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特許7554482支保工及びこれに用いる支柱パイプの固定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】支保工及びこれに用いる支柱パイプの固定装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 25/00 20060101AFI20240912BHJP
   E04G 5/16 20060101ALI20240912BHJP
   E04G 7/32 20060101ALI20240912BHJP
   E21D 15/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E04G25/00 Z
E04G5/16 A
E04G7/32 A
E21D15/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021097992
(22)【出願日】2021-06-11
(65)【公開番号】P2022189426
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】395002098
【氏名又は名称】平和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】内橋 幹雄
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013206596(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第112610024(CN,A)
【文献】特開2019-060082(JP,A)
【文献】実公昭45-033156(JP,Y1)
【文献】特開2019-135355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 25/00-25/08
E04G 5/16
E04G 7/32
E21D 15/00-15/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視して仮想直角四角形の各頂点位置に立設状態で配置され、それぞれ断面円形のパイプ材の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ設けられた平面視してコ字状の4つの掛止金具からなる掛止金具群を、前記パイプ材の上下方向に所定ピッチで備えた4本の支柱パイプと、
水平パイプ本体の両端部に設けられた楔材を、隣り合う前記支柱パイプの同じ高さ位置に設けられた対向する前記掛止金具に装着し、前記支柱パイプ同士を連結する短尺の連結パイプを有して、構造物を下方から支持する支保工において、
前記支柱パイプの上下方向両端部には、対となる固定装置が取付け取外し可能に設けられ、
前記各固定装置は、前記支柱パイプの上下方向端部が当接可能な第1のベースプレートと、前記支柱パイプが挿通可能な貫通孔が4つ形成された第2のベースプレートと、前記第1、第2のベースプレート間に取付け固定され、前記第1のベースプレートと前記第2のベースプレートとを平行に配置すると共に、前記貫通孔に挿通された前記支柱パイプの端部が前記第1のベースプレートに当接するようにガイドするステー部材とを有することを特徴とする支保工。
【請求項2】
請求項1記載の支保工において、前記ステー部材は、前記第1、第2のベースプレート間に、前記4本の支柱パイプを囲むように、立設状態で取付け固定された4つの板材で構成され、該各板材の両端部が隣り合う前記支柱パイプの外周面の対向側に隙間を有して沿うように屈曲していることを特徴とする支保工。
【請求項3】
請求項1又は2記載の支保工において、前記支柱パイプの下端部に設けられる前記固定装置の前記第1のベースプレートには、平面視して前記支柱パイプ内に相当する位置に水抜き孔が形成されていることを特徴とする支保工。
【請求項4】
平面視して仮想直角四角形の各頂点位置に立設状態で配置され、それぞれ断面円形のパイプ材の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ設けられた平面視してコ字状の4つの掛止金具からなる掛止金具群を、前記パイプ材の上下方向に所定ピッチで備えた4本の支柱パイプと、
水平パイプ本体の両端部に設けられた楔材を、隣り合う前記支柱パイプの同じ高さ位置に設けられた対向する前記掛止金具に装着し、前記支柱パイプ同士を連結する短尺の連結パイプを有して、構造物を下方から支持する支保工に用いる支柱パイプの固定装置において、
