(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】新規呼出文字列登録プログラム、新規呼出文字列登録装置および新規呼出文字列登録方法
(51)【国際特許分類】
G06F 40/129 20200101AFI20240912BHJP
G06F 40/242 20200101ALI20240912BHJP
【FI】
G06F40/129
G06F40/242
(21)【出願番号】P 2024074197
(22)【出願日】2024-05-01
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524166765
【氏名又は名称】土橋 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】110004392
【氏名又は名称】弁理士法人佐川国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】土橋 拓哉
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-190553(JP,A)
【文献】特開平2-255945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F40/00-40/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章入力において文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部に、前記候補字に対応した新規の呼出文字列を登録するための新規呼出文字列登録プログラムであって、
入力手段により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得部と、
表示手段に前記呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示部と、
入力手段により前記候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得部と、
前記候補字取得部により取得された前記候補字に対応付けて、前記呼出文字列取得部が取得した前記呼出文字列の最初の文字から前記候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる新規変換候補登録部
として、コンピューターを機能させる前記新規呼出文字列登録プログラム。
【請求項2】
前記呼出文字列取得部が、スペースを含む呼出文字列を取得した場合、
前記新規変換候補登録部は、
前記スペースの次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から前記候補字と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる、請求項1に記載の新規呼出文字列登録プログラム。
【請求項3】
前記候補字取得部が、前記呼出文字列に対して複数箇所の候補字入力部で候補字を取得した場合、
前記新規変換候補登録部は、
2番目以降の候補字入力部の候補字には、1つ前の候補字入力部の候補字と隣接する文字の次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字が入力された前記候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる、請求項1に記載の新規呼出文字列登録プログラム。
【請求項4】
前記候補字取得部が、前記呼出文字列に対して複数箇所の候補字入力部で候補字を取得した場合、
前記新規変換候補登録部は、
2番目以降の候補字入力部の候補字には、1つ前の候補字入力部の候補字と隣接する文字の次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字が入力された前記候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させるとともに、
前記候補字取得部が取得した複数箇所の候補字入力部で候補字からなる候補字列に対応付けて、前記呼出文字列取得部が取得した呼出文字列を、前記候補字列の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる、請求項1に記載の新規呼出文字列登録プログラム。
【請求項5】
文章入力において文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部に、前記候補字に対応した新規の呼出文字列を登録するための新規呼出文字列登録装置であって、
入力手段により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得部と、
表示手段に前記呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示部と、
入力手段により前記候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得部と、
前記候補字取得部により取得された前記候補字に対応付けて、前記呼出文字列取得部が取得した前記呼出文字列の最初の文字から前記候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる新規変換候補登録部と
を有する前記新規呼出文字列登録装置。
【請求項6】
文章入力において文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部に、前記候補字に対応した新規の呼出文字列を登録するための新規呼出文字列登録方法であって、
入力手段により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得ステップと、
表示手段に前記呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示ステップと、
入力手段により前記候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得ステップと、
