(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】磁気治療具
(51)【国際特許分類】
A61N 2/08 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61N2/08 H
(21)【出願番号】P 2024069142
(22)【出願日】2024-04-22
【審査請求日】2024-04-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398044938
【氏名又は名称】株式会社コラントッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】塚田 渉
(72)【発明者】
【氏名】原 武雄
(72)【発明者】
【氏名】薮下 仁規
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3085787(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0111606(US,A1)
【文献】特開2006-015099(JP,A)
【文献】特開2001-095893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/06- 2/08
A44C 5/00- 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁石駒と第2の磁石駒を含む複数個の磁石駒
が索状体によって複数列で数珠状に連結
された帯状の磁気治療具であって、
前記第1の磁石駒の磁力線強度は前記第2の磁石駒の磁力線強度よりも大きく、各列の数珠状連結方向における前記第1の磁石駒の相互間に前記第2の磁石駒を1個又は2個で配設すると共に、前記第1の磁石駒と前記第2の磁石駒を前記帯状の横幅方向の複数列間でそれぞれ相互に隣接さ
せ、前記第1の磁石駒と前記第2の磁石駒が前記帯状の厚み方向で着磁されると共に、前記第1の磁石駒の相互間に前記第2の磁石駒を1個で配設するときは前記第1の磁石駒の磁極を前記数珠状連結方向で同一とし、前記第1の磁石駒の相互間に前記第2の磁石駒を2個で配設するときは前記第1の磁石駒の磁極を前記数珠状連結方向で交互に反転させたことを特徴とする磁気治療具。
【請求項2】
少なくとも前記第2の磁石駒が前記索状体を中心に回転可能とされていることを特徴とする請求項1の磁気治療具。
【請求項3】
前記帯状の横幅方向の複数列間で相互に隣接する前記第1の磁石駒が、前記索状体を中心とする回転方向で相互に干渉することを特徴とする請求項1又は2の磁気治療具。
【請求項4】
前記帯状の横幅方向の複数列間で相互に隣接する前記第1の磁石駒が、一体化されて
前記索状体を中心として回転不能であることを特徴とする請求項1又は2の磁気治療具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ブレスレットや磁気ネックレスなどの磁気治療具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石を使用した磁気治療具として、例えば特許文献1(特開平11-103915号公報)や特許文献2(実用新案登録第3042173号公報)に記載の磁気ブレスレットが知られている。これら磁気ブレスレットは、複数個の磁石駒を数珠状に連結したもので、磁石駒から発する磁力線によりブレスレット装着部位の血行を促進したり筋肉を弛緩させたりする。
【0003】
磁石駒を数珠状に連結する場合、磁気治療効果やデザイン性等を考慮して、
図4A-
図4Cのようにいろいろな連結形態を採用することができる。
図4Aと
図4Cは複数個の板状磁石駒11と玉状磁石駒12を組み合わせた配列であり、
図4Bは板状磁石駒11に代えて独立した3個の角柱状磁石駒11’を使用した配列である。磁石駒11、11’、12は、例えば3本のステンレス製チェーン13によって数珠状に連結することができる。
【0004】
ここで、磁石駒11、11’、12の磁力線の強度は、例えば一方の磁石駒11、11’は強度が大きい170mT(ミリテスラ)とし、他方の磁石駒12はそれよりも強度が小さい100mTとすることができる。このように磁力線の強度に大小の変化を持たせることで、磁気治療効果を高めることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-103915号公報
【文献】実用新案登録第3042173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁力線強度が異なる磁石駒を
図4A-
図4Cのように配列した場合、磁石駒相互間の磁力で磁石駒の向きが変化する。すなわち、
図4A(a)、
図4B(a)、
図4C(a)のように磁力線強度が大きい左右の磁石駒11、11’の間に、磁力線強度が小さい玉状磁石駒12を4個又は3個で配列した場合、左右の磁石駒11、11’に隣接した玉状磁石駒12は磁石駒11、11’の影響でS又はNに配向される。
【0007】
これに対して、玉状磁石駒12に両側を挟まれた中間の玉状磁石駒12は、
図4A(b)、
図4B(b)、
図4C(b)のように上下の(隣の列の)磁石駒12とも磁気反応してチェーン13を中心に(約90°)回転して向きが変わる。このため、磁気ビュワシートを通して見ると