前記支柱パイプの端部が当接可能な第1のベースプレートと、前記支柱パイプが挿通可能な貫通孔が4つ形成された第2のベースプレートと、前記第1、第2のベースプレート間に取付け固定され、前記第1のベースプレートと前記第2のベースプレートとを平行に配置すると共に、前記貫通孔に挿通された前記支柱パイプの端部が前記第1のベースプレートに当接するようにガイドするステー部材とを有し、前記支柱パイプの上下方向両端部に取付け取外し可能に設けられていることを特徴とする支柱パイプの固定装置。
【請求項5】
請求項4記載の支柱パイプの固定装置において、前記ステー部材は、前記第1、第2のベースプレート間に、前記4本の支柱パイプを囲むように、立設状態で取付け固定された4つの板材で構成され、該各板材の両端部が隣り合う前記支柱パイプの外周面の対向側に隙間を有して沿うように屈曲していることを特徴とする支柱パイプの固定装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の支柱パイプの固定装置において、前記支柱パイプの下端部に当接可能な前記第1のベースプレートには、平面視して前記支柱パイプ内に相当する位置に水抜き孔が形成されていることを特徴とする支柱パイプの固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トンネルや橋梁等の土木工事や建築において、構造物を下方から支持する支保工及びこれに用いる支柱パイプの固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土木工事や建築の現場では、構造物を支保工により下方から支持した状態で、様々な作業が進められる。この支保工としては一般的に、4本の管材に連結部材を溶接して一体化した四角支柱と呼ばれるものが使用されている。
しかし、四角支柱は、4本の管材が溶接によって連結され、分解することができない構造となっているため、重量が嵩み、持ち運びに不便であった。
また、土木工事や建築の現場では、支保工や足場を建築物の高さに合わせて上に組んでいく必要があるため、工事全体に必要な支柱(支柱パイプ)や水平材、手摺や踏板等の数が膨大になっていた。
そこで、例えば、特許文献1には、くさび孔を有する受け金具を支柱に設け、水平材をくさび孔に係合させることにより、複数の支柱を連結して支保工を構築する技術が開示されている。これにより、支保工の分解が可能となり、支保工の構築に支柱を使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-105572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した支保工は、複数の支柱をその長さ方向中間部で連結する構成となっており、その上端部やその下端部で連結する構成となっていないため、上端部と下端部では複数の支柱の相対的な位置関係を適切に保てなくなり、例えば、安定した状態で構造物を支持することができず、また、ジャッキ等による支柱の支持に支障をきたすおそれがあった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、支保工の構築に支柱パイプを使用でき、また、支保工を分解可能な構成とし、構造物の支持やジャッキ等による支持を安定に実施可能にする支保工及びこれに用いる支柱パイプの固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る支保工は、平面視して仮想直角四角形の各頂点位置に立設状態で配置され、それぞれ断面円形のパイプ材の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ設けられた平面視してコ字状の4つの掛止金具からなる掛止金具群を、前記パイプ材の上下方向に所定ピッチで備えた4本の支柱パイプと、
水平パイプ本体の両端部に設けられた楔材を、隣り合う前記支柱パイプの同じ高さ位置に設けられた対向する前記掛止金具に装着し、前記支柱パイプ同士を連結する短尺の連結パイプを有して、構造物を下方から支持する支保工において、
前記支柱パイプの上下方向両端部には、対となる固定装置が取付け取外し可能に設けられ、
前記各固定装置は、前記支柱パイプの上下方向端部が当接可能な第1のベースプレートと、前記支柱パイプが挿通可能な貫通孔が4つ形成された第2のベースプレートと、前記第1、第2のベースプレート間に取付け固定され、前記第1のベースプレートと前記第2のベースプレートとを平行に配置すると共に、前記貫通孔に挿通された前記支柱パイプの端部が前記第1のベースプレートに当接するようにガイドするステー部材とを有する。
