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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】穀物乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F26B17/14 C
F26B17/14 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020104915
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021196147
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 雅也
(72)【発明者】
【氏名】大類 良和
(72)【発明者】
【氏名】奥山 量徳
(72)【発明者】
【氏名】武田 俊広
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020691(JP,A)
【文献】特開2005-009691(JP,A)
【文献】特開昭52-117764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された通気性を有する隔壁によって構成され、穀物が流下する穀物流下路と、
前記穀物流下路の一側に設けられ乾燥風生成手段に連通された送風路と、
前記穀物流下路の他側に設けられ吸引送風手段に連通された排風路と、
回転することにより前記穀物流下路の下端を開閉すると共に、前記穀物流下路内の前記穀物を循環流動させる回転シャッタ部材と、
前記送風路内において前記回転シャッタ部材の上部に取り外し可能に固定され、塵埃の舞い上がりを抑制し、通気性を有する多孔板で構成されたカバー部材と、
を含む穀物乾燥装置。
【請求項2】
前記送風路を形成する風胴板と、
前記送風路内において送風方向に複数配設され、前記風胴板に固設される支持板と、
前記カバー部材に設けられ、前記支持板に固定される固定部と、
を含む請求項1に記載の穀物乾燥装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記回転シャッタ部材側に窪む凹面と、前記回転シャッタ部材とは反対側に突出する凸面とを有し、前記風胴板と離間して配設されている請求項2に記載の穀物乾燥装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記回転シャッタ部材のうち、少なくとも前記送風路の外気が導入される送風口側を含む上部に配置される請求項1~何れか1項に記載の穀物乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を乾燥する穀物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の穀物乾燥装置においては、穀物に熱を加えるバーナと遠赤外線放射体、穀物の水分を装置本体外へ排出する送風機、及び穀物を循環させるためのシャッタドラムを搭載した装置が多い。例えば図10に示されるように、上記のような穀物乾燥装置100においては、乾燥運転中、シャッタドラム130が回転して穀物を循環させる際に、穀物から発生する芒及び粃等の軽量な塵埃Dが送風機の風によって舞い上がってしまう場合がある。舞い上がった塵埃Dは、風胴板118内、すなわち送風路120に少量ずつ堆積し、この堆積物(塵埃D)が送風路120の孔を塞いでしまう場合がある。そのため、塵埃Dが堆積しないように、ユーザは、重量物である遠赤外線放射体152を取り出して、送風路120内部をこまめに清掃する必要があり労力を要していた。
【0003】
そこで、特許文献1には、ユーザが装置本体外に設けられた操作部を操作することにより、操作部に連結された除去部によって、遠赤外線放射体を取り出すことなく、送風路120内部の堆積物を除去可能な穀物乾燥装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-25639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の穀物乾燥装置においては、堆積物を除去するためにユーザが操作部を操作しなければならないため、ユーザは堆積物を除去するための労力を要していた。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、堆積物を除去するために要するユーザの労力を軽減することができる穀物乾燥装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥装置は、対向して配置された通気性を有する隔壁によって構成され、穀物が流下する穀物流下路と、前記穀物流下路の一側に設けられ乾燥風生成手段に連通された送風路と、前記穀物流下路の他側に設けられ吸引送風手段に連通された排風路と、回転することにより前記穀物流下路の下端を開閉すると共に、前記穀物流下路内の前記穀物を循環流動させる回転シャッタ部材と、前記送風路内において前記回転シャッタ部材の上部に取り外し可能に固定され、塵埃の舞い上がりを抑制し、通気性を有する多孔板で構成されたカバー部材と、を含む。
