(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】二成分リン酸エステル空洞充填半硬質発泡体
(51)【国際特許分類】
C08G 59/40 20060101AFI20240912BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240912BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08G59/40
C08K3/013
C08L63/00 C
(21)【出願番号】P 2021523472
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019030831
(87)【国際公開番号】W WO2020101732
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-04-02
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス,ケビン
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-081223(JP,A)
【文献】特開平10-101836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0037695(US,A1)
【文献】特許第5648401(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K
C08L
C08J
B29B
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分系を提供する工程であって、当該二成分系はA側及びB側を含み、前記A側はエポキシを含み、前記B側はリン酸エステル、リン酸、
及び疎水性シリカを含む、二成分系を提供する工程と、
前記A側と前記B側を混合して結果として得られる反応生成物を形成する工程と、
を備えており、
前記A側と前記B側の前記結果として得られる反応生成物が50℃未満の温度で硬化する、方法であって、
前記B側は、第1のリン酸エステル及び第2のリン酸エステルからなる2つの異なるリン酸エステルを含んでおり、
前記B側は、約55重量%から約75重量%の前記第1のリン酸エステルと、約15重量%から約35重量%の前記第2のリン酸エステルと、約1重量%から約10重量%の前記リン酸と、約1重量%から約10重量%の前記疎水性シリカとを含む、方法。
【請求項2】
前記A側、前記B側、又はそれら両方は充填材を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記A側は炭酸カルシウムを含んでいる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
約10℃から約35℃の温度で硬化が起こる、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
約15℃から約25℃の温度で硬化が起こる、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記結果として得られる反応生成物の硬化時間は15分未満である、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分から約10分である、請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は硬化剤を含まない、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記結果として得られる反応生成物は少なくとも200%の体積膨張を有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記A側と前記B側は約1:4から約4:1(A側:B側)の体積混合比で混合される、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記A側と前記B側は約2:1(A側:B側)の体積混合比で混合される、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応生成物は、10分未満、5分未満、更には2分未満で完全に膨張する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
23℃での前記A側の粘度は約20,000cPから約50,000cPである、請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
23℃での前記A側の粘度は約35,000cPから約45,000cPである、請求項1乃至13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記A側は、2より高い官能性を使用することによって、無限ネットワークを作成するように官能性を増加させて調合される、請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概括的には、二成分エポキシリン酸エステルをベースとする発泡体材料に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送業界及び建築業界では様々な用途に発泡体材料が採用される頻度が高い。例えば、発泡体材料は、構造的支持、シーリング、及び音量減衰のうちの1つ又はそれ以上を提供することができる。室温活性化(例えば膨張)が所望される場合、ポリウレタンをベースとする発泡体が最もよく用いられる。ポリウレタン発泡体は多くの欠点を有し、そのうちのいくつかとして、イソシアネートを含んでいること、特定の基材に対する制限された接着能力、湿潤又は多湿の環境での貧弱な耐加水分解性、低速反応系での使用に不向きであること、分注及び発泡中の温度変化に対する高い感受性、及び調合時に混合比の高い特異性が要求されること、が挙げられる。
【0003】
