(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240912BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G03G21/18 114
G03G21/18 157
G03G15/02 101
G03G15/02 103
(21)【出願番号】P 2020175357
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝間田 剛
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-117466(JP,A)
【文献】特開2020-052164(JP,A)
【文献】特開平11-015239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに対して回転可能に支持された感光ドラムと、
弾性層を有し、前記フレームに回転可能に支持されるとともに、前記感光ドラムに接触して前記感光ドラムを帯電させるための帯電ローラと、
前記帯電ローラを前記感光ドラムに向かう方向に付勢する付勢部と、
前記感光ドラムを回転駆動するための駆動源と、
前記駆動源から入力された駆動力により回転する回転部材と、
前記帯電ローラの回転軸上に設けられ且つ前記帯電ローラの回転軸に回転可能に保持された離間保持部材であって、前記回転部材に係合して前記回転部材から駆動力を受ける係合部を有し、前記係合部が前記回転部材に係合した状態で前記感光ドラムと前記帯電ローラとを離間させた離間状態を保持する離間位置と、前記感光ドラムと前記帯電ローラとの離間状態を解除して前記感光ドラムと前記帯電ローラとを接触させる解除位置との間で回動可能な離間保持部材と、
前記帯電ローラの回転軸上に設けられ且つ前記帯電ローラと一体に回転するカバー部であって、前記帯電ローラと前記離間保持部材の嵌合部が覆われるように、前記帯電ローラの回転軸線方向に関して前記離間保持部材の端面を覆うカバー部と、
前記帯電ローラの回転軸線方向における前記離間保持部材と前記カバー部の間に設けられ、前記帯電ローラの回転を前記離間保持部材に伝達する状態と伝達しない状態を切り替えるクラッチと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回転部材は、前記駆動源から入力された駆動力により前記感光ドラムと一体に回転することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
弾性層を有し、前記フレームに回転可能に支持されるとともに、前記帯電ローラに接触して帯電ローラを清掃するクリーニングローラをさらに備え、
前記離間保持部材は、前記感光ドラムと前記帯電ローラの離間位置において、前記帯電ローラと前記クリーニングローラを離間する離間部を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングローラは、前記帯電ローラに対して、前記帯電ローラの回転軸に近づく方向と離れる方向に移動可能に支持されている
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニングローラは、前記帯電ローラに近づく方向に付勢されている
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クラッチは、前記帯電ローラが第1方向に回転する場合に、前記帯電ローラの回転を前記離間保持部材に伝達せず、前記帯電ローラが前記第1方向とは反対の第2方向に回転する場合に、前記帯電ローラの回転を前記離間保持部材に伝達する
ことを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成時において、前記帯電ローラは、前記第1方向に回転する
ことを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記離間保持部材と前記クラッチは、前記帯電ローラが前記第2方向に回転する場合に互いに係合するかみ合い面と、前記帯電ローラが前記第1方向に回転する場合に、係合を解消する方向に前記クラッチを案内する斜面とをそれぞれ備える
ことを特徴とする請求項
6又は
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カバー部は、前記クラッチと接触する接触面を有し、
前記クラッチは、前記帯電ローラが前記第2方向に回転する場合に、前記接触面と接触し、前記離間保持部材に近づく側に前記クラッチを案内する被押圧斜面を有する
ことを特徴とする請求項
6乃至
8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、ある程度の期間ごとにメンテナンスを行うことが必要であるが、このメンテナンスを容易にするために、感光体及びその他の画像形成に係る部品を一体にした感光体ユニットを交換する方式を採用したものが知られている。また、このような方式を採用する画像形成装置においては、弾性層を有する帯電ローラをバネ等による付勢力によって感光体に接触させ、感光体を帯電させる接触帯電方式が多く採用されている。
