(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ノズル、清浄装置、および清浄システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20240912BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20240912BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20240912BHJP
F24F 8/26 20210101ALI20240912BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20240912BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20240912BHJP
F16L 35/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L9/015
E06B7/28 Z
F24F8/26
F24F8/24
B60H3/00 Z
B60H3/00 J
F16L35/00 Z
(21)【出願番号】P 2021006744
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 丈博
(72)【発明者】
【氏名】海野 義也
(72)【発明者】
【氏名】砂原 宏光
(72)【発明者】
【氏名】熊井 匠
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-285420(JP,A)
【文献】実開昭50-147352(JP,U)
【文献】登録実用新案第3142645(JP,U)
【文献】特開2010-159039(JP,A)
【文献】特開昭61-012419(JP,A)
【文献】実開昭50-033444(JP,U)
【文献】特開平05-069733(JP,A)
【文献】米国特許第05683293(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00~12/14
E06B 7/00~ 7/36
F24F 8/00~ 8/99
B60H 1/00~ 3/06
F16L 29/00~35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動型の窓と、前記窓の
縁が差し入れられるフレーム溝を備えるフレームとの間で保持される保持具
を備えるノズルであって、
前記窓
の縁が差し入れられる溝
と、
前記溝が開いている側とは反対側に前記フレーム溝に差し入れられる端部と、
前記溝の深さ方向における前記端部と前記溝との間において前記溝の幅方向へ開口する流出口と、を備え
、
前記溝の深さ方向の寸法において前記溝の一方の側面が前記溝の他方の側面より大きく、
前記溝の幅方向において前記溝より前記流出口側に前記端部があるように前記溝と前記端部とがずれており、
前記溝の幅方向において前記溝の一方の側面より前記流出口側に前記溝の他方の側面がある、
ことを特徴とする
ノズル。
【請求項2】
前記端部は、前記流出口が開口する面と、前記溝が開いている側と反対側へ向かうに従って前記溝の幅方向の寸法が小さくなるように
傾斜する傾斜面
とに接する端面を備え
、前記フレーム溝に前記端面から差し入れられる、
請求項
1記載の
ノズル。
【請求項3】
前記溝の幅方向の寸法において、前記
溝の一方の側面側の厚みが前記溝の他方の側面側の厚みより大きい、
請求項1または2記載の
ノズル。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか一項に記載のノズルと、清浄ガスを供給する供給装置と、を備える清浄装置であって、
前記供給装置によって前記ノズルの流出口から前記清浄ガスが噴出される、
ことを特徴とする清浄装置。
【請求項5】
前記ノズルと前記供給装置とを一体としている、
請求項4記載の清浄装置。
【請求項6】
請求項
4または5記載の清浄装置と、吹出口を有する空調装置と、を備える清浄システムであって、
前記清浄ガスが、空気よりも重く、
鉛直方向において前記流出口が前記吹出口よりも高い位置にあり、
前記流出口が向く方向と前記吹出口が向く方向とが交差して
おり、
前記流出口の開口形状は、前記溝の深さ方向の寸法よりも前記溝の長さ方向の寸法が長いスリット状である、
ことを特徴とする清浄システム。
【請求項7】
請求項1
~3のいずれか一項に記載の