ポリウレタンをベースとする発泡体の代替として、ポリマー材料における現場発泡反応のためのリン酸が利用されてきた。しかしながらリン酸は追加の懸念を招く。1つの例として、リン酸を用いた反応時間は非常に速く、発泡工程に先立ってポリマー材料を表面上に配置させるのに時間を要する組み立てプロセスにとって理想的でない。ゆえに、幾分遅い反応時間が好ましい。一部の状況では、リン酸の性質は、その低いpHとスプラッシュハザードのせいで負の健康及び安全リスクを有し得る。したがって、健康及び安全リスクの軽減された代わりの材料が好ましいであろう。また、リン酸とリン酸の反応相手となるオリゴマー材料又はポリマー材料との間には粘度に有意差がある。これは、材料の製造(例えば混合)と材料の貯蔵の両方に課題を提起する。リン酸はまた、多くのオリゴマー材料及びポリマー材料よりもはるかに低い分子量を有し、ひいてははるかに低い官能性反応基当たり分子量を有していて、それが望ましくない混合比の原因になっている。1:1又は2:1という比較的同等の混合比なら好ましいであろう。最後に、リン酸の反応特性は、多くの化学成分がリン酸とともに利用されたときに不安定になり得ることから、接着剤及びシーラントの材料を調合するのを困難にしている。接着性、物理的又は化学的な適合性、又は他の事由にとって有利となり得る様々な異なる部分(moieties)を含む能力があれば好ましいだろう。
【0004】
本明細書にあらゆる目的で参考文献として援用される国際公開第2016/149700号は、リン酸の代替としてのリン酸エステルの使用を開示している。また一方、エステルに加えていくらかの量のリン酸を添加することは、反応性の速度及び追加の官能性のうちの1つ又はそれ以上にとって有意な恩恵を提供し得る。例えば、低い温度にて反応性が所望される場合、リン酸エステルと組み合わせて或る量のリン酸を添加すれば、リン酸エステル単独の使用と比べて反応の速度を高めることができるだろう。別の例として、リン酸の添加は発泡体材料へ多官能性を付与して発泡体の崩壊を防止することができるだろう。その様な崩壊は、リン酸エステルと金属炭酸塩との反応(材料の平均官能性を下げる)のせいで起こることがある。リン酸の添加は、効果的に、金属炭酸塩とリン酸エステルの間の反応を補償し、それにより発泡体の崩壊を最小限に抑える。
【0005】
上記教示にもかかわらず、改善された発泡体材料の必要性が依然として存在する。室温硬化を提供する発泡体材料の必要性が存在する。既知の発泡体材料に比較して下げた温度での膨張及び架橋を提供する発泡体材料の必要性が存在する。広範に様々な基材への接着性を提供する発泡体材料の必要性が存在する。追加の成分の必要性なしに硬化と発泡の両方を可能にする成分を利用した発泡体材料の必要性が存在する。発火、発煙、及び毒性(FST)についての所望の特性を提供し、しかもそれらの特性を付与するにあたり望ましくない作用剤の使用を排除した発泡体材料の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本教示は上述の恩恵の1つ又はそれ以上を提供する。本教示の発泡体材料は、以下のもの、即ち、空洞充填、シーリング、補強、又は緩衝のうちの1つ又はそれ以上のために利用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本教示は、二成分系を提供する工程であって、二成分系はA側及びB側を含み、A側はエポキシ材料を含み、B側はリン酸エステル及びリン酸を含む、二成分系を提供する工程と、A側とB側を混合して結果として得られる反応生成物を形成する工程と、を備える方法において、A側とB側の結果として得られる反応生成物が50度未満の温度で硬化する、方法を提供する。
【0009】
B側は1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含んでもよい。A側、B側、又はそれら両方は、1つ又はそれ以上の充填材及び/又は1つ又はそれ以上の補強性材料を含んでもよい。A側は1つ又はそれ以上の金属炭酸塩を含んでもよい。
【0010】
発泡及び硬化反応は約10℃から約35℃の温度で起こり得る。形成及び硬化反応はより高い温度又はより低い温度で起こり得る。発泡の程度は、発泡及び硬化が起こる温度に依存して変わり得る。発泡及び硬化反応は約15℃から約25℃の温度で起こり得る。
【0011】
結果として得られる反応生成物の硬化時間は15分未満であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分から約10分であり得る。硬化時間は30分以下であり得る。硬化時間は60分以下であり得る。発泡時間は、10分以下、5分以下、更には1分以下であり得る。発泡時間は硬化を完了するための時間より短いだろう。方法は何れの追加の硬化剤も不含とすることができる。結果として得られる反応生成物は少なくとも200%の体積膨張を有し得る。
【0012】
リン酸はリン酸エステルの調製後に添加されてもよい。A側とB側は約1:4から約4:1(A側:B側)の体積混合比で混合されてもよい。A側とB側は約2:1(A側:B側)の体積混合比で混合されてもよい。反応生成物は、10分未満、5分未満、更には2分未満で完全に膨張し得る。方法は、リン酸の第2の量を添加する工程を含んでもよい。23℃でのA側の粘度は約20,000cPから約50,000cPであってもよい。23℃でのA側の粘度は約35,000cPから約45,000cPであってもよい。A側は、2より高い官能性を使用することによって、無限ネットワークを作成するように官能性を増加させて調合されることができる。
【0013】
本開示は、更に、a)エポキシ材料を含む第1の成分;b)リン酸エステル及びリン酸を含む第2の成分、を備える組成物を提供する。第1の成分と第2の成分の結果として得られる反応生成物は50℃未満の温度で硬化する。
【0014】
第2の成分は少なくとも1つのリン酸エステルを含んでもよい。第2の成分は少なくとも2つの異なるリン酸エステルを含んでもよい。第1の成分、第2の成分、又はそれら両方は、1つ又はそれ以上の充填材及び/又は1つ又はそれ以上の補強性材料を含んでもよい。第1の成分は炭酸カルシウムを含んでもよい。
【0015】
硬化温度(例えば、材料が硬化し始める温度又は材料が硬化を完了する温度)は約10℃から約35℃であってもよい。硬化温度は約15℃から約25℃であってもよい。
【0016】
結果として得られる反応生成物の硬化時間は15分未満であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分から約10分であり得る。結果として得られる反応生成物は少なくとも200%の体積膨張を有し得る。
【0017】
A側とB側は約1:4から約4:1(A側:B側)の体積混合比にあってもよい。A側とB側は約2:1(A側:B側)の体積混合比にあってもよい。反応生成物は、10分未満、5分未満、更には2分未満で完全に膨張し得る。組成物はリン酸の第2の量を含んでもよい。23℃でのA側の粘度は約20,000cPから約50,000cPであってもよい。23℃でのA側の粘度は約35,000cPから約45,000cPであってもよい。A側は、2より高い官能性を使用することによって、無限ネットワークを作成するように官能性を増加させて調合されることができる。
【0018】
