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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】落雷保護
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/88 20060101AFI20240912BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20240912BHJP
   B29C 70/30 20060101ALI20240912BHJP
   B64D 45/02 20060101ALI20240912BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240912BHJP
   B64C 1/12 20060101ALN20240912BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20240912BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
B29C70/88
B29C70/16
B29C70/30
B64D45/02
B64C1/00 B
B64C1/12
B29K105:08
B29K101:10
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020088799
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021020452
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】16/526,780
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アール・ブレイ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ディー・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジー・ロートン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エム・ウェストレン
(72)【発明者】
【氏名】メレディス・ピー・ニックス
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/048705(WO,A2)
【文献】特開2019-116089(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107825810(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/88
B29C 70/16
B29C 70/30
B64D 45/02
B64C 1/00
B64C 1/12
B29K 105/08
B29K 101/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境条件から複合構造を保護する外面保護層(20、80)であって、前記外面保護層(20、80)は、
少なくとも第1の硬化性被膜(42)及び第2の硬化性被膜(46)と
導電性材料とを含み、
前記第1の硬化性被膜(42)と前記第2の硬化性被膜(46)とが別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、
前記導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、
前記外面保護層(20、80)の重さが、0.02ポンド/平方フィート~0.1ポンド/平方フィートの範囲であ
前記導電性材料が、前記第1の硬化性被膜(42)と前記第2の硬化性被膜(46)との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、
前記導電性ポリマーウィーブが、銅、ニッケル、銀、及びこれらの組合せからなるグループから選択された少なくとも1つの金属、又は真性導電性ポリマーを含む、
外面保護層(20、80)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの硬化性被膜が、硬化時にポリウレタンを含む、請求項1に記載の外面保護層(20、80)。
【請求項3】
複合構造であって、前記複合構造は、環境条件にさらされてもよい表面を含む、複合構造と、
外面保護層(20、80)であって、前記外面保護層(20、80)は、前記環境条件にさらされる前記複合構造表面に接着される、外面保護層(20、80)とを備え、
前記外面保護層(20、80)が、
少なくとも第1の硬化性被膜(42)及び第2の硬化性被膜(46)と、
導電性材料とを含み、
前記第1の硬化性被膜(42)と前記第2の硬化性被膜(46)とが別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、
前記導電性材料が、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、
前記外面保護層(20、80)の重さが、0.02ポンド/平方フィート~0.1ポンド/平方フィートの範囲であり、
前記導電性材料が、前記第1の硬化性被膜(42)と前記第2の硬化性被膜(46)との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、
前記導電性ポリマーウィーブが、銅、ニッケル、銀、及びこれらの組合せからなるグループから選択された少なくとも1つの金属、又は真性導電性ポリマーを含む、
外面保護複合構造(40、72)。
【請求項4】
前記外面保護層(20、80)の厚さが、0.075ミリメートル~0.15ミリメートルの範囲であり、前記環境条件が落雷を含む、請求項に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【請求項5】
前記外面保護層(20、80)が、接着された前記外面保護層(20、80)のない複合構造の腐食と比較して、前記複合構造の腐食を低減し
あるいは、
前記外面保護層(20、80)が、200ナノメートル~800ナノメートルの範囲の耐UV性を有する、
請求項3又は4に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【請求項6】
請求項からのいずれか一項に記載の外面保護複合構造(40、72)を備える、航空機(70)部分。
【請求項7】
複合材料の表面に外面保護層(20、80)を配置するステップであって、
前記外面保護層(20、80)は、
少なくとも第1の硬化性被膜(42)及び第2の硬化性被膜(46)と、
導電性材料とを含む、ステップと、
硬化した外面保護構造を形成するために、前記外面保護層(20、80)と前記複合材料とを一体硬化するステップとを含み、
前記第1の硬化性被膜(42)と前記第2の硬化性被膜(46)とが別個に、前硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、
前記導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、
前記外面保護層(20、80)の重さが、0.02ポンド/平方フィート~0.1ポンド/平方フィートの範囲であり、
前記導電性材料が、前記第1の硬化性被膜(42)と前記第2の硬化性被膜(46)との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、
前記導電性ポリマーウィーブが、銅、ニッケル、銀、及びこれらの組合せからなるグループから選択された少なくとも1つの金属、又は真性導電性ポリマーを含み、