ノズルを備え、前記窓を有する室内を清浄する清浄装置であって、
前記室と装置本体との間に流路を備え、
前記流路の中途に前記
ノズルが設けられる、
ことを特徴とする清浄装置。
【請求項8】
前記ノズルは、前記流出口と連通し、前記溝の幅方向と交差する方向へ開口する流入口を備え、
前記流路は、前記装置本体と前記流入口と接続される供給ホースと、前記室内に配置され、前記流出口と接続される噴出ホースとを備える、
請求項7記載の清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具、ノズル、清浄装置、および清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3215707号(以下、「特許文献1」という。)には、オゾン供給用ホース装置が記載されている(その明細書段落0048-0049)。このホース本体の先端部にあるノズルは、脱臭作業の際、自動車の窓の上方から挿入され、助手席の足下に置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような技術では、ガスによる清浄(除菌、脱臭、芳香など)のために車両の室内に引き込まれたホースが窓の上方で動いてしまうおそれがある。他方、ホースを固定させるために窓を閉めすぎるとホースあるいは窓が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明の一目的は、窓とこの窓のフレーム(以下、「窓フレーム」ともいう。)との間で容易に保持されることのできる保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段は、窓と、前記窓のフレームとの間で保持される保持具であって、前記窓縁が差し入れられる溝を備えることを特徴とする。
【0007】
前記保持具は、前記溝の深さ方向の寸法において、前記溝の一方の側面が前記溝の他方の側面より大きいことが好ましい。
【0008】
前記保持具は、前記溝の幅方向の寸法において、前記一方の側面側の厚みが前記溝の他方の側面側の厚みより大きいことが好ましい。
【0009】
前記保持具は、前記溝が開いている側と反対側へ向かうに従って前記溝の幅方向の寸法が小さくなるように、傾斜面を備えることが好ましい。
【0010】
前記保持具は、前記溝が開いている側とは反対側に前記窓のフレームに接する端部を備えることが好ましい。ここで、前記溝の幅方向において前記溝と前記端部とがずれていることが好ましい。
【0011】
前記保持具を備えるノズルであって、前記溝の幅方向に開口する流出口を備えることが好ましい。
【0012】
前記ノズルは、前記流出口の開口形状が、前記溝の深さ方向の寸法よりも前記溝の長さ方向の寸法が長いことが好ましい。
【0013】
前記ノズルと、清浄ガスを供給する供給装置と、を備える清浄装置であって、前記供給装置によって前記ノズルの流出口から前記清浄ガスが噴出されることが好ましい。
【0014】
前記清浄装置と、吹出口を有する空調装置と、を備える清浄システムであって、前記清浄ガスが、空気よりも重いことが好ましい。ここで、鉛直方向において前記流出口が前記吹出口よりも高い位置にあることが好ましい。また、前記流出口が向く方向と前記吹出口が向く方向とが交差することが好ましい。
【0015】
前記保持具を備え、前記窓を有する室内を清浄する清浄装置であって、前記室と装置本体との間に流路を備えることが好ましい。ここで、前記流路の中途に前記保持具が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
一解決手段によれば、窓と窓フレームとの間で容易に保持されることのできる保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る清浄システムについての説明図である。
【
図2】
図1の清浄システムによる気流についての説明図である。
【
図3】
図1の清浄システムが備える清浄装置の説明図である。
【
図4】
図1の清浄システムが備えるノズルの斜視図である。
【
図11】
図4のノズルの接続された状態の説明図である。
【
図12】
図4のノズルが保持された状態の説明図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係るノズルの斜視図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る保持具が保持された状態の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の実施形態では、車両100(例えば自動車)において人や物が存在する室101(キャビン)内を除菌、脱臭など清浄化する機能を備える清浄システム10について、図面を参照して説明する。
