(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】溶接電源システム
(51)【国際特許分類】
B23K 9/067 20060101AFI20240912BHJP
B23K 9/18 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B23K9/067
B23K9/18 E
(21)【出願番号】P 2020150653
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】楠橋 悠真
(72)【発明者】
【氏名】永見 一敏
(72)【発明者】
【氏名】宮島 雄一
(72)【発明者】
【氏名】成定 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 善規
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-008743(JP,A)
【文献】特開平01-138063(JP,A)
【文献】特開平09-271944(JP,A)
【文献】特開2015-006675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/067
B23K 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマージアーク溶接を行うための溶接システムであって、
インバータ回路を有し電力を供給する溶接電源装置と、
溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置と、
前記溶接電源装置および前記ワイヤ送給装置を制御する制御装置と、
前記溶接ワイヤの先端と被溶接物との間に印加される電圧を検出する電圧センサと、を備え、
前記制御装置は、溶接開始時に、前記ワイヤ送給装置に前記溶接ワイヤの順方向への送給を行わせて、前記溶接ワイヤの先端が
前記被溶接物に接触したときに、前記溶接電源装置にスタート電流を出力させ、前記溶接ワイヤの接触から、溶接のための第1速度での前記順方向への送給の開始までに、前記第1速度より遅い第2速度での前記順方向への送給を行わせるスタート電流期間を設けて
おり、
前記スタート電流期間は、前記電圧センサが検出した検出電圧が、あらかじめ設定された電圧閾値以上になるまでの期間である、
溶接電源システム。
【請求項2】
前記スタート電流期間は、前記検出電圧が前記電圧閾値以上になるまでの期間、および、あらかじめ設定された第2時間が経過するまでの期間のうち長い方の期間である、
請求項
1に記載の溶接電源システム。
【請求項3】
サブマージアーク溶接を行うための溶接システムであって、
インバータ回路を有し電力を供給する溶接電源装置と、
溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置と、
前記溶接電源装置および前記ワイヤ送給装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
溶接開始時に、
第3速度で前記溶接ワイヤの順方向への送給を行わせて、前記溶接ワイヤの先端が被溶接物に接触したときに、所定長さだけ逆方向への送給を行わせ、その後、前記溶接ワイヤの先端が前記被溶接物に再度接触するまで、前記第3速度より遅い第4速度での前記順方向への送給を行わせ、前記溶接ワイヤの先端が
前記被溶接物に
再度接触したときに、前記溶接電源装置にスタート電流を出力させ、
前記溶接ワイヤの
再度の接触から、溶接のための第1速度での前記順方向への送給の開始までに、前記第1速度より遅い第2速度での前記順方向への送給を行わせるスタート電流期間を設けている、
溶接電源システム。
【請求項4】
サブマージアーク溶接を行うための溶接システムであって、
インバータ回路を有し電力を供給する溶接電源装置と、
溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置と、
前記溶接電源装置および前記ワイヤ送給装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
溶接開始時に、前記ワイヤ送給装置に前記溶接ワイヤの順方向への送給を行わせて、前記溶接ワイヤの先端が被溶接物に接触したときに、前記溶接電源装置にスタート電流を出力させ、前記溶接ワイヤの接触から、溶接のための第1速度での前記順方向への送給の開始までに、前記第1速度より遅い第2速度での前記順方向への送給を行わせるスタート電流期間を設けて
おり、
溶接終了時に、前記ワイヤ送給装置に前記溶接ワイヤの送給を停止させてから、前記溶接電源装置にエンド電流を停止させるまでのエンド電流期間を設けている、
溶接電源システム。
【請求項5】
前記第2速度は、前記溶接ワイヤを停止させる速度である、
請求項1
