(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ディスク形ブラシ、清掃装置およびフロアクリーニングマシン
(51)【国際特許分類】
A47L 11/283 20060101AFI20240912BHJP
A46B 7/08 20060101ALI20240912BHJP
B08B 1/36 20240101ALI20240912BHJP
【FI】
A47L11/283
A46B7/08
B08B1/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027098
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10 2019 104 497.9
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518094164
【氏名又は名称】ハーコ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hako GmbH
【住所又は居所原語表記】Hamburger Strasse 209-239, 23843 Bad Oldesloe, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラム ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】カーステン プローツ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03019465(US,A)
【文献】特開昭51-117454(JP,A)
【文献】米国特許第03101505(US,A)
【文献】特開2012-085735(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第08814869(DE,U)
【文献】特表2007-523698(JP,A)
【文献】米国特許第04041565(US,A)
【文献】米国特許第02867825(US,A)
【文献】米国特許第06202243(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第02532788(EP,A2)
【文献】国際公開第2014/199013(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/122339(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02461536(GB,A)
【文献】特開2017-221240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L11/00-11/40
A46B 7/08
B08B 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動装置(43)と結合して清掃装置(37)を形成するように適合されているディスク形ブラシ(1)であって、
回転軸線(13)を中心として回転するために前記回転駆動装置(43)に連結することができ、環状に延びる外側エッジ(19)を有している基体(3)と、
ブリッスル(5)であって、その端部で前記基体(3)に取り付けられており、前記基体(3)から離れる方向に、かつ前記回転軸線(13)に対して垂直方向に延びる清掃平面(21)に向かって延びているブリッスル(5)と、
柔軟な材料から成る被覆部(23)を有しているカバーエレメント(7)であって、前記被覆部(23)が、前記基体(3)か
ら離れる方向に、かつ前記清掃平面(21)に向かって延びており、前記被覆部(23)の内部(29)に面している内面(25)と、前記被覆部(23)の外部(31)に面している外面(27)とを有している、カバーエレメント(7)と、
を備え、
前記ブリッスル(5)が前記被覆部(23)の前記内部(29)に配置されるように、前記被覆部(23)が前記ブリッスル(5)を前記回転軸線(13)に対して垂直方向で取り囲んで
おり、
全ての前記ブリッスル(5)が前記清掃平面(21)まで延びている、または全ての前記ブリッスル(5)および前記被覆部(23)が1つの平面上にある、ディスク形ブラシ(1)。
【請求項2】
前記ブリッスル(5)の、回動軸線に対して半径方向外側の少なくとも1つの部分が、前記回転軸線(13)に対して傾斜して延びており、したがって、前記ブリッスル(5)の前記部分の自由端は、前記基体(3)に取り付けられている端部よりも、前記回転軸線(13)に対して大きな間隔を有しており、