前記外面保護層(20、80)が、環境条件にさらされてもよい、
外面保護複合構造(40、72)を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材部品の落雷保護に関する。落雷保護は、環境条件、あるいは太陽放射、湿気、及び/又は燃料などの化学物質を含む要素に対する曝露から複合材部品を保護するためにも使用され得る。本開示の落雷保護は、航空機部品の保護に特に効果的である。
【背景技術】
【0002】
多くの部品、例えば、航空機部品は、頑丈だが軽量な複合材料で構築され、航空機などの総重量を最小化するのに役立っている。このような複合材料は、ポリマーマトリックス内に分散された炭素強化繊維を含むことが多い。しかしながら、このような複合構造は、通常は実質的に金属構造よりも導電性が低く、結果として、落雷によって生じる電気エネルギーを分散し散逸させる能力が低い。したがって、このような複合材部品の外面は、その外面に沿って高導電性の電路を提供する落雷保護を備えていることが多い。このような導電路によって、落雷に関連する電気エネルギーを保護表面全体に速やかに散逸させることが可能になり、落雷ポイントにおいて、航空機部品などの表面に対する損傷を最小限にするのに役立っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第4,980,234号明細書
【文献】米国特許第4,980,234号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0188609号明細書
【文献】国際公開第2008/087467号
【文献】米国特許第4,980,234号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0188609号明細書
【文献】米国特許第6,228,492号明細書
【文献】米国特許第6,228,492号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合構造の落雷保護は、一般にエキスパンドメタルスクリーン(メッシュ)を使用し、落雷によって受けたエネルギーを散逸させるために、複合表面に取り付けられた表面被膜に組み込まれる。メタルスクリーンは落雷保護に有効なことが実証されているが、このような材料によって、航空機などに望ましくない重量が加わる可能性がある。さらに、このような表面被膜を複合構造に組み込むことにより、人件費が著しく増加する場合がある。また、このようなスクリーンは、湿気、化学物質、又は頻繁な周囲温度の変化を含む、環境条件に影響されやすい場合があり、このことが複合材部品の亀裂や腐食のきっかけとなる可能性がある。したがって、軽量で、容易に複合構造に組み込むことができ、環境条件に対する耐性を示す落雷保護の必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は環境条件から複合構造を保護する外面保護層に関し、外面保護層は、少なくとも1つの硬化性被膜と、導電性材料とを含み、少なくとも1つの硬化性被膜は、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、外面保護層の重さは、約0.02ポンド/平方フィート~約0.1ポンド/平方フィートの範囲である。
【0006】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの硬化性被膜は、少なくとも第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜とを含み、導電性材料は、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜とは別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、通常はポリウレタンを含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、複合構造であって、複合構造は、環境条件にさらされてもよい表面を含む、複合構造と、外面保護層であって、外面保護層は、環境条件にさらされる複合構造表面に接着される、外面保護層とを備え、外面保護層は、少なくとも1つの硬化性被膜と、導電性材料とを含み、少なくとも1つの硬化性被膜は、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、外面保護層の重さは、約0.02ポンド/平方フィート~約0.1ポンド/平方フィートの範囲である、外面保護複合構造に関する。
【0008】
さらに別の態様では、本開示は、複合材料の表面に外面保護層を配置するステップであって、外面保護層は、少なくとも1つの硬化性被膜と、導電性材料とを含む、ステップと、硬化した外面保護構造を形成するために、外面保護層と複合材料とを一体硬化するステップを含み、少なくとも1つの硬化性被膜は、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、外面保護層の重さは、約0.02ポンド/平方フィート~約0.1ポンド/平方フィートの範囲であり、外面保護層は、環境条件にさらされてもよい、外面保護複合構造を形成する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】詳細な説明に記載されている、外面保護層の実施形態を示す。
図2】詳細な説明に記載されている、外面保護複合構造の実施形態を示す。
図3】詳細な説明に記載されている、外面保護複合構造を含む航空機の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
全体を通じて使用されているように、範囲とは、範囲内に含まれるそれぞれの値を説明するための省略表現として使用される。範囲内の値はいずれも、範囲の終端として選択することができる。本開示の定義に引用文献との矛盾が生じた場合は、本開示が制御する。特別の定めのない限り、発明を実施するための形態、及び本明細書の他の部分で表されているすべての割合及び量は、重量パーセントを指すと理解されたい。所与の量は、材料の有効重量(active weight)に基づく。
【0011】
重量及び範囲については、分析用天秤を使用して測定が行われた。重量は、特に指定されない限り、全固形分の重量による。粒子径については、特に指定されない限り、コールターカウンターを使用して試験が行われた。
【0012】
本発明の発明者は、航空機部品などに使用される、複合構造の落雷保護用の軽量な外面保護層を開発した。実施形態では、外面保護層は、熱膨張によって複合構造内に亀裂が生じる可能性がある、金属スクリーン及び/又は混交ワイヤ織布(interwoven wire fabric、IWWF)を必要としない。さらに、本願の外面保護層は、環境条件に対して耐性があり、製造手順が少ないので、人件費が削減される。本願の外面保護層のこれら及び他の目覚ましい利点について、本明細書でさらに詳しく説明する。
【0013】
項目
外面保護層
硬化性被膜
本開示は、少なくとも2つの硬化性被膜、及び導電性材料などの少なくとも1つを含む、複合構造を環境条件にさらされることから保護する外面保護層に関する。本明細書で説明するように、導電性材料は、本開示の硬化性被膜に組み込まれてもよく、あるいは層を形成して第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜との間に配置されてもよい。
【0014】
