(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A01G9/14 N
(21)【出願番号】P 2019017616
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2022-01-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】▲吉▼川 康史
【審判官】▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実公昭58-13127(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3015118(JP,U)
【文献】特開平9-294484(JP,A)
【文献】特開2002-171843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14-9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアーチパイプにより形成されるトンネル状のハウス骨組に防虫ネット又は防風ネットが被覆され、その防虫ネット又は防風ネットの上にシートが被覆され、前記被覆シートの下端を上げ下げしてビニルハウス内の環境を保全する前記被覆シートを上から押さえるハウスバンドの位置決め固定具であって、
前記位置決め固定具は、線径が2mm程度の
1本の弾性線材を折曲
することで、水平な前後の水平折曲部と、中央で垂直に起立する垂直折曲部
とに
全体形状が形成され、前記前後の水平折曲部は、前記ハウス骨組の棟部に設けられた棟部シート止め材の止着溝に押し入れ固定自在で、前記中央の垂直折曲部は、その中空内部に1本の幅広のハウスバンドが挿通可能な幅広のバンド挿通部として形成されて
いること、及び、
前記防虫ネット又は防風ネットと被覆シート
とが、それぞれ異なる波形シート止め材によって押し入れて止着
された状態の前記棟部シート止め材の止着溝に
、前記
前後の水平折曲部が
押し入れて固定されると共に、前記被覆シートの上から押さえるハウスバンドが前記
中央の垂直折曲部のバンド挿通部に挿通され
ることで、前記波形シート止め材とは別に設けた前記位置決め固定具によって、前記ハウスバンドが位置決め固定されることを特徴とする、ハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具。
【請求項2】
複数のアーチパイプにより形成されるトンネル状のハウス骨組にシートが被覆され、前記被覆シートの下端を上げ下げしてビニルハウス内の環境を保全する前記被覆シートを上から押えるハウスバンドの位置決め固定具であって、
前記位置決め固定具は、線径が2mm程度の
1本の弾性線材を折曲
することで、水平な前後の水平折曲部と、中央で垂直に起立する垂直折曲部
とに
全体形状が形成され、前記前後の水平折曲部は、前記ハウス骨組の棟部に設けられた棟部シート止め材の止着溝に押し入れ固定自在で、前記中央の垂直折曲部は、その中空内部に1本の幅広のハウスバンドが挿通可能な幅広のバンド挿通部として形成されて
いること、及び、
前記被覆シート
が波形シート止め材によって押し入れて止着
された状態の前記棟部シート止め材の止着溝に
、前記
前後の水平折曲部が
押し入れて固定されると共に、前記被覆シートの上から押さえるハウスバンドが前記
中央の垂直折曲部のバンド挿通部に挿通され
ることで、前記波形シート止め材とは別に設けた前記位置決め固定具によって、前記ハウスバンドが位置決め固定されることを特徴とする、ハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具。
【請求項3】
前記バンド挿通部を形成する垂直折曲部は、下方に開口するコ字状や山形状又は湾曲状に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具。
【請求項4】
前記バンド挿通部の幅寸が、60~70mm程度であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載したハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具。
【請求項5】
前記被覆シートの上から押さえるハウスバンド毎に、バンド挿通部に挿通される当該位置決め固定具が棟部シート止め材を介して複数押し入れ固定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載したハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハウス骨組に被覆するシートや防虫ネット又は防風ネット(以下単に「防虫ネット」と略す場合がある。)の上に被覆するシートの上に被覆するシートを押さえるハウスバンドの位置決め固定具に関し、さらに言えば、特に台風時にハウス内環境を保全するべく、防虫ネットは被覆状態のままの一方、フルオープンする被覆シートを押さえるハウスバンドが、風にあおられて揺動するのを防いで固定するハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
