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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/18 20060101AFI20240912BHJP
   F16H 61/16 20060101ALI20240912BHJP
   F16H 59/08 20060101ALI20240912BHJP
   F16H 59/50 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F16H61/18
F16H61/16
F16H59/08
F16H59/50
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019233679
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102972
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】田中 壮稔
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/015954(WO,A1)
【文献】特開2016-078805(JP,A)
【文献】特開2004-324849(JP,A)
【文献】特開2010-190311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00-61/12,
61/16-61/24,
61/66-61/70,
63/40-63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置及び複数の操作位置を選択可能な可動部と、該可動部の選択位置に対応する選択位置信号を出力する制御部と、を備えたシフト装置であって、
起動時に、
前記制御部は、前記可動部の初期位置が前記複数の操作位置のうち、1の前記選択位置である場合には前記1の選択位置に対応する選択位置信号は出力せず、且つ、前記複数の操作位置のうち、前記1の選択位置から他の前記選択位置に遷移した場合には、前記可動部が前記基準位置を経由しない場合であっても、前記他の選択位置に対応する選択位置信号を出力することを特徴とするシフト装置。
【請求項2】
基準位置及び複数の操作位置を選択可能な可動部と、該可動部の選択位置に対応する選択位置信号を出力する制御部と、を備えたシフト装置であって、
起動時に、
前記制御部は、前記可動部の初期位置が前記基準位置以外の複数の操作位置であって、1の前記選択位置である場合には前記1の選択位置に対応する選択位置信号は出力せず、且つ、該初期位置から前記基準位置を経由して前記1の選択位置から他の前記選択位置に遷移した場合には、前記他の選択位置に対応する選択位置信号を出力し、一方、前記可動部の初期位置が前記基準位置以外の複数の操作位置であって、該初期位置から前記基準位置を経由しないで、前記1の選択位置から他の前記選択位置に遷移した場合には、前記基準位置に対応する選択位置信号を出力することなく、前記選択位置に対応する選択位置信号を出力することを特徴とするシフト装置。
【請求項3】
前記可動部が操作されていない場合には、自動的に、前記基準位置に遷移することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記複数の操作位置は、ドライブポジション、リバースポジション、ニュートラルポジションの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者によるシフトレバーの操作によって選択されたシフト位置をセンサ(シフトセンサ)により検出して、その検出結果に応じて、自動変速機のギアポジションを切り替える、所謂、バイワイヤ式のシフト装置が知られている。
【0003】
この種のシフト装置では、シフト装置の起動前に、例えば、シフトレバーにぶら下げた荷物や荷物が誤ってシフトレバーに当たってしまうことによって、運転者の気づかないうちに、シフトレバーが基準位置からドライブポジションやリバースポジションに遷移して保持されてしまう場合が想定される。そして、このような状況で、運転者がエンジンを起動してしまうと、予期せず、車両が動き出してしまう虞があった。
【0004】
このような事態に対応するため、シフトレバーが基準位置以外の位置のままであるのを検知する間は、当該基準位置以外の位置に対応した走行形態への移行を禁止する技術(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。
【0005】
また、エンジンを起動するためのイグニッションスイッチがOFFからONにされた状態で、シフトレバーがパーキングレンジと異なる位置にあるときには、シフトレバーがパーキングレンジとなる位置に遷移されるまで自動変速機のレンジ切り替えを禁止する技術(例えば、特許文献2参照。)も開示されている。
【0006】
さらに、電気自動車において、パーキングロック状態であるときに、外部電源がコネクタから取り外された後にシフトレバーが操作されたか否かを判断し、シフトレバーが操作されていない場合はパーキングロック状態の解除をシフトレバーの位置に基づいて行う解除処理を禁止し、シフトレバーが操作された場合は解除処理を許容する技術(例えば、特許文献3参照。)も開示されている。
【0007】
また、シフトレバーが基準位置に復帰しない状態が所定時間よりも長く継続している非復帰状態が成立しているか否かを判断し、前記非復帰状態が成立している場合、シフトレバーの位置に基づく変速機の制御を制限する技術(例えば、特許文献4参照。)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許5316705号公報
【文献】特開2004-324849号公報
【文献】特許4775511号公報
