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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フェニルイミダゾール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/64 20060101AFI20240912BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07D233/64
C07D401/12
C07D413/12
C07D413/14
C07D401/04
C07D417/14
A61K31/4439
A61K31/422
A61K31/497
A61K31/506
A61K31/4164
A61K31/4178
A61P3/04
A61P9/10 101
A61P3/06
C07D401/14 CSP
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022197190
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2020208041の分割
【原出願日】2016-10-25
(65)【公開番号】P2023017055
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2015254016
(32)【優先日】2015-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 効志
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 直応
(72)【発明者】
【氏名】木戸 智史
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】芳岡 秀典
(72)【発明者】
【氏名】中田 光
(72)【発明者】
【氏名】石丸 亜希子
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/090200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K 31/
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【数1】
[式中、
1は、
(1-1)水素原子、
(1-2)ピラゾリル基、
(1-3)ピリミジニル基、
(1-4)置換基としてハロゲン原子、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルスルホニル基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するピリジル基、
(1-5)C1~C6アルキル基を有するオキサゾリル基、
(1-6)ハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよいピラジ二ル基
1-8)置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1又は2個有する(ピリジン1-オキシド)イル基、
(1-9)ハロゲン原子で置換されたチアゾリル基、
(1-10)C1~C6アルキル基で置換されたイソオキサゾリル基、あるいは、
(1-11)C3~C8シクロアルキル基で置換された1,2,4-オキサジアゾリル基
ある。
2は、水素原子またはC1~C6アルコキシ基を示す。
3は、
(3-1)水素原子、
(3-2)C1~C6アルコキシ基、
(3-3)C1~C6アルコキシC1~C6アルコキシ基
(3-4)C1~C6アルキル基、
(3-5)ハロゲン原子、
(3-6)ベンジルオキシ基、または
(3-7)ヒドロキシ基
である。
4は、低級アルキル基である。
5は、
(5-1)水素原子、
(5-2)C1~C6アルキル基、または
(5-3)C1~C6アルコキシ基
である。
は、
(6-1)水素原子、
(6-2)C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、または
(6-3)C3~C10シクロアルキル基で置換されていてもよいC1~C6アルキル基である。
は、イミダゾール骨格の1位のNおよび3位のNのいずれか一方にのみ置換している。イミダゾール骨格の3位のNと2位のCとの結合が二重結合である場合、Rは1位のNに置換しており、3位のNと2位のCとの結合が一重結合である場合、Rは3位のNに置換している。Rは、
(7-1)水素原子、
(7-2)ハロゲン原子、
(7-3)C1~C6アルキル基
(7-4)ヒドロキシメチル基
(7-5)ハロゲン置換C1~C6アルキル基、または
(7-6)シアノ基
である。
Aは、上記R1が水素原子である場合は単結合であり、R1が水素原子以外の基である場合はC1~C6アルキレン基である。
イミダゾール骨格の3位のNと2位のCとの結合が二重結合である場合、2位のCと1位のNとの結合は一重結合であり、3位のNと2位のCとの結合が一重結合である場合、2位のCと1位のNとの結合は二重結合である。
但し、R~R及びR~Rの全てが水素原子であるものを除く。]
で表されるフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
1が、(1-4)の基である、請求項1に記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
3が水素原子またはC1~C6アルコキシ基であり、R5が水素原子またはC1~C6アルコキシ基である、請求項1又は2に記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
1が、置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個を有するピリジル基である、請求項1~3のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
2およびR5が共に水素原子であり、R3がC1~C6アルコキシ基である、請求項1~4のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が水素原子であり、Rがハロゲン原子である、請求項1~5のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有するLPL活性化剤。
【請求項9】
高脂質血症、動脈硬化、又は肥満の予防用または治療用である、請求項7に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフェニルイミダゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会は、飽食の社会といわれ、高脂質血症、または肥満などと診断される人々が急増してきている。高脂質血症、または肥満などの状態は、糖尿病を引き起こしたり、動脈硬化、若しくはそれに起因する心筋梗塞、または脳梗塞などの原因となったりする。
【0003】
従って、高脂質血症、または肥満などの予防あるいは治療のための医薬品および化学療法などに関して種々の研究がなされている。そのひとつとしてリポプロテインリパーゼ(LPL)を活性化する化学療法が挙げられる。LPLの活性化は、高脂質血症、または肥満等の予防及び治療に有効であると言われている。LPL活性化作用を有する化合物として、フェ
ニルイミダゾール骨格の化合物が報告されている(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2009/139076
【文献】国際公開WO2010/090200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高脂質血症、または肥満等の予防及び治療に有効な化合物(化学療法剤)を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、高脂質血症、または肥満等の予防及び治療に有効な化合物(化学療法剤)を提供することを目的として、LPL活性化作用、特に骨格筋特異的なLPL活性化作用を有する化合物を開発すべく、鋭意検討を重ねてきた。その研究過程において、下記一般式(1)で表されるフェニルイミダゾール化合物を合成することに成功し、該化合物が公知のフェニルイミダゾール骨格の化合物よりも優れた所望の性質を有していることを見出した。このような知見および更なる知見に基づき、下記に代表される発明が提供される。
【0007】
(リクレーム)
項1.
下記一般式(1)
【0008】
【化1】
【0009】
[式中、
1は、
(1-1)水素原子、
(1-2)ピラゾリル基、
(1-3)ピリミジニル基、
(1-4)置換基としてハロゲン原子、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルスルホニル基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するピリジル基、
(1-5)C1~C6アルキル基を有するオキサゾリル基、
(1-6)ハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよいピラジ二ル基、
(1-7)置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選択される少なくとも一種の基を1または2個有するフェニル基、
(1-8)置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1又は2個有する(ピリジン1-オキシド)イル基、(1-9)ハロゲン原子で置換されたチアゾリル基、
(1-10)C1~C6アルキル基で置換されたイソオキサゾリル基、
(1-11)C3~C8シクロアルキル基で置換された1,2,4-オキサジアゾリル基、あるいは
(1-12)フェニル基
である。
2は、水素原子またはC1~C6アルコキシ基を示す。
3は、
(3-1)水素原子、
(3-2)C1~C6アルコキシ基、
(3-3)C1~C6アルコキシC1~C6アルコキシ基、
(3-4)C1~C6アルキル基、
(3-5)ハロゲン原子、
(3-6)ベンジルオキシ基、または
(3-7)ヒドロキシ基
である。
4は、
(4-1)置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ピロリジニル基、C1
~C6アルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルホニル基、C1~C6
アルコキシ基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を有してもよいピリジル基、
(4-2)置換基としてハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群より選ばれる
少なくとも一種の基を1または2個有してもよいC3~C10シクロアルキル基、または
(4-3)低級アルキル基
である。
5は、
(5-1)水素原子、
(5-2)C1~C6アルキル基、または
(5-3)C1~C6アルコキシ基
である。
は、
(6-1)水素原子、
(6-2)C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、または
(6-3)C3~C10シクロアルキル基で置換されていてもよいC1~C6アルキル基であ
る。
は、イミダゾール骨格の1位のNおよび3位のNのいずれか一方にのみ置換している。イミダゾール骨格の3位のNと2位のCとの結合が二重結合である場合、Rは1位のNに置換しており、3位のNと2位のCとの結合が一重結合である場合、Rは3位のNに置換している。Rは、
(7-1)水素原子、
(7-2)ハロゲン原子、
(7-3)C1~C6アルキル基
(7-4)ヒドロキシメチル基
(7-5)ハロゲン置換C1~C6アルキル基、または
(7-6)シアノ基
である。
Aは、上記R1が水素原子である場合は単結合であり、R1が水素原子以外の基である場合はC1~C6アルキレン基である。
イミダゾール骨格の3位のNと2位のCとの結合が二重結合である場合、2位のCと1位のNとの結合は一重結合であり、3位のNと2位のCとの結合が一重結合である場合、2位のCと1位のNとの結合は二重結合である。
但し、Rが(1-7)又は(1-12)であり、且つ、Rが(4-3)であるものを除く。]
で表されるフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0010】
項2.