【0003】
ここで、接触帯電方式において、帯電ローラと感光体とを長期間接触させたまま感光体ユニットを放置しておくと、帯電ローラにおける感光体に接触していた部分が変形し、画像形成を行った際に画像不良を生じる場合があった。
【0004】
このような画像不良を抑制するために、感光体と帯電ローラとの間にスペーサを挟み込んで感光体と帯電ローラが接触しない状態で感光体ユニットを出荷し、スペーサを取り外してから画像形成装置本体に感光体ユニットを装着する構成が知られている。しかし、このような構成では、感光体ユニットを画像形成装置本体に装着するときにユーザーがスペーサを取り外す手間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、取り外し式のスペーサを用いることなく感光体と帯電ローラを離間させ、感光体ユニットを画像形成装置本体に装着するときに、感光体が回転することで離間されていた帯電ローラが感光体に当接するようにした構成が開示されている。具体的には、帯電ローラの回転軸に嵌められた離間保持部材の先端に設けられた扇状の係合部が、感光体と同軸に設けられた感光体ギアと係合した状態で、感光体と帯電ローラとを離間させるように構成されている。そして、感光体を回転させることによって離間保持部材が回転して感光体ギアと離間保持部材の係合が外れ、これにより感光体と帯電ローラが当接する。そのため、ユーザーがスペーサを取り外すといった面倒な操作を行うことなく、自動で感光体と帯電ローラの離間状態が解除される。また、特許文献1には、任意のタイミングにおいて、感光体と帯電ローラの接触を退避させる構成も開示されている。
【0006】
特許文献2には、感光体と帯電ローラの接触、退避を行う離間保持部材が設けられた構成が開示されている。離間保持部材は、帯電ローラの加圧方向と並行に配置され、帯電ローラは、非画像形成時等の感光体の回転停止時において、加圧方向と逆方向に押されている。そのため、感光体に対して離間状態となっている。
画像形成時等に感光体が通常回転方向に回転駆動されると、感光体のギア部と離間保持部材先端の突起部の噛み合いにより、離間保持部材は帯電ローラの軸を中心として連れ回り方向に回転する。すると、帯電ローラ軸を支えていた離間保持部材の影響がなくなり、帯電ローラは、加圧バネによって感光体に対して加圧当接される。
また、画像形成終了時等の感光体の回転停止時には、感光体が通常回転方向とは逆方向に回転され、感光体のギア部と、離間保持部材先端の突起部との噛み合いにより離間保持部材が通常動作時とは逆方向に回転される。これにより、帯電ローラと感光体とが離間状態に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-95532号公報
【文献】特開2002-311690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画像形成装置の更なる省スペース化や低コスト化の観点から、帯電ローラの小径化が求められている。感光体と帯電ローラの摩擦力により帯電ローラを回転させる接触帯電方式では、帯電ローラを小径化すると感光体と帯電ローラの摩擦力が小さくなり、帯電ローラが感光体に対して相対的に停止するスリップが発生するリスクが高くなる。帯電ローラのスリップが発生すると、感光体が一様に帯電されずに画像不良が発生する。そのため、帯電ローラの回転負荷を小さくすることが帯電ローラの小径化のために必要である。
【0009】
しかしながら、従来技術のように、帯電ローラの回転軸上に離間保持部材が支持される構成においては、離間保持部材が帯電ローラの回転負荷トルクとなり得る。正常な状態においては、帯電ローラと離間保持部材は嵌合支持であるため、大きな負荷とはならない。しかし、離間保持部材と帯電ローラ軸の嵌合部が露出しているため、飛散トナー等の外乱物質が摺動部に侵入する恐れがある。離間保持部材と帯電ローラの摺動部にトナーが侵入すると、摺動部の負荷が増加して帯電ローラの回転負荷トルクが増加してしまう。そのため、帯電ローラを小径化すると、帯電ローラのスリップが発生する可能性がある。
【0010】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光体と帯電ローラを自動的に接触および離間させる機構を有する画像形成装置において、帯電ローラの回転負荷トルクの増加を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係わる画像形成装置は、フレームと、前記フレームに対して回転可能に支持された感光ドラムと、弾性層を有し、前記フレームに回転可能に支持されるとともに、前記感光ドラムに接触して前記感光ドラムを帯電させるための帯電ローラと、前記帯電ローラを前記感光ドラムに向かう方向に付勢する付勢部と、前記感光ドラムを回転駆動するための駆動源と、前記駆動源から入力された駆動力により回転する回転部材と、前記帯電ローラの回転軸上に設けられ且つ前記帯電ローラの回転軸に回転可能に保持された離間保持部材であって、前記回転部材に係合して前記回転部材から駆動力を受ける係合部を有し、前記係合部が前記回転部材に係合した状態で前記感光ドラムと前記帯電ローラとを離間させた離間状態を保持する離間位置と、前記感光ドラムと前記帯電ローラとの離間状態を解除して前記感光ドラムと前記帯電ローラとを接触させる解除位置との間で回動可能な離間保持部材と、 