(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】再充電可能エネルギ貯蔵を伴う高温用途のためのパワーシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240912BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20240912BHJP
H01G 11/42 20130101ALI20240912BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20240912BHJP
H01G 11/60 20130101ALI20240912BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/00 A
H01G11/36
H01G11/42
H01G11/62
H01G11/60
H01G11/78
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077824
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2021072502の分割
【原出願日】2012-05-24
【審査請求日】2023-06-09
(32)【優先日】2012-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513295777
【氏名又は名称】ファーストキャップ・システムズ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】FastCAP SYSTEMS Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド・シニョレッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・クーリー
(72)【発明者】
【氏名】モーリス・グリーン
(72)【発明者】
【氏名】パドマナバン・クッティピライ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ディーン
(72)【発明者】
【氏名】リンゼイ・ウィルヘルムス
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0080689(US,A1)
【文献】特開2004-207451(JP,A)
【文献】特開2003-173936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01G 11/36
H01G 11/42
H01G 11/62
H01G 11/60
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムであって、
約-40℃と約210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
前記再充電可能エネルギ貯蔵は、約0.1ジュールと約100キロジュールの間のエネルギを貯蔵し、少なくとも充電-放電の2周期の間に約1ワットと約100キロワットの間のピーク電力を供給するように構成されており、
前記再充電可能エネルギ貯蔵は、電気化学二重層キャパシタからなるウルトラキャパシタを含み、
該電気化学二重層キャパシタは、電解質で湿潤された二つの電極であって、各電極が、電流コレクタに取り付けられ、若しくは電流コレクタに接触し、又は電流コレクタへコートされ、更に、各電極が、電解質に対して浸透性のセパレータによって互いに分離されており、更に、電極は活性炭またはカーボンナノチューブを含む、二つの電極を、含み、
前記電解質は、1000ppm未満の不純物を含み、該不純物がハロゲン化物イオンおよび金属種の少なくとも一方を含み、
前記ウルトラキャパシタは、動作温度の範囲に亘って及び定格電圧までの電圧において、前記再充電可能エネルギ貯蔵のリットルの体積毎に1アンペアより小さいリーク電流を示し、
前記回路は、遠隔電源から充電
されるように構成されており、
前記遠隔電源は、ワイヤライン、再充電可能電池、非再充電可能電池、及びダウンホールジェネレータの組み合わせから構成され、
前記回路は、少なくとも二つのエネルギのソース間で、または少なくとも二つの動作のモード間で、スイッチするためのサブシステムを含
み、
前記少なくとも二つのエネルギのソースは、前記再充電可能エネルギ貯蔵のソースおよび前記遠隔電源のソースから選択される少なくとも二つを含み、
前記少なくとも二つの動作モードは、パワーシステムからの電圧出力、パワーシステムからの電流出力、パワーシステムからの最大電流出力、パワーシステムへの電圧入力、パワーシステムへの電流入力、およびパワーシステムへの最大電流入力に対するコントロール動作から選択される少なくとも二つを含む、
パワーシステム。
【請求項2】
サブシステムは、パワーシステムからの電圧出力のコントロールを提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項3】
サブシステムは、パワーシステムからの電流出力のコントロールを提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項4】
サブシステムは、パワーシステムからの最大電流出力のコントロールを提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項5】
サブシステムは、パワーシステムへの電圧入力のコントロールを提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項6】
サブシステムは、パワーシステムへの電流入力のコントロールを提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項7】
サブシステムは、パワーシステムへの最大電流入力のコントロールを提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項8】
サブシステムは、
別の回路の非アクティブ化を提供するように構成されている、請求項1に記載のパワーシステム。
【請求項9】
高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムであって、
約-40℃と約210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
前記再充電可能エネルギ貯蔵は、約0.1ジュールと約100キロジュールの間のエネルギを貯蔵し、約1ワットと約100キロワットの間のピーク電力を供給するように構成されており、
前記再充電可能エネルギ貯蔵は、電気化学二重層キャパシタからなるウルトラキャパシタを含み、
該電気化学二重層キャパシタは、電解質で湿潤された二つの電極であって、各電極が、電流コレクタに取り付けられ、若しくは電流コレクタに接触し、又は電流コレクタへコートされ、更に、各電極が、電解質に対して浸透性のセパレータによって互いに分離されており、更に、電極は活性炭またはカーボンナノチューブを含む、二つの電極を、含み、
前記電解質は、1000ppm未満のハロゲン化物イオン及び金属種を含み、
前記ウルトラキャパシタは、動作温度の範囲に亘って及び定格電圧までの電圧において、前記再充電可能エネルギ貯蔵のリットルの体積毎に1アンペアより小さいリーク電流を示し、
前記回路は、遠隔電源から充電
されるように構成されており、
前記遠隔電源は、ワイヤライン、再充電可能電池、非再充電可能電池、及びダウンホールジェネレータの組み合わせから構成され、
前記ダウンホールジェネレータは、パワーシステムを含むロギング器具に呈される深さ及び温度に耐えるものであり、電力を生成するための泥の流れによる原動力、若しくは振動を利用し、
前記回路は、少なくとも二つのエネルギのソース間でスイッチするためのサブシステムを含
み、
前記少なくとも二つのエネルギのソースは、前記再充電可能エネルギ貯蔵のソースおよび前記遠隔電源のソースから選択される少なくとも二つを含む、
パワーシステム。
【請求項10】
サブシステムは、一つのエネルギソースから一時に電力を引き出すように構成されている、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項11】
サブシステムは、少なくとも二つのエネルギソースから同時に電力を引き出すように構成されている、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項12】
サブシステムは、少なくとも一つのトランジスタを含む、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項13】
サブシステムは、リレーを含む、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項14】
サブシステムは、レベルシフト回路を含む、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項15】
サブシステムは、時間平均凝集挙動を達成するように、エネルギソース間で変調する、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項16】
サブシステムは、デジタル切替コントロール信号を供給するように構成されている、請求項9に記載のパワーシステム。
【請求項17】
サブシステムは、アナログ切替コントロール信号を供給するように構成されている、請求項9に記載のパワーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、概略ハイドロカーボンの探査における地下環境で用いられる器具及び工具のための、高温環境内でエネルギを供給する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人類は石油を探索し取り出すことを継続しているが、ハイドロカーボンに対する探索は益々複雑になっている。この複雑さは、あらゆる種類の複雑な器具に起因する。他の技術分野と同様に、器具の複雑さが増すと、利用者においては電力需要が増加する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】The oxidation of alcohols in substituted imidazolium ionic liquids using ruthenium catalysts」Farmer and Welton、The Royal Society of Chemistry、2002、4、97-102
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不運なことに、ダウンホールの環境は、システムオーナやオペレータに対し、現実の不可避的な問題を突きつける。例えば、ダウンホールの温度により生じる問題は、影響が小さくない。即ち、掘削及びロギングが地表クラストにより深く進むと、高温環境のダウンホール工具の探索が増加し続ける。
【0005】
従来のパワーサプライが機能しなくなるとき、増加する温度により技術的限界が示されることが多い。例えば、化学ベースの電池貯蔵が、機能を損失するポイントに本質的に下げられてしまう場合である。
【0006】
よって、高温環境内で電力供給するパワーシステムが求められている。パワーシステムは、従来の装置が有益な電力を供給できないような場合に、ユーザに電力を提供する再充電可能エネルギ貯蔵を含むのが、好ましい。更に、エネルギ貯蔵装置は、利用し、操作し、処分するのに、経済的であるのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
前記エネルギ貯蔵は、約0.01ジュールと約100メガジュールの間のエネルギを貯蔵し、少なくとも充電-放電の2周期の間に約0.10ワットと約100メガワットの間のピーク電力を供給するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、ダウンホールのロギング器具へ電力を供給する方法が提供される。方法は、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、前記エネルギ貯蔵から電力を供給することと、前記エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含むパワーシステムを含む、ロギング器具を選択するステップと、
ダウンホールのロギング器具により、パワーシステムからロギング器具へ電力を供給するステップと
を含む。
【0009】
別の実施形態では、ロギング器具のためのパワーシステムを製造する方法が提供される。方法は、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、前記エネルギ貯蔵から電力を供給することと、前記エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を選択するステップと、
ロギング器具内に組み合わせるようにエネルギ貯蔵を構成するステップと
を含む。
【0010】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、エネルギ貯蔵内のバッテリのデパッシベートのためのサブシステムを含む。
【0011】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、エネルギ供給の電気出力をシミュレートするためのサブシステムを含む。
【0012】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、エネルギ貯蔵の充電状態をモニタするためのサブシステムを含む。
【0013】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、エネルギの少なくとも二つのエネルギのソース間でスイッチするためのサブシステムを含む。
【0014】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、パワーシステムの電力出力を自動的に調整するためのサブシステムを含む。
【0015】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、動作のモード間でスイッチするためのサブシステムを含む。
【0016】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、環境因子に従って動作を調整するためのサブシステムを含む。
【0017】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、低電力動作を誘導するためのサブシステムを含む。
【0018】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、データをロギングするためのサブシステムを含む。
【0019】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、パワーサプライのパフォーマンスを管理するためのサブシステムを含む。
【0020】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、パワーシステムのシステムヘルスをモニタリングするためのサブシステムを含む。
【0021】
別の実施形態では、高温環境で電力を供給するように調整されたパワーシステムが提供される。パワーシステムは、
約-40℃と210℃の間の温度範囲で動作し、再充電可能エネルギ貯蔵から電力を供給することと、再充電可能エネルギ貯蔵に充電することのうちの少なくとも一つのための回路に連結する、再充電可能エネルギ貯蔵を含み、
回路は、冗長素子にアクセスするためのサブシステムを含む。
【0022】
別の実施形態では、パワーサプライを用いる方法が提供される。方法は、
少なくとも一つのウルトラキャパシタを含むパワーサプライを選択するステップと、
約-40℃と210℃の間の温度範囲内で、少なくとも1時間ウルトラキャパシタ上で約0.1ボルトと約4ボルトの間の電圧を維持しつつ、パワーサプライを動作するステップと
を含み、
上記時間の終わりに、ウルトラキャパシタは、動作温度の範囲に亘って、リットルの体積毎に1000mアンペアより小さいリーク電流を示す。
【0023】
別の実施形態では、パワーシステムを用いる方法が提供される。方法は、
高温動作のために構成された再充電可能エネルギ貯蔵を高温動作のために構成された電子回路と結合するステップと、
パワーシステムの出力からパワーパルスを引き出すことによりパワーシステムを動作するステップと
を含み、
個々のパルスは、少なくとも0.01Vのピーク値と、少なくとも0.01Jの全体の電力と時間の積(エネルギ)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面に関する以下の説明から明白である。
【
図1】ロギング器具を含むドリルストリングの例示の形態を示す。
【
図2】ワイヤラインにより配備されるロギング器具の実施形態を伴う、検層のための例示の形態を示す。
【
図3】内部に配備されるロギング器具の実施形態を伴う、生産井の例示の形態を示す。
【
図4】単体の貯蔵セルを含む例示の再充電可能エネルギ貯蔵の形態の概略図である。該貯蔵セルは、電解二重層キャパシタ(EDLC)であり、高温エネルギ貯蔵としての利用に適する。
【
図5】高温再充電可能エネルギ貯蔵を含むパワーシステムのトポロジの実施形態を示す。
【
図9】高温再充電可能エネルギ貯蔵を含むパワーシステムのためのトポロジの別の実施形態を示す。
【
図10】バッテリ電圧シミュレータの一つの実施形態を示すブロック図である。
【
図11A】
図11Aは、本明細書では
図11としてまとめて称され、夫々バッテリ電圧シミュレータの直列形態を示すブロック図である。
【
図11B】
図11Bは、本明細書では
図11としてまとめて称され、夫々バッテリ電圧シミュレータの並列形態を示すブロック図である。
【
図12】
図10及び11の電圧シミュレータのためのコンバータの形態を示すブロック図である。
【
図13】
図10及び11の電圧シミュレータのためのコンバータの形態を示すブロック図である。
【
図14】
図10及び11の電圧シミュレータのためのコンバータの形態を示すブロック図である。
【
図15】
図10及び11の電圧シミュレータのためのフィードバックコントローラの形態を示すブロック図である。
【
図16】チャージモニタのステートの形態を示すグラフである。
【
図17】コントロールユニットにおける変化の形態を示すグラフである。
【
図18A】
図18Aは、本明細書では
図18としてまとめて称され、バイパスコントローラの形態を示すブロック図である。
【
図18B】
図18Bは、本明細書では
図18としてまとめて称され、バイパスコントローラの形態を示すブロック図である。
【
図18C】
図18Cは、本明細書では
