(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】光学測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01B11/06 Z
(21)【出願番号】P 2020139962
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】10 2019 122 866.2
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507119836
【氏名又は名称】プレシテク オプトロニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ディーツ
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9494529(US,B1)
【文献】特開2017-102067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象(34)の間隔及び/又は厚みを測定するための光学測定装置であって、
ポリクロマチック測定光を放出する、第1の光源(21)を有し、
第1の光導波管(26、51)を有し、前記光導波管を光が通過し、かつ前記光導波管の端部が第1の共焦点のアパーチャ(29、53)を形成し、
結像光学系(31)を有し、前記結像光学系が、測定光のクロマチックフォーカスシフトをもたらし、かつ第1の共焦点のアパーチャ(29、53)を測定領域内へ結像させるのに適しており、種々の波長が種々の高さで合焦され、かつ測定対象(34)から反射された測定光が再び戻るように第1の共焦点のアパーチャ(29)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)に結像され、
受信及び評価ユニット(39)を有し、前記
受信及び評価ユニットが、測定対象(34)から反射されて、戻るように第1の共焦点のアパーチャ(29)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)を通過する測定光の強度を波長に従って測定して、それに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている、
ものにおいて、
測定装置が第2の光導波管(28、52)を有し、前記第2の光導波管が第1の光導波管(26、51)に対して平行に案内されており、かつその端部が第2の共焦点のアパーチャ(30、54)を形成し、第2の共焦点のアパーチャ(30、54)の直径が、第1の共焦点のアパーチャ(26、51)の直径よりも大きく、かつ
受信及び評価ユニット(39)が、測定対象(34)から反射されて、戻るように第2の共焦点のアパーチャ(30、54)又は第4の共焦点のアパーチャ(56)を通過する測定光を、波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている、
ことを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
受信及び評価ユニット(39)が、第1のスペクトルと第2のスペクトルを発生させるように、整えられており、第1のスペクトルが第1の共焦点のアパーチャ(29、53)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)を通過する測定光の強度を、波長に従って表し、かつ第2のスペクトルが第2の共焦点のアパーチャ(30、54)又は第4の共焦点のアパーチャ(59)を通過する測定光の強度を波長に従って表す、ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
測定装置が第2の光源(22)を有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
第1の光源(21)と第2の光源(22)が、それぞれ時間的なインターバルで駆動され、第1の光源(21)と第2の光源(22)が同時にはオンにされない、ことを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
受信及び評価ユニット(39)が、
1つのスペクトロメータのみを有し、前記スペクトロメータが、測定対象(34)から反射されて、戻るように第1の共焦点のアパーチャ(29、53)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)を通過する測定光の強度を波長に従って測定し、測定対象(34)から反射されて、戻るように第2の共焦点のアパーチャ(30、54)又は第4の共焦点のアパーチャ(56)を通過する測定光の強度も、波長に従って測定するように、整えられている、ことを特徴とする請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
