(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】コミュニケーションロボット及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01D 7/12 20060101AFI20240912BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240912BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20240912BHJP
G10L 13/02 20130101ALI20240912BHJP
【FI】
G01D7/12
B25J13/00 Z
G10L13/00 100M
G10L13/02 130Z
(21)【出願番号】P 2020176398
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 公太
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大野 明子
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210500284(CN,U)
【文献】特開2009-131928(JP,A)
【文献】特開2019-079345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00 - 7/12
G01D 4/00 - 4/12
B25J 1/00 - 21/02
G10L13/00 - 13/02
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフラ系設備に関する情報提供装置から、使用者が当該インフラ系設備を使用したことに関する設備使用情報を取得する使用情報取得手段と、
取得した前記設備使用情報を記憶する記憶手段と、
前記使用者との予め定められたコミュニケーションのタイミングで、記憶されている前記設備使用情報を当該使用者に提供する提供手段と、
予め登録されている人以外の人である未登録人を検知する検知手段と、
を備え
、
前記提供手段は、前記コミュニケーションのタイミングであっても、前記検知手段により前記未登録人を検知した場合、前記設備使用情報の提供を行わない、ことを特徴とするコミュニケーションロボット。
【請求項2】
コンピュータに、
インフラ系設備に関する情報提供装置から、使用者が当該インフラ系設備を使用したことに関する設備使用情報を取得する使用情報取得機能と、
取得した前記設備使用情報を記憶する記憶機能と、
前記使用者との予め定められたコミュニケーションのタイミングで、記憶されている前記設備使用情報を当該使用者に提供する提供機能と、
を実現させ、
前記提供機能は、前記コミュニケーションのタイミングであっても、予め登録されている人以外の人を検知した場合、前記設備使用情報の提供を行わない、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーションロボット、通知システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガス検針ロボットからアンテナを介してサーバに送信されたガスメータの検針データを元に、サーバはガス料金の請求金額を計算し、需要家のスマートフォン等の携帯端末や、家庭に設置されるモニタに通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ガス、電気、水道などのインフラ系設備の使用量や料金をWebサイト上で確認することができる情報提供システムや、毎月のガス等の料金が更新されると電子メールで知らせる情報提供サービスを利用する場合、ガス等の使用者がわざわざWebサイト上で確認したり電子メールの内容を確認したりする手間が煩雑であるため、気軽にガス等の使用情報を知得することが困難である。このため、より利便性の高い設備使用情報をガス等使用者に提供するサービスが求められている。
本発明の目的は、ガス等の使用者にとって利便性の高い情報提供サービスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用されるコミュニケーションロボットは、インフラ系設備に関する情報提供装置から、使用者が当該インフラ系設備を使用したことに関する設備使用情報を取得する使用情報取得手段と、取得した前記設備使用情報を記憶する記憶手段と、前記使用者との予め定められたコミュニケーションのタイミングで、記憶されている前記設備使用情報を当該使用者に提供する提供手段と、予め登録されている人以外の人である未登録人を検知する検知手段と、を備え、前記提供手段は、前記コミュニケーションのタイミングであっても、前記検知手段により前記未登録人を検知した場合、前記設備使用情報の提供を行わない、ことを特徴とするコミュニケーションロボットである。
