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  • 特許-腰痛改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】腰痛改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240912BHJP
【FI】
A23L33/105
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019154152
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021029182
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108280
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】清水 一雄
(72)【発明者】
【氏名】安部 綾
(72)【発明者】
【氏名】小関 誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 武嗣
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101301081(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106047565(CN,A)
【文献】International Journal of Research in Ayurveda & Pharmacy,2011年,2(4),1294-1296
【文献】Chronicles of Young Scientists,2011年,2(3),119-125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23、A61
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/FSTA/CABA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として水および/またはエタノールでモリンガ種子から抽出されたモリンガエキスを含有し、ドラゴンフルーツを含有せず、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対し、65質量部~1000質量部の賦形剤を含む腰痛改善用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の腰痛改善用組成物を含有し、ドラゴンフルーツを含有しない腰痛改善用飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰痛改善用組成物に関し、モリンガおよび/またはモリンガエキスを含有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
ワサビノキ属に属する植物のうち、モリンガは、インドや東南アジアなどで薬用植物として広く親しまれている。モリンガには、抗酸化効果・抗炎症効果などの生理機能が見出されている。これらの生理機能は、ミネラル・アミノ酸・グルコシノレート化合物などを物質に依ると考えられている。
近年、モリンガの葉部あるいは根部からの抽出物(モリンガエキス)が機能性食品の原料素材として注目されており、本願出願人も継続的な研究開発を続けている(例えば、特許文献1、2を参照)。
しかしながら、モリンガエキスに関する研究開発は始まったばかりであり、その生理効果については未知のことが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-217006号公報
【文献】WO2017/073473
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、腰痛を改善する組成物、特にモリンガおよび/またはモリンガエキスを含有する組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、モリンガおよび/またはモリンガエキスおよびこれらの混合物を含有する組成物が、腰痛改善効果を持つことを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして本発明に係る腰痛改善組成物は、モリンガおよび/またはモリンガエキスを含有することを特徴とする。このとき、モリンガエキスはモリンガ種子または葉から抽出されたものであることが好ましい。また、モリンガエキスが、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)を原料として抽出されたものであることが好ましい。
