(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】土壌及び土壌堆積物内の中間地質材料の各種層の土壌改良のための急速圧密及び締固め方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/10 20060101AFI20240912BHJP
E02D 5/46 20060101ALI20240912BHJP
E02D 7/18 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E02D3/10 104
E02D5/46
E02D7/18
(21)【出願番号】P 2022580361
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 US2020061495
(87)【国際公開番号】W WO2021262223
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522499162
【氏名又は名称】グプタ,ラメシュ,チャンドラ
【氏名又は名称原語表記】GUPTA, Ramesh, Chandra
【住所又は居所原語表記】SAR6 Inc., 44521 Blueridge Meadows Drive, Ashburn, VA 20147 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,ラメシュ,チャンドラ
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-116824(JP,A)
【文献】特開昭52-135511(JP,A)
【文献】特開昭55-098519(JP,A)
【文献】特開昭62-284815(JP,A)
【文献】特開平09-316864(JP,A)
【文献】特公昭47-036685(JP,B1)
【文献】特開2018-059310(JP,A)
【文献】特開2015-232239(JP,A)
【文献】実開昭60-036422(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0058477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/10
E02D 5/46
E02D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土質沈泥状土壌の層および/または砂質土壌の層を緻密化するための急速圧密及び締固め方法であって、
前記土壌には、土壌堆積物内の中間地質材料が含まれ、
前記急速圧密及び締固め方法は、締め固められた砂質土壌の柱である多孔性排土杭を使用し、
(i)
少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層および/または少なくとも1つの砂質土壌の層に、
パイプ部分を備える非排土杭を
打ち込む
、非排土杭打ち込み工程と、
(i
i)
前記非排土杭打ち込み工程の後、前記多孔性排土杭であって、その一端に取外し可能な端部プレートを装着し
て砂質土壌の締め固められた層を充填した
排土パイプ部分を備える
、多孔性排土杭を、前記非排土杭の内部を通って
前記少なくとも1つの
粘土質沈泥状土壌の層
および/または前記少なくとも1つの砂質土壌の層に打ち込む
、排土杭打ち込み工程と、
(
iii)
前記排土杭
打ち込み工程の後、
前記
排土パイプ部分内の前記締め固められた砂質土壌の上に錘又はハンマーを置く
、錘又はハンマー載置工程と、
(
iv)
前記錘又はハンマー載置工程の後、前記取外し可能な端部プレート
に前記
排土パイプ部分の内側領域の100パーセントを開放させ
、前記錘又は前記ハンマー
によって前記締め固められた砂質土壌を垂直下方に押し続け
ながら、前記締め固められた砂質土壌の柱を残して前記排土パイプ部分を前記少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層および/または前記少なくとも1つの砂質土壌の層から引き抜くことにより、
前記締め固められた砂質土壌の前記柱にくびれが形成されることを防止しながら、前記排土パイプ部分によってそれまで占有されていた空間に
前記締め固められた砂質土壌を充填する
、排土パイプ部分引き抜き工程と、
を備え、
前記排土パイプ部分を引き抜いた後に残される前記締め固められた砂質土壌の前記柱
は、少なくとも前記
排土パイプ部分の内側領域以上
の断面領域を有し、
前記排土パイプ部分が打ち込まれた深度まで多孔性排土杭として挙動すること
により、
前記
粘土質沈泥状土壌および/または砂質土壌
を変位させ
前記
多孔性排土杭から横方向に遠ざけ
て、
前記少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層では、前記多孔性排土杭が、前記粘土質沈泥状土壌によってそれまで占有されていた空間を占有し、
飽和した粘土質沈泥状土壌の細孔内に存在する間隙水を加圧することによって、飽和した
前記粘土質沈泥状土壌における過剰間隙水圧と、部分的に飽和した
前記粘土質沈泥状土壌における前記過剰間隙水圧と
を発生させ
た後に、前記粘土質沈泥状土壌で発生した前記過剰間隙水圧
が、前記多孔性排土杭を通って地表面又は
地面内に位置する砂質層まで流れる加圧された間隙水
によって迅速に放散されることで、前記粘土質沈泥状土壌を緻密化
し、
前記少なくとも1つの砂質土壌の層では、前記多孔性排土杭が、前記砂質土壌によってそれまで占有されていた空間を占有し
、土壌マトリックスの空隙の量を低減
することによって、前記砂質土壌を即座に緻密化する
、
急速圧密及び締固め方法。
【請求項2】
粘土質沈泥状土壌の層および/または砂質土壌の層を緻密化するための急速圧密及び締固め方法であって、
前記土壌には、土壌堆積物内の中間地質材料が含まれ、
前記急速圧密及び締固め方法は、小穴を有し、一端に端部プレートを装着し、締め固められた砂質土壌を充填した排土パイプ部分を備える多孔性排土杭を使用し、
(i)
少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層および/または少なくとも1つの砂質土壌の層に、
パイプ部分を備える非排土杭を
打ち込む
、非排土杭打ち込み工程と、
(i
i)
前記非排土杭打ち込み工程の後、前記多孔性排土杭を、前記非排土杭の内部を通って
前記少なくとも1つの
粘土質沈泥状土壌の層
および/または前記少なくとも1つの砂質土壌の層に打ち込む
、排土杭打ち込み工程と、
を備え、
前記多孔性排土杭が前記
粘土質沈泥状土壌および/または砂質土壌
を変位させ
前記
多孔性排土杭から横方向に遠ざけ
て、
前記少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層では、前記多孔性排土杭が、前記粘土質沈泥状土壌によってそれまで占有されていた空間を占有し、
飽和した粘土質沈泥状土壌の細孔内に存在する間隙水を加圧することによって、飽和した
前記粘土質沈泥状土壌における過剰間隙水圧と、部分的に飽和した
前記粘土質沈泥状土壌における前記過剰間隙水圧と
を発生させ
た後に、前記粘土質沈泥状土壌で発生した前記過剰間隙水圧
が、前記多孔性排土杭を通って地表面又は
地面内に位置する砂質層まで流れる加圧された間隙水
によって迅速に放散されることで、前記粘土質沈泥状土壌を緻密化
し、
前記少なくとも1つの砂質土壌の層では、前記多孔性排土杭が、前記砂質土壌によってそれまで占有されていた空間を占有し
、土壌マトリックスの空隙の量を低減
することによって、前記砂質土壌を即座に緻密化する
、
急速圧密及び締固め方法。
【請求項3】
前記急速圧密及び締固め方法は、
(
v)前記排土パイプ部分に前記砂質土壌を
層状に充填
する、充填工程と、
(
vi)
前記充填工程において前記
排土パイプ部分内
に充填した前記砂質土壌を、
締め固められた砂質
土壌の粒径分布であるグラデーションが、前記過剰間隙水圧
を放散させるため
過剰間隙水の自由な流れを可能にするとともに、現場土壌の微粒子の移動を防止する
ものとなるよう
に締め固める、締め固め工程と、
を
さらに備える、
請求項1
または請求項2に記載の急速圧密及び締固め方法。
【請求項4】
前記急速圧密及び締固め方法は、
前記充填工程において前記
排土パイプ部分内
に充填された前記層の前記砂質土壌を締め固める
ために、以下の3つの方法
:
(
a)
連結ロッドによってクレーンのブーム又は
杭打ちハンマーに連結
したハンマー又は錘の落下によって、各層の前記砂質土壌を締め固めて緻密化する、第1の方法、
(
b)
前記
排土パイプ部分内の前記砂質土壌の上部にハンマー又は錘を
載置した後、前記
排土パイプ部分の側に表面振動機を装着し、前記
排土パイプ部分を振動させて、
前記砂質土壌の
各層を締め固め
て緻密化する
、第2の方法、
(
c)
前記
排土パイプ部分内の前記砂質土壌の上部にハンマー又は錘を
載置した後、
前記ハンマー又は前記錘を振動させて、前記砂質土壌
の各層を
締め固めて緻密化する
、第3の方法、
のうちの1つを使用して、前記砂質土壌
の各層を
、中程度に密な、又は密な、又は非常に密な砂状態のいずれか
の相対密度に締め固めるものであり、
前記3つの方法の1つを使用して締め固め緻密化された前記多孔性排土杭が、前記急速圧密及び締固め方法によって緻密化された
前記現場土壌の密度よりも高い相対密度を有
して、前記緻密化された
前記現場土壌の荷重よりも大きい盛土又は構造の土台の荷重を共有する補強材として働くことによって、前記構造又は前記盛土の総沈下
