(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】処理装置、マッチング方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240912BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
(21)【出願番号】P 2019146844
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-02-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】町田 亮一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田上 誠二
(72)【発明者】
【氏名】村井 環
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健太郎
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】安井 雅史
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-166666(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078750(WO,A1)
【文献】再生可能エネルギーを活用した新たなサービスの展開について~FIT制度にもとづく買取期間が満了を迎えるお客さま向けのサービス~,[online],2019年04月24日,<URL:https://www.chuden.co.jp/publicity/press/3270968_21432.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
H02J3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する事業者が所有
し、発電設備を所有するとともに当該発電設備で発電した電力を当該事業者に供給する発電者と、当該事業者から電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者とをマッチングするのに用いられる処理装置であって、
前記
業務用需要者と、当該業務用需要者が電力の供給を受けた対価として前記発電者に提供する特典と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記発電者が操作する端末の表示部に、前記記憶手段が記憶している、前記業務用需要者と前記特典とを関連付けて表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記発電者が所有する前記発電設備は、再生可能エネルギーを用いて発電し、
前記業務用需要者は、RE100を志向する者、環境貢献を顧客へ訴求する者、及び、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者の少なくともいずれかであ
って、当該特典を提供する場合の当該事業者に支払う電気料金が当該特典を提供しない場合の電気料金よりも低く設定される者であり、
前記表示制御手段が表示させた複数の前記業務用需要者の中から前記発電者により選択された一の業務用需要者を把握する把握手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記把握手段が把握した場合に、前記一の業務用需要者と当該一の業務用需要者を選択した前記発電者とを関連付けて記憶し、
前記発電者から提供を受けた電力量を、当該発電者が選択した前記業務用需要者に通知する電力量通知手段をさらに備える
処理装置。
【請求項2】
前記業務用需要者に、選択されたことを通知する選択通知手段をさらに備える
請求項
1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記業務用需要者に提供した電力量を、当該業務用需要者に通知する使用量通知手段をさらに備える
請求項
1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記特典は、前記業務用需要者が販売する商品を受け取ること、提供するサービスを受けること、当該商品又は当該サービスに対する金券又は割引券、及び、金銭的価値を有するポイントの少なくともいずれかである
請求項1~
3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
電力を供給する事業者が所有
し、発電設備を所有するとともに当該発電設備で発電した電力を当該事業者に供給する発電者と、当該事業者から電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者とをマッチングするのに用いられるコンピュータが、当該
業務用需要者であって供給を受けた電力分の対価として
当該発電者に特典を提供する業務用需要者を募集する需要者用サイトを当該業務用需要者が所有する処理装置の表示部に表示させることで募るステップと、
前記コンピュータが、
前記発電者に、複数の前記業務用需要者の中から少なくとも一の業務用需要者を選択させるステップと、
を有し、
前記発電者が所有する前記発電設備は、再生可能エネルギーを用いて発電し、
前記業務用需要者は、RE100を志向する者、環境貢献を顧客へ訴求する者、及び、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者の少なくともいずれかであ
って、当該特典を提供する場合の当該事業者に支払う電気料金が当該特典を提供しない場合の電気料金よりも低く設定される者であり、
前記発電者により選択された一の業務用需要者を把握するステップと、
前記一の業務用需要者と当該一の業務用需要者を選択した前記発電者とを関連付けて記憶するステップと、
前記発電者から提供を受けた電力量を、当該発電者が選択した前記業務用需要者に通知するステップと、
をさらに備える
マッチング方法。
【請求項6】
選択された前記一の業務用需要者に対して、選択されたことを通知するステップをさらに備える
請求項
5に記載のマッチング方法。
【請求項7】
電力を供給する事業者が所有
し、発電設備を所有するとともに当該発電設備で発電した電力を当該事業者に供給する発電者と、当該事業者から電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者とをマッチングするのに用いられるコンピュータに、
前記
業務用需要者と、当該業務用需要者が電力の供給を受けた対価として前記発電者に提供する特典と、を関連付けて記憶する機能と、