図1は、清浄システム10についての説明図である。この
図1には、側面視した状態の車両100の室101を清浄する様子が示されている。また、
図2は、清浄システム10による気流についての説明図である。この
図2には、平面視した状態の車両100の室101内の気流の様子が示されている。また、
図3は、清浄システム10が備える清浄装置20の説明図である。この
図3には、清浄装置20の概略構成が示されている。また、
図4は、清浄システム10が備えるノズル30の斜視図である。図中にx軸方向、y軸方向、z軸方向を示してあるものは、直交座標系(三次元空間)において清浄システム10が配置されたものとして説明するためである。
【0021】
清浄システム10は、清浄装置20を備えている。この清浄装置20は、車両100の室101内へ清浄ガスを供給する機能を有している。そして、清浄システム10は、清浄ガスによって室101内を除菌、脱臭など清浄化する機能を有している。
【0022】
清浄装置20は、ノズル30を備えている。このノズル30は、室101内へ開口する流出口31(
図4参照)を備えている。このノズル30は、室101が有する可動型の窓102(例えばパワーウインドウ)と窓フレーム103との間で保持される(
図12参照)。また、清浄装置20は、清浄ガスを供給する供給装置70(装置本体)を備えている。この供給装置70から清浄ガスがノズル30へ送出され、ノズル30から室101内へ清浄ガスが噴出(供給)される(
図2の気流F1を参照)。
【0023】
図4に示すように、ノズル30は溝41を備えている。後述するが、この溝41に窓102の縁が差し入れられてノズル30が保持される(
図12参照)。ノズル30では、溝41の長さ方向(この方向と平行な方向も含む。x軸方向に対応する。)と交差する幅方向(この方向と平行な方向も含む。y軸方向に対応する。)に開口する流出口31が形成されている。この流出口31の開口形状は、車高方向に対応する溝41の深さ方向(この方向と平行な方向も含む。z軸方向に対応する。)の寸法よりも車長方向に対応する溝41の長さ方向(x軸方向)の寸法が長くなっている(スリット状に形成されている)。流出口31の開口形状(細長状)をこのようなスリット状とすれば、ノズル30から室101内へ車長方向(x軸方向)に広く噴出することができる。これにより、室101内の清浄化の効率化を向上させることができる。また、流出口31の開口形状をスリット状とすることにより、不使用時(待機時)において流出口31から内部へのゴミの侵入を防止することができる。
【0024】
このように清浄装置20は、室101内に清浄ガスを噴出し、その清浄ガスによって室101内を清浄することができる。清浄ガスとしては、例えば酸化剤を含むガスが用いられる。室101内に存在する被清浄成分(例えば、空気中やシートなどの付着している臭気成分など)は、酸化剤と反応することで、除菌、脱臭され、清浄化される。他方、被清浄成分と反応した酸化剤は消失することとなる。
【0025】
酸化剤がオゾンの場合、供給装置70は、オゾン発生装置71を備えることとなる。オゾン発生装置71は、例えば紫外線照射型を用いることができる。このオゾン発生装置71は、紫外線ランプ72や昇圧電源基板(不図示)などを備えている。紫外線照射型では、酸素を含むガス(例えば、空気)に紫外線を照射することでオゾンガス(オゾンを含む空気)を発生することができる。なお、清浄ガスにオゾンガス(オゾンを含む空気であってもよい)を用いる場合には、オゾンの高温での自然分解を抑制するため、清浄システム10は、清浄ガスを低温状態とさせる冷却機構を備えてもよい。
【0026】
また、供給装置70は、ガス送出装置73を備えている。このガス送出装置73は、オゾン発生装置71に酸素を含むガスを送出する機能を有している。ガス送出装置73は、エアポンプ74と、バルブ75とを備えている。ガス送出装置73は、エアポンプ74を送出源とし、バルブ75(例えば絞りバルブ)によって空気通過流量を制御してオゾン発生装置71へ空気を送出(供給)することができる。
【0027】
清浄装置20では、ガス送出装置73(エアポンプ74)からの送出機能を用い、オゾン発生装置71で発生させた清浄ガスをノズル30から噴出することとなる。オゾンは室101内へ噴出されるまでの間に自然に消失されたり、被清浄成分と反応して消失したりするが、それら消失量よりも多くの量を供給装置70から供給することが、室101内を効率よく清浄化する上でも好ましい。