ないし4のいずれかに記載の溶接電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブマージアーク溶接を行うための溶接電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からサブマージアーク溶接が知られている。サブマージアーク溶接は、被溶接物の上に粒上のフラックスを散布し、フラックスの中に溶接ワイヤを送給して、溶接ワイヤの先端と被溶接物との間にアークを発生させて溶接を行うものである。サブマージアーク溶接では、太径の溶接ワイヤに大電流を流すことで、厚板を高能率で溶接することができる。
【0003】
サブマージアーク溶接を開始する際には、作業者が溶接ワイヤと被溶接物との間にスチールウールを挿入し、通電により当該スチールウールを燃え上がらせることで溶接ワイヤと被溶接物との間にアークを発生させる。しかし、この場合、溶接を行うたびに、スチールウールの挿入が必要になるので、作業者による作業が必要になる。この作業を自動化するために、スチールウールを挿入する代わりに、フラックスを散布する前にメタルパウダーを散布する方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された方法によると、作業者によるスチールウールの挿入作業が必要ないので、溶接開始作業を自動化できる。しかしながら、本来、溶接には必要ないメタルパウダーを、溶接を行うたびに消費するので、無駄な費用がかかる。また、メタルパウダーが溶接後のビードに不純物として混入してしまう。これらの不都合は、スチールウールを用いた場合も同様である。
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、サブマージアーク溶接の溶接開始時の作業を自動化し、かつ、溶接後のビードに不純物が混入することを抑制できる溶接電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される溶接電源システムは、サブマージアーク溶接を行うための溶接システムであって、インバータ回路を有し電力を供給する溶接電源装置と、溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置と、前記溶接電源装置および前記ワイヤ送給装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、溶接開始時に、前記ワイヤ送給装置に前記溶接ワイヤの順方向への送給を行わせて、前記溶接ワイヤの先端が被溶接物に接触したときに、前記溶接電源装置にスタート電流を出力させ、前記溶接ワイヤの接触から、溶接のための第1速度での前記順方向への送給の開始までに、前記第1速度より遅い第2速度での前記順方向への送給を行わせるスタート電流期間を設けている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2速度は、前記溶接ワイヤを停止させる速度である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記スタート電流期間は、あらかじめ設定された第1時間が経過するまでの期間である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記溶接ワイヤの先端と前記被溶接物との間に印加される電圧を検出する電圧センサをさらに備え、前記スタート電流期間は、前記電圧センサが検出した検出電圧が、あらかじめ設定された電圧閾値以上になるまでの期間である。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記スタート電流期間は、前記検出電圧が前記電圧閾値以上になるまでの期間、および、あらかじめ設定された第2時間が経過するまでの期間のうち長い方の期間である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、溶接開始時に、第3速度で前記溶接ワイヤの前記順方向への送給を行わせて、前記溶接ワイヤの先端が前記被溶接物に接触したときに、所定長さだけ逆方向への送給を行わせ、その後、前記溶接ワイヤの先端が前記被溶接物に再度接触するまで、前記第3速度より遅い第4速度での前記順方向への送給を行わせる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、溶接終了時に、前記ワイヤ送給装置に前記溶接ワイヤの送給を停止させてから、前記溶接電源装置にエンド電流を停止させるまでのエンド電流期間を設けている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、制御装置は、溶接開始時に、溶接ワイヤの先端を被溶接物に接触させて、スタート電流期間の間、スタート電流を出力させる。スタート電流の通電によって、溶接ワイヤが燃え上がって、アークが発生する。スタート電流期間での溶接ワイヤの送給速度は、溶接時の第1速度より遅い第2速度である。