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特許7554616単独運転検出センサ、単独運転検出装置、分析装置、および、単独運転検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】単独運転検出センサ、単独運転検出装置、分析装置、および、単独運転検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240912BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/38 130
H02J3/38 110
H02M7/48 R
H02M7/48 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020159504
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052956
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】川本 哲裕
(72)【発明者】
【氏名】田村 亨
(72)【発明者】
【氏名】服部 将之
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200032(JP,A)
【文献】特開2002-199591(JP,A)
【文献】特開2017-229198(JP,A)
【文献】特開2012-231635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出値が第1判定条件に一致したか否かを判定する第1判定部と、
前記検出値が第2判定条件に一致したか否かを判定する第2判定部と、
前記検出値が第3判定条件に一致したか否かを判定する第3判定部と、
を備え、
前記第1判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化しなかったことであり、
前記第2判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記変化率が変化せず、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化したことであり、
前記第3判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記変化率が変化し、さらに、第3時間以降第4時間以前にも変化したことである、
ことを特徴とする単独運転検出センサ。
【請求項2】
前記検出部は、前記パワーコンディショナの出力電圧の周波数を前記検出値として検出する、
請求項1に記載の単独運転検出センサ。
【請求項3】
前記検出部は、前記検出値とは異なる第2の検出値をさらに検出し、
前記第1判定部は、前記検出値が前記第1判定条件に一致し、かつ、前記第2の検出値が第4判定条件に一致したか否かを判定し、
前記第2判定部は、前記検出値が前記第2判定条件に一致し、かつ、前記第2の検出値が第5判定条件に一致したか否かを判定し、
前記第3判定部は、前記検出値が前記第3判定条件に一致し、かつ、前記第2の検出値が第6判定条件に一致したか否かを判定し、
前記第4判定条件は、前記第2の検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記第2の検出値の第2変化率が変化し、その後、第3時間以降第4時間以前に前記第2変化率が変化しなかったことであり、
前記第5判定条件は、前記第2の検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記第2変化率が変化せず、その後、第3時間以降第4時間以前に前記第2変化率が変化したことであり、
前記第6判定条件は、前記第2の検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記第2変化率が変化し、さらに、第3時間以降第4時間以前にも変化したことである、
請求項1または2に記載の単独運転検出センサ。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれかに記載の単独運転検出センサと、
前記第1判定部が一致したと判定したか、前記第2判定部が一致したと判定したか、前記第3判定部が一致したと判定した場合に、単独運転状態であると判断する判断部と、
を備えることを特徴とする単独運転検出装置。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかに記載の単独運転検出センサと、
前記第1判定部による判定結果と、前記第2判定部による判定結果と、前記第3判定部による判定結果とに基づいて、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統での従来型能動的方式の単独運転検出装置および新型能動的方式の単独運転検出装置の配置状態を分析する分析部と、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項6】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化しなかったことである、
ことを特徴とする単独運転検出センサ。
【請求項7】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化せず、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化したことである、
ことを特徴とする単独運転検出センサ。
【請求項8】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、さらに、第3時間以降第4時間以前にも変化したことである、
ことを特徴とする単独運転検出センサ。
【請求項9】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した検出値が第1判定条件に一致したか否かを判定する第1判定工程と、
前記検出値が第2判定条件に一致したか否かを判定する第2判定工程と、
前記検出値が第3判定条件に一致したか否かを判定する第3判定工程と、
前記第1判定工程で一致したと判定されたか、前記第2判定工程で一致したと判定されたか、前記第3判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程と、
を備え、
前記第1判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化しなかったことであり、
前記第2判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記変化率が変化せず、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化したことであり、
前記第3判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記変化率が変化し、さらに、第3時間以降第4時間以前にも変化したことである、
ことを特徴とする単独運転検出方法。
【請求項10】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程と、
を備え、
前記判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化しなかったことである、
ことを特徴とする単独運転検出方法。
【請求項11】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程と、
を備え、
前記判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化せず、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化したことである、
ことを特徴とする単独運転検出方法。
【請求項12】
パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程と、
を備え、
前記判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、さらに、第3時間以降第4時間以前にも変化したことである、
ことを特徴とする単独運転検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単独運転検出センサ、単独運転検出装置、分析装置、および、単独運転検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散形電源を電力系統に接続する場合、パワーコンディショナは、単独運転を防止するための単独運転検出装置を備えている必要がある。単独運転とは、分散形電源が接続された配電系統が電力系統から切り離された場合に、分散形電源が配電系統の負荷に電力の供給を継続することである。単独運転検出装置は、単独運転を検出した場合、分散形電源を配電系統から切り離して、分散形電源から負荷への電力の供給を停止させる。単独運転の検出方法には受動方式と能動方式とがあり、様々な検出方法が開発されている。
【0003】
