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特許7554528情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240912BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240912BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240912BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06F30/27
G06F30/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024009519
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2023156559の分割
【原出願日】2023-09-21
【審査請求日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】P 2023097613
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322014222
【氏名又は名称】株式会社REVOX
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 一帆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】田中 信伍
(72)【発明者】
【氏名】藤井 仁士
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-149803(JP,A)
【文献】特開2023-066728(JP,A)
【文献】特開2021-022330(JP,A)
【文献】特開2021-197125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0334486(US,A1)
【文献】国際公開第2020/171066(WO,A1)
【文献】特開2023-055219(JP,A)
【文献】特開2022-069958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
G06F 30/27
G06F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む新規加工品情報を取得する新規加工品情報取得部と、
前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記図面データ及び前記付帯情報に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報の特徴量を取得する特徴量取得部と、を備え、
前記特徴量推論モデルは、
既存の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む既存加工品情報に基づく特徴量推論モデル入力情報と、当該既存加工品情報の特徴量との相関関係を機械学習により学習させた学習済みの推論モデルであり、
前記新規加工品情報取得部は、
前記新規加工品情報に含まれる前記図面データに対して光学的文字認識処理を行い、テキスト情報を読み取ることで前記付帯情報を取得することにより、前記新規加工品情報を取得する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記特徴量推論モデルは、
前記図面データを入力データとして第1の特徴量を出力する第1の推論モデルと、前記付帯情報を入力データとして第2の特徴量を出力する第2の推論モデルとで構成されており、
前記特徴量取得部は、
前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記図面データを前記第1の推論モデルに入力することで出力された前記第1の特徴量と、前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記付帯情報を前記第2の推論モデルに入力することで出力された前記第2の特徴量とを結合し、前記新規加工品情報の特徴量を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特徴量取得部により取得された前記新規加工品情報の特徴量を加工情報推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報に従って前記新規の加工品が加工されたときの加
工情報を生成する加工情報生成部を備え、
前記加工情報推論モデルは、
既存の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報に基づく前記既存加工品情報の特徴量と、当該既存加工品情報に従って前記既存の加工品が加工されたときの加工情報との相関関係を機械学習により学習させた学習済みの推論モデルである、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記既存加工品情報が複数登録されたデータベースから、前記特徴量取得部により取得された前記新規加工品情報の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報に類似する1又は複数の前記既存加工品情報を抽出する類似加工品情報抽出部と、を備える、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
新規の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む新規加工品情報を取得する新規加工品情報取得部と、
前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記図面データ及び前記付帯情報に基づく加工情報推論モデル入力情報を加工情報推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報に従って前記新規の加工品が加工されたときの加工情報を生成する加工情報生成部と、を備え、
前記加工情報推論モデルは、
既存の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む既存加工品情報に基づく加工情報推論モデル入力情報と、当該既存加工品情報に従って前記既存の加工品が加工されたときの加工情報との相関関係を機械学習により学習させた学習済みの推論モデルであり、
前記新規加工品情報取得部は、
前記新規加工品情報に含まれる前記図面データに対して光学的文字認識処理を行い、テキスト情報を読み取ることで前記付帯情報を取得することにより、前記新規加工品情報を取得する、
情報処理装置。
【請求項6】
前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記付帯情報と、前記加工情報生成部により生成された前記加工情報とに基づいて、当該新規加工品情報に対する見積り価格情報を生成する見積り価格情報生成部を備える、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
新規の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む新規加工品情報を取得する新規加工品情報取得工程と、
前記新規加工品情報取得工程により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記図面データ及び前記付帯情報に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報の特徴量を取得する特徴量取得工程と、を備え、
前記特徴量推論モデルは、
