(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】チェーンソー
(51)【国際特許分類】
B27B 17/00 20060101AFI20240912BHJP
B27B 17/02 20060101ALI20240912BHJP
B23D 57/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B27B17/00 H
B27B17/02
B23D57/02
B27B17/00 J
(21)【出願番号】P 2020125202
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】仲村渠 大地
(72)【発明者】
【氏名】岡田 厚人
(72)【発明者】
【氏名】中村 和也
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/013398(WO,A1)
【文献】特開昭59-049901(JP,A)
【文献】特開2013-000026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0218386(US,A1)
【文献】特開2017-159596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203461(US,A1)
【文献】特開2019-147211(JP,A)
【文献】特開2010-82766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27B 17/00 - 17/02
B23D 57/02
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンソーであって、
モータと、
前記モータが内部に配置されたハウジングと、
前記ハウジングから突出したガイドバーと、
前記ガイドバーの外周部に配置されたソーチェーンと、
前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記モータと電気的に接続されるバッテリパックと、
前記ハウジングに接続されており、前記バッテリパックの少なくとも一部を開閉可能に覆うカバーと、を備えており、
前記ハウジングは、前記バッテリパックの少なくとも一部が内部に配置される第1凹部を備え、
前記カバーは、
前記第1凹部を開閉可能に覆い、前記カバーが開閉する際の回動中心となる回動部を備えており、
前記ハウジングに前記バッテリパックが装着された状態において
、前記回動部と前記バッテリパックは離れて配置されて
おり、
前記チェーンソーをユーザが持つ側を上側としたとき、
前記カバーは、上側から前記第1凹部を覆うように閉じる、チェーンソー。
【請求項2】
前記ガイドバーの長手方向に沿った方向において前記ガイドバーと前記バッテリパックとの間に位置する部分であって、前記ハウジングの上側に位置する部分を有するハンドルを備え、
前記バッテリパックは、前記第1凹部に対して上側から挿入される、請求項1に記載のチェーンソー。
【請求項3】
前記カバーは、前記ハンドルの前記部分側とは異なる方向に開く、請求項2に記載のチェーンソー。
【請求項4】
前記カバーは、前記ハンドルの前記部分側とは反対側に開く、請求項3に記載のチェーンソー。
【請求項5】
前記第1凹部は、第1面と、前記第1面と対向する第2面とを備え、
前記上側の反対側を下側としたとき、
前記第1面の上側の端部は、前記第2面の上側の端部よりも下側に位置し、
前記バッテリパックは、前記ハウジングに前記バッテリパックが装着された装着状態において前記第1面と対向する第3面を有し、
前記第3面は、前記装着状態において前記第1面よりも上側に位置する第1領域を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のチェーンソー。
【請求項6】
前記第1領域には把持部としての第2凹部が設けられている、請求項5に記載のチェーンソー。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記第1凹部の前記第1面と接続された接続面を有しており、
前記回動部は、前記接続面よりも、前記バッテリパック側とは反対側に位置しており、
前記接続面における前記バッテリパック側の端部は、前記接続面における前記回動部側の端部よりも下側に位置している、請求項6に記載のチェーンソー。
【請求項8】
前記接続面は、前記第2凹部よりも下側に位置している、請求項7に記載のチェーンソー。
【請求項9】
前記ハウジングに前記バッテリパックが装着された状態において、前記バッテリパックの上側の端部は、前記回動部よりも上側に位置する、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のチェーンソー。
【請求項10】
前記上側の反対側を下側としたとき、
前記ハウジングに前記バッテリパックが装着された状態において、前記回動部は、前記バッテリパックの下側の面よりも上側に位置する、請求項1乃至9のいずれかに記載のチェーンソー。
【請求項11】