【0007】
本発明に係る支保工において、前記ステー部材は、前記第1、第2のベースプレート間に、前記4本の支柱パイプを囲むように、立設状態で取付け固定された4つの板材で構成され、該各板材の両端部が隣り合う前記支柱パイプの外周面の対向側に隙間を有して沿うように屈曲していることが好ましい。
【0008】
本発明に係る支保工において、前記支柱パイプの下端部に設けられる前記固定装置の前記第1のベースプレートには、平面視して前記支柱パイプ内に相当する位置に水抜き孔が形成されているのがよい。
【0009】
前記目的に沿う本発明に係る支柱パイプの固定装置は、平面視して仮想直角四角形の各頂点位置に立設状態で配置され、それぞれ断面円形のパイプ材の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ設けられた平面視してコ字状の4つの掛止金具からなる掛止金具群を、前記パイプ材の上下方向に所定ピッチで備えた4本の支柱パイプと、
水平パイプ本体の両端部に設けられた楔材を、隣り合う前記支柱パイプの同じ高さ位置に設けられた対向する前記掛止金具に装着し、前記支柱パイプ同士を連結する短尺の連結パイプを有して、構造物を下方から支持する支保工に用いる支柱パイプの固定装置において、
前記支柱パイプの端部が当接可能な第1のベースプレートと、前記支柱パイプが挿通可能な貫通孔が4つ形成された第2のベースプレートと、前記第1、第2のベースプレート間に取付け固定され、前記第1のベースプレートと前記第2のベースプレートとを平行に配置すると共に、前記貫通孔に挿通された前記支柱パイプの端部が前記第1のベースプレートに当接するようにガイドするステー部材とを有し、前記支柱パイプの上下方向両端部に取付け取外し可能に設けられている。
【0010】
本発明に係る支柱パイプの固定装置において、前記ステー部材は、前記第1、第2のベースプレート間に、前記4本の支柱パイプを囲むように、立設状態で取付け固定された4つの板材で構成され、該各板材の両端部が隣り合う前記支柱パイプの外周面の対向側に隙間を有して沿うように屈曲していることが好ましい。
【0011】
本発明に係る支柱パイプの固定装置において、前記支柱パイプの下端部に当接可能な前記第1のベースプレートには、平面視して前記支柱パイプ内に相当する位置に水抜き孔が形成されているのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る支保工及びこれに用いる支柱パイプの固定装置は、支柱パイプの上下方向両端部に固定装置が取付け取外し可能に設けられるので、支保工の構築に支柱パイプを使用することができ、また、支保工を分解可能な構成とすることができる。
特に、固定装置は、第1のベースプレートと、第2のベースプレートと、第1、第2のベースプレート間に取付け固定されたステー部材を有し、第2のベースプレートには支柱パイプが挿通可能な4つの貫通孔が形成され、ステー部材が支柱パイプの端部をガイドするので、支柱パイプの上端部と下端部において、隣り合う支柱パイプの相対的な位置関係を、簡単な構成によって確実に維持できる。これにより、構造物の支持やジャッキ等による支持を安定に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る支保工の正面図である。
図2】(A)、(B)はそれぞれ同支保工の下端部に設けられた支柱パイプの固定装置の平面図、正面図である。
図3】(A)、(B)はそれぞれ同支保工の上端部に設けられた支柱パイプの固定装置の平面図、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2(A)、(B)、図3(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る支保工(四角支柱)10は、平面視して仮想正方形(仮想直角四角形の一例、仮想長方形でもよい)の各頂点位置に立設状態で配置された4本の支柱パイプ11と、この4本の支柱パイプ11の上下方向(高さ方向)両端部を除く部分(上下方向途中位置)を連結する複数の連結パイプ12と、4本の支柱パイプ11の上下方向の下端部と上端部(両端部)をそれぞれ連結する固定装置(支柱パイプの固定装置)13、14とを有し、例えば、土木工事や建築の現場で使用され、構造物(図示しない)を下方から支持するものである。
以下、詳しく説明する。
【0015】