本教示は、更に、a)第1の成分であって、i)液体エポキシ樹脂;ii)可撓性エポキシ樹脂;iii)エポキシフェノールノボラック樹脂;iv)脂肪族多官能性エポキシ樹脂;v)炭酸カルシウム;vi)ウォラストナイト;及びvii)疎水性シリカのうちの1つ又はそれ以上を含む第1の成分と、b)第2の成分であって、i)第1のリン酸エステル;ii)第2のリン酸エステル;iii)疎水性シリカ;及びiv)リン酸のうちの1つ又はそれ以上を含む第2の成分と、を備え、第1の成分と第2の成分の結果として得られる反応生成物が50℃未満の温度で硬化する、組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本教示は、ここに説明される改善されたデバイス及び方法によって上記の必要性の1つ又はそれ以上を満たす。本明細書に提示されている解説及び例示は、当業者に本教示、その原理、及びその実践的適用に習熟してもらうことを意図している。当業者は本教示を特定の使用の必要条件に最も適切であり得る数多くの形態に適合させ適用することができる。したがって、示されている本教示の特定の実施形態は網羅的であろうとする意図もなければ本教示を限定する意図もない。ゆえに本教示の範囲は、以上の記述を参照して確定されるのではなく、代わりに付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。更に、付随の特許請求の範囲から収集され得るところの他の組合せが実施可能であり、その様な組合せもまたこれによりこの書面による記述へ参照により組み入れられる。
【0020】
本願は、2018年11月15日出願の米国仮特許出願第62/767543号の出願日の恩典を主張し、同仮出願の内容をあらゆる目的で参照により本明細書に援用する。
【0021】
本教示は、A側とB側を含む二成分系を提供する工程、を備える方法を提供する。A側はエポキシを含み、B側はリン酸エステル及び随意的にはリン酸を含む。A側とB側は混合されて結果として得られる反応生成物を形成することができる。A側とB側の結果として得られる反応生成物は50℃未満の温度で硬化する。
【0022】
二成分系のうちの少なくとも一方の成分はリン酸エステルを含んでもよい。リン酸エステルは、リン酸と様々なエポキシド官能性モノマーの反応によって生成され得るが、他の調製方法も実施可能である。リン酸エステルは、リン酸エピクロロヒドリンを生成するためのエポキシ化されたカシューナッツ液(CNSL)ポリマーの反応によって生成されてもよい。リン酸エステルは、1,2-プロパンジオール,3-[(2-エチルヘキシ)オキシル]-ホスフェートを生成するのに使用され得る。
【0023】
二成分系のうちの少なくとも一方の成分は1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含んでもよい。二成分系のうちの少なくとも一方の成分は厳密に2つの異なるリン酸エステルを含んでもよい。例えば、第2の成分又はB側が、第1のリン酸エステル及び第2のリン酸エステルを含んでもよい。第1のリン酸エステルは、リン酸エステルを生成するためのエポキシ化カシューナッツ液(CNSL)ポリマーの反応生成物であってもよい。第2のリン酸エステルは、2-プロパンジオール,3-[(2-エチルヘキシ)オキシル]-ホスフェートの反応生成物であってもよい。
【0024】
第1のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約55重量%から約75重量%の量で存在してもよい。第1のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約60重量%から約70重量%の量で存在してもよい。第1のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約60重量%の量で存在してもよい。第1のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約65重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約15重量%から約35重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約20重量%から約30重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約25重量%の量で存在してもよい。第2のリン酸エステルは、第2の成分又はB側の約28重量%の量で存在してもよい。
【0025】
二成分系のうちの少なくとも一方の成分はリン酸を含んでもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含む成分は更にリン酸を含んでいるのが好ましい。例えば、第2の成分又はB側は1つ又はそれ以上のリン酸エステル及びリン酸を含んでもよい。B側へのリン酸の添加は、結果として得られる反応生成物の膨張(例えば発泡)増加及び/又は反応時間減少をもたらすことができるだろう。反応時間はリン酸の諸濃度の使用によって調節され得る。B側へのリン酸の添加は、温度が23℃より下であるときの膨張及び硬化の所望レベルを維持するのに役立つように系の反応性を高めることができる。
【0026】
リン酸はオルトリン酸であってもよい。リン酸はポリリン酸であってもよい。リン酸は85%水溶液であってもよい。リン酸は第2の成分又はB側の約1重量%から約10重量%の量で存在してもよい。リン酸は第2の成分又はB側の約5重量%から約8重量%の量で存在してもよい。
【0027】
硬化及び/又は発泡は40℃未満の温度で起こり得る。硬化及び/又は発泡は30℃未満の温度で起こり得る。硬化及び/又は発泡は20℃未満の温度で起こり得る。硬化及び/又は発泡は約10℃から約35℃の温度で起こり得る。硬化及び/又は発泡は室温(例えば、約15℃から約25℃の温度)で起こり得る。硬化及び/又は発泡は約23℃の温度で起こり得る。硬化及び/又は発泡は約10℃の温度で起こり得る。
【0028】
本開示は、他の硬化剤/硬化系に比べて、(例えば、大気温度又は室温にて)刺激を加えることなしに起こる相対的に速い硬化及び/又は発泡時間を達成する。例えば、結果として得られる反応生成物の硬化時間は75分未満であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は50分未満であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は30分未満、更には約20分未満であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分から約20分であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約10分であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約7分であり得る。結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分であり得る。