前記帯電ローラの回転軸上に設けられ且つ前記帯電ローラと一体に回転するカバー部であって、前記帯電ローラと前記離間保持部材の嵌合部が覆われるように、前記帯電ローラの回転軸線方向に関して前記離間保持部材の端面を覆うカバー部と、前記帯電ローラの回転軸線方向における前記離間保持部材と前記カバー部の間に設けられ、前記帯電ローラの回転を前記離間保持部材に伝達する状態と伝達しない状態を切り替えるクラッチと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、感光体と帯電ローラを自動的に接触および離間させる機構を有する画像形成装置において、帯電ローラの回転負荷トルクの増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図8】第1の実施形態の離間保持部材近傍の斜視図。
【
図9】第1の実施形態の離間保持部材近傍の断面図。
【
図10】帯電ローラ正回転時のクラッチ動作の説明図。
【
図11】帯電ローラ逆回転時のクラッチ動作の説明図。
【
図12】帯電ローラ逆回転時のクラッチ動作の説明図。
【
図13】帯電ローラ正回転時のクラッチ動作の説明図。
【
図14】第2の実施形態の離間保持部材近傍の斜視図。
【
図15】第2の実施形態の離間保持部材近傍の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
まず、画像形成装置の全体構成および動作について、
図1を用いて説明する。その後、帯電ローラと感光体とを離間して保持するための離間保持機構、感光体が駆動されることに伴って離間保持を解除するための自動解除機構について詳細に説明する。
【0016】
(画像形成装置の全体構成及び動作)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す模式的な断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、電子写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な、中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置である。
【0017】
本実施形態の画像形成装置1は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像をそれぞれ形成する4つの画像形成部を備える。これらの4つの画像形成部の構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して説明する。
【0018】
画像形成部は、ドラム形(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である像担持体としての感光ドラム12(感光体)を有する。感光ドラム12は、画像形成装置本体に備えられている図示しない駆動手段からの駆動力が伝達されて回転駆動される。画像形成部において、感光ドラム12の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、帯電手段としての回転可能なローラ状の帯電部材である帯電ローラ13が配置されている。次に、感光ドラム12の表面を露光させる露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置(レーザースキャナー装置)22が配置されている。次に、現像手段としての現像装置20が配置されている。現像装置20には、トナー収容容器としてのトナーボトル21から図示しないトナー搬送路を介してトナーが供給される。次に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写ローラ31が配置されている。次に、感光体の清掃手段としてのドラムクリーニング装置14が配置されている。また、画像形成部には、帯電部材の清掃手段としてのローラ状のクリーニングローラ15(
図3参照)が帯電ローラ13に接触して配置されている。本実施形態では、帯電ローラ13は、感光ドラム12の表面に例えばバネなどの付勢手段によって所定の押圧力で接触させられており、感光ドラム12の回転に伴って従動回転する。
【0019】
また、本実施形態では、清掃ローラ15は、帯電ローラ13の表面に例えばバネなどの付勢手段によって所定の押圧力で接触させられており、帯電ローラ13の回転に伴って従動回転する。
【0020】