図8に示したようなビニルハウスに被覆されるシートには、ハウスバンドが架け渡され、パタつきを抑えつつ、被覆シートをシート巻き取り装置9により巻き上げたり下げたりして、ハウス内の作物の環境を保全している。
特に、高温多湿な沖縄では、ハウス骨組にまず防虫ネットを被覆し、その上にプラスチックフィルムシート(以下、単にシートともいう。)を被覆して実施される。このように、防虫ネットを被覆するのは、台風が襲来した際にハウス内の作物を守るためである。また、シートを張りっぱなりだとハウス内が高温になるため、防虫ネットを張設したままの状態で、シートを上げ下げして温度調節するためである。
すなわち、張りっぱなしの防虫ネットの上に通常のシートを被せ、そのシートを上げ下げしてハウス内の環境を保ち、前記シートの上にハウスバンドを掛けてシートと防虫ネットのパタつきを防いでいる。そして、台風時には、ハウスバンドを緩めてシートを上まで巻き上げたフルオープン状態にするが、その際、前記ハウスバンドが風にあおられて左右に振られ、シート上で位置がズレるので、ハウスバンドを元に戻すには、人がビニールハウスの上に登って手作業で定位置にしている。
【0003】
なお、例えば下記特許文献1の請求項1には、弾性線材を屈曲形成してなり、温室の被覆材であるプラスチックフィルムの適宜部位を固定する止め材の対向する2つの側面に当接し得るように配設される、該プラスチックフィルムの外面に掛け回されるハウスバンドの留め具であって、前記止め材の少なくとも一方の側面に対し、複数の線部が当接し得るように屈曲形成されたバンド係留部を有し、該複数の線部にハウスバンドの一部を掛けて該一方の側面に押し付けて係留可能であることを特徴とする温室用ハウスバンドの留め具が記載されている。
また、特許文献2の請求項1には、農業ハウスに展張した農業用フィルムを押さえるためのハウスバンドであって、幅が50mm以上であり、長尺方向の引張破断強度が1200kg/cm2 以上の、少なくとも長尺方向に延伸処理が施された多層構造を有するポリオレフィン系延伸フィルムからなる農業ハウス用ハウスバンドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-289881号公報
【文献】特開2000-166397公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように従来は、台風に備えてフルオープンにした被覆シート上で、ハウスバンドが風にあおられ左右に振られて揺動し、特に妻面に近いハウスバンドがズレてビニルハウスの妻面側に外れて抜け落ちたりし、ハウスバンドのズレを可及的に防止できない。修復時に、人が高いビニルハウスの上に登って当該ハウスバンドを定位置に戻す作業は大変煩わしく危険である。
また、特許文献1に記載の温室用ハウスバンドの留め具は、細いハウスバンドの一部を複数の線部に掛けて係留する構成なので、特許文献2のような幅が50mm以上のハウスバンドを挿通することは不可能である。適用される細いハウスバンドが強風でズレた際に、被覆シートを傷付ける虞れもある。しかも、ビニルハウスの棟部で当該ハウスバンドを位置決め固定する構成でもない。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決すべくなされたもので、台風対策等で上げ下げしてハウス内環境を保全する被覆シートを押さえる幅広のハウスバンドが、簡便な構造ながらハウス棟部でしっかりと位置決め固定され、経済性、施工性に優れたハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明のハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具は、複数のアーチパイプ1により形成されるトンネル状のハウス骨組10に防虫ネット2又は防風ネットが被覆され、その防虫ネット2又は防風ネットの上にシート3が被覆され、前記被覆シート3の下端30を上げ下げしてビニルハウスB内の環境を保全する前記被覆シート3を上から押さえるハウスバンド8の位置決め固定具Aであって、
前記位置決め固定具Aは、線径が2mm程度の1本の弾性線材5を折曲することで、水平な前後の水平折曲部6、6’と、中央で垂直に起立する垂直折曲部7とに全体形状が形成され、前記前後の水平折曲部6、6’は、前記ハウス骨組10の棟部11に設けられた棟部シート止め材4の止着溝40に押し入れ固定自在で、前記中央の垂直折曲部7は、その中空内部に1本の幅広のハウスバンド8が挿通可能な幅広のバンド挿通部70として形成されていること、及び、
前記防虫ネット2又は防風ネットと被覆シート3とが、それぞれ異なる波形シート止め材Dによって押し入れて止着された状態の前記棟部シート止め材4の止着溝40に、前記前後の水平折曲部6、6’が押し入れて固定されると共に、前記被覆シート3の上から押さえるハウスバンド8が前記中央の垂直折曲部7のバンド挿通部70に挿通されることで、前記波形シート止め材Dとは別に設けた前記位置決め固定具Aによって、前記ハウスバンド8が位置決め固定されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明のハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具は、複数のアーチパイプ1により形成されるトンネル状のハウス骨組10にシート3が被覆され、前記被覆シート3の下端30を上げ下げしてビニルハウスB内の環境を保全する前記被覆シート3を上から押えるハウスバンド8の位置決め固定具であって、
