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特許7554632運動療法サポートシステム及び運動療法サポート方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】運動療法サポートシステム及び運動療法サポート方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20240912BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20240912BHJP
   A63B 22/06 20060101ALN20240912BHJP
   G16H 20/00 20180101ALN20240912BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALN20240912BHJP
   G16Y 10/65 20200101ALN20240912BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALN20240912BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALN20240912BHJP
   A61B 5/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
A63B69/00 C
A63B71/06 J
A63B22/06 G
G16H20/00
G16Y10/60
G16Y10/65
G16Y40/10
G16Y40/20
A61B5/00 102C
A61B5/00 102B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020180105
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071255
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】520219818
【氏名又は名称】一般社団法人日本遠隔運動療法協会
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】伊東 秀崇
(72)【発明者】
【氏名】伊東 春樹
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-057082(JP,A)
【文献】特開平11-253572(JP,A)
【文献】特開2018-045393(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2020-0109719(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが運動処方に基づき行う運動の負荷データを、前記運動中に取得し、
前記ユーザの生体データを測定する生体データ測定デバイスが、前記運動前後及び前記運動中に測定した前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データに基づき、前記運動処方を前記運動中に評価し、
評価結果を、少なくとも、前記ユーザを指導する指導者の端末装置である指導者端末装置に前記運動中に提示する
運動療法モジュールと、
前記負荷データ及び前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データと、前記運動処方とに基づき、前記運動処方に基づく運動の効果を高めるための教育情報を選択し、
選択された前記教育情報を、少なくとも、前記ユーザの端末装置であるユーザ端末装置に前記運動中に提示する
教育モジュールと、
前記ユーザ端末装置を介して前記ユーザが、前記指導者端末装置を介して前記指導者と、及び、同時に運動している1以上の他のユーザの1以上のユーザ端末装置を介して前記1以上の他のユーザと、前記運動中のコミュニケーションを可能にする継続支援モジュールと
を具備する運動療法サポートシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記継続支援モジュールは、前記運動中のコミュニケーションとして、1対1の通話又はテレビ電話及び1対多の通話又はテレビ電話を選択的に可能にする
運動療法サポートシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
前記運動処方の評価として、前記運動処方を変更することを、前記運動中に判断し、
前記運動の負荷を変更する指示を出力するための要求を、前記運動中に、前記指導者端末装置に提示し、
前記指導者端末装置からの出力に従って、前記運動処方を変更する指示を、前記運動中に、前記ユーザ端末装置に提示する
運動療法サポートシステム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記ユーザが前記運動処方に基づき行う運動は、運動器具を用いた運動であり、
前記運動器具は、エルゴメータであり、
前記エルゴメータは、自転車エルゴメータ又はトレッドミルエルゴメータであり、
前記生体データ測定デバイスは、電子体温計、電子血圧計、経皮酸素飽和度計、脈波計、心拍数計及び/又は心電計である
運動療法サポートシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
前記運動処方の評価として、前記運動を規制することを、前記運動中に判断し、
前記運動を規制する指示を出力するための要求を、前記運動中に、前記指導者端末装置に提示し、
前記指導者端末装置からの出力に従って、前記運動を規制する指示を、前記運動中に、前記ユーザ端末装置に提示する
運動療法サポートシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
前記指導者端末装置に対するアラームを出力するためのアラームボタンを、前記運動中に、前記ユーザ端末装置に提示し、
前記ユーザ端末装置からの出力に従って、緊急連絡のオプションを、前記運動中に、前記指導者端末装置に提示し、
前記緊急連絡のオプションは、ユーザの家人への連絡、駆け付けサービスへの連絡、救急車要請及び/又は担当医への連絡を含む
運動療法サポートシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
前記運動中に測定した前記生体データをリアルタイムで取得し人工知能で学習させ、前記運動中に前記運動のリスクを評価し、
前記運動中に、前記運動のリスクを、少なくとも、前記指導者端末装置に提示する
運動療法サポートシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
前記運動中に測定した心電図の前記生体データをリアルタイムで取得し前記人工知能で学習させ、致死的な不整脈や心筋虚血を含む有害事象の出現を出現前に予測し、
前記運動中に、前記致死的な不整脈を含む有害事象の出現を予測したことを、少なくとも、前記指導者端末装置に提示する
運動療法サポートシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
人工知能を用いて、健診データ及び各種カルテからのデータを用いて事前に学習させてビッグデータを蓄積し、前記ビッグデータと、前記測定された運動中の前記負荷データ及び前記生体データとに基づき、前記運動処方に基づく運動の効果を予測する
運動療法サポートシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、
前記運動中に、前記負荷データ及び前記運動処方に基づき前記指導者からの逐次の指示を人工知能で学習し、
前記運動中に、前記指導者がどのようなタイミングでどのような指示を出しているのかを、前記指導者端末装置に提示する
を更に具備する運動療法サポートシステム。
【請求項11】
請求項に記載の運動療法サポートシステムであって、
前記運動療法モジュールは、前記運動器具の負荷データを測定する負荷測定デバイスが、前記ユーザが前記運動処方に基づき前記運動器具を用いて運動中に測定した前記負荷データを、前記運動中に取得する
運動療法サポートシステム。
【請求項12】
運動療法モジュールが、
ユーザが運動処方に基づき行う運動の負荷データを、前記運動中に取得し、