また、本発明に係る腰痛改善組成物は、上記腰痛改善組成物において、モリンガの部位またはその粉末、またはモリンガエキス、さらにモリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対し、65質量部~1000質量部の賦形剤を含む組成物のいずれかを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る飲食品は、上記腰痛改善組成物を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、腰痛を改善する組成物、特にモリンガおよび/またはモリンガエキスを含有する組成物等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】<効果確認試験-2>の系統的フローチャートである。
図2】腰痛VASスコアの経時的変化を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
<モリンガの特徴>
モリンガ(Moringa)の正式名称は、ワサビノキ(学名:Moringa oleifera Lam.)であり、ワサビノキ科唯一の属であるワサビノキ属の1種である。日本では、食材として扱われるときには、「モリンガ」と称されることが多い。英語では「モリンガ」の他、果実の形態から「ドラムスティックツリー」、根の味から「ホースラディッシュツリー」、種子からとれる油に注目して「ベンオイルツリー(ベンゾイルツリー)」などの名称がある。本種は木本であり、生長が速く旱魃に強い。インド北西部のヒマラヤ山脈南麓を原産とし、熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されている。栽培地域を中心に若い果実や葉が野菜として食される他、浄水や手洗いに用いられ、時に薬用植物とされる。
【0009】
モリンガの一大生育地域であるインドでは、食材として食べられている他、伝統医学「アーユルヴェーダ」にて300の薬効があるとされ、“shigru”と呼ばれて、紀元前から幅広く利用されている。モリンガの食用例をあげると、種子を含む実(鞘)はそのままカレーの具材やピクルスとして食されている。また、モリンガの葉から調製されたお茶、粉末化した種や根の皮、葉をそのまま等々、治療の目的に合わせて利用され、食だけではなくマッサージ施術の素材としても利用されている。本実施形態の一つとして、この粉末化した種子、葉をそのまま使用することも可能である。なお、本発明は経口摂取を目的とするため、根については風味の点で除外することが望ましい。
【0010】
本実施形態のモリンガエキスは、溶媒を使用して、モリンガから抽出して得られる。抽出に供されるモリンガは、特に限定されるものではなく、例えば、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)、モリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)等が挙げられる。このうち、広く栽培されており、容易に採取できる観点から、モリンガ・オレイフェラを用いることが好ましい。エキスを得るためのモリンガの部位としては、葉、茎、鞘(果肉)、根、種子のいずれも用いることができる。これらの部位は生のまま使用しても、乾燥後に使用しても良い。但し、原料としての保存安定性や、エキス製造時の収率の観点から、乾燥後に使用するのが好ましい。さらにはモリンガの種子からはモリンガオイルが得られるため、その搾油残渣から抽出するのも一法である。
得られるモリンガエキス中の有効成分の含有量を多くする観点から、抽出前に前処理することが好ましい。前処理の一態様としては、乾燥モリンガ粉状体などを、80℃以上(好ましくは80℃~170℃、更に好ましくは80℃~95℃)の液体中にて、1分間~10分間(好ましくは3分間~5分間)処理する方法が挙げられる。本実施形態においては、比較的短時間の前処理が効果的である。モリンガ中の有効成分は、熱安定性が悪いために10分間を超える前処理を行うと分解される割合が増加してしまうので好ましくない。
【0011】
前処理の方法は、特に限定されないが、湯煮、油ちょう、焙煎などが挙げられ、媒体を使用する場合には、水、エタノール、動植物性油脂あるいはこれらの混合物などが例示される。熱水抽出は従来から実施されていたが、十分なエキス抽出には10分を超える長時間の抽出が必要となる。
抽出に使用される溶媒としては、水、水と混和できる有機溶媒またはその含水有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、水と混和できる低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の炭素数1~4の1価若しくは多価アルコール)、エーテル、アセトンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独でも、水と混和した後に使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。但し、安全性の観点から、水のみで抽出することが好ましい。本発明における有機溶媒の水との混和割合については特に限定されるものではないが、例えば抽出溶媒における有機溶媒の体積比が0~99.5%であり、好ましくは抽出溶媒における有機溶媒の体積比が0~50%である。
【0012】