前記候補字取得ステップにより取得された前記候補字に対応付けて、前記呼出文字列取得ステップにより取得した前記呼出文字列の最初の文字から前記候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる新規変換候補登録ステップと
を有する前記新規呼出文字列登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字変換を行うときの変換候補の検索に用いられるデータベースにおいて、候補字に対する新規の呼出文字列を登録するための、新規呼出文字列登録プログラム、新規呼出文字列登録装置および新規呼出文字列登録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本語の文章は、ひらがな、カタカナおよび漢字の組み合わせにより表される。漢字は、1つ1つの文字が意味を表わしている表意文字であり、仮名文字などの表音文字のみで記載する場合に比べて文字数を少なくすることができる。また、同音異義語についても、漢字が異なることで、正しい意味を把握することもできる。
【0003】
ところで、近年はパーソナルコンピューターやスマートフォンなどの電子機器の発達により、電子機器にインストールされた日本語ワープロソフトなどを用いて文章を記載することが多くなっている。そして日本語ワープロソフトは、平仮名を漢字やローマ字、記号などに変換する文字変換機能を備えている。一般的な文字変換機能により漢字変換を行う際の使用方法は次の通りである。
【0004】
まず、ユーザーは変換する漢字を呼び出すための呼出文字列を入力し、スペースキーなどの入力操作を行う。これに対し日本語ワープロソフトは、漢字とその呼出文字列が登録されているデータベースから、前記呼出文字列を読み仮名とする漢字を検出し、漢字の変換候補の一覧を表示する。ユーザーは変換候補の一覧から所望する漢字を選択する。これにより、入力した呼出文字列は所望する漢字に変換される。
【0005】
しかしながら、漢字にはいろいろな読み方があり、地名や人名には読み難い、いわゆる難読漢字というものがある。例えば、人名(名字)として漢字の「九」で「いちじく」と読むことがある。しかし「九」の読み仮名は「きゅう」や「く」、「ここの」などであり、「いちじく」は一般的ではないため、データベースに登録されていないことも多い。
【0006】
よって、データベースにない場合、「いちじく」を入力するためには、「きゅう」などの実際の読み仮名とは異なる平仮名を入力する必要があった。
【0007】
このような問題に対し、これまでに漢字に新規の読み仮名を登録する方法が開発されている。例えば、特開2016-143224号公報では、「あけみつ」と読む「昭光」について、「あけ」は「昭和」の「昭」であるため、「しょうわ」と「昭光」とを対応付けて登録する技術が提案されている(特許文献1)。つまり「昭光」の間接的な読み仮名として「しょうわ」を登録し、「しょうわ」を入力することで「昭光」に変換することができるとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、「しょうわ」という読み仮名に対して「昭光」が登録されるため、実際の読み仮名である「あけみつ」と入力して文字変換を行っても「昭光」は検出されないという問題がある。
【0010】
「しょうわ」に「昭光」が登録されることを知っていれば「しょうわ」を入力すればよいが、知らなければ「あけみつ」以外の言葉によって一文字ずつ入力する必要があり、このとき読み仮名として「しょうわ」を入力するとは限らない。例示の「昭光」であれば「しょうわ」と入力する可能性が高いとしても、他の漢字では入力する可能性が高い間接的な読み仮名がない場合もある。
【0011】
また、文章は、ひらがな、カタカナおよび漢字の組み合わせの他に、英語(英単語)、ローマ字、ギリシャ文字、数字および記号など様々な文字の組み合わせからなる文章も多い。そのような場合、入力した平仮名からギリシャ文字(「ぱい」と入力して「π」)を呼び出したり、記号(「まる」を入力して「○」)を呼び出すこともある。また、平仮名から英単語を呼び出したり、英単語から漢字を呼び出したいとするニーズもある。
【0012】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、文字変換時の候補となる候補字に、当該候補字を変換候補として呼び出すための新規の呼出文字列を登録することのできる、新規呼出文字列登録プログラム、新規呼出文字列登録装置および新規呼出文字列登録方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る新規呼出文字列登録プログラムは、直接的な呼出文字列を容易でかつ直感的に登録できるようにするという課題を解決するために、文章入力において文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部に、前記候補字に対応した新規の呼出文字列を登録するための新規呼出文字列登録プログラムであって、入力手段により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得部と、表示手段に前記呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示部と、入力手段により前記候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得部と、前記候補字取得部により取得された前記候補字に対応付けて、前記呼出文字列取得部が取得した前記呼出文字列の最初の文字から前記候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる新規変換候補登録部として、コンピューターを機能させる。
【0014】
また、本発明の一態様として、候補字とスペースを含む呼出文字列とを対応付けて登録するという課題を解決するために、前記呼出文字列取得部が、スペースを含む呼出文字列を取得した場合、前記新規変換候補登録部は、前記スペースの次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から前記候補字と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させるようにしてもよい。
