(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】移動式相変化蓄熱蓄冷装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20240912BHJP
F28D 1/06 20060101ALI20240912BHJP
F28F 3/06 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F28D20/02 E
F28D1/06 A
F28F3/06 Z
(21)【出願番号】P 2022540907
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2020100028
(87)【国際公開番号】W WO2021139122
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202010013869.5
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510033929
【氏名又は名称】南京工▲業▼大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】5 Xinmofan Road,Nanjing,Jiangsu,210009 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】凌祥
(72)【発明者】
【氏名】杜明▲勝▼
(72)【発明者】
【氏名】王航
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539054(JP,A)
【文献】特開2019-157830(JP,A)
【文献】特開平06-088687(JP,A)
【文献】特開2007-101021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 17/00 - 21/00
F28D 1/00 - 1/06
F25D 1/00 - 9/00
F28F 3/06
F28F 9/00 - 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式相変化蓄熱蓄冷装置であって、
タンク、本管、伝熱板、相変化媒体、支持体、スリーブ、保温層及び箱体を含み、前記タンク、本管、伝熱板、相変化媒体、支持体、スリーブ及び保温層は前記箱体の内部に設置され、前記タンクはタンク本体及びベースを含み、前記タンク本体の外面は前記保温層で覆われ、前記伝熱板
及び支持体は前記タンク本体の内部に設置され、前記伝熱板は前記支持体上に配置され、前記支持体はタンク底板に溶接され、
前記相変化媒体は前記タンクに充填され、
前記本管
は前記伝熱板の上部に接続され、前記スリーブは前記伝熱板の下部に接続され、前記タンク本体及び保温層の片側面の左上方には前記本管が貫通するU字溝が開設され、右下方には前記スリーブが貫通する貫通孔が開設され、前記移動式相変化蓄熱蓄冷装置は前記相変化媒体の相変化過程におけるエネルギー蓄積と放出の特性を利用して、熱エネルギーの急速な蓄積及び異所の利用を実現
し、
前記伝熱板は、伝熱板コア、接合管及びリブがアルゴンアーク溶接で組み立てられ、前記接合管は、一端が封止され、他端が開口し、前記接合管に1本の溝がミリングされ、前記伝熱板コアの両端が前記接合管の溝内にそれぞれ挿入され、前記接合管の開口の一端が前記伝熱板コアの切欠きの方向に向かい、前記伝熱板コアと前記接合管が溶接され、前記リブは前記伝熱板コアの両側に等間隔で縦方向に溶接され、長さが前記伝熱板コアの切欠きの高さの範囲にあり、