抽出に使用される溶媒の液量としては、特に限定されるものではないが、例えば、抽出に供されるモリンガ100質量部に対して、200~3000質量部を用いることができる。抽出時の溶媒の温度は、製造効率の観点から、10℃~50℃が好ましく、20℃~40℃が更に好ましい。
抽出時間は、特に限定されるものではないが、例えば製造効率の観点から、30分間~150分間とできる。
抽出は、攪拌または静止状態で行うことができる。抽出に使用される溶媒を用いて前処理を行う場合には、前処理と抽出を連続して行うこともできる。例えば、モリンガを、80℃以上にて1分間~10分間処理した後に、10℃~50℃となるように温度を調整してエキスを抽出するなどの方法が有り得る。抽出の後、残渣を除去するためにろ過や遠心分離等の処理を施し、この後に減圧等により抽出溶媒を除去できる。また、抽出エキスを粉末とする場合など、必要に応じて、抽出エキスをスプレードライヤーなどで乾燥させることができる。
【0013】
こうして得られた本実施形態のモリンガエキスは、有用物質を多く含むため、有用な生理機能を発揮し得る。
モリンガエキスは、液体、固体のいずれでもよいが、輸送を簡易とする観点から、粉末などの固体状とすることが好ましい。粉末の場合、製品としてそのまま市場流通させてもよいし、賦形剤を配合し、モリンガエキス含有組成物としてもよい。モリンガエキスと賦形剤とを含むモリンガエキス含有組成物とすると、モリンガエキスの固化を防ぐ観点、及び有効成分の分解を抑制して品質を安定なものとする観点から好ましい。モリンガエキスの安定化方法として、賦形剤を配合することが好ましい。
賦形剤として、乳糖、でんぷん、サイクロデキストリン、ガラクトマンナン、ガラクトマンナン分解物、グアーガム、グアーガム分解物、デキストリン、マルトデキストリンなどが例示され、このうち好ましくはサイクロデキストリン、デキストリン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、ガラクトマンナン分解物、グアーガム、グアーガム分解物であり、より好ましくはデキストリンマルトデキストリン、ガラクトマンナン、グアーガム分解物である。これらは粉末または固体状に加工する目的に好適である。一方、液体の形状とするためには、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、液糖、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、還元水あめ等が活用できる。
さらには本発明の組成物の高付加価値化のため、他の機能性素材を添加することも可能である。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンといった乳化剤、アスコルビン酸、トコフェロール、フラボノイド類、ポリフェノール類といった抗酸化剤、香料、着色料、甘味料といったものが例示できる。
【0014】
本実施形態のモリンガエキス含有組成物中の賦形剤の含有量は、特に限定されるものではない。全く添加しなくても差し支えないが、モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して、安定性の観点から、好ましくは、65質量部以上であり、より好ましくは100質量部以上であり、また、使用する賦形剤を少なくしコストを抑える観点から、1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましい。賦形剤の添加時期は、特に限定されるものではないが、抽出時、エキス製造時の不溶性残渣分除去後、粉末化前などが挙げられ、ろ過性の向上の観点から、不溶性残渣分除去後または粉末化前の添加が好ましく、不溶性残渣分除去後の添加がより好ましい。
モリンガエキスの一日摂取量は、特に限定されないが、例えば10mg~1000mgの範囲(好ましくは50mg~600mgの範囲、更に好ましくは、100mg~300mgの範囲)で安全性に問題はないと考えられる。但し、一般に食品の摂取しすぎによって起こり得る症状として、まれに腹痛、便秘、軟便、下痢などの腹部症状が有り得る。
【0015】
本実施形態のモリンガまたはモリンガエキス含有組成物は、様々な飲食品に配合できる。例えば清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料や、これらの飲料の濃縮原液や調整用粉末などであってもよい。また、モリンガエキスは、アイスクリーム、シャーベット、かき氷などの冷菓や、そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺などの麺類に添加できる。更に、モリンガエキスは、飴、キャンディ、ガム、チョコレート、錠菓、グミキャンディー、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、プリン、ジャム、クリーム、焼き菓子などの菓子類に添加できる。なお、飲料用途においては製品中での固型分の沈殿を防ぐ意味でもモリンガエキス含有組成物を使用するほうが好適である。
