(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】収納什器
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20240912BHJP
E05B 65/02 20060101ALI20240912BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
A47B55/00
E05B65/02 A
E05B49/00 J
E05B49/00 R
(21)【出願番号】P 2020185869
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】並木 忍
(72)【発明者】
【氏名】山内 哲仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲康
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-181241(JP,U)
【文献】特開2006-316525(JP,A)
【文献】特開2015-107211(JP,A)
【文献】特開2007-252471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00ー55/06
A47B 46/00ー53/02
A47B 81/00
A61J 3/00
E05B 65/02
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に隣接して互いに区画された複数の物品収納空間が形成され、それぞれの前記物品収納空間を覆う縦長に形成された複数の扉がそれぞれ設けられた収納庫と、
前記収納庫を支持する複数の脚部と、
前記複数の脚部を連結する連結部材と、
前記収納庫の底面と前記脚部の下端との間に設けられ、前記脚部の下端から上方に離間した高さ位置に前記連結部材に支持され、付加機器を収納する機器収容空間が形成されている収容部と、を備え、
前記収容部の下側の空間が、前記収納庫の外部に開放されている、
収納什器。
【請求項2】
水平方向に隣接して互いに区画された複数の物品収納空間が形成され、それぞれの前記物品収納空間を覆う縦長に形成された複数の扉がそれぞれ設けられた収納庫と、
前記収納庫を支持する複数の脚部と、
前記複数の脚部を連結する連結部材と、
前記収納庫の底面と前記脚部の下端との間に設けられ、前記脚部の下端から上方に離間した高さ位置に前記連結部材に支持され、付加機器を収納する機器収容空間が形成されている収容部と、
鉛直方向にみて前記収容部の前記扉側に設けられ、前記機器収容空間内へのアクセス可否を制御する鍵部と、を備える、
収納什器。
【請求項3】
水平方向に隣接して互いに区画された複数の物品収納空間が形成され、それぞれの前記物品収納空間を覆う縦長に形成された複数の扉がそれぞれ設けられた収納庫と、
前記収納庫を支持する複数の脚部と、
前記複数の脚部を連結する連結部材と、
前記収納庫の底面と前記脚部の下端との間に設けられ、付加機器を収納する機器収容空間が形成されている収容部と、
鉛直方向に見て前記収容部の前記扉側に設けられ、前記機器収容空間内へのアクセス可否を制御する鍵部と、
前記収納庫に設けられ前記扉の開閉を電気的に規制する電子錠と、
前記機器収容空間内に設けられ、前記鍵部が解除された前記機器収容空間内へのアクセス可能状態において前記電子錠の解除が操作可能な操作部と、を備える、
収納什器。
【請求項4】
水平方向に隣接して互いに区画された複数の物品収納空間が形成され、それぞれの前記物品収納空間を覆う縦長に形成された複数の扉がそれぞれ設けられた収納庫と、
前記収納庫を支持する複数の脚部と、
前記複数の脚部を連結する連結部材と、
前記収納庫の底面と前記脚部の下端との間に設けられ、前記脚部の下端から上方に離間した高さ位置に前記連結部材に支持され、付加機器を収納する機器収容空間が形成されている収容部と、を備え、
前記収容部は、鉛直方向にみて前記扉側に設けられた第1部材と、前記第1部材に対して前記扉と反対側に設けられ、前記第1部材とともに前記機器収容空間を形成する第2部材とを備え、
前記第1部材は、鉛直方向にみて前記扉が設けられた方向に開閉可能に前記第2部材に支持されている、
収納什器。
【請求項5】
前記第1部材は、前記付加機器が載置される載置面を有し、前記第2部材に対して前記扉側へ、前記載置面に載置される前記付加機器とともに移動可能である、請求項4に記載の収納什器。