4本の支柱パイプ11は、図1に示すように、通常、足場の構築に使用されるものであり、その規格としては、長さが1800mm、2700mm、3800mm等のものがあるが、特に限定されるものではない。なお、支保工10の構築に使用する4本の支柱パイプ11は、同じ長さ(同じ構成)である。
4本の支柱パイプ11は、平面視して仮想正方形の各頂点位置に配置されるが、隣り合う支柱パイプ11の間隔(支柱パイプ11の軸心距離:仮想正方形の辺部の長さに相当)は、支保工10の構成に応じて適宜設定されるものであり、例えば、100~300mm(ここでは、150mm)程度である。なお、4本の支柱パイプ11が、平面視して仮想長方形の各頂点位置に配置される場合は、例えば、上記した隣り合う支柱パイプの間隔の範囲内で変更できる。
【0016】
支柱パイプ11は、断面円形のパイプ材15を有し、その上下方向(長さ方向)両端部を除く外側円周部には、平面視してコ字状(断面コ字状(同一形状))の第1~第4(4つ)の掛止金具16~19からなる掛止金具群20が、パイプ材15の上下方向に所定ピッチ(例えば、400~600mm程度)で複数(ここでは4箇所)設けられている。この掛止金具群20を構成する第1~第4の掛止金具16~19は、パイプ材15の外側円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置(軸心を垂直に配置したパイプ材15の前後左右)にそれぞれ固定されている。なお、第1、第3の掛止金具16、18はパイプ材15を中心として対向して同じ高さ位置に、第2、第4の掛止金具17、19はパイプ材15を中心として対向して同じ高さ位置に、それぞれ配置され、更に、第1、第3の掛止金具16、18が第2、第4の掛止金具17、19よりもその高さ分程度だけ下位置に配置されている(段違いに設置されている)。
【0017】
連結パイプ12は、水平パイプ本体21と、この水平パイプ本体21の両端部に設けられた角筒材22及び楔材23とを有する短尺のものであり、この楔材23を、隣り合う支柱パイプ11の同じ高さ位置に設けられた対向する第1の掛止金具16と第3の掛止金具18にそれぞれ装着することで、また、対向する第2の掛止金具17と第4の掛止金具19にそれぞれ装着することで、支柱パイプ11同士を連結するものである。
具体的には、角筒材22に形成された切欠き24が、第1~第4の掛止金具16~19にそれぞれ側部から嵌入した状態で、楔材23を上方から嵌入させることで、連結パイプ12と支柱パイプ11とを連結できる。
なお、角筒材22と楔材23の構成は、例えば、特許第6251711号公報に開示された構成と略同様のものであるため、以下、簡単に説明する。
【0018】
角筒材22は、鋼材(ステンレス鋼も含む)で構成され、平面視して正四角形(即ち、角が丸みを有する長方形)となって、第1の掛止金具16(又は第2~第4の掛止金具17~19、以下同じ)の幅と同一の間隔で配置された側板部25、26と、この側板部25、26を連接する前板部27及び後ろ板部28とを有している。この前板部27及び側板部25、26の前側中央には切欠き24が形成され、この切欠き24内に第1の掛止金具16が少しの隙間を有して嵌入し、その上に前板部27と側板部25、26の上部が載置される。
角筒材22の前側(即ち、切欠き24の前側上部)には、第1の掛止金具16の上部に一部嵌入する突出部が形成され、角筒材22の切欠き24に第1の掛止金具16を入れた場合、角筒材22が横移動しないようになっている。
【0019】
楔材23は、鋼材(ステンレス鋼も含む)で構成され、第1の掛止金具16に装着された角筒材22と第1の掛止金具16との隙間に上から嵌入するものであり、中央には長尺の貫通孔29が設けられている。楔材23は、角筒材22に隙間を有して嵌入し、下方に薄くなって、しかも、下部が後ろ側に曲がった「く」字状部30を有している。そして、第1の掛止金具16と角筒材22の両方に挿通し、楔材23が下方に下がって第1の掛止金具16と角筒材22を締結するようになっている。
角筒材22の上部を前後に跨がって設けられた保持金具31は、楔材23の貫通孔29に隙間を有して(遊嵌して)設けられている。これにより、楔材23の角筒材22からの脱落を防止できると共に、楔材23が未嵌入状態(傾斜状態又は水平状態)から嵌入状態(垂直状態:図1参照)に、その角度及び位置を円滑に変えることができるようになっている。
【0020】
対となる固定装置13、14はそれぞれ、図1に示すように、支柱パイプ11の上下方向の下端部と上端部に取付け取外し可能に設けられている。