また、本発明が適用されるプログラムは、コンピュータに、インフラ系設備に関する情報提供装置から、使用者が当該インフラ系設備を使用したことに関する設備使用情報を取得する使用情報取得機能と、取得した前記設備使用情報を記憶する記憶機能と、前記使用者との予め定められたコミュニケーションのタイミングで、記憶されている前記設備使用情報を当該使用者に提供する提供機能と、を実現させ、前記提供機能は、前記コミュニケーションのタイミングであっても、予め登録されている人以外の人を検知した場合、前記設備使用情報の提供を行わない、プログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ガス等の使用者にとって利便性の高い情報提供サービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態におけるコミュニケーションシステムの構成例を示す図である。
【
図3】コミュニケーションシステムの概略動作の例について示す図である。
【
図4】コミュニケーションシステムの機能構成例を示したブロック図である。
【
図5】コミュニケーションシステムが行う動作について説明するフローチャートである。
【
図6】ロボットと使用者との会話例を文字にして説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<通知システム1全体の説明>
図1は、本実施の形態における通知システム1の構成例を示す図である。
図示するように本実施の形態の通知システム1は、ガスメータ20と、ロボット30と、管理サーバ40とが、ネットワーク70、ネットワーク80、アクセスポイント90を介して接続されることにより構成されている。通知システム1は、ガス等の使用者とロボット30とのコミュニケーションの中で、ロボット30がガス等の使用情報やアドバイスを提供する。
【0009】
ガスメータ20は、ガス使用に関する測定を行い、測定により得た情報を自身の識別情報と共に管理サーバ40に送信する。
例えば、ガスメータ20は、予め定められている検針日時にガス使用量を測定し、測定したガス使用量の情報(以下、「ガス使用量情報」という)を、測定した日時の情報(以下、「測定日時情報」という)及び契約者ないし使用者を特定する情報(以下、「顧客情報」という)と共に、通信により管理サーバ40に送信する。このようなガス使用量情報等は、例えば1か月に一回や1週間に一回など定期的にガスメータ20から管理サーバ40に送信される。ガスメータ20は、時計やタイマー等の計時機能を有する。
また、ガスメータ20は、ガスの使用状態を検知し、異常を検知すると、警報表示したり管理サーバ40に異常の情報(以下、「異常検知情報」という)を送信したりする。異常の検知は、例えば多量のガスが流れた場合や多量ではないものの長期間連続的にガスが流れた場合に行われる。
【0010】
また、ガスメータ20は、ガス使用を開始したことやガス使用を停止したことの測定を行い、使用開始ないし使用停止を検知した場合、使用開始したことの情報(以下、「ガス使用開始情報」という)や使用停止したことの情報(以下、「ガス使用停止情報」という)を管理サーバ40に送信することができる。このようなガス開始情報やガス使用停止情報は、使用者の住居に設置されているガス設備ないしガス機器の作動状況を示す情報であり、ガス機器作動情報ということができる。ガス機器としては、例えば、ガスコンロ等の調理器具、給湯器等の温水器具又は、床暖房等の暖房器具等である。
ガスメータ20から管理サーバ40への情報送信は、測定したタイミングで行う場合の他、測定した情報を自身に保存し通信状況が比較的良好な例えば早朝等の時間帯に行う場合も考えられる。
ガスメータ20は、都市ガス用の場合とLPガス用の場合のいずれでも良い。
【0011】
ロボット30は、ガスメータ20を設置している使用者の住居に置かれ、管理サーバ40と通信可能に接続される。ロボット30は、人との間で発話を通じて自律的に情報の伝達を行うコミュニケーション機能(会話機能)を備える。ロボット30は、例えば大人が片手でも持てる程度の大きさである。ロボット30の詳細は後述する。
なお、管理サーバ40と通信可能なロボットを複数台とし、ガスメータ20を設置している使用者の住居に1台、その使用者とは非同居の家族(例えば使用者の子ども)が住む住居に1台を置く例も考えられる。なお、使用者や使用者との同居者を単に「使用者」と省略することがある。
【0012】
管理サーバ40は、通知システム1の全体の管理をするサーバコンピュータである。詳しくは後述するが、管理サーバ40は、ガスメータ20からガス使用量情報、測定日時情報及び顧客情報を受信し、受信したガス使用量情報等を保存する。さらに、管理サーバ40は、ガス料金の算出時期が到来した場合、ガス使用量情報と、顧客情報に対応する契約情報とにより、ガス料金を算出し、算出したガス料金の情報(以下、「ガス料金情報」という)を顧客情報に対応付けて保存する。