前記発電者が操作する端末の表示部に、記憶している、前記業務用需要者と前記特典とを関連付けて表示させる機能と、
を実現させ、
前記発電者が所有する前記発電設備は、再生可能エネルギーを用いて発電し、
前記業務用需要者は、RE100を志向する者、環境貢献を顧客へ訴求する者、及び、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者の少なくともいずれかであ
って、当該特典を提供する場合の当該事業者に支払う電気料金が当該特典を提供しない場合の電気料金よりも低く設定される者であり、
前記表示させる機能が表示させた複数の前記業務用需要者の中から前記発電者により選択された一の業務用需要者を把握する機能をさらに備え、
前記記憶する機能は、前記把握する機能が把握した場合に、前記一の業務用需要者と当該一の業務用需要者を選択した前記発電者とを関連付けて記憶し、
前記発電者から提供を受けた電力量を、当該発電者が選択した前記業務用需要者に通知する機能をさらに備える
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、「FIT制度」と称する場合がある。)が終了することを踏まえた取り組みが提案されている。
例えば、非特許文献1に記載された「電気のお預かりサービス(仮称)」は、太陽光発電設備がある施設(例えば家)に蓄電池等の設備が無くても、余った電気をお預かりしたとみなし、その後に実際に使用する際に充当することができるサービスである。
また、近年、非化石価値取引市場が創設された。この非化石価値取引市場は、非化石価値を顕在化し、取引を可能とすることで、小売電気事業者の非化石電源調達目標の達成を後押しするとともに、需要家にとっての選択肢を拡大しつつ、FIT制度による国民負担の軽減に資する、新たな市場である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】東京電力エナジーパートナー株式会社、エネルギーとIoT技術を活用した「次世代スマートタウンプロジェクト」について、[2018年8月27日検索]、インターネット、〈URL:http://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2018/1477419_8663.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力をあまり使用しない者は預けた電気を使用する機会が多くないことから、非特許文献1に記載されたサービスは、発電設備を所有するが電力をあまり使用しない者にとっては好ましいサービスとは言えない。
一方、電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者の中には、新しい顧客の獲得や囲い込みを行うことで、売り上げの維持・拡大を図ることを望んでいる。
本発明は、発電設備を所有する発電者と、新しい顧客の獲得等を図りたい業務用需要者とをマッチングすることが可能な処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、電力を供給する事業者が所有し、発電設備を所有するとともに当該発電設備で発電した電力を当該事業者に供給する発電者と、当該事業者から電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者とをマッチングするのに用いられる処理装置であって、前記業務用需要者と、当該業務用需要者が電力の供給を受けた対価として前記発電者に提供する特典と、を関連付けて記憶する記憶手段と、前記発電者が操作する端末の表示部に、前記記憶手段が記憶している、前記業務用需要者と前記特典とを関連付けて表示させる表示制御手段と、を備え、前記発電者が所有する前記発電設備は、再生可能エネルギーを用いて発電し、前記業務用需要者は、RE100を志向する者、環境貢献を顧客へ訴求する者、及び、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者の少なくともいずれかであって、当該特典を提供する場合の当該事業者に支払う電気料金が当該特典を提供しない場合の電気料金よりも低く設定される者であり、前記表示制御手段が表示させた複数の前記業務用需要者の中から前記発電者により選択された一の業務用需要者を把握する把握手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記把握手段が把握した場合に、前記一の業務用需要者と当該一の業務用需要者を選択した前記発電者とを関連付けて記憶し、前記発電者から提供を受けた電力量を、当該発電者が選択した前記業務用需要者に通知する電力量通知手段をさらに備える処理装置である。
ここで、前記業務用需要者に、選択されたことを通知する選択通知手段をさらに備えていても良い。
また、前記業務用需要者に提供した電力量を、当該業務用需要者に通知する使用量通知手段をさらに備えていても良い。
また、前記特典は、前記業務用需要者が販売する商品を受け取ること、提供するサービスを受けること、当該商品又は当該サービスに対する金券又は割引券、及び、金銭的価値を有するポイントの少なくともいずれかであっても良い。
また、かかる目的のもと完成させた本発明は、電力を供給する事業者が所有し、発電設備を所有するとともに当該発電設備で発電した電力を当該事業者に供給する発電者と、当該事業者から電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者とをマッチングするのに用いられるコンピュータが、当該業務用需要者であって供給を受けた電力分の対価として当該発電者に特典を提供する業務用需要者を募集する需要者用サイトを当該業務用需要者が所有する処理装置の表示部に表示させることで募るステップと、前記コンピュータが、前記発電者に、複数の前記業務用需要者の中から少なくとも一の業務用需要者を選択させるステップと、を有し、前記発電者が所有する前記発電設備は、再生可能エネルギーを用いて発電し、前記業務用需要者は、RE100を志向する者、環境貢献を顧客へ訴求する者、及び、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者の少なくともいずれかであって、当該特典を提供する場合の当該事業者に支払う電気料金が当該特典を提供しない場合の電気料金よりも低く設定される者であり、前記発電者により選択された一の業務用需要者を把握するステップと、前記一の業務用需要者と当該一の業務用需要者を選択した前記発電者とを関連付けて記憶するステップと、前記発電者から提供を受けた電力量を、当該発電者が選択した前記業務用需要者に通知するステップと、をさらに備えるマッチング方法である。
ここで、選択された前記一の業務用需要者に対して、選択されたことを通知するステップをさらに備えていても良い。