【0008】
請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、送風路内において回転シャッタ部材の上部に取り外し可能に固定され、塵埃の舞い上がりを抑制するカバー部材を備えている。そのため、カバー部材により塵埃の舞い上がりが抑制されるので、送風路内部に塵埃等が堆積するのを低減することができる。これにより、堆積物を除去するために要するユーザの労力を軽減することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る穀物乾燥装置は、上記請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥装置において、前記送風路を形成する風胴板と、前記送風路内において送風方向に複数配設され、前記風胴板に固設される支持板と、前記カバー部材に設けられ、前記支持板に固定される固定部と、を含む。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、風胴板に固設された支持板にカバー部材に設けられた固定部が取り付けられる。そのため、固定部によってカバー部材を支持板に確実に取り付けることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明に係る穀物乾燥装置は、上記請求項2に記載の発明に係る穀物乾燥装置において、前記カバー部材が、前記回転シャッタ部材側に窪む凹面と、前記回転シャッタ部材とは反対側に突出する凸面とを有し、前記風胴板と離間して配設されている。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、カバー部材が回転シャッタ部材側に窪む凹面を有している。そのため、カバー部材が回転シャッタ部材に対して屋根の役割を果たすので、回転シャッタ部材の回転による塵埃の舞い上がり、及び、送風路内への塵埃の堆積を軽減することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明に係る穀物乾燥装置は、上記請求項1~3の何れか1項に記載の発明に係る穀物乾燥装置において、前記カバー部材が、前記回転シャッタ部材のうち、少なくとも前記送風路の外気が導入される送風口側を含む上部に配置される。
【0014】
請求項に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、カバー部材が、回転シャッタ部材のうち、少なくとも送風路の外気が導入される送風口側を含む上部に配置される。そのため、少なくとも送風路内で一番風速が早くなる送風口側がカバー部材によって覆われるので、回転シャッタ部材全体をカバー部材で覆う場合と比較して、カバー部材に要するコストを低減しつつ、塵埃の舞い上がり、及び、送風路内への塵埃の堆積を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、カバー部材により塵埃の舞い上がりが抑制されるので、送風路内部に塵埃等が堆積するのを低減することができる。これにより、堆積物を除去するために要するユーザの労力を軽減することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、固定部によってカバー部材を支持板に確実に取り付けることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、カバー部材が回転シャッタ部材に対して屋根の役割を果たすので、回転シャッタ部材の回転による塵埃の舞い上がり、及び、送風路内への塵埃の堆積を軽減することができる。
【0018】
請求項に記載の発明に係る穀物乾燥装置によれば、少なくとも送風路内で一番風速が早くなる送風口側がカバー部材によって覆われるので、回転シャッタ部材全体をカバー部材で覆う場合と比較して、カバー部材に要するコストを低減しつつ、塵埃の舞い上がり、及び、送風路内への塵埃の堆積を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置の外観斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置を右方から見た一部斜め断面図を含む側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置を前方から見た断面図(図2の3-3線断面図)である。