また、画像形成装置1は、各画像形成部の各感光ドラム12と接触するように、中間転写体としての無端状のベルト体で形成された中間転写ベルト30を有する。中間転写ベルト30は、複数の支持ローラ(張架ローラ)に所定の張力をもって掛け回されている。中間転写ベルト30の内周面側(裏面側)において各感光ドラム12と対向する位置に、上述の一次転写ローラ31が配置されている。一次転写ローラ31は、中間転写ベルト30を介して感光ドラム12に押圧されており、中間転写ベルト30と感光ドラム12とが接触する一次転写部(一次転写ニップ部)を形成している。一次転写ローラ31は、中間転写ベルト30の回転に伴って従動して回転する。また、中間転写ベルト30の外周面側(裏面側)において二次転写対向ローラ32に対向する位置に、2次転写手段としてのローラ状の二次転写ローラ33が配置されている。二次転写ローラ33は、中間転写ベルト30を介して二次転写対向ローラ32に押圧されており、中間転写ベルト30と二次転写ローラ33とが接触する二次転写部(二次転写ニップ部)を形成している。また、中間転写ベルト30の外周面側においてテンションローラ35に対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置40が配置されている。中間転写ベルト30は、ポリイミドなどの誘電体樹脂によって無端状に形成されている。
【0021】
その他、画像形成装置1には、記録用紙などの記録材Pの給搬送ローラ51、トナー像を記録材Pに定着させる定着器70などが設けられている。
【0022】
画像形成時には、回転駆動される感光ドラム12の表面は、帯電ローラ13によって所定の極性の所定の電位に一様に帯電される。本実施形態においては、帯電ローラ13に対して図示しない高圧電源(帯電電源)から電圧が印加されて感光ドラム12の表面に対する放電が発生することによって感光ドラム12の表面が帯電される。
【0023】
感光ドラム12の表面が一様に帯電された後、画像情報の信号に基づいてレーザスキャナ22によって感光ドラム12の表面が走査露光され、感光ドラム12上に静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム12上に形成された潜像は、現像器20によって現像剤としてのトナーを用いてトナー像として現像される。本実施形態では、トナーの正規の帯電極性は負極性である。現像装置20は、トナーを担持して感光ドラム12との対向部(現像位置)に搬送する現像剤担持体としての現像スリーブを有している。現像スリーブは、回転駆動される。現像時に、現像スリーブには、図示しない現像電源としての高圧電源から所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。
【0024】
感光ドラム12上に形成されたトナー像は、一次転写部において、一次転写ローラ31の作用により、中間転写ベルト30の表面に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ31には、図示しない一次転写電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施形態では正極性)の電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。フルカラー画像の形成時には、上述の動作が各画像形成部において行われ、各感光ドラム12上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像が、順次に重ね合わせるようにして中間転写ベルト30上に転写される。転写後、感光ドラム12上に残った僅かな転写残トナーは、清掃部材としてのクリーニングブレード14によって除去され、回収部に回収される。
【0025】
一方、給紙カセット50から記録材Pが1枚ずつ給送され、レジストローラ対60に搬送される。その後、レジストローラ対60は、中間転写ベルト30上のトナー像と同期を取って、記録材Pを中間転写ベルト30と二次転写ローラ33との間に搬送する。中間転写ベルト30上のカラーのトナー像は、二次転写部において、二次転写ローラ33の作用によって、記録材Pの表面に転写(二次転写)される。この記録材Pが二次転写部を通過する際に、二次転写ローラ33には、図示しない二次転写電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性の電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。転写後、中間転写ベルト30上に残った僅かな残トナーは、クリーニングユニット40によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。記録材P上に転写されたトナー像は、定着器70によって、加熱加圧されることで定着され、排紙ローラ対80により排紙トレイ90上に排出される。
【0026】
(帯電ローラ)
次に、本実施形態における帯電ローラ13について
図2、
図4(b)を用いて説明する。
【0027】
本実施形態では、帯電部材としての帯電ローラ13は、回転軸としての導電性支持体(芯金、芯材)13aと、導電性支持体13aの周囲に形成された一層以上の弾性層13bと、を有するローラ状の部材である。その外周面が感光体としての感光ドラム12に接触する。
【0028】
(クリーニングローラ)
次に、本実施形態におけるクリーニングローラ15について
図2、
図4(b)を用いて説明する。本実施形態では、帯電清掃部材としてのクリーニングローラ15は、回転軸としての棒状の支持部(芯金、芯材)15aと、支持部15aの周囲に形成された弾性層15bと、を有し、その外周面が帯電ローラ13に接触するローラ状の部材である。
【0029】
