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  • 特許-リークテスタ 図1
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  • 特許-リークテスタ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】リークテスタ
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01M3/26 E
G01M3/26 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013608
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117101
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-126446(JP,A)
【文献】実開昭59-058343(JP,U)
【文献】特開2015-148586(JP,A)
【文献】特開2013-082027(JP,A)
【文献】米国特許第05419184(US,A)
【文献】中国実用新案第209055293(CN,U)
【文献】特開2015-054338(JP,A)
【文献】特開2018-044783(JP,A)
【文献】特開2001-221708(JP,A)
【文献】特開平11-194065(JP,A)
【文献】実開昭64-33641(JP,U)
【文献】実開昭51-161188(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M3/00 -3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向へ伸縮可能な可動軸およびこの可動軸を内包可能な本体から成る直動シリンダ
と、この直動シリンダの可動軸に連結されワークの開口面に密着可能に形成された圧接体
とを備えて成るリークテスタにおいて、
前記直動シリンダは、その本体に揺動自在に配され前記圧接体を囲うように配置された
一対の把持爪を備えて成り、
前記把持爪は、これを常時閉じる方向へ付勢する弾性部材を備えて成り、
前記圧接体は、前記直動シリンダの作動を受け当該把持爪の内面を摺動するよう配され
、前記弾性部材の付勢に抗して前記把持爪を開閉する当接部を備えて成ることを特徴とす
るリークテスタ。
【請求項2】
前記直動シリンダは、その本体の両端から何れも前記可動軸を突出させてなる両ロッド
型であり、さらに、ワークの傾きに応じて姿勢を変化させるフローティング機構に係合し
て成り、
前記フローティング機構は、前記直動シリンダを軸方向および径方向へ遊嵌自在に支持
して成ることを特徴とする請求項1に記載のリークテスタ。
【請求項3】
前記直動シリンダは、自重を相殺して径方向の移動を許容する自重相殺ユニットに吊下
されて成ることを特徴とする請求項2に記載のリークテスタ。
【請求項4】
前記フローティング機構は、前記可動軸を復帰状態にして成る時には当該可動軸の一端
に当接して引き込む方向への移動を規制する規制部材を備え、
前記規制部材は、可動軸を伸長する方向へ作動した時には可動軸の一端を徐々に径方向
へ解放するよう形成されたテーパ部を備えて成ることを特徴とする請求項2または請求項
3の何れかに記載のリークテスタ。
【請求項5】
前記圧接体は、前記開口面に当接し当該開口面の凹凸形状に合わせて弾性変形するパッ
ド部材と、このパッド部材を嵌合させて固定して成るケースと、このケースに常時係合し
て当該ケースを前方へ付勢する圧縮ばねと、この圧縮ばねを組み込み前記可動軸に接続さ
れた摺動ベースとを備えて成り、
前記ケースと摺動ベースとは、径方向および軸方向への移動を許容するフローティング
ジョイントを介して連結されて成ることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに
記載のリークテスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに設けられた通気経路を塞ぎ当該通気経路内へ供給した圧縮エアのエア圧に基づいて当該ワークのエア漏れを検査するリークテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリークテスタは、特許文献1に示すように、内部に通気経路などが形成されているワークにおいて巣穴等によりエア漏れを生じているか否か検査するものであり、前記通気経路を塞いで密閉する圧接体と、この圧接体を介して通気経路へ圧縮エアを供給するエア源と、この供給する圧縮エアの圧力を測定する圧力計とを備えている。これにより、従来のリークテスタは、通気経路内の圧縮エアの圧力を前記圧力計により測定し、この測定圧力に基づいてワークのエア漏れ検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3643185号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリークテスタは、上述のようにワークの通気経路を密閉状態にするために当該通気経路の開口面を圧接体により押圧しなければならないので、例えば、通気経路の開口面が上面と側面の2箇所など複数存在すると、これら上面および側面の2箇所を2つの圧接体により押圧して通気経路を塞ぐ必要がある。このように複数の開口面が存在するワークの場合、上面側の圧接体と側面側の圧接体とが異なる方向から当該ワークを押圧するため、ワークが所定位置に留まり難い。したがって、圧接体をしかるべき位置へ移動できず、エア漏れの正確な検査が行えないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、検査するワークを予め所定位置に固定などしなくてもワークの通気経路を確実に塞いでエア漏れの検査ができるリークテスタの提供を目的としており、前後方向へ伸縮可能な可動軸およびこの可動軸を内包可能な本体から成る直動シリンダと、この直動シリンダの可動軸に連結されワークの開口面に密着可能に形成された圧接体とを備えて成るリークテスタにおいて、前記直動シリンダは、その本体に揺動自在に配され前記圧接体を囲うように配置された一対の把持爪を備えて成り、前記把持爪は、これを常時閉じる方向へ付勢する弾性部材を備えて成り、前記圧接体は、前記直動シリンダの作動を受け当該把持爪の内面を摺動するよう配され、前記弾性部材の付勢に抗して前記把持爪を開閉する当接部を備えて成ることを特徴とする。なお、前記直動シリンダは、その本体の両端から何れも前記可動軸を突出させてなる両ロッド型であり、さらに、ワークの傾きに応じて姿勢を変化させるフローティング機構に係合して成り、前記フローティング機構は、前記直動シリンダを軸方向および径方向へ遊嵌自在に支持して成ることが好ましい。また、前記直動シリンダは、自重を相殺して径方向の移動を許容する自重相殺ユニットに吊下されて成ってもい。さらに、前記フローティング機構は、前記可動軸を復帰状態にして成る時には当該可動軸の一端に当接して引き込む方向への移動を規制する規制部材を備え、前記規制部材は、可動軸を伸長する方向へ作動した時には可動軸の一端を徐々に径方向へ解放するよう形成されたテーパ部を備えて成ってもよい。また、前記圧接体は、前記開口面に当接し当該開口面の凹凸形状に合わせて弾性変形するパッド部材と、このパッド部材を嵌合させて固定して成るケースと、このケースに常時係合して当該ケースを前方へ付勢する圧縮ばねと、この圧縮ばねを組み込み前記可動軸に接続された摺動ベースとを備えて成り、前記ケースと摺動ベースとは、径方向および軸方向への移動を許容するフローティングジョイントを介して連結されて成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るリークテスタは、把持爪によりワークを把持しつつ、圧接体を当該ワークの開口面へ密着させることができるので、把持爪で確実に把持されているワークに圧接体を強く押圧できる。よって、予め正確な位置にワークを設置しなくてもよく、正確なエア漏れの検査が行えるという利点がある。しかも、本発明に係るリークテスタは、直動シリンダを軸方向および径方向へ遊嵌自在なフローティング機構を備えるので、待機状態で固定され開いた把持爪をワークの姿勢に倣わせることができる。これにより、姿勢の不安定なワークであっても確実に把持できるという利点もある。また、本発明に係るリークテスタは、可動軸の復帰状態を保つ規制部材を配し、この規制部材が可動軸の伸長によって可動軸の一端から離脱して径方向へ徐々に空間を形成するテーパ部を備える前記フローティング機構を採用しているので、1つの直動シリンダの作動により前記把持爪を固定状態からフローティング状態へと状態を変化させることができ、かつ、当該把持爪を開いた状態から閉じワークを把持でき、さらに、当該ワークの開口面に前記圧接体を押し付けることができる。