本明細書で使用する「環境条件」という語句は、落雷、静電気放電、及び電磁干渉などの電磁エネルギー事象、紫外線放射を含む太陽放射、オゾン、湿気、及び雨などの自然による環境中の条件又は要素、並びに/あるいは近くにある装置に伝導及び放射することによって通過する、航空機エンジンが生成する高熱、不凍液、燃料、油圧流体、バッテリー液、洗浄剤など、航空機環境内のものを含む条件及び/又は化学物質など、自然によらない、環境中に見られる条件及び/又は要素を包含する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示の少なくとも1つの硬化性被膜は、熱硬化性樹脂を含む硬化性被膜組成物から形成される。一般に、熱硬化性樹脂は、室温(約20℃~約25℃)で軟質固体、又は粘性液体の形状のプレポリマーを含み、通常は硬化されて固まる。
【0016】
「硬化」は、本願の硬化性被膜組成物などの硬化性物質に化学反応を誘発し、ポリマー鎖間の広範囲な架橋結合になって、不溶性のポリマー網目構造を生成する。硬化は、例えば、加熱及び/又は紫外線曝露を含む工程によって行われてもよい。いくつかの実施形態では、硬化は高圧によって、あるいは硬化剤又は触媒と混合することによって促進される。本明細書で使用される「少なくとも部分的に硬化された」という語句は、重合性組成物を硬化条件下におき、組成物の反応性基の少なくとも一部の反応が生じて、固形の重合体を形成することを指す。
【0017】
本開示の硬化性被膜組成物とともに使用するのに適切な熱硬化性樹脂の例には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、並びにビスマレイミド(BMI)及び/又はポリエーテルイミドなどのポリイミド樹脂が含まれる。より典型的な実施形態では、本開示の硬化性被膜組成物とともに使用する熱硬化性樹脂は、硬化時にポリウレタンを形成する少なくとも1つのポリイソシアネート、及び少なくとも1つのポリオールを含む。本明細書で使用される「ポリウレタン」という用語は、ウレタン(カルバメートとしても知られている)結合、ウレア結合、又はポリウレタンウレアなどのこれらの組合せを含むポリマーを指す。したがって、本開示のポリウレタンは、少なくともウレタン結合、及び任意でウレア結合を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示の硬化性被膜組成物は、硬化性被膜組成物の総重量に基づいて、約15~75重量パーセント(wt.%)、約25~60重量パーセント(wt.%)など、約5~100wt.%の範囲の量の熱硬化性樹脂を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示の硬化性被膜組成物は、充填剤、流れ制御剤、強靭化剤、顔料、安定化剤(例えば、抗酸化剤、熱安定化剤、及び紫外線(UV)安定化剤)、硬化剤、及び/又は触媒などの非導電性添加剤をさらに含む。
【0020】
本開示の硬化性被膜組成物とともに使用するのに適した非導電性充填剤の例は、白亜質又は沈降炭酸石灰、石英粉末、アルミナ、ドロマイト、炭素繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維、二酸化チタン、溶融シリカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、重晶石、そして特に、アルミニウムマグネシウムカルシウムケイ酸塩タイプのケイ酸塩様充填剤を含む。他の適切な非導電性充填剤には、セラミックス、及びヒュームドシリカが含まれる。充填剤は、薄片、粉末、繊維、微小球、又はガラスバルーンの形態であってもよく、固体又は中空構造であってもよい。充填剤についてのさらなる考察は、米国特許第4,980,234号明細書で見ることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、充填剤は、硬化性被膜組成物の総重量に基づいて、約0~40wt.%の範囲の量で本開示の硬化性被膜組成物内に存在してもよい。他の実施形態では、充填剤は、約5~30wt.%の範囲の濃度で存在してもよい。
【0022】
流れ制御剤は、本開示の硬化性被膜組成物の流体力学的特性を変更するために使用されてもよい。適切な流れ制御剤の例には、ヒュームドシリカ及び金属粉が含まれる。流れ制御剤は、組成物の総重量に基づいて、約0~40wt.%、より典型的には約0.1~10wt.%の範囲の量で存在してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、硬化後の被膜の剛性、及び被膜の表面硬さを調節するために、本開示の硬化性被膜組成物に強靭化剤が添加される。いくつかの実施形態では、強靭化剤はポリマー又はオリゴマーであってもよく、20℃未満(より典型的には0℃未満、又は-30℃未満、又は-50℃未満)のガラス転移温度を有し、かつ/あるいは本開示の硬化性被膜組成物が熱によって硬化されるときに、本組成物の他の成分と反応できるカルボン酸基、アミノ基、及び/又は水酸基などの官能基を有してもよい。
【0024】
適切な強靭化剤の例には、カルボキシル化ニトリル(例えば、Zeon Chemical,IncのNipol 1472)、末端カルボキシブタジエンアクリロニトリル(CTBN)、末端カルボキシポリブタジエン(CTB)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、及びポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのエラストマー強靭化剤が含まれる。適切な強靭化剤のさらに別の例については、米国特許第4,980,234号明細書、米国特許出願公開第2008/0188609号明細書、及び国際公開第2008/087467号に記載されている。強靭化剤の濃度は、組成物の総重量に基づいて、約5~40wt.%の範囲であってもよい。他の実施形態では、強靭化剤の濃度は、約1~30wt.%の範囲であってもよい。
【0025】
硬化性被膜の色及び外観を調節するために、本開示の硬化性被膜組成物に顔料が追加されてもよい。適切な顔料には、二酸化チタン、カーボンブラック、黒色顔料その他の着色染料が含まれる。顔料は、薄片、粉末、繊維、又は色濃縮液体の形態であってもよい。すべての顔料の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0~20wt.%の範囲であってもよい。
【0026】
任意で、本開示の硬化性被膜組成物にUV安定化剤が添加されてもよい。いくつかの実施形態では、UV安定化剤には、UV吸収剤、抗酸化剤、顔料、遮断剤、及び充填剤が含まれる。いくつかの実施形態では、UV安定化剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン(UV-9)、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、n ヘキサデシルエステル、二酸化チタン、及びカーボンブラックが含まれる。いくつかの実施形態では、UV安定化剤はそれぞれ、組成物の総重量に基づいて、約0.1~5wt.%の範囲の量で存在してもよい。他の実施形態では、UV安定化剤はそれぞれ、組成物の総重量に基づいて、約0.5~3wt.%の範囲の量で存在してもよい。
【0027】
本開示の硬化性被膜組成物に添加されてもよい適切な硬化剤及び/又は触媒の例には、脂肪族及び芳香族第一アミン、並びに脂肪族及び芳香族第三アミンが含まれる。より具体的には、アミン硬化剤及び/又は触媒には、ジシアンジアミド、ビスウレア(例えば、2,4-トルエンビス-(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス-(フェニルジメチルウレア))、及び4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4-DDS)が含まれてもよい。他の適切な硬化剤及び/又は触媒には、三フッ化ホウ素錯体、グアニジン、及びジシアンジアミドが含まれる。硬化剤及び/又は触媒の別の例については、米国特許第4,980,234号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0188609号明細書で見ることができる。
