(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/013 20060101AFI20240912BHJP
F24F 1/0067 20190101ALI20240912BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F28F9/013 B
F24F1/0067
F28D1/047 B
(21)【出願番号】P 2020204247
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】吉仕 彰
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-040393(JP,A)
【文献】特開2014-070759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00 - 9/26
F16L 3/00 - 5/14
F24F 1/0007 - 1/0355
F28D 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状に折り返されたヘアピン部を有する伝熱管及びこの伝熱管に設けられたフィンを含む熱交換器と、前記熱交換器の横方向の端部を支持する支持ホルダと、を備えた空気調和装置において、
前記支持ホルダは、前記ヘアピン部が挿入される挿入孔が複数形成され、
前記挿入孔は、前記ヘアピン部の入口側の径が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径が小さくなるテーパ状に形成され、
前記支持ホルダは、前記挿入孔が複数並んだ第1挿入列と、この第1挿入列に沿って配置され前記挿入孔が複数並んだ第2挿入列と、を備え、
前記第1挿入列の複数の前記挿入孔の出口側の径は全て等しい大きさに設定され且つ前記ヘアピン部が圧入され、
前記第2挿入列の一部の前記挿入孔の出口側の径は、前記第1挿入列の前記挿入孔の出口側の径よりも大きく設定され且つ前記ヘアピン部が挿通されている、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記支持ホルダは、前記第2挿入列に沿って配置され前記挿入孔が複数並んだ第3挿入列を備え、
前記第3挿入列の複数の前記挿入孔の出口側の径は、前記第1挿入列の前記挿入孔の出口側の径と等しい大きさである、ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1挿入列は、前記挿入孔を3個備え、
前記第2挿入列は、前記挿入孔を3個備え、
前記第2挿入列の3個の前記挿入孔のうち真ん中の前記挿入孔の出口側の径が、前記第1挿入列の前記挿入孔の出口側の径と等しい大きさである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器を支持する支持ホルダを備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器は、所定の隙間を設けて並べられた複数のフィンと、これらの複数のフィンに交わるように通された複数の伝熱管とを含み、これらの複数の伝熱管が熱交換器の端部でU字状に折り返されたヘアピン部により繋がれているものがある。このような熱交換器を支持する技術として、特許文献1に開示される複数の孔が形成された板状の支持ホルダを用いた技術が知られている。
【0003】
図8(A)~
図8(D)を参照する。特許文献1に示される空気調和装置100は、熱交換器101と、熱交換器101の端部を支持する板状の支持ホルダ102と、を備えている。熱交換器101は、複数のフィン103と、フィン103を貫通している伝熱管104と、伝熱管104の端部でU字状に折り返されたヘアピン部105と、を備えている。
【0004】
支持ホルダ102には、複数の孔部106が形成されており、孔部106の径より大きい外径のヘアピン部105を孔部106に圧入することで、熱交換器101を支持ホルダ102に固定し、輸送時の衝撃等による熱交換器101の移動を抑制している。さらに、孔部106の内側には爪107が設けられている。この爪107は、ヘアピン部105を孔部106に挿入する際はヘアピン部105が乗り上げて押すことで撓み、ヘアピン部105を挿入した後は撓まずにヘアピン部105を係止するように形成されている。特許文献1の技術では、ヘアピン部105を爪107で係止し、ヘアピン部と支持ホルダ102をバンドで固定する等で、圧入だけの固定と比較して、より輸送時の衝撃等による熱交換器101の移動を抑制する。