支柱パイプ11の下端部に設けられる固定装置13は、直接、又は、支保工の高さを調整するためのジャッキ(図示しない)を介して、地面に設置されるものである。なお、ジャッキは、地面等に設置されるベース部と、このベース部から上方へ延びるネジ軸と、このネジ軸に螺合する可動部とを有する従来公知の構造となっており、可動部をネジ軸に螺合させた状態で回転させることにより、可動部の高さ調整ができるものである。
支柱パイプ11の上端部に設けられる固定装置14は、構造物を、直接、又は、補助金具(梁受金具等)を介して、支持するものであり、ジャッキ(図示しない)を配設することもできる。
【0021】
支柱パイプ11の下端部に設けられる固定装置13は、図1図2(A)、(B)に示すように、第1のベースプレート32と、第2のベースプレート33と、第1、第2のベースプレート32、33間に取付け固定され、第1のベースプレート32と、第2のベースプレート33とを平行に配置するステー部材34を有している。
支柱パイプ11の上端部に設けられる固定装置14は、図1図3(A)、(B)に示すように、第1のベースプレート35と、第2のベースプレート36と、第1、第2のベースプレート35、36間に取付け固定され、第1のベースプレート35と、第2のベースプレート36とを平行に配置するステー部材37を有している。
なお、2つの固定装置13、14は、略同様の構成であるため、下端部の固定装置13について詳しく説明し、上端部の固定装置14については簡単に説明する。
【0022】
固定装置13の第1、第2のベースプレート32、33は、図2(A)、(B)に示すように、鋼材(例えば、SS400)からなる平面視して正方形状の板材であって、その外形(外側輪郭形状)は同じであるが、厚みは、第1のベースプレート32が第2のベースプレート33よりも厚くなっている。
第1のベースプレート32は、支柱パイプ11の下端部(下端)が上方から当接可能なものであり、平面視して支柱パイプ11内に相当する位置には、支柱パイプ11内に流れ込んだ水を外部へ排出するための水抜き孔38(貫通孔)が形成されている。
第2のベースプレート33には、支柱パイプ11の下端部が挿通可能な貫通孔39が4つ(平面視して仮想正方形の各頂点位置に)形成されている。この貫通孔39の内径は、支柱パイプ11の下端部の外径よりも僅かに大きい程度である。
【0023】
なお、第1、第2のベースプレート32、33には、上記したジャッキを取付け可能にするための孔40~42が形成されている。
第1のベースプレート32に形成された孔40、41のうち、第1のベースプレート32の中央部に形成された孔40は、ジャッキのネジ軸の上側が貫通するためのものであり、第1のベースプレート32の外周部に形成された複数の孔41は、ジャッキの可動部に締結部材によって締結固定するためのものである。
また、第2のベースプレート33の中央部に形成された孔42は、ジャッキのネジ軸の上側が貫通するためのものである。
【0024】
ステー部材34は、第2のベースプレート33の貫通孔39に挿通された支柱パイプ11の下端部が、第1のベースプレート32に当接するようにガイドする。具体的には、ステー部材34は、第1、第2のベースプレート32、33間に、4本の支柱パイプ11を囲むように、立設状態で、例えば、溶接によって取付け固定された4つの板材43で構成されている。
各板材43は、鋼材(例えば、SS400)で構成され、平面視して第1、第2のベースプレート32、33の中央部に向けて凹むように、かつ、各板材43の両端部が、隣り合う支柱パイプ11の外周面の対向側に隙間を有して沿うように屈曲形成されている。なお、板材43の高さ(第1のベースプレート32と第2のベースプレート33の間隔)は、支柱パイプ11を確実に固定や支持するため、例えば、80~150mm(ここでは、120mm)程度にしている。
【0025】
隣り合う板材43の端部であって、支柱パイプ11を中心として対向する位置には、対となる抜止めピン用孔44が一対又は複数対形成されている。
4本の支柱パイプ11への固定装置13の取付けは、第2のベースプレート33への支柱パイプ11の下端部を挿通することのみで行われるため、固定装置13から支柱パイプ11が抜けるおそれがある。このため、支柱パイプ11の下端部に予め設けられた孔(図示しない)の位置に、上記した抜止めピン用孔44の位置が合うように、抜止めピン用孔44を板材43の端部に複数形成し、使用にあっては、連続した抜止めピン用孔44と支柱パイプ11の孔に抜止めピン(図示しない)を挿通することで、固定装置13からの支柱パイプ11の抜けを防止している。
【0026】
固定装置14の第1、第2のベースプレート35、36は、図3(A)、(B)に示すように、平面視して正方形状の板材(第1、第2のベースプレート32、33と同様)であって、その外形(外側輪郭形状)と厚みが同じであるが、異なってもよい。
