダー286の上面は水平面と一致するようになっていて、第2スライダー286が傾くことが無い。
【0094】
第1リンクアーム283の回動軸から第1スライダー285の回動軸までの距離と、第1リンクアーム283の回動軸から第2スライダー286の回動軸までの距離とは同一となっている。
【0095】
天板252cの内側の端部には、内側に突出する第1ポスト288が取り付けられている。第1リンクアーム283の内側の端部には、内側に突出する第2ポスト289が取り付けられている。付勢部材291の両端は、第1ポスト288と第2ポスト289に接続している。付勢部材291は、第1リンクアーム283を図12において反時計回りに付勢し、第2スライダー286が持ち上がる方向に第1リンクアーム283を付勢している。これにより、キャリパーレバー228が、キャリパーフレーム227に近接する方向に付勢されている。付勢部材291は、本実施形態では、コイルスプリングである。
【0096】
上板272の第1スライダー285の上方に対応する位置には、ネジ穴272bが形成されている。このネジ穴272bに、第1調整ボルト292がねじ込まれている。第1調整ボルト292の軸線方向は、上下方向と一致している。本実施形態では、第1調整ボルト292は、頭部を有さない全ネジボルトであり、緩み止めのナット294がねじ込まれている。第1調整ボルト292の下端は、第1スライダー285の上面に当接している。
【0097】
天板252cの第1スライダー285の下方に対応する位置には、ネジ穴252c1が形成されている。このネジ穴252c1に、第2調整ボルト293がねじ込まれている。第2調整ボルト293の軸線方向は上下方向と一致している。本実施形態では、第2調整ボルト293は、頭部を有さない全ネジボルトであり、緩み止めのナット295がねじ込まれている。第2調整ボルト293の上端は、第1スライダー285の下面に当接している。第2調整ボルト293をねじ込むと、第2調整ボルト293が第1スライダー285を上方に押し上げ、第1調整ボルト292を介して、上板272が上方に移動する。これにより、移動部270が上方に移動し、上側ローラー279が上方に移動する。
【0098】
上側ローラー279と下側ローラー296が接触していると、上側ローラー279と下側ローラー296が摩耗する。そこで、第2調整ボルト293のねじ込み量を調整することによって、上側ローラー279の外周面を下側ローラー296の外周面から僅かに離間させる。
【0099】
検査する紙類を、キャリパーレバー228とキャリパーフレーム227の間に挟み込む。すると、第1リンクアーム283が回動して、第1スライダー285が持ち上がり、第1調整ボルト292を介して、上板272が上方に移動する。これにより、移動部270が上方に移動し、上側ローラー279が上方に移動する。
【0100】
上述したように、第1リンクアーム283の回動軸から第1スライダー285の回動軸までの距離と、第1リンクアーム283の回動軸から第2スライダー286の回動軸までの距離とは同一となっている。このため、紙類の厚さ分だけ、移動部270が持ち上がり、上側ローラー279が上方に持ち上がる。紙類の異常を検査する際には、検査する紙類をキャリパーレバー228とキャリパーフレーム227の間に挟み込んだ状態にする。正常な紙類が、上側ローラー279と下側ローラー296の間を通過する際には、上側ローラー279が僅かに(例えば、0.1mm)持ち上がることが好ましい。そこで、上側ローラー279の外周面と下側ローラー296の外周面とが最も近接する離間寸法が、紙類の厚さよりも僅かに(例えば、0.1mm)小さい離間寸法となるように、第1調整ボルト292のねじ込量を調整することによって、調整する。
【0101】
以下に、図13を用いて、紙類検査装置1000のブロック図について説明する。紙類検査装置1000は、制御部40を備えている。制御部40は、紙類検査装置1000の統括制御を行うものである。制御部40は、回転検知部268、位置検出部280、上流側センサー281、下流側センサー282、モーター209、アクチュエータ320と接続している。制御部40は、CPU41、RAM42、記憶装置43を有している。CPU41は、演算処理等を実行する演算処理装置として機能し、記憶装置43に記憶された各種プログラムを実行することにより各種機能を実現している。RAM42は、CPU41のワークエリアとして使用される。記憶装置43は、フラッシュメモリーやROM、EEPROM等の記憶装置であり、CPU41にて実行される各種プログラムやマッピングデータ等が記憶されている。
【0102】
記憶装置43には、初期位置設定プログラム43a、紙類厚さ情報記憶プログラム43b、異常判断プログラム43c、異常紙類振り分けプログラム43dが記憶されている。記憶装置43には、紙類厚さ情報記憶部43eを有していている。