【0015】
さらに、本発明の一態様として、呼出文字列に対して複数個の候補字を登録する際に、候補字それぞれの新規の呼出文字列を登録するという課題を解決するために、前記候補字取得部が、前記呼出文字列に対して複数箇所の候補字入力部で候補字を取得した場合、前記新規変換候補登録部は、2番目以降の候補字入力部の候補字には、1つ前の候補字入力部の候補字と隣接する文字の次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字が入力された前記候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様として呼出文字列に対して複数個の候補字を登録する際に、候補字それぞれの新規の呼出文字列を登録するとともに、複数個の候補字からなる候補字列に対する呼出文字列を登録するという課題を解決するために、前記候補字取得部が、前記呼出文字列に対して複数箇所の候補字入力部で候補字を取得した場合、前記新規変換候補登録部は、2番目以降の候補字入力部の候補字には、1つ前の候補字入力部の候補字と隣接する文字の次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字が入力された前記候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させるとともに、前記候補字取得部が取得した複数箇所の候補字入力部で候補字からなる候補字列に対応付けて、前記呼出文字列取得部が取得した呼出文字列を、前記候補字列の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させるようにしてもよい。
【0017】
本発明に係る新規呼出文字列登録装置は、直接的な呼出文字列を容易でかつ直感的に登録できるようにするという課題を解決するために、文章入力において文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部に、前記候補字に対応した新規の呼出文字列を登録するための新規呼出文字列登録装置であって、入力手段により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得部と、表示手段に前記呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示部と、入力手段により前記候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得部と、前記候補字取得部により取得された前記候補字に対応付けて、前記呼出文字列取得部が取得した前記呼出文字列の最初の文字から前記候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる新規変換候補登録部とを有する。
【0018】
本発明に係る新規呼出文字列登録方法は、直接的な呼出文字列を容易でかつ直感的に登録できるようにするという課題を解決するために、文章入力において文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部に、前記候補字に対応した新規の呼出文字列を登録するための新規呼出文字列登録方法であって、入力手段により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得ステップと、表示手段に前記呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示ステップと、入力手段により前記候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得ステップと、前記候補字取得ステップにより取得された前記候補字に対応付けて、前記呼出文字列取得ステップにより取得した前記呼出文字列の最初の文字から前記候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として前記変換候補辞書記憶部に登録させる新規変換候補登録ステップとを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、文字変換時の候補となる候補字に、当該候補字を変換候補として呼び出すための新規の呼出文字列を登録することができる
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る新規呼出文字列登録装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図2】本実施形態の新規呼出文字列登録装置を用いて漢字「九」に新規の呼出文字列として「いちじく」を登録する場合のユーザーおよび新規呼出文字列登録装置の動きを示す模式図である。
【
図3】本実施形態の新規呼出文字列登録プログラムのメインフローを示すフローチャート図である。
【
図4】本実施形態の新規呼出文字列登録装置を用いて漢字「彪冬」に新規の呼出文字列として「ひゅうが」を登録する場合のユーザーおよび新規呼出文字列登録装置の動きを示す模式図である。
【
図5】本実施形態の新規呼出文字列登録プログラムにおいて複数個の候補字の1個ずつに新規の呼出文字列を登録するためのサブルーチンのフローを示すフローチャート図である。
【
図6】本実施形態の新規呼出文字列登録装置を用いてスペースを含む漢字「九_彪冬」に新規の読み仮名として「いちじく_ひゅうが」を登録する場合のユーザーおよび新規呼出文字列登録装置の動きを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る新規呼出文字列登録プログラム、新規呼出文字列登録装置および新規呼出文字列登録方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本実施形態の新規呼出文字列登録装置1は、候補字に呼出文字列を新規に登録するための装置であって、本実施形態では、
図1に示すように、主として、表示手段2と、入力手段3と、記憶手段5および演算処理手段6を備えたコンピューター4とにより構成されている。
【0023】