図18としてまとめて称され、バイパスコントローラの形態を示すブロック図である。
【
図22】バスコネクタを用いてアセンブルされる回路の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
高温環境内で電気エネルギを供給するパワーシステムが、本明細書に開示される。高温環境内で電気エネルギを供給することに加えて、パワーシステムは、種々の付加的機能をユーザに提供するように構成されてもよい。本明細書に示されるパワーシステムの実施形態はダウンホール(即ち、地下物)内で用いるように構成されているが、パワーシステムは、安定パワーの提供への挑戦を示す高温環境内でも等しく十分に用いられ得ることが、認識されるべきである。そのような挑戦は、環境的に厳しい条件、エネルギ貯蔵を包含するのに利用可能な限定された空間、外部のパワーサプライ等と連絡することが困難である実質的な遠隔位置を、含み得る。パワーシステムを詳細に紹介する前に、少し説明する。
【0026】
図1を参照すると、(「掘削孔」とも称される)ウエルボア1をドリルするための装置の形態が示される。慣例的事項として、ウエルボア1の深さはZ軸に沿って記載され、X軸及びY軸により記載される平面上に横断面が提供される。
【0027】
この例では、ウエルボア1は、とりわけ、回転エネルギ及び下方力を供給するドリリングリグ(図示せず)により駆動されるドリルストリング11を用いて、陸地2内にドリルされる。ウエルボア1は、概略地表部材を行き来し、該地表部材は(層3A、3B、3Cとして示される)種々の層3を含む。地表環境内で遭遇し得る種々の地質学的特性は「層」と称され得るのであり、掘削孔(即ち、ダウンホール)沿いの部材のアレイは「地表部材」と称され得る、ということは、当業者が認識するところである。即ち、層3は、地表部材により形成される。従って、本明細書で用いるように、「層」の用語は概略、地質学的層に言及するのであるが、「地表部材」はどの部材も含み、土、流体、気体、液体などの部材を含み得る、ということが、考慮される。
【0028】
この例では、ドリルストリング11は、ドリルビット14を駆動する長いドリルパイプ12を含む。ドリルビット14は、掘削泥などの、掘削流体4のフローも供給する。掘削流体14は、ドリルパイプ12を介してドリルビット14までポンプされることが多く、該ドリルパイプ12では流体がウエルボア1内に存在する。これにより、ウエルボア1内部で掘削流体4の上方フローFが生じる。上方フローは概略、ドリルストリング11及びその構成部品を冷却し、ドリルビット14からカッティングを取り除き、加圧されたハイドロカーボンのブローアウトを防ぐ。
【0029】
(「掘削泥」とも称される)掘削流体4は概略、周囲に本来備わり得る、水、掘削流体、泥、石油、気体、及び周囲に本来備わり得る層流体などの、液体の混合物を含む。掘削流体4は、掘削オペレーションのために導入され得るが、掘削流体4の利用若しくは存在は、検層オペレーションのために要求されるものでも無いし、検層オペレーションから必ずしも排除されるものでも無い。概略、部材の層は、ドリルストリング11の外側表面とウエルボア1の壁との間に存在するであろう。この層は、「スタンドオフ層」と称され、「スタンドオフ、S」と称される厚さを含む。
【0030】
ドリルストリング11は概略、「掘削間のロギング」(LWD)とも称される、「掘削間の計測」(MWD)を実行するための器具を含む。MWD若しくはLWDを実行することは、ドリルストリング11内に組み込まれ掘削間の操作のために設計されたロギング器具10の操作を要求する。概略、MWDを実行するためのロギング器具10は、ドリルストリング11にも取り付けられ拠って「ダウンホール電子機器13」と称されるエレクトロニクスパッケージに、結合される。概略、ダウンホール電子機器13は、データ収集、データ解析、及び、電気機械アクチュエータ、通信、電力処理などのオペレーションコントロールを提供する。パワーシステム16が含まれてもよい。概略、パワーシステム16は、ロギング器具10、サーベイコンポーネント15、及びダウンホール電子機器13の内の少なくとも一つに電力供給する。多くの場合、ロギング器具10及びダウンホール電子機器13は、トップサイド装備7に結合する。トップサイド装備7が含まれて更に操作を制御し、データロギングなどと共により多くの分析能力を提供してもよい。(以下で説明する)通信チャネルは、トップサイド装備7に通信を提供でき、パルス化泥、有線管、EMテレメトリ、光ファイバ、及び、周知であり所与の用途に使用可能な他の技術を介して、操作し得る。
【0031】
図2を参照して、ウエルボア1のワイヤラインロギングのための例示のロギング器具10が示される。慣例的事項として、ウエルボア1の深さは、Z軸に沿って記載され、横断面は、X軸とY軸により記載される平面上に設けられる。ロギング器具10による検層に先立ち、ウエルボア1は、
図1に示すような掘削装置を用いて陸地2の中まで掘削される。
【0032】
或る実施形態では、ウエルボア1は、少なくとも一定程度、掘削流体4で満たされている。(「掘削泥」とも称される)掘削流体4は、概略、水、掘削流体、泥、石油、気体、及び、周囲に本来備わり得る層流体などの、液体の混合物を含む。掘削流体4は、掘削オペレーションのために導入され得るが、掘削流体4の利用若しくは存在は、ワイヤラインロギングの間のロギングオペレーションのために要求されるものでも無いし、ワイヤラインロギングの間のロギングオペレーションから必ずしも排除されるものでも無い。概略、部材の層は、ロギング器具10の外側表面とウエルボア1の壁との間に存在するであろう。この層は、「スタンドオフ層」と称され、「スタンドオフ、S」と称される厚さを含む。
【0033】
ケーシング21は、ウエルボア1内に挿入されると物理的完全性を保証し得る。ケーシングは、ウエルボア1内で形成されて内部に挿入され、さもなければウエルボア1内に配置される。ケーシング21は、区分されていてもよいし、連続状であってもよい。本明細書での説明の便宜上、ケーシング21は概略、(生産用導管などの)内側生産用導管と共に、セメント質の外側ケーシング21などの、種々の設定を含む。
【0034】
概略、ワイヤラインロギングでは、ロギング器具10は、デリック6若しくは類似の装備により配備されるワイヤライン8を用いて、ウエルボア1の内に下げられる。概略、ワイヤライン8は、他の装置に加えて、負荷耐性ケーブルなどの、サスペンション装置を含む。他の装置は、パワーシステム。(有線若しくは光学などの)通信リンク、及び他の同様の装備を含み得る。概略、ワイヤライン8は、サービストラック9若しくは(サービスステーション、ベースステーションなどの)他の類似の装置から、運搬される。ワイヤライン8は、トップサイド装備7に結合されることも多い。トップサイド装備7は、ロギング器具10に電力を供給し、同様にオペレーションの制御とデータの分析とのうちの少なくとも一つのための計算及び処理能力を提供する。
【0035】
概略、ロギング器具10は、「ダウンホール」即ちウエルボア1内の計測を実行する装置を含む。それら装置は、例えば、種々のサーベイコンポーネント15を含む。例示のサーベイコンポーネント15は、放射線検出器、シールディング、センサ、及び、周知の他の種々のサーベイコンポーネント15の多くを含み得る。コンポーネント15は、ダウンホール電子機器13と適宜通信し得る。パワーシステム16が含まれてもよい。概略、パワーシステム16は、ロギング器具10、サーベイコンポーネント15、及びダウンホール電子機器13の内の少なくとも一つに電力供給する。ロギング器具10を用いて実行され得る計測及び他のシーケンスは、概略、ハイドロカーボン5の存在を解明し資格化するために実行されるが、他の目的のために、例えば、地熱資源を特定するために用いられてもよい。
【0036】
図3を参照して、生産の間にロギングするための例示のロギング器具10が示される。生産用ロギング器具10は、ウエルボア1内部に配置されるのがよく、ウエルボア1内部では生産用ロギング器具10はハイドロカーボン5を抽出する間存在する。生産用ロギング器具10は、(図示しない)トラクタなどの、他の装備を用いてダウンホールに配置される。ある実施形態では、生産用ロギング器具10は、(モータ及びトラックなどの)トラクタの要素を含んでもよい。パワーシステム16が含まれてもよい。概略、パワーシステム16は、ロギング器具10、サーベイコンポーネント15、及びダウンホール電子機器13のうちの少なくとも一つに電力供給する。
【0037】
生産が開始すると、掘削流体4がウエルボア1から駆除される。ハイドロカーボン5のフローが確立される。生産の初期の間では、ウエルヘッド19がウエルボア1を覆って配置される。ウエルヘッド19は、ウエルボア1からのフローの調整を提供し、ハイドロカーボン5の抽出の延長期間を調整する。上向きの矢印により示されるように、生産用ロギング器具10が配置されると、生産(ハイドロカーボン5の引き出し)が弱まること無く続く。概略、ウエルヘッド19は、周知のように噴出防止器を含む。
【0038】
ここで、パワーシステム16を詳細に考察する。例示の実施形態では、例示の実施形態では、パワーシステム16は、内部エネルギ貯蔵を含む。エネルギ貯蔵は、様々な再充電可能エネルギ貯蔵の形態のどの一つでも、複数でも含み得る。例えば、再充電可能エネルギ貯蔵は、少なくとも一つのタイプのバッテリ、ウルトラキャパシタ、及び他の類似の装置を含み得る。例示のエネルギ貯蔵の形態は、以下より詳細に説明する。
【0039】
パワーシステム16は概略、高温で信頼性高く電力を受け入れ且つ供給できるどの装置であってもよい。エネルギ貯蔵30の他の例示の形態は、化学バッテリ、例えば、アルミニウム電解キャパシタ、タンタルキャパシタ、セラミック及び金属膜キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ磁気エネルギ貯蔵、例えば、空芯若しくは高温芯部材インダクタを含む。適切でも有り得る他のタイプのエネルギ貯蔵は、例えば、フライホイール、スプリングシステム、スプリング質量システム、質量システム、熱容量システム(例えば、高熱容量液体若しくは固体又は相変化物質に基づくもの)、水圧若しくは空気圧システムなどの、機械的エネルギ貯蔵装置を含む。一つの例は、エバンスキャパシタカンパニプロビデンス、ロードアイランド州 米国(Evans Capacitor Company Providence,RI USA)から入手可能な高温ハイブリッドキャパシタ、125℃規格の部品番号HC2D060122 DSCC10004-16、である。別の例は、エバンスキャパシタカンパニプロビデンス、ロードアイランド州 米国(Evans Capacitor Company Providence,RI USA)から入手可能な高温タンタルキャパシタ、200℃規格の部品番号HC2D050152HT、である。更に別の例は、エプコス、ミュンヘン 独国(EPCOS Munich、Germany)から入手可能なアルミニウム電解キャパシタ、150℃規格の部品番号B41691A8107Q7、である。更に別の例は、パナソニック、東京 日本国(Panasonic Tokyo,Japan)から入手可能なインダクタ、150℃規格の部品番号ETQ-P5M470YFM、である。更なる実施形態は、30充放電サイクルを伴う125℃まで動作するサフト、バグノレット、フランス(Saft,Bagnolet,France)(部品番号Li-ion VL32600-125)から入手可能であり、更に(実験上)約250℃まで動作可能で、マサチューセッツ州ケンブリッジのソリッドエネルギ(Solid Energy)のSadoway,Huにより実験段階にある、リチウムイオンバッテリである。
【0040】
環境ダウンホールは過酷であり、従って器具の信頼性に相当の課題を示すものである。例えば、周囲の温度は、地表面のものから300℃以上の範囲となり得る。更に本明細書で説明するように、或る実施形態では、開示のパワーシステム16は、周囲の温度が約70℃から約200℃までの範囲にある環境で、更に或る実施形態では、より高温の(例えば、250℃までの)環境で、動作するように構成されている。ある実施形態では、パワーシステム16は、周囲の温度が約マイナス40(-40)℃程度に低い環境で動作し得る。しかしながら、注目すべきは、パワーシステム16はより広汎な温度範囲で動作し得、従って温度の範囲は本明細書での教示に限定されない、ということである。
【0041】
慣例的事項として、及び、本明細書での教示の目的のために、「エネルギ貯蔵」の用語は、増大する温度が従来のエネルギ貯蔵装置を一般に機能しなくさせる環境で動作する、エネルギ貯蔵装置のことを示す。即ち、エネルギ貯蔵は、同等の環境に配置された場合に従来のエネルギ貯蔵装置よりパフォーマンスが優れており、増大する温度の関数として少なくとも相当程度の有用性を提供する。
【0042】
概略、本明細書の教示に従って提供され且つ用いられるウルトラキャパシタは、現存のエネルギ貯蔵技術に対して多数の利点を示す。これらの利点により、従来達成されたよりもより高い温度にて電力を供給し利用できるということとなる。従って、ダウンホール工具のユーザにはより大きい動作範囲が与えられ、パワー限界の結果として従前には範囲外であったエリアが、アクセス可能となる。
【0043】
一つのセットの利点は、ウルトラキャパシタの再充電可能の性質に由来する。ウルトラキャパシタはエネルギを放出することとエネルギを受け入れることの両方を行うことができる。ウルトラキャパシタは、ダウンホール用途のために再充電可能エネルギ貯蔵装置として用いられ得る。例えば、ウルトラキャパシタは、パルス状で若しくは間欠状でツール類に電力を供給できるが、より連続的に、ワイヤライン、ダウンホールバッテリ若しくはダウンホールジェネレータにより、再充電され得る。
【0044】
別のセットの利点は、ウルトラキャパシタの高電力操作能力に由来する。ウルトラキャパシタは、化学バッテリエネルギ貯蔵技術と比較して、同様の容積及び重量に対してより少ない内部抵抗を示すことがよく知られている。この特性により、一次(非再充電可能)化学バッテリ技術と比較してより高い電力供給能力が可能であり、再充電可能化学バッテリ技術と比較して更により高い電力回復能力が可能である。ウルトラキャパシタは、全体システムの電力操作能力を拡張するのに用いられ得る。例えば、ウルトラキャパシタは、通常のワイヤライン、ダウンホールバッテリ、若しくはダウンホールジェネレータ電力供給システムからは直接には利用可能ではない、電力の大きいパルスを供給し得る。
【0045】
別のセットの利点は、ウルトラキャパシタを作成するのに用いられる部材に由来する。ウルトラキャパシタは化学反応を介してではなく電場においてエネルギを貯蔵するので、部材それ自身は、それら部材を大気環境に晒すことによっても、若しくは定格出力を超えたエネルギ貯蔵装置を利用することによっても、突発故障と成ることはない。例えば、ダウンホールアプリケーションをサポートするための既に配置済みの手続を超える、ハンドリング、安全性及び処分ロジスティックの増強を殆どすること無く、若しくは全くすること無く、ウルトラキャパシタは用いられ得る。更に、ダウンホールアプリケーションでのウルトラキャパシタを利用すると、他のエネルギ貯蔵技術の必要が減少し得、またこの場合、ダウンホールアプリケーションをサポートするのに要求されるハンドリング、安全性及び処分ロジスティックの必要が実際に減少する。
【0046】
別のセットの利点は、ウルトラキャパシタの高エネルギ密度に由来する。ウルトラキャパシタは、比較可能なサイズ及び容量のキャパシタの、約50~1000倍のエネルギを貯蔵できる。この特性により、ウルトラキャパシタはダウンホールツール内でより長い期間高電力を供給できる。
【0047】
ウルトラキャパシタは、約70℃より高い温度で動作することができなかったことから、これまでダウンホール内での利用に決して適さなかった。本明細書での教示に適する例示のウルトラキャパシタの例は、しばしばダウンホールが遭遇する過酷な環境での信頼性が高く安全な動作が可能であることにより、高温動作に関連する問題を解決する。
【0048】
ウルトラキャパシタの例示の実施形態についてのより詳細を以下示す。
【0049】
図4に示すように、例示のエネルギ貯蔵30は、少なくとも一つの貯蔵セル42を含む。この例では、エネルギ貯蔵30は、「ウルトラキャパシタ」とも称される、電気化学二重層キャパシタ(EDLC)を含む。ウルトラキャパシタは、二つの電極(慣例により、「負極」33及び「正極」34と称されるが、ウルトラキャパシタは本記載のためには内部に電荷を貯蔵する必要は無い。)を含み、夫々の電極33、34は、電解質界面において二重層のチャージを有する。ある実施形態では、複数の電極が含まれる。しかしながら、ここでの議論のため、二つのみの電極33、34が示されている。本明細書での慣例事項として、電極33、34の各々は、エネルギ貯蔵を提供するための(本明細書で更に議論する)カーボンベースのエネルギ貯蔵媒体31を利用する。
【0050】
電極33、34の各々は、夫々の電流コレクタ32を含む。電極33、34は、セパレータ35により分離される。概略、セパレータ35は、電極33、34を二以上のコンパートメントに分離するのに用いられる薄構造部材(通常、シート)である。
【0051】
少なくとも一つの形態の電解質36が含まれる。電解質36は、電極33、34とセパレータ35の中及び間の空隙を満たす。概略、電解質36は、電荷イオンを含む物質である。該物質を溶解する溶媒は、幾つかの実施形態に含まれ得る。その結果の電解質溶液は、イオン輸送により電気を通す。
【0052】
慣例事項として、電極33、34、セパレータ35、及び電解質36は、「貯蔵セル42」と称される。或る実施形態では、「貯蔵セル」の用語は単に、電解質36無しの電極33、34とセパレータ35を意味する。
【0053】
概略、例示のEDLCは、(単に「ハウジング37」と称されることがある)円筒包囲ハウジング37内にパッケージされる巻き形態に関する。プリズム形態などの、他の形態も用いられ得る。ハウジング37は、密閉シールされ得る。種々の例では、パッケージは、レーザ、超音波、及び/又は溶接技術を利用する技術により、密閉シールされる。(「ケース」とも称される)ハウジング37は、少なくとも一つのターミナル38を含む。個々のターミナル38は、エネルギ貯蔵媒体31により貯蔵されるエネルギへの電気アクセスを設ける。
【0054】
或る実施形態では、ハウジング37は、電解質36との反応度を最小限にするように選択された少なくとも一つの部材から製作される。例えば、ハウジング37は、アルミニウムの合金と共にアルミニウムから製作される。或る実施形態では、タンタルなどの他の部材が、少なくとも部分的に(例えば、ターミナル38として)用いられ得る。
【0055】
例示のEDLCでは、エネルギ貯蔵媒体31は、活性炭、カーボンファイバ、レーヨン、グラフェン、エアロジェル、カーボンクロス、(単一壁、及び/又は、多層などの)カーボンナノチューブ、及び/又は、他のカーボンナノフォームにより提供され得、更に含み得る。活性炭電極は、例えば、炭素化合物の炭化により得られるカーボン部材に第1の活性化処理を実行することによりカーボンベース部材を生成し、バインダを該カーボンベース部材に付加することにより形成体を生成し、該形成体を炭化し、更には炭化した形成体に第1の活性化処理を実行することにより活性炭部材して、製造され得る。