が低減
される、
請求項
3に記載の急速圧密及び締固め方法。
【請求項5】
前記急速圧密及び締固め方法は、
前記取外し可能な端部プレートを前記排土パイプ部分に装着するために、以下の3つの
様式:
(
A)
ヒンジ連結部によって、前記取外し可能な端部
プレートが
前記
排土パイプ部分
の前記一端に装着される
、第1の様式であって、
前記
排土パイプ部分引き抜き工程中、
垂直杭の場合は、前記
排土パイプ部分の底部
において前記取外し可能な端部プレートが
前記ヒンジ連結部の側で垂直になって
前記排土パイプ部分の前記底部
が完全に開放され
、斜杭の場合
は、前記ヒンジ連結部を伴う前記取外し可能な端部プレート
が前記
多孔性排土杭の縦の斜め方向に位置合わせされ
ることで前記
排土パイプ部分の前記底部
が開放
されるようになっている、第1の様式、
(
B)
取外し可能な短パイプが、前記取外し可能な端部プレートに連結され、次いで、両者が前記
排土パイプ部分の前記
一端
に一緒に挿入される
、第2の様式であって、
前記短パイプ
は、前記
排土パイプ部分の内部にぴったりフィット
するか、又は前記短パイプ
は、前記
排土パイプ部分が引き抜かれるときに破断する薄いアルミニウム製リベットによって前記
排土パイプ部分に装着され
ており、
前記
排土パイプ部分引き抜き工程中、前記
排土パイプ部分が完全に
開いて、前記取外し可能な端部プレートに装着された前記短パイプが、前記締め固められた砂質土壌の前記柱の
底部に残される
ようになっている、第2の様式、
(
C)
複数の連結ロッドが、最初に、前記
排土パイプ部分の前記底部に位置する前記取外し可能な端部プレートに
固定され、その後、前記連結ロッドが前記
排土パイプ部分の上部に
ボルト締めされる
、第3の様式であって、
前記
排土パイプ部分引き抜き工程中、前記
排土パイプ部分の前記上部のボルトが緩められ
、前記連結ロッド及び
前記取外し可能な
端部プレート
が、前記
排土パイプ部分から
脱着可能とされ、前記
少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層および/または前記少なくとも1つの砂質土壌の層に残される
ようになっている、第3の様式、
のうちの1つを採用している、請求項1に記載の急速圧密及び締固め方法。
【請求項6】
前記急速圧密及び締固め方法は、
(
I)
前記第1の
様式において、前記多孔性排土杭が打ち込まれる位置以外の位置で前記砂質土壌が前記排土パイプ部分に充填され締め固められるときは、前記ヒンジ連結部に加えて、1つまたは複数のアングル部材が、前記排土パイプ部分の前記一端の周縁において互いに均等に間隔をおいた位置
に配置され、
それぞれが前記取外し可能な端部プレート及び
前記排土パイプ部分に
ボルト締めされており、
少なくとも1つの前記
アングル部材が前記取外し可能な端部プレート
および前記排土パイプ部分の前記一端に
ボルト締めされた状態で、前記締め固められた砂質土壌を充填した前記排土パイプ部分を前記多孔性排土杭が打ち込まれる位置まで移動
させた後、前記取外し可能な端部プレートが
地面に接触している
ときに
前記アングル部材のボルトが緩められて、前記取外し可能な端部プレートが前記排土パイプ部分から脱着可能とされる、
或いは、
(
II)前記第2の様式において、前記多孔性排土杭が打ち込まれる位置以外の位置で
前記砂質土壌が前記
排土パイプ部分
に充填され
締め固められ
るとき
は、
前記取外し可能な端部プレートに
連結された前記短パイプが前記
排土パイプ部分
の前記一端に
ボルト締めされて
前記
排土パイプ部分内の前記締め固められた砂質
土壌が適所に保持
された状態で、前記締め固められた砂質土壌を充填した前記排土パイプ部分を前記
多孔性排土杭が打ち込まれる
位置まで
移動させた後、前記取外し可能な端部プレートが
地面に接触しているとき
に前記
短パイプのボルトが緩められて、前記短パイプおよび前記前記取外し可能な端部プレートが前記排土パイプ部分から脱着可能とされる、
請求項
5に記載の急速圧密及び締固め方法。
【請求項7】
粘土質沈泥状土壌の層および/または砂質土壌の層を緻密化するための急速圧密及び締固め方法であって、
前記土壌には、土壌堆積物内の中間地質材料が含まれ、
前記急速圧密及び締固め方法は、多孔性鉄筋コンクリート杭である多孔性排土杭を使用し、
(i)
少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の
層、および/または少なくとも1つの砂質土壌の
層に、
パイプ部分を備える非排土杭を
打ち込む
、非排土杭打ち込み工程と、
(
ii)前記非排土杭打ち込み工程の後、前記多孔性排土杭
を、
前記非排土杭の内部を通って
前記少なくとも1つの
粘土質沈泥状土壌の層および/または前記少なくとも1つの砂質土壌の層に打ち込む
、コンクリート排土杭打ち込み工程と、
を備え、
前記多孔性排土杭
が、前記
粘土質沈泥状土壌および/または前記砂質土壌
を変位させ
前記
多孔性排土杭から横方向に遠ざけ
て、
前記少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層では、前記多孔性排土杭
が、前記粘土質沈泥状土壌によってそれまで占有されていた空間を占有し、
飽和した粘土質沈泥状土壌の細孔内に存在する間隙水を加圧することによって、飽和した
前記粘土質沈泥状土壌における過剰間隙水圧と、部分的に飽和した
前記粘土質沈泥状土壌における前記過剰間隙水圧と
を発生させ
た後に、前記粘土質沈泥状土壌で発生した前記過剰間隙水圧
が、前記多孔性排土杭を通って地表面又は
地面内に位置する砂質層まで流れる加圧された間隙水
によって迅速に放散されることで、前記粘土質沈泥状土壌を緻密化
し、
前記少なくとも1つの粘土質沈泥状土壌の層では、前記多孔性排土杭
が、前記砂質土壌によってそれまで占有されていた空間を占有し
、土壌マトリックスの空隙の量を低減
することによって、前記砂質土壌を即座に緻密化
する、
急速圧密及び締固め方法。
【請求項8】
前記多孔性排土杭は複数使用され、複数の前記多孔性排土杭は、緻密化を必要とする領域全体に、グリッドパターンで互いに間隔をおいて、垂直に又は斜めに敷設される、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の急速圧密及び締固め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、土木工学及び地質工学を含む技術分野において、土壌及び土壌堆積物内の中間地質材料の層の土壌緻密化についての実用特許を出願するものである。本明細書/説明はそれ自体で完結する。本発明は、連邦支援の研究開発又は任意の他の団体によって資金提供又はサポートを受けていない。本発明は、SAR6 INC.の社長兼単独所有者である本発明者Dr.Ramesh Chandra Gupta、Ph.D.、P.Eによって独自に企図、開発、及び完成された。本発明者、Ramesh Chandra Gupta博士は、米国市民である。
【背景技術】
【0002】
弱い土壌を強化するサンドドレーン工法(Kennedy及びWoods、1954)は、長きにわたって広く使用されてきた。Bowels、1988は、盛土又は土台構造の荷重を支えることができない粘土質土壌層を強化し、強固にするサンドドレーン方法を要約した。円形ケーシング又はマンドレルは、必要な深度まで軟質の粘土質層内に垂直に打ち込まれる。ケーシング又はマンドレル内の土壌は除去され、穴は重力下で清浄な砂で埋め戻されて、周囲の軟弱な粘土質土壌内に砂柱の粗い層を形成する。次に、マンドレル又はケーシングは、地面から引き抜かれることによって取り外される。次に、盛土が、段階的に全高まで地表面上に敷設される。盛土の全高が5メートルである場合、盛土は約49kPa(7.1psi)まで過剰間隙水圧を発生させる。圧密のための十分な時間をかけて、発生した過剰間隙水圧を一般には最大90%の圧密まで放散させた後、盛土は高速道路の場合は適所に残されるか、あるいは別様に掘り出されるかして、建物又は空港、油貯蔵タンクなどの必要な構造が、元の地面上又は元の地面からいくらかの深度において構築される。
サンドドレーンの水平間隔及び現場粘土の圧密程度に応じて、圧密にかかる時間は半年~1年以上に及ぶ可能性がある。近年、PVCドレーン又はウィックドレーンが、一般的にサンドドレーンに置き換わっている。
【0003】
Mars(1978)は、円錐の2つの半分の形態の部分的に開放可能なバルブを端部に備えたプローブパイプが振動プローブによって打ち込まれ、液体ジェットによって支援されて、プローブの周囲及びプローブの下方の現場土壌を浸食し、設計深度までの貫入を容易にする別の方法を紹介した。振動プローブは非常に軽量で遠心力が非常に小さいため、土壌を浸食する予備掘削又は液体ジェットが必要とされる。液体ジェットパイプは、現場土壌内へプローブパイプの端部を通過するプローブパイプの一体部分である。プローブは、垂直に間隔をおいて周囲にバンドを有する。プローブパイプが地面に貫入されているとき、端部バルブは閉鎖位置にとどまり、小石や石などが重力によってシュートを通ってプローブパイプに充填されて、非常に粗い密度をもたらす。プローブパイプが地面から引き抜かれるとき、部分的に開放可能なバルブが開放され、小石、石、又は砂が、プローブパイプの内側領域の25%未満であると思われる狭い開口部を通って落下することを可能にすることによって、小石や石などの柱を形成するが、追加の小石などがプローブパイプ及びバンドの残りの外側領域に落下する前に、粘土又は砂のいずれかから成る現場土壌は迅速に流れて崩落するため、形成される柱の断面領域はプローブパイプの内側領域の25%未満である。したがって、重力下で落下した小石などは単に、非常に粗い状態でしか柱を形成することができず、その断面領域はプローブパイプの内側領域又は外側領域よりもかなり小さい。その領域を充填して、締め固めるための盛土は、この方法には記載されていない(Mars、1978)。Mars(1978)法は、沖積土又は砂質領域又は油圧充填領域などの、元の支持強度が低い土壌領域を締め固めるために開発された。多くの団体は、振動プローブを粘土質土壌にパイプを打ち込ませることを許可していない。サンドドレーン工法では、盛土が現場領域に置かれ、この領域を締め固めて緻密化することで、粗く充填された砂から成るサンドドレーンの緻密化ももたらされるが、Mars(1978)法は、粗く充填された小石などが垂直穴に充填されている領域上に造成される盛土を使用しない。したがって、Mars法は、領域を緻密化する代わりに緩くする可能性がある。