前記ユーザの生体データを測定する生体データ測定デバイスが、前記運動前後及び前記運動中に測定した前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データに基づき、前記運動処方を前記運動中に評価し、
評価結果を、少なくとも、前記ユーザを指導する指導者の端末装置である指導者端末装置に前記運動中に提示し、
教育モジュールが、
前記負荷データ及び前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データと、前記運動処方とに基づき、前記運動処方に基づく運動の効果を高めるための教育情報を選択し、
選択された前記教育情報を、少なくとも、前記ユーザの端末装置であるユーザ端末装置に前記運動中に提示し、
継続支援モジュールが、
前記ユーザ端末装置を介して前記ユーザが、前記指導者端末装置を介して前記指導者と、及び、同時に運動している1以上の他のユーザの1以上のユーザ端末装置を介して前記1以上の他のユーザと、前記運動中のコミュニケーションを可能にする
運動療法サポート方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運動療法(リハビリテーション)を行うユーザをサポートする運動療法サポートシステム及び運動療法サポート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人類の死亡原因の第1位は心疾患であり、日本においても悪性新生物に続き第2位に位置する。さらに心大血管疾患としては第3位の脳血管障害と併せ、国民の生命を脅かす重要な疾患群である。しかし、WHOによれば適切な運動、食事と禁煙により心疾患と2型糖尿病の8割、がんの4割が予防できるとされ、生活習慣の改善は重篤な非感染性疾患予防のために必須の対策である。一方、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、すべての心疾患の終末像である心不全に対する運動療法(リハビリテーション。特に、心臓リハビリテーション)は、強いエビデンスを有する治療法であり、平成30年成立の循環器病対策基本法においても良質かつ適切な運動療法の迅速な提供、継続的かつ総合的な提供が求められている。心筋梗塞では死亡率の20%以上の減少、心不全では30%程度の再入院を減らすとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-057082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、週に複数回の通院型の運動療法は高齢者や家族にとっては時間的・距離的障壁が高く、最近の心不全に対するAMED(日本医療研究開発機構)の研究の結果では、急性期から回復期・維持期の運動療法ビリテーションを実施し得た例はわずか数%である。現在のCOVID-19拡大による外来運動療法の中断は、急性心筋梗塞患者および心不全患者の増悪を助長するため、各々年間約4千例、10万8千例、合計約11万例の新たな再入院の発生が試算される。この二つの疾病だけでも死亡例は約4万例増加する可能性がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本開示の目的は、運動療法を行うユーザをサポートすること、特に、医療機関以外の場所で(遠隔で)運動療法を行うユーザをサポートすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る運動療法サポートシステムは、
ユーザが運動処方に基づき運動器具を用いて行う運動の負荷データを、前記運動中に取得し、
前記ユーザの生体データを測定する生体データ測定デバイスが、前記運動前後及び前記運動中に測定した前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データに基づき、前記運動処方を前記運動中に評価し、
評価結果を、少なくとも、前記ユーザを指導する指導者の端末装置である指導者端末装置に前記運動中に提示する
運動療法モジュールと、
前記負荷データ及び前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データと、前記運動処方とに基づき、前記運動処方に基づく運動の効果を高めるための教育情報を選択し、
選択された前記教育情報を、少なくとも、前記ユーザの端末装置であるユーザ端末装置に前記運動中に提示する
教育モジュールと、
前記ユーザ端末装置を介して前記ユーザが、前記指導者端末装置を介して前記指導者と、及び、同時に運動している1以上の他のユーザの1以上のユーザ端末装置を介して前記1以上の他のユーザと、前記運動中のコミュニケーションを可能にする継続支援モジュールと
を具備する。
【0007】
運動療法モジュールにより、指導者は、提示された評価結果に基づき、運動処方に従った各ユーザの運動が適切であるか、あるいは、ユーザに対して運動処方が不適切であるかを判断し、ユーザに評価結果を伝えることができる。教育モジュールにより、ユーザは、運動中に、運動処方に基づく運動の効果を高めるためのEラーニングコンテンツを視聴することができる。継続支援モジュールにより、運動療法を集団で行う(複数のユーザとコミュニケーションをとりながら行う)ことで、単独で行う運動療法に比べて、運動療法の効果を高めることを図れるとともに、指導者からのカウンセリングや指導を加えて包括的な運動療法を行うことで、さらに運動療法の効果を高めることを図れる。
【0008】
前記継続支援モジュールは、前記運動中のコミュニケーションとして、1対1の通話又はテレビ電話及び1対多の通話又はテレビ電話を選択的に可能にする。
【0009】
ユーザと指導者との1対1の通話又はテレビ電話により指導を加えたり、ユーザ同士の1対多の通話又はテレビ電話によりユーザのモチベーションを維持することで、各ユーザの運動療法の継続を効果的に支援することができる。
【0010】
前記運動療法モジュールは、
前記運動処方の評価として、前記運動処方を変更することを、前記運動中に判断し、
前記運動の負荷を変更する指示を出力するための要求を、前記運動中に、前記指導者端末装置に提示し、
前記指導者端末装置からの出力に従って、前記運動処方を変更する指示を、前記運動中に、前記ユーザ端末装置に提示する。
【0011】
これにより、指導者は、運動療法モジュールによる評価結果(運動処方を変更)に基づき、運動中に即座に、ユーザに運動処方の変更を指導することができるので、ユーザが危険に陥ることを回避できる。
【0012】
前記ユーザが前記運動処方に基づき行う運動は、運動器具を用いた運動であり、
前記運動器具は、エルゴメータであり、
前記エルゴメータは、自転車エルゴメータ又はトレッドミルエルゴメータであり、
前記生体データ測定デバイスは、電子体温計、電子血圧計、経皮酸素飽和度計、脈波計、心拍数計及び/又は心電計である。
【0013】
様々な生体データ測定デバイスからの生体データを利用することで、運動療法モジュールは、運動中に、より正確かつ迅速に運動処方を評価することを図れる。
【0014】
前記運動療法モジュールは、
前記運動処方の評価として、前記運動を規制することを、前記運動中に判断し、
前記運動を規制する指示を出力するための要求を、前記運動中に、前記指導者端末装置に提示し、
前記指導者端末装置からの出力に従って、前記運動を規制する指示を、前記運動中に、前記ユーザ端末装置に提示する。
【0015】
これにより、指導者は、運動療法モジュールによる評価結果(運動の規制)に基づき、運動中に即座に、ユーザに運動の規制(中止)を指導することができるので、ユーザが危険に陥ることを回避できる。
【0016】
前記運動療法モジュールは、
前記指導者端末装置に対するアラームを出力するためのアラームボタンを、前記運動中に、前記ユーザ端末装置に提示し、
前記ユーザ端末装置からの出力に従って、緊急連絡のオプションを、前記運動中に、前記指導者端末装置に提示し、
前記緊急連絡のオプションは、ユーザの家人への連絡、駆け付けサービスへの連絡、救急車要請及び/又は担当医への連絡を含む。
【0017】
これにより、指導者は、運動中に即座に、適切な連絡先に緊急連絡することができる。
【0018】
前記運動療法モジュールは、
前記運動中に測定した前記生体データをリアルタイムで取得し人工知能で学習させ、前記運動中に前記運動のリスクを評価し、
前記運動中に、前記運動のリスクを、少なくとも、前記指導者端末装置に提示する。
【0019】
これにより、運動中に、指導者やユーザがリスクを初期に検知することが可能となる。
