(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 3/08 20060101AFI20240912BHJP
F23L 17/16 20060101ALI20240912BHJP
F24H 1/14 20220101ALN20240912BHJP
【FI】
F23N3/08
F23L17/16 609K
F24H1/14 B
(21)【出願番号】P 2020218788
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 悠也
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-169929(JP,A)
【文献】特開2018-159348(JP,A)
【文献】特開昭60-185052(JP,A)
【文献】特開2006-094575(JP,A)
【文献】特開2017-138012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/10ー1/16
F23N3/08
F04D27/00
F23L17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気口と排気口が設けられているケーシングと、
前記ケーシングの内部に配置されているバーナと、
前記ケーシングの内部で前記バーナよりも前記排気口側に配置されている熱交換器と、
前記ケーシングの内部で前記熱交換器よりも前記排気口側に配置されているファンと、
前記ファンを回転させるモータと、
制御装置と、を備えており、
前記バーナが燃料を燃焼させて前記熱交換器を加熱している状態で、前記ファンが回転することにより前記給気口を通じて前記ケーシングの内部に空気が供給される燃焼装置であって、
前記制御装置は、
前記ファンを回転させる前記モータの回転数を維持する制御を実行している状態で前記モータの電流値が所定の第1電流基準値未満の所定の第2電流基準値以上に上昇することにより所定の第2上昇条件を満たす場合、または、前記モータの電流値を維持する制御を実行している状態で前記モータの回転数が所定の第1回転数基準値以上の所定の第2回転数基準値未満に低下することにより所定の第2低下条件を満たす場合に、前記バーナに供給される燃料を減少させる制御を実行し、または、前記モータの回転数を上昇させる制御を実行し、その後、
前記モータの回転数を維持する制御を実行している状態で前記モータの電流値が前記第1電流基準値以上に上昇することにより所定の第1上昇条件を満たす場合、または、前記モータの電流値を維持する制御を実行している状態で前記モータの回転数が前記第1回転数基準値未満に低下することにより所定の第1低下条件を満たす場合に、前記バーナによる燃料の燃焼を停止する制御を実行する、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に燃焼装置が開示されている。特許文献1の燃焼装置は、給気口と排気口が設けられているケーシングと、ケーシングの内部に配置されているバーナと、ケーシングの内部でバーナよりも排気口側に配置されている熱交換器と、ケーシングの内部でバーナよりも給気口側に配置されているファンと、ファンを回転させるモータとを備えている。特許文献1の燃焼装置は、ファンの回転によりケーシングの内部に空気が押し込まれる、いわゆる押込式の構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼装置では、ケーシングの内部で熱交換器よりも排気口側にファンが配置されていることがある。この構成は、ファンの回転によりケーシングの内部に空気が引き込まれる、いわゆる引張式の構成である。この構成では、バーナよりも排気口側でケーシングに孔があくと、その孔を通じてケーシングの内部に空気が引き込まれることがある。そうすると、ケーシングの給気口を通じてケーシングの内部に引き込まれる空気量が減少し、バーナに供給される空気量が減少することがある。空気量の減少は、熱交換器とファンとの間でケーシングに孔があくと特に顕著になる。その結果、バーナで燃料が燃焼し難い状態になることがある。そのため、安全性を更に高めるうえで改善の余地があった。本明細書は、安全性を更に高めることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する燃焼装置は、給気口と排気口が設けられているケーシングと、前記ケーシングの内部に配置されているバーナと、前記ケーシングの内部で前記バーナよりも前記排気口側に配置されている熱交換器と、前記ケーシングの内部で前記熱交換器よりも前記排気口側に配置されているファンと、前記ファンを回転させるモータと、制御装置と、を備えている。燃焼装置では、前記バーナが燃料を燃焼させて前記熱交換器を加熱している状態で、前記ファンが回転することにより前記給気口を通じて前記ケーシングの内部に空気が供給される。