【0004】
本出願の発明は、密度及び粘稠度の向上をもたらす粘土質土壌層の急速圧密を生じさせるための急速圧密及び締固め方法(RCCM)から成る。RCCMは、(i)最初に、地表面又は改良を要する土壌の層上の隆起を最小化するような深度まで中空パイプ部分を打ち込むことと、(ii)取外し可能な端部プレートで閉鎖したパイプ部分に砂質材料を充填し、締め固めた後、取外し可能又は脱着可能な端部プレートを備えたパイプ部分から成る排土杭を、既に打ち込まれている中空パイプ部分の内部を通って粘土質土壌の層に必要な深度まで打ち込むことと、(iii)脱着可能な端部プレートを備えたパイプ部分が、現場粘土質土壌を変位させる排土杭として機能するために、一般的には100~800kPaの範囲内と予測されるが、2500KPaまで上昇する可能性のある高い過剰間隙水圧を生成する(注:過剰間隙水圧の値は、地表面下の粘土の粘稠度及び深度に依存するものとする)ことと、(iv)パイプ部分を地面から引き抜く前に、重い錘がパイプ部分内の締め固められた材料の上に置かれることと、(v)パイプ部分を地面から除去し、又は引き抜き、重い錘が、締め固められた砂質材料の柱を押し下げ続けて、締め固められた材料の柱にくびれ(necking)が生じることを防止することと、(vi)脱着可能又は取外し可能な端部プレートが、内側領域の100パーセントを開放させ、それによって、内側領域の内面積と等しい締め固められた砂質材料の柱を形成し、錘が下向き力を加えて横方向に更に変位させ、パイプ部分の外側領域と等しい空間を占有させることと、(vii)したがって、締め固められた砂質材料の柱が、粘土質土壌に埋め込まれた多孔性排土杭として挙動し、最初に過剰間隙水圧の発生を可能にし、次に、過剰間隙水圧を迅速に放散させて、過剰間隙水を最初に多孔性排土杭まで水平方向に流れさせ、次いで多孔性排土杭を通って地表面又は多孔性排土杭の上方若しくは下方の砂質層まで垂直方向に流れさせることと、(v)グリッドパターンで最初の排土杭に隣接する多孔性排土杭が敷設されるとき、排水路の長さは、隣接する多孔性排土杭間の間隔の半分まで更に低減されて、粘土質土壌の層の急速圧密を可能にし、舗装道路、土木構造物、空港、又は油貯蔵タンクなどの必要な構造の荷重を十分に支えるように密度及び粘稠度の向上をもたらすことと、を含む。粗い~中程度に密な砂層に、グリッドパターンで多孔性排土杭を敷設する結果、密度が即時に高まる。したがって、本出願に発明として提示される急速圧密及び締固め方法(即ち、RCCM)は、プロジェクトの構造の荷重を支持するために、あらゆる種類の土壌及び中間地質材料の密度を向上し、高める。砂質材料は、構造の荷重を支持するという要件及びまた次表層土状態に応じて、パイプ部分内の70%超、又は更には100%の相対密度まで締め固められる。過剰間隙水圧の最大値はコーン貫入試験機上であり、過剰間隙水圧は、コーン貫入試験機から放射方向に離れるにつれて急速に低減する。多孔性排土杭の周囲の過剰間隙水の分布の同じ傾向が、多孔性排土杭の貫入中に発生すると予測される。多孔性排土の面近くの最大過剰間隙水圧は、流路の長さが、ゼロであるか、又は過剰間隙水圧の高い区域から非常に短い距離であるとき、多孔性排土杭を通って急速に放散するものとする。隣接する多孔性排土杭が敷設されると、流路の長さは、隣接する多孔性排土杭間の間隔の半分まで低減するものとする。例えば、多孔性排土杭の中心間間隔が、例えば多孔性排土杭の半径の4倍である場合、多孔性排土杭の面間の距離は半径の3倍に過ぎないが、多孔性排土杭間の中間点からは半径の1.5倍に過ぎず、過剰間隙水圧の非常に迅速な放散を促進する。30メートル高のアースダムでは、290kNm2の程度までの過剰間隙水圧が粘土区域内で発生するため、粘土質土壌の微粒子の移動を防止するとともに、過剰間隙水圧の自由な流れを可能にするために、砂質材料がフィルタ基準を満たす必要がある。このことに鑑み、多孔性排土杭内の締め固められた砂質材料の粒径分布も、フィルタ基準を満たすように設計される(Prakash及びGupta、1972)。
【0005】
多くの場合、パイプ部分を地面から引き抜くことは現実的ではない。したがって、プレストレスを伴う若しくは伴わない多孔性鉄筋コンクリート杭、又は端部プレートを備えた多孔性パイプ部分、又は小穴及び端部プレートを備えたパイプ部分が、締め固められた砂質材料で充填され、非排土杭を通って敷設されるものとし、(1)許容可能な打込み応力を超過せずに、杭打ちハンマーによって土壌に打込み可能である、(2)自由な排水と水の流れを可能にし、粘土及び沈泥の微細土壌粒子砂又は微細砂の移動を防止する、(3)チューブ又はパイプ部分の穴は、締固め中にパイプ部分に砂質材料を保持するように相当小さくする必要がある場合に、多孔性排土杭として使用されるものとする。これらの多孔性排土杭は、パイプ部分を地面から引き抜くことを必要とせず、敷設の速度が早められ、パイプ部分を引き抜く間に発生し得る騒音もない。
【0006】
本出願に提示される発明では、多孔性排土杭の貫入によって、はるかに高い過剰間隙水圧が発生する可能性が高いため、粘土質土壌中に均一な過剰間隙水圧を生成する盛土の敷設を必要としない。
【発明の概要】
【0007】
(a)土壌改良のための既存の地質工学的方法の技術的課題
上述したように、粘土質又は沈泥状土壌の圧密及び緻密化のために広く使用される方法は、50年間超にわたって使用されているサンドドレーン又はウィック(PVC)ドレーンである。浸透圧などの他の方法は滅多に使用されない。近年、穿孔又は掘削によって開けられた穴に(a)Geopier、又は(b)石柱、又は(c)ジェットグラウト柱、又はd)粘土質土壌との石灰若しくはセメント複合柱を敷設することによって、粘土質又は沈泥状土壌の層の粘稠度又は密度を高めないが、耐荷重を増加させるいくつかの方法が出現している(Shaeferら、2016)。穿孔を使用しないボトムフィード式石柱でも、おそらくは粘土質土壌のマトリックスを攪乱し、粘土質土壌の流入を可能にする振動プローブの非常に強い振動のせいで、粘土質土壌の層の密度を首尾よく高めることができない。上記の方法を使用して穴を掘りだす際、相当量の掘り出された材料は、プロジェクトの現場周辺に広がり、環境問題を防止するために適切に処理されなければならない。小さな基礎と、砂質材料によって分離される数層のジオテキスタイルとによって覆われる鉄筋コンクリート杭又はH杭が、軟質~超軟質の土壌上の盛土の荷重を支えるために使用されてきた。これらの方法は全て、軟質~非常に軟質の土壌の密度及び/又は粘稠度を高めず、軟質の粘土層上の荷重を容認せずに道路の盛土の重量を直接支える。これらの方法は、マイル(1マイル=1.6キロメートル)当たり数百万ドルなど非常に費用が掛かる。上記の比較的新しい技術には、優れた長期間にわたる挙動を実証し得る歴史が存在しない。
【0008】
土壌堆積物内の砂質材料の層を締め固めるため、選択された高さからの錘の落下、バイブロリプレースメント及びバイブロフローテーション、突き固めした砂利材料を用いるGeopier、ボトムフィード又はトップフィード式の石柱などによる、動的深締固めなどのいくつかの方法が現在使用されている。バイブロフローテーション又は石柱機器は、3000rpmの周波数、30000kgの遠心力、9000kgの重量、約2.5メートルの高さ、及び約38cmの内径を有する。バイブロフローテーション及び石柱バイブロ機器は、中央穴を有し、次表層土状態が振動のみではそれ以上土壌に貫入できないとき、又は貫入速度が超低速になるとき、その穴を通って水ジェットが噴射されて土壌を浸食する。多孔性排土杭を使用する急速圧密及び締固め方法は、過剰間隙水圧が発生しないように砂質材料を首尾よく緻密化する、又は過剰間隙水圧が発生する場合には、発生と同様に急速に放散させることができる新規な方法である。RCCMは、一般には、大半の地域でレンタル又はリースで利用可能である、又は製造業者から販売されている、クレーン、杭打ちハンマー、プーラ、表面又はプレート振動機などの簡易に入手可能な機器及び機械を必要とする。
【0009】
(b)問題の解決策及び発明の有利な効果