【0029】
結果として得られる反応生成物の完全硬化前に発泡が始まることになるだろう。結果として得られる反応生成物の発泡時間は30分未満、更には約20分未満であり得る。結果として得られる反応生成物の発泡時間は約30秒から約10分であり得る。結果として得られる反応生成物の発泡時間は約5分であり得る。結果として得られる反応生成物の発泡時間は約7分であり得る。
【0030】
本明細書に記載の発泡体材料は、更に、1つ又はそれ以上のエポキシ樹脂を含有するエポキシベースの材料を含んでもよい。エポキシ樹脂は、本明細書では、少なくとも1つのエポキシ官能基を含有する従来のダイマー、オリゴマー、又はポリマーエポキシ材料の何れかを意味するものとして用いられる。また、エポキシ樹脂という用語は、1つのエポキシ樹脂を表すのに使用されることもあれば複数のエポキシ樹脂の或る組合せを表すのに使用されることもある。エポキシは、脂肪族、脂環族、芳香族などであってもよい。エポキシは、固体として(例えば、ペレット、塊、細片などとして)供給されてもよいし、又は液体として(例えば、液体エポキシ樹脂として)供給されてもよい。本明細書での使用に際し、別途言及のない限り、樹脂はそれが23℃の温度にて固体であるなら固体樹脂であり、23℃の温度にて液体であるなら液体樹脂である。エポキシ樹脂の少なくとも一部は液体エポキシ樹脂であってもよい。固体エポキシが使用されるためには、典型的にはそれを液体樹脂中に溶解させることが必要になるだろう。
【0031】
本明細書に記載の発泡体材料は液体エポキシ樹脂を含んでもよい。液体エポキシ樹脂は、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。液体エポキシ樹脂はエピクロロヒドリンとビスフェノールAの液体反応生成物であってもよい。液体エポキシ樹脂は、ASTM D-1652にしたがって測定して約82から約192のエポキシド当量(g/eq)を有してもよい。液体エポキシ樹脂は約20から約25のエポキシドパーセンテージを有してもよい。液体エポキシ樹脂は、ASTM D-445にしたがって測定して25℃にて11000~14000mPa・sの粘度を有してもよい。1つの好適な液体エポキシ樹脂がD.E.R.(商標)331の商標名で販売されている。
【0032】
液体エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約10重量%から約30重量%の量で存在してもよい。液体エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約15重量%から約25重量%の量で存在してもよい。液体エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約20重量%の量で存在してもよい。
【0033】
本明細書に記載の発泡体材料は可撓性エポキシ樹脂を含んでもよい。可撓性成分を含むことは弾性率(modulus)を下げ又は破損ひずみ(strain to failure)を増加させる可能性がある。可撓性エポキシ樹脂は、粘度改質剤として作用することによって発泡体の気体閉じ込め能力を改善することができる。可撓性エポキシ樹脂は、本教示の二成分系の第1の成分又はA側に存在してもよい。可撓性エポキシ樹脂は二官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂であってもよい。可撓性エポキシ樹脂はカシューナッツ殻液(CNSL)から取得されるカルダノールから誘導された二官能性エポキシであってもよい。可撓性エポキシ樹脂は、ASTM D-1652-97にしたがって約350から約500のエポキシド当量(EEW)を有してもよい。可撓性エポキシ樹脂は、ASTM D2196にしたがって測定して25℃にて10000~35000cPの粘度を有してもよい。或る例示としての可撓性エポキシ樹脂が、ニュージャージー州モンマス・ジャンクションのカードライト・コーポレイション(Cardolite Corporation)社から商業的に入手可能なCardolite NC-514の商標名で販売されている。
【0034】
可撓性エポキシ樹脂は、存在する場合、第1の成分又はA側の約5重量%から約25重量%の量で存在してもよい。可撓性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約10重量%から約20重量%の量で存在してもよい。可撓性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約15重量%の量で存在してもよい。可撓性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、更には少なくとも約15重量%の量で存在してもよい。可撓性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約50重量%未満、約30重量%未満、更には約25重量%未満の量で存在してもよい。
【0035】
本明細書に記載の発泡体材料は、更に、エポキシフェノールノボラック樹脂を含んでもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。第1の成分又はA側は、第1のエポキシフェノールノボラック樹脂及び第2のエポキシフェノールノボラック樹脂を含んでもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、ASTM D-1652にしたがって測定して約165から約178のエポキシド当量(g/eq)を有してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、ASTM D-1652にしたがって測定して約171から約183のエポキシド当量(g/eq)を有してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、約2.6から約3.6の平均エポキシ官能性を有してもよい。例えば、第1のエポキシフェノールノボラック樹脂が約2.6のエポキシ官能性を有し、第2のエポキシフェノールノボラック樹脂が約3.6のエポキシ官能性を有してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は25℃にて18000~28000cPの粘度を有してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は52℃にて20000~30000cPの粘度を有してもよい。好適な可撓性エポキシ樹脂が、ニュージャージー州モアズタウンのCVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社から商業的に入手可能なEpalloy8250及びEpalloy8330の商標名で販売されている。
