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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】突起切除装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/12 20060101AFI20240912BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240912BHJP
   B23Q 35/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B23C3/12 Z
B25J13/00 Z
B23Q35/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022088855
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023176528
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390020477
【氏名又は名称】トライエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003373
【氏名又は名称】弁理士法人石黒国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】東 和也
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-162680(JP,A)
【文献】特開昭52-014983(JP,A)
【文献】特開昭61-249237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 3/12
B23Q33/00
B24B 1/00- 1/04
B24B 9/00-19/28
B24B 3/00- 3/60
B24B21/00-39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象物の表面に生じた突起を切除する突起切除装置において、
前記突起を切除する刃部と、
この刃部により前記突起を切除するときに、前記刃部に対する相対的な配置が固定されて前記突起の周辺の表面に着地している補助部と、
前記補助部を前記突起の周辺の表面に押し付ける加圧部と、
前記刃部、前記補助部および前記加圧部をマニピュレータとして保持するロボットとを備え、
前記補助部は、前記刃部を挟んで対称となるように2つ組み付けられており、
一方の補助部と他方の補助部との距離は、前記突起の幅よりも大きく、
前記一方、他方の補助部を両方とも、前記突起の周辺の表面に着地させた状態で、前記突起に乗り上げさせることなく、前記刃部を移動させて前記突起を切除することを特徴とする突起切除装置。
【請求項2】
請求項1に記載の突起切除装置において、
前記補助部は、前記刃部の先端よりも先端側に突き出ていることを特徴とする突起切除装置。
【請求項3】
請求項2に記載の突起切除装置において、
前記刃部は所定の電動モータにより回転駆動され、
前記補助部は、この電動モータに取り付けられた組付部に組み付けられており、
前記突起切除装置は、前記補助部の前記刃部の先端からの突出量を変化させる補助部突出可変部を備え、
この補助部突出可変部は、前記電動モータに対する前記組付部の相対的な位置を操作することで、前記突出量を変化させることを特徴とする突起切除装置。
【請求項4】
所定の対象物の表面に生じた突起を切除する突起切除装置において、
前記突起を切除する刃部と、
この刃部により前記突起を切除するときに、前記刃部に対する相対的な配置が固定されて前記突起の周辺の表面に着地している補助部と、
前記補助部を前記突起の周辺の表面に押し付ける加圧部と、
前記刃部、前記補助部および前記加圧部をマニピュレータとして保持するロボットとを備え、
前記補助部を前記突起の周辺の表面に着地させた状態で、前記刃部を移動させて前記突起を切除し、
前記補助部は、前記刃部の先端よりも先端側に突き出ており、
前記刃部は所定の電動モータにより回転駆動され、
前記補助部は、この電動モータに取り付けられた組付部に組み付けられており、
この組付部と前記電動モータとの間に挟まるシムにより、前記補助部の前記刃部の先端からの突出量が定まっていることを特徴とする突起切除装置。
【請求項5】
所定の対象物の表面に生じた突起を切除する突起切除装置において、
前記突起を切除する刃部と、
この刃部により前記突起を切除するときに、前記刃部に対する相対的な配置が固定されて前記突起の周辺の表面に着地している補助部と、
前記補助部を前記突起の周辺の表面に押し付ける加圧部と、
前記刃部、前記補助部および前記加圧部をマニピュレータとして保持するロボットとを備え、
前記補助部を前記突起の周辺の表面に着地させた状態で、前記刃部を移動させて前記突起を切除し、