上述したように、急速圧密及び締固め方法は、砂質材料と粘土質材料の両方の密度を高めるように実施される。砂質材料は、ジェットグラウト柱、粘土質材料と混合されるセメント又は石灰の柱又はGeopierと比較してずっとコストが低く非常に経済的であるため、急速圧密及び締固め方法を使用するコストはずっと低く、大型プロジェクトでは何百万ドルも節減する可能性がある。急速圧密及び締固め方法は、隣接する多孔性排土杭間の選択された間隔と、多孔性排土杭内の締め固められた砂質土壌の相対密度とに応じて、(i)超軟質~軟質の粘着性土壌から硬質の又は非常に硬質の粘着性土壌へ、(ii)中程度に硬質の粘着性土壌から硬質の又は非常に硬質の粘着性土壌へ、(iii)硬質の粘着性土壌から非常に硬質の粘着性土壌へ、及び(iv)非常に硬質の粘着性土壌から堅い又は非常に堅い粘着性土壌へ緻密化するものとする。同様に、急速圧密及び締固め方法は、隣接する多孔性排土杭間の選択された間隔と、多孔性排土杭内の締め固められた砂質土壌の相対密度とに応じて、(i)非常に粗い(15%未満の相対密度)から中程度に密(35~65%の相対密度)へ、(ii)粗い(15~35%の相対密度)から中程度に密又は密(65~85%の相対密度)な砂へ、(iii)中程度に密から密な砂へ、及び(iv)密から非常に密(85%超の相対密度)へ、砂質土壌を締め固めるものとする。現場土壌のより高い密度への緻密化が要求されると、多孔性排土杭内の砂質材料の70%超、更には100%までの相対密度を、締め固められた砂質材料に対して、取外し可能な端部プレートとともにパイプ部分を変位させる際に選択することができ、敷設後にパイプ部分は地面から引き抜かれて、多孔性排土杭を形成する。地表面から選択された深度までの層内の現場粘土質沈泥状土壌と現場砂質土壌はいずれも、十分な支持力及び最小沈下で、構造の土台の支持を提供できるものとする。緻密化された現場土壌上に構造を構築する間、過剰間隙水圧が発生する場合、水圧は迅速に放散し、構造が全高に達する前に、わずかな沈下しか発生しないものとする。サンドドレーン又はPVCドレーンで必要とされるような盛土と、6カ月以上圧密の発生を待つ時間は、RCCMが選択されているときには必要とされない。したがって、建造の進捗は非常に高速化され、このことは、既存の道路又は高速道路の拡張若しくは拡幅の高速道路プロジェクトにとっても、各種構造の土台の支持にとっても非常に重要である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】敷設された非排土杭(120)と、脱着可能又は取外し可能な端部プレート(124)を備え、締め固められた砂質材料を充填したパイプ部分(123)とを示す典型的な細部である。
【
図1B】設計深度まで打ち込まれた、脱着可能又は取外し可能な端部プレート(124)を備えたパイプ部分(123)の典型的な細部である。
【
図1C】パイプ部分(123)を地面から引き抜く前の、締め固められた砂質材料(125)上に置かれたハンマー又は錘(126)を示す典型的な細部である。
【
図2A】パイプ部分が地面から引き抜かれた後の、ハンマー又は錘(126)が依然として多孔性排土杭(125)上にある、多孔性排土杭(125)として機能する締め固められた砂質材料の柱の典型的な細部である。
【
図2B】端部プレート(124)がその下にある多孔性排土杭(125)の敷設の完了の典型的な細部である。
【
図3A】内部の砂質材料の締固め中、パイプ部分(123)に横方向支持を提供する構成の典型的な細部である。
【
図3B】内部の砂質材料の締固め中、パイプ部分(123)に横方向支持を提供する構成の別の典型的な細部である。
【
図4A】パイプ部分(123)を取外し可能かつ脱着可能な端部プレート(124)に連結するヒンジ連結部の典型的な細部である。
【
図4B】パイプ部分(123)が地面から引き抜かれる間に垂直になる端部プレートの典型的な細部である。
【
図5A】取外し可能かつ脱着可能な短パイプ(132)がパイプ部分(123)内に挿入され、短パイプ(132)が端部プレート(124)に装着されている、パイプ部分(123)の典型的な細部である。
【
図5B】取外し可能かつ脱着可能な短パイプ(132)と、パイプ部分(123)を地面から引き抜く間に残される端部プレート(124)とを示す典型的な細部である。
【
図5C】連結ロッド(133)に装着された取外し可能な端部プレート(124)を示す典型的な細部であり、連結ロッド(133)は、パイプ部分(123)の上部にボルト(13%)によって固定されている。
【
図5D】連結ロッド(133)と取外し可能な端部プレート(124)とを示す典型的な細部であり、それらは、ボルト(135)の取外し後、パイプ部分(123)を地面から引き抜く間も残されている。
【
図6A】締め固められた砂質材料を充填したパイプ部分(123)を、地面に打ち込まれる位置まで上昇させるため、一端と他端でヒンジ(130)と、パイプ部分(123)にボルト締めされた角部分(137)とによってパイプ部分(123)に連結された取外し可能な端部プレート(124)の典型的な細部である。
【
図6B】締め固められた砂質材料を充填したパイプ部分を、地面に打ち込まれる位置まで上昇させるため、端部プレート(124)に装着された短パイプ部分(132)にボルト締めされたパイプ部分(123)の典型的な細部である。
【
図7A】ベタ基礎下の土壌改良のための、グリッド線(151)と、多孔性排土杭の位置(150)とを示す典型的なプランである。
【
図7B】ベタ基礎下の敷設された多孔性排土杭(125)を示す断面立面図である。
【
図8A】盛土下の敷設された多孔性排土杭(125)の典型的な細部である。
【
図8B】盛土の下に敷設された多孔性排土杭の典型的な細部であり、一次位置の多孔性排土杭が盛土に先立って敷設され、盛土が敷設された多孔性排土杭(125)上に拡張されている。
【
図9】ピサの斜塔の土台の下及び側方の土壌改良のための、グリッド線(151)及び多孔性排土杭の位置(150)を示す典型的なプランである。
【
図10】斜め多孔性排土杭(125)とともに、ピサの斜塔の土台と次表層土層とを示す典型的な細部である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
急速圧密及び締固め方法(RCCM)の発明の主な動機付けは、土壌又は土壌堆積物内の中間地質材料(IGM)の層を緻密化することができる土壌改良の方法を開発することである。非粘着性土壌は、50ブロー/0.3m未満のN60を有するとして定義され、非粘着性カテゴリ3のIGMは、50ブロー/0.3m超のN60を有するとして定義される(AASHTO、2012)。粘着性土壌は、0.25MN/m2未満の非排水剪断強度を有するとして定義される一方、粘着性IGMカテゴリ1は、0.25MN/m2超の非排水剪断強度を有するとして定義される(AASHTO、2012)。本出願の発明は、密度及び粘稠度の向上をもたらす粘土質土壌層の急速圧密を生じさせる急速圧密及び締固め方法(RCCM)から成る。RCCMは、(i)最初に、地表面又は改良を要する土壌の層上の隆起を最小化するような深度まで中空パイプ部分を打ち込むことと、(ii)取外し可能な端部プレートで閉鎖したパイプ部分に砂質材料を充填し、締め固めた後、取外し可能又は脱着可能な端部プレートを備えたパイプ部分から成る排土杭を、既に打ち込まれている中空パイプ部分内を通って粘土質土壌の層に必要な深度まで打ち込むことと、(iii)脱着可能な端部プレートを備えたパイプ部分が、現場粘土質土壌を変位させる排土杭として機能するために、一般的には100kPa~800kPaの範囲内と予測されるが、2500KPaにまで上昇する可能性がある高い過剰間隙水圧を生成することと(注:過剰間隙水圧の値は、地表面下の粘土の粘稠性及び深度に依存するものとする。260psi(1793kPa)~400psi(2758kPa)の範囲の間隙水圧が、Cooper Marlに記録されている。Peuchenら(2010)は、超過圧密粘着性土壌へのピエゾコーン貫入中の50kPa(7.25psi)~800kPa(261psi)の範囲の間隙水圧を記録した)、(iv)パイプ部分を地面から引き抜く前に、重い錘がパイプ部分内の締め固められた材料の上に置かれることと、(v)パイプ部分を地面から除去するか又は引き抜く間、重い錘が締め固められた砂質材料の柱を押し下げ続け、締め固められた材料の柱にくびれが形成されることを防止することと、(vi)脱着可能又は取外し可能な端部プレートが、内側領域の100パーセントを開放させ、それによって、内側領域の内面積と等しい締め固められた砂質材料の柱を形成し、錘が下向き力を加えて、締め固められた砂質土壌を横方向に更に変位させ、パイプ部分の外側領域と等しい空間を占有させることと、(vii)したがって、締め固められた砂質材料の柱は、粘土質土壌に埋め込まれた多孔性排土杭として挙動し、最初に過剰間隙水圧の発生を可能にし、次に、過剰間隙水圧を迅速に放散させて、過剰間隙水を最初に多孔性排土杭まで水平方向に流れさせ、次いで多孔性排土杭を通って地表面又は多孔性排土杭の上方若しくは下方の砂質層まで垂直方向に流れさせることと、(v)グリッドパターン内の最初の排土杭に隣接する多孔性排土杭が敷設されるとき、排水路の長さは、隣接する多孔性排土杭間の間隔の半分まで更に低減されて、粘土質土壌の層の急速圧密を可能にし、舗装道路、土木構造物、空港、又は油貯蔵タンクなどの必要な構造の荷重を十分に支えるように密度及び粘稠性の向上をもたらすことと、を含む。粗い~密な砂層に、グリッドパターンで多孔性排土杭を敷設する結果、密度が即時に上昇する。したがって、本出願に発明として提示される急速圧密及び締固め方法(即ち、RCCM)は、プロジェクトの構造の荷重を時支持するために、(粗い状態か密な状態か、軟質か非常に硬質かにかかわらず)全ての種類の土壌及び中間地質材料の密度を向上させて高めるものである。砂質材料は、構造の荷重を支持するという要件及びまた次表層土状態に応じて、パイプ部分内の70%超、又は更には100%の相対密度まで締め固められる。構造の基礎が、RCCMによって緻密化された土壌に構築されると、構造の重量は過剰間隙水が更に生成して基礎は迅速に強固になり、下部構造及び上部構造が構築されている間、基礎はごくわずかな大きさで均一に沈下し続ける場合があるが、上部構造の完成後は、ほとんど沈下は生じず、あったとしても均一に生じるものとする。多孔性排土杭の敷設の完了後、地表面土壌は、プロジェクト図面に従って必要とされる場合、ゼネコンによって締固めローラ又はシープフットローラなどの工程を介して固められ得る。
