(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20240912BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E04H1/02
F24F7/007 B
(21)【出願番号】P 2020161594
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
(72)【発明者】
【氏名】西野 優希
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-233589(JP,A)
【文献】特開2006-132842(JP,A)
【文献】登録実用新案第3178340(JP,U)
【文献】特開2005-097981(JP,A)
【文献】鳥海吉弘ほか,住宅における換気によるウイルス感染対策について,一般社団法人 日本建築学会 換気・通風による感染対策WG,2020年08月19日,http://news-sv.aij.or.jp/kankyo/s7/House_vent_1.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02-1/04
E04B 1/70,1/76
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の空気を屋外に排気するための排気口が設けられた
、少なくともトイレを含む水廻り室と、
前記水廻り室に隣接して配置された居室と、
前記水廻り室および前記居室のそれぞれに設けられた第1および第2の出入口と、
前記水廻り室と前記居室とを仕切る間仕切壁に設けられ、通常時に閉鎖され、隔離時にのみ開放可能
であり、隔離時において前記居室から前記水廻り室へ向かう空気の流路が形成される第3の出入口と、
隔離時において、前記第2の出入口を介した前記居室への入室前に、クリーンアップモードを作動させるための指示入力手段と、
前記指示入力手段によりクリーンアップモードが指示された場合に、前記排気口からの排気量を増加させて前記居室の気圧を負圧にすることにより、前記居室内の汚染空気を、前記第3の出入口を介して前記水廻り室から屋外に強制排気する制御手段とを備える、住宅。
【請求項2】
前記第3の出入口には、開閉可能な扉が設けられ、
前記排気口の排気ファンの作動により、通常時においても、前記居室から当該扉の隙間を介して前記水廻り室へ向かう空気の流路が形成されている、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記第1の出入口に設けられた扉の隙間が封止可能に構成されており、
前記制御手段は、クリーンアップモードが指示された場合に、前記第1の出入口の扉の隙間
が封止
された状態で、前記排気口の排気ファンを強運転する、請求項1または2に記載の住宅。
【請求項4】
前記居室には、外部の空気を常時取り入れるための給気口が設けられており、
前記制御手段は、クリーンアップモードが指示された場合に、前記給気口を介した前記居室への給気を停止する、請求項1~3のいずれかに記載の住宅。
【請求項5】
前記第1の出入口および前記第2の出入口のうち少なくとも一方の扉は、隔離時において空気の逆流を防止するシャッター付き扉により構成されている、請求項1~4のいずれかに記載の住宅。
【請求項6】
隔離時において、前記居室には、前記第2の出入口に面する領域と、前記第3の出入口に面する領域とを区画するための仕切り部材が配置されている、請求項1~5のいずれかに記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関し、特に、ウィルス感染者を隔離可能な住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関においては、ウィルス感染者を隔離するために、特開2001-182977号公報(特許文献1)に示されるようなクリーンブースを用いたり、フロア内を汚染区域と清潔区域とにゾーニングしたりすることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
限られた居住面積の住宅においては、ウィルス感染者を隔離する専用スペースを確保することは難しい。そのため、家庭内感染のリスクが非常に高くなってしまう。
【0005】