スペクトロメータの測定クロックが、第1と第2の光源(21、22)の時間的切替えインターバルと同期されている、ことを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
第3の共焦点のアパーチャ(55)が第3の光導波管(57)の端部によって形成され、第4の共焦点のアパーチャ(56)が第4の光導波管(58)の端部によって形成され、第1と第3の共焦点のアパーチャ(53、55)が互いに対して共焦点であり、第2と第4の共焦点のアパーチャ(54、56)が互いに対して共焦点であって、第3の光導波管(57)の直径が第1の光導波管(51)の直径に相当し、かつ第4の光導波管(58)の直径が第2の光導波管(52)の直径に相当する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
第1の光導波管(26、51)が75-125μm、特に100μmの直径を有し、かつ第2の光導波管(28、52)が10-50μm、特に25μmの直径を有している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
結像光学系(31)と測定対象(34)が、結像光学系(31)の光学軸に対して横方向に互いに対して移動されるので、測定対象(34)の複数の箇所において測定データが記録される、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項10】
測定装置が、ガラスからなる測定対象(34)において、特にガラスからなる容器において、測定を実施するように、整えられている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項11】
測定対象(34)の間隔及び/又は厚みを測定するための光学測定装置であって、
ポリクロマチック測定光を放出する、第1の光源(21)を有し、
第1の共焦点のアパーチャを形成する、第1の穴絞りを有し、
結像光学系(31)を有し、前記結像光学系が、測定光のクロマチックフォーカスシフトをもたらし、かつ第1の共焦点のアパーチャ(29、53)を測定領域内へ結像させるのに、適しており、種々の波長が種々の高さに合焦されており、測定対象(34)から反射された測定光が再び戻るように第1の共焦点のアパーチャ(29)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)上に結像され、
受信及び評価ユニット(39)を有し、前記
受信及び評価ユニットが、測定対象(34)から反射されて、戻るように第1の共焦点のアパーチャ(29)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)を通過した測定光の強度を波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている、
ものにおいて、
測定装置が第2の穴絞りを有し、前記
第2の穴絞りが第2の共焦点のアパーチャ(30、54)を形成し、第2の共焦点のアパーチャ(30、54)の直径が、第1の共焦点のアパーチャ(29、53)の直径よりも大きく、かつ
受信及び評価ユニット(39)が、測定対象(34)から反射されて、戻るように第2の共焦点のアパーチャ(30、54)又は第4の共焦点のアパーチャ(56)を通過した測定光の強度も波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項12】
測定対象(34)の間隔及び/又は厚みを光学的に測定する方法であって、
第1の共焦点のアパーチャ(29、51)を通過するポリクロマチック光が結像光学系(31)によってクロマチックフォーカスシフトをもって測定対象(34)上に結像され、
第1の共焦点のアパーチャ(29、51)が、第1の光導波管(26)の端部によって形成され、
測定対象(34)から反射されて、結像光学系(31)と第1の共焦点のアパーチャ(29、51)又は第3の共焦点のアパーチャ(55)及び第1の光導波管(26)又は第3の光導波管(57)を通過する光の第1のスペクトルが生成される、
ものにおいて、
第2の光導波管(28、52)の端部によって形成される、第2の共焦点のアパーチャ(30、54)が、同様に結像光学系(31)によって測定対象(34)上に結像され、第2の光導波管(28、52)の横断面が、第1の光導波管(26、51)の横断面よりも大きく、かつ
測定対象(34)から反射されて、結像光学系(31)と第2の共焦点のアパーチャ(30、54)又は第4の共焦点のアパーチャ(56)及び第2の光導波管(28、52)又は第4の光導波管(58)を通過する光の第2のスペクトルが生成される、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