前記制御装置は、前記ファンを回転させる前記モータの回転数を維持する制御を実行している状態で前記モータの電流値が所定の第1電流基準値未満の所定の第2電流基準値以上に上昇することにより所定の第2上昇条件を満たす場合、または、前記モータの電流値を維持する制御を実行している状態で前記モータの回転数が所定の第1回転数基準値以上の所定の第2回転数基準値未満に低下することにより所定の第2低下条件を満たす場合に、前記バーナに供給される燃料を減少させる制御を実行してもよい、または、前記モータの回転数を上昇させる制御を実行してもよい。その後、前記制御装置は、前記モータの回転数を維持する制御を実行している状態で前記モータの電流値が前記第1電流基準値以上に上昇することにより所定の第1上昇条件を満たす場合、または、前記モータの電流値を維持する制御を実行している状態で前記モータの回転数が前記第1回転数基準値未満に低下することにより所定の第1低下条件を満たす場合に、前記バーナによる燃料の燃焼を停止する制御を実行してもよい。
【0006】
上記の構成は、ファンの回転によりケーシングの内部に空気が引き込まれる、いわゆる引張式の構成である。この構成では、例えば熱交換器とファンとの間でケーシングに孔があくと、その孔を通じてケーシングの内部に空気が引き込まれることがある。そうすると、ケーシングの給気口を通じてケーシングの内部に引き込まれる空気量が減少し、バーナに供給される空気量が減少することがある。
【0007】
上記の構成では、ファンを回転させるモータの回転数を維持する制御を実行している状態で、ケーシングに形成された孔を通じて熱交換器とファンとの間に空気が引き込まれると、ファンがより多くの空気を吸込むことでファンの仕事量が増加する。このため、モータの回転数を維持しようとするとモータの電流値が上昇する。そこで、モータの電流値が上昇して所定の上昇条件を満たす場合は、制御装置が、バーナによる燃料の燃焼を抑制する制御を実行する、または、モータの回転数を上昇させる制御を実行する。
【0008】
または、上記の構成では、ファンを回転させるモータの電流値を維持する制御を実行している状態で、ケーシングに形成された孔を通じて熱交換器とファンとの間に空気が引き込まれると、ファンがより多くの空気を吸込むことでファンの負荷が増加する。このため、モータの電流値を維持しようとするとモータの回転数が低下する。そこで、モータの回転数が低下して所定の低下条件を満たす場合は、制御装置が、バーナによる燃料の燃焼を抑制する制御を実行する、または、モータの回転数を上昇させる制御を実行する。
【0009】
これらの構成によれば、バーナで燃料が燃焼し難いと考えられる場合に、燃料の燃焼を抑制することができる。または、バーナに供給される空気量を増量させることができる。これにより、安全性を更に高めることができる。
【0011】
この構成によれば、バーナで燃料が燃焼し難いと考えられる場合に、燃料の燃焼を停止させることができ、安全性を更に高めることができる。
【0013】
この構成によれば、バーナで燃料が燃焼し難いと考えられる場合に、バーナに供給される燃料を減少させることができ、更に燃料が燃焼し難いと考えられる場合に、燃料の燃焼を停止することができる。バーナに供給される燃料を減少させることと、燃料の燃焼を停止することとを段階的に実行することができ、安全性を更に高めることができる。または、バーナで燃料が燃焼し難いと考えられる場合に、バーナに供給される空気量を増加させることができ、更に燃料が燃焼し難いと考えられる場合に、燃料の燃焼を停止することができる。空気量を増加させることと、燃料の燃焼を停止することとを段階的に実行することができ、安全性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】排気ダクトの孔の面積とモータの電流値との関係の一例を示すグラフである。
【
図3】排気ダクトの孔の面積とモータの回転数との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例)
図面を参照して実施例の給湯装置2(燃焼装置の一例)について説明する。
図1に示すように、本実施例の給湯装置2は、外ケーシング10と、内ケーシング12と、給水路90と、出湯路92と、ガス供給路94とを備えている。また、給湯装置2は、バーナ20と、熱交換器30と、ファン40と、制御装置100とを備えている。
【0016】
外ケーシング10は、内ケーシング12、給水路90、出湯路92、及び、ガス供給路94を覆っている。外ケーシング10には、下方に向けて開口する複数の外給気口14が設けられている。外ケーシング10の外部の空気が外給気口14を通じて外ケーシング10の内部に供給される。
【0017】
内ケーシング12は、本体50と排気ダクト52を備えている。本体50は、バーナ20と熱交換器30を覆っている。本体50には、下方に向けて開口する複数の内給気口70が設けられている。外ケーシング10の内部の空気が複数の内給気口70を通じて内ケーシング12の内部に供給される。また、内ケーシング12の本体50には、上方に向けて開口する連通口72が設けられている。
【0018】
内ケーシング12の排気ダクト52は、本体50の上部に固定されている。排気ダクト52は、フード部54とダクト部56を備えている。フード部54は、本体50の連通口72を覆っている。連通口72を通じて本体50の内部の排ガスが排気ダクト52の内部に排出される。フード部54は、本体50から排出される排ガスをダクト部56に案内する。
