(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20240912BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20240912BHJP
D01F 6/46 20060101ALI20240912BHJP
D04H 3/007 20120101ALI20240912BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C08F10/00 510
D01F6/46 B
D01F6/46 D
D04H3/007
D04H3/16
(21)【出願番号】P 2020560410
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 CN2019082204
(87)【国際公開番号】W WO2019205947
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-11-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】201810377101.9
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520412523
【氏名又は名称】ベイジン ホン ウォーム ファイバー テクノロジー シーオー., エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HONG WARM FIBRES TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】李光武
【合議体】
【審判長】淺野 美奈
【審判官】天野 宏樹
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0116841(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第106319662(CN,A)
【文献】特表2018-537599(JP,A)
【文献】特表2016-538439(JP,A)
【文献】特表2008-512506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-2/60
C08F10/00
C08F110/06
C08F292/00
C08F23/10-23/12
D01F1/00-6/96
D01F9/00-9/04
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゲル変性ポリプロピレンを調製することであって、in-situ重合反応の前またはin-situ重合反応中において、エアロゲルを添加して反応物と混合することで、エアロゲルの均一な分散を実現する、プロピレン重合工程によってエアロゲル変性ポリプロピレンを調製
し、但し、前記反応物は、プロピレン・モノマーと、触媒と、分散補助剤を含まない補助剤と、を含み、前記エアロゲルの粒径は20nm~100μmであり、空隙率は40%~99.9%であり、かさ密度は3~500g/Lで、
エアロゲルは
、断熱保温メルト・ブローン不織布の体積の20%~60%を占め
、前記補助剤は水素であること
と、
前記エアロゲル変性ポリプロピレンをメルト・ブローン装置に投入して断熱保温メルト・ブローン不織布を調製することと、を含むことを特徴とする
断熱保温メルト・ブローン不織布の調製方法。
【請求項2】
前記プロピレン重合工程は、気相法プロピレン重合工程、スラリー法プロピレン重合工程または液相法プロピレン重合工程であることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記気相法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して反応物と混合することが、前記エアロゲルをプロピレン・モノマーと混合すること、または触媒と混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または前記混合方式の任意の結合を含むことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記スラリー法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して反応物と混合することが、前記エアロゲルを触媒と炭化水素系溶剤とからなるスラリー状液体と混合すること、またはプロピレン・モノマーと混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または前記混合方式の任意の結合を含むことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項5】