【0103】
初期位置設定プログラム43aは、紙類が上側ローラー279及び下側ローラー296の間を通過していない時の、上側ローラー279の上下方向の位置を0.000mmに設定(以下ゼロセットという)するプログラムである。紙類検査装置1000の稼働や外来ノイズによって、位置検出部280によって検出された上側ローラー279の上下方向の位置がズレていくことが有る。初期位置設定プログラム43aは、(1)一定時間(例えば30分)ごと、(2)紙類検査装置1000の運転開始時、(3)紙類検査装置1000の起動時に、ゼロセットを行う。なお、(1)一定時間ごとにゼロセットする際には、上流側センサー281(281a、281b)及び下流側センサー282(282a、282b)からの検出信号に基づいて、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間を通過していないタイミングで行う。
【0104】
紙類厚さ情報記憶プログラム43bは、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間を通過する際の回転検知部268及び位置検出部280からの検出信号に基づいて、図14に示すような、紙類の端部からの距離と紙類の厚さとの関係を表した紙類厚さ情報を、紙類厚さ情報記憶部43eに記憶させる。なお、図14において、(A)は正常な紙類の紙類厚さ情報であり、(B)から(D)はいずれも、異常な紙類の厚さ情報である。
【0105】
異常判断プログラム43cは、紙類厚さ情報記憶部43eに記憶された紙類厚さ情報に基づいて、紙類の異常、つまり、冊子の欠落、紙類の折れや異物の混入、或いは、冊子を構成する紙の枚数が多い等を検出するプログラムである。
【0106】
異常判断プログラム43cは、紙類厚さ情報の両端部の情報を除外する。異常判断プログラム43cは、紙類の厚さの変化量が除外既定値以上である場合に、紙類の両端部であるとして、この部分の紙類厚さ情報を除外する。或いは、異常判断プログラム43cは、紙類の端部からの距離に基づいて、紙類の両端部の紙類厚さ情報を除外する。このように、紙類の両端部の紙類厚さ情報の両端部の情報を除外するのは、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間に侵入する際や、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間から排出される際には、紙類の厚さが急激に変化するために、正常な紙類であっても、異常と検出されるのを防止するためである。
【0107】
次に、異常判断プログラム43cは、上記紙類の両端部が除外された紙類厚さ情報に基づいて、紙類の異常を検出する。具体的には、図14の(B)に示すように、紙類の厚さが、厚さ上限既定値を超えている場合や、紙類の厚さの変化量が既定値以上である場合には、紙類が折れていとか、紙類に異物が混入しているとして、紙類が異常であると判断する。或いは、図14の(C)に示すように、紙類厚さ情報の平均値が規定平均値以下である場合には、紙類が欠落しているとして、紙類の異常を検知する。また、図14の(D)に示すように、紙類厚さ情報の平均値が規定平均値異常である場合には、紙類のページの枚数が多いとして、紙類の異常を検知する。
【0108】
異常紙類振り分けプログラム43dは、アクチュエータ320を駆動させて、異常判断プログラム43cによって異常と判断した紙類を回収箱310(図1示)に振り分ける。
【0109】
(紙類検査装置の効果)
紙類検査装置1000は、検査部290、搬送部250、異常判断プログラム43cを有する。
検査部290は、取付部材252と、取付部材252に回転可能に取り付けられた下側ローラー296と、取付部材252に上下方向に移動可能に取り付けられた移動部270と、移動部270に回転可能に取り付けられ、下側ローラー296の上方において下側ローラー296と対向配置された上側ローラー279と、移動部270の取付部材252に対する上下方向の位置を検出する位置検出部280を備えている。
搬送部250は、紙類を下側ローラー296と上側ローラー279の間に上流側から下流側に通過させる。
異常判断プログラム43cは、紙類が下側ローラー296と上側ローラー279との間を通過した際の位置検出部280からの検出信号に基づいて、紙類の異常を検出する。
【0110】
これによれば、折れや異物の混入が有る紙類が下側ローラー296と上側ローラー279との間を通過すると、位置検出部280からの検出信号が、正常な紙類と異なる値となることから、紙類の異常を検出することができる。このため、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置1000を提供することができる。
【0111】