【文献】特許4978611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および2に記載の技術では、必ず予め決められた位置にシフトレバーを戻す必要がある。そのため、例えば、初期位置がドライブポジション、遷移させる位置がリバースポジション、予め決められた位置が基準位置等である場合に、運転者がドライブポジションからリバースポジションにシフトレバーを遷移させた場合には、走行禁止となってしまうため、運転者の意思が直ちに反映されないという問題があった。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術では、車両が電気自動車である場合に、充電コネクタが取り外された後に、シフトレバーの操作がない場合には、パーキングロック状態の解除が禁止される。つまり、電気自動車用の充電コネクタの取り外しが1つのトリガになっているため、例えば、車両が電気自動車以外の車両である場合や電気自動車であっても、充電をしなかった時のシフト装置の起動時には、対応できないという問題があった。
【0011】
さらに、特許文献4に記載の技術では、シフト装置の起動時には限定されないものの、シフトレバーが基準位置以外に一定時間以上留まっている場合には、変速機の制御が制限されるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、シフト装置の起動時における安全性を担保するとともに、運転者の意図を余計な操作を行うことなく反映するシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、基準位置及び複数の操作位置を選択可能な可動部と、該可動部の選択位置に対応する選択位置信号を出力する制御部と、を備えたシフト装置の制御装置であって、前記シフト装置の起動時に、前記制御部は、前記可動部の初期位置が前記複数の操作位置のうち、1の前記選択位置である場合には前記1の選択位置に対応する選択位置信号は出力せず、且つ、前記複数の操作位置のうち、前記1の選択位置から他の前記選択位置に遷移した場合には、前記可動部が前記基準位置を経由しない場合であっても、前記他の選択位置に対応する選択位置信号を出力することを特徴とするシフト装置を提案している。
【0014】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、基準位置及び複数の操作位置を選択可能な可動部と、該可動部の選択位置に対応する選択位置信号を出力する制御部と、を備えたシフト装置の制御装置であって、前記シフト装置の起動時に、前記制御部は、前記可動部の初期位置が前記基準位置以外の複数の操作位置であって、1の前記選択位置である場合には前記1の選択位置に対応する選択位置信号は出力せず、且つ、該初期位置から前記基準位置を経由して前記1の選択位置から他の前記選択位置に遷移した場合には、前記他の選択位置に対応する選択位置信号を出力し、一方、前記可動部の初期位置が前記基準位置以外の複数の操作位置であって、該初期位置から前記基準位置を経由しないで、前記1の選択位置から他の前記選択位置に遷移した場合には、前記基準位置に対応する選択位置信号を出力することなく、前記選択位置に対応する選択位置信号を出力することを特徴とするシフト装置を提案している。
【0015】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記可動部が操作されていない場合には、自動的に、前記基準位置に遷移することを特徴とするシフト装置を提案している。
【0016】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記複数の操作位置は、ドライブポジション、リバースポジション、ニュートラルポジションの少なくとも1つを含むことを特徴とするシフト装置を提案している。
【発明の効果】
【0017】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、シフト装置の起動時における安全性を担保するとともに、運転者の意図を余計な操作を行うことなく反映することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置およびその周辺の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置のフロー図である。
図3】本発明の実施形態に係るシフト装置のフロー図である。
図4】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるシフト装置の遷移を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るシフト装置のフロー図である。
図6】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるシフト装置の遷移を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るシフト装置のフロー図である。
図8】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるシフト装置の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。
したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0020】
<実施形態>
以下、図1から図8を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
<シフト装置の構成>
シフト装置1は、図1に示すように、後述する車両コントロールユニット20に対して、運転者の操作によるシフト位置の選択信号を出力するものである。
なお、以下では、モーメンタリ―タイプのシフト装置1を例示して説明を行うが、これに限定されるものではなく、バイワイヤタイプのシフト装置であれば、適用可能である。
また、当該シフト装置1が搭載される車両は電気自動車等に限定されるものではない。
【0022】
シフト装置1は、図1に示すように、シフトレバー11と、シフトゲート12と、シフト位置情報出力部13と、を含んで構成されている。
また、シフト装置1の外部には、車両コントロールユニット20と、ギアポジション切替部30と、自動変速機40と、駆動部50と、駆動始動部60と、表示部70とが備えられている。
【0023】