【0005】
しかし、爪107による熱交換器101の固定では、ヘアピン部105の挿入時に圧入による爪107破損の虞や、作業性の悪化が懸念される。また、ヘアピン部の数が多い異なる種類の熱交換器101を固定する場合は、ヘアピン部105の数が多くなった分熱交換器101の固定にさらに大きな力が必要となり作業性が悪くなる。また、バンドによる熱交換器101の固定では、部品数や組立工数が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、ヘアピン部の数が異なる種類の異なる熱交換器であっても、1種類の支持ホルダにて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部を圧入のみによって容易に固定することができる空気調和装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明では、U字状に折り返されたヘアピン部を有する伝熱管及びこの伝熱管に設けられたフィンを含む熱交換器と、前記熱交換器の横方向の端部を支持する支持ホルダと、を備えた空気調和装置において、
前記支持ホルダは、前記ヘアピン部が挿入される挿入孔が複数形成され、
前記挿入孔は、前記ヘアピン部の入口側の径が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径が小さくなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記支持ホルダは、前記挿入孔が複数並んだ第1挿入列と、この第1挿入列に沿って配置され前記挿入孔が複数並んだ第2挿入列と、を備え、
前記第1挿入列の複数の前記挿入孔の出口側の径は全て等しい大きさに設定され且つ前記ヘアピン部が圧入され、
前記第2挿入列の一部の前記挿入孔の出口側の径は、前記第1挿入列の前記挿入孔の出口側の径よりも大きく設定され且つ前記ヘアピン部が挿通されている。
【0010】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記支持ホルダは、前記第2挿入列に沿って配置され前記挿入孔が複数並んだ第3挿入列を備え、
前記第3挿入列の複数の前記挿入孔の出口側の径は、前記第1挿入列の前記挿入孔の出口側の径と等しい大きさである。
【0011】
請求項4に記載のごとく、好ましくは、前記第1挿入列は、前記挿入孔を3個備え、
前記第2挿入列は、前記挿入孔を3個備え、
前記第2挿入列の3個の前記挿入孔のうち真ん中の前記挿入孔の出口側の径が、前記第1挿入列の前記挿入孔の出口側の径と等しい大きさである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、支持ホルダは、ヘアピン部が挿入される挿入孔が複数形成されている。挿入孔は、ヘアピン部の入口側の径が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径が小さくなるテーパ状に形成されているので、ヘアピン部を挿入孔の入口側から容易に入れることができ、押し込むことでテーパ部分に案内してヘアピン部が圧入される。このため、1種類の支持ホルダにて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部を圧入のみによって容易に固定することができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、支持ホルダは、挿入孔が複数並んだ第1挿入列と、この第1挿入列に沿って配置され挿入孔が複数並んだ第2挿入列と、を備えている。従来技術では一般的に、ヘアピン部の外径より支持ホルダの内径を小さくすることで、ヘアピン部が圧入固定されるところ、ヘアピン部が少ない熱交換器だけであれば、全ての挿入孔を同じ内径となるように小さく設定したり、大きく設定したりすることで、挿入性と固定性の両立を図る調整ができる。しかし、ヘアピン部が多い種類の異なる熱交換器を従来技術のような全ての挿入孔が同じ小さな内径の支持ホルダで固定しようとすると、ヘアピン部が少ない熱交換器を固定する場合と比較して、圧入部分が増えるため、挿入性が低下する。この改善のために、逆に、全ての挿入孔が同じ大きな内径とした場合、ヘアピン部が多い熱交換器の挿入性は向上するが、ヘアピン部が少ない熱交換器で固定不足となる。