【0028】
1つ以上の硬化剤及び/又は触媒が、硬化性被膜組成物の総重量に基づいて、約0.1~40wt.%の範囲の量で存在してもよい。他の実施形態では、1つ以上の硬化剤及び/又は触媒は、約0.5~10wt.%の範囲の量で存在してもよい。
【0029】
本開示の硬化性被膜組成物に含まれてもよい他の適切な添加物には、架橋剤(例えば、アルミニウム又はメラミン架橋剤)、結合剤、腐食防止剤、可塑剤、及び/又は他の当業者に知られている従来の添加剤が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように、本開示の硬化性被膜組成物には導電性材料がさらに含まれる。
【0030】
本開示の少なくとも1つの硬化性被膜は、本明細書で説明されるように、熱硬化性ポリマーを形成できる1つ以上の樹脂を混合容器に添加することによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の非導電性充填剤、流れ制御剤、顔料、UV安定化剤、硬化剤、及び/又は触媒などの非導電性添加剤が、混合容器にさらに追加される。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように、銀ナノ粒子などの1つ以上の導電性材料が、混合容器にさらに追加される。
【0031】
いくつかの実施形態では、成分の混合を促進するために、混合物に1つ以上の溶剤が含まれる。このような溶剤の例には、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びN-メチルピロリドン(NMP)が含まれてもよい。
【0032】
上述した成分を追加した後に、硬化性被膜組成物は、高速剪断混合器などを使用して混合されてもよい。混合は、成分がほぼ均一に混合され、かつ存在する場合は1つ以上の導電性材料が硬化性被膜組成物内で均一に分散されるまで、例えば、毎分約1000~5000回転の速度で30~80分行われてもよい。
【0033】
混合された硬化性被膜組成物は、その後、当技術分野で知られているように、ホットメルト被覆、又は溶媒化被膜被覆工程などを使用して被覆することによって、引き続き硬化性被膜に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの硬化性被膜など、本開示の少なくとも1つの硬化性被膜が、硬化を抑制するために冷蔵庫に貯蔵されてもよく、これによりその有効保存寿命が延長される。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの硬化性被膜が、1つ以上の硬化性被膜組成物で形成される。このような実施形態では、硬化性被膜は、同じ、又は異なる熱硬化性樹脂をそれぞれ含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2の硬化性被膜は別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つをそれぞれ含む。通常は、第1及び第2の硬化性被膜は、それぞれ硬化時にポリウレタンを含む。
【0035】
導電性材料
いくつかの実施形態では、本開示の外面保護層は、導電性材料を含む。本明細書で使用される「導電性」とは、通常は、チタン、プラチナ、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金などの金属状態、並びに/あるいはポリピロール、ポリカルバゾール、ポリアニリン、ポリアセチレン、及びポリチオフェンなどのICPにおいて、少なくとも金属の特徴と同じくらい高い高導電性を有することを指す。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示の導電性材料は「ワイヤ無し」である。本明細書で使用される「ワイヤ」とは、薄い柔軟なフィラメント又はロッドの形状に引き伸ばされた連続金属、又は金属合金構造を指す。ワイヤを含む導電性材料は、金属メッシュ及び混交ワイヤ織布(IWWF)を含み、リン青銅、アルミニウム、銅その他の金属又は合金を含むワイヤが、活性炭布などの布に織り込まれる。金属で被覆されたフィラメントも、「ワイヤ」という用語に含まれるものとする。
【0037】
本開示の導電性材料に関する「ワイヤ無し」という用語は、ワイヤの形状になっていない金属及び合金、例えば、金属被覆粒子、金属粒子、金属薄片、及び/又は金属ナノ粒子を包含する。本明細書で説明されるように、「ワイヤ無し」という用語は、ICPを含むフィラメントなど任意の形態を有する、金属及び/又は合金で構成されていない導電性材料をさらに包含する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示のワイヤ無し導電性材料は、金属被覆粒子、金属粒子、及び/又は金属薄片などの、金属の導電性材料を含む。いくつかの実施形態では、金属被覆粒子、金属粒子、及び/又は金属薄片の最大平均寸法は1マイクロメートル(μm)よりも大きく、例えば、1μm~250μm、10μm~100μm、50μm~200μmなどである。いくつかの実施形態では、本開示の導電性材料の金属粒子及び/又は金属薄片は、銀、金、ニッケル、銅、アルミニウム、これらの合金、及びこれらの混合物を含む。金属被覆粒子の例には、金属被覆ガラスバルーン、及び金属被覆グラファイトが含まれる。被覆として使用されてもよい金属の例には、銀、金、ニッケル、銅、アルミニウム、これらの合金、及びこれらの混合物が含まれる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示の金属ワイヤ無し導電性材料は、金属ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子の最大平均直径は、約1ナノメートル~約80ナノメートル、10~50ナノメートルなど、100ナノメートル未満であってもよい。本開示のワイヤ無し導電性材料としての使用に適した金属ナノ粒子は、銀、金、ニッケル、アルミニウム、又は銅ナノ粒子、これらの合金、及びこれらの混合物を含む。通常は銀ナノ粒子が使用される。
【0040】
いくつかの実施形態では、硬化性被膜組成物における、金属被覆粒子、金属粒子、金属薄片、及び/又は金属ナノ粒子などの、金属ワイヤ無し導電性材料の濃度は、硬化性被膜組成物の総重量に基づいて、約39wt.%~65wt.%など、約30wt.%よりも高い。いくつかの実施形態では、金属被覆粒子、金属粒子、金属薄片、及び/又は金属ナノ粒子などの金属ワイヤ無し導電性材料は、本開示の硬化性被膜組成物全体に均一に分散され、その後、硬化性被膜に形成されることによって、本開示の外面保護層を提供する。
【0041】
他の実施形態では、本開示の外面保護層は、第1の硬化性被膜と、第2の硬化性被膜と、金属のワイヤ無し導電性材料を含む導電性材料とを含み、金属の導電性材料は、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜との間に配置される。このような実施形態では、金属被覆粒子、金属粒子、金属薄片、及び/又は金属ナノ粒子などの、金属のワイヤ無し導電性材料は、本開示の硬化性被膜組成物に組み込まれないが、その代わりに、第1の硬化性被膜の表面で導電性層に形成される。いくつかの実施形態では、第2の硬化性被膜はその後、金属のワイヤ無し導電性材料で形成された導電性層に配置される。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも第3の硬化性被膜が、少なくとも1つの硬化性被膜に隣接して積層されてもよい。他の実施形態では、少なくとも第3の硬化性被膜が、第1の硬化性被膜に隣接して積層されてもよい。