【請求項6】
前記収納庫に設けられ前記扉の開閉を電気的に規制する電子錠と、
前記収容部に設けられ前記第1部材の開閉を規制する鍵部と、
前記収容部に設けられ前記鍵部が解除された前記第1部材の開状態において前記電子錠の解除が操作可能な操作部と、を備える、
請求項4又は5に記載の収納什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する鍵付きの収納什器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のオフィスでは、従業者に座席が指定されておらず、従業者が任意の座席を選択して業務を行う就業形態が増えている。このような就業形態においては、個人が管理する端末装置などの業務に関連した物品を収納するための収納什器が求められている。このような収納什器は、個々の収納庫が比較的小容量ながら多数個必要である。例えば、特許文献1には、正四角形に近い形状の扉を備えた収納庫が縦方向に複数段に設けられた収納什器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-081730号公報
【文献】特開2011-063980号公報
【文献】特開2010-065458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された収納什器のように収納庫が縦方向において複数段に設けられている場合、収納庫の位置によって使い勝手に差が生じる虞がある。
【0005】
更に近年、収納庫に電子錠を備え開閉状態をシステムにより集中管理する収納什器が知られている(例えば、特許文献2、及び特許文献3)参照。電子錠を備えた収納什器は、管理機器が設けられている。この管理機器はメンテナンスのために外部からアクセスが容易である必要がある。このため、電子錠を備えた収納庫は、管理機器を操作するために収納什器における利用者から視認される領域の一部に、管理機器にアクセスするスペースを設ける必要があり、収納空間が減少すると共に、意匠性が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、利便性を確保しつつ意匠性及び管理性を向上することができる収納什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は水平方向に隣接して互いに区画された複数の物品収納空間が形成され、それぞれの前記物品収納空間を覆う縦長に形成された複数の扉がそれぞれ設けられた収納庫と、前記収納庫を支持する複数の脚部と、前記複数の脚部を連結する連結部材と、を備える収納什器である。
【0008】
本発明によれば、扉が縦長に形成されているため、内部に形成された物品収納空間へのアクセスが容易となり、利便性が向上する。
【0009】
本発明は、前記収納庫の底面と前記脚部の下端との間に設けられ、前記脚部の下端から上方に離間した高さ位置に前記連結部材に支持され、付加機器を収納する機器収容空間が形成されている収容部を備えていてもよい。
【0010】
本発明によれば、収容部が脚部10の下端と底面との間の位置に配置されているため、機器収容空間に収容された機器にダストが溜まりにくくなると共に、機器の冷却性が向上する。
【0011】
本発明の前記連結部材は、鉛直方向にみて矩形の枠状に形成され、前記収容部は、鉛直方向にみて前記連結部材の内側に配置されていてもよい。
【0012】
本発明によれば、収容部が枠状の連結部材の内側に配置されているため、収容部に収容された機器等が連結部材に保護される。
【0013】
本発明の前記収容部は、鉛直方向にみて前記扉側に設けられた第1部材と、前記第1部材に対して前記扉と反対側に設けられ、前記第1部材とともに前記機器収容空間を形成する第2部材とを備え、前記第1部材は、鉛直方向にみて前記扉が設けられた方向に開閉可能に前記第2部材に支持されていてもよい。
【0014】
本発明によれば、第1部材が第2部材に対して扉側に引き出し可能なため、機器収容空間内へのアクセスが容易となり、利便性、管理性、メンテナンス性が向上する。
【0015】
本発明の前記第1部材は、前記付加機器が載置される載置面を有し、前記第2部材に対して前記扉側へ、前記載置面に載置される前記付加機器とともに移動可能に構成されていてもよい。
【0016】
本発明によれば、第1部材を引き出すと付加機器が第1部材に載置された状態で引き出されるため、メンテナンス性、操作性、利便性が向上する。