管理サーバ40は、自身が保存しているガス使用量情報等をロボット30に送信する。
なお、ガス使用量情報やガス料金情報は、ガスメータ20による検針により得られる情報であり、検針情報ということができる。
なお、ガス使用量情報やガス料金情報は、設備使用情報の一例である。ガス使用量は設備使用量の一例であり、ガス料金は使用料金の一例である。
【0013】
管理サーバ40は、演算手段であるCPUと、メインメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)等のストレージとを備える。ここで、CPUは、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションプログラム(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアを実行する。また、メインメモリは、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、ストレージは、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、管理サーバ40は、外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構と、入力ボタン、タッチパネル、キーボード等の入力機構とを備える。
【0014】
ネットワーク70は、ガスメータ20、ロボット30及び管理サーバ40の間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、インターネットである。
ネットワーク80も、ネットワーク70と同様に、ガスメータ20、ロボット30及び管理サーバ40の間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、LAN(Local Area Network)である。
【0015】
アクセスポイント90は、有線で通信を行うネットワーク70に対して、無線通信回線を利用して無線通信を行う機器である。アクセスポイント90は、ロボット30とネットワーク70との間の情報の送受信を媒介する。
無線通信回線の種類としては、携帯電話回線、PHS(Personal Handy-phone System)回線、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、UWB(Ultra Wideband)、LPWA(Low Power Wide Area)等の各回線が使用可能である。
【0016】
図2は、ロボット30を説明する図である。
図2に示した、ロボット30は、歩行等を行うことで移動する機能を有する移動式としてもよいが、移動しない非移動式としてもよい。
ロボット30は、送信情報の送信および受信を行う通信アンテナ301と、動画の撮影を行うカメラ302と、音声を取得するマイクロフォン303と、送信情報を表示するディスプレイ304と、音声等の音を出力するスピーカ305と、使用者が操作を行う操作ボタン306と、ロボット30の周囲における人の有無を検知する人感センサ307と、ロボット30の全体の制御を行う制御部308と、管理サーバ40から受信したガス使用量情報等の各種の情報を記憶するメモリ309とを備える。メモリ309に記憶されている情報の全部または一部をそのまま乃至加工し、例えばディスプレイ304やスピーカ305から使用者に通知される。このような構成を備えることで、ロボット30は、会話によるコミュニケーション機能を実現する。
また、操作ボタン306は、録画を行う録画ボタン306aと、送られた送信情報を再生する再生ボタン306bと、ロボット30の設定などを行うためのメニューボタン306cとを備える。
【0017】
<通知システム1の動作の概略説明>
図3は、通知システム1の概略動作の例について示す図である。
まず、ガスメータ20がガス使用に関する測定を行い(1A)、測定後にアクセスポイント90、ネットワーク70及びネットワーク80(
図1参照)を介して、管理サーバ40に対し、測定した情報を送信する(1B)。
管理サーバ40は、ガスメータ20の識別情報と関連付けて、受信した測定情報をHDD等に記憶し、通信ログを更新する(1C)。管理サーバ40は、HDD等から、ガスメータ20の識別情報に関連付けられた情報を取得する(1D)。
【0018】
次に、管理サーバ40は、ガスメータ20の識別情報に関連付けられた顧客情報及びガス使用量情報により、前回検針日から今回検針日までの期間(直近の期間)のガス料金を算出する(1E)。算出されたガス料金は、直近の期間におけるガス料金情報としてHDD等に記憶される。