【0020】
前記運動療法モジュールは、
前記運動中に測定した心電図の前記データをリアルタイムで取得し前記人工知能で学習させ、致死的な不整脈や心筋虚血を含む有害事象の出現を出現前に予測し、
前記運動中に、前記致死的な不整脈や心筋虚血を含む有害事象の出現を予測したことを、少なくとも、前記指導者端末装置に提示する。
【0021】
これにより、運動中に、指導者やユーザがリスクを初期に検知することが可能となる。
【0022】
前記運動療法モジュールは、
人工知能を用いて、健診データ及び各種カルテからのデータを用いて事前に学習させてビッグデータを蓄積し、前記ビッグデータ及び前記測定された運動中の前記負荷データ及び前記生体データに基づき、前記運動処方に基づく運動の効果を予測する。
【0023】
運動療法サポートシステムによれば、包括的なデータをビッグデータとして蓄積し、人工知能を用いた最適介入システムを実現し、指導者からユーザへの指示や指導などで介入することで、さらに運動療法の効果を高めることを図れる。
【0024】
前記運動療法モジュールは、
前記運動中に、前記負荷データ及び前記運動処方に基づき前記指導者からの逐次の指示を人工知能で学習し、
前記運動中に、前記指導者がどのようなタイミングでどのような指示を出しているのかを、前記指導者端末装置に提示する。
【0025】
これにより、指導者による指導のばらつきが減り、各指導者が適切にユーザに指示を出すことを図れる。
【0026】
前記運動療法モジュールは、前記運動器具の負荷データを測定する負荷測定デバイスが、前記ユーザが前記運動処方に基づき前記運動器具を用いて運動中に測定した前記負荷データを、前記運動中に取得してもよい。
【0027】
これにより、例えば、運動器具が自転車エルゴメータである場合、負荷測定デバイスは、ユーザが運動処方に基づき運動器具を用いて運動中に負荷データ(例えば、ワット数、ペダルの回転数)をリアルタイムで測定することができる。運動療法サポートシステムは、ユーザが運動処方に基づき運動器具を用いて運動中に、負荷測定デバイスがリアルタイムで測定した負荷データを、リアルタイムでモニターすることができる。
【0028】
本開示の一形態に係る運動療法サポート方法は、
運動療法モジュールが、
ユーザが運動処方に基づき行う運動の負荷データを、前記運動中に取得し、
前記ユーザの生体データを測定する生体データ測定デバイスが、前記運動前後及び前記運動中に測定した前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データに基づき、前記運動処方を前記運動中に評価し、
評価結果を、少なくとも、前記ユーザを指導する指導者の端末装置である指導者端末装置に前記運動中に提示し、
教育モジュールが、
前記負荷データ及び前記生体データを、前記運動中に取得し、
前記負荷データ及び/又は前記生体データと、前記運動処方とに基づき、前記運動処方に基づく運動の効果を高めるための教育情報を選択し、
選択された前記教育情報を、少なくとも、前記ユーザの端末装置であるユーザ端末装置に前記運動中に提示し、
継続支援モジュールが、
前記ユーザ端末装置を介して前記ユーザが、前記指導者端末装置を介して前記指導者と、及び、同時に運動している1以上の他のユーザの1以上のユーザ端末装置を介して前記1以上の他のユーザと、前記運動中のコミュニケーションを可能にする。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、運動療法を行うユーザをサポートすること、特に、医療機関以外の場所で(遠隔で)運動療法を行うユーザをサポートすることを図れる。
【0030】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の一実施形態に係る運動療法サポートシステムの概要を示す。
図2】運動療法サポートシステムの機能的構成を示す。
図3】指導者アプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対多通話又はテレビ電話)画面を示す。
図4】指導者アプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面を示す。
図5】指導者アプリケーションプログラムの会員情報画面を示す。
図6】指導者アプリケーションプログラムの緊急連絡ウィンドウを示す。
図7】ユーザアプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面を示す。
図8】ユーザアプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対多通話又はテレビ電話)画面を示す。
図9】ユーザアプリケーションプログラムのEラーニング画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
【0033】
1.運動療法サポートシステムの概要
【0034】
図1は、本開示の一実施形態に係る運動療法サポートシステムの概要を示す。
【0035】
運動療法サポートシステム10は、インターネット等のネットワークNを介して、複数のユーザ端末装置20及び指導者端末装置30と通信可能に接続される。運動療法サポートシステム10は、ネットワークを介して又は介さずに、人工知能40及びユーザ情報データベース50と通信可能に接続される。運動療法サポートシステム10は、指導者端末装置30と複数のユーザ端末装置20とのネットワークNを介したコミュニケーション(1対1の通話又はテレビ電話及び1対多のオンライン通話又はテレビ電話)を可能にする。また、運動療法サポートシステム10は、ユーザ情報データベース50に蓄積されたデータに基づき、通話又はテレビ電話中に、指導者端末装置30及び複数のユーザ端末装置20に様々なデータ及び情報を供給する。さらに、運動療法サポートシステム10は、通話又はテレビ電話中に、指導者端末装置30及び複数のユーザ端末装置20から様々な情報を取得して人工知能40に学習させ、学習により得られた情報を指導者端末装置30及び複数のユーザ端末装置20に供給し、ユーザ情報データベース50に蓄積する。運動療法サポートシステム10は、1又は複数のハードウェアモジュール及び1又は複数のソフトウェアモジュールからなり、その具体的な構成は限定されない。
【0036】
指導者端末装置30は、複数のユーザを使用する指導者が使用する端末装置(パーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォン等)である。「ユーザ」は、運動療法を実行する者(リハビリテーションを行う患者)である。「指導者」は、ユーザ(患者)を指導する者であり、例えば、健康運動指導士、心臓リハビリテーション指導士、看護師、公認心理師、管理栄養士、理学療法士又は医師等である。
【0037】
複数のユーザ端末装置20は、複数のユーザ(患者)がそれぞれ使用する端末装置(パーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォン等)である。以下、特記しない限り1個のユーザ端末装置20を説明する。各ユーザ端末装置20は、負荷測定デバイス60及び生体データ測定デバイス70と、ネットワーク又は近距離無線通信(Bluetooth(登録商標)等)を介して、通信可能に接続される。
【0038】
負荷測定デバイス60は、ユーザが運動処方に基づき運動器具61(運動器具)を用いて運動中に、運動器具61の負荷データを測定する。運動器具61は、例えば、エルゴメータである。エルゴメータは、自転車エルゴメータ、トレッドミルエルゴメータ、ステップマシン型エルゴメータ等である。「負荷データ」は、運動器具61の仕事率及び運動開始からの経過時間に基づく。「仕事率」は、自転車エルゴメータではトルク(Nm:ニュートンメータ)及び回転数(RPM)等を含み、トレッドミルエルゴメータでは傾斜および速度等を含む。ユーザが運動器具61を用いて設定した負荷データを、ユーザ端末装置20にリアルタイムで送信し続ける。負荷測定デバイス60は、典型的には運動器具61に内蔵であるが、運動器具61と通信可能な外部デバイスでもよい。
【0039】
例えば、運動器具61が自転車エルゴメータである場合、負荷測定デバイス60は、ユーザが運動処方に基づいて運動器具61に設定(入力)した仕事率(ワット数)と、ペダルの回転数をリアルタイムでモニターする。運動器具61が自転車エルゴメータである場合、「負荷」は、仕事率(ワット数)と、ペダルの回転数とに基づく。