モリンガまたはモリンガエキス含有組成物は、かまぼこ、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品や、加工乳、発酵乳などの乳製品に添加したり、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリームおよびドレッシングなどの油脂および油脂加工食品、ソース、たれなどの調味料や、スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などに添加できる。
【0016】
また、モリンガまたはモリンガエキス含有組成物は、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤など種々の形態の健康・栄養補助食品、口中清涼剤・口臭防止剤などの口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤、洗口液などの医薬部外品、エモリエントクリーム、エモリエントローションなどに添加して用いることができる。
モリンガまたはモリンガエキス含有組成物の配合量は、特に限定されるものではないが、飲食品中に、エキス乾燥固形分換算で0.01~80質量%となるように配合できる。
モリンガまたはモリンガエキス含有組成物を含む飲食品は、有効成分を多く含むため、生理機能を発揮し得る。
次に、本実施形態の実施例について説明することで、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
<モリンガエキスの調製>
1.モリンガ種子からのエキス抽出(水抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。このとき得られた種子粉砕物を下記の効果確認試験-1にて使用したモリンガ種子粉砕物とした。種子粉砕物100gに対して、500gの脱イオン水(90℃)を加え、5分間攪拌した後に、脱イオン水(10℃)を1500g加えて35℃とし、2時間攪拌した。その後、ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥することで10gのモリンガエキスを得た。
2.モリンガ葉からのエキス抽出(水抽出)
乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、葉粉砕物を得た。このとき得られた葉粉砕物を下記の効果確認試験-1にて使用したモリンガ葉粉砕物とした。得られた葉粉砕物を用いた以外は上記1と同様に操作して、15gのモリンガエキスを得た
【0018】
3.モリンガ茎からのエキス抽出(水抽出)
モリンガ茎をハンマーミルにて粉砕し、得られた茎粉砕物を用いた以外は上記1と同様に操作して、10gのモリンガエキスを得た。
4.モリンガ鞘からのエキス抽出(水抽出)
モリンガ鞘を1センチ程度に切り分け、凍結乾燥させ、ミルにて粉砕し、得られた鞘乾燥粉砕物を用いた以外は上記1と同様に操作して、10gのモリンガエキスを得た。
5.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの50%(v/v)エタノール水溶液(55℃)を加え、5分攪拌した後に、1500gの50%(v/v)エタノール水溶液(10℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガエキスを10g得た。
【0019】
6.モリンガ葉からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は上記5と同様にして、モリンガエキスを12g得た。
7.モリンガ茎からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ茎をハンマーミルにて粉砕し、得られた茎粉砕物を用いた以外は上記5と同様にして、モリンガエキスを10g得た。
8.モリンガ鞘からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ鞘を1センチ程度に切り分け、凍結乾燥させ、ミルにて粉砕し、得られた鞘乾燥粉砕物を用いた以外は上記5と同様にして、モリンガエキスを10g得た。
【0020】
9.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの25%(v/v)エタノール水溶液(90℃)を加え、5分攪拌した後に、1500gの25%(v/v)エタノール水溶液(10℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガエキスを10g得た。
10.モリンガ葉からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は上記9と同様にして、モリンガエキスを15g得た。
11.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの10%(v/v)エタノール水溶液(90℃)を加え、5分攪拌した後に、1500gの10%(v/v)エタノール水溶液(10℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガエキスを10g得た。
【0021】
12.モリンガ葉からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は上記11と同様にして、モリンガエキスを15g得た。