そして、管理サーバ40は、ガスメータ20の識別情報に対応するロボット30に対し、ガス料金情報等の各種の情報を送信する(1F)。ロボット30は、受信した情報をメモリ309(
図2参照)に記憶し、使用者との予め定められたタイミングで使用者に通知される(1G)。
なお、ロボット30から管理サーバ40に情報を送信する構成を採用しても良い。
【0019】
<通知システム1の機能構成の説明>
図4は、通知システム1の機能構成例を示したブロック図である。なおここでは、通知システム1が有する種々の機能のうち本実施の形態に関係するものを選択して図示している。
通知システム1において、ガスメータ20は、ガス使用に関する測定を行う測定部21と、管理サーバ40と情報の送受信を行う送受信部22と、異常状態を検知したときに警報を表示する警報表示部23と、を有する。
【0020】
測定部21は、予め定められている検針日にガス使用量の測定を行う。この検針日は、ガスメータ20がスケジュール管理する場合の他、管理サーバ40からの検針指示に応じて検針する場合がある。
予め定められている検針日としては、通常は1か月毎に設定され、例えば予め定められた日にちとしたり、前回の検針日から30日後の日としたり、特定週の特定曜日(例えば毎月の第3火曜日)としたりすることができる。また、検針時間は、検針日の特定時とすることができる。
また、測定部21は、ガスの使用状態に異常がないかを監視し、ガスの流量を測定することで、例えば多量のガスが流れた場合や多量ではないものの長期間連続的にガスが流れた場合に該当しないかどうかを判定する。また、測定部21は、ガスの流量を測定することで、ガスの使用開始時や使用停止時の検知を行うことができる。
【0021】
送受信部22は、例えば、通信I/Fである。送受信部22は、管理サーバ40と通信を行い、情報のやりとりを行う。ここにいう情報は、ガスメータ20の識別情報、測定日時情報及びガス使用量情報が含まれる。また、測定部21により異常を検知したときには、異常検知情報が含まれる。また、測定部21によるガス使用開始情報やガス使用停止情報も含まれる。
【0022】
警報表示部23は、ガスメータ20の外面に設けられた例えばランプないし液晶表示である。警報表示部23は、測定部21により異常を検知したときにガスメータ20を設置する住居の使用者に知らせるために警報表示する。
【0023】
ロボット30は、送信情報の送受信を行う送受信部31と、受信情報を記憶する記憶部32と、音声の取得を行う取得部33と、音声を再生する再生部34と、音の分析を行う分析部35と、音声の再生の条件を決定する決定部36と、使用者により操作される操作部37とを備える。
【0024】
ロボット30は、使用者と会話を行うことができる機能(会話機能)を有する。会話機能を簡単に説明すると、取得部33により使用者の話し言葉が入力され、入力内容を分析部35が分析し、決定部36がその返事内容を決定し、決定された返事が再生部34により出力される。会話機能は、ロボット30の内部処理で実現しているが、分析及び返事内容の決定を管理サーバ40に行わせる制御を採用しても良い。
【0025】
ロボット30の送受信部31は、管理サーバ40からの送信情報を受信する。送受信部31は、例えば、通信I/Fであり、制御部308(
図2参照)に含まれる。また、通信アンテナ301(
図2参照)もこれに含まれる。送受信部31は、アクセスポイント90およびネットワーク70を介し、管理サーバ40との間で情報の送受信を行う。
【0026】
記憶部32は、受信された情報を記憶する。また、記憶部32は、必要な場合にこれを出力する。記憶部32は、例えば、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などであり、メモリ309(
図2参照)に対応する。
【0027】
取得部33は、音声及び動画を取得する。取得部33は、音声を取得するマイクロフォン303(
図2参照)に対応する。マイクロフォンの種類としては、ダイナミック型、コンデンサ型等、既存の種々のものを用いてよい。また、マイクロフォンとして、無指向性のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型マイクロフォンであることが好ましい。
【0028】
また、取得部33は、動画の撮影を行うカメラ302(
図2参照)に対応する。カメラ302は、撮影対象の像を収束する光学系と、光学系により収束された像を検出するイメージセンサとを備えるデジタルカメラである。光学系は、単一のレンズまたは複数のレンズを組み合わせて構成される。例えば、2つの半球レンズを使用し、その球面側を向かい合わせに組み合わせたツインレンズが用いられる。レンズの組み合わせおよびレンズ表面に施されたコーティング等により、各種の不要な収差は適切に除去されている。イメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を配列して構成される。