【0017】
本発明は、前記収納庫に設けられ前記扉の開閉を電気的に規制する電子錠と、前記収容部に設けられ前記第1部材の開閉を規制する鍵部と、前記収容部に設けられ前記鍵部が解除された前記第1部材の開状態において前記電子錠の解除が操作可能な操作部と、を備えていてもよい。
【0018】
本発明によれば、第1部材を引き出すことによって、電子錠を非常時に解除を行う操作部を操作することができ、管理性が向上する。
【0019】
本発明の前記収容部は、鉛直方向にみて前記収納庫の周囲から内側に向かってオフセットされて形成されていていてもよい。
【0020】
本発明によれば、収容部が収納庫の周囲から視認されにくい位置に配置されているため、意匠性が向上する。
【0021】
本発明の前記収納庫は、利用者の胸部に比して低い高さ位置に頂部が形成され、前記頂部には天板が設けられていていてもよい。
【0022】
本発明によれば、天板上において作業可能であると共に、収納什器を囲んで打ち合わせを行うことができ、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、収納什器において利便性を確保しつつ意匠性及び管理性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の収納什器の構成を示す斜視図である。
【
図5】収納部に設けられた鍵部の構成を示す図である。
【
図7】収納部が開状態の収納什器の構成を示す側面断面図である。
【
図8】管理装置に設けられた操作部の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る収納什器1の構成について説明する。以下、収納什器1について、使用者の使用状態から見て手前側から奥側に向かう方向を前後方向と呼ぶ。使用者の使用状態から見て左右に向かう方向を左右方向と呼ぶ。
【0026】
図1に示されるように、収納什器1は、物品を収納する収納庫2と、収納庫2を支持する脚部10とを備える。収納庫2は、立方体状の函体に形成されている。収納庫2は、矩形の板状に形成された底板3を備える。底板3の短手の両側面から上方に上下方向に起立して一対の縦杆4,5が配置されている。一対の縦杆4,5は、矩形の板状に形成されている。一対の縦杆4,5の頂部には、底板3と対向して天板6が架設されている。天板6は、矩形の板状に形成されている。
【0027】
天板6は、利用者の平均的な腰程度の高さ位置、或いは平均的な胸程度の高さ位置に配置されている。即ち、収納庫2の頂部には、利用者の胸部に比して低い高さ位置に頂部が形成され、頂部には天板6が設けられている。上記構成により、天板6を用いて作業を行うことができ、収納什器1を囲んだ状態で打ち合わせを行うこともできる。
【0028】
収納庫2の内部には、底板3、一対の縦杆4,5、及び天板6に囲まれて空間が形成されている。空間における背面側の矩形の開口は、背面板7によって塞がれている。背面板7は、底板3、一対の縦杆4,5、天板6によって形成された空間における背面側の端部に固定されるように矩形の板状に形成されている。底板3、一対の縦杆4,5、天板6、背面板7によって筐体が形成されると共に、内部空間が形成されている。
【0029】
内部空間は、複数の仕切板9によって複数の物品収納空間Sに仕切られている。複数の物品収納空間Sは、水平方向に隣接互いに区画されて形成されている。仕切板9は、矩形の板状に形成されている。仕切板9は、内部空間を均等に仕切るように配置されている。仕切板9は、内部空間を不均等に仕切っていてもよい。仕切板9は、例えば、金属板により形成されている。
【0030】
複数の物品収納空間Sは、前面側が矩形に開口している。複数の物品収納空間Sの開口は、複数の扉8によって閉塞されている。複数の扉8は、それぞれの物品収納空間Sの開口を覆うように縦長に形成されている。扉8は、矩形の板状に形成されている。扉8は、開口に対して開閉自在に筐体に取り付けられている。扉8は、例えば、前面側に設けられた把手8Aと、把手8Aに設けられた電子錠KのセンサK2を備えている。
【0031】
電子錠Kは、例えば、電気的に開閉が制御される。電子錠Kは、後述のように管理装置により開閉状態が管理されている。電子錠Kは、扉8の開閉を電気的に規制する開閉装置K1と、開操作を受け付けるセンサK2を備える。センサK2は、開錠操作が可能であれば扉8の前側から視認されなくてもよい。開閉装置K1は、閉錠操作により扉8の閉状態を保持し、開錠操作により扉8を開閉可能な状態にする。開閉装置K1は、例えば、収納庫2の物品収納空間S内にそれぞれ設けられている。