系統連系規程(JEAC 9701-2016)では、単独運転の能動方式の検出方法として、周波数シフト方式、スリップモード周波数シフト方式、無効電力変動方式、およびQCモード周波数シフト方式などが認められている。これらの方式は、従来型能動的方式と呼ばれている。系統連系規程では、従来型能動的方式の単独運転検出装置は、停電が発生して単独運転状態になった場合、0.5秒以上1秒以内(低圧配電線との連系の場合)にパワーコンディショナを配電系統から切り離すように定められている。また、系統連系規程では、従来型能動的方式より検出を高速化させた方式として、ステップ注入付き周波数フィードバック方式が認められている。当該方式は、新型能動的方式と呼ばれている。系統連系規程では、新型能動的方式の単独運転検出装置は、停電が発生して単独運転状態になった場合、パワーコンディショナを配電系統から瞬時に切り離すように定められており、一般的には、0.1秒以上0.2秒以内に切り離すように設定されている。これらの各方式は、配電系統に積極的に無効電力を代表とする能動信号を注入し、検出された周波数の変化に応じて単独運転を検出する。したがって、配電系統に多数の分散形電源が接続されている場合、配電系統には大量の無効電力が注入される。また、無効電力の注入量は、周波数偏差に応じて増加される。したがって、系統擾乱時に各分散形電源が無効電力の注入量を増加させることで、系統電圧が振動し、電圧フリッカ現象が発生する場合がある。
【0004】
電圧フリッカ現象の発生を抑制するための対策として、無効電力の注入量を抑制可能な単独運転検出装置が開発されている。例えば、特許文献1には、単独運転の可能性が低い場合に無効電力の注入量を抑制する単独運転検出装置が開示されている。また、特許文献2には、遅れ位相の無効電力と進み位相の無効電力とを交互に注入し、系統周波数の移動平均値の変化量の絶対値を積算した積算値に基づいて単独運転を検出することで、無効電力の注入量を低減しつつ、単独運転の誤検出や検出遅延を防止できる単独運転検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-93020号公報
【文献】特開2019-92328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に開示された単独運転検出装置は、注入量を抑制しているが、無効電力の注入を行っている。したがって、これらの単独運転検出装置を備えたパワーコンディショナを、配電系統に新たに接続した場合、配電系統に注入される無効電力は増加する。よって、単独運転検出装置を備えたパワーコンディショナがすでに多数接続されている配電系統に、このようなパワーコンディショナを接続した場合でも、電圧フリッカ現象を誘発することになる。
【0007】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、電圧フリッカ現象を誘発しない単独運転検出センサ、単独運転検出装置、分析装置、および、単独運転検出方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される単独運転検出センサは、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、前記検出部が検出した検出値が第1判定条件に一致したか否かを判定する第1判定部と、前記検出値が第2判定条件に一致したか否かを判定する第2判定部と、前記検出値が第3判定条件に一致したか否かを判定する第3判定部とを備え、前記第1判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された新型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に無効電力を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件であり、前記第2判定条件は、前記配電系統に配置された従来型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に能動信号を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件であり、前記第3判定条件は、前記配電系統に配置された前記新型能動的方式の単独運転検出装置と前記従来型能動的方式の単独運転検出装置とが当該配電系統に能動信号を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件であることを特徴とする。
【0010】
なお、「電気的な特性」には、電圧、電流、電力(有効電力、無効電力)、および周波数などが含まれる。また、所定の高調波成分の電圧、電流、電力、および周波数なども含まれる。また、「検出部が検出した検出値」には、電圧、電流、電力、および周波数などの大きさだけでなく、偏差(基準からの変化量)および変化率なども含まれる。また、「能動信号」は、単独運転検出装置が能動方式で単独運転を検出する際に配電系統に注入する信号であり、例えば、無効電力、有効電力などが含まれる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第1時間以降第2時間以前に前記検出値の変化率が変化し、その後、第3時間以降第4時間以前に前記変化率が変化しなかったことであり、前記第2判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第5時間以降第6時間以前に前記変化率が変化せず、その後、第7時間以降第8時間以前に前記変化率が変化したことであり、前記第3判定条件は、前記検出値が変化を開始してから第9時間以降第10時間以前に前記変化率が変化し、さらに、第11時間以降第12時間以前にも変化したことである。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記検出部は、前記パワーコンディショナの出力電圧の周波数を前記検出値として検出する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記検出部は、前記検出値とは異なる第2の検出値をさらに検出し、前記第1判定部は、前記検出値が前記第1判定条件に一致し、かつ、前記第2の検出値が第4判定条件に一致したか否かを判定し、前記第2判定部は、前記検出値が前記第2判定条件に一致し、かつ、前記第2の検出値が第5判定条件に一致したか否かを判定し、前記第3判定部は、前記検出値が前記第3判定条件に一致し、かつ、前記第2の検出値が第6判定条件に一致したか否かを判定する。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される単独運転検出装置は、本発明の第1の側面によって提供される単独運転検出センサと、前記第1判定部が一致したと判定したか、前記第2判定部が一致したと判定したか、前記第3判定部が一致したと判定した場合に、単独運転状態であると判断する判断部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の側面によって提供される分析装置は、本発明の第1の側面によって提供される単独運転検出センサと、前記第1判定部による判定結果と、前記第2判定部による判定結果と、前記第3判定部による判定結果とに基づいて、前記配電系統での前記従来型能動的方式の単独運転検出装置および前記新型能動的方式の単独運転検出装置の配置状態を分析する分析部とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の側面によって提供される単独運転検出センサは、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、前記検出部が検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定部とを備え、前記判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された新型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に無効電力を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件である。
【0017】
本発明の第5の側面によって提供される単独運転検出センサは、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、前記検出部が検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定部とを備え、前記判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された従来型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に無効電力を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件である。
【0018】
本発明の第6の側面によって提供される単独運転検出センサは、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出部と、前記検出部が検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定部とを備え、前記判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された新型能動的方式の単独運転検出装置と従来型能動的方式の単独運転検出装置とが当該配電系統に無効電力を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件である。