また、かかる目的のもと完成させた本発明は、電力を供給する事業者が所有し、発電設備を所有するとともに当該発電設備で発電した電力を当該事業者に供給する発電者と、当該事業者から電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者とをマッチングするのに用いられるコンピュータに、前記業務用需要者と、当該業務用需要者が電力の供給を受けた対価として前記発電者に提供する特典と、を関連付けて記憶する機能と、前記発電者が操作する端末の表示部に、記憶している、前記業務用需要者と前記特典とを関連付けて表示させる機能と、を実現させ、前記発電者が所有する前記発電設備は、再生可能エネルギーを用いて発電し、前記業務用需要者は、RE100を志向する者、環境貢献を顧客へ訴求する者、及び、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者の少なくともいずれかであって、当該特典を提供する場合の当該事業者に支払う電気料金が当該特典を提供しない場合の電気料金よりも低く設定される者であり、前記表示させる機能が表示させた複数の前記業務用需要者の中から前記発電者により選択された一の業務用需要者を把握する機能をさらに備え、前記記憶する機能は、前記把握する機能が把握した場合に、前記一の業務用需要者と当該一の業務用需要者を選択した前記発電者とを関連付けて記憶し、前記発電者から提供を受けた電力量を、当該発電者が選択した前記業務用需要者に通知する機能をさらに備えるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発電設備を所有する発電者と、新しい顧客の獲得等を図りたい業務用需要者とをマッチングすることが可能な処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係るシステムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】事業者が所有する処理装置、発電者が所有する処理装置、業務用需要者が所有する処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
【
図3】事業者Bが所有する処理装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
【
図4】記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【
図6】事業者の処理装置が行う逆潮流量通知処理を示すフローチャートである。
【
図7】事業者の処理装置が行う使用量通知処理を示すフローチャートである。
【
図8】業務用需要者が所有する処理装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
【
図9】事業者、発電者及び業務用需要者が享受する利益の一例を説明するのに用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係るシステム1の概略構成の一例を示す図である。
システム1は、電力を供給する事業者(以下、「事業者B」と称する場合がある。)が提供する、(FIT制度の買取期間が終了した後に余剰電力)発電した電力を提供する者(以下、「発電者G」と称する場合がある。)と、電力の供給を受けて事業を営む者(以下、「業務用需要者S」と称する場合がある。)とをマッチングすることが可能なシステムである。
【0009】
事業者Bは、発電を行う発電設備11と、業務用需要者Sに供給した電力量を把握する等の処理を行う処理装置12と、を所有している。
発電設備11は、例えば火力発電により電力を生成するとともに、発電した電力を、電力系統である電力グリッド60に供給する。
また、事業者Bは、発電者Gから電力の提供を受けるとともに、発電者Gから提供を受けた電力量に相当する電力を、業務用需要者Sに供給する。
処理装置12については後で説明する。
【0010】
発電者Gは、例えば再生可能エネルギーを用いて自ら発電を行う、自然人又は法人である。再生可能エネルギーを用いた発電は、太陽光発電であることを例示することができる。また、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電でも良い。
発電者Gは、再生可能エネルギーを用いて発電を行う発電設備21と、電力量を計測するとともに処理装置12と通信する機能を有する公知の電力量計測機器22と、処理装置12から、供給した電力に関する情報の取得等の処理を行う処理装置23とを所有している。
発電設備21は、太陽光発電設備(以下、「太陽電池」と称する場合がある。)であることを例示することができる。また、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電による設備でも良い。
電力量計測機器22は、発電設備21で発電した電力の内、電力グリッド60に供給(逆潮流)された電力の量(以下、「逆潮流電力量」と称する場合がある。)を計測する。そして、電力量計測機器22は、計測した逆潮流電力量を、発電者Gを識別する情報として発電者Gと関連付けて予め記憶されたIDとともに処理装置12に送信する。また、電力量計測機器22は、発電者Gの電力使用量を計測し、計測した電力使用量を発電者GのIDとともに処理装置12に送信可能である。
処理装置23については後で説明する。
【0011】
業務用需要者Sは、事業者Bから電力の供給を受けるとともに、商品の販売又はサービスの提供等の事業を営む、自然人又は法人である。
業務用需要者Sは、電力量を計測するとともに処理装置12と通信する機能を有する公知の電力量計測機器31と、処理装置12から、使用した電力に関する情報の取得等の処理を行う処理装置32とを所有している。
電力量計測機器31は、業務用需要者Sが使用した電力の量(以下、「使用電力量」と称する場合がある。)を計測する。そして、電力量計測機器31は、計測した使用電力量を、業務用需要者Sを識別する情報として業務用需要者Sと関連付けて予め記憶されたIDとともに処理装置12に送信する。
処理装置32については後で説明する。
【0012】
以上のように構成されたシステム1を用いて、事業者Bは、事業者Bから供給を受けた電力(使用電力量)の少なくとも一部に対する対価として、お金以外のものを特典として提供する用意がある業務用需要者Sと、提供した電力量(逆潮流電力量)に対する対価として、業務用需要者Sが提供する特典を受ける用意がある発電者Gとをマッチングさせる。