【0040】
生体データ測定デバイス70は、ユーザが運動処方に基づき運動器具61を用いて運動中に、ユーザの生体データを測定する。生体データ測定デバイス70は、例えば、電子体温計、電子血圧計、経皮酸素飽和度計、心拍数計(例えば、リストバンド等のウェアラブル型)、脈拍数計、及び/又は心電計である。生体データ測定デバイス70は、さらに、ユーザの表情をキャプチャするカメラ及び/又はユーザの発声をキャプチャするマイクロフォンを含んでもよい。「生体データ」は、体温(℃)、血圧(mmHg)、酸素飽和度(経皮酸素飽和度)(%)、心拍数及び脈拍数、心電図等を含む。生体データ測定デバイス70は、ユーザが運動器具61を用いて運動中に測定した生体データを、ユーザ端末装置20にリアルタイムで送信し続ける。
【0041】
ユーザは、運動処方に基づきボールやバンド等の運動器具を用いて運動する。また、ユーザは、運動処方に基づき、重力を使って、特別な運動器具を使わずにレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)やエアロビクス運動、ストレッチ体操等の運動をする。ユーザは、運動中に、負荷データをユーザ端末装置20に入力する。ボールやバンド等の運動器具による運動や、レジスタンストレーニングやエアロビクス運動、ストレッチ体操等の運動の負荷データは、自覚的運動強度(RPE:Rating of Perceived Exertion)を含む。
【0042】
ユーザ端末装置20は、負荷測定デバイス60からの負荷データ及びユーザが入力した負荷データと、生体データ測定デバイス70からの生体データと、リアルタイムで運動療法サポートシステム10に供給し続ける。
【0043】
2.運動療法サポートシステムの機能的構成
【0044】
図2は、運動療法サポートシステムの機能的構成を示す。
【0045】
ユーザ端末装置20は、制御回路21と、制御回路21と通信可能に接続された入力装置22、出力装置23、ネットワーク通信インターフェース24及び近距離無線通信インターフェース25とを有する。制御回路21において、CPUは、ROMが記憶するユーザアプリケーションプログラム201をRAMにロードして実行する。入力装置22は、キーボード又はタッチパネル等の操作入力装置と、カメラ等の画像入力装置と、マイクロフォン等の音声入力装置とを含む。出力装置23は、ディスプレイ又はタッチパネル等の表示出力装置と、スピーカ等の音声出力装置とを含む。ネットワーク通信インターフェース24は、ネットワークNを介した通信を実現するインターフェースである。近距離無線通信インターフェース25は、近距離無線通信(Bluetooth(登録商標)等)を介した通信を実現するインターフェースである。
【0046】
指導者端末装置30は、制御回路31と、制御回路31と通信可能に接続された入力装置32、出力装置33及びネットワーク通信インターフェース34とを有する。制御回路31において、CPUは、ROMが記憶する指導者アプリケーションプログラム301をRAMにロードして実行する。入力装置32は、キーボード又はタッチパネル等の操作入力装置と、カメラ等の画像入力装置と、マイクロフォン等の音声入力装置とを含む。出力装置33は、ディスプレイ又はタッチパネル等の表示出力装置と、スピーカ等の音声出力装置とを含む。ネットワーク通信インターフェース34は、ネットワークNを介した通信を実現するインターフェースである。
【0047】
ユーザアプリケーションプログラム201及び指導者アプリケーションプログラム301は、オンラインコミュニケーション(1対1の通話又はテレビ電話及び1対多の通話又はテレビ電話)を可能にするアプリケーションプログラムである。ユーザアプリケーションプログラム201及び指導者アプリケーションプログラム301は、特にユーザが運動器具61を用いて運動中に、オンラインコミュニケーションを可能にする。ユーザアプリケーションプログラム201及び指導者アプリケーションプログラム301は、別個のアプリケーションプログラムでもよい。あるいは、ユーザアプリケーションプログラム201及び指導者アプリケーションプログラム301は、ログイン時の権限に応じてユーザアプリケーション又は指導者アプリケーションとして振る舞う共通のアプリケーションプログラムでもよい。
【0048】
運動療法サポートシステム10は、運動療法モジュール101と、教育モジュール102と、継続(adherence)支援モジュール103とをインテグレートしたシステムである。継続支援モジュール103は、ユーザが運動器具61を用いて運動中に、指導者アプリケーションプログラム301及びユーザアプリケーションプログラム201を介して、指導者と1以上のユーザとのオンラインコミュニケーション(1対1の通話又はテレビ電話及び1対多の通話又はテレビ電話)を可能にする。運動療法モジュール101は、指導者アプリケーションプログラム301及びユーザアプリケーションプログラム201を介して、ユーザ毎にユーザ情報データベース50に蓄積された情報を指導者及び各ユーザに提供したり、この情報を評価して評価結果を提供したりする。教育モジュール102は、ユーザ毎に教育情報を選択し、指導者アプリケーションプログラム301及びユーザアプリケーションプログラム201を介して、指導者及び各ユーザに教育情報を提供したりする。「教育情報」は、例えば、Eラーニングコンテンツの情報(タイトル及びURL等)を示す。運動療法サポートシステム10は、1又は複数のハードウェアモジュール(言い換えれば、1又は複数のコンピュータ)により実現される。運動療法サポートシステム10が1個のハードウェアモジュール(コンピュータ)により実現される場合、1個のコンピュータは、複数のソフトウェアプログラムを実行することにより、運動療法モジュール101と、教育モジュール102と、継続支援モジュール103とを実現する。一方、運動療法サポートシステム10が複数のハードウェアモジュール(コンピュータ)により実現される場合、複数のコンピュータは、それぞれ複数のソフトウェアプログラムを実行することにより、運動療法モジュール101と、教育モジュール102と、継続支援モジュール103とを実現する。
【0049】
ユーザ情報データベース50は、ユーザ毎に、ユーザ情報、運動療法情報、教育コンテンツ情報及び継続支援情報を互いに関連付けて記憶する。運動療法情報は運動療法モジュール101により、教育コンテンツ情報は教育モジュール102により、継続支援情報は継続支援モジュール103により、主にアクセスされ利用される情報である。
【0050】
ユーザ情報は、ユーザの個人情報、緊急連絡情報、所見等を含む。「個人情報」は、氏名、年齢、画像(顔写真)データ、連絡先情報(ログイン情報、電話番号、メールアドレス)等を含む。「緊急連絡情報」は、緊急連絡先(家人の続柄、電話番号)、近隣消防署の名称及び電話番号、担当医の氏名及び電話番号、駆け付けサービスの名称及び電話番号等を含む。「所見」は、(1)直近の体調、病歴、薬歴及び検査結果履歴、(2)運動処方の履歴及び目標値の閲覧、(3)過去の運動時間、心拍数、心電図、心拍数トレンドグラフ、脈拍数、経皮酸素飽和度、の履歴、(4)仕事率(負荷W)、回転数(RPM)の履歴、(5)日別の処方結果レポート、(6)運動療法サポートシステム10との連携状況、(7)対応履歴(苦情の有無、会費納入状況等)、(8)健診データ及び(9)各種カルテからのデータ等を含む。
【0051】
運動療法情報は、運動処方(運動処方箋とも呼ばれる)を含む。「運動処方」は、ユーザ毎に異なり、運動器具61を用いて運動する際に目標とする各種数値を含む。運動処方は、ユーザの生体データ(血圧、経皮酸素飽和度、心拍数又は脈拍等)の目標値を含む。運動処方は、さらに、運動器具61の仕事率の目標値、トルク(Nm)、回転数(RPM))と、運動継続時間とを含んでもよい。
【0052】
教育コンテンツ情報は、ユーザ毎の、Eラーニングコンテンツの視聴履歴、推薦すべきEラーニングコンテンツの教育情報(タイトル及びURL等)等を含む。
【0053】
継続支援情報は、運動療法の直近の開始予定日時(予約日時)、担当の指導士の氏名等を含む。
【0054】
3.運動療法サポートシステムの動作例
【0055】
以下、運動療法サポートシステム10の動作例を、(1)継続支援モジュール103の動作、(2)教育モジュール102の動作、(3)運動療法モジュール101の動作、に分けて説明する。
【0056】
(1)継続支援モジュールの動作
【0057】