第1のベースプレート35は、支柱パイプ11の上端部(上端)が下方から当接可能なものであり、第2のベースプレート36は、支柱パイプ11の上端部が挿通可能な貫通孔45が4つ(平面視して仮想正方形の各頂点位置に)形成されたものである。この貫通孔45の内径は、支柱パイプ11の上端部の外径よりも僅かに大きい程度である。
なお、第1、第2のベースプレート35、36には、上記した補助金具やジャッキ等を取付け可能にするための孔46~48が形成されている。
【0027】
ステー部材37は、第2のベースプレート36の貫通孔45に挿通された支柱パイプ11の上端部が、第1のベースプレート35に当接するようにガイドする。具体的には、ステー部材37は、第1、第2のベースプレート35、36間に、4本の支柱パイプ11を囲むように、立設状態で取付け固定された4つの板材49で構成されている(ステーブ材34とこれを構成する板材43と同様)。
各板材49は、平面視して第1、第2のベースプレート35、36の中央部に向けて凹むように、かつ、各板材49の両端部が、隣り合う支柱パイプ11の外周面の対向側に隙間を有して沿うように屈曲形成されている。なお、板材49の高さ(第1のベースプレート35と第2のベースプレート36の間隔)は、支柱パイプ11を確実に固定するため、例えば、130~200mm(ここでは、170mm)程度にしている。
この隣り合う板材49の端部であって、支柱パイプ11を中心として対向する位置にも、対となる抜止めピン用孔50(抜止めピン用孔44と同様)が一対又は複数対形成されている。
【0028】
上記した支保工10の構築(組立て)は、予め準備した4本の支柱パイプ11を、例えば、水平状態(寝かした状態)とし、支柱パイプ11の下端部と上端部に固定装置13、14をそれぞれ取付ける。このとき、隣り合う支柱パイプ11の同じ高さ位置に設けられた第1の掛止金具16と第3の掛止金具18とが、また、第2の掛止金具17と第4の掛止金具19とが、それぞれ対向するように、各支柱パイプ11を配置した後、ステー部材34、37の抜止めピン用孔44、50に抜止めピンを差込んで、各支柱パイプ11に固定装置13、14を取付け固定する。
なお、必要に応じて、固定装置13にはジャッキを、固定装置14には補助金具やジャッキを、それぞれ取付ける。
そして、連結パイプ12の楔材23を第1~第4の掛止金具16~19にそれぞれ装着して、支柱パイプ11同士を連結する。
上記した方法で組立てた支保工10を立設状態にして使用する。
【0029】
また、支保工10の解体は、上記した手順とは逆の手順で行う。
具体的には、立設状態の支保工10を水平状態とした後、支柱パイプ11同士を連結した連結パイプ12の楔材23を、第1~第4の掛止金具16~19から取外す。
次に、固定装置13、14のステー部材34、37の抜止めピン用孔44、50に差込んだ抜止めピンを引き抜き、各支柱パイプ11から固定装置13、14を取外す。
なお、支保工10の構築と解体は、上記した方法に限定されるものではなく、種々変更できる。
このように、本発明の支保工10及びこれに用いる支柱パイプの固定装置13、14を使用することで、支保工10の構築に支柱パイプ11を使用でき、また、支保工10を分解可能な構成とし、構造物の支持やジャッキ等による支持を安定に実施できる。
【0030】
また、支保工(四角支柱)を4セット準備し、各支保工を平面視して仮想正方形(仮想直角四角形)の各頂点位置に立設状態で配置して、隣り合う支保工の対向する支柱パイプ同士を、長尺の連結パイプ(前記した短尺の連結パイプ12よりも水平パイプ本体の長さが長い連結パイプ)で連結することもできる。
この各支保工を構成する支柱パイプはそれぞれ、その軸心方向に複数本連結して構成することもできる。この場合、以下の方法によって構築することができる。
まず、4つのジャッキ(図示しない)を、地面上の平面視して仮想正方形の各頂点位置に配置する。
次に、各ジャッキに、支柱パイプの下端部に取付ける固定装置を、ボルトを用いて取付ける。
【0031】
各固定装置の最も内側(4つの固定装置の各貫通孔で形成される平面視して最も小さい仮想正方形の各頂点位置)に位置する貫通孔に支柱パイプを挿通し、長尺の連結パイプの両端部に設けられた楔材を、立設状態の隣り合う支柱パイプの同じ高さ位置(例えば、上部と下部)に設けられた対向する掛止金具に装着して、支柱パイプ同士を連結する。
次に、各固定装置の最も外側(4つの固定装置の各貫通孔で形成される平面視して最も大きな仮想正方形の各頂点位置)に位置する貫通孔を除く2つの貫通孔に支柱パイプをそれぞれ挿通し、長尺の連結パイプの楔材を、立設状態の隣り合う支柱パイプの同じ高さ位置に設けられた対向する掛止金具に装着して、支柱パイプ同士を連結すると共に、先行手摺り(四構面)を設置する。