また、紙類検査装置1000は、駆動力を発生するモーター209と、上側ローラー279にモーター209の駆動力を伝達する駆動力伝達部260を更に有する。
【0112】
これによれば、上側ローラー279が駆動されているので、上側ローラー279が駆動されていない場合と比較して、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間に侵入する際に上側ローラー279が上方に持ち上がることが抑制される。このため、上側ローラー279が上方に持ち上がることによる正常な紙類が異常と判断される誤検知を抑制することができる。
【0113】
また、駆動力伝達部260は、モーター209の駆動力が伝達される第1回転プーリー261と、第1回転プーリー261の上方であって第1回転プーリー261の下流側に配置された第2回転プーリー262と、第2回転プーリー262の上方であって第2回転プーリー262の上流側に配置された第3回転プーリー263と、第3回転プーリー263の上方であって第3回転プーリー263の下流側に配置され、上側ローラー279に回転連結された第4回転プーリー264と、第4回転プーリー264の上方であって、上下流方向に並んで配置された第5回転プーリー265及び第6回転プーリー266と、第1回転プーリー261~第6回転プーリー266に巻き掛けられた回転ベルト269を有する。
【0114】
これによれば、上下方向に移動する上側ローラー279に、モーター209の駆動力を確実に伝達させることができる。
【0115】
また、駆動力伝達部260は、回転ベルト269を外側から押圧するテンショナー267を更に有する。
【0116】
これによれば、上側ローラー279の上下方向の移動に伴って、第4回転プーリー264が上下方向に移動したとしても、回転ベルト269が弛まずに、回転ベルト269のテンションを維持できる。
【0117】
また、移動部270は、付勢部材276によって下方に付勢されている。
【0118】
これによれば、移動部270に取り付けられた上側ローラー279が下方に付勢されているので、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間を通過する際に、上下方向に移動可能な上側ローラー279が紙類に押し付けられて追従する。このため、紙類の厚さを正確に検知することができ、ひいては、より精度高く紙類の異常を検知することができる。
【0119】
上側ローラー279の直径は、下側ローラー296の直径よりも、大きく設定されている。
【0120】
これによれば、上側ローラー279と下側ローラー296の設置のスペースが限られているなか、上側ローラー279の直径を可能な限り大きくすることにより、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間に侵入する際に、紙類と上側ローラー279の角度を低減することができる。このため、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296の間に侵入する際に上側ローラー279が上方に持ち上がることが抑制される。このため、紙類の折れを精度高く検出することができる。
【0121】
また、搬送部250は、回転する下側搬送ベルト236と、下側搬送ベルト236の上方に対向配置された回転する上側搬送ベルト246を有する。そして、搬送部250は、紙類を、下側搬送ベルト236と上側搬送ベルト246の間で搬送するように構成されている。
【0122】
これによれば、紙類を下側搬送ベルト236と上側搬送ベルト246で挟んで上流側から下流側に搬送するので、安定して紙類を搬送することができ、ひいては、安定して紙類の折れを検出することができる。
【0123】
また、検査部290は、下側搬送ベルト236及び上側搬送ベルト246の両側方に配置されている。
【0124】
これによれば、紙類の折れが発生しやすい紙類の幅方向の両端部を検査部290で検査することができ、より確実に紙類の折れを検出することができる。
【0125】
また、検査部290は、紙類が搬送される方向と直交する幅方向に移動可能に設けられている。
【0126】
これによれば、幅が異なる紙類であっても、紙類の幅方向の両端部を検査部290で検査することができる。
【0127】
また、下側搬送ベルト236は、回転可能に設けられた下流下側プーリー231と、下流下側プーリー231の紙類の搬送方向の上流側に回転可能に設けられた上流下側プーリー235に巻き掛けられている。そして、上側搬送ベルト246は、下流上側プーリー241と、下流上側プーリー241の紙類の搬送方向の上流側に配置された上流上側プーリー245に巻き掛けられている。そして、下流上側プーリー241及び上流上側プーリー245は、上側支持部材242によって回転可能に取り付けられている。そして、上側支持部材242は、下流上側プーリー241の回転中心と同一の回動中心で、回動可能に設けられている。