既存の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む既存加工品情報に基づく特徴量推論モデル入力情報と、当該既存加工品情報の特徴量との相関関係を機械学習により学習させた学習済みの推論モデルであり、
前記新規加工品情報取得工程は、
前記新規加工品情報に含まれる前記図面データに対して光学的文字認識処理を行い、テキスト情報を読み取ることで前記付帯情報を取得することにより、前記新規加工品情報を取得する、
情報処理方法。
【請求項8】
前記特徴量推論モデルは、
前記図面データを入力データとして第1の特徴量を出力する第1の推論モデルと、前記付帯情報を入力データとして第2の特徴量を出力する第2の推論モデルとで構成されており、
前記特徴量取得工程は、
前記新規加工品情報取得工程により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記図面データを前記第1の推論モデルに入力することで出力された前記第1の特徴量と、前記新規加工品情報取得工程により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記付帯情報を前記第2の推論モデルに入力することで出力された前記第2の特徴量とを結合し、前記新規加工品情報の特徴量を取得する、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記特徴量取得工程により取得された前記新規加工品情報の特徴量を加工情報推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報に従って前記新規の加工品が加工されたときの加工情報を生成する加工情報生成工程をさらに備え、
前記加工情報推論モデルは、
既存の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報に基づく前記既存加工品情報の特徴量と、当該既存加工品情報に従って前記既存の加工品が加工されたときの加工情報との相関関係を機械学習により学習させた学習済みの推論モデルである、
請求項7又は請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記既存加工品情報が複数登録されたデータベースから、前記特徴量取得工程により取得された前記新規加工品情報の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報に類似する1又は複数の前記既存加工品情報を抽出する類似加工品情報抽出工程をさらに備える、
請求項7又は請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
新規の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む新規加工品情報を取得する新規加工品情報取得工程と、
前記新規加工品情報取得工程により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記図面データ及び前記付帯情報に基づく加工情報推論モデル入力情報を加工情報推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報に従って前記新規の加工品が加工されたときの加工情報を生成する加工情報生成工程と、を備え、
前記加工情報推論モデルは、
既存の加工品のラスタ形式の図面データ及び付帯情報を含む既存加工品情報に基づく加工情報推論モデル入力情報と、当該既存加工品情報に従って前記既存の加工品が加工されたときの加工情報との相関関係を機械学習により学習させた学習済みの推論モデルであり、
前記新規加工品情報取得工程は、
前記新規加工品情報に含まれる前記図面データに対して光学的文字認識処理を行い、テキスト情報を読み取ることで前記付帯情報を取得することにより、前記新規加工品情報を取得する、
情報処理方法。
【請求項12】
前記新規加工品情報取得工程により取得された前記新規加工品情報に含まれる前記付帯情報と、前記加工情報生成工程により生成された前記加工情報とに基づいて、当該新規加工品情報に対する見積り価格情報を生成する見積り価格情報生成工程を備える、
請求項11に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工品の製造依頼を請け負う加工会社は、依頼者から新規の加工品に関する図面を先に渡され、見積りの提出を求められる場合が多い。そのような場合、従来は熟練者の知識と経験に頼って見積りが作成されていたが、その労力を軽減し、属人化を防ぐために、近年見積りに係る作業の一部を、機械学習を利用した推論モデルで支援する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、データベース中に予め記憶された既存の加工品に関する既存図面データを使用して機械学習により類似判定モデルを事前に生成し、新規の加工品に関する新規図面データが入力されると、当該類似判定モデルを使用して新規図面データの各カテゴリのスコアを出力し、最も高いスコアのカテゴリに属する既存図面データを抽出する方法が開示されている。
【0004】
ところで、上記のような方法では、新規図面データが属すると予測されたカテゴリに分類される既存図面データが抽出されるだけで、新規図面データに従って新規の加工品が加工されたときの加工情報が予測されるものではない。そのため、結局のところ見積りの作成には熟練者の知識と経験に頼らざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-022330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、熟練者の知識や経験に頼ることなく、新規の加工品に対する加工情報を的確に生成することが可能な情報処理装置、推論装置、機械学習装置、情報処理方法、推論方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、
新規の加工品の図面データ及び付帯情報を含む新規加工品情報を取得する新規加工品情報取得部と、
前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報のうち少なくとも前記図面データに基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報の特徴量を取得する特徴量取得部と、
既存の加工品の図面データ及び付帯情報を含む既存加工品情報と、当該既存加工品情報に従って前記既存の加工品が加工されたときの加工情報とが関連付けられて複数登録されたデータベースから、前記特徴量取得部により取得された前記新規加工品情報の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報に類似する複数の前記既存加工品情報を抽出する類似加工品情報抽出部と、
前記類似加工品情報抽出部により抽出された前記既存加工品情報に基づく加工情報推論
モデル入力情報と、当該既存加工品情報に関連付けられた前記加工情報とで構成される複数組の学習用データを用いて、前記加工情報推論モデル入力情報と前記加工情報との相関関係を機械学習により加工情報推論モデルに学習させる加工情報推論モデル学習部と、
前記新規加工品情報取得部により取得された前記新規加工品情報に基づく加工情報推論モデル入力情報を、前記加工情報推論モデル学習部により学習させた前記加工情報推論モデルに入力することで、当該新規加工品情報に対する前記加工情報を生成する加工情報生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理装置によれば、新規加工品情報の特徴量に基づいて、新規加工品情報に類似する既存加工品情報が類似加工品情報抽出部により抽出されることで、新規の加工品に適した学習用データを用いて加工情報推論モデルの機械学習が行われる。そのため、新規の加工品と既存の加工品の類似性を考慮しない場合と比較して、新規の加工品と特徴が大きく異なる既存の加工品の影響を受けにくいため、加工情報推論モデルの推論精度を向上させることができる。したがって、熟練者の知識や経験に頼ることなく、新規の加工品に対する加工情報を的確に生成することができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る見積り作成支援システム1の一例を示す全体構成図である。
