(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】充填バルブ装置
(51)【国際特許分類】
B67C 3/28 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B67C3/28
(21)【出願番号】P 2020152733
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】浦田 忠克
(72)【発明者】
【氏名】小椋 勝仁
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 久人
(72)【発明者】
【氏名】小塩 善之
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-224483(JP,A)
【文献】特開2001-031194(JP,A)
【文献】特開平10-141237(JP,A)
【文献】実開昭62-133983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/28
B65B 1/10
B65B 1/34
F04C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填する液流体を貯留するタンクと前記液流体を容器に注入する充填ノズルとの間に配設された可撓性チューブからなる液流路の開閉操作を行う充填バルブ装置であって、
1/4円弧形状に形成されたコーナーガイド部の外側案内壁に沿わせて前記可撓性チューブを装着保持する液流路ガイド、
直動駆動部の駆動により前記外側案内壁の1/4円弧の仮想中心と前記外側案内壁の1/4円弧の中央とを結ぶ仮想線に沿って進退可能に配設されたスライド部材と、前記スライド部材に配設された回転駆動部の駆動により前記スライド部材に垂設され
た回転軸を以て正逆回転可能に配設された回転部材と、前記回転軸周りに等間隔となるように前記回転部材に垂設されたそれぞれの回転支軸を以て正逆方向に自転可能とされ、かつ、前記外側案内壁との間で前記可撓性チューブを押圧して液流路を閉塞可能な幅の周面を有する少なくとも5つの押さえローラと、を有するバルブユニット、
および、
前記バルブユニットの直動駆動部と前記回転駆動部の駆動を制御する制御部
を備
え、
前記制御部は、前記液流路を閉塞する際に前記回転駆動部の駆動を制御し、前記回転部材に配設された隣位する複数の押さえローラが前記コーナーガイド部において前記外側案内壁との間に前記可撓性チューブを圧し潰して、前記液流路を閉塞することを特徴とする充填バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に定量の液流体を充填する際にチューブポンプを用いる充填バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアー圧やヘッド圧によって流量を定めた充填バルブを用いて液流体を充填する充填バルブ装置において、その定めた流量よりもさらに流量を規制したい場合に、吐出口の手前の液経路に設けた充填バルブの上流側にオリフィスを設けて流量を規制することが行われる(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、液体に具材等の固形物が混在した液流体の充填の場合は、その固形物の具材等が詰まり易いために前記オリフィスの構造は使用できない。
【0004】
このようにオリフィスを設けることができない場合には、ゴム等の可撓性(弾性)を有する素材によりチューブ状に形成された液経路をエアシリンダ(液流体アクチュエータ)のプランジャの進退駆動によって押圧・解除する電動の充填バルブを用いて流量を調整したり(特許文献2参照)、電動の充填バルブによってチューブ状に形成された液経路を大きく潰すことが期待できないような場合には、液経路として、いわゆるスパイラルチューブのような圧損の大きいホースを用いて流量を制限することもなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-001643号公報