【0128】
これによれば、厚さが異なる紙類であっても、上側支持部材242が回動することによって、上流上側プーリー245と上流下側プーリー235の離間距離が調整され、紙類が上流上側プーリー245と上流下側プーリー235の間に侵入して、紙類が下側搬送ベルト236と上側搬送ベルト246によって搬送される。このため、厚さが異なる紙類であっても、紙類の異常を検出することができる紙類検査装置1000を提供することができる。
【0129】
また、搬送部250は、上側支持部材242の回動角度を調整するプーリー調整機構249を更に有する。
【0130】
これによれば、プーリー調整機構249によって、上側支持部材242の回動角度を調整することにより、紙類の厚さに応じて、上流下側プーリー235と上流上側プーリー245との離間距離を調整することができる。このため、厚さが異なる紙類により対応できる紙類検査装置1000を提供することができる。
【0131】
また、検査部290は、移動部270の上下方向の位置を調整する高さ調整部299を更に有する。
【0132】
これによれば、仕様により厚さが異なる紙類であっても、高さ調整部299によって、移動部270の上下方向の位置を調整することにより、下側ローラー296の外周面からの上側ローラー279の外周面の離間寸法を調整することにより、適切に紙類の異常を検出することができる。
【0133】
また、高さ調整部299は、取付部材252の天板252cに間隔をあけて取り付けられた一対のサイドフレーム298と、サイドフレーム298の上端部を接続するように取り付けられた板状のキャリパーフレーム227と、一対のサイドフレーム298の間に配置されて、一対のサイドフレーム298に回動可能に取り付けられ、その一端部が移動部270の上板272と接触している第1リンクアーム283を有する。そして、高さ調整部299は、紙類を第1リンクアーム283とキャリパーフレーム227との間に差し込むと、第1リンクアーム283が回動して、移動部270が上方に移動するように構成されている。
【0134】
これによれば、紙類を第1リンクアーム283とキャリパーフレーム227との間に差し込むだけで、移動部270が上方に移動し、これに伴って、上側ローラー279もまた上側に移動する。このため、仕様によって厚さの異なる紙類の折れを検査する場合であっても、下側ローラー296の外周面からの上側ローラー279の外周面の離間寸法が適切に調整され、適切に紙類の異常を検出することができる。
【0135】
また、高さ調整部299は、一対のサイドフレーム298の間であって、第1リンクアーム283とキャリパーフレーム227との間に上下方向に移動可能に設けられた板状のキャリパーレバー228と、一対のサイドフレーム298の間であって、第1リンクアーム283の下方に、一対のサイドフレーム298に回動可能に且つ第1リンクアーム283と平行に設けられた第2リンクアーム284と、ブロック状であり、第1リンクアーム283及び第2リンクアーム284の基端にピン支持された第1スライダー285と、ブロック状であり、第1リンクアーム283の先端に回動可能に取り付けられ、上面がキャリパーレバー228の下面と面接触している第2スライダー286を更に有している。そして、第1スライダー285は、取付部材252及び移動部270に当接している。そして、紙類の折れを検査する際には、紙類をキャリパーレバー228とキャリパーフレーム227の間に差し込む。
【0136】
これによれば、紙類の検査時に、紙類の下面が直接第1リンクアーム283と接触するのでは無く、紙類の下面が板状のキャリパーレバー228と面接触するので、精度高く紙類の厚さ分だけ、移動部270を上方に移動させることができる。また、キャリパーレバー228の下面が第1リンクアーム283の先端と直接接触するのでは無く、キャリパーレバー228の下面が第2スライダー286を介して面接触しているので、精度高く紙類の厚さ分だけ、移動部270を上方に移動させることができる。更に、第2リンクアーム284は、第1リンクアーム283と平行に設けられているので、第1リンクアーム283の回動角度によらずに、第1リンクアーム283及び第2リンクアーム284にピン支持されている第1スライダー285は、傾かない。このように、取付部材252及び移動部270に当接している第1スライダー285が傾かないために、精度高く紙類の厚さ分だけ、移動部270を上方に移動させることができる。
【0137】
第1スライダー285の上面は、移動部270の上板272にねじ込まれ軸線方向が上下方向と一致する第1調整ボルト292を介して移動部270の上板272と当接していることを特徴とする。
【0138】