それぞれ繰り返される時間的インターバルにおいて、光が交互に第1の光導波管(26、51)又は第2の光導波管(28、52)を通して測定対象(34)上へ案内され、第1の光スペクトルがそれぞれ、光が第1の光導波管(26、51)を通して測定対象(34)上へ案内されるインターバルの間に生成され、かつ第2の光スペクトルがそれぞれ、光が第2の光導波管(28、52)を通して測定対象(34)上へ案内されるインターバルの間に生成される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
特徴的な値、特に第1のスペクトルの強度のローカルな最大値が定められ、かつ、特徴的な値が限界値の上にある場合に、少なくとも1つの間隔値又は厚み値が第1のスペクトルから導き出されて、出力され、特徴的な値が限界値の上にない場合には、少なくとも1つの間隔値又は厚み値が第2のスペクトルから導き出されて、出力される、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の間隔及び/又は厚みを測定するための光学測定装置に関するものであり、その光学測定装置はポリクロマチック測定光を放出する光源、測定光を通過させ、かつその端部が第1の共焦点のアパーチャを形成する第1の光導波管及び結像光学系を有し、その結像光学系は、測定光のクロマチックフォーカスシフトをもたらし、かつ第1の共焦点のアパーチャを測定領域内へ結像させるのに適している。それによって種々の波長が、種々の高さで合焦される。測定対象から反射された測定光は、戻るように再び第1の共焦点のアパーチャへ、あるいは第3の共焦点のアパーチャへ結像される。測定装置は、受信及び評価ユニットも有しており、そのユニットは、測定対象から反射されて第1の共焦点のアパーチャ又は第3の共焦点のアパーチャを通過した測定光の強度を、波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許出願公開第5785651(A)号明細書)からは、クロマチック共焦点のマイクロスコープが知られており、それは、対象のプロフィールを測定するように、整えられている。その場合に実施例において、ポリクロマチック光源がファイバーオプティカルケーブルを介して結像光学系と接続されており、その場合にファイバーオプティカルケーブルの端部がクロマチック共焦点マイクロスコープの共焦点のアパーチャを形成している。
【0003】
この既知のクロマチック共焦点の測定装置の欠点は、使用されるアパーチャ大きさを介して、達成可能な解像度と測定光の強度(及びそれに伴って信号の強さ)との間に逆方向の依存性が生じることである。その場合に装置の構造、すなわち使用される光源、使用される光導波管、結像比及び受信ユニットが、解像度と信号強さからなる固定の妥協を定める。解像度は、共焦点の円錐によって限定され、その円錐は測定対象上の共焦点のアパーチャの結像により、かつ大体において受信ユニット内で使用されるスペクトロメータによって生じる。
【0004】
それによって、たとえば薄い層を測定しようとする場合に必要となるような、きわめて良好な解像度も可能にし、反射性のよくない、もしくは部分的に吸収する層を備えた表面を有する測定試料上でも使用することができる装置を形成することは、不可能である。これは特に、両方の状況が生じる測定対象において問題となる。というのは、この測定対象は唯一の装置によって完全に測定することはできないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第5785651(A)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、解像度と信号強さに対して異なる要請を有する対象を測定することを可能にする、測定装置及び測定装置を駆動する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、第1の光導波管が小さい直径を有し、かつ測定装置が第2の光導波管を有し、その直径が第1の光導波管の直径よりも大きく、かつその第2の光導波管が第1の光導波管に対して平行に案内されることにより、解決される。第2の光導波管の端部が、第2の共焦点のアパーチャとなる。受信及び評価ユニットが、測定対象から反射されて戻るように第2の共焦点のアパーチャ又は第4の共焦点のアパーチャを通過する測定光の強度も波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている。
【0008】
したがって横断面が異なる少なくとも2つの光導波管が平行に使用される。その場合により小さい横断面を有するファイバーの端部がより小さい共焦点のアパーチャを形成し、かつよりよい解像度の測定(横と間隔)を可能にし、より大きい横断面を有するファイバーがより多くの光を、したがってより多くの信号も移送する。