継続支援モジュール103は、ユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201を介してユーザが、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301を介して指導者と、運動中のコミュニケーションとして、1対1の通話又はテレビ電話を可能にする。さらに、継続支援モジュール103は、ユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201を介してユーザが、同時に運動している1以上の他のユーザの1以上のユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201を介して1以上の他のユーザ及び指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301を介して指導者と、運動中のコミュニケーションとして、1対多の通話又はテレビ電話を可能にする。言い換えれば、継続支援モジュール103は、運動中のコミュニケーションとして、1対1の通話又はテレビ電話及び1対多の通話又はテレビ電話を選択的に可能にする。具体的なユースケースを以下に説明する。
【0058】
予め、複数のユーザが同時に(同じ開始予定日時に)運動を開始することが予定されている。複数のユーザは、典型的には、それぞれ、別々の場所(自宅、医療施設等)に居る。開始予定日時になると、各ユーザは、ユーザアプリケーションプログラム201を用いて運動療法サポートシステム10にログインする。ユーザアプリケーションプログラム201の画面には、ユーザ毎の運動処方が表示される。各ユーザは、表示された運動処方に運動器具61を用いて運動を開始する。負荷測定デバイス60は、ユーザが運動器具61を用いて運動中に測定した負荷データを、ユーザ端末装置20にリアルタイムで送信し続ける。生体データ測定デバイス70は、ユーザが運動器具61を用いて運動中に測定した生体データを、ユーザ端末装置20にリアルタイムで送信し続ける。ユーザは、運動処方に基づきボールやバンド等の運動器具を用いて運動中に、ユーザの負荷データをユーザ端末装置20に入力する。ユーザ端末装置20は、ユーザアプリケーションプログラム201へのログイン情報を運動療法サポートシステム10に送信し、さらに、負荷データ及び生体データをリアルタイムで運動療法サポートシステム10に供給し続ける。一方、開始予定日時になると、指導者も、指導者アプリケーションプログラム301を用いて運動療法サポートシステム10にログインする。
【0059】
運動療法サポートシステム10の継続支援モジュール103は、ユーザアプリケーションプログラム201にログインした複数のユーザ(同時に運動中の複数のユーザ)のユーザ情報(本例では、ユーザの氏名及び画像(顔写真)データ)を、指導者端末装置30の指導者アプリケーションプログラム301と、各ユーザ端末装置20のユーザアプリケーションプログラム201とに送信する。継続支援モジュール103は、各ユーザ端末装置20からリアルタイムに受信し続ける負荷データ、負荷データ及び生体データを、指導者アプリケーションプログラム301に送信し続ける。これにより、指導者は、指導者アプリケーションプログラム301を介して、運動中のコミュニケーションとして、複数のユーザと1対多で通話又はテレビ電話し、又は、選択した1人のユーザと1対1で通話又はテレビ電話することができる。逆に、ユーザは、ユーザアプリケーションプログラム201を介して、運動中のコミュニケーションとして、指導者及び複数のユーザと1対多で通話又はテレビ電話し、又は、指導者と1対1で通話又はテレビ電話することができる。これにより、運動療法を集団で行う(参加者どうしでコミュニケーションをとりながら行う)ことで、単独で行う運動療法に比べて、運動療法の効果を高めることを図れるとともに、指導者からのカウンセリングや指導を加えて包括的な運動療法を行うことで、さらに運動療法の効果を高めることを図れる。
【0060】
(2)教育モジュールの動作
【0061】
運動療法サポートシステム10の教育モジュール102は、各ユーザのユーザ端末装置20から運動中にリアルタイムに受信し続ける負荷データ、負荷データ及び/又は生体データと、各ユーザの運動処方とに基づき、各ユーザの運動処方に基づく運動の効果を高めるための教育情報を選択する。教育モジュール102は、選択された教育情報を、少なくとも、各ユーザのユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201に運動中に提示する。教育モジュール102は、さらに、選択された教育情報を、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に運動中に提示してもよい。「教育情報」は、例えば、Eラーニングコンテンツの情報(タイトル及びURL等)を示す。これにより、ユーザは、ユーザアプリケーションプログラム201を介して、運動中に、運動処方に基づく運動の効果を高めるためのEラーニングコンテンツを視聴することができる。
【0062】
例えば、教育モジュール102は、運動中の血圧が高ければ、「高血圧の食事療法のポイント」、「お薬と上手に付き合う方法:高血圧の薬」、「危険因子の重要性:高血圧」等のEラーニングコンテンツの教育情報を選択し、選択した教育情報をユーザアプリケーションプログラム201に送信し、Eラーニングコンテンツの視聴を勧める。それぞれのEラーニングコンテンツの最後には理解を確認するためのクイズがある。ユーザがユーザアプリケーションプログラム201を介して回答すると、指導者は、指導者アプリケーションプログラム301を介して回答結果を知ることができる。その結果、指導者は、運動中のコミュニケーションとして、そのEラーニングコンテンツの内容を解説したり、再視聴や関連Eラーニングコンテンツを勧めたり、別の職種の指導者による1対1の健康相談に誘導したりすることができる。
【0063】
別の例として、運動処方通り週に5回運動を行っている糖尿病のユーザが、HbA1cが改善しないとする。この場合、教育モジュール102は、「運動プログラム:レジスタンストレーニング」等のEラーニングコンテンツの教育情報を選択し、選択した教育情報をユーザアプリケーションプログラム201に送信し、Eラーニングコンテンツの視聴を勧め、レジスタンストレーニングの併用を促す。また、教育モジュール102は、「危険因子の重要性:糖代謝異常」等のEラーニングコンテンツの教育情報を選択し、選択した教育情報をユーザアプリケーションプログラム201に送信し、Eラーニングコンテンツの視聴を勧め、糖尿病コントロールの意義の理解を促す。教育モジュール102は、ユーザアプリケーションプログラム201を介して、ユーザの日常の食事の写真を送信させ、画像処理により食事内容を評価し、評価した食事内容から食事療法のEラーニングコンテンツを選択したり、管理栄養士との健康相談を勧めてもよい。
【0064】
(3)運動療法モジュールの動作
【0065】
運動療法サポートシステム10の運動療法モジュール101は、各ユーザのユーザ端末装置20から運動中にリアルタイムに受信し続ける負荷データ、負荷データ及び/又は生体データに基づき、運動処方を運動中に評価し、評価結果を、少なくとも、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に運動中に提示する。これにより、指導者は、指導者アプリケーションプログラム301に提示された評価結果に基づき、運動処方に従った各ユーザの運動が適切であるか、あるいは、ユーザに対して運動処方が不適切であるかを判断し、ユーザアプリケーションプログラム201を介してユーザに評価結果を伝えることができる。運動療法モジュール101は、さらに、評価結果を、各ユーザのユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201に運動中に提示してもよい。これにより、ユーザは、ユーザアプリケーションプログラム201に提示された評価結果に基づき、運動処方に従った各ユーザの運動が適切であるか、あるいは、ユーザに対して運動処方が不適切であるかを判断し、必要に応じて、運動処方のアドバイスを運動中に指導者に求めることができる。
【0066】
