(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】再生骨材生成システム及び再生骨材生成方法
(51)【国際特許分類】
C04B 18/16 20230101AFI20240912BHJP
B02C 1/02 20060101ALI20240912BHJP
B02C 13/08 20060101ALI20240912BHJP
B02C 2/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C04B18/16
B02C1/02 A ZAB
B02C13/08 A
B02C2/00
(21)【出願番号】P 2020127623
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000150291
【氏名又は名称】株式会社中山ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘志
(72)【発明者】
【氏名】橘川 智宏
(72)【発明者】
【氏名】島内 佳司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 孝典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 美信
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-266109(JP,A)
【文献】特開平07-275727(JP,A)
【文献】特開平10-309484(JP,A)
【文献】特開平06-091185(JP,A)
【文献】特開2012-076961(JP,A)
【文献】特開2003-181313(JP,A)
【文献】特開平06-000402(JP,A)
【文献】特開平06-063433(JP,A)
【文献】特開2005-343709(JP,A)
【文献】特開2006-167646(JP,A)
【文献】特開2006-320814(JP,A)
【文献】特開昭63-049264(JP,A)
【文献】特開2004-238274(JP,A)
【文献】特開2009-000606(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103706453(CN,A)
【文献】特開平02-149354(JP,A)
【文献】実開平04-074542(JP,U)
【文献】中国実用新案第207709137(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0211810(US,A1)
【文献】特開2003-181314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
B02C 1/02
B02C 2/00
B02C 13/08
B02C 13/14
B02C 13/28
B02C 17/00
B02C 21/00
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理により所定の第1サイズ以下に破砕された粗骨材及び細骨材を含むコンクリートの廃棄材料を供給する第1の供給装置と、
前記廃棄材料の磨砕を行って前記第1サイズ以下の廃棄材料を当該第1サイズ未満の廃棄材料にする第1の竪型破砕機と、
前記第1の竪型破砕機で整粒された前記廃棄材料を篩い分けする第1のスクリーン装置と、
前記第1のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料のうち、前記第1サイズより更に小さい第2サイズ未満の粒径範囲にあり、当該廃棄材料の衝突による運動エネルギーが小さい前記廃棄材料が供給され、当該供給された廃棄材料の磨砕を行う第2の竪型破砕機とを備え、
前記第1の竪型破砕機及び前記第2の竪型破砕機が、
回転に伴う遠心力により上方から投入される前記廃棄材料を外側方向に放出するロータと、当該ロータから所定の破砕空間を隔てて当該ロータの外周を周回する側壁部とを有し、
前記第1の竪型破砕機は、前記廃棄材料が投入されるロータ回転軸を中心として当該廃棄材料が前記側壁部に滞留してすり鉢状に形成された原料側壁に前記ロータから放出された前記廃棄材料をぶつけて磨砕を行い、
前記第2の竪型破砕機は、前記側壁部に外側方向から中心方向に向かって複数のテーパ部が並列して形成され、当該テーパ部の先端部分に直線状のエッジ部が形成され、前記ロータから放出された前記廃棄材料を前記エッジ部にぶつけて磨砕を行うことを特徴とする再生骨材生成システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の再生骨材生成システムにおいて、