【0036】
エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約1重量%から約45重量%の量で存在してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約5重量%から約35重量%の量で存在してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約10重量%から約20重量%の量で存在してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約15重量%の量で存在してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約35重量%から約40重量%の量で存在してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、更には少なくとも約30重量%の量で存在してもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、第1の成分又はA側の約70重量%未満、約50重量%未満、更には約30重量%未満の量で存在してもよい。
【0037】
発泡体材料は脂肪族多官能性エポキシ樹脂を含んでもよい。脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。脂肪族多官能性エポキシ樹脂はエポキシ化ソルビトールであってもよい。脂肪族多官能性エポキシ樹脂はASTM D-1652にしたがって測定して約160から約195のエポキシド当量(g/eq)を有してもよい。脂肪族多官能性エポキシ樹脂は25℃にて8000~18000cPの粘度を有してもよい。1つの好適な脂肪族多官能性エポキシ樹脂が、ニュージャージー州モアズタウンのCVCサーモセット・スペシャルティーズ(CVC Thermoset Specialties)社から商業的に入手可能なErisys GE-60の商標名で販売されている。
【0038】
脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約15重量%から約35重量%の量で存在してもよい。脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約20重量%から約30重量%の量で存在してもよい。脂肪族多官能性エポキシ樹脂は、第1の成分又はA側の約20重量%から約25重量%の量で存在してもよい。
【0039】
本明細書に記載のA側成分のうちの1つ又はそれ以上がA側へ追加の官能性を付与するということが実施可能である。B側は、少なくとも部分的には、B側のリン酸及び酸エステルの少なくともいくらかを利用して塩として形成され得る。これは本質的にB側の反応官能性を下げる。この低減された官能性を補償しようとの努力において、A側は、2より高い官能性を使用することによって、無限ネットワークを作成するように官能性を増加させて調合されてもよい。
【0040】
発泡体材料は金属炭酸塩を含んでもよい。発泡体材料は炭酸カルシウムを含んでもよい。炭酸カルシウムは、1つ又はそれ以上の炭酸カルシウム充填材として存在し、低い金属炭酸塩濃度を有する鉱物充填材から導入されてもよい。1つ又はそれ以上の炭酸カルシウム充填材は、約3ミクロンから約25ミクロンの中央粒径を有してもよい。炭酸カルシウムは中微粉砕(medium fine ground)であってもよい。例えば、炭酸カルシウムの中央粒径は約22ミクロンであってもよい。好適な中微粉砕炭酸カルシウムの一例が、ジョージア州アトランタのフーバー・エンジニアード・マテリアル(Huber Engineered Material)社から商業的に入手可能なHubercarb(登録商標)Q200である。炭酸カルシウムは微粒子径(fine particle size)であってもよい。例えば、炭酸カルシウムの中央粒径は4ミクロンであってもよい。好適な微粒子径の炭酸カルシムの一例は、ジョージア州アトランタのフーバー・エンジニアード・マテリアル(Huber Engineered Material)社から商業的に入手可能なHubercarb(登録商標)Q4である。
【0041】
炭酸カルシウムは、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。炭酸カルシウムは、第1の成分又はA側の40重量%未満、第1の成分又はA側の約10重量%から約30重量%の間、更には第1の成分又はA側の約15重量%から約25重量%の間の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは第1の成分又はA側の約20重量%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、第1の成分又はA側の少なくとも約5重量%、第1の成分又はA側の少なくとも約10重量%、更には第1の成分又はA側の少なくとも約15重量%の量で存在してもよい。炭酸カルシウムは、第1の成分又はA側の約60重量%未満、第1の成分又はA側の約45重量%未満、更には第1の成分又はA側の約30重量%未満の量で存在してもよい。
【0042】
第1の成分又はA側は、約10重量%から約20重量%の中微粉砕炭酸カルシウムを含んでもよい。第1の成分又はA側は約15重量%の中微粉砕炭酸カルシウムを含んでもよい。第1の成分又はA側は約2重量%から約9重量%の微粒子径の炭酸カルシウムを含んでもよい。第1の成分又はA側は約5重量%から約7重量%の微粒子径の炭酸カルシウムを含んでもよい。第1の成分又はA側は約15重量%の中微粉砕炭酸カルシウムと約5重量%の微粒子径の炭酸カルシウムを含んでもよい。例えば、第1の成分又はA側中の中微粉砕炭酸カルシウムの割合と微粒子径の炭酸カルシウムの割合は約3:1であってもよい。
【0043】
炭酸カルシウムは、材料の膨張を遅らせる又は低速化しようとの努力において、被覆を含むか又は特定のサイズ(例えば、より大きいサイズ)が選択されてもよい。被覆は活性化/膨張プロセス中に分解してゆく何れの材料であってもよい。被覆は、ワックス、脂肪酸、又はそれらの組合せであってもよい。