【0028】
また、清浄装置20は、供給ホース76を備えている。この供給ホース76は、一端が清浄装置20の本体となる供給装置70と接続され、他端がノズル30と接続されている。本実施形態では、清浄装置20の本体となる供給装置70から室101までの清浄ガスの流路は、ノズル30と供給ホース76とから構成されることとなる。これにより、ノズル30と供給装置70とが別体でそれらの距離が離れていても、清浄ガスは、供給装置70から供給ホース76を介してノズル30まで供給(送出)され、そしてノズル30から室101へ噴出(供給)することができる。
【0029】
また、清浄システム10は、空調装置90を備えている。この空調装置90は、清浄装置20(ノズル30)から清浄ガスが供給された室101内を清浄させる環境に保つ機能を有している。この空調装置90は、室101内で開口する吹出口91および吸込口92を備え、例えばファンによって吸込口92から吸い込んだガスを吹出口91から吹き出す機能を有している。
【0030】
本実施形態では、空調装置90として車両100が備えるエアコンディショナ(以下、「カーエアコン」ともいう。)を用いている。カーエアコンは、例えば、車両100前部のダッシュボード内に設けられている。なお、カーエアコンを用いる場合、車101内の清浄時には「内気循環、吹出口91を上半身、最大風量、最低温度」と設定して駆動させておくことが好ましい。
【0031】
空調装置90の吹出口91の向きは、室101の後部(その手前の搭乗者の正面上半身)となる。このため、吹出口91からのガス(室101内のガス、例えば清浄ガスを含む空気など)は、
図2に示す流れF2のように、車長方向(x軸方向)後ろ側に向かって吹き出される(排出される)。他方、空調装置90の吸込口92の向きは、室101の床部(搭乗者の足下)となる。このため、吸込口92へのガスは、車高方向(鉛直方向、z軸方向)下側からから吸引される。
【0032】
このような空調装置90により、室101内に気流を発生させ、清浄装置20から供給された清浄ガスを室101内に効率よく拡散、循環させることができる。
【0033】
本実施形態では、清浄ガスとして空気よりも重いもの(例えばオゾンガス)を用いている。このため、清浄システム10では、
図1に示すように、鉛直方向(z軸方向)において清浄装置20(ノズル30)の流出口31の位置h1が空調装置90の吹出口91の位置h2よりも高くなるようにしている。位置h1は、例えば、窓102と窓フレーム103との間でノズル30が保持され、その流出口31が設けられる位置(室101の上部位置)となる。また、位置h2は、空調装置90としてカーエアコンを用いる場合は、ダッシュボード前面に吹出口91が設けられる位置となる。そして、清浄システム10では、
図2に示すように、ノズル30の流出口31が向く方向(流れF1)と空調装置90の吹出口91が向く方向(流れF2)とが交差するようにしている。
【0034】
ここで、清浄システム10による清浄方法としては、まず、清浄装置20(ノズル30)の流出口31から室101内へ清浄ガスを広範囲に噴出して供給する。このとき、空気よりも重い清浄ガスは、自重によって鉛直方向下側へ流れていこうとする。このとき、予め駆動された空調装置90の吹出口91から吹き出された(排気された)室101内の空気(清浄ガスを含むこととなる。)の流れF2によって清浄ガスが運ばれ、室101内に効率よく清浄ガスを拡散させることができる。そして、室101内で空気(清浄ガスを含む。)を循環させ、清浄ガスを室101内に留まらせる一方、清浄装置20から室101内へ清浄ガスを供給し続けるので、室101内の清浄ガス濃度を高めることができる。これにより、効率よく室101内を清浄化させることができる。
【0035】
次に、本発明の実施形態に係るノズル30について、図面を参照してより具体的に説明する。
図5~
図10は、それぞれノズル30の正面図、背面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図である。また、
図11は、ノズル30の接続された状態の説明図である。この
図11には、ノズル30と供給ホース76とがエルボ77を介して接続された状態が示されている。また、
図12は、ノズル30の保持された状態の説明図である。この
図12には、保持機能(保持具40)を有するノズル30が窓102(例えばパワーウインドウ)と窓フレーム103との間で挟まれて保持される状態が示されている。このため、保持機能を有するノズル30を保持具40として説明する場合がある。なお、ノズル30の流出口31は、正面視の面33で開口されている(