【0012】
上記のプロセスのために、中空パイプ部分(120)は、選択された深度(121)まで土壌に打ち込まれ、地表面の隆起を最小化する。中空パイプ部分は、外側領域又は内側領域と比較して非常に小さな環状領域を有するため、地質工学上の目的で、中空パイプ杭は非排土杭と称される。同様に、HP部分とチャネル部分などから成る杭は、非排土杭と称される。非排土杭(120)が地面に打ち込まれた後、
図1A及び
図1Bに示されるように、取外し可能な端部プレート(124)を備え、締め固められた砂質材料(125)を充填したパイプ部分(123)から成る排土杭が、緻密化する層に打ち込まれる。端部プレートがパイプ部分の底部に装着されるため、地面に打ち込まれると、閉鎖端部を備えたパイプ部分は、現場土壌を変位させて現場土壌の空隙容積を低減するか、又は過剰間隙水圧を発生させてその空間を占有することによって、最終的に土壌を緻密化する。
図1Cに示されるように砂質材料の上に錘又はハンマー(126)が置かれた後、パイプ部分が地面から引き抜かれて、
図2Aに示されるように脱着可能又は取外し可能な端部プレートは、締め固められた砂の柱の底部に残る。錘又はハンマー(126)は、砂質土壌の柱を押し下げ続けるのを助け、更には、柱に砂を横方向に押し込み、パイプ部分の厚さ分残された空間を占有するのを助ける。地面からパイプ部分を引き抜く間、オプションとして、錘を数センチメートル上昇させた後、数回落下させることは、パイプ部分(123)を引き抜くことで形成された空隙内で砂質材料を変位させるのを更に助け得る。その後、非排土杭(122)も引き抜かれ、錘又はハンマーを数回落下させることで、非排土杭(120)を引き抜くことで形成された空隙内で砂質材料(125)を変位させ、締め固めるのを更に助ける。このようにして、締め固められた砂質材料から成る多孔性排土杭(125)は、
図2Bに示されるように、緻密化又は土壌改良が必要とされる地面まで深く敷設される。
【0013】
中空パイプ又はチューブ部分は、円形、正方形若しくは矩形、又は業界で利用可能な又は作製される任意の形状であってもよい。時には、共に溶接される2つの角部分又は2つのチャネル部分も、中空パイプ部分として使用することができる。このような部分に脱着可能又は取外し可能な端部プレートが装着され、地面に打ち込まれる排土杭として使用されるとき、その場所を占有することによって土壌を変位させるため、地質工学的には排土杭と呼ばれる。底部に端部プレートを含まないこれらの部分(即ち、中空部分)が地面に打ち込まれるとき、地質工学的には非排土杭と呼ばれる。打ち込まれる位置で、又は打ち込まれる位置以外の地面においてパイプ部分内で、あるいは、下の地面が沈下を制限し排土杭の底部で端部プレートをそのまま保持するほど密である場合は地面に打ち込まれた後のパイプ部分内で、砂質材料を締め固めることができる。
【0014】
地表面又は緻密化される最上層の隆起を最小化するため、非排土杭が最初に地面に打ち込まれる。理想的には、排土杭を打ち込む間、多孔性排土杭による土壌の最大横方向変位を達成して、最大緻密化をもたらすために、地表面にいかなる隆起も存在すべきではない。そういうわけで、隆起を最小化するため、非排土杭が最初に選択された深度まで打ち込まれ、次に、排土杭が非排土杭を通って打ち込まれる。経済的な理由若しくは特定の現場であまり現実的でないなどのその他の理由により、排土杭を非排土杭に打ち込む上記の工程が省略され、排土杭が直接打ち込まれる場合、又は、隆起を最小化若しくは防止するのに十分な深度まで非排土杭が打ち込まれていないとき、現場土壌の完全な緻密化は、地表面の隆起により発生しないものの、特定の状況では満足のいくものであると考えることができる。このような場合、緻密化の量は、排土杭によって変位される現場土壌の量が、現場土壌の空隙の低減量と、地表面又は緻密化される層上で隆起した土壌の量との合計であるために少なくなる。非排土杭(120)の底部の深度の上方を覆う表土は、非排土杭(120)の底部の上方の表土の重量が地表面の隆起を防止するのに十分であるとき、地表面の隆起を制限する、又は妥当な限界まで最小化するように働く。現在利用可能な研究によると、土壌状態に応じて、7~10倍以上の表土の深度が、地表面の隆起を防止するのに十分であり得る。しかしながら、排土杭が地面に打ち込まれているときに、地表面の隆起を防止又は最小化するため、様々な密度又は粘稠度の様々な種類の土壌の妥当な深度(121)を予想するのに十分な又は充実した研究は、現時点では入手不能である。RCCMを用いる地盤改良を含むプロジェクトが実行されている間、様々な密度又は粘稠度の様々な種類の土壌の妥当な深度(121)を予想するために、十分な調査が行われるものとする。
【0015】
砂質土壌(125)が、パイプ部分(123)内の層に充填され、各層が、ハンマー又は錘(118)の特定数の落下によって締め固められて、指定された乾燥密度又は相対密度を達成する。連結パイプ又はロッド(127)は、錘又はハンマーをクレーンのブーム又は杭打ちハンマーシステム(
図1Cには示さず)に連結する。代替的に、砂質土壌を層に充填し、次いで、ハンマー又は錘(118)を各層の上に配置した後、パイプ部分(123)の両側に表面振動機を装着することによって振動させることができる、あるいは、砂質土壌を指定された乾燥密度又は相対密度まで緻密化するために、振動プローブ/錘が各層の上に配置される。脱着可能又は取外し可能な端部プレートを備えたパイプ部分(123)は、一般に、内部に砂質材料を充填して締め固める間、垂直に維持される。
【0016】
パイプ部分(123)内部の締め固められた砂質材料の密度は、一般に、続いて盛土を締め固めるための一般的な要件である約70%の相対密度に基づくべきであることが望ましい。硬質から非常に硬質の粘土から堅い粘土質土壌へ、又は中程度に密若しくは密な砂から非常に密な砂への緻密化が要求されるとき、パイプ部分内の締め固められた砂質材料の相対密度は、約70%又は70%超、及び更には100%までが、より適当であり得る。地震帯及び断層上又は原子力発電所下では、更なる緻密化のため、更に超硬質の粘土又は密な砂が必要とされる場合があり、このような場合、多孔性排土杭の役割を果たす、締め固められた砂質土壌の柱の相対密度は、70%超から更には100%までに指定することができる。しかしながら、非常に軟質の粘土若しくは軟質の粘土を中程度に硬質の粘土に緻密化させる、又は粗い~非常に粗い砂を中程度に密な砂に緻密化させるとき、現場の構造支持要件が、締め固められた砂質材料から成る多孔性排土杭のより低い相対密度によって満たすことができる場合、相対密度の要件を緩和させることができる。中程度に密な砂の相対密度は、35~65%の範囲で変動する。構造土台の支持又は現場の地面全体の支持を満たすために、現場が中程度に密な砂状態に相当する相対密度まで地表下層を緻密化する必要がある場合、砂質材料の柱から成る多孔性排土杭を、中程度に密な砂に必要な相対密度で敷設することで十分であり得る。したがって、このような場合、パイプ部分(123)内の砂質土壌は、中程度に密な状態を達成するように締め固められる必要があるものとする。したがって、パイプ部分(123)内の砂質土壌は、プロジェクト現場の要件に従って、中程度に密な、又は密な、又は非常に密な状態を達成するように締め固められる必要があるものとする。多孔性排土杭の適切な間隔及び直径を選択することは、多孔性排土杭が、現場土壌をどの程度変位させ圧縮して緻密化するかを決定するために重要である。パイプ部分(123)内の砂質土壌をより高い相対密度まで緻密化するため、パイプ部分(123)内の砂質土壌の各層にハンマーを追加で数回落下させる必要があるものとし、これはかなり簡単で、時間がさほどかからず、わずか数ドルの追加ですむ。急速圧密及び締固め方法によって緻密化された現場土壌の密度よりも高い相対密度を有する多孔性排土杭は、緻密化された現場土壌よりも大きい盛土又は構造の土台の荷重を共有する補強材として働くことによって、構造及び盛土の総沈下を低減するものとする。これらの技術的なすべての点は、各プロジェクトに関して、多孔性排土杭の設計の際に検討されるべきである。
【0017】
図3Aは、パイプ部分内の砂質土壌の締固め中、パイプ部分(123)を垂直位置に維持する支持システムの典型的な例を示し、したがって、パイプ部分は、水平ブレース(111)によって横方向に支持されることが望ましい。水平ブレースは、垂直柱部分(110)の両側に取り付けられる。柱部分は、コンクリートパッド又はプレートに支持され、釘又はボルト(114)によってそこに固定される。あるいは、
図3Bに示されるようなパイプ部分(123)は、横方向の安定性を保つために十分な深度まで地面に既に打ち込まれた別のパイプ部分(116)に滑り込ませることによって、垂直に維持される。このパイプ部分(116)はまた、地面から外に突出して、内部の砂質材料を締め固めながら、パイプ部分(123)を垂直方向及び横方向に安定的に維持する。横方向支持システムは、パイプ部分の長さとサイズ及び土壌状態に応じて、各プロジェクトにおいて特に設計されるものとし、この時点で、これらの典型的な例も検討されるものとする。河川又は海洋の水面下の土壌層が、ボート又は浮きプラットフォーム又は船舶から緻密化されるとき、横方向支持システムが、所有者との協議で特別に設計されるものとする。
【0018】