先ず、事業者Bは、事業者Bから供給を受けた電力に対する対価を、お金以外のものを特典として提供する用意がある業務用需要者Sを募集する。その後、事業者Bは、提供した電力量に対する対価として、業務用需要者Sが提供する特典を受ける発電者Gを募集する。その際、事業者Bは、発電者Gに対して、募集に応じた業務用需要者Sと、業務用需要者Sが提供する特典とを関連付けて、発電者Gに示す。そして、発電者Gは、提供した電力量に対する対価として、業務用需要者Sが提供する特典を受けることを了承して、応募する。その後、業務用需要者Sは、発電者Gが事業者Bに提供した電力量に応じた対価として、発電者Gにお金以外の特典を提供する。なお、応募した業務用需要者Sが複数ある場合には、発電者Gは、複数の業務用需要者Sの中から、一の業務用需要者Sを選択する。発電者Gが一の業務用需要者Sを選択した後、選択された一の業務用需要者Sは、発電者Gが事業者Bに提供した電力量に応じた対価として、発電者Gにお金以外の特典を提供する。
【0013】
業務用需要者Sが発電者Gに特典を提供する手段は、発電者Gの居所や事業所に送達すること、又は、ネットワーク70を介して電磁的に付与することであることを例示することができる。
特典は、商品を購入するときやサービスを受けるときに利用可能な、金銭的価値を有するポイントであることを例示することができる。ポイントは、Tポイント(登録商標)、楽天ポイント(登録商標)、Pontaポイント、dポイント(登録商標)、WAONポイント等であることを例示することができる。
また、特典は、業務用需要者Sが製造する商品又は業務用需要者Sが提供するサービスに対する、金券や割引券であることを例示することができる。例えば、業務用需要者Sが航空会社である場合に、特典は、飛行機を割引運賃にて搭乗可能な割引券であることを例示することができる。
また、特典は、業務用需要者Sが製造する商品、又は、当該商品と交換することが可能な引換券であることを例示することができる。例えば、業務用需要者Sがビール製造会社である場合に、ビール、又は、ビール券であることを例示することができる。
また、特典は、ポイント、割引券、商品、サービス等を組み合わせたものであっても良い。
特典が、業務用需要者Sが販売する商品を受け取ること、提供するサービスを受けること、当該商品又は当該サービスに対する金券又は割引券、及び、金銭的価値を有するポイントの少なくともいずれかであることで、業務用需要者Sは、新しい顧客の獲得や囲い込みを行うことが可能となる。
【0014】
図2は、事業者Bが所有する処理装置12、発電者Gが所有する処理装置23、業務用需要者Sが所有する処理装置32のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
以下に、事業者Bが所有する処理装置12、発電者Gが所有する処理装置23、業務用需要者Sが所有する処理装置32のハードウェア構成について説明する。処理装置12、処理装置23、処理装置32のハードウェア構成は同じであるので、これらをまとめて説明する場合には処理装置12等と称する場合がある。
処理装置12等は、各種の情報処理を実行可能なコンピュータを有している。処理装置12等は、装置全体を制御する制御部101と、データ等の記憶に用いられる記憶部102と、操作受付画面や画像の表示に使用される表示部103と、ユーザの入力操作を受け付ける操作部104と、外部装置との通信に用いられる通信部105とを備えている。
【0015】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)101a、ROM(Read Only Memory)101b、RAM(Random Access Memory)101cにより構成される。ROM101bには、CPU101aにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPU101aは、RAM101cを作業エリアに使用し、ROM101bや記憶部102から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPU101aがプログラムを実行することにより、処理装置12等の各部の機能が実現される。
【0016】
記憶部102は、半導体メモリなどの記憶装置であることを例示することができる。記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)であっても良い。
表示部103は、静止画像や動画像等を表示するディスプレイ装置である。表示部103は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであることを例示することができる。
操作部104は、ユーザからの操作を受け付ける入力装置である。操作部104は、ボタン、スイッチ、タッチパネルであることを例示することができる。
【0017】
通信部105は、通信インターフェース(通信I/F)であることを例示することができる。事業者Bが所有する処理装置12は、発電者Gの電力量計測機器22や業務用需要者Sの電力量計測機器31と、ネットワーク70を介して互いに通信を行うことが可能となっている。また、処理装置12等は、ネットワーク70を介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワーク70は、装置、機器間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。また、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続するように構成しても良い。
【0018】
なお、CPU101aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体(光ディスク等)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネット等の通信手段を用いて処理装置12等にダウンロードさせてもよい。
処理装置12等は、サーバ、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末等であることを例示することができる。また、1つの目的(機能)に対して複数の装置を用意しても良い。
【0019】
(事業者Bが所有する処理装置12について)
図3は、事業者Bが所有する処理装置12の機能構成の一例を示したブロック図である。
処理装置12は、事業者Bから供給を受けた電力に対する対価を、お金以外の手段で提供する用意がある業務用需要者Sを募集するwebサイトである需要者用サイトを、業務用需要者Sが所有する処理装置32の表示部103に表示させる表示制御部121を有している。表示制御部121は、処理装置32からのwebサイトへのアクセス要求に応じて、募集に関する各種情報を有するウェブページを公開するHTML(HyperText Markup Language)文書を生成して、処理装置32へ返信する。業務用需要者Sは、上記HTMLを受信して、ブラウザにより表示部103の表示画面に表示する。業務用需要者Sは、ブラウザによって表示されたページを介して、募集要項の閲覧等の操作を行うことができるとともに、応募するための所定の操作を行うことができる。所定の操作は、表示部103の表示画面に表示された、例えば、「応募する」と表示されたアイコンをクリックすることであることを例示することができる。