13.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの5%(v/v)エタノール水溶液(90℃)を加え、5分攪拌した後に、1500gの5%(v/v)エタノール水溶液(10℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガエキスを10g得た。
14.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの1%(v/v)エタノール水溶液(90℃)を加え、5分攪拌した後に、1500gの1%(v/v)エタノール水溶液(10℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガエキスを10g得た。
【0022】
15.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、2000gのエタノール溶液(25℃)を加え、2時間撹拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガエキスを8g得た。
16.モリンガ葉からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は、上記15と同様に操作して、モリンガエキスを10g得た。
17.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
上記15において、エタノール溶液をプロピレングリコールに変更した以外は、同じ工程を実施することにより、モリンガエキスを8g得た。
【0023】
18.モリンガ種子からのエキス抽出(有機溶媒抽出)
モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、300gの50%グリセリン(90℃)を加え、5分間撹拌した後に、50%グリセリン(10℃)を700g加えた後、2時間撹拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮し、モリンガエキスを500g得た。
19.モリンガ根からのエキス抽出
モリンガ根を搾汁機にて搾り取り、モリンガ根汁を得た。モリンガ根汁100gをろ布を用いて固液分離し、得られたモリンガ根溶液を凍結乾燥機にて乾燥し、モリンガ根粉末を12g得た。
【0024】
<飲料の官能評価>
1.試験方法
各エキスを下記水溶液処方に120mgを添加し、5名のパネラーにより官能評価(におい、苦味およびエグ味)を実施した。下記の評価基準に従い、それぞれの平均点を算出した。
水溶液処方
(重量%)
1.砂糖 10.0
2.クエン酸(結品) 0.08
3.クエン酸三ナトリウム pHを調整(pH3)
4.水 残部
合計 100
【0025】
においの評価基準
1:無添加品に比べてにおいを強く感じる。
2:無添加品に比べてにおいを感じる。
3:無添加品に比べてにおいをわずかに感じる。
4:無添加品に比べて変化なし。
エグ味の評価基準
1:無添加品に比べて苦味およびエグ味を強く感じる。
2:無添加品に比べて苦味およびエグ味を感じる。
3:無添加品に比べて苦味およびエグ味をわずかに感じる。
4:無添加品に比べて変化なし。
【0026】
2.試験結果
試験結果を表1に示した。表に示す通り、19に比べると、モリンガエキス1~18は、いずれも「におい」が良好で、「苦味およびエグ味」が少なかった。
【0027】
【表1】
【0028】
<水溶液への溶解性の確認>
1.試験方法
上記のように調製した水溶液を、100mlのガラス瓶にホットパック充填した。調製した溶液を放冷し、冷蔵保存(4℃、6ヶ月)後、沈殿の有無を目視観察した。
下記の基準に従い、評価した。
溶解性:
沈殿が観察されない :-
沈殿の量が少ない :+
沈殿の量がやや多い :++
沈殿の量が多い :+++
2.試験結果
試験結果を表2に示した。表に示す通り、モリンガエキス1~6、9~15、17及び18は、沈澱が観察されず、モリンガエキス7、8及び16は、沈澱の量が少なかった。これに対し、19は、沈澱の量が多かった。
【0029】
【表2】
【0030】
<効果確認試験-1>
1.試験方法
8名の被験者を用いて効果確認試験を行った。途中で2名が脱落したために6名で結果を纏めた。
試験方法は、プラセボとモリンガ種子エキス(水抽出あるいは有機溶媒抽出)、モリンガ葉エキス、モリンガ種子粉砕物、モリンガ葉粉砕物を用いたクロスオーバー試験とした。それぞれの摂取期間は2週間とした。ウォッシュアウト期間の1週間を挟んで全ての試験食で負荷検査を行った。負荷検査は2時間のエルゴメーター試験で、負荷日(負荷前と負荷開始1時間後、負荷2時間終了直後、負荷終了後2時間、負荷翌日)に腰の痛みのアンケートを実施した。
それぞれモリンガ種子エキス、あるいはモリンガ葉エキス、モリンガ種子粉砕物、モリンガ葉粉砕物として120mgを含有する試験食品(ハードカプセル)を作成した。この試験食品を1日あたり1個摂取し、2週間連続で摂取させた後に、腰の痛みを評価した。
【0031】