図4】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置を上方から見た断面図(図2の4-4線断面図)である。
図5】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置の下部の一部分解斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置の下部の主要部分解斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置の下部の主要部取付分解斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置の下部の主要部取付斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置の導風路内の正面図である。
図10】従来の穀物乾燥装置の下部の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態に係る穀物乾燥装置10について、図面を用いて説明する。第1実施形態に係る穀物乾燥装置10は、遠赤外線穀物乾燥装置を一例として採用し、以下説明する。図1は穀物乾燥装置10の外観斜視図、図2は穀物乾燥装置10を右方から見た一部斜め断面図を含む側面図、図3は穀物乾燥装置10を前方から見た断面図(図2の3-3線断面図)、図4は穀物乾燥装置10を上方から見た断面図(図2の4-4線断面図)である。なお、各図においては、穀物乾燥装置10の前方を矢印FR、右方を矢印RH、上方を矢印UPでそれぞれ示す。
【0021】
本実施形態の穀物乾燥装置10は、図1に示されるように、装置本体としての機体12を備えており、機体12は上下に高く前後に長い直方体箱状にされている。機体12内の上側部分は、図2及び図3に示されるように、貯留室としての穀槽14にされており、穀槽14内には、穀物K(例えば籾、麦及び大豆等)が貯留(収容)される。
【0022】
機体12内の下部には、一対の排風路隔壁16が設けられており、各排風路隔壁16は、通気性を有している。各排風路隔壁16は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されると共に、機体12の各側面板から左右方向中央へ向けて下方に傾斜しており、一対の排風路隔壁16は、漏斗状にされている。
【0023】
一対の排風路隔壁16の左右方向内側には、略菱形筒状の風胴板18が設けられており、風胴板18は、通気性を有している。風胴板18は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されると共に、風胴板18の下側部分は、対向する各排風路隔壁16に平行にされており、風胴板18内は、送風路20にされている。機体12の前面板には、図3及び図4に示されるように、矩形状の外気入口22が形成されており、外気入口22は、送風路20に連通している。
【0024】
風胴板18内、すなわち送風路20においては、逆台形板状の支持板18Aが複数架け渡されており(図6参照)、複数の支持板18Aは、それぞれ前後方向に垂直にされると共に、前後方向に等間隔に配置されている。
【0025】
図3に示されるように、風胴板18の上側部分と各排風路隔壁16の上部との間には、略菱形筒状の導風路隔壁24が設けられており、各導風路隔壁24は、通気性を有している。各導風路隔壁24は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されており、各導風路隔壁24内は、導風路26にされている。各導風路隔壁24の下側部分は、対向する各排風路隔壁16と平行に配設されると共に、対向する風胴板18と平行に配設されている。
【0026】
風胴板18の左方及び右方において、風胴板18と導風路隔壁24との間、導風路隔壁24と排風路隔壁16との間、及び、風胴板18と排風路隔壁16との間は、それぞれ穀物Kが流下する穀物流下路28にされている。各穀物流下路28には、穀槽14内に貯留された穀物Kが流下される。
【0027】
左方及び右方に位置する一対の穀物流下路28の下端間には、風胴板18の下端の直下において、回転シャッタ部材としての円筒状のシャッタドラム30が設けられている。シャッタドラム30は、各穀物流下路28の下端を略閉塞すると共に、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されて軸回りに回転可能にされている。シャッタドラム30の外周には、図2及び図3に示されるように、シャッタドラム30の軸方向に長尺状に形成された一対の矩形状のスリット30Aが設けられている。