【0020】
また、処理装置12は、業務用需要者Sが応募したことを把握する把握手段の一例としての把握部122を有している。把握部122は、上述した、応募するための所定の操作が行われた場合に、業務用需要者Sが応募したことを把握する。その際、把握部122は、応募した業務用需要者Sの名称、対価として提供する特典、提供方法等を把握する。そして、把握部122は、業務用需要者Sの名称、提供する特典、提供方法等を関連付けて処理装置12の記憶部102に記憶する。
図4は、記憶部102が記憶する情報の一例を示す図である。
処理装置12の記憶部102は、応募した業務用需要者Sの名称、対価として提供する特典、提供方法、提供するタイミングを、関連付けて記憶する記憶手段の一例である。例えば、
図4に示すように、業務用需要者S1に関連付けて、業務用需要者S1が提供する特典が逆潮流電力量1kWh毎にTポイントを15ポイント、その提供方法が電磁的、提供時期が毎月、であることが記憶されている。また、業務用需要者S2に関連付けて、業務用需要者S2が提供する特典が逆潮流電力量1000kWh毎に飛行機搭乗割引券1枚、その提供方法が送達、提供時期が逆潮流電力量1000kWh毎、であることが記憶されている。また、業務用需要者S3に関連付けて、業務用需要者S3が提供する特典が逆潮流電力量250kWh毎にビール1ケース、その提供方法が送達、提供時期が逆潮流電力量250kWh毎、であることが記憶されている。
【0021】
図5は、発電者用サイトの一例を示す図である。
表示制御部121は、また、事業者Bに供給した電力量(逆潮流電力量)に対する対価を業務用需要者Sから受ける発電者Gを募集するwebサイトである発電者用サイトを、発電者Gが所有する処理装置23の表示部103に表示させる。表示制御部121は、処理装置23からの発電者用サイトへのアクセス要求に応じて、募集に関する各種情報を有するウェブページを公開するHTML(HyperText Markup Language)文書を生成して、処理装置23へ返信する。発電者Gは、上記HTMLを受信して、ブラウザにより表示部103の表示画面に、発電者用サイトを表示する。発電者用サイトには、
図5に例示したように、記憶部102に記憶されている業務用需要者Sの一覧が表示される。発電者Gは、ブラウザによって表示されたページを介して、募集要項の閲覧等の操作を行うことができるとともに、応募するための所定の操作を行うことができる。所定の操作は、表示部103の表示画面に表示された業務用需要者S1の名称が表示されたアイコンをクリックした後に表示される、例えば、「応募する」と表示されたアイコンをクリックすることであることを例示することができる。なお、発電者Gが「応募する」と表示されたアイコンをクリックした時点で、業務用需要者Sは、発電者Gが事業者Bに供給した電力量(逆潮流電力量)に応じた特典を発電者Gに付与する、ことについての契約が、発電者Gと業務用需要者Sとの間で締結される。以下、一の業務用需要者S(例えば業務用需要者S1)を選択して応募した発電者G(例えば発電者G1)を、業務用需要者S1の「契約発電者Gc」と称する場合がある。
このように、表示制御部121は、発電設備を所有する発電者Gが操作する端末の一例としての処理装置23の表示部103に、記憶部102が記憶している、業務用需要者Sと特典とを関連付けて表示させる表示制御手段の一例である。表示制御部121が、業務用需要者Sと特典とを関連付けて発電者用サイトに表示させることで、発電者Gに選択し易くすることができる。
【0022】
上述した把握部122は、また、発電者Gが一の業務用需要者Sを選択して応募したことを把握する。把握部122は、上述した、応募するための所定の操作が行われた場合に、一の業務用需要者Sを選択して発電者Gが応募したことを把握する。そして、把握部122は、発電者Gと、業務用需要者Sとを関連付けて処理装置12の記憶部102に記憶する。これにより、
図4に示すように、処理装置12の記憶部102は、業務用需要者Sに関連付けて発電者Gを記憶する。
処理装置12がこの把握部122を有することにより、把握部122を有しない場合よりも、確度高く、発電者Gが一の業務用需要者Sを選択して応募したことを把握することが可能となる。そして、記憶部102は、より確度高く、業務用需要者Sに関連付けて発電者Gを記憶することが可能となる。
【0023】
また、処理装置12は、発電者Gが一の業務用需要者Sを選択して応募した場合に、選択された業務用需要者Sに対して、発電者Gから選択されたことを通知する選択通知手段の一例としての選択通知部123を有している。選択通知部123は、選択されたことの通知を、業務用需要者Sの応募時に把握されて記憶部102に記憶されたメールアドレス等の連絡先に送ることを例示することができる。
処理装置12がこの選択通知部123を有することにより、例えば事業者Bの従業員が手作業で行う場合よりも、確度高く、かつ、容易に、業務用需要者Sに通知することが可能となる。
【0024】
また、処理装置12は、通信部105を介して、発電者Gの電力量計測機器22や業務用需要者Sの電力量計測機器31から送られてきた情報等を受信する受信部124を有している。
また、処理装置12は、受信部124が受信した情報を基に、発電者Gの電力量計測機器22が計測した逆潮流電力量を把握する逆潮流量把握部125を備えている。
また、処理装置12は、受信部124が受信した情報を基に、業務用需要者Sの電力量計測機器31が計測した使用電力量を把握する使用量把握部126を備えている。
【0025】
逆潮流量把握部125は、受信部124が発電者Gの電力量計測機器22から送られてきた逆潮流電力量を受信した場合には、発電者Gの逆潮流電力量を把握するとともに、発電者GのIDに関連付けて逆潮流電力量を記憶部102に記憶する。逆潮流量把握部125は、電力量計測機器22から送られて来る度に逆潮流電力量の把握と記憶とを行っても良いし、例えば30分毎に送られて来る逆潮流電力量の累積値を、例えば日や月単位で把握し、記憶しても良い。
【0026】
使用量把握部126は、受信部124が業務用需要者Sの電力量計測機器31から送られてきた使用電力量を受信した場合には、業務用需要者Sの使用電力量を把握するとともに、業務用需要者SのIDに関連付けて使用電力量を記憶部102に記憶する。使用量把握部126は、電力量計測機器31から送られて来る度に使用電力量の把握と記憶とを行っても良いし、例えば30分毎に送られて来る使用電力量の累積値を、例えば日や月単位で把握し、記憶しても良い。