前記第1のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料のうち所定の粒径以上の粗骨材が所定の割合以上含まれる場合に、篩い分けされた前記廃棄材料を運搬するベルトコンベアの乗り継ぎを切り替えて前記廃棄材料を前記第1の竪型破砕機に再供給する再生骨材生成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の再生骨材生成システムにおいて、
前記第2の竪型破砕機で整粒された前記廃棄材料を篩い分けする第2のスクリーン装置を備え、
前記第2のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料のうち前記第2サイズ未満で所定の粒径以上の粒径範囲の粗骨材が所定の割合以上含まれる場合に、篩い分けされた前記廃棄材料を運搬するベルトコンベアの乗り継ぎを切り替えて前記廃棄材料を前記第2の竪型破砕機に再供給する再生骨材生成システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の再生骨材生成システムにおいて、
前記コンクリートの廃棄材料を前処理するジョークラッシャーを備え、
当該ジョークラッシャーが、破砕空間において、処理対象となる前記コンクリートの廃棄材料を圧密状態で粒子間破砕により前処理を行う再生骨材生成システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の再生骨材生成システムにおいて、
前記第1の竪型破砕機の前記ロータの回転速度より前記第2の竪型破砕機の前記ロータの回転速度が速い再生骨材生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの廃棄材料から再生骨材を生成する再生骨材生成システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物を解体した場合に大量に発生するコンクリート廃材などを再生骨材として利用する技術が知られている。例えば、特許文献1に示す技術は、土木、建造物廃材からなる原料を供給する供給機と、前記供給された原料を破砕する破砕機と、前記破砕機で破砕された原料を複数の供給経路の何れかを選択して切り替えるための切り替え装置と、前記切り替え装置により切り替えられ供給された前記原料を前記破砕機へ導く供給経路と、前記切り替え装置により切り替えられ供給された前記原料を粒径別に篩い分けするための篩い分け装置と、前記篩い分けされた原料を粒径別に回収するための回収装置とからなるものである。
【0003】
一方で、近年再生骨材に要求される品質が高くなっており、例えば
図8に示すような品質規格が定められている。
図8に示すように再生骨材はH、M、Lの3つの品質に区分され、Hランクの再生骨材は廃棄材料からほぼ原骨材のみを取り出した品質である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に示したように、再生骨材M、Lは比較的簡易に生成することが可能であるが、再生骨材Hについては高度な処理と多くの手間やコストが必要となってくる。そのため、特許文献1に示す技術だけでは再生骨材Hを取り出すのが困難となる可能性がある。
【0006】
本発明は、複雑な処理を行うことなくコンクリート廃棄材料から高品質な再生骨材を生成する再生骨材生成システム及びその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る再生骨材生成システムは、前処理により所定のサイズに破砕された粗骨材及び細骨材を含むコンクリートの廃棄材料を供給する第1の供給装置と、前記廃棄材料の磨砕を行う第1の竪型破砕機と、前記第1の竪型破砕機で整粒された前記廃棄材料を篩い分けする第1のスクリーン装置と、前記第1のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料のうち所定の粒径範囲にある廃棄材料が供給され、当該供給された廃棄材料の磨砕を行う第2の竪型破砕機とを備えるものである。
【0008】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、前処理により所定のサイズに破砕された粗骨材及び細骨材を含むコンクリートの廃棄材料を第1の供給装置に供給し、第1の竪型破砕機で前記廃棄材料の磨砕を行い、前記第1の竪型破砕機で整粒された前記廃棄材料を第1のスクリーン装置で篩い分けし、篩い分けされた前記廃棄材料のうち所定の粒形範囲にある廃棄材料の磨砕を第2の竪型破砕機で行うため、第1の竪型破砕機で一度整粒された廃棄材料を第1の竪型破砕機とは異なる竪型破砕機で廃棄材料のサイズに応じた磨砕をすることで、それぞれの材料に適した効率的な磨砕を行って高品質な再生骨材を回収することができるという効果を奏する。
【0009】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記第1の竪型破砕機が整粒を行う磨砕空間に比べて前記第2の竪型破砕機が磨砕を行う磨砕空間が狭くなっているものである。