【0032】
電子錠Kは、例えば、端末装置、ICカード、RFIDタグ、生体認証等により、本人認証を行い、物品収納空間Sの利用者のIDと電子キーのIDとが一致した場合や、スマートフォン上のアプリケーションを操作した場合に開錠が操作される。電子錠Kの構造については後述する。上記構成により、複数の扉8が設けられた収納庫2が形成されている。
【0033】
図3に示されるように、収納庫2の下部には、複数の脚部10が設けられている。脚部10は、例えば、収納庫2の下部の四隅に4個配置されている。脚部10は4個以上設けられていてもよい。脚部10は、例えば、上下方向に沿った矩形断面を有する棒状に形成されている。脚部10の下端部には、高さ調整可能な調整ネジ11が取り付けられている。
【0034】
複数の脚部10は、上下方向に沿った方向(鉛直方向)から見て矩形の枠状に形成された連結部材20により連結されている。連結部材20は、例えば、収納庫2の縦杆4側を支持する一対の脚部10の上部を架設する第1枠部材21と、縦杆5側を支持する一対の脚部10の上部を架設する第2枠部材22を備える。第1枠部材21及び第2枠部材22は、例えば、矩形断面を有する棒状に形成されている。
【0035】
連結部材20は、前後方向に沿った方向から見た前側において第1枠部材21と第2枠部材とを架設する第3枠部材23と、後側において第1枠部材21と第2枠部材とを架設する第4枠部材24とを備える。第3枠部材23及び第4枠部材24は、例えば、矩形断面を有する棒状に形成されている。第3枠部材23は、上下方向に沿った方向(鉛直方向)から見て扉8から後方向にオフセットされて設けられている。第4枠部材24は、上下方向に沿った方向から見て背面板7から前方向にオフセットされて設けられている。
【0036】
連結部材20には、付加機器を収納する機器収容空間Qが形成されている収容部30が設けられている。連結部材20の内側には、上下方向に沿った方向から見て内側に収容部30が配置されている。これにより、収容部30に収容される付加機器が連結部材20により保護される。
【0037】
収容部30は、前後方向に沿った方向から見て収納庫2の底板3の下面側(底面)と脚部10の下端との間に設けられている。収容部30は、脚部10の下端から上方に離間した高さ位置に連結部材20に支持されている。即ち、収容部30は、床面から離間してダスト等が入りにくくなる高さ位置に配置されている。また、収容部30の下側の空間に空気が流通することが可能となり、後述のように電子錠Kを管理する管理装置40の冷却効率が向上する。
【0038】
上記構成により、収納庫2は離間して配置された複数の脚部10に支持され、複数の脚部10は連結部材20に連結され、収容部30は連結部材20において収納庫2の下面より下方で且つ、脚部10の下端よりも上方に配置されている。収容部30は、上面が矩形に開口したトレイ状に形成されている。
【0039】
図4に示されるように、収容部30は、前側に配置された第1部材31と後側に配置された第2部材32とに分割されて形成されている。収容部30は、鉛直方向にみて収納庫2の周囲から内側に向かってオフセットされて形成されている。これにより、収容部30は、使用者が収納庫2の周囲(例えば、2.5m程度以内)から視認されにくく形成され、且つ配置されている。
【0040】
図5から
図7に示されるように、収容部30は、鉛直方向にみて扉8側に設けられた第1部材31と、第1部材31に対して扉8と反対側に設けられた第2部材32とが設けられている。第2部材32は、例えば、連結部材20に固定されている。第1部材31は、第2部材32に支持されている。第1部材31は、付加機器が載置される載置面31Aを有する。載置面31Aは、例えば、矩形の板状に形成されている。載置面31Aの前縁には、上方に起立して前板31Bが設けられている。
【0041】
前板31Bは、矩形の板状に形成されている。載置面31Aの左側の縁及び右側の縁には上方に起立して一対の側板31Cが設けられている。側板31Cは、矩形の板状に形成されている。これにより、第1部材31は、後側が開口されて形成されている。
【0042】