4が、(4-1)の基である、項1に記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学
的に許容される塩。
【0011】
項3.
4が、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ピロリジニル基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る
群より選ばれる少なくとも一種の基を有してもよいピリジル基、または(4-2)の基である、項1に記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0012】
項4.
1が、(1-4)の基である、項1~3のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合
物又はその薬学的に許容される塩。
【0013】
項5.
3が水素原子またはC1~C6アルコキシ基であり、R5が水素原子またはC1~C6アルコキシ基である、項1~4のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的
に許容される塩。
【0014】
項6.
4が、置換基としてハロゲン原子を有するピリジル基である、項1~5のいずれかに記
載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0015】
項7.
1が、置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群よ
り選ばれる少なくとも一種の基を1または2個を有するピリジル基である、項1~6のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0016】
項8.
2およびR5が共に水素原子であり、R3がC1~C6アルコキシ基である、項1~7のい
ずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0017】
項9.
が水素原子であり、Rがハロゲン原子である、項1~8のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0018】
項10.
以下の化合物から選ばれる項1~8のいずれかに記載のフェニルイミダゾール化合物、又はその薬学的に許容される塩:
・5-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
・2-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・2-[[4-(5-ブロモ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・3-クロロ-2-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・2-[[4-(5-ブロモ-2-(6-クロロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・5-ブロモ-2-[[4-(4-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-3-フルオロピリジン
・5-[4-クロロ-5-[2-メトキシ-4-((6-トリフルオロメチル)ピリ
ジン-2-イル)メトキシ)フェニル]-1H-イミダゾール-2-イル)]-2-フル
オロピリジン
【0019】
項11.
項1~10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0020】
項12.
項1~10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有するLPL活
性化剤。
【0021】
項13.
高脂質血症、動脈硬化、又は肥満の予防用または治療用である、項11に記載の医薬組成物。
【0022】
項14.
LPL活性の活性化を必要とする被検体に項1~10のいずれかに記載の化合物又はその薬
学的に許容される塩を投与することを含む、LPL活性の活性化方法。
【0023】
項15.
高脂質血症、動脈硬化、又は肥満の予防又は治療が必要な被験者に項1~10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、高脂質血症、動脈硬化、又は肥満を予防又は治療する方法。
【0024】
項16.
LPL活性化剤の製造における使用のための項1~10のいずれかに記載の化合物又はその
薬学的に許容される塩の使用。
【0025】
項17.
高脂質血症、動脈硬化、又は肥満の予防用または治療用の医薬組成物に製造における使用のための項1~10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の効果】
【0026】
本発明のフェニルイミダゾール化合物は、リポプロテインリパーゼ(LPL)の活性化作用
を有しており、LPL活性化剤として、高脂質血症、動脈硬化、肥満などの予防および/ま
たは治療に有用である。また、本発明のフェニルイミダゾール化合物は水(例えば、pH1.2及びpH6.8の水)への優れた溶解性を有する。一実施形態において、本発明のフェニルイミダゾール化合物は、pH1.2の水及び/又はpH6.8の水に対する溶解度が0.3μg/ml以
上であることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.置換基の定義
ピラゾリル基は、例えば、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、および1H-ピラゾール-1-イル基を含む。
【0028】
ピリミジニル基は、例えば、2-ピリミジニル基、4-ピリミジニル基、および5-ピリミジニル基を含む。
【0029】
ハロゲン原子は、例えば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素等を含む。
【0030】
C1~C6アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルエチル、tert-ブチル、および2-メチルブチル基等の直鎖または分岐鎖状の炭素数1~6個のアルキル基を含む。
【0031】
C1~C6アルキルスルホニル基は、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、n-ブチルスルホニル、n-ペンチルスルホニル、n-ヘキシルスルホニル、1-メチルエチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、および2-メチルブチルスルホニル等の直鎖または分岐鎖状の炭素数1~6個のアルキルスルホニル基を含む。
【0032】
ハロゲン置換C1~C6アルキル基は、例えば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子からなる群から選ばれるハロゲン原子を置換基として有し、アルキル部分が炭素数1~6個の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であるハロゲノアルキル基を含む。好ましいハロゲン置換C1~C6アルキル基は、パーハロゲノアルキル基であり、より好ましくは、パーフルオロアルキル基である。具体的なハロゲン置換C1~C6アルキル基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル、およびトリデカフルオロヘキシル、2,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、6,6,6-トリフルオロヘキシル基等を挙げることができる。
【0033】
置換基としてハロゲン原子、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルスルホニル基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するピリジル基は、例えば、3-フルオロピリジン-2-イル、4-フルオロピリジン-2-イル、5-フルオロピリジン-2-イル、6-フルオロピリジン-2-イル、2-フルオロピリジン-3-イル、4-フルオロピリジン-3-イル、5-フルオロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジン-3-イル、2-フルオロピリジン-4-イル、3-フルオロピリジン-4-イル、3-クロロピリジン-2-イル、3-ブロモピリジン-2-イル、3-ヨードピリジン-2-イル、3,5-ジフルオロピリジン-2-イル、4,5-ジフルオロピリジン-2-イル、3,5-ジクロロピリジン-2-イル、3,5-ジブロモピリジン-2-イル、5-ブロモ-3-フルオロピリジン-2-イル、3-ブロモ-5-クロロピリジン-2-イル、5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル、3-シアノピリジン-2-イル、4-シアノピリジン-2-イル、5-シアノピリジン-2-イル、6-シアノピリジン-2-イル、2-シアノピリジン-3-イル、4-シアノピリジン-3-イル、5-シアノピリジン-3-イル、6-シアノピリジン-3-イル、2-シアノピリジン-4-イル、3-シアノピリジン-4-イル、3,5-ジシアノピリジン-2-イル、4,5-ジシアノピリジン-2-イル、3-メチルピリジン-2-イル、4-メチルピリジン-2-イル、5-メチルピリジン-2-イル、6-メチルピリジン-2-イル、2-メチルピリジン-3-イル、4-メチルピリジン-3-イル、5-メチルピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、2-メチルピリジン-4-イル、3-メチルピリジン-4-イル、3-エチルピリジン-2-イル、3-n-プロピルピリジン-2-イル、3-n-ブチルピリジン-2-イル、3-n-ペンチルピリジン-2-イル、3-n-ヘキシルピリジン-2-イル、3,5-ジメチルピリジン-2-イル、4,5-ジメチルピリジン-2-イル、3,5-ジエチルピリジン-2-イル、3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、4-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、6-メチルスルホニルピリジン-2-イル、2-メチルスルホニルピリジン-3-イル、4-メチルスルホニルピリジン-3-イル、5-メチルスルホニルピリジン-3-イル、6-メチルスルホニルピリジン-3-イル、2-メチルスルホニルピリジン-4-イル、3-メチルスルホニルピリジン-4-イル、5-エチルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-プロピルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-ブチルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-ペンチルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-ヘキシルスルホニルピリジン-2-イル、3,5-ジメチルスルホニルピリジン-2-イル、4,5-ジメチルスルホニルピリジン-2-イル、3,5-ジエチルスルホニルピリジン-2-イル、3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、4-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、6-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、2-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、4-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、6-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、2-トリフルオロメチルピリジン-4-イル、3-トリフルオロメチルピリジン-4-イル、6-ペンタフル