【0056】
カーボンファイバ電極は、例えば、高表面積炭素ファイバを伴うペーパ若しくはクロスプリフォームを用いることにより、生成され得る。
【0057】
一つの特定の例では、多層カーボンナノチューブ(MWNT)が、化学蒸着(CVD)を用いることにより種々の基板の一つの上で作られ得る。そのように作られたMWNTは、電極33、34で有用である。一つの実施形態では、低圧化学蒸着(LPCVD)が用いられる。製造プロセスでは、アセチレン、アルゴン、及び水素の気体混合物、並びに、電子ビーム蒸着及び/又はスパッタ蒸着を用いて基板上に蒸着されるイオン触媒を用い得る。
【0058】
或る実施形態では、エネルギ貯蔵媒体31を形成するのに用いられる部材が、純粋カーボン以外の部材を含み得る。例えば、バインダを提供するための種々の構造の部材が含まれ得る。しかしながら、概略、エネルギ貯蔵媒体31は、実質的にカーボンで形成され、従って「炭素質材料」と称される。
【0059】
端的に言えば、主としてカーボンで形成されていても、エネルギ貯蔵媒体31は、エネルギ貯蔵媒体31としての所望の機能を提供するために、どの形態のカーボンも、及び、相応しい若しくは受容可能と思われるどの添加物若しくは不純物を含んでもよい。
【0060】
電解質36は、複数のカチオン39及びアニオン41の対合を含み、或る実施形態では、溶液を含み得る。夫々の種々の組み合わせが用いられ得る。例示のEDLCでは、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1,3-ジエキトシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルパイパイジニウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルピロルイジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウム、及び、適切と思われる他の等価物と共にそれらの組み合わせを、含み得る。
【0061】
例示のEDLCでは、アニオン41は、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホン酸)メチド、ジジアンアミド、テトラフルオロホウ酸塩、六フッ化リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(ペンタフルオロエタンスルホン酸)イミド、チオシアン酸塩、トリフロロ(トリフロロメチル)ホウ酸塩、及び、適切と思われる他の等価物と共にそれらの組み合わせを、含み得る。
【0062】
溶液は、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、炭酸ジブチル、炭酸ジエチル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、炭酸ジメチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、炭酸エチレン、炭酸エチルメチル、ラクトン、直鎖エーテル、ギ酸メチル、プロピオ酸メチル、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、スルホラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルホン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチルグリコール、トリエチルグリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアンヘキサン、それらの組み合わせ、若しくは適切な性能特性を示す他の部材を、含み得る。
【0063】
EDLCが製作されると、リーク電流が殆ど若しくは全く無く、高温適用例で用いられ得る。本明細書に記載のEDLCは、広汎な温度範囲に亘って効率的に動作可能であり、全体の動作電圧及び温度範囲内では、リーク電圧は、装置の容積の1アンペア/リットルよち小さく、装置の容積に亘って正規化される。この性能に対する一つの鍵は、アセンブリプロセス自身であり、該アセンブリプロセスは、電解質内に電解質の重量及び容積に亘って500ppmより小さい水分濃度と1000ppmより小さい不純物量とを有する、完成されたEDLCを生成する。
【0064】
ある実施形態では、特に、電極33、34の各々を構成する炭素質媒体は、真空環境の高温で乾燥される。セパレータ35は、真空環境の高温で乾燥される。電解質36は、真空環境の高温で乾燥される。電極33、34、セパレータ35及び電解質36が真空下で乾燥すると、50ppm以下の待機で最終的なシール若しくはキャップにより、それらはパッケージされる。キャップされないEDLCは、高温範囲に亘って真空下で乾燥される。この最終の乾燥が完了すると、EDLCは、50ppm以下の湿度の大気内でシールされる。
【0065】
更に、電解質36内の不純物は最小限に保持される。例えば、ある実施形態では、ハロゲンイオン(塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物)の全体濃度は1000ppm以下に保持される。金属種(例えば、Br、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mo、Na、Ni、Pb、Zn、それらの合金及び酸化物の少なくとも一つを含む)の全体濃度は、1000ppm以下に保持される。更に合成プロセスで用いられる溶液及び前駆体からの不純物は1000ppm以下に保持され、例えば、ブロモエタン、クロロエタン、1-ブロモブタン、1-クロロブタン、1-メチルイミダゾール、エチルアセテート、塩化メチレン等を含み得る。
【0066】
電解質を純化する技術の一つの例は、「The oxidation of alcohols in substituted imidazolium ionic liquids using ruthenium catalysts」Farmer and Welton、The Royal Society of Chemistry、2002、4、97-102というタイトルの引例(非特許文献1)に開示される。
【0067】
不純物は、例えば、原子吸光分析装置(AAS)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICPMS)、若しくは、タスク特定イオン液体に基づく、簡易可溶化及び電気化学センシング酸化重金属微粒子などの、様々な技術を用いて計測され得る。
【0068】
AASは、気体状態の自由電子による光学的放射(光)の吸収を利用する、化学元素の定性的及び定量的測定のためのスペクトル分析手順である。この技術は、分析すべきサンプル内の特定元素(検体)の濃度を計測するのに用いられる。AASは、溶液中の若しくは直接固体サンプル中の、70の異なる元素に亘って計測するのに用いられる。
【0069】
ICMPMSは、112(ppt)の一部以下の濃度で、金属及び幾つかの非金属の範囲について好感度で計測可能な、一つのタイプの質量分析法である。イオンを分離し検知する方法としての質量分析器により、イオンを生成する方法としての誘導結合プラズマを共に結合することに基づく。ICP-MSは、選択のイオン同位体スペシエーションをモニタすることもできる。
【0070】
電解質の重量及び容積に亘ってEDLC内の含水量を500ppmより小さく減少させ不純物を1000ppmより小さく減少させることによって、EDLCは、本明細書に開示の利用に適する広汎な温度範囲に亘って効率的に動作でき、このとき、その温度及び電圧の範囲内ではリットル当たり1000mアンペアより小さいリーク電流(I/L)である。
【0071】
一つの実施形態では、特定の温度におけるリーク電流は、EDLCの電圧を定格電圧(即ち、最小定格動作電圧)にて75時間一定に保持することにより、計測される。この期間、温度は特定の温度にて一定を維持する。計測インターバルの最後に、EDLCのリーク電流が計測される。
【0072】
或る実施形態では、EDLCの最大電圧定格は、室温で4℃である。高温での(例えば、210℃以上での)EDLCのパフォーマンスを保証するアプローチは、EDLCの電圧定格の出力レベルを下げること(即ち、減少すること)である。例えば、電圧定格は約0.5Vにまで調整可能であり、これにより、より高温での拡張された動作期間が達成され得る。
【0073】
エネルギ貯蔵30は、複数の異なる形状因子で具体化され得る(即ち、ある外観を示し得る)。潜在的に有用な形状因子の例は、円筒セル、環状若しくはリング形状セル、平坦角柱セル若しくは、ボックス状セルを含む平坦角柱セルのスタック、及び、湾曲空間などの特定形に合致する形状を有する平坦角柱セルを、含む。円筒形状因子は、円筒ツール、若しくは円筒形状因子内に搭載されるツールと連動して、有用である。環状若しくはリング形状セルは、リング形状である、若しくはリング形状の形状因子内に搭載される、ツールと連動して、最も有用である。特定形に合致する形状を有する平坦角柱セルは、円筒、リング形状、若しくは他のツールと、又は、これらの形状因子内に搭載されるツールと連動して、有用である。
【0074】
円筒ツール、若しくは、円筒形状因子内に搭載されるツールの例は、掘削装置内部のチャンネルに通常配置されるスティックラインの若しくは回収可能のツールを含む。環状若しくはリング形状のツール、又は、リング形状の形状因子内に搭載されるツールの例は、掘削装置内部の壁若しくはカラー上に配置されるカラー搭載ツールを含む。
【0075】
パワーシステム16の或る例示の形態をより詳細に以下にて示す。
【0076】
概略、パワーシステム16は、ダウンホール環境で直面し得る深さ及び温度にて動作するように設計され構成される。概略、パワーシステム16は、サーベイコンポーネント15及びダウンホール電子機器13の少なくとも一つにエネルギを供給する。更にパワーシステム16は、ロギング器具10内にある、若しくはウエルボア1沿いのロギング器具10に付随する、パワーシステム16が供給し得るエネルギを要求する、コンポーネントに、エネルギを供給し得る。
【0077】
先ず、エネルギ貯蔵30は、初期電荷を放電でき、遠隔電源により再充電され得ることに留意されたい。例示の遠隔電源は、ワイヤライン8、再充電可能バッテリ、非再充電可能バッテリ、及びダウンホールジェネレータのうちの少なくとも一つにより、並びにそれらの組み合わせにより提供される電力を含む。或る実施形態では、ダウンホール電源は通常近接してエネルギ貯蔵30に連結するバッテリを含むが、該バッテリはロギング器具10に呈される深さ及び温度に耐えるものでもなければならない。ダウンホールジェネレータはロギング器具10に呈される深さ及び温度に耐えるものでなければならない。概略、ジェネレータは、電力を生成するための、泥の流れなどの原動力、若しくは振動を利用する。
【0078】
例示のロギング器具10は、地熱資源開発、又は石油若しくはガス探査に利用される種々のツール及びコンポーネントを含み得、掘削中検層(LWD)ツール、掘削中計測(MWD)ツール、ワイヤラインツール、生産ツールなどを含み得る。これらのツールの例は、コアリングツール、シャットインツール、NMRツール、EMテレメトリツール、泥パルサテレメトリツール、抵抗計測ツール、ガンマ検知ツール、圧力センサツール、音響センサツール、地震探査ツール、原子核ツール、パルス中性子ツール、層サンプリングツール、誘導ツールなどを含む。
【0079】
更に、種々のコンポーネントがそれらツールに含まれ得ることが知られている。コンポーネントは、電力を消費して所望の機能を提供する。これらのコンポーネントに関する、限定されない例は、電子回路、変圧器、増幅器、サーボ、プロセッサ、データストレージ、(「ソフトウエア」と称される)機械可読媒体上に又は内に格納される機械実行可能命令、ポンプ、モータ、(熱同調センサ、光学センサなどの)センサ、トランスデューサ、光ファイバ、光源、シンチレータ、パルサ、油圧アクチュエータ、アンテナ、シングルチャネル及び/又はマルチチャネルアナライザ、放射線検出器、加速度計、磁力計などを含む。
【0080】
端的に言えば、ロギング器具10を支持して及び/又はロギング器具10の一部として配備され得る器具、並びに、電力を幾分消費する、若しくは電力を幾分消費するコンポーネントにより駆動される器具は、パワーシステム16及び付随のエネルギ貯蔵30の利用によって益を得る。
【0081】
更に、ロギング器具10は、システムユーザ、デザイナ及び/又はオペレータによって適切と考えられる、あらゆるタイプの充電用遠隔電源とのインターフェースを、含み得る、又は有し得る。例では、遠隔電力供給に連結される低電力ワイヤライン、又は、適当と思われるもの(例えば、システムデザイナが指示するもの)を含む。他の実施形態では、泥駆動ジェネレータ若しくは交流発電機などの、オンボード発電機とパワーシステム16を連結することが要求される。種々のダウンホールツールについての選択された記載が、評価のため以下含まれる。
【0082】
コアリングツールは通常、ダウンホール環境内の、岩若しくは他の形成材料のサンプルを抽出するように設計されている。その例は、ロータリコアリングツール、掘削コアリングツール、側壁コアリングツールなどである。これらのツールは通常、標準的なダウンホール電源(バッテリ、ジェネレータ、ワイヤライン)から容易には取得できない、瞬間的電力量を要求することがあるモータを含む。ダウンホールのコアリングツールに取得される可能性がある電力は、コアリングの速度、及び/又は、抽出され得るコアリング部材の量に影響し得る。
【0083】
シャットインツールは、同じ分離されたエリア内で、他の計測ツールにより行われる計測の忠実度を向上させるために、ダウンホールのエリアを分離するのに用いられ得る。シャットインツールは、流体のフローを停止し若しくは制御し得る。その流体のフローは、そうしなければダウンホール掘削オペレーションの間に流れ得るものである。シャットインツールは通常、高出力パルスを要求するモータを含む。シャットインツールに取得され得る電力量は、シャットインツールが流体のフローを停止し得る速度を決定する。
【0084】
NMR(核磁気共鳴)ツールは、掘削されるホールの周りの岩若しくは他の層内の炭化水素若しくは他の内容物を判定するのに用いられ得る。NMRツールは通常、1秒以下の速い、1kW以上の非常に高パワーの、動作のためのパワーパルスを要求する。NMRツールに取得され得る電力は、層の顕著な特性を計測するためのツールの効率性に影響を与え得る。
【0085】
EM(電磁気)テレメトリツールは、伝搬電磁放射を用いて、地下適用エリアから地表へデータを伝送するのに用いられ得る。EMテレメトリツールは、上記適用深さに匹敵する距離で、岩若しくは層を介する有用な伝送を達成するために、高パワーパルスを要求し得る。EMテレメトリツールに取得され得る電力は、地表への伝送のために達成され得る範囲及びデータ転送速度に影響を与え得る。
【0086】
泥パルサテレメトリツールは、掘削ホール内を通常流れる流体(「泥」)内の伝播圧力パルスを用いて、地下適用エリアから地表へデータを伝送するのに用いられ得る。泥パルサテレメトリツールは、泥内で必要な圧力振動を生成するためにパルスパワーを要求し得る。泥パルサテレメトリツールに取得され得る電力は、達成され得る信号忠実度に影響を与え得る。
【0087】
抵抗ツールは、掘削ホール周りの岩若しくは層の電気抵抗を計測する。重要なことであるが、炭化水素の抵抗は、掘削ホール近くにある通常の岩及び他の部材の抵抗と、計測上異なる。抵抗ツールは、多数の方法により電気抵抗を計測できる。一つの方法は、ツール自身上の二つの物理的に分離したポイント間で差異ポテンシャルを適用することである。一つのポイントから他のポイントへ流れる電流は、ツール周りの層の抵抗を示す。抵抗ツールに取得され得る電力は、達成され得る抵抗計測の忠実度若しくは範囲に影響を与え得る。
【0088】
再充電可能エネルギ貯蔵30を含むパワーシステム16の実施形態が、
図5に示される。この例示の実施形態では、第1のサブシステム52は、電流制限電子回路及びバッテリ調整電子回路を含む。エネルギ貯蔵30の高パワー能力により、パワーシステム16は、短期間の電流のバーストをロギング器具10に備えさせ得る。一方で、(本明細書で「ソース」とも称する)外部エネルギ供給51は、比較的小さいが一定である電流のみ供給するものでもよい。従って、第1のサブシステム52の一つの機能は、個々のバーストの間に外部エネルギ供給51から引き出される電流を制限することである。すなわち、パワーシステム16が、エネルギ貯蔵30からロギング器具10へ大電流を供給するインターバルの間、である。この機能は、外部エネルギ供給51がバッテリ技術に依存しいているときは、特に重大である。すなわち、ダウンホールオペレーションのために設計される通常のバッテリ技術は、制限された電流処理能力を有するものであり、大電流がそれらから要求されると壊滅的に機能しなくなり得る。従って、第1のサブシステム52は、外部エネルギ供給51から引き出される電流を制限するように構成され得る。更に、バッテリ技術は、例えば、使用に先立ちバッテリ電極をデパッシブするという調整を要求し得るので、第1のサブシステム52は、バッテリの電極をデパッシブするのに必要なバッテリターミナル条件(電流及び電圧)を確立するように構成され得る。
【0089】
第1のサブシステム52及び第2のサブシステム53は、第1のサブシステムコントローラ55及び第2のサブシステムコントローラ56に、夫々制御され得る。第1のサブシステムコントローラ55及び第2のサブシステムコントローラ56は、(「コントローラ」58とも称され得る)コントロール回路58の少なくとも一部を形成するように組み合され得る。
【0090】
複数のセルを含み得る、化学バッテリは、それらの実効インピーダンスを減少させ、動作電流がバッテリ出力電圧の過剰な低下を生じないようにするべく、使用に先立ちデパッシブさせる必要があり得る。デパッシベーションは、多数の方法のうちの一つで完遂され得る。一つの例示の方法は、短期間セルから一定の負荷電流を引き出すことを要求する。例示の電流は、セルごとに10mAから数アンペアまでの範囲となり得、例示のデパッシブタイムは、数秒から数日までの範囲となり得る。電流レベルはデパッシブ手順の間、変化し、パルス化し、若しくは他のものとなり得るのであり、例えば、バッテリは3日間セルごとに4mAでロードされ、30分間セルごとに150mAでロードされ得る。
【0091】