前記スリーブは、直径の大きい1本の外管、直径の小さい1本の内管、及びフォーク形の支持体を含み、前記外管は、一端が封止され、片側には前記伝熱板と同数かつ等間隔の貫通孔が切断され、貫通孔は、直径が前記接合管の外径に等しく、前記内管は、両端がいずれも開口し、一端にフォーク形の支持体が溶接され、前記フォーク形の支持体の対角線の長さは前記外管の内径に等しく、フォーク形の支持体付きの前記内管の一端が前記外管の封止端の1番目と2番目の貫通孔との間に設置され、前記外管の他端には、外管の外径に等しい外径を有し、内管の外径に等しい内径を有する円板が溶接して封止され、前記内管は前記円板から所定の距離を突出し、前記伝熱板の下部の接合管は前記スリーブの貫通孔に延び、溶接して封止し、前記内管の外端の開口部に第2のクイックコネクタが接続され、
前記本管は、一端が封止され、他端が開口し、前記タンク内部の部分における端口が封止され、片側に前記伝熱板と同数かつ等間隔の貫通孔が切断され、前記貫通孔は、直径が前記接合管の外径に等しく、長さが前記スリーブの全長に等しく、前記伝熱板の上部の接合管は、本管の貫通孔に延び、溶接して封止し、前記タンク外部の部分における端口が開口し、開口部に第1のクイックコネクタが接続される、
ことを特徴とする移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【請求項2】
前記ベースは溝形ベースであり、前記タンク本体は、底板、前板、後板、側板及び天板を含み、前記前板は、右下方に前記スリーブが貫通する貫通孔が切断され、左上方に前記本管が貫通するU字溝が切断され、前記U字溝の直径は前記本管の直径よりも
大きく、前記前板と2つの側板及び後板は前記底板に溶接され、前記スリーブは前板の貫通孔を貫通して溶接され、前記天板は、複数の板材を折り曲げ加工してなり、持ち上げて摺動可能であり、前記溝形ベースは、格子状に設置されて、前記底板の下面に溶接され、格子の間には吊り紐を貫通するための貫通孔がある、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【請求項3】
前記伝熱板は、蓋板、仕切板、シール、フィン、接合管及びリブを含み、前記仕切板、フィン、並びに蓋板及びシールは、ろう付けされて伝熱板コアを形成し、前記伝熱板コアは、対角線上に2つの切欠きを有し、前記シールは、前記伝熱板コアの両側及び切欠き端部に配置され、上下両端にはシールがなく、前記フィンの長さは、前記仕切板と同一平面である、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【請求項4】
前記伝熱板は、蓋板、仕切板、シール、フィン、接合管、リブ及びスペーサーを含み、前記仕切板、フィン、並びに蓋板及びシールは、ろう付けされて伝熱板コアを形成し、前記接合管に1本の溝がミリングされ、前記伝熱板コアの両端が前記接合管の溝内にそれぞれ挿入され、前記リブは前記伝熱板コアの両側に等間隔で横方向に溶接され、前記接合管は上部の接合管と下部の接合管を含み、前記下部の接合管は内管と外管が同軸のスリーブ構造であり、前記上部の接合管と下部の接合管は、一端が封止され、他端が開口し、前記封止端にはスペーサーが溶接され、前記開口端は前記本管に接続され、前記本管は幅方向に同一のT字構造であり、前記スペーサーと前記タンク後板が溶接される、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【請求項5】
前記支持体は、溝形の支持体で、表面に複数の穴が切断され、前記支持体の上面が前記伝熱板の接合管に固定的に接続され、両側が前記タンク底板に溶接される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【請求項6】
前記相変化媒体は、水、酢酸ナトリウム三水和物、硫酸ナトリウム十水和物、塩化カルシウム六水和物、ヘキサデカン、ペンタデカン、ポリエチレングリコール、脂肪酸又は高密度ポリエチレンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【請求項7】