前記スラリー法プロピレン重合工程は、得られたポリプロピレン原料を、脱灰、沈殿し溶剤とランダム体とを分離し、混練を行うことをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記液相法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して反応物と混合することが、前記エアロゲルをプロピレン・モノマーと混合すること、または触媒と混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または前記混合方式の任意の結合を含むことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項7】
前記液相法プロピレン重合工程において、フラッシュ蒸留分離してランダムコポリマーを除去することを含むことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記エアロゲル変性ポリプロピレンにおけるエアロゲルのサイズが15nm~100μmであることを特徴とする
請求項1に記載の調製方法。
【請求項9】
請求項
1乃至8
の中のいずれか一項に記載の調製方法で調製され、エアロゲルのサイズが15nm~10μmであることを特徴とする断熱保温メルト・ブローン不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布材料分野に関し、特に、超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、紡績織りを必要とせずに形成される織物であり、ただ紡織短繊維またはフィラメントを配向させてまたはランダムに配列してウェブ構造を形成した後、機械、加熱接着または化学等の方法で補強してなる。
【0003】
現在、不織布を調製する工程はさまざまで、例えば、論文《シリカ・エアロゲル/ポリプロピレン・メルト・ブローン不織布材料の調製及び性能の研究》において、ポリプロピレンとエアロゲルとを溶融混合してエアロゲル変性ポリプロピレン・メルト・ブローン不織布を調製する方法が提案された。CN 104446333 Aにおいて、PP(ポリプロピレン)繊維をAPTES(3-アミノ・プロピル・トリエトキシ・シラン)でシラン化処理した後にTEOS(テトラエトキシ・シラン)溶液に浸漬し、加水分解と共架橋ゲル反応によって、SiO2エアロゲル薄層を有する不織布を生成し、その後、浸漬、共加水分解、共架橋ゲル反応を交互に複数回行ってから乾燥させてPP繊維補強SiO2ゲル材料を得る。CN 106838547 Aに粉落ちのないナノボイド含有断熱材の保温フェルト(板)及びその製造方法が開示され、該技術によると、通常のニードルパンチ技術または梳綿技術を用いて、繊維でシート状またはロール状のフェルトの繊維基材を製造し、その後、該基材の繊維表面にバインダーを浸漬または噴射し、最後に繊維に研磨されたナノボイド断熱材を噴射してナノボイド材料が接着された保温フェルト(板)を得る。
【0004】
しかし、上記方法にはいずれもある程度の技術問題が存在し、例えば、論文《シリカ・エアロゲル/ポリプロピレン・メルト・ブローン不織布材料の調製及び性能の研究》において溶融混合法でエアロゲル変性PPメルト・ブローン不織布を調製しているが、PPとエアロゲルとのかさ密度の差異が大きいので、限られた溶融区間のメルト・ブローン装置においては、エアロゲルが均一に分散され粒径調節可能な不織布を取得しにくい。CN104446333 AにおいてはPP繊維の表面にシラン化処理を行った後にTEOS溶液への浸漬、共加水分解、共架橋ゲル反応を複数回行わなければならないので、工程が複雑で時間がかかる以外、PP繊維に化学変性を行わなければならないので、PP繊維の力学的性能を低減させ、最終的な製品の力学的性能を低減させてしまう。また、PP繊維の表面に直接に接触していないSiO2キセロゲルは使用中に非常に脱落し易く、材料の使用寿命を短縮し、使用環境の劣化を招き、使用者の健康を害する。CN 106838547 Aにおいては繊維層、接着層、ナノボイド断熱層の3層を複合した方法で粉落ちのない保温フェルト(板)を調製し、工程が複雑で、ナノボイド断熱材の保温フェルト(板)での含有量や繊維基体に進入する深さが繊維基体内の繊維間のボイドの大きさの影響を大きく受け、また、該技術は吹き掛ける方法でナノボイド断熱材を添加し、その中の繊維基体がろ過材料に相当し、ナノボイド断熱材を基体の外表面だけに遮断してナノボイド断熱材を均一に分散させる効果を達成しにくく、使用中に保温フェルト(板)上の接着層にほこり等の異物が容易に接着して外観と通気性等の性能に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、既存技術においてメルト・ブローン法でエアロゲル変性不織布を調製するに存在するエアロゲル分散の均一性が低く、粒径が調整不能であり、エアロゲルが使用中に容易に脱落する課題を解決する超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布及びその製造方法を提供する。