前記被覆部(23)が円錐形の延在形状を有している、請求項1記載のディスク形ブラシ。
【請求項3】
前記基体(3)が、前記被覆部(23)の前記内部(29)とは反対の側に向いた上面(15)と、前記被覆部(23)の前記内部(29)に面した下面(17)とを有しており、
前記基体(3)が前記回転駆動装置(43)に連結されているときに、前記被覆部(23)の前記内部(29)と、前記基体(3)の前記上面(15)との間で、前記基体(3)を通る流体接続が生じない、請求項1または2記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項4】
前記ブリッスル(5)の、前記基体(3)から離れ
た自由端が、前記清掃平面(21)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項5】
前記被覆部(23)の、環状に延びる被覆部区分が、前記回転軸線(13)と一緒に、最低5度~最高85
度の被覆部角度(49)を形成する、請求項1から4までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項6】
前記柔軟な材料が、天然ゴ
ムから形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項7】
前記柔軟な材料が、最高で0℃のガラス転移温度を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項8】
前記柔軟な材料が、最高で5GPaの弾性率を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項9】
前記被覆部(23)が閉鎖面として形成されており、これによって、前記被覆部(23)の前記外部(31)と、前記被覆部(23)の前記内部(29)との間で、前記被覆部(23)を通る流体接続が生じない、請求項1から8までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項10】
前記カバーエレメント(7)が、前記基体(3)
に取り付けられている取付け領域(33)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項11】
前記取付け領域(33)が、前記基体(3)
に接着かつ/または付着されている、請求項10記載のディスク形ブラシ(1)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載のディスク形ブラシ(1)と、回転駆動装置(43)とを備えた清掃装置(37)であって、
前記ディスク形ブラシ(1)の基体(3)が、回転軸線(13)を中心として回転するために前記回転駆動装置(43)に連結されている、清掃装置(37)。
【請求項13】
請求項12記載の清掃装置(37)を備えた、フロア面(45)を塵埃からクリーニングするフロアクリーニングマシン(35)であって、
当該フロアクリーニングマシン(35)をクリーニングすべき前記フロア面(45)上で運動させるための走行装置(39)と、
清掃物収容装置(41)と、
を備え、
前記清掃装置(37)のディスク形ブラシ(1)を作業位置に移動することができ、
前記作業位置において、ブリッスル(5)の部分量と
、カバーエレメント(7)の1つの区分とが、クリーニングすべき前記フロア面(45)に係合し、これによって、前記清掃装置(37)の回転駆動装置(43)により引き起こされる、回転軸線(13)を中心とした基体(3)の回転時に、清掃物が、クリーニングすべき前記フロア面(45)から、前記ブリッスル(5)と
、前記カバーエレメント(7)とによって、前記清掃物収容装置(41)の入口へと送出される、フロアクリーニングマシン(35)。
【請求項14】
前記作業位置において、清掃平面(21)が、クリーニングすべき前記フロア面(45)に対して、0度よりも大きな清掃角度(47)で配置されている、請求項13記載のフロアクリーニングマシン(35)。
【請求項15】
前記清掃物収容装置(41)は、クリーニングすべき前記フロア面(45)から埃塵を収容容器(46)内に送出するように構成されている、請求項13または14記載のフロアクリーニングマシン(35)。
【請求項16】