オロエチルピリジン-3-イル、6-n-ヘプタフルオロペンチルピリジン-3-イル、6-n-ノナフルオロブチルピリジン-3-イル、6-n-ウンデカフルオロペンチルピリジン-3-イル、6-n-トリデカフルオロヘキシルピリジン-3-イル、3,5-ビストリフルオロメチルピリジン-2-イル、4,5-ビストリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-ブロモ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-ヨード-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-フルオロ-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-クロロ-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-ブロモ-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-ヨード-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-メチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メチルピリジン-2-イル、3-ブロモ-5-メチルピリジン-2-イル、3-ヨード-5-メチルピリジン-2-イル、5-フルオロ-3-メチルピリジン-2-イル、5-クロロ-3-メチルピリジン-2-イル、5-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル、5-ヨード-3-メチルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、3-ブロモ-5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、3-ヨード-5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-フルオロ-3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-クロロ-3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-ブロモ-3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-ヨード-3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-シアノ-3-フルオロピリジン-2-イル、3-クロロ-5-シアノピリジン-2-イル、3-ブロモ-5-シアノピリジン-2-イル、5-シアノ-3-ヨードピリジン-2-イル、3-シアノ-5-フルオロピリジン-2-イル、5-クロロ-3-シアノピリジン-2-イル、5-ブロモ-3-シアノピリジン-2-イル、3-シアノ-5-ヨードピリジン-2-イル、5-シアノ-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-シアノ-3-メチルピリジン-2-イル、3-シアノ-5-メチルピリジン-2-イル、5-シアノ-3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、3-シアノ-5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-メチル-3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、3-メチル-5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-メチル-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-メチル-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-メチルスルホニル-3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、および3-メチルスルホニル-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル等の基を挙げることができる。
【0034】
C1~C6アルキル基を有するオキサゾリル基は、例えば、2-メチルオキサゾール-4-イル、2-メチルオキサゾール-5-イル、4-メチルオキサゾール-2-イル、4-メチルオキサゾール-5-イル、5-メチルオキサゾール-2-イル、5-メチルオキサゾール-4-イル、2-エチルオキサゾール-4-イル、2-n-プロピルオキサゾール-4-イル、2-n-ブチルオキサゾール-4-イル、2-n-ペンチルオキサゾール-4-イル、2-n-ヘキシルオキサゾール-4-イル、および2-tert-ブチルオキサゾ
ール-4-イル等の炭素数1~6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基で置換されたオキサゾリル基を含む。C1~C6アルキル基を有するオキサゾリル基は、C1~C6アルキル基を1個以上有し、好ましくは1個有する。
【0035】
ハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよいピラジ二ル基は、例えば、ピラジン-2-イル、ピラジン-3-イル、5-フルオロピラジン-2-イル、5-クロロピラジン-2-イル、5-ブロモピラジン-2-イル、5-ヨードピラジン-2-イル、6-クロロピラジン-2-イル、5-メチルピラジン-2-イル、5-エチルピラジン-2-イル、5-n-プロピルピラジン-2-イル、5-n-ブチルピラジン-2-イル、5-n-ペンチルピラジン-2-イル、5-n-ヘキシルピラジン-2-イル、5-tert-ブチルピラジン-2-イル、および
6-メチルピラジン-2-イル等を含む。ハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよいピラジ二ル基は、ハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1個以上有
し得、好ましくは1個有する。
【0036】
置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するフェニル基は、例えば、2-トリフルオロメチルフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-ペンタフルオロエチルフェニル、4-n-ヘプタフルオロプロピルフェニル、4-n-ノナフルオロブチルフェニル、4-n-ウンデカフルオロペンチルフェニル、4-トリデカフルオロヘキシルフェニル、2,3-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、2,3-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2,4-ジヨードフェニル、4-ブロモ-2-フルオロフェニル、4-クロロ-2-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、および4-ブロモ-2-クロロフェニル等を含む。
【0037】
C1~C6アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、1-メチルエトキシ、tert-ブトキシ、および2-メチルブトキシ基等の直鎖または分岐鎖状の炭素数1~6個のアルコキシ基を含む。
【0038】
C1~C6アルコキシC1~C6アルコキシ基は、例えば、メトキシメトキシ、2-メトキシエトキシ、3-メトキシプロポキシ、4-メトキシブトキシ、5-メトキシペンチルオキシ、6-メトキシヘキシルオキシ、2-メトキシ-1-メチルエトキシ、エトキシメトキシ、n-プロポキシメトキシ、n-ブトキシメトキシ、n-ペンチルオキシメトキシ、n-ヘキシルオキシメトキシ、および1-メチルエトキシメトキシ等の炭素数1~6の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基で置換された炭素数1~6個の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基を含む。
【0039】
ピロリジニル基は、例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、および3-ピロリジニルを含む。
【0040】
C1~C6アルキルチオ基は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、n-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、1-メチルエチルチオ、tert-ブチルチオ、および2-メチルブチルチオ等の直鎖または分岐鎖状の炭素数1~6個のアルキルチオ基を含む。
【0041】
置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ピロリジニル基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルホニル基、C1~C6アルコキシ基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を有してもよいピリジル基は、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、3-フルオロピリジン-2-イル、4-フルオロピリジン-2-イル、5-フルオロピリジン-2-イル、6-フルオロピリジン-2-イル、2-フルオロピリジン-3-イル、4-フルオロピリジン-3-イル、5-フルオロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジ
ン-3-イル、2-フルオロピリジン-4-イル、3-フルオロピリジン-4-イル、6-クロロピリジン-3-イル、6-ブロモピリジン-3-イル、6-ヨードピリジン-3-イル、5-クロロピリジン-2-イル、5-ブロモピリジン-2-イル、5-ヨードピリジン-2-イル、3-メチルピリジン-2-イル、4-メチルピリジン-2-イル、5-メチルピリジン-2-イル、6-メチルピリジン-2-イル、2-メチルピリジン-3-イル、4-メチルピリジン-3-イル、5-メチルピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、2-メチルピリジン-4-イル、3-メチルピリジン-4-イル、6-エチルピリジン-3-イル、6-n-プロピルピリジン-3-イル、6-n-ブチルピリジン-3-イル、6-n-ペンチルピリジン-3-イル、6-n-ヘキシルピリジン-3-イル、6-tert-ブチルピリジン-3-イル、3-シアノピリジン-2-イル、4-
シアノピリジン-2-イル、5-シアノピリジン-2-イル、6-シアノピリジン-2-イル、2-シアノピリジン-3-イル、4-シアノピリジン-3-イル、5-シアノピリジン-3-イル、6-シアノピリジン-3-イル、2-シアノピリジン-4-イル、3-シアノピリジン-4-イル、3-ヒドロキシピリジン-2-イル、4-ヒドロキシピリジン-2-イル、5-ヒドロキシピリジン-2-イル、6-ヒドロキシピリジン-2-イル、2-ヒドロキシピリジン-3-イル、4-ヒドロキシピリジン-3-イル、5-ヒドロキシピリジン-3-イル、6-ヒドロキシピリジン-3-イル、2-ヒドロキシピリジン-4-イル、3-ヒドロキシピリジン-4-イル、3-メトキシピリジン-2-イル、4-メトキシピリジン-2-イル、5-メトキシピリジン-2-イル、6-メトキシピリジン-2-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、5-メトキシピリジン-3-イル、6-メトキシピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-4-イル、3-メトキシピリジン-4-イル、6-エトキシピリジン-3-イル、6-n-プロポキシピリジン-3-イル、6-n-ブトキシピリジン-3-イル、6-n-ペンチルオキシピリジン-3-イル、6-n-ヘキシルオキシピリジン-3-イル、6-tert-ブトキシピリジン-3-イル、3-メチルチオピリジン-2-イル、4-メチルチ