【0006】
上記目的を実現するため、本発明の一態様によると、エアロゲル変性ポリプロピレンの調製方法を提供する。該調製方法は、重合反応の前または重合反応中において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することで、エアロゲルの均一な分散を実現する、プロピレン重合工程によってエアロゲル変性ポリプロピレンを調製することを含み、但し、反応物は、プロピレン・モノマーと、触媒と、補助剤と、を含み、エアロゲルの粒径は20nm~100μm間であり、空隙率は40%~99.9%間であり、かさ密度は3~500g/Lで、体積分率は、エアロゲル変性ポリプロピレンで調製される超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積の20%~60%を占める。
【0007】
さらに、プロピレン重合工程は、気相法プロピレン重合工程、スラリー法プロピレン重合工程または液相法プロピレン重合工程である。
【0008】
さらに、気相法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することが、エアロゲルをプロピレン・モノマーと混合すること、または触媒と混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または上記混合方式の任意の結合を含む。
【0009】
さらに、スラリー法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することが、エアロゲルを触媒と炭化水素系溶剤とからなるスラリー状液体と混合すること、またはプロピレン・モノマーと混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または上記混合方式の任意の結合を含む。
【0010】
さらに、スラリー法プロピレン重合工程は、得られたポリプロピレン原料を、脱灰、沈殿し溶剤とランダム体とを分離し、混練を行うことをさらに含む。
【0011】
さらに、液相法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することが、エアロゲルをプロピレン・モノマーと混合すること、または触媒と混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または上記混合方式の任意の結合を含む。
【0012】
さらに、液相法プロピレン重合工程において、フラッシュ蒸留分離してランダムコポリマーを除去することを含む。
【0013】
本発明の他の態様によると、超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の調製方法を提供する。該調製方法は、上記いずれかの方法でエアロゲル変性ポリプロピレンを調製することと、エアロゲル変性ポリプロピレンをメルト・ブローン装置に投入して超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布を調製することと、を含む。
【0014】
本発明のさらに他の態様によると、上記いずれかのエアロゲル変性ポリプロピレンの調製方法によって調製されるエアロゲル変性ポリプロピレンであって、エアロゲル変性ポリプロピレンにおけるエアロゲルのサイズが15nm~100μmであるエアロゲル変性ポリプロピレンを提供する。
【0015】
本発明のさらに他の態様によると、上記超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の調製方法によって調製された超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布であって、エアロゲルのサイズが15nm~10μmである超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布を提供する。
【0016】
本発明の技術案によると、如何なる分散補助剤も添加していない条件で、異なる粒径及び空隙率のエアロゲルを選択して使用し、エアロゲルの添加量を変えて、混合方式を改善することで、エアロゲルが均一に分散され良好なメルト・ブローン性能を有するエアロゲル変性ポリプロピレン粒子及び超軽量断熱保温機能を有するメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を調製し、不織布におけるエアロゲルが使用中に容易に脱落せず、使用寿命が長い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