【0010】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、第1の竪型破砕機が整粒を行う磨砕空間に比べて第2の竪型破砕機が磨砕を行う磨砕空間が狭くなっているため、運動エネルギーが小さい骨材(例えば、細骨材)ほど狭い空間で短距離での衝突等が行われ、骨材に付着しているモルタル等を確実に剥がすことができるという効果を奏する。
【0011】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記第1の竪型破砕機が、原料が投入されるロータ回転軸を中心として当該原料によりすり鉢状に形成された原料側壁に前記ロータから放出された前記原料をぶつけて磨砕を行うものである。
【0012】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、第1の竪型破砕機が、原料が投入されるロータ回転軸を中心として当該原料によりすり鉢状に形成された原料側壁に前記ロータから放出された前記原料をぶつけて磨砕を行うため、原料と原料との衝突がメインとなり骨材自体の割れを防止しつつ、細かく粉砕しながら磨砕を行うことができるという効果を奏する。また、側壁がすり鉢状に形成されることで、放出された原料がすり鉢の内壁面を転がるように落下し、その摩擦等により周囲に付着したモルタル等を最適に剥がすことが可能になるという効果を奏する。
【0013】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記第2の竪型破砕機が、原料が投入されるロータ回転軸を中心とする円の円周部分に配設されたエッジを有する金属側壁に前記ロータから放出された前記原料をぶつけて磨砕を行うものである。
【0014】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、第2の竪型破砕機が、原料が投入されるロータ回転軸を中心とする円の円周部分に配設されたエッジを有する金属側壁に前記ロータから放出された前記原料をぶつけて磨砕を行うため、運動エネルギーが小さくなる細骨材に対して、金属側壁とエッジを使って確実に衝撃を与えて磨砕することが可能になるという効果を奏する。
【0015】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記第1のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料のうち所定の粒形以上の粗骨材を前記第1の竪型破砕機に再供給するものである。
【0016】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、前記第1のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料のうち所定の粒形以上の粗骨材を前記第1の竪型破砕機に再供給するため、第1の竪型破砕機で十分に磨砕されなかった原料について複数回繰り返して第1の竪型破砕機による磨砕作業を行い、比較的大きいサイズの骨材を十分に磨砕することができるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記第2の竪型破砕機で整粒された前記廃棄材料を篩い分けする第2のスクリーン装置と、前記第2のスクリーン装置で篩い分けされた前記廃棄材料の一部を前記第2の竪型破砕機に再供給するものである。
【0018】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、前記第2の竪型破砕機で整粒された前記廃棄材料を篩い分けして得られた骨材の一部を前記第2の竪型破砕機に再供給するため、第2の竪型破砕機で十分に磨砕されなかった原料について複数回繰り返して第2の竪型破砕機による磨砕作業を行い、比較的小さいサイズの骨材を十分に磨砕することができるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記コンクリートの廃棄材料を前処理する破砕装置を備え、当該破砕装置が、処理対象となる前記コンクリートの廃棄材料を滞留する滞留領域に前記コンクリートの廃棄材料を充填した状態で粒子間破砕により前処理を行うものである。
【0020】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、コンクリートの廃棄材料を前処理する破砕装置を備え、当該破砕装置が、処理対象となる前記コンクリートの廃棄材料を滞留する滞留領域に前記コンクリートの廃棄材料を充填した状態で粒子間破砕により前処理を行うため、骨材自体を破砕して割ることなく周囲に付着した付着物のみを剥がすことができ、得ようとしている最大サイズの骨材が前処理で割れてしまうような事態を避けることができるという効果を奏する。