前記フロアクリーニングマシン(35)が、清掃機、清掃吸引機、研磨機または研磨吸引機である、請求項13から15までのいずれか1項記載のフロアクリーニングマシン(35)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク形ブラシ、清掃装置およびフロアクリーニングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク形ブラシが先行技術から公知である。たとえば、ディスク形ブラシはフロアクリーニングマシンの清掃装置で使用される。ディスク形ブラシは回転するように駆動され、これにより、そのブリッスルで、クリーニングすべきフロア面上の清掃物(Kehrgut、ごみ)をフロアクリーニングマシンの収容装置の方向に送ることができるので、収容装置は、クリーニングすべきフロア面から清掃物を収容することができる。
欧州特許出願公開第2532788号明細書には、掃引される表面に係合するように適合されたブラシ要素を有する駆動ブラシを備えた、道路清掃車両用のブラシアセンブリが記載されている。
中国実用新案第206090419号明細書には、ブラシと、回転ディスクと、ダスト収集カバーとを備えた、道路表面を掃除するための掃引ディスクアセンブリが記載されている。
【0003】
回転するディスク形ブラシにより、ディスク形ブラシのブリッスルは、ディスク形ブラシの回転軸線を中心として運動する。回転軸線を中心としたブリッスルの運動は、ブリッスルの領域内に流入し、次いで半径方向にブリッスルから離れる空気流を提供するので、清掃物が、収容装置によって収容される前に舞い上げられてしまう。特に、清掃物の塵埃の割合が高い場合、清掃物の舞い上がりは塵埃の舞い上がりを引き起こし、塵埃は比較的長時間にわたって空気中に浮き、遠くまで分散して表面に落ちてしまう。しかし、舞い上げられる塵埃を、清掃物の送出時に阻止すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、清掃物を確実に送出することができ、舞い上げられる塵埃を阻止するか、または少なくとも舞い上げられる塵埃の量をできるだけ小さく維持するディスク形ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、上述の課題は請求項1に記載の特徴を備えたディスク形ブラシによって解決される。ディスク形ブラシは、回転駆動装置に連結して清掃装置を形成するように適合されている。ディスク形ブラシは、基体を有している。基体は、回転軸線を中心として回転するために回転駆動装置に連結されてよく、環状に延びる外側エッジを有している。ディスク形ブラシは、ブリッスルを有している。ブリッスルの端部は基体に取り付けられており、基体から離れる方向に、かつ回転軸線に対して垂直方向に延びる清掃平面に向かって延びている。ディスク形ブラシは、カバーエレメントを有している。カバーエレメントは、柔軟な材料から成る、好適には円錐形の被覆部を有している。被覆部は、基体から、好適には外側エッジから離れる方向に、かつ清掃平面に向かって延びている。被覆部は、被覆部の内部に面している内面を有している。被覆部は、被覆部の外部に面している外面を有している。被覆部は、ブリッスルが被覆部の内部に配置されるように、回転軸線に対して垂直方向でブリッスルを取り囲んでいる。
【0006】
基体は、回転軸線を中心として回転するために回転駆動装置に連結されてよい。基体が回転駆動装置に連結されている場合、回転駆動装置は基体を駆動するので、基体は回転軸線を中心として回転する。回転駆動装置との連結のために、基体は連結手段を有していてよい。基体の連結手段は、切欠きと、環状に延びる当付け面とを有していてよい。
【0007】
ディスク形ブラシは、ブリッスルを有している。ブリッスルの端部は基体に取り付けられており、基体から離れる方向に、かつ回転軸線に対して垂直に延びる清掃平面に向かって延びている。好適には、ブリッスルの、回動軸線に対して半径方向外側の少なくとも1つの部分が、回転軸線に対して傾斜して延びているので、ブリッスルのこの部分の自由端は、基体に取り付けられている端部よりも回転軸線から大きな間隔を有している。
【0008】
基体におけるブリッスルの端部の取付けは、基体が回転軸線を中心として回転した場合に、ブリッスルが回転軸線を中心として運動することを保証する。回転軸線を中心としたブリッスルの運動は、ブリッスルがクリーニングすべきフロア面に係合したときに、ブリッスルがクリーニングすべきフロア面に沿って清掃物を送出することができることを可能にする。基体から離れる方向に、かつ回転軸線に対して垂直方向に延びる清掃平面に向かう方向にブリッスルが延びていることで、ブリッスルの、基体から離れた自由端がクリーニングすべきフロア面に係合するように作用し、これによりクリーニングすべきフロア面に沿って清掃物を送出することができる。