シフトレバー11は、直線矢印の方向にシフトゲート12を移動することができる。シフトレバー11は、運転者の操作によりシフトポジションを選択した後に解放されると、図示しないシフトレバー機構10によりホーム(H)ポジションに自動的に戻される、モーメンタリタイプのシフトレバーである。
【0024】
シフトゲート12には、自動変速機40の変速段に対応するシフトポジションとして、縦一列の上端にリバース(R 、後進)ポジション、縦一列の中央にニュートラル(N 、中立) ポジション、縦一列の下端にドライブ(D 、前進)ポジション、が設けられ、ニュートラル(N)ポジションの横には、リバース(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション、およびドライブ(D)ポジションから解放されたときにシフトレバー11が戻るホーム(H)ポジションが設けられている。
なお、リバース(R)ポジションおよびドライブ(D)ポジションは、車両を駆動する駆動位置であって、ニュートラル(N)ポジションは、車両を駆動させない非駆動位置である。
また、ホーム(H)ポジションの縦方向上部および下部には、シフトチェンジ用のプラス(+)ポジションと、マイナス(-)ポジションとが設けられている。なお、(+)ポジションと、マイナス(-)ポジションは、回生ブレーキ用のプラス(+)ポジションと、マイナス(-)ポジションとであってもよい。
【0025】
シフト位置情報出力部13は、図1に示すように、制御部131と、シフトセンサ132と、タイマ133と、を含んで構成される。
シフトセンサ132は、複数のセンサで構成され、運転者の操作するシフトレバー11の位置を検出して、この検出情報を電気信号に変換し、変換した電気信号を制御部131へ出力する。
【0026】
制御部131は、シフトセンサ132から入力を受信した電気信号に基づいてシフトポジションを判定し、判定したシフトポジションを車両コントロールユニット20に出力する。また、制御部131は、タイマ133を用いて、シフトセンサ132から入力を受信した電気信号の停滞時間を算出し、シフトレバー11のシフトポジションが運転者により選択されたのか、単に、通過しただけなのかを判別して、判定したシフトポジションに関する情報を車両コントロールユニット20に出力すべきか否かを判定する。
【0027】
車両コントロールユニット20は、シフト装置1内のシフト位置情報出力部13から出力されるシフト位置情報からシフトレバー11のポジションを特定し、車両の駆動力源である駆動部50を変速して図示しない駆動輪に伝達する自動変速機40を制御する。
【0028】
ギアポジション切替部30は、車両コントロールユニット20からのシフトレバー11のシフトポジション情報に応じて、対応するギアポジションに自動変速機40を切り換える信号を自動変速機40に出力する。例えば、車両コントロールユニット20からのシフトポジション情報から「シフトポジションがドライブ(D)」である場合には、ギアポジション切替部30は、ドライブ(D)に対応するギアポジション、いわゆる、ドライブ(D)レンジに自動変速機40を切り換える信号を自動変速機40に出力する。
【0029】
自動変速機40は、ギアポジション切替部30と電気的に連結され、ギアポジション切替部30からの指示に応じてギアポジションを変更する、また、自動変速機40は、駆動部50の動力を変速し、変速した動力を図示しない駆動輪に出力する。
【0030】
駆動部50は、エンジンやモーター等であって、エンジンおよびモーターの両方であってもよい。
【0031】
駆動始動部60は、駆動部50を始動する始動信号を出力する。例えば、車両内の運転席近傍に備えられたエンジンスタートスイッチが押下されたことに応じて、駆動始動部60は、駆動部50を始動する始動信号を出力する。
また、車両コントロールユニット20は、駆動始動部60による始動信号を入力に応じて、シフト装置1に電源を供給する。
【0032】
表示部70は、例えば、メータ内の表示パネル等であって、車両コントロールユニット20からのシフト位置情報により、リアルタイムのシフト位置情報を表示する。また、シフト装置1からの故障情報をワーニング表示する。
【0033】
<シフト装置の処理>
図2を用いて、本実施形態に係るシフト装置1の処理について説明する。
【0034】
まず、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であるのか否かを判断する(ステップS110)。
【0035】
この時、シフト装置1の制御部131が、シフト装置1が起動時ではないと判断した場合には(ステップS110の「NO」)、シフト装置1の制御部131は、シフト変更禁止モードを解除し、シフトレバー11の位置情報を車両コントロールユニット20に出力する(ステップS130)。一方で、シフト装置1の制御部131が、シフト装置1が起動時であると判断した場合には(ステップS110の「YES」)、シフト装置1の制御部131は、処理をステップS120に遷移させる。
【0036】
シフト装置1の制御部131が、シフト装置1が起動時であると判断した場合には、次に、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の位置に変化があるか否かを判断する(ステップS120)。
【0037】
シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であって、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の位置に変化があると判断した場合(ステップS120の「NO」)には、シフト変更禁止モードを解除し、シフトレバー11の位置情報を車両コントロールユニット20に出力する(ステップS130)。一方で、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であって、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の位置に変化がないと判断した場合(ステップS120の「YES」)には、シフト変更禁止モードに移行し、シフト装置1の起動時におけるシフトレバー11の位置情報を継続して、車両コントロールユニット20に出力しない(ステップS140)。
【0038】
<シフト装置の処理(1)>