【0029】
また、取得部33は、周囲に人がいないか否かの情報を取得する。取得部は、人感センサ307(
図2参照)に対応する。人感センサ307は、人を検知できる人感センサであれば特に限定されることはない。例えば、人が発する特定波長の赤外線を焦電効果を用いて検知することにより予め定められた領域内に人が入ってきたことを検出する焦電センサを用いることができる。また、赤外線発光ダイオード等からなる発光素子と発光素子から発した光が人に反射されたときにその反射光を受光する受光素子とを有する赤外線反射型の反射型センサを用いることができる。
【0030】
再生部34は、ロボット30の近くにいる使用者等に向けた音声の再生を行う。再生部34は、スピーカ305(
図2参照)に対応する。
【0031】
分析部35は、取得部33により取得された音声や動画を分析する。
より詳細には、分析部35は、取得した音声を認識し、話し言葉を文字列に変換する。分析部35は、変換した文字列に、予め定められた文字が含まれているかどうかを分析する。本実施の形態での文字は、ガスに関するものである。例えば、ロボット30と使用者との会話中に使用者が「ガス」に関連する単語を発したかどうかの分析を行う。
また、分析部35は、取得した音声が使用者又はその家族(同居人)の音声であるかどうかの分析を行う。
【0032】
また、分析部35は、取得した動画により人を認識し、その人の様子を分析する。分析部35は、例えば、動画に映っている人が長い間動いていないことの様子を分析する。また、再生部34により動画に映っている人に呼びかけをした場合に、音声の応答があるか否かの分析を行う。
また、分析部35は、動画に映っている人が使用者あるいはその同居人であるか否かの分析を動画により行う。かかる分析は、動画のほか音声も含めて分析を行うと、分析の精度が高まる。
また、分析部35は、取得した人検知情報により、住居あるいは部屋に使用者や同居人が不在であるか否かを分析する。なお、分析部35は、人検知情報を取得したときに、動画によりその人の様子を分析し始める制御を採用してもよい。
【0033】
決定部36は、分析部35による分析の結果から、使用者にガスに関する情報を伝えるかどうかの決定を行い、伝えることを決定した場合には、記憶部32に記憶される情報のうちどの情報を伝えるかの決定を行う。さらに、決定部36は、ガス料金情報を基に、記憶部32に記憶されているアドバイス群の情報を用いてアドバイス情報ないし付加情報を生成する。
【0034】
また、決定部36は、情報を伝えるコミュニケーションのタイミングの決定を行う。例えば、家庭内の人が在/不在のときに情報を伝えることや、特定の人が在宅のときに情報を伝えること、使用者及び同居人以外の人がいるときには情報を伝えないこと等である。
分析部35および決定部36は、例えば、CPUであり、制御部308(
図2参照)に含まれる。
【0035】
また、決定部36は、呼びかけに対し人の動きや音声の反応がないときには、使用者の体調に異変が生じているとして、管理サーバ40に使用者の異変を知らせる。管理サーバ40は、使用者の異変連絡があると、予め定められている連絡先(警備会社あるいは非同居の家族)に連絡する対応を行う。これにより、通知システム1に使用者見守り機能を付加することができる。
【0036】
操作部37は、録音や再生を行うための使用者による操作を受け付ける。操作部37は、操作ボタン306(
図2参照)に対応する。また、操作部37は、キーボードやマウス等で構成されていてもよい。
【0037】
管理サーバ40は、外部と通信を行う送受信部41と、所定の情報を記憶する記憶部42と、ガス料金を算出する料金算出部43とを有する。
送受信部41は、例えば、通信I/Fであり、ガスメータ20およびロボット30と通信を行い、所定の情報のやりとりを行う。
【0038】
記憶部42は、送受信部41で取得したガス使用量情報等を記憶する。記憶部42は、ガス使用量情報等をガスメータ20の識別情報に紐付けをして記憶する。これにより、ガスメータ20の識別情報を基に使用者を特定できる。
【0039】
料金算出部43は、ガスメータ20の識別情報から顧客情報を取得し、顧客情報に対応する契約内容から、基本料金と単位料金等及び割引の内容等を取得する。そして、料金算出部43は、ガス使用量情報に基づき従量料金を算出し、基本料金及び割引等を反映したガス料金を算出する。算出したガス料金は、ガス料金情報として顧客情報と対応付けて記憶部42に記憶される。
【0040】
なお、ロボット30は、コミュニケーションロボットの一例である。ロボット30において、送受信部31は、使用情報取得手段の一例であり、記憶部32は記憶手段の一例であり、再生部34は、提供手段の一例である。また、管理サーバ40は、情報提供装置の一例である。
管理サーバ40において、送受信部41は、使用量取得手段の一例であり、料金算出部43は、算定手段の一例であり、決定部36は、生成手段の一例である。管理サーバ40は、付加情報生成手段の一例であり、情報提供手段の一例である。