図2】新規の加工品10に関する各種のデータの一例を示す図である。
図3】既存の加工品11に関する各種のデータの一例を示す図である。
図4】情報処理装置2の一例を示すブロック図である。
図5】特徴量推論モデル学習部202の一例を示す機能説明図である。
図6】類似加工品検索処理部203の一例を示す機能説明図である。
図7】加工情報推論モデル学習部204の一例を示す機能説明図である。
図8】見積り支援処理部205の一例を示す機能説明図である。
図9】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図10】情報処理装置2の動作(情報処理方法)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0012】
図1は、実施形態に係る見積り作成支援システム1の一例を示す全体構成図である。図2は、新規の加工品10に関する各種のデータの一例を示す図である。図3は、既存の加工品11に関する各種のデータの一例を示す図である。
【0013】
見積り作成支援システム1は、ユーザUからの見積り依頼を受け付けて、新規の加工品10が図面データD100及び付帯情報D101に従って加工されるときの見積り結果として、加工情報D102や見積り価格情報D103を生成するシステムである。また、見積り作成支援システム1は、新規の加工品10に対する加工情報D102や見積り価格情報D103を生成する際、既存の加工品11が図面データD110及び付帯情報D111に従って加工されたときの加工情報D112や見積り価格情報D113を参照するため、各種の情報をデータベース210に登録して管理するシステムである。
【0014】
加工品10、11は、素材に対して1又は複数の加工工程が各種の加工装置や手作業により行われることで製造される。加工品10、11としては、例えば、機械加工による機械加工品、建築加工による建築物、裁断縫製加工による衣料品等が挙げられる。なお、加工品10、11は、図面データD100、D110及び付帯情報D101、D111に従って加工工程により加工されるものであれば、上記の例に限られない。本実施形態では、加工品10、11は、機械加工品である場合を中心に説明する。
【0015】
ユーザUは、例えば、新規の加工品10の加工工程を受注する側のユーザ(加工会社)でもよいし、新規の加工品10の加工工程を発注する側のユーザ(依頼会社)でもよい。
【0016】
見積り依頼の際に見積り作成支援システム1に入力される主なデータは、図2に示すように、新規の加工品10の図面データD100及び付帯情報D101を含む新規加工品情報D10である。
【0017】
見積り依頼の際に見積り作成支援システム1により参照される主なデータは、図3に示すように、既存の加工品11の図面データD110及び付帯情報D111を含む既存加工品情報D11と、当該既存加工品情報D11に従って既存の加工品11が加工されたときの加工情報D112である。これらのデータは、データベース210に登録されて蓄積される。
【0018】
見積り依頼の際に見積り作成支援システム1から見積り結果として出力される主なデータは、図2に示すように、新規加工品情報D10に従って新規の加工品10が加工されるときの加工情報D102と、見積り価格情報D103である。
【0019】
図面データD100、D110は、加工品10、11の設計図や組立図を記録したデータである。図面データD100、D110には、加工品10、11の外形線だけでなく、中心線や寸法線等の各種の線が含まれるとともに、加工工程を指示するための文字、数字、記号、注記等(不図示)が含まれる。
【0020】
図面データD100、D110は、2Dデータ(平面図、断面図等)及び3Dデータ(立体情報)のいずれでもよいし、ベクタ形式及びラスタ形式のいずれでもよい。図面データD100、D110は、例えば、各種のCADソフトウェアによって出力されたCADデータ(ベクタ形式の一例)でもよいし、紙媒体に印刷された図面をスキャナ等によって読み取ることで出力された画像データ(ラスタ形式の一例)でもよい。なお、3Dデータである場合には、3Dデータを2Dデータに変換する変換処理を経て2Dデータとして取り扱ってもよい。本実施形態では、図面データD100、D110は、2Dデータである場合を中心に説明する。
【0021】
付帯情報D101、D111は、図面データD100、D110とともに作成されて、加工品10、11に関する情報を補足するための情報である。付帯情報D101、D111は、付帯項目として、加工品10、11の形状カテゴリ、寸法、材質、及び、加工数量の少なくとも1つを含む。なお、付帯情報D101、D111の付帯項目は、加工品10、11の特徴や加工工程の詳細を示すものであれば、上記の例に限られない。
【0022】
形状カテゴリとは、加工前の素材の外形形状又は加工後の加工品10、11の外形形状の分類である。形状カテゴリとしては、例えば、「板」、「棒」、「管」等が挙げられるが、これらに限られない。
【0023】
寸法とは、加工前の素材の外形形状又は加工後の加工品10、11の外形形状を2つ以
上の変数を用いて表現するものである。寸法としては、例えば、幅×長さ×厚さの3変数、外径×内径×長さの3変数、外径×長さの2変数等の寸法表現が用いられるが、これらに限られない。なお、形状カテゴリに応じて異なる寸法表現を用いることもできる。例えば、形状カテゴリが「板」の場合は、幅×長さ×厚さの3変数による寸法表現とし、形状カテゴリが「棒」又は「管」の場合には、外径×内径×長さの3変数による寸法表現を用いることができる。
【0024】
材質とは、加工前の素材の材質を示すものである。材質は、正式名称及び略式名称のいずれで特定されてもよい。
【0025】
加工情報D102、D112は、加工品10、11が1又は複数の加工工程により加工されたときの加工工程の種別を定める加工種別と、加工工程に要する加工時間とのうち、少なくとも1つを含む。
【0026】
加工種別は、加工工程の組み合わせや順序をパターンで分類するものとして規定される。例えば、一連の加工工程として、「段取り→CAD→CAM→マシニング加工→仕上げ→検査→梱包」、及び、「段取り→CAD→CAM→ルーター加工→仕上げ→検査→梱包」の2パターンがある場合、それぞれ「マシニング加工」、「ルーター加工」という加工種別として規定することができる。なお、加工種別の分類は、加工工程で使用される加工装置や手作業に基づいて規定されるだけでなく、他の方法により規定されてもよい。例えば、「成形加工」、「除去加工」、「付加加工」等のように、加工方法に基づいて加工種別が規定されてもよい。
【0027】
加工時間は、実際に加工したときの実績値でもよいし、シミュレーションにより推定したときのシミュレーション値でもよい。なお、加工時間は、加工品10、11が複数の加工工程により加工される場合には、加工工程毎の加工時間でもよい。
【0028】
見積り作成支援システム1は、図1に示すように、情報処理装置2と、ユーザ端末装置3とを備える。情報処理装置2及びユーザ端末装置3は、有線又は無線のネットワーク4に接続されて、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、情報処理装置2及びユーザ端末装置3の数やネットワーク4の接続構成は、図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0029】
