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特許7554491二段変速出力装置及び二段変速出力装置を応用した電動自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】二段変速出力装置及び二段変速出力装置を応用した電動自転車
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/44 20060101AFI20240912BHJP
   B62M 6/65 20100101ALI20240912BHJP
   B62M 11/16 20060101ALI20240912BHJP
   F16H 3/66 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F16H3/44 A
B62M6/65
B62M11/16 A
F16H3/66 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022180614
(22)【出願日】2022-11-10
(65)【公開番号】P2023073994
(43)【公開日】2023-05-26
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】110142642
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】596009559
【氏名又は名称】姚 立和
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】姚 立和
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0304913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/44
B62M 6/65
B62M 11/16
F16H 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸棒(100)と、主軸棒(100)に設けられるモーターユニット(10)と、第1変速ユニット(20)と、第2変速ユニット(30)と、からなる二段変速出力装置であって、
前記第1変速ユニット(20)と前記第2変速ユニット(30)は、正方向に作動する第1一方向クラッチ部品(29)と第2一方向クラッチ部品(34)により出力ホイールハウジング(40)内に設置され、それにより、前記モーターユニット(10)は、前記第1変速ユニット(20)の第1一方向クラッチ部品(29)を正回転駆動し前記出力ホイールハウジング(40)を正方向に駆動して回転させるとともに、前記第2変速ユニット(30)の第2一方向クラッチ部品(34)を駆動し前記出力ホイールハウジング(40)に対して空転させ、
さらに、前記モーターユニット(10)は、前記第2変速ユニット(30)の第2一方向クラッチ部品(34)を正回転駆動し、前記出力ホイールハウジング(40)を正方向に駆動して回転させ、さらに、前記第1変速ユニット(20)の第1一方向クラッチ部品(29)を駆動し前記出力ホイールハウジング(40)に対して空転させ、それにより、前記二段変速出力装置は、前記モーターユニット(10)の正逆回転により出力ホイールハウジング(40)を同じ方向に駆動させる二段変速切り換えを行ない、
力軸スリーブ(11)には、第1ホイールフレーム(21)が固設されるとともに、前記第1ホイールフレーム(21)の両側の表面には、第1遊星歯車ユニット(22)と、第2遊星歯車ユニット(23)がそれぞれ設けられ、前記第1ホイールフレーム(21)には、複数の同一円周上の且つ同時に同じ方向に回転する第1遊星歯車(220)と第2遊星歯車(230)がそれぞれ枢設され、さらに、前記主軸棒(100)には、各前記第1遊星歯車(220)と噛合する第1太陽歯車(24)が固設され、さらに、前記第1ホイールフレーム(21)の外縁には、第1ホイールハウジング(25)が枢動可能に被覆され、前記第1一方向クラッチ部品(29)は、前記第1ホイールハウジング(25)の外縁に固設され、前記第1ホイールハウジング(25)には、前記入力軸スリーブ(11)に枢動可能に被覆された駆動ホイールディスク(26)が固設されるとともに、前記駆動ホイールディスク(26)の両側の軸心部には、第2太陽歯車(27)と、第3太陽歯車(28)がそれぞれ形成され、そのうち、前記第2太陽歯車(27)と前記第2遊星歯車ユニット(23)の各前記第2遊星歯車(230)は噛合するとともに、前記第3太陽歯車(28)は前記第2変速ユニット(30)を連結駆動し、