したがって、溶接ワイヤの先端が被溶接物に押し付けられてアークが発生せずにくっついてしまうスティック現象が発生することが抑制される。また、メタルパウダーやスチールウールなどの他の材料を用いないので、溶接開始時の作業を自動化し、かつ、溶接後のビードに不純物が混入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る溶接システムを説明するための図であり、(a)は溶接システムの全体構成を示すブロック図であり、(b)は溶接電源装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)は開始制御処理を示すフローチャートの一例であり、(b)は終了制御処理を示すフローチャートの一例である。
【
図3】第1実施形態に係る溶接システムでの溶接における各状態を示すタイミングチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る溶接システムの変形例での溶接における各状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。同図(a)は、溶接システムの全体構成を示すブロック図である。同図(b)は、溶接電源装置の内部構成を示すブロック図である。
【0018】
溶接システムA1は、サブマージアーク溶接を行うための溶接システムである。
図1(a)に示すように、溶接システムA1は、制御装置1、溶接電源装置2、台車4、ワイヤ送給装置5、ワイヤリール6、散布装置7、および電極8を備えている。溶接システムA1は、被溶接物Wの溶接線に沿って台車4を移動させながら、散布装置7のホッパに貯留された粒状のフラックスを散布させ、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤをフラックスの中に送給させる。溶接ワイヤはワイヤリール6から供給される。溶接電源装置2は、商用電源Pから供給される交流電力を溶接に適した電力に変換して出力し、フラックスの内部で、溶接ワイヤの先端部分である電極8と被溶接物Wとの間にアークを発生させる。当該アークの熱によって、溶接が行われる。これにより、被溶接物Wの溶接線に沿って溶接が行われる。なお、台車4を用いる代わりに、被溶接物Wを移動させたり、回転させたりしてもよい。
【0019】
制御装置1は、溶接システムA1の各種制御を行う。制御装置1は、汎用的なコンピュータに溶接システムA1の各種制御を行うプログラムをインストールしたものであってもよいし、溶接システムA1の制御のための専用装置であってもよい。制御装置1は、台車4を所定の移動速度で移動させる。移動速度は、被溶接物Wの材質および厚さなどに応じて設定される。制御装置1は、散布装置7に、フラックスの散布を指示する。制御装置1は、ワイヤ送給装置5に、溶接ワイヤの送給の開始および停止を指示する。また、溶接ワイヤの送給速度も指示する。送給速度は、設定される溶接電流などに応じて設定される。制御装置1は、溶接電源装置2に、電力の出力を指示する。溶接開始時および溶接終了時に制御装置1が行う制御の詳細については、後述する。
【0020】
溶接電源装置2は、商用電源Pから供給される交流電力を所望の周波数の交流電力に変換して出力する。なお、複数の溶接電源装置2が互いに並列接続されたもの(具体的には、各溶接電源装置2の各出力端子aが互いに接続されて被溶接物Wに接続され、各出力端子bが互いに接続されて溶接ワイヤに接続される)が、溶接電源装置2に代えて用いられてもよい。
【0021】
図1(b)に示すように、溶接電源装置2は、整流平滑回路21、インバータ回路22、トランス23、整流平滑回路24、インバータ回路25、電流センサ26、および電圧センサ27、および制御回路28を備えている。
【0022】
整流平滑回路21は、商用電源Pから入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。整流平滑回路21は、交流電流を整流する整流回路と、平滑する平滑コンデンサとを備えている。なお、整流平滑回路21の構成は限定されない。
【0023】
インバータ回路22は、例えば、単相フルブリッジ型のPWM制御インバータであり、4個のスイッチング素子を備えている。インバータ回路22は、制御回路28から入力される出力制御駆動信号によってスイッチング素子をスイッチングさせることで、整流平滑回路21から入力される直流電力を高周波電力に変換して出力する。なお、インバータ回路22は直流電力を高周波電力に変換するものであればよく、例えばハーフブリッジ型であってもよいし、その他の構成のインバータ回路であってもよい。
【0024】