(ドラムカートリッジ)
次に、
図2~
図5を用いて感光体ユニットとしてのドラムカートリッジ10の構成について説明する。
【0030】
本実施形態のドラムカートリッジ10は、感光体としての感光ドラム12、帯電部材としての帯電ローラ13、帯電清掃部材としてのクリーニングローラ15、清掃部材としてのクリーニングブレード14を枠体(フレーム)としてのドラム容器11で一体的に保持して構成されている。また、画像形成装置本体から長手方向に沿ってスライドさせることで画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されており、メンテナンス等のために交換可能である。
【0031】
ドラム容器11には、感光ドラム12が軸受(図示しない)を介して回転軸線を中心に回転可能に保持されている。感光ドラム12には画像形成装置本体に装着された状態で画像形成装置本体に設けられた図示しない駆動源としてのモータから駆動力を受け取って回転するためのカップリング122が設けられている(
図4(a)参照)。
【0032】
また、ドラム容器11には、感光体12aの表面に画像形成時における感光ドラム12の回転方向に対して対向する方向で当接するように設けられ、感光体12aの表面を清掃するための清掃部材としてのクリーニングブレード14が固定されている(
図3参照)。また、クリーニングブレード14の近傍にはクリーニングブレード14によって感光体の表面から除去された転写残トナーを回収する回収部14aが設けられている。そして、回収部14aに回収されたトナーを搬送してドラムカートリッジ10(感光体ユニット)の外に搬送するための搬送部としてのトナー搬送スクリュー18がさらに設けられている。トナー搬送スクリュー18によってドラムカートリッジ10外に搬送されたトナーは、画像形成装置本体に設けられた図示しない回収トナー容器に回収される。
【0033】
感光ドラム12の長手方向端部には、感光ドラム12の回転軸線を中心として感光ドラム12と一体で回転するように固定された回転部材としてのギア121が設けられている。そして、感光ドラム12が回転した時に一体で回転するギア121の回転力がトナー搬送スクリュー18に伝達されることによって、トナー搬送スクリュー18が回転し、回収部14aに回収されている転写残トナーがドラムカートリッジ10の外に搬送される。
【0034】
帯電ローラ13は、保持部としての帯電ローラ軸受161にその回転軸13aが保持されることによって回転可能に支持されている。また、帯電ローラ軸受161は、ドラム容器11に対してスライド可能に支持されている。具体的には、支持されている帯電ローラ13が感光ドラム12の回転軸線に垂直な面における感光ドラム12の回転軸線に向かう方向に移動できるように、帯電ローラ軸受161が感光ドラム12の軸線に向かう方向にスライド可能に構成されている。さらに、ドラム容器11と帯電ローラ軸受161の間には第1の付勢手段としての帯電ローラ加圧バネ163が設けられている。この帯電ローラ加圧バネ163が帯電ローラ13を感光ドラム12の回転軸線に向かう方向(付勢方向)に付勢しているため、帯電ローラ13は感光ドラム12に加圧されて接触している。
【0035】
帯電清掃部材としてのクリーニングローラ15は、クリーニングローラ軸受162にその回転軸15aが支持されることによって回転可能に支持されており、クリーニングローラ軸受162は、帯電ローラ軸受161に対してスライド可能に支持されている。具体的には、クリーニングローラ15が帯電ローラ13の回転軸線に垂直な面における帯電ローラ13の回転軸線に向かう方向に移動できるように、クリーニングローラ軸受162がスライド可能に構成されている。さらに、帯電ローラ軸受161とクリーニングローラ軸受162の間には第2の付勢手段としてのクリーニングローラ加圧バネ164が設けられている。このクリーニングローラ加圧バネ164がクリーニングローラ15を帯電ローラ13の回転軸線に向かう方向に付勢しているため、クリーニングローラ15は帯電ローラ13に加圧されて接触している。つまり、クリーニングローラ15はクリーニングローラ加圧バネ164による付勢方向に移動可能に配置されている。なお、本実施形態では、第1の付勢手段である帯電ローラ加圧バネ163による付勢方向と第2の付勢手段であるクリーニングローラ加圧バネ164による付勢方向とが同じ方向となっているが、異なる方向であっても、本提案の効果に影響はない。
【0036】
以上の構成によって、感光ドラム12が画像形成装置本体に備えられている駆動源から駆動力を受けて回転すると、帯電ローラ13は感光ドラム12との摩擦力によって従動回転する。さらに、帯電ローラ13が回転すると、クリーニングローラ15は帯電ローラ13との摩擦力によって従動回転する。さらに、トナー搬送スクリュー18はギア121から駆動力(回転力)を受けて回転する。
【0037】
(離間保持機構について)
図4を用いて、感光ドラム12と帯電ローラ13とを離間させた状態を保持する離間保持機構について説明する。
【0038】
感光体ユニットとしてのドラムカートリッジ10には、流通のための輸送時に帯電ローラ13と感光ドラム12との間、帯電ローラ13とクリーニングローラ15との間をそれぞれ離間してクリアランスを確保するための離間保持部材17が設けられている。