【0032】
最後に、各固定装置の最も外側に位置する貫通孔に支柱パイプを挿通し、短尺の連結パイプ(即ち、連結パイプ12)を、各固定装置の立設状態の隣り合う支柱パイプの同じ高さ位置に設けられた対向する掛止金具に装着して、支柱パイプ同士を連結する。このとき、前記した抜止めピンを用いて、各支柱パイプを固定装置に固定する。
なお、1層目の支柱パイプの高さ方向途中位置に設けられた対向する掛止金具に装着され、平面視して内側の仮想正方形の対向する辺部に位置する長尺の連結パイプには、踏板(床付き布わく)を掛け渡す。この踏板が、後述する2層目の支柱パイプを設置するための足場となる。
以上の方法により、高さ方向1層目の支柱パイプの設置が完了する。
【0033】
次に、手摺り先行工法を用いて、高さ方向2層目の支柱パイプの設置を行う。
まず、各固定装置に取付けられた支柱パイプのうち、最も内側と最も外側に位置する支柱パイプを除いた2本の支柱パイプへの2層目の支柱パイプの連結と、先行手摺りの設置と、長尺の連結パイプによる支柱パイプ同士の連結を行う(1層目の支柱パイプと同様)。
続いて、残りの支柱パイプへの2層目の支柱パイプの連結と、長尺の連結パイプによる最も内側に位置する支柱パイプ同士の連結と、踏板の掛け渡しと、1層目と2層目の踏板に掛け渡す階段の設置を行う。
最後に、長尺の連結パイプによる、最も内側と最も外側を除く位置にある支柱パイプ同士の連結と、短尺の連結パイプによる各固定装置の支柱パイプ同士の連結を行う。
以上の方法により、高さ方向2層目の支柱パイプの設置が完了する。
【0034】
高さ方向3層目以降は、上記した2層目と同様の手順を用いて、支柱パイプの設置を行う。
最終層の支柱パイプの設置が終了した後は、最終層の支柱パイプの上端部に固定装置を取付け、前記した抜止めピンを用いて、各支柱パイプに固定装置を固定する。なお、この固定装置には、必要に応じて、前記した補助金具等を取付ける。
【0035】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の支保工及びこれに用いる支柱パイプの固定装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、支柱パイプのパイプ材に設けられた第1、第3の掛止金具が、第2、第4の掛止金具よりもその高さ分程度だけ下位置に配置(段違いに設置)された場合について説明したが、第1~第4の掛止金具は同じ高さ位置に配置されてもよい。
また、前記実施の形態においては、支柱パイプ同士を連結する連結パイプとして、短尺の水平パイプ本体と、この水平パイプ本体の両端部に設けられた角筒材及び楔材とを有するものを使用したが、支柱パイプ同士を連結できれば、特に限定されるものではなく、例えば、水平パイプ本体の両端部に楔材が設けられた従来公知のものを使用することもできる。
【0036】
更に、固定装置に用いる支柱パイプには、通常足場に使用される支柱パイプと同じ製品を使用できるため、前記実施の形態に限定されない多様な連結方法や構成も可能となり、支柱パイプを色々な方法で使用できる。また、このように、支柱パイプを使用することにより、例えば、作業足場や昇降設備等の施工が容易に可能となる。
なお、前記実施の形態では、4本の支柱パイプを連結パイプで連結して、支柱パイプの両端部に固定装置を取付けたものを支保工として使用することについて説明しているが、使用方法については特に限定されるものではなく、前記実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せた構成であれば、本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10:支保工、11:支柱パイプ、12:連結パイプ、13、14:固定装置(支柱パイプの固定装置)、15:パイプ材、16:第1の掛止金具、17:第2の掛止金具、18:第3の掛止金具、19:第4の掛止金具、20:掛止金具群、21:水平パイプ本体、22:角筒材、23:楔材、24:切欠き、25、26:側板部、27:前板部、28:後ろ板部、29:貫通孔、30:「く」字状部、31:保持金具、32:第1のベースプレート、33:第2のベースプレート、34:ステー部材、35:第1のベースプレート、36:第2のベースプレート、37:ステー部材、38:水抜き孔、39:貫通孔、40~42:孔、43:板材、44:抜止めピン用孔、45:貫通孔、46~48:孔、49:板材、50:抜止めピン用孔
図1
図2
図3