【0019】
本発明の第7の側面によって提供される単独運転検出方法は、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した検出値が第1判定条件に一致したか否かを判定する第1判定工程と、前記検出値が第2判定条件に一致したか否かを判定する第2判定工程と、前記検出値が第3判定条件に一致したか否かを判定する第3判定工程と、前記第1判定工程で一致したと判定されたか、前記第2判定工程で一致したと判定されたか、前記第3判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程とを備え、前記第1判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された新型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に無効電力を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件であり、前記第2判定条件は、前記配電系統に配置された従来型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に能動信号を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件であり、前記第3判定条件は、前記配電系統に配置された前記新型能動的方式の単独運転検出装置と前記従来型能動的方式の単独運転検出装置とが当該配電系統に能動信号を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第8の側面によって提供される単独運転検出方法は、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程とを備え、前記判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された新型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に無効電力を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件である。
【0021】
本発明の第9の側面によって提供される単独運転検出方法は、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程とを備え、前記判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された従来型能動的方式の単独運転検出装置だけが当該配電系統に能動信号を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件である。
【0022】
本発明の第10の側面によって提供される単独運転検出方法は、パワーコンディショナの出力に関する電気的な特性を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した検出値が判定条件に一致したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程で一致したと判定された場合に、単独運転状態であると判断する判断工程とを備え、前記判定条件は、前記パワーコンディショナが接続されている配電系統に配置された新型能動的方式の単独運転検出装置と従来型能動的方式の単独運転検出装置とが当該配電系統に能動信号を注入したことによって生じた前記電気的な特性の変化を判定するための条件である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、第1~第3判定部は、他の単独運転検出装置が配電系統に無効電力などの能動信号を注入したことによる配電系統での電気的な特性の変化を判定する。本発明に係る単独運転検出センサは、配電系統に無効電力を注入しないので、電圧フリッカ現象を誘発しない。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る単独運転検出装置を備えたパワーコンディショナを説明するためのブロック図であり、配電系統の全体構成を示している。
図2】パワーコンディショナの出力電圧の周波数の変化を示すタイムチャートであり、(a)は新型電源だけが接続された配電系統が停電状態になった場合を示し、(b)は従来型電源だけが接続された配電系統が停電状態になった場合を示し、(c)は従来型電源および新型電源の両方が接続された配電系統が停電状態になった場合を示している。
図3】パワーコンディショナの出力電圧の周波数の変化を示すタイムチャートであり、系統擾乱が発生した場合を示している。
図4】第1判定部が行う第1判定処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図5】(a)は第2判定部が行う第2判定処理を説明するためのフローチャートの一例であり、(b)は第3判定部が行う第3判定処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図6】第2実施形態に係る単独運転検出装置の内部構成を示すブロック図である。
図7】第3実施形態に係る単独運転検出装置の内部構成を示すブロック図である。
図8】第4実施形態に係る分析装置を備えたパワーコンディショナを説明するためのブロック図であり、配電系統の全体構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る単独運転検出装置を備えたパワーコンディショナを説明するためのブロック図であり、配電系統の全体構成を示している。
【0028】
パワーコンディショナ1は、直流電源Aが出力する直流電力を交流電力に変換して、接続している配電系統Cに出力する。パワーコンディショナ1および直流電源Aを合わせたものが分散形電源である。配電系統Cは、高圧配電系統であり、負荷L、従来型電源B1および新型電源B2が接続されている。負荷Lは、電力の供給を受ける需要家である。従来型電源B1は、従来型能動的方式の単独運転検出装置を有するパワーコンディショナを備えた分散形電源である。なお、本実施形態では、従来型電源B1の単独運転検出装置が、周波数シフト方式で単独運転を検出する場合を例として説明する。なお、従来型電源B1の単独運転検出装置の検出方式は限定されない。新型電源B2は、新型能動的方式の単独運転検出装置を有するパワーコンディショナを備えた分散形電源である。配電系統C(および変圧器を介して配電系統Cに接続された低圧配電系統)には、負荷L、従来型電源B1、および新型電源B2がそれぞれ複数ずつ接続されているが、図1においては、代表して1個ずつ記載している。配電系統Cは、遮断器を介して電力系統に接続されている。電力系統で事故が発生した場合などに、電力系統側に設けられた保護装置によって遮断器が開放されて、配電系統Cが電力系統から切り離される(停電状態)。これにより、電力系統から切り離された配電系統Cに接続しているパワーコンディショナ1が単独運転状態になる。
【0029】
直流電源Aは、直流電力を出力するものであり、例えば太陽電池を備えている。太陽電池は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換することで、直流電力を生成する。直流電源Aは、生成した直流電力を、パワーコンディショナ1に出力する。なお、直流電源Aは、太陽電池により直流電力を生成するものに限定されない。例えば、直流電源Aは、燃料電池または蓄電池などであってもよいし、ディーゼルエンジン発電機または風力タービン発電機などにより生成された交流電力を直流電力に変換して出力する装置であってもよい。
【0030】
パワーコンディショナ1は、インバータ装置2、単独運転検出装置3、連系用遮断器4、および電圧センサ5を備えている。パワーコンディショナ1は、連系用遮断器4を介して、配電系統Cに接続している。
【0031】
インバータ装置2は、直流電源Aから入力される直流電力を交流電力に変換して出力する。インバータ装置2は、例えば、図示しないインバータ回路、フィルタ回路、および制御回路を備えている。インバータ回路は、制御回路から入力されるPWM信号に基づいてスイッチング素子(図示しない)のオンとオフとを切り替えることで直流電力を交流電力に変換する。フィルタ回路は、スイッチングによる高周波成分を除去する。制御回路は、インバータ回路を制御する。制御回路は、インバータ装置2の出力電流を制御するPWM信号を生成して、インバータ回路に出力する。制御回路は、単独運転検出装置3から後述するゲートブロック信号を入力された場合、PWM信号の生成を停止する。この場合、インバータ回路はスイッチングを停止するので、インバータ装置2は、電力変換動作を停止する。なお、インバータ装置2の構成は限定されない。
【0032】
連系用遮断器4は、パワーコンディショナ1と配電系統Cとの接続を遮断する。連系用遮断器4は通常時は閉路されており、パワーコンディショナ1は配電系統Cに接続している。しかし、単独運転検出装置3から後述する開放指令が入力された場合、連系用遮断器4は開放され、パワーコンディショナ1が配電系統Cから切り離される。これにより、パワーコンディショナ1の単独運転状態が回避される。
【0033】
電圧センサ5は、パワーコンディショナ1の出力電圧を検出し、検出した電圧信号を単独運転検出装置3に入力する。なお、電圧センサ5は、インバータ装置2の制御用と兼用であってもよい。この場合、電圧センサ5は、検出した電圧信号をインバータ装置2の制御回路にも入力する。