トランス23は、インバータ回路22が出力する高周波電圧を変圧して、整流平滑回路24に出力する。トランス23は、一次側巻線23aおよび二次側巻線23bを備えている。一次側巻線23aの各入力端子は、インバータ回路22の各出力端子にそれぞれ接続されている。二次側巻線23bの各出力端子は、整流平滑回路24の各入力端子にそれぞれ接続されている。インバータ回路22の出力電圧は、一次側巻線23aと二次側巻線23bの巻き数比に応じて変圧されて、整流平滑回路24に入力される。二次側巻線23bは一次側巻線23aに対して絶縁されているので、商用電源Pから入力される電流が二次側の回路に流れることを防止することができる。また、トランス23は、インバータ回路22が出力する高周波電圧を変圧するので、商用電源Pの交流電圧を変圧するトランスと比較して、小型軽量化されている。
【0025】
整流平滑回路24は、トランス23から入力される高周波電力を直流電力に変換して出力する。整流平滑回路24は、高周波電流を整流する整流回路と、平滑する直流リアクトルとを備えている。なお、整流平滑回路24の構成は限定されない。
【0026】
インバータ回路25は、例えば、単相フルブリッジ型のPWM制御インバータであり、4個のスイッチング素子を備えている。インバータ回路25は、制御回路28から入力されるスイッチング駆動信号によってスイッチング素子をスイッチングさせることで、整流平滑回路24から入力される直流電力を交流電力に変換して出力する。インバータ回路25は、出力端子a(被溶接物Wに接続)の電位が出力端子b(溶接ワイヤに接続)の電位より高い状態である正極性と、出力端子aの電位が出力端子bの電位より低い状態である逆極性とを切り換える。なお、インバータ回路25は直流電力を交流電力に変換するものであればよく、例えばハーフブリッジ型であってもよいし、その他の構成のインバータ回路であってもよい。
【0027】
電流センサ26は、溶接電源装置2の出力電流を検出するものであり、本実施形態では、インバータ回路25の一方の出力端子と出力端子aとを接続する接続線に配置されている。電流センサ26が検出する溶接電源装置2の出力電流は、電極8を流れる電流にほぼ等しい。電流センサ26は、検出した電流瞬時値に応じた電流値信号を制御回路28および制御装置1に出力する。なお、電流センサ26の構成は限定されず、接続線から出力電流を検出するものであればよい。また、電流センサ26の配置場所は限定されない。例えば、電流センサ26は、インバータ回路25の他方の出力端子と出力端子bとを接続する接続線に配置されてもよい。また、電流センサ26は、溶接電源装置2の外部に配置されてもよい。
【0028】
電圧センサ27は、溶接電源装置2の出力電圧を検出するものであり、本実施形態では、出力端子aと出力端子bとの端子間電圧を検出する。当該電圧は、被溶接物Wと電極8の先端との間に印加される電圧にほぼ等しい。電圧センサ27は、検出した電圧瞬時値に応じた電圧値信号を制御回路28および制御装置1に出力する。なお、電圧センサ27の構成は限定されず、出力端子aと出力端子bとの端子間電圧を検出するものであればよい。また、電圧センサ27の配置場所は限定されない。例えば、電圧センサ27は、溶接電源装置2の外部に配置されてもよい。
【0029】
制御回路28は、溶接電源装置2を制御するための回路であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御回路28は、電流センサ26から電流値信号を入力され、電圧センサ27から電圧値信号を入力され、制御装置1から各種指令信号を入力される。そして、制御回路28は、インバータ回路22およびインバータ回路25に、それぞれ駆動信号を出力する。
【0030】
制御回路28は、制御装置1から電力出力の開始を指示する指令信号を受信したときに、インバータ回路22およびインバータ回路25に、それぞれ駆動信号の出力を開始することで、電力の出力を開始させる。また、制御回路28は、制御装置1から電力出力の停止を指示する指令信号を受信したときに、駆動信号の出力を停止することで、電力の出力を停止させる。
【0031】
また、制御回路28は、電流センサ26から入力される電流値信号から電流実効値を算出する。そして、制御回路28は、当該電流実効値と、制御装置1から入力される電流指令値とに基づいて、インバータ回路22のスイッチング素子を制御するための出力制御駆動信号を生成して、インバータ回路22に出力する。つまり、制御回路28は、電流実効値が電流指令値に一致するように、フィードバック制御を行う。なお、制御回路28は、電圧センサ27から入力される電圧値信号と電圧指令値とに基づいて、出力制御駆動信号を生成することもできる。
【0032】
また、制御回路28は、電流センサ26から入力される電流値信号と、内部で生成した波形指令信号とに基づいて、インバータ回路25のスイッチング素子を制御するためのスイッチング駆動信号を生成して、インバータ回路25に出力する。つまり、制御回路28は、出力電流の波形が波形指令信号で指令する波形に一致するように、フィードバック制御を行う。本実施形態では、波形指令信号は、正弦波信号である。制御回路28が波形指令信号に基づいてスイッチング駆動信号を生成して、インバータ回路25に出力することで、インバータ回路25は、波形指令信号に応じた正弦波状の交流電流を出力する。なお、制御回路28は、出力電流の瞬時値を用いずに、波形指令信号のみに基づいて、スイッチング駆動信号を生成してもよい。
