(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】表面処理システム及び表面処理方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/12 20060101AFI20240912BHJP
E01C 23/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E01C23/12 Z
E01C23/00 A
(21)【出願番号】P 2023176451
(22)【出願日】2023-10-12
【審査請求日】2023-12-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)試験日 令和5年7月8日 試験場所 横浜ゴム株式会社(茨城県久慈郡大子町下金沢695) 試験を行った者 株式会社フタミ (2)試験日 令和5年9月9日,令和5年9月10日,及び令和5年9月15日 試験場所 GKNドライブラインジャパン株式会社(栃木県栃木市大光寺町1141) 試験を行った者 株式会社フタミ (3)試験日 令和5年10月1日 試験場所 TOYOTIRE株式会社(宮崎県児湯郡都農町川北1989) 試験を行った者 株式会社フタミ (4)試験日 令和5年10月5日及び令和5年10月6日 試験場所 一般社団法人 日本建設機械施工協会 施工技術研究所(静岡県富士市大渕3154) 試験を行った者 株式会社フタミ
(73)【特許権者】
【識別番号】593162291
【氏名又は名称】株式会社フタミ
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 竜一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-254453(JP,A)
【文献】特開2016-125326(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116591010(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108677672(CN,A)
【文献】中国実用新案第218756932(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0100191(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1895771(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1218573(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/00-23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧水を噴射可能なウォータージェットノズルを有している表面処理装置
(20)と、
前記表面処理装置
(20)を移動させるための移動装置
(10)と、
前記表面処理装置
(20)と前記移動装置
(10)とを連結するための連結部とを備え、
前記移動装置
(10)は、
路面を走行可能な駆動部
(11)と、
前記駆動部
(11)の動作を制御するための有線又は無線のリモコンとを含
み、
前記表面処理装置(20)は、前記ウォータージェットノズルを支持するための架台(23)を含み、
前記連結部は、前記架台(23)と連結しており、
前記連結部は、
前記移動装置(10)上に設けられたレール部(12a,12b)と、
前記レール部(12a,12b)上を移動可能な第1連結部材(13)と、
前記第1連結部材(13)に連結され、かつ、前記架台(23)に連結される第2連結部材(15)とを含み、
前記第1連結部材(13)を前記レール部(12a,12b)上で、前記移動装置(10)の進行方向の前後方向に移動させることで、前記第2連結部材(15)を前記前後方向に移動させて、前記連結部を前記移動装置(10)上で位置調整可能とすることで、前記表面処理装置(20)の大きさ又は作業現場に合せて、前記移動装置(10)と前記表面処理装置(20)との間の距離を調整可能としていることを特徴とする表面処理システム(1)。
【請求項2】
高圧水を噴射可能なウォータージェットノズルを有している
請求項1に記載の表面処理
システム(1)を用いた路面の表面処理方法であって、
有線又は無線のリコモンを用いて路面を走行可能な
請求項1に記載の移動装置
(10)で
、請求項1に記載の表面処理装置
(20)を移動させながら、前記表面処理装置
(20)で前記路面の表面処理を行うことを特徴とする、表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面等の表面処理装置を移動させるためのシステム及びそれを用いた表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウォータージェットノズルを回転させつつ、当該ウォータージェットノズルから高圧水を噴射することで、路面等の表面を処理することが可能な表面処理装置として、特許文献1に記載の装置がある。
【0003】
特許文献1に記載の表面処理装置(20)は、架台(1)に取り付けられたカバー(10)の内部で、ウォータージェットノズル(14)が回転する構造となっている。ウォータージェットノズル(14)は、ロータリージョイント(7)と接続されている。ロータリージョイント(7)に高圧水が供給されて、ウォータージェットノズル(14)の複数の噴射ノズル(14d)から高圧水が噴射される。合わせて、ロータリージョイント(7)は、エアモータ(8)の回転に合わせて、回転する構造となっている。架台(1)には、前後に車輪(2,3)が取り付けられている。作業者は、架台(1)に取り付けられているハンドル(4)を把持して、表面処理装置(20)を押しながら、路面等の表面処理を行う。
【0004】
非特許文献1に記載の「アクアサーフェスクリーナー SC-450」も、特許文献1に記載の表面処理装置と同様に、作業者が装置を押しながら施工する装置である。