第1のサブシステム52は、デパッシベーションのために必要なバッテリからの電流引き込みを供給すべく、コントロールされ得る。第1のサブシステム52は、デパッシベーションのための必要分を決定する計測装置を組み込んでもよい。自動デパッシベーションのためのコンポーネントを含む例示の実装を以下に示す。(図示しない)電圧及び/又は電流センサは、外部エネルギ供給51と第1のサブシステム52との間に配置され得る。第1のサブシステム52は、バッテリから所定の電流、例えば、100mAを引き出す、コントロール回路58若しくは(図示しない)独立のコントロール回路により、制御され得る。所定の電流負荷下で外部エネルギ供給51により呈される結果としての電圧が、所定の時間(例えば、100m秒)の範囲内で(バッテリ内部のパッシベーション条件を示すために、先験的に決定され得る)所定の電圧閾値を下回るならば、デパッシベーションが要求され他は要求されない、と第1のサブシステム52は判定し得る。例として、26Vは、8セルの適度の定格の塩化チオニールリチウムバッテリパックのための共通閾値である。第1のサブシステム52が、デパッシベーションが要求されると判定すれば、デパッシベーションのために上記例示の所定の電流を引き出すようにコントロールされ得る。
【0092】
バッテリは、負荷電流をデパッシベートしバッテリ電圧が所定の値に上昇するまでモニタすることにより、概略実効的にデパッシベートされる。一つの例では、バッテリから約100mAを引き出す間に28Vの適度の定格のバッテリ電圧が26Vよりも下がるならば、バッテリデパッシベートが判定される。判定されれば、バッテリ電圧が26Vよりも上がるまで約200mAを引き出すことにより、バッテリは通常デパッシベートされる。このように自動デパッシベーションはソースから約100mAを引き出して電圧をモニタする。20Vバッテリに対して電圧が27Vよりも下がれば、システムはバッテリから200mAを引き出して電圧をモニタし得る。例えば、パワーシステム16が26Vより大きいバッテリ電圧を計測すると、デパッシベーションは停止し得る。
【0093】
バッテリからのデパッシベーション電流は、第1のサブシステム52のアウトプットターミナルにおいて、エネルギ貯蔵30に向けられ得る対応する電流を生成し得、この場合エネルギ貯蔵30はデパッシベーションの間にチャージ(充電)されることとなる。エネルギ貯蔵30が電流をチャージする必要があるときこの方法は有用となり得る。電流は、ダミー抵抗若しくはツエナーダイオード、若しくは(図示しない)これらの組み合わせ、又は代替手段としての類似物にも向けられ得る。電圧が既に、エネルギ貯蔵30の定格電圧に若しくはその近傍にあるときに、これらの代替物は有用となり得る。
【0094】
図6に示すように、第1のサブシステム52の例示の実施形態は、第1のスイッチングデバイス61、及び第2のスイッチングデバイス更にはフィルタインダクタ63を含む。外部エネルギ供給51は、第1のサブシステム52に及びエネルギ貯蔵30に(例えば、高温ウルトラキャパシタに)連結し得る。第1のスイッチングデバイス61及び第2のスイッチングデバイス62の作用は、前述の電流制限及びバッテリ調整特性に到達するように制御され得る。とりわけ、補完関係で動作する第1のスイッチングデバイス61と第2のスイッチングデバイス62の相対的オンタイム(デューティ比)は、変換比率及び電流のフローを調整するのに用いられ得る。エネルギ貯蔵30の電圧と比較して外部エネルギ供給51が値としてより大きいとき
図6に示す例示の第1のサブシステム52は有用であり得る。電流制限若しくは調整は、(図示しない)フィードバックコントロールシステムによって達成され得る。
【0095】
第2のサブシステム53の例示の実施形態は、ツールの要件に依存して、DC-DC、若しくはDC-ACのパワーコンバータを含む。第2のサブシステム53の機能は、ロギング器具10に供給される電圧若しくは電流を調整すべきものであってよい。エネルギ貯蔵30の容量性により、ウルトラキャパシタがインプラントされると、エネルギ貯蔵30からチャージが引き出される際、概略線形状に電圧が減少し得る。第2のサブシステム53の機能は、エネルギ貯蔵30により示される種々の電圧に拘わらず、ロギング器具10に供給される電圧若しくは電流を調整すべきものであってもよい。(図示しない)フィードバックコントロールシステムにより、電圧制限若しくは調整が達成され得る。
【0096】
図7に示すように、第2のサブシステム53の例示の実施形態は、第2のスイッチングデバイス61,第2のスイッチングデバイス62、更にはフィルタインダクタ63に関する個々の形態を含む。ロギング器具10は、第2のサブシステム53に及びエネルギ貯蔵30に連結し得る。第1のスイッチングデバイス61及び第2のスイッチングデバイス62の個々の形態の作用は、前述の所望の電流若しくは電圧調整特性を達成するように制御され得る。とりわけ、第1のスイッチングデバイス61と第2のスイッチングデバイス62の個々の形態に関する相対的オンタイムのデューティ比は、変換比率及び電流のフロー若しくは呈される電圧を調整するのに用いられ得る。エネルギ貯蔵30の電圧と比較して要求される電圧が値としてより大きいとき
図7に示す例示の第2のサブシステム53は有用であり得る。電流制限若しくは調整は、(図示しない)フィードバックコントロールシステムによって達成され得る。
【0097】
図8に示すように、第1のサブシステム52及び第2のサブシステム53は、共に連結し、エネルギ貯蔵30にも連結してパワーシステム16の実施形態を提供する。この形態では、エネルギ貯蔵30のターミナル電圧が両方(第1のサブシステム52及び第2のサブシステム53)よりも値としてより小さい限り、ロギング器具10のターミナル電圧と比較して外部エネルギ供給51のターミナル電圧が値としてより大きくてもより小さくても、例示のパワーシステム16は特に有用である。
【0098】
或る実施形態では、パワーシステム16は、低スタンバイ電力消費のために構成されてもよい。この特性は、電力が乏しい遠隔の厳しい環境で有益である。コントロール回路58内に、ローパワー若しくはマイクロパワーゲート(登録商標)ドライブ回路及びコントロール電子回路を組み込むことにより、低スタンバイ電力消費が達成され得る。更に、特に(更に以下に記載する)パワーシステム16のためのスリープステートを組み込むことにより、全体のスタンバイ電力消費が減少し得る。或る実施形態では、低スタンバイ電力状態は、負荷若しくはロギング器具10に電力を供給するパワープロセスのために、又は、回路のサブセットのみを要求する利用例のために、要求される回路のみの動作への回路のパワーダウンにより、特徴付けられる。ロギング器具10がパワー(アクティブ)をいつ要求していないか、若しくは、エネルギ貯蔵30がいつ電流を再充電する必要がないか、判定するために、検知回路が組み込まれてもよい。
【0099】
或る実施形態では、(図示しない)電流センサが、第1のサブシステム52とエネルギ貯蔵30との間の相互接続上に配置され得る。電流センサは、エネルギ貯蔵30からの電流引き込みを計測し得る。電流引き込みが或る閾値を下回るとき、(コントロール回路58内部に含まれるロジックなどの)ロジックコントロール回路は、第1のサブシステムコントローラ55の大部分をパワーダウンし得る。スリープステートでは、コントロール回路58は、間欠的に、しかし場合によってはエネルギ貯蔵30により要求される過渡電流よりもずっと速いタームスケールで、第1のサブシステム52を起こし、更には、エネルギ貯蔵30が再充電する必要があるかどうか判定する電流センサをポーリングし得る。
【0100】
別の例として、第2のサブシステム53とロギング器具10の間の相互接続上に、独立の電流センサが配置されてもよい。この後者の電流センサは、ロギング器具10による電流引き込みを計測するのに用いられ得る。その電流引き込みが或る閾値を下回ると、コントロール回路58内部に有り得るロジックコントロール回路は、第2のサブシステムコントローラ56の大部分をパワーダウンし得る。スリープステートでは、コントロール回路58は、間欠的に、しかし場合によってはロギング器具10により要求される過渡電流よりもずっと速いタームスケールで、第2のサブシステム53を起こし、更には、ロギング器具10がアクティブであるかどうか判定する電流センサをポーリングし得る。
【0101】
エネルギ貯蔵30は多数の種々のフォームを示し得るので、エネルギ貯蔵30はロギング器具10内に統合するように構成され得る。例えば、ロギング器具10は、環状形状ウルトラキャパシタなどの、環状形状エネルギ貯蔵30を含んでもよい。この実施形態において、限定しない例により、エネルギ貯蔵30は、掘削ストリング11内で泥チャネル若しくは他の器具を囲んでもよい。エネルギ貯蔵30は、セグメント化されてもよく、別途、フォーム要求を収容するように分割されてもよく、ユーザの必要のために適宜直列で若しくは並列で連結されてもよい。
【0102】
或る実施形態では、自動バイパスがパワーシステム16内に含まれてもよい。即ち、フェールセーフ特性から、多数の利用例が利益を得ることができる。「バイパス」特性は、第1のサブシステム52、エネルギ貯蔵30、第2のサブシステム53若しくはコントロール回路58、又は他の重要なコンポーネントなどの、パワーシステム16のコンポーネントのいずれかが適切に動作しないとき、有用である。その場合、外部エネルギ供給51をロギング器具10に直接接続して機能不全のコンポーネントにも拘わらず外部エネルギ供給51が尚エネルギを供給できるようにすることが、有益である。ある実施形態では、バイパス特性は、重要コンポーネントの機能不全状態を自動的に判定し、外部エネルギ供給51からロギング器具10に別途の電流経路を供給する。バイパス特性は、機能不全のコンポーネントの発生の際有用であり、コンポーネントにおける固有の不確定さのために、或る実施形態では、バイパス特性は、自動動作を提供してもよい。即ち、バイパスを受け得る個々の重要コンポーネントの適切な機能性により、バイパス特性が無効となる、というデザインであってもよい。コンポーネントがハイレベルのショックや振動を被るような、ある実施形態では、等価の電気機械スイッチ、リレーなどよりも、環境においてよりロバストである固体デバイスにより、バイパス特性が実装されてもよい。
【0103】
接合型電界効果トランジスタ(JFET)と称される半導体装置である、一つの例の固体デバイスは、固体自動バイパス特性を実装するのに特に有用である。JFETは、通常、夫々ゲート、ドレーン、及びソースと称される少なくとも三つのターミナルを有するデバイスであり、「ノーマルオン」であるということは、コントロール電圧がJFETのゲートとソースの間に課せられない限りデバイスが適度に電流を通すということを意味する。自動バイパスのためにJFETを利用する例示の方法は、JFETのドレーンを外部エネルギ供給51の高電位アウトプットターミナルに接続し、JFETのソースをロギング器具10の高電位アウトプットターミナルに接続する。更なる機能が、コントロール回路58内に、若しくは(図示しない)独立のコントロール回路内に含まれてもよい。機能は、JFETをターンオフするのに有用な、ゲート-ソース電圧を導出するものでもよい。ゲート-ソースドライブ電圧は、全ての重要なコンポーネントの適切な機能性を呈する回路内部の電圧若しくは信号から、導出されてもよい。そのような信号若しくはそのような信号の集合体の多くは、電圧若しくは電流又はその他のものの計測装置による計測から、導出され得る。パワーシステム16の適切な機能性を示すのに特に有用な一つの例示の信号は、エネルギ貯蔵30のターミナル電圧である。例えば、エネルギ貯蔵30が有用な電圧閾値を下回るならば、このことは、第1のサブシステム52の機能不全と見なされ、外部エネルギ供給51からの充電電流の損失を示す。この状況は、ロギング器具10へのエネルギ貯蔵30の過剰な放電を示す、第2のサブシステム53の機能不全とも見なされ得る。これらの状況の何れも、コントロール回路58の機能不全を間接的に示し、この例示の信号はシステムコンポーネントの適切な機能性を判定するのに十分であることもある。その信号は、JFETのゲート-ソース電圧を直接に駆動するのに、即ち実際上直接に駆動するのに有用であり、所与の閾値を下回るとき、JFETは自動的に非駆動状態、即ち、適切な電流をJFETのドレーンからJFETのソースターミナルへ流す状態に、戻る。
【0104】
更なる実施形態では、電流制限特性を含んでもよい。バッテリターミナルの不足電圧、バッテリの内部コンポーネントのダメージ、バッテリのオーバーヒート、過剰な速さの放電、バッテリの促進老化若しくはパッシベーション、バッテリの突発故障等を回避するための、電流制限を、化学バッテリ若しくは他のパワーソースが要求することを、考察する。安全な電流制限は、多数の方法でパワーシステム16内に実装され得る。本明細書に記載の安全な電流制限を実装する二つの例示の方法は、単独でも組み合わせでも用いられ得る。
【0105】
第1の方法は、
図5~
図8に示す回路のようなコントロール回路を用いる。例えば、コントロール回路58は、電流センサから電源電流の計測を導出し、第1のサブシステム52内の電力変換により達成される電圧及び電流の変換比の状態情報を導出し得る。外部エネルギ供給51と第1のサブシステム52との間に配置され得る電流センサからの電源電流の計測を導出し得る。
【0106】
第1のサブシステム52は、例えば、補完関係で動作する第1のスイッチングデバイス61と第2のスイッチングデバイス62の相対的オンタイム(デューティ比)を調整し、電流のフローを調整し予め定められた値若しくは別途定められた値に制限することにより、コントロールされ得る。
【0107】
図9を参照して、パワーシステム16の別の実施形態が示される。
図9に示す例示の形態では、コントローラ45は、選択対象の選択モジュール99と電気通信し得る。概略、コントローラ45は、電子マネージメントシステム(EMS)91回路を介してエネルギ貯蔵30と通信し制御する。電子マネージメントシステム(EMS)91回路は、個々の電子回路モジュール93を含み得る少なくとも一つのスーパーバイザ92と、通信し得る(、若しくは或る実施形態では、EMS91内部に含まれ得る)。選択対象の選択モジュール99は、複数のスーパーバイザ92階をも含み、それらの各々は、個々の電子回路モジュール93も含み得る。概略、電子マネージメントシステム(EMS)91は、内部バス95を介して、スーパーバイザ92の各々と電気通信する。
【0108】
慣例的事項として、内部バス95は、パワーシステム16内部でエネルギを、更にはコントロール信号なども伝える。従って、内部バス95は、複数の導体、並びに(光学ファイバなどの)非導体素子などを含み得る。よって、内部バス95の提示は意図的に単純なものであると考えられるべきであり、パワーシステム16内部の内部通信の制限と考えるべきである。
【0109】
概略、電力は、少なくとも一つの外部エネルギ供給51からパワーシステム16に供給される。外部エネルギの例示のソースは、少なくとも一つのバッテリ、(ワイヤライン8などを介した)遠隔パワーソース、及び少なくとも一つのジェネレータを含む。ある実施形態では、電子マネージメントシステム(EMS)91は、外部エネルギ供給51からエネルギを受け、エネルギ貯蔵30内にそのエネルギを貯蔵する。概略、電子マネージメントシステム(EMS)91は、種々のタイプのエネルギ貯蔵30の充電及び放電を管理するように構成される。例えば、電子マネージメントシステム(EMS)91は、少なくとも一つのタイプのバッテリと共に、ウルトラキャパシタの充電及び放電を管理するように構成されてもよい。電子マネージメントシステム(EMS)91は、エネルギ貯蔵30を利用し種々のエネルギフォームを提供し得る。例えば、ウエルボア1沿いで従前利用可能なものより高いパワーのパルスが、従前の外部エネルギ供給51から提供されてもよい。一つの例示の実施形態に対する電気特性が、以下の表1に示される。勿論これらの特性は、設計及び/若しくはスケール、又は他のそのようなパラメータでの変更により調整されてもよい。
【0110】
前記少なくとも一つのジェネレータは、種々の技術のうちのどの一つ以上に基づくものであってもよい。例示のジェネレータは、(例えば、タービンなどの)フロー駆動ジェネレータ、サーモボルタイックジェネレータなどとして分類され得るジェネレータを含む。
【0111】
図9の実施形態などの一つの実施形態では、パワーシステム16内に含まれる電子回路は、デジタルロジックを用いて少なくとも部分的に実装され得る。例えば、電子マネージメントシステム(EMS)91回路は、デジタ回路を含み得る。EMS91のためのデジタル回路の一つの例は、Chandlar AZのMicrochip Technology Inc.から入手可能な、マイクロプロセッサ・モデルPIC18F4680である。EMS91は、デジタルプロトコルを用いて複数のスーパーバイザ92と通信し得る。スーパーバイザ92の各々は、デジタル回路を含み得る。スーパーバイザ92のためのデジタル回路の一つの例は、Chandlar AZのMicrochip Technology Inc.から入手可能な、マイクロプロセッサ・モデルPIC12F615である。概略、スーパーバイザ92の各々は、データバス94を越えてデータを受ける。スーパーバイザ92の個々の一つのための命令が受けられると、個々のスーパーバイザ92(A-n)は、割り当てられた機能を実行する。例えば、スーパーバイザ92Aは、EMS91から命令を受けて内部バッテリから電力を引き出す。スーパーバイザ92Aは、個々の電子回路モジュール93(この場合、電子回路モジュール93A)に命令し、エネルギ貯蔵30内に含まれる内部バッテリを利用する。この例では、電子回路モジュール93Aは、パワーコンバータ及び適切なスイッチングを含む。
【0112】
選択モジュール99は、コントローラ45内に含まれ得る(加えてコントローラ45に対してはそこから物理的に分離する)。概略、選択モジュール99は、効率的なエネルギマネージメントに有益であり及び/又はユーザに有益な情報を提供するコンポーネントを含む。或る実施形態では、選択モジュール99の個々の選択は、個々のスーパーバイザ92n及び電子回路モジュール93nを含む。これらの実施形態では、スーパーバイザ92の各々は、デジタル回路を含み得る。スーパーバイザ92のためのデジタル回路の一つの例は、Chandlar AZのMicrochip Technology Inc.から入手可能な、マイクロプロセッサ・モデルPIC12F615である。概略、スーパーバイザ92の各々は、データバス94を越えて、電子マネージメントシステム(EMS)91と共有し得るデータを受ける。スーパーバイザ92個々の一つのための命令が受けられると、個々のスーパーバイザ92(A-n)は、割り当てられた機能を実行する。例えば、スーパーバイザ92Dは、EMS91から温度読み出しのための命令を受け得る。スーパーバイザ92Dは、個々の電子回路モジュール93(この場合、パワー電子回路モジュール93D)に命令し、例えば、抵抗素子からの温度を確認する。別の例として、EMS91は、スーパーバイザ92Cに命令しデータを貯蔵させる。従って、個々のスーパーバイザ92Cは、個々の電子回路モジュール93Cにデータ、ロギング命令などを供給する。
【0113】
電子回路モジュール93nの各々は、意図した機能を実行するための適宜のデバイスを含み得る。例えば、少なくとも一つのパワーコンバータが含まれてもよく、更には、集積回路、ICチップ、マイクロコントローラ、キャパシタ、レジスタ、インダクタ、並びに、他の類似のコンポーネント及びコンポーネントの組み合わせが含まれてもよい。
【0114】