図3図4を用いて、本実施形態に係るシフト装置1の処理の具体例について説明する。なお、ここでは、図4に示すように、シフト装置1の起動時におけるシフトレバー11の初期位置がリバース(R)ポジションであって、その後、シフトレバー11が選択位置としてドライブ(D)ポジションに遷移した場合を例示して説明する。なお、本実施例では、ニュートラル(N)ポジションを経由しているが、それについては、シフト装置1の処理(3)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
まず、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報を取得する(ステップS205)。
次に、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であるのか否かを判断する(ステップS210)。
【0040】
この時、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時でないと判断した場合(ステップS210の「NO」)には、ステップS205で取得した操作位置情報を選択位置情報として車両コントロールユニット20に出力する(ステップS260)。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であると判断した場合(ステップS210の「YES」)には、シフトレバー11の初期位置として、ステップS205で取得した操作位置情報から、本実施例においては、リバース(R)ポジションであることを判定する(ステップS220)。但し、この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11の位置情報を車両コントロールユニット20に出力することはしない。
【0041】
次に、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報を取得する(ステップS240)。
【0042】
そして、シフト装置1の制御部131は、取得したシフトレバー11の操作位置情報とステップS220で判定した初期値情報とを比較して、シフトレバー11が遷移したか否かを判断する(ステップS245)。この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移していないと判断した場合(ステップS245の「NO」)には、処理をステップS240に戻す。
本実施例においては、シフトレバー11が初期位置にある間は、シフト装置1の制御部131は、ステップS240において、シフトレバー11の操作位置情報としてリバース(R)ポジションを取得する。そして、当該操作位置情報とステップS220で判定した初期位置(リバース(R)ポジション)とを比較して、シフトレバー11が遷移していないと判断し、処理をステップS240に戻し、再度シフトレバー11の操作位置情報を取得する。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移したと判断した場合(ステップS245の「YES」)には、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する(ステップS250)。
本実施例において、シフトレバー11がドライブ(D)ポジションに遷移した場合、シフト装置1の制御部131は、ステップS240において、シフトレバー11の操作位置情報としてドライブ(D)ポジションを取得する。そして、当該操作位置情報とステップS220で判定した初期位置情報とを比較して、シフトレバー11が遷移したと判断する。
【0043】
そして、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていないと判断した場合(ステップS250の「NO」)には、処理をステップS240に戻す。
一方で、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていると判断した場合(ステップS250の「YES」)には、当該操作位置情報を選択位置情報(本実施例においては、ドライブ(D)ポジション)として車両コントロールユニット20に出力する(ステップS260)。
【0044】
<シフト装置の処理(2)>
図5図6を用いて、本実施形態に係るシフト装置1の処理の具体例について説明する。なお、ここでは、図6に示すように、シフト装置1の起動時におけるシフトレバー11の初期位置がシフトチェンジ用のプラス(+)ポジションであって、その後、シフトレバー11が選択位置としてホーム(H)ポジションに遷移した場合を例示して説明する。
【0045】
まず、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報を取得する(ステップS305)。
次に、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であるのか否かを判断する(ステップS310)。
【0046】
この時、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時でないと判断した場合(ステップS310の「NO」)には、ステップS305で取得した操作位置情報を選択位置情報として車両コントロールユニット20に出力する(ステップS360)。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であると判断した場合(ステップS310の「YES」)には、シフトレバー11の初期位置として、ステップS305で取得した操作位置情報から、本実施例においては、シフトチェンジ用のプラス(+)ポジションであることを判定する(ステップS320)。但し、この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11の位置情報を車両コントロールユニット20に出力することはしない。
【0047】
次に、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報を取得する(ステップS340)。
【0048】