【0009】
その場合に好ましい実施形態によれば、光源と受信及び評価ユニットはそれぞれファイバーカップラーによって第1もしくは第2の光導波管と接続されている。他の好ましい実施形態によれば、第1と第2の光導波管に対して平行にさらに第3と第4の光導波管が結像光学系へ案内される。その場合に第3の共焦点のアパーチャが第3の光導波管の端部によって形成され、第4の共焦点のアパーチャが第4の光導波管の端部によって形成され、その場合に第1と第3の共焦点のアパーチャが互いに対して共焦点であり、第2と第4の共焦点のアパーチャが互いに対して共焦点である。第3の光導波管の直径が第1の光導波管の直径に相当し、かつ第4の光導波管の直径が第2の光導波管の直径に相当する。
【0010】
好ましくは受信及び評価ユニットは、第1のスペクトルと第2のスペクトルを生成するように、整えられており、その場合に第1のスペクトルは第1の共焦点のアパーチャ又は第3の共焦点のアパーチャを通過する測定光の強度を波長に従って表し、第2のスペクトルは第2の共焦点のアパーチャ又は第4の共焦点のアパーチャを通過する測定光の強度を波長に従って表す。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、測定装置は第1と第2の光導波管の他に、さらに他の平行に案内される光導波管を有しており、その端部が他の共焦点のアパーチャを表し、かつ異なる横断面を有している。本発明の原理は、より大きい数の光導波管に拡大され、すべての特徴と考察は、第1と第2の光導波管を有する実施形態と同様に有効である。
【0012】
好ましくは測定装置は、第2の光源を有している。好ましくは第1の光源の光が第1の光導波管内へ結合され、第2の光源の光は第2の光導波管内へ結合される。
【0013】
特に好ましくは、第1の光源と第2の光源はそれぞれ時間的なインターバルで駆動され、その場合に第1の光源と第2の光源は同時にオンにはされない。すなわち、まず第1の光源がオンにされ、次に第1の光源がオフにされ、そしてほぼ同時に第2の光源がオンにされ、その後第2の光源がオフにされ、そしてほぼ同時に第1の光源が再びオンにされるようにして、続けられる。その場合に好ましくは時間的なインターバルは、受信及び評価ユニットの測定クロックと同じ規模である。特に時間的なインターバルは、それぞれ測定クロックあるいは測定クロックの固定の部分(たとえば半分)に相当することができる。
【0014】
好ましくは、第1の光源が駆動される各インターバルは同じ長さであり、第2の光源が駆動される各インターバルは長さである。第1の光源と第2の光源のインターバルは、互いに対して等しい長さとすることができ、代替的に、たとえば信号をさらに増幅するために、異なる長さを選択することもできる。
【0015】
光源は、それぞれ時間の一部のみで駆動されるので、それらの光源は典型的に、連続駆動におけるよりもより高い強度で駆動することができる。
【0016】
好ましくは受信及び評価ユニットは、特に唯一の検出器配列を備えた、唯一のスペクトロメータのみを有しており、それは、測定対象から反射されて、戻るように第1の共焦点のアパーチャを通過した測定光の強度を波長に従って測定し、測定対象から反射されて、戻るように第2の共焦点のアパーチャを通過した測定光の強度も測定するように、整えられている。1つだけの検出器配列を有する1つのスペクトロメータのみを使用することは、コスト節約の利点を提供する。
【0017】
第1と第2の光導波管を介して受信及び評価ユニット内へ進入する光は、まとめて評価されず、光源は交互に切替えられ、2つのスペクトルはそれぞれ部分測定クロックにわたって記録される。その場合に細いファイバーの信号は、より微弱である。
【0018】
好ましくはスペクトロメータの測定クロックは、第1と第2の光導波管の時間的な切替えインターバルと同期されている。光源との同期によって、信号が区別されて、第1又は第2の光導波管に対応づけられる。
【0019】
本発明の代替的な実施形態において、第1と第2の光源は、連続的に駆動される。この場合において受信及び評価ユニットは、2つのスペクトロメータあるいは、スペクトロメータ内部に少なくとも2つの検出器配列を持たなければならず、その場合に異なる光導波管の光が、異なる検出器配列へ案内される。
【0020】
好ましくは第1の光導波管は75-125μm、特に100μmの直径を有し、第2の光導波管は10-50μm、特に25μmの直径を有している。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、結像光学系と測定対象は、結像光学系の光学軸に対して横方向に互いに対して移動されるので、測定対象の複数の箇所において測定データが記録される。この種のいわゆるスキャンによって、任意のラインに沿った測定値、あるいは特に表面トポグラフィーを形成することができる。