カスタマイズ化されモジュール化されたユニットとして、選択モジュール99が製作され提供されてもよい。即ち、個々の選択モジュール99は、共通の通信プロトコルを利用しつつ、念頭の機能により構築され得る。
【0115】
コントローラ45は、外部通信バス97へのインターフェースを含み得る。外部通信バス(ECB)97は、オンボードの他のツーリングとの通信のために構成され、若しくは、ロギング器具10と通信し得る。例示の他のツーリングは、泥パルサ、他のマイクロコントローラ、デジタル及び/又はアナログ回路などを含む。ECB97は、独自のプロトコルを用いてもよく、商業的に利用可能なプロトコルを用いてもよい。ECB97を用いて、ユーザは、例えば、トップサイド器具7からEMS91に少なくとも一つのコマンドを送る。その少なくとも一つのコマンドは、例えば、電圧の変更、オプションの作動、貯蔵データの読み出しなどを要請するものであればよい。ECB97は、トップサイド器具7へのルーテインデータロギングの通信などの、周期的通信も提供し得る。
【0116】
概略、選択特性を、及び特にそれらの電気的形態を議論するに先立ち、実施形態は限定的で無く例示に過ぎないことに留意すべきである。例えば、コンポーネント及び/又は特性は、パワーシステム16内部にて動かせ得る(即ち様々に関連させ得る)のであり、コンポーネント及び/又は特性の一部は、パワーシステム16の外部に設けられてもよい。本明細書に記載の種々の特性の形態の組み合わせの幾つかは、他の形式で実現されてもよく、又は、本明細書に記載していない他の機能を示すものであってもよい。本明細書に記載の特性の形態の幾つかは省かれてもよく、特性の他の形態は本明細書に示されない技術により補完されてもよい。本明細書に記載される概観は、パワーシステム16の技術及び機能の抽出として示され、従ってパワーシステム16の形態の例示に過ぎないことにも、流されるべきである。即ち、例えば、パワーシステム16の形態、及び、その特性、コンポーネント及び機能に関する、図面及び関連する議論は、限定的でない関係及び機能を示すに過ぎず、電気回路図などと見なされるものではない。
【0117】
種々の、更なるコンポーネント及び特性は、選択オプション99内に含まれる。(本明細書には示していない)更なるコンポーネントの例は、ジャイロスコープ、温度センサ、振動センサ及び計測デバイス、ショックセンサ及び計測デバイス、フローセンサ及び計測デバイス、電流センサ及び計測デバイス、少なくとも一つのプログラマブルインターフェース及び回路、複数のカスタマイズソリューションの一つ若しくはそれ以上(そのうち幾つかは以下に示す)などを、含むものであり、これらに限定されない。これらの及び他のコンポーネントは、とりわけ、データロギング、データ伝送、電圧の計測及び/又は制御、電電流の計測及び/又は制御、更には、温度、ショック、振動、フロー、方向、軌道のモニタリングなどを提供し得る。ある実施形態では、更なるコンポーネントが(図示しない)更なるモジュールに設けられ、該更なるモジュールは、例えば、コモンバスを介して、パワーシステム16に連結され得る。モジュールは、例えば、コントローラ45とインターフェースとの間に配置され得る。
【0118】
概略、本明細書に開示のパワーシステム16は、ダウンホールが直面する厳しい環境内での動作のために調整される。例えば、全体としてのエネルギ貯蔵30及びパワーシステム16は、ある実施形態では、(パワーシステム16は-40℃までの温度での動作のために構成され得るが)大気温度上側から、約175℃までの若しくは約200℃までの温度範囲での動作のために調整される。或る実施形態では、エネルギ貯蔵30は、約250℃までの温度での動作のために調整される。
【0119】
更なる電気的機能、及びこれら機能の実装の形態が以下示される。概略、例示のみとして、これらの特性は、夫々のスーパーバイザ92及び電子回路モジュール93への(即ち、これらにより制御される)従属物として実装され得る。これらの特性は
図9の内容に示されるが、これらの特性は、本明細書に示す実施形態により実現することに限定されない。
【0120】
パワーシステム16内に含まれ得る例示の更なる機能は、とりわけ、電圧シミュレーション、充電状態のモニタリング、切替コントロール、アウトプット電圧最適化、デュアルモードコントロール、温度プロテクション、スリープモード、メモリロギング、コンポーネントバイパス、及び調整電圧制御を、含む。これらの更なる特性は相互に排他的では無いことに留意すべきである。即ち、少なくとも一つの更なる特性は所与の機会に用いられ得ることが予想され、その更なる特性の実装は、他の特性の動作と対立するものでは無い。これらの更なる形態及び機能のうちいくつかを以下に示す。
【0121】
パワーシステム16内に含まれ得る種々の特性の第1のものは、電圧シミュレーションに関するものである。例えば、電圧シミュレータが、選択モジュール99内部にオプションとして含まれてもよい(。又は、別途パワーシステム16内に組み込まれてもよく、この場合には選択モジュール99が採用されない)。概略、電圧シミュレータは、別のタイプのエネルギ供給の電気的特性をシミュレートする(即ち、「模倣する」)。
【0122】
図10を参照すると、主要パワーシステム(PPS)85を含むシミュレータ80の例が示される。主要パワーシステム85は、負荷及びソースに連結するものとして示される。ソースは、例えば、ウルトラキャパシタなどのエネルギ貯蔵30であればよい。負荷は、エネルギに対する要求を示すどんな器具であってもよい。負荷の例は、ポンプ、モータなど、更には、センサなどの電子回路、コンピュータコンポーネントなどを含むが、これらに限定されない。負荷は、ロギング器具10などの他のツーリング内部に配置され得る。
【0123】
主要パワーシステム85のこの例示の実施形態では、パワーコンバータ81、フィードバックコントローラ82及びシミュレータマップ84が含まれる。概略、主要パワーシステム85内で用いられるコンポーネントは、パワーコントロールシステムの分野で周知である。パワーコンバータ81、フィードバックコントローラ82及びシミュレータマップ84の各々は、以下でより詳細に記載する。概略、パワーコンバータ81は、ソースからのパワーを受け、該パワーを変換する。変換はフィードバックコントローラ82により制御されるのであり、該フィードバックコントローラ82は、シミュレータマップ84によってパワーコンバータ81のアウトプット信号を制御する。
【0124】
図11は、バッテリシミュレータ80を含む或る例示のシステム構成を示す。
図11Aは、バッテリシミュレータ80のアウトプットと別のソース間の並列接続の形態を表す。
図11Bは、バッテリシミュレータ80のアウトプットと別のソース間の直列接続の形態を表す。オプションのパワーコンバータ(第2のパワーコンバータ81Bと第3のパワーコンバータ81C)が含まれ得る。オプションのパワーコンバータ81B、81Cは、例えば、バッテリシミュレータ80のアウトプットと更なるソース若しくは負荷を調和させるべく、含まれ得る。他の組み合わせも可能である。例えば、複数のバッテリシミュレータ80が連結され、多数の二次的ソースが連結され、並列及び直列構成の組み合わせが実現される。端的には、種々の構成が実現可能であり、概略、必要に応じて多数のソース、負荷、パワーコンバータなどを含み得る。
【0125】
パワーコンバータ81(A、B、C、...n)の各々は、概略、どんなトポロジであってもよい。例は、「バック」、「ブースト」、「バック-ブースト」、「フライバック」、「フォワード」、「スイッチドキャパシタ」と通常称されるコンバータ、及び他の分離したバージョンの非分離コンバータ(例えば、Cuk、バック-ブーストなど)、更にはそのようなコンバータのカスケード(例えば、バック+ブースト)を含むが、これらに限定されない。
【0126】
或る実施形態では、パワーコンバータ81(A、B、C、...n)の各々は、特に、ソース若しくは少なくとも一つの更なるソースが再充電可能であるときに、双方向パワーフローをサポートし得る。
【0127】
例示のコンバータ81が
図12に示される。この例では、コンバータ81は、双方向バックコンバータである。アウトプット電圧がインプット電圧より小さいことが要求されるときに、この実施形態が、とりわけ、パワーコンバータとしての利用に適切である。
【0128】
別の例示のコンバータ81が
図13に示される。この例では、コンバータ81は、双方向ブーストコンバータである。更なる例示のコンバータ81が
図14に示される。この例では、コンバータ81は、結合された双方向バック-ブーストコンバータである。
【0129】
フィードバックコントローラ82の例示の形態が
図15に示される。本明細書に示すコンポーネントは、デザイナ、製造者若しくはユーザにより適宜決定されて、アナログ若しくはデジタルドメインで、又は組み合わせで実装され得る。フィードバックコントローラ82は、種々の特性をモニタしコントロールする素子を含み得る。例えば、フィードバックコントローラ82は、周波数補償、パルス幅変調、無駄時間プロテクション、デューティサイクル制限、ソフトスタートの提供(即ち、傾斜電圧)などのためのコンポーネントを含み得る。
【0130】
シミュレータマップ84は、様々に実装され得る。例えば、「アナログ」形態では、シミュレータマップ84は、シミュレートされたソースの実際のレプリカを介して(例えば、シミュレートされたソースのより小さいバージョンにより)実装され得る。これらの実施形態のうちには、関連するレプリカコンポーネントによりレプリカが充電され放電されるものもある。
【0131】
「デジタル」形態と称される、他の実施形態では、(メモリ、アナログ-デジタルコンバータ、デジタル-アナログコンバータなどと連結する)マイクロコントローラが、ソースの状態を感知し、アウトプットコンバージョンを周知の特徴にマップする(即ち、相互に関連付ける)。特に、例示としてではあるが、マイクロコントローラは、アナログ-デジタルインターフェースを介して(例えば、アナログ-デジタルコンバータを介して)ソースの充電状態を感知し、データテーブル、アルゴリズム若しくはメモリから検索される他のデータセットに従いバッテリからの所望の(予想される)アウトプットを評価し、パワーコンバータ81のアウトプットを然るべく管理する。結果は、デジタル-アナログインターフェース(例えば、デジタル-アナログコンバータ)を介してマイクロコントローラから出力される。よってアナログアウトプットは、フィードバックコントローラ82のための「コマンド」電圧に影響する。
【0132】
アナログとデジタルの間の分離は、主要パワーシステム85内の種々の場所で実現され得る。例えば、フィードバックコントローラ82はマイクロコントローラ内で完全に実装され得るのであり、そこではコマンドはアナログ信号として通過しないのであるが、マイクロコントローラのより内部で(若しくは、例えば複数のマイクロコントローラが用いられるならばバスを越えて)通過される。概略、アナログからデジタルの及びその逆の変換は、システムデザイナ、製造者若しくはユーザにより適切と考えられる、主要パワーシステム85内のどこででも実現され得る。
【0133】
パワーコンバータ81についての指令された若しくは調整された形態(例えば、アウトプット電圧)は、実用可能な特性若しくは特徴を概略含み得る。例えば、アウトプット電流、アウトプット電圧、アウトプット電力、若しくは、アウトプット電圧、電流及び電力の混合が、コントロールされ得る。他の形態は、インピーダンス、アウトプット抵抗、及び他の同様のパラメータを含む。概略、アウトプットは直流電流(DC)を含む。しかしながら、或る実施形態では、交流電流(AC)が提供される。
【0134】
ソース(上記例ではキャパシタ)の感知された特性は、概略、適切と考えられるどの形態を考慮してもよい。例えば、感知された特性は、電圧、充電、インピーダンス、電流、温度などを含み得る。
【0135】
図16を参照すると、例示の充電状態モニタ170の形態が示される。
図16では、バッテリからの電流は、インラインセンス抵抗R
senseに亘る、電圧計測(V
sense)により計測される(I
batt)。電流は、抵抗値R
sense(オーム)を知った上で、電圧計測から演繹され得る。例えば、以下の数1に示す関係を用いる。
[数1]
I
batt=V
sense/R
sense (1)
電流は、他の技術によっても感知され得る。例えば、或る実施形態では、ホール効果センサ若しくは誘導センサにより、感知され得る。
【0136】
概略、パワーソース(例えば、バッテリ)は最初、フルの充電状態に充電される。モニタは、ミリ秒に一度などの周期に基づいて電圧を計測する。計測は、例えば、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)にて、実行され得る。更に、経時的に電流の完全な記録を格納するのでは無く、記憶された充電状態変数を更新するこの方法が用いられてもよい。よって、充電状態を演算することにより、計測からの相当量のデータを格納する必要は無い。このことは、ダウンホールモニタからトップサイドレシーバへ、若しくは、ダウンホールで利用可能なメモリが限定供給であるときなど、モニタから遠隔レシーバへ充電状態条件を伝送するのに有用である。
【0137】
選択特性として含まれ得るパワーシステム16の別の形態は、切替コントロールの形態である。或る実施形態では、エネルギ貯蔵30が複数のエネルギソースを含んでもよい。複数のエネルギソースが提供されると、パワーシステム16は、エネルギソースのうち電力を供給する特定のものを選択する必要がある。例えば、ある場合では、パワーシステム16は、二つのバッテリを利用してもよい。一つの状態では、パワーシステム16は、バッテリの第1のものから引き出してもよい。第1のバッテリが所与の状態に達すれば(例えば、第1のバッテリが実質的に消耗すれば)、パワーシステム16は、バッテリの第2のものなどの、別のソースから電力を引き出してもよい。よって、ソースの切替が必要となる。
【0138】
しかしながら、切替は、必ずしも、ソース間のスイッチングほど簡素でないことに留意すべきである。例えば、パワーシステム16は別のソースのみから電力を引き出すこともあるし、パワーシステム16は第1のソース及び別のソースを含む組み合わせソースから電力を引き出すこともある。一つの例では、パワーシステム16は、放電中に一つのバッテリにより示される電圧をモニタする。パワーシステム16は、負荷電圧、開回路電圧、若しくは二者の組み合わせを計測することになる。或る例では、パワーシステム16は、負荷のある状態と負荷の無い状態の両方を含む、数周期に亘って、バッテリ電圧を時間平均することになる。パワーシステム16は、ソースの残余の寿命の表示としてソース電圧を利用することになる。或る実施形態では、パワーシステム16は、エネルギ貯蔵30により供給される電流を計測し、電流と時間の積を記録し、それを残余の寿命の表示としてフル充電状態のキャパシティの先験的周知値と対比し、切替をコントロールする、充電状態モニタを(連動して若しくは独立して)用いることにもなる。パワーシステム16は、個々のソースの残余の寿命を判定するための、若しくは必要な切替を示すための、デザイナにより有益若しくは適切と考えられる、他のどの方法若しくは方法のどの組み合わせを、用いてもよい。切替は、バッテリ、ワイヤライン、ジェネレータ、並びに、デザイナ、ユーザ、製造者若しくは他の利害関係者により適切若しくは必要と考えられる他の形式のエネルギソース、又はそれらの組み合わせの間で、実装され得る。
【0139】
切替は、多数のやり方で実装され得る。一つの例は、切替コントローラにより選択される種々のエネルギソースのための電流経路内で能動デバイス(例えばMOSFET)を採用する。MOSFETの接地基準のロジックレベルのインプットに対して、システムPEMS91若しくは個々のスーパーバイザ92は、MOSFETのゲートとソース間にロジックレベルコントロール信号を供給し、それらをアクティブとし得る。例えば、一つのソースをアクティブにし別のものを非アクティブにするため、第1のソースに対するMOSFETの切替がアクティブにされ第1のソースとパワーシステム16との間で閉回路接続を形成し、第2のソースに対するMOSFETの切替が非アクティブにされ第1のソースとパワーシステム16との間で閉回路接続を断線する。接地基準のMOSFETがいかなる理由にも適切で無いならば、MOSFETは高ポテンシャル電流経路内に同じように配置されてもよい。この場合、MOSFETのゲート-ソース電圧は、MOSFETターミナルにて示されるゲート-ソース電圧を安全範囲に限定するレベルシフト回路を、必要としてもよい。いずれの場合も、回路が意図して断線されるときに効率的に電流をブロックするために、デザイナは、能動デバイス内の固有のボディダイオードの方向を考慮すべきである。リレー、アナログスイッチ、ヒューズ、リセット可能ヒューズ、トランジスタ、分離されたゲートドライブ若しくは分離された能動デバイス、及び任意の数のデバイスは、切替コントロールを実装するのに全て有用であり得る。切替コントロールは、より線形状にも実装され得る。例えば、一つのソースから引き出される電力量は、例えばそのソースの電流経路内に配置された抵抗をコントロールすることにより、連続に亘ってコントロールされ得る。このことは、トランジスタによっても実装され得る。この場合のコントロール信号は、デジタル若しくはバイナリ信号では無く、アナログ信号と類似すべきである。
【0140】
(「切替コマンド」や他の類似の用語で称される)ソース間の変更を指令するコントロール信号は、EMS91若しくは個々のスーパーバイザ92内部で生成され得る。切替コマンドは、デジタルでも、アナログでも、若しくは信号の混合ででも生成可能であり、適切と考えられる技術などにより、EMS91若しくは個々のスーパーバイザ92の外部でも生成され得る。
【0141】
切替は、多数のやり方で明示され得る。例えば、バッテリ間でスイッチすることも可能であるし、一つのバッテリから二つ以上のバッテリの組み合わせに若しくは一つの組み合わせから別の組み合わせにスイッチすることも可能であるし、所与の期間に任意の回数スイッチすることも可能であるし、ある状態に繰り返し戻るように若しくは複数の状態の間で、スイッチすることも可能であるし、このように状態間で変調して効率的な時間平均動作に達することも可能であるし、又は、例えばワイヤライン、ジェネレータ、キャパシタ、フライホイール若しくは有用と考えられる他のソースなどの、複数のタイプのエネルギソースの任意の組み合わせの間でスイッチしてもよい。切替コントロールは、エネルギソースの充電状態、ソースにより示される電圧、エネルギソースにより示されるインピーダンス、大気温度、振動若しくは他の計測値、オイル及びガス掘削アプリケーション内の表面などの遠隔位置から受信される信号、又は、他の情報源など、どの情報により通知されてもよい。
【0142】
図17では、例示の切替コントロールユニット180のためのトポロジの形態が示される。
【0143】
パワーシステム16が動作する可変の且つ極端な条件が与えられると、自己調整電圧コントロール特性が含まれパワーシステム16の動作可能性を保証し得る。
【0144】