オピリジン-2-イル、5-メチルチオピリジン-2-イル、6-メチルチオピリジン-2-イル、2-メチルチオピリジン-3-イル、4-メチルチオピリジン-3-イル、5-メチルチオピリジン-3-イル、6-メチルチオピリジン-3-イル、2-メチルチオピリジン-4-イル、3-メチルチオピリジン-4-イル、5-エチルチオピリジン-2-イル、2-エチルチオピリジン-5-イル、5-n-プロピルチオピリジン-2-イル、5-n-ブチルチオピリジン-2-イル、5-n-ペンチルチオピリジン-2-イル、5-n-ヘキシルチオピリジン-2-イル、5-tert-ブチルチオピリジン-2-イル、
3-メチルスルホニルピリジン-2-イル、4-メチルスルホニルピリジン-2-イル、5-メチルスルホニルピリジン-2-イル、6-メチルスルホニルピリジン-2-イル、2-メチルスルホニルピリジン-3-イル、4-メチルスルホニルピリジン-3-イル、5-メチルスルホニルピリジン-3-イル、6-メチルスルホニルピリジン-3-イル、2-メチルスルホニルピリジン-4-イル、2-メチルスルホニルピリジン-5-イル、3-メチルスルホニルピリジン-4-イル、5-エチルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-プロピルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-ブチルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-ペンチルスルホニルピリジン-2-イル、5-n-ヘキシルスルホニルピリジン-2-イル、3,5-ジメチルスルホニルピリジン-2-イル、4,5-ジメチルスルホニルピリジン-2-イル、3,5-ジエチルスルホニルピリジン-2-イル、3-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、4-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、6-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、2-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、4-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、6-トリフルオロメチルピリジン-3-イル、2-トリフルオロメチルピリジン-4-イル、3-トリフルオロメチルピリジン-4-イル、6-ペンタフルオロエチルピリジン-3-イル、6-n-ヘプタフルオロプロピルピリジン-3-イル、6-n-ノナフルオロブチルピリジン-3-イル、6-n-ウンデカフルオロペンチルピリジン-3-イル、6-n-トリデカフルオロヘキ
シルピリジン-3-イル、3-(1-ピロリジニル)ピリジン-2-イル、4-(1-ピロリジニル)ピリジン-2-イル、5-(1-ピロリジニル)ピリジン-2-イル、6-(1-ピロリジニル)ピリジン-2-イル、2-(1-ピロリジニル)ピリジン-3-イル、4-(1-ピロリジニル)ピリジン-3-イル、5-(1-ピロリジニル)ピリジン-3-イル、6-(1-ピロリジニル)ピリジン-3-イル、2-(1-ピロリジニル)ピリジン-4-イル、3-(1-ピロリジニル)ピリジン-4-イル、6-(2-ピロリジニル)ピリジン-2-イル、および6-(3-ピロリジニル)ピリジン-2-イル等の基を含む。ピリジル基は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ピロリジニル基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルホニル基、C1~C6アルコキシ基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1個以上有し得、好ましくは1個有する。
【0042】
C3~C10シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペン
チル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデカニル、ノルボルナン-2-イル、アダマンタン-1-イル、およびアダマンタン-2-イルなどの炭素数3~10個のシクロアルキル基を含む。
【0043】
置換基としてハロゲン原子およびC1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個を有してもよいC3~C10シクロアルキル基は、例えば、上記
C3~C10シクロアルキル基、並びに、1-フルオロシクロプロピル、2-クロロシクロ
プロピル、2-フルオロシクロプロピル、2-ブロモシクロプロピル、2-ヨードシクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロブチル、3,3-ジフルオロシクロブチル、2,2-ジフルオロシクロペンチル、3,3-ジフルオロシクロペンチル、3,3-ジフルオロシクロヘキシル、4,4-ジフルオロシクロヘキシル、4,4-ジフルオロシクロヘプチル、4,4-ジフルオロシクロオクチル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、4-n-プロピルシクロヘキシル、4-n-ブチルシクロヘキシル、4-n-ペンチルシクロヘキシル、4-n-ヘキシルシクロヘキシル、および4-tert-ブチルシクロヘキシル等のハロゲン原子及び/又は炭素数1~6個の直鎖ま
たは分岐鎖状のアルキル基で置換されたシクロアルキル基を含む。
【0044】
C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基は、例えば、メトキシメチル、2-メトキシエチル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、5-メトキシペンチル、6-メトキシヘキシル、2-メトキシ-1-メチルエチル、エトキシメチル、n-プロポキシメチル、n-ブトキシメチル、n-ペンチルオキシメチル、n-ヘキシルオキシメチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、1-n-プロポキシエチル、1-n-ブトキシエチル、1-n-ペンチルオキシエチル、1-n-ヘキシルオキシエチル、および1-メチルエトキシメチル等の炭素数1~6の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基で置換された炭素数1~6個の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を含む。
【0045】
C3~C10シクロアルキル基で置換していてもよいC1~C6アルキル基は、例えば、上
記C1~C6アルキル基、並びに、シクロプロピルメチル、2-シクロプロピルエチル、1-シクロプロピルエチル、3-シクロプロピルプロピル、4-シクロプロピルブチル、5-シクロプロピルペンチル、6-シクロプロピルヘキシル、2-シクロプロピル-1-メチルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、シクロデカニルメチル、ノルボルナンー2-イルメチル、アダマンタンー1-イルメチル、およびアダマンタンー2-イルメチル基等を含む。
【0046】
C1~C6アルキレン基は、例えば、メチレン、エチレン、エチリデン、トリメチレン、
テトラメチレン、ペンタメチレン、およびヘキサメチレン基等の炭素数1~6個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を含む。
【0047】
置換基としてハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有する(ピリジン1-オキシド)イル基は、例えば、3-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、4-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、6-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、2-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-3-イル、4-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-3-イル、5-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-3-イル、6-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-3-イル、2-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-4-イル、3-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-4-イル、3-クロロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-ブロモ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-ヨード(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3,5-ジフルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、4,5-ジフルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3,5-ジクロロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3,5-ジブロモ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-ブロモ-3-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-ブロモ-5-クロロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-クロロ-3-フルオロ(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、4-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、6-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、2-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、2-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-4-イル、2-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-5-イル、4-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、5-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、6-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、2-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-4-イル、3-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-4-イル、6-ペンタフルオロエチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、6-n-ヘプタフルオロペンチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、6-n-ノナフルオロブチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、6-n-ウンデカフルオロペンチル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、6-n-トリデカフルオロヘキシル(ピリジン1-オキシド)-3-イル、3,5-ビストリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、4,5-ビストリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-フルオロ-5-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-クロロ-5-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-ブロモ-5-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、3-ヨード-5-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-フルオロ-3-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-クロロ-3-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-ブロモ-3-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル、5-ヨード-3-トリフルオロメチル(ピリジン1-オキシド)-2-イル等の基を含む。