【0044】
発泡体材料は1つ又はそれ以上の鉱物を含んでもよい。鉱物の個々の結晶又は結晶群の特徴的外部形状は針状又は針様であってもよい。鉱物の中央粒径は約10μmから約20μmであってもよい。
【0045】
発泡体材料は、ウォラストナイト又はケイ酸カルシウムの様な補強材料を含んでもよい。ウォラストナイトは比較的純粋なCaSiO3であってもよい。ウォラストナイトは、鉱物構造中のカルシウムを置換する鉄、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、カリウム、ナトリウム、又はストロンチウムのうちの1つ又はそれ以上を含有してもよい。ウォラストナイトの中央粒径は約18μmであってもよい。ウォラストナイトの中央粒径は約12μmであってもよい。好適なウォラストナイトが、ニューヨーク州ウィルズボロのNYCOミネラルズInc.(NYCO Minerals Inc.)社から商業的に入手可能なNYGLOS(登録商標)12及びNYGLOS(登録商標)8の商標名で販売されている。
【0046】
ウォラストナイトは、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。ウォラストナイトは、第1の成分又はA側の約1重量%から約10重量%の量で存在してもよい。ウォラストナイトは、第1の成分又はA側の約3重量%から約7重量%の量で存在してもよい。ウォラストナイトは、第1の成分又はA側の約5重量%の量で存在してもよい。
【0047】
膨張プロセスを低速化し又は遅らせるための更に別の手段として、金属炭酸塩濃度を含むがだからといって金属炭酸塩を単独で備えているわけではない無機複合体が含まれてもよい。
【0048】
発泡体材料は疎水性シリカを含んでもよい。疎水性シリカはヒュームにされたものであってもよい。フュームドシリカはポリジメチルシロキサンで表面処理されてもよい。疎水性シリカは、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。疎水性シリカは、本教示の二成分系の第2の成分又はB側の部分として存在してもよい。疎水性シリカは、本教示の二成分系の第1の成分又はA側と第2の成分又はB側の両方の部分として存在してもよい。好適な疎水性シリカが、ニュージャージー州パルシパニのエボニック・コーポレイション(Evonik Corporation)社から商業的に入手可能なAEROSIL(登録商標)R202の商標名で販売されている。
【0049】
疎水性シリカは、第1の成分又はA側の約0.25重量%から約2重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、第1の成分又はA側の約0.5重量%から約1.5重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、第1の成分又はA側の約1重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、第2の成分又はB側の約1重量%から約10重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、第2の成分又はB側の約1重量%から約8重量%の量で存在してもよい。疎水性シリカは、第2の成分又はB側の約6重量%の量で存在してもよい。例えば、第1の成分又はA側中の疎水性シリカの第2の成分又はB側に対する比は約1:10から約10:1であってもよい。第1の成分又はA側中の疎水性シリカの第2の成分又はB側に対する比は1:6であってもよい。
【0050】
発泡体材料は焼成カオリン粘土を含んでもよい。粘土を金属炭酸塩で不純化することも発泡(例えば膨張)プロセスを刺激し得る。焼成カオリン粘土は、本教示の二成分系の第1の成分又はA側の部分として存在してもよい。焼成カオリン粘土は、第1の成分又はA側の約0.25重量%から約5重量%の量で存在してもよい。焼成カオリン粘土は、第1の成分又はA側の約1重量%の量で存在してもよい。焼成カオリン粘土は1.3μmの平均粒径(平均ストークス相当径)を有してもよい。焼成されたカオリン粘土は3.2μmの平均粒径(中央値マルバーンレーザー(median malvern laser))を有してもよい。好適な焼成カオリン粘土が、ジョージア州メーコンのKaMin(登録商標)LLC社から商業的に入手可能なKaMin(登録商標)70Cの商標名で販売されている。
【0051】
B側は1つ又はそれ以上のリン酸エステルを含んでもよい。B側はリン酸を含んでもよい。B側は粘度を改質するための材料を含んでもよい。粘度を改質するための材料はシリカベースの材料であってもよい。1つ又はそれ以上のリン酸エステルは、以下に示されている様に、モノ-エステル、ジ-エステル、又はトリ-エステルから選択され得る。
【化1】
【0052】
1つ又はそれ以上のエステルは、追加の成分と組み合わされる前に、A側成分と単独で組み合わされてもよいし、又はリン酸と混合されてもよい。1つ又はそれ以上のエポキシド官能性材料とリン酸との結果として生じる反応が以下に描かれている。
【化2】
【化3】
【化4】
【0053】
23℃でのA側の粘度は、約20,000cPから約50,000cP、更には約35,000cPから45,000cPであってもよい。10℃でのA側の粘度は、約280,000cPから350,000cP、更には約300,000cPから約325,000cPであってもよい。23℃でのB側の粘度は、約20,000cPから約50,000cP、更には約35,000cPから約45,000cPであってもよい。10℃でのB側の粘度は、約130,00cPから約220,000cP、更には約175,000cPから195,000cPであってもよい。
【0054】
本教示の1つの非限定的な実施形態では、発泡体材料は、第1の成分又はA側中に、次のもの、即ち:液体エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、エポキシフェノールノボラック樹脂、脂肪族多官能性エポキシ樹脂、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、及び疎水性シリカ、のうちの1つ又はそれ以上を含んでもよい。発泡体材料は、第2の成分又はB側中に、次のもの、即ち:リン酸エステル、疎水性シリカ、及びリン酸、のうちの1つ又はそれ以上を含んでもよい。1つの非限定的な実施形態では、本教示は、a)第1の成分であって、i)液体エポキシ樹脂;ii)可撓性エポキシ樹脂、iii)エポキシフェノールノボラック樹脂;iv)脂肪族多官能性エポキシ樹脂;v)炭酸カルシウム;vi)ウォラストナイト;及びvii)疎水性シリカを含む第1の成分と、b)第2の成分であって、i)第1のリン酸エステル;ii)第2のリン酸エステル;iii)疎水性シリカ;及びiv)リン酸を含む第2の成分と、を備え、第1の成分と第2の成分の結果として得られる反応生成物が50℃未満の温度で硬化する、組成物を提供する。