載置面31Aは、第2部材32に載置されている。載置面31Aには、例えば、管理装置40が載置されている。第1部材31は、第2部材32に対して扉8側へ、載置面31Aに載置される付加機器とともに移動可能である。第1部材31は、第2部材32に対して前後方向に沿って扉8側に引き出されるように移動可能に支持されている。収容部30には、電子錠Kの開閉状態を管理する管理装置40、電源タップ50、等の収納庫2に関連する付加機器が収納されている。
【0043】
第2部材32は、第1部材31を載置する載置面32Aが設けられている。載置面32Aは、矩形の板状に形成されている。載置面32Aの後縁には、上方に起立して後板32Bが設けられている。後板32Bは、矩形の板状に形成されている。載置面32Aの左側の縁及び右側の縁には上方に起立して一対の側板32Cが設けられている。側板32Cは、矩形の板状に形成されている。これにより、第2部材32は、前側が開口されて形成されている。第1部材31を第2部材32に載置すると、収容部30が形成され、内部に機器収容空間Qが形成される。
【0044】
管理装置40は、例えば、箱状に形成されている。管理装置40は、各物品収納空間S内に設けられた開閉装置K1にそれぞれ電気的に接続されている。管理装置40は、複数の開閉装置K1の開閉状態を管理している。管理装置40は、電子錠KのIDと使用者のIDとを関連付けて管理している。
【0045】
管理装置40は、使用者が電子錠Kを開錠するための端末装置、ICカード、RFIDタグ等の電子キーを電子錠Kにかざした際、或いは無線により開操作の信号を受信した際にIDが一致した場合、開閉装置K1を制御して開状態にする。電子錠Kは、例えば、扉8を閉状態にした際には、自動的に閉錠される。管理装置40は、複数の開閉装置K1の開錠、閉錠のデータを日時に関連付けて記録している。
【0046】
開閉装置K1は、例えば、扉8の裏面側に設けられた被係止部8Kに係止する係止部K3と、係止部K3に連結されたアクチュエータK4とを備える。係止部K3及び被係止部8Kは、係止状態において協働して扉8の開閉を規制し、扉8を閉状態に保持する。係止部K3及び被係止部8Kは、扉8を開状態から閉状態にする際に自動的に係止するようにラッチ機構が設けられている。
【0047】
アクチュエータK4は、管理装置40により制御され、係止部K3を移動させ、係止部K3と被係止部8Kとを係止状態にし、或いは係止部K3と被係止部8Kとを解除状態にする。アクチュエータK4は、例えば、ソレノイドコイルCとプランジャPとを備える。プランジャPは、棒状の磁性体により形成されている。プランジャPは、ソレノイドコイルCに対して移動可能に支持されている。ソレノイドコイルCは、電磁石であり、通電されることにより電磁界を発生する。プランジャPは、例えば、バネ(不図示)より支持されている。
【0048】
プランジャPは、係止部K3に連結されている。プランジャPは、ソレノイドコイルCが非通電状態において上方に突出するように支持されている。ソレノイドコイルCは、通電状態においてプランジャPを磁気吸引して下方に移動させ、係止部K3と被係止部8Kとを解除状態にする。管理装置40は、センサK2により電子キーを検知すると、ソレノイドコイルCに通電し、係止部K3と被係止部8Kとを解除状態にする。係止部K3は、非常時に操作レバーVにより解除される。
【0049】
操作レバーVは、係止部K3を一端側により押し下げるように回転自在に開閉装置K1に支持されている。操作レバーVの他端側は、棒状に形成されたリンク杆K6の上端により押上られる。リンク杆K6については、後述する。開閉装置K1の構成については一例であり、扉8の開閉が制御可能であれば他の構造が用いられてもよい。
【0050】
収容部30には、例えば、第1部材31の開閉を規制する鍵部35が設けられている。鍵部35を開錠するための鍵(不図示)は、マスターキーであり、例えば、収納什器1を管理する管理者が所持している。鍵部35は、電子錠Kが開錠不能である場合等の非常時に開錠される。鍵部35は、例えば、第1部材31の前板31Bに設けられている。
【0051】
鍵部35は、例えば、シリンダー錠である。鍵部35は、例えば、閉状態において上方に突出部36が突出し、第3枠部材23に引っ掛けて第1部材31の動きを規制する。鍵部35が解除され、突出部36が下方に下がると、第1部材31が前側に引き出し可能となる。第1部材31は、例えば、前下がりに傾けられて前側に引き出される。
【0052】