砂質土壌を緻密化するために、パイプ部分(123)内に配置された砂質土壌上に落下する各種ハンマー/錘が利用可能である。機器の製造業者の仕様書又はパンフレットに従って適切と考えられるとき、これらのハンマー/錘及びそれらの装着具のいずれかを使用することができる。パイプ部分(123)内の砂を緻密化するためにパイプの周囲で使用できる多くの種類の振動機が業界で利用可能であり、錘又はハンマーが砂質材料を締め固めるために砂質材料の上に既に置かれているとき、プレートの上に振動機を配置する、又は錘を振動させてパイプ内の砂質土壌を緻密化することができる。適宜、利用可能なシステムのいずれかを、製造業者のパンフレット又は仕様書に従って使用することができる。非排土杭又は排土杭を打ち込むために業界で利用可能な振動ハンマーを含め、多くの種類の杭打ちハンマーが存在する。適切と考えられる場合、これらの杭打ちハンマーのいずれかを使用することができる。非排土杭又は排土杭を地面から引き抜くために、振動プーラや、業界で利用可能な杭を把持する油圧式ジョーを備えたプーラなどの多くの種類の杭パイププーラが存在する。適切と考えられる場合、これらのプーラのいずれかを使用することができる。Uボルト若しくはフックなどによるパイプ部分若しくはロッド(127)とクレーンとの間の装着、又はプーラとパイプ部分(123)若しくは表面振動機の間、パイプ部分(123)又はプレート振動機などへの装着は、製造業者の仕様書及びパンフレットに従うものとする。パイプ部分が打ち込まれるとき、杭打ちハンマーの全ての装着は、杭打ち仕様書に従うものとする。振動は粘土質沈泥状土壌のマトリックス及びロックドインストレスを再生し、擾乱させると考えられるため、多くの団体は、振動ハンマーにより粘土質沈泥状土壌に非排土杭又は排土杭を打ち込むことを許可していない。
【0019】
脱着可能又は取外し可能な端部プレートのいくつかの典型的な実施例が、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、
図6A、及び
図6Bに示される。
図4Aは、ボルト(131)によって、一端でヒンジ連結部(130)とパイプ部分(123)に装着される脱着可能な端部プレートを示す。パイプ部分(123)の打込み中、脱着可能な端部プレート(124)は底部に装着されたままだが、パイプ部分(123)が地面から引き抜かれるとき、ヒンジ(130)によって連結された脱着可能な端部プレート(124)は
図4Bに示されるように垂直になり、パイプ部分(123)を地面から引き抜くのを支援するが、締め固められた砂質材料を適所に保持する。
図5Aは、パイプ部分の短片、又はパイプ部分(123)内に配置されるが、端部プレート(124)に装着された、ぴったりフィットする波形パイプ(132)を示す。着実に注意深く打ち込んでいる間、短パイプ部分(132)及び端部プレートはパイプ部分(123)の底部の適所にとどまるが、パイプ部分(123)が地面から引き抜かれると、短パイプ又はぴったりフィットする波形パイプ部分(132)に装着された端部プレート(124)は、
図5Bに示されるように地面に残される。追加のオプションとして、この部分(132)は、薄いアルミニウム製リベットによってパイプ部分(123)に装着することもできるが、これらのリベットは、締め固められた砂材料の重量が重量を加えてアルミニウム製リベットを破断する際に破断するものとする。
図5Cは、複数の連結ロッド(133)に装着された端部プレート(124)を示し、連結ロッドは、パイプ部分(123)の外側の正反対側の位置に上向きに敷設され、パイプ部分(123)の頂部近傍でボルト(135)によって保持される。連結ロッド(133)は、複数の角部分(140)によって支持され、パイプ部分(123)の頂部近傍でボルト(135)によって固定される円形プレート(136)を通過する。排土杭の打込み中、端部プレート(124)は装着されたままであるが、パイプ部分(123)を引き抜く前に、ボルト(135)が取り外され、部分(123)が地面から引き抜かれている間、
図5Dに示されるように、脱着可能な端部プレート(124)は地面に残される。このようにして、締め固められた砂質材料は適所に残されて、多孔性排土杭を形成する。各プロジェクトでは、取外し可能又は脱着可能な端部プレートは、土壌状態及び排土杭の長さとサイズに応じて特に設計され得、その際、上記の典型的な例も検討されるものとする。
【0020】
砂質材料を締め固める現場作業が、パイプ部分(123)が打ち込まれる位置で実行されているとき、上記の詳細が適用可能である。砂質材料が何らかの他の位置で、パイプ部分(123)内で締め固められ、次いで、地面に打ち込まれる選択位置まで移送されるとき、端部プレート(124)への追加の装着が必要とされる。このような場合、
図5A及び
図5Bの脱着可能なプレートの配置はまだ機能するが、
図4A、
図4B、
図5A、及び
図5Bのいくつかの改良が必要とされる。
図6Aに示されるように、複数の角部分(137)は、ボルトによって互いに正反対側でパイプ部分(123)及びヒンジ連結部(130)に装着される。
図6Bは、複数のボルトによって互いに正反対側でパイプ部分(123)に装着された短パイプ部分(132)を示す。パイプ部分(123)が打込みのために選択された位置まで移送されたとき、ボルト(138)を取り外し、角部分(137)を抜き取る必要がある。同様に、端部プレートが地面に接触しているとき、
図6Bに示されるようなボルト(131)は取り外す必要があり、その後、クレーンのスリングを緩めて、排土杭を地面に下ろす。
【0021】
パイプ部分(123)を首尾よく地面から引き抜くために、締め固められた砂質材料の上に保持される錘又はハンマー(126)の重量は、パイプ部分(123)内の締め固められた砂質材料で発生する側摩擦抵抗、及びパイプ部分(123)の外側とその周囲の現場土壌との間の側摩擦抵抗、並びにパイプ部分を引く間に端部プレート上の現場土壌に加えられる吸引力に基づいて設計される。同様に、錘又はハンマーの重量、及び落下の数と高さは、指定された密度を達成するように設計される。非排土杭及び排土杭について記載される構造部材は、本文と図面に示されるような円形部分から成るが、中空矩形若しくは楕円形部分の非共通部分、又は任意の他の非共通部分のいずれもRCCMで機能し、クライアントの要望に応じて使用することができる。非排土杭又は排土杭の打込み中、時には、騒音と振動を制限することが重要になり、このような場合、隣接する構造への損傷又はリスクを最小化又は制限するために、重いハンマーを非常に低い高さから落下させる、又は杭を油圧で地面に押し込むことが重要であり得る。隣接する構造の沈下を監視するため、構造と地表面の両方において、及び地面のある深度において、沈下を読み取ることができる。また、選択されたハンマーを用いてパイプ部分(123)を打ち込むために、波動方程式解析を実行することが望ましい場合がある(Pile Dynamics,Inc.、2005)。改良量、及び改良された現場土壌の密度増加量を判定するために、現場検査方法での地表下探査と、現場土壌からの抽出サンプルでの実験室検査とが、多孔性排土杭の敷設の前後に実行され得る。
【0022】
締め固められた砂質材料の柱から成る多孔性排土杭は、周囲の土壌を緻密化し改良することに加えて、過剰間隙水圧を放散させるために、水が締め固められた砂質材料の柱を通って自由に流れることを可能にしながら、粘土又は沈泥状粒子が締め固められた砂質材料を通過又は移動することを防止するというもう1つの重要な機能を有する。微細材料の移動を制限し、水の自由な流れを可能にするフィルタの機能を果たすように締め固められた砂質材料のグラデーションは、アメリカ合衆国開拓局などのいくつかの団体の行った修正を伴う、又は伴わないテルツァギー基準を用いて、アースダム又はアース及びロックフィルダムにおいて使用されるフィルタ又はチムニーフィルタの設計基準に基づき設計されるものとする(Prakash及びGupta、1972)。砂質材料は、砂とわずかな量の砂利との混合物から成ってもよいが、自由な水の流れを可能にし、現場土壌の微粒子が締め固められた砂質材料の柱へ移動するのを防止するという要件を満たすべきである。砂質材料は、自由な水の流れの特性を維持するために、指定量を超える微粒子を含有すべきではない。一般には、上質の清浄な砂が、サンドドレーンに使用されている。フィルタ基準を満たす場合、多孔性排土杭用に同じ種類の材料を使用することができる。
【0023】
簡潔には、テルツァギー基準は、以下のように簡単に説明される。
(1)配管又は移動粒子基準:D85(Base)は、保持されなければならない粒子サイズを表す。
D15(Filter)は、平均孔サイズを表す。約0.1 D15(Filter)超の粒子サイズを捕捉するフィルタ
D15(filter)<4~5 D85(Base)
透水性又は自由流基準:
D15(filter)>4~5 D15(Base)
グラデーション制御
D50(filter)<25 D50(Base)
【0024】
多孔性排土杭内の砂質材料は、フィルタとして機能する。多孔性排土杭の締め固められた砂質材料を囲む現場の粘土質沈泥状土壌は、上記基準のベースとして機能する。D15は、材料の15重量%が比較的微細である直径であり、D85は、材料の85重量%が比較的微細である粒径である。地質工学では、エンジニアの焦点は、一般には、現場の近傍で利用可能な土壌を最大限に利用することである。何らかの理由で、プロジェクト現場の近傍の砂質土壌が、伝統的なテルツァギー基準の要件からわずかに外れる場合、敷地内の砂質土壌がチムニーフィルタの濾過要件を満たすかどうかを確認するため、Prakash及びGupta、1972、又はアメリカ合衆国開拓局の公開物若しくはその他の公開物に記載されるような実験室検査を実行することができる。
【0025】