【0043】
他の実施形態では、本開示のワイヤ無し導電性材料は、金属を含まない。適切な導電性非金属の例には、導電性カーボンブラック、グラファイト、酸化アンチモン、本明細書で説明されるICP、及びこれらの組合せが含まれる。
【0044】
非金属導電性材料の形態は、ICP又はカーボンブラックなどの、導電性非金属で被覆された粒子の形状であってもよく、これは例えば、非導電性ポリマー、非金属粒子、及び/又は非金属薄片に被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、このような非金属導電性材料の最大平均寸法は、1ミクロンよりも大きく、例えば、10ミクロン~100ミクロン、50ミクロン~200ミクロンなど、1ミクロン~250ミクロンである。
【0045】
いくつかの実施形態では、非金属導電性材料の形態は、ナノチューブ又はナノ粒子などの、ナノ材料の形状であってもよい。このようなナノ材料の最大平均直径は、約1~約80ナノメートル、約10~約50ナノメートルなど、約100ナノメートル未満であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、非金属導電性材料は、カーボンナノチューブである。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、二層カーボンナノチューブ(DNT)、及び多層カーボンナノチューブ(MWNT)を含んでもよい。カーボンナノチューブは、任意で、表面官能化されてもよい。官能化に使用されてもよい官能基の例には、水酸基、エポキシ、及びアミン官能基が含まれてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、硬化性被膜組成物における、本明細書で説明するICP被覆粒子、非金属粒子、非金属薄片、及び/又は非金属ナノ粒子などの、非金属ワイヤ無し導電性材料の濃度は、硬化性被膜組成物の総重量に基づいて、約39wt.%~65wt.%など、約30wt.%よりも高い。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するICP被覆粒子、非金属粒子、非金属薄片、及び/又は非金属ナノ粒子などの非金属ワイヤ無し導電性材料は、本開示の硬化性被膜組成物全体に均一に分散され、その後、硬化性被膜に形成されることによって、本開示の外面保護層を提供する。
【0048】
他の実施形態では、本開示の外面保護層は、第1の硬化性被膜と、第2の硬化性被膜と、層に形成される非金属ワイヤ無し導電性材料を含む非金属導電性材料とを含み、導電性層は、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜との間に配置される。このような実施形態では、ICP被覆粒子、非金属粒子、非金属薄片、及び/又は非金属ナノ粒子などの、非金属ワイヤ無し導電性材料は、本開示の硬化性被膜組成物に組み込まれないが、その代わりに、第1の硬化性被膜の表面で導電性層に形成される。いくつかの実施形態では、第2の硬化性被膜はその後、非金属ワイヤ無し導電性材料で形成された導電性層に配置される。
【0049】
いくつかの実施形態では、少なくとも第3の硬化性被膜が、少なくとも1つの硬化性被膜に隣接して積層されてもよい。他の実施形態では、少なくとも第3の硬化性被膜が、第1の硬化性被膜に隣接して積層されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示の導電性材料は導電性ポリマーウィーブを含む。本開示の導電性ポリマーウィーブは、ワイヤ無しであっても、あるいはワイヤを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の導電性ポリマーウィーブは導電性繊維を含み、かつ任意で非導電性繊維を含む。いくつかの実施形態では、本開示の導電性ポリマーウィーブの導電性繊維は、非金属導電性繊維、又は金属繊維を含む。本明細書で使用される「繊維」は、単一のフィラメント、又は複数のフィラメントから得られた繊維を包含する。本明細書で使用される「フィラメント」とは、単一ストランドの材料を指す。本明細書で使用される「ウィーブ」とは、織物を作るために編組された(plaited)、編まれた(knitted)、編組された(braided)、又は織られた多くの繊維を指す。
【0051】
繊維は、トウ、バンドル、シート、プライ、及びこれらを組み合わせた形状をとってもよい。繊維は、不織成、織成、編まれた(knitted)、縫われた、巻かれた、及び編組された(braided)構成を使用してもよい。織成繊維構造は、約1000フィラメント未満、約3000フィラメント未満、約6000フィラメント未満、約12000フィラメント未満、約24000フィラメント未満、約48000フィラメント未満、約56000フィラメント未満、及び約125000フィラメント未満の、複数の織成トウを含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、導電性繊維は、カーボンブラック、又はより典型的なICPを含む、非金属導電性繊維を含んでいる。ICPは、金属及び半導体に特有の電気的、磁気的、及び光学的な特性を有するため、「合成金属」としても知られる。いくつかの実施形態では、本開示の導電性ポリマーウィーブのICPは、10ジーメンス/センチメートル(S/cm)~10S/cmなど、10S/cm~10S/cmの高導電性を有する。ICPは、鎖に沿った二重結合で完全に結合されたシークエンスを有する高分子からなる。ICPは当技術分野で知られており、米国特許第6,228,492号明細書などで説明されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、導電性ポリマー繊維は、ヘテロアリレン基がチオフェン、フラン、又はピロールであるポリアセチレン、ポリアニリン、ポリカルバゾール、ポリフラン、ポリヘテロアリレンビニレン、並びにポリイソチオナフテン、ポリパラフェニレン、硫化ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリペリナフタレン、ポリフタロシアニン、ポリピロール、ポリキノリン、ポリチオフェン、及びこれらの組合せを含むICPで作られる。有用なICPは、例えば、モノマー成分が側鎖又は基に置き換わった、前述したポリマーの混合物、共重合体、及び誘導体をさらに含む。通常、本開示の導電性ポリマーウィーブとともに使用されるICPは、ポリピロール、ポリカルバゾール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、及びこれらの組合せを含む。
【0054】