【0028】
一対の矩形状のスリット30Aのうち一方のスリット30Aは、シャッタドラム30外周の前側に配置されており、他方のスリット30Aは、シャッタドラム30外周の後側かつ一方のスリット30Aの周方向反対側に配置されている。ここで、シャッタドラム30が回転してスリット30Aが穀物流下路28の下端に対面することで、穀物流下路28内の穀物Kがスリット30Aを経てシャッタドラム30内に流入する。そして更にシャッタドラム30が回転してスリット30Aが下向きとなることで、シャッタドラム30内に流入した穀物Kが下方へ排出される。
【0029】
各排風路隔壁16の下方には、図3に示されるように、張込流し板32が設けられており、張込流し板32は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されている。張込流し板32は、機体12の側面板から左右方向中央へ向けて下方に傾斜されており、一対の張込流し板32は、漏斗状にされている。また、機体12の側面板及び張込流し板32と排風路隔壁16との間は、排風路34にされている。
【0030】
機体12の右側面板下部には、張込ホッパ36が開閉可能に設けられており、張込ホッパ36が開放されることで、機体12内へ穀物Kを張り込み(供給)可能とされている。また、シャッタドラム30から排出された穀物K又は張込ホッパ36から張り込まれた穀物Kは、一対の張込流し板32の下端間に流下される。
【0031】
各張込流し板32の下端間には、穀物搬送用の下スクリューコンベヤ38が配設されている。下スクリューコンベヤ38は、機体12の前後方向に渡って配設されており、螺旋羽根の間に入り込む穀物Kを前方へ搬送する。
【0032】
機体12の前方には、右側において、搬送手段を構成する昇降機40が立設されており、昇降機40の上部は、機体12の上面板よりも上方へ突出している。昇降機40内には、図2及び図3に示されるように、無端ベルト40Aが配置されており、無端ベルト40Aには、バケット40Bが一定間隔で取り付けられている。昇降機40内の下端は、下スクリューコンベヤ38に連結されており、下スクリューコンベヤ38から排出されて昇降機40内の下端に堆積した穀物Kが、無端ベルト40Aの回転によりバケット40Bによって昇降機40内の上端まで持上げ搬送される。
【0033】
昇降機40の上端部には上スクリューコンベヤ42の前端が連結されており、上スクリューコンベヤ42は持上げ搬送された穀物Kを受け取り後方に搬送する。上スクリューコンベヤ42の後端は、機体12の長手方向中央部まで延設されており、この上スクリューコンベヤ42後端の下方には、円盤状の均分機44が回転可能に設けられている。上スクリューコンベヤ42の後端に搬送された穀物Kが、回転される均分機44の上面に流下することで、遠心力によって穀槽14内へ均等に放散分配される。
【0034】
上スクリューコンベヤ42の前端下方には、穀物排出口46が設けられており、乾燥処理後の穀物Kを機体12外へ取り出せるようになっている。
【0035】
機体12の前面下部には、昇降機40の左側において、略矩形筒状の火炉ケース48が設けられており、火炉ケース48内は、上記外気入口22に連通されている。火炉ケース48の前側は、略矩形板状の火炉カバー50によって被覆されており、火炉カバー50は、火炉ケース48から取り外し可能にされている。火炉カバー50には、スリット状の外気導入口50Aが複数形成されており、火炉ケース48内は、外気導入口50Aを介して機体12外に連通されている。
【0036】
上記風胴板18内(送風路20)には、遠赤外線を放射する放射管としての遠赤外線放射体52が配置されている。遠赤外線放射体52は、図2及び図4に示されるように、円管状に形成されると共に、全体としてU字形に曲げられている。遠赤外線放射体52は、上側部分及び下側部分が前後方向に延伸されると共に、上側端及び下側端が外気入口22側に配置されている。遠赤外線放射体52は、下側部分が上側部分に対し拡径されており、遠赤外線放射体52の下側端には、挿入筒52Aが縮径されて形成されている。
【0037】
遠赤外線放射体52の下側には、断面逆V字形長尺板状の上レール54が一対固定されており、一対の上レール54は、それぞれ前後方向に延伸されると共に、左右方向に並べられている。
【0038】