高度に成層化され過圧密化された軟質~硬質の土壌へのピエゾコーン貫入測深中に、0.1~1MPaのコーン貫入抵抗(qc)及び50~1.8MPa(7.25~261psi)の範囲の貫入間隙水圧の、地表面下の深度とともに上昇する値が、地表面から深度約22メートルまで記録された(Peuchen、2010)。粘着性土壌への排土杭の貫入中、この大きさの貫入間隙水圧が予測されるものとする。1.8MPaの貫入間隙水圧は、183m(600フィート)高のアース/コンクリートダム貯水池からの183.6メートルの貯水に相当する。したがって、多孔性排土杭の締め固められた砂質土壌は、このような高い間隙水圧を受ける可能性があり、したがって、アースダム及びロックフィルダムに対して使用されるようなチムニーフィルタ基準を満たすべきである。このような場合、多孔性ディスクを底部に備えた約1”(25mm)パイプを多孔性排土杭に打ち込むとすれば、パイプの頂部から流れる清浄な水を見ることができる。
【0026】
締め固められた砂質土壌の柱から成る多孔性排土杭について上述した。多孔性排土杭を敷設して同じ種類の機能を果たすもう1つの同程度に魅力的な方法があるが、既に説明した方法よりも費用がかかる。したがって、プレストレスを伴う(若しくはプレストレスを伴わなくても)多孔性鉄筋コンクリート杭、又は端部プレートを備えた多孔性パイプ部分、又は小穴及び端部プレートを備えたパイプ部分もまた、締め固められた砂質材料を充填され、非排土杭内を通って敷設されるものとし、(1)許容可能な打込み応力を超過せずに、杭打ちハンマーによって土壌に打込み可能である、(2)自由な排水と水の流れを可能にし、粘土及び沈泥の微細土壌粒子又は微細砂の多孔性排土杭内への移動を防止する、(3)チューブ又はパイプ部分の穴は、締固め中にパイプ部分に砂質材料を保持するように相当小さくする必要がある場合に、多孔性排土杭として使用されるものとする。これらの多孔性排土杭は、パイプ部分を地面から引き抜くことを必要とせず、敷設も、より簡易かつ高速になる。土壌層が非常に粘着性の高い粘土から成る、又は斜杭が含まれる、又はそれ以上の振動若しくは騒音が許容できない多くの場合、パイプ部分を引き抜くことが困難である可能性があるか、又は当局によって許可されない場合がある。
【0027】
地震帯などの多くの地域では、地域の建築条例は、相対密度が特定の値を越えない限り、建築を許可しないことがある。表1は、地震のマグニチュードと、地表面1.5m下の地下水面に関する相対密度との間の液状化可能性の関係を示す。
【0028】
表1:地震マグニチュードと、地表面1.5m下の地下水面に関する相対密度(D
r)、及び液状化可能性の概略的関係(Seed及びIdriss、1971)
【表1】
【0029】
このような場合、0.10g帯の地域では、RCCMを使用して次表層土層を必要に応じて55%超のDrまで緻密化するものとし、パイプ部分内の砂質土壌の相対密度は、最低55%以上まで締め固められる必要があり得る。0.15g帯の地域では、RCCMを使用して次表層土層を75%超のDrまで緻密化するものとし、パイプ部分内の砂質土壌の相対密度は、最低75%以上まで締め固められる必要があり得る。0.20g帯の地域では、RCCMを使用して次表層土層を85%超のDrまで緻密化するものとし、上記の地域を低い液状化確率にするため、パイプ部分内の砂質土壌の相対密度は、最低85%以上まで締め固められる必要があり得る。0.20g帯の地域では、RCCMを使用して次表層土層を85%超のDrまで緻密化するものとし、上記の地域を低い液状化確率にするため、パイプ部分内の砂質土壌の相対密度は、最低85%以上まで締め固められる必要があり得る。0.25g帯の地域では、RCCMを使用して次表層土層を95%又は95%超のDrまで緻密化するものとし、上記の地域を低い液状化確率にするため、パイプ部分内の砂質土壌の相対密度は、最低95%以上まで締め固められる必要があり得る。多孔性排土杭の間隔及び直径は、変位と現場土壌の空隙容積の低減を達成し、現場の地表下層に必要な緻密化及び密度を達成するように設計される必要がある。上記の議論では、パイプ部分(123)内の砂質土壌を特定の相対密度まで締め固める要件、並びに多孔性排土杭の間隔及び直径は、現場での次表層土状態、及びその現場で緻密化される地表下層の要件に依存することが述べられている。
【0030】
RCCMの産業用途の典型的な実施例
ベタ基礎下の地盤改良
プロジェクトが土壌の層の地盤改良を必要とする場合、RCCMは、経済的かつ非常に有用な解決策を提供することができる。例えば、橋梁土台のベタ基礎は、土壌の軟弱な層(140)から成る土壌に据えられていることがあり、橋梁上部構造からの荷重を支えるために土壌改良を必要とする。
図7Aは、正方形又は矩形グリッドパターンでの、グリッド線(151)と、締め固められた砂質材料の柱(125)から成る多孔性排土杭(150)の中心位置との典型的な配置計画を示す。グリッド交点(150)で数字「1」によってマークされる位置は、多孔性排土杭が、上の段落に記載の方法を使用して最初に敷設されるものとする一次位置である。グリッド交点で数字「2」によってマークされる位置は、多孔性排土杭が、一次位置での敷設完了後に敷設されるものとする二次位置である。二次位置は通常、4つの一次位置のグリッドの中心に選択される。グリッド交点で数字「3」によってマークされる位置は、多孔性排土杭が、二次位置での敷設完了後に敷設されるものとする三次位置である。グリッド交点で数字「4」によってマークされる位置は、多孔性排土杭が、三次位置での敷設完了後に敷設されるものとする最後の最終位置である。バイブロリプレースメント柱に対して実行されるような三角形パターン若しくは四辺形パターン、又はプロジェクト現場で特定の構造のために選択される任意の他のグリッドパターンなど、多孔性排土杭の同様の配置が可能である。
【0031】
図7Bは、
図7Aに示されるグリッドパターンの断面立面図である。
図7Bでは、鉄筋コンクリート土台(146)が、泥マット(147)に敷き詰められている。締め固められた砂質材料から成る多孔性排土杭は、層内の設計深度まで敷設され、この場合、土壌層(141)に位置する。ケース1:上層(142)及び下層(141)は砂質材料から成り、サンドイッチ層(140)は軟質の粘土から成ると仮定する。この場合、脱着可能な端部プレートを備えたパイプ部分は、層(142)が軟弱な層(140)の上の隆起を妥当に最小化するのに十分な厚さを有する場合、最初に非排土杭を打ち込まずに、地表面から打ち込むことができ、そうでない場合には、非排土杭を最初に打ち込み、次いで、脱着可能な端部プレート(124)を備えたパイプ部分(123)を非排土杭の内部を通って打ち込むことが望ましいものとする。ケース2:上層(142)は粘土から成り、サンドイッチ層(140)は粗い砂から成り、緻密化を必要とすると仮定する。この場合、最初に非排土杭を、上層(142)の底部まで、又は粗い砂層(140)内の何らかの小さな深度まで、打ち込むことが望ましい。非排土杭の内部から粘土質土壌を掘り出し、脱着可能な端部プレート(124)を備えたパイプ部分(123)を設計深度まで打ち込むことが望ましいものとする。このことにより、粘土質土壌が粗い砂層に押し込まれることを回避して、粗い砂層の即時緻密化を防止することができる。したがって、各プロジェクトで、次表層土プロファイルは注意深く検討され、敷設方法は注意深く設計されるものとする。場合によっては、設計は、三次(3)又は最終グリッド位置(4)の多孔性排土杭の敷設を必要としなくてもよい。
【0032】
盛土下の地盤改良
RCCMを機械的に安定化された壁(強化アースウォールなど)の下で使用して、沈下を低減及び制限するとともに、必要な安定性を発生させることができる。斜面安定解析に基づいて十分な安全率を有さないことが分かっている斜面は、RCCMを用いて緻密化されるとき、斜面崩壊について必要な安全率を発現できるものとする。非常に軟質の土壌層上に据えられる道路及び高速道路用盛土は、数インチ又はフィート又はメートル沈み、沈降する場合がある。盛土の対向側に一般的に設けられる2H:1Vの斜面は、不安定であることが分かっており、したがって、非常に平坦な斜面を必要とする。このような場合、RCCMは、盛土下の軟弱な又は軟質の土壌を緻密化し、沈下を妥当な限界まで低減し、より平坦な斜面を必要とすることなく、盛土斜面の斜面安定を向上させるものとする。1つの典型的な実施例を
図8A及び
図8Bに示す。
図8Aに示されるように、最初に砂質材料の層(142)が非常に軟質の粘土質土壌に置かれて、締め固められた砂質材料から成る多孔性排土杭を敷設するために機器を持ち込むことのできる低背の盛土を築く。多孔性排土杭の敷設後、盛土は、追加層(143)によって全高まで更に上昇させられる。
図8Bに示されるように、粘土質土壌は非常に軟弱であり、機器を載せる低背の盛土を支えることすらできないため、低背の盛土に先立って、一次位置(又は二次位置)に多孔性排土杭を敷設することができ、次いで、盛土がさらに拡張されて、その後、二次及び三次位置に多孔性排土杭を敷設することができる。
【0033】