【0034】
単独運転検出装置3は、パワーコンディショナ1の単独運転を検出する。単独運転検出装置3は、電圧センサ5から入力される電圧信号に基づいて単独運転を検出し、単独運転を検出した場合、パワーコンディショナ1を停止させて、配電系統Cから切り離す。単独運転検出装置3は、周波数検出部31、第1判定部32、第2判定部33、第3判定部34、判断部35、および停止処理部38を備えている。
【0035】
周波数検出部31は、パワーコンディショナ1の出力電圧の周波数fを検出する。周波数検出部31は、電圧センサ5から入力される電圧信号に基づいて、周波数fを検出する。周波数検出部31は、例えばゼロクロス点間カウント方式により周波数を検出する。ゼロクロス点間カウント方式は、交流電圧の瞬時値がゼロレベルを交差する点(ゼロクロス点)間の時間を計測し、計測された時間の逆数から周波数を検出する方法である。なお、周波数検出部31の周波数検出方法は限定されない。例えば、周波数検出部31は、乗算式PLL(Phase Locked Loop)を用いて周波数を検出してもよい。なお、本実施形態では、周波数検出部31は、微細な変動や検出誤差を排除するために、検出した周波数の所定時間の平均値を算出し、算出した平均値を周波数fとして出力する。周波数検出部31は、検出した周波数fを、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34に出力する。周波数検出部31が本発明の「検出部」に相当し、周波数fが本発明の「検出値」に相当する。
【0036】
第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、それぞれ、周波数検出部31から入力される周波数fがあらかじめ設定された判定条件に一致したか否かを判定する。単独運転が発生した場合、配電系統Cに接続された従来型電源B1および新型電源B2の単独運転検出装置は、注入する無効電力を増加させて配電系統Cの電圧の周波数(以下では、「系統周波数」とする)を変化させ、検出した周波数がしきい値を超えた場合に単独運転を検出する。単独運転検出装置3は、このときの系統周波数の変化パターンをとらえて、単独運転を検出する。ただし、従来型電源B1の単独運転検出装置と新型電源B2の単独運転検出装置とでは、系統連系規程で定められている停電発生から切り離しまでの期限が異なる。したがって、従来型電源B1および新型電源B2が、それぞれ、配電系統Cに接続されているか否かによって、系統周波数の変化パターンは異なる。第1判定部32には、配電系統Cに新型電源B2だけが接続されている場合の系統周波数の変化パターンであるか否かを判定するための条件が第1判定条件として設定されている。第2判定部33には、配電系統Cに従来型電源B1だけが接続されている場合の系統周波数の変化パターンであるか否かを判定するための条件が第2判定条件として設定されている。第3判定部34には、配電系統Cに新型電源B2および従来型電源B1の両方が接続されている場合の系統周波数の変化パターンであるか否かを判定するための条件が第3判定条件として設定されている。
【0037】
図2は、図1に示す配電系統Cが停電状態になって、パワーコンディショナ1が単独運転状態になったときの、出力電圧の周波数fの変化を示すタイムチャートである。横軸は、停電発生を0秒とし、その後の経過時間を示している。また、縦軸は周波数fを示している。なお、本明細書で参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0038】
図2(a)は、配電系統Cに、従来型電源B1が接続されておらず、新型電源B2だけが接続されている場合を示している。
【0039】
停電が発生すると配電系統Cの系統周波数が若干変化する。新型電源B2は、その周波数変化をとらえて無効電力を注入し、系統周波数を上昇または下降させる。図2(a)では、系統周波数が上昇した場合を示している。なお、図2(b)、(c)および図3でも、系統周波数が上昇する場合を示す。新型電源B2は、一般的に、停電から0.1秒以上0.2秒以内に単独運転を検出して配電系統Cから切り離される。したがって、停電発生から無効電力が急速に注入され、系統周波数は急速に上昇する。パワーコンディショナ1の出力電圧の周波数fは系統周波数に一致するので、図2(a)に示すように、周波数fは、停電発生(図2(a)の点a参照)から急速に上昇している。また、新型電源B2は、0.2秒以内に単独運転を検出して、無効電力の注入を停止するので、このとき、系統周波数の変化率は変化する。したがって、図2(a)に実線で示すように、周波数fは、経過時間が時間T1から時間T2までの間(図2(a)の点b参照)で、下降に転じている。本実施形態では、時間T1が0.1秒であり、時間T2が0.2秒であるが、時間T1および時間T2は限定されない。実験、シミュレーション結果、または、現地における調査結果などに基づいて、適宜設定される。なお、図2(a)に破線で示すように、周波数fの変化は様々で、点bから下降するのではなく上昇を継続する場合もある。しかし、いずれかの新型電源B2が無効電力の注入を停止したことで、周波数fの変化率Δfは小さくなる。そして、0.2秒までに、すべての新型電源B2が無効電力の注入を停止するので、その後、周波数fは、停電発生によって若干変化した周波数(無効電力が注入される前の周波数)まで戻る。
【0040】
図2(b)は、配電系統Cに、新型電源B2が接続されておらず、従来型電源B1だけが接続されている場合を示している。
【0041】
停電が発生すると配電系統Cの系統周波数が若干変化する。従来型電源B1は、その周波数変化をとらえて無効電力を注入し、系統周波数を上昇または下降させる。従来型電源B1は、停電から0.5秒以上1秒以内に単独運転を検出して配電系統Cから切り離される。したがって、停電発生から無効電力が注入され、系統周波数は上昇する。従来型電源B1による無効電力の注入は、新型電源B2と比較するとゆっくりなので、系統周波数も比較的にゆっくり上昇する。したがって、図2(b)に示すように、周波数fは、停電発生(図2(b)の点a参照)からゆっくり上昇している。また、従来型電源B1は、1秒以内に単独運転を検出して、無効電力の注入を停止するので、このとき、系統周波数の変化率は変化する。したがって、図2(b)に実線で示すように、周波数fは、経過時間が時間T3から時間T4までの間(図2(b)の点b参照)で、下降に転じている。本実施形態では、時間T3が0.5秒であり、時間T4が1秒であるが、時間T3および時間T4は限定されない。実験、シミュレーション結果、または、現地における調査結果などに基づいて、適宜設定される。なお、図2(b)に破線で示すように、周波数fの変化は様々で、点bから下降するのではなく上昇を継続する場合もある。しかし、いずれかの従来型電源B1が無効電力の注入を停止したことで、周波数fの変化率Δfは小さくなる。そして、1秒までに、すべての従来型電源B1が無効電力の注入を停止するので、その後、周波数fは、停電発生によって若干変化した周波数(無効電力が注入される前の周波数)まで戻る。
【0042】
図2(c)は、配電系統Cに、従来型電源B1および新型電源B2の両方が接続されている場合(図1参照)を示している。
【0043】
停電が発生すると配電系統Cの系統周波数が若干変化する。その周波数変化をとらえて、新型電源B2は急速に無効電力を注入し、従来型電源B1はゆっくり無効電力を注入する。これにより、系統周波数は、急速に上昇または下降する。したがって、図2(c)に示すように、周波数fは、停電発生(図2(c)の点a参照)から急速に上昇している。新型電源B2は、0.2秒以内に単独運転を検出して、無効電力の注入を停止するので、このとき、系統周波数の変化率は小さくなる。ただし、従来型電源B1は無効電力の注入を継続しているので、変化率の減少幅は限定的である。したがって、図2(c)に実線で示すように、周波数fは、経過時間が時間T1から時間T2までの間(図2(c)の点b参照)で、変化率Δfが小さくなっている。そして、従来型電源B1は、1秒以内に単独運転を検出して、無効電力の注入を停止するので、このときも、系統周波数の変化率は変化する。したがって、図2(c)に実線で示すように、周波数fは、経過時間が時間T3から時間T4までの間(図2(c)の点c参照)で、下降に転じている。なお、図2(c)に破線で示すように、周波数fの変化は様々で、点cから下降するのではなく上昇を継続する場合もある。しかし、いずれかの従来型電源B1が無効電力の注入を停止したことで、周波数fの変化率Δfは小さくなる。そして、1秒までに、すべての従来型電源B1が無効電力の注入を停止するので、その後、周波数fは、停電発生によって若干変化した周波数(無効電力が注入される前の周波数)まで戻る。
【0044】