前記第2変速ユニット(30)は、前記第1変速ユニット(20)と前記モーターユニット(10)の間に設けられ、前記モーターユニット(10)の軸台(15)には、第2ホイールフレーム(31)が被覆され、前記第2ホイールフレーム(31)における前記第1変速ユニット(20)に対応する側面には、第3遊星歯車ユニット(32)が設けられるとともに、前記第2ホイールフレーム(31)には、複数の同一円周の第3遊星歯車(320)が枢設され、各前記第3遊星歯車(320)は、第3太陽歯車(28)と噛合し、前記第2ホイールフレーム(31)の外縁は、第2ホイールハウジング(33)が枢動可能に被覆され、さらに、前記第2ホイールハウジング(33)の内縁は、各前記第3遊星歯車(320)の外側縁と噛合する内輪部(331)を備え、さらに、前記第2一方向クラッチ部品(34)は、前記第2ホイールハウジング(33)の外縁に固設される
ことを特徴とする二段変速出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二段変速出力装置において、
前記モーターユニット(10)は、前記主軸棒(100)に枢設される入力軸スリーブ(11)を備えるとともに、前記入力軸スリーブ(11)の一端には、通電し励磁する電磁機構(12)が設けられ、それにより、前記入力軸スリーブ(11)は、電磁機構(12)が通電し励磁する際に、駆動されて主軸棒(100)に対して正逆方向に回転し、また、前記モーターユニット(10)における電磁機構(12)の外側の主軸棒(100)には、外部モーターカバー(13)が設けられるとともに、前記モーターユニット(10)における電磁機構(12)の内側には、外部モーターカバー(13)と嵌合する内部モーターカバー(14)が設けられ、そのうち、前記内部モーターカバー(14)の軸心には、前記入力軸スリーブ(11)に枢設される軸台(15)が被覆される
ことを特徴とする二段変速出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の二段変速出力装置において、
前記第2変速ユニット(30)と前記モーターユニット(10)の内部モーターカバー(14)の間には、第3一方向クラッチ部品(35)が設けられるとともに、前記第3一方向クラッチ部品(35)と前記第1一方向クラッチ部品(29)及び第2一方向クラッチ部品(34)は、同じ方向に作動する一方向クラッチ部品であり、入力動力が前記出力ホイールハウジング(40)から逆方向に入力されると、前記第2変速ユニット(30)は、前記モーターユニット(10)とともに空転する
ことを特徴とする二段変速出力装置。
【請求項4】
請求項1に記載の二段変速出力装置において、
前記第1変速ユニット(20)と第2変速ユニット(30)は、第1遊星歯車ユニット(22)及び第2遊星歯車ユニット(23)及び第3遊星歯車ユニット(32)と、相対する第1太陽歯車(24)及び第2太陽歯車(27)及び第3太陽歯車(28)との間のギア比によって、異なる加速及び減速を形成する
ことを特徴とする二段変速出力装置。
【請求項5】
電動自転車のホイールハブユニット(50)であって、前記ホイールハブユニット(50)には、請求項1~請求項4のいずれかに記載の二段変速出力装置が設けられ、それにより、前記二段変速出力装置によって前記ホイールハブユニット(50)が駆動されるとともに、同時に変速の切り換えが行われる
ことを特徴とする電動自転車のホイールハブユニット(50)。
【請求項6】
請求項5に記載の電動自転車のホイールハブユニット(50)において、
前記ホイールハブユニット(50)は、第1ホイールハブハウジング(51)と、第2ホイールハブハウジング(52)と、内ホイールハブハウジング(55)を備え且つ少なくとも1つの螺合部品によって第1ホイールハブハウジング(51)及び第2ホイールハブハウジング(52)及び内ホイールハブハウジング(55)に螺合されるとともに、前記第1ホイールハブハウジング(51)または内ホイールハブハウジング(55)または第2ホイールハブハウジング(52)のうちの少なくとも1つが前記出力ホイールハウジング(40)と螺合され、さらに、そのうち、前記第1ホイールハブハウジング(51)の軸心は、前記主軸棒(100)に枢設され、前記内ホイールハブハウジング(55)は、前記モーターユニット(10)における内部モーターカバー(14)の外縁に枢設される
ことを特徴とする電動自転車のホイールハブユニット(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動自転車における変速の技術分野に関し、特に、二段変速出力装置及び二段変速出力装置を応用した電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の電動自転車は、大部分が電動アシスト自転車または電動自転車であり、主な駆動源であるモーターユニットによって車輪を駆動する。通常、前記モーターユニットは、車体フレームに固設されるとともに、出力輪(歯車または摩擦輪)によって、クランク軸(電動アシスト自転車)または車輪ホイールハブ(電動自転車)上の駆動ユニットに接続されることで、駆動を補助する目的が達成される。通常の電動自転車には、モーターユニット及び駆動ユニットがそれぞれ設けられることで、全体の組み立て部品が多くなるとともに、体積が大きくなるため、製造の難易度及びコストが高くなるとともに、車輪の負荷が増加することで、エネルギーを消耗してしまう。