他の実施形態では、導電性繊維は金属繊維を含む。いくつかの実施形態では、金属繊維は、約1.0×10S/cm~約7.0×10S/cm、5.98×10S/cm~6.30×10S/cmなど、10S/cm~10S/cm、10S/cm~10S/cmまでの範囲の導電性を有する。金属繊維は、リン青銅、アルミニウム、ニッケル被覆銅、ステンレス鋼、銅、銀、及びニッケルを含む金属、又は金属合金で製造されてもよい。通常は、銅、銀、及び/又はニッケルが使用される。いくつかの実施形態では、金属繊維は、直径が約1μm~約80μmの範囲の薄い金属フィラメントを含み、これは、Meoliらによる文献「2002,Journal of Textile and Apparel,Technology and Management,2」の12ページに記載されているような、当技術分野で知られている方法で製造されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、非金属導電性繊維、及び/又は金属繊維は、非導電性フィラメントをカーボンブラック、ICP、金属、これらの合金、又はこれらの組合せなどで被覆することによって作られた複合材料である。被覆されたフィラメントは、次に、フィラメント束を形成するように他の押出しフィラメントと結合されてもよく、これによって繊維に加工されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、非金属又は金属導電性材料で被覆された非導電性フィラメントは、非導電性繊維形成ポリマーである。非導電性繊維形成ポリマーは、例えば、セルロース(セルロースアセテート、セルローストリアセテート、及び粘性セルロースを含む)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、これらの共重合体、並びにこのようなポリマーを含む混合物を含んでもよい。繊維を形成する典型的なポリマーには、ポリアミドと、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリプロピレンなどのポリエステルとが含まれる。
【0057】
繊維のフィラメント成分は、溶融紡糸、反応紡糸、可塑化溶融紡糸、粘着紡糸、湿式紡糸、分散紡糸、乾式紡糸、乾式ジェット湿式紡糸又はエアーギャップ紡糸、エマルション紡糸、ゲル紡糸、格子紡糸、反応紡糸などを含む、特定のポリマーから繊維を製造するのに適した任意の紡糸工程によって押し出されてもよい。一般に、このような紡糸工程は、凝固してフィラメントになり、最終的には互いに結合されて繊維になる液体ポリマー流を生成するために、紡糸口金の複数の穴にポリマーの溶融物又は溶液を通すことを含む。
【0058】
前述した紡糸工程によって造られたフィラメントは、例えば、その後、ICPなどで被覆されてもよい。ICP被覆フィラメントなどの被覆されたフィラメントを形成する方法は、当技術分野で知られている。例えば、ICP被覆フィラメントの作成について述べた米国特許第6,228,492号明細書を参照されたい。
【0059】
金属被覆を塗布するために、スパッタリング、真空蒸着、無電解メッキ、炭化、及び繊維の充填又は装填など、当技術分野で知られている方法が使用されてもよい。このような方法で、金属と同様の高導電性(10S/cm~10S/cm)を実現することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される非金属及び/又は金属導電性繊維は、例えば、本開示の導電性ポリマーウィーブを形成するために、非導電性ポリマー繊維が混交されている。いくつかの実施形態では、非導電性繊維は、非導電性ポリマーを含む。例えば、導電性繊維を混交している非導電性繊維を形成するために使用されてもよい非導電性ポリマーの例には、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、及びこれらの組合せが含まれる。
【0061】
導電性及び非導電性繊維は、編組工程(plaiting process)、編み工程(knitting process)、編組工程(braiding process)、又は混交工程による導電性ポリマーウィーブの製造に使用することができる。導電性繊維が、例えば、制御されたパターンで非導電性繊維で織られている場合、その結果できる織物は、導電性の領域及び非導電性の領域の両方を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示の外面保護層は、第1の硬化性被膜と、第2の硬化性被膜と、導電性材料とを含み、導電性材料は、導電性ポリマーウィーブを含む導電性層である。いくつかの実施形態では、導電性層は、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜との間に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも第3の硬化性被膜が、第1の硬化性被膜に隣接して積層されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示の外面保護層は、厚さが約0.075mm~約0.15mm、約0.075mm~約0.1mmなど、厚さが約0.075mm~約0.5mmの範囲内にある。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜とは同じ厚さである。他の実施形態では、第1の硬化性被膜、及び第2の硬化性被膜は、別個に約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.66mmなど、約0.05mm~約0.33mmの範囲の厚さを有する。
【0065】
本開示の硬化性被膜組成物を、本明細書で説明される導電性材料と結合することによって実現される外面保護層の導電性は、例えば予想外に、比較的重い金属スクリーンを使用する必要性を軽減する場合がある。したがって、本開示の外面保護層は落雷保護のために十分な導電性を与えながら、さらに外面保護層を軽量化する。例えば、金属スクリーンとともに埋め込まれた外面保護層と比較して、約50~80%の軽量化が達成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、外面保護層は、下塗り及び/又は上塗りなどの仕上げ層を必要としないので、さらなる軽量化が達成される。
【0066】
より詳細には、いくつかの実施形態では、外面保護層の重さは、約0.02lbs/sqft~約0.8lbs/sqft、約0.02lbs/sqft~約0.04lbs/sqftなど、約0.02lbs/sqft~約0.1lbs/sqftの範囲内にあってもよい。
【0067】
本開示の外面保護層の実施形態が、図1に示されている。外面保護層20は、第1の硬化性被膜22と、第2の硬化性被膜26とを含む。図示されているように、導電性層24は、第1の硬化性被膜と第2の硬化性被膜との間に挟まれている。外面保護層はその後、本明細書で後述するように、複合材料に接着して配置されてもよい。
【0068】
複合材
いくつかの実施形態では、外面保護層は複合材料の表面に配置される。通常、外面保護層は、環境条件にさらされる複合材料表面に配置される。配置は、手動で、又は自動化機構(例えば、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置(AFP))によって達成されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、複合材料は、エポキシ樹脂及び炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの、有機マトリックス及び繊維で形成される。いくつかの実施形態では、複合材料はプリプレグの形態をとっている。本明細書で使用される「プリプレグ」という用語は、母材で含浸された繊維の1枚以上のシート又は薄板を指す。母材は、例えば、選択された粘着性又は粘着度を示すように、部分的に硬化された状態で存在してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、プリプレグ層は、互いに隣接して配置される。いくつかの実施形態では、レイアップ内のプリプレグ層は、互いに対して選択された配向で配置されてもよい。例えば、プリプレグのレイアップは、長さなどのレイアップの最大寸法に対して、繊維が0°、90°、選択された角度θ、及びこれらの組合せで配向された、一方向の繊維構造を有するプリプレグ層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、一方向及び多方向など、繊維構造の任意の組合せを有するプリプレグが、プリプレグのレイアップを形成するように結合されてもよいことがさらに理解されよう。