前記補助部は、前記刃部の先端よりも先端側に突き出ており、
前記刃部は所定の電動モータにより回転駆動され、
前記補助部は、この電動モータに取り付けられた組付部に組み付けられており、
この組付部は、前記先端側に伸びる複数本の脚部を有し、この複数本の脚部の少なくとも一部のそれぞれ前記補助部が組み付けられ、
前記補助部が組み付けられる脚部では、前記先端側の部分であって前記補助部が組み付けられる被組付部と、この被組付部よりも前記電動モータの側の部分である根本部との間にシムが挟まっており
このシムにより、前記補助部の前記刃部の先端からの突出量が定まっていることを特徴とする突起切除装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載の突起切除装置において、
前記ロボットの動作を制御する制御部と、
前記補助部が前記突起の周辺の表面に着地したことを検知する検知部とを備え、
この制御部は、
前記検知部により、前記補助部が前記突起の周辺の表面に着地したことを把握してから、前記刃部を移動させて前記突起を切除させることを特徴とする突起切除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の対象物の表面に生じた突起を切除する突起切除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるNC旋盤等では、ロボットに刃部を保持させるとともに、保持させた刃部を移動させながら金属表面を加工する技術が周知である(例えば、特許文献1参照。)。ところで、このようなNC旋盤により、所定の対象物の表面に生じた突起を切除する加工を行う場合、次のような問題がある(以下、突起が存在する表面を対象表面と呼ぶことがある。)。
【0003】
すなわち、このよう加工を行う場合、所定の基準面に対象物を載せ、基準面から対象表面までの高さを記憶させる。そして、この高さに基づいて刃部の位置を制御する。
このため、対象物の寸法のばらつきにより、高さが対象物ごとに変動すると、突起を適切に切除することができなくなる。つまり、高さが大きい場合、突起の切除が過剰になってしまい、突起以外の本体の部分まで削ってしまう。逆に、高さが小さい場合、突起の切除が不十分になり、突起の根本の部分が残ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2021-516629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、所定の対象物の表面に生じた突起を切除する加工を行うときに、突起を適切に切除することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、突起切除装置は、所定の対象物の表面に生じた突起を切除するものであり、次の刃部、補助部、加圧部およびロボットを備える。まず、刃部は、突起を切除するものであり、補助部は、刃部により突起を切除するときに、突起の周辺の表面に着地しているものである。また、加圧部は、補助部を突起の周辺の表面に押し付けるものであり、ロボットは、刃部、補助部および加圧部をマニピュレータとして保持する。
【0007】
また、補助部は、刃部を挟んで対称となるように2つ組み付けられており、一方の補助部と他方の補助部との距離は、突起の幅よりも大きい。
そして、一方、他方の補助部を両方とも、突起の周辺の表面に着地させた状態で、突起に乗り上げさせることなく、刃部を移動させて突起を切除する。
次に、本開示の第2の態様の突起切除装置によれば、補助部を突起の周辺の表面に着地させた状態で、刃部を移動させて突起を切除する。また、補助部は、刃部の先端よりも先端側に突き出ている。さらに、刃部は所定の電動モータにより回転駆動され、補助部は、電動モータに取り付けられた組付部に組み付けられている。そして、組付部と電動モータとの間に挟まるシムにより、補助部の刃部の先端からの突出量が定まっている。
次に、本開示の第3の態様の突起切除装置によれば、組付部は、先端側に伸びる複数本の脚部を有し、複数本の脚部の少なくとも一部のそれぞれに補助部が組み付けられている。そして、補助部が組み付けられる脚部では、先端側の部分であって補助部が組み付けられる被組付部と、被組付部よりも電動モータの側の部分である根本部との間にシムが挟まっており、シムにより、補助部の刃部の先端からの突出量が定まっている。
これにより、所定の対象物の表面に生じた突起を切除する加工を行うときに、突起を適切に切除する、という課題を潜在的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は突起切除装置の全体構成図であり、(b)は突起切除装置の要部を示す正面図である(実施例)。
図2】(a)は補助部が表面の上側に配置された状態を示す正面図であり、(b)は補助部が表面に着地した状態を示す正面図である(実施例)。