チェーンソーであって、
モータと、
前記モータが内部に配置されたハウジングと、
前記ハウジングから突出したガイドバーと、
前記ガイドバーの外周部に配置されたソーチェーンと、
前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記モータと電気的に接続されるバッテリパックと、
前記ハウジングに接続されており、前記バッテリパックの少なくとも一部を開閉可能に覆うカバーと、を備えており、
前記カバーは、前記カバーが開閉する際の回動中心となる回動部を備えており、
前記ハウジングに前記バッテリパックが装着された状態において、前記回動部と前記バッテリパックとの間には隙間が存在しており、
前記チェーンソーをユーザが持つ側を上側としたとき、
前記カバーは、上側から前記バッテリパックの少なくとも一部を覆うように閉じる、チェーンソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チェーンソーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材等を切断するチェーンソーが知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0079101号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態の一態様に係るチェーンソーは、モータと、前記モータが内部に配置されたハウジングと、前記ハウジングから突出したガイドバーと、前記ガイドバーの外周部に配置されたソーチェーンと、前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記モータと電気的に接続されるバッテリパックと、前記ハウジングに接続されており、前記バッテリパックの少なくとも一部を開閉可能に覆うカバーと、を備えており、前記カバーは、前記カバーが開閉する際の回動中心となる回動部を備えており、前記ハウジングに前記バッテリパックが装着された状態において、前記ガイドバーの長手方向に沿って、前記回動部と前記バッテリパックは離れて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本実施形態のチェーンソーの一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のチェーンソーの一例を示す斜視図である。
【
図11】
図2に示したチェーンソーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して、チェーンソー1000のいくつかの実施形態について説明する。
【0007】
図1および
図2は、チェーンソー1000の斜視図である。
図1および
図2に示すように、チェーンソー1000は、モータ30と、モータ30が内部に配置されたハウジング100と、ハウジング100から突出したガイドバー200と、ガイドバー200の外周部に配置されたソーチェーン300と、ハウジング100に着脱可能に装着されたバッテリパック400と、ハウジング100に接続されており、バッテリパック400の少なくとも一部を開閉可能に覆うカバー500と、を備えている。なお、
図1はチェーンソー1000のカバー500が閉じた状態の斜視図であり、
図2はチェーンソー1000のカバー500が開いた状態の斜視図である。
【0008】
図3はチェーンソー1000のカバー500が閉じた状態の側面図であり、
図4はチェーンソー1000のカバー500が開いた状態の側面図である。
図5はチェーンソー1000のカバー500が閉じた状態の上面図であり、
図6はチェーンソー1000のカバー500が閉じた状態の下面図である。
図7は
図5のvii-vii線断面図であり、
図8は
図5のviii-viii線断面図である。
図9は
図8のバッテリパック400付近の拡大断面図である。
図10はチェーンソー1000の別の態様を示すバッテリパック400付近の拡大断面図である。
図11はチェーンソー1000のカバー500が開いた状態の断面図であり、
図12は
図11のバッテリパック400付近の拡大断面図である。
【0009】
以下説明のために、
図3に示すように、チェーンソー1000の側面視においてガイドバー200の長手方向に沿う方向を前後方向と定義する。そして、ハウジング100に対してガイドバー200側を前側と定義し、ガイドバー200に対してハウジング100側を後ろ側と定義する。また、前後方向に直交する方向を上下方向と定義する。そして、ハウジング100に対してカバー500側を上側と定義し、カバー500に対してハウジング100側を下側と定義する。さらに、前後方向および上下方向に直交する方向(
図3の紙面奥行き方向)を左右方向と定義する。
【0010】
図8等に示すように、ハウジング100の内部には、モータ30が配置されている。モータ30の種類は特に制限されないが、モータ30は例えばブラシレスモータであってもよい。
【0011】
ハウジング100は、前側の面である前面101、後ろ側の面である後面103、上側の面である上面105、下側の面である下面107および左右側の面である側面109を備えている。