【0071】
いくつかの実施形態では、プリプレグのレイアップは型内にあり、外面保護層は複合材料の表面に配置されて一体硬化される。一体硬化により、通常は外面保護層が複合材料の中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、一体硬化は、外面保護層及び複合材料を、約121℃~約130℃など、約121℃~約200℃の温度で焼成することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、一体硬化は、オートクレーブ、マイクロ波硬化などのオーブン硬化によって、あるいはオートクレーブ硬化以外で(out of the autoclave curing)達成される。本明細書で使用される「オートクレーブ以外(Out of the autoclave)」とは、例えば、本開示の外面保護層を含むプリプレグのレイアップが、閉じた型の中にある工程である。次に、樹脂トランスファー成形プレスなど、オートクレーブ以外の当技術分野で知られている手段を使用して、真空、圧力、及び熱が印加される。
【0073】
図2は、本開示による、外面保護複合構造40の実施形態の側面近接断面図である。この実施形態では、外面保護層は、第1の硬化性被膜42と、第2の硬化性被膜46と、導電性ポリマーウィーブなどの導電性層44とを含み、導電性層44は、第1の硬化性被膜42と、第2の硬化性被膜46との間に接着して配置される。外面保護層は、複合層48の上方に接着して配置される。
【0074】
外面保護複合構造の複合構造は、図3に示すように、航空機部分の内部を形成し得る。より詳細には、図3は、外面保護複合構造72を組み込んだ航空機70の斜視図を示す。外面保護複合構造72は、航空機70の機体76、尾部78、及び/又は翼78など、航空機の(複数の)部分に組み込まれる。外面保護複合構造72は、外面保護複合構造72の複合構造が機体76の内部を形成し、外面保護層80が最外層になって環境条件にさらされるように配向される。
【0075】
いくつかの実施形態では、図3に示す実施形態80のような外面保護層は、落雷保護剤の働きをするだけでなく、環境条件の影響、例えば、化学物質、又は紫外線放射(UV)などの太陽放射を緩和する。例えば、外面保護層がないと、環境条件にさらされる複合構造の表面は、例えば、バッテリー液などの環境中の化学物質にさらされる場合があり、これにより複合構造の腐食を引き起こす場合がある。いくつかの実施形態では、本開示の外面保護層は、このような化学物質に対して耐性がある。例えば、いくつかの実施形態において、本開示の外面保護層を有する複合構造の腐食は、本開示の外面保護層がない複合構造の腐食に比べて低減される。
【0076】
また、複合構造は、UV放射などの太陽放射にさらされることによって劣化する場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、本開示の外面保護層を有する複合構造は、約200ナノメートル~約400ナノメートルなど、約200ナノメートル~約800ナノメートルの耐UV性を有する。
【0077】
他の実施形態では、外面層は油圧ジェット燃料などの化学物質に対する耐性を示し、従来の外面保護層であればこのような化学物質によって軟化が生じ、後に複合構造が劣化するなどの結果になる。これとは対照的に、いくつかの実施形態では、本開示の外面保護層は、少なくとも30日間の曝露、少なくとも2か月間の曝露、少なくとも6か月以上~約1年間の曝露などの後の軟化に耐え得る。
【0078】
さらに、いくつかの実施形態では、下塗り及び上塗り層などの仕上げを必要とせずに、腐食及び劣化の低減が達成され得る。当技術分野で知られているように、仕上げの基礎となる下塗りが、腐食を抑制するために表面に塗布されてもよい。これも当技術分野で知られているように、腐食及び劣化から曝露表面をさらに保護するために、落雷材料に上塗り仕上げがさらに塗布される。しかしながら、本開示の外面保護層を使用することによってこのような劣化を軽減でき、このような追加の被覆を回避することが可能になって人件費が低減されるだけでなく、落雷保護剤の重量が減少する。
【0079】
方法
別の態様において、本開示は、外面保護複合構造を形成する方法に関する。いくつかの実施形態では、本明細書で説明される外面保護層は、これも本明細書で説明されるように、複合材料の表面に配置される。本開示で説明されるように、外面保護層は、環境条件にさらされる複合材料表面に配置されてもよい。外面保護層と複合材料の表面とは、説明した通り、硬化した外面保護構造を形成するように一体硬化されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、一体硬化は、本明細書で説明するように、外面保護層及び複合構造を約121℃~約200℃の範囲の温度で焼成することを含む。通常、一体硬化は外面保護と複合材料とをオートクレーブ処理することを含む。他の実施形態では、一体硬化は、本開示で説明されるように、マイクロ波オーブンなどのオーブン、又はオートクレーブ以外の工程を使用して行われる。
【0081】
(予測的な)例
本開示の硬化性被膜に使用する熱硬化性組成物は、ポリイソシアネートとポリオールとの混合物を反応させることによって作られる。具体的には、混合容器に成分が追加され、高速剪断ラボ混合器を使用して1000rpmで約30分混合される。必要に応じて、組成物のレオロジー及び固形分を調節するために、樹脂にMEKなどの溶剤が追加される。
【0082】
任意で、Nipol 1472(Zeon Chemical,Inc)などのエラストマー強靭化剤が、アモルファスヒュームドシリカなどの任意の流れ制御剤、UV安定化剤BHT及び2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノンとともに、続いて樹脂に追加される。MEK溶剤は、粘性を制御するために必要に応じて追加される。組成物は、次に、約1000~3000rpmで約50~70分混合される。組成物の温度は、通常は約70℃よりも低く維持される。混合物は通常、その後約50℃よりも低い温度まで冷却され、硬化剤が添加される。硬化剤を追加している間の混合物の温度は、約55℃よりも低く維持される。
【0083】
表面被膜を形成するように、組成物は被膜として堆積され乾燥される。次に、銀ナノ粒子の層が1つの硬化性被膜の表面に堆積され、次に、第2の硬化性被膜が銀ナノ粒子の層に配置されて、外部保護層を形成する。
【0084】
外部保護層はその後、例えば、それぞれがエポキシ樹脂及び炭素繊維強化プラスチックで形成された、6プライのプリプレグに配置され、外部保護層が最外層とされる。レイアップと外面保護層とは、次に、外面保護層を組成物内に組み込んで複合テストパネルを形成するために、オートクレーブで一体硬化される。
【0085】
航空機の異なる区域内で使用される複合テストパネルの性能を評価するために、落雷直接影響試験が使用される。落雷試験は、Radio Technical Commission for AeronauticsのRTCA/DO-160F、「Environmental Conditions and Test Procedures for Airborne Equipment」に従って行われる。手短に説明すると、表面被膜/積層複合材テストパネルは、電流リターン部品と電気接触して配置される。テストパネルの中心の周囲に、かつこれに隣接して電極が配置される。電極からサンプル表面にある初期落雷ポイントまで、開始ワイヤ(initiating wire)が延伸する。
【0086】
試験は、ほとんどが機体部分にある、航空機の区域1Aと、レドームと、航空機の区域2Aとにおける落雷をシミュレートするために行われる。試験は、テストパネルを高電流試験波形にかけることによって落雷をシミュレートする。一般に、本開示の外面保護複合構造は、混交ワイヤ織布を有する制御パネルの性能と同等の落雷保護を示す。さらに、本開示の外面保護複合構造の表面損傷は非常に限られる。