【0055】
発泡体材料は、組成物の1つ又はそれ以上の様々な特性を改善するための1つ又はそれ以上の添加剤(例えば、官能性添加剤)を含んでもよい。例として、添加剤には、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、カップリング剤、硬化剤、難燃剤、発泡剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、潤滑剤、可塑剤、防腐剤、処理助剤、及び安定剤、並びにそれらの組合せなどを挙げることができる。
【0056】
本教示による或る非限定的な例としての調合が下表1に提供されている。
【0057】
【0058】
表2は、本教示による調合の硬化温度23℃及び10℃での技術データを提供している。
【0059】
【0060】
本教示による調合の追加の実施例が下表3に提供されている。
【0061】
【0062】
表3に描かれている様に、B側への85%リン酸の添加は、膨張増加をもたらし、温度が23℃より下のときに所望の膨張レベルを維持するのに役立つ。
【0063】
本教示の二成分系は、並列型カートリッジ、ペール、及びドラムとして提供されてもよい。2つの成分の結果として得られる反応生成物は50℃未満の温度で硬化し、多くの基材に対する優れた接着性並びに速い硬化時間をもたらす。
【0064】
本明細書の教示の使用は、14C.F.R.の25.853及び14C.F.R.の25.856(客室内装についての米国運輸省連邦規則集、限定するわけではないが14C.F.R.の25.853(a)並びに参照補遺F及びその中で参照される手続きを含む)に示されている難燃性を実証するための要件のうちの1つ又はそれ以上を満たす(例えば垂直燃焼及び/又は煙密度要件(又は何か他の要件)を満たす)のに十分な難燃性を呈する材料をもたらすことができ、上記規則集条項は何れも参照によりあらゆる目的で本明細書に援用される。
【0065】
本明細書での使用に際し、別段の言及のない限り、教示は、属(リスト)の何れかの員が属から除外されること及び/又はマーカッシュグルーピングの何れかの員がグルーピングから除外されることもあり得るものと想定している。
【0066】
別段の言及のない限り、本明細書に記載されている何れかの数的値は、何れかの下位値と何れかの上位値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを前提に、下位値から上位値までのすべての値を1単位の増分で含む。一例として、成分の量、特性、又はプロセス変数の値、例えば温度、圧力、時間などが、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると述べられている場合、中間範囲の値(例えば15~85、22~68、43~51、30~32など)は本明細書の教示の範囲内にあるものとする。同様に、個々の中間値も本教示の範囲内である。1未満の値については、1単位は、それ相応に0.0001、0.001、0.01、又は0.1であるものと考えられる。これらは、何が具体的に意図されているかの一例にすぎず、列挙されている最も低い値と最も高い値との間の数的値のすべての実施可能な組合せが、同様のやり方で、本出願内で明示的に述べられているものと見なされる。見て分かる様に、本明細書での「重量部」として表されている量の教示は更に、同じ範囲が重量%の用語で表されることも企図している。したがって、「結果として得られる組成物の「少なくとも「x」重量部」のという用語での範囲的な表現はまた、同じ記載された量「x」について、結果として得られる組成物の重量%での範囲の教示も企図している。
【0067】
別段の言及のない限り、すべての範囲は、両方の終点及び終点間のすべての数を含む。範囲に関連しての「約」又は「近似的」の使用は範囲の両端へ適用される。したがって、「約20~30」は、少なくとも指定された終点を含めて「約20~約30」をカバーすることを意図している。別段の言及のない限り、数的量と組み合わされた「約」又は「近似的」という用語を用いた教示は、記載された量はもとより記載された量の近似値の教示も網羅する。一例として、「約100」という教示は「100」という教示を網羅する。
【0068】
特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。組合せを記述するための「本質的に○○から成る」という用語は、識別されている要素、原料、成分、又は工程、並びに組合せの基本的で新規性のある特性に実質的に影響を及ぼさないその様な他の要素、原料、成分、又は工程を含むものとする。本明細書での、要素、原料、成分、又は工程の組合せを記述するための「○○を備える」又は「○○を含む」という用語の使用は、当該の要素、原料、成分、又は工程から成る又は本質的に成る実施形態も想定している。
【0069】
複数の要素、原料、成分、又は工程は、単一の一体化された要素、原料、成分、又は工程によって提供されることもできる。代替的に、単一の一体化された要素、原料、成分、又は工程が、別々の複数の要素、原料、成分、又は工程へ分割されることもあり得る。要素、原料、成分、又工程を記述するための原文の「a」又は「one」の対訳である「或る」又は「1つの」という開示は、追加の要素、原料、成分、又は工程を排除することを意図していない。
【0070】
本願発明の実施態様は、例えば、以下のとおりである。
[実施態様1]
二成分系を提供する工程であって、当該二成分系はA側及びB側を含み、前記A側はエポキシを含み、前記B側はリン酸エステル及びリン酸を含む、二成分系を提供する工程と、
前記A側と前記B側を混合して結果として得られる反応生成物を形成する工程と、
を備える方法において、
前記A側と前記B側の前記結果として得られる反応生成物が50℃未満の温度で硬化する、方法。
[実施態様2]
前記B側は2つの異なるリン酸エステルを含んでいる、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記A側、前記B側、又はそれら両方は充填材を含んでいる、実施態様1又は実施態様2に記載の方法。
[実施態様4]
前記A側は炭酸カルシウムを含んでいる、実施態様1乃至3の何れか一項に記載の方法。
[実施態様5]
約10℃から約35℃の温度で硬化が起こる、実施態様1乃至4の何れか一項に記載の方法。
[実施態様6]
約15℃から約25℃の温度で硬化が起こる、実施態様1乃至5の何れか一項に記載の方法。