【文献】特開2013-079101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プランジャの進退運動による加圧圧力に頼る方法は流量の制御の自由度が少なく、また、流量の調整をホースの圧損に頼る方法はタイミングに合わせて必要な流量に調整するようなことが困難であり、スパイラルチューブを用いる場合にはさらにそのチューブ内の凹凸に液体に混在した固形物や繊維質等が詰まることがあった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、充填する液流体が液体に固形物等が混在するか否かにかかわらず、流量の調整を無段階で高精度に行うことができ、液体に固形物等が混在する液流体を充填する場合であっても充填経路における固形物等の詰まりを抑止することができる充填バルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の充填バルブ装置は、充填する液流体を貯留するタンクと前記液流体を容器に注入する充填ノズルとの間に配設された可撓性チューブからなる液流路の開閉操作を行う充填バルブ装置であって、
1/4円弧形状に形成されたコーナーガイド部の外側案内壁に沿わせて前記可撓性チューブを装着保持する液流路ガイド、
直動駆動部の駆動により前記外側案内壁の1/4円弧の仮想中心と前記外側案内壁の1/4円弧の中央とを結ぶ仮想線に沿って進退可能に配設されたスライド部材と、前記スライド部材に配設された回転駆動部の駆動により前記スライド部材に垂設された回転軸を以て正逆回転可能に配設された回転部材と、前記回転軸周りに等間隔となるように前記回転部材に垂設されたそれぞれの回転支軸を以て正逆方向に自転可能とされ、かつ、前記外側案内壁との間で前記可撓性チューブを押圧して液流路を閉塞可能な幅の周面を有する少なくとも5つの押さえローラと、を有するバルブユニット、
および、
前記バルブユニットの直動駆動部と前記回転駆動部の駆動を制御する制御部
を備え、
前記制御部は、前記液流路を閉塞する際に前記回転駆動部の駆動を制御し、前記回転部材に配設された隣位する複数の押さえローラが前記コーナーガイド部において前記外側案内壁との間に前記可撓性チューブを圧し潰して、前記液流路を閉塞することを特徴とする。
【0010】
本発明の充填バルブ装置は、液流体の充填を止める際には、制御部による制御で前記直動駆動部を駆動して前記スライド基板を前進させ、前記バルブユニットの5つの押さえローラのうち少なくとも1つ(望ましくは複数)でコーナーガイド部の1/4円弧形状に形成されたコーナーガイド部の外側案内壁との間で可撓性チューブを圧し潰し、液流路を閉塞する。
【0011】
充填終了後、バルブシャット状態において前記回転駆動部を駆動して回転部材とともにバルブユニットの押さえローラを逆回転させ、充填ノズル側の可撓性チューブ内の容量(押さえローラが当接している位置から充填ノズル先端までの容量)を増加させることでサックバックを行い、液だれを防止することも可能となる。
【0012】
また、充填時には、前記直動駆動部を駆動して前記スライド基板を前述のバルブシャット状態における前記スライド基板の位置よりも後退させ、バルブユニットの5つの押さえローラのうち少なくとも1つをコーナーガイド部の1/4円弧形状の外側案内壁との間で可撓性チューブに押圧させる量を調整(押圧させない場合をも含む)し、あるいは、可撓性チューブに押圧させつつ前記回転駆動部を駆動して回転部材を正回転させる。このように、前記アクチュエータの駆動量や回転駆動部の回転を制御することで、バルブユニットの5つの押さえローラの可撓性チューブに対する押圧状態を調整し、流量を大流量から小流量まで細かくかつ確実に変化させることが可能となる。
【0013】
特に、流量規制のためのオリフィス等の流路が不要となり、また、具材等の固形物が含まれる液流体を扱う場合には回転部材とともにバルブユニットの押さえローラを正回転させてバルブユニットの押さえローラで可撓性チューブを扱くようにすることで、具材等が詰まる危険性を回避することも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明の充填バルブ装置によれば、充填する液流体が液体に固形物等が混在するか否かにかかわらず、流量の調整を無段階で高精度に行うことができ、液体に固形物等が混在する液流体を充填する場合であっても充填経路における固形物等の詰まりを抑止することができ、さらには、制御により、充填時の液流体の液だれも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の充填バルブ装置の実施形態の要部構成を示す説明図であって、(a)は要部断面図、(b)は(a)の要部矢視図、(c)は(a)の右側面図。