本実施形態の新規呼出文字列登録装置1は、図示しないが、日本語ワープロ装置の一部または外付けの装置として構成されている。
【0024】
表示手段2は、液晶ディスプレイ等で構成されており、ユーザーに各種の情報を表示するものであり、例えば、
図2に示すように、呼出文字列表示部62により表示される呼出文字列や候補字入力部を表示する。
【0025】
入力手段3は、キーボードやマウス等で構成されており、ユーザーによる各種の選択や指示を入力するものであり、本実施形態では、呼出文字列や候補字の入力などに用いられる。
【0026】
なお、本第一実施形態では、表示手段2および入力手段3をそれぞれ別個に有しているが、この構成に限定されるものではなく、タッチパネルのように表示機能および入力機能を兼ね備えた表示入力手段により構成してもよい。また、入力手段3には、音声入力による入力手段を用いてもよい。
【0027】
コンピューター4は、新規呼出文字列登録プログラム1aを実行処理するための装置であり、本実施形態では、
図1に示すように、記憶手段5および演算処理手段6を備えている。また、コンピューター4は、図示しないが、演算処理手段6等への給電を行う電源装置やLAN(Local area network)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)およびBluetoothなどの通信手段などを備えている。
【0028】
記憶手段5は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段6が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段5は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、
図1に示すように、プログラム記憶部51と、候補字とその候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されている変換候補辞書記憶部52とを有する。
【0029】
プログラム記憶部51には、新規呼出文字列登録プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段6が新規呼出文字列登録プログラム1aを実行することにより、コンピューター4を後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0030】
なお、新規呼出文字列登録プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやDVD-ROM等のように、コンピューター4で読み取り可能な非一時的な記録媒体に新規呼出文字列登録プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式で新規呼出文字列登録プログラム1aを利用してもよい。また、新規呼出文字列登録プログラム1aは、日本語ワープロ装置を作動させる日本語ワープロプログラムの一機能として日本語ワープロプログラムに組み込まれていてもよい。
【0031】
変換候補辞書記憶部52は、文字変換時の候補となる候補字と前記候補字を変換候補として呼び出すための呼出文字列とを対応付けて登録されているデータベースであり、本実施形態では、予め候補字と呼出文字列とが対応付けて記憶されているとともに、新規呼出文字列登録プログラム1aによって候補字に対応付けた新規の呼出文字列を記憶できるようになっている。
【0032】
演算処理手段6は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、プログラム記憶部51にインストールされた新規呼出文字列登録プログラム1aを実行することにより、呼出文字列取得部61、呼出文字列表示部62、候補字取得部63および新規変換候補登録部64として機能するようになっている。
【0033】
呼出文字列取得部61は、入力手段3により入力された呼出文字列を取得する構成である。取得する呼出文字列は、新規の呼出文字列であって、平仮名、片仮名、ローマ字、ギリシャ文字、数字などの文字列からなる。また、呼出文字列の文字数は1文字以上からなり、2文字以上の場合には文字同士の間にスペースを含めることができる。本実施形態では、呼出文字列として、平仮名を入力した場合を例に説明する。
【0034】
本実施形態における呼出文字列取得部61は、日本語ワープロ装置による日本語の文章入力中において、ユーザーが入力した呼出文字列を取得するようになっている。具体的には、呼出文字列を入力し、文字変換を指示し、変換候補辞書記憶部52から読み出された変換候補を表示させた際に所望する変換候補がないときに、所定のキー操作(例えば、「コントロール(Ctrl)」キー+「T」キーの同時押し)または所定のマウス操作(表示手段3に表示させている画像内の所定のタブをクリック)などを行う。これにより、新規呼出文字列登録プログラム1aが始動し、呼出文字列取得部61が呼出文字列(文字変換前の呼出文字列)を取得するようになっている。
【0035】
また、本実施形態における呼出文字列取得部61は、入力された呼出文字列をドラッグし、その状態で所定のキー操作や所定のマウス操作を行うことにより、ドラックした呼出文字列を取得できるようにもなっている。一般的な日本語ワープロ装置における文字変換機能は、スペースキーを押すことが文字変換の指示になっているが、このようなドラッグによる呼出文字列の取得を可能とすることで、スペースを含む呼出文字列を取得できるようになっている。
【0036】
なお、呼出文字列取得部61による呼出文字列の取得は、文章の入力中に限定されるものではなく、任意のタイミングで新規呼出文字列登録プログラム1aを始動させ、表示手段2に登録専用のポップアップ画面などを表示し、入力手段3により入力した呼出文字列を取得するようにしてもよい。
【0037】
呼出文字列表示部62は、表示手段2に呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる構成であり、本実施形態では、
図2に示すように、表示手段2に縦一列に呼出文字列を表示させるとともに、各仮名文字の右横位置に候補字入力部を表示させた画面を、日本語ワープロ装置による文章入力中の画像とは別にポップアップ表示させるようになっている。