情報処理装置2は、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータであり、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図9参照)等で構成される。情報処理装置2は、特徴量推論モデル220及び加工情報推論モデル221の機械学習を行う。情報処理装置2は、学習済みの特徴量推論モデル220及び加工情報推論モデル221を用いて、新規の加工品10に関する見積り依頼に対する見積り結果として、加工情報D102や見積り価格情報D103を生成する。
【0030】
ユーザ端末装置3は、クライアント型コンピュータであり、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図9参照)等で構成される。ユーザ端末装置3は、見積り依頼の入力や見積り結果の確認を行うために、アプリやブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面や音声を介して各種の情報を出力する。
【0031】
(情報処理装置2の構成)
図4は、情報処理装置2の一例を示すブロック図である。
【0032】
情報処理装置2は、制御部20と、データ記憶部21と、学習済みモデル記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。
【0033】
通信部23は、ネットワーク4を介して外部装置(例えば、ユーザ端末装置3等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部24は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部25は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。なお、入力部24及び出力部25は省略されてもよい。
【0034】
データ記憶部21には、データベース210と、情報処理プログラム211とが記憶されている。データベース210には、図3に示すように、既存の加工品11の図面データD110及び付帯情報D111を含む既存加工品情報D11と、当該既存加工品情報D11に従って既存の加工品11が加工されたときの加工情報D112とが関連付けられて複数登録される。データベース210の具体的な構成は、図3の例に限られず、適宜設計すればよい。
【0035】
学習済みモデル記憶部22には、学習済みの特徴量推論モデル220と、学習済みの加工情報推論モデル221とが記憶されている。学習済みモデル記憶部22に記憶された特徴量推論モデル220及び加工情報推論モデル221は、ネットワーク4や記録媒体等を介して他の装置に提供されてもよい。また、学習済みモデル記憶部22に記憶される特徴量推論モデル220及び加工情報推論モデル221の数は、それぞれ1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、データの違い等のように、条件が異なる複数の推論モデルが記憶されて、選択的又は並列的に利用可能としてもよい。
【0036】
なお、図3では、データ記憶部21及び学習済みモデル記憶部22が、2つの記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよいし、3つ以上の記憶部で構成されていてもよい。また、データ記憶部21及び学習済みモデル記憶部22の少なくとも一方は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部で構成されていてもよい。
【0037】
制御部20は、データ記憶部21に記録された情報処理プログラム211を実行することにより、送受信制御部200、データベース管理部201、特徴量推論モデル学習部202、類似加工品検索処理部203、加工情報推論モデル学習部204、及び、見積り支援処理部205として機能する。
【0038】
(送受信制御部200)
送受信制御部200は、外部装置(例えば、ユーザ端末装置3等)との間で各種のデータを送受信する。送受信制御部200は、例えば、ユーザ端末装置3に各種の表示画面を出力するための表示情報をユーザ端末装置3に送信するとともに、ユーザ端末装置3の表示画面に対して行われた入力操作を受け付けるための操作情報をユーザ端末装置3から受信する。そして、送受信制御部200は、データベース管理部201、特徴量推論モデル学習部202、類似加工品検索処理部203、加工情報推論モデル学習部204、及び、見積り支援処理部205と連携し、表示情報を送信したり、操作情報を受信したりする。
【0039】
(データベース管理部201)
データベース管理部201は、既存の加工品11に関して、既存加工品情報D11及び加工情報D112をユーザ端末装置3から受信したとき、既存加工品情報D11及び加工情報D112を関連付けてデータベース210に登録する。また、データベース管理部201は、新規の加工品10に関して、見積り支援処理部205(詳細は後述)により加工情報D102や見積り価格情報D103が生成されたとき、新規加工品情報D10に関連付けて加工情報D102や見積り価格情報D103をデータベース210に登録する。これにより、見積りを重ねる毎に、データベース210に登録されるデータ数が増加し、処
理精度を向上することができる。
【0040】
なお、データベース210に登録済みの各種の情報は、送受信制御部200によりユーザ端末装置3から参照可能としてもよい。その際、ユーザ端末装置3の表示画面において、各データの追加、削除、修正等の編集操作が行われてもよい。さらに、データベース210において、新規加工品情報D10又は既存加工品情報D11に関連付けられて登録される情報は、加工情報D102、D112に限られず、必要に応じて任意の情報を関連付けることができる。例えば、データベース210には、見積り価格情報D103、D113、新規加工品情報D10又は既存加工品情報D11の特徴量(詳細は後述)、見積り依頼に関するユーザ名、ユーザ所属先(会社名等)、見積り日時、見積り価格等が登録可能に構成されてもよいが、これらに限られない。
【0041】
(特徴量推論モデル学習部202)
図5は、特徴量推論モデル学習部202の一例を示す機能説明図である。特徴量推論モデル学習部202は、学習用データ取得部202Aと、機械学習部202Bとを備える。
【0042】
学習用データ取得部202Aは、データベース210を参照し、入力データと出力データとで構成される学習用データD12を取得する。
【0043】
学習用データD12を構成する入力データは、既存加工品情報D11のうち少なくとも図面データD110に基づく特徴量推論モデル入力情報である。特徴量推論モデル入力情報は、既存加工品情報D11に含まれる図面データD110及び付帯情報D111に基づくものでもよく、例えば、図面データD110及び付帯情報D111を含むものでもよい。また、特徴量推論モデル入力情報は、既存の加工品11の外形形状が記載された領域を切り出した外形形状データを少なくとも含むものでもよい。
【0044】
学習用データD12を構成する出力データは、既存加工品情報D11の特徴量である。特徴量は、例えば、固定長の数値配列によるベクトル形式のデータで規定される。特徴量は、ベクトル形式に限られず、他のデータ形式で規定されてもよい。
【0045】
学習用データD12は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。学習用データD12を構成する出力データは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0046】
なお、学習用データ取得部202Aは、データベース210に登録済みのデータのうち、所定の条件を満たすデータを対象に学習用データD12を取得してもよい。また、学習用データ取得部202Aは、データベース210に代えて又は加えて、他の方法により学習用データD12を取得してもよい。学習用データ取得部202Aは、例えば、ネットワーク4を介して接続される外部装置と連携して学習用データD12を取得してもよいし、入力部24及び出力部25を介して入力操作を受け付けることにより学習用データD12を取得してもよい。