電圧適合回路が或るケースに含まれ、エネルギ貯蔵30の最大限電圧をコントロールする。コントロールは、例えば、温度若しくは或る他の外部計測(例えば、別の環境計測)に従うものであればよい。特に、或る実施形態では、エネルギ貯蔵30は、増大する温度により益々不安定となる。エネルギ貯蔵30によりサポートされる電圧を制限することにより、不安定性は良くなることも多い。高温ウルトラキャパシタに対しては、温度が増大すると、(実効直列抵抗が減少し上昇温度でのキャパシタンスが増大する結果として)パワー性能及びエネルギ容量も増大し得る。一方で、パワー性能とエネルギ容量の両方は、ウルトラキャパシタ電圧(の二乗)と共に増大する。よって上昇温度では電圧が減少し、また、実効直列抵抗が減少し上昇温度でのキャパシタンスが増大する結果としてパワー性能とエネルギ容量が少なくとも部分的に保持される。上昇温度における電圧が減少することで、それら上昇温度ではエネルギ貯蔵30の安定性が向上し得る。このことにより結果として、エネルギ貯蔵30の寿命が付随的に増大する。更にこのことにより、エネルギ貯蔵30の最大限温度定格が拡張し、よって、エネルギ貯蔵30の温度定格が決定要因である実施形態では、パワーシステム16に対する最大限温度定格が拡張することになる。温度適合の例として、例えば、パワーコンバージョンのための可変電圧セットポイント(この場合、可変セットポイントは温度の計測に従って変動する)を設けることにより、温度に従うストリング電圧の管理が実装され得る。一つの実施形態では、温度はEMS91に連結するサーモカップルにより計測され、EMS91そのものは電圧セットポイントコマンドを個々のスーパーバイザ92に送信する。電圧調整コマンドを受けると、個々のスーパーバイザ92は、パワーコンバータコントロール回路の名目若しくは最大限電圧出力を調整するパワーコンバータコントロール回路をコントロールし得る。
【0145】
パワーシステム16の別の例示の特性は、マルチプルモードコントロールの特性である。マルチプルモードコントロール(MMC)は、パワーシステム16の形態の多重セットをコントロールするように実装され得る。例えば、一つのモードでは、ユーザは、エネルギ貯蔵30(この例では、バッテリ)内部でのパワー損失を減少させるある性能形態を達成するように望むことができ、これにより、バッテリの利用可能な寿命を延長できる。このモードでは、例えば、パワーシステム16は、比較的低電圧を供給するように構成され得る。別のモードでは、ユーザは、遠隔位置への通信の効率を向上する、増大出力パワーへ導く性能形態を達成するように望むことができる。このモードでは、例えば、パワーシステム16は、比較的高電圧を供給するように構成され得る。あるモードでは、パワーシステム16は、実質的により高い電圧を供給するように構成され得る。他の性能形態は、例示として、最大限出力電流若しくは平均出力電流、又は、適切と考えられる他の形態を含み得る。他のモードが所望されてもよい。任意の数のモードが利用可能とされ得る。
【0146】
モードを選択する種々の方法が実装され得る。例えば、ユーザは、(外部通信バス(ECB)97を亘って電子マネージメントシステム(EMS)91をプログラミングするなど、)パワーシステム16をプログラミングすることにより地表面でパワーシステム16を構成できる。ユーザは、EMリンクや泥パルスリンクなどのデータリンク、若しくは、ダウンホール流体の流れをコントロールすることで作成されるリンク、又は、他のリンクに亘って、通信することにより、パワーシステム16を遠隔で構成できる。パワーシステム16は、ランタイムでそれ自身を再構成するようにもプログラムされ得る。異なる動作モードは、様々に達成され得る。例えば、電子マネージメントシステム(EMS)91は、フィードバック調整パワーコンバータの出力電流若しくは出力電圧のための設定点をランタイムで変更でき、よって、コンバータにより示される名目出力電圧若しくは出力電流を変更する。電子マネージメントシステム(EMS)91は、例えば、アナログ若しくはデジタルコントロール信号を個々のスーパーバイザ92に与えることにより、若しくは、コントロールインプットを変更するデバイスをアクティブにすることにより、又は、適切と考えられる他の手段により、このことを達成し得る。デジタルフィードバックコントロールを伴って設計されたコンバータでは、モード間の変更はデジタルで為され得る。ある場合では、モード間で変更するとき他の回路パラメータは実効的に変更され得る。例えば、フィードバックループの安定性を指示する受動コンポーネントは、名目出力電圧が変更されるとき、変更され得る。トランジスタや他の制御スイッチデバイスを用いて、必要に従い、これらのコンポーネントは能動的にスイッチアウトし、他のコンポーネントはスイッチインする。デジタルフィードバックコントロールの場合では、フィードバックループの安定性は、デジタルコントローラを予めプログラムするコードの、異なるセグメント間でスイッチングすることにより、維持され得る。
【0147】
パワーシステム16の別の例示の特性は、低温コントロールの特性である。低温コントロールは、所定の環境で所望され得る。即ち、エネルギソース(例えば、外部エネルギ供給51)のパフォーマンスは、ある温度範囲(「低温閾値」、これは概略値や値の範囲である)を下回ると一時的に低下し得る。低温閾値以下では、実質的電力がそこから引き出されるとエネルギソースは損傷し得る。例えば、ニューヨーク州のElectrochem Solutions of Clarenceから入手可能なダウンホールバッテリ(「低温閾値」-40℃までアウトプット電流である200mAのための定格サイズを伴う、USA品番33-127-150MR SERIES:4422 DD)を考察する。低温閾値以下では、このバッテリは、パーマネントのセル損傷を生じること無く、約1-50mAを供給することのみ可能となる。
【0148】
よって、パワーシステム16は、低温コントロール回路により構成され得る。低温コントロール回路は、低温範囲で温度を検知し、エネルギソースから引き出される電力を適切に制限するように、構成され得る。低温閾値以下で引き出される電力は、パワーシステム16の動作を維持すること、更には温度の検出のための及び電力引き出しのコントロールのためのコントロールシステムを維持することなどの、所定の機能に割り当てられ得る。よって、ある実施形態では、電力制限設定点は、低温感知及びコントロールを実装するのに必要なパワーレベルより上に設定される。環境に対する大気温度が低温閾値より上に上昇すると、低温コントロール回路は徐々に、電力をパワーシステム16内部の選択されたコンポーネントに戻すことができる。
【0149】
パワーシステム16は、温度をモニタするため種々のデバイスが備わり得る。或る実施形態では、低温コントロール回路は、サーモカップル、バンドギャップ基準回路、及び抵抗温度検出器(RTD)のうち少なくとも一つが備わる。計測のための他の技術が採用されてもよく、例えば、温度依存特性を示す、パワーシステム16内部の他のコンポーネントの利用が含まれ得る。
【0150】
電力引き出しは、所定のパワーシステムコンポーネント、例えば、パワーコンバータ及びセンサシステムを単に無効にすることにより、制限され得る。電力引き出しは、パワーシステムコンポーネントの電力引き出しをコントロールすることによっても、例えば、パワーコンバータ回路の出力電流若しくは電圧を調整することによっても制限され得る。システムは、温度が低温範囲よりも上昇したら通常動作を再開するように構成されてもよい。
【0151】
低温プロテクションに関して議論すると、前述の形態は高温プロテクションを提供する際と同様に有用であり得るとも認識されるべきである。温度プロテクションはパワーシステム16の減少した機能に備えるものであるが、或る例では、パワーシステム16が仮想的にシャットダウンする「温度超過シャットダウンモード」を誘導することが有益である。
【0152】
パワーシステム16の別の特性は「スリープモード」である。スリープモードは、ユーザにパワーシステム16のプロテクションを提供する。パワーシステム16が利用されていない期間に、このようなプロテクションは有益であり得る。例えば、エネルギ貯蔵30に接続するパワーシステム16を維持することが望ましい貯蔵若しくは輸送の機関である。とりわけ、スリープモードは、エネルギ貯蔵30の早期枯渇を制限するものとなる。特に、所定のレベルの「スタンバイパワー」は通常、パワーシステム16のコンポーネントをアクティブで保持するように要求されるものとなる。所与のパワーシステム16がエネルギ貯蔵30に接続されて数週間から数ヶ月間貯蔵状態で若しくは輸送状態で残されているならば、エネルギ貯蔵30が実質的に若しくは完全に枯渇することが生じ得る。以下の例を考察する。
【0153】
一つの例では、エネルギ貯蔵30は、4つのセルを有するバッテリ(例えば、ニューヨーク州のElectrochem Solutions of Clarenceから入手可能な、品番33-127-150MR SERIES:4422)を含む。バッテリパックは、概略4セル×3.67V×29Ah=425Whのキャパシティを有する。4週間このバッテリパックに接続するパワーシステムにより引き出される200mWのスタンバイパワーは、バッテリパックを約67Wh枯渇させる、即ち全体キャパシティの約16%を枯渇させることになる。パワーシステム16がフルチャージ以下で貯蔵に送られると、若しくは拡張期間送られると、影響は重大となり得る。
【0154】
或る実施形態では、スリープモードは、実効的な非動作状態を検出することにより、アクティブ化する。複数の方法が採用され得る。一つの例では、パワーシステム16に、少なくとも一つのダストキャップを設ける。ダストキャップの夫々は、パワーシステム16と電気的に連結するように装備されている。例えば、ダストキャップは、パワーシステム16のコネクタ内のピンに接続するように構成されたジャンパを含み得る。EMS91は、コネクタ内の所定のピンがいつ接続しスリープモードを指令したかを認識するものになる。
【0155】
一つの実施形態では、接続の検出により、ダストキャップにより接続されたピン(この例では、二本のピン)がEMS91上のピンに応答することが要請される。EMS91は、ピンの第1のものをデジタルアウトプットと認識し他方のピンをデジタルインプットと認識するように構成される。デジタルアウトプットとして構成されるピンは、高い、例えば、5Vのためのロジックレベルに設定され得る。続いて、5Vがインプットとして構成されるピン上で検出されると、EMS91はそのことをダストキャップの表示として、よって非動作状態として解釈することになる。多数の状態を検出するのに、若しくは、多数の異なる場合で生じる等価の状態を検出するのに、ピンの構成の複数の組み合わせが用いられ得る。
【0156】
((便宜上全て「カバー」と称される)カバー、シールド若しくはパッケージングのうちのどのタイプも用いられ得る)ダストキャップは、パワーシステム16に他の条件を課するように構成されてもよい。例えば、カバーは、ピン若しくは他のどのタイプのインピーダンスに亘っての所定の電気抵抗を示すものであってもよいし、例えば、ダストキャップに埋め込まれる主要バッテリからの電圧を示すものであってもよいし、独立回路若しくは他のどんな手段によって形成される交流信号若しくはデジタル信号を示すものであってもよいし、ダイオードにより示されるような非線形効果を示すものであってもよい。コネクタ上でのピンへの接続は、ダストキャップが通常プレッシャバレル上へネジ締めされるので、カバー内に埋め込まれた回転可能コネクタを要求するものであってもよい。よって、接続はレセプタクルと合致でき、ダストキャップの外側部分は前記接続周りに回転し得る。接続は、ダストキャップ無しで実装されてもよいし、システムをスリープモードにするのに明確に配置されてもよいし、プレッシャバレルの外側上に存するもの以外のコネクタにてパワーシステムに接続してもよい。スリープモードが外部接続無しに非動作の検出により実装され、非動作を示すものであってもよい。例えば、パワーシステム16は、負荷に供給される電流を計測し、予め定められた値より小さい供給電流が所定期間流れた後、非動作状態を判定し、スリープモードに入るようにパワーシステムをコントロールしてもよい。パワーシステム16は、キャパシタ若しくは他のエネルギ貯蔵素子上の電圧を計測し、予め定められた量より小さい電圧偏差が所定期間生じた後、非動作状態を判定し、スリープモードに入るようにパワーシステム16をコントロールしてもよい。デザイナにより適切若しくは有用と考えられる他の方法が採用されてもよい。
【0157】
或る実施形態では、カバーは、レジスタ、バッテリ、ダイオード等のうちの少なくともひとつなどの、コンポーネントを含む。即ち、カバーは、カバーを導入した際、固有の電気信号をパワーシステム16に供給することになるどのコンポーネントを含んでもよい。パワーシステム16が関連する固有の電気信号を検出すると、パワーシステム16はスリープモードに入ることになる。
【0158】
スリープモードは、動作時のみに要求されるパワーコンバータやセンサーコンポーネントなどの、不必要なシステムコンポーネントを無効にすること、若しくはパワーダウンすることで、構成され得る。出力電圧などのシステムパラメータを一時的に変更し、例えば、エネルギ貯蔵の自己放電で若しくは他の抵抗素子で消費されるスタンバイパワーを減少させるものであってもよい。
【0159】
パワーシステム16の実施形態に含まれ得る別の特性により、データロギングが可能である。即ち、メモリロギング回路(即ち、モジュール)は、パワーシステム16内に含まれてもよい。メモリロギング回路は、メモリ、及びイベントデータを受信するインターフェースを含み得る。このデータは、システム動作をコントロールし、システムステータスを遠隔位置に送信し、又は、他のユーザ間の動作の後にシステムをデバッグする若しくはアセスメントする(評価する)のに、有用である。システムが記録し得るデータの例には、バッテリ電圧、バッテリ電流、バッテリ充電状態、温度、振動、ショックイベント、計測された流体フローを示すロジックレベル信号、MWD泥パルサのための泥パルスアクチュエーション、バッテリ切替などが、含まれ得る。メモリロギング回路は、イベントデータを受信し格納するため、適切な処理機能(即ち、メモリロギングプロセッサ)を更に含んでもよい。メモリロギングプロセッサは、メモリからイベントデータを検索し、ユーザへの伝送のためにイベントデータを通信するというものであってもよい。
【0160】
概略、データサンプリング及びデータパラメタリゼーションのレートは、有用量の情報の格納を確保すべく、注意深く選択されるべきものである。即ち、高温で動作するために定格化されるメモリは、概略、低温で動作するのに定格化されるメモリよりも密度が低い。従って、或る実施形態では、データサンプリング及びロギングは、変更のレートと等しいレートで実行される。或る実施形態では、サンプルされたデータはパラメータ化される(即ち、充電状態や損傷率などの、集約パラメータを表すフィッテング変数を更新するのに用いられる)。複数の例が示される。例えば、或る実施形態では、ゆっくり変化する信号は数分ごとにサンプルされるに過ぎない。振動データは、所定の時間ウインドウ(例えば、10秒)に亘って加速度計から計測されるrms(二乗平均平方根)加速度の時間平均としてパラメータ化される。バッテリの充電状況は、(バッテリ電流のフル記録を保持するのではなく)バッテリ電流が経時的に計測されるにつれて更新されるシングルデータポイントとして格納される。ショックイベントはタイムスタンプされ、加速度がその間に特定の制限(例えば、35G)を越えたシングルイベントとして記録される。揮発及び不揮発メモリの組み合わせは、高温で動作する高密度メモリの欠乏を緩和することもできる。即ち、不揮発メモリ(パワー損失に拘わらずその状態を保つメモリ)は概略密度が低いが、エネルギソースの障害の際にもそのデータを失うものでは無く、従って、特に厳しい環境の利用例では不揮発メモリ内にデータを保ことが有益である。一方で揮発メモリは概略密度がより高いが、エネルギソースの障害の際にそのデータを必ずしも保持するものでは無い。ある実施形態では、概略、揮発メモリ内に全てのデータを格納する妥協的デザインが用いられ、そこでは、不揮発メモリに周期的にデータをアーカイブしてより長い記録保持を可能にする。
【0161】
例示として、メモリマネージメントのための妥協的デザインでは、ユーザは、エネルギソースの障害の際にはデータ記録のうち最近の100時間等にアクセスできる、というものであってもよい。最新のアーカイブから最も前のデータは失われる可能性がある。この効果は、更に頻繁にアーカイブすることで緩和され得る。しかしながら、不揮発メモリは概略、特定の数の書き込みサイクルに対して定格されている。よって、トレードオフがされてもよい。例えば、システムが2000時間継続する必要がありROM(不揮発メモリ)が10000書き込みサイクルのために定格されているならば、(2000時間)/(10000サイクル)×60分=12分毎に、データをアーカイブしてもよいことになる。よって、ユーザは最悪の場合最新データのうち12分のものを失う可能性があり、実質的には最新データのうち6分のものを失うことが予想されることになる。この効果は複数のROMをパワーシステム16に加えることにより更に緩和され得る。つまり、一つのROMが多数回(例えば、10000回)書き込みされた後、寿命であると見なされ、続いて第2のROMが10000回書き込みされ、従って10000回以上の書き込みサイクルがパワーシステム16には利用可能であり、よってより頻繁にアーカイブを採ることが可能となる。一方で、エネルギソース内の障害が無いならば、データのフル記録がRAM(揮発メモリ)ないで利用可能であることになる。従って、種々のメモリマネージメントスキームが採用可能であることが、認識されるべきである。
【0162】
例示のメモリコンポーネントは、米国カリフォルニア州アナハイムのTTセミコンダクタから入手可能である一つのメガビット高温ROM(EEPROM)(品番TT28HT010)である。この例示のコンポーネントは、約200℃までの動作のために定格されている。別の例は同製造者から入手可能である、16MバイトRAM(SRAM)(品番TTS2MWV8)であり、約220℃までの動作のために定格されている。
【0163】
前述のように、パワーシステム16の実施形態に含まれ得る特性の一つは、バイパス特性である。バイパス特性の更なる形態を以下幾つか説明する。
【0164】