【0003】
さらに、高速低トルク(例えば平坦路または低負荷)または低速高トルク(例えば登り坂または高負荷)といった様々な道路状況に対応するため電動自転車が変速する必要がある場合、モーターユニットの出力軸に変速機構を別に接続して設ける必要があるとともに、さらに別の変速制御ユニットによって変速の切り換えが行われる。このように、さらに組み立て部品と体積が増えるだけでなく、同時に、制御回路が増えてしまう。上述の問題に加え、損傷率及びメンテナンスのコストも高くなる。従って、上述した構成部品が多く、体積が大きいという問題をいかに解決するかが、本発明が探求する課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、モーターの正逆回転により二段変速を可能にすることで、簡単に操作できる二段変速出力装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、さらに、二段変速出力装置の全体的な体積が小さく、小型の電動自転車の駆動及び変速に応用できることで、実用性を大幅に向上させることのできる二段変速出力装置を応用した電動自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二段変速出力装置は、主軸棒と、主軸棒に設けられるモーターユニットと、第1変速ユニットと、第2変速ユニットとからなる。前記第1変速ユニットと前記第2変速ユニットは、正方向に作動する第1一方向クラッチ部品と第2一方向クラッチ部品により出力ホイールハウジング内に設置されることで、前記モーターユニットは、前記第1変速ユニットの第1一方向クラッチ部品を逆回転駆動し前記出力ホイールハウジングを正方向に駆動して回転させるとともに、前記第2変速ユニットの第2一方向クラッチ部品を駆動し前記出力ホイールハウジングに対して空転させる。さらに、前記モーターユニットは、前記第2変速ユニットの第2一方向クラッチ部品を正回転駆動し、前記出力ホイールハウジングを正方向に駆動して回転させ、さらに、前記第1変速ユニットの第1一方向クラッチ部品を駆動し前記出力ホイールハウジングに対して空転させることで、前記二段変速出力装置は、前記モーターユニットの正逆回転により出力ホイールハウジングを同じ方向に駆動させて二段変速の切り換えを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の斜視外観図である。
図2】本発明における各部品の相対関係を説明した側面断面図である。
図3】本発明における第1変速ユニットの部品及び形態について説明した第1斜視分解図である。
図4】本発明における第1変速ユニットの部品及び形態を別の角度から見て説明した第1斜視分解図である。
図5】本発明における第2変速ユニットの部品及び形態を説明した第2斜視分解図である。
図6】本発明における第2変速ユニットの部品及び形態を別の角度から見て説明した第2斜視分解図である。
図7】本発明の図2におけるA-Aの端面断面図である。
図8】本発明の図2におけるB-Bの端面断面図である。
図9】本発明の図2におけるC-Cの端面断面図である。
図10】本発明の図2におけるD-Dの端面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の二段変速出力装置の構造は図1図2に示す通りである。前記二段変速出力装置は、主軸棒100と、モーターユニット10と、第1変速ユニット20と、第2変速ユニット30と、出力ホイールハウジング40とからなる。前記モーターユニット10は、逆回転により前記第1変速ユニット20を駆動させることができ、正回転により前記第2変速ユニット30を駆動させることができることで、前記第1変速ユニット20及び第2変速ユニット30は、前記出力ホイールハウジング40をそれぞれ同じ方向に駆動させることができる。これにより、前記二段変速出力装置は、前記モーターユニット10の正逆回転により二段変速の切り換えを行うことができる。
【0009】