【0027】
また、処理装置12は、発電者Gから提供を受けた電力量(逆潮流電力量)を、発電者Gから選択された(発電者Gと契約した)業務用需要者Sに対して通知する電力量通知手段の一例としての逆潮流量通知部127を有している。逆潮流量通知部127は、予め定められた時(以下、「第1所定時」と称する場合がある)に通知する。第1所定時は、毎月の予め定められた日の予め定められた時刻であることを例示することができる。あるいは、第1所定時は、毎年の予め定められた月の予め定められた日の予め定められた時刻であっても良い。
逆潮流量通知部127は、今回の第1所定時に通知する逆潮流電力量として、前回の第1所定時と今回の第1所定時との間に発電者Gから提供を受けた電力量を通知する。
逆潮流量通知部127は、発電者Gが提供を受けた逆潮流電力量の通知を、業務用需要者Sの応募時に把握されて記憶部102に記憶されたメールアドレス等の連絡先に送ることを例示することができる。
処理装置12がこの逆潮流量通知部127を有することにより、例えば事業者Bの従業員が手作業で行う場合よりも、確度高く、かつ、容易に、業務用需要者Sに通知することが可能となる。
【0028】
また、逆潮流量通知部127は、業務用需要者Sとその契約発電者Gcとの間で、特定の逆潮流電力量毎に特典を提供するとの契約を締結している場合には、契約発電者Gcからの逆潮流電力量の積算値がその特定の逆潮流電力量を超えた時を、第1所定時としても良い。例えば、業務用需要者S2とその契約発電者Gcである発電者G3との間で、1000kWh毎に飛行機搭乗割引券1枚を送達する旨の契約が締結されている場合には、発電者G3からの逆潮流電力量が1000kWhを超えた時を、第1所定時としても良い。かかる場合には、逆潮流量通知部127は、発電者G3からの逆潮流電力量が1000kWhを超える毎に、業務用需要者S2に、その旨を通知する。
【0029】
また、処理装置12は、業務用需要者Sが供給を受けた電力量(以下、「使用電力量」と称する場合がある。)を、業務用需要者Sに対して通知する使用量通知手段の一例としての使用量通知部128を有している。使用量通知部128は、予め定められた時(以下、「第2所定時」と称する場合がある)に通知する。第2所定時は、毎月の予め定められた日の予め定められた時刻であることを例示することができる。あるいは、第2所定時は、毎年の予め定められた月の予め定められた日の予め定められた時刻であっても良い。なお、例えば、第1所定時が毎月の予め定められた日の予め定められた時刻である場合には、第2所定時は、第1所定時と同一であっても良い。
使用量通知部128は、今回の第2所定時に通知する使用電力量として、前回の第2所定時と今回の第2所定時との間に使用した電力量を通知する。
使用量通知部128は、使用電力量の通知を、業務用需要者Sの応募時に把握されて記憶部102に記憶されたメールアドレス等の連絡先に送ることを例示することができる。
処理装置12がこの使用量通知部128を有することにより、例えば事業者Bの従業員が手作業で行う場合よりも、確度高く、かつ、容易に、業務用需要者Sに通知することが可能となる。
【0030】
図6は、事業者Bの処理装置12が行う逆潮流量通知処理を示すフローチャートである。処理装置12は、この逆潮流量通知処理を、予め設定された一定時間(例えば1分)ごとに繰り返し実行する。
処理装置12は、受信部124が発電者Gの電力量計測機器22から逆潮流電力量を受信したか否かを判断する(S601)。そして、受信部124が逆潮流電力量を受信した場合(S601でYes)、処理装置12は、発電者Gの逆潮流電力量を把握するとともに、発電者GのIDに関連付けて逆潮流電力量を記憶部102に記憶する(S602)。これらS601及びS602の処理は、逆潮流量把握部125が行う処理である。
その後、第1所定時であるか否かを判断する(S603)。そして、第1所定時である場合(S603でYes)、処理装置12は、逆潮流電力量を業務用需要者Sに対して通知する(S604)。他方、第1所定時ではない場合(S603でNo)、本通知処理を終了する。これらS603及びS604の処理は、逆潮流量通知部127が行う処理である。
また、S601にて、受信部124が逆潮流電力量を受信していない場合(S601でNo)、S603の処理へ移行する。
【0031】
図7は、事業者Bの処理装置12が行う使用量通知処理を示すフローチャートである。処理装置12は、この使用量通知処理を、予め設定された一定時間(例えば1分)ごとに繰り返し実行する。
処理装置12は、受信部124が業務用需要者Sの電力量計測機器31から使用電力量を受信したか否かを判断する(S701)。そして、受信部124が使用電力量を受信した場合(S701でYes)、処理装置12は、業務用需要者Sの使用電力量を把握するとともに、業務用需要者SのIDに関連付けて使用電力量を記憶部102に記憶する(S702)。これらS701及びS702の処理は、使用量把握部126が行う処理である。
その後、第2所定時であるか否かを判断する(S703)。そして、第2所定時である場合(S703でYes)、処理装置12は、使用電力量を業務用需要者Sに対して通知する(S704)。他方、第2所定時ではない場合(S703でNo)、本通知処理を終了する。これらS703及びS704の処理は、使用量通知部128が行う処理である。
また、S701にて、受信部124が使用電力量を受信していない場合(S701でNo)、S703の処理へ移行する。
【0032】
(業務用需要者Sが所有する処理装置32について)
図8は、業務用需要者Sが所有する処理装置32の機能構成の一例を示したブロック図である。
処理装置32は、通信部105を介して、事業者Bの処理装置12から送られてきた情報等を受信する受信部321を有している。
また、処理装置32は、受信部321が受信した情報を基に、契約発電者Gcから供給された電力量(逆潮流電力量)を把握する逆潮流量把握部322を有している。
また、処理装置32は、受信部321が受信した情報を基に、事業者Bから提供を受けた電力量(使用電力量)を把握する使用量把握部323を有している。
また、処理装置32は、契約発電者Gcに特典を付与する付与部324を有している。
また、処理装置32は、使用した電力量に対する、契約発電者Gcから供給された逆潮流電力量の割合を算出する割合算出部325を有している。
【0033】
逆潮流量把握部322は、受信部321が事業者Bの処理装置12から送られてきた契約発電者Gcの逆潮流電力量を受信した場合には、契約発電者Gcの逆潮流電力量を把握するとともに、契約発電者GcのIDに関連付けて逆潮流電力量を処理装置32の記憶部102に記憶する。逆潮流量把握部322は、事業者Bの処理装置12から送られて来る度に逆潮流電力量の把握と記憶とを行う。