第1判定部32は、周波数検出部31から入力される周波数fの変化パターンが、図2(a)に示す変化パターンであるか否かを判定する。具体的には、第1判定部32に設定された第1判定条件は、周波数fが変化を開始してから時間T1以降時間T2以前に、変化率Δfが変化し、その後、時間T3以降時間T4以前に変化率Δfが変化しなかったことである。変化率Δfは、周波数fの単位時間当たりの変化量である。周波数fは、例えば、周波数fの基準値f0を中心として設定された範囲(f0-f1≦f≦f0+f1)を超えたときに、変化を開始したと判断される。f1は、実験、シミュレーション結果、または、現地における調査結果などに基づいて、適切な値が設定される。また、変化率Δfは、例えば、直前の変化率xを中心として設定された範囲(x-Δx≦Δf≦x+Δx)を超えたときに、変化したと判断される。Δxは、実験、シミュレーション結果、または、現地における調査結果などに基づいて、適切な値が設定される。なお、周波数fの変化開始を判断する方法は限定されない。また、変化率Δfの変化を判断する方法は限定されない。第1判定部32は、周波数fが第1判定条件に一致したと判定した場合、例えばハイレベル信号である第1判定信号を判断部35に出力する。「時間T1」が本発明の「第1時間」に相当し、「時間T2」が本発明の「第2時間」に相当し、「時間T3」が本発明の「第3時間」に相当し、「時間T4」が本発明の「第4時間」に相当する。
【0045】
図4は、第1判定部32が行う第1判定処理を説明するためのフローチャートの一例である。第1判定処理は、周波数fの変化が第1判定条件に一致するか否かを判定する処理である。第1判定処理は、パワーコンディショナ1が配電系統Cに接続している状態で、インバータ装置2が電力変換動作を開始したときに実行される。
【0046】
まず、周波数検出部31によって検出された周波数fが取得され(S1)、周波数fが変化を開始したか否かが判別される(S2)。具体的には、周波数fが、基準値f0を中心として設定された範囲(f0-f1≦f≦f0+f1)に収まっているか否かが判別される。当該範囲に収まっている場合(S2:YES)、周波数fに変化がないと判断され、ステップS1に戻って、ステップS1、S2の処理が繰り返される。一方、当該範囲を超えた場合(S2:NO)、周波数fが変化を開始したと判断され、このときの変化率Δfが算出されて(S3)、変化率x1として設定され(S4)、経過時間Tの計時が開始される(S5)。
【0047】
次に、周波数fが取得されて(S6)、変化率Δfが算出され(S7)、変化率Δfが変化したか否かが判別される(S8)。具体的には、変化率Δfが、周波数fが変化を開始したときの変化率x1を中心として設定された範囲(x1-Δx≦Δf≦x1+Δx)に収まっているか否かが判別される。当該範囲に収まっている場合(S8:YES)、変化率Δfは変化していないと判断され、ステップS6に戻って、ステップS6~S8の処理が繰り返される。一方、当該範囲を超えた場合(S8:NO)、変化率Δfが変化したと判断され、ステップS9に進む。
【0048】
次に、このときの経過時間Tが、時間T1から時間T2までの間であるか否かが判別される(S9)。経過時間Tが時間T1から時間T2までの間でない場合(S9:NO)、第1条件に一致しなかったとして、第1判定処理は終了する。一方、経過時間Tが時間T1から時間T2までの間であった場合(S9:YES)、周波数fが取得されて(S10)、変化率Δfが算出され(S11)、変化率x2として設定される(S12)。次に、経過時間Tが、時間T3以上であるか否かが判別される(S13)。経過時間Tが時間T3未満の場合(S13:NO)、ステップS10に戻って、ステップS10~S13の処理が繰り返され、経過時間Tが時間T3以上の場合(S13:YES)、ステップS14に進む。つまり、経過時間Tが時間T3になるまで待機しつつ、変化率x2が最新の変化率Δfに更新される。
【0049】
次に、周波数fが取得されて(S14)、変化率Δfが算出され(S15)、変化率Δfが変化したか否かが判別される(S16)。具体的には、変化率Δfが、経過時間Tが時間T3になる直前の変化率x2を中心として設定された範囲(x2-Δx≦Δf≦x2+Δx)に収まっているか否かが判別される。当該範囲に収まっている場合(S16:YES)、変化率Δfは変化していないと判断され、経過時間Tが、時間T4以上であるか否かが判別される(S17)。経過時間Tが時間T4未満の場合(S17:NO)、ステップS14に戻って、ステップS14~S17の処理が繰り返される。ステップS16において、範囲を超えた場合(S16:NO)、時間T3から時間T4までの間でも変化率Δfが変化したと判断され、第1条件に一致しなかったとして、第1判定処理は終了する。一方、ステップS17において、経過時間Tが時間T4以上の場合(S17:YES)、時間T3から時間T4までの間では変化率Δfが変化しなかったと判断され、第1条件に一致したとして、第1判定信号が出力されて(S18)、第1判定処理は終了する。
【0050】
なお、図4のフローチャートに示す処理は一例であって、第1判定部32が行う第1判定処理は上述したものに限定されない。
【0051】
第2判定部33は、周波数検出部31から入力される周波数fの変化パターンが、図2(b)に示す変化パターンであるか否かを判定する。具体的には、第2判定部33に設定された第2判定条件は、周波数fが変化を開始してから時間T1以降時間T2以前に、変化率Δfが変化せず、その後、時間T3以降時間T4以前に変化率Δfが変化したことである。第2判定部33は、周波数fが第2判定条件に一致したと判定した場合、例えばハイレベル信号である第2判定信号を判断部35に出力する。「時間T1」が本発明の「第5時間」に相当し、「時間T2」が本発明の「第6時間」に相当し、「時間T3」が本発明の「第7時間」に相当し、「時間T4」が本発明の「第8時間」に相当する。なお、本実施形態では、第2判定部33の時間T1~T4が、それぞれ、第1判定部32の時間T1~T4と同じ時間である場合について説明しているが、第2判定部33では、第1判定部32とは異なる時間が設定されてもよい。
【0052】
図5(a)は、第2判定部33が行う第2判定処理を説明するためのフローチャートの一例である。第2判定処理は、周波数fの変化が第2判定条件に一致するか否かを判定する処理である。第2判定処理は、パワーコンディショナ1が配電系統Cに接続している状態で、インバータ装置2が電力変換動作を開始したときに実行される。
【0053】
ステップS1~S8までは、図4に示す第1判定処理と同様なので、説明を省略する。ステップS8において、変化率Δfが変化したと判別されて(S8:NO)、このときの経過時間Tが、時間T3から時間T4までの間であるか否かが判別される(S21)。経過時間Tが時間T3から時間T4までの間でない場合(S21:NO)、第2条件に一致しなかったとして、第2判定処理は終了する。一方、経過時間Tが時間T3から時間T4までの間であった場合(S21:YES)、第2条件に一致したと判断され、第2判定信号が出力されて(S22)、第2判定処理は終了する。
【0054】
なお、図5(a)のフローチャートに示す処理は一例であって、第2判定部33が行う第2判定処理は上述したものに限定されない。
【0055】
第3判定部34は、周波数検出部31から入力される周波数fの変化パターンが、図2(c)に示す変化パターンであるか否かを判定する。具体的には、第3判定部34に設定された第3判定条件は、周波数fが変化を開始してから時間T1以降時間T2以前に、変化率Δfが変化し、さらに、時間T3以降時間T4以前にも変化率Δfが変化したことである。第3判定部34は、周波数fが第3判定条件に一致したと判定した場合、例えばハイレベル信号である第3判定信号を判断部35に出力する。「時間T1」が本発明の「第9時間」に相当し、「時間T2」が本発明の「第10時間」に相当し、「時間T3」が本発明の「第11時間」に相当し、「時間T4」が本発明の「第12時間」に相当する。なお、本実施形態では、第3判定部34の時間T1~T4が、それぞれ、第1判定部32の時間T1~T4と同じ時間である場合について説明しているが、第3判定部34では第1判定部32とは異なる時間が設定されてもよい。
【0056】
図5(b)は、第3判定部34が行う第3判定処理を説明するためのフローチャートの一例である。第3判定処理は、周波数fの変化が第3判定条件に一致するか否かを判定する処理である。第3判定処理は、パワーコンディショナ1が配電系統Cに接続している状態で、インバータ装置2が電力変換動作を開始したときに実行される。
【0057】
ステップS1~S17までは、図4に示す第1判定処理と同様なので、説明を省略する。第3判定処理では、ステップS17において、経過時間Tが時間T4以上の場合(S17:YES)、時間T3から時間T4までの間では変化率Δfが変化しなかったと判断され、第3条件に一致しなかったとして、第3判定処理は終了する。一方、ステップS16において、範囲を超えた場合(S16:NO)、時間T3から時間T4までの間でも変化率Δfが変化したと判断され、第3条件に一致したとして、第3判定信号が出力されて(S31)、第3判定処理は終了する。
【0058】
なお、図5(b)のフローチャートに示す処理は一例であって、第3判定部34が行う第3判定処理は上述したものに限定されない。
【0059】
第1判定部32に設定される第1判定条件、第2判定部33に設定される第2判定条件、および、第3判定部34に設定される第3判定条件は、上述した条件に限定されない。第1判定条件は、図2(a)に示す変化パターンを検出できる条件であればよく、配電系統Cに新型電源B2だけが接続されている場合に単独運転が発生したと断定できる条件であればよい。第2判定条件は、図2(b)に示す変化パターンを検出できる条件であればよく、配電系統Cに従来型電源B1だけが接続されている場合に単独運転が発生したと断定できる条件であればよい。第3判定条件は、図2(c)に示す変化パターンを検出できる条件であればよく、配電系統Cに従来型電源B1および新型電源B2の両方が接続されている場合に単独運転が発生したと断定できる条件であればよい。例えば、第1~第3判定条件は、停電発生から変化率Δfが最初に変化するまで(図2の各図に示す点aから点bまで)の変化率x1の範囲を条件としてさらに追加してもよい。