前記二段変速出力装置の詳細な構造については図2図5を参照する。前記モーターユニット10には、前記主軸棒100上の複数の軸承によって入力軸スリーブ11が枢設されるともに、前記入力軸スリーブ11の一端には、電磁機構12が設けられることで、電磁機構12が通電し励磁する際に前記入力軸スリーブ11を駆動させて主軸棒100に対して正逆方向に回転させることができる。また、前記モーターユニット10における電磁機構12の外側の主軸棒100には外部モーターカバー13が設けられるとともに、前記モーターユニット10における前記電磁機構12の内側には外部モーターカバー13と嵌合する内部モーターカバー14が設けられる。そのうち、前記内部モーターカバー14の軸心には、前記入力軸スリーブ11に枢設される軸台15が被覆され、それにより、前記入力軸スリーブ11が内部モーターカバー14を貫通することで前記第1変速ユニット20と第2変速ユニット30を駆動させることができる。
【0010】
図2図3図4に示す通り、前記第1変速ユニット20は、前記主軸棒100と、モーターユニット10を貫通する前記入力軸スリーブ11における相対する端部との間に設けられ、前記第1変速ユニット20における入力軸スリーブ11の端部には、軸スリーブ止め具16によって第1ホイールフレーム21が固設される。さらに、前記第1ホイールフレーム21の両側の表面には、第1遊星歯車ユニット22と、第2遊星歯車ユニット23がそれぞれ設けられる。前記第1遊星歯車ユニット22と第2遊星歯車ユニット23には、複数の同一円周上の第1遊星歯車220及び第2遊星歯車230がそれぞれ設けられるとともに、前記複数の第1遊星歯車220と第2遊星歯車230は、相対して固定できることで、各前記複数の第1遊星歯車220と第2遊星歯車230は、前記第1ホイールフレーム21と並行して同じ方向に自転する。さらに、前記第1遊星歯車ユニット22の前記主軸棒100には、各前記第1遊星歯車220と噛合する第1太陽歯車24(図7に図示)が固設される。さらに、前記第1ホイールフレーム21の外縁には、両側の玉ユニットによって第1ホイールハウジング25が枢動可能に係合される。前記第1ホイールハウジング25における第2変速ユニット30と反対の一側には、玉ユニットを制限するホイールハウジング蓋250が設けられ、前記第1ホイールハウジング25の他側の表面には、前記入力軸スリーブ11が枢動可能に被覆される駆動ホイールディスク26が固設される。前記駆動ホイールディスク26における両側の軸心部には、第2太陽歯車27と第3太陽歯車28がそれぞれ形成される。そのうち、前記駆動ホイールディスク26の第2太陽歯車27と前記第2遊星歯車ユニット23の各前記第2遊星歯車230は噛合(図8に図示)するともに、前記駆動ホイールディスク26の第3太陽歯車28は、前記第2変速ユニット30に連結されることで、入力動力は前記入力軸スリーブ11から入力された後、前記第1変速ユニット20を通して前記第2変速ユニット30に送られる。さらに、前記第1ホイールハウジング25の外縁は、第1一方向クラッチ部品29(図7に図示)によって被覆され、前記第1一方向クラッチ部品29は、正方向にまたは逆方向に作動することができる。本発明の主な実施例では、第1一方向クラッチ部品29は、正方向回転で作動し、逆方向回転で空転するものとするとともに、前記出力ホイールハウジング40は、前記第1一方向クラッチ部品29の外縁を被覆することで、入力動力は、前記入力軸スリーブ11、第1ホイールフレーム21の第1遊星歯車ユニット22、第2遊星歯車ユニット23、駆動ホイールディスク26、第1ホイールハウジング25、及び第1一方向クラッチ部品29を介して、前記出力ホイールハウジング40から出力される。
【0011】
図2図5図6に示す通り、前記第2変速ユニット30は、前記第1変速ユニット20と前記モーターユニット10の間に設けられ、前記第2変速ユニット30における前記モーターユニット10の軸台15には第2ホイールフレーム31が被覆される。前記第2ホイールフレーム31における前記第1変速ユニット20に対応する側面には、第3遊星歯車ユニット32が設けられるとともに、前記第3遊星歯車ユニット32は、複数の同一円周上の第3遊星歯車320を備える。前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320は、前記第1変速ユニット20の駆動ホイールディスク26における第3太陽歯車28と噛合することで、前記駆動ホイールディスク26は、前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320を駆動し回転させることができる。また、前記第2ホイールフレーム31の外縁には、両側の玉ユニットによって第2ホイールハウジング33が枢動可能に被覆され、前記第2ホイールフレーム31における前記第1変速ユニット20と反対の一側には、玉ユニットを制御するホイールハウジング蓋330が螺合される。さらに、前記第2ホイールハウジング33の内縁は、各前記第3遊星歯車320の外側縁と噛合する内輪部331(図10に図示)を備えることで、前記第3遊星歯車ユニット32は、各前記第3遊星歯車320によって前記第2ホイールハウジング33を駆動することができる。また、前記第2ホイールハウジング33の外縁には、第2一方向クラッチ部品34が被覆されるとともに、前記第2一方向クラッチ部品34と前記第1一方向クラッチ部品29は、同じ方向に作動する一方向クラッチ部品である。