また、今般、テレワークが急速に普及しており、住宅内にテレワークスペースを確保したいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、居住空間を有効利用しながら、家庭内感染のリスクを低下させることのできる住宅を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従う住宅は、内部の空気を屋外に排気するための排気口が設けられた水廻り室と、水廻り室に隣接して配置された居室と、水廻り室および居室のそれぞれに設けられた第1および第2の出入口と、水廻り室と居室とを仕切る間仕切壁に設けられ、通常時に閉鎖され、隔離時にのみ開放可能な第3の出入口とを備える。また、隔離時において、第2の出入口を介した居室への入室前に、クリーンアップモードを作動させるための指示入力手段と、指示入力手段によりクリーンアップモードが指示された場合に、排気口からの排気量を増加させて居室の気圧を負圧にすることにより、居室内の汚染空気を、第3の出入口を介して水廻り室から屋外に強制排気する制御手段とを備える。
【0008】
好ましくは、第3の出入口には、開閉可能な扉が設けられ、排気口の排気ファンの作動により、通常時においても、居室から当該扉の隙間を介して水廻り室へ向かう空気の流路が形成される。
【0009】
好ましくは、制御手段は、クリーンアップモードが指示された場合に、第1の出入口の扉の隙間を封止した状態で、排気口の排気ファンを強運転する。
【0010】
好ましくは、居室には、外部の空気を常時取り入れるための給気口が設けられており、制御手段は、クリーンアップモードが指示された場合に、給気口を介した居室への給気を停止する。
【0011】
好ましくは、第1の出入口および第2の出入口のうち少なくとも一方の扉は、隔離時において空気の逆流を防止するシャッター付き扉により構成されている。
【0012】
また、隔離時において、居室には、第2の出入口に面する領域と、第3の出入口に面する領域とを区画するための仕切り部材が配置されることも望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、居住空間を有効利用しながら、家庭内感染のリスクを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る住宅の間取りの一部を示す平面図であり、(A)は通常時の使用状態、(B)は隔離時の使用状態を模式的に示す図である。
【
図2】隔離時におけるクリーンアップ処理を示すフローチャートである。
【
図3】隔離時におけるクリーンアップモードの際の空気の流れを模式的に示す平面図である。
【
図4】(A)は、隔離時における居室のゾーニング例を模式的に示す平面図であり、(B)は、仕切り部材に一体的に取り付けられたダスト収容部を模式的に示す図である。
【
図5】隔離時における居室の他のゾーニング例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
(概略構成について)
はじめに、
図1を参照して、本実施の形態に係る住宅1の概略構成について説明する。
図1は、住宅1の間取りの一部を示す平面図である。なお、「通常時」とは、家庭内にウィルス感染者がいない場合を表わし、「隔離時」とは、家庭内にウィルス感染者または感染疑いの者がいる場合を表わしている。
図1(A),(B)では、通常時および隔離時のそれぞれにおいて、閉鎖状態(開閉不可状態)とされる扉をハッチングで示している。
【0017】
住宅1は、同一フロアにおいて互いに隣接して配置された水廻り室2と居室3とを備えている。つまり、水廻り室2と居室3とは、間仕切り壁43によって仕切られている。水廻り室2および居室3は、たとえば廊下9に面して配置されている。住宅1は、典型的には戸建て住宅であり、水廻り室2、居室3、および廊下9の他、リビングなどの他の居室を備え、好ましくは、たとえば別フロアに配置された他の水廻り室(図示せず)をさらに備えている。
【0018】
水廻り室2は、廊下9から出入り可能な出入口(第1の出入口)51を有している。居室3もまた、廊下9から出入り可能な出入口(第2の出入口)52を有している。つまり、出入口51は、水廻り室2と廊下9との間の壁41に設けられ、出入口52は、居室3と廊下9との間の壁42に設けられている。出入口51,52には、それぞれ開閉可能な扉61,62が設けられている。扉61,62は、上下方向に延びる回転軸を中心として開閉する開閉扉であってもよいし、引き戸であってもよい。
【0019】