【0048】
ハロゲン原子で置換されたチアゾリル基は、例えば、2-クロロチアゾール-5-イル、2-クロロチアゾール-4-イル、2-フルオロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル等の基を含む。チアゾリル基は、ハロゲン原子を1個以上有し、好ま
しくは1個有する。
【0049】
C1~C6アルキル基で置換されたイソオキサゾリル基は、例えば、3-メチルイソオキサゾール-5-イル、3-エチルイソオキサゾール-5-イル、3-n-プロピルイソオキサゾール-5-イル、3-n-ブチルイソオキサゾール-5-イル、3-n-ペンチルイソオキサゾール-5-イル、3-n-ヘキシルイソオキサゾール-5-イル、3-(1
-メチルエチル)イソオキサゾール-5-イル等の基を含む。イソオキサゾリル基は、C1~C6アルキル基を1個以上有し、好ましくは1個有する。
【0050】
C3~C8シクロアルキル基で置換された1,2,4-オキサジアゾリル基は、例えば、5-シクロプロピル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-シクロブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-シクロペンチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-シクロヘキシル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-シクロヘプチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-シクロオクチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル等の基を含む。1,2,4-オキサジアゾリル基は、C3~C8シクロアルキル基を1個以上有し、好ましくは1個有する。
【0051】
2.一般式(1)で表されるフェニルイミダゾール化合物
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルスルホニル基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するピリジル基である。置換基としてハロゲン原子、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルスルホニル基、およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するピリジル基は、好ましくは、ハロゲン置換C1~
C6アルキル基を1若しくは2個有するピリジル基、またはハロゲン置換C1~C6アルキ
ル基及びハロゲン原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個有するピリジル基であり、より好ましくはハロゲン原子およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を1または2個を有するピリジル基である。
【0052】
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、水素原子である。
【0053】
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、水素原子またはC1~C6アルコキシ基である。
【0054】
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ピロリジニル基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルホニル基、C1~C6アルコキシ基、およびハロゲン置換C1~
C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を有してもよいピリジル基で
ある。置換基としてハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ピロリジニル基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルホニル基、C1~C6アルコキシ基およびハロゲン置換C1~C6アルキル基から成る群より選ばれる少なくとも一種の基を有してもよいピリジル基は、好ましくは、ハロゲン原子を置換基として有するピリジル基である。
【0055】
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、水素原子またはC1~C6アルコキシ基である。
【0056】
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、水素原子である。
【0057】
一実施形態において、一般式(I)のRは、好ましくは、水素原子またはC1~C6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0058】
好適な一実施形態において、一般式(I)のRは水素原子またはC1~C6アルコキシ基であり、且つ、R5は水素原子またはC1~C6アルコキシ基である。
【0059】
好適な一実施形態において、一般式(I)のR及びR5は共に水素原子であり、且つ、R3
はC1~C6アルコキシ基である。
【0060】
好適な一実施形態において、一般式(I)のRは水素原子であり、且つ、Rはハロゲン原子である。
【0061】
一実施形態において、一般式(1)のイミダゾール骨格の3位のNと2位のCとの結合は二重結合であり、2位のCと1位のNとの結合は一重結合である。この場合、下記の一般式1-1に示す通り、Rは1位のNのみに置換している。他の実施形態において、一般式(1)のイミダゾール骨格の3位のNと2位のCとの結合は一重結合であり、2位のCと1位のNとの結合は二重結合である。この場合、下記の一般式(1-2)に示す通り、Rは3位のNのみに置換している。
【0062】
【化2】
【0063】
一般式(1)で表されるフェニルイミダゾール化合物の好ましい具体例としては、下記の化合物を挙げることができる。
【0064】
・5-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
・2-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・2-[[4-(5-ブロモ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・3-クロロ-2-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・2-[[4-(5-ブロモ-2-(6-クロロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
・5-ブロモ-2-[[4-(4-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-3-フルオロピリジン
・5-[4-クロロ-5-[2-メトキシ-4-((6-トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル]-1H-イミダゾール-2-イル)]-2-フルオ
ロピリジン
【0065】
3.製造方法
一般式(1)で表されるフェニルイミダゾール化合物は、種々の方法で製造され得る。一実施形態において、一般式(1)で表されるフェニルイミダゾール化合物は、下記の反応工程式-1で示される合成スキームで製造することができる。
【0066】
【数1】
【0067】
[式中、A、R、R、R、R、R、RおよびR、ならびに破線は前記に同じ。X1はハロゲン原子を示す。]
【0068】
上記反応工程式-1に示すように、化合物(2)と化合物(3)とを環化させることにより、本発明化合物(1)を製造することができる。
【0069】
該環化反応は、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、水、あるいはこれらの混合溶媒等の不活性溶媒中、略等モルの化合物(2)と化合物(3)とを、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸ナトリウム等から成る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリの存在下、室温~100℃にて0.5~10時間反応させることにより行うことができる。アルカリは、化合物(2)1モルに対して1~5モル用いることができる。
【0070】
尚、上記反応工程式-1において、Rが水素原子である化合物(1a)は、下記に示す
ように互変異性の形態をとることができ、これらいずれの形態でも表すことができる。
【0071】
【化3】
【0072】
反応工程式-1において、原料として用いられる化合物(2)は、下記反応工程式-2に示すように、化合物(4)とトリメチルフェニルアンモニウムトリハライド(5)とを反応させることにより得ることが出来る。この反応は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、および1,4-ジオキサン等から成る群より選ばれる少なくとも一種の不活性溶媒中、0~50℃にて5~20時間行うことができる。ここで、トリメチルフェニルアンモニウムトリハライド(5)は、化合物(4)1モルに対して1~1.3モル使用することができる。
【0073】
【数2】
【0074】
[式中、A、R、R、R、R、R、およびXは前記に同じ。]
【0075】
反応工程式-2において、出発原料として用いられる化合物(4)のうち、Rが水素原子でない化合物(4a)は、下記反応工程式-3に示す方法により得ることができる。
【0076】
【数3】
【0077】
[式中、R1aは、上記(1-2)~(1-12)のいずれかの基である。A’はC1~
C6アルキレン基である。R、R、R、およびRは前記に同じ。X2はハロゲン原子である。]
【0078】
上記公知化合物(6)を、ハロゲン化物(7)と反応させることにより、化合物(4a)に変換することができる。反応は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)等から成る群より選ばれる少なくとも一種の不活性溶媒中、炭酸カリウム、および炭酸ナトリウム等から成る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリの存在下、室温~溶媒の沸点付近の温度にて2~30時間程度行うことができる。ここで、ハロゲン化物(7)は、化合物(6)1モルに対して1~2モル使用することができ、アルカリは化合物(6)1モルに対して1~3モル使用することができる。
【0079】
が水素原子である一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物(1b)は、下記反応工程式-4に示す方法によって合成することができる。まず上記反応工程式-1の方法に準じて化合物(8)を合成し、その後、接触還元を行うことにより化合物(1b)を得ることができる。該接触還元は、水素雰囲気中、パラジウム-炭素、および酸化白金等から成る群より選ばれる少なくとも一種の触媒の存在下、必要に応じて酢酸等の酸を加え、メタノール、エタノール、および水等から成る群より選ばれる少なくとも一種の溶媒中、室温付近の温度にて10分~12時間ほど行うことができる。
【0080】
【数4】
【0081】