図3】(a)は補助部が表面の上側に配置された状態を示す側面図であり、(b)は補助部が表面に着地した状態を示す側面図である(実施例)。
図4】突起切除装置の動作を示すフローチャートである(実施例)。
図5】(a)は突起切除装置の要部を示す正面図であり、(b)は突起切除装置の要部を示す側面図である(変形例)。
図6】突起切除装置の要部を示す側面図である(変形例)。
図7】突起切除装置の要部を示す側面図である(変形例)。
図8】突起切除装置の要部を示す側面図である(変形例)。
図9】突起切除装置の要部を示す側面図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の突起切除装置を、以下の実施例に基づき説明する。
【実施例
【0010】
〔実施例の構成〕
実施例の突起切除装置1の構成を、図1図3を用いて説明する。
突起切除装置1は、所定の対象物Xの表面2に生じた突起3を切除するものであり、以下に説明する刃部4、補助部5、加圧部6、ロボット7、制御部8および検知部9等を備える。そして、突起除去装置1は、例えば、所定の基準面10に載せた対象物Xに対して、突起3を除去するための動作をする。
ここで、ロボット7は、例えば、周知の多関節型ロボットであり、上記の刃部4、補助部5および加圧部6をマニピュレータとして、自身の先端に保持する。
【0011】
また、制御部8は、マイコン、各種の記憶装置やインバータ回路等を具備するユニットとして設けられ、ロボット7の動作を制御する。すなわち、制御部8は、例えば、各関節に位置するモータを通電制御することにより、マニピュレータとしての刃部4、補助部5および加圧部6を3次元的に移動させたり、刃部4、補助部5および加圧部6の姿勢を変えたりする。
以下、刃部4、補助部5、加圧部6、ロボット7、制御部8および検知部9等を、順次、説明する。
【0012】
まず、刃部4は、例えば、外周刃と底刃を有する周知構造のエンドミルであり、所定の電動モータ11により回転駆動されて突起3を切除する(以下、刃部4をエンドミル4と呼ぶことがある。また、電動モータ11の回転軸、つまり、エンドミル4の回転軸を回転軸αと呼ぶことがある)。なお、電動モータ11は、制御部8により通電制御されて回転駆動される。
【0013】
次に、補助部5は、エンドミル4により突起3を切除するときに、突起3の周辺の表面2に着地しているものであり(図2(b)および図3(b)等参照。)。より具体的には、例えば、同一形状の円筒形の2つのローラである(以下、補助部5をローラ5と呼ぶことがある。)。
【0014】
ここで、電動モータ11の外郭体11aの底部には、2つのローラ5を組み付ける組付部12が、例えば、ネジ締結により取り付けられており、それぞれのローラ5は、組付部12が有する2つの脚部13に個別に組み付けられている。また、外郭体11aは、エンドミル4と同軸の円柱形であり、エンドミル4および2つの脚部13は、外郭体11aの一方の底部から回転軸αと同方向に伸びている。さらに、2つの脚部13は、エンドミル4を挟んで対称となる位置に組み付けられている。
【0015】
また、2つのローラ5は、それぞれの脚部13の先端近傍に設けた支軸に回転自在に組み付けられており、エンドミル4を挟んで対称となるように組み付けられている。なお、ローラ5の回転軸βは、回転軸αに直交している。
そして、ローラ5の先端、つまり、外周面の内、先端側に位置する部位は、回転軸αの方向に関して、エンドミル4の先端よりも、僅かに先端側に突き出ている。
【0016】
このため、ローラ5の外周面は、エンドミル4の先端が突起3の周辺の表面2に着地していない状態で、突起3の周辺の表面2に着地することができる。
ここで、ローラ5のエンドミル4の先端からの突出量は、組付部12と外郭体11aとの間に挟まるシム12aにより定まっている。
【0017】
次に、加圧部6は、ローラ5の外周面を突起3の周辺の表面2に押し付けるものであり、例えば、次の電動モータ15およびボールネジ16により構成されている。
まず、電動モータ15は、ローラ5の外周面を突起3の周辺の表面2に押し付けるための押し付け力を発生するものであり、固定子、回転子それぞれに3相のコイル、永久磁石を装備した周知のブラシレス構造を有し、制御部8により通電制御される。また、電動モータ15には、回転子の回転角を検出するエンコーダ17が装備されている。また、ボールネジ16は、例えば、外郭体11aに設けたナット部18と、電動モータ15の出力軸と同軸に設けた軸部19とから構成されている。
【0018】
そして、制御部8は、電動モータ15を通電制御して軸部19を回転駆動する。これにより、電動モータ11とともにローラ5が回転軸αの方向に、表面2の方に向かって移動して、ローラ5の外周面が突起3の周辺の表面2に押し付けられる。このとき、エンドミル4も、ローラ5とともに、ローラ5と同じ側に移動する。
【0019】
そして、ローラ5が突起3の周辺の表面2に着地した状態で、マニピュレータの全体を、表面2に平行に、つまり、回転軸α、βの両方に垂直な方向に移動させる。これにより、エンドミル4によって突起3が切除される。なお、エンドミル4は、例えば、ローラ5が表面2に着地する前に回転駆動されている。