【0039】
離間保持部材17は、帯電ローラ13の回転軸13aの両端に、帯電ローラの回転軸13aを回動軸として回動可能にそれぞれ設けられている。つまり、離間保持部材17は、帯電ローラ13の回転軸線を中心として回動可能に帯電ローラ13に支持されている。そのため、離間保持部材17は帯電ローラ13の移動に連動して移動可能となっている。なお、帯電ローラ13の両端の構成は同等なので、本実施形態では片側のみを示した図を用いて説明する。
【0040】
離間保持部材17には、感光ドラム12と帯電ローラ13とを離間させるとともにクリアランスを確保するための第1の離間保持部174が設けられている。また、離間保持部材17には、さらに帯電ローラ13とクリーニングローラ15とを離間させるとともにクリアランスを確保するための第2の離間保持部(離間部)175が設けられている。
【0041】
感光ドラム12と帯電ローラ13、帯電ローラ13とクリーニングローラ15をそれぞれ離間させた状態である離間保持状態(離間状態)では、第1の離間保持部174は、帯電ローラ加圧バネ163の加圧力(付勢力)で帯電ローラ13の回転軸13aとギア121の間に挟み込まれている。また、離間保持状態では、第2の離間保持部175は、クリーニングローラ加圧バネ164の加圧力(付勢力)でクリーニングローラ15に押圧されて、帯電ローラ13の回転軸13aとクリーニングローラ15の回転軸15aの間に挟み込まれている。
【0042】
これによって、例えばドラムカートリッジ10の輸送時には、帯電ローラ13の弾性層13bと感光ドラム12とを離間させ、さらに、帯電ローラ13とクリーニングローラ15とを離間させ、互いのクリアランスを確保している。
【0043】
また、
図4(a)に示すように、離間保持状態で第1の離間保持部174のギア121と向かい合う面には、ギア121のギア歯面ピッチと同じピッチでギア歯を有する第1の係合部171が設けられている。感光ドラム12と帯電ローラ13とを離間させている離間保持状態のとき、第1の係合部171は、ギア121と係合している。言い換えると、この時、離間保持部材17は、第1の係合部171がギア121に係合した状態で感光ドラム12と帯電ローラ13とを離間させた状態を保持する離間位置に位置している。このような構成にすることによって、離間保持部材17は、離間状態を保持することができる。
【0044】
(離間保持の自動解除について)
次に、離間保持状態の自動解除について
図2、
図5を用いて説明する。
【0045】
新しいドラムカートリッジ10を画像形成装置本体に装着して画像形成装置本体を起動させたとき、画像形成装置本体によって行われる初期動作によって、感光ドラム12に画像形成装置本体に備えられているモータから駆動力(回転力)が入力される。
【0046】
図4に示す感光ドラム12と帯電ローラ13との間および帯電ローラ13とクリーニングローラ15との間が離間されている離間保持状態から、感光ドラム12の回転が開始されると、感光ドラム12の回転とともにギア121が回転する。そして、ギア121と係合している離間保持部材17の第1の係合部171がギア121の回転力を受けて回動する。離間保持部材17が回動することによって、第1の離間保持部174は、帯電ローラ13の回転軸13aとギア121の間に挟み込まれている状態から解放される(離間解除位置)。また、第2の離間保持部175は帯電ローラ13の回転軸13aとクリーニングローラ15の回転軸15aの間に挟み込まれている状態から解放される。そして、
図5に示す離間解除状態となる。上記により、離間保持部材17による自動解除が完了する。
【0047】
(従来構成の離間保持構成)
図6、
図7を用いて、従来構成の離間保持部材について説明する。従来の離間保持部材17Zは帯電ローラ13の回転軸13aに回転可能に嵌合保持されている。このような構成において、離間保持部材17Zと帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部は露出しているため、例えば飛散トナーのような外乱物質が
図6および
図7にAで示した部分から侵入する恐れがある。離間状態が解除された状態においては、離間保持部材17Zに対して帯電ローラ13の回転軸13aが相対的に回転することとなるため、離間保持部材17Zと帯電ローラ13の回転軸13aの間には摩擦力が生じる。上述の飛散トナーがこの摺擦部に侵入すると、摺擦部の異常摩耗等の問題が発生し、帯電ローラ13を回転させるための負荷トルクが増加する恐れがある。帯電ローラ13の回転負荷トルクが感光ドラム12と帯電ローラ13の摩擦力を上回ると、帯電ローラ13が感光ドラム12に従動回転することができなくなり画像不良が発生してしまう可能性がある。
【0048】
(第1の実施形態の離間保持機構)
図8~
図13を用いて、第1の実施形態の離間保持機構についてさらに詳細に説明する。
図8は離間保持状態が解除された状態を示した図であり、
図9は帯電ローラ13の回転軸13aを通る断面図である。離間保持状態、および離間保持状態から離間解除動作については、上記の説明と重複するため省略する。
【0049】