水廻り室2は、少なくともトイレ21を含み、望ましくは洗面台22をさらに含む。また、シャワー設備(図示せず)をさらに含んでいてもよい。水廻り室2には、内部の空気を屋外に排気するための排気口23が設けられている。排気口23は、たとえば、間仕切り壁43に対面する壁(外壁)44に設けられている。
【0020】
居室3は、たとえば4~6畳程度の個室である。居室3には、外部(屋外)の空気を常時取り入れるための給気口31が設けられている。給気口31は、典型的には居室3の天井に設けられている。なお、給気口31は、たとえば、出入口52の近傍に設けられている。
【0021】
上記のように、水廻り室2と居室3とは各々独立して設けられているため、
図1(A)に示されるように、通常時において、居室3をテレワーク専用スペースとすることができる。
図1(A)には、通常時に、居室3内に机32および椅子33が配置された例が示されている。
【0022】
一方、隔離時には、感染者が、廊下9に出なくても水廻り室2を利用可能とすることにより、居室3を隔離スペースとすることができるようになっている。具体的には、水廻り室2と居室3とを仕切る間仕切り壁43に、通常時に閉鎖され、隔離時にのみ開放可能な出入口(第3の出入口)53が設けられている。
図1(B)には、隔離時に、居室3内にベッド34が配置された例が示されている。通常時に用いられる机32を、壁付けタイプの折り畳み机などにすることにより、居室3内に容易に寝具エリアを確保できるようにしてもよい。
【0023】
本実施の形態では、間仕切り壁43の出入口53に、たとえば引き戸などの扉63が設けられている。扉63は、通常時には、
図1(A)においてハッチングで示すように、施錠等により開放不可とされ、隔離時には開放可能とされる。なお、通常時においても、扉63の隙間(間仕切り壁43、床、または天井との隙間)を介して水廻り室2と居室3とが通気されていてもよい。
【0024】
この扉63は、通常時に隠される隠し扉であってもよい。この場合、通常時には扉63の存在が分からないので、居室3を一般的な個室として使用できる。一例として、扉63の表面の色または模様を、間仕切り壁43のクロスの色または模様と同一にしてもよい。
【0025】
隔離時には、間仕切り壁43の扉63を開放可能とする一方で、
図1(B)においてハッチングで示すように、水廻り室2の廊下9側の扉61(以下、「水廻り室2の正面扉61」という)を、施錠等により開放不可とすることが望ましい。これにより、居室3および水廻り室2を一体的な隔離空間10とすることができる。なお、看護者(同居人)によって感染者への物資の供給および排出を行う必要があるため、居室3の廊下9側の扉62(以下、「居室3の正面扉62」という)は開放可能のままとされる。
【0026】
(通常時の室内換気)
図1(A)を参照して、通常時における室内換気方法について説明する。
【0027】
水廻り室2は、一般的に、正面扉61の隙間(壁41、床、または天井との隙間)を介して取り込まれる廊下9の空気が(矢印F1)、排気口23から排気されることによって換気されるようになっている。排気口23には、排気ファン23aが設けられており、排気ファン23aの運転により、水廻り室2の換気が促進される。
【0028】
本実施の形態のように、水廻り室2と居室3との間の間仕切り壁43に開閉可能な扉63が設けられている場合、扉63の隙間を介して水廻り室2から居室3に空気が逆流することを防止するために、排気口23に設けられた排気ファン23aが常時運転されていることが望ましい。排気ファン23aの運転/停止は、換気制御部23bによって制御される。換気制御部23bは、排気ファン23aとともに換気装置(換気扇)を構成する。
【0029】
そのため、居室3は、給気口31から給気された空気が、扉63の隙間を介して水廻り室2へと流れて(矢印F2)、排気口23から屋外に排気される。つまり、排気ファン23aの作動により、通常時においても、居室3から扉63の隙間を介して水廻り室2へ向かう空気の流路が形成されている。通常時における排気ファン23aの運転強度は、基本的に一定(「弱」)である。
【0030】
このように、通常時においても居室3内の空気が水廻り室2から排気される空気の流路が形成されているため、居室3の正面扉62が後述するようなシャッター付き扉で構成されている場合には、通常時に、居室3の正面扉62の隙間(壁42、床、または天井との隙間)を封止してもよい。これにより、居室3の防音性を向上させることができるので、居室3でのテレワーク作業を集中して行うことができる。
【0031】
(隔離時の室内換気)