[実施態様7]
前記結果として得られる反応生成物の硬化時間は15分未満である、実施態様1乃至6の何れか一項に記載の方法。
[実施態様8]
前記結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分から約10分である、実施態様1乃至7の何れか一項に記載の方法。
[実施態様9]
前記方法は硬化剤を含まない、実施態様1乃至8の何れか一項に記載の方法。
[実施態様10]
前記結果として得られる反応生成物は少なくとも200%の体積膨張を有する、実施態様1乃至9の何れか一項に記載の方法。
[実施態様11]
前記リン酸は前記リン酸エステルの調製後に添加される、実施態様1乃至10の何れか一項に記載の方法。
[実施態様12]
前記A側と前記B側は約1:4から約4:1(A側:B側)の体積混合比で混合される、実施態様1乃至11の何れか一項に記載の方法。
[実施態様13]
前記A側と前記B側は約2:1(A側:B側)の体積混合比で混合される、実施態様1乃至12の何れか一項に記載の方法。
[実施態様14]
前記反応生成物は、10分未満、5分未満、更には2分未満で完全に膨張する、実施態様1乃至13の何れか一項に記載の方法。
[実施態様15]
前記方法はリン酸の第2の量を添加する工程を含む、実施態様1乃至14の何れか一項に記載の方法。
[実施態様16]
23℃での前記A側の粘度は約20,000cPから約50,000cPである、実施態様1乃至15の何れか一項に記載の方法。
[実施態様17]
23℃での前記A側の粘度は約35,000cPから約45,000cPである、実施態様1乃至16の何れか一項に記載の方法。
[実施態様18]
前記A側は、2より高い官能性を使用することによって、無限ネットワークを作成するように官能性を増加させて調合される、実施態様1乃至17の何れか一項に記載の方法。
[実施態様19]
組成物であって、
a)エポキシを含む第1の成分と、
b)リン酸エステル及びリン酸を含む第2の成分と、を備え、
前記第1の成分と前記第2の成分から結果として得られる反応生成物が50℃未満の温度で硬化する、組成物。
[実施態様20]
前記第2の成分は少なくとも2つの異なるリン酸エステルを含んでいる、実施態様19に記載の組成物。
[実施態様21]
前記第1の成分、前記第2の成分、又はそれら両方は充填材を含んでいる、実施態様19又は実施態様20に記載の組成物。
[実施態様22]
前記第1の成分は炭酸カルシウムを含んでいる、実施態様19から実施態様21の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様23]
前記硬化温度は約10℃から約35℃である、実施態様19から実施態様22の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様24]
前記硬化温度は約15℃から約25℃である、実施態様19から実施態様23の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様25]
前記結果として得られる反応生成物の硬化時間は15分未満である、実施態様19から実施態様24の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様26]
前記結果として得られる反応生成物の硬化時間は約5分から約10分である、実施態様19から実施態様25の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様27]
前記結果として得られる反応生成物は少なくとも200%の体積膨張を有する、実施態様19から実施態様26の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様28]
前記A側と前記B側は約1:4から約4:1(A側:B側)の体積混合比にある、実施態様19から実施態様27の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様29]
前記A側と前記B側は約2:1(A側:B側)の体積混合比にある、実施態様19から実施態様28の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様30]
前記反応生成物は、10分未満、5分未満、更には2分未満で完全に膨張する、実施態様19から実施態様29の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様31]
リン酸の第2の量、を含んでいる実施態様19から実施態様30の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様32]
23℃での前記A側の粘度は約20,000cPから約50,000cPである、実施態様19から実施態様31の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様33]
23℃での前記A側の粘度は約35,000cPから約45,000cPである、実施態様19から実施態様32の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様34]
前記A側は、2より高い官能性を使用することによって、無限ネットワークを作成するように官能性を増加させて調合される、実施態様19から実施態様33の何れか一項に記載の組成物。
[実施態様35]
組成物であって、当該組成物は、
a)第1の成分であって、
i)液体エポキシ樹脂、
ii)可撓性エポキシ樹脂、
iii)エポキシフェノールノボラック樹脂、
iv)脂肪族多官能性エポキシ樹脂
v)炭酸カルシウム、
vi)ウォラストナイト
vii)疎水性シリカ、を含む第1の成分と、
b)第2の成分であって、
i)第1のリン酸エステル、
ii)第2のリン酸エステル、
iii)疎水性シリカ
iv)リン酸、を含む第2の成分と、を備え、
前記第1の成分と前記第2の成分から結果として得られる反応生成物が50℃未満の温度で硬化する、組成物。
以上の記述は説明を目的としており制限を課そうとするものではないことが理解される。当業者には、上記説明が読まれ次第、提供されている実施例の他にも多くの実施形態並びに多くの適用が明らかとなろう。したがって、本発明の範囲は、上記説明を参照して確定されるべきではなく、代わりに、付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。付随の特許請求の範囲での、本明細書に開示されている主題の何れかの態様の省略は、その様な主題の放棄でもないし、そのことで本発明者らがその様な主題を開示されている発明の主題の一部であると認めていないと解釈されてもならない。