具体的には、運動療法モジュール101は、運動処方の評価として、運動処方を変更することを、運動中に判断し、運動処方を変更する指示を出力するための要求を、運動中に、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に提示する。運動療法モジュール101は、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301からの出力に従って、運動処方を変更する指示を、運動中に、ユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201に提示する。例えば、運動療法モジュール101は、運動中の血圧が高ければ、仕事率を低下(運動処方を変更)することを、運動中に判断し、仕事率を低下する指示を出力するための要求を、運動中に、指導者アプリケーションプログラム301に提示する。指導者は、指導者アプリケーションプログラム301に提示された要求を参照し、仕事率を低下する指示を、運動療法モジュール101を介して、ユーザアプリケーションプログラム201に提示する。これにより、指導者は、指導者アプリケーションプログラム301に提示された評価結果(運動処方を変更)に基づき、運動中に即座に、ユーザアプリケーションプログラム201を介してユーザに運動処方の変更を指導することができるので、ユーザが危険に陥ることを回避できる。
【0067】
さらに、運動療法モジュール101は、運動処方の評価として、運動を規制(中止)することを、運動中に判断し、運動を規制(中止)する指示を出力するための要求を、運動中に、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に提示する。運動療法モジュール101は、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301からの出力に従って、運動を規制(中止)する指示を、運動中に、ユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201に提示する。これにより、指導者は、指導者アプリケーションプログラム301に提示された評価結果(運動の規制)に基づき、運動中に即座に、ユーザアプリケーションプログラム201を介してユーザに運動の規制(中止)を指導することができるので、ユーザが危険に陥ることを回避できる。
【0068】
例えば、運動療法モジュール101は、リアルタイムの負荷データ、負荷データ及び/又は生体データが、運動処方の範囲の第1の閾値(%)を超えたか、運動処方の範囲の第2の閾値(%)(第1の閾値<第2の閾値)を超えたか、を評価してもよい。運動療法モジュール101は、リアルタイムの負荷データ、負荷データ及び/又は生体データが、運動処方の範囲の第1の閾値を超えたと評価すると、運動処方を変更すると判断してもよい。さらに、運動療法モジュール101は、リアルタイムの負荷データ、負荷データ及び/又は生体データが、運動処方の範囲の第2の閾値(第1の閾値<第2の閾値)を超えたと評価すると、運動を規制(中止)すると判断してもよい。
【0069】
運動療法モジュール101は、運動処方の評価結果として、例えば、以下の様に、異常の可能性を推測することができる。心電図波形が閾値を超えた場合、心室頻拍などの危険な不整脈、虚血性変化などの有害事象発生のおそれがある。心拍数が運動処方箋範囲から逸脱したり、急に上昇や低下した場合、仕事率を下げる必要がある。酸素飽和度(経皮酸素飽和度)が閾値を下回った場合、酸素飽和度低下の有無(心不全、先天性心疾患の一部、呼吸器疾患)のおそれがある。運動器具61の回転数が速すぎれば抑制する必要があり、低すぎれば筋肉や関節などの障害や心ポンプ機能の低下による酸素輸送の低下、筋力低下が疑われる。運動器具61のトルクが閾値を超えた場合、下肢の傷害の可能性がある。ユーザの上半身や顔の画像が閾値を超えた場合、体動や表情から快適に運動をできておらず異常が発生しているおそれがある。
【0070】
運動療法モジュール101は、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に対するアラームを出力するためのアラームボタンを、運動中に、ユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201に提示する。運動療法モジュール101は、ユーザ端末装置20が実行するユーザアプリケーションプログラム201からの出力に従って、緊急連絡のオプションを、運動中に、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に提示する。緊急連絡のオプションは、ユーザの家人への連絡、駆け付けサービスへの連絡、救急車要請及び/又は担当医への連絡を含む。これにより、指導者は、運動中に即座に、指導者アプリケーションプログラム301を介して適切な連絡先に緊急連絡することができる。
【0071】
運動療法モジュール101は、運動中に測定した生体データをリアルタイムで取得し人工知能40で学習させ、運動中に運動のリスクを評価し、運動中に、運動のリスクを、少なくとも、指導者端末装置30の指導者アプリケーションプログラム301に提示する。運動療法モジュール101は、運動中に、運動のリスクを、ユーザ端末装置20のユーザアプリケーションプログラム201に提示してもよい。これにより、運動中に、指導者やユーザがリスクを初期に検知することが可能となる。例えば、運動療法モジュール101は、心臓突然死や心臓発作(心筋梗塞等)等のユーザにとって不利益な結果がおこる症例を集め、それを目的変数(アウトカム、結果)としてそれらを起こす様な徴候を人工知能40で学習させればよい。
【0072】
例えば、運動療法モジュール101は、運動中に測定した心電図のデータをリアルタイムで取得し人工知能40で学習させ、致死的な不整脈の出現を出現前に予測し、運動中に、致死的な不整脈の出現を予測したことを、少なくとも、指導者端末装置30の指導者アプリケーションプログラム301に提示する。運動療法モジュール101は、運動中に、致死的な不整脈の出現を予測したことを、ユーザ端末装置20のユーザアプリケーションプログラム201に提示してもよい。これにより、運動中に、指導者やユーザがリスクを初期に検知することが可能となる。あるいは、運動療法モジュール101は、心臓以外の対象疾患として、血管病(閉塞性動脈硬化症、大動脈解離、大動脈瘤など)、慢性腎臓病(軽症者から腎機能の廃絶した血液透析患者向けに)、癌(大腸癌、乳癌等の運動が初発ならびに再発予防にきわめて有効な疾患)、生活習慣病(脂質異常症、肥満、高血圧、糖尿病等)、慢性呼吸器疾患、軽症認知症、運動器疾患、等の出現を出現前に予測してもよい。
【0073】
運動療法モジュール101は、人工知能40を用いて、健診データ及び各種カルテからのデータを用いて事前に学習させてビッグデータを蓄積し、ビッグデータ及び測定された運動中の負荷データに基づき、運動処方に基づく運動の効果を予測する。「健診データ」は、身長、体重、体格指数、腹囲、体脂肪率、安静時心電図所見、胸部レントゲン所見、視力、聴力、血液検査、胃透視または胃カメラ、大腸内視鏡、婦人科的検査、腹部超音波検査、眼底検査等を含む。「各種カルテからのデータ」は、例えば、家族歴(例:両親共に高血圧、虚血性心疾患あり)、既往歴(例:30歳から高血圧治療、20歳から現在まで喫煙)、現病歴(例:急性心筋梗塞及び発症時期、その後鬱血性心不全)、運動療法の目的となる病名・病態(例:心筋梗塞による心不全、糖尿病)、併存疾患(例:膝関節炎、胃全摘後)、自覚症状、運動療法の目的、処方内容、主治医からの運動処処方箋(制限や注意事項、想定される危険な徴候や発作の可能性など)、栄養指導内容等を含む。「運動処方に基づく運動の効果を予測」は、例えば、「1回30分の運動を週に3回6ヶ月間行えば、運動能力が何%改善するか、何メッツ改善するか、生命予後(寿命)が何年改善するか」、「1日の歩数が何歩増えれば医療費はいくら減るか」、「禁煙すれば、何年寿命が延びるか、医療保険料はいくら安くなるか」等の予測される効果である。
【0074】
運動療法モジュール101は、運動中の負荷データと運動時間から導かれた仕事量(仕事率×時間)及び運動処方に基づき、指導者アプリケーションプログラム301を介した指導者(多数の指導者)からの逐次の指示を人工知能40で学習する。運動療法モジュール101は、運動中に、指導者アプリケーションプログラム301を介して指導者がどのようなタイミングでどのような指示を出しているのかを、指導者端末装置30が実行する指導者アプリケーションプログラム301に提示する。これにより、指導者による指導のばらつきが減り、各指導者が適切にユーザに指示を出すことを図れる。
【0075】