前記位置決め固定具Aは、線径が2mm程度の1本の弾性線材5を折曲することで、水平な前後の水平折曲部6、6’と、中央で垂直に起立する垂直折曲部7とに全体形状が形成され、前記前後の水平折曲部6、6’は、前記ハウス骨組10の棟部11に設けられた棟部シート止め材4の止着溝40に押し入れ固定自在で、前記中央の垂直折曲部7は、その中空内部に1本の幅広のハウスバンド8が挿通可能な幅広のバンド挿通部70として形成されていること、及び、
前記被覆シート3が波形シート止め材Dによって押し入れて止着された状態の前記棟部シート止め材4の止着溝40に、前記前後の水平折曲部6、6’が押し入れて固定されると共に、前記被覆シート3の上から押さえるハウスバンド8が前記中央の垂直折曲部7のバンド挿通部70に挿通されることで、前記波形シート止め材Dとは別に設けた前記位置決め固定具Aによって、前記ハウスバンド8が位置決め固定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載したハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具における前記バンド挿通部70を形成する垂直折曲部7が、下方に開口するコ字状や山形状又は湾曲状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載したハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具におけるバンド挿通部の幅寸Wが、60~70mm程度であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載したハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具における前記被覆シート3の上から押さえるハウスバンド8毎に、バンド挿通部70に挿通される当該位置決め固定具Aが、棟部シート止め材4を介して複数押し入れ固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具は、簡便構造ながら所定幅寸のバンド挿通部である垂直折曲部が、棟部シート止め材でシート等と共に固定されるので、上げ下げしてハウス内環境を保全する被覆シートを押さえる幅広のハウスバンドがハウス棟部で確実に位置決め固定される。ハウスバンドが固定されるので、経年使用でハウスバンドの揺動による被覆シートの損傷も防止され、補修や交換を行わずに長期間の使用に耐えて製造コストも低減される経済性、施工性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のハウスバンドの位置決め固定具が棟部シート止め材に防虫ネットとシートと共に押し込まれた状態を示した斜視図である。
【
図2】ハウスバンドの位置決め固定具の使用状況を一部省略して示したビニルハウスの全体斜視図である。
【
図3】ハウスバンドの位置決め固定具の使用状況を示した拡大図(
図2の丸枠部分)である。
【
図4】ハウスバンドの位置決め固定具を示した斜視図である。
【
図5】
図4のハウスバンドの位置決め固定具を示した正面図である。
【
図8】被覆シートのオープン過程のビニルハウスを簡略して示した全体斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施形態のハウス内環境の保全シート用ハウスバンドの位置決め固定具について、以下に図面にしたがって説明する。
この位置決め固定具Aは、
図2に示したような棟方向に間隔をあけて並列するように配置した複数のほぼ同大・同形のアーチパイプ1等によって形成されるトンネル状のハウス骨組10に、まず防虫ネット2(又は防風ネット、以下同じ。)を被覆して張設され、その防虫ネット2の上にシート3が被覆されて成るビニルハウスBに実施される。被覆シート3としては、例えばポリオレフィンシート、塩化ビニルシート又はプラスチックフィルムシートが好適に用いられる。
すなわち、前記被覆シート3(下端30)は
図8に示したように、シート巻き取り装置9によって上げたり下げたりしてビニルハウスB内の環境を保全するが、当該被覆シート3を上から押さえるハウスバンド8の位置を決めて固定するものである。とりわけ、本位置決め固定具Aは、台風時に前記防虫ネット2はそのままの張設状態を維持する一方、その上の被覆シート3を全開(フルオープン)するが、ハウスバンド8は前記被覆シート3を上から押さえ、同シート3と防虫ネット2のパタつきを防止するために使用される。
【0015】
ビニルハウスBの頂部をなす棟部11には、
図2と
図8に示したように、棟部シート止め材4が設けられており、この棟部シート止め材4に、当該ハウスバンドの位置決め固定具Aが押し入れ固定自在に構成されている。
棟部シート止め材4は、