図1(B)を参照して、隔離時における基本の室内換気方法について説明する。
【0032】
隔離時における室内換気方法は、基本的に、通常時と同様である。すなわち、隔離時においても、基本的には、排気ファン23aを運転(弱運転)することにより、間仕切り壁43の扉63の隙間を介して居室3から水廻り室2へと向かう、一つの流路だけが形成される(矢印F3)。つまり、居室3は、給気口31から給気された空気が、扉63の隙間から水廻り室2に排気されることにより換気され、水廻り室2は、扉63の隙間から送り込まれた空気が、排気口23から屋外に排気されることにより換気される。これにより、隔離空間10の汚染空気が廊下9へ漏れ出すことを防止できる。
【0033】
一方で、隔離時においても、感染者への物資の供給・搬出を行うために、居室3の正面扉62を開放しなくてはならない場合がある。正面扉62を開放すると、隔離空間10の汚染空気が廊下9に漏れ出したり、看護者が汚染空気に触れることにより、家庭内感染のリスクが高まる可能性がある。
【0034】
そこで、本実施の形態では、看護者の入室前に、居室3内の汚染空気をクリーンアップする「クリーンアップモード」を選択できるようにしている。具体的には、たとえば居室3の廊下9側の壁42に、操作パネルやスイッチなどの操作部71を設け、ユーザ(看護者)によるクリーンアップモードの作動指示を入力可能としている。操作部71は、隔離時において、出入口52を介した居室3への入室前にクリーンアップモードを作動させるための指示入力手段である。
【0035】
なお、隔離時に、隔離空間10(水廻り室2および居室3)から廊下9への空気の逆流(漏れ)をより確実に防止するために、水廻り室2の正面扉61および居室3の正面扉62は、通気口となる隙間を塞ぐことのできるシャッター付き扉により構成されていることが望ましい。なお、居室3の正面扉62は、通常の扉であってもよい。
【0036】
(クリーンアップモード)
図2および
図3を参照して、隔離時におけるクリーンアップモードについて説明する。
図2は、クリーンアップモードが指示された場合のクリーンアップ処理を示すフローチャートであり、
図3は、クリーンアップモードの際の空気の流れを模式的に示す図である。クリーンアップ処理は、制御装置70(
図3)によって実行される。制御装置70は、プロセッサおよびメモリを備えたコンピュータである。
【0037】
図2および
図3を参照して、操作部71を介してユーザ(看護者)によりクリーンアップモードの作動指示が入力されると、制御装置70は、居室3の正面扉62を施錠し(ステップS1)、給気口31を閉じる(ステップS2)。これにより、給気口31を介した居室3への給気が停止される。なお、居室3の正面扉62がシャッター付き扉である場合には、正面扉62を施錠すると同時に、正面扉62の隙間を封止しておくことが望ましい。
【0038】
次に、制御装置70は、排気口23からの排気量を増加させ(ステップS3)、居室3(隔離空間10)の気圧を負圧にする。すなわち、換気制御部23bを制御して、排気ファン23aの運転強度を「弱」から「強」に変更させる。このように、排気ファン23aを強運転することにより、居室3内の汚染空気を、間仕切り壁43の扉63の隙間を介して(矢印F4)、水廻り室2から強制排気することができる。
【0039】
また、制御装置70は、居室3の出入口52付近に設けられたUV殺菌灯72を作動して、出入口52付近を除菌する(ステップS4)。
【0040】
看護者が居室3に入出する前に、上記のクリーンアップ処理を自動的に実行することにより、家庭内感染を抑制または防止することができる。また、クリーンアップ処理を入出前に限定することにより、排気量の増加頻度および殺菌頻度を最小化することができるので、電気エネルギーの増大を抑制することができる。
【0041】
なお、居室3内の出入口51近傍に、物資の供給・搬出専用のボックスを設けることにより、感染リスクをさらに低下させるようにしてもよい。
【0042】
また、居室3内をゾーニング(区画分け)することにより、感染リスクをさらに低下させるようにしてもよい。ゾーニングに用いられる仕切り部材としては、パネル状のパーティション、布カーテン、または、エアカーテンなどが採用可能である。このような場合、仕切り部材を取り付けるための取り付け部材が、居室3の壁や天井に予め固定されていることが望ましい。居室3のゾーニング例について、以下に説明する。
【0043】
(ゾーニング例)
図4(A)は、居室3のゾーニング例を模式的に示す平面図である。