【0041】
<通知システム1の動作の例>
次に、本実施の形態の通知システム1が行う動作の例について、より詳細に説明を行う。
図5は、通知システム1が行う動作について説明するフローチャートである。
本実施の形態では、使用者の住居に設置されたガスメータ20において、測定部21がガス使用量の測定を行い(ステップ101)、ガス使用量情報を生成する(ステップ102)。また、ガスメータ20は、自身の計時機能により、測定日時を特定し、測定日時情報を生成する。
なお、ガス使用量情報に、今回のガス使用量のほか、前回のガス使用量を含ませても良い。また、測定日時情報に、今回の測定日時のほか、前回の測定日時及び前々回の測定日時を含ませても良い。今回の測定日時と前回の測定日時により、今回の使用期間(直近の期間)を特定でき、また、前回の測定日時と前々回の測定日時により、前回の使用期間を特定できる。このように特定される今回の使用期間及び前回の使用期間は、過去の2つの期間の一例である。
【0042】
ガス使用量の測定タイミングは、予め定められている日時である場合や予め定められている時間間隔である場合の他、管理サーバ40からの指示に応じて行うようにしてもよい。また、ガスの使用開始を検知したときや使用停止を検知したときには、ガス使用量の測定を行い、ガス機器作動情報として、ガス使用開始情報やガス使用停止情報を生成する。
【0043】
ガスメータ20の送受信部22は、ガス使用量の測定時または測定後の予め定められている日時に、ガス使用量情報を測定日時情報及び自身の識別情報と共に管理サーバ40に送信する(ステップ103)。また、取得した異常検知情報やガス機器作動情報も管理サーバ40に送信される。各種の情報は、送信するまでの間、ガスメータ20の記憶部に記憶される。
なお、異常検知情報を生成したときには、異常検知情報が警報表示部23にも送信され、ガスメータ20にて直ちに警報表示される。
【0044】
管理サーバ40において、送受信部41がガスメータ20から各種の情報を受信すると(ステップ104)、記憶部42に記憶される(ステップ105)。そして、料金算出部43は、ガスメータ20の識別情報から使用者の契約情報を取得し、基本料金と単位料金等及び割引の内容等を特定し、また、前回のガス使用量情報を取得する。そして、これらの情報及び今回のガス使用量情報により、ガス料金を算出し(ステップ106)、ガス料金情報を生成する。
かかるガス料金情報には、今回のガス料金とその内訳が含まれ、今回の使用期間も含まれ、さらに、使用者の氏名等の使用者に関する情報も含まれる。また、ガス料金情報には、前回のガス料金及び前回の使用期間の情報を含んでも良い。
【0045】
ガス使用量情報は、記憶部42に記憶され、予め定められているタイミングで送受信部41によりロボット30に送信される(ステップ107)。ガス使用量情報は、検針票に相当する用紙等により使用者に別途通知しても良い。
なお、送受信部41がガス機器作動情報を受信したときには、記憶部42に記憶されると共に、ロボット30に送信される。
【0046】
ロボット30において、送受信部31が、管理サーバ40からガス料金情報を受信すると(ステップ108)、記憶部32に記憶される(ステップ109)。
【0047】
そして、決定部36は、予め定められている条件を満たすかどうかを判断する。
まず、使用者がロボット30と会話しているときに、話題がこれから伝えようとする内容(伝える内容)に関するものであるかどうかを決定部36が判断する(ステップ110)。具体的には、会話中に「ガス」という単語や「料金」に関する単語が含まれていることである。「ガス」及び「料金」のいずれかの単語がある場合にのみ肯定的な判断をすることが考えられる。また、他の関連する単語を設定し、重み付けによる数値化により閾値との比較で判断することが考えられる。
会話の話題にからめて使用者にガス料金に関する情報を伝えることができ、使用者の利便性を高めることができる。かかる条件を満たすかどうかは、分析部35による分析結果により決定部36が決定する。
【0048】
使用者に伝える内容を話題とする会話をしていないと判断された場合(ステップ110でNo)、別の条件を満たすかどうかを判断する。すなわち、使用者の住居でガス機器の使用を開始したかどうかまたは使用を停止したかどうかを決定部36が判断する(ステップ111)。具体的には、送受信部31がガス機器作動情報(ガス使用開始情報またはガス使用停止情報)を受信したかどうかで判断される。ガス機器に注意が向いているときにガス料金に関する情報を伝えることができ、使用者の利便性を高めることができる。
【0049】