【0022】
スキャン方向は、2つの測定点の変位に関係なく選択することができ、その場合に変位の補正を実施することができるようにするために、方位を認識すると効果的である。測定点は、空間的にやや変位しており(約100μm)、かつ、光源が交互に駆動される場合に、時間的にも変位している。スキャンの間に一方の光導波管の信号を用いる評価から、他方の光導波管の信号を用いる評価に切り替えられる場合に、そのことにより、それぞれファイバーがスキャン方向に対してどのように方向づけされているかに応じて、スキャンステップ幅における軽い変位もしくは横変位がもたらされる。この変位は、容認される。というのはこの装置は、好ましくは、局所的にゆっくりと変化する測定対象のみを測定する場合に使用されるからである。
【0023】
測定装置の好ましい適用は、ガラス又は他の透明な材料からなる測定対象、特にガラスからなる容器、たとえばビンである。
【0024】
本発明は、同様に、ポリクロマチック測定光を放出する第1の光源、第1の共焦点のアパーチャを形成する第1の穴絞りを有する、測定対象の間隔及び/又は厚みを測定するための光学測定装置に関する。測定装置は結像光学系を有し、その結像光学系は、測定光のクロマチックフォーカスシフトをもたらし、かつ第1の共焦点のアパーチャを測定領域内へ結像させるように、整えられており、その場合に種々の波長が種々の高さに合焦されており、その場合に測定対象から反射された測定光が再び戻るように第1の共焦点のアパーチャ又は第3の共焦点のアパーチャへ結像される。さらに測定装置は受信及び評価ユニットを有しており、そのユニットは、測定対象から反射されて、戻るように第1の共焦点のアパーチャ又は第3の共焦点のアパーチャを通過する測定光の強度を波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている。本発明によれば、第1の共焦点のアパーチャは小さい直径を有しており、かつ測定装置は第2の穴絞りを有しており、それが第2の共焦点のアパーチャを形成し、その場合に第2の共焦点のアパーチャの直径は、第1の共焦点のアパーチャの直径よりも大きく、その場合に受信及び評価ユニットは、測定対象から反射されて戻るように第2の共焦点のアパーチャ又は第4の共焦点のアパーチャを通過する測定光の強度も波長に従って測定し、かつそれに基づいて間隔及び/又は厚みを定めるように、形成されている。
【0025】
好ましくは照明及び受信のために、種々の穴絞りが使用される(照明のために第1と第2の共焦点のアパーチャ、そして受信のための第3と第4の共焦点のアパーチャ)。穴絞りは、互いに対して共焦点に方向づけされている。その場合に第3の共焦点のアパーチャの直径は第1の共焦点のアパーチャの直径に相当し、第4の共焦点のアパーチャの直径は第2の共焦点のアパーチャの直径に相当する。
【0026】
本発明に係る装置のこのバージョンは、本発明の上述したバージョンと同じ原理に従って機能する。というのは、穴絞りがファイバー端部と同じ機能を満たすからである。上述した本発明のバージョンとの組合せで記述されたすべての特徴は、同様に組み合わせることができる。光源と第1及び第2の共焦点のアパーチャとの間、及び共焦点のアパーチャと受信及び評価ユニットとの間の測定光の移送は、フリービームを介して、あるいは光導波管を介して行うことができ、その場合にそれぞれの光導波管は少なくとも該当する穴絞りの直径を有している。
【0027】
好ましくは受信及び評価ユニットは、第3と第4の共焦点のアパーチャを形成する穴絞りのすぐ後ろに配置されている。
【0028】
また、混合形式において第1と第2の共焦点のアパーチャ(照明)をファイバー端部として形成し、第3の第4の共焦点のアパーチャを穴絞りとして形成することも、可能である。
【0029】
本発明は、測定対象の間隔及び/又は厚みを光学的に測定するための方法にも関するものであり、その場合に第1の共焦点のアパーチャを通過するポリクロマチック光が結像光学系によってクロマチックフォーカスシフトをもって測定対象上に結像され、かつ第1の共焦点のアパーチャが第1の光導波管の端部によって形成される。測定対象から反射されて、結像光学系と第1の共焦点のアパーチャ及び第1の光導波管を通過する、あるいは第3の共焦点のアパーチャと第3の光導波管を通過する光の第1のスペクトルが生成される。第2の光導波管の端部によって形成される、第2の共焦点のアパーチャは、同様に結像光学系によって測定対象上に結像される。第2の光導波管の横断面は、第1の光導波管の横断面よりも大きい。測定対象から反射されて結像光学系と第2の共焦点のアパーチャ及び第2の光導波管又は第4の共焦点のアパーチャ及び第4の光導波管を通過する光の第2のスペクトルが生成される。
【0030】