図5は穀物乾燥装置10の下部の一部分解斜視図、図6は穀物乾燥装置10の下部の主要部分解斜視図、図7は穀物乾燥装置10の下部の主要部取付分解斜視図、図8は穀物乾燥装置10の下部の主要部取付斜視図である。風胴板18内(送風路20)の下部には、図5に示されるように、遠赤外線放射体52を支持する支持台としての炉体台56と、カバー部材としての三角板60とが設けられている。炉体台56は、断面逆V字形長尺板状の一対の下レール56Aを有し、一対の下レール56Aは、風胴板18の前端から後端近傍において前後方向に沿って平行に延設されている。一対の下レール56Aは、遠赤外線放射体52の長手方向に沿って平行に延設され、上端面が上記一対の上レール54の下端面に当接することにより、遠赤外線放射体52を支持している。
【0039】
また、炉体台56は、一対の下レール56Aの長手方向に間隔をあけて設けられ、一対の下レール56Aの下端部を支持する矩形状の下支持板56Bを3枚備えている。3枚の下支持板56Bのうち2枚の下支持板56Bはそれぞれ一対の下レール56Aの前端及び後端において前後方向に垂直に配設されている。また、残りの1枚の下支持板56Bは一対の下レール56Aの前後方向の中央部において前後方向に垂直に配設されている。
【0040】
三角板60は、通気性を有する矩形状の多孔板を三角形状に折り曲げることにより形成されている。すなわち、三角板60は、上方に突出する凸面60Aと、下方(シャッタドラム30側)に窪む凹面60Bとを有する。
【0041】
三角板60は、図6に示されるように、前端及び後端に、固定部61を有している。固定部61は、図7に示されるように、三角板60の頂点を挟む両辺からそれぞれ略直角に延設された四角形の板材で形成されている。固定部61は、上端が一直線状に位置するように形成されており、固定部61には各々ボルトBが挿通する孔61Aが形成されている。
【0042】
下支持板56Bは、風胴板18内の支持板18Aに部分的に重合された状態で固定されており、一対の下レール56Aは、下支持板56B及び支持板18Aを介して風胴板18に支持されている。上レール54は、下レール56A上に載置されており、これにより、遠赤外線放射体52が風胴板18内(送風路20)に配置されている。支持板18Aは、図6に示されるように、シャッタドラム30の軸と同軸の円弧状に形成された下端部18Bを有している。また、上端部の両側には、ボルトBが挿通する孔18Cが形成されている。
【0043】
三角板60は、固定部61によって下支持板56Bに取り付けられているので、風胴板18内すなわち送風路20に配置される。具体的には、三角板60が、図6及び図7に示されるように、前方に配置された2枚の下支持板56Bの間に、上方から取り付けられる。三角板60は、支持板18A及び固定部61の孔18C,61AにボルトBを挿通させ、挿通したボルトBにナットNを締結することにより、図8に示されるように、支持板18Aに固定される。
【0044】
図4に示されるように、遠赤外線放射体52の下側端には、乾燥風生成手段としてのバーナ62が固定されており、バーナ62は、先端側の燃焼筒が遠赤外線放射体52の挿入筒52Aに挿入されると共に、火炉ケース48内に配置されている。
【0045】
遠赤外線放射体52の上側端は、排気口64にされて、上記外気入口22の近傍において外気入口22に対向されており、バーナ62によって発生した熱風(加熱された空気流)は、遠赤外線放射体52を加熱しながら、排気口64から送風路20内に放出される。さらに、遠赤外線放射体52が当該熱風によって加熱されることで、遠赤外線放射体52から遠赤外線が放射されて、送風路20内の空気が加熱される。
【0046】
機体12の後面下部には、直方体箱状の送風機取付台66が設けられており、送風機取付台66内は、上記各排風路34に連通されている。送風機取付台66の後面には、吸引送風手段としての送風機68の前端が取り付けられており、送風機68の後端には、可撓性を有する排風ダクト70の一端が取り付けられている。
【0047】
これにより、送風機68が駆動されることで、常温の外気(常温風)が、火炉カバー50の外気導入口50Aから火炉ケース48内及び外気入口22を経て送風路20内に吸引流入される。吸引流入された外気は、さらに、風胴板18、穀物流下路28、排風路隔壁16、排風路34及び送風機取付台66内を経て送風機68内に吸引送風され、かつ、排風ダクト70を経て排風される。また、穀物流下路28の上部を送風される外気は、導風路隔壁24及び導風路26を通過する。
【0048】
さらに、遠赤外線放射体52の排気口64から送風路20内に放出された熱風及び遠赤外線放射体52から放射された遠赤外線によって加熱された送風路20内の外気が混合されて、乾燥風が生成されることで、乾燥風が穀物流下路28を通過する。
【0049】