【0020】
次に、検知部9は、ローラ5が表面2に着地したことを検知するものであり、例えば、エンコーダ17が、検知部9としての機能を有する。すなわち、ローラ5が着地することにより、電動モータ15の回転子において、回転角の時間的な変化率が大幅に小さくなる。このため、制御部8は、エンコーダ17からの出力を監視することで、ローラ5が表面2に着地したことを把握することができ、さらに、ローラ5が表面2に着地したことを把握してから、マニピュレータ全体を移動させてエンドミル4に突起3を切除させることができる。
【0021】
続いて、突起切除装置1による突起3の切除方法を、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4のフローチャートは、突起3の周辺の上空に設定された目標位置に、マニピュレータとしてのエンドミル4、ローラ5および加圧部6が到達することによりスタートする。
【0022】
まず、ステップS1で刃部4を回転駆動する。より具体的には、電動モータ11の通電制御を開始してエンドミル4を回転駆動する。次に、ステップS2で、加圧部6を駆動する。より具体的には、電動モータ15の通電制御を開始する。これにより、エンドミル4およびローラ5は、ボールネジ16により表面2に向かって移動する。
【0023】
次に、ステップS3で、補助部5としてのローラ5が表面2に着地したか否かを、検知部9(エンコーダ17)からの信号に基づき判断する。この結果、ローラ5が表面2に着地したと判定すれば(YES)、ステップS4に進み、ローラ5が表面2に着地していないと判定すれば(NO)、ステップS3に戻る。
そして、ステップS4では、マニピュレータ全体を、表面2に平行に移動させる。これにより、エンドミル4によって突起3が切除される。
【0024】
〔実施例の効果〕
実施例の突起切除装置1は、所定の対象物Xの表面2に生じた突起3を切除するものであり、次の刃部4、補助部5、加圧部6およびロボット7を備える。まず、刃部4としてのエンドミル4は、突起3を切除するものであり、補助部5としてのローラ5は、エンドミル4により突起3を切除するときに、突起3の周辺の表面2に着地しているものである。また、加圧部6は、ローラ5を突起3の周辺の表面2に押し付けるものであり、ロボット7は、エンドミル4、ローラ5および加圧部6をマニピュレータとして保持する。そして、ローラ5を突起3の周辺の表面2に着地させた状態で、エンドミル4を移動させて突起3を切除する。
【0025】
これにより、対象物Xの表面2に生じた突起3を切除する加工を行うときに、突起3を適切に切除する、という課題を解決することができる。
すなわち、加圧部6によりローラ5を突起3の周辺の表面2に押し付けることで、基準面10から表面2までの高さhを利用しなくても、エンドミル4を突起3に対して適切な位置に配置することができる。これにより、突起3の切除が過剰になったり、突起3の切除が不十分になったりするのを防止することができるので、突起3を適切に切除することができる。
【0026】
また、突起切除装置1は、次の制御部8および検知部9を備える。すなわち、制御部8は、ロボット7の動作を制御するものであり、検知部9は、補助部5としてのローラ5が突起3の周辺の表面2に着地したことを検知する。そして、制御部8は、検知部9により、補助部5が表面2に着地したことを把握してから、刃部4を移動させて突起3を切除させる。
これにより、より一層、適切に突起3を切除することができる。
【0027】
また、ローラ5は、エンドミル4の先端よりも先端側に突き出ている。
これにより、突起切除装置1は、エンドミル4によって表面2を傷つけることなく、突起3を切除することができる。
【0028】
さらに、エンドミル4は電動モータ11により回転駆動され、ローラ5は、電動モータ11に取り付けられた組付部12に組み付けられている。そして、電動モータ11と組付部12との間に挟まるシム12aにより、ローラ5のエンドミル4の先端からの突出量が定まっている。
これにより、シム12aの交換等により突出量を変えることができる。このため、突起3の除去の程度を変えることができる。
【0029】
〔変形例〕
実施例は具体的な一例を開示するものであり、突起除去装置1の態様は、実施例に限定されない。
例えば、実施例の補助部5は、ローラ5であったが、反り21を補助部5として採用することもできる(図5参照。)。この場合、補助部5としての反り21を表面2に着地させるとき、マニピュレータの進行の側、つまり、突起3が存在する側が反り上がっているように、反り21を着地させることで、補助部5を円滑に表面2に沿って移動させることができる。
【0030】
また、実施例の加圧部6は、電動モータ15およびボールネジ16により構成され、電動モータ15を通電制御してローラ5を回転軸αの方向に移動させるものであったが、加圧部6の態様は、このような態様に限定されない。例えば、コイルスプリング23やエアシリンダ24を加圧部6として作用してもよい(図6および図7参照。)。