【0021】
本発明に係る再生骨材生成システムは必要に応じて、前記第1の竪型破砕機及び前記第2の竪型破砕機が、原料が投入されるロータ回転軸を中心とする円の円周部分に配設されたエッジを有する金属側壁に前記ロータから放出された前記原料をぶつけて磨砕を行い、前記第1の竪型破砕機の前記ロータの回転速度より前記第2の竪型破砕機の前記ロータの回転速度が速いものである。
【0022】
このように、本発明に係る再生骨材生成システムにおいては、前記第1の竪型破砕機及び前記第2の竪型破砕機が、原料が投入されるロータ回転軸を中心とする円の円周部分に配設されたエッジを有する金属側壁に前記ロータから放出された前記原料をぶつけて磨砕を行い、前記第1の竪型破砕機の前記ロータの回転速度より前記第2の竪型破砕機の前記ロータの回転速度が速いため、比較的大きいサイズの原料は遅めの速度で側壁に衝突させることで骨材が割れてしまうことを防止し周囲の付着物のみを剥離すると共に、小さいサイズの原料は速めの速度で側壁に衝突させることで低い運動エネルギーを高くして周囲の付着物を確実に剥離することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける前処理の前段処理を示すフロー図である。
【
図2】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける前処理の後段処理と磨砕処理を示すフロー図である。
【
図3】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける第1の竪型破砕機の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける第1の竪型破砕機の内部構造を示す断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける第2の竪型破砕機の内部構造を示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける第2の竪型破砕機の内部構造を示す断面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る再生骨材生成システムにおける前処理の後段処理と磨砕処理を示す第2のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る再生骨材生成システムについて、
図1ないし
図7を用いて説明する。本実施形態に係る再生骨材生成システムは、コンクリートの廃棄材料を原料とし、複数の砕石工程を経て最終的に
図8に示す最も高品質なHの品質規格を満たす再生骨材を生成する。本実施形態においては、特に20-5mmの再生骨材(以下、粗骨材という)と5-0mmの再生骨材(以下、細骨材という)を生成する場合のシステムについて説明するが、生成される骨材のサイズはこれに限るものではない。
【0025】
本実施形態に係る再生骨材生成システムにおいて、まずコンクリートの廃棄材料を所定のサイズにまで破砕する前処理が行われる。この前処理については原料となるコンクリート廃棄材料の状態等によって変動するが、例えば比較的処理能力が高いジョークラッシャーを用い、金属等の不純物を除去しながら1~2段階で破砕を行ってコンクリートの廃棄材料を700-0mm程度のサイズに砕石する。これをさらにジョークラッシャー又はコーンクラッシャーで複数回の粒子間破砕を繰り返すことで前処理を行う。このとき、繰り返し回数を重ねるごとにCSS(排出口の幅)を狭く調整することが望ましい(例えば、1回目50mm、2回目40mm等)。前処理された廃棄材料は定量供給で第1の竪型破砕機に投入され、一部の材料についてはさらに第2の竪型破砕機に投入される。前処理を含むジョークラッシャーによる粒子間破砕と竪型破砕機による複数段の磨砕工程により高品質な再生骨材を生成することが可能となる。
【0026】
以下、一連の骨材生成工程について図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る再生骨材生成システムにおける前処理の前段処理を示すフロー図、
図2は、本実施形態に係る再生骨材生成システムにおける前処理の後段処理と磨砕処理を示すフロー図である。
図1に示す工程では、原料となるコンクリート廃棄材料から不純物となる金属等を除去しつつ700mm以下程度のサイズに砕石する。
図1において、まずコンクリート廃棄材料が原料ホッパー装置1に投入される。原料ホッパー装置1の下部には供給装置であるプレートフィーダ1bが設けられ、ホッパー1aから落下する原料を受けて破砕装置2に搬送する。
【0027】