これによれば、第1調整ボルト292の移動部270の上板272へのねじ込み量を調整することにより、移動部270の上下方向の位置を変更することができ、上側ローラー279の上下方向の位置を変更することができる。このため、紙類の折れの検出時における、上側ローラー279の下側ローラー296に対する離間距離を折れの検出に最適な離間距離に設定することができる。この結果、より精度高く紙類の異常を検出することができる。
【0139】
第1スライダー285の下面は、取付部材252の天板252cにねじ込まれ軸線方向が上下方向と一致する第2調整ボルト293を介して取付部材252の天板252cと当接している。
【0140】
これによれば、第2調整ボルト293の取付部材252の天板252cへのねじ込み量を調整することにより、移動部270の上下方向の位置を変更することができ、上側ローラー279の上下方向の位置を変更することができる。このため、第2調整ボルト293の取付部材252の天板252cへのねじ込み量を調整することにより、上側ローラー279の下側ローラー296に対する離間距離を調整することができる。この結果、紙類が上側ローラー279と下側ローラー296との間を通過していない時に、上側ローラー279を下側ローラー296よりも僅かに離間させることができ、上側ローラー279が下側ローラー296に接触することによる上側ローラー279と下側ローラー296の摩耗を抑制することができる。
【0141】
(他の実施形態)
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う紙類検査装置1000もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0142】
以上説明した実施形態では、摺動支持部材251や摺動支持部材297は、ボールスプラインである。摺動支持部材251や摺動支持部材297は、オイルレスブッシュ等の軸に対して摺動可能に取り付けられる部材であっても良い。
【0143】
以上説明した実施形態では、駆動力伝達部260は、モーター209の駆動力を上側ローラー279に伝達している。駆動力伝達部260が、モーター209の駆動力を下側ローラー296に伝達する実施形態であってもよい。或いは、駆動力伝達部260が、モーター209の駆動力を上側ローラー279及び下側ローラー296の両方に伝達する実施形態であってもよい。
【0144】
以上説明した実施形態では、位置検出部280は光学式のセンサーであるが、位置検出部280が機械式のセンサーであってもよい。本実施形態では、位置検出部280として、光学式のセンサーを用いているので、応答性が良く、上側ローラー279の上下方向の位置を応答良く検出することができ、より精度高く紙類の異常を検出することができる。
【符号の説明】
【0145】
43c 異常判断プログラム(異常判断部)
227 キャリパーフレーム
228 キャリパーレバー
231 下流下側プーリー
235 上流下側プーリー
241 下流上側プーリー
245 上流上側プーリー
242 上側支持部材
236 下側搬送ベルト
246 上側搬送ベルト
249 プーリー調整機構
250 搬送部
252 取付部材
261 下側ローラー
270 移動部
276 付勢部材
279 上側ローラー
280 位置検出部
209 モーター
261 第1回転プーリー
262 第2回転プーリー
263 第3回転プーリー
264 第4回転プーリー
265 第5回転プーリー
266 第6回転プーリー
267 テンショナー
269 回転ベルト
260 駆動力伝達部
283 第1リンクアーム
284 第2リンクアーム
285 第1スライダー
286 第2スライダー
290 検査部
292 第1調整ボルト
293 第2調整ボルト
296 下側ローラー
298 サイドフレーム
299 高さ調整部
1000 紙類検査装置
【要約】
【課題】 紙類の折れや異物の混入等の異常を検査することができる紙類検査装置を提供する。
【解決手段】紙類検査装置100は、取付部材252aと、取付部材252aに回転可能に取り付けられた下側ローラー296と、取付部材252aに上下方向に移動可能に取り付けられた移動部270と、移動部270に回転可能に取り付けられ、下側ローラー296の上方において下側ローラー296と対向配置された上側ローラー279と、を備えた検査部290と、紙類を下側ローラー296と上側ローラー279の間に上流側から下流側に通過させる搬送部250と、移動部270の取付部材252aに対する上下方向の位置を検出する位置検出部280と、紙類が下側ローラー296と上側ローラー279との間を通過した際の位置検出部280からの検出信号によって、紙類の異常を検出する異常判断部43cと、を有する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
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図14