尚、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例中の特徴を互いに組み合わせることができる。以下、実施例を結合して本発明を詳しく説明する。
【0018】
既存技術においてメルト・ブローン法によってエアロゲル変性不織布を調製する際に存在するエアロゲル分散の均一性が低く、粒径が調整不能であり、エアロゲルが容易に脱落する問題を解決するため、本発明は、in-situ重合法に基づいて、プロピレン・モノマーを原料として、特定のエアロゲルの特徴パラメータ(粒径、空隙率、かさ密度(3~500g/L)(かさ密度:自然に堆積された状態での単位体積の質量で、粒子内外の孔及粒子間の空隙を含む単位体積質量である)等)、エアロゲル添加量、混合方式を限定することで、エアロゲルの統計サイズが調整可能であり均一に分散され且つ良好なメルト・ブローン性能を有する変性ポリプロピレンであって、メルト・ブローンを経て、良好な断熱保温機能を有するエアロゲル変性メルト・ブローンPP(ポリプロピレン)不織布を取得することができる変性ポリプロピレンを調製する方法を提供する。本発明によると、既存の繊維充填方法でエアロゲルフェルト(板)を調製する技術に存在するエアロゲルが容易に脱落し、使用寿命が短く、使用環境の劣化を招き、使用者の健康を害する等の問題を有効に回避することができる。
【0019】
本発明の典型的な実施形態によると、エアロゲル変性ポリプロピレンの調製方法を提供する。該調製方法は、重合反応の前または重合反応中において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することで、エアロゲルの均一な分散を実現する、プロピレン重合工程によってエアロゲル変性ポリプロピレンを調製することを含み、但し、反応物は、プロピレン・モノマーと、触媒と、補助剤と、を含み、エアロゲルの粒径は20nm~100μm間であり、空隙率は40%~99.9%間であり、かさ密度は3~500g/Lで、体積分率は、エアロゲル変性ポリプロピレンで調製される超軽量断熱保温メルト・ブロ
ーン不織布の体積の20%~60%を占める。
【0020】
本発明において、触媒はチーグラ‐ナッタ触媒系、メタロセン触媒系であることができ、使用量は30~0.8kg.pp/g.cat(0.1~5ppm)であり、補助剤は水素であることができ、使用量は50~1000ppmである。
【0021】
本発明の技術によると、如何なる分散補助剤も添加していない条件で、異なる粒径及び空隙率のエアロゲルを選択し使用し、エアロゲルの添加量を変えて、混合方式を改善することで、エアロゲルが均一に分散され良好なメルト・ブローン性能を有するエアロゲル変性ポリプロピレン粒子、及び超軽量断熱保温機能を有するメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を調製することができる。また、in-situ重合法によってエアロゲル変性ポリプロピレンを獲得するので、このような調製方法によると、粉の分散が均一で、粒径を調整可能なポリマーが得られ、加工中にポリプロピレン溶融体が表面張力と流路せん断力の作用を受けたため、エアロゲルがポリプロピレン基体内に覆われていて、不織布におけるエアロゲルが使用中に脱落せず、使用寿命が長い。
【0022】
本発明の典型的な実施形態によると、プロピレン重合工程は、気相法プロピレン重合工程、スラリー法プロピレン重合工程または液相法プロピレン重合工程である。
【0023】
本発明の典型的な実施形態によると、気相法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することが、エアロゲルをプロピレン・モノマーと混合すること、または触媒と混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または上記混合方式の任意の結合を含む。
【0024】
本発明の典型的な実施形態によると、スラリー法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することが、エアロゲルを触媒と炭化水素系溶剤とからなるスラリー状液体と混合すること、またはプロピレン・モノマーと混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または上記混合方式の任意の結合を含む。
【0025】
好ましくは、スラリー法プロピレン重合工程が、得られたポリプロピレン原料を、脱灰、沈殿し溶剤とランダム体とを分離し、混練を行うことをさらに含む。
【0026】