そして、シフト装置1の制御部131は、取得したシフトレバー11の操作位置情報とステップS320で判定した初期位置情報とを比較して、シフトレバー11が遷移したか否かを判断する(ステップS345)。この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移していないと判断した場合(ステップS345の 「NO」)には、処理をステップS340に戻す。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移したと判断した場合(ステップS345の「YES」)には、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する(ステップS350)。
【0049】
そして、シフト装置1の制御部131は、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていないと判断した場合(ステップS350の「NO」)には、処理をステップS340に戻す。
一方で、シフト装置1の制御部131が、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていると判断した場合(ステップS350の「YES」)には、当該操作位置情報を選択位置情報(本実施例においては、ホーム(H)ポジション)として車両コントロールユニット20に出力する(ステップS360)。
【0050】
<シフト装置の処理(3)>
図7図8を用いて、本実施形態に係るシフト装置1の処理の具体例について説明する。なお、ここでは、図8に示すように、シフト装置1の起動時におけるシフトレバー11の初期位置がシフトチェンジ用のプラス(+)ポジションであって、その後、シフトレバー11がホーム(H)ポジションおよびニュートラル(N)ポジションを経由して、選択位置としてドライブ(D)ポジションに遷移した場合を例示して説明する。
【0051】
まず、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報を取得する(ステップS405)。
次に、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であるのか否かを判断する(ステップS410)。
【0052】
この時、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時でないと判断した場合(ステップS410の「NO」)には、ステップS405で取得した操作位置情報を選択位置情報として車両コントロールユニット20に出力する(ステップS460)。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であると判断した場合(ステップS410の「YES」)には、シフトレバー11の初期位置として、ステップS405で取得した操作位置情報から、本実施例においては、シフトチェンジ用のプラス(+)ポジションであることを判定する(ステップS420)。但し、この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11の位置情報を車両コントロールユニット20に出力することはしない。
【0053】
次に、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報(ホーム(H)ポジション)を取得する(ステップS440)。
【0054】
そして、シフト装置1の制御部131は、取得したシフトレバー11の操作位置情報とステップS420で判定した初期位置情報とを比較して、シフトレバー11が遷移したか否かを判断する(ステップS445)。この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移していないと判断した場合(ステップS445の「NO」)には、処理をステップS440に戻す。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移したと判断した場合(ステップS445の「YES」)には、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する(ステップS450)。
本実施例においては、シフトレバー11がドライブ(D)ポジションへの遷移中に経由するポジションであるホーム(H)ポジションを通過しているため、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11がホーム(H)ポジションに遷移したという操作位置情報を取得する。そして、取得した操作情報によりシフトレバー11が初期位置から遷移し、かつ、取得したシフトレバー11の操作位置情報(ホーム(H)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する。
【0055】
そして、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(ホーム(H)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていないと判断した場合(ステップS450の「NO」)には、処理をステップS440に戻す。
なお、本実施例では、ホーム(H)ポジションは、経由するポジションであるため、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(例えば、ホーム(H)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されている(ステップS450の「YES」)と判断する場合はない。
【0056】
次に、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報(ニュートラル(N)ポジション)を取得する(ステップS440)。
【0057】