【0060】
図3は、配電系統Cが停電状態になっていないが、系統擾乱が発生したときの、出力電圧の周波数fの変化を示すタイムチャートである。横軸は、系統擾乱の発生を0秒とし、その後の経過時間を示している。また、縦軸は周波数fを示している。図3は、配電系統Cに、従来型電源B1および新型電源B2が接続されている場合(図1参照)を示している。なお、配電系統Cに、従来型電源B1だけが接続されている場合、および、新型電源B2だけが接続されている場合も同様である。
【0061】
系統擾乱が発生した場合も配電系統Cの系統周波数が若干変化する。従来型電源B1および新型電源B2は、その周波数変化をとらえて無効電力を注入するが、停電していないので、周波数fは上昇しない。したがって、図3に実線で示すように、周波数fは、系統擾乱発生(図3の点a参照)からあまり変化しない。周波数fは、変化が小さいので、基準値f0を中心として設定された範囲(f0-f1≦f≦f0+f1)を超えず、変化を開始したと判断されない。第1~第3判定条件のいずれにも一致しないので、単独運転は検出されない。また、図3に破線で示すように、周波数fが当該範囲を超えるように変化した場合でも、従来型電源B1および新型電源B2による無効電力の注入は周波数fの変化に影響しないので、周波数fは、すぐに基準値f0に戻る。この場合、周波数fは、経過時間が時間T1になるまでに(図3の点b参照)下降に転じているので、第1~第3判定条件のいずれにも一致せず、単独運転は検出されない。
【0062】
判断部35は、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34での各判定結果に基づいて、単独運転状態であるか否かを判断する。判断部35は、第1判定部32から入力される信号、第2判定部33から入力される信号、および第3判定部34から入力される信号の論理和信号を生成して停止処理部38に出力する。したがって、判断部35は、第1判定部32から第1判定信号(ハイレベル信号)を入力されるか、第2判定部33から第2判定信号(ハイレベル信号)を入力されるか、第3判定部34から第3判定信号(ハイレベル信号)を入力された場合に、単独運転状態であるとして、ハイレベル信号である単独運転検出信号を停止処理部38に出力する。
【0063】
停止処理部38は、判断部35から単独運転検出信号を入力された場合に、パワーコンディショナ1の停止処理を行う。具体的には、停止処理部38は、インバータ装置2にゲートブロック信号を出力して、インバータ装置2の電力変換動作を停止させる。また、停止処理部38は、連系用遮断器4に開放指令を出力して、パワーコンディショナ1を配電系統Cから切り離させる。
【0064】
系統連系規程では、高圧配電系統に接続されたパワーコンディショナは、単独運転状態になった場合に3秒以内に切り離されるように定められている。第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、単独運転状態になって周波数fが変化を開始してから時間T4(例えば1秒)経過までに、それぞれ判定を行うことができる。判定により単独運転が検出されれば、すぐに、停止処理部38がパワーコンディショナ1の停止処理を行う。したがって、単独運転検出装置3は、配電系統Cに新型電源B2または従来型電源B1が接続されていれば、3秒以内にパワーコンディショナ1を配電系統Cから切り離すことができる。
【0065】
なお、単独運転検出装置3は、アナログ回路として実現してもよいし、ディジタル回路として実現してもよい。また、各部が行う処理をプログラムで設計し、当該プログラムを実行させることでコンピュータを単独運転検出装置3として機能させてもよい。また、当該プログラムを記録媒体に記録しておき、コンピュータに読み取らせるようにしてもよい。単独運転検出装置3のうち、周波数検出部31、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34を合わせたものが、本発明の「単独運転検出センサ」に相当する。
【0066】
次に、本実施形態に係る単独運転検出装置3の作用効果について説明する。
【0067】
本実施形態によると、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、他の単独運転検出装置が配電系統Cに無効電力を注入したことによる系統周波数の変化を判定する。そして、判断部35は、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34での各判定結果に基づいて、単独運転状態であるか否かを判断する。単独運転検出装置3は、配電系統Cに無効電力を注入しないので、電圧フリッカ現象を誘発しない。つまり、電圧フリッカ現象が発生していない配電系統Cであれば、単独運転検出装置3を備えるパワーコンディショナ1が多数追加された場合でも、電圧フリッカ現象は発生しない。また、電圧フリッカ現象が発生している配電系統Cに、単独運転検出装置3を備えるパワーコンディショナ1が多数追加された場合でも、電圧フリッカ現象を助長しない。
【0068】
また、本実施形態によると、単独運転検出装置3は、パワーコンディショナ1の出力電圧の周波数fに基づいて、単独運転を検出する。従来型電源B1および新型電源B2の単独運転検出装置は、単独運転を検出するために、周波数偏差に応じた無効電力を注入することで系統周波数をより変化させる。したがって、単独運転検出装置3は、適切に単独運転を検出できる。
【0069】
また、本実施形態によると、第1判定条件は、周波数fが変化を開始してから時間T1以降時間T2以前に変化率Δfが変化し、その後、時間T3以降時間T4以前に変化率Δfが変化しなかったことである。したがって、第1判定部32は、配電系統Cに新型電源B2だけが接続されている場合に単独運転が発生したことを適切に判定できる。第2判定条件は、周波数fが変化を開始してから時間T1以降時間T2以前に、変化率Δfが変化せず、その後、時間T3以降時間T4以前に変化率Δfが変化したことである。したがって、第2判定部33は、配電系統Cに従来型電源B1だけが接続されている場合に単独運転が発生したことを適切に判定できる。第3判定条件は、周波数fが変化を開始してから時間T1以降時間T2以前に、変化率Δfが変化し、さらに、時間T3以降時間T4以前にも変化率Δfが変化したことである。したがって、第3判定部34は、配電系統Cに新型電源B2および従来型電源B1の両方が接続されている場合に単独運転が発生したことを適切に判定できる。これにより、単独運転検出装置3は、配電系統Cに新型電源B2および従来型電源B1のいずれかが接続されている場合に、単独運転を適切に検出できる。
【0070】
なお、本実施形態においては、単独運転検出装置3は、周波数検出部31が検出した、パワーコンディショナ1の出力電圧の周波数fに基づいて、単独運転を検出する場合について説明したが、これに限られない。単独運転検出装置3は、パワーコンディショナ1の出力電流または出力電力の周波数を用いてもよい。また、単独運転検出装置3は、パワーコンディショナ1が出力する電圧、電流、および電力(有効電力、無効電力)などの電気的な特性に基づいて、単独運転を検出してもよい。また、3次、5次、7次などの所定の高調波成分の電圧、電流、電力、および周波数などに基づいて、単独運転を検出してもよい。また、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34で用いる検出値は、電圧、電流、電力、および周波数などの大きさを検出した検出値に限定されず、偏差(基準からの変化量)および変化率などであってもよい。第1判定部32に設定される第1判定条件、第2判定部33に設定される第2判定条件、第3判定部34に設定される第3判定条件は、用いる検出値に応じて、適宜設定される。
【0071】
〔第2実施形態〕
図6は、第2実施形態に係る単独運転検出装置の内部構成を示すブロック図である。同図において、第1実施形態に係る単独運転検出装置3(図1参照)と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0072】
本実施形態に係る単独運転検出装置3aは、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34が2種類の検出値を用いて判定を行う点で単独運転検出装置3と異なる。
【0073】
単独運転検出装置3aは、電圧検出部39をさらに備えている。電圧検出部39は、パワーコンディショナ1の出力電圧の電圧実効値vを検出する。電圧検出部39は、電圧センサ5から入力される電圧信号に基づいて、電圧実効値vを検出する。電圧検出部39は、検出した電圧実効値vを、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34に出力する。本実施形態では、電圧検出部39も本発明の「検出部」に相当し、電圧実効値vが本発明の「第2の検出値」に相当する。なお、電圧検出部39は、電圧の最大値または平均値などを検出してもよい。
【0074】
第2実施形態に係る第1判定部32は、周波数検出部31から入力される周波数f、および、電圧検出部39から入力される電圧実効値vに基づいて判定を行う。第1判定部32は、周波数判定部321、電圧判定部322、およびAND部323を備えている。周波数判定部321は、第1実施形態に係る第1判定部32と同様の機能ブロックであり、周波数検出部31から入力される周波数fが第1判定条件に一致したか否かを判定する。周波数判定部321は、周波数fが第1判定条件に一致したと判定した場合、ハイレベル信号である周波数判定信号をAND部323に出力する。