【0012】
ハウジング100の前面101には、ハウジング100から前側に突出するガイドバー200が配置されている。ガイドバー200は前後方向に延びる板状部材であって、ガイドバー200の外周部にはソーチェーン300が配置されている。ソーチェーン300は、モータ30の出力軸に取り付けられた不図示のスプロケットと係合している。モータ30の駆動に応じてスプロケットが回転することで、スプロケットと係合したソーチェーン300がガイドバー200の外周に沿って回転する。作業者がガイドバー200上で回転するソーチェーン300を木材等の作業対象物に接触させることで、作業対象物がソーチェーン300によって切断される。
【0013】
ハウジング100の後面103には、リアハンドル700が設けられている。リアハンドル700は、作業者がチェーンソー1000を使用する際に一方の手で把持する部位である。リアハンドル700は、チェーンソー1000の最後部に配置されている。チェーンソー1000はさらに、リアハンドル700よりも前側に配置されたフロントハンドル600を備えている。フロントハンドル600は、ハウジング100の側面109に接続されている。フロントハンドル600は、作業者がチェーンソー1000を使用する際に他方の手で把持する部位である。リアハンドル700およびフロントハンドル600の形状は特に制限されないが、例えば円筒状であってもよい。なお、リアハンドル700およびフロントハンドル600は、ハウジング100とは異なる部材であってもよいし、リアハンドル700およびフロントハンドル600は、ハウジング100と一体的に形成されていてもよい。
【0014】
図8等に示すように、リアハンドル700には、トリガ800が設けられている。トリガ800は作業者によって操作可能な部材であって、トリガ800の操作に応じてモータ30が駆動する。トリガ800は、例えば押し込み式の操作部材である。トリガ800はハウジング100の後面103や側面109に設けられていてもよい。ハウジング100の内部には、スイッチ50が配置されている。スイッチ50はさらに、ハウジング100の内部に配置された制御装置70と電気的に接続されており、制御装置70はモータ30と電気的に接続されている。スイッチ50は、作業者によるトリガ800の操作に応じて、操作信号を制御装置70に出力する。操作信号を受け取った制御装置70は、モータ30に制御信号を出力し、モータ30を駆動する。
【0015】
ハウジング100には、バッテリパック400が着脱可能に装着される。「着脱可能」とは、チェーンソー1000を使用する際には作業者がバッテリパック400をハウジング100に装着し、チェーンソー1000を使用しない際には作業者がバッテリパック400をハウジング100から取り外すことが可能な状態を指す。ハウジング100に装着されたバッテリパック400は、ハウジング100に設けられた回路を介してモータ30に電力を供給する。
【0016】
バッテリパック400は、ハウジング100の上面105または側面109上に配置される。また、バッテリパック400の少なくとも一部は、モータ30およびフロントハンドル600よりも後ろ側に配置される。また、バッテリパック400は、リアハンドル700、トリガ800およびスイッチ50よりも前側に配置される。
【0017】
バッテリパック400の形状は特に制限されない。例えば、バッテリパック400は直方体状であってもよいし、円筒状であってもよい。
【0018】
バッテリパック400は、例えばフロントハンドル600とリアハンドル700の間に配置される。また、モータ30はバッテリパック400よりも前側に配置される。
【0019】
ハウジング100に装着されるバッテリパック400の数は、特に制限されない。すなわち、ハウジング100には1つのバッテリパック400が装着されていてもよいし、複数のバッテリパック400が装着されていてもよい。
【0020】
ハウジング100には、カバー500が接続されている。カバー500は、ハウジング100に装着されたバッテリパック400の少なくとも一部を開閉可能に覆うように配置されている。カバー500を設けることによって、ハウジング100に装着されたバッテリパック400に雨水や粉塵等の異物が付着する可能性を低減することができる。なお、「開閉可能」とは、チェーンソー1000を使用する際には作業者がカバー500を閉じてバッテリパック400を覆い、バッテリパック400をハウジング100から取り出す際には作業者がカバー500を開きバッテリパック400を露出させることが可能な状態を指す。
【0021】
図9等に示すように、カバー500は、カバー500を開閉する際の回動中心となる回動部501と、カバー500を開閉する際に回動部501を軸として移動するカバー本体510とを備えている。カバー本体510は、例えば凹形状を有しており、この凹形状内部にバッテリパック400の一部が配置される。回動部501は、ハウジング100に設けられた回動軸100Xの外周面を覆うように配置されている。回動軸100Xは、ハウジング100において左右方向が長手方向となるよう配置されている。回動軸100Xは、例えば中空状の円筒状部材である。回動部501は、カバー500を開閉する際に回動軸100Xを支点として回転する。回動部501はカバー本体510と接続されており、カバー本体510は回動部501の回転に応じて移動する。なお、回動部501は、カバー本体510の一部であってもよい。すなわち、回動部501およびカバー本体510は同一の部材から構成されていてもよい。なお、回動部501はチェーンソー1000の左右方向に延びる軸状部材であって、係る回動部501がハウジング100に設けられた穴に挿通していてもよい。