破砕装置2は、例えば、原料が投入されるホッパー2a、篩い分けのためのグリズリフィーダ2b、ジョークラッシャー2c及びコンベア2dが一体となった破砕機である。ホッパー2aから供給された原料はその大きさに応じてグリズリフィーダ2bで篩い分けされ、サイズが大きい原料がジョークラッシャー2cに供給される。ある程度サイズが小さい原料はジョークラッシャー2cに供給されずにそのままコンベア2dに送られる。ジョークラッシャー2cではサイズが大きい原料が砕石処理され、当該砕石された原料はコンベア2dに送られる。
【0028】
破砕装置2のコンベア2dで運ばれた原料は、破砕装置3に供給される。砕石装置3は砕石装置2とほぼ同様の構成となっているが、供給口のサイズや処理能力は砕石装置2よりも多少低くしてもよい。破砕装置3で処理された原料は、金属等の不純物がほぼ除去された状態で700mm以下程度のサイズに砕石されたものとなる。
【0029】
なお、
図1において破砕装置2及び破砕装置3をホッパー、フィーダ、クラッシャー及びコンベアが一体となった破砕機として説明したが、必ずしもこれらを一体的に構成する必要はない。また、各装置の種類については、あくまで一例として記載しているものであり、代替可能な装置であれば適用可能である。例えば、ジョークラッシャーの代わりに同じクラッシャーであるコーンクラッシャーを用いるようなことは当然可能である。
【0030】
図2において、700mm以下に砕石された原料は、再度破砕装置4のジョークラッシャー4cでより細かいサイズに砕石される。ここでの処理も
図1の場合とほぼ同様であり、より細かい破砕に適したクラッシャー(ジョークラッシャー又はロールクラッシャーを用いることができ、ここではジョークラッシャーとする)が用いられる。なお、ホッパー4aに供給される全ての原料をジョークラッシャー4cに投入するようにしてもよいし、グリズリフィーダ4bで篩い分けをしてサイズが小さいものについてはジェークラッシャー4cに投入せずにコンベア4dに直接供給するようにしてもよい。
【0031】
ジョークラッシャー4cでは圧密状態で粒子間破砕が行われる。これは、骨材に強い衝撃を与えて割れてしまうことを防止するためであり、圧密状態で粒子間破砕を行うことで骨材同士が激しく衝突することなく接触した状態で擦れ合うこととなり、骨材自体の割れを防止しつつ原料であるコンクリートを細かくすることが可能となる。骨材自体の割れを防止しつつコンクリートのみを破砕することについて、さらに詳細に説明する。
【0032】
【0033】
上記の表1は、比重が2.5以上の複数種類の骨材とコンクリートとの強度の差を示すものである。粘板岩のせん断強度を除いて全ての骨材がコンクリートよりも強度が高いことが示されている。すなわち、例えば上記表1のような骨材を含むコンクリートを当該骨材を割らずに細かくするためには、少なくとも250kgf/cm2以上の力で圧縮し粒子間破砕を行うことでコンクリートのみを破壊して原料を細かくすることができる。
【0034】
図2に戻って、上記のジョークラッシャー4cによる破砕処理は複数回繰り返して行うようにしてもよく、その場合は上述したように回数を増すごとにCSSを小さくすることで、より細かい砕石が可能となる。ジョークラッシャー4cで砕石された原料は、磨砕装置に原料を供給するためのホッパー装置5にコンベア4dで搬送される。ここまでの処理が前処理となる。前処理によりコンクリートの原料はある程度細かくなっているものの、骨材の周囲にはモルタルなどが付着しているため、これらを剥がす作業が必要となる。
【0035】
上記前処理が完了すると、ホッパー装置5から第1の竪型破砕機6に原料が供給される。ホッパー装置5から第1の竪型破砕機6への原料の供給はバッチで行われるようにしてもよいが、ここでは常時定量が供給されるものとする。なお、回収された骨材の量に応じて供給量を変動させてもよい。
【0036】
図3及び
図4は、本実施形態に係る再生骨材生成システムにおける第1の竪型破砕機の内部構造を示す図である。
図3が第1の竪型破砕機6の内部構造の斜視図、
図4が第1の竪型破砕機6の内部構造の断面図である。
【0037】
第1の竪型破砕機6は、ロータ61の上面部分から原料が投入される。初期状態では、投入された原料がロータ61の回転に伴う遠心力で外側方向に放出され、破砕空間S1の側壁面に衝突して滞留される。破砕空間S1の側壁下面62は側壁上面63より広い面積、すなわち側壁下面62の中心側端部62aが側壁上面63の中心側端部63aよりもロータ61に近くなっており、ロータ61から放出される原料が増加するに連れて次第にこれらの原料がすり鉢状に滞留する状態となる。破砕空間S1の側壁部分が原料で埋められると、ロータ61から放出された原料は側壁に滞留する同じ原料同士で衝突し、すり鉢に沿って円周上に転動しながら排出される。排出される際に側壁から落下している原料にロータ61から放出された原料が再度ぶつかって、さらに表面を砕く作用も生じる。すなわち、第1の竪型破砕機6では、原料同士が衝突することで骨材自体の破砕が起こりにくく、転動の摩擦により骨材の表面に付着しているモルタル等の付着物が剥離されやすくなり、磨砕された状態で第1の竪型破砕機6から排出される。なお、