【
図2】
図1の実施形態の充填バルブの閉栓(バルブシャット)状態を示す要部断面説明図
【
図3】
図1の実施形態の充填バルブの大流量開栓状態を示す要部断面説明図
【
図4】
図1の実施形態の充填バルブの小流量開栓状態を示す要部断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の充填バルブ装置1は、充填位置に載置された不図示の容器に対し、食品等の液流体の定量充填を行なう充填装置2に用いられるものであり、充填する液流体を貯留するタンク(不図示)と液流体を容器に注入する充填ノズル3との間の液流路4を構成する可撓性チューブ5を挟んで押圧し、液流路4の開閉操作を行うように構成されている。
【0017】
図1は、本発明の充填バルブ装置1の一実施形態を示す説明図であり、本実施形態の充填バルブ装置1は、タンクに接続されて液流路4を構成する配管7の端末部に接続されて、配管7とともに液流路4を構成する可撓性チューブ5に対して作用するべく、充填装置2に配設されている。なお、本実施形態において、可撓性チューブ5はゴム等の可撓性(弾性)を有する素材により断面円形のチューブ状に形成されている。
【0018】
そして、充填バルブ装置1は、可撓性チューブ5の配置を案内する液流路ガイド6、この液流路ガイド6との間に可撓性チューブ5を押圧する量を調整して液流路4の開閉操作を行うバルブユニット8、そして、バルブユニット8の、ステッピングモータやサーボモータ等の駆動源(82、92)の駆動を制御する制御部10を備えている。
【0019】
以下に詳説すると、充填バルブ装置1は、水平方向に延在する略四角形の天板11と、その天板11の一端辺に垂下する略四角形の側板12を有する筐体13を備えている。本実施形態において、充填バルブ装置1は筐体13を充填装置2に固定して配設されている。
【0020】
そして、筐体13の天板11と側板12とに囲まれる空間部には、液流路ガイド6が配接されている。具体的には、液流路ガイド6は、1/4円弧形状に形成された外側案内壁61を有するコーナーガイド部62が天板11の下面や側板12の内面に固定手段(不図示)により固定されており、可撓性チューブ5の配管7に連結される上流側を天板11に沿って水平に、充填ノズル3に連結される下流側を側板12に沿って鉛直に位置させて可撓性チューブ5を1/4円弧形状に曲げた状態で装着保持可能とされている。なお、コーナーガイド部62の外側案内壁61に対向する内側領域には壁を設けずに、バルブユニット8が進退する開放空間部として形成されている。
【0021】
また、筐体13の側板12の下端部には、バルブユニット8を配設する取付板14を仰角45°で傾斜させ、その板面をコーナーガイド部62へ指向させて支持する一対のアーム板15,15が連接されている。
【0022】
ここで、バルブユニット8は、直動駆動部としてのアクチュエータ81と、このアクチュエータ81の駆動源であるモータ82の駆動により伸縮するロッド83の先端に配設され、外側案内壁61の1/4円弧の仮想中心と外側案内壁61の中央とを結ぶ仮想線に沿って進退可能とされた板状のスライド部材84を有している。
【0023】
本実施形態においては、アクチュエータ81のモータ82やそのモータ82の回転運動を直動運動に変換させるためのギアヘッドやボールねじ(いずれも不図示)等を内蔵したケース89を取付板14の裏面に固定し、前記ボールねじの先端側に連接されたロッド83を取付板14の孔部(不図示)から表面側へ突出させ、そのロッド83の先端にスライド部材84を配設している。
【0024】
本実施形態においてスライド部材84は、先端部を円弧形状とした略舌片状の2枚の板部材(表面板85と裏面板86)の後端部をスペーサ87で連接し、対向配置させた2枚の板部材間に形成された空間部88に後述の回転部材を回転可能に軸支するとともに、スペーサ87を前記ロッド83に連接させて形成されている。
【0025】