【0022】
カバー500の回動部501は、カバー500の後ろ側に配置されている。そのため、カバー500は閉じた状態から開かれた場合、カバー本体510は後ろ側へ移動する。一方、カバー500は開いた状態から閉じられた場合、カバー本体510は前側へ移動する。このような構成によれば、開いた状態のカバー500がフロントハンドル600に干渉することがないため、フロントハンドル600の設計自由度を向上させることができる。なおこの場合、カバー500の回動部501はバッテリパック400よりも後ろ側に配置されている。
【0023】
カバー500の回動部501は、カバー500の前側に配置されていてもよい。この場合、カバー500が閉じた状態から開かれた場合、カバー本体510は前側へ移動する。一方、カバー500が開いた状態から閉じられた場合、カバー本体510は後ろ側へ移動する。
【0024】
図9等に示すように、チェーンソー1000の前後方向において、回動部501とバッテリパック400は離れて配置されており、回動部501とバッテリパック400との間には空間が存在している。換言すれば、チェーンソー1000の前後方向において、回動部501とバッテリパック400との間には隙間が存在している。このような構成によれば、作業者がバッテリパック400をハウジング100から取り外す際の利便性を向上させることができる。
【0025】
バッテリパック400をハウジング100に対して着脱する際に、作業者は一方の手でフロントハンドル600を把持しつつ、他方の手でバッテリパック400の着脱操作を行う。あるいは、バッテリパック400をハウジング100に対して着脱する際に、作業者はチェーンソー1000を地面に置き、一方の手でバッテリパック400の着脱操作を行う。チェーンソー1000の前後方向において、回動部501とバッテリパック400は離れて配置されている場合、作業者は回動部501とバッテリパック400の間に指を入れることが可能となる。この結果、作業者がバッテリパック400を把持することが容易となるため、バッテリパック400の取り外し作業が容易となる。チェーンソー1000の前後方向において、回動部501とバッテリパック400は例えば10mm~50mm程度離れて配置されていてもよい。
【0026】
「回動部501とバッテリパック400は離れて配置されている」とは、例えば以下の構成を含む。
図9に示すように、チェーンソー1000の前後方向および上下方向に沿う断面視(以下、縦断面視と呼ぶ場合がある)において、回動部501とバッテリパック400とを前後方向に結ぶ線分Lを仮想する。線分Lに沿って回動部501とバッテリパック400との間にその他の部材が存在しない場合、「回動部501とバッテリパック400との間には空間が存在している」としてもよい。
【0027】
カバー500の回動部501は、チェーンソー1000の前後方向に沿って、バッテリパック400とリアハンドル700との間に配置されていてもよい。
【0028】
図8等に示すように、ハウジング100の上面105には、凹部110が設けられていてもよい。そして、バッテリパック400の少なくとも一部が凹部110の内部に配置されることにより、バッテリパック400がハウジング100に装着されてもよい。この場合、カバー500は凹部110を覆うように配置される。
【0029】
凹部110は、前面111と、後面113とを備えている。前面111とは、凹部110の内面のうち前側の面である。後面113とは、凹部110の内面のうち後ろ側の面である。
図7等に示すように、凹部110の前面111は、バッテリパック400の前面401と対向している。凹部110の後面113は、バッテリパック400の後面403と対向している。
【0030】
凹部110の後面113とカバー500の回動部501は、チェーンソー1000の前後方向において離れて配置されている。したがって、凹部110に装着されたバッテリパック400は、前後方向において回動部501と離れて位置する。
【0031】
図9等に示すように、カバー500の回動部501は、ハウジング100の支持面120の上側に配置されている。支持面120は、チェーンソー1000の縦断面視において円弧状である。カバー500の回動部501は、カバー500の開閉に伴い支持面120の上側で回動する。回動部501と支持面120は直接接しておらず、回動部501と支持面120の間には隙間が存在していてもよい。
【0032】