そして、シフト装置1の制御部131は、取得したシフトレバー11の操作位置情報とステップS420で判定した初期位置情報(シフトチェンジ用のプラス(+)ポジション)とを比較して、シフトレバー11が遷移したか否か判断する(ステップS445)。この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移していないと判断した場合(ステップS445の「NO」)には、処理をステップS440に戻す。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移したと判断した場合(ステップS445の「YES」)には、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する(ステップS450)。
本実施例においては、シフトレバー11がドライブ(D)ポジションへ遷移中にホームポジションの次に経由するニュートラル(N)ポジションを通過しているためシフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報としてニュートラル(N)ポジションを取得する。そして、取得した操作位置情報によりシフトレバー11が初期位置から遷移し、かつ、取得したシフトレバー11の操作位置情報(ニュートラル(N)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する。
【0058】
そして、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(例えば、ニュートラル(N)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていないと判断した場合(ステップS450の「NO」)には、処理をステップS430に戻す。
なお、本実施例では、シフトチェンジ用のプラス(+)ポジションからホーム(H)ポジションおよびニュートラル(N)ポジションを経由して、選択位置としてドライブ(D)ポジションに遷移する場合を例示しているため、ニュートラル(N)ポジションは、通過するポジションである。そのため、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(ニュートラル(N)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されている(ステップS450の「YES」)と判断する場合はない。
【0059】
次に、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報(ドライブ(D)ポジション)を取得する(ステップS440)。
【0060】
そして、シフト装置1の制御部131は、取得したシフトレバー11の操作位置情報とステップS420で判定した初期位置情報(シフトチェンジ用のプラス(+)ポジション)とを比較して、シフトレバー11が遷移したか否か判断する(ステップS445)。この時、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移していないと判断した場合(ステップS445の「NO」)には、処理をステップS440に戻す。
一方で、シフト装置1の制御部131は、シフトレバー11が遷移したと判断した場合(ステップS445の「YES」)には、取得したシフトレバー11の操作位置情報がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する(ステップS450)。
本実施例においては、シフトレバー11がドライブ(D)ポジションに遷移した場合は、シフト装置1の制御部131は、センサ132からの入力信号によりシフトレバー11の操作位置情報としてドライブ(D)ポジションを取得する。そして、取得した操作位置情報によりシフトレバー11が初期位置から遷移され、かつ、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(ドライブ(D)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されているか否かを判断する。
【0061】
そして、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(ドライブ(D)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていないと判断した場合(ステップS450の「NO」)には、処理をステップS440に戻す。
【0062】
一方で、シフト装置1の制御部131が、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(ドライブ(D)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていると判断した場合(ステップS450の「YES」)には、当該操作位置情報(ドライブ(D)ポジション)を選択位置情報として車両コントロールユニット20に出力する(ステップS460)。なお、本実施例では、ドライブ(D)ポジションを操作位置とするため、シフト装置1の制御部131は、取得できたシフトレバー11の操作位置情報(ドライブ(D)ポジション)がタイマ133の計時により、所定時間以上維持されていない(ステップS450の「NO」)と判断する場合はない。
【0063】
<作用効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る基準位置及び複数の操作位置を選択可能な可動部(シフトレバー11)と、可動部(シフトレバー11)の選択位置に対応する選択位置信号を出力する制御部131と、を備えるシフト装置1は、シフト装置1の起動時に、制御部131が、可動部(シフトレバー11)の初期位置が複数の操作位置のうち、1の選択位置であり、且つ、可動部(シフトレバー11)が基準位置を経由しないで、複数の操作位置のうち、他の前記選択位置に遷移した場合に、他の選択位置に対応する選択位置信号を出力する。
【0064】
つまり、シフト装置1の起動時に、可動部(シフトレバー11)の初期位置が、例えば、リバース(R)ポジションであって、可動部(シフトレバー11)が当該初期位置(リバース(R)ポジション)からニュートラル(N)ポジションを経由しないで、他の選択位置(ドライブ(D)ポジション)に遷移した場合に、他の選択位置(ドライブ(D)ポジション)に対応する選択位置信号を出力する。
【0065】
そのため、可動部(シフトレバー11)が他の選択位置に遷移した場合に、他の選択位置に対応する選択位置信号を出力することから、運転者の意図を反映した制御を行うことが可能となる。