【0034】
使用量把握部323は、受信部321が事業者Bの処理装置12から送られてきた使用電力量を受信した場合には、使用電力量を把握するとともに、使用電力量を処理装置32の記憶部102に記憶する。逆潮流量把握部322は、事業者Bの処理装置12から送られて来る度に逆潮流電力量の把握と記憶とを行う。
【0035】
付与部324は、契約発電者Gcとの間で特典を付与するタイミングとして予め定められたタイミングになった場合に、契約発電者Gcに特典を付与する。例えば、業務用需要者S1が契約発電者Gcとの間で、毎月、1箇月間の逆潮流電力量に応じたポイントを付与する、と契約を締結している場合には、付与部324は、毎月の予め定められた日にポイントを電磁的に付与する。また、業務用需要者S2が契約発電者Gcとの間で、逆潮流電力量1000kWh毎に飛行機を割引運賃にて搭乗可能な割引券を付与する、と契約を締結している場合には、付与部324は、逆潮流電力量が1000kWhを超えた場合に割引券を電磁的に付与する。
【0036】
割合算出部325は、予め定められた期間内における、契約発電者Gcから提供を受けた逆潮流電力量の積算値と、使用電力量の積算値とを把握するとともに、使用電力量の積算値に対する、逆潮流電力量の積算値の割合を算出する。割合算出部325が割合を算出することにより、業務用需要者Sは、使用電力量に対する、再生可能エネルギーを用いて発電された電力量の割合を知ることができる。例えば、業務用需要者SがRE100を志向する者である場合には、割合算出部325が算出した割合を把握することで、その時点の、使用電力量に対する、再生可能エネルギーを用いて発電された電力量の割合を容易に知ることができる。同様に、例えば、業務用需要者Sが、環境貢献を顧客へ訴求する者、又は、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者である場合も、割合算出部325が算出した割合を把握することで、その時点の、使用電力量に対する、再生可能エネルギーを用いて発電された電力量の割合を容易に知ることができる。そして、業務用需要者Sは、その割合を用いて、宣伝・広告などで、環境貢献を行っていることを消費者にアピールすることができる。なお、契約発電者Gcが複数である場合には、全ての契約発電者Gcの逆潮流電力量の合計が、割合を算出する際に用いる逆潮流電力量の積算値となる。
【0037】
(システム1の利点について)
上述したように、事業者Bがプラットフォーマーとして、処理装置12を所有することで、事業者Bは以下のような利益を享受することができる。また、発電者G及び業務用需要者Sは、以下のような利益を享受することができる。
図9は、事業者B、発電者G及び業務用需要者Sが享受する利益の一例を説明するのに用いる図である。
図9(a)は、本実施の形態に係るシステム1により実現される取引契約の一例を示す図である。
図9(b)は、比較例に係る事業者Bと業務用需要者Sとの間の取引契約を示す図である。
【0038】
図9(b)に示した比較例においては、事業者Bと業務用需要者Sとの間で、事業者Bが年間10万kWhの電力を業務用需要者Sに供給するとともに、業務用需要者Sは、その対価として、電気料金を年間10×a万円(1kWhあたりa円)支払う、というものである。
これに対して、
図9(a)に示すように、業務用需要者Sとその契約発電者Gcとの間で、契約発電者Gcが事業者Bに提供した電力量(逆潮流電力量)に対する対価として、業務用需要者Sが提供する特典を受ける、また、事業者Bは、契約発電者Gcの逆潮流電力量2万kWhを含めて、年間10万kWhの電力を業務用需要者Sに供給する、との契約が締結されている場合を例にする。そして、業務用需要者Sが事業者Bに支払う電気料金は、比較例に係る契約よりも低く設定される(例えば、1kWhあたりb円。b<a。)。一方で、業務用需要者Sは、契約発電者Gcの逆潮流電力量に応じた特典を契約発電者Gcに与える必要がある。契約発電者Gcの逆潮流電力量が2万kWhであるので、業務用需要者Sは、2万kWh分の特典を契約発電者Gcに与える必要がある。
【0039】
事業者Bの利点としては、比較例よりも低価格にて業務用需要者Sに電力を供給することが可能になる(比較例では1kWhあたりa円であるが、1kWhあたりb円で供給可能)。これにより、事業者Bは、複数ある電力供給会社の中から業務用需要者Sにより選択され易くなるので、電力販売の拡大や防衛を行うことが可能になる。
【0040】
発電者Gの利点としては、発電した電力を提供する相手の選択肢が増える。特に、FIT制度の買取期間が終了した後の選択肢が増えることは望ましい。そして、例えば、発電した電力の市場価値が1kWhあたり、bよりも低いc円である場合、業務用需要者Sがその契約発電者Gcに1kWhあたりc円よりも大きい価値のある特典を与えるのであれば、発電者Gは、業務用需要者Sと契約することでその差額分の利益を享受することが可能になる。例えば、業務用需要者S2とその契約発電者Gcとの間で、1000kWh毎に飛行機搭乗割引券1枚を送達する旨の契約が締結されている場合には、発電者Gは、年間2万kWh分の特典として、20枚の飛行機搭乗割引券を得る。そして、飛行機搭乗割引券1枚あたりd円の割引きを受けて飛行機に搭乗する場合には、20枚で20×d円の割引きを受けることになる。それゆえ、発電者Gは、業務用需要者Sと契約することでその差額分である、(20(枚)×d(円))-(2万(kWh)×c(円))の利益を享受することが可能になる。
また、発電者Gは、居所や事業所に送達される特典を選択することで、自ら出向いてその特典を得る手間隙を削減することができる。例えば、発電者Gが業務用需要者S3と契約することで、ビール1ケースが送達されてくるので、発電者Gは、そのビールを買いに行く手間隙を削減することができる。また、発電者Gは、そのビールを運ぶ労力も削減することができる。
また、発電者Gは、事業者Bが表示させる発電者用サイトを介して、複数の業務用需要者Sの中から、市場価値よりも魅力に感じる特典を自由に選ぶことができる。
【0041】
業務用需要者Sの利点としては、事業者Bから同じ量の電力の供給を受けたとしても、事業者Bに支払う電気料金を削減することができる(比較例では1kWhあたりa円であるが、1kWhあたりb円)。一方、業務用需要者Sは、その契約発電者Gcに対して逆潮流電力量に応じた特典を提供する必要があるが、特典として自己が行う商品の販売又はサービスの提供、割引きを行う場合において、その原価が低ければ低いほど、電力の供給を受ける対価として支払う電気料金に提供する特典を加えたトータルコストを、比較例に係る契約よりも小さくすることが可能となる。