機体12の前面下部には、火炉ケース48の直上において、制御手段としての操作盤72(制御装置)が設けられており、操作盤72は、穀物乾燥装置10の各駆動部に接続されている。操作盤72には、張込運転スイッチ、乾燥運転スイッチ及び排出運転スイッチ等の各種の操作スイッチ(図示省略)が設けられており、操作盤72の各種の操作スイッチが操作されることで、穀物乾燥装置10が操作盤72によって制御される。
【0050】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
【0051】
第1実施形態の構成の穀物乾燥装置10では、操作盤72の張込運転スイッチを操作すると、下スクリューコンベヤ38、昇降機40、上スクリューコンベヤ42及び均分機44が駆動されて、張込運転が開始される。その後、張込ホッパ36を開放して、刈り取ってきた穀物Kを機体12内へ張り込む。機体12内へ張込まれた穀物Kは、張込流し板32によって下スクリューコンベヤ38に案内され、下スクリューコンベヤ38から昇降機40、上スクリューコンベヤ42及び均分機44を経て、穀槽14内及び各穀物流下路28へ搬送される(貯留される)。
【0052】
張込運転が終了した後に、操作盤72の乾燥運転スイッチを運転操作すると、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ38、昇降機40、上スクリューコンベヤ42、均分機44及び送風機68が駆動される。また、バーナ62が点火されて、乾燥運転が開始される。
【0053】
乾燥運転では、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ38、昇降機40、上スクリューコンベヤ42及び均分機44が駆動される。これにより、穀槽14内に貯留された穀物Kが、穀物流下路28、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ38、昇降機40、上スクリューコンベヤ42及び均分機44を経て穀槽14に戻され、穀物乾燥装置10内を循環される。
【0054】
さらに、機体12外の常温の外気が、送風機68の駆動により、火炉カバー50の外気導入口50Aから火炉ケース48内に吸引導入される。そして、吸引導入された外気は、機体12前面板の外気入口22を介して風胴板18内(送風路20)に吸引導入される。また、バーナ62によって発生された熱風が遠赤外線放射体52の排気口64から送風路20に放出されると共に、遠赤外線放射体52が当該熱風によって加熱され遠赤外線を放射するため送風路20内の外気が加熱される。
【0055】
これにより、送風路20内において乾燥風が生成され、この乾燥風が風胴板18を介して穀物流下路28へ吸引送風されて穀物流下路28内の穀物Kの水分を吸収することで、穀物Kが乾燥される。穀物Kの水分を吸収した後の乾燥風は、排風路隔壁16、排風路34及び送風機取付台66内を経て(通過して)送風機68に吸引送風され、さらに、排風ダクト70を経て排風される。
【0056】
乾燥運転が終了した後に、操作盤72の排出運転スイッチを運転操作すると、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ38、昇降機40、上スクリューコンベヤ42及び均分機44が駆動されて、排出運転が開始される。さらに、上スクリューコンベヤ42の前端部が穀物排出口46に連通されることで、穀物Kが穀物排出口46を経て穀物乾燥装置10から排出される。
【0057】
ところで、穀物乾燥装置10の乾燥運転時には、穀物Kから異物(芒及び粃等の塵埃)が発生する(脱落される)。穀物流下路28から排風路隔壁16を通過した異物は、排風路34及び送風機取付台66内を介して送風機68に吸引されて排風ダクト70を介して排出されるか、又は、排風路34を介して張込流し板32上に付着する。
【0058】
張込流し板32上に付着した異物は、例えば下スクリューコンベヤ38を囲む壁を下側及び右側に開放することで、容易に除去及び排出可能にされている。
【0059】
一方、穀物流下路28から風胴板18を通過した異物は、送風路20を介してシャッタドラム30の周面に落下して穀物Kと共にシャッタドラム30内、下スクリューコンベヤ38、昇降機40、上スクリューコンベヤ42及び均分機44を介して穀槽14に戻される。すなわち、シャッタドラム30が回転して穀物Kを循環させる際に、異物が送風機68の風によって舞い上がってしまう。穀物乾燥装置10のような送風路20の前方の送風口から外気が導入される内熱風式の乾燥装置においては、一般的に、図4の白抜きの矢印で示される風胴板18の内側から外側に流れる風の力は、前側に行けば行くほど速く強い。そのため、舞い上がった異物は、風の力によって風胴板18の下端部前側の通気孔に突き刺さって堆積してしまう。従って、ユーザは、異物が堆積しないように、遠赤外線放射体52を取り出して、送風路20内部をこまめに清掃する必要がある。