エルゴメーターの負荷運動量については、被験者各個人で目標心拍数を設定し、たとえば30歳で安静時心拍数が60であれば、心拍数が125を維持(目標心拍数)するようにエルゴメーターをこぎ続けてもらった。
腰痛の評価基準は以下のように行い、平均点としてスコア化した。
0: 腰痛を全く感じない
1: 腰痛をわずかに感じる
2: 腰痛をかなり感じる
3: 腰痛を強く感じる
2.試験結果
表3には、腰痛症状の確認結果を示す。負荷開始1時間後、負荷2時間終了直後、負荷終了後2時間ともにプラセボ摂取時と比較してモリンガ葉エキス、モリンガ種子粉砕物、モリンガ葉粉砕物摂取時には腰部の痛みが低下しており、モリンガエキス摂取時には、同症状を顕著に低下させていた。
これらの結果を踏まえて下記効果確認試験-2を実施した。
【0032】
【表3】
【0033】
<効果確認試験-2>
A.試験方法
1.試験目的
本試験は、被験者からの同意書を取得した時点での年齢が30歳以上65歳未満の者であって、日常生活において腰痛や肩こり症状を有する健康な被験者を対象として、モリンガ種子エキス(120mg)を含有する食品を4週間摂取した際の腰痛や肩こり症状に与える影響について、無作為化ダブルブラインド法(プラセボ対照並行群間比較試験)を用いて、被験物質(モリンガ種子エキス)の生理効果を検討することを目的として実施した。
主要評価項目として、腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケートを用いた。事前検査時には、被験者背景調査、身長測定も実施した。
【0034】
2.被験者
(1)臨床試験ボランティア会登録者に対し、被験者募集時に電話での聞き取り調査を行い、試験対象者に該当する約112名に対して事前検査&摂取前検査(SCR&Visit-1)を行った上で、下記選択基準に該当し、下記除外基準に抵触しておらず、試験責任医師の判断により試験参加が妥当と判断された者の中より、被験者選抜基準に準じ40名を選抜し本試験の被験者とした。
【0035】
(2)選択基準
・被験者の選択基準として、下記(i)~(vii)を採用した。
(i)試験参加の同意取得時点での年齢が30歳以上65歳未満の男女
(ii)健康な者で、現在何らかの疾患で治療をしていない者
(iii)日常において腰痛や肩こり症状を有する者
(iv)勤務体系が日中の週5日勤務で土日公休の者
(v)本試験の目的、内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願し、書面で本試験参加に同意できる者
(vi)指定された検査日に来所でき、検査を受ける事のできる者
(vii)試験責任医師が本試験への参加を適当と認めた者
選択基準は、臨床試験の被験者としての適当な年齢(i)、被験者の安全確保ならびに倫理的な配慮(ii),(vi),(viii)及び臨床試験の目的を考慮(iii)~(vii)することにより設定した。
【0036】
・除外者の選択基準として、下記(i)~(xvi)を採用した。
(i)現在、何らかの疾患を患い薬物治療を受けている者
(ii)精神疾患、睡眠障害、高血圧、糖尿病、脂質異常症や重篤な疾患の既往歴・現病歴のある者
(iii)過去1ヶ月において、疾患治療を目的とした、薬物の摂取、塗布習慣のある者(頭痛、感冒などの頓服歴は除く)
(iv)肝、腎、心、肺、血液等の重篤な既往歴のある者
(v)消化器官に併存疾患および重篤な既往歴のある者
(vi)BMIが30kg/m2以上の者
(vii)高度の貧血がある者
(viii)試験食品含有成分にアレルギー症状を起こすおそれのある者、また、その他食品、医薬品に重篤なアレルギー症状を起こすおそれのある者
(ix)アルコール依存症または、日常的な飲酒量が1日あたり平均アルコール換算で60g/日を超える者
(x)試験期間中、生活習慣を変更する可能性のある者(夜間勤務、長期の旅行など)
【0037】
(xi)現在ならびに過去3ヶ月以内において、被験品含有成分の入った機能性表示食品、健康食品、サプリメント類の継続的な摂取習慣のある者、また試験期間中に摂取予定のある者
(xii)現在、肉体疲労、眼精疲労を標榜する、特定保健用食品、機能性表示食品、健康食品、サプリメント類の継続的な摂取習慣のある者、また試験期間中に摂取予定のある者
(xiii)妊娠中、授乳中あるいは妊娠の可能性のある者
(xiv)現在、他のヒト臨床試験に参加している者、他のヒト臨床試験参加から3ヶ月間が経過していない者
(xv)本人または家族が健康・機能性食品および化粧品を開発・製造もしくは販売する企業に勤務する者
(xvi)その他、試験責任医師が本試験の対象として不適当と判断した者
除外基準は、被験者の安全確保のため(i)~(ix),(xiii)、臨床試験の目的を考慮することにより(x)~(xvi)設定した。
【0038】
3.試験食品
試験食品は、被験食品(モリンガ種子エキス120mg含有)及びプラセボ食品(モリンガ種子エキス非含有食品)の2種とした。
プレ実験(動物試験)の結果から、モリンガ種子エキスとして2mg/kg/dayを4週間摂取すると抗疲労効果が確認された。この結果からヒトでの摂取濃度を換算し、用量として120mgを設定した。