第1部材31が前側に引き出され、開状態になると、収容部30の機器収容空間Qにアクセス可能となる。これにより、収容部30内の機器収容空間Qに収容された管理装置40の取り出し、メンテナンス、操作等を容易に行うことができる。管理装置40と電子錠Kとは、制御用のケーブル(不図示)により接続されている。ケーブルは、底板3に設けられた貫通孔(不図示)を介して各物品収納空間S内に設けられた開閉装置K1、センサK2に接続されている。
【0053】
収容部30における機器収容空間Qの内部には、第1部材31の開状態において電子錠Kの解除が操作可能な操作部K5が設けられている。操作部K5は、例えば、底板3の下面から下方に突出して設けられている。操作部K5は、開閉装置K1を操作するためのリンク杆K6に接続されている。リンク杆K6は、棒状に形成されている。リンク杆K6は、底板3に形成された貫通孔3Hに挿通され、下端に設けられた操作部K5が底板3の下面側から突出している。
【0054】
リンク杆K6において、底板3の上面側には、リンク杆K6が下方に抜け落ちることを防止するストッパK7が形成されている。ストッパK7は、リンク杆K6、貫通孔3Hの外形よりも大きい外形に形成されている。操作部K5を上方に持ち上げると、リンク杆K6は上方に移動する。このとき、リンク杆K6の上端は、操作レバーVの他端側を押し上げる。
【0055】
操作レバーVは、他端側が押し上げられることにより、一端側が押し下げられ、係止部K3を押し下げる。これにより、係止部K3と被係止部8Kとの係止状態が解除される。従って、操作部K5を押し上げることにより、リンク杆K6を介して係止部K3と被係止部8Kとの係止状態を解除させ、扉8を開けることができる。開閉装置K1は、管理装置40への操作により、電気的に開錠されてもよい。
【0056】
図8に示されるように、管理装置40の前側には、各扉8の開錠を操作する操作部41が設けられていてもよい。操作部41は、例えば、各扉8を開錠するための操作を行う複数の操作ボタン42-44が設けられている。操作ボタン42-44の数は、物品収納空間Sに対応した開閉装置K1の数に応じて増減される。操作ボタン42-44のいずれかを操作すると、操作ボタン42-44に対応した開閉装置K1が開錠状態に制御され、扉8を開くことができる。この場合、停電時にも管理装置40を動作可能にするために管理装置40に非常用電源(不図示)が設けられていてもよい。
【0057】
上述したように、収納什器1によれば、収納庫2に縦長の扉8が設けられているため、物品収納空間S内へのアクセスが容易となり、利便性が向上する。収納什器1によれば、扉8に電子錠Kが設けられているため、管理性が向上する。収納什器1によれば、電子錠Kを管理する管理装置40が底板3の下面側において視認されにくい位置に配置されているため、意匠性が向上する。収納什器1によれば、管理装置40が収容部30に収納され、秘匿性が向上する。
【0058】
収納什器1によれば、収容部30が第1部材31と第2部材32とにより形成され、第1部材31が前側に引き出されるため、収容部30内の機器収容空間Qにアクセス可能となる。収納什器1によれば、第1部材31を前側に引き出すことにより、機器収容空間Q内に設けられた操作部K5,41を操作することができ、緊急時にも電子錠Kを開錠することができる、収納什器1によれば、第1部材31に鍵部35が設けられているため、管理装置40、操作部K5,41へのアクセスを管理者に制限することができる。
【0059】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせ、または置換して構成してもよい。例えば、収納庫2は、一つの物品収納空間Sが設けられていてもよい。収納庫2の扉8は、縦長に形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 収納什器、2 収納庫、3 底板、3H 貫通孔、4 縦杆、5 縦杆、6 天板、7 背面板、8 扉、8A 把手、8K 被係止部、9 仕切板、10 脚部、11 調整ネジ、20 連結部材、21 第1枠部材、22 第2枠部材、23 第3枠部材、24 第4枠部材、30 収容部、31 第1部材、31A 載置面、31B 前板、31C 側板、32 第2部材、32A 載置面、32B 後板、32C 側板、35 鍵部、36 突出部、40 管理装置、41 操作部、42-44 操作ボタン、50 電源タップ、C ソレノイドコイル、K 電子錠、K1 開閉装置、K2 センサ、K3 係止部、K4 アクチュエータ、K5 操作部、K6 リンク杆、K7 ストッパ、P プランジャ、Q 機器収容空間、S 物品収納空間、V 操作レバー