図3においては図面手前の原料を省略して記載しているが、実際には側壁面の全周に亘って原料が滞留してすり鉢状を構成する。
【0038】
ここで、第1の竪型破砕機6から排出された原料は、そのまま全ての原料をスクリーン装置7に供給するようにしてもよいし、
図2の点線領域で示すように一部の原料をベルトコンベアの乗り継ぎ等により切り替えを行うことで、再度第1の竪型破砕機6に投入されるようにしてもよい。このとき、第1の竪型破砕機6に再供給される原料は、予め設定された割合に基づいて行われるようにしてもよいし、サイズに応じて行われるようにしてもよい。サイズごとの区別は、例えばベルトコンベアから放出される際の原料の距離の差に応じて行うことが可能である。必要に応じてサイズが比較的大きいものを中心に第1の竪型破砕機6への再供給行ったり、比較的小さいものを中心に再供給を行うような選択的な処理が可能となる。なお、
図2の点線領域で示す再供給を行う場合、後述するようなスクリーン装置7からの第1の竪型破砕機6への繰り返しの再供給は行わなくてもよい。
【0039】
第1の竪型破砕機6から排出された原料はスクリーン装置7に供給される。スクリーン装置7は、例えば振動スクリーンであり、供給された原料のサイズごとに篩い分けを行う。篩い分けされるサイズは、20mm以上、10-20mm、5-10mm、5mm以下等である。第1の竪型破砕機6で骨材表面がある程度整粒されるものの、1回の磨砕作業では整粒が十分ではない可能性がある。そこで、5mm以上のサイズがある粗骨材については、一部を再度第1の竪型破砕機6に繰り返して供給すると共に、それ以外の粗骨材については20mm-5mmの再生粗骨材H1として取り出す。このとき、ホッパー装置5から新たな原料が随時追加投入されており、追加された新たな原料と再供給された原料とに対して上記のような磨砕処理が行われる。
【0040】
つまり、20mm-5mmの再生粗骨材H1として取り出されたものの中には、第1の竪型破砕機6を1回だけ経由したものから複数回経由したものが含まれているが、最終的にはほぼモルタル等の付着物が除去されており、残っているとしても誤差の範囲となる。
【0041】
一方、5mm未満のサイズに整粒された細骨材について、上記同様に第1の竪型破砕機6に再供給してもよいが、サイズが小さいため運動エネルギーが小さくなり、原料同士の衝突では表面の付着物が十分に剥がれない場合がある。例えば、20mmの粗骨材の運動エネルギーと5mmの細骨材の運動エネルギーを比較した場合、重量比が64:1になるため運動エネルギーも1/64となる。つまり、サイズが小さい細骨材については衝突による衝撃が弱くなるため、表面の付着物が十分に剥がれない状態となる。そこで、
図2に示すように5mm未満の粗骨材について第2の竪型破砕機8による磨砕を行う。
【0042】
図5及び
図6は、本実施形態に係る再生骨材生成システムにおける第2の竪型破砕機の内部構造を示す図である。
図5が第2の竪型破砕機8の内部構造の斜視図、
図6が第2の竪型破砕機8の内部構造の断面図である。
【0043】
第2の竪型破砕機8は、第1の竪型破砕機6と同様にロータ81の上面部分から5mm未満のサイズの原料が投入される。投入された原料がロータ81の回転に伴う遠心力で外側方向に放出され、破砕空間S2の側壁面に衝突して破砕される。破砕空間S2の側壁には第1の竪型破砕機6の場合と異なり内側(ロータ81側)に向かってエッジが立った鋼材82が配設されており、ロータ81から放出された原料は側壁に配設された鋼材82と衝突し破砕される。このとき、鋼材82が中心に向かってエッジが立つように傾斜した衝突面を有することでロータ81から放出した原料ができるだけ垂直に鋼材82に衝突できるようになっている。
【0044】
第2の竪型破砕機8の破砕空間S2は、第1の竪型破砕機6の破砕空間S1よりも狭く、且つ、ロータ81から側壁面の鋼材82までの距離が、第1の竪型破砕機6におけるロータ61から側壁面の滞留した原料までの距離よりも短くなっている。そのため、ロータ81から放出された細骨材は、放出速度を出来るだけ維持した状態で鋼材82に衝突することとなり、衝突性を高めて運動エネルギーの減少分を補った磨砕を行うことが可能となる。なお、仮に第1の竪型破砕機6と第2の竪型破砕機8との破砕空間の広さや衝突面までの距離が同一であったとしても、第2の竪型破砕機8のロータ81の回転速度を上げることで運動エネルギーの減少分を補った磨砕を行うことが可能である。
【0045】
第2の竪型破砕機8で磨砕された細骨材はスクリーン装置9に供給される。スクリーン装置9を通過した細骨材は5mm-0mmの再生粗骨材H2として回収されると共に、一部は第2の竪型破砕機8に再供給されて磨砕が繰り返して行われ、より高品質な再生細骨材H2として回収される。
【0046】