非特許文献1に記載の「アクアサーフェスクリーナー SC-280」は、電動で移動することができる装置であるが、作業者がハンドルを把持しながら、移動方向を調整して施工する装置である。
【0005】
非特許文献2には、追跡型の小型の移動ロボットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】株式会社フタミ,“アクアジェット工法 アクアサーフェスクリーナー SC-450 アクアサーフェスクリーナー SC-280”,[online],令和5年10月5日検索,インターネット,<URL http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/index4.html>
【文献】AGILEX ROBOTICS CO., LTD.,“BUNKER MINI”,令和5年10月5日検索,インターネット,<URL https://global.agilex.ai/products/bunker-mini>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来の表面処理装置は、作業者が押したり、ハンドルを把持して移動方向を調整する必要があった。そのため、作業者は、表面処理装置のすぐ近くで作業しなければならない(
図4参照)。
道路等で作業を行う場合、一般車が通る際(きわ)を施工することがある。従来の表面処理装置を用いた場合、作業者は、表面処理装置のすぐ近くで作業をしなければならないため、一般車と接触する危険があった。
【0009】
また、表面処理装置を作業者が人力で押す場合、施工スピードを作業者の感覚で調整しなければならず、等速走行が難しく仕上がりにばらつきが発生しやすかった。
【0010】
それゆえ、本発明は、安全に施工することが可能な表面処理システム及びそれを用いた表面処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、仕上がりのばらつきが生じにくい表面処理システム及びそれを用いた表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する。
本発明は、高圧水を噴射可能なウォータージェットノズルを有している表面処理装置と、表面処理装置を移動させるための移動装置と、表面処理装置と移動装置とを連結するための連結部とを備える表面処理システムである。
移動装置は、路面を走行可能な駆動部と、駆動部の動作を制御するための有線又は無線のリモコンとを含む。
【0013】
好ましくは、表面処理装置は、ウォータージェットノズルを支持するための架台を含み、連結部は、架台と連結しているとよい。
【0014】
好ましくは、連結部は、移動装置上で位置調整可能となっているとよい。
【0015】
好ましくは、連結部は、移動装置上に設けられたレール部と、レール部上を移動可能な第1連結部材と、第1連結部材に連結され、かつ、架台に連結される第2連結部材とを含むとよい。
そして、第1連結部材をレール部上で、移動装置の進行方向の前後方向に移動させることで、第2連結部材を前後方向に移動させて、連結部を移動装置上で位置調整可能とすることで、表面処理装置の大きさ又は作業現場に合せて、移動装置と表面処理装置との間の距離を調整可能としている。
【0016】
また、本発明は、高圧水を噴射可能なウォータージェットノズルを有している表面処理装置を用いた路面の表面処理方法であって、有線又は無線のリコモンを用いて路面を走行可能な移動装置で表面処理装置を移動させながら、表面処理装置で路面の表面処理を行うものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動装置を走行させることで、表面処理装置を移動させることが可能となる。しがって、作業者は、表面処理システムから離れた位置で、操作することができるので、安全な施工が可能となる。
【0018】
また、移動装置を等速走行させれば、表面処理装置も等速移動するので、表面処理後の仕上がりのばらつきが生じにくくなる。
【0019】
連結部を移動装置上で位置調整可能とすれば、状況に応じて、移動装置と表面処理装置との間の距離を調整できる。
【0020】
レール部を用いれば、簡易な構成で、連結部の位置調整が可能となる。
【0021】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る表面処理システム1の全体構造を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、表面処理システム1の連結部分を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、表面処理システム1の実施例を示す図面代用写真である。
図4(a)は、表面処理システム1を右後上から見たときの様子を示し、
図4(b)は、表面処理システム1を左後上から見たときの様子を示す。
【
図5】
図5は、従来の表面処理方法を示す図面代用写真である。
図5(a)は、作業者が表面処理装置を押すときの施工方法を示す。
図5(b)は、電動動力で表面処理装置を移動させるときの施工方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図3を参照しながら、表面処理システム1の構成及び使用方法について説明する。
表面処理システム1は、移動装置10と、表面処理装置20とを備える。
移動装置10としては、たとえば、非特許文献2に記載したような小型の移動ロボットを用いるとよいが、限定されるものではない。
表面処理装置10は、特許文献1に記載のように、外筐体21内に設けられたウォータージェットノズル(図示せず)を、ロータリージョイント22などを用いて回転させながら、高圧水を噴射させる装置であるとするが、具体的な構造及び機構は限定されるものではない。
なお、表面処理装置10には、吸引装置で吸引するための吸引口及びホースが設けられているとよいが、図示を省略している。
【0024】
移動装置10は、駆動部11と、レール部12a,12bと、第1連結部材13と、制御部14と、第2連結部材15と、筐体16とを備える。