【0009】
ディスク形ブラシは、好適には円錐形の被覆部を備えたカバーエレメントを有している。被覆部は、ブリッスルを取り囲む。ブリッスルの少なくとも半径方向外側の部分が傾斜しているか、または円錐形に基体から離れる方向に、かつ清掃平面に向かって延びている場合、円錐形の被覆部はブリッスルの延在形状に適合されている。
【0010】
好適には円錐形である被覆部は、柔軟な材料から形成されている。被覆部の材料の柔軟性が、大きな変形範囲にわたる被覆部の弾性変形を保証するので、被覆部は強い変形後でさえ再び元の形状をとることができる。被覆部の材料の柔軟性は、カバーエレメントの1つの区分が、クリーニングすべきフロア面との係合時に面状にフロア面に載置することができ、これにより面状の摩擦力によって特に根本的にクリーニングすべきフロア面に沿って清掃物が送出されることを可能にする。さらに、被覆部の材料の柔軟性は、被覆部がクリーニングすべきフロア面にわたる運動時に障害物に衝突した場合に、被覆部が弾性的に変形することを確実にする。障害物は、たとえば、クリーニングすべきフロア面を画定する壁またはクリーニングすべきフロア面に延びている棚であってよい。したがって、被覆部の弾性変形性は、被覆部の寿命を延ばすことができる。
【0011】
被覆部が弾性的に変形すると、ブリッスルの部分量がクリーニングすべきフロア面に係合することができ、これにより回転軸線を中心とした基体の回転時に、クリーニングすべきフロア面からブリッスルによって清掃物を送出することができる。したがって、清掃物の送出が、被覆部の弾性変形時にも保証されている。
【0012】
被覆部は、基体から離れる方向に、かつ清掃平面に向かって延びている。基体から離れる方向に、かつ清掃平面に向かって被覆部が延びていることで、ブリッスルの、回転軸線を中心として延びる取囲みが可能になる。被覆部は、基体の外側エッジから離れる方向に延びていてよい。被覆部は、基体に当て付けられていてよく、これにより被覆部は回転軸線を中心とした基体の回転時に、被覆部と基体との間で作用し得る摩擦力に基づいて、同様に回転軸線を中心として回転する。被覆部は、基体に当て付けられていてよく、かつこの基体に取り付けられていてよいので、被覆部は基体の回転時に基体と一緒に回転軸線を中心として回転する。
【0013】
被覆部は、内面と外面とを有している。内面は、被覆部の内部に面していて、外面は、被覆部の外部に面している。被覆部は、被覆部の内部を被覆部の外部から分離することができる。
【0014】
被覆部は、ブリッスルが被覆部の内部に配置されているように、回転軸線に対して垂直方向でブリッスルを取り囲む。被覆部によって回転軸線に対して垂直方向でブリッスルを取り囲み、これによりブリッスルが被覆部の内部に配置されていることにより、ブリッスルに向かい、ブリッスルから離れる空気流を最小限にすることができる。特に、ブリッスルが回転軸線を中心として運動する場合、被覆部によって被覆部の内部と被覆部の外部との間の空気流が減じられる。収容装置により収容される前の清掃物の舞い上がりが、空気流の減少によって同様に最小限にされる。したがって、清掃物が高い塵埃割合を有している場合のために、舞い上げられる塵埃の量を減らすことができる。特に、被覆部によって、空気流がブリッスルの領域に進入し、空気がディスク形ブラシの回転により再び半径方向でブリッスルの領域から出るように加速されることが阻止される。このような流れを阻止することにより、本発明に係るディスク形ブラシでは、先行技術によるブラシの場合と比べて、運転時の塵埃の舞い上がりが明らかに減少する。
【0015】
つまり、要約すると、ディスク形ブラシが清掃物を確実に送出することができ、舞い上がる塵埃を阻止するか、または少なくとも舞い上げられる塵埃の量が小さく維持される。
【0016】
1つの実施形態では、基体が、被覆部の内部とは反対に向いた上面と、被覆部の内部に面している下面とを有している。基体が回転駆動装置に連結されている場合、被覆部の内部と、基体の上面との間で基体を通る流体接続は生じない。基体を通る流体接続を阻止することにより、基体を通ってブリッスルに向かい、基体を通ってブリッスルから離れる空気流を阻止することができるので、清掃物の舞い上がりを著しく減らすことができる。
【0017】