[式中、R、R、R、R、R、R、およびXは前記に同じ。Bnはベンジル基を示す。]
【0082】
下記反応工程式-5に示す通り、Rが水素原子である一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物((1c-1)および(1c-2))は、ハロゲン化により、Rがハロゲン原子である化合物(1d-1)及び(1d-2)に変換することができる。該ハロゲン化反応は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびテトラヒドロフラン等から成る群より選ばれる少なくとも一種の不活性溶媒中、N-ブロモコハク酸イミド、N-クロロコハク酸イミド、およびN-ヨードコハク酸イミド等から成る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン化剤をフェニルイミダゾール化合物((1c-1)又は(1c-2)に対して等モル~1.3倍モル量用い、0℃~70℃にて0.5~6時間を要して行うことができる。
【0083】
【数5】
【0084】
[式中、A、R、R、R、R、R、およびRは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。]
【0085】
反応工程式-4で得られるRが水素原子である一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物(1b)は、下記反応工程式-6で示す通り、ハロゲン化物(7)と反応させることにより、化合物(1e)に変換できる。この反応は、上記反応工程式-3の条件と同様の条件で行うことができる。
【0086】
【数6】
【0087】
[式中、A’、R1a、R、R、R、R、R、R7、およびX2、ならびに破線
は前記に同じ。]
【0088】
下記反応工程式-7に示すように、Rが水素原子である一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物(1f)は、化合物(9)と反応させることにより、Rが水素原子以外の基である化合物(1g)および(1h)に変換することができる。該反応は、N,N-ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド等から成る群より選ばれる少なくとも一種の不活性溶媒中、無水炭酸カリウム、および無水炭酸ナトリウム等から成る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリの存在下、フェニルイミダゾール化合物(1f)に対して1~2倍モル量の化合物(9)を用いて行うことができる。上記アルカリの使用量は、特に限定されないが、フェニルイミダゾール化合物(1f)に対して1~5倍モル量が一般的である。この反応は0℃~室温付近の温度にて2~24時間行うことができる。
【0089】
【数7】
【0090】
[式中、A’、R1a、R、R、R、R、およびR7は前記に同じ。R6aは、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、またはC3~C10シクロアルキル基で置換される
ことのあるC1~C6アルキル基を、Xはハロゲン原子を示す。]
尚、化合物(1f)において、Rが水素原子である化合物の場合は、化合物(1h)は殆ど得られない場合がある。一方、化合物(1f)において、Rが水素原子でない化合物の場合は、化合物(1g)が殆ど得られない場合がある。
【0091】
下記反応工程式-8に示す通り、R4aが置換基としてハロゲン原子を有するピリジル基であるフェニルイミダゾール化合物(1j-1)および(1j-2)は、当該ハロゲン原子をシアノ基に置換した化合物(1k-1)および(1k-2)に変換することができる。該反応は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンおよびトルエン等から成る群より選ばれる少なくとも一種の不活性溶媒中、1~2倍モル量のシアン化亜鉛、シアン化銅、シアン化ナトリウム、およびチオシアン酸銅等から成る群より選ばれる少なくとも一種のシアン化物を用い、触媒としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、テトラキストリフェニルホスフィン白金、および[1,2-ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)ジクロリド等から成る群より選ばれる
少なくとも一種を適宜添加して行われる。この反応は、50~150℃にて、0.5~15時間程度行うことができる。
【0092】
【数8】
【0093】
[式中、A、R、R、R、R、R、およびRは前記に同じ。R4aは置換基としてハロゲン原子を有するピリジル基を、R4bは置換基としてシアノ基を有するピリジル基を示す。]
【0094】
下記反応工程式-9に示す通り、Rがハロゲン原子である化合物(1d-1)及び(1d-2)は、各々当該ハロゲン原子をシアノ基に置換した化合物(1m-1)および(1m-2)に変換することができる。該反応は、前記反応工程式-8に示した方法に準じて行うことができる。
【0095】
【数9】
[式中、A、R、R、R、R、R、RおよびXは前記に同じ。]
【0096】
下記反応工程式-10に示す通り、Rがベンジルオキシ基である化合物(1n)は、Rがヒドロキシ基である化合物(1P)に変換することができる。該反応は、前記反応
工程式-4に示した接触還元法に準じて行うことができる。
【0097】
【数10】
[式中、A、R、R、R、R、R、R、RおよびBnは前記に同じ。]
【0098】
下記反応工程式-11に示す通り、Rが水素原子である化合物(1Q)は、Rがヒドロキシメチル基である化合物(1R)に変換することができる。該反応は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等からなる群より選ばれる少なくとも一種の不活性溶媒中、アルカリの存在下、化合物(1Q)に対して1~5倍モル量のホルムアルデヒドと反応させることにより実施される。アルカリとしては、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等を例示でき、通常は水溶液として添加される。また、ホルムアルデヒドも、同様に水溶液の形態で用いられる。反応は、室温~100℃にて、2~15時間程度にて行われる。
【0099】
【数11】
[式中、A、R、R、R、R、RおよびRは前記に同じ。]
【0100】
下記反応工程式-12に示す通り、Rが水素原子である化合物(1Q)は、Rがハロゲン置換C1~C6アルキル基である化合物(1S)に変換することができる。該反応は、梅本らによって見出された方法[Tetrahedron Lett., 31, 3579-3582 (1990))]を好
適に採用し得る。即ち、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中、化合物(1Q)に対して1~3倍モル量の、トリフルオロメチル化剤(S-(トリフルオロメチル)ジベンゾチオフェニウム テトラフルオロボレート))等のハロゲン置換C1~C6アルキル化剤と反応させることにより行われる。該反応は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン、及びトリエチルアミン,N,N-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基を化合物(1Q)に対して1~3倍モル量反応系に添加することが好ましく、通常、0℃~50℃の温度で0.5~10時間程度にて実施される。
【0101】
【数12】
[式中、A、R、R、R、R、RおよびRは前記に同じ。R7aはハロゲン置換C1~C6アルキル基を示す。]
【0102】
一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物は、その薬学的に許容される塩であってもよい。薬学的に許容される塩は、特に制限されず、例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、スルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、及びクエン酸塩から成る群より選ばれる少なくとも一種であり得る。これらの酸付加塩は常法に従って製造することができる。
【0103】
一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物には、炭素原子を不斉中心とする光学異性体が存在する場合がある。一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物は、このような光学異性体の混合物であるラセミ体およびそれぞれの光学異性体である光学活性体を全て包含する。光学異性体は、公知の各種の分割法を利用して分離することができる。
【0104】
前記各反応工程式に示す各工程における目的化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば、吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、および溶媒抽出などを例示することができる。
【0105】
一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物およびその薬学的に許容される塩は、リポプロテインリパーゼ(LPL)の活性化作用を有しており、LPL活性化剤として、高脂質血症、動脈硬化、肥満などの予防および治療に有用である。従って、一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩は、高脂質血症予防および治療剤、抗動脈硬化剤、および/または抗肥満剤として利用することができる。
【0106】
一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、一般的な医薬製剤の形態であり得る。医薬組成物は、一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物又はその薬学的に許容される塩に加えて、製剤学的に許容される任意の薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの製剤の使用形態に応じて通常使用される希釈剤乃至賦形剤を例示できる。これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0107】
上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択できる。代表的な剤形としては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)、および軟膏剤などが挙げられる。
【0108】
錠剤の形態に成形するに際して、上記製剤学的に許容される担体として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、およびリン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノー
ル、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナリン末、炭酸水素ナトリウム、および炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、およびステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、および水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、およびラウリル硫酸ナトリウムな
どの吸収促進剤;グリセリン、およびデンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、およびコロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、およびポリエチレングリコールなどの滑沢剤などから成る群より選ばれる少なくとも一種が使用できる。更に、錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、もしくは二重錠、または多層錠とすることができる。
【0109】