また、前記第2一方向クラッチ部品34の外縁は、前記出力ホイールハウジング40と接合することで、入力動力は、前記入力軸スリーブ11、第1ホイールフレーム21の第1遊星歯車ユニット22、第2遊星歯車ユニット23、駆動ホイールディスク26、第2ホイールフレーム31の第3遊星歯車ユニット32、第2ホイールハウジング33、及び第2一方向クラッチ部品34を介して、前記出力ホイールハウジング40から出力される。いくつかの実施例に基づき、前記第2変速ユニット30の第2ホイールフレーム31と前記モーターユニット10の内部モーターカバー14の間には、第3一方向クラッチ部品35が設けられるとともに、前記第3一方向クラッチ部品35と前記第1一方向クラッチ部品29及び第2一方向クラッチ部品34は、同じ方向に作動する一方向クラッチ部品である。入力動力が前記出力ホイールハウジング40から逆方向に入力されると、第2変速ユニット30は、前記モーターユニット10とともに空転することで、内部の部品に影響が及ばない。
【0012】
図2図6に示す通り、いくつかの実施例に基づき、本発明の二段変速出力装置は、電動自転車のホイールハブユニット50に応用することができる。前記ホイールハブユニット50は、第1ホイールハブハウジング51と、第2ホイールハブハウジング52と、内ホイールハブハウジング55を備えることで、螺合部品によって前記第1ホイールハブハウジング51、出力ホイールハウジング40、内ホイールハブハウジング55、及び第2ホイールハブハウジング52の外縁を順に螺合するとともに、そのうち、前記第1ホイールハブハウジング51の軸心は前記主軸棒100に枢設される。前記内ホイールハブハウジング55の内縁は、両側の玉ユニットによって前記モーターユニット10の内部モーターカバー14の外縁に枢設されるとともに、前記内ホイールハブハウジング55における前記第2変速ユニット30と反対の一側には、玉ユニットを制御するホイールハブカバー56が螺合される。また、前記の第1ホイールハブハウジング51と第2ホイールハブハウジング52の外側の周縁には、車輪リムの複数のワイヤースポーク(未図示)が設けられることで、本発明の二段変速出力装置により、電動自転車の車輪を駆動することができるとともに、同時に変速の切り換えを行うことができる。
【0013】
さらに、前記第1変速ユニット20と第2変速ユニット30は、その第1遊星歯車ユニット22及び第2遊星歯車ユニット23及び第3遊星歯車ユニット32と、相対する第1太陽歯車24及び第2太陽歯車27及び第3太陽歯車28との間のギア比によって、異なる加速及び減速を可能にする。例えば、第1変速ユニット20を高速回転モード、第2変速ユニット30を低速回転モードとする、または、第1変速ユニット20を低速回転モード、第2変速ユニット30を高速回転モードとする。
【0014】
従って、体積が小さいとともに、同じ方向に出力し且つ変速する機能を備える二段変速出力装置が構成される。
【0015】
本発明の二段変速出力装置を電動自転車のホイールハブユニット50に実際に応用して作動させる場合、図2に示す通り、反時計回りを逆方向とし、時計回りを正方向とする。右側から見ると、前記モーターユニット10が前記入力軸スリーブ11を駆動し逆回転する場合、前記入力軸スリーブ11は、前記第1変速ユニット20を同時に駆動し第1ホイールフレーム21を逆回転させることができる。前記第1太陽歯車24は、前記主軸棒100に固定されており動かないため、前記第1ホイールフレーム21上の第1遊星歯車ユニット22は、前記第1太陽歯車24に対して逆方向に公転することができるとともに、各前記第1遊星歯車220は同時に逆方向に自転する(図7に図示)。さらに、前記第1遊星歯車ユニット22の各前記第1遊星歯車220と前記第2遊星歯車ユニット23の各前記第2遊星歯車230は、固設された状態であるため、前記第2遊星歯車ユニット23と各前記第2遊星歯車230は、逆方向に公転及び逆方向に自転する。このように、前記第2遊星歯車ユニット23の各前記第2遊星歯車230は、前記入力軸スリーブ11に枢設された駆動ホイールディスク26の第2太陽歯車27を同時に駆動して正方向に回転させることができる(図8に図示)。それにより、前記駆動ホイールディスク26は、前記第1ホイールフレーム21の外縁に枢動可能に被覆された第1ホイールハウジング25を同時に駆動し正方向に回転させることができる。前記第1ホイールハウジング25上の第1一方向クラッチ部品29は、正方向に作動するため、前記第1ホイールハウジング25は、前記第1一方向クラッチ部品29により前記出力ホイールハウジング40を駆動して正方向に出力させることができる(図9に図示)。