被験食品は、モリンガ種子エキス、デキストリン、結晶セルロース、α化デンプン、微粒酸化ケイ素及びステアリン酸カルシウムを含み、7mmφの錠剤に成型した。また、プラセボ食品は、被験食品中のモリンガ種子エキスに代えて、デキストリンを含む以外は同じ組成として、7mmφの錠剤に成型した。
モリンガ種子は、1日あたりの摂取量を水またはぬるま湯とともに、空腹時を避けて朝食後から昼食前までの間に摂取した。
【0039】
5.試験デザイン
(1)試験方法
試験には、無作為化ダブルブラインド法(プラセボ対照並行群間比較試験(2群比較))を用いた。観察回数は、来所2回及び自宅調査3回の5回とし、観察時期は、事前検査&摂取前(SCR&Visit-1)、摂取1週後(自宅調査)、摂取2週後(自宅調査)、摂取3週後(自宅調査)及び摂取4週後(Visit-2)とした。
被験者数は、1群20名として2群を用意した(合計40名)。
事前検査&摂取前検査(SCR&Visit-1)の目標人数として112名とした。このSCR&Visit-1において、選択基準に該当し、除外基準に抵触しておらず、試験責任医師の判断により試験参加が妥当と判断されたの者の中より、以下のランキング付け方法に従ったランキングを付し、総合ランキング上位順に40名を本試験に選抜した。
【0040】
(2)ランキング付け方法
「腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケート」スコア高値順にランキング付け
(3)被験者の割付方法
性別、SCR&Visit-1における年齢、腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケートにて2グループに無作為に割り付けた後、最終的に割付グループ間に有意差がないことを確認した。割付の際には、その他指標に関しても著しい隔たりがないことを確認した。
【0041】
(4)被験者の管理事項
試験期間中は、下記注意を与えた。
(i)不規則な生活(睡眠不足、暴飲暴食など)を避けること。
(ii)食事、運動、睡眠に関しては、本試験開始前と同様な量・質を維持するようにした。特に、検査前日の過度の運動、睡眠不足などは禁止とした。
(iii)アルコールの過量摂取を控えた。また、突然禁酒する等、急激に飲酒状態を変えることを禁止とした。
(iv)医薬品(外用剤を含む)、医薬部外品および漢方薬の使用は原則として禁止とした。やむを得ず使用する場合や使用した場合は、相談窓口に連絡を入れ、使用した商品名およびメーカー名・使用理由を日誌に記録した。
(v)試験登録時に申告した以外の特定保健用食品、機能性食品、健康食品類の摂取は禁止とした。やむを得ず摂取した場合は、名称・成分・摂取量を日誌に記録した。
(vi)試験期間中、喫煙に関しては特に制限しなかった。但し、通常の喫煙習慣(頻度、本数、銘柄、電子タバコに変更するなど)を極力維持することにし、突然禁煙するなど急激に喫煙状態を変える事を禁止とした。
(vii)被験者日誌を毎日記入し、所定の日に提出させた。
(viii)所定の調査日には、自宅にて調査票に記入し所定の日に提出させた。
(ix)所定の検査日に来院し、検査時の注意事項の再確認を行った。
(x)試験期間中は本試験以外のヒト臨床試験の参加を禁止とした。
(xi)その他、試験結果に影響を及ぼすと考えられる事項を禁止とした。
検査前日から検査当日にかけては、下記注意を与えた。
(i)検査前日から検査終了までアルコールの摂取を禁止とした。
(ii)検査前の過度な飲食を禁止とした。
【0042】
(5)試験スケジュールと検査・測定時期
以下のスケジュールで検査・測定を実施した。
(i)試験審査委員会の承認
(ii)被験者募集
(iii)被験者への同意説明、同意取得
(iv)事前検査&摂取前検査(SCR&Visit-1)
(v)本試験への被験者選抜
(vi)被験者割付
(vii)試験食品・被験者日誌の振出
(viii)試験食品摂取、日誌の記載開始
(ix)摂取1週後自宅調査
(x)摂取2週後自宅調査
(xi)摂取3週後自宅調査
(xii)摂取4週後検査(Visit-2)
【0043】
(6)検査スケジュール
・事前検査&摂取前(SCR&Visit-1)には、下記事項を実施した。
(i)試験実施医療機関に来所後、「試験説明会」及び「同意取得」
(ii)被験者背景調査
(iii)腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケート
・摂取1週後自宅調査、摂取2週後自宅調査及び摂取3週後自宅調査として、指定日に腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケート
・摂取4週後(Visit-2)には、下記事項を実施した。
(i)試験実施医療機関に来所
(ii)腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケート
【0044】
6.主要評価項目
(2)腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケート
VASアンケートを用い、「腰痛」または「肩こり」について、VAS法を用い100mmの線分上で回答した。10時~14時の時間帯に被験者自身による記載を行った。