【0075】
電圧判定部322は、電圧検出部39から入力される電圧実効値vが第4判定条件に一致したか否かを判定する。第4判定条件は、電圧実効値vに基づいて、配電系統Cに新型電源B2だけが接続されている場合に単独運転が発生したと断定できる条件が設定されている。電圧判定部322は、電圧実効値vが第4判定条件に一致したと判定した場合、ハイレベル信号である電圧判定信号をAND部323に出力する。なお、第4判定条件は限定されない。
【0076】
AND部323は、周波数判定部321から入力される信号と電圧判定部322から入力される信号との論理積信号を生成して判断部35に出力する。したがって、AND部323は、周波数判定部321から周波数判定信号(ハイレベル信号)を入力され、電圧判定部322から電圧判定信号(ハイレベル信号)を入力された場合に、ハイレベル信号である第1判定信号を判断部35に出力する。つまり、第2実施形態に係る第1判定部32は、周波数fが第1判定条件に一致し、かつ、電圧実効値vが第4判定条件に一致したと判定した場合に、第1判定信号を判断部35に出力する。
【0077】
第2実施形態に係る第2判定部33は、周波数検出部31から入力される周波数f、および、電圧検出部39から入力される電圧実効値vに基づいて判定を行う。第2判定部33は、周波数判定部331、電圧判定部332、およびAND部333を備えている。周波数判定部331は、第1実施形態に係る第2判定部33と同様の機能ブロックであり、周波数検出部31から入力される周波数fが第2判定条件に一致したか否かを判定する。周波数判定部331は、周波数fが第2判定条件に一致したと判定した場合、ハイレベル信号である周波数判定信号をAND部333に出力する。
【0078】
電圧判定部332は、電圧検出部39から入力される電圧実効値vが第5判定条件に一致したか否かを判定する。第5判定条件は、電圧実効値vに基づいて、配電系統Cに従来型電源B1だけが接続されている場合に単独運転が発生したと断定できる条件が設定されている。電圧判定部332は、電圧実効値vが第5判定条件に一致したと判定した場合、ハイレベル信号である電圧判定信号をAND部333に出力する。なお、第5判定条件は限定されない。
【0079】
AND部333は、周波数判定部331から入力される信号と電圧判定部332から入力される信号との論理積信号を生成して判断部35に出力する。したがって、AND部333は、周波数判定部331から周波数判定信号(ハイレベル信号)を入力され、電圧判定部332から電圧判定信号(ハイレベル信号)を入力された場合に、ハイレベル信号である第2判定信号を判断部35に出力する。つまり、第2実施形態に係る第2判定部33は、周波数fが第2判定条件に一致し、かつ、電圧実効値vが第5判定条件に一致したと判定した場合に、第2判定信号を判断部35に出力する。
【0080】
第2実施形態に係る第3判定部34は、周波数検出部31から入力される周波数f、および、電圧検出部39から入力される電圧実効値vに基づいて判定を行う。第3判定部34は、周波数判定部341、電圧判定部342、およびAND部343を備えている。周波数判定部341は、第1実施形態に係る第3判定部34と同様の機能ブロックであり、周波数検出部31から入力される周波数fが第3判定条件に一致したか否かを判定する。周波数判定部341は、周波数fが第3判定条件に一致したと判定した場合、ハイレベル信号である周波数判定信号をAND部343に出力する。
【0081】
電圧判定部342は、電圧検出部39から入力される電圧実効値vが第6判定条件に一致したか否かを判定する。第6判定条件は、電圧実効値vに基づいて、配電系統Cに従来型電源B1および新型電源B2の両方が接続されている場合に単独運転が発生したと断定できる条件が設定されている。電圧判定部342は、電圧実効値vが第6判定条件に一致したと判定した場合、ハイレベル信号である電圧判定信号をAND部343に出力する。なお、第6判定条件は限定されない。
【0082】
AND部343は、周波数判定部341から入力される信号と電圧判定部342から入力される信号との論理積信号を生成して判断部35に出力する。したがって、AND部343は、周波数判定部341から周波数判定信号(ハイレベル信号)を入力され、電圧判定部342から電圧判定信号(ハイレベル信号)を入力された場合に、ハイレベル信号である第3判定信号を判断部35に出力する。つまり、第2実施形態に係る第3判定部34は、周波数fが第3判定条件に一致し、かつ、電圧実効値vが第6判定条件に一致したと判定した場合に、第3判定信号を判断部35に出力する。
【0083】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によると、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、周波数fに対する条件判定と電圧実効値vに対する条件判定とのAND条件で判定を行う。したがって、単独運転検出装置3aは、各判定条件の設定値を調整することで検出をより高速化しつつ、確実に単独運転を検出できる。
【0084】
なお、第1判定部32(第2判定部33,第3判定部34)は、AND部323(333,343)に代えて、周波数判定部321(331,341)から入力される信号と電圧判定部322(332,342)から入力される信号との論理和信号を生成するOR回路を備えてもよい。すなわち、第1判定部32(第2判定部33,第3判定部34)は、周波数fが第1判定条件(第2判定条件,第3判定条件)に一致したか、または、電圧実効値vが第4判定条件(第5判定条件,第6判定条件)に一致したと判定した場合に、第1判定信号(第2判定信号、第3判定信号)を判断部35に出力してもよい。
【0085】
また、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34が判定に用いる検出値は、周波数fおよび電圧実効値vの組み合わせに限定されない。また、第1判定部32と第2判定部33と第3判定部34とで、用いる検出値が異なってもよい。また、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、3種類以上の検出値に基づいて判定を行ってもよい。つまり、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、それぞれ、いずれの検出値を何種類用いて判定してもよい。
【0086】
〔第3実施形態〕
図7は、第3実施形態に係る単独運転検出装置の内部構成を示すブロック図である。同図において、第1実施形態に係る単独運転検出装置3(図1参照)と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0087】
本実施形態に係る単独運転検出装置3bは、第1判定部32、第2判定部33、および判断部35を備えていない点で単独運転検出装置3と異なる。
【0088】
第1実施形態においては、単独運転検出装置3が第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34を備えて、周波数fの変化パターンが第1~第3判定条件のいずれかに一致した場合に、単独運転を検出する場合について説明した。しかし、配電系統Cに新型電源B2および従来型電源B1の両方が接続されていることがあらかじめ判っている場合、第1判定部32および第2判定部33での判定は不要であり、第3判定部34での判定だけで足りる。本実施形態に係る単独運転検出装置3bは、配電系統Cに新型電源B2および従来型電源B1の両方が接続されていることがあらかじめ判っている場合に用いられ、第3判定部34での判定だけを行うものである。
【0089】
単独運転検出装置3bは、第1判定部32、第2判定部33、および判断部35を備えていない。周波数検出部31、第3判定部34、および停止処理部38は、第1実施形態に係る周波数検出部31、第3判定部34、および停止処理部38と同様のものである。本実施形態に係る第3判定部34は、周波数fが第3判定条件に一致したと判定した場合、第3判定信号を単独運転検出信号として、停止処理部38に出力する。
【0090】
本実施形態によると、第3判定部34は、他の単独運転検出装置が配電系統Cに無効電力を注入したことによる系統周波数の変化を判定し、単独運転状態であるか否かを判断する。単独運転検出装置3bは、配電系統Cに無効電力を注入しないので、電圧フリッカ現象を誘発しない。つまり、電圧フリッカ現象が発生していない配電系統Cであれば、単独運転検出装置3bを備えるパワーコンディショナ1が多数追加された場合でも、電圧フリッカ現象は発生しない。また、電圧フリッカ現象が発生している配電系統Cに、単独運転検出装置3bを備えるパワーコンディショナ1が多数追加された場合でも、電圧フリッカ現象を助長しない。
【0091】
なお、本実施形態においては、単独運転検出装置3bが第3判定部34での判定だけを行う場合について説明したが、これに限られない。配電系統Cに従来型電源B1が接続されておらず、新型電源B2だけが接続されていることがあらかじめ判っている場合、単独運転検出装置3bは、第3判定部34に代えて第1判定部32を備えて、第1判定部32での判定だけを行えばよい。また、配電系統Cに新型電源B2が接続されておらず、従来型電源B1だけが接続されていることがあらかじめ判っている場合、単独運転検出装置3bは、第3判定部34に代えて第2判定部33を備えて、第2判定部33での判定だけを行えばよい。