さらに、前記ホイールハブユニット50の第1ホイールハブハウジング51及び第2ホイールハブハウジング52及び内ホイールハブハウジング55と、前記出力ホイールハウジング40は螺合されることで、前記ホイールハブユニット50を駆動し前記電動自転車の車輪を作動させる目的が達成される。同時に、前記正方向に回転する駆動ホイールディスク26上の第3太陽歯車28も同時に正方向に回転することで、前記第3太陽歯車28と噛合する前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320は、同時に逆方向に自転する。前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320と前記第2変速ユニット30の第2ホイールハウジング33の内輪部331は、噛合して空転し、さらに、第3遊星歯車ユニット32に設けられる前記第2ホイールフレーム31を駆動し正回転の動力を生成する。しかしながら、前記第2ホイールフレーム31は、正方向に作動(つまり、動かない状態)する第3一方向クラッチ部品35によって前記モーターユニット10の内部モーターカバー14に被覆される。従って、前記第2ホイールフレーム31は、内部モーターカバー14によって同時に固定され動かないことで、前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320は、逆方向に自転できるとともに同時に前記第2ホイールハウジング33を駆動し逆回転させることができる(図10に図示)。前記第2ホイールハウジング33上の第2一方向クラッチ部品34は、正方向に作動するため、前記第2ホイールハウジング33が逆回転する場合、前記第2一方向クラッチ部品34によって前記出力ホイールハウジング40に対して空転させることができる。よって、前記モーターユニット10が前記入力軸スリーブ11を駆動し逆転させる場合、前記第1変速ユニット20により前記出力ホイールハウジング40を駆動させるだけで、前記第2変速ユニット30は相対して空転し駆動しなくなる。
【0016】
前記モーターユニット10が前記入力軸スリーブ11を駆動し正回転させた場合、前記入力軸スリーブ11は、前記第1変速ユニット20の第1ホイールフレーム21を同時に駆動し正回転させることができ、前記第1太陽歯車24は、前記主軸棒100に固定されて動かないため、前記第1ホイールフレーム21上の第1遊星歯車ユニット22は、前記第1太陽歯車24に対して正方向に公転することができ、各前記第1遊星歯車220は同時に正方向に自転することができる。さらに、前記第1遊星歯車ユニット22の各前記第1遊星歯車220と、前記第2遊星歯車ユニット23の各前記第2遊星歯車230は固設されているため、前記第2遊星歯車ユニット23と各前記第2遊星歯車230は、正方向に公転し且つ正方向に自転する。このように、第2遊星歯車ユニット23の各前記第2遊星歯車230は、前記入力軸スリーブ11に枢設される駆動ホイールディスク26の第2太陽歯車27を同時に駆動して逆方向に回転させることで、前記駆動ホイールディスク26は、第1ホイールフレーム21の外縁に枢動可能に被覆された前記第1ホイールハウジング25を同時に駆動し逆方向に回転させることができる。前記第1ホイールハウジング25上の第1一方向クラッチ部品29は、正方向に作動するため、前記第1ホイールハウジング25が逆回転する場合、前記第1一方向クラッチ部品29により前記出力ホイールハウジング40に対して空転させることができる。同時に、逆方向に回転する駆動ホイールディスク26上の前記第3太陽歯車28も同時に逆方向に回転するため、前記第3太陽歯車28と噛合する第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320は、同時に正方向に自転し、前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320と、前記第2変速ユニット30の第2ホイールハウジング33における内輪部331は噛合し出力状態となり、さらに第3遊星歯車ユニット32に設けられた前記第2ホイールフレーム31を駆動し正回転させる。しかしながら、前記第2ホイールフレーム31は、正方向に作動する(つまり、動かない状態)第3一方向クラッチ部品35によって前記モーターユニット10の内部モーターカバー14に被覆される。よって、前記第2ホイールフレーム31は、内部モーターカバー14によって同時に固定され動かないことで、前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320は、前記第2ホイールハウジング33を同時に駆動して正回転させることができる。前記第2ホイールハウジング33上の第2一方向クラッチ部品34は、正方向に作動するため、前記第2ホイールハウジング33が正回転する場合、前記第2一方向クラッチ部品34によって前記出力ホイールハウジング40を駆動し正方向に出力させることができるとともに、前記ホイールハブユニット50の第1ホイールハブハウジング51及び第2ホイールハブハウジング52及び内ホイールハブハウジング55と、前記出力ホイールハウジング40は螺合されることで、前記ホイールハブユニット50を駆動することで前記電動自転車の車輪を回転させる目的が達成される。従って、前記モーターユニット10が前記入力軸スリーブ11を駆動し正回転する場合、前記第2変速ユニット30により前記出力ホイールハウジング40を駆動するだけで、前記第1変速ユニット20は相対して空転し駆動しなくなる。