【0038】
なお、呼出文字列を一列に並べる方向は縦方向に限定されるものではなく、横方向に並べてもよい。また、候補字入力部を表示させる位置は、呼出文字列の各文字の右横位置に限定されるものではなく、呼出文字列の各文字に隣接させる位置であればよいが、直感的な入力のため各文字に対して上下または左右の直交する位置に隣接させておくのが好ましい。
【0039】
候補字取得部63は、入力手段3により候補字入力部に入力された候補字を取得する構成であり、本実施形態では、一般的な日本語ワープロ装置(日本語ワープロプログラム)の文字変換機能を用いており、登録する呼出文字列とは異なる呼出文字列を入力し、その呼出文字列に対応付けて登録されている候補字を変換候補辞書記憶部52から呼び出し、登録する候補字に変換を実行することで入力するようになっている。候補字は、漢字、平仮名、片仮名、ローマ字、ギリシャ文字、その他様々な言語の文字、数字など任意の文字からなる。また、候補字入力部に入力可能な文字数は、1文字以上からなり、2文字以上の場合は、複数の種類の文字の組み合わせることもできる。例えば、漢字と平仮名とを組み合わせて、送り仮名を含む漢字を候補字とすることができる。本実施形態では、主に、候補字を漢字とするとともに、候補字入力部に1文字入力する場合について説明する。
【0040】
なお、候補字入力部への候補字の入力方法は、日本語ワープロ装置(日本語ワープロプログラム)の文字変換機能による方法に限定されるものではなく、対話型AIプログラム等のAI技術を利用して入力してもよい。
【0041】
例えば、対話型AIプログラムに対して「○○に○○(「今」に「衣」)」、「○○に似た漢字(「裁」に似た漢字)」、「○の旧字『旧字体、異体字、俗字、略字など』(「鉄」の旧字)」、「○○の付く漢字(「祭」の付く漢字)」など○○に漢字を入力し、その出力結果(「衾」、「哉」、「鐵」、「際」)に基づき入力してもよい。
【0042】
また、部首等を用いて「○○に○○(「くにがまえ」に「玉」)のように入力し、その出力結果(「国」)に基づき入力してもよい。
【0043】
さらに、漢字や部首は用いずに「○○の○○(たんぼのた)」などを入力し、その出力結果(「田」)に基づき入力してもよく、英語などの外国語を用いて「○○の○○(「bridge」の「はし」)」などを入力し、その出力結果(「橋」)に基づき入力してもよい。
【0044】
新規変換候補登録部64は、変換候補辞書記憶部52に、候補字に対応した新規の呼出文字列を登録する構成であり、本実施形態では、候補字取得部63により取得された候補字に、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列を対応付けて登録するようになっている。
【0045】
具体的には、新規変換候補登録部64は、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列の最初の文字から、候補字取得部63が取得した候補字と隣接する文字までの呼出文字列を、前記候補字の新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させる。
【0046】
また、本実施形態における新規変換候補登録部64は、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列にスペースが含まれるか否かを判別するスペース判別部641を備えている。
【0047】
そしてスペース判別部641が呼出文字列にスペースが含まれると判別した場合、新規変換候補登録部64は、スペースの次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字と隣接する文字までの呼出文字列を、候補字の新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させるようになっている。
【0048】
また、新規変換候補登録部64は、呼出文字列に対して複数個の候補字を取得したか否かを判別する候補字数判別部642を備えている。本実施形態では、呼出文字列の各文字に隣接する候補字入力部において、複数箇所の候補字入力部に候補字が入力された場合、候補字数判別部642は、複数個の候補字を取得したと判別するようになっている。
【0049】
そして、候補字数判別部642が呼出文字列に対して複数個の候補字を取得したと判別した場合、新規変換候補登録部64は、2番目以降の候補字には、1つ前の候補字と隣接する文字の次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字と隣接する文字までの呼出文字列を、新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させるようになっている。
【0050】
また、本実施形態における新規変換候補登録部64は、2番目以降の候補字に対する新規の呼出文字列の登録とともに、候補字取得部63が取得した複数個の候補字からなる候補字列に対応付けて、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列を、候補字列の新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させるようになっている。本実施形態における候補字列は、複数個の候補字を対応する呼出文字列の文字の順に従って組み合わせた文字列である。
【0051】
さらに、本実施形態における候補字数判別部642は、呼出文字列にスペースが含まれている場合には、スペース前の呼出文字列およびスペース後の呼出文字列に対して複数個の候補字を取得したか否かを判別するようになっている。
【0052】
次に、本実施形態の新規呼出文字列登録プログラム1aおよび新規呼出文字列登録装置1の各構成の作用について、本実施形態の新規呼出文字列登録方法とともに図面を用いて説明する。
【0053】
『候補字として漢字の「九」に「いちじく」の呼出文字列を登録する場合』
図2に示すように、ユーザーが、日本語ワープロ装置(新規呼出文字列登録装置1)により、入力手段2を用いて文章の入力中に呼出文字列の「いちじく」を入力した場合について説明する。ここでユーザーは、「いちじく」を文字変換する場合、スペースキーなどを押すなどの所定の操作を行う。