またバルブユニット8は、回転駆動部91の駆動源としてのモータ92と、このモータ92の駆動により正逆回転可能に配設された回転部材93とを有している。
【0026】
本実施形態においては、回転駆動部91のモータ92を内蔵したケース94をスライド部材84の裏面板86に固定してモータ92の回転軸95はスライド部材84の裏面板86の孔部(不図示)から空間部88へ突出させ、表面板85に設けられた軸受(不図示)により軸支させて配設されており、回転部材93は、スライド部材8の裏面板86と表面板85との間の空間部88において、このスライド部材84に垂設された回転軸95に固定されている。
【0027】
ここで、本実施形態において、回転部材93は、対向配置させた略5角星形状の2枚の板部材98を有している。この略5角星形状の2枚の板部材98は各星角において回転軸95の周りに等間隔に位置させて垂設された5つの回転支軸96により一体に形成されており、各回転支軸96には、外側案内壁61との間で可撓性チューブ5を押圧して液流路を閉塞可能な幅の周面を有する5つの押さえローラ97が正逆方向に自転可能に配設されている。
【0028】
つまり、5つの押さえローラ97は回転軸95の軸周りに等間隔(72°間隔)に回転支軸96を以て配設されており、スライド部材84が進出した際に、可撓性チューブ5の外側面を円滑に転動(自転)し得る遊転状態に配設されている。
【0029】
また、制御部10は、入力設定された駆動条件と、充填装置2に配設された充填量検出手段(不図示)によって検出した充填量に基づき、アクチュエータ81のモータ82の駆動、並びに、回転駆動部91のモータ92の駆動を制御し、スライド部材84の進退量や回転部材93の回動(正逆方向・角度・速度)を調整可能とされている。
【0030】
具体的には、制御部10は、充填に関する様々な情報(例えば、時間当たりの充填量、液流体1mlの充填にかかる時間、液流路4の開閉動作のタイミング、該開閉動作に要する時間等)に基づき、アクチュエータ81のモータ82の駆動を制御して、スライド部材84の進退方向の移動量を調整することにより、スライド部材84と回転部材93等を筐体13の天板11、側板12、取付板14、そして一対のアーム板15とに囲まれた空間内において外側案内壁61の1/4円弧の仮想中心とその1/4円弧中央とを結ぶ仮想線に沿って進退移動させ、
図2に示す、押さえローラ97が可撓性チューブ5を壁部材との間に強く挟み込み、押圧して、液流路4を全閉として閉塞する状態(以下、閉塞状態という)、
図3に示す、いずれもの押さえローラ97が可撓性チューブ5に非当接であり、液流路4を全開として大流量を得られる状態(以下、大流量充填状態という)、そして、
図4に示す、いずれか2つの押さえローラ97が可撓性チューブ5を壁部材との間に挟み、押圧して、液流路4を全開状態と全閉状態の間の任意の位置で半開として任意の流量を得られる状態(以下、小流量充填状態という)とを切換える。
【0031】
さらに、制御部10は、小流量充填状態、閉塞状態においては、回転駆動部91のモータ92の駆動を制御して、回転部材93の回転の正逆方向、回転角度、回転速度を調整することにより、小流量充填状態においては可撓性チューブ5の外側面を円滑に転動し得る遊転状態に回転軸に取り付けられた押さえローラ97の回転により液流体の流れを促し、閉塞状態においては後述するようなサックバックを実行する。
【0032】
以下、前述のように構成される本実施形態の充填バルブ装置1の制御の一実施例を説明する。なお、回転部材93の回転方向については、1/4円弧形状に形成された外側案内壁61を有するコーナーガイド部62において液流体の流れ方向下流へ向かう回転方向を「正方向」と概念し、逆に上流へ向かう回転方向を「逆方向」と概念して説明する。
【0033】
前記タンクより供給される液流体は、液流路4としての配管7から可撓性チューブ5内に流入する。容器が液流体の充填位置である充填ノズル3の直下に供給されるとき、制御部10の制御によりアクチュエータ81のモータ82を駆動させて、
図2に示すように、ロッド83の先端に取り付けられたスライド部材84をコーナーガイド部62の1/4円弧形状に形成された外側案内壁61へ向けて前進させ、回転部材93に設けられた5つの押さえローラ97のうちの少なくとも1つの押さえローラ97を以て可撓性チューブ5を外側案内壁61に押圧し、液流路4を閉塞させておく。つまり、押さえローラ97が可撓性チューブ5を押圧している箇所よりも下流側に位置する充填ノズル3へ液流体が送り込まれない状態としておく。このとき、スライド部材84の略舌片状の先端部は、可撓性チューブ5に当接することなく、コーナーガイド部62の1/4円弧形状に添って位置する。