【0019】
ダクト部56は、フード部54から上方に延びている。ダクト部56は、外ケーシング10の内部から外部へ延びている。ダクト部56には、外ケーシング10の外部で側方に向けて開口する排気口76が設けられている。ダクト部56は、内ケーシング12の本体50から排気ダクト52に排出された排ガスを、排気口76を通じて外ケーシング10の外部に排出する。
【0020】
給水路90と出湯路92とガス供給路94について説明する。給水路90は、外ケーシング10の外部から内部へ延びている。給水路90の上流端部は給水源に接続されている(図示省略)。給水路90の下流端部は熱交換器30に接続されている。給水路90は、給水源から供給される水を熱交換器30に供給する。
【0021】
出湯路92は、外ケーシング10の内部から外部へ延びている。出湯路92の上流端部は熱交換器30に接続されている。出湯路92の下流端部は給湯箇所に接続されている(図示省略)。出湯路92は、熱交換器30から出湯される湯を給湯箇所に出湯する。
【0022】
ガス供給路94は、主経路95と、2つの分岐経路96、96とを備えている。主経路95は、外ケーシング10の外部から内部へ延びている。主経路95の上流端部はガス供給源に接続されている(図示省略)。2つの分岐経路96、96は、主経路95から分岐して延びている。各分岐経路96の下流端部はバーナ20に接続されている。ガス供給路94は、主経路95と各分岐経路96を通じて、ガス供給源から供給される燃料ガスをバーナ20に供給する。主経路95と各分岐経路96には、それぞれガス供給弁97が設けられている。各ガス供給弁97の開度調整により、バーナ20に供給される燃料ガスの流量が調整される。
【0023】
バーナ20は、内ケーシング12の本体50の内部に配置されている。バーナ20は、熱交換器30の下方に配置されている。バーナ20は、ガス供給路94から供給される燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱により熱交換器30を加熱する。燃料ガスが燃焼することにより排ガスが発生する。
【0024】
熱交換器30は、内ケーシング12の本体50の内部に配置されている。熱交換器30は、バーナ20の上方に配置されている。熱交換器30は、内ケーシング12の内給気口70から排気口76に向かう方向において、バーナ20よりも排気口76側に配置されている。
【0025】
熱交換器30は、熱交換路32を備えている。熱交換路32の上流端部は給水路90に接続されており、下流端部は出湯路92に接続されている。熱交換器30は、燃料ガスの燃焼熱により、熱交換路32を流れる水を加熱する。
【0026】
熱交換器30の上方にはファン40が配置されている。ファン40は、排気ダクト52の内部に配置されている。ファン40は、内ケーシング12の内給気口70から排気口76に向かう方向において、熱交換器30よりも排気口76側に配置されている。内給気口70から排気口76に向かう方向において、バーナ20、熱交換器30、ファン40の順で配置されている。
【0027】
ファン40は、モータ42の回転により回転する。ファン40が回転することにより、内ケーシング12の外部の空気が内給気口70を通じて内ケーシング12の内部に供給される。また、ファン40が回転することにより、バーナ20で発生した排ガスが排気口76を通じて内ケーシング12の外部に排出される。
【0028】
モータ42は、コイル(図示省略)に電流が流れることにより回転する。モータ42は、コイルに流れる電流を検出する電流センサ44を備えている。電流センサ44の検出電流は制御装置100に送信される。また、モータ42は、モータ42の回転数(回転速度)を検出する回転数センサ46を備えている。回転数センサ46の検出回転数は制御装置100に送信される。
【0029】
制御装置100は、例えばCPUとメモリ(図示省略)を備えており、メモリに記憶されているプログラムに基づいて所定の制御や処理を実行する。制御装置100は、ファン40を回転させるモータ42の動作を制御可能である。例えば、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行可能である。また、制御装置100は、バーナ20の動作を制御可能である。例えば、制御装置100は、ガス供給弁97の開度を調整することにより、バーナ20の火力を調整することができる。
【0030】
上記の給湯装置2では、例えば熱交換器30とファン40との間の範囲において、内ケーシング12に孔Hがあくことがある。内ケーシング12に孔Hがあくと、その孔Hを通じて内ケーシング12の内部に空気が引き込まれることがある。そうすると、内ケーシング12の内給気口70を通じて内ケーシング12の内部に引き込まれる空気量が減少し、バーナ20に供給される空気量が減少することがある。
【0031】
給湯装置2では、制御装置100がモータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に形成された孔Hを通じて内ケーシング12の内部に空気が引き込まれると、ファン40を回転させるモータ42の電流値が上昇する。実験の結果、