離間保持機構は、離間保持部材17、蓋部材18、クラッチ19の3部品で構成される。離間保持部材17は、帯電ローラ13の回転軸13aに回転可能に保持されている。蓋部材18は、帯電ローラ13と一体で回転するように帯電ローラ13の回転軸13aに保持されている。
【0050】
本実施形態においては、帯電ローラ13の回転軸13aにDカット形状が設けられ、蓋部材18と一体で回転するように構成されている。さらに蓋部材18は、つば部181を有する。つば部181は離間保持部材17の端面と対向するように設けられている。帯電ローラ13の回転軸上の軸線方向の離間保持部材17と蓋部材18の間にはクラッチ19が収容されている。クラッチ19は、帯電ローラ13の回転軸13aに回転可能に保持されるとともに、離間保持部材17のクラッチ19を収容する筒部内で帯電ローラの回転軸13a上を回転軸方向に移動可能に設けられている。蓋部材18のつば部181はクラッチ19が収容される離間保持部材17の筒部を覆うように帯電ローラ13の回転軸13aに支持される。
【0051】
離間保持部材17、蓋部材18、クラッチ19の3部品からなる離間保持機構は、帯電ローラ13が正回転する際は離間保持部材17と帯電ローラが空転する構成となっている。また、帯電ローラ13が逆回転する際は、帯電ローラ13と離間保持部材17が一体で回転する構成となっている。その仕組みについて、
図10~
図13を用いて説明する。
【0052】
図10~
図13の(a)で示す図は、帯電ローラ13、蓋部材18、クラッチ19を示した図であり、説明の都合上、離間保持部材17を図示していない。また、
図10~
図13の(b)で示す図は、離間保持部材17とクラッチ19を示した図であり、帯電ローラ13の回転軸を通る断面図である。なお、
図10~
図13の(b)で示す図では、かみ合い面191と斜面192で構成されるかみ合い部分は、離間保持部材17の回転中心軸に対して向こう側が見えている状態を示している。そのため、
図10~
図13の(a)で示す図におけるかみ合い面191と斜面192に対して、傾斜の向きが逆に描かれている。
【0053】
図10は、帯電ローラが正回転する定常状態を示した図である。感光ドラム12が
図8に矢印Bで示す順方向に回転する際は、感光ドラム12と帯電ローラ13の摩擦力による従動回転により帯電ローラ13は矢印Cで示す方向へ回転する。このとき、蓋部材18は帯電ローラ13の回転軸13aに帯電ローラ13と一体で回転するように支持されるため、矢印C方向へ回転する。
【0054】
蓋部材18には、クラッチ19と接触する接触面182が設けられており、クラッチ19には被押圧面194が設けられている。蓋部材18が矢印Cの方向に回転することで、蓋部材18の接触面182がクラッチ19の被押圧面194を押し、クラッチ19も矢印C方向へ回転する。クラッチ19の蓋部材18と逆側の端面には、かみ合い面191と斜面(案内面)192が設けられており、離間保持部材17にも同様にかみ合い面172と斜面(案内面)173が設けられている。これら2部品のかみ合い面と斜面により第2係合部が形成されている。
図10(b)で示すように、クラッチ19のかみ合い面191と離間保持部材17のかみ合い面172は帯電ローラ13の長手方向で位置がずれているためかみ合わない状態となる。そのため帯電ローラ13が矢印C方向へ正回転しているときには、クラッチ19と離間保持部材17は空転し、帯電ローラ13の回転は離間保持部材17には伝わらない。
【0055】
次に帯電ローラ13の逆回転時の動作について
図11、
図12を用いて説明する。
図11は帯電ローラ13が正回転状態(矢印C方向への回転状態)から矢印E方向(逆回転方向)へ回転した状態を示した図である。
図8に矢印Dで示す方向に感光ドラム12が回転する際には、感光ドラム12と帯電ローラ13の摩擦力による従動回転により帯電ローラ13は矢印Eで示す方向へ回転する。
【0056】
このとき、蓋部材18は帯電ローラ13と一体で矢印E方向へ回転するため、
図11(a)で示すように蓋部材18の押圧面182はクラッチ19の被押圧面194から離れて被押圧斜面(案内面)193と接触する。押圧面182と被押圧斜面193の接触直後では、
図11(b)で示すようにクラッチ19の長手方向位置は
図11(b)で示した帯電ローラ13の正回転時とほぼ同じ位置となる。帯電ローラ13が矢印E方向にさらに回転すると蓋部材18の押圧面182はクラッチ19の被押圧斜面193と接触しながら矢印E方向へ回転する。その結果、クラッチ19は被押圧斜面193が押圧面182から受ける反力により
図12(a)に示すように帯電ローラ13の回転軸13a上を帯電ローラ13の軸端方向に向かって移動する。すると、
図12(b)に示すようにクラッチ19と離間保持部材17の第2係合部がかみ合う状態になる。この状態でクラッチ19が矢印E方向へ回転すると、クラッチ19のかみ合い面191と離間保持部材17のかみ合い面172がかみ合うことで離間保持部材17も矢印E方向へ回転する。
【0057】
この動作により、帯電ローラ13が矢印E方向に回転する際には、離間保持部材17も矢印E方向に帯電ローラ13と一体に回転する。離間保持部材17が矢印E方向へ一定量回転すると、離間保持部材17の第1の係合部171がギア121と接触する。離間保持部材17の第1の係合部171がギア121とかみ合うと、感光ドラム12と一体で回転するギア121から回転力を受けて第1の係合部171が矢印E方向へ回転する。すると、感光ドラム12と帯電ローラ13は離間され、離間保持状態になる。