【0087】
以下の項に従い、別の態様について説明する。
【0088】
項1.環境条件から複合構造を保護する外面保護層(20、80)であって、前記外面保護層(20、80)は、少なくとも1つの硬化性被膜と、
導電性材料とを含み、少なくとも1つの硬化性被膜は、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、外面保護層(20、80)の重さが、約0.02ポンド/平方フィート~約0.1ポンド/平方フィートの範囲である、外面保護層(20、80)。
【0089】
項2.少なくとも1つの硬化性被膜が、硬化時にポリウレタンを含む、項1に記載の外面保護層(20、80)。
【0090】
項3.ワイヤ無し導電性材料が、ナノ材料、又は真性導電性ポリマーのうちの少なくとも1つを含む、項1又は2に記載の外面保護層(20、80)。
【0091】
項4.導電性ポリマーウィーブが、銅、ニッケル、銀、及びこれらの組合せからなるグループから選択された少なくとも1つの金属、又は真性導電性ポリマーを含む、項1から3のいずれか一項に記載の外面保護層(20、80)。
【0092】
項5.少なくとも1つの硬化性被膜が、少なくとも第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)とを含み、導電性材料が、第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)とが別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含む、項1から4のいずれか一項に記載の外面保護層(20、80)。
【0093】
項6.第1の硬化性被膜(42)、及び第2の硬化性被膜(46)がポリウレタンを含む、項5に記載の外面保護層(20、80)。
【0094】
項7.外面保護層(20、80)の厚さが、約0.075ミリメートル~約0.1ミリメートルの範囲である、項1から6のいずれか一項に記載の外面保護層(20、80)。
【0095】
項8.複合構造であって、複合構造は、環境条件にさらされてもよい表面を含む、複合構造と、外面保護層(20、80)であって、外面保護層(20、80)は、環境条件にさらされる複合構造表面に接着される、外面保護層(20、80)とを備え、外面保護層(20、80)が、少なくとも1つの硬化性被膜と、導電性材料とを含み、少なくとも1つの硬化性被膜が、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、導電性材料が、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、外面保護層(20、80)の重さが、約0.02ポンド/平方フィート~約0.1ポンド/平方フィートの範囲である、外面保護複合構造(40、72)。
【0096】
項9.少なくとも1つの硬化性被膜が、少なくとも第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)とを含み、導電性材料が、第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)とが別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含む、項8に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【0097】
項10.導電性ポリマーウィーブが、銅、ニッケル、銀、及びこれらの組合せからなるグループから選択された少なくとも1つの金属を含む、項8及び9に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【0098】
項11.第1の硬化性被膜(42)、及び第2の硬化性被膜(46)がポリウレタンを含む、項9又は10に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【0099】
項12.外面保護構造(40、72)が、下塗り及び上塗りのうちの少なくとも1つから選択された、少なくとも1つの仕上げ層を含まない、項8から11のいずれか一項に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【0100】
項13.外面保護層(20、80)の厚さが、約0.075ミリメートル~約0.15ミリメートルの範囲であり、環境条件が落雷を含む、項8から12のいずれか一項に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【0101】
項14.外面保護層(20、80)が、接着された外面保護層(20、80)のない複合構造の腐食と比較して、複合構造の腐食を低減し、外面保護層(20、80)が、少なくとも30日間、油圧ジェット燃料による軟化に耐え、あるいは、外面保護層(20、80)が、約200ナノメートル~約800ナノメートルの範囲の耐UV性を有する、項8から13のいずれか一項に記載の外面保護複合構造(40、72)。
【0102】
項15.項8から15のいずれか一項に記載の外面保護複合構造(40、72)を備える、航空機(70)部分。
【0103】
項16.航空機(70)部分が、航空機(70)の機体(76)、尾部(78)、又は翼のうちの少なくとも1つから選択される、項15に記載の航空機(70)部分。
【0104】
項17.複合材料の表面に外面保護層(20、80)を配置するステップであって、外面保護層(20、80)は、少なくとも1つの硬化性被膜と、導電性材料とを含む、ステップと、硬化した外面保護構造を形成するために、外面保護層(20、80)と複合材料とを一体硬化するステップとを含み、少なくとも1つの硬化性被膜は、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含み、導電性材料は、ワイヤ無し導電性材料、及び/又は導電性ポリマーウィーブを含み、
外面保護層(20、80)の重さが、約0.02ポンド/平方フィート~約0.1ポンド/平方フィートの範囲であり、外面保護層(20、80)が、環境条件にさらされてもよい、外面保護複合構造(40、72)を形成する方法。
【0105】
項18.少なくとも1つの硬化性被膜が、少なくとも第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)とを含み、導電性材料が、第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)との間に配置された導電性ポリマーウィーブを含み、第1の硬化性被膜(42)と第2の硬化性被膜(46)とが別個に、硬化時にポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含む、項17に記載の方法。
【0106】
項19.前記一体硬化するステップが、外面保護層(20、80)及び複合材料を約121℃~約200℃の範囲の温度で焼成するステップを含む、項17又は18に記載の方法。
【0107】
項20.一体硬化するステップが、外面保護層(20、80)と複合材料とをオートクレーブ処理するステップを含む、項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【符号の説明】
【0108】
20 外面保護層
22 第1の硬化性被膜
24 導電性層
26 第2の硬化性被膜
40 外面保護複合構造
42 第1の硬化性被膜
44 導電性層
46 第2の硬化性被膜
48 複合層
70 航空機
72 外面保護複合構造
76 機体
78 尾部及び/又は翼
80 外面保護層
図1
図2
図3