支持面120は、接続面130を介して、凹部110の後面113と接続されている。接続面130における凹部110の後面113側の端部130Aは、接続面130における支持面120側の端部130Bよりも下側に位置していてもよい。換言すれば、接続面130におけるバッテリパック400側の端部130Aは、接続面130における回動部501側の端部130Bよりも下側に位置していてもよい。このような構成によれば、回動部501と支持面120との間に雨水等が侵入した場合に、雨水が凹部110の内部にまで侵入する可能性を低減することができる。
【0033】
バッテリパック400は、例えば直方体状であってもよい。そして、バッテリパック400が凹部110に装着された際、バッテリパック400の長手方向がチェーンソー1000の上下方向に沿った状態であってもよい。換言すれば、チェーンソー1000の縦断面視において、バッテリパック400の長手方向は、チェーンソー1000の前後方向と交差していてもよい。この場合、バッテリパック400の前面401および後面403は、バッテリパック400の長手方向に沿った面となる。このような構成によれば、バッテリパック400のうち、ハウジング100から露出する部分を大きくすることができるため、バッテリパック400の取り外し作業をさらに容易化することができる。
【0034】
図10に示すように、カバー500はリブ555を備えていてもよい。より具体的には、カバー本体510のハウジング100側にはリブ555が設けられており、カバー500を閉じた状態においてリブ555がバッテリパック400と接触していてもよい。このような構成によれば、バッテリパック400が凹部110の途中までしか装着されていない状態において、カバー500を完全に閉じることができない。換言すれば、凹部110に対するバッテリパック400の装着が不完全な状態において、カバー500を完全に閉じることができない。この結果、チェーンソー1000の使用中にバッテリパック400を誤って離脱させる可能性を低減することができる。リブ555は、例えばカバー本体510の前側に配置される。凹部110に対するバッテリパック400の装着が不完全な状態においてカバー500を閉じることにより、リブ555がバッテリパック400を押圧してバッテリパック400が凹部110に完全に装着される構成としてもよい。
【0035】
凹部110の後面111には、ハウジング側係合部141が設けられており、バッテリパック400の前面401にはバッテリパック側係合部142が設けられていてもよい。そして、ハウジング側係合部141とバッテリパック側係合部142とが係合することにより、バッテリパック400がハウジング100に装着されてもよい。
【0036】
バッテリパック400の後面403には把持部410を設けてもよい。把持部410とは、バッテリパック400をハウジング100から取り外す際に、作業者によって把持される部位である。そして、バッテリパック400がハウジング100に装着された状態において、バッテリパック400の把持部410を、凹部110の後面113よりも上側に配置してもよい。このような構成によれば、バッテリパック400の取り外し作業がさらに容易となる。把持部410は、例えばバッテリパック400の外面に設けられた凹部である。
【0037】
凹部110の後面113は、凹部110の前面111よりも下側に位置していてもよい。より具体的には、チェーンソー1000の縦断面視において、凹部110の後面113の上端部は、凹部110の前面111の上端部よりも下側に位置していてもよい。このような構成によれば、バッテリパック400の前面401と凹部110の前面111との接触面積を確保しながら、バッテリパックの後面403のハウジング100からの露出面積を大きくすることができる。この結果、ハウジング100におけるバッテリパック400の保持性を維持しながら、バッテリパック400の取り外し作業を容易化することができる。なお、凹部110の後面113の上端部は、接続面130におけるバッテリパック400側の端部130Aと接続されている。
【0038】
図3等に示すように、カバー500は、ハウジング100と係合する係合部550を備えていてもよい。係合部550は、作業者からの操作を受け付けることができる。より具体的には、作業者が係合部550を操作することで、カバー500がハウジング100と係合した係合状態と、カバー500がハウジング100と係合していない非係合状態とを切り替えることができる。係合部550を設けることによって、カバー500を閉じた状態において、カバー500をハウジング100に固定することができる。この結果、チェーンソー1000の使用中にカバー500が誤って開く可能性を低減することができる。
【0039】
カバー500が閉じた状態において、係合部550はカバー500の前側に配置され、回動部501はカバー500の後ろ側に配置されていてもよい。
【0040】
図8等に示すように、カバー500が閉じた状態において、回動部501は係合部550よりも下側に配置されていてもよい。換言すれば、