図5参照)。
【0036】
ところで、窓フレーム103は、その内側に窓102の縁が差し入れられるフレーム溝104を備えている。このフレーム溝104に窓102の縁が差し入れられた状態では、窓102が鉛直方向において上がって閉まっており、室101を閉塞することができる。他方、フレーム溝104に窓102の縁が差し入れられていない状態では、窓102が鉛直方向において下がって開いており、室102を開放することができる。
【0037】
このような窓102と窓フレーム103に対応して、ノズル30は、窓102の縁が差し入れられる溝41を備えている。本実施形態では、溝41は、窓102の縁の形状に対応させて、ストレート状に延びる長溝に形成されている。窓102をある程度大きく開けておき、溝41に窓102の縁を差し入れて、ノズル30が窓フレーム103に接するまで窓102を閉めることで、窓102と窓フレーム103との間でノズル30を容易に保持することができる。なお、窓102には、例えばガラスやプラスチックなどの透明パネルが用いられるが、それらへの損傷防止のため、ノズル30は、例えばゴム材や樹脂材を用いて形成されている。
【0038】
また、ノズル30は、
図9に示すように、溝41の深さ方向(z軸方向)の寸法において、溝41の一方の側面42(寸法z1)が溝41の他方の側面43(寸法z2)より大きくなっている。すなわち、ノズル30において側面42が大きく露出している。これにより、窓102の縁に側面42を当てるようにノズル30を近づけていき、窓102の縁をノズル30の溝41に差し入れることで、窓102と窓フレーム103との間でノズル30を容易に保持することができる。
【0039】
また、ノズル30は、溝41の深さ方向(z軸方向)と交差する幅方向(y軸方向)の寸法において、一方の側面42側の厚みが溝の他方の側面43側の厚みより大きくなっている。すなわち、ノズル30において一方の側面42側に重心がくるようにしている。これにより、窓102からノズル30を取り外す際に、他方側ではなく一方側、すなわち他方の側面43側ではなく一方の側面42側(例えば室101内ではなく室101外)に外れ易くすることができる(
図12参照)。
【0040】
また、ノズル30は、溝41が開いている側(鉛直方向下側)と反対側(鉛直方向上側)へ向かうに従って溝41の深さ方向と交差する方向(y軸方向)が小さくなるように、傾斜面44(テーパ面)を備えている。ノズル30では、傾斜面44と面33とに接する端面46を有する端部45が形成されている。これにより、窓フレーム103の溝104にノズル30の端部45(差込部)を差し入れ易くなり、窓102と窓フレーム103との間でノズル30を容易に保持することができる。また、車両100には、
図12に示すように、ドアバイザー105を備えているものもある。この点、ノズル30に傾斜面44を設けることで端部45の厚みを薄くし、ノズル30とドアバイザー105とが干渉してしまうことを防止することができる。
【0041】
このように、ノズル30は、溝41が開いている側とは反対側に窓フレーム103に接する端部45(差込部)を備えている。この端部45は、溝41の幅方向(y軸方向)において溝41と端部45とがずれている(オフセットされている)。すなわち、
図10に示すように、溝41の幅方向(y軸方向)において、溝41の幅中心と端部45の幅中心とが寸法y1だけずれている。このため、
図12に示すように、ノズル30の溝41に窓102の縁が差し入れられ、窓フレーム103の溝104にノズル30の端部45が差し入れられると、窓102の外面に側面42が接した状態となる。すなわち、ノズル30を窓102の外面で受けることとなり、窓102と窓フレーム103との間でノズル30を安定して保持することができる。
【0042】
また、ノズル30は、溝41の深さ方向(z軸方向)において溝41が開いている側に端部47(端面48)を備えている。この端部47は、
図5に示すように、その両側が面取りされている。すなわち、端部47は、溝41の長さ方向(x軸方向)に交差する傾斜面49を備えている。これにより、例えば供給装置70が備える一対の支持棒(不図示)の間に端部47を合わせて、鉛直方向上側から下側へ下げていくことことで傾斜面49に接し、清浄待機状態においてノズル30を供給装置70で容易に保持することができる。
【0043】
また、ノズル30は、流出口31(第1開口)と連通する流入口32(第2開口)を備えている。この流入口32は、流出口31が開口する面33(