前記箱体の天井部又は前部は開閉式に設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動式相変化蓄熱蓄冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式相変化蓄熱蓄冷装置に関し、相変化エネルギー蓄積技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーは、人間の生存と発展の基礎であり、化石エネルギーの大量消費により、エネルギーの不足と環境汚染の問題がますます深刻になっている。我が国はエネルギー消費の大きい国であるが、エネルギーの利用過程において、変換効率が低く、利用が不十分であるなどの現象があり、エネルギーの利用率を向上させることは重要な現実的意義を有する。
【0003】
エネルギー蓄積は、エネルギーの節約とエネルギーの利用率の向上に非常に重要な役割を果たし、工業生産で発生する廃ガスと廃熱が直接排出されて、大量のエネルギーを浪費し、移動式相変化蓄熱蓄冷装置は、給熱先又は冷却先とユーザーとの間に存在する時間と地域の境界を打破する特徴を有し、所望の温度で熱量又は冷熱量を安定的に出力することができ、排熱又は排冷資源の利用における不連続性の問題を効果的に解決することができる。本発明は、装置の移動性とエネルギー蓄積量を両立させ、標準コンテナを蓄熱蓄冷装置とし、その輸送問題を解決し、コストを低減し、相変化材料のエネルギー蓄積密度が高く、相変化過程がほぼ等温であるなどの利点を利用し、熱エネルギー又は冷熱エネルギーの出力の安定性を確保し、その構造がシンプルでコンパクトであり、動作が確実で、コストが適切であり、伝熱面積が大きく、熱エネルギー変換速度が速く、効率が高いなどの利点をさらに有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決しようとする技術的問題は、全体的なエネルギー蓄積密度が高く、輸送しやすく、熱エネルギー変換速度が速く、効率が高く、従来の移動式給熱冷却装置が存在する蓄熱蓄冷能力が低く、冷熱回収効率が高くなく、充放熱時間が長いなどの問題を解決することができる移動式相変化蓄熱蓄冷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。移動式相変化蓄熱蓄冷装置は、タンク、本管、伝熱板、相変化媒体、支持体、スリーブ、保温層及び箱体を含み、前記タンク、本管、伝熱板、相変化媒体、支持体、スリーブ及び保温層は前記箱体の内部に設置され、前記タンクはタンク本体及びベースを含み、前記タンク本体の外面は前記保温層で覆われ、前記伝熱板、相変化媒体及び支持体は前記タンク本体の内部に設置され、前記伝熱板は前記支持体上に配置され、前記支持体はタンク底板に溶接され、前記本管及びスリーブは前記伝熱板にそれぞれ接続され、前記タンク本体及び保温層の片側面の左上方には前記本管が貫通するU字溝が開設され、右下方には前記スリーブが貫通する貫通孔が開設され、前記装置は相変化媒体の相変化エネルギー蓄積と放出がほぼ等温及びエネルギー蓄積密度が高い特性を利用して、熱エネルギーと冷熱エネルギーの急速な蓄積及び異所の利用を実現する。
【0006】
各伝熱板の間は本管及びスリーブを介して互いに連通し、伝熱板の2つの仕切板の間にはフィンが存在する。蓄熱時、蒸気は本管に入って伝熱板を流れ、熱量は伝熱板を介して相変化媒体に伝達し、熱を吸収させて液化させてエネルギーを蓄積し、蒸気は放熱凝縮して下部スリーブから流出し、放熱時、冷水はスリーブに入って伝熱板を流れ、熱量は伝熱板を介して相変化媒体から冷水に伝達して温水が得られ、相変化媒体は放熱凝固してエネルギーを放出し、温水は上部本管から流出する。蓄冷過程は蓄熱過程と同様に、冷熱量は蒸気ではなく主として冷凍水から相変化媒体に伝達し、放冷時、相変化媒体は、冷熱量を動作流体に再び伝達する。
【0007】
前記ベースは溝形ベースであり、前記タンク本体は、底板、前板、後板、側板及び天板を含み、前記前板は、右下方に前記スリーブが貫通する貫通孔が切断され、左上方に前記本管が貫通するU字溝が切断され、前記U字溝の直径は前記本管の直径よりも若干大きく、前記前板と2つの側板及び後板は前記底板に溶接され、前記スリーブは前板の貫通孔を貫通して溶接され、前記天板は、複数の板材を折り曲げ加工してなり、持ち上げて摺動可能であり、前記溝形ベースは、格子状に設置されて、前記底板の下面に溶接され、格子の間には吊り紐を貫通するための貫通孔がある。