【0054】
日本語ワープロ装置では、変換候補辞書記憶部52から呼出文字列「いちじく」に対応付けて登録された候補字を検索し、ポップアップ表示などによって検索された候補字を変換候補の一覧として表示手段2に表示させる。例えば、
図2に示すように、変換候補として、「1.イチジク」「2.無花果」「3.一軸」などが表示される。ここで所望する候補字が一覧にあれば該当する候補字を選択することで候補字に変換された入力が完了する。
【0055】
一方、「いちじく」との呼出文字列に対応付けて「九」が変換候補辞書記憶部に登録されていない場合は、変換候補の一覧に表示されない。
【0056】
そこで、ユーザーは「九」への文字変換とともに「九」に「いちじく」の呼出文字列を対応付けて変換候補辞書記憶部52に登録するため、所定のキー操作または所定のマウス操作を行い、新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)を始動させ、登録処理を開始させる。
【0057】
登録処理が開始されると、
図3に示すように、新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)では呼出文字列取得部61が入力手段3により入力された呼出文字列を取得する(呼出文字列取得ステップS1)。本実施形態では、文章の入力中に入力した呼出文字列「いちじく」を取得する。よって、ユーザーは登録処理のために新たに呼出文字列を入力する必要はない。
【0058】
次に、呼出文字列表示部62が、表示手段2に呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる(呼出文字列表示ステップS2)。本実施形態では、
図2に示すように、「いちじく」を縦一列に表示させ、それぞれの文字の右側位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる。本実施形態では、ユーザーが直感的に候補字入力部と認識できるように、候補字入力部に「候補字入力可」の文字を表示させる。
【0059】
ユーザーは、
図2に示すように、表示手段2に表示された候補字入力部の任意の位置に候補字を入力する。本実施形態では、呼出文字列「いじじく」における文字「く」に隣接する候補字入力部に漢字「九」を入力する。漢字「九」の入力方法は特に限定されないが、本実施形態では、日本語ワープロ装置における文字変換機能を用いて、「きゅう」など呼出文字列を入力し、表示される変換候補の一覧から「九」を選択することで入力する。
【0060】
ユーザーは、候補字入力の完了後、所定のキー操作または所定のマウス操作を行い、登録の指示を行う。
【0061】
新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)では、登録の指示を受けると、
図3に示すように、候補字取得部63が候補字入力部に入力された候補字を取得する(候補字取得ステップS3)。そして、新規変換候補登録部64が、候補字に対する呼出文字列の登録処理を実行する。
【0062】
まず、新規変換候補登録部64のスペース判別部641が、呼出文字列にスペースが含まれるか否かを判別する(スペース判別ステップS4)。呼出文字列「いちじく」にはスペースが含まれていないため「NO(なし)」に進む。
【0063】
次に、新規変換候補登録部64の候補字数判別部642が、呼出文字列に対して複数個の候補字を取得したか否かを判別する(候補字数判別ステップS5)。候補字である漢字は「九」の1個であるため、「NO(単数)」に進む。
【0064】
そして、新規変換候補登録部64は、候補字「九」に呼出文字列「いちじく」を新しい呼出文字列として対応付けて、変換候補辞書記憶部52に登録させる(新規呼出文字列登録ステップS6)。本実施形態では、新規の呼出文字列登録とともに、「いちじく」の文字変換結果として漢字「九」を文章に表示する。
【0065】
以上により、文字変換時の候補字としての漢字の「九」を呼び出すための新規の呼出文字列として「いちじく」が登録されるとともに、文字変換処理が完了する。これにより、次回以降、呼出文字列「いちじく」に対する文字変換の候補として「九」が表示されることになり、読み仮名と一致した候補字(漢字)の変換が可能になる。
【0066】
『候補字として漢字の「彪冬」に「ひゅうが」の呼出文字列を登録する場合』
図4に示すように、ユーザーが、「ひゅうが」を入力し、文字変換の候補として「彪冬」が一覧に表示されない場合について説明する。
【0067】
この場合、「いちじく」のときと同様に、ユーザーは、所定のキー操作または所定のマウス操作を行い、新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)を始動させ、漢字「彪冬」の新規の呼出文字列として「ひゅうが」を対応付けて登録させるための登録処理を開始させる。
【0068】
登録処理が開始されると、
図3に示すように、新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)では、呼出文字列取得部61が入力手段3により入力された呼出文字列「ひゅうが」を取得する(呼出文字列取得ステップS1)。次に、呼出文字列表示部62が、表示手段2に呼出文字列「ひゅうが」を縦一列に並べて表示させるとともに、候補字入力部を表示させる(呼出文字列表示ステップS2)。
【0069】
ユーザーは、
図4に示すように、表示手段2に表示された文字「う」に隣接する候補字入力部に候補字として漢字の「彪」を入力するとともに、文字「が」に隣接する候補字入力部に候補字として漢字「冬」を入力し、所定のキー操作または所定のマウス操作を行い、登録の指示を行う。
【0070】
新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)では、登録の指示を受けると、
図3に示すように、候補字取得部63が候補字として漢字「彪」と漢字「冬」を取得する(候補字取得ステップS3)。
【0071】
また、新規変換候補登録部64のスペース判別部641が、呼出文字列にスペースが含まれるか否かを判別する(スペース判別ステップS4)。呼出文字列「ひゅうが」にはスペースが含まれていないため「NO(なし)」に進む。