【0034】
この状態から充填を開始する。すなわち、制御部10の制御により、アクチュエータ81のモータ82を駆動させて、
図3に示すように、ロッド83の先端に取り付けられたスライド部材84をコーナーガイド部62の1/4円弧形状に形成された外側案内壁61から離間させるように後退させ、回転部材93に設けられた5つの押さえローラ97の可撓性チューブ5に対する押圧を解除する。このとき、可撓性チューブ5の可撓性により、押さえローラ97の押圧により形成されていた可撓性チューブ5の凹みが復元し、可撓性チューブ5からなる液流路4を全開として大流量充填状態となる。
【0035】
したがって、液流体は、その重力または該液流体への加圧により配管7と可撓性チューブ5からなる液流路4内を流下し、該可撓性チューブ5の全内径量分が流動する、いわゆる大容量充填が容器に対し充填ノズル3から行われる。
【0036】
容器への充填が終了近くなれば、その定量充填等の精度を向上させるため、液流路4の流量を絞る。本実施形態においては、制御部10の制御により、直動駆動部81のモータを駆動させて、
図4に示すように、アクチュエータ8のロッド83の先端に取り付けられたスライド部材84をコーナーガイド部62の1/4円弧形状に形成された外側案内壁61へ向けて前進させ、回転部材93に設けられた5つの押さえローラ97のうちの少なくとも1つの押さえローラ97で可撓性チューブ5を外側案内壁61に押圧し、液流路4を半開の小流量充填状態に切換え、容器に液流体を少しずつ充填する。
【0037】
この小流量充填状態のとき、本実施形態においては、制御部10の制御により、回転駆動部91のモータを駆動させ、回転部材93を正方向へ回転させる。これにより、回転部材93に自転可能な遊転状態に配設された5つの押さえローラ97はそれぞれ、回転部材93の正回転に伴って順次可撓性チューブ5に当接し、コーナーガイド部62の1/4円弧形状に形成された外側案内壁61との間に可撓性チューブ5を挟んで押圧し、またその当接を解除するように回転移動する。
【0038】
このように、小流量充填時に押さえローラ97で可撓性チューブ5を扱くことで、液体に固形物等が混在する液流体を充填する場合であっても充填経路における固形物等の詰まりを抑止することができる。
【0039】
また、各押さえローラ97を、可撓性チューブ5に当接し、コーナーガイド部62の1/4円弧形状に形成された外側案内壁61との間に可撓性チューブ5を挟んで押圧している間は、自らも回転する構成とすることで、可撓性チューブ5に対する当接時の摩擦を弱めることができ、可撓性チューブ5の耐久寿命を長くすることができる。
【0040】
そして、液流体の規定量が容器内に充填されるとき、制御部10の制御により、アクチュエータ81のモータ82を駆動させて、
図2に示すように、ロッド83の先端に取り付けられたスライド部材84をコーナーガイド部62の1/4円弧形状に形成された外側案内壁61へ向けてさらに前進させ、回転部材93に設けられた5つの押さえローラ97のうちの少なくとも1つの押さえローラ97により、可撓性チューブ5を外側案内壁61に強く押圧し、液流路4を再び閉塞させる。これにより、該液流路4を流動していた液流体はその流動が停止され、充填が終了する。
【0041】
また、本実施形態の充填バルブ装置は、押さえローラ97により可撓性チューブ56を押圧し、液流路4を閉塞させた後、制御部10の制御により、回転駆動部91のモータを逆方向に駆動させ、回転部材93を所定量だけ逆方向へ回動させて、可撓性チューブ5を圧し潰して液流路4を閉塞している押さえローラ97(ノズルに近く位置している押さえローラ97)を液流路4の下流側から上流側へ(図面内上方へ)移動させることにより、その押さえローラ97が可撓性チューブ5を押圧している箇所よりも下流側の液流路4に残存する微量な液流体を上流側へ吸い上げようにする。
【0042】
これにより、充填ノズル3の先端に凹状のメニスカスが形成され、表面張力が作用した液垂れに強い液面形状として、充填後の液垂れを防止して充填時の容器等の汚損等を未然に防止することができる(サックバック効果)。