【0008】
伝熱板は、蓋板、仕切板、シール、フィン、接合管及びリブを含み、前記仕切板、フィン、並びに蓋板及びシールは、ろう付けされて伝熱板コアを形成し、前記伝熱板コアは、対角線上に2つの切欠きを有し、前記シールは、前記伝熱板コアの両側及び切欠き端部に配置され、上下両端にはシールがなく、前記フィンの長さは、前記仕切板と同一平面である。
【0009】
伝熱板は、伝熱板コア、2本の接合管及び複数のリブによりアルゴンアーク溶接で組み立てられ、接合管は、一端が封止され、他端が開口し、2本の接合管に1本の溝がそれぞれミリングされ、伝熱板コアの両端が2本の接合管の溝内にそれぞれ挿入され、接合管の開口の一端が伝熱板コアの切欠きの方向に向かい、伝熱板コアと2本の接合管を溶接し、その後に複数のリブを伝熱板コアの両側に等間隔で縦方向に溶接し、長さが伝熱板コアの切欠きの高さの範囲にある。
【0010】
前記支持体は、溝形の支持体で、表面に複数の穴が切断され、前記支持体の上面が前記伝熱板の接合管に固定的に接続され、両側が前記タンク底板に溶接される。
【0011】
スリーブは、直径の大きい1本の外管、直径の小さい1本の内管、及びフォーク形の支持体であり、外管の片側には伝熱板と同数かつ等間隔の貫通孔が切断され、貫通孔は、直径が接合管の外径に等しく、一端が封止され、内管の両端がいずれも開口し、一端にフォーク形の支持体が溶接され、フォーク形の支持体の対角線の長さは外管の内径に等しく、フォーク形の支持体付きの内管の一端を外管内に延ばし、この一端の開口は最後と最後から2番目の貫通孔との間に位置し、外管の外径に等しい外径を有し、内管の外径に等しい内径を有する円板を用いて外管の他端を溶接して封止し、内管は円板から所定の距離を突出し、配列した伝熱板の下部の接合管をスリーブの貫通孔に延ばし、溶接して封止し、内管の外端の開口部に第2のクイックコネクタが接続される。
【0012】
本管は、一端が封止され、他端が開口し、前記タンク内部の部分における端口が封止され、片側に前記伝熱板と同数かつ等間隔の貫通孔が切断され、前記貫通孔は、直径が前記接合管の外径に等しく、長さが前記スリーブの全長に等しく、前記伝熱板の上部の接合管は、本管の貫通孔に延び、溶接して封止し、前記タンク外部の部分における端口が開口し、開口部に第1のクイックコネクタが接続される。
【0013】
相変化媒体は、水、酢酸ナトリウム三水和物、硫酸ナトリウム十水和物、塩化カルシウム六水和物、パラフィン(ヘキサデカン、ペンタデカン)、ポリエチレングリコール、脂肪酸、高密度ポリエチレンなどの相変化材料であってもよく、相変化媒体は、蓋板を取り外したタンク上部からタンク内に入れ、入れながら伝熱板内に蒸気を通し、融解した相変化媒体の液位がタンクの前板のU字溝の最底面より所定の距離だけ下がった時に充填を停止し、充填が完了した後、タンクの蓋板を被せる。
【0014】
タンクの周囲外面及び上下外面に保温層を被覆し、吊り紐を溝形ベースの貫通孔に貫通し、機器全体を天井開きの箱体内に吊込み、箱体の前部も開閉式に加工し、計器機器などを取り付けて、移動式相変化蓄熱蓄冷装置を構成する。
【0015】
伝熱板、支持体、スリーブ、本管、タンクの材料は、蓄熱蓄冷の要求に応じて、アルミ合金、炭素鋼、ステンレス鋼などの材料であってもよい。
【0016】
好ましくは、接合管及び伝熱板は、実際の動作状況に応じて、幅方向に配置する場合と長手方向に配置する場合とがあり、以上、接合管及び伝熱板を幅方向に配置する場合を説明するが、接合管及び伝熱板を長手方向に配置する時、具体的な長さに従って複数の伝熱板を同一の接合管に配置することができ、この場合、下部の接合管は内管と外管が同軸のスリーブ構造であり、2本の本管は幅方向に同一のT字構造であり、伝熱板の両側にフィンが付き、接合管と下部の接合管の後端にスペーサーが溶接され、スペーサーと後板が溶接される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、従来技術と比較して、以下の利点及び効果を有する。