1つの実施形態では、ブリッスルの、基体から離れた自由端が清掃平面に配置されている。ブリッスルの、基体から離れた自由端を清掃平面に配置することで、ブリッスルの自由端が回転軸線を中心として清掃平面内で運動することが可能になる。清掃平面において回転軸線を中心としてブリッスルの自由端が運動することで、クリーニングすべきフロア面とブリッスルの自由端との正確な係合が可能になる。
【0018】
1つの実施形態では、被覆部の環状に延びる被覆部区分が、回転軸線と一緒に、最低5度~最高85度、好適には最低20度~最高70度、特に好適には最低35度~最高55度の被覆部角度を形成する。最低5度の被覆部角度は、カバーエレメントの1つの区分がクリーニングすべきフロア面に係合した場合に、被覆部区分が回転軸線から離れる方向に、かつ被覆部の外部に向かう方向で変形することを保証する。この効果は、被覆部角度が増すにつれて増大する。最高85度の被覆部角度は、被覆部が弾性変形した場合に、被覆部自体によるブリッスルの、回転軸線を中心として延びる取囲みを保証する。被覆部角度がさらに減少すると、被覆部によるブリッスルの、回転軸線を中心として延びる取囲みを被覆部のより大きな弾性変形時にも保証することができる。
【0019】
1つの実施形態では、柔軟な材料が天然ゴムから形成されている。天然ゴムは、特にフレキシブルかつ耐摩耗性の材料である。柔軟な材料は、完全に、または少なくとも部分的に天然ゴムから形成されていてよい。天然ゴムは、加硫されていてよい。加硫された天然ゴムは、広い変形範囲にわたってほぼ純粋に弾性的な変形挙動を提供する。柔軟な材料は、Linatexから形成されていてよい。Linatexは、円錐形の被覆部の柔軟な材料としての使用時に、特に有利であることが判った。Linatexの使用時に、被覆部は最適な柔軟性および長寿命を高い清掃効果と同時に有している。本発明は、柔軟な材料が天然ゴムから形成されていることに制限されない。柔軟な材料は、完全に、または少なくとも部分的に合成ゴムから形成されていてよい。本発明は、柔軟な材料が天然ゴムまたは合成ゴムから形成されていることに制限されない。柔軟な材料は別のエラストマから形成されていてもよい。
【0020】
1つの実施形態では、柔軟な材料は、最高で0℃のガラス転移温度を有している。最高で0℃のガラス転移温度は、柔軟な材料が0℃を上回る温度で弾性であることを保証する。柔軟な材料がエラストマである場合、最高で0℃のガラス転移温度により、柔軟な材料が0℃を上回る温度においてゴム弾性的な範囲で使用されることが保証される。柔軟な材料が最高で-30℃のガラス転移温度を有している場合、これによって、ディスク形ブラシが厳しい寒さの屋外領域においても使用される場合でさえ、被覆部が弾性変形可能であるので特に有利である。
【0021】
1つの実施形態では、柔軟な材料が最高で5GPaの弾性率を有している。最高で5GPaの弾性率は、被覆部が弾性変形に対して小さな抵抗を有しており、これにより被覆部が障害物との接触時に変形し、被覆部と障害物とが塑性変形しないことを保証する。
【0022】
1つの実施形態では、被覆部が、閉鎖面として形成されているので、被覆部の外部と被覆部の内部との間で被覆部を通る流体接続が生じない。被覆部を通る流体接続を阻止することにより、被覆部を通ってブリッスルに向かい、被覆部を通ってブリッスルから離れる空気流を特に確実に阻止することができるので、清掃物の舞い上がりをさらに減らすことができる。
【0023】
1つの実施形態では、カバーエレメントが、基体に、好適には基体の外側エッジに取り付けられている取付け領域を有している。この取付け領域により、カバーエレメントを基体に取り付けることができる。基体にカバーエレメントを取り付けることで、基体が回転軸線を中心として回転した場合に、カバーエレメントが回転軸線を中心として回転することを保証することができる。取付け領域は、環状に延びるように形成されていてよいので、取付け領域は外側エッジに環状に取り付けられていてよい。取付け領域は、被覆部よりも硬く形成されていてよいので、取付け領域は、基体における機械的に安定的な取付けを可能にし、同時に被覆部は十分にフレキシブルに形成されていてよい。
【0024】
1つの実施形態では、取付け領域が基体に、好適には外側エッジに接着かつ/または付着されている。接着は、単純かつ機械的に頑丈な材料結合式の結合部を成す。取付け領域が基体に付着されている場合、形状結合式かつ/または力結合式の結合が取付け領域と基体との間で提供される。たとえば、取付け領域は基体に打ち付けられていてよい。基体における取付け領域の打付けは、特に簡単かつ迅速である。取付け領域が基体に接着されかつ付着されている場合、材料結合式ならびに形状結合式かつ/または力結合式の結合部が取付け領域と基体との間で提供されるので、取付け領域と基体とは特に機械的に頑丈に互いに結合されている。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、冒頭で述べた課題は、請求項11に記載された特徴を備えた清掃装置によって解決される。清掃装置は、本発明の第1の態様によるディスク形ブラシと、回転駆動装置とを有している。ディスク形ブラシの基体は、回転駆動装置により回転軸線を中心として回転するために連結されている。