図3(b)のように磁力線の配向が乱れていることが確認でき、このような磁力線の配向乱れによって磁気治療効果が低減するという課題がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、磁力線の配向乱れを抑制可能な磁気治療具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の磁気治療具は、複数個の磁石駒を複数列で数珠状に連結した帯状の磁気治療具であって、前記複数個の磁石駒は磁力線強度が大きい第1の磁石駒と磁力線強度が小さい第2の磁石駒を含み、各列の数珠状連結方向における前記第1の磁石駒の相互間に前記第2の磁石駒を1個又は2個で配設すると共に、前記第1の磁石駒と前記第2の磁石駒を前記帯状の横幅方向の複数列間でそれぞれ相互に隣接させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の磁気治療具によって磁力線の配向乱れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る磁気ブレスレットの(a)平面図、(b)側面図及び(c)断面図である。
【
図2A】磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図である。
【
図2B】磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す断面図である。
【
図2C】磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図である。
【
図2D】磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図である。
【
図2E】磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図である。
【
図2F】磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図である。
【
図3】磁気ブレスレットの一部を磁気ビュワシートで観察した状態を示す平面図であって、(a)は
図2Aの実施形態の磁気ブレスレットの平面図、(b)は
図4A(b)の従来の磁気ブレスレットの平面図である。
【
図4A】(a)従来の磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図と(b)磁石駒の向きの変化を示す平面図である。
【
図4B】(a)従来の磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図と(b)磁石駒の向きの変化を示す平面図である。
【
図4C】(a)従来の磁気ブレスレットの磁石駒の着磁状態を示す平面図と(b)磁石駒の向きの変化を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る磁気治療具としての磁気ブレスレット10を図面を参照して説明する。
図1の(a)は磁気ブレスレット10を外側(表側)から見た平面図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【0013】
ブレスレット10は、板状長方形の比較的大型の複数個の磁石駒11と、比較的小型の複数個の玉状磁石駒12と、これら磁石駒11、12に貫通形成した通し孔に挿通した索状体としての3本のステンレス製チェーン13を有する。複数個の磁石駒11、12は3本のチェーン13によって数珠状ないし帯状に連結されている。チェーン13はワイヤ、繊維紐、弾性紐や、さらには剛性を有するC字状リング等に変更することも可能である。
【0014】
なお、磁石駒11、12の相互間にチェーン13を隠すためにシリコーン樹脂等によるリング状の弾性スペーサを介装することができる。この弾性スペーサによってブレスレット10の外観を向上することができ、また磁石駒11、12のガタつきや損傷も抑制することができる。
【0015】
磁石駒11、12は磁性体で構成することができ、望ましくは硬磁性体で構成することができる。硬磁性体として、電磁ステンレス鋼、ケイ素鉄、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)などの希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等を使用することができる。
【0016】
ここで、大型の磁石駒11は磁力線強度が例えば170mTと大きい第1の磁石駒11である。また、小型の玉状磁石駒12は磁力線強度が例えば100mTと小さい第2の磁石駒12である。磁石駒11、12の形状は図示の形状に限定されるものではなく、デザイン性等を考慮して任意の形状に変更可能である。また、磁力線強度も、家庭用永久磁石磁気治療器のJIS基準(35~200mT)の範囲内で任意の大きさに変更可能である。
【0017】
ブレスレット10の長手方向両端には受け金具14と掛け金具15が連結されている。磁気ブレスレット10を手首に装着した後、掛け金具15を受け金具14に係合させることで、磁気ブレスレット10を環状に閉じることができる。なお、受け金具14と掛け金具15の玉状磁石駒12に隣接する部分を、磁気治療効果を高めるために板状磁石駒11と同様に磁石で構成することも可能である。