【0047】
機械学習部202Bは、学習用データ取得部202Aにより取得された複数組の学習用データD12を用いて、入力データと出力データとの相関関係を特徴量推論モデル220に学習させる機械学習を行う。
【0048】
機械学習部202Bは、図面データD110同士が類似するほど特徴量同士を比較したときの距離が大きくなるように、又は、図面データD110同士が類似しないほど特徴量同士を比較したときの距離が小さくなるように、距離学習を行うことにより、入力データと出力データとの相関関係を特徴量推論モデル220に学習させる。学習済みの特徴量推
論モデル220は、学習済みモデル記憶部22に記憶される。
【0049】
特徴量推論モデル220としては、例えば、ニューラルネットワーク、ビジョントランスフォーマー、ハッシュアルゴリズム等を適用したものが用いられるが、これらに限られない。
【0050】
なお、入力データ(特徴量推論モデル入力情報)が、ラスタ形式の図面データD110(外形形状データでもよい)である場合、特徴量推論モデル220には、図面データD110の全体から大域特徴量を取得するアルゴリズムが用いられてもよいし、図面データD110の一部分から局所特徴量を抽出し、その局所特徴量の統計情報を用いて図面データD110の全体の特徴量を取得するアルゴリズムが用いられてもよい。
【0051】
また、入力データが、図面データD110(外形形状データでもよい)及び付帯情報D111である場合、特徴量推論モデル220は、それら両方を入力データとして特徴量を出力する単一の推論モデルで構成されてもよいし、図面データD110を入力データとして特徴量を出力する推論モデルと、付帯情報D111を入力データとして特徴量を出力する推論モデルとで構成されて、2つの推論モデルでそれぞれ出力された特徴量を結合することで最終的な特徴量を出力してもよい。
【0052】
さらに、特徴量推論モデル220としては、例えば、一般画像認識用のデータセットを用いて事前学習した推論モデルが用いられてもよいし、ランダムにパラメータを初期化した推論モデルが用いられてもよい。その際、機械学習部202Bは、特徴量推論モデル220に対してファインチューニング又は転移学習等の追加学習を行ってもよい。追加学習の方法として、機械学習部202Bは、例えば、特徴量推論モデル220に対して、図面データD110同士が類似するほど特徴量同士を比較したときの距離が大きくなるように、又は、図面データD110同士が類似しないほど特徴量同士を比較したときの距離が小さくなるように、距離学習を行う。これにより、特徴量推論モデル220は、特徴量間の距離を評価することにより、類似の図面データD110を抽出することできる。機械学習の方法は、上記の例に限られず、特徴量推論モデル220に合わせて適宜選択することができる。
【0053】
なお、機械学習部202Bが特徴量推論モデル学習部202の機械学習を行うタイミングは、データベース210に新たに登録されたデータ数が所定の数を超えたときでもよいし、ユーザUからの指示や見積り依頼を受け付けたときでもよいし、これらに限られない。
【0054】
(類似加工品検索処理部203)
図6は、類似加工品検索処理部203の一例を示す機能説明図である。類似加工品検索処理部203は、新規加工品情報取得部203Aと、特徴量取得部203Bと、類似加工品情報抽出部203Cとを備える。
【0055】
新規加工品情報取得部203Aは、新規の加工品10の図面データD100及び付帯情報D101を含む新規加工品情報D10を取得する。新規加工品情報取得部203Aは、例えば、新規の加工品10に関する見積り依頼として、新規加工品情報D10をユーザ端末装置3から受信することにより、新規加工品情報D10を取得する。
【0056】
なお、新規加工品情報取得部203Aは、図面データD100に含まれる文字、数字、記号、注記等を読み取ることで、図面データD100から付帯情報D101の一部又は全部を取得してもよい。例えば、図面データD100にテキスト情報が埋め込まれている場合には、そのテキスト情報を読み取ることで、付帯情報D101を取得する。また、図面
データD100に対して光学的文字認識処理(OCR)を行い、テキスト情報を読み取ることで、付帯情報D101を取得する。その際、付帯情報D101の取得結果を、ユーザ端末装置3の表示画面に表示し、ユーザUによる編集操作が行われてもよい。
【0057】
特徴量取得部203Bは、新規加工品情報取得部203Aにより取得された新規加工品情報D10のうち少なくとも図面データD100に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデル220に入力することで、当該新規加工品情報D10の特徴量を取得する。
【0058】
特徴量推論モデル220としては、特徴量推論モデル学習部202により機械学習が行われて、学習済みモデル記憶部22に記憶されたものが用いられる。また、特徴量取得部203Bは、特徴量推論モデル220における入力データの定義に合わせて、新規加工品情報D10に対して前処理を施して、特徴量推論モデル220に入力する。なお、特徴量取得部203Bは、既存加工品情報D11のうち少なくとも図面データD110に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデル220に入力することで、当該既存加工品情報D11の特徴量を取得し、データベース210に登録してもよい。
【0059】
類似加工品情報抽出部203Cは、既存の加工品11の図面データD110及び付帯情報D111を含む既存加工品情報D11が複数登録されたデータベース210から、特徴量取得部203Bにより取得された新規加工品情報D10の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報D10に類似する複数の既存加工品情報D11を抽出する。ここでは、複数の既存加工品情報D11のうち、新規加工品情報D10に類似する既存加工品情報D11を、類似加工品情報D11という。
【0060】
類似加工品情報D11を抽出する方法として、類似加工品情報抽出部203Cは、例えば、既存加工品情報D11の特徴量を用いて、新規加工品情報D10の特徴量と、既存加工品情報D11の特徴量とを既存の加工品11毎に比較したときの類似度に基づいて、類似加工品情報D11を抽出する。
【0061】
既存加工品情報D11の特徴量が、既存加工品情報D11に関連付けられてデータベース210に登録されている場合には、類似加工品情報抽出部203Cは、新規加工品情報D10の特徴量と、データベース210に登録された既存加工品情報D11の特徴量との類似度に基づいて、類似加工品情報D11を抽出すればよい。また、既存加工品情報D11の特徴量が、既存加工品情報D11に関連付けられてデータベース210に登録されていない場合には、特徴量取得部203Bが、既存加工品情報D11のうち少なくとも図面データD110に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデル220に入力することで、既存加工品情報D11の特徴量を取得し、類似加工品情報抽出部203Cは、新規加工品情報D10の特徴量と、特徴量取得部203Bにより取得された既存加工品情報D11の特徴量との類似度に基づいて、類似加工品情報D11を抽出すればよい。
【0062】
類似度は、例えば、特徴量同士を比較したときの距離で規定される。特徴量がベクトル形式のデータで規定される場合、特徴量の間の距離は、例えば、ユークリッド距離、マンハッタン距離、チェビシェフ距離、マハラノビス距離等の距離指標や、コサイン類似度等の類似指標が用いられるが、これらに限られない。
【0063】
データベース210から類似加工品情報D11を抽出するときの抽出方法や抽出数は、適宜設定することができる。例えば、類似度が高い順から所定の数又は所定の割合の既存加工品情報D11を、類似加工品情報D11として抽出してもよい。また、類似度が高い順から所定の数又は所定の割合の既存加工品情報D11を候補とした上で、新規加工品情報D10に含まれる付帯情報D101と、既存加工品情報D11に含まれる付帯情報D1