【0072】
次に、新規変換候補登録部64の候補字数判別部642が、呼出文字列に対して複数個の候補字を取得したか否かを判別する(候補字数判別ステップS5)。候補字が入力された候補字入力部の個数は、漢字の「彪」と「冬」を入力した2個であるため、「YES(複数)」に進む。本実施形態では、
図3に示すように、複数個の候補字の一個ずつの新規の呼出文字列を登録するサブルーチン(
図5)へと進み、「彪」および「冬」に対する呼出文字列の登録処理を実行する。
【0073】
サブルーチンでは、まず新規変換候補登録部64は、
図5に示すように、最初の候補字の処理か否かを判別するため、これから登録処理を行う候補字の前に他の候補字があるか否かを判別する(最初の候補字判別ステップSS1)。最初の候補字である漢字「彪」の場合には、その前に候補字がないため「NO(なし)」に進む。
【0074】
そして、最初の文字である「ひ」から候補字である漢字「彪」と隣接する「う」までの呼出文字列「ひゅう」を候補字「彪」を呼び出すための新規の呼出文字列として登録する(新規呼出文字列登録ステップS6a)。
【0075】
最初の候補字判別ステップSS1に戻り、2番目以降の候補字の処理を行う。2番目の候補字である漢字「冬」は、前に候補字「彪」があるので「YES(あり)」に進む。新規変換候補登録部64は、2番目以降の候補字には、1つ前の候補字である「彪」と隣接する文字「う」の次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字「冬」と隣接する文字までの呼出文字列を、候補字「冬」を呼び出すための新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させる(新規呼出文字列登録ステップS6b)。
【0076】
本実施形態においては、文字「う」の次の文字および候補字「冬」と隣接する仮名文字が同じ「が」である。よって、候補字「冬」を呼び出すための新規の呼出文字列として「が」を登録する。
【0077】
そして、新規変換候補登録部64は、登録した候補字が最後の候補字か否かを判別する(最終候補字判別ステップSS2)。本実施形態では、候補字としての漢字「冬」が最後の候補字となるので、RETURNへと進み、サブルーチンを抜ける。
【0078】
図3に示すように、サブルーチンを抜けると、新規変換候補登録部64は、候補字取得部63が取得した2個の候補字からなり、各候補字を順に組み合わせた候補字列「彪冬」に対応付けて、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列「ひゅうが」を、新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させる(新規呼出文字列登録ステップS6)。また、本実施形態では、「ひゅうが」の文字変換結果として漢字「彪冬」を文章に表示させる。
【0079】
以上より、本実施形態では、候補字列としての漢字「彪冬」に対して新規の呼出文字列「ひゅうが」が登録されるとともに、漢字「彪」に対する呼出文字列「ひゅう」と漢字「冬」に対する呼出文字列「が」も一緒に登録される。
【0080】
なお、「彪冬」に対して新規の呼出文字列「ひゅうが」を登録する方法は、漢字「彪」と「冬」を一文字ずつ入力する方法に限定されるものではなく、「が」に隣接する候補字入力部に漢字2文字の「彪冬」を入力することで、候補字の個数は1個となり、「いちじく」のときと同様に、「彪冬」に対して新規の呼出文字列「ひゅうが」を登録することができる。
【0081】
『候補字として漢字の「九_彪冬」に「いちじく_ひゅうが」の呼出文字列を登録する場合』
次に、候補字列および呼出文字列にスペースが含まれる場合について説明する。具体的には、
図6に示すように、ユーザーが、「いちじく_ひゅうが」(「_」はスペース)を入力し、候補字の変換候補として「九_彪冬」が一覧に表示されない場合について説明する。
【0082】
この場合、「いちじく」や「ひゅうが」のときと同様に、ユーザーは、所定のキー操作または所定のマウス操作を行い、新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)を始動させ、候補字としての漢字「九_彪冬」の新規の呼出文字列として「いちじく_ひゅうが」を対応付けて登録させるための登録処理を開始させる。
【0083】
登録処理が開始されると、
図3に示すように、新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)では、呼出文字列取得部61が入力手段3により入力されたスペースを含む呼出文字列「いちじく_ひゅうが」を取得する(呼出文字列取得ステップS1)。
【0084】
次に、呼出文字列表示部62が、表示手段2に呼出文字列「いちじく_ひゅうが」を縦一列に並べて表示させるとともに、候補字入力部を表示させる(呼出文字列表示ステップS2)。本実施形態では、
図6に示すように、呼出文字列「いちじく_ひゅうが」を縦一列に表示し、「いちじく」と「ひゅうが」の間にスペースを空ける。また、それぞれの文字の右側の位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる。一方、スペースの右側の位置には、候補字入力部を表示させず、候補字の入力ができないようにしておく。本実施形態では、スペースの右側の位置には「候補字入力不可」の文字を表示させる。
【0085】
ユーザーは、表示手段2に表示された呼出文字列に隣接する候補字入力部に候補字を入力する。本実施形態では、文字「く」の右側の候補字入力部に漢字「九」、文字「う」の右側の候補字入力部に漢字「彪」、文字「が」の候補字入力部に漢字「冬」を入力する。そして、所定のキー操作または所定のマウス操作を行い、登録の指示を行う。
【0086】
新規呼出文字列登録装置1(新規呼出文字列登録プログラム1a)では、登録の指示を受けると、
図3に示すように、候補字取得部63が候補字として漢字「九」と「彪」と「冬」を取得する(候補字取得ステップS3)。
【0087】
また、新規変換候補登録部64のスペース判別部641が、呼出文字列にスペースが含まれるか否かを判別する(スペース判別ステップS4)。本実施形態では、スペースが含まれているため「YES(あり)」に進む。