【0018】
玉状磁石駒12は、この実施形態では板状磁石駒11の相互間に3列で保持されている。玉状磁石駒12は、チェーン13を中心としてそれぞれ回転可能とされている。
【0019】
これによりチェーン13の捩れを抑制することができる。なお、玉状磁石駒12はデザイン性等を考慮して
図2D、
図2Eのように2列にしたり、或いは4列以上にしたりすることも可能である。
【0020】
板状磁石駒11と玉状磁石駒12は、チェーン13を中心とする径方向(帯状ブレスレットの厚み方向)で
図2A-
図2Fのように着磁することができる。磁石駒11、12の着磁工程は、チェーン13を挿通する前の別工程で行ったり、チェーン13を挿通した後のブレスレット製品状態で行ったりすることができる。
【0021】
板状磁石駒11は、磁極がN、S、N…のように交互反転するように、
図2Aの紙面表裏方向(
図2Bの半径方向、帯状ブレスレットの厚み方向)に着磁されている。板状磁石駒11の磁極は外側から見ると左側からN、S、N…であるが、内側から見ると
図2BのようにS、N、S…となる。
【0022】
一方、玉状磁石駒12は磁力線強度が大きい板状磁石駒11に隣接しているので、隣接する方の板状磁石駒11の磁極に、より強く吸引される。このため、板状磁石駒11のN極に隣接する玉状磁石駒12は(回転して)S極となり、板状磁石駒11のS極に隣接する玉状磁石駒12は(回転して)N極となる。したがって、板状磁石駒11と玉状磁石駒12との間に
図2Bのように円弧状の磁力線が手首の周方向に形成されることになる。
【0023】
この結果、内側の円弧状の磁力線MLはブレスレット10を装着した手首周りを周方向に貫通する。これにより、手首周りの血行を促進したり筋肉を弛緩させたりすることができる。
【0024】
図3(a)は本実施形態のブレスレット10の一部を磁気ビュワシートで観察した状態を示している。同図から、板状磁石駒11と玉状磁石駒12との間に左右方向に延びる強力な磁力線が形成されることが分かる。
【0025】
これに対して、従来の例えば
図4B(b)のブレスレット10の磁石駒11’、12配列では、
図3(b)のように板状磁石駒11と玉状磁石駒12との間の磁力線が弱々しく不規則に乱れることが分かる。このように不規則に乱れた磁力線では磁気治療効果が低減する可能性がある。
【0026】
図2C-
図2Fは、変形例に係るブレスレット10の磁石駒11、11’、12の着磁状態を示す平面図である。
図2Cは板状長方形の磁石駒11に代えて独立した3個の角柱状磁石駒11’を使用した例である。
【0027】
隣接する磁石駒11’は角柱状であるため、チェーン13を中心とする回転方向で相互に干渉して自由に回転することができない。このため
図2Cの着磁状態が維持される。したがって、
図2Cの場合も磁石駒11’と磁石駒12との間に
図2Bと同様の円弧状の磁力線が形成される。
【0028】
図2Dは、板状長方形の磁石駒11の相互間に玉状磁石駒12を2個ずつ2列で配設した例である。2列の玉状磁石駒12は相互に磁気反応して
図2Dの状態からチェーン13を中心に回転しようとするが、磁力線強度が強い磁石駒11と磁気反応して回転が抑制される。このため、
図2Dの場合も磁石駒11と磁石駒12との間に
図2Bと同様の円弧状の磁力線が形成される。
【0029】
図2Eは、板状長方形の磁石駒11の相互間に玉状磁石駒12を1個ずつ2列で配設した例である。2列の玉状磁石駒12は相互に磁気反応して
図2Eの状態からチェーン13を中心に回転しようとするが、磁力線強度が強い磁石駒11と磁気反応して回転が抑制される。このため、
図2Eの場合も磁石駒11と磁石駒12との間に
図2Bと同様の円弧状の磁力線が形成される。
【0030】
図2Fは、板状長方形の磁石駒11の相互間に玉状磁石駒12を1個ずつ3列で配設した例である。3列の玉状磁石駒12は相互に磁気反応して
図2Fの状態からチェーン13を中心に回転しようとするが、磁力線強度が強い磁石駒11と磁気反応して回転が抑制される。このため、
図2Fの場合も磁石駒11と磁石駒12との間に
図2Bと同様の円弧状の磁力線が形成される。
【0031】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば前記実施形態は磁気治療具として磁気ブレスレット10を例示したが、本発明の磁気治療具は磁気ブレスレット10に限らず磁気ネックレス等にも適用可能である。また、前記実施形態では玉状磁石駒12をチェーン13を中心に回転可能に配設したが、例えば
図2Aの着磁状態とした後に回転不能にチェーン13に固定してもよい。
【符号の説明】
【0032】
10:磁気ブレスレット 11:板状磁石駒(第1の磁石駒)
11’:角柱状磁石駒(第1の磁石駒) 12:玉状磁石駒(第2の磁石駒)
13:チェーン 14:受け金具
15:掛け金具 ML:磁力線
【要約】
【課題】磁力線の配向乱れを抑制することができる磁気治療具を提供する。
【解決手段】複数個の磁石駒11、12を複数列で数珠状に連結した帯状の磁気治療具としての磁気ブレスレット10は、磁力線強度が大きい第1の磁石駒11と磁力線強度が小さい第2の磁石駒12を有し、各列の数珠状連結方向における第1の磁石駒11の相互間に第2の磁石駒12を1個又は2個で配設すると共に、第1の磁石駒11と第2の磁石駒12を帯状の横幅方向の複数列間でそれぞれ相互に隣接させたことを特徴とする。
【選択図】
図2B