【0060】
しかしながら、遠赤外線放射体52の重量が大きい場合には、ユーザは機体12の前側に遠赤外線放射体52を引き出すために大きな労力を要していた。
【0061】
ここで、本実施形態の穀物乾燥装置10は、送風路20内においてシャッタドラム30の上部に配置され、異物(芒及び粃等の塵埃)の舞い上がりを抑制する三角板60を備えている。そのため、三角板60により異物の舞い上がりが抑制されるので、送風路20内部に異物が堆積するのを低減することができる。これにより、堆積物を除去するために要するユーザの労力を軽減することができる。
【0062】
また、送風路20内部に異物が堆積するのを低減することにより、異物が送風路20の孔(風胴板18の通気孔)を塞ぐのを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態の穀物乾燥装置10は、三角板60がシャッタドラム30側に窪む凹面60Bを有している。そのため、三角板60がシャッタドラム30に対して屋根の役割を果たすので、シャッタドラム30の回転による異物の舞い上がり、及び、送風路20内への異物の堆積を軽減することができる。
【0064】
また、本実施形態の穀物乾燥装置10は、三角板60が、シャッタドラム30のうち、送風路20の外気が導入される送風口側を含む上部に配置される。すなわち、三角板60は、シャッタドラム30の一部の上部のみを覆っている。そのため、少なくとも送風路20内で一番風速が早くなる送風口側が三角板60によって覆われるので、シャッタドラム30全体を三角板60で覆う場合と比較して、三角板60に要するコストを低減しつつ、塵埃の舞い上がり、及び、送風路20内への塵埃の堆積を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態の穀物乾燥装置10は、風胴板18に固設された支持板18Aに三角板60に設けられた固定部61が取り付けられる。そのため、固定部61によって三角板60を支持板18Aに確実に取り付けることができる。
【0066】
また、本実施形態においては、張込ホッパ36を機体12の右側面板下部に設けているが、本発明はこれに限られない。例えば左側面板下部の設けてもよいし、右側面板下部と左側面板下部の両方に設けてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、カバー部材として、多孔板を三角形状に折り曲げることにより形成された三角板60を使用しているが、本発明はこれに限られない。例えば、カバー部材は、多孔板をU字状に折り曲げることにより形成してもよいし、コの字状に折り曲げることにより形成してもよいし、適宜変更することができる。
【0068】
また、本実施形態においては、三角板60を支持板18Aに取り付けるためにボルトB及びナットNを使用しているが、本発明はこれに限られない。三角板60を支持板18Aに固定できれば、例えば溶接によって取り付けてもよいし、嵌合によって取り付けてもよいし何れの方法を使用してもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、三角板60は、シャッタドラム30の一部の上部のみを覆っているが本発明はこれに限られず、シャッタドラム30全体の上部を覆っていてもよいし、最も前側の支持板18Aから後側から2枚目の支持板18Aの間に位置するシャッタドラム30の上部を覆っていてもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、穀物乾燥装置10を遠赤外線穀物乾燥装置として説明したが、本発明の穀物乾燥装置はこれに限られず、遠赤外線以外の穀物乾燥装置にも適用することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、第1実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10 穀物乾燥装置
16 排風路隔壁(隔壁)
18 風胴板(隔壁)
18A 支持板
20 送風路
24 導風路隔壁(隔壁)
28 穀物流下路
30 シャッタドラム(回転シャッタ部材)
34 排風路
60 三角板(カバー部材)
60A 凸面
60B 凹面
61 固定部
62 バーナ(乾燥風生成手段)
68 送風機(吸引送風手段)
D 塵埃(堆積物、異物)
K 穀物
図1
図2
図3
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図5
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図10