好ましくはそれぞれ繰り返される時間的インターバルにおいて、光が交互に第1の光導波管又は第2の光導波管を通して測定対象上へ案内され、その場合に第1のスペクトルはそれぞれ光が第1の光導波管を通して対象上へ案内されるインターバルの間に生成され、第2のスペクトルはそれぞれ光が第2の光導波管を通して対象上へ案内されるインターバルの間に生成される。
【0031】
好ましくは特徴的な値、特に第1のスペクトルの強度のローカルな最大値が定められ、かつ、特徴的な値が限界値の上方にある場合に、少なくとも1つの間隔値又は厚み値が第1のスペクトルから導き出されて、出力される。そうでない場合には、少なくとも1つの間隔値又は厚み値は第2のスペクトルから導き出されて、出力される。
【0032】
したがって2つのスペクトルの間で、どちらがより良好に評価可能な信号を供給するか(振幅、分離可能性)が区別される。このスペクトルから間隔値又は厚み値が計算される。決定は、好ましくは強度を用いて行われる。その場合にノーマル場合において、解像度のよい信号が使用され、もちろんそれが充分な信号強さを有していない場合には、他のスペクトルが利用される。
【0033】
同様に、2つのスペクトルが評価可能な信号を供給する限りにおいて、2つのスペクトルの組合せから出力値を計算することも(たとえば重みづけされた合計又は1つずつ選択される)、効果的である。
【0034】
以下、図を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。その場合に同一の参照符号は、同一の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】従来技術から知られているような、光学測定装置を示している。
【
図2】本発明の好ましい実施例に基づく測定装置を示している。
【
図3】本発明の他の好ましい実施例に基づく測定装置を示している。
【
図4】例としての方法のシーケンスを図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、従来技術から知られているような、光学測定装置を示している。この装置は光源1を有しており、その光源はポリクロマチック測定光を放出する。光源1の測定光は、光導波管2内へ結合されて、カップリング箇所3を介して第1の光導波管4内へ案内される。光導波管4の端部が、共焦点のアパーチャ5を形成する。共焦点のアパーチャ5から測定光が出射し、かつ、たとえばレンズ7と8を有する結像光学系6によって測定対象9へ向けられる。その場合に結像光学系6は、様々な波長の光が結像光学系6の光学軸に沿って様々な高さに結像されるようにして、クロマチックフォーカスシフトをもたらすように、形成されている。
【0037】
測定対象9から反射された光は、結像光学系6を通って共焦点のアパーチャ5へ戻る。その場合にクロマチック共焦点原理に従って、測定対象9上でも合焦された波長の光のみが共焦点のアパーチャ5上へシャープに結像される。したがってこの波長の光は、最大の強度をもって再び第1の光導波管4内へ入射する。
【0038】
カップリング箇所3を通して、第1の光導波管4から受信された光の少なくとも一部が光導波管10内へ案内される。それを通して光が受信及び評価ユニット11内へ達する。
【0039】
たとえば、測定対象9の前側と後ろ側における反射に由来する信号が、評価される。
【0040】
測定対象9が、たとえば可変の厚みの対象である場合に、種々の箇所において種々の信号が予想される。グラフ12と13は、受信された、波長に依存する強度(スペクトル)を図式的に示している。グラフ12は、測定対象のどちらかというと薄い箇所におけるスペクトルを示している。ここでは特に測定対象の厚みは、測定装置の垂直の解像よりも小さい。その場合に前側と後ろ側の信号が重なり合うので、それらはもはや区別できない。グラフ13は、測定対象のどちらかというと厚い箇所におけるスペクトルを示している。前側の信号ははっきりと認識されるが、後ろ側から来る反射は、特に測定対象が測定光の一部を吸収し、あるいは散乱させる場合に、明らかに減少されている。後ろ側の信号は、正確に評価するには小さすぎる。
【0041】
図2は、本発明の好ましい実施例に基づく測定装置を示している。
【0042】
例としての測定装置は、第1の光源21と第2の光源22を有している。第1の光源21の光は、光導波管23内へ結合され、第2の光源22の光は、他の光導波管24内へ結合される。第1のカップリング箇所25を介して光導波管23からの光が第1の光導波管26内へ結合され、第2のカップリング箇所27を介して他の光導波管24からの光が第2の光導波管28内へ結合される。その場合に第2の光導波管28は、第1の光導波管26よりも大きい横断面を有している。第1の光導波管26と第2の光導波管28は、たとえば平行に案内され、好ましくは2つの光導波管は互いに固定することができ、あるいは共通のカバーの内部に延びることができる。