以上のような一連の処理を行うことでコンクリート廃棄材料から20mm-5mmの再生粗骨材H1及び5mm-0mmの再生細骨材を生成することが可能となる。なお、
図2において第1の竪型破砕機7から20mm-5mmの再生粗骨材H1を回収する割合(すなわち第1の竪型破砕機7に再供給する割合)や第2の竪型破砕機8から5mm-0mmの再生細骨材H2を回収する割合(すなわち第2の竪型破砕機8に再供給する割合)は人の判断で行うようにしてもよいが、例えば画像認識によるAIを活用することで、演算部(図示しない)がその割合を決定し、切替制御部(図示しない)が回収する割合の切り替え制御を行うようにしてもよい。また、回収した再生粗骨材H1や再生細骨材H2が、想定される粒度曲線を満たすかどうかに応じて再供給の割合を調整してもよい。
【0047】
具体的には、表面の付着物が残っている骨材の割合が多いと判断される場合には、より多くの材料を竪型破砕機に再供給して磨砕処理を繰り返して行い、表面の付着物がある程度剥がれている骨材の割合が多いと判断される場合には、より多くの材料を再生骨材として回収するように制御する。
【0048】
また、このような判断をリアルタイムに行い、その時の状況に応じて竪型破砕機に再供給する量と回収する量との割合を調整するようにしてもよい。例えば、初期の方では竪型破砕機に再供給する割合を多くし、処理が進むに連れて次第に回収する割合を多くするようにしてもよい。
【0049】
さらに、ホッパー装置5から供給される量に応じて、竪型破砕機に再供給する量と回収する量との割合を調整するようにしてもよい。ホッパー装置5から供給される量が多い場合は、骨材表面の付着物が多く残っている材料も多くなるため竪型破砕機に再供給する割合を多くし、ホッパー装置5から供給される量が少ない場合は、既に竪型破砕機を通って磨砕されている材料が多くなるため回収する割合を多くするようにしてもよい。
【0050】
このように、本実施形態に係る再生骨材生成システムにおいては、前処理により所定のサイズに破砕された粗骨材及び細骨材を含むコンクリートの廃棄材料をホッパー装置5に供給し、第1の竪型破砕機6で廃棄材料の磨砕を行い、第1の竪型破砕機6で整粒された廃棄材料をスクリーン装置7で篩い分けし、篩い分けされた廃棄材料のうち所定の粒径以下の細骨材の磨砕を第2の竪型破砕機8で行うため、第1の竪型破砕機6で整粒された細かい細骨材を第1の竪型破砕機6とは異なる細骨材用の竪型破砕機で磨砕することで、それぞれの材料に適した効率的な磨砕を行うことができる。
【0051】
なお、本発明に係る再生骨材生成システムの処理フローは
図2のフローに限定される必要はなく、例えば
図7に示すようなフローで処理を行うようにしてもよい。
図7において
図2の場合と異なるのは第1の竪型破砕機6による処理以降の処理であり、具体的にはスクリーン装置7で20mm以上となったものが第1の竪型破砕機6に再供給され、5mm未満となったものは0mm-5mmの再生細骨材H2として回収される。そして、処理が難しい5mm-20mmとなったものを第2の竪型破砕機8に供給する。第2の竪型破砕機8ではロータ81の回転速度などを微調整しながら5mm-20mmの骨材に付着したモルタル等を剥がす磨砕を行い、一部を5mm-20mmの再生粗骨材H1として回収しながら、残りを第2の竪型破砕機8に再供給してこの磨砕処理を繰り返す。
【0052】
このように、第2の竪型破砕機8は必ずしも細骨材用としての利用ではなく、粗骨材を磨砕するために利用することも可能である。
【0053】
さらに、
図2のフローにおいて、第1の竪型破砕機6の内部構造を第2の竪型破砕機8と同様の構造にしてもよい。すなわち、破砕空間S1の側壁に内側に向かってエッジが立った鋼材を配設し、供給された原料を鋼材に衝突させることで磨砕を行うようにしてもよい。このとき、第1の竪型破砕機6には20mm以上の大き目の原料が供給されることから、その運動エネルギーの大きさで骨材自体が割れてしまうのを防止するために、破砕空間S1を広くするか、ロータ61の回転速度を低速にするか、又はその両方を行うことで骨材自体が割れないように磨砕する。
【0054】
このように、コンクリート廃棄材料の状態や作業を行う環境に応じて、第1の竪型破砕機6及び第2の竪型破砕機8を任意に組み合わせて磨砕作業を行うことで、
図8の規格を満たす粗骨材及び細骨材を生成することが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 原料ホッパー装置
1a ホッパー
1b プレートフィーダ
2,3,4 破砕装置
2a,3a,4a ホッパー
2b,3b,4b グリズリフィーダ
2c,3c,4c ジョークラッシャー
2d,3d,4d コンベア
5 ホッパー装置
6 第1の竪型破砕機
61 ロータ
62 側壁下面
62a 中心側端部
63 側壁上面
63a 中心側端部
7 スクリーン装置
8 第2の竪型破砕機
81 ロータ
82 鋼材
H1 再生粗骨材
H2 再生細骨材
S1,S2 破砕空間