ガス機器の使用開始ないし停止であることが判断されると(ステップ111でYes)、取得部33(人感センサ307)の取得結果によりロボット30の周囲に人がいるか否かを決定部36が判断する(ステップ112)。ガス機器作動情報の受信は、使用者の操作による場合と、タイマー等の作動による場合とがあるが、後者の場合には周囲に人がいないことも想定される。人感センサ307の検知結果を用いることで、周囲に人がいないときには使用者に対する報知を行わず、その後にロボット30の周囲に人がいるようになったときに使用者に対する報知を行うことで、使用者の利便性を高めることができる。
【0050】
付言すると、ロボット30のカメラ302による動画により、来客中であることを検知したときには、使用者に対する報知を行わないという制御を行っても良い。来客中であるか否かは、使用者と同居する人をロボット30に事前に登録しておき、登録している人以外の人がいるか否かを判断する。また、カメラ302による動画ではなく、使用者から報知を行わないように指示があったときに、使用者に対する報知を行わないという制御を行っても良い。来客中であることや使用者から報知を行わないように指示があったことは、予め定められている条件の一例である。
【0051】
なお、本実施の形態では、予め定められている条件として、会話の内容(ステップ110)及びガス機器の状況(ステップ111)を採用しているが、いずれか一方のみを採用しても良い。また、人感センサ307の結果を用いる制御(ステップ112)の代わりに、操作ボタン306等の操作部37の操作がなされているか否かの検知結果を用いる制御を採用しても良い。また、人感センサ307の結果を用いる制御(ステップ112)を採用しているが、省略することも考えられ、ガス使用をトリガーとして、後述の報知が行われる。
【0052】
付言すると、毎月のガス料金請求額(検針票に相当する用紙)については、家庭内の人の在不在にかかわらず、ロボット30のモニタに表示することによる通知をすることもできる。
【0053】
使用者に伝える内容を話題とする会話をしている場合(ステップ110でYes)または周囲に人がいる場合(ステップ112でYes)は、記憶部32に記憶されたガス料金情報の一部又は全部再生部34により使用者に報知される(ステップ113)。また、それらの情報と共に或いはそれらの情報の代わりに、ガス料金情報を基に生成した情報(後述のアドバイス情報ないし付加情報)が再生部34により使用者に報知されても良い。
このように、本実施の形態では、使用者との会話中の予め定めた事象をトリガーとして使用者に報知したり、ガス使用をトリガーとして使用者に報知したりする。使用者に伝えるタイミングを使用者目線で設定することで、利便性の高い情報提供を実現することができる。
なお、ガス機器の使用開始ないし停止でない場合(ステップ111でNo)または周囲に人がいない場合(ステップ112でNo)、ステップ110に戻る。
【0054】
<通知システム1の会話例>
図6は、ロボット30と使用者との会話例を文字にして説明する図である。より詳細には、
図6は、
図5のS110及びS113の処理が行われる例を示す図であり、左側の文字がロボット30の声、右側の文字が使用者の声をそれぞれ示し、上から下に時系列に表している。
使用者がロボット30との会話(コミュニケーション)の途中で、「そろそろガスの検針をしてもらう頃かな?」と話しかけた場合(c11)、ロボット30は、使用者とのコミュニケーションにおいて、ガス使用量及びガス料金を使用者に伝えるタイミングを計っているときであり、使用者がそれに関連する単語「ガス」を話したと判断する(ステップ110でYesを参照)。
【0055】
ロボット30は、使用者に報知するタイミングが到来したとして、メモリ309に記憶されている使用料金に関する情報を使用者に伝えようとする。このため、ロボット30は、再生部34により「検針は終わってるよ。」と答え(c12)、続けて、ガス使用量情報及びガス料金情報である「ガス使用量は○○m3で、料金は×××円でした。」と伝える(c13)。これにより、適切なタイミングで、使用者に直近のガス使用量及びガス料金を知らせることができる。
【0056】
使用者が、ロボット30の報知に対し、「先週はどれくらいだった?」という質問をした場合(c14)、ロボット30は、先週の情報がメモリ309に記憶されている場合にはその情報、メモリ309に記憶されていない場合には管理サーバ40への問合せにより取得した情報を用いる。すなわち、「先週は、△△m3で、□□□円でした。」と答える(c15)。
【0057】
ロボット30において、決定部36は、先週と今週のガス使用量を比較したことにより、メモリ309に記憶している情報を用いてアドバイス情報ないし付加情報を生成する。
図6の場合では、省エネを喚起するアドバイス情報を生成し、再生部34を介して「先週よりも多く使っているから、節約した方がよいよ。」とアドバイスする(c16)。
なお、
図6の場合、使用者はアドバイスを受け入れ、「ありがとう。気をつけるね。」と答えている。
【0058】