【0092】
また、配電系統Cに従来型電源B1が接続されていることがあらかじめ判っており、新型電源B2が接続されているか否か不明である場合、第1実施形態に係る単独運転検出装置3において第1判定部32を備えない構成としてもよい。この場合、判断部35が第2判定部33および第3判定部34での各判定結果に基づいて単独運転状態であるか否かを判断する。また、配電系統Cに新型電源B2が接続されていることがあらかじめ判っており、従来型電源B1が接続されているか否か不明である場合、第1実施形態に係る単独運転検出装置3において第2判定部33を備えない構成としてもよい。この場合、判断部35が第1判定部32および第3判定部34での各判定結果に基づいて単独運転状態であるか否かを判断する。また、配電系統Cに従来型電源B1または新型電源B2のどちらかしか接続されていないことがあらかじめ判っている場合、第1実施形態に係る単独運転検出装置3において第3判定部34を備えない構成としてもよい。この場合、判断部35が第1判定部32および第2判定部33での各判定結果に基づいて単独運転状態であるか否かを判断する。
【0093】
〔第4実施形態〕
図8は、第4実施形態に係る分析装置を備えたパワーコンディショナを説明するためのブロック図であり、配電系統Cの全体構成を示している。同図において、第1実施形態に係るパワーコンディショナ(図1参照)と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0094】
本実施形態に係る分析装置3cは、パワーコンディショナ1に備えられており、単独運転が発生したときに、配電系統Cにおける、従来型電源B1および新型電源B2の配置状態を分析する。分析装置3cは、周波数検出部31、第1判定部32、第2判定部33、第3判定部34、分析部36、および表示部37を備えている。周波数検出部31、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、第1実施形態に係る単独運転検出装置3の周波数検出部31、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34と同様である。分析装置3cのうち、周波数検出部31、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34を合わせたものが、本発明の「単独運転検出センサ」に相当する。
【0095】
分析部36は、第1判定部32による判定結果と、第2判定部33による判定結果と、第3判定部34による判定結果とに基づいて、配電系統Cにおける、従来型電源B1および新型電源B2の配置状態、すなわち、従来型能動的方式の単独運転検出装置および新型能動的方式の単独運転検出装置の配置状態を分析する。分析部36は、第1判定部32から第1判定信号を入力された場合、配電系統Cに新型電源B2だけが接続されていると分析し、第2判定部33から第2判定信号を入力された場合、配電系統Cに従来型電源B1だけが接続されていると分析する。また、分析部36は、第3判定部34から第3判定信号を入力された場合、配電系統Cに従来型電源B1および新型電源B2の両方が接続されていると分析する。分析部36は、分析結果を表示部37に出力する。
【0096】
なお、分析部36は、第3判定部34から第3判定信号を入力された場合、さらに、従来型電源B1の合計容量と新型電源B2の合計容量との比率を算出してもよい。従来型電源B1の合計容量に対して新型電源B2の合計容量の割合が大きいほど、図2(c)に示すタイムチャートにおいて、停電発生(点a)から時間T1-時間T2間の最初に変化率Δfが変化するとき(点b)までの変化率x1が大きくなり、また、時間T2(すべての新型電源B2が無効電力の注入を停止した後)での変化率Δfが小さくなる。分析部36は、これらの傾向に基づいて、従来型電源B1の合計容量と新型電源B2の合計容量との比率を算出できる。なお、当該比率の算出方法は限定されない。また、分析部36は、当該比率の算出を行わなくてもよい。
【0097】
表示部37は、ディスプレイを備えており、分析部36から入力される分析結果を、当該ディスプレイに表示する。
【0098】
本実施形態によると、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34は、他の単独運転検出装置が配電系統Cに無効電力を注入したことによる系統周波数の変化を判定する。そして、分析部36は、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34での各判定結果に基づいて、配電系統Cにおける、従来型電源B1および新型電源B2の配置状態を分析する。分析装置3cは、配電系統Cに無効電力を注入しないので、電圧フリッカ現象を誘発しない。つまり、電圧フリッカ現象が発生していない配電系統Cであれば、分析装置3cが多数追加された場合でも、電圧フリッカ現象は発生しない。また、電圧フリッカ現象が発生している配電系統Cに、分析装置3cが多数追加された場合でも、電圧フリッカ現象を助長しない
【0099】
なお、本実施形態では、パワーコンディショナ1が、単独運転検出装置3と分析装置3cとを備える場合について説明したが、これに限られない。単独運転検出装置3が、分析部36および表示部37を備えて、分析装置3cとして機能してもよい。また、分析装置3cは、パワーコンディショナ1に備えられず、電圧センサ5とともに、単独で配電系統Cに配置されてもよい。
【0100】
また、本実施形態では、分析装置3cが、第1判定部32、第2判定部33、および第3判定部34を備える場合について説明したが、これに限られない。第3実施形態の場合と同様に、配電系統Cに新型電源B2および従来型電源B1の両方が接続されていることがあらかじめ判っている場合、分析装置3cは、第1判定部32および第2判定部33を備えず、第3判定部34での判定だけを行ってもよい。この場合、分析部36は、配電系統C全体の合計容量に対する新型電源B2の合計容量の接続割合、および、配電系統C全体の合計容量に対する従来型電源B1の合計容量の接続割合を算出してもよい。新型電源B2(従来型電源B1)の接続割合が小さいほど新型電源B2(従来型電源B1)からの無効電力の注入量の割合が小さくなるので、周波数の変化率Δfも小さくなる。したがって、分析部36は、時間0から時間T1での変化率Δfの大きさに基づいて、新型電源B2の接続割合を算出できる。同様に、分析部36は、時間T2から時間T3での変化率Δfの大きさに基づいて、従来型電源B1の接続割合を算出できる。なお、接続割合の算出方法は限定されない。また、分析部36は、これらの接続割合の算出を行わなくてもよい。また、配電系統Cに従来型電源B1が接続されておらず、新型電源B2だけが接続されていることがあらかじめ判っている場合、分析装置3cは、第2判定部33および第3判定部34を備えず、第1判定部32での判定だけを行ってもよい。この場合、分析部36は、配電系統C全体の合計容量に対する新型電源B2の合計容量の接続割合を算出してもよい。なお、接続割合の算出方法は限定されない。また、分析部36は、接続割合の算出を行わなくてもよい。また、配電系統Cに新型電源B2が接続されておらず、従来型電源B1だけが接続されていることがあらかじめ判っている場合、分析装置3cは、第1判定部32および第3判定部34を備えず、第2判定部33での判定だけを行ってもよい。この場合、分析部36は、配電系統C全体の合計容量に対する従来型電源B1の合計容量の接続割合を算出してもよい。なお、接続割合の算出方法は限定されない。また、分析部36は、接続割合の算出を行わなくてもよい。
【0101】
また、分析装置3cは、配電系統Cにおける従来型電源B1の接続の有無だけを確認するために、第1判定部32を備えず、第2判定部33および第3判定部34での各判定だけを行なってもよい。また、分析装置3cは、配電系統Cにおける新型電源B2の接続の有無だけを確認するために第2判定部33を備えず、第1判定部32および第3判定部34での各判定だけを行なってもよい。また、配電系統Cに従来型電源B1または新型電源B2のどちらかしか接続されていないことがあらかじめ判っている場合、分析装置3cは、第3判定部34を備えず、第1判定部32および第2判定部33での各判定だけを行なってもよい。この場合、分析部36は、配電系統C全体の合計容量に対する従来型電源B1の合計容量の接続割合、または、配電系統C全体の合計容量に対する新型電源B2の合計容量の接続割合を算出してもよい。なお、接続割合の算出方法は限定されない。また、分析部36は、接続割合の算出を行わなくてもよい。
【0102】
本発明に係る単独運転検出センサ、単独運転検出装置、分析装置、および、単独運転検出方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る単独運転検出センサ、単独運転検出装置、分析装置、および、単独運転検出方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0103】
1:パワーコンディショナ、3,3a:単独運転検出装置、3c:分析装置、31:周波数検出部、32:第1判定部、33:第2判定部、34:第3判定部、35:判断部、36:分析部、39:電圧検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8