人工知能40は、さらに、心拍変動を解析する。これにより、直近のストレス過多状態、イライラ状態、慢性疲労、睡眠不足などの、ユーザの生理的状態が判定できる。運動処方に従った適切な運動を継続していれば、中期的には自律神経バランスが改善し、長期的には生命予後が改善する。従って、運動開始前からの心電図信号などから心拍変動を測定することで、その日の体調がわかり、運動指導に反映できる(無理はさせない、運動処方より弱い運動をさせるなど)。また運動療法期間中にこの指標が改善されれば運動の効果が出ていると判断する事ができ、適切な運動が行われていると評価できるし、法規生命予後が改善したと判定することが可能である。
【0076】
4.アプリケーションプログラムの画面表示例
【0077】
以下、運動療法サポートシステム10(運動療法モジュール101、教育モジュール102、継続支援モジュール103)が上記の動作例を実行した場合の、(1)指導者アプリケーションプログラム301の画面表示例及び(2)ユーザアプリケーションプログラム201の画面表示例を説明する。
【0078】
(1)指導者アプリケーションプログラムの画面表示例
【0079】
図3は、指導者アプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対多通話又はテレビ電話)画面を示す。
【0080】
指導者アプリケーションプログラム301は、コミュニケーション(1対多通話又はテレビ電話)画面110において、継続支援モジュール103から受信した複数のユーザの氏名のリスト111を表示し、さらに、複数のユーザの画像(顔写真)112をタイル状に表示する。指導者アプリケーションプログラム301は、運動療法モジュール101からリアルタイムに受信し続ける運動開始からの経過時間113、生体データ114(脈拍、心拍、血圧、運動処方値等)、心拍数トレンドグラフ(心拍数経時変化グラフ)115を、各ユーザの画像112のエリアに表示(更新)し続ける。なお、自覚的運動強度は、所定のタイミング又は指示されたタイミングで、ユーザがユーザアプリケーションプログラム201に入力した値である。
【0081】
指導者アプリケーションプログラム301は、運動療法モジュール101から、或るユーザのリアルタイムの負荷データ及び/又は生体データが、運動処方の範囲の第1の閾値(%)を超えたことの通知を受信すると、そのユーザの生体データ114に含まれる運動処方値を強調表示116(本例では、文字色を変更)する。さらに、指導者アプリケーションプログラム301は、運動療法モジュール101から、或るユーザのリアルタイムの負荷データ、負荷データ及び/又は生体データが、運動処方の範囲の第2の閾値(%)(第1の閾値<第2の閾値)を超えたことの通知を受信すると、ユーザの画像112のエリアにアラームを示すアイコン117を表示する。
【0082】
指導者は、指導者アプリケーションプログラム301を介して、表示されている複数のユーザ全員と1対多で通話又はテレビ電話できる。発話中の1人のユーザ(2)の画像112にはフレーム118が表示される。指導者は、1人のユーザの画像112を操作(例えば、タッチパネルのタップ操作)すると、選択された1人のユーザとの1対1の通話又はテレビ電話に遷移する。本例では、指導者は、1対1の運動指導を目的として、強調表示116及びアラームを示すアイコン117が表示されたユーザ(7)の画像112を操作する。
【0083】
図4は、指導者アプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面を示す。
【0084】
指導者アプリケーションプログラム301は、コミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面210において、ユーザの氏名及び年齢211を表示し、さらに、ユーザの画像(顔写真)212を表示する。指導者アプリケーションプログラム301は、運動療法モジュール101からリアルタイムに受信し続ける運動開始からの経過時間213、生体データ214(血圧、心拍数、脈拍数、経皮酸素飽和度、自覚的運動強度(RPE)、運動強度(体重1kgあたり1分間に身体に取り込まれる酸素の量;酸素摂取量、またはメッツ(MET:Metabolic Equivalent)等)、心拍数トレンドグラフ(心拍数経時変化グラフ)215、負荷データ216(仕事率、回転数)、直近のユーザ情報217を表示(更新)し続ける。本例では、経過時間213が強調表示(文字色が変更)されている。これは、運動療法モジュール101が、経過時間213が運動処方範囲の第1の閾値(%)を超えた(本例では、運動時間が長すぎる)と判断したことを示す。指導者アプリケーションプログラム301は、指示事項218を表示する。指示事項218は、運動療法モジュール101からの、運動を規制(中止)する指示を出力するための要求(例えば、経過時間213の強調表示もこれに含まれる)に基づき、指導者が指導者アプリケーションプログラム301を介してユーザに指示した内容である。指導者アプリケーションプログラム301は、緊急連絡ボタン219等のGUI部品をさらに表示する。指導者は、心拍数トレンドグラフ(心拍数経時変化グラフ)215や生体データ214をモニターすることで、特に心拍数や血圧などが運動処方に合致しているかどうかをモニターする。
【0085】
図5は、指導者アプリケーションプログラムの会員情報画面を示す。
【0086】
指導者アプリケーションプログラム301は、会員情報画面310において、ユーザの氏名及び年齢311を表示し、さらに、ユーザの画像(顔写真)312を表示する。指導者アプリケーションプログラム301は、運動療法モジュール101からリアルタイムに受信し続ける運動開始からの経過時間313、生体データ314(血圧、経皮酸素飽和度、心拍数、脈拍数等)、心拍数トレンドグラフ(心拍数経時変化グラフ)315、負荷データ316(仕事率、回転数)、直近のユーザ情報317を表示(更新)し続ける。指導者アプリケーションプログラム301は、指示事項318を表示する。指示事項318は、運動療法モジュール101からの、運動処方を変更する指示を出力するための要求(例えば、図4の経過時間213の強調表示もこれに含まれる)に基づき、指導者が指導者アプリケーションプログラム301を介してユーザに指示した内容である。指導者アプリケーションプログラム301は、緊急連絡ボタン319等のGUI部品をさらに表示する。
【0087】
図6は、指導者アプリケーションプログラムの緊急連絡ウィンドウを示す。
【0088】
指導者が指導者アプリケーションプログラム301上で緊急連絡ボタン219(図4)又は319(図5)を操作すると、コミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面210上に、緊急連絡ウィンドウ410が表示される。緊急連絡ウィンドウ410は、運動療法モジュール101が提示する緊急連絡のオプションを含む。緊急連絡のオプションは、ユーザの家人への連絡、駆け付けサービスへの連絡、救急車要請及び/又は担当医への連絡を含む。これにより、指導者は、運動中に即座に、指導者アプリケーションプログラム301を介して緊急連絡することができる。
【0089】
(2)ユーザアプリケーションプログラムの画面表示例
【0090】
図7は、ユーザアプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面を示す。
【0091】
ユーザアプリケーションプログラム201は、コミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面510において、ユーザの氏名511、指導者の画像(顔写真、録画済みのビデオ、テレビ電話のリアルタイム動画)512、運動処方514(血圧、経皮酸素飽和度、心拍数、脈拍数、仕事率、回転率等)を表示する。ユーザは、表示された運動処方514に従って運動器具61で運動する。ユーザアプリケーションプログラム201は、運動療法モジュール101からリアルタイムに受信し続ける運動開始からの経過時間513、心拍数トレンドグラフ(心拍数経時変化グラフ)515を表示(更新)し続ける。ユーザアプリケーションプログラム201は、指示事項518を表示する。指示事項518は、運動療法モジュール101からの、運動を規制(中止)する指示を出力するための要求に基づき、指導者がユーザアプリケーションプログラム201を介してユーザに指示した内容である。ユーザアプリケーションプログラム201は、グループ通話又はテレビ電話ボタン517、呼出し(アラーム)ボタン516、Eラーニングボタン519等のGUI部品をさらに表示する。ユーザがユーザアプリケーションプログラム201を介して呼出し(アラーム)ボタン516を操作すると、指導者が指導者アプリケーションプログラム301上で緊急連絡のオプションを含む緊急連絡ウィンドウ410(図6)が提示される。ユーザがグループ通話又はテレビ電話ボタン517を操作(例えば、タッチパネルのタップ操作)すると、ユーザアプリケーションプログラム201は、同時に運動中の複数のユーザ及び指導者との1対多の通話又はテレビ電話に遷移する。コミュニケーション(1対1通話又はテレビ電話)画面510は、各職種による健康相談(医師その他)、運動相談(理学療法士、健康運動指導士など)、生活相談(看護師、管理栄養士など)等を申し込むボタンをさらに有してもよい。