このように、上記c16でのアドバイス情報は、直近の期間を含め過去の2つの期間のガス使用量ないしガス料金を比較し、省エネという観点で、記憶部32に記憶されている情報から選択された情報である。
ここにいう過去の2つの期間とは、この1週間とその前の1週間、今月と来月のようにインフラ系設備使用状態を把握するために比較する期間をいう。
各種のアドバイス情報は、付加情報に関する情報の一例である。
【0059】
他の例としては、この1週間のガス料金がさらに前の1週間と比べて、急激に増加しているので省エネの観点で注意した方が良いというアドバイス情報や、ここ数日のガス使用量が異常に増加しているのでガス漏れのおそれがあり、機器点検を受けた方が良いというアラート情報が例示される。アラート情報の場合、ロボット30が管理サーバ40に自動的にアラート情報を送信し、ガス会社から使用者に連絡をするという制御も考えられる。
省エネ以外の観点でもよく、例えば低コストという観点を挙げることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、ロボット30が管理サーバ40からガス料金情報等の各種情報を取得する構成を採用するが、これに限られず、ロボット30が管理サーバ40の機能を一部又は全部担うように構成することも考えられる。
また、本実施の形態では、アドバイス情報ないし付加情報をロボット30にて生成する構成を採用するが、これに限られず、管理サーバ40がアドバイス情報ないし付加情報の一部又は全部を生成するように構成することも考えられる。
【0061】
さらには、上述したが、使用者の家庭内の居住者が高齢者だけである場合、ロボット30の取得部33で音声又は動画で人を常に認識することで、人が動かない又は音声の反応がない場合、高齢者の体調に異変が生じている可能性がある。ロボット30が管理サーバ40に異変発生を通知することで、本実施の形態に係る通知システム1に高齢者見守り機能としての役割を持たせることが可能である。
【0062】
なお、本実施の形態は、ガス設備ないしガス機器についての適用例を説明したが、これに限られず、電気や水道等の他のライフラインの設備についても同様に適用することができる。例えば、水道の場合のアドバイス情報としては、ここ数日の水道使用量が異常に増加しているので水漏れのおそれがあるというアラート情報を挙げることができる。
インフラ系設備とは、ガス、電気、水道等のライフラインの設備をいう。ガス機器は、インフラ系設備の一例である。通知システム1は、インフラ系設備の関連情報を使用者に通知する。
【0063】
また、本実施の形態は、ガス使用量情報やガス料金情報を提供する構成例を説明したが、これに限られず、電気、水道などの使用量や使用料金を含む情報、さらには、それらの使用に関するアドバイスをも含み得る情報を提供する場合にも適用することができる。
本実施の形態に係る通知システム1は、ガス等のインフラ系設備使用量又はインフラ系設備使用料金に関連する情報を使用者に伝えるシステムである。
ここで、設備使用情報とは、ガス、電気、水道などの使用量や使用料金を含む情報をいい、さらには、それらの使用に関するアドバイスをも含み得る情報をいう。ガス使用量情報やガス料金情報は、設備使用情報の一例である。ガス使用量は、設備使用量の一例である。ガス料金情報は、使用料金に関する情報の一例である。
【0064】
<プログラムの説明>
ここで、以上説明を行った本実施の形態におけるロボット30が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。そして、この処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、端末装置10に設けられたコンピュータ内部の図示しないCPUが、上述した各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
【0065】
よって、本実施の形態で、ロボット30が行う処理は、コンピュータに、インフラ系設備に関する情報提供装置から、使用者がインフラ系設備を使用したことに関する設備使用情報を取得する使用情報取得機能と、取得した設備使用情報を記憶する記憶機能と、使用者との予め定められたコミュニケーションのタイミングで、記憶されている設備使用情報を使用者に提供する提供機能と、を実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。
【0066】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、ネットワーク70等の通信手段により提供することはもちろんCD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…通知システム、20…ガスメータ、30…ロボット、31、41…送受信部、32…記憶部、34…再生部、36…決定部、40…管理サーバ、43…料金算出部