【0043】
第1の光導波管26の端部は、第1の共焦点のアパーチャ29を形成し、第2の光導波管28の端部が第2の共焦点のアパーチャ30を形成する。その場合に第1と第2の共焦点のアパーチャ29、30は、互いに密に隣接しており、かつ同じ高さに、好ましくは光導波管の横断面がそれを許す程度に互いに接して配置されている。
【0044】
たとえば第1の光導波管26の直径もしくは横断面は、第2の光導波管28の直径もしくは横断面よりも小さい。それによって第2の共焦点のアパーチャ30も第1の共焦点のアパーチャ29よりも大きい。第2の光導波管内へ、第1のそれよりも多くの光を結合し、かつ移送することができる。
【0045】
たとえばレンズ32と33を有する、結像光学系31によって第1の共焦点のアパーチャ29も第2の共焦点のアパーチャ30も、測定対象34上に結像される。その場合に結像光学系31は、異なる波長の光が結像光学系31の光学軸に沿って異なる高さで結像されるように、クロマチックフォーカスシフトをもたらすように、形成されている。その場合に結像点35と36は、測定対象34上でやや側方に変位している。
【0046】
測定対象34から反射された光は、再び結像光学系31を通過し、かつ第1の共焦点のアパーチャ29と第2の共焦点のアパーチャ30上へ結像される。その場合にクロマチック共焦点原理に基づいて、測定対象34上でも合焦された波長の光のみが、それぞれの共焦点のアパーチャ上にシャープに結像される。この光はその後、最大の強度をもって再びそれぞれの共焦点のアパーチャ内へ結合される。第2の共焦点のアパーチャ30は第1の共焦点のアパーチャ29よりも大きいので、第2の共焦点のアパーチャを通してより多くの光が結合される。それに対して小さい方の第1の共焦点のアパーチャ29は、よりよい解像を許す。というのは、合焦されない光がよりよく排除されるからである。
【0047】
第1の結合箇所25を通って、第1の共焦点のアパーチャ29によって受信された光の少なくとも一部が、光導波管37を通して受信及び評価ユニット39上へ案内される。第2の共焦点のアパーチャ30によって受信された光が、第2のカップリング箇所27と光導波管38を通して、たとえば同様に受信及び評価ユニット39内へ案内される。
【0048】
たとえば受信及び評価ユニット39は、少なくとも1つのスペクトロメータを有しており、それは、受信した光を波長に従って分割し、かつ波長に従って強度を定めるように整えられている。これらのデータからスペクトル、すなわち波長に従って強度の推移が形成される。その場合にスペクトル内の強度の最大が、測定対象34における反射箇所の高さ(結像光学系31の光学軸の方向における)及びそれに伴って境界面の高さ値に相当する。
【0049】
たとえば第1の光導波管26の光も、第2の光導波管28の光も同一のスペクトロメータへ案内される。この場合において、光源21と22は交互にオンにされ、その場合にスペクトロメータの読みだしは、光源21と22の切替えクロックと同期される。このようにして、第1の光源21がオンにされている間に受信された光から第1のスペクトルが形成され、かつ第2の光源22がオンにされている間に受信された光から第2のスペクトルが形成されることによって、第1の光導波管26からの光と第2の光導波管28からの光について別々のスペクトルを形成することが可能である。
【0050】
その代わりに、2つのスペクトロメータを使用することが可能であって、その場合に第1の光導波管の光と第2の光導波管の光がそれぞれ別々に異なるスペクトロメータへ案内される。この場合においては、2つの光源を同時に駆動することができる。2つのスペクトロメータを用いて2つのスペクトルを形成することができ、それらはそれぞれ第1もしくは第2の光導波管に一義的に対応づけられている。
【0051】
グラフ40、41、42及び43は、それぞれ測定対象の異なる箇所における第1と第2のスペクトルを示している。その場合に第1のスペクトルはそれぞれ実線(40と41)により、そして第2のスペクトルは破線(42、43)によって示されている。
【0052】
測定対象が薄い箇所においては、第1のスペクトル内の最大(グラフ40)は分離可能であり、したがって評価可能である。というのは、光導波管の横断面が小さいことにより解像がよりよいからである。第2のスペクトル内の最大(グラフ42)は、より大きい第2の光導波管がより多くの光を移送するので、規模としては高いが、これはもはやきれいに分離することはできず、したがって正確な測定を許さない。それに対して測定対象がどちらかというと厚い箇所において、対象の後ろ側からの反射はしばしばきわめて弱く、それに応じた第1のスペクトル内の最大(グラフ41)は極めて低く、したがって評価が難しい。それに対して第2のスペクトル(グラフ43)は、まだ充分な振幅を有している。
【0053】
図3は、本発明の他の好ましい実施例に基づく測定装置を示している。