本発明の典型的な実施形態によると、液相法プロピレン重合工程において、エアロゲルを添加して粘度の低い反応物と混合することが、エアロゲルをプロピレン・モノマーと混合すること、または触媒と混合すること、または単独に重合反応装置に添加して、反応物と混合すること、または上記混合方式の任意の結合を含む。
【0027】
好ましくは、液相法プロピレン重合工程において、フラッシュ蒸留分離してランダムコポリマーを除去することを含む。
【0028】
本発明の典型的な実施形態によると、超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の調製方法を提供する。該調製方法は、上記いずれかの方法でエアロゲル変性ポリプロピレンを調製することと、エアロゲル変性ポリプロピレンをメルト・ブローン装置に投入して超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布を調製することと、を含む。
【0029】
本発明の典型的な実施形態によると、エアロゲル変性ポリプロピレンを提供する。該エアロゲル変性ポリプロピレンは、上記いずれかの調製方法によって調製され、エアロゲル変性ポリプロピレンにおけるエアロゲルのサイズが15nm~100μmである。
【0030】
本発明の典型的な実施形態によると、超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布を提供する。該超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布は、上記調製方法によって調製され、超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布におけるエアロゲルのサイズは15nm~10μmである。該不織布は、軽量で保温効果が高い等のメリットを有する。
【0031】
以下、実施例を結合して本発明の有益な効果をさらに説明し、以下の実施例で詳細に説明しないステップまたは原料については本分野でよく用いられる技術手段または通常の原料で実現することができる。
【0032】
実施例1
気相法:
加熱乾燥または脱水剤の方法でエアロゲルに対して脱水乾燥を行った。不活性ガスまたは脱酸剤を用いて、脱水したエアロゲルを脱酸させて、乾燥、脱酸したエアロゲルを得た。
【0033】
超高活性触媒TiCl3/ジイソブチル・ジメトキシ・シラン/MgCl2/Et3Al(質量比は25:55:21:53で、TiCl3は8ppmである。)、精製されたプロピレン・モノマー、水素(150ppm)、脱水脱酸したエアロゲル(プロピレンの2wt%)を順に第1の水平式攪拌床反応器に投入して攪拌を開始し、温度を71℃まで上昇し、圧力は2.25MPaである。得られたポリプロピレン粉体を粉体搬送ファンによって第2の水平式攪拌床反応器に投入し、同時に、第2の水平式攪拌床反応器に精製されたプロピレン・モノマーと水素を添加して攪拌を開始し、温度を71℃まで上昇し、圧
力は2.25MPaである。重合反応の後に、ポリプロピレン粉体がバッグ・フィルター(bag filter)でガスと分離され、脱気チャンバー中で乾燥し不活性化して、押出造粒システムに入って混練し造粒される。
【0034】
GB/T 30923-2014プラスチックにおけるポリプロピレン(PP)・メルト・ブローン専用材料を用いて、以上のポリプロピレンのテストを行った結果、溶融指数は715g/10minであった。
【0035】
以上のポリプロピレン粒子を通常のポリプロピレン・メルト・ブローン機器、工程パラメータでメルト・ブローンを行って、熱伝導係数が0.029W/(m・K)であって、、エアロゲルが最終的な超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積分率の56%を占める、エアロゲル含有のメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を取得した。具体的なメルト・ブローン・パラメータは、ダイ温度が245℃で、ダイからキャッチャーまでの距離が0.152mであり、熱風温度が145℃で、熱風速度が500m/sである。
【0036】
実施例2
液相法:
実施例1と同様にエアロゲルに乾燥脱酸前処理を行った。
【0037】
12m3の重合釜に精製されたプロピレン・モノマー3000kgを投入し、脱水脱酸したエアロゲルを原料追加口から重合釜に添加して攪拌を開始し、その後、触媒TiCl3/AlEt2Cl/Lewis塩基(TiCl3は50ppmで、アルミニウム/チタンのモル比は11で、Lewis塩基/チタンのモル比は3である。)、水素(150ppm)を添加し、温度を75℃まで上昇し、圧力は3.5MPaで、重合を開始する。転化率が70%~80%に達するまで重合させて反応を停止し、未反応のプロピレン・モノマーを排出し、ポリプロピレンをフラッシュ蒸留釜へ取り入れてフラッシュ蒸留を行った後に空気を通過させて、取り出してポリプロピレン粉体を取得して、押出造粒してポリプロピレン粒子を得た。