【0043】
なお、本実施形態の充填バルブ装置1は、制御部10において充填に必要な様々な設定を管理することとなる。各モータ82,92の駆動については、充填する液流体の粘性等の特性、充填量、流量等を考慮し、最適な充填状況下で充填が行われる設定が選択されるようにプログラミングしておく。このように、充填バルブ装置1に設けられた操作入力手段(充填装置と制御部や操作入力手段を共有する場合をも含む)等から必要な情報等を入力することで、都度の条件にあった直動駆動部81、回転駆動部91の各モータ82,92の駆動を実行し、液流路4の開放と閉塞を切換えることが可能となる。
【0044】
また、液流体の液流路4を閉塞する際に、5つの押さえローラ97のうちの隣位する2つの押さえローラ97により、1/4円弧形状に形成されたコーナーガイド部62の外側案内壁61との間に可撓性チューブ5を押し潰すべく、回転部材93を所定角度で回転させるように、回転駆動部91の駆動を制御してもよい。このように、液流路4を閉じる閉塞する際に、1/4円弧形状、すなわち90°のコーナーガイド部62において第2回転軸を中心にした72°の等角で設けられた5つの押さえローラ97のうちの隣位する2つの押さえローラ97を用いて、可撓性チューブ5を液流路の上下2か所で圧し潰すようにすることで、確実に液流体の供給を絶つことができる。
【0045】
このように構成された本実施形態の充填バルブ装置1によれば、周方向に5等分配で構成された押さえローラ97を備える回転部材93を進退させて充填を行うことができるのみならず、回転部材の回転数を制御することにより、液流体の流量を自由に制御する流量制御を実現することができ、結果的に、充填精度も向上することとなる。
【0046】
そして、直動駆動部81の駆動を制御し、スライド部材84の進退、移動量、速度を変更し、回転駆動部91の駆動を制御して回転部材93の正逆回転、角度、速度を変更することにより、液種や容量などが異なる様々な製品に対応させて、大流量充填や小流量充填などの様々な充填を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態の充填バルブ装置1は、流量制御を回転部材93の駆動(回転数、速度)に依存しているので、液体に具材等の固形物が混在した液流体や粘度が高い液流体の充填の場合であっても、可撓性チューブ5とともに液流路を構成し、可撓性チューブ5を下流側に連接させた配管7はスパイラルチューブではなく、ハード配管を使用することも可能となり、洗浄性の向上や消耗部品の削減にも効果を奏するものとなる。
【0048】
さらに、本実施形態の充填バルブ装置1は流量を安定化させるための流路の規制が不要となり、液体に具材等の固形物が混在した液流体の充填の場合であっても固形物の具材等が詰まる危険性を回避することができる。
【0049】
洗浄性に関してはさらに、大流量充填時のように、押さえローラ97と可撓性チューブ5との当接を回避させた状態で、液流路の洗浄を行うことで洗浄液の流量を確保することができ、また、加圧ブロー方式の洗浄工程をも行うことが可能となるため、装置を分解せずに定置状態で洗浄する通常のCIP(Cleaning in Place)にも対応可能となる。
【0050】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【0051】
たとえば、回転部材を逆回転させて使用することにより、アンフィリングバルブ(吸い込みバルブ)としての機能を果たすことも可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 充填バルブ装置
10 制御部
11 天板
12 側板
13 筐体
14 取付板
15 アーム板
2 充填装置
3 充填ノズル
4 液流路
5 可撓性チューブ
6 液流路ガイド
61 外側案内壁
62 コーナーガイド部
7 配管
8 バルブユニット
81 直動駆動部(アクチュエータ)
82 モータ
83 ロッド
84 スライド部材
85 表面板
86 裏面板
87 スペーサ
88 空間部
89 ケース
91 回転駆動部
92 モータ
93 回転部材
94 ケース
95 回転軸
96 回転支軸
97 押さえローラ
98 板部材