図5に示す正面視の面)とは別の面34(
図10に示す右側面視の面)で開口している。
図4に示すように、面33側からノズル30内部へ溝41の幅方向(y軸方向)に形成された流出孔35の開口が流出口31である。また、面34側からノズル30内部へ溝41の長さ方向(x軸方向)に形成された流入孔36の開口が流入口32である。そして、ノズル30内部では流出孔35と流入孔36とが連通している。これにより、ノズル30は、流入口32から供給された清浄ガスを流出口31から噴出させることができる。
【0044】
このようなノズル30は、
図11に示すように、流入口32においてエルボ77を介して供給ホース76と接続される。具体的には、ノズル30とエルボ77は、ノズル30の流入孔36にエルボ77の一端が挿入された状態で接続されている。また、供給ホース76とエルボ77は、ホース77の一端にエルボ77の他端が挿入された状態で接続されている。
【0045】
ノズル30内部では、挿入されたエルボ77の一端の前方(流入孔36の奥側)で流出孔35が流入孔36と連通されている(
図4参照)。これにより、エルボ77の一端で流出孔35が塞がれてしまうことを防止することができる。なお、ノズル30とエルボ77の一端との接続を回動可能な構成としてもよく、これにより窓102と窓フレーム103との間で保持されたノズル30に対してホース72の引き回しの自由度を向上させることができる。
【0046】
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、ノズル30(保持具40)の端部45(差込部)を面取りするような傾斜面44で構成する場合について説明した。本実施形態では、異なる形状の端部45A(差込部)を設ける場合について図面を参照して説明する。
図13は、清浄システム10A(清浄装置20A)が備えるノズル30A(保持具40A)の斜視図である。
【0047】
ノズル30Aは、平面視の面50から溝41の深さ方向(z軸方向)にフランジ状に出っ張った端部45Aを備えている。このような端部45Aでは、その厚み(溝41の幅方向の寸法)の調整がし易くなる。端部45Aは、窓フレーム103のフレーム溝104の奥側まで差し入れられる。したがって、ノズル30A(保持具40A)は、窓102と窓フレーム103との間で容易に保持されることなる。
【0048】
また、ノズル30Aでは、円形状の流出口31A(第1開口)が設けられた正面視の面33とは別の底面視の面48に円形状の流入口32A(第2開口)が設けられている。流出口31Aと流入口32Aとはノズル30Aの内部で連通している。流入口32Aには、前述したように、ホース72が接続され、供給装置70からの清浄ガスが流入する。したがって、ノズル30Aは、流入口32Aから供給された清浄ガスを流出口31Aから噴出させることができる。なお、流入口32Aのように流出口31A(第1開口)が設けられた面33とは別の面(例えば左側面、背面)に流入口(第2開口)を設けてもよい。
【0049】
(実施形態3)
前記第1実施形態では、清浄装置20の本体となる供給装置70から室101までの清浄ガスの流路を保持機能(保持具40)を有するノズル30と供給ホース76から構成する場合について説明した。本実施形態では、清浄ガスの流路を噴出ホース80、保持具40Bおよび供給ホース76から構成する場合について図面を参照して説明する。
図14は、本実施形態に係る清浄装置20B(清浄システム10B)が備える保持具40Bが保持された状態の説明図である。
図14には、保持具40Bが窓102と窓フレーム103との間で保持される状態が示されている。
【0050】
本実施形態の清浄装置20Bは、保持具40Bと、噴出ホース80と、を備えている。保持具40Bは、室101を有する窓102と窓フレーム103との間で保持される機能を有している。この機能は、前記第1実施形態で説明した保持具40と同様である。ここで、保持具40Bは、流出口31B(第1開口)およびこれと連通する流入口32(第2開口)を備えている。この流出口31Bは、例えば、円形状(
図13に示す流出口31Aと同様)に開口しており、ホース金具を介して噴出ホース80の一端と接続される。噴出ホース80の先端(他端)は、例えば、
図1に示した空調装置90の吸込口92近傍の室101の床部(搭乗者の足下)に設けられる。空調装置90により、室101内に気流を発生させ、清浄装置20から供給された清浄ガスを室101内に効率よく拡散、循環させることができる。
【0051】