11とに基づいて、絞り込み又は類似度の順位の入れ替えを行い、その結果に基づいて、所定の数又は所定の割合の既存加工品情報D11を、類似加工品情報D11として抽出してもよい。絞り込みを行うための方法は、特に限定されるものではないが、例えば、付帯情報D101のうち特定の付帯項目(例えば、形状カテゴリ)が一致する候補のみに絞り込む方法や、付帯情報D101のうち特定の付帯項目(例えば、寸法)を基準として、当該基準から所定の範囲に含まれる候補のみに絞り込む方法等が挙げられる。類似度の順位の入れ替えを行うための方法は、特に限定されるものではないが、例えば、付帯情報D101のうち特定の付帯項目が一致している候補の順位を高くする方法等が挙げられる。
【0064】
なお、類似加工品情報抽出部203Cは、新規加工品情報D10のうち少なくとも付帯情報D101に基づいて、データベース210の検索範囲を限定し、検索範囲により限定したデータベース210から、新規加工品情報D10の特徴量に基づいて、類似加工品情報D11を抽出してもよい。
【0065】
データベース210の検索範囲を限定する方法は、特に限定されるものではないが、付帯情報D101のうち付帯項目(例えば、形状カテゴリ)が一致する既存加工品情報D11が抽出されるように、データベース210の検索範囲を限定する方法等が挙げられる。これにより、新規の加工品10と特徴が大きく異なる既存の加工品11を検索範囲から取り除くことができるので、類似加工品情報D11を高精度に抽出することができる。
【0066】
(加工情報推論モデル学習部204)
図7は、加工情報推論モデル学習部204の一例を示す機能説明図である。加工情報推論モデル学習部204は、学習用データ取得部204Aと、機械学習部204Bとを備える。
【0067】
学習用データ取得部204Aは、データベース210を参照し、入力データと出力データとで構成される学習用データD13を取得する。
【0068】
学習用データD13を構成する入力データは、既存加工品情報D11に基づく加工情報推論モデル入力情報である。なお、加工情報推論モデル入力情報は、既存加工品情報D11に含まれる図面データD110及び付帯情報D111の少なくとも一方でもよいし、図面データD110及び付帯情報D111の少なくとも一方に基づくものでもよい。その際、付帯情報D111は、一部の付帯項目のみを選択して用いてもよい。例えば、付帯情報D111の付帯項目として、形状カテゴリ、寸法、材質、及び、加工数量が含まれる場合、加工情報推論モデル入力情報としては、形状カテゴリ、寸法及び材質のみを用いてもよい。また、加工情報推論モデル入力情報は、既存加工品情報D11の特徴量でもよい。さらに、既存加工品情報D11の特徴量が、ベクトル形式のデータである場合には、加工情報推論モデル入力情報は、既存加工品情報D11の特徴量を、主成分分析、独立主成分分析、非負値行列因子分解等の方法により次元削減したものでもよい。
【0069】
学習用データD13を構成する出力データは、既存加工品情報D11に従って既存の加工品11が加工されたときの加工情報D112である。
【0070】
学習用データD13は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。学習用データD13を構成する出力データは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0071】
学習用データ取得部204Aは、類似加工品検索処理部203が、見積り依頼における新規加工品情報D10に対して複数の類似加工品情報D11を抽出したとき、複数の類似加工品情報D11の各々について、当該類似加工品情報D11に基づく加工情報推論モデ
ル入力情報を入力データとし、当該類似加工品情報D11に関連付けられた加工情報D112を出力データとすることで、複数組の学習用データD13を取得する。
【0072】
その際、加工情報推論モデル入力情報として、既存加工品情報D11の特徴量を用いる場合において、既存加工品情報D11の特徴量が、既存加工品情報D11に関連付けられてデータベース210に登録されている場合には、学習用データ取得部204Aは、データベース210に登録された既存加工品情報D11の特徴量を参照し、学習用データD13を取得すればよい。また、既存加工品情報D11の特徴量が、既存加工品情報D11に関連付けられてデータベース210に登録されていない場合には、特徴量取得部203Bが、既存加工品情報D11のうち少なくとも図面データD110に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデル220に入力することで、既存加工品情報D11の特徴量を取得し、学習用データ取得部204Aは、特徴量取得部203Bにより取得された既存加工品情報D11の特徴量に基づいて、学習用データD13を取得すればよい。
【0073】
機械学習部204Bは、学習用データ取得部204Aにより取得された複数組の学習用データD13を用いて、入力データと出力データとの相関関係を加工情報推論モデル221に学習させる機械学習を行う。学習済みの加工情報推論モデル221は、学習済みモデル記憶部22に記憶される。
【0074】
加工情報推論モデル221の機械学習に用いられる複数組の学習用データD13は、見積り依頼における新規加工品情報D10に類似する複数の類似加工品情報D11に基づいて取得されたものである。これにより、見積り作成支援システム1の利用を開始する前に、多量の学習用データD13を事前に用意して、加工情報推論モデル221の機械学習を行う必要がなく、少数の学習用データD13から見積り作成支援システム1の利用を開始することができる。また、見積り依頼における新規加工品情報D10と比較的類似性が高い類似加工品情報D11を用いて加工情報推論モデル221の機械学習が行われるので、新規加工品情報D10と既存加工品情報D11との類似性を考慮しない場合と比較して、新規の加工品10と特徴が大きく異なる既存の加工品11の影響を受けにくく、加工情報推論モデル221の推論精度を向上させることができる。
【0075】
加工情報推論モデル221は、例えば、線形モデル、サポートベクターマシン、決定木モデル、K近傍法アルゴリズム、ニューラルネットワーク等を適用したものが用いられるが、これらに限られない。機械学習の方法は、特徴量推論モデル220に合わせて適宜選択することができる。加工情報推論モデル221は、加工情報D102が、加工種別のようにカテゴリ値を出力する場合は、分類モデルとして構築されて、加工時間のようにスカラー値を出力する場合は、回帰モデルとして構築される。
【0076】
(見積り支援処理部205)
図8は、見積り支援処理部205の一例を示す機能説明図である。見積り支援処理部205は、加工情報生成部205Aと、見積り価格情報生成部205Bとを備える。
【0077】
加工情報生成部205Aは、新規加工品情報取得部203Aにより取得された新規加工品情報D10に基づく加工情報推論モデル入力情報を、加工情報推論モデル学習部204により学習させた加工情報推論モデル221に入力することで、当該新規加工品情報D10に対する加工情報D102を生成する。
【0078】
加工情報推論モデル221としては、加工情報推論モデル学習部204により機械学習が行われて、学習済みモデル記憶部22に記憶されたものが用いられる。すなわち、加工情報推論モデル221は、見積り依頼における新規加工品情報D10に類似する複数の類似加工品情報D11を用いて機械学習が行われたものである。また、加工情報生成部20
5Aは、加工情報推論モデル221における入力データの定義に合わせて、新規加工品情報D10に対して前処理を施して、特徴量推論モデル220に入力することで、当該新規加工品情報D10に対する加工情報D102を生成する。
【0079】
見積り価格情報生成部205Bは、新規加工品情報取得部203Aにより取得された新規加工品情報D10に含まれる付帯情報D101と、加工情報生成部205Aにより生成された加工情報D102とに基づいて、当該新規加工品情報D10に対する見積り価格情報D103を生成する。