観察時期として、事前検査&摂取前(SCR&Visit-1)、摂取1週後(自宅調査)、摂取2週後(自宅調査)、摂取3週後(自宅調査)、摂取4週後(Visit-2)の5回とした。
【0045】
8.統計解析
(1)解析対象評価項目
主要評価項目として、腰痛VASアンケートおよび肩こりVASアンケートに関するデータ・数値を用いた。
(2)統計解析方法
検査結果データ・数値は、Microsoft Office Excel 2010を用いて累計表に集計し、基本統計量として平均値、標準偏差、標準誤差を算出した。解析に用いた数値は実測値とした。カテゴリーデータとして得られる各検査項目は検査時点ごとの集計を行った。統計解析には、SAS(SAS 9.4)またはSPSS(Statistics25)などの統計解析ソフトを用いて実施した。すべての検定について有意水準は両側検定で5 %とし、10%を傾向とした。算出したデータの表への記載ならびにグラフ化の場合は平均値±標準偏差で示した。
解析には、以下の手法を第1選択とした。但し、データが明らかに正規分布に従わない場合、以下手法が妥当でないと判断した場合は、別手法を検討し統計手法を変更した。
【0046】
(3)層別解析
作用機序の考察や副次効果の説明の観点から、相関関係の解析や層別解析等、様々な統計解析を行った。
(4)外れ値および欠損値
外れ値は設定しなかった。但し、検査上のトラブルなどでデータが取得できない場合又はデータの信頼性に大きな問題が生じた場合は欠損値として取扱い、代替値は用いないこととした。
【0047】
11.解析対象からの除外基準
所定の試験スケジュールや試験内容をすべて終了した被験者のうち、以下に示す事項があった場合は、検討の上、該当被験者を試験解析対象から除外した。
・試験期間中に本文記載の制限事項に著しく反した事実が判明した場合
・試験食品の摂取率が85%以下の場合
・日誌記録の欠損など、検査結果の信頼性を損なう行為が顕著に見られる場合
・検査上のトラブルなどでデータの信頼性に大きな問題が生じた場合
・その他、脱落扱いすることが適当と考えられる明らかな理由がある場合
なお、検討時には試験終了後(4週後の観察終了後)から割付キーを明らかにするまでの間にデータを確認した。
(i)事前に定められた最低限の試験実施規定を完了していること、
(ii)主要変数の測定値が利用可能であること、
(iii)登録基準違反などの重大な試験実施計画書違反がないこと、の基準により、各被験者が試験実施計画書に適合しているかを検討した。
【0048】
12.検査データの変更・欠損
被験者の健康状態および希望で止むを得ず測定の遅延または欠損が生じた場合、ヘルシンキ宣言の主旨に従い被験者の健康状態および希望を優先した。従ってこれらの本試験とは無関係の事由で止むを得ず一部のデ-タの採取が不可能となった場合は欠損データとして処理した。
【0049】
B.試験結果
表4には、被験物質(モリンガ種子エキス)またはプラセボの成分組成(1日摂取量あたり)を示した。両錠剤の成分組成は、モリンガ種子エキスを含む以外は、大きな相違はなかった。この錠剤は、上記「<モリンガエキスの調製> 1.モリンガ種子からのエキス抽出(水抽出)」に記載した方法で調製したものを用い、賦形剤を添加した後に打錠成型したものを用いた。
【0050】
【表4】
【0051】
図1には、本試験方法の系統的フローチャートを示した。予備的試験によって112名から72名を除き、残った40名で本試験を行った。40名については、ランダムに20名ずつの2群(被験物質投与群及びプラセボ投与群)に区分した後に本試験を行った。有効性分析については、全データ(n=40)、腰痛VASスコアが中央値の48以上のデータ(n=20)、肩こりVASスコアが中央値の63以上のデータ(n=22)を用いた。
表5には、40名の本試験の被験者の特徴を各群毎に示した(データは性別を除き、平均値±標準偏差で示した)。表に示すように、被験者群とプラセボ群の2群間において、統計的に有意な差違は認められなかった。
【0052】
【表5】
【0053】
表6には、腰痛および肩こりに関するVASスコアの経時的な変化を示した。データは、平均値±標準偏差で示した(表7においても同じ)。また、「*」は、危険率5%(p<0.05)で有意であったことを示す。
表に示すように、腰痛で被験物質投与群とプラセボ投与群との間に有意差が認められることが分かった。
次に、中央値を超えるデータについて、層別解析を行った。
【0054】
【表6】
【0055】
表7、図2には、ベースライン中央値を超える対象者のVASスコアについて、層別解析を行ったときの、腰痛あるいは肩こりに関するVASスコアの経時的な変化を示した。ベースライン中央値として、腰痛は48、肩こりは63を用いた。また、「*」は危険率5%(p<0.05)で、「**」は危険率1%(p<0.01)で、それぞれ有意であったことを示す。
表に示すように、腰痛で、被験物質投与群とプラセボ投与群との間に有意差が認められることが分かった。
本試験の結果、モリンガ種子エキスは、腰痛に対して効果があることが分かった。
【0056】
【表7】
【0057】
このように本実施形態によれば、腰痛を改善する組成物、特にモリンガエキスを含有する組成物等を提供できた。
図1
図2