【0014】
この点、本発明の実施例では、支持ホルダの挿入孔の位置によって内径を調整し、第1挿入列の複数の挿入孔の出口側の径は全て等しい大きさに設定され且つヘアピン部が圧入され、第2挿入列の一部の挿入孔の出口側の径は、第1挿入列の挿入孔の出口側の径よりも大きく設定され且つヘアピン部が挿通されている。このため、ヘアピン部が少ない熱交換器の場合は、第1挿入列の出口側の径が等しい挿入孔により挿入性と固定性を確保し、ヘアピン部が多い熱交換器の場合でも、第2挿入列の一部の出口側の径が第1挿入列の出口側の径よりも大きい挿入孔により大きな挿入力を必要とせず挿入性を維持することができる。結果、ヘアピン部の数が異なる種類の異なる熱交換器であっても、1種類の支持ホルダにて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部を圧入のみによって容易に固定することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、支持ホルダは、第2挿入列に沿って配置され挿入孔が複数並んだ第3挿入列を備えている。第3挿入列の複数の挿入孔の出口側の径は、第1挿入列の挿入孔の出口側の径と等しい大きさであるので、第3挿入列の挿入孔にまでヘアピン部を挿入するヘアピン部がさらに多い熱交換器の場合でも、1種類の支持ホルダにて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部を圧入のみによって容易に固定することができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、第1挿入列は、挿入孔を3個備え、第2挿入列は、挿入孔を3個備えている。第2挿入列の3個の挿入孔のうち真ん中の挿入孔の出口側の径が、第1挿入列の挿入孔の出口側の径と等しい大きさであるので、一つおきに挿入孔の径を調整し、第1挿入列のヘアピン部は圧入固定し、第2挿入列のヘアピン部は、3本のうち真ん中の1本のみ圧入固定することで、バランスよく挿入性と固定性の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例による空気調和装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示した空気調和装置の要部分解斜視図である。
【
図4】第1挿入列及び第2挿入列に熱交換器を支持した状態を説明する図である。
【
図5】挿入孔によるヘアピン部の圧入固定について説明する図である。
【
図6】第1挿入列及び第2挿入列の挿入孔の作用を説明する断面図である。
【
図7】別実施例の熱交換器を支持した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、図中Frは前、Rrは後、Lは左、Rは右、Upは上、Dnは下を示している。
【実施例】
【0019】
図1(A)、
図1(B)及び
図2を参照する。本発明の実施例に係る空気調和装置10の室内機11は、空気を導入する導入口21が上面に設けられたケース20と、屋内の空気をケース20内に取り込み屋内へ送風するファン22と、このファン22が取り込んだ空気と熱交換を行う複数の熱交換器30と、ファン22の回転軸23及び熱交換器30を支持する支持ホルダ40と、熱交換器30の外周を通過した空気を送風する送風口24と、熱交換器30の上方に配置されケース20内への塵埃の侵入を防止するフィルタユニット25と、を備えている。
【0020】
熱交換器30は、上部後側、上部前側、下部前側に配置されており、U字状に折り返されたヘアピン部31を有する伝熱管32及びこの伝熱管32に設けられたフィン33を含んでいる。各々の熱交換器30は、ファン22に対して近い側から遠い側へ積層状に構成されている。熱交換器30のうち、ファン22に対して最も近いものを第1層30aとし、第1層30aに隣接するものを第2層30bとし、第2層30bに隣接するものを第3層30cとする。第1層30aと第2層30bとは、一体に構成されている。第3層30cは、単体で構成されている。
【0021】
支持ホルダ40は、板状の本体部41と、この本体部41に形成されヘアピン部31が挿入される複数の挿入孔42と、ファン22の回転軸23を受ける軸受43と、本体部41を室内機11の本体側に取り付けるための取り付け部44と、を備えている。
【0022】
図3(A)、