【0058】
離間保持状態から、再び感光ドラム12を
図8の矢印B方向に回転させると、前述した離間解除動作により、離間保持部材17は矢印C方向に回転して離間解除状態になる。離間解除状態になると、感光ドラム12と帯電ローラ13の摩擦力による従動回転により帯電ローラ13は矢印C方向へ回転する。帯電ローラ13が矢印C方向へ回転すると蓋部材18も帯電ローラ13と一体で矢印C方向へ回転し、
図13(a)で示すように蓋部材18の押圧面182はクラッチ19の被押圧斜面面193から離れて被押圧面194と接触する。この時、
図13(b)で示すように、クラッチ19と離間保持部材17との第2係合部はかみ合い状態であるが、さらに帯電ローラ13が矢印C方向へ回転するとクラッチ19の斜面192と離間保持部材17の斜面173の作用により第2かみ合い部のかみ合いが解消する方向、すなわち蓋部材18の方向へクラッチ19が移動することになる。その結果、クラッチ19と離間保持部材17のかみ合いが解消され、帯電ローラ13の矢印C方向の回転は離間保持部材17に伝わらず、帯電ローラ13と離間保持部材17は空転する。
【0059】
帯電ローラ13が長期間同じ場所で感光体ドラム12と接触し続けると、帯電ローラ13の変形が発生し、画像不良となる懸念がある。しかし、上述の構成とすることで、ドラムカートリッジ10の出荷時に限らず任意のタイミングで、感光ドラム12に通常動作の回転方向(矢印B方向)と逆の回転(矢印D方向)を入力することで、感光ドラム12と帯電ローラ13、および帯電ローラ13とクリーニングローラ15を離間状態とすることが可能となり、帯電ローラ13の変形を抑制することができる。
【0060】
さらに、本実施形態の構成において、帯電ローラ13の回転軸13aと離間保持部材17の嵌合部、クラッチ19と離間保持部材17および帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部に飛散トナーのような外乱物質が侵入すると帯電ローラ13を回転させるための負荷トルクが増加する恐れがある。しかし、本実施形態では、離間保持部材17と帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部、クラッチ19と離間保持部材17および帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部は、蓋部材18のつば部181により覆われる。そのため、外乱物質の侵入量を低減させることが可能になる。蓋部材18と帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部に飛散トナーのような外乱物質が侵入したとしても、帯電ローラ13と蓋部材18は一体で回転するため、帯電ローラの回転負荷トルクには影響を与えない。
【0061】
[第2の実施形態]
(第2の実施形態の離間保持機構)
図14~
図15を用いて、第2の実施形態について説明する。
図14は離間保持状態が解除された状態を示した図であり、
図15は帯電ローラ13の回転軸13aを通る断面図である。離間保持状態、および離間保持状態から離間保持状態の解除動作については、第1の実施形態の説明と重複するため説明を省略する。
【0062】
離間保持部材17Aは、帯電ローラ13の回転軸13aに回転可能に保持される。蓋部材18Aは、帯電ローラ13と一体で回転するように帯電ローラ13の回転軸13aに保持される。本実施形態においては、帯電ローラ13の回転軸13aにDカット形状が設けられ、蓋部材18Aと一体で回転するように構成されている。さらに蓋部材18Aは、つば部181Aを有する。つば部181Aは離間保持部材17Aの端面と対向するように設けられている。このような構成とすることで、離間保持部材17Aと帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部は蓋部材18Aのつば部181Aにより覆われるため、例えば飛散トナーのような外乱物質が嵌合部に侵入することを抑制することが可能になる。蓋部材18Aと帯電ローラ13の回転軸13aとの嵌合部に飛散トナーのような外乱物質が侵入したとしても、帯電ローラ13と蓋部材17Aは一体で回転するため、帯電ローラの回転負荷トルクには影響を与えない。
【0063】
以上説明したように、第1及び第2の実施形態によれば、蓋部材18によって、飛散トナーのような外乱物質が離間保持部材17と帯電ローラ13との摺動部に侵入することを防止できる。これにより、帯電ローラ13の回転負荷トルクの増加を抑制できる、感光ドラム12と帯電ローラ13の自動離間解除構成を提供することが可能となる。その結果、帯電ローラ13の回転負荷トルクが増加することによる帯電ローラスリップの発生のリスクを減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10:ドラムカートリッジ、12:感光ドラム、13:帯電ローラ、15:クリーニングローラ、17:離間保持部材、18:蓋部材、19:クラッチ