図2に示すように、孔Hの面積が大きいほど、モータ42の電流値の上昇割合が大きくなることが明らかになった。なお、
図2に示す例では、制御装置100がモータ42の回転数を250Hzに維持するようにモータ42の動作を制御している。
【0032】
制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に孔Hがあくことによりモータ42の電流値が所定の第1電流基準値(例えば450mA、
図2参照)以上に上昇した場合は、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御を実行する。モータ42の回転数を維持する制御は、例えば、モータ42の回転数センサ46の検出回転数に基づいて制御装置100がモータ42の動作をフィードバック制御することにより実行される。
【0033】
所定の第1電流基準値は、例えば、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の電流値に基づいて設定される。例えば、第1電流基準値は、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の電流値に対して所定の割合(例えば15%)高い値である。モータ42の電流値が所定の第1電流基準値以上に上昇する場合は、「モータの電流値が所定の上昇条件を満たす場合」の一例である。バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御は、バーナ20の火力を弱くする制御や、バーナ20を消火する制御を含む。例えば、制御装置100は、ガス供給路94を開閉するガス供給弁97の開度を小さくしてバーナ20に供給する燃料を減少させる。または、制御装置100は、ガス供給弁97を閉弁してバーナ20に燃料が供給されないようにする。
【0034】
(効果)
以上、実施例の給湯装置2について説明した。上記の給湯装置2では、制御装置100が、ファン40を回転させるモータ42の回転数を維持する制御を実行している状態でモータ42の電流値が第1電流基準値以上に上昇した場合は、バーナ20による燃料の燃焼を抑制する制御を実行する。この構成によれば、バーナ20に供給される空気量が減少することによりバーナ20で燃料ガスが燃焼し難いと考えられる場合に、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制することにより、燃料ガスの不完全燃焼を抑制することができ、給湯装置2の安全性を更に高めることができる。
【0035】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
(変形例)
(1)上記の実施例では、制御装置100がバーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御を実行する構成であったが、この構成に限定されない。変形例では、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に孔Hがあくことによりモータ42の電流値が所定の第1電流基準値(例えば450mA、
図2参照)以上に上昇した場合は、モータ42の回転数を上昇させる制御を実行してもよい。例えば、制御装置100は、モータ42に入力する入力信号のデューティ比を大きくしてもよい。これにより、ファン40の回転数が上昇し、内ケーシング12の内給気口70を通じてバーナ20に供給される空気量が増加する。
【0037】
この構成によれば、バーナ20に供給される空気量が減少することによりバーナ20で燃料ガスが燃焼し難いと考えられる場合に、バーナ20に供給される空気量を増加させることができる。これにより、燃料ガスの不完全燃焼を抑制することができ、給湯装置2の安全性を更に高めることができる。
【0038】
(2)制御装置100は、モータ42の電流値に応じて給湯装置2の動作を段階的に制御してもよい。具体的には、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、モータ42の電流値が所定の第2電流基準値(例えば430mA、
図2参照)以上に上昇した場合は、バーナ20に供給される燃料ガスを減少させる制御を実行する。例えば、制御装置100は、ガス供給弁97の開度を小さくする。これによりバーナ20の火力が弱くなる。
【0039】
所定の第2電流基準値は、上記の第1電流基準値未満の値である。所定の第2電流基準値は、例えば、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の電流値に基づいて設定される。例えば、第2電流基準値は、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の電流値に対して所定の割合(例えば10%)高い値である。モータ42の電流値が所定の第2電流基準値以上に上昇する場合は、「モータの電流値が所定の上昇条件を満たす場合」の一例である。