図3(B)を参照する。また、支持ホルダ40は、挿入孔42が複数並んだ第1挿入列45と、この第1挿入列45に沿って配置され挿入孔42が複数並んだ第2挿入列46と、第2挿入列46に沿って配置され挿入孔42が複数並んだ第3挿入列47と、を備えている。
【0023】
挿入孔42(42a、42b)は、ヘアピン部31の入口側の径L1が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径L2、L3が小さくなるテーパ状に形成されている。詳細には、第1挿入列45の複数の挿入孔42a(42)の出口側の径L2は全て等しい大きさに設定されている。第2挿入列46の一部の挿入孔42b(42)の出口側の径L3は、第1挿入列45の挿入孔42a(42)の出口側の径L2よりも大きく設定されている。
【0024】
図4(A)を参照する。上部後側に配置された熱交換器30では、第1挿入列45及び第2挿入列46に対して、第1層30a及び第2層30bのヘアピン部31(
図2参照)が挿入されている態様である。同様に、上部前側に配置された熱交換器30では、第1挿入列45及び第2挿入列46に対して第1層30a及び第2層30bのヘアピン部31が挿入されている態様である。下部前側に配置された熱交換器30では、第1挿入列45及び第2挿入列46に対して第1層30a及び第2層30bのヘアピン部31が挿入されている態様である。なお、熱交換器30の第3層30c(
図2参照)の図示は省略している。
【0025】
次に、3つの熱交換器30のうち、代表して上部前側に配置された熱交換器30の取り付けについて説明する。
図4(B)を参照する。第1挿入列45は、挿入孔42a(42)を3個備え、第2挿入列46は、挿入孔42a(42)、42b(42)を3個備え、第3挿入列47は、挿入孔42a(42)を2個備えている。各々の挿入孔42a(42)、42b(42)は、長穴状に形成されており、2つの伝熱管32のヘアピン部31が長穴に沿って挿入される。なお、長穴の長手方向の端部は、圧入にはならないようにヘアピン部31が挿入孔42に挿入されている。
図5(A)及び
図5(B)を用いて詳細に説明する。挿入孔42a(42)の挿入方向奥側の縁48を、挿入孔42a(42)の長手方向に延びている一対の直線部48a,48aと、一対の円弧状の円弧部48b,48bと、に分ける。各々の直線部48aのなかの中心を含む部位は、ヘアピン部31を押圧している(2つの直線部48a,48aで挟み込んでいる)。一対の円弧部48b,48bは、ヘアピン部31に接触していない。さらに、挿入方向手前側の縁49は、伝熱管32に対して接触しているが、押圧しておらず、単にヘアピン部31位置を規制しているのみである。
【0026】
次に、第1挿入列45及び第2挿入列46の3個ずつ並んだ挿入孔42のうち、真ん中の挿入孔42の形状について説明する。
図6(A)を参照する。挿入孔42aは、ヘアピン部31の入口側の径L1が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径L2が小さくなるテーパ状に形成されている。第2挿入列46の3個の挿入孔42のうち真ん中の挿入孔42aの出口側の径L2が、第1挿入列45の挿入孔42aの出口側の径L2と等しい大きさである。また、第2挿入列46の3個の挿入孔42のうち真ん中の挿入孔42aの入口側の径L1が、第1挿入列45の挿入孔42aの入口側の径L1と等しい大きさである。
【0027】
作用について説明する。長穴に形成された挿入孔42の短手方向において、ヘアピン部31の外形Dは、挿入孔42aの入口側の径L1より小さく、挿入孔42aの出口側の径L2より大きく設定されている。第1挿入列45の挿入孔42aの入口側にヘアピン部31を挿入すると、テーパ状に形成された挿入孔42aの出口側で、ヘアピン部31が圧入される。同様に、第2挿入列46の挿入孔42aの入口側にヘアピン部31を挿入すると、テーパ状に形成された挿入孔42aの出口側で、ヘアピン部31が圧入される。
【0028】
次に、第1挿入列45及び第2挿入列46の3個ずつ並んだ挿入孔42のうち、端の挿入孔42について説明する。
図6(B)を参照する。挿入孔42bは、ヘアピン部31の入口側の径L1が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径L3が小さくなるテーパ状に形成されている。第2挿入列46の3個の挿入孔42のうち端の挿入孔42bの出口側の径L3が、第1挿入列45の挿入孔42aの出口側の径L2よりも大きい。また、第2挿入列46の3個の挿入孔42のうち端の挿入孔42bの入口側の径L1が、第1挿入列45の挿入孔42aの入口側の径L1と等しい大きさである。