【0026】
本発明の第1の態様によるディスク形ブラシに関連して説明された特徴、技術的な効果および/または利点は、少なくとも同一の形式で、本発明の第2の態様による清掃装置にも当てはまるので、ここでは対応する繰返しが省略される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、冒頭で述べた形式の課題は、請求項12に記載の特徴を備えたフロアクリーニングマシンによって解決される。フロアクリーニングマシンは、清掃物、特に塵埃からフロア面をクリーニングするように構成されている。フロアクリーニングマシンは、本発明の第2の態様による清掃装置と、クリーニングすべきフロア面上でフロアクリーニングマシンを運動させる走行装置と、清掃物収容装置、特に塵埃収容装置とを有している。清掃装置のディスク形ブラシは、作業位置へと移動することができる。作業位置では、ブリッスルの部分量と、好適にはカバーエレメントの1つの区分とが、クリーニングすべきフロア面に係合するので、清掃装置の回転駆動装置により引き起こされる、回転軸線を中心とした基体の回転時に、清掃物をクリーニングすべきフロア面からブリッスルとカバーエレメントとによって、清掃物収容装置、特に塵埃収容装置の入口に送出する。
【0028】
清掃装置のディスク形ブラシを、作業位置に移動することができる。好適には、清掃装置のディスク形ブラシを、送出位置から作業位置へと移動することができる。送出位置では、ブリッスルおよびカバーエレメントはフロア面から離間しているので、フロアクリーニングマシンは、クリーニングすべきフロア面に向かって、かつクリーニングすべきフロア面から離れる方向に移動されてよく、このときにブリッスルの部分量と、カバーエレメントの1つの区分とがフロア面に係合することはない。作業位置では、ブリッスルの部分量と、好適にはカバーエレメントの1つの区分とが、クリーニングすべきフロア面に係合する。
【0029】
1つの実施形態では、作業位置において、清掃平面は、クリーニングすべきフロア面に対して0度よりも大きな清掃角度で配置されている。0度よりも大きな清掃角度により、清掃物は特に効果的に、かつ清掃物収容装置の入口の方向にブリッスルおよびカバーエレメントによって送出される。
【0030】
1つの実施形態では、清掃物収容装置、特に塵埃収容装置が、清掃物、特に塵埃をクリーニングすべきフロア面から収容容器内へと送出するように構成されている。収容容器内への清掃物の送出は、清掃物をフロアクリーニングマシン内に集め、排出ステーションへと送出することができることを保証する。
【0031】
1つの実施形態では、フロアクリーニングマシンは、清掃機、清掃吸引機、研磨機または研磨吸引機である。フロアクリーニングマシンが清掃機、清掃吸引機、研磨機または研磨吸引機であってよいことにより、本発明の第1の態様によるディスク形ブラシと、本発明の第2の態様による清掃装置のための様々な使用分野が提供される。
【0032】
本発明の第1の態様によるディスク形ブラシに関連して説明された特徴、技術的な効果および/または利点は、少なくとも同一の形式で、本発明の第3の態様によるフロアクリーニングマシンにも当てはまるので、ここでは対応する繰返しは省略される。
【0033】
本発明の別の特徴、利点および使用可能性が、以下の実施例の説明および図面から明らかとなる。説明されかつ/または図示される全ての特徴は、それ自体でも任意の組み合わせでも、個別の請求項またはその引用における関係とは無関係に、本発明の対象を形成する。さらに、図面中では、同一または類似の対象物に対して同一の参照符号が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係るディスク形ブラシの実施形態の概略的な側面図である。
【
図2】本発明に係るフロアクリーニングマシンの実施形態の一部の概略的な側面図である。
【
図3】清掃装置が作業位置にある場合に、