【0017】
前記電動自転車が後退する必要がある場合、図2図7図10に示す通り、車輪が路面と摩擦することで前記ホイールハブユニット50は逆回転し、さらに、前記ホイールハブユニット50の第1ホイールハブハウジング51と第2ホイールハブハウジング52は、前記出力ホイールハウジング40を駆動して逆回転する。前記出力ホイールハウジング40の内縁に設けられた第1変速ユニット20と第2変速ユニット30の第1一方向クラッチ部品29と第2一方向クラッチ部品34は、いずれも内側から外側の場合は正方向に作動し、逆方向に空転する一方向クラッチ部品の設計である。従って、前記出力ホイールハウジング40が逆方向に外側から内側に逆回転する場合、前記第1一方向クラッチ部品29と第2一方向クラッチ部品34は、相対する第1変速ユニット20の第1ホイールハウジング25と第2変速ユニット30の第2ホイールハウジング33を逆方向駆動して逆回転させる。そのうち、前記第1変速ユニット20における逆方向の第1ホイールハウジング25は、前記駆動ホイールディスク26と第3太陽歯車28を同時に駆動して逆方向に回転させ、さらに、第3太陽歯車28と噛合する前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320を駆動して正方向に自転させる。前記第2変速ユニット30における逆方向の第2ホイールハウジング33は、第2ホイールハウジング33の内輪部331と噛合する前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320を駆動して逆方向に自転させる。両者は互いに逆方向に作動するため動かない状態となることで、前記電動自転車は後退できなくなる。しかしながら、前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320が前記第2ホイールフレーム31上に設けられ、前記第2ホイールフレーム31は、前記第3一方向クラッチ部品35によって前記モーターユニット10の内部モーターカバー14に被覆されることで、前記第2ホイールフレーム31は、正方向に動かない状態で固定されるとともに逆方向に空転できる。このように、前記第2ホイールフレーム31は一方向性を有し、上述した前記第3遊星歯車ユニット32の各前記第3遊星歯車320が動かない状態であることの影響を受けないとともに、二段変速の動力を出力し駆動を達成できることで、前記電動自転車を後退させることができる。
【0018】
上述の設計と説明により、本発明の二段変速出力装置のモーターユニット10は、逆方向または正方向に回転し、前記第1変速ユニット20と第2変速ユニット30をそれぞれ駆動することで、前記第1変速ユニット20と第2変速ユニット30は、前記第1一方向クラッチ部品29と第2一方向クラッチ部品34により前記出力ホイールハウジング40を同じ方向に駆動できる。これにより、本発明の二段変速出力装置は、前記モーターユニット10の正逆回転により二段変速の切り換えを行うことができ、操作を簡単にする効果を備えるとともに、全体の体積が小さいことで、小型の電動自転車の駆動及び変速に応用でき、大幅に実用性が向上する。
【符号の説明】
【0019】
100 主軸棒
10 モーターユニット
11 入力軸スリーブ
12 電磁機構
13 外部モーターカバー
14 内部モーターカバー
15 軸台
16 軸スリーブ止め具
20 第1変速ユニット
21 第1ホイールフレーム
22 第1遊星歯車ユニット
220 第1遊星歯車
23 第2遊星歯車ユニット
230 第2遊星歯車
24 第1太陽歯車
25 第1ホイールハウジング
250 ホイールハウジング蓋
26 駆動ホイールディスク
27 第2太陽歯車
28 第3太陽歯車
29 第1一方向クラッチ部品
30 第2変速ユニット
31 第2ホイールフレーム
32 第3遊星歯車ユニット
320 第3遊星歯車
33 第2ホイールハウジング
330 ホイールハウジング蓋
331 内輪部
34 第2一方向クラッチ部品
35 第3一方向クラッチ部品
40 出力ホイールハウジング
50 ホイールハブユニット
51 第1ホイールハブハウジング
52 第2ホイールハブハウジング
55 内ホイールハブハウジング
56 ホイールハブカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10