丸剤の形態に成形するに際して、製剤学的に許容される担体として、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、およびタルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、およびエタノールなどの結合剤;ラミナリン、およびカンテンなどの崩壊剤などから成る群より選ばれる少なくとも一種が使用できる。
【0110】
坐剤の形態に形成するに際して、製剤学的に許容される担体として、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、および高級アルコールのエステル類、並びに、ゼラチン、および半合成グリセライドなどから成る群より選ばれる少なくとも一種を使用できる。
【0111】
カプセル剤は、常法に従い、一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩を上記で例示した各種の製剤学的に許容される担体と混合して、硬質ゼラチンカプセル、または軟質ゼラチンカプセルなどに充填して調製される。
【0112】
液剤、乳剤、または懸濁剤などの注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であることが好ましい。これらの形態にするに際しては、希釈剤として、例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどから成る群より選ばれる少なくとも一種を使用できる。この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖、またはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよい。また、通常の溶解補助剤、緩衝剤、または無痛化剤などを添加してもよい。
【0113】
ペースト、クリーム、またはゲルなどの軟膏剤の形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば、白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、およびベントナイトなどから成る群より選ばれる少なくとも一種を使用できる。
【0114】
医薬組成物は、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有してもよい。
【0115】
医薬組成物における一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常医薬組成物中の配合割合は、約0.5~90重量%、好ましくは約1~85重量%である。
【0116】
医薬組成物の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件などに応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内に、或いは筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0117】
医薬組成物の投与量は、その用法、患者の年齢、性別、その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択される。例えば、一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の量が1日成人1人当たり体重1kg当たり約0.5~20mg程度、好ましくは1~10mg程度とすることができる。医薬組成物は1日に1回または2~4回に分け
て投与することができる。
【0118】
LPL活性化処理を必要とする患者に一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合
物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含むLPL活性化方法が提供
される。
【0119】
高脂質血症の予防または治療を必要とする患者に一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む高脂質血症の予防または治療方法が提供される。
【0120】
動脈硬化の予防または治療を必要とする患者に一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む動脈硬化症の予防または治療方法が提供される。
【0121】
肥満の治療を必要とする患者に一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む肥満の治療方法が提供される。
【0122】
LPL活性化組成物の製造のための一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用;高脂質血症予防又は治療用組成物の製造のための一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用;及び抗肥満組成物の製造のための一般式(1)で示されるフェニルイミダゾール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【実施例
【0123】
以下、参考例および実施例を参照して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0124】
[参考例1]
2-ブロモ-1-[4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]エタノンの製造
WO2010/090200の参考例1と同様にして、融点139~141℃の2-ブロモ-1-[
4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]エタノンを得た。
【0125】
[参考例2]
2-ブロモ-1-[4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-2-メトキシフェニル]エタノンの製造
WO2010/090200の参考例8と同様にして、融点122~123℃の2-ブロモ-1-[
4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-2-メトキシフェニル]エタノンを
得た。
【0126】
[参考例3~30]
参考例1または2と同様にして、下記の表1に示す構造および融点を有する参考例3~30の化合物を合成した。
【0127】
【表1】
【0128】
[参考例31~37]
更に参考例1または2と同様にして、下記の表2に示す構造および融点を有する参考例31~37の化合物を合成した。
【0129】
【表2】
【0130】
[実施例1]
2-フルオロ-5-[5-[2-メトキシ-4-((6-(トリフルオロメチル)ピリジンー3-イル)メトキシ)フェニル]-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジンの製造
参考例8で得られた化合物6.0g(14.8mmol)、6-フルオロニコチンイミダミド酢酸塩3.0g(14.8mmol)および炭酸水素カリウム5.9g(59.4mmol)を、水25mLとテトラヒドロフラン75mLの混合溶媒中に加え、80℃で8時間撹拌した。その後、酢酸エチル200mLを加え、水、および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、得られた結晶をメタノールで洗浄した。結晶をろ過し、40℃で1時間真空乾燥し、4.6gの目的化合物を得た(収率70%)。
【0131】
[実施例2~108]
実施例1と同様にして、下記の表3に示す構造および融点を有する実施例2~108の化合物を製造した。
【0132】
[実施例109]
4-[2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-イル]-3-メトキシフェノールの製造
2-ブロモ-1-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)エタノンと6-フルオロピリジンー3-イルアミジンを用い、実施例1と同様にして、5-[(5-(4-ベンジルオキシ-2-メトキシフェニル)-1H-イミダゾール-2-イル)]-2-フルオロピリジンを得た。次に、得られた化合物6.0g(16mmol)に150mLのメタノールと7.5mLの酢酸を加え、この溶液に600mgのパラジウム‐炭素を加え、水素置換し、室温で6時間撹拌した。パラジウム/炭素をろ過後、溶媒を減圧留去し、結晶を冷メタノールで洗浄した。50℃で、1時間真空乾燥し、3.7gの目的化合物を得
た(収率82%)。
【0133】
[実施例110]
4-[2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-イル]-2-メトキシフェノールの製造
実施例109と同様にして、下記の表3に示す構造および融点を有する実施例110の化合物を製造した。
【0134】
[実施例111]
5-ブロモ-3-フルオロ-2-[[4-(2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]ピリジンの製造 実施例109で得られた化合物2.0g(7.0mmol)と、0.58g(4.2mmol)の無水炭酸カリウムを、N,N-ジメチルホルムアミド15mL中に加え、室温で10分撹拌した。この混合液に、2.6g(12mmol)の5-ブロモ-2-(クロロメチル)-3-フルオロピリジンを加え、100℃で3時間撹拌した。反応後、100mLの酢酸エチルを加え、水、および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル
)で分離精製し、目的物のフラクションをまとめ、溶媒を減圧留去し、得られた結晶をヘキサンで洗浄し、50℃で1時間真空乾燥し、2.1gの目的物を得た(収率64%)。
【0135】
[実施例112~149]
実施例111と同様にして、下記の表3に示す構造および融点を有する実施例112~149の化合物を製造した。
【0136】
[実施例150]
5-[5-[2-メトキシ-4-((5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル]-1H-イミダゾール-2-イル]ピコリノニトリルの製造
実施例94で得られた化合物450mg(0.98mmol)とシアン化亜鉛172mg(1.47mmol)に、9mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、容器内をアルゴンで置換した。次に、339mg(0.29mmol)のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを加え、80℃で1.5時間撹拌した。その後、50mLの酢酸エチルを加え、水、および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をヘプタンで洗浄した。粗生成物をメタノールから再結晶し、264mgの目的化合物を得た(収率60%)。
【0137】
[実施例151]
2-フルオロ-5-[4-[2-メトキシ-4-((5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル]-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジンの製造
0.68g(5.0mmol)の無水炭酸カリウムと、実施例124で得られた化合物1.0g(2.3mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに加え、室温で10分間撹拌した。この混合液に、0.18mL(2.9mmol)のヨードメタンを加え、室温で一晩撹拌した。反応溶液に水を加え、析出した結晶をろ過し、40℃で3時間真空乾燥し、0.97gの目的化合物を得た(収率94%)。
【0138】
[実施例152~153]
2-クロロ-5-[4-[2-メトキシ-4-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)メトキシ)フェニル]-1,5-ジメチル-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン(実施例152)、および2-クロロ-5-[5-[2-メトキシ-4-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)メトキシ)フェニル]-1,4-ジメチル-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン(実施例153)の製造