【0088】
本実施形態では、スペースの次の文字を最初の文字として、当該最初の文字から候補字と隣接する文字までの呼出文字列を新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させるため、呼出文字列をスペース前とスペース後とに分けて登録処理を行う。
【0089】
具体的には、候補字数判別部642が、スペース前の呼出文字列「いちじく」に対して複数個の候補字を取得したか否かを判別する(候補字数判別ステップS5a)。本実施形態では、スペース前の呼出文字列「いちじく」に対する候補字の個数は漢字「九」の1個であるため、「NO(単数)」に進む。そして、新規変換候補登録部64は、漢字「九」に「いちじく」を新しい呼出文字列として対応付けて、変換候補辞書記憶部52に登録させる(新規呼出文字列登録ステップS6c)。これでスペース前の呼出文字列「いちじく」に対する登録処理が完了する。
【0090】
次のステップに進み、スペース後の登録処理を行う。まず、候補字数判別部642が、スペース後の呼出文字列「ひゅうが」に対して複数個の候補字を取得したか否かを判別する(候補字数判別ステップS5b)。候補字は漢字の「彪」と「冬」の2個であるため、「YES(複数)」に進む。
【0091】
そして、複数個の候補字の一個ずつの新規の呼出文字列を登録するサブルーチンへと進み、サブルーチン内で漢字「彪」に対する新規の呼出文字列「ひゅう」を登録するとともに、漢字「冬」に対する新規の呼出文字列「が」を登録する。
【0092】
サブルーチンにおいて複数個の候補字の一個ずつに対する新規の呼出文字列の登録が完了すると、
図3に示すように、サブルーチンから戻り、新規変換候補登録部64が、候補字取得部63が取得した2個の候補字からなる候補字列「彪冬」に対応付けて、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列「ひゅうが」を、新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させる(新規呼出文字列登録ステップS6d)。
【0093】
そして最後に新規変換候補登録部64は、スペースを含む候補字列「九_彪冬」に対応付けて、呼出文字列取得部61が取得した呼出文字列「いちじく_ひゅうが」を、新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させる(新規呼出文字列登録ステップS6)。また、本実施形態では、「いちじく_ひゅうが」の文字変換結果として漢字「九_彪冬」を文章に入力する。
【0094】
以上より、本実施形態では、スペースを含む候補字列「九_彪冬」に対して新規の呼出文字列「いちじく_ひゅうが」が登録されるとともに、漢字「九」に対する新規の呼出文字列「いちじく」、漢字「彪」に対する新規の呼出文字列「ひゅう」、漢字「冬」に対する新規の呼出文字列「が」および漢字列「彪冬」に対する新規の呼出文字列「ひゅうが」が一緒に登録される。
【0095】
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
1.新規の読み仮名となる呼出文字列を、候補字(漢字)に直接対応付けて登録することのでき、登録後の文字変換処理では、読み仮名と一致した文字変換を行うことができる。
2.登録する呼出文字列に対して候補字を隣接する位置に入力させることで登録が可能となるため、容易でかつ直感的な作業によって登録を行うことができる。
3.呼出文字列と複数個の候補字とを登録する場合、候補字ごとの新規の呼出文字列の登録と候補字列に対する新規の呼出文字列の登録を一度の登録操作で行うことができる。
4.スペースのある呼出文字列および候補字列に対する登録を行うことができ、スペース前後の呼出文字列ごとに登録処理も合わせて登録することができる。
【0096】
なお、本発明に係る新規呼出文字列登録プログラム、新規呼出文字列登録装置および新規呼出文字列登録方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、本実施形態において呼出文字列に含まれるスペースが1個の場合について説明したが、2個以上の場合には、スペースで区切られた呼出文字列ごとに登録処理してもよい。また、各ステップの順番は、前後してもよく、例えば呼出文字列にスペースが含まれるか否かの判別の前に、候補字が複数個あるか否かを判別してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、漢字と平仮名とを対応付けて登録を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、英単語(bridge)と漢字(橋)とを対応付けて登録したり、数字(3.14)とギリシャ文字(π)とを対応付けて登録するなど、読み仮名等に限定されない独自の登録をしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 新規呼出文字列登録装置
1a 新規呼出文字列登録プログラム
2 表示手段
3 入力手段
4 コンピューター
5 記憶手段
6 演算処理手段
51 プログラム記憶部
52 変換候補辞書記憶部
61 呼出文字列取得部
62 呼出文字列表示部
63 候補字取得部
64 新規変換候補登録部
641 スペース判別部
642 候補字数判別部
【要約】
【課題】 文字変換時の候補となる候補字に、当該候補字を変換候補として呼び出すための新規の呼出文字列を登録することのできる、新規呼出文字列登録プログラム、新規呼出文字列登録装置および新規呼出文字列登録方法を提供する。
【解決手段】 入力手段3により入力された呼出文字列を取得する呼出文字列取得部61と、表示手段に呼出文字列を一列に並べて表示させるとともに、表示されている各文字の隣接する位置に候補字を入力可能な候補字入力部を表示させる呼出文字列表示部62と、入力手段3により候補字入力部に入力された候補字を取得する候補字取得部63と、候補字に対応付けて、呼出文字列の最初の文字から候補字が入力された候補字入力部と隣接する文字までの文字列を、候補字の新規の呼出文字列として変換候補辞書記憶部52に登録させる新規変換候補登録部64として、コンピューターを機能させる。
【選択図】
図1