急速圧密及び締固め方法(RCCM)は、盛土が海洋へ更に拡張されて、空港や住宅プロジェクトなどのための新たな陸地を造成し、次表層土が、軟質から非常に軟質の粘土と粗い砂とから成る沿岸地域でも使用することができる。同様に、粗く軟質及び非常に軟質の土壌からなる次表層土が下に横たわっている場所であっても、これらの次表層土を急速圧密及び締固め方法によって緻密化することができるため、新たな島を築くことができる。粘土質沈泥状土壌に打ち込まれる杭の抵抗を低減するため、サンドドレーン又はPVC(ウィック)ドレーンが敷設され、盛土が、粘土質沈泥状層を圧密化するために、一般的には最大90%の圧密のための一定期間それらの上に築かれ、その後、場合によっては盛土が除去され、杭が打ち込まれる。サンドドレーン又はウィックドレーンの代わりに、多孔性排土杭を敷設するRCCMを使用することができ、これにより、盛土を築いて最大90%の圧密を待つ必要なく、迅速に層が圧密化される。RCCMは、緻密化する土壌改良が必要とされる土壌又は中間地質材料の任意の層に対しても、また、ジェットグラウト柱、粘土質材料と混合したセメント又は石灰の柱、又はGeopier、又はバイブロプローブを用いるバイブロリプレースメント若しくはバイブロフローテーション、ボトムフィード若しくはトップフィード式石柱などの既存の方法が使用されているどの場所に対しても、極めて経済的に使用することができる。
【0034】
ピサの斜塔などの傾斜又は傾き構造下の地盤改良
構築中又は構築の完了後のいずれかで傾斜した構造は、世界中に多数ある。多孔性排土杭の敷設のための急速圧密及び締固め方法を使用する地盤改良は、土台の土壌を改良することができ、傾斜角の大幅な低減をもたらし、傾き構造をほぼ垂直に近づける。イタリアのピサの街には、そこまでではないが、ピサの斜塔のように傾いている構造が他にも多数ある。最初に、ピサの斜塔に多孔性排土杭を敷設して傾斜を軽減することを検討する前に、下にある地表下状態での傾斜の低減に成功する土壌改良の効果を実証するため、ピサの街の塔ではない傾斜構造に多孔性排土杭を敷設すべきである。ピサの斜塔の傾斜角を低減するため、(i)鉛の錘をピサの斜塔の土台周囲のプレストレストコンクリート環の北側に配置し、(ii)スチールケーブルで塔の北側を固定し、南への移動を制限し、(iii)穿孔を形成し、北側の穿孔から土壌を除去し、(iv)東西方向に掘り出した(Jamiokowskyら、1993)。しかしながら、塔を変動させないように、南側の建設は許可されておらず、コーン貫入測深を含む地表下探査ですら、塔の南縁から10~20メートルでしか許可されていないが、上述のような建設は北側では許可されている。多孔性排土杭の敷設前に、塔を固定する追加のスチールケーブルは、スチールケーブルで北東及び北西方向に塔を更に固定すると考えることができる。関係当局によって許可が与えられれば、高度-7m~-18mにおいて、1~1.5MPaに過ぎないコーン貫入抵抗q
cで、上側粘土(局地的にPancone粘土と称される)を圧密化及び緻密化する、
図9及び
図10に示されるような多孔性排土杭の敷設のスキームを検討する価値がある(Jamiokowskyら、1993)。上側粘土(163)の緻密化を達成し、ピサの斜塔の南側の土台を上昇させるため、多孔性排土杭を、約1V:2H(又は、必要と考えられる場合は1V:3Hから1V:1Hの間でも)の勾配で敷設することが提案される。上側粘土(160)が緻密化されると、支圧強度が上昇する結果、南側の沈下が低減される。傾斜角が低減すると、南側の支持圧力が低下し、北側の支持圧力が増加することで、北側がより沈下して、塔土台の南側の沈下が低減される。また、上側粘土(163)の安定化及び緻密化後、塔土台の南側が今後更に傾斜する傾向が防止される。傾斜を低減するための傾斜構造下の地盤改良の産業用途の実証について、以下に説明する。その目的で、ピサの斜塔が選択された。スキームを実行するため、以下の工程が推奨される。
【0035】
1.塔の南側近傍の地表下調査を実行する。
【0036】
2.地表面上、地表面下の選択された深度の両方、及び地表上方の塔の周囲の振動及び沈下を監視する機器を設置する。
【0037】
3.スキームの実行前及び実行中、地表上方の塔の周囲の指定された地点で、レーダ測量を実行する。
【0038】
4.
図9は、グリッド線(151)と、多孔性排土杭を敷設することができるグリッド線交点の位置(150)とを示す。
【0039】
5.
図10は、(a)地表面の高度を高度3.0m(170)として、(b)粘土質及び砂質黄色沈泥(162)の底部の高度を-7m(171)として、(c)上側粘土(163)の底部の高度を高度-18m(172)として、(d)中間粘土(164)の底部の高度を高度-22.5m(173)として、(e)中間砂(164)の底部の高度を高度-24.5(173)として、(f)下側粘土(166)が中間砂(165)の下に位置するとして、示している。
【0040】
6.塔土台(162)は外径19.58mであり、中央に4.5m径の円形空間を備える。塔の下部は、
図10では参照番号161として指定される。非排土杭(120)が1H:2Vの勾配で、最初に塔の土台の最下水準まで打ち込まれるように提案される。次いで、脱着可能な端部プレート(124)を備え、締め固められた砂質材料を充填した杭部分(123)が、非排土杭(120)を通って短い距離だけ中間粘土(164)に貫入するように、打ち込まれるものとする。その後、パイプ部分が地面から引き抜かれ、次に非排土杭が引き上げられる。1~5に番号付けされた多孔性排土杭(125)は、最初に、この図面に示されるように打ち込まれるものとする。パイプ部分(123)及び脱着可能な端部プレート(124)は、この図面に示されていない。
【0041】
7.斜塔の南縁から15メートルのグリッド交点位置1、次に南縁から約12メートルの位置2、次に南縁から9メートルの位置3、南縁から6メートルのグリッド位置4、南縁から3メートルのグリッド交点位置5に、多孔性排土杭を順次敷設して、沈下、振動、及び移動などを連続的に監視及び観察し、それらの位置が塔土台に近づくときの、塔の周囲に多孔性排土杭を敷設する効果を分析することができる。
【0042】
8.記録されたデータを分析して塔の安全性が判定され、各多孔性排土杭の敷設後に十分であることが判明したときにのみ、残りの多孔性排土杭の敷設を検討することができる。
【0043】
9.当局によって許可された場合、一次位置6~13、次に14~21の順での一次位置における敷設を検討することができる。
【0044】
10.データを分析し、先に進むのに十分であると考えられると、位置22~27、次に28~47の順での三次位置における敷設を検討することができる。斜塔の傾斜の低減の評価後、三次位置を検討することができる。
【0045】
11.多孔性排土杭の建造の完了後、上側粘土の特性の改良を評価する地表下探査が実行される。
【0046】
12.斜め多孔性排土杭の敷設のみが
図10に示されているが、塔土台の外側の上側粘土の密度を高めるため、
図9及び
図10に示されるものに加えて、塔土台の外部の垂直多孔性排土も敷設することができる。約60度の斜面で、塔又は任意の土台の荷重の分散が生じると考えられる。
【0047】
13.締め固められた砂質土壌の柱から成る多孔性排土杭の敷設の代わりに、端部プレートを装着した多孔性パイプ部分、又は穴を有し、締め固められた砂質材料を含有し、端部プレートを備えたパイプ部分から成る多孔性排土杭を検討することができるが、これらの部分は地面から引き抜く必要がないため、パイプ部分の地面からの引抜きに関連する擾乱及び騒音を引き起こさない。これらの多孔性排土杭はまた、非排土杭内を通って打ち込まれるものとする。
【0048】
沈下を受ける構造下の緻密化
建物又は油若しくは水タンクなどの構造体が、全ての側で沈下し続けているとき、全ての側で構造下に貫通する斜め多孔性排土杭を敷設して、更なる沈下を防止する、又は大幅に低減することができる。斜め排土杭は、いかなる瞬間も構造の周りで対称的に均等に配置されるように、特定のシーケンスで敷設される必要があるものとする。多孔性排土杭は、締め固められた砂質土壌の柱から成り、上述のように敷設され得る。振動、騒音、及び擾乱を低減するため、多孔性パイプ部分、又は小穴と端部プレートとを備え、締め固められた砂質土壌を充填したパイプ部分を備える多孔性排土杭を敷設することも検討することができる。全ての排土杭は、非排土杭内を通って打ち込まれるものとする。選択は、土壌状態及び構造周りの環境に基づき、特定の現場に対して行われるものとする。
【0049】
本出願の教示
上のセクションに記載される内容の各種側面は、他の種類の用途のために単独で又は他の組み合わせで使用することができる。本出願の教示は上述の産業用途に限定されず、他の用途も有し得る。したがって、本出願の教示は、多数の利点及び用途を有する。したがって、これは網羅的なリストではなく、本明細書に記載されない他の利点及び用途を有し得ることに留意されたい。本出願の教示は例示のために詳細に説明したが、このような詳細は単に例示目的であり、本出願の教示の範囲を逸脱せずに、当業者によって変更を行うことができると理解される。先行する説明/明細書に記載される特徴は、明示的に記載される組み合わせ以外の組み合わせで使用され得る。上記の明細書/説明では、特に重要であると思われる本発明のそれらの特徴に注意を引くように努めているが、出願人及び発明者は、特に強調されているか否かに関わらず、図面/図で参照される、及び/又は示される任意の特許可能な特徴又は特徴の組み合わせに関して保護を請求すると理解されるべきである。請求項で使用されるときの用語「comprising(備える)」は、他の要素または工程を除外するものではない。請求項で使用されるときの用語「a」又は[an」は、複数を除外するものではない。ユニット又は他の手段は、請求項に記載のいくつかのユニット又は手段の機能を果たすことができる。様々な可能な実施形態が上記の発明から成され、様々な変更を上記の実施形態に加えることができるであろうが、本明細書に記載される、又は添付図面に示される全ての事柄は、限定的ではなく例示的な意味で解釈されるべきであると理解されたい。
【0050】
参考文献
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