【0054】
例としての測定装置は、第1の光源21と第2の光源22を有している。第1の光源21の光は第1の光導波管51内へ結合され、第2の光源22の光は第2の光導波管52内へ結合される。
図2に示す実施例とは異なり、ここではファイバーカップリング箇所は使用されず、光源の光は直接第1もしくは第2の光導波管内へ結合されて、直接結像光学系へ案内される。第1の光導波管51と第2の光導波管52は、たとえば平行に案内されており、好ましくは2つの光導波管は互いに接して固定することができ、あるいは共通のカバーの内部に延びることができる。
【0055】
第1の光導波管51の端部は、たとえば第1の共焦点のアパーチャ53を形成し、第2の光導波管52の端部が第2の共焦点のアパーチャ54を形成する。その場合に第1と第2の共焦点のアパーチャ53、54は、密に隣接しており、かつ同じ高さに、好ましくは互いに対して光導波管の横断面が許す程度の近さで、配置されている。
【0056】
たとえば第1の光導波管51の直径もしくは横断面は、第2の光導波管52の直径もしくは横断面よりも小さい。
【0057】
この実施例における結像光学系31は、
図2の実施例の結像光学系と原則的に等しく構築されており、同じ原理に従って機能する。しかしこの結像光学系は、さらにビームスプリッタ59を有しており、そのビームスプリッタによって、第1の共焦点のアパーチャ53が付加的に第3の共焦点のアパーチャ55上に結像され、第2の共焦点のアパーチャ54が第4の共焦点のアパーチャ56上に結像される。第3と第4のアパーチャは、ここでは測定光の帰路上で、したがって
図2の実施例における第1と第2のアパーチャとまったく同じように作用する。
【0058】
第3の共焦点のアパーチャ55は、ここでは第3の光導波管57の端部によって形成される。第4の共焦点のアパーチャ56は、第4の光導波管58の端部によって形成される。その場合に第3の光導波管57の直径は第1の光導波管51の直径に相当し、かつ第4の光導波管58の直径は第2の光導波管52の直径に相当する。したがって第4の光導波管58の直径は、第3の光導波管57の直径よりも大きい。より大きい光導波管はより多くの光を移送することができ、したがって第4の共焦点のアパーチャ56を通してより多くの光が結合され、より小さい第3の共焦点のアパーチャ55は、合焦されない波長をより良好に排除することにより、よりよい解像を許す。
【0059】
第3の光導波管57と第4の光導波管58も、たとえば平行に、好ましくは第1と第2の光導波管51、52と共通に案内される。
【0060】
第3の光導波管57と第4の光導波管58を通して、受信された光が受信及び評価ユニット39へ案内される。これは、
図2の実施例に関連して上述したように機能する。
【0061】
図4は、本発明の実施例に基づく方法のシーケンスを図式的に示している。
【0062】
まずステップ101において、本発明に基づく測定装置を用いて2つのスペクトルが形成され、その場合にスペクトルの各々は、
図2と3に関連して説明したように、第1の光導波管又は第2の光導波管を通して受信された光に対応づけられる。
【0063】
次のステップ102において、予期される数の最大値を確実に定めることができるようにするために(たとえば測定対象の前側と後ろ側を測定しようとする場合に、2つの最大値、あるいは1つの側の高さ情報のみが必要な場合には、1つの最大値)、第1のスペクトル(第1の光導波管26の光に対応)が充分な強度を有するか、が定められる。そのために好ましくは、強度ピークのための最大値-限界値があらかじめ定められ、それは好ましくは、スペクトル内の背景ノイズの程度に依存することができる。肯定の場合には、ステップ103へ進む。
【0064】
ステップ103において、1つもしくは複数の最大値の位置を用いて少なくとも1つの高さ値及び/又は厚み値が決定される。この決定は、好ましくはそれ自体知られた方法を用いて、たとえば、所定の波長もしくはスペクトロメータピクセルに対応づけられたカリブレーションテーブルを用いて行われる。この高さ値及び/又は厚み値は測定装置から、たとえば電子的に、かつ/又は表示器を介して、出力される。
【0065】
第1のスペクトルがあらかじめ定められた判断基準を満たさない場合には、ステップ104へ進む。ステップ104においては、ステップ103におけるのと同様に、もちろん第2のスペクトルを用いて、少なくとも1つの高さ値及び/又は厚み値が定められて、出力される。
【符号の説明】
【0066】
21 第1の光源
22 第2の光源
26、51 第1の光導波管
28、52 第2の光導波管
29 第1の共焦点のアパーチャ
30 第2の共焦点のアパーチャ
31 結像光学系
34 測定対象
39 受信及び評価ユニット
55 第3の共焦点のアパーチャ
56 第4の共焦点のアパーチャ
57 第3の光導波管
58 第4の光導波管