また、業務用需要者Sは、特典として自己が行う商品の販売又はサービスの提供、割引きを行う場合には、商品の販売増やサービスの提供増を期待することができるとともに、新しい顧客の獲得や囲い込みを行うことができる。
このように、業務用需要者Sは、電気料金の削減を期待できることに加え、今まで単なるコストであった電気料金を販売等の促進に活用できる。
また、業務用需要者Sは、再生可能エネルギーを用いて発電された環境価値のある電力を用いて商品販売又はサービス提供を行うことができるので、企業価値を向上させることができる。例えば、業務用需要者Sが、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業等、RE100を志向する需要家である場合には、発電者Gからの選択を受けることで多くの再生可能エネルギーを用いて発電された電力を取得することが可能になるので、100%を達成し易くなる。また、例えば、業務用需要者Sが、環境貢献を顧客へ訴求する者、又は、環境貢献をきっかけとした顧客の囲い込みを志向する者である場合には、発電者Gからの選択を受けることで多くの再生可能エネルギーを用いて発電された電力を取得することが可能になるので、宣伝・広告などで、環境貢献を行っていることを消費者にアピールし易くなる。
【0042】
なお、
図9(a)に示した例における、契約発電者Gcの逆潮流電力量分2万kWhを含めて事業者Bが年間10万kWhの電力を供給する、等の具体的な数字はあくまで一例であり、任意に設定される値である。また、例えば、契約発電者Gcが事業者Bに逆潮流電力量2万kWhを供給すると契約していたとしても、結果的に、逆潮流電力量が2万kWhに満たない場合には、事業者Bが発電した電力を業務用需要者Sに供給することで、業務用需要者Sは安心して契約発電者Gcと契約を締結することが可能になる。
【0043】
以上、説明したように、システム1は、電力の供給を受けて事業を営む者であって供給を受けた電力分の対価として金銭的価値を有する特典を提供する業務用需要者Sを募るステップの一例としての表示制御部121が業務用需要者用サイトを業務用需要者Sが所有する処理装置32の表示部103に表示させる処理を有する。また、システム1は、発電設備21を所有する発電者Gに、複数の業務用需要者Sの中から少なくとも一の業務用需要者Sを選択させるステップの一例としての表示制御部121が発電者用サイトを発電者Gが所有する処理装置23の表示部103に表示させる処理を有する。
これにより、発電設備21を所有する発電者Gと、新しい顧客の獲得等を図りたい業務用需要者Sとをマッチングすることが可能である。
【0044】
さらに、選択された一の業務用需要者Sに対して、選択されたことを通知するステップの一例としての選択通知部123が選択された業務用需要者Sに対して通知する処理を有する。
これにより、業務用需要者Sは、選択した発電者Gに対して、特典を付与することが可能になる。
【0045】
以上説明した処理装置12が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、処理装置12に設けられた制御用コンピュータ内部のCPU101aが、処理装置12の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。例えば、プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体を処理装置12に提供し、処理装置12のCPU101aが記録媒体に格納されたプログラムを読み出す。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体、及びそれを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0046】
処理装置12の機能を実現するプログラムは、コンピュータに、電力の供給を受けて事業を営む業務用需要者Sと、業務用需要者Sが電力の供給を受けた対価として提供する特典と、を関連付けて記憶する機能と、発電設備21を所有する発電者Gが操作する端末の表示部103に、記憶している、業務用需要者Sと特典とを関連付けて表示させる機能と、を実現させる。
このようなプログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMを例示することができる。
【0047】
なお、上述したシステム1において、発電者Gが、複数の業務用需要者Sを選択可能にしても良い。例えば、発電者Gが提供する電力量(逆潮流電力量)の内の第1の所定量分を第1の業務用需要者Sと契約し、第2の所定量分を第2の業務用需要者Sと契約するようにしても良い。かかる場合には、第1の業務用需要者Sは、第1の所定量分の特典を発電者Gに提供し、第2の業務用需要者Sは、第2の所定量分の特典を発電者Gに提供すれば良い。これにより、発電者Gの選択肢がさらに増えるので、発電者Gが発電した電力を事業者Bに提供しようとする意欲が増す。
また、業務用需要者Sと契約発電者Gcとの間の契約期間は特に限定されない。例えば、1年、半年、1ヶ月と自由に設定できると良い。これにより、発電者Gの選択肢の自由度がさらに高まる。
【0048】
また、選択通知部123、逆潮流量通知部127、使用量通知部128は、それぞれ、業務用需要者Sのメールアドレス等の連絡先に電磁的に送ることを例示しているが、特にかかる態様に限定されない。選択通知部123、逆潮流量通知部127、使用量通知部128は、それぞれ、事業者Bの従業員に通知し、通知された従業員が、業務用需要者Sに、メール送信、ハガキの投函等を行っても良い。また、従業員が、記憶部102に記憶された事項を確認することで、第1所定時、第2所定時になったことを認識し、メール送信、ハガキの投函等を行っても良い。
【0049】
また、事業者Bは、業務用需要者用サイト以外の手段で業務用需要者Sを募っても良い。また、事業者Bは、発電者用サイト以外の手段で発電者Gを募っても良い。業務用需要者用サイト又は発電者用サイト以外の手段としては、パンフレット、雑誌、新聞、ダイレクトメール等の紙媒体で募ること、ラジオやテレビの広告で募ること、を例示することができる。
また、応募するための所定の操作として、アイコンをクリックすることを例示したが特にかかる態様に限定されない。例えば、電話をかけること、署名すること等であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1…システム、11,21…発電設備、12,23,32…処理装置、22,31…電力量計測機器、60…電力グリッド、70…ネットワーク、101…制御部、102…記憶部、103…表示部、121…表示制御部、122…把握部、123…選択通知部、124…受信部、125…逆潮流量把握部、126…使用量把握部、127…逆潮流量通知部、128…使用量通知部