【0033】
また、制御回路28は、制御装置1から直流出力の指令信号が入力された場合は、インバータ回路25に出力するスイッチング駆動信号を、所定のスイッチング素子をオン状態に固定して、その他のスイッチング素子をオフ状態に固定する信号とする。例えば、整流平滑回路24の正極側の出力端子と出力端子aとが接続され、整流平滑回路24の負極側の出力端子と出力端子bとが接続されたままの状態となるように、各スイッチング素子の状態が固定されると、溶接電源装置2は、出力端子aを正極とし、出力端子bを負極として、直流電力を出力する。つまり、溶接システムA1は、交流電力だけでなく直流電力も出力することができる交直両用の溶接システムである。また、溶接電源装置2は、制御装置1から入力される電流指令値に基づいて、出力電流を制御することができる。したがって、溶接システムA1は、出力電流を適切に制御可能である。
【0034】
次に、制御装置1が行う溶接開始時および溶接終了時の制御処理について、説明する。
図2は、制御装置1が行う制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0035】
図2(a)は、溶接開始時の開始制御処理を示すフローチャートの一例である。開始制御処理は、例えば、溶接を開始させる操作ボタンが押下されたときに開始される。
【0036】
まず、溶接ワイヤの送給が開始される(S1)。具体的には、制御装置1が、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの送給の開始を指示する。このとき、制御装置1は、溶接ワイヤを順方向(ワイヤリール6から台車4に向かう方向)に、所定のインチング速度(限定されないが、例えば5m/min程度)で送給するように、指示を出す。インチング速度が、本発明の「第3速度」に相当する。次に、被溶接物Wと電極8との間に、直流電圧(限定されないが、例えば15V程度)を印加させる(S2)。具体的には、制御装置1が、溶接電源装置2に、直流電圧の出力を指示する。本実施形態では、溶接電源装置2は、制御回路28による制御によって、インバータ回路25が直流電圧を出力する。なお、溶接電源装置2は、出力端子a,bに並列接続された直流電源を別途備え、被溶接物Wと電極8との間に印加する直流電圧を当該直流電源から出力してもよい。
【0037】
次に、電極8が被溶接物Wに接触して短絡したか否かが判別される(S3)。具体的には、制御装置1が、電圧センサ27から入力される電圧値信号に基づいて判別を行う。電極8が被溶接物Wに短絡した場合、電極8と被溶接物Wとの間の電圧は急減して「0」に近づく。制御装置1は、電圧センサ27が検出した電圧(以下では「検出電圧」とする)が短絡検出閾値以下になった場合に、短絡したと判別する。なお、短絡の判別方法は限定されず、例えば、制御装置1は、電流センサ26から入力される電流値信号に基づいて、短絡の判別を行ってもよい。短絡が検出されない場合(S3:NO)、ステップS3に戻って、ステップS3の判別が繰り返される。つまり、制御装置1は、短絡が検出されるまで待機する。
【0038】
短絡が検出された場合(S3:YES)、溶接ワイヤの逆方向(台車4からワイヤリール6に向かう方向)への送給が開始される(S4)。具体的には、制御装置1が、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの逆方向への送給の開始を指示する。これにより、溶接ワイヤが逆方向に進行し、被溶接物Wに接触した電極8が引き離されてリトラクトされる。次に、電極8が所定長さ(限定されないが、例えば3mm程度)だけリトラクトされたか否かが判別される(S5)。具体的には、制御装置1が、逆送給開始からの時間を計時し、所定長さだけリトラクトするのに必要な時間が経過したか否かを判別する。リトラクトが完了していない場合(S5:NO)、ステップS5に戻って、ステップS5の判別が繰り返される。つまり、制御装置1は、リトラクトが完了するまで待機する。リトラクトが完了した場合(S5:YES)、溶接ワイヤのスローダウン速度での順方向への送給が開始される(S6)。スローダウン速度は、インチング速度と比較して十分遅い速度(限定されないが、例えば0.1m/min程度)である。スローダウン速度が、本発明の「第4速度」に相当する。
【0039】
ステップS1~S6の処理により、溶接ワイヤは、電極8が被溶接物Wに一旦接触するまでは比較的早い速度で送給され、接触後リトラクトされた後、比較的遅い速度で送給される。これにより、電極8が被溶接物Wに接触するまでの時間を短縮し、かつ、電極8が強いテンションで被溶接物Wに押し付けられることを抑制できる。なお、インチング速度が十分遅いなど、電極8が被溶接物Wに接触したときに電極8が強いテンションで被溶接物Wに押し付けられることが抑制される場合には、ステップS3~S6を省略してもよい。つまり、リトラクトおよびスローダウン速度での送給を行わなくてもよい。