図2に示したフロアクリーニングマシンの実施形態のディスク形ブラシのブリッスルがフロア面に係合する、フロア面の区分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明に係るディスク形ブラシ1の実施形態の概略的な側面図を示している。ディスク形ブラシ1は、基体3と、ブリッスル5と、カバーエレメント7とを有している。
【0036】
基体3は、切欠き9と、環状に延びる当付け面11とを有している。切欠き9と当付け面11とは、回転軸線13を中心とした基体3の回転可能な連結を可能にする。さらに、基体は、上面15と、下面17と、環状に延びる外側エッジ19とを有している。
【0037】
ブリッスル5の端部は、基体3に取り付けられていて、基体3から離れる方向に、かつ回転軸線13に対して垂直に延びる清掃平面21に向かって延びている。ブリッスル5の、基体3から離れた自由端は、この実施例では清掃平面21に配置されている。この実施例では、ブリッスル5が、回転軸線13に対して傾斜しているので、ブリッスル5の自由端は、基体3に取り付けられている端部における間隔よりも、回転軸線13から大きな間隔を有している。
【0038】
カバーエレメント7は、円錐形の被覆部23を有している。この被覆部23は、内面25と外面27とを有しており、内面25は被覆部23の内部29に面している。外面27は、被覆部23の外部31に面している。被覆部23は、外側エッジ19から離れる方向に、かつ清掃平面21に向かって延びている。カバーエレメント7は、基体3の外側エッジ19に取り付けられている取付け領域33を有している。取付け領域は、外側エッジ19に接着かつ/または付着されていてよい。
【0039】
被覆部23は、この好適な実施例では、柔軟な材料から形成されている。柔軟な材料は、天然ゴムから形成されており、最高で0℃のガラス転移温度を有し、最高で5GPaの弾性率を有している。特に、柔軟な材料がLinatexから形成されている場合に、清掃物の舞い上がりが僅かで特に高い清掃作用が得られた。
【0040】
被覆部23は、ブリッスル5が被覆部23の内部29に配置されるように、回転軸線13に対して垂直方向でブリッスル5を取り囲んでいる。
【0041】
被覆部23によって回転軸線13に対して垂直方向でブリッスル5を取り囲み、したがってブリッスル5が被覆部23の内部29に配置されていることにより、ブリッスル5に向かいブリッスル5から離れる空気流を最小限にすることができる。特に、ブリッスル5が回転軸線13を中心として運動する場合に、被覆部23によって、被覆部の内部29と被覆部の外部31との間の空気流が減少する。清掃物収容装置41(
図2を参照)によって収容される前の清掃物の舞い上がりが、空気流の減少によって同様に最小限になる。したがって、清掃物の塵埃割合が高い場合に、舞い上げられる塵埃の量を減らすことができる。
【0042】
被覆部23は閉鎖面として形成されているので、被覆部23の外部31と被覆部23の内部29との間で、被覆部23を通る流体接続は生じない。被覆部23を通る流体接続を阻止することにより、被覆部23を通ってブリッスルに向かい、被覆部23を通ってブリッスルから離れる空気流を、特に効率的に回避することができるので、清掃物の舞い上がりをさらに明らかに減らすことができる。
【0043】
被覆部23は、環状に延びる被覆部区分35を有している。この環状に延びる被覆部区分は、回転軸線13と一緒に48度の被覆部角度49を形成する。48度の被覆部角度49は、単なる例示である。特に、被覆部23が回転軸線13を中心として運動する場合、被覆部角度49は別の値をとることもできる。
【0044】
図2は、本発明に係るフロアクリーニングマシンの実施形態の一部の概略的な側面図を示している。この部分は、清掃アタッチメント35として構成されている。清掃アタッチメント35は、それぞれ側面に取り付けられている清掃装置37と、走行装置39と、清掃物収容装置41、特に塵埃収容装置とを有している。
【0045】
清掃装置37は、
図1に示したディスク形ブラシ1を有している。このディスク形ブラシ1のうち被覆部23が
図2に示されている。さらに、清掃装置37は回転駆動装置43を有している。この回転駆動装置43に、ディスク形ブラシ1の基体3(
図1を参照)が、回転軸線13を中心として回転するために連結されている。清掃装置37は、フロアクリーニングマシンの部分として、ここでは清掃アタッチメント35の部分として使用するために適合されている。清掃装置37は、清掃機、清掃吸引機、研磨機または研磨吸引機の部分としても使用することができる。
【0046】