【0040】
その後、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、モータ42の電流値が所定の第1電流基準値(例えば450mA、
図2参照)以上に上昇した場合に、バーナ20による燃料ガスの燃焼を停止する制御を実行する。例えば、制御装置100はガス供給弁97を閉弁する。
【0041】
この構成によれば、第2電流基準値に基づいてバーナ20に供給される燃料ガスを減少させることができ、第1電流基準値に基づいてバーナ20による燃料ガスの燃焼を停止することができる。バーナ20の動作を段階的に制御することができ、給湯装置2の安全性を更に高めることができる。
【0042】
(3)制御装置100は、先にモータ42の回転数を上昇させる制御を実行してもよい。具体的には、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、モータ42の電流値が所定の第2電流基準値(例えば430mA、
図2参照)以上に上昇した場合は、モータ42の回転数を上昇させる制御を実行する。例えば、制御装置100は、モータ42に入力する入力信号のデューティ比を大きくする。
【0043】
その後、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、モータ42の電流値が所定の第1電流基準値(例えば450mA、
図2参照)以上に上昇した場合に、バーナ20による燃料ガスの燃焼を停止する制御を実行する。この構成によっても給湯装置2の安全性を高めることができる。
【0044】
(4)変形例の給湯装置2では、制御装置100が、モータ42の電流値を維持する制御を実行可能であってもよい。制御装置100がモータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に形成された孔Hを通じて内ケーシング12の内部に空気が引き込まれると、モータ42の回転数が低下する。実験の結果、
図3に示すように、孔Hの面積が大きいほど、モータ42の回転数の低下割合が大きくなることが明らかになった。なお、
図3に示す例では、制御装置100がモータ42の電流値を380mAに維持するようにモータ42の動作を制御している。
【0045】
制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に孔Hがあくことによりモータ42の回転数が所定の第1回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御を実行する。モータ42の電流値を維持する制御は、例えば、モータ42の電流センサ44の検出電流に基づいて制御装置100がモータ42の動作をフィードバック制御することにより実行される。
【0046】
また、モータ42の電流値を維持する制御は、例えば、モータ42に印加する電圧値を制御することにより、間接的にモータ42の電流値を維持する構成であってもよい。内ケーシング12に孔Hがあいていない状態で、制御装置100が、モータ42に印加する電圧値を制御することにより間接的にモータ42の電流値を維持する。電圧値の制御は、例えば、印加電圧のデューティ比を調整することにより実行される。制御装置100は、内ケーシング12に孔Hがあくことによりモータ42の回転数が所定の第1回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御を実行する。
【0047】
所定の第1回転数基準値は、例えば、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の回転数に基づいて設定される。例えば、第1回転数基準値は、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の回転数に対して所定の割合(例えば15%)低い値である。モータ42の回転数が所定の第1回転数基準値未満に低下する場合は、「モータの回転数が所定の低下条件を満たす場合」の一例である。
【0048】
上記の構成によれば、バーナ20に供給される空気量が減少することによりバーナ20で燃料ガスが燃焼し難いと考えられる場合に、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制することにより、燃料ガスの不完全燃焼を抑制することができ、給湯装置2の安全性を更に高めることができる。
【0049】
(5)制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に孔Hがあくことによりモータ42の回転数が所定の第1回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、モータ42の回転数を上昇させる制御を実行してもよい。この構成によっても給湯装置2の安全性を高めることができる。
【0050】