1、相変化媒体は、エネルギー蓄積密度が高く、相変化温度が適切であり、充放熱速度が速く、コストが低く、移動式相変化蓄熱装置の蓄熱蓄冷能力を向上させ、充放熱時間が短縮され、時間コストがより低い。
2、液固二相変換により、相変化過程における容積の大きな変化を回避し、装備構造がよりコンパクトで、体積当たりのエネルギー蓄積が強化され、相変化過程がほぼ等温で、出力が安定的である。
3、タンクの前板はU字溝で本管に接続され、本管は自由に膨張することができ、機器構造に対する熱応力の影響が弱められ、機器はより確実で、製造コストとその後の使用保守費用が大幅に低減される。
4、移動式相変化蓄熱蓄冷装置は、伝熱板が容易に標準化され、加工速度が速く、蓄熱蓄冷装置は標準化されたコンテナであり、複数の蓄熱蓄冷機器が並列に使用することができ、装置の蓄熱蓄冷量が増加し、本管及びスリーブはクイックコネクタで接続され、さらに接続時間が短縮され、使用効率が向上し、蓄熱蓄冷装置はスマートな検出計器を備え、機器の動作状態をリアルタイムで監視することができ、安全性がより高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の移動式相変化蓄熱蓄冷装置の外形図である。
【
図2】本発明の移動式相変化蓄熱蓄冷装置のa-a断面図である。
【
図3】本発明の移動式相変化蓄熱蓄冷装置の箱体内部の外形図である。
【
図4】本発明の移動式相変化蓄熱蓄冷装置の箱体内部の分解図である。
【
図5】本発明の移動式相変化蓄熱蓄冷装置の箱体内部のb-b断面図である。
【
図7】本発明の相変化蓄熱蓄冷装置の支持体の構造概略図である。
【
図8】本発明の相変化蓄熱蓄冷装置のスリーブの分解図及び断面図である。
【
図9】本発明の相変化蓄熱蓄冷装置の本管の構造概略図である。
【
図10】本発明の相変化蓄熱蓄冷装置のタンクの構造概略図である。
【
図11】本発明の接合管及び伝熱板を長手方向に配置する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の発明内容、特徴及び機能をさらに説明するために、以下、本明細書の図面及び具体的な実施例を組み合わせて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
図1~4に示すように、移動式相変化蓄熱蓄冷装置は、タンク1、本管2、伝熱板3、相変化媒体4、支持体5、スリーブ6、保温層7及び箱体8を含み、前記タンク1、本管2、伝熱板3、相変化媒体4、支持体5、スリーブ6及び保温層7は前記箱体8の内部に設置され、前記タンク1はタンク本体及びベース1.6を含み、前記タンク本体の外面は前記保温層7で覆われ、前記伝熱板3、相変化媒体4及び支持体5は前記タンク本体の内部に設置され、前記伝熱板3は前記支持体5上に配置され、前記支持体5はタンク底板1.1に溶接され、前記本管2及びスリーブ6は前記伝熱板3にそれぞれ接続され、前記タンク本体及び保温層7の片側面の左上方には前記本管2が貫通するU字溝が開設され、右下方には前記スリーブ6が貫通する貫通孔が開設され、前記装置は相変化媒体4の相変化エネルギー蓄積と放出がほぼ等温及びエネルギー蓄積密度が高い特性を利用して、熱エネルギーと冷熱エネルギーの急速な蓄積及び異所の利用を実現する。
【0021】
図5に示すように、各伝熱板3の間は本管2及びスリーブ6を介して互いに連通し、伝熱板3の2つの仕切板3.3の間には多孔フィン3.5が存在する。蓄熱時、蒸気は本管2に入って伝熱板3を流れ、熱量は伝熱板3を介して相変化媒体4に伝達し、熱を吸収させて液化させてエネルギーを蓄積し、蒸気は放熱凝縮して下部スリーブ6から流出し、放熱時、冷水はスリーブ6に入って伝熱板3を流れ、熱量は伝熱板3を介して相変化媒体4から冷水に伝達して温水が得られ、相変化媒体4は放熱凝固してエネルギーを放出し、温水は上部本管2から流出する。上部から蒸気を、下部から水を供給することにより、伝熱板3の内部空間に2種の媒体を満たすように保証することができ、熱交換面積を十分に利用して熱交換を強化することができる。蓄冷過程は蓄熱過程と同様に、冷熱量は蒸気ではなく主として冷凍水から相変化媒体4に伝達し、放冷時、相変化媒体4は、冷熱量を動作流体に再び伝達し、その蓄冷放冷時の出入口位置は状況に応じて適宜調整される。