図7に示すように、チェーンソー1000の縦断面視において、回動部501と係合部550を結ぶ直線を直線L1としたとき、直線L1はチェーンソー1000の回動部501側(後ろ側)の方が下側に傾斜していてもよい。このような構成によれば、係合部550をチェーンソー1000の上側に設けながら、バッテリパックの後面403のハウジング100からの露出面積を大きくすることができる。この結果、係合部550の操作性を維持しながら、バッテリパック400の取り外し作業を容易化することができる。直線L1は、チェーンソー1000の縦断面視において、回動部501と係合部550の中央部を通過する。なお、直線L1の傾斜角度θ1は、例えば20°~40°である。傾斜角度θ1とは、チェーンソー1000の縦断面視において、ハウジング100の下面107の延長線に対する直線L1の傾斜角度を指す。
【0041】
図8に示すように、チェーンソー1000のリアハンドル700の軸線の延長線を直線L2とした場合、直線L2はチェーンソー1000の回動部501側(後ろ側)の方が下側に傾斜している。このような構成によれば、リアハンドル700の把持性が向上する。なお、直線L2の傾斜角度θ2は、例えば0°~20°である。傾斜角度θ2とは、チェーンソー1000の前後方向の断面視において、ハウジング100の下面107に対する直線L2の傾斜角度を指す。
【0042】
さらに、線分L2の傾斜角度θ2は、回動部501と係合部550を結ぶ線分L1の傾斜角度θ1よりも小さくてもよい。このような構成によれば、カバー500の操作性、リアハンドル700の把持性およびバッテリパック400の取り外し作業の容易性を向上させることができる。
【0043】
図3に示すように、ハウジング100は、外側に突出する突出部150を備えていてもよい。突出部150は例えば、ハウジング100において左右の側面109に一対設けられている。突出部150の内部には空間が存在し、その空間が凹部110と接続されている。換言すれば、突出部150は、凹部110とハウジング100の内部で接続されている。
【0044】
突出部150は、開口部170を備えている。開口部170は、突出部150の下側の面に設けられている。突出部150に開口部170が設けられることにより、凹部110に雨水等の水が侵入した際に、凹部110と接続された突出部150の開口部170から水が排出される。開口部170は突出部150の下側の面に設けられているため、ハウジング100の外側から開口部170を介して突出部150および凹部110内部に雨水が侵入する可能性を低減することができる。
【0045】
突出部150は、ハウジング100の左右の側面109の一方のみに設けられていてもよい。突出部150は、ハウジング100の前面101、後面103、上面105および下面107に延在していてもよい。突出部150は、リアハンドル700と接続されていてもよい。
【0046】
図8等に示すように、スイッチ50の少なくとも一部は、チェーンソー1000の前後方向において、バッテリパック400とカバー500の回動部501との間に位置していてもよい。より具体的には、チェーンソー1000の縦断面視において、バッテリパック400の後面403と、回動部501の中心との間の領域にスイッチ50の少なくとも一部が位置していてもよい。このような構成によれば、チェーンソー1000を小型化することができる。
【0047】
同様に、制御装置70の少なくとも一部は、チェーンソー1000の前後方向において、バッテリパック400とカバー500の回動部501との間に位置していてもよい。より具体的には、チェーンソー1000の縦断面視において、バッテリパック400の後面403と、回動部50Bの中心との間の領域に制御装置70の少なくとも一部が位置していてもよい。このような構成によれば、チェーンソー1000を小型化することができる。
【0048】
ハウジング100は、チェーンソー1000の前後方向に沿って複数配置された通気口190を備えていてもよい。このような構成によれば、一つの通気口190から外気を吸気し、ハウジング100内部を通って他の通気口190から外気を排気することで、ハウジング内部に配置されたモータ30、スイッチ50および制御装置70等を外気によって冷却することができる。
【0049】
図3等に示すように、少なくとも1つの通気口190は、突出部150よりも後ろ側に配置されていてもよい。このような構成によれば、ソーチェーン300によって切断された切り屑等の飛散が突出部150によって遮られ、飛散物が通気口190からハウジング100内部へ侵入する可能性を低減することができる。突出部150よりも後ろ側に配置された通気口190は、吸気口であってもよいし、排気口であってもよい。突出部150よりも後ろ側に配置された通気口190は、チェーンソー1000の側面視において、バッテリパック400よりも後ろ側に配置されていてもよい。
【0050】
以上、チェーンソー1000のいくつかの実施形態について説明したが、チェーンソー1000は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1000・・・・・・・・・チェーンソー
30・・・・・・・・・・・モータ
50・・・・・・・・・・・スイッチ
70・・・・・・・・・・・制御装置
100・・・・・・・・・・ハウジング
200・・・・・・・・・・ガイドバー
300・・・・・・・・・・ソーチェーン
400・・・・・・・・・・バッテリパック
500・・・・・・・・・・カバー
600・・・・・・・・・・フロントハンドル
700・・・・・・・・・・リアハンドル
800・・・・・・・・・・トリガ