また、常に、基準位置(ホーム(H)ポジション)を経由することを条件としないため、素早く、運転者の意図を反映することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る基準位置及び複数の操作位置を選択可能な可動部(シフトレバー11)と、可動部(シフトレバー11)の選択位置に対応する選択位置信号を出力する制御部131と、を備えるシフト装置1は、シフト装置1の起動時に、制御部131が、可動部(シフトレバー11)の初期位置が基準位置以外の複数の操作位置であって、初期位置から基準位置に遷移した場合には、基準位置に対応する選択位置信号を出力し、且つ、可動部(シフトレバー11)の初期位置が基準位置以外の複数の操作位置であって、初期位置から基準位置を経由しないで、選択位置に遷移した場合には、選択位置に対応する選択位置信号を出力する。
【0067】
つまり、シフト装置1の起動時に、可動部(シフトレバー11)の初期位置が、例えば、シフトチェンジ用のプラス(+)ポジションであって、可動部(シフトレバー11)が当該初期位置(シフトチェンジ用のプラス(+)ポジション)からホーム(H)ポジションに遷移した場合に、基準位置に対応する選択位置(ホーム(H)ポジション)に対応する選択位置信号を出力する。
【0068】
また、シフト装置1の起動時に、可動部(シフトレバー11)の初期位置が、例えば、リバース(R)ポジションであって、可動部(シフトレバー11)が当該初期位置(リバース(R)ポジション)からニュートラル(N)ポジションを経由し、選択位置(ドライブ(D)ポジション)に遷移した場合に、選択位置(ドライブ(D)ポジション)に対応する選択位置信号を出力する。
【0069】
また、可動部(シフトレバー11)が他の選択位置に遷移した場合に、他の選択位置に対応する選択位置信号を出力することから、運転者の意図を反映した制御を行うことが可能となる。
さらに、常に、基準位置(ホーム(H)ポジション)を経由することを条件としないため、素早く、運転者の意図を反映することができる。
【0070】
以上、この発明の実施形態および実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態あるいは実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0071】
なお、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時であると判断し、可動部(シフトレバー11)が初期位置を取得したとき(図3においてステップS220)、車両コントロールユニット20に可動部(シフトレバー11)の位置情報を出力することはしない構成としているが、起動時には、可動部(シフトレバー11)の選択位置にかかわらず、選択位置情報としてパーキング(P)ポジションを出力してもよい。
また、同様に、制御部131は、可動部(シフトレバー11)が初期位置から遷移していないと判断した場合(図3においてステップS245の「NO」)、または、可動部(シフトレバー11)が所定時間以上維持されていないと判断した場合(図3においてステップS250の「NO」)には、車両コントロールユニット20に可動部(シフトレバー11)の位置情報を出力することはしないが、選択位置情報としてパーキング(P)ポジションを出力してもよい。
ここで、パーキング(P)ポジションとは、車両を駆動させない非駆動位置であって、車軸を回転不能にロックする位置である。
これらの場合、シフト装置1の起動時に、可動部(シフトレバー11)が遷移するまで、制御部131はパーキング(P)ポジションを出力するため、車両が発進することを防止することができる。
すなわち、シフト装置1の起動時に、可動部(シフトレバー11)が基準位置(ホーム(H)ポジション)以外にあっても、制御部131が、その選択位置信号を車両コントロールユニット20に出力しないため、ギアポジション切替部30が作動することはなく、例えば、シフト装置1の起動時に、可動部(シフトレバー11)がドライブ(D)ポジションにあっても、車両が発進することを防止することができる。
【0072】
また、本実施例において、制御部131は、可動部が操作位置に所定時間以上維持されていないと判断した場合(図3においてステップS250の「No」)、処理を戻し、再度操作位置情報を取得(図3においてステップS240)し、可動部(シフトレバー11)が遷移したか否か判断する(図3においてステップS245)構成としているが、処理を戻すことなく終了し、続く処理において、制御部131は、シフト装置1が起動時でない(図3においてステップS210の「NO」)と判断してもよい。この場合、制御部131は、可動部(シフトレバー11)が初期位置にある間、位置情報を出力することはしない。
また、本実施例において、制御部131は、タイマ133の計時により、可動部(シフトレバー11)が操作位置に所定時間以上維持されているか否か判断する(図3においてステップS250)構成としているが、制御部131は、この判断処理を実行することなく、維持されている時間によらず、選択位置情報を出力してもよい。
また、制御部131は、可動部(シフトレバー11)が、ゲートの端部になく経由位置となる頻度の高いニュートラル(N)ポジションにあるときのみ、所定時間以上維持されているか否かを判断してもよい。
なお、詳細な説明は省略するが、シフト装置1の制御部131は、シフト装置1が起動時でないと判断した場合(図3において、ステップS210の「NO」)、タイマ133の計時により、可動部(シフトレバー1)が操作位置に所定時間以上維持されていると判断した場合には、選択位置情報を出力してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1;シフト装置
11;シフトレバー
12;シフトゲート
13;シフト位置情報出力部
20;車両コントロールユニット
30;ギアポジション切替部
40;自動変速機
50;駆動部
60;駆動始動部
70;表示部
131;制御部
132;シフトセンサ
133;タイマ
図1
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図8