ここでは、駆動部11は、無限軌道であるとしているが、車輪であってもよく、その他、移動装置10を移動させることができる駆動装置であればよい。
筐体16の内部に収容された機構によって、駆動部11は回転するようになっている。当該機構としては、電動式でも、エンジン式でもよい。
【0025】
好ましくは、移動装置10を、バッテリーで駆動するようにすれば、発電機や電気コードが不要となる。
【0026】
駆動部11は、制御部14からの指令に応じて、速度を調整しながら回転する装置である。制御部14は、図示しないリモコンからの指令に基づいて、作業者が制御できるようになっている。リモコンは、無線又は有線によって、制御部14と通信可能に接続されている。リモコンは、専用の装置であってもよいし、スマートフォンやタブレット端末などの情報処理端末にインストールされたアプリによって実現されてもよい。
【0027】
駆動部11は、制御部14からの指示に応じて、低速での等速走行や加速走行が可能となっている。低速での等速走行は、たとえば、1~10m/minであるとよいが限定されるものではない。
【0028】
筐体16の上面に2つのレール部12a,12bが平行して取付けられている。レール部12a,12b上をスライド可能なように、レール部12a,12b上に、第1連結部材13が取付けられている。
第1連結部材13には、ボルト等の締結手段17によって、第2連結部材15が取付けられている。これにより、第1連結部材13と第2連結部材15とは取り外し可能となっている。
【0029】
表面処理装置1は、外筐体21を支持するための架台23を備える。架台23の一部に、第3連結部材24が設けられている。第3連結部材24は、第2連結部材15と連結される。第3連結部材24と第2連結部材15とは、取り外し可能となっていてもよい。
【0030】
第1連結部材13、第2連結部材15、及び第3連結部材24によって、表面処理装置20と移動装置10とを連結するための連結部が構成されている。
なお、ここで示した連結部の構成は一例に過ぎず、表面処理装置20と移動装置10とを連結するための構造であれば、他のあらゆる構造を採用し得る。
【0031】
また、連結部は、レール部12a,12b上を移動できるようになっている。したがって、連結部は、移動装置10上で位置調整可能となっている。これにより、表面処理装置20の大きさや作業現場に合せて、移動装置10との間の距離を調整することができる。
【0032】
なお、位置調整するための機構は、レール部12a,12bのような機構に限られるものではなく、他のあらゆる構造を採用し得る。
【0033】
架台23の下部の四隅には、前後に4つの車輪25が付いている。なお、車輪25の数や形状、取付位置は、あくまでも一例に過ぎない。また、車輪以外の機構で架台23が移動できるようになっていてもよい。
【0034】
架台23には、作業者が人力で表面処理装置20を移動できるように、ハンドル26が取付けられている。
【0035】
上記のような構造を有する表面処理システム1を用いて表面処理を行う場合の方法について説明する。
作業者は、表面処理装置20と移動装置10とを連結部を用いて連結させる。その際、適宜、第1連結部材13をレール部12a,12b上でスライドさせて、適切な位置に固定する。
【0036】
連結後、作業者は、図示しないリモコンを使って、移動装置10を移動させる。その動きに合せて、表面処理装置20も移動する。移動装置10を等速走行させれば、表面処理装置20も等速移動することになる。
【0037】
作業したい場所に、表面処理システム1を持っていき、表面処理装置20から噴射される高圧水で、路面等の表面を処理させながら、移動装置10を等速走行させることで、表面処理装置20が等速で移動しながら、順次、表面を均一に処理することが可能となる。
【0038】
移動装置10の移動方向は、表面処理装置20を移動装置10が引く(牽引する)方向でもよいし、押す方向のどちらでもよい。
移動装置10が牽引する方向に作用させた場合の実施例の写真を
図4に示す。特に、移動装置10を牽引する方向に移動させれば、表面処理装置20による表面処理後の表面を作業者はすぐに確認することができ、スマートな施工が可能となる。
【0039】
従来の表面処理装置では、作業者が表面処理装置を押しながら作業をしていたため、表面の仕上がり状態を確認するのが難しかったが、リモコンで移動装置10を操作しながらの操作であれば、作業者が仕上がりを確認しながら操作することが可能となる。
【0040】
このように、リモコンで路面を走行できる表面処理システム1を用いれば、作業者が表面処理装置20から離れていても、路面等の表面処理が可能となるので、作業者を安全な場所に配置することができるので、事故の危険性が減る。
【0041】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。本明細書上の具体的な表現については、あくまでも、例示であり、本発明には、当該例示的表現を概念化したものも含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、表面処理システム及び表面処理方法であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 表面処理システム
10 移動装置
11 駆動部
12a,12b レール部
13 第1連結部材
14 制御部
15 第2連結部材
16 筐体
17 締結手段
20 表面処理装置
21 外筐体
22 ロータリージョイント
23 架台
24 第3連結部材
25 車輪
26 ハンドル
【要約】
【課題】安全な施工及び均一な仕上がりを行うことができる表面処理システム及び表面処理方法を提供する。
【解決手段】表面処理システム1は、高圧水を噴射可能なウォータージェットノズルを有している表面処理装置20と、表面処理装置20を移動させるための移動装置10と、表面処理装置20と移動装置10とを連結するための連結部とを備える。移動装置10は、路面を走行可能な駆動部11と、駆動部11の動作を制御するための有線又は無線のリモコンとを含む。移動装置10を等速走行させることで、表面処理装置20を等速移動させることができる。
【選択図】
図1