(6)制御装置100は、モータ42の回転数に応じて給湯装置2の動作を段階的に制御してもよい。具体的には、制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、モータ42の回転数が所定の第2回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、バーナ20に供給する燃料ガスを減少させる制御を実行する。例えば、制御装置100は、ガス供給弁97の開度を小さくする。
【0051】
所定の第2回転数基準値は、上記の第1回転数基準値以上の値である。所定の第2回転数基準値は、例えば、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の回転数に基づいて設定される。例えば、第2回転数基準値は、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態のときのモータ42の回転数に対して所定の割合(例えば10%)低い値である。モータ42の回転数が所定の第2回転数基準値未満に低下する場合は、「モータの回転数が所定の低下条件を満たす場合」の一例である。
【0052】
その後、制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、モータ42の回転数が所定の第1回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、バーナ20による燃料ガスの燃焼を停止する制御を実行する。例えば、制御装置100はガス供給弁97を閉弁する。
【0053】
この構成によれば、第2回転数基準値に基づいてバーナ20に供給される燃料ガスを減少させることができ、第1回転数基準値に基づいてバーナ20による燃料ガスの燃焼を停止することができる。バーナ20の動作を段階的に制御することができ、給湯装置2の安全性を更に高めることができる。
【0054】
(7)制御装置100は、先にモータ42の回転数を上昇させる制御を実行してもよい。具体的には、制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、モータ42の回転数が所定の第1回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、モータ42の回転数を上昇させる制御を実行する。例えば、制御装置100は、モータ42に入力する入力信号のデューティ比を大きくする。
【0055】
その後、制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、モータ42の回転数が所定の第1回転数基準値(
図3参照)未満に低下した場合は、バーナ20による燃料ガスの燃焼を停止する制御を実行する。例えば、制御装置100はガス供給弁97を閉弁する。
【0056】
(8)上記の実施例では、制御装置100が、電流基準値または回転数基準値に基づいてバーナ20の動作またはモータ42の動作を制御していたが、この構成に限定されない。変形例では、制御装置100が、モータ42の電流値の上昇割合またはモータ42の回転数の低下割合に基づいてバーナ20の動作またはモータ42の動作を制御してもよい。
【0057】
例えば、制御装置100は、モータ42の回転数を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に孔Hがあくことにより、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態に対してモータ42の電流値が所定の割合(例えば15%)以上上昇した場合に、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御を実行してもよい、または、モータ42の回転数を上昇させる制御を実行してもよい。モータ42の電流値が所定の割合以上上昇する場合は、「モータの電流値が所定の上昇条件を満たす場合」の一例である。
【0058】
または、制御装置100は、モータ42の電流値を維持する制御を実行している状態で、内ケーシング12に孔Hがあくことにより、内ケーシング12に孔Hがあいていない状態に対してモータ42の回転数が所定の割合(例えば15%)以上低下した場合に、バーナ20による燃料ガスの燃焼を抑制する制御を実行してもよい、または、モータ42の回転数を上昇させる制御を実行してもよい。モータ42の回転数が所定の割合以上低下する場合が、「モータの回転数が所定の低下条件を満たす場合」の一例である。
【0059】
(9)他の変形例では、制御装置100は、モータ42の電流値の上昇割合またはモータ42の回転数の低下割合に基づいて、バーナ20の動作またはモータ42の動作を段階的に制御してもよい。
【0060】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0061】
2:給湯装置、10:外ケーシング、12:内ケーシング、14:外給気口、20:バーナ、30:熱交換器、32:熱交換路、40:ファン、42:モータ、44:電流センサ、46:回転数センサ、50:本体、52:排気ダクト、54:フード部、56:ダクト部、70:内給気口、72:連通口、76:排気口、90:給水路、92:出湯路、94:ガス供給路、95:主経路、96:分岐経路、97:ガス供給弁、100:制御装置、H:孔