図1に示したように、横断面が蟻溝形状で、その内部の止着溝40は、底面部の両側に立ち上がる両溝壁を漸次内方へ傾斜させて開口部が幅狭となるようにして形成されている。下記の弾性線材5による位置決め固定具Aの最大幅(28mm程度)が、当該止着溝40の底面部の幅寸(31mm程度)よりも若干小さく形成されている。同
図1中の符号41は、この棟部シート止め材4の両溝壁の天端部に形成した内向きのカール部を示している。
【0016】
図4~
図7に示した位置決め固定具Aは、線径が2mm程度のステンレス製の弾性線材5を折曲して、全体形状が水平な前後の水平折曲部6、6’と、中央で垂直に起立する垂直折曲部7に形成されている。
前記の前後の水平折曲部6、6’は、中央の垂直折曲部7を挟んで相互に対称的な山形状に形成して水平に配置されている。その長手方向の長さは75mm程度で、短手方向(幅方向)の最大幅は28mm程度である。この山形状(台形状)の水平折曲部6、6’の各前後(内外)をなす端部60は、幅方向に若干湾曲した湾曲部に形成されている。よって、前記ハウス骨組10の棟部11に設けられた棟部シート止め材4の止着溝40に押し入れ固定自在に構成されている(
図1、
図2)。なお、この水平折曲部6、6’は、図示例の山形状のほか、例えば、半円弧状等により形成して実施することも可能である。棟部シート止め材4の止着溝40に突っ張って押し入れ固定できる形状・大きさであればよい。
【0017】
前記した中央の垂直折曲部7は、前記山形状の水平折曲部6、6’の各内側の端部60、60に連続して、中央位置で下方に開口するコ字状を形成して垂直状に起立し(高さは48mm程度)、その中空内部がバンド挿通部70として形成されている。
図6に示した当該バンド挿通部の幅寸Wは、ハウスバンド8が挿通可能な幅寸として、60~70mm程度が好ましいが、本実施例の場合64mm程度である。なお、このバンド挿通部70を形成する垂直折曲部7は、図示例のような下方に開口するコ字状のほか、山形状又は湾曲状等に形成して実施することも可能である(図示は省略)。要するに、その中空内部のバンド挿通部70に、ハウスバンド8が挿通するに十分な幅寸と高さのある空間があればその形状・大きさは特に限定されない。
【0018】
上記位置決め固定具Aのバンド挿通部70に挿通されるハウスバンド8は、合成樹脂製で幅寸が45~60mm程度の幅広の長尺物に形成されている。並列配置した2つのアーチパイプ1、1の間(又はアーチパイプ1と妻面の間)に、アーチパイプ1と平行になるように1.2~2m程度おきの間隔で架け渡し、ビニルハウスBの両側面の下部でロックされている。すなわち、
図2に示したように、ハウスバンド8の一方の端部は、減速機Cに接続されたハウス下端の一方の下方パイプ12に接続され、同ハウスバンド8の他方の端部は、減速機Cに接続されていない他方のハウス下端の下方パイプ12に接続されている。
【0019】
そして、台風時等で被覆シート3を上方に巻き上げる際、その巻き上げ操作の抵抗とならないようにハウスバンド8のロックを解除ができる構造となっている。すなわち、被覆シート3の巻き上げ時には、前記減速機Cにより下方パイプへのロックを解除する。そして、
図8に示したように、シート巻き取り装置9により被覆シート3を巻き上げる。被覆シート3の巻き上げが終ったらロックする。一方、被覆シート3を元の状態に下す際は、前記ハウスバンド8のロック状態を解除し、前記シート巻き取り装置9により被覆シート3を下ろし、下ろしきったところでハウスバンド8を再びロックする。
【0020】
したがって、ビニルハウスBの前記棟部シート止め材4の止着溝40に、防虫ネット2を波形シート止め材Dによって押し入れて止着する。次に、被覆シート3を前記棟部シート止め材4の止着溝40に異なる波形シート止め材Dによって押し入れて止着する。そして、前記位置決め固定具Aの水平折曲部6、6’を棟部シート止め材4の止着溝40に、前記波形シート止め材D、Dの上に重なるように押し入れて固定する(
図1)。しかる後、前記被覆シート3の上から押さえるハウスバンド8を、この位置決め固定具Aのバンド挿通部70に挿通し(
図3参照)、両下端部を下方パイプ12、12に固定する。かくして、ハウスバンド8は、風にあおられてズレることなく、バンド挿通部70内と下方パイプ12、12でしっかりと位置決め固定される(
図2)。
【0021】
上記に説明した実施例は、防虫ネット2をまず最初に被覆し、その上にシート3を被覆する場合の適用例であるが、防虫ネット2を被覆しないでシート3だけをビニルハウスBに張設して実施することも好適に行われる(図示と説明は省略)。
なお、以上、実施例を図面に基づいて説明したが、ハウスバンド8の幅寸は10mm程度のものであっても適応可能であることは勿論、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0022】
A 位置決め固定具
B ビニルハウス
W 幅寸
1 アーチパイプ
10 ハウス骨組
11 棟部
12 下方パイプ
2 防虫ネット
3 被覆シート
30 下端
4 棟部シート止め材
40 止着溝
5 弾性線材
6、6’水平折曲部
7 垂直折曲部(バンド挿通部)
70 バンド挿通部
8 ハウスバンド
9 シート巻き取り装置