【0029】
作用について説明する。長穴に形成された挿入孔42の短手方向において、ヘアピン部31の外形Dは、挿入孔42bの入口側の径L1より小さく、挿入孔42bの出口側の径L3と同等の大きさに設定されている。第1挿入列45の挿入孔42aの入口側にヘアピン部31を挿入すると、テーパ状に形成された挿入孔42aの出口側で、ヘアピン部31が圧入される。同様に、第2挿入列46の挿入孔42bの入口側にヘアピン部31を挿入すると、テーパ状に形成された挿入孔42bの出口側に案内され、ヘアピン部31が挿通される。
【0030】
詳細には、挿入孔42bの出口側にヘアピン部31が挿通される状態は、第2挿入列46の挿入孔42bの出口側の径L3とヘアピン部31の断面の外形Dとがほぼ同一であり、ヘアピン部31の端部が挿入孔42bの出口側に当接して係止されるような状態である。換言すると、いわゆるガチガチに固定はされていないが、ヘアピン部31が挿入孔42bの出口側に当接する程度となる。
【0031】
図4(B)、
図6(A)を参照する。第1挿入列45の挿入孔42a(42)の入口側の径L1、第2挿入列46の挿入孔42a(42)、42b(42)の入口側の径L1、及び第3挿入列47の挿入孔42a(42)の入口側の径L1は、等しい大きさに設定されている。
【0032】
また、第3挿入列47の複数の挿入孔42a(42)の出口側の径L2は、第1挿入列45の挿入孔42a(42)の出口側の径L2と等しい大きさに設定されている。
【0033】
次に別態様の熱交換器30の取り付け状態について説明する。
図7(A)を参照する。空気調和装置10は、第1挿入列45にのみ熱交換器30が取り付けられている。熱交換器30は、ヘアピン部31を3本有しており、3個の挿入孔42aの出口側の径L2(
図6参照)が全て同径の支持ホルダ40に圧入することで、挿入性を良好に維持した状態で熱交換器30を支持ホルダ40に固定できる。
【0034】
図7(B)を参照する。空気調和装置10は、第1挿入列45及び第2挿入列46に熱交換器30が取り付けられている。熱交換器30は、ヘアピン部31を第1挿入列45に3本、第2挿入列46に3本の計6本有している。第1挿入列45については、ヘアピン部31を3個の挿入孔42aの出口側の径L2が全て同径の支持ホルダ40に圧入することで、挿入性を良好に維持した状態で熱交換器30を支持ホルダ40に固定できる。
【0035】
第2挿入列46については、仮に3個の挿入孔42の出口側を全て小さい径L2とすると、ヘアピン部31の挿入性が悪化するところ、実施例では、真ん中の挿入孔42aの出口側を第1挿入列45の挿入孔42aの出口側と同じ径L2とし、両端の挿入孔42bの出口側の径L3(
図6参照)を真ん中の挿入孔42aの出口側の径L2より大きい、というように1つ孔おきに径を調整する。第1挿入列45のヘアピン部31は3本全て圧入とし、第2挿入列46のヘアピン部31は3本のうち1本のみ圧入とすることで、挿入性と固定具合の両立を図ることができる。換言すると、第1層30aと第2層30bとが一体に構成されているがゆえに、第1挿入列45と、第2挿入列46には、各層のヘアピン部31が同時に挿入される。ヘアピン部31の3本全てが圧入となる第1挿入列45による圧入固定と、ヘアピン部31の1本のみが圧入となる第2挿入列46による挿入性とが、互いに補完関係にあることにより、圧入固定と挿入性とが両立が可能となった。
【0036】
図7(C)、
図7(D)を参照する。空気調和装置10は、第1挿入列45及び第2挿入列46に熱交換器30が取り付けられている。熱交換器30は、互いに別体の第1層30aと、第2層30bとから構成されている。熱交換器30は、ヘアピン部31を第1挿入列45に3本、第2挿入列46に2本の計5本有している。第1挿入列45については、ヘアピン部31を3個の挿入孔42aの出口側の径L2が全て同径の支持ホルダ40に圧入することで、挿入性を良好に維持した状態で熱交換器30を支持ホルダ40に固定できる。
【0037】