【0080】
見積り価格情報生成部205Bが見積り価格を算出する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、材料費、加工費、一般管理販売費、利益等の各費目に係る金額を合算する方法等が挙げられる。その際、材料費には、付帯情報D101の材質や加工数量が反映されるとともに、加工費には、加工情報D102の加工種別や加工時間が反映される。
【0081】
加工情報生成部205Aにより生成された加工情報D102、及び、見積り価格情報生成部205Bにより生成された見積り価格情報D103は、例えば、データベース管理部201に渡されて、新規加工品情報D10に関連付けてデータベース210に登録される。
【0082】
また、加工情報生成部205Aにより生成された加工情報D102、及び、見積り価格情報生成部205Bにより生成された見積り価格情報D103は、送受信制御部200によりユーザ端末装置3に表示される。その際、加工情報D102、及び、見積り価格情報D103は、ユーザ端末装置3の表示画面において、修正等の編集操作が行われてもよい。
【0083】
(各装置のハードウエア構成)
図9は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。見積り作成支援システム1における情報処理装置2及びユーザ端末装置3は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0084】
コンピュータ900は、図9に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0085】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0086】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン、マイク等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッ
チパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0087】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク4と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0088】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0089】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。
【0090】
(情報処理装置2の動作)
図10は、情報処理装置2の動作(情報処理方法)の一例を示すフローチャートである。なお、図10に示す情報処理装置2による一連の情報処理方法は、情報処理装置2が、ユーザUにより操作されたユーザ端末装置3から新規の加工品10に関する見積り依頼を受け付けたときに実行されるものとして説明する。また、データベース210には、データベース管理部201により、複数の既存の加工品11に関して既存加工品情報D11及び加工情報D112がそれぞれ登録されているものとして説明する。さらに、学習済みモデル記憶部22には、特徴量推論モデル学習部202により、図5に示すように、学習用データ取得工程、機械学習工程及び学習済みモデル記憶工程が行われることにより、学習済みの特徴量推論モデル220が記憶されているものとして説明する。
【0091】
まず、ステップS100(新規加工品情報取得工程)において、類似加工品検索処理部203の新規加工品情報取得部203Aは、新規の加工品10に関する見積り依頼として、新規加工品情報D10をユーザ端末装置3から受信することにより、新規加工品情報D10を取得する。その際、新規加工品情報D10には、新規の加工品10の図面データD100及び付帯情報D101が含まれる。
【0092】
ステップS101(特徴量取得工程)において、特徴量取得部203Bは、ステップS100で取得された新規加工品情報D10のうち少なくとも図面データD100に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデル220に入力することで、当該新規加工品情報D10の特徴量を取得する。
【0093】
ステップS102(類似加工品情報抽出工程)において、類似加工品情報抽出部203Cは、既存加工品情報D11が複数登録されたデータベース210から、ステップS101で取得された新規加工品情報D10の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報D10に類似する複数の類似加工品情報D11(既存加工品情報D11)を抽出する。
【0094】
ステップS110(学習用データ取得工程)において、加工情報推論モデル学習部204の学習用データ取得部204Aは、ステップS102で抽出された複数の類似加工品情報D11に基づいて、当該類似加工品情報D11に基づく加工情報推論モデル入力情報を入力データとし、当該類似加工品情報D11に関連付けられた加工情報D112を出力データとすることで、複数組の学習用データD13を取得する。
【0095】
ステップS111(機械学習工程)において、機械学習部204Bは、ステップS110で取得された複数組の学習用データD13を用いて、入力データ(加工情報推論モデル入力情報)と出力データ(加工情報D112)との相関関係を加工情報推論モデル221に学習させる機械学習を行う。
【0096】
ステップS120(加工情報生成工程)において、加工情報生成部205Aは、ステップS100で取得された新規加工品情報D10に基づく加工情報推論モデル入力情報を、ステップS111で機械学習が行われた加工情報推論モデル221に入力することで、当該新規加工品情報D10に対する加工情報D102を生成する。
【0097】
ステップS121(見積り価格情報生成工程)において、見積り価格情報生成部205Bは、ステップS100で取得された新規加工品情報D10に含まれる付帯情報D101と、ステップS120で生成された加工情報D102とに基づいて、当該新規加工品情報D10に対する見積り価格情報D103を生成する。
【0098】
ステップS130(見積り結果出力工程)において、送受信制御部200は、ステップS120で生成された加工情報D102と、ステップS121で生成された見積り価格情報D103とをユーザ端末装置3に送信する。その結果、見積り依頼に対する見積り結果として、加工情報D102及び見積り価格情報D103が、ユーザ端末装置3の表示画面に表示される。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置2及び情報処理方法によれば、新規加工品情報D10の特徴量に基づいて、新規加工品情報D10に類似する既存加工品情報D11が類似加工品情報抽出部203Cにより抽出されることで、新規の加工品10に適した学習用データD13を用いて加工情報推論モデル221の機械学習が行われる。そのため、新規の加工品10と既存の加工品11の類似性を考慮しない場合と比較して、新規の加工品10と特徴が大きく異なる既存の加工品11の影響を受けにくいため、加工情報推論モデル221の推論精度を向上させることができる。したがって、熟練者の知識や経験に頼ることなく、新規の加工品10に対する加工情報D102を的確に生成することができる。
【0100】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲
内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0101】