【0038】
GB/T 30923-2014プラスチックにおけるポリプロピレン(PP)・メルト・ブローン専用材料を用いて、以上のポリプロピレンにテストを行った結果、溶融指数は898g/10minであった。
【0039】
以上のポリプロピレン粒子を通常のポリプロピレン・メルト・ブローン機器、工程パラメータでメルト・ブローンを行って、熱伝導係数が0.031W/(m・K)であって、エアロゲルが最終的な超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積分率の49%を占める、エアロゲル含有のメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を取得した。具体的なメルト・ブローン・パラメータは、ダイ温度が240℃で、ダイからキャッチャーまでの距離が0.152mであって、熱風温度が140℃で、熱風速度が400m/sである。
【0040】
実施例3
スラリー法:
実施例1と同様にエアロゲルに乾燥脱酸前処理を行った。
【0041】
触媒TiCl3/AlEt2Cl/Lewis塩基(TiCl3は50ppmであって、アルミニウム/チタンのモル比は11で、Lewis塩基/チタンのモル比は3である。)、水素(150ppm)を前重合反応器に投入し、不活性溶剤であるヘキサンとスラリー液状になるまで混合し、窒素シール条件で定量の気体状の精製されたプロピレンを添加して、10~25℃の温度で1~2h重合させて前重合された触媒を得た。
【0042】
前重合された触媒と脱水脱酸したエアロゲルとを液体状の精製されたプロピレンに投入して攪拌を開始し、温度を70℃まで上昇し、圧力は1.0MPaで、重合を開始する。転化率が70%~80%に達するまで重合させて反応を停止し、未反応のプロピレン・モノマーを排出し、ポリプロピレンをフラッシュ蒸留釜へ取り入れてフラッシュ蒸留を行った後に空気を通過させて、洗浄、遠心分離、乾燥を経て、取り出してポリプロピレン粉体を得て、押出造粒してポリプロピレン粒子を得た。
【0043】
GB/T 30923-2014プラスチックにおけるポリプロピレン(PP)メルトブローン専用材料を用いて、以上のポリプロピレンに対してテストを行った結果、溶融指数は912g/10minであった。
【0044】
以上のポリプロピレン粒子を通常のポリプロピレン・メルト・ブローン機器、工程パラメータでメルト・ブローンを行って、熱伝導係数が0.035W/(m・K)であって、エアロゲルが最終的な超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積分率の40%を占める、エアロゲル含有のメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を取得した。具体的なメルト・ブローン・パラメータは、ダイ温度が240℃で、ダイからキャッチャーまでの距離が0.152mであって、熱風温度が140℃で、熱風速度が400m/sである。
【0045】
実施例4
スラリー法:
実施例1と同様にエアロゲルに乾燥脱酸前処理を行った。
【0046】
脱水脱酸したエアロゲル、触媒TiCl3/AlEt2Cl/Lewis塩基(TiCl3は50ppmであって、アルミニウム/チタンのモル比は11で、Lewis塩基/チタンのモル比は3である。)、水素(150ppm)を前重合反応器に投入し、不活性溶剤であるヘキサンとスラリー液状になるまで混合し、窒素シール条件で定量の気体状の精製されたプロピレンを添加して、10~25℃の温度で1~2h重合させて前重合された触媒を得た。
【0047】
上記触媒を液体状の精製されたプロピレンに添加して攪拌を開始し、温度を70℃まで上昇し、圧力は1.0MPaであって、重合を開始する。転化率が70%~80%に達するまで重合させて反応を停止し、未反応のプロピレン・モノマーを排出し、ポリプロピレンをフラッシュ蒸留釜へ取り入れてフラッシュ蒸留を行った後に空気を通過させて、洗浄、遠心分離、乾燥を経て、取り出してポリプロピレン粉体を得て、押出造粒してポリプロピレン粒子を得た。
【0048】
GB/T 30923-2014プラスチックにおけるポリプロピレン(PP)メルト・ブローン専用材料を用いて、以上のポリプロピレンに対してテストを行った結果、溶融指数は804g/10minであった。
【0049】
以上のポリプロピレン粒子を通常のポリプロピレン・メルト・ブローン機器、工程パラメータでメルト・ブローンを行って、熱伝導係数が0.030W/(m・K)であって、エアロゲルが最終的な超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積分率の52%を占める、エアロゲル含有のメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を取得した。具体的なメルト・ブローン・パラメータは、ダイ温度が245℃で、ダイからキャッチャーまでの距離が0.152mであって、熱風温度が145℃で、熱風速度が500m/sである。