【0092】
図8は、ユーザアプリケーションプログラムのコミュニケーション(1対多通話又はテレビ電話)画面を示す。
【0093】
ユーザアプリケーションプログラム201は、コミュニケーション(1対多通話又はテレビ電話)画面610において、指導者及び複数のユーザ(選択されたユーザのみ)の画像(顔写真)612をタイル状に表示する。ユーザアプリケーションプログラム201は、ユーザの氏名611、運動処方614(血圧、経皮酸素飽和度、心拍数、脈拍数、仕事率、回転率等)を表示する。ユーザは、ユーザアプリケーションプログラム201を介して、同時に運動中の複数のユーザ及び指導者と1対多で通話又はテレビ電話できる。発話中の指導者(1)の画像612には「通話又はテレビ電話中」と書かれたフレーム618が表示される。指導者は、指導者アプリケーションプログラム301を介して、1人のユーザを選択し、1対1通話又はテレビ電話に遷移することができる。
【0094】
図9は、ユーザアプリケーションプログラムのEラーニング画面を示す。
【0095】
ユーザがユーザアプリケーションプログラム201上でEラーニングボタン519(図7)を操作すると、Eラーニング画面710が表示される。Eラーニング画面710は、ユーザの氏名711、指導者の画像(顔写真またはリアルタイム画像)712、運動開始からの経過時間713、運動処方714(血圧、経皮酸素飽和度、心拍数、脈拍数、仕事率、回転率等)を表示する。Eラーニング画面710は、さらに、Eラーニングコンテンツ715を表示する。Eラーニングコンテンツ715は、教育モジュール102が選択した、ユーザの運動処方に基づく運動の効果を高めるための教育情報(タイトル及びURL等)に基づき視聴するビデオコンテンツである。これにより、ユーザは、ユーザアプリケーションプログラム201を介して、運動中に、運動処方に基づく運動の効果を高めるためのEラーニングコンテンツを視聴することができる。Eラーニング画面710は、回答ボタン716等のGUI部品をさらに表示する。回答ボタン716は、Eラーニングコンテンツ715の最後に提示される理解を確認するためのクイズに回答するためのボタンである。ユーザがユーザアプリケーションプログラム201の回答ボタン716を介して回答すると、指導者は、指導者アプリケーションプログラム301を介して回答結果を知ることができる。その結果、指導者は、運動中のコミュニケーションとして、そのEラーニングコンテンツの内容を解説したり、再視聴や関連Eラーニングコンテンツを勧めたり、別の職種の指導者による1対1の健康相談に誘導したりすることができる。
【0096】
5.結語
【0097】
運動療法サポートシステム10によれば、主に、(1)患者の安全性向上、(2)患者の継続性(adherence)の維持、(3)医療従事者のサポート、の効果を得ることが図れる。
【0098】
(1)運動療法サポートシステム10によれば、運動療法中の心電図のデータをリアルタイムで取得し人工知能で学習させることで、致死性不整脈や心筋虚血などの有害事象を出現する前に、アラートを鳴らし、運動の中止や負荷の軽減を指導者に促す。心電図から人工知能40を用いて不整脈を診断したり、運動負荷中の心電図を用いて、その後の致死的な不整脈を出現することを予測することで、実際に致死的な不整脈が出現する前に、心電図異常所見をとらえ、指導者へフィードバックすることで、早期の対応が可能となり遠隔医療における安全性を担保することを図れる。
【0099】
(2)運動療法サポートシステム10によれば、過去(履歴)のユーザ情報や検査結果、および運動習慣、食事習慣、睡眠習慣と、現状の運動の成果などを組み合わせ、心血管疾患の予防効果、腎機能など改善など、今後の予測を行いアドバイスを行うことができる。人工知能40には、事前の健診データや各種カルテなどのビックデータからのデータを用いて事前に学習をしておき、それらに加えて、運動療法中のデータを加えることで、ビックデータから冠血管疾患や腎疾患の発症予測やリスクなどを精度高く予測することを図れる。運動療法サポートシステム10によれば、本人のユーザ情報及び、運動中のデータ、そのほかの生活情報を組み合わせることで、どの程度、予後が改善したか、どうすればさらに良くなるのかを提示することで、ユーザのモチベーションを継続させることを図れる。
【0100】
(3)運動療法サポートシステム10によれば、運動負荷中の血圧、脈拍、心電図などの各種データ、そのほかのユーザ背景データをリアルタイムで入力し、それに伴って指導者がどのような指示を出したかを人工知能40に学習させる。運動療法サポートシステム10によれば、遠隔運動療法で、指導者の管理をサポートするために人工知能40を活用することで、一人の指導者に対して複数のユーザを同時に効率的に管理することができる。これにより、他の指導者がどのようなタイミングでどのような指示を出しているのかを事前に指導者に表示することが可能となる。この技術を導入することで、ユーザの運動中の変化を人工知能40と指導者の両方で管理し、安全性と高めるとともに、指導者の負担を軽減することが可能となる。
【0101】
運動療法サポートシステム10によれば、運動療法を集団で行う(参加者どうしでコミュニケーションをとりながら行う)ことで、単独で行う運動療法に比べて、運動療法の効果を高めることを図れるとともに、指導者からのカウンセリングや指導を加えて包括的な運動療法を行うことで、さらに運動療法の効果を高めることを図れる。包括的複合的な運動療法の効果を、ユーザ(患者)の臨床試験で確認することは難しい。しかしながら、運動療法サポートシステム10によれば、包括的なデータをビッグデータとして蓄積し、人工知能40を用いた最適介入システムを実現するので、指導者からユーザへの指示や指導などで介入することで、さらに運動療法の効果を高めることを図れる。
【0102】
運動療法サポートシステム10によれば、安全で効果的な運動療法を行うためのシステムを実現可能である。具体的には、運動療法サポートシステム10によれば、以下のシステム(1)乃至(4)を実現可能である。
【0103】
(1)安全で効果的な運動を行うシステム。
・運動器具からのリアルタイムの情報、生体情報、運動処方遵守の確認や変更。
・ビッグデータを用いたAIアルゴリズムによる支援。
【0104】
(2)運動療法へのアドヒアランスを高め、継続を支援するシステム。
・指導士とのTV電話システム。
・他の参加者とのコミュニケーションシステム。
【0105】
(3)緊急時に対応するシステム。
・家庭内で家人呼出のためのアラーム。
・登録先への連絡(家族、他社駆けつけサービス、救急車、主治医、訪問看護ステーションなど)。
【0106】
(4)リハビリの効果を高める包括的な介入を行うシステム。
・e-learningによる啓発教育。
・各職種による健康相談(医師その他)、運動相談(理学療法士、健康運動指導士など)、生活相談(看護師、管理栄養士など)等。
【0107】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0108】
10 :運動療法サポートシステム
20 :ユーザ端末装置
30 :指導者端末装置
40 :人工知能
60 :負荷測定デバイス
61 :運動器具
70 :生体データ測定デバイス
101 :運動療法モジュール
102 :教育モジュール
103 :継続支援モジュール
103 :支援モジュール
114 :生体データ
214 :生体データ
216 :負荷データ
314 :生体データ
316 :負荷データ
514 :運動処方
516 :ボタン
614 :運動処方
714 :運動処方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9