【0022】
図6に示すように、伝熱板3は、伝熱板コア、2本の接合管3.6及び複数のリブ3.1で構成され、仕切板3.3、フィン3.5、並びに蓋板3.2及びシール3.4は、ろう付けされて伝熱板コアを形成し、伝熱板コアは、対角線上に2つの切欠きを有し、シール3.4は、伝熱板コアの両側及び切欠き端部に配置され、上下両端にはシール3.4がなく、フィン3.5の長さは、仕切板3.3と同一平面である。接合管3.6は、一端が封止され、他端が開口し、2本の接合管3.6に1本の溝がそれぞれミリングされ、伝熱板コアの両端が2本の接合管3.6の溝内にそれぞれ挿入され、接合管3.6の開口の一端が伝熱板コアの切欠きの方向に向かい、伝熱板コアと2本の接合管3.6を溶接し、その後に複数のリブ3.1を伝熱板コアの両側に等間隔で縦方向に溶接し、長さが伝熱板コアの切欠きの高さの範囲にある。伝熱板3内のフィン3.5は、高温蒸気や冷水の乱流を増加させ、内部伝熱を強化し、伝熱板3の相変化媒体4と接触する片側は、リブ3.1により表面を広げて熱伝導し、外部熱伝導がさらに強化される。
【0023】
図7に示すように、2本の溝形の支持体5の2つの側板に複数の穴が切断され、2つの側板がタンク底板に溶接され、天板に複数の伝熱板3が均等に配置され、スリーブ6と本管2を溶接した後に、均等に配置された伝熱板3の位置を調整し、接合管3.6を支持体の天板に固定する。支持体に複数の穴が切断され、支持体の溝内に相変化媒体を満たすように保証し、凝固膨張による支持体の応力変形や破壊を回避して、その空間を十分に利用するとともに、装置の移動中の伝熱板3を所定の位置に保ち、機器の安定性を保証する。
【0024】
図8に示すように、スリーブ6は、直径の大きい1本の外管6.1、直径の小さい1本の内管6.3、及びフォーク形の支持体6.2であり、外管6.1の片側には伝熱板3と同数かつ等間隔の貫通孔が切断され、貫通孔は、直径が接合管3.6の外径に等しく、一端が封止され、内管6.3は、両端がいずれも開口し、一端にフォーク形の支持体6.2が溶接され、フォーク形の支持体6.2の対角線の長さは外管6.1の内径に等しく、フォーク形の支持体6.2付きの内管6.3の一端を外管6.1内に延ばし、この一端の開口部は最後と最後から2番目の貫通孔との間に位置し、本管2内を流れる蒸気又はスリーブ6内を流れる冷水が、各伝熱板3を通過する流体の流れの経路は同じとなり、流体の出口温度は、狭い範囲内で安定し、機器全体の各部材の間でほぼ等強度となり、各構成要素は、効果的に利用される。さらに、外管6.1の外径に等しい外径を有し、内管6.3の外径に等しい内径を有する円板6.4を用いて外管6.1の他端を溶接して封止し、内管6.3は円板6.4から所定の距離を突出し、配列した伝熱板3の下部の接合管3.6をスリーブ6の貫通孔内に延ばし、溶接して封止し、内管6.3の外端の開口部に第2のクイックコネクタ6.5が接続され、装置と外部動作状況との接続を容易にし、時間コストが低減され、機器の動作効率が向上する。
【0025】
図9に示すように、本管2は、片側に伝熱板3と同数かつ等間隔の貫通孔が切断され、貫通孔は、直径が接合管3.6の外径に等しく、一端が封止され、他端が開口し、長さがスリーブ6の全長に等しく、配列した伝熱板3の上部の接合管3.6を本管2の貫通孔に延ばし、溶接して封止し、開口部に第1のクイックコネクタ2.1が接続され、装置と外部動作状況との接続を容易にし、機器の時間コストが低減され、その動作効率が向上する。
【0026】