或る実施形態では、バイパス特性は、(「バイパスコンバータ」と称される)独立パワーコンバータと冗長パワーコンバータのうちの少なくとも一つにより実装される。その場合、バイパスされるコンポーネントへの電流、若しくは該コンポーネントの出力からの電流をブロックすることが、好ましい。よって、スイッチネットワークがパワーシステム16内にふくまれてもよい。或る実施形態では、スイッチネットワークは、電流を適切にブロックするように第1のコンバータの出力を伴うダイオードを含む。或る実施形態では、(ダイオードが、過度なパワーロス、若しくは、双方向設計の電流のブロッキングを生じるなどして)ダイオードの採用が適当では無く、よってMOSFETや他の能動デバイスが採用され得る。スイッチとして少なくとも一つのMOSFET、若しくは少なくとも一つの他のタイプのトランジスタを利用する実施形態では、スイッチデバイスが、適切なゲート若しくはベース、又は他の駆動回路に連結され、スイッチデバイスを安全にアクティブ化する。MOSFETの場合では、固有のボディダイオードは、両方の方向の電流をブロックすると考えられる。ボディダイオードに対向する直列ダイオードは、両方の方向の電流をブロックするのに採用され得る。MOSFETの組み合わせも採用され得る。MOSFETとダイオードの組み合わせも同じく採用され得る。或るトポロジでは、スイッチネットワークの機能は回路に固有であり、更なるスイッチネットワークは必要とされない。例えば、非同期ハイサイドスイッチを有するブーストコンバータ(ダイオード)では、コンバータは、高電位経路でソースから負荷へ実質的な電流を伝えるに過ぎないものである。よって、スイッチネットワークに関して要求される機能は、高電位経路で負荷からソースへ電流が流れ得ず、よって更なるスイッチネットワークが必要とされない、ということである。
【0165】
パワーシステム16のコンポーネントが電力を供給するのに適切な状態に無いとき、バイパス特性は特に有用であり得る。例えば、バイパス特性は、サブシステム若しくはエネルギソースが機能しなくなるときに、有用であり得る。エネルギ貯蔵が低充電状態であるときや、パワーシステム16がエネルギ貯蔵30や別のシステムコンポーネントを利用することを禁じられる動作モードに入ったときにも、バイパス特性は有用であり得る。バイパス特性の他の利用は、デザイナが適切と考えると、示され得る。
【0166】
バイパスコントローラのある組み合わせが、
図18に示される。
図18A、18B及び18Cでは、パワーシステム16のコンポーネントとの様々な関係で、バイパス特性90が示されている。
【0167】
パワーシステム16内に含まれ得る更に別の特性は、最適化モジュールである。最適化モジュールを含む実施形態では、パワーシステム16は、全体の性能形態を最適化するように調整し得る。この調整は、ランタイムに生じ得る。例えば、パワーシステム16は、最適化された全体のシステムエネルギの効率性をターゲットとし得る。パワーシステム16は、全てのパワー損失の総計を考慮するように構成され得る。例えば、パワーシステム16は、損失が負荷電圧で変動することから負荷内の損失をモニタし、エネルギソース内の損失が二乗平均平方根(rms)電流レベルで変動することからエネルギソース内の損失をモニタし、パワーコンバータコントローラをアクティブに保持する際にスタンバイパワー損失をモニタし、エネルギソースなどのリークパワー損失をモニタするように、構成されてもよい。この情報を用いて、最適化特性はタスク化され、全体のパワー損失を減少させる。
【0168】
最適化に備えるために、最適化モジュールは、種々の技術のどの一つ以上のものを採用してもよい。例えば、最適化モジュールは、エネルギソースからの二乗平均平方根(rms)電流引き出し、パワーコンバータコントロール回路の相対的オンタイム、負荷に示される出力電圧、エネルギ貯蔵30に示される電圧などを、調整するもののような最適化パラメータを計算し得る。最適化回路は「摂動及び観察」を採用してもよく、この場合、一つのパラメータと再計測システム効率性を摂動し、トータルのパワー損失を減少させる方向で摂動を調整することを試みることになる。いずれかの方向での摂動が、パワー損失の計測となるのであれば、最適化若しくは局所的最適化が特定され得る。グローバルな意味で実質的に準最適である局所最適の回避は、第1の計算によるアルゴリズムを探索する摂動と観察を組み合わせることが助けとなり得る。第1の計算は、大域的(システム)最適条件の比較的近傍にシステムパラメータのセットを配置すべきである。パワーシステム16内の全ての損失の見積合計を先ず考慮することにより、そうすることが試みられ得る。総計は、ランタイム計測から導出される損失項、先験的若しくは予めプログラムされた値から導出される損失項、計算から導出される損失項、及びそれらの組み合わせから導出される損失項を、含み得る。システムパラメータの種々のセットに対して総計を計算し、システムパラメータの全てのセット間で最小限の計算されたパワー損失を生じるシステムパラメータのセットを選択することにより、第1の計算は、大域的最適を配置することを試み得る。第1の計算は、総計のデリバティブを計算して局所的最適のセットを配置し、元の総計の式にシステムパラメータを代入し戻して大域的最適を選択するために局所的最適のセットに到達することを、試みることもできる。
【0169】
更に、最適化モジュールは、システム16が変化する際、例えば、時間平均負荷電流若しくは電圧が変化する際、エネルギ貯蔵30が古くなる際、温度が上昇しエネルギ貯蔵30のリーク電流が上昇する際などの、ランタイムにて、最適化を調整し得る。電圧及び電流を、例えば、ソース電圧及び電流を、負荷電圧及び電流を、それ(パワーシステム16)自身のスタンバイ電流を、エネルギ貯蔵30内に流れる電流を、計測することができることは、結局、パワーシステム16の助けとなり得る。最適化モジュールは更に計測を組み合わせてバッテリ内部抵抗などの他の形態を判定できる。それはバッテリ電圧と電流の計測に関する二つの明確な対から導出され得るからである。エネルギソースの内部抵抗は、最適化に対するインプットと見なされうる。
【0170】
ある場合では、最適化された出力電圧は、パワーシステム16の或る実施形態のより高い効率性(小損失)に繋がる。以下の例を考える。MWD泥パルサシステムでは、より低い電圧により、消散の無い十分なモータ動作が生じ得る。通常、MWDパルサを駆動するのに高電圧バッテリが必要とされる。出力電圧のパルスの間に瞬間的に電圧が降下するからであり、バッテリ電圧を選ぶ際にNWDシステムの下方動作電圧制限は責任を負わねばならないからである。即ち、その内部抵抗からの垂下の責任を負うため、幾分かのヘッドルームがバッテリ電に含まれなければならない。そうで無ければ、他の望まれない動作である、パワーシステム16のシャットダウンを生じ得る下方制限電圧閾値を、これらの垂下が破ってしまう。しかしながら、それらバッテリ電圧は、泥パルサの効率性及びバッテリ寿命に最適なものでは無い。従って、バッテリ電圧をバッファしてMWDパルサに電力を提供するように、パワーシステム16が構成されてもよい。この場合、パワーシステム16は、エネルギ貯蔵30、パワーコンバータ若しくは両方の、フィードバック調整及び/又は低出力直列抵抗の結果として、バッテリと比べて実質的により固定された出力電圧を供給し得る。よって、バッテリのみの設計では典型的であるヘットルームのための考慮は、大きく緩和される。下方制限電圧閾値を破ってしまうことに関心を払うこと無く、より低い電圧をMWDパルサに示し得る。より低い電圧で動作するMWDパルサはより効率的となり得る。最終的には、この効率性はエネルギ貯蔵30内のバッテリのより長い寿命に繋がる。非効率に浪費されるバッテリエネルギが無いからである。一つの例では、MWD泥パルサは、15Vから29Vの電圧を受け入れ得る。概略25~28Vの電圧に達するのに、7セル若しくは8セルバッテリが通常選ばれる。動作間、バッテリはその寿命に亘って劣化し内部抵抗の増加に繋がるのであり、MWDパルサへのパルス電力供給の間に瞬間電圧は開回路バッテリ電圧から20V以下にまで低下する。バッテリ電圧が、瞬間的若しくは時間平均的又はその他の様式で計測される下方閾値に達すると、システムは、適切に機能することを停止してもよいし、意図的にシャットダウンしてもよい。一方で、28Vバッテリから駆動されるMWDパルスは、約15Jのエネルギを消費し得る。また、パワーシステム16は、バッテリとMWDパルサに連結されてもよい。パワーシステム16は、バッテリの寿命に亘って、MWDパルサに対して相対的に固定された20Vを供給してもよい。一方、20Vパワーシステムアウトプットにより駆動されるMWDパルスは、約26%エネルギ節約を表す約11Jのエネルギを消費する。この動作を示すMWDパルサの例は、米国テキサス州ジョージタウンのBenchtreeから入手可能であるBenchtreeMWDモータドライブ泥パルサ(品番900370)である。
【0171】
更に別の特性として、システムヘルスモニタが示され得る。システムヘルスは、温度、振動及びショック、並びに対応する期間に関する、計測及び記録から導出され得る。損傷率は、経験的及び統計的テストに基づいて予め定め得る。
【0172】
パワーシステム16は、そのアークティクチャにて冗長特性を含み得る。例えば、更なるパワーエレクトロニクス回路が含まれてもよい。エネルギ貯蔵30内に更なるキャパシティが含まれてもよい。パワーシステム16は、コンポーネント内の障害の検出により該コンポーネントを非アクティブ化し更に冗長コンポーネントをアクティブ化するように、構成されてもよい。回路は、コントロール回路を無効にすること、それに対する電力接続を遮断すること、及び、トランジスタやリレーなどの能動デバイスを用いてインプット及びアウトプットからそれを断線することのうちの少なくとも一つにより、非アクティブ化され得る。エネルギ貯蔵30は、能動デバイスを用いてインプット及びアウトプットからそれを断線することにより、同様に非アクティブ化され得る。
【0173】
障害は様々に特定され得るのであり、特定すべき障害のタイプ及び障害を生じたコンポーネントのタイプに依存する。例えば、アウトプットパワードロー(引き出し)が通常の制限の範囲内である限り、所定の時間より長く通常の制限内でコンバータが電圧の出力を維持できないことにより、パワーコンバータ障害が示され得る。ウルトラキャパシタ障害は、直列接続のウルトラキャパシタに示される通常の電圧に拘わらない、低い若しくは略ゼロの電圧として特定され得る。これは、特に短絡タイプの障害を示し得る。更にPEMS91若しくは他のタイプのコントローラに連結されるアナログ-デジタルコンバータに連結するレジスタ分割器などの、電圧計測デバイスを採用することにより、障害検出は促進され得る。障害及び損傷率は、(本明細書に示される技術などにより)メモリに記録され、とりわけ、ユーザに報告されてもよい。
【0174】
パワーシステム16の電気的性能の形態をこれまで記載したが、更なる形態が加えられてもよい。概略、これらの更なる形態は、パワーシステム16の構造及び製造に関する。
【0175】
図19~24を参照すると、パワーシステム16の更なる形態が示される。
図19では、ロギング器具10に組み合わせるのに適したパワーシステム16の実施形態が示される。この例では、パワーシステム16は、ドリルストリング11若しくはワイヤライン8への組み合わせを簡素化する形状因子を有する。特に、この例では、パワーシステム16は、伸長且つ円筒のコンテナ47として設けられ、端部の夫々にて(この実施形態では)インターフェース46を含む。コンテナ47内部には、エネルギ貯蔵30としての複数のウルトラキャパシタが存する。エネルギ貯蔵30の充電及び放電はコントローラ45によりコントロールされ、該コントローラ45はインターフェース46を介して電力を伝え得る。
図20は、
図19に示すパワーシステム16の実施形態の分解図を示す。
【0176】
パワーシステム16及びそのコンポーネントは、「モジュラー」形式でアセンブルされ得る。即ち、パワーシステム16のモジュラーアーキティクチャは、個々のパワーシステム16をカスタマイズすること、及び功利的な製造を行うことに備えるものである。以下に示す形態を議論することでモジュラー構造の形態はより明確となる。
【0177】
図21を参照すると、コントローラ45の実施形態が示される。この例では、コントローラ45は、円筒のコンテナ47の内部に配置されるのに適した形状因子を示す。従って、コントローラ45は、少なくとも一つの絶縁体65を含む。この例では、コントローラ45は、概略、両端の各々に配置された絶縁体65により境界付けされ、更に中間絶縁体65を含む。絶縁体65の各々は、概略、パワーシステム16の他の部位からのコントローラ45の物理的分離を設けるものであり、複数のスタンドオフサポート64のためのアンカーなどの、他の特性の組み合わせのために用いられ得る。絶縁体65は、ポリエトラフロエチレン(PTFE)若しくは等価物などの、適切な絶縁素材から製造され得る。絶縁体65は、コンテナ47内部にぴったりと嵌まり、中間コンポーネントがコンテナ47内部で所定の位置に物理的に保持される。概略、絶縁体65の各々は、少なくとも一つのノッチ若しくはホールなどの、少なくとも一つの物理的特性を含み、少なくとも一つのアクセスウェイを設ける。少なくとも一つのアクセスウェイは、例えば、ワイヤの通路、カプセル化などのために、アクセスを設け得る。
【0178】
スタンドオフサポート64は、複数の回路62の搭載及び分離に集合的に備える。回路62は、例えば、回路基板上に配置されたコンポーネントを含み得る。回路62は、例えば、複数のキャパシタなどのコンポーネントを含み得る。或る実施形態では、少なくとも一つのインダクタ63が含まれる。或る実施形態では、複数のインダクタ63が含まれる。複数のインダクタ63は単体の導体で巻かれてもよい。単体の導体が或る実施形態で用いられ、複数のインダクタ63に、(過度の振動が生じることがあるような)厳しい環境での強固な物理的強度を与え得る。
【0179】
概略、スタンドオフサポート64は、個々の回路62間での間隔を維持する剛性サポートを提供する。スタンドオフサポート64の各々は、金属材料、及び/又は、ポリマのフォームなどの絶縁材料などの、適切な材料から製造され得る。
【0180】
図21の図では、回路基板の各々は、稼働中、Z軸に概略垂直に配置される。よって、回路62の各々は、回路62に亘って応力を概略均等に吸収して分散し、機械的応力から最小限の摂動を経験する。端的に言うと、回路62の各々は、経験する応力と歪みのうちの少なくとも一つを最小限にする(即ち、軸力がせん断ではなく圧縮である)ことに備えるデザインを含み得る。概略、回路62の各々は、少なくとも一つのノッチ若しくはホールなどの、特性を含み、少なくとも一つのアクセスウェイを設ける。少なくとも一つのアクセスウェイは、例えば、ワイヤの通路、カプセル化などのために、アクセスを設け得る。個々の回路62の形状因子(即ち、物理的外観)は、そのような収容設備に備えることにどのように望まれても、順応し得る。例えば、円形回路基板の代わりに、回路基板が2若しくは多数の側部を有してもよい(n角形)。
【0181】
貯蔵セル42のうちの少なくとも二つは、それらの間に配置された少なくとも一つの絶縁体65を含み得る。貯蔵セル42の個々の一つは、デラウエアのDupont Chemical Corp.により提供される、KAPTON等のポリイミドフィルムなどの、他のフォームの絶縁材料を含み得る。概略、KAPTONは広汎な範囲の温度で安定を維持することから、用いられる。貯蔵セル42の各々は絶縁フィルム内にラップされ、該絶縁ラップは、とりわけ、電気的短絡の回避に備えるように用いられ得る。
【0182】
種々のモジュラーコンポーネントがアセンブルされると(即ち、相互接続されると)、これらはコンテナ47内部にインストールされる。例えば、アセンブリはコンテナ47内に挿入され得る。機械的に強固なパワーシステム16を保証し、電気的干渉を回避するために、或る実施形態では、カプセル材料がコンテナ47内に注ぎ込まれ得る。概略、カプセル材料は、コンテナ47内部の空きスペースを全て充填する。
【0183】
カプセル材料の実施形態は、例えば、(ミッドランドミシガンのDow Corningから入手可能な)SYLGARD 170を含み、これは、高速硬化シリコンエラストマであり、硬化前の低粘性、100kHzで2.9の絶縁定数、530v/mil(ボルト/ミル)の絶縁強度、100Hzで0.005の散逸係数、及び、約-45℃~約200℃の温度範囲を示す。他のカプセル材料が用いられてもよい。カプセル材料は、例えば、電気特性、温度範囲、粘性、固さなどに従って、選択され得る。
【0184】
回路62の各々は、(例えば、選択モジュール99内の選択として記載した特性を含む、前述の特性の一部などの、)少なくとも一つの、ユーザのための付加価値特性を示し得、必要に応じてパワーシステム16内に含まれてもよい。慣例的事項として、「付加価値特性」は、パワーシステム16をコントロールするのに有用な特性として考慮され得る。例えば、付加価値特性は、データロギング、テレメトリ、充電状態モニタ、バッテリ切替コントロール、電力変換、デジタルスーパーバイザ、(並列インターフェースなどの)少なくとも一つのインターフェース、ヘルスモニタなどのための、機能を含み得る。
【0185】
従って、種々の回路62の接続のための共通電気バスがあってもよい。電気バスは、(回路62間を半田付けする若しくは別途接続する複数の導体を含むバスなどの)有線アセンブリを含み得る。電気バスは、他の技術も含み得る。
【0186】
即ち、電気バスは、有線アセンブリの代わりに、若しくはそれに加えて,他の形式の接続を含み得る。例えば、バスは少なくとも一つのバスコネクタを含み得る。バスコネクタは、例えば、つがいとなるオス型コンポーネントとつがいとなるメス型コンポーネントを含み得、この場合、個々のコンポーネントは、回路62の夫々のものに付属し得る。これらの実施形態では、バスコネクタは更に、コントローラ45内部の相当程度の物理的サポートに備え得る。バスコネクタは、一対多の導体を含み得、とりわけ、受け入れ可能な動作の温度範囲、(剛性などの)機械的特性のために選択され得る。つがいとなるオス型コンポーネントとつがいとなるメス型コンポーネントの各々は、パワーシステム16内で用いられる種々の回路が特定されることから、回路62の夫々のものの上に予め作成され、又は、個々の回路62に後で加えられる。種々のバスコネクタが用いられ得る。例えば、
図22を参照されたい。
【0187】
図22では、バスコネクタ70の簡略図が示される。この例では、メス型コンポーネント71は、オス型コンポーネント72とラッチするラッチデバイスを含む。組み立てられると、メス型コンポーネント71とオス型コンポーネント72は、二つの回路62間の構造サポートと共に、電気通信を構成する。更なるバスコネクタ70が用いられ得る。例えば、別のバスコネクタ70が回路62の対向する側に配置され構造強度の増大に備えるものであってもよい。
【0188】
バスコネクタ70は、表面搭載されてもよいし、少なくとも一つのスルーホール内に配置されてもよいし、直列に(若しくは並列に)搭載されてもよいし、適切と考えられるどんなように搭載されてもよい。或る実施形態では、バスコネクタ70は、(図示しない)リボンケーブルなどの、中間デバイスの組み合わせのために、順応させてもよい。リボンケーブルは、例えば、高温動作に適するポリイミド可撓性材料を含んでもよい。
【0189】
図20に示すように、エネルギ貯蔵30は、複数の貯蔵セル42を含み得る。貯蔵セル42は、様々な構成で電気的に連結され得る。複数の単体貯蔵セル42からのエネルギ貯蔵30の構築に関するより詳細は、
図23、
図24に示される。
【0190】