第2挿入列46については、一方(真ん中)の挿入孔42aの出口側を第1挿入列45の挿入孔42aの出口側と同じ径L2とし、他方(端)の挿入孔42bの出口側の径L3を真ん中の挿入孔42aの出口側の径L2より大きい、というように径を調整する。第1挿入列45のヘアピン部31は3本全て圧入とし、第2挿入列46のヘアピン部31は2本のうち1本のみ圧入とすることで、挿入性と固定具合の両立を図ることができる。熱交換器30が、互いに別体の第1層30aと、第2層30bとから構成されていても、圧入固定による保持力の確保と挿入性の確保が可能となった。
【0038】
次に以上に述べた空気調和装置10の作用を説明する。
挿入孔42は、ヘアピン部31の入口側の径L1が大きく、奥に行くにつれて徐々に狭まり出口側の径L2、L3が小さくなるテーパ状に形成されているので、ヘアピン部31を挿入孔42の入口側から容易に入れることができ、押し込むことでテーパ部分に案内してヘアピン部31が圧入される。このため、1種類の支持ホルダ40にて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部31を圧入のみによって容易に固定することができる。
【0039】
さらに、支持ホルダ40の挿入孔42の位置によって内径を調整し、第1挿入列45の複数の挿入孔42aの出口側の径L2は全て等しい大きさに設定され且つヘアピン部31が圧入され、第2挿入列46の一部の挿入孔42bの出口側の径L3は、第1挿入列45の挿入孔42aの出口側の径L2よりも大きく設定され且つヘアピン部31が挿通されている。このため、ヘアピン部31が少ない熱交換器30の場合は、第1挿入列45の出口側の径L2が等しい挿入孔42aにより挿入性と固定性を確保し、ヘアピン部31が多い熱交換器30の場合でも、第2挿入列46の一部の出口側の径L3が第1挿入列45の出口側の径L2よりも大きい挿入孔42bにより大きな挿入力を必要とせず挿入性を維持することができる。結果、ヘアピン部31の数が異なる種類の異なる熱交換器30であっても、1種類の支持ホルダ40にて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部31を圧入のみによって容易に固定することができる。
【0040】
さらに、第3挿入列47の複数の挿入孔42aの出口側の径L2は、第1挿入列45の挿入孔42aの出口側の径L2と等しい大きさであるので、第3挿入列47の挿入孔42aにまでヘアピン部31を挿入するヘアピン部31がさらに多い熱交換器30の場合でも、1種類の支持ホルダ40にて、部品数や組立工数を増加することなく、ヘアピン部31を圧入のみによって容易に固定することができる。
【0041】
さらに、第1挿入列45は、挿入孔42aを3個備え、第2挿入列46は、挿入孔42a、42bを3個備えている。第2挿入列46の3個の挿入孔42a、42bのうち真ん中の挿入孔42aの出口側の径L2が、第1挿入列45の挿入孔42aの出口側の径L2と等しい大きさであるので、一つおきに挿入孔42a、42bの径を調整し、第1挿入列45のヘアピン部31は圧入固定し、第2挿入列46のヘアピン部31は、3本のうち真ん中の1本のみ圧入固定することで、バランスよく挿入性と固定性の両立を図ることができる。
【0042】
また、実施例では、第1挿入列45に、3個の挿入孔42を設けたが、これに限定されず、2個、4個、5個等複数の挿入孔42を設けてもよい。この場合、一部の挿入孔42の出口側の径が他の挿入孔42の出口側の径よりも大きく設定されていればよい。第2挿入列46、第3挿入列47についても同様である。
【0043】
また、実施例では、第1挿入列45から第3挿入列47までの3列の挿入孔42を設けたが、これに限定されず、2列、4列、5列等、複数列あれば列数は問わない。第1層30aと第2層30bとが一体に構成されているがゆえに、第1挿入列45と、第2挿入列46には、各層のヘアピン部31が同時に挿入される。ヘアピン部31の3本全てが圧入となる第1挿入列45による圧入固定と、ヘアピン部31の1本のみが圧入となる第2挿入列46による挿入性とが、互いに補完関係にあることにより、圧入固定と挿入性とが両立が可能となった。
【0044】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の空気調和装置は、ヘアピン部を有する熱交換器の取り付けに好適である。
【符号の説明】
【0046】
10…空気調和装置
30…熱交換器
31…ヘアピン部
32…伝熱管
33…フィン
40…支持ホルダ
42、42a、42b…挿入孔
45…第1挿入列
46…第2挿入列
47…第3挿入列
L1…挿入孔の入口側の径
L2…挿入孔の小さい出口側の径
L3…挿入孔の大きい出口側の径