上記実施形態では、情報処理装置2は、単一の装置で構成されたものとして説明したが、複数の装置で構成されていてもよい。例えば、情報処理装置2が備える各部202~205が複数の装置に分散されることで、特徴量推論モデル学習部202を備え、特徴量推論モデル学習工程を行う機械学習装置と、類似加工品検索処理部203を備え、類似加工品検索処理工程を行う情報処理装置と、加工情報推論モデル学習部204を備え、加工情報推論モデル学習工程を行う加工情報推論モデル221用の機械学習装置と、見積り支援処理部205を備え、見積り支援処理工程を行う情報処理装置とで構成されてもよい。その際、上記の各装置が備える各部(各工程)は、コンピュータ900で実行可能なプログラム(情報処理プログラムや機械学習プログラム)により実現されるものでもよい。
【0102】
上記の各装置は、例えば、以下の通り構成することができる。なお、各装置における各部の構成や動作、各装置で扱われる各種のデータは、上記実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0103】
特徴量推論モデル学習工程を行う機械学習装置は、入力データと出力データとで構成される学習用データD12を複数組取得する学習用データ取得部202Aと、学習用データ取得部202Aにより取得された複数組の学習用データD12を用いて、入力データと出力データとの相関関係を特徴量推論モデル220に学習させる機械学習部202Bと、機械学習部202Bにより相関関係を学習させた特徴量推論モデル220を記憶する学習済みモデル記憶部22とを備える。入力データは、既存加工品情報D11のうち少なくとも図面データD110に基づく特徴量推論モデル入力情報である。出力データは、既存加工品情報D11の特徴量である。
【0104】
類似加工品検索処理工程を行う情報処理装置は、新規加工品情報D10を取得する新規加工品情報取得部203Aと、新規加工品情報取得部203Aにより取得された新規加工品情報D10のうち少なくとも図面データD100に基づく特徴量推論モデル入力情報を特徴量推論モデル220に入力することで、当該新規加工品情報の特徴量を取得する特徴量取得部203Bと、既存加工品情報D11が複数登録されたデータベース210から、特徴量取得部203Bにより取得された新規加工品情報D10の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報D10に類似する1又は複数の既存加工品情報D11を抽出する類似加工品情報抽出部203Cとをさらに備える。類似加工品情報抽出部203Cは、省略されてもよい。
【0105】
加工情報推論モデル学習工程を行う機械学習装置は、入力データと出力データとで構成される学習用データD13を複数組取得する学習用データ取得部204Aと、学習用データ取得部204Aにより取得された複数組の学習用データD13を用いて、入力データと出力データとの相関関係を加工情報推論モデル221に学習させる機械学習部204Bと、機械学習部204Bにより相関関係を学習させた加工情報推論モデル221を記憶する学習済みモデル記憶部22とを備える。入力データは、既存加工品情報D11に基づく加工情報推論モデル入力情報である。出力データは、既存加工品情報D11に従って加工品10が加工されたときの加工情報D112である。
【0106】
見積り支援処理工程を行う情報処理装置は、新規加工品情報D10を取得する新規加工品情報取得部と、新規加工品情報取得部により取得された新規加工品情報D10に基づく加工情報推論モデル入力情報を加工情報推論モデル221に入力することで、当該新規加工品情報D10に従って新規の加工品10が加工されたときの加工情報D102を生成する加工情報生成部205Aと、新規加工品情報取得部により取得された新規加工品情報D
10に含まれる付帯情報D101と、加工情報生成部205Aにより生成された加工情報D102とに基づいて、当該新規加工品情報D10に対する見積り価格情報D103を生成する見積り価格情報生成部205Bとを備える。見積り価格情報生成部205Bは、省略されてもよい。
【0107】
なお、送受信制御部200やデータベース管理部201は、上記の各装置に備えられていてもよい。また、データベース210は、上記の各装置からアクセス可能に構成されていればよく、いずれかの装置の記憶部に記憶されていてもよいし、外部コンピュータの記憶部に記憶されていてもよい。さらに、上記各装置のうち一部の装置が、ユーザ端末装置3で実現されてもよい。
【0108】
(推論装置、推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る情報処理装置2(情報処理方法又は情報処理プログラム)の態様によるもののみならず、新規加工品情報D10の特徴量や加工情報D102を推論するために用いられる推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理とは、新規加工品情報D10を取得する情報取得処理(情報取得工程)と、情報取得処理により新規加工品情報D10を取得すると、当該新規加工品情報D10の特徴量を推論する(推論工程)とを含むものである。また、当該一連の処理とは、新規加工品情報D10を取得する情報取得処理(情報取得工程)と、情報取得処理により新規加工品情報D10を取得すると、当該新規加工品情報D10に従って新規の加工品10が加工されたときの加工情報D102を推論する推論処理とを含むものである。
【0109】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、情報処理装置を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方法又は推論プログラム)が新規加工品情報D10の特徴量や加工情報D102を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置及び機械学習方法により生成された学習済みの推論モデルを用いて、情報生成部が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【符号の説明】
【0110】
1…見積り作成支援システム、2…情報処理装置、3…ユーザ端末装置、
10…新規の加工品、11…既存の加工品、
20…制御部、21…データ記憶部、22…学習済みモデル記憶部、
23…通信部、24…入力部、25…出力部、
200…送受信制御部、201…データベース管理部、
202…特徴量推論モデル学習部、202A…学習用データ取得部、
202B…機械学習部、203…類似加工品検索処理部
203A…新規加工品情報取得部、203B…特徴量取得部、
203C…類似加工品情報抽出部、204…加工情報推論モデル学習部、
204A…学習用データ取得部、204B…機械学習部、
205…支援処理部、205A…加工情報生成部、205B…価格情報生成部、
210…データベース、211…情報処理プログラム、
220…特徴量推論モデル、221…加工情報推論モデル
【要約】
【課題】熟練者の知識や経験に頼ることなく、新規の加工品に対する加工情報を的確に生成することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置2は、新規加工品情報に基づく入力情報を特徴量推論モデル220に入力し、当該新規加工品情報の特徴量を取得する特徴量取得部203Bと、既存加工品情報と加工情報とが関連付けられて登録されたデータベース210から、新規加工品情報の特徴量に基づいて、当該新規加工品情報に類似する複数の既存加工品情報を抽出する類似加工品情報抽出部203Cと、既存加工品情報に基づく入力情報と当該既存加工品情報に関連付けられた加工情報とで構成される複数組の学習用データを用いて、加工情報推論モデル221の機械学習を行う加工情報推論モデル学習部204と、新規加工品情報に基づく入力情報を加工情報推論モデル221に入力し、当該新規加工品情報に対する加工情報を生成する加工情報生成部205Aとを備える。
【選択図】 図4
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