実施例49で得られた化合物250mg(0.53mmol)を用い、実施例151の方法に準じて反応を行った。反応後、150mLの酢酸エチルを加え、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラム(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル)で分離精製し、2つのフラクションに分画した
。それぞれのフラクションについて、溶媒を減圧留去し、得られた結晶をヘキサンで洗浄し、40℃で1時間真空乾燥し、実施例152の化合物90mg(収率35%)と、実施例153の化合物120mg(収率47%)を得た。
【0139】
[実施例154~168]
実施例151~153と同様にして、下記の表3に示す構造および融点を有する実施例154~168の化合物を製造した。
【0140】
[実施例169]
2-[[4-(5-クロロ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-3-メトキシフェノキシ]メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジンの製造
実施例151で得られた化合物0.50g(1.0mmol)と0.16g(1.2mmol)のNークロロコハク酸イミドを10mLのN,N-ジメチルホルムアミド中に加え、50℃で4時間撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムで分離精製(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル)した。目的のフラクシ
ョンをまとめ、溶媒を減圧留去し、得られた結晶をn-ヘキサンで洗浄し、40℃で1時間真空乾燥し、0.32gの目的化合物を得た(収率60%)。
【0141】
[実施例170~291]
実施例169と同様にして、下記の表3に示す構造および融点を有する実施例170~291の化合物を製造した。
【0142】
[実施例292~312]
実施例151~153と同様にして、下記の表3に示す構造および融点を有する実施例292~312の化合物を製造した。
【0143】

【表3】
【0144】
[実施例313~405]
上記実施例のいずれかと同様にして、下記の表4に示す構造および融点を有する実施例313~405の化合物を製造した。
【0145】

【表4】
【0146】
[実施例406]
5‐[[3-フルオロ‐5‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル]メトキシ]‐2
‐[2‐(6‐フルオロピリジン‐3‐イル)‐1H‐イミダゾール‐5‐イル]フェノ
ールの製造
実施例398の化合物である2‐[(3‐(ベンジルオキシ)‐4‐(2‐(6‐フルオロピリジン‐3‐イル)‐1H‐イミダゾール-5-イル)フェノキシ)メチル]-3-フル
オロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン150 mg(0.28 mmol)を5 mlのエタノールに溶かし、15 mgの10%パラジウム炭素を加え、水素置換後、室温で一晩撹拌した。パラジウム炭素をセライトろ過し、ろ液を減圧留去した。得られた結晶をイソプロパノールで洗浄し、60℃で1時間真空乾燥し、90 mgの目的物を得た(収率72%)。
【0147】
[実施例407~408]
実施例406と同様にして、下記の表5に示す構造および融点を有する実施例407~408の化合物を製造した。尚、実施例407~408の前駆体であるベンジルオキシ置換化合物は、前記実施例1~405のいずれかと同様にして合成できる。
【0148】
[実施例409]
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-[2-メトキシ-4-((6-トリフルオロメチル
)ピリジン-3-イル)メトキシ)フェニル]-1H-イミダゾール-4-カルボニトリルの製

実施例224の化合物である5-[(4-(4-ブロモ-2-(6-フルオロピリジン-3-イル
)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ)メチル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン540 mg(1.0 mmol)と150 mg(1.3 mmol)のシアン化亜鉛を11 mlのN-メチル
ピロリドンに加え、アルゴン置換した。この溶液に180 mg(0.16 mmol)テトラキストリフ
ェニルホスフィンパラジウムを加え、130℃で11時間撹拌した。反応液を200 mlの水に加
え、析出した固体をろ過後、シリカゲルカラムで精製した(展開溶媒:クロロホルム/メ
タノール)。目的物のフラクションをまとめて得られた粗結晶を、メタノールから再結晶した。結晶をろ過し、40℃で真空乾燥し、140 mgの目的物を得た(収率30%)。
【0149】
[実施例410]
実施例409と同様にして、下記の表5に示す構造および融点を有する実施例410の化合物を製造した。
【0150】
[実施例411]
3-フルオロ-2-[4-(2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-4-(トリフルオロメチル
)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ)メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジンの製造
実施例139の化合物である3-フルオロ-2-[4-(2-(6-フルオロピリジン-3-イル
)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ)メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン300 mg(0.65 mmol)と357 mg(1.1 mmol)のトリフルオロメチル化試薬のS-
(トリフルオロメチル)ジベンゾチオフェニウム テトラフルオロボレート)と0.20 ml(1.3 mmol)のジアザビシクロウンデセンを5 mlのDMFに加え、窒素置換後、室温下3時間撹
拌した。DMFを減圧留去後、シリカゲルカラム精製した(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)。目的物のフラクションをまとめ、溶媒を減圧留去後、結晶をヘキサンで洗浄した。65℃で1時間真空乾燥し、240 mgの目的物を得た(収率70%)。
【0151】
[実施例412]
実施例411と同様にして、下記の表5に示す構造および融点を有する実施例412の化合物を製造した。
【0152】
[実施例413]
[5-(4-((3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メトキシ)-
2-メトキシフェニル)-2-(6-(フルオロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-4-
イル]メタノールの製造
実施例139の化合物である3-フルオロ-2-[4-(2-(6-フルオロピリジン-3-イ
ル)-1H-イミダゾール-5-イル)-3-メトキシフェノキシ)メチル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン220 mg(0.48 mmol) を2 mlのTHFと2 mlのメタノールに溶かした。この
溶液に、1.1 ml(1.4 mmol)の3.8%ホルムアルデヒド水溶液と0.18 ml(0.71 mmol)の4N水酸化ナトリウム溶液を加え、65℃で一晩撹拌した。70 mlの酢酸エチル/ヘキサン(=2/1)
で抽出し、有機層を、水、ブラインで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムで精製し(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)、目的物
のフラクションをまとめた。溶媒を減圧留去し、65mgの目的物を得た(収率27%)。
【0153】
【表5】
【0154】
[製剤例1]
錠剤の調製
有効成分として実施例227の化合物を用いて、1錠当たりその300mgを含有する錠剤(1
0000錠)を、次の処方により調製した。
実施例227の化合物 3000g
乳糖(日本薬局方品) 335g
コーンスターチ(日本薬局方品) 165g
カルボキシメチルセルロースカルシウム 125g
(日本薬局方品)
メチルセルロース(日本薬局方品) 60g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 15g
上記処方に従い、実施例227の化合物、乳糖、コーンスターチおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分に混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして目的の錠剤を得た。
【0155】
[製剤例2]
カプセル剤の調製
有効成分として実施例255の化合物を用いて、1カプセル当たりその200mgを含有する硬質ゼラチンカプセル剤(10000カプセル)を、次の処方により調製した。
実施例255の化合物 2000g
結晶セルロース(日本薬局方品) 300g
コーンスターチ(日本薬局方品) 170g
タルク(日本薬局方品) 20g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 10g
上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混合した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
【0156】
[試験例1] LPL mRNAの上昇作用
マウス横紋筋由来細胞株C2C12細胞を、DMEM培地(Gibco社)[2mM L-グルタミンおよび10% ウシ胎児血清含有]を用いて、96ウェルプレートに播種し、細胞を生育させた後、培地を除去した。次に、同じ培地に各種化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を10μMになるように添加した培地を細胞に加え、24時間静置した。化合物含有培地を除去し、
プレートをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、残った細胞を溶解して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR反応)に供して、cDNAを得た。得られたcDNAに、リポ蛋白リパーゼ(LPL
)遺伝子に特異的なプライマーと、必要な酵素などを添加し、Applied Biosystem社製の 7500 Fast Real Time PCR Systemにセットし、PCR反応を実施して(20サイクル)、増
幅されたLPL mRNAの量を定量した。各化合物の被検細胞におけるLPL mRNA上昇作用は、DMSOのみを添加した培地で静置した細胞におけるLPL mRNAの量を1として、その比率で示し
た。
尚、比較例1として、WO2010/090200号公報に実施例57として記載された化合物を用い
て同様に試験した。結果を下記の表6に示す。
【0157】
【表6】
【0158】
[試験例2] 胃液または腸液モデル液への溶解度
DMSO析出法による測定を行った。即ち、日本薬局方崩壊試験第1液(pH1.2)、あるいは日本薬局方崩壊試験第2液(pH6.8)に、各種化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を添加し、24時間室温で振とう攪拌した。次に、混合液中の不溶物を濾過して除去した後、
濾液のUV吸収を測定し、得られた値を予め準備しておいた各化合物の検量線にあてはめることより、溶解している化合物濃度(μg/mL)を算出した。結果を下記の表7に示す。
【0159】
【表7】
【0160】
以上の結果から明らかなように、本発明化合物は、優れたLPL活性を有し、胃液または腸
液モデル液における優れた溶解度を有することが確認された。よって、本発明の化合物は、高脂質血症、動脈硬化、又は肥満の予防または治療に有用である。