図10に示すように、タンク1は、タンク本体と溝形ベース1.6を溶接して構成され、前記タンク本体は、底板1.1、前板1.2、後板1.4、側板1.3及び天板1.5を含み、前板1.2は、下部のスリーブ6に貫通孔が切断され、上部の本管2に直径が大きいU字溝が切断され、この時、本管2は、熱により自由に膨張することができ、熱応力が機器の構造に与える影響が弱められ、機器がより確実であり、コスト及びその後の使用保守費が大幅に低減される。スリーブ6及び本管2を前板1.2の貫通孔及びU字溝内に挿入し、2つの側板1.3及び後板1.4とともにタンク底板1.1に溶接し、また、スリーブ6及び前板1.2を封止して溶接し、上部が複数の板材を折り曲げ加工してなる天板1.5であり、持ち上げて摺動可能であり、相変化エネルギー蓄積材料の相変化媒体4の急速な充填を容易にする。タンク底板1.1の下部は格子状に配置して溶接された溝形ベース1.6であり、格子の間には吊り紐を貫通するための貫通孔があり、タンク底板1.1を溝形格子ベース1.6に溶接し、溝形格子ベース1.6は荷重分布が均一であり、耐荷重性がよく、移動及び機器の保守を容易にする。
【0027】
相変化媒体4は、水、酢酸ナトリウム三水和物、硫酸ナトリウム十水和物、塩化カルシウム六水和物、パラフィン(ヘキサデカン、ペンタデカン)、ポリエチレングリコール、脂肪酸、高密度ポリエチレンなどの相変化材料であってもよく、相変化媒体4は、蓋板1.5を取り外したタンク1上部からタンク1内に入れ、入れながら伝熱板3内に蒸気を通し、相変化媒体4が液体に融解してタンク1の内部空間に充満し、機器全体の最大の充填量を有する。融解した相変化媒体4の液位がタンク1の前板1.2のU字溝の最底面より所定の距離だけ下がった時に充填を停止し、充填が完了した後、タンク1の天板1.5を被せる。
【0028】
図4に示すように、タンク1の周囲外面及び上下外面に保温層7を被覆し、吊り紐を溝形ベース1.6の貫通孔に貫通し、機器全体を天井開きの箱体8内に吊込み、箱体8の前部も開閉式に加工し、計器機器などを取り付けて、移動式相変化蓄熱蓄冷装置を構成する。
【0029】
タンク1、本管2、伝熱板3、支持体5、スリーブ6の材料は、蓄熱蓄冷の要求に応じて、アルミ合金、炭素鋼、ステンレス鋼などの材料であってもよい。異なる材料を選定することにより、蓄熱蓄冷の要求を満たすとともに、機器の重量を軽減し、製造コストを低減することができる。
【0030】
図11に示すように、本発明の別の実施例として、接合管11及び伝熱板10は、実際の動作状況に応じて、幅方向に配置する場合と長手方向に配置する場合とがあり、以上、接合管11及び伝熱板10を幅方向に配置する場合を説明するが、接合管11及び伝熱板10を長手方向に配置する時、具体的な長さに従って複数の伝熱板10を同一の接合管11に配置することができ、この場合、下部の接合管12は内管と外管が同軸のスリーブ構造であり、2本の本管9は幅方向に同一のT字構造であり、伝熱板10の両側にフィンが付き、接合管11と下部の接合管12の後端にスペーサーが溶接され、スペーサー13と後板が溶接される。長手方向に配置する時、本管9に対する接合管11及び下部の接合管12の溶接数がより少なく、技術的により容易に実現でき、封止性も向上するとともに、下部の接合管12がスリーブ構造である作用は、幅方向に配置する時にスリーブの作用が同様である。
【0031】
以上の説明は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を何ら限定するものではなく、本発明の技術に基づいて上記の実施例に対して行われた任意の簡単な修正、変更及び等価な構造変化は、いずれも本発明の技術的解決手段の保護範囲内に属する。
【符号の説明】
【0032】
タンク1、本管2、伝熱板3、相変化媒体4、支持体5、スリーブ6、保温層7、箱体8、
タンク底板1.1、前板1.2、側板1.3、後板1.4、天板1.5、ベース1.6、第1のクイックコネクタ2.1、
リブ3.1、蓋板3.2、仕切板3.3、シール3.4、フィン3.5、接合管3.6、
外管6.1、フォーク形の支持体6.2、内管6.3、円板6.4、第2のクイックコネクタ6.5。