【0040】
次に、電極8が被溶接物Wに再度接触して短絡したか否かが判別される(S7)。短絡が検出されない場合(S7:NO)、ステップS7に戻って、ステップS7の判別が繰り返される。つまり、制御装置1は、短絡が検出されるまで待機する。短絡が検出された場合(S7:YES)、溶接ワイヤの送給が停止される(S8)。具体的には、制御装置1が、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの送給の停止を指示する。
【0041】
次に、被溶接物Wの溶接ワイヤが接触している溶接開始地点およびその周辺に、フラックスが散布される(S9)。具体的には、制御装置1が、散布装置7にフラックスの散布を指示する。散布装置7は、あらかじめ設定された適量のフラックスを散布する。
【0042】
次に、スタート電流の出力が開始される(S10)。具体的には、制御装置1が、溶接電源装置2に、スタート電流の出力を指示する。スタート電流は、例えば1000A程度の直流電流である。なお、スタート電流の電流値は、限定されないし、使用される溶接ワイヤの材質および直径ごとに異なってもよい。また、スタート電流は、直流電流に限定されず、交流電流であってもよい。
【0043】
次に、スタート電流期間の経過を判別するための時間Tの計時が開始される(S11)。スタート電流期間は、溶接ワイヤの送給を停止した状態で、スタート電流を流す期間である。次に、時間Tがあらかじめ設定された第1時間T1(限定されないが、例えば400ms程度)になるまで待機され(S12)、第1時間T1は、スタート電流期間を時間によって規定するための設定時間である。第1時間T1は、スタート電流の通電により電極8が燃え上がって、電極8の先端と被溶接物Wとの間にアークが発生し、当該アークが安定した状態になるまでの時間であり、実験やシミュレーションに基づいて設定されている。つまり、スタート電流期間は、電極8が被溶接物Wに再度接触して短絡したときから、電極8にスタート電流を流して、アークを発生させて安定させるための期間である。なお、第1時間T1は、使用される溶接ワイヤの材質および直径ごとに設定されてもよいし、溶接システムA1に使用されうるすべての溶接ワイヤに適用できる単一の時間を設定してもよい。
【0044】
開始制御処理終了後に実行される溶接処理では、制御装置1は、溶接条件に応じて、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの送給を行わせ、溶接電源装置2に溶接電力の出力を行わせ、台車4を移動させる。また、制御装置1は、台車4の移動に応じて、散布装置7にフラックスの散布を行わせる。溶接電源装置2が出力する溶接電力は交流電力であってもよいし、直流電力であってもよい。なお、溶接処理の具体的な制御についての説明は省略する。
【0045】
図2(b)は、溶接終了時の終了制御処理を示すフローチャートの一例である。終了制御処理は、例えば、被溶接物Wの溶接終了地点まで溶接が完了したときや、溶接を終了させる操作ボタンが押下されたときに開始される。
【0046】
まず、溶接ワイヤの送給が停止される(S21)。具体的には、制御装置1が、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの送給の停止を指示する。次に、エンド電流の出力が開始される(S22)。具体的には、制御装置1が、溶接電源装置2に、エンド電流の出力を指示する。エンド電流は、例えば500A程度の直流電流である。なお、エンド電流の電流値は、限定されないし、使用される溶接ワイヤの材質および直径ごとに異なってもよい。また、エンド電流は、直流電流に限定されず、交流電流であってもよい。溶接ワイヤの送給が停止した状態で、電極8にエンド電流が通電されることで、電極8は燃え上がる。次に、電圧センサ27が検出した検出電圧Vが、あらかじめ設定された終了時電圧閾値Ve(限定されないが、例えば35V程度)以上になるまで待機される(S23)。終了時電圧閾値Veは、電極8が燃え上がり始めて検出電圧Vが上昇し始めたことを検出するための閾値である。電極8が燃え上がって、アーク長が大きくなって、検出電圧Vが大きくなるほど、電極8の先端の直径が大きくなる。終了時電圧閾値Veは、電極8が確実に燃え上がり始めて、かつ、電極8の先端の直径がまだあまり大きくなっていない状態となる電圧が設定される。なお、ステップS23で、検出電圧Vと終了時電圧閾値Veとを比較するのではなく、エンド電流の出力開始時からの検出電圧Vの変化量、または、検出電圧Vの変化率を閾値と比較してもよい。
【0047】
次に、エンド電流の出力が終了される(S24)。具体的には、制御装置1が、溶接電源装置2に、エンド電流の出力終了を指示する。溶接ワイヤの送給が停止されてからエンド電流が停止されるまでの、電極8にエンド電流を流す期間が、エンド電流期間である。次に、フラックスの散布が終了されて(S25)、終了制御処理は終了される。