走行装置39は、清掃アタッチメント35をクリーニングすべきフロア面45上で運動させるように構成されている。清掃物収容装置41は、清掃物、特に塵埃をクリーニングすべきフロア面45から清掃アタッチメント35の収容容器46内に送出するように、構成されている。清掃アタッチメント35は、塵埃からフロア面45をクリーニングするように構成されている。
【0047】
図1に示したように、基体3の上面15は被覆部23の内部29とは反対を向いており、下面17は、被覆部23の内部29に面している。基体3が
図2に示したような回転駆動装置43に連結されている場合、被覆部23の内部29と、基体3の上面15との間で、基体3を通る流体接続は生じない。基体3を通る流体接続を回避することにより、この基体が回転駆動装置43に連結されている場合に、ブリッスル5が回転軸線13を中心として運動する際に、基体3を通ってブリッスル5に向かい、基体3を通ってブリッスル5から離れる空気流を阻止することができる。基体3を通る空気流を回避することで、清掃物の舞い上がりをさらに減らすことができる。
【0048】
清掃装置37のディスク形ブラシ1は、送出位置から
図2に示された作業位置へと移動することができる。送出位置では、ブリッスル5とカバーエレメント7とはフロア面45から離間しているので、清掃アタッチメント35は、クリーニングすべきフロア面45に向かってかつクリーニングすべきフロア面45から離れる方向に運動することができ、この場合にブリッスル5の部分量と、カバーエレメント7の1つの区分とがフロア面45に係合することはない。作業箇所では、ブリッスル5の部分量と、カバーエレメント7の1つの区分とが、クリーニングすべきフロア面45に係合する。清掃装置37の回転駆動装置43により引き起こされる、回転軸線13を中心とした基体3の回転時に、清掃物はクリーニングすべきフロア面45から、ブリッスル5とカバーエレメント7とにより清掃物収容装置41の入口へと送出され、この清掃物収容装置41から清掃アタッチメント35の収容容器46内に送出される。
【0049】
作業位置では、清掃平面21は、ここに説明した実施例では、クリーニングすべきフロア面45に対して約5度の清掃角度47で配置されている。5度の清掃角度47は、単なる例示である。特に、清掃アタッチメント35がクリーニングすべきフロア面45上を運動すると、清掃角度47は別の値をとることもできる。清掃平面21とクリーニングすべきフロア面45との間の清掃角度47は、ディスク形ブラシ1の回転軸線13の傾斜角47’に相当する。ここで図示した好適な実施形態では、作業位置において、回転軸線13は、側方に5度だけ、かつ清掃アタッチメント35の走行方向Fで5度だけ前方に向かって傾斜している。
【0050】
図3は、クリーニングすべきフロア面45の、回転軸線13の傾斜姿勢に基づいてディスク形ブラシ1のブリッスル5の部分量が係合する区分を、清掃アタッチメント35の走行方向Fに関して斜線領域Bとして平面図で示している。これらの領域Bは、全部で180度にわたって延びている。さらに、これらの領域Bは、走行方向Fに対して60度だけ清掃アタッチメント35の中心に向かう方向で内方に向かって、かつ走行方向Fとは反対方向で30度にわたって後方に延びている。最終的に、清掃装置37の回転駆動装置43は、ディスク形ブラシ1がクリーニングすべきフロア面45に係合している場合に、クリーニングすべきフロア面45に係合している領域B内に位置しているブリッスル5が清掃アタッチメント35の中心に向かって運動するように、ディスク形ブラシ1は互いに反対方向に回転するように構成されている。これにより、フロア面45に位置する汚れが清掃アタッチメント35の中心に向かって移動する。
【0051】
補足的に、「有している」とは、別のエレメントまたはステップを排除することが示唆され、「1つの」は複数を排除することが示唆される。さらに、上述の実施例の1つを参照して説明された特徴は、上述の別の実施例の別の特徴と組み合わせても使用することができることが示唆されている。請求項中の参照符号は制限するものとみなすべきではない。
【符号の説明】
【0052】
1 ディスク形ブラシ
3 基体
5 ブリッスル
7 カバーエレメント
9 切欠き
11 当付け面
13 回転軸線
15 上面
17 下面
19 外側エッジ
21 清掃平面
23 被覆部
25 内面
27 外面
29 被覆部の内部
31 被覆部の外部
33 取付け領域
35 清掃アタッチメント
37 清掃装置
39 走行装置
41 清掃物収容装置
43 回転駆動装置
45 フロア面
46 収容容器
47 清掃角度
47’ 傾斜角 回転軸線
49 被覆部角度