【0050】
実施例5:
気相法:
加熱乾燥または脱水剤の方法でエアロゲルに対して脱水乾燥を行った。不活性ガスまたは脱酸剤を用いて、脱水したエアロゲルを脱酸させて、乾燥、脱酸したエアロゲルを得た。
【0051】
超高活性触媒TiCl3/ジイソブチル・ジメトキシ・シラン/MgCl2/Et3Al(質量比は25:55:21:53であり、TiCl3は8ppmである。)、精製されたプロピレン・モノマー及び水素(150ppm)を順に第1の水平式攪拌床反応器に投入して攪拌を開始し、温度を71℃まで上昇し、圧力は2.25MPaである。得られたポリプロピレン粉体を粉体搬送ファンによって第2の水平式攪拌床反応器に投入し、同時に第2の水平式攪拌床反応器に脱水脱酸したエアロゲル(第1の水平式攪拌床反応器中のプロピレンの0.8wt%である)、精製されたプロピレン・モノマー及び水素と投入
して攪拌を開始し、温度を71℃まで上昇し、圧力は2.25MPaである。重合反応させた後に、ポリプロピレン粉体がバッグ・フィルターでガスと分離され、脱気チャンバー中で乾燥し不活性化して、押出造粒システムに入って混練し造粒される。
【0052】
GB/T 30923-2014プラスチックにおけるポリプロピレン(PP)・メルト・ブローン専用材料を用いて、以上のポリプロピレンに対してテストを行った結果、溶融指数は1206g/10minであった。
【0053】
以上のポリプロピレン粒子を通常のポリプロピレン・メルト・ブローン機器、工程パラメータでメルト・ブローンを行って、熱伝導係数が0.058W/(m・K)であって、エアロゲルが最終的な超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積分率の23%を占める、エアロゲル含有のメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を取得した。具体的なメルト・ブローン・パラメータは、ダイ温度が245℃で、ダイからキャッチャーまでの距離が0.152mであって、熱風温度が145℃で、熱風速度が500m/sである。
【0054】
比較例1:
スラリー法:
実施例1と同様にエアロゲルに乾燥脱酸前処理を行った。
【0055】
触媒TiCl3/AlEt2Cl/Lewis塩基(TiCl3は50ppmであって、アルミニウム/チタンのモル比は11で、Lewis塩基/チタンのモル比は3である。)、水素(150ppm)を前重合反応器に投入し、不活性溶剤であるヘキサンとスラリー液状になるまで混合し、窒素シール条件で定量の気体状の精製されたプロピレンを添加して10~25℃の温度で1~2h重合させて前重合された触媒を得た。
【0056】
前重合された触媒と脱水脱酸したエアロゲルを液体状の精製されたプロピレンに投入して攪拌を開始し、温度を70℃まで上昇し、圧力は1.0MPaであって、重合を開始する。転化率が70%~80%に達するまで重合させて反応を停止し、未反応のプロピレン・モノマーを排出し、ポリプロピレンをフラッシュ蒸留釜へ取り入れてフラッシュ蒸留を行った後に空気を通過させて、洗浄、遠心分離、乾燥を経て、取り出してポリプロピレン粉体を得て、押出造粒してポリプロピレン粒子を得た。
【0057】
GB/T 30923-2014プラスチックにおけるポリプロピレン(PP)・メルト・ブローン専用材料を用いて、以上のポリプロピレンに対してテストを行った結果、溶融指数は1327g/10minであった。
【0058】
以上のポリプロピレン粒子を通常のポリプロピレン・メルト・ブローン機器、工程パラメータでメルト・ブローンを行って、熱伝導係数が0.084W/(m・K)であって、エアロゲルが最終的な超軽量断熱保温メルト・ブローン不織布の体積分率の10%を占める、エアロゲル含有のメルト・ブローン・ポリプロピレン不織布を取得した。具体的なメルト・ブローン・パラメータは、ダイ温度が240℃で、ダイからキャッチャーまでの距離が0.152mであって、熱風温度が140℃で、熱風速度が400m/sである。
【0059】
上述のように、本発明の上記実施例によると以下の技術効果を実現できる。
【0060】
1)簡単で効率的なエアロゲル混合方式を提供し、良好なメルト・ブローン性能を有するエアロゲル変性PP、超軽量断熱保温PPメルト・ブローン不織布を取得した。
【0061】
2)ポリプロピレン及びそのメルト・ブローン不織布におけるエアロゲルの粒径サイズ、分散性が調整可能になった。
【0062】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者であれば本発明に様々な修正や変形が可能である。本発明の精神や原則内での全ての修正、同等置換、改良などは本発明の保護範囲内に含まれる。