【0048】
なお、
図2のフローチャートに示す処理は一例であって、制御装置1が行う開始制御処理および終了制御処理は上述したものに限定されない。
【0049】
図3は、溶接システムA1での溶接における各状態を示すタイミングチャートである。同図(a)は、溶接状態の時間変化を示している。同図(b)は、電圧センサ27が検出した検出電圧の時間変化を示している。同図(c)は、電流センサ26が検出した検出電流の時間変化を示している。同図(d)は、溶接ワイヤの送給速度の時間変化を示している。溶接ワイヤが順方向に送給されている場合、送給速度は正の値になり、逆方向に送給されている場合、送給速度は負の値になっている。同図(e)は、フラックスの散布状態の時間変化を示している。フラックスが散布されているときにONになっている。なお、
図3に示すタイミングチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている(
図4についても同様)。
【0050】
時刻t0において、溶接を開始させる操作ボタンが押下されたことで、溶接状態がONになって(
図3(a)参照)、開始制御処理が開始されている。このとき、インチング速度での溶接ワイヤの順方向への送給が開始され(
図3(d)参照)、直流電圧の出力が開始されている(
図3(b)参照)。なお、送給速度は、慣性により、制御装置1による指示後、傾斜を有して上昇している。以降の送給速度の変更時でも同様である。
【0051】
時刻t1では、電極8が被溶接物Wに接触して短絡したことで、検出電圧が急減している(
図3(b)参照)。これにより、短絡が検出されて、溶接ワイヤの逆方向への送給が開始され、送給速度が負の値になっている(
図3(d)参照)。溶接ワイヤの逆方向への送給により、電極8が被溶接物Wから引き離されて、検出電圧は元に戻り、時刻t2で所定長さのリトラクトが完了して、スローダウン速度での溶接ワイヤの順方向への送給が開始されている(
図3(d)参照)。
【0052】
そして、時刻t3で電極8が被溶接物Wに再度接触して短絡したことで、検出電圧が急減して(
図3(b)参照)、検出電流が急増している(
図3(c)参照)。これにより、短絡が検出されて、溶接ワイヤの送給が停止され、送給速度が「0」になり(
図3(d)参照)、フラックスの散布が開始されている(
図3(e)参照)。また、スタート電流の出力が開始され(
図3(c)参照)、電極8が燃え上がって、電極8の先端と被溶接物Wとの間にアークが発生し、検出電圧が所定の電圧になっている(
図3(b)参照)。時刻t3から第1時間T1経過後の時刻t4まで、スタート電流期間が継続して、電極8にスタート電流が通電される。これにより、電極8が燃え上がってアーク長が徐々大きくなり、検出電圧がこれに応じて徐々に上昇している(
図3(b)参照)。
【0053】
そして、時刻t4において、スタート電流期間が終了して、開始制御処理が終了され、溶接条件に応じた溶接処理が開始される。これにより、電流指令値に応じた溶接電流が出力され(
図3(c)参照)、溶接ワイヤの送給が開始される(
図3(d)参照)。
【0054】
時刻t5において、溶接を終了させる操作ボタンが押下されたことで、溶接状態がOFFになって(
図3(a)参照)、終了制御処理が開始されている。このとき、溶接ワイヤの送給が終了され(
図3(d)参照)、エンド電流の出力が開始されている(
図3(c)参照)。エンド電流の通電により、電極8がゆっくり燃え上がって、検出電圧が上昇し始める(
図3(b)参照)。時刻t6において、検出電圧が終了時電圧閾値Ve以上になったときに、エンド電流期間が終了し、エンド電流の出力が終了され(
図3(c)参照)、フラックスの散布が終了されて(
図3(e)参照)、終了制御処理が終了されている。なお、制御装置1がワイヤ送給装置5に送給の停止を指示しても、慣性によって、溶接ワイヤの送給はすぐに停止しない。制御装置1は、ワイヤ送給装置5の図示しないエンコーダからの信号によって溶接ワイヤが実際に停止したことを検知したときに、エンド電流の出力を開始させて、エンド電流期間を開始してもよい。
【0055】
次に、本実施形態に係る溶接システムA1の作用および効果について説明する。
【0056】