【0031】
コイルスプリング23を加圧部6として採用する場合、例えば、ロボット7の先端側と電動モータ11の側とにバネ座を設け、これらバネ座の間にコイルスプリング23をセットする。また、ロボット7、電動モータ11それぞれの側に係合部を設けて互いに係合させる。
それぞれの係合部には、次のような態様を考えることができる。例えば、ロボット7、電動モータ11それぞれの係合部として、ピン26、長孔27を設けてこれら係合部が互いに回転軸αの方向に相対的に移動することができるようする。
【0032】
これにより、ローラ5が表面2に着地すると、コイルスプリング23は、自ら撓んでローラ5を表面2に押し付けるので、加圧部6として機能することができる。また、コイルスプリング23を加圧部6として採用する場合、ローラ5が表面2に着地すると、コイルスプリング23のバネ力が増加するので、バネ力を検出するセンサ28を、例えば、ロボット7の側のバネ座に装着することで検知部9として機能させることができる。
【0033】
エアシリンダ24を加圧部6として採用する場合、例えば、エアシリンダ24のピストンロッド30の軸の方向が回転軸αの方向を指向するように、電動モータ11をピストンロッド30の先端に固定する。また、エアシリンダ24の本体31、つまり、シリンダ32を形成する部分をロボット7の先端に固定する。
【0034】
そして、ローラ5を表面2に着地させるときに、シリンダ32内にエアを供給することで、エアシリンダ24を加圧部6として機能させることができる。また、エアシリンダ24を加圧部6として採用する場合、ローラ5が表面2に着地すると、シリンダ32内の空気圧の変化率が急激に大きくなるので、シリンダ24内の空気圧を検出するセンサ33を装備して検知部9として機能させることができる。
【0035】
また、実施例の突起切除装置1によれば、電動モータ11と組付部12との間に挟まるシム12aにより、ローラ5のエンドミル4の先端からの突出量が定まっていたが、突出量の設定は、このような態様に限定されない。例えば、脚部13を、直接、外郭体11aから回転軸αの方向に伸びるように設ける。
【0036】
そして、脚部13の内、先端側の部分を、補助部5を組み付ける被組付部13aとして、電動モータ11の側の部分である根本部13bから切り離し、被組付部13aと根本部13bとの間にシム12aを挟んで被組付部13aと根本部13bとを、例えば、ネジ締結するようにしてもよい(図参照。)。
この場合、組付部12の全体よりも、組付部12の一部である被組付部13aの方が軽量なので、シム12aの交換の作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、実施例の突起切除装置1によれば、シム12aの交換により突出量を調節することができたが、突出量の調節は、このような態様に限定されない。例えば、突起切除装置1に、次のような補助部突出可変部35を装備してもよい(以下、補助部突出可変部35を突出可変部35と呼ぶことがある。)。
【0038】
ここで、突出可変部35は突出量を変化させるものであり、例えば、電動モータ11に対する組付部12の相対的な位置を操作することで、突出量を変化させる。
より具体的には、外郭体11aと組付部12との間に、次のような電動モータ36およびボールネジ37を組み付けて突出可変部35として機能させてもよい(図参照。)。
【0039】
ここで、電動モータ36は、組付部12を電動モータ11に対して相対移動させる力を発生するものであり、外郭体11aに固定されている。また、電動モータ36は、例えば、固定子、回転子それぞれに3相のコイル、永久磁石を装備した周知のブラシレス構造を有し、制御部8により通電制御される。さらに、電動モータ36には、回転子の回転角を検出するエンコーダ36aが装備されている。
【0040】
また、ボールネジ37は、例えば、組付部12に設けたナット部37aと、電動モータ36の出力軸と同軸に設けた軸部37bとから構成されている。
そして、制御部8は、電動モータ36を通電制御して軸部37bを回転駆動する。これにより、組付部12が回転軸αの方向に、電動モータ11に対して相対的に移動し、突出量が変化する。
【0041】
さらに、実施例の突起切除装置1は、多関節型のロボット7が刃部4、補助部5および加圧部6をマニピュレータとして保持し、刃部4、補助部5および加圧部6は、ロボット7によって3次元的に位置を変えるものであったが、例えば、汎用的なNC旋盤のように、刃部4を2次元的に変位させるものに、本願発明を採用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 突起切除装置 2 表面 3 突起 4 刃部 5 ローラ(補助部) 6 加圧部 7 ロボット X 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9