このように、清浄装置20Bが室101と装置本体である供給装置70との間に備える流路は、噴出ホース80、保持具40Bおよび供給ホース76から構成されている。すなわち、清浄装置20Bでは、この流路の中途に保持具40Bが設けられている。この保持具40Bは、保持具40と同様に、窓102の縁が差し入れられる溝41を備えている。これにより、窓102と窓フレーム103との間で保持具40Bを保持することができる。
【0052】
また、室101の内外の境界となる窓102に保持具40Bが設けられるので、供給装置70(装置本体)から噴出ホース80の先端までの流路がその中途で安定して保持されることとなる。したがって、例えば空調装置90の吸込口92近傍に噴出ホース80の先端を配置させ易くすることができる。
【0053】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0054】
前記実施形態において、ノズルと、清浄ガスを供給させる供給装置(清浄装置本体)とを別体とした場合について説明した。これに限らず、ノズルと供給装置とを一体とした清浄装置(例えばオゾナイザ)とし、これが窓と窓フレームとの間で保持される機能を有する場合であってもよい。これによれば、室外の地面に供給装置を設けなくとも、容易に室内を清浄することができる。
【0055】
また、前記実施形態において、清浄ガスとしてオゾン(O3)を含むガス(オゾンを含む空気)を用いる場合について説明した。これに限らず、清浄ガスとして過酸化水素(H2O2)、二酸化塩素(ClO2)、次亜塩素酸(HClO)を含むガスを用いる場合であってもよい。すなわち、清浄ガスとして室内を除菌、脱臭など清浄する機能を有するものを用いることができる。
【0056】
また、前記実施形態において、オゾン発生装置として、紫外線照射型を用いる場合について説明した。これに限らず、一対の電極およびこれらの間に高電圧を印加する電源を備えた放電型を用いる場合であってもよい。
【0057】
また、前記実施形態において、ガス送出装置として、最上流にエアポンプ、最下流にバルブを備える場合について説明した。これに限らず、ガス送出装置は、最上流にコンプレッサを備え、これと最下流のバルブ(例えば電磁バルブ)との間に、フィルタレギュレータを備える構成であってもよい。これにより、ガス送出装置は、空気中の水分を取り除き、一定の圧力で送出することができる。また、ガス送出装置は、フィルタレギュレータとバルブとの間に圧力スイッチを備えてもよく、これにより送出ガスの圧力を監視することもできる。また、ガス送出装置は、コンプレッサとフィルタレギュレータとの間にエアタンクを備えてもよく、これによりコンプレッサからの空気の脈動を平準化して安定に送出することができる。
【0058】
また、前記実施形態で示した供給装置がコインメックやタイマー基板を備えることで、ガソリンスタンドや洗車場などにも清浄装置を設置することができる。本発明に係る保持機能を備えたノズルを用いることで、そのような設置場所でもユーザ自身が容易にノズルを設置することができる。
【0059】
また、前記実施形態において、空調装置としてカーエアコンを用いた場合について説明した。これに限らず、空調装置を用いなくとも、可動型の窓とその窓フレームとの間にノズルが保持され、室内の上部にノズルの吹出口が設けられているため、広範囲に清浄ガスを噴出させることができる。
【0060】
また、前記実施形態において、保持具(ノズル)を、車両(例えば自動車)の室(例えばキャビン)に設けられる可動型の窓(例えばパワーウインドウ)と、窓フレームとの間で保持される場合について説明した。これに限らず、室の開口部に設けられ、室を開放するための可動部(例えば窓、扉、パネルなど)と、可動部縁が差し入れられる溝を備える開口部縁(例えば窓フレーム、扉フレーム、パネルフレームなど)との間で保持される場合にも用いることができる。
【0061】
また、前記実施形態において、清浄装置本体(供給装置)から延びる供給ホースと、室内に設けられる噴出ホースとを保持具で連結する場合について説明した。これに限らず、清浄装置本体から室内まで延びる一本のホースの中途に保持具を設け、この保持具を窓と窓フレームとの間で保持するように設けてもよい。なお、ホースは清浄ガスに耐性のあるものを用いることが好ましく、清浄ガスがオゾンを含む場合、ホースはフッ素、シリコーンなどの材質で構成されることが好ましい。
【0062】
また、前記実施形態で示した保持具から延びる噴出ホースに対して、巻き取りできるよう保持具に巻き取り機能(例えばゼンマイバネを用いる)を持たせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
40 保持具
41 溝
42、43 側面