本実施形態によると、制御装置1は、溶接開始時に、溶接ワイヤの先端を被溶接物Wに接触させ、スタート電流期間の間、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの送給を停止させたまま、溶接電源装置2にスタート電流を出力させる。スタート電流の第1時間T1の通電により電極8が燃え上がって、電極8の先端と被溶接物Wとの間にアークが発生し、当該アークが安定した状態になる。この間、溶接ワイヤは送給されないので、電極8の先端が被溶接物Wに押し付けられてスティック現象が発生することが抑制される。また、アークを発生させるためにメタルパウダーやスチールウールなどの他の材料を用いないので、溶接開始時の作業を自動化し、かつ、溶接後のビードに不純物が混入することを抑制できる。メタルパウダーやスチールウールを挿入して溶接を開始する場合、アークスタート時の溶接ワイヤと被溶接物との間の距離やメタルパウダーまたはスチールウールの量が作業者によって差があるので、アークスタートの成功率やスタート部の溶接結果に影響を及ぼすことがある。しかし、本実施形態によると、溶接開始時の作業を自動化できるので、作業者によるバラツキを発生させず、再現性の高い溶接結果を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態によると、制御装置1は、溶接開始時に、溶接ワイヤをインチング速度で送給させて先端を被溶接物Wに接触させた後、所定長さだけリトラクトさせてから、スローダウン速度で送給させる。これにより、電極8が被溶接物Wに接触するまでの時間を短縮し、かつ、電極8が強いテンションで被溶接物Wに押し付けられることを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態によると、制御装置1は、溶接終了時に、ワイヤ送給装置5に溶接ワイヤの送給を停止させて、検出電圧Vが終了時電圧閾値Ve以上になるまで、溶接電源装置2にエンド電流を出力させる。溶接ワイヤの送給が停止した状態で電極8にエンド電流が通電されることで、電極8は燃え上がり、燃え上がり始めるとすぐにエンド電流が停止される。したがって、電極8の先端は、直径があまり大きくならず、鋭い状態になる。これにより、次に溶接を行うときに、電極8の先端の被溶接物Wとの接触面積が小さくなり、電流密度を大きくできるので、アーク発生の失敗を抑制できる。また、電極8の先端を鋭い状態にするために、ペンチなどで切断を行う必要がない。
【0059】
なお、本実施形態においては、スタート電流期間に溶接ワイヤの送給を停止する場合について説明したが、これに限られない。溶接ワイヤは、スタート電流期間に、溶接時の送給速度である第1速度より十分遅い第2速度で順方向に送給されてもよい。この場合も、電極8の先端が被溶接物Wに押し付けられてスティック現象が発生することが抑制される。溶接ワイヤの送給停止は、第2速度が溶接ワイヤを停止させる速度である「0」の場合のケースである。なお、第2速度は遅い方が望ましく、送給を停止(第2速度が「0」)することがより望ましい。
【0060】
また、本実施形態においては、スタート電流期間を、時間で規定した場合について説明したが、これに限られない。スタート電流期間は、電極8と被溶接物Wとの間にアークを発生させて当該アークを安定させるためにスタート電流を流すための期間なので、アークの安定を検出できたときに終了してもよい。
図4は、スタート電流期間の規定の方法が異なる変形例での溶接における各状態を示すタイミングチャートである。当該変形例では、 電圧センサ27が検出した検出電圧Vが、あらかじめ設定された開始時電圧閾値Vs(限定されないが、例えば20V程度)以上になった場合に、スタート電流期間を終了させる。開始時電圧閾値Vsは、アークが安定したことを検出するための閾値であって、発生したアークのアーク長が所定の長さになったときの電圧が設定される。
図4に示すタイミングチャートにおいては、時刻t4のときに、検出電圧Vが開始時電圧閾値Vs以上になったことでスタート電流期間が終了し(
図4(b)参照)、開始制御処理が終了されて、溶接条件に応じた溶接処理が開始されている。本変形例によると、検出電圧Vに基づいてアーク長が所定の長さになったときにスタート電流期間を終了させるので、アーク長が短いうちにスタート電流期間を終了させてスティック現象が発生したり、電極8が燃え上がりすぎて図示しないトーチに溶着してしまうことを抑制できる。
【0061】
なお、検出電圧Vがあまりにも早く開始時電圧閾値Vs以上になった場合、まだ、アークが安定していない場合がある。この場合、アークが不安定な状態でスタート電流期間が終了して、溶接が開始されてしまう。これを防止するために、検出電圧Vが開始時電圧閾値Vs以上になった場合でも、所定の第2時間T2(限定されないが、例えば100ms程度)が経過するまではスタート電流期間を継続してもよい。つまり、スタート電流期間は、検出電圧Vが開始時電圧閾値Vs以上になるまでの期間、および、第2時間T2が経過するまでの期間のうち長い方の期間としてもよい。第2時間T2は、アークの安定に最低限必要な時間であり、使用される溶接ワイヤの材質および直径ごとに、あらかじめ設定されている。
【0062】
本発明に係る溶接システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る溶接システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0063】
A1:溶接システム、1:制御装置、2:溶接電源装置、25:インバータ回路、27:電圧センサ、5:ワイヤ送給装置、7:散布装置