図23を参照すると、貯蔵セル42が、頂部に配置されたカソード83を含む。貯蔵セル42のハウジング37は、アノード87を設ける。カソード83とアノード87は、統合絶縁体63により電気的に分離される。例えば、カソード83は、ハウジング37内に組み込まれるグラス・金属のシール内に含まれる電極であればよい。望まれない電気干渉から貯蔵セル42を保護するために、前述のKAPTONのフィルムなどの、絶縁材料のラッパで包まれ得る。KAPTONは、その上に配置される高温接着剤を含み、ハウジング37への接着を確保するようにしてもよい。概略、或る実施形態では、ラッパ74は、カソード83とハウジング37の底面とを除いて、ハウジング37全体に亘って電気抵抗を設ける。
【0191】
或る実施形態では、カソード83は、ステンレス鋼から製造されるが、これは必要条件ではない。
【0192】
或る実施形態では、ウオッシャ75がラッパ74を覆って配置され得る。ウオッシャ75は、ラッパ74と同様の材料(例えば、KAPTON)から製造され得る。概略、ウオッシャ75はカソード83周りにぴったり嵌まりハウジング37の頂部全体の覆いを提供するように、寸法取りされる。ウオッシャ75の配置に続いて、タブがカソード83に貼られてもよい。
【0193】
とりわけ、ウオッシャ75は、エネルギ貯蔵30内の更なる電気絶縁を設ける。勿論、(既に示し記載したように)ウオッシャ75は、カソード83周りに配置され得るが、ウオッシャ75がアノード87周りに配置されてもよい(例えば、逆の極性を備える
図23のアセンブリを想定されたい。)。従って、ウオッシャ75は、適切と考えられる少なくとも一つの電極(即ち、アノード、及び/又は、カソード)の周りに配置されてもよい。
【0194】
本明細書で
図24として総称される、
図24A及び
図24Bを参照すると、エネルギ貯蔵30のアセンブリの形態が示される。
図24Aでは、二つの貯蔵セル42が並んで配置される。タブ88は、エネルギ貯蔵セル42の第1のもののカソードに貼られ、エネルギ貯蔵セル42の第2のものの底面にも貼られている。(レーザ、スポット、ティグ、抵抗、超音波、若しくは他の形式の溶接などにより)タブ88が適宜貼られると、エネルギ貯蔵セルの第2のものは、
図24Bに示すように、直立位置に回転する。
【0195】
一つの実施形態では、ニッケルがタブ88を製造するのに用いられる。しかしながら、タブ88に用いられる部材は、(溶接性、強度、導電性などの)適切な属性を示すと考えられるどんな部材も含み得る。
【0196】
貯蔵セル42の直列接続は、エネルギ貯蔵30の一つの例示の形態である。他の実施形態では、エネルギ貯蔵30は、並列接続された、若しくは直列と並列の組み合わせで接続された、貯蔵セル42を含み得る。
【0197】
図24Bに示すように複数の貯蔵セル42がスタックに(即ち、直列で)アセンブルされると、貯蔵セル42の各々の間にギャップ86が生じる。(
図20に示す)インサート材が、貯蔵セル42の各々の間に設けられてもよい。或る実施形態では、インサート材49は、例えば、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)などの、高温絶縁部材から製造される。とりわけ、インサート材49は、機械的力の分散に備えるものであり、動作間の個々のアノード87の電気的分離を確保する。
【0198】
エネルギ貯蔵30が最終形態でアセンブルされると、パワーシステム16は「ポット」され得る。即ち、パワーシステム16がコンテナ47内に挿入されると、コンテナ47は、カプセル材料で充填され得る。とりわけ、カプセル材料は、機械的ショックの減衰に、更には、パワーシステム16内部の電気的及び環境的官省からの保護に、備えるものである。一つの実施形態では、パワーシステム16は、カプセル材料として(ミシガン州ミッドランドのDow Corningから入手可能な)SYLGARD(登録商標)シリコンエラストマで充填された。カプセル材料は、例えば、回路コンポーネントから過剰な熱を消散させる熱導体の備えともなり得る。
【0199】
このようにパワーシステム16の形態を記載したが、種々の実施形態が実現され得ることが認識されるべきである。例えば、パワーシステム16は、貯蔵セル42若しくはパワーシステム16に連結する(図示しない)バッテリのうちの少なくとも一つでの充電をモニタする充電状態モニタを設ける回路を含み得る。パワーシステム16は、例えば、冗長構成で設けられた複数のバッテリパックのうちの一つ若しくはそれ以上から電力を引き出すコントロール回路を含み得る。パワーシステム16は、モータドライブを提供し得る。(パワーシステム16をコントロールするコントロール回路に適宜アウトプットを提供し得る)圧力、温度及び振動などの、種々のセンサなどを含み得る。
【0200】
概略、本明細書に記載のパワーシステム16は、厳しい環境に直面するダウンホール内で動作するように適応されている。例えば、全体としてのエネルギ貯蔵30及びパワーシステム16は、或る実施形態では、大気の温度から約175℃までの範囲で動作するように適応される。
【0201】
パワーシステム16で用いられ得る既製のコンポーネント及び技術は、(1)ベアダイシリコン及びシリコン・オン・インシュレータ能動デバイス、(2)シリコンカーバイド有効電力デバイス、(3)高温定格且つ低温係数のセラミック受動素子(COG若しくはNPO誘電体)、及び(4)高温磁気受動素子を含む。AIN(窒化アルミニウム)セラミックは、卓越した熱安定性及び熱伝導性により回路基板材料として用いられ得る。回路相互接続は、酸化抵抗金(Au)配線で形成され得る。ボンディングストラテジは、フリップフロップ、又は、例えば、AuGe高温半田を用いるベアダイ能動コンポーネントのためのAu若しくはAlワイヤボンディングを、採用し得る。或る実施形態では、特に、熱拡張並びにショック及び振動の存在への更なる機械的適合性により、ワイヤボンディングは、フリップフロップボンディングよりも有利と想定される。
【0202】
周波数補償のために用いられる受動回路コンポーネントは値が変動し得ることから非常に広汎な温度の振れがあるにも拘わらず、例えば、フィードバック調整回路の安定性を保証するのに、高温回路技術が用いられ得る。負の温度係数抵抗を従来の抵抗と連結することにより、能動デバイスを厳密に適合することにより、及び、絶対的センシング及びコントロールでは無くラシオメトリック(相対)を信頼することにより、低温度若しくは本質的にゼロ温度係数回路デザインが達成され得る。例として、バンドギャップ導出電圧基準は、フィードバック調整回路内のセットポイント上の非常に広汎な温度変動の効果をキャンセルするのに用いられ得る。温度係数戦略コンポーネント選択はこれらの問題も緩和する。例えば、CGO若しくはNPO誘電体セラミックキャパシタは、この範囲に亘るオンフォーカスファイルに対して比較的平坦な反応を示す。能動デバイス性能変動は、密閉且つベアダイの形式で広汎に利用可能なシリコン・オン・インシュレータ(SOI)及びシリコンカーバイド(SiC)技術の利用により、大きく緩和され得る。
【0203】
周知である他の高温部材、コンポーネント及びアークティクチャも、特定の(高い)温度での動作可能性に備えるように採用され得る。
【0204】
シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコンカーバイド(SiC)、ベアダイコンポーネント、セラミックPCB、低温係数受動素子、及び高温のHi-Rel半田は、電子システムを完成するのに全て調達されるものである。上記コンポーネントの各々に対する商業サプライヤの非包括的リストは、以下の表1に含まれる。
【0205】
【0206】
本明細書で用いるように、パワーシステム16に関する「コントロール」の用語の使用は、パワーシステム16の性能(機能)を制御することに関する。あいかしながら、或る実施形態では、「コントロール」は、パワーサプライの性能(機能)のモニタリングを提供することと見なされ得る。例えば、(例えば、有用な充電が使い果たされたことを充電状態が示すときにパワーサプライを絶つなど、)パワーサプライの利用の形態を別途コントロールするのに有用であり得る。従って、「コントロール」、「コントローリング」などの用語は、広範に、且つ、意図するような若しくは別途意図するような更なる解釈をカバーするように、理解されるべきである。
【0207】
概略、(ラッパ74、ウオッシャ75、カプセル材料などの)所定のメジャー及びコンポーネントを利用すると、所定の予防的利益を得ることができ、且つ、厳しい環境に直面するダウンホール内でのパワーシステム16の性能を保証できる。従って、これらのメジャー及びコンポーネントの一部は更なる利益を提供するものであり、これらのメジャー及びコンポーネントの組み合わせによるダウンホールでの動作に、パワーシステム16を備えさせることは、まず予防的利益を実現するものであり、更に、少なくともある状況では、パワーシステム16の「堅強化」と称されるものとなり得る。
【0208】
本明細書に記載のパワーシステム16の利点の一部は、例えば、高定格バッテリが用いられるべきところで、低い若しくは適度な定格のバッテリを利用することでも安全レベルの増大を得られるということを含む。エネルギ貯蔵30は、相当量の鉛若しくはリチウムを含むものでは無い。パワーシステム16は、高電流引き込みの間に通常見られる一時的電圧ディップを制限することによる、利用可能なバッテリ寿命の拡張を含む。更に、パワーサプライは、固有のパワーコンバージョンを伴う可撓性を加えるのであり、バッテリはダウンホールでツールや器具とより簡易にインターフェースを取ることができる。更に、パワーシステム16は、高温再充電ウルトラキャパシタを用いてバッテリ電流を平滑化し制限しつつ、ブーストパワーを供給できる。これらの効果は、概略、パワーシステム16内に含まれるバッテリの利用可能な寿命を拡張するものである。
【0209】
パワーシステム16は、さもなければ「クロストーク」や信号ワイヤに亘る望まれない結合などを生じることに繋がる、直流電流(DC)バス上の電圧変動の発生を、パワーシステム16内部の電気回路からの大きい、速い電圧偏向を減少させることにより、除去することもできる。
【0210】
再充電可能のエネルギ貯蔵30を含むパワーシステム1の多数の形態を示してきたが、例示の実施形態の種々の性能パラメータを表2に示す。
【0211】
例示のダウンホールのエネルギ供給のための性能パラメータ
【表2】
【0212】
表2では、システムピークパワーは、個々のセルのピークパワー、Vw
2/(4Rdc)を用い、システム内のセル数Nを乗じて、計算されていることに留意されたい。最大限のアウトプット電圧は、ピーク電圧を名目システム電圧20Vで除して計算されている。システムエネルギは、セル毎のエネルギ、1/2CVw
2/3600を用い、システム内のセル数Nを乗じて計算されている。
【0213】
例示のシステムの実施形態からの結果である重要特性は、約250℃までの動作温度を含むが、これ以上の生存温度、無毒性コンポーネントの実質的利用、カスタマイズ可能電流調整及び安全電流限度、カスタマイズ可能出力電圧設定、冗長電子回路、自動バッテリデパッシベーション、フェールセーフを保証するバイパスオペレーション、密閉構造なども伴う。
【0214】
従って、高パワー及びパルス化パワーが必要であるものを含むダウンホールMWD及びLWDなどの利用例で、システムを広く展開可能である。とりわけ、オイル及びガス若しくは地熱探査(「ダウンホール」)では、利点の例は以下のものを含む。パワーシステムを主要バッテリ及び負荷に連結し、主要バッテリ内部の実効的直列抵抗内の電流及び抵抗損失間の二乗関係により「ピークのある」電流と対比してエネルギ損失が少ない「平滑化された」バッテリ電圧を導き、バッテリ内部の損失を減少することによる、ダウンホールにおける主要バッテリの寿命の改善。パワーシステムを比較的低パワーソース(例えば、外部エネルギソース51)及び負荷に連結し、エネルギ貯蔵から比較的高パワーのバーストを供給させより長い時間フレームに亘ってエネルギ貯蔵を再充電させることによる、システムバーストパワー性能の増加。パワーシステム16を相対的間欠ソース及び負荷に連結することによる、ジェネレータなどのパワーソースにおける間欠性の緩和。
【0215】
よって、本明細書での開示は、電力をダウンホールにブーストし、従来のシステムに対して20~40%若しくはそれ以上ランタイムの時間を拡張できるダウンホールシステムということになる。更に、このことにより、高定格ではなく低定格若しくは適度の定格のバッテリの利用が可能となり、更に、ダウンホールでの機能不全の可能性を最小限にするフェールセーフ特性及び冗長特性の設置により信頼性が拡張され、結果として地上操作が簡潔なものとなる。
【0216】
本明細書の開示は例示に過ぎず、本発明を限定するものでは無い、ということが認識されるべきである。更に、更なるコンポーネント、構成、配置などは、本発明の範囲内にあることを維持しつつ実現され得ることを、当業者であれば認識するところである。例えば、ユーザは、エネルギ貯蔵30を引き出し上側に維持して展開し、同時にワイヤライン8などのケーブルを介してロギング器具10に電力を供給することを望むことができる。概略、ダウンホールの環境での、若しくは別途の、パワーシステム16の設計及び/又は利用は、システムデザイナ、製造者、オペレータ、及び/又は、ユーザの要求、及び特定の状況に存在する要望によってのみ、限定される。
【0217】
更に、種々の他のコンポーネントを含むことができ、本明細書に開示の形態に備えることを求めることができる。例えば、更なるパワーサプライ(例えば、ジェネレータ、ワイヤライン、遠隔供給及び化学バッテリのうちの少なくとも一つ)、冷却コンポーネント、加熱コンポーネント、圧力保持コンポーネント、絶縁体、アクチュエータ、センサ、電極、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、アンテナ、コントローラ、電気ユニット若しくは電子機械ユニットが、本明細書で説明した種々の形態をサポートするのに、若しくは本開示以外の他の機能をサポートするのに、含まれてもよい。
【0218】
概略、パワーシステム16は、一つ若しくは複数のタイプのパワーコンバータを含み得る。例示のタイプのパワーコンバータは、「バック(buck)」、「ブースト」、「バック-ブースト」、「フライバック」、「フォワード」、「スイッチドキャパシタ」、及び他の分離したバージョンの非分離コンバータ(例えば、Cuk、バック-ブーストなど)、更にはそのようなコンバータのカスケード(例えば、バック+ブースト)を含むが、これらに限定されない。コンバータは、直流-交流(インバータ)でも、AC-DC(整流器)でも、AC-ACでもよい。例示のタイプ及び/又はスイッチドキャパシタ回路は、マークス(Marx)タイプ、ラダーネットワーク、直列-並列、チャージポンプなどを含むが、これらに限定されない。概略、コンバータは、スイッチドモードでも線形調整タイプのコンバータでもよい。スイッチドモードコンバータは、トランジスタ、ダイオード、シリコン制御整流器、若しくは、利害関係者により適切と考えられるどの他のタイプのスイッチも、含み得る。
【0219】
本発明若しくはその実施形態の要素を示す際、冠詞「a」「an」及び「the」は、一つ若しくはそれ以上の要素があると意味することを意図する。同様に、形容詞「another」は、要素を示すのに用いられるとき、一つ若しくはそれ以上の要素を意味することを意図する。「including」や「having」の用語は、リスト化された要素以外の更なる要素が存在し得るというような、包含性を意図する。
【0220】
適宜、本明細書では、技術内容は「回路」、「モジュール」、「コンポーネント」として、及び、他の類似の(概略相互交換可能な)用語により示され得る。提示の技術の形式は本明細書で説明した実施形態に限定されない、と認識されるべきである。即ち、回路などの多数の形態は、機械読み取り可能媒体内に格納される機械実行可能命令として(即ち、ソフトウエアとして)実装可能であり、逆も可能であることが認識されるべきである。従って、適宜、回路は、適切なプロセッサなどに含まれ得るし、若しくは置き換えられ得る(逆もあり得る。)。
【0221】
本明細書で使用する際、「自動的」及び類似の用語は、概略、少なくとも部分的に、無人で若しくは相互作用無しで進み、規定された若しくは規定されない期間の進行に基づいて継続し得るプロセス若しくは技術の機能として理解されるべきである。例えば、コントロール回路若しくはソフトウエアは、インプットを受信し、自動的にコントロール調整を為すことができる。調整及び他のプロセス、コントロール若しくは技術は、「リアルタイム」に基づいて若しくは「実質的なリアルタイム」に基づいて、実行され得る。しかしながら、ユーザ、デザイナ、製造者若しくは他の同様な利害関係者の要求に適合するのに十分である期間内の特定のプロセス、コントロール若しくは技術として、「リアルタイム」に係る用語は理解されるべきであり、瞬間的な応答やパフォーマンスに制限されることを意図するものでは無い。
【0222】
本明細書では、コンポーネント(例えば、電極部材、電解質など)、条件(温度、種々のレベルでの種々の不純物からの自由度など)、及び、機能特性(例えば、初期キャパシティと比較した循環後キャパシティなど)に種々の変更事項を記載したが、これらに限定されるものではない。これらの変更事項のいずかのどの組み合わせも本発明の実施形態を規定する、ということが理解されるべきである。例えば、特定の電解質との、特定の電極部材の組み合わせ、特定の温度範囲及び特定量以下の不純度、特定の値の循環後キャパシティ及びリーク電流での動作、これらの変数は可能性として含まれるが特定の組み合わせは明白には示され得ないところ、本発明の実施形態を構成する。物、コンポーネント、条件及び/又は方法の、他の組み合わせは、本明細書に記載の変数から特に選択されて他の実施形態を規定するが、そのことは当業者には明白である。
【0223】
種々のコンポーネント若しくは技術は、所定の必要な若しくは有用な機能若しくは特性を提供し得ることが認識されるところである。従って、添付の特許請求の範囲及びその変形例のサポートにあたり必要とされ得るこれらの機能及び特性は、本明細書の開示の一部及び開示の発明の一部として本来的に含まれるものと認められる。
【0224】
例示の実施形態を参照して本発明を記載したが、当然ながら本発明の範囲から乖離すること無く、種々の変更が可能であり、均等物がそれらの要素に置換し得る。更に、本発明の本質的範囲から乖離すること無く、多数の修正が特定の器具、条件若しくは部材を本発明の開示内容に正しく順応させる。従って、本発明は、本発明を実施するために熟考されたベストモードとして開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであることを、意図するものである。
【符号の説明】
【0225】
1・・・ウエルボア、
2・・・陸地、
3・・・層、
4・・・掘削流体、
5・・・ハイドロカーボン、
7・・・トップサイド装備、
8・・・ワイヤライン、
9・・・サービストラック、
10・・・ロギング器具、
11・・・ドリルストリング、
12・・・ドリルパイプ、
13・・・ダウンホール電子機器、
14・・・ドリルビット、
15・・・サーベイコンポーネント、
16・・・パワーシステム、
19・・・ウエルヘッド、
21・・・ケーシング。