図4(A)に示される例では、居室3の出入口52に面する領域R2と、間仕切り壁43の出入口53に面する領域R1とを区画する第1の仕切り部材81が設置されている。第1の仕切り部材81は、間仕切り壁43とそれに対面する壁(以下「側壁」という)45との間を、廊下9側の壁42と略平行に配置されている。領域R1には、ベッド34等の寝具が配置されており、水廻り室2とともに汚染区域101を構成する。領域R2は、看護者が物資の受け渡しを行うための受け渡し区域102を構成する。これにより、看護者は汚染区域101(領域R1)に入らなくて済むため、感染リスクを低下させることができる。
【0044】
受け渡し区域102を構成する領域R2はさらに、第2の仕切り部材82によって2つの領域R3,R4に区画されていてもよい。第2の仕切り部材82は、第1の仕切り部材81に交差(直交)して配置されている。居室3の出入口52は、水廻り室2から遠い位置(間仕切り壁43に対面する側壁45側)に設けられているため、居室3の出入口52側の領域R3を、感染者が立ち入ることのできない一般区域とし、間仕切り壁43側の領域R4を、感染者が物資の受け取りや廃棄物の排出を行うために立ち入ることのできる管理区域とすることができる。
図4(A)では、感染者の領域R1からの動線が両矢印で概念的に示されている。
【0045】
これにより、居室3の出入口52に面する一般区域(領域R3)の空気の汚染度を低くすることができるので、感染リスクをより効果的に低減できる。この場合、一例として、給気口31は一般区域(領域R3)に配置され、殺菌灯72が管理区域(領域R4)に設けられている。
【0046】
なお、看護者が極力、管理区域(領域R4)に入らなくても済むようにするために、第2の仕切り部材82を、
図4(B)に示されるようなダスト収容部付きパーティションとしてもよい。たとえば、第2の仕切り部材82には、蓋材821によって覆われた投入口820が設けられ、蓋材821が管理区域(領域R4)側から開閉可能となっている。また、一般区域(領域R3)側に、投入口820から投入された廃棄物を収容するゴミ袋822が取り付けられている。これにより、看護者は、汚染部分に触れることなく、廃棄物の搬出が可能である。
【0047】
図5は、居室3の他のゾーニング例を模式的に示す平面図である。
図5に示される例では、居室3の出入口52に面するコーナー領域R12と、他の領域R11とが、仕切り部材83によって区画されている。領域R11は、間仕切り壁43の出入口53に面する領域を含み、水廻り室2とともに汚染区域111を構成する。仕切り部材83は、側壁45と廊下9側の壁42との間を、平面視において斜めに配置されている。この場合、コーナー領域R12を、上述の管理区域と同等の受け渡し区域112とすることができる。仕切り部材83もまた、
図3(B)に示されるようなダストボックス付きパーティションとしてもよい。
【0048】
(変形例)
本実施の形態では、通常時においても、間仕切り壁43の扉63の隙間を介して水廻り室2と居室3とが通気可能であるとして説明したが、通常時においては、間仕切り壁43の扉63の隙間を完全に封止するように構成してもよい。この場合、通常時には、居室3内の空気が、正面扉62の隙間から廊下9に排気されることによって換気されてもよい。あるいは、居室3にも別途、排気口が設けられてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、間仕切り壁43の出入口53を通常時に閉鎖するための閉鎖部材が、扉63によって構成されていることとしたが、扉63に限定されない。たとえば、取り外し可能なパネル部材によって構成されていてもよい。あるいは、隔離時に展開可能とし、通常時に折り畳まれるベッドにより出入口53を閉鎖する構成であってもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、共通の廊下9から水廻り室2および居室3に出入りする構成として説明したが、異なる室(居室または非居室)から出入りする構成であってもよい。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 住宅、2 水廻り室、3 居室、9 廊下、10 隔離空間、23 排気口、23a 排気ファン、31 給気口、41,42,45 壁、43 間仕切り壁、51,52,53 出入口、61,62,63 扉、70 制御装置、71 操作部、72 殺菌灯、81,82,83 仕切り部材。