これにより、把持爪のフローティング動作、ワークの把持動作、圧接体の押圧動作の異なる動作を1つの直動シリンダの伸長動作のみにより実現できる。これにより、例えば、把持爪の揺動動作と、圧接体の開口面への押圧動作とを個別に制御しなくてもよいので、部品点数の少ない低コストで煩雑な制御も不要という利点もある。しかも、直動シリンダは、自重相殺ユニットに吊下されて成るので、外力を受けても径方向へ容易に移動できるという利点もある。また、本発明に係るリークテスタは、前記ケースおよび摺動ベースを径方向および軸方向への移動可能なフローティングジョイントによって連結するとともに、ケースを圧縮ばねの付勢を常時受ける構成のため、樹脂材がワークの開口面に押圧されることで当該開口面の向きに倣い易いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るリークテスタの全体概略図であり、(a)は待機状態を示し、(b)は作動状態を示す。
図2図1(a)に示す矢印Aから見た全体概略図である。
図3】本発明に係るリークテスタの要部断面図である。
図4図3に示すリークテスタによりワークを把持する際の各動作を示す動作説明図であり、(a)は待機状態を示し、(b)は直動シリンダの作動によりワークを把持した直後の状態を示し、(c)は直動シリンダの作動を終えワークの開口面に圧接体を密着させている状態を示す。
図5図4(b)の時に直動シリンダがフローティングする様子を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るリークテスタ1は、鋳物で成形されたワークWのエア漏れを検査するものであって、当該ワークWの外形である鋳肌を把持して切削加工された開口面Waを封止するよう構成されている。また、前記ワークWの外形は、鋳肌で寸法精度が悪い一方、当該ワークWの開口面Waは、切削加工により寸法精度が高く、ワークWの外形と開口面Waとの寸法精度や平行度などは、ワーク毎に異なる。
【0009】
本発明に係るリークテスタ1は、ワークWの外形を把持し、前記開口面Waを封止して、外形および開口面Waの寸法精度や平行度の違いを開口面Waの封止時に吸収できるものであり、図1ないし図5に基づいて説明する。このリークテスタ1は、別途供給されるエアにより伸縮可能な可動軸11を備えた直動シリンダ10と、この直動シリンダ10の可動軸11に連結されワークWの開口面Waに密着可能に形成された圧接体15とを備える。
【0010】
前記直動シリンダ10は、前記可動軸11を前後方向に摺動自在に内包して成る本体12を備えており、この本体12内へ別途供給される前記エアによって、前記可動軸11を前方へ突出、あるいは後方へ引き込み可能に構成される。また、直動シリンダ10は、図3に示すように、可動軸11を挿通可能にして本体12の一端に配された爪取付部材13を備える。さらに、可動軸11の一端には、圧接体15が取り付けられている。
【0011】
また、直動シリンダ10は、図3図4図5に示すように、可動軸11を本体12の両端側からそれぞれ突出させ一体に摺動するよう構成してもよい。この両ロッド型の可動軸11は、本体12の他端に取り付けられた中空鍔付き部材17からも後方へ突出しており、この可動軸11の後端には、略円柱状のロッドエンド18がねじ止めされている。
【0012】
前記爪取付部材13は、図2に示すように、ワークWの外形を掴めるように揺動自在な把持爪14を複数備えて成り、この把持爪14は、可動軸11および圧接体15を囲うように配置されている。また、前記把持爪14は、その揺動角度に応じて先端側を開閉させることができ、常時は弾性部材の一例である爪ばね19によって閉じる方向へ付勢されて成る。
【0013】
前記圧接体15は、パッド部材の一例である変形可能な軟質の樹脂材15aと、この樹脂材15aを嵌合させて固定して成るケース15bと、このケース15bに常時係合して当該ケース15bを前方へ付勢する圧縮ばね15cとを備える。また、圧接体15は、前記圧縮ばね15cの後端に常時当接させ当該圧縮ばね15cを組み込み可能な摺動ベース16と、この摺動ベース16の前方への移動により前記把持爪14の内面14aに常時当接して当該把持爪14の揺動角度を決定するよう配置された当接部16aと備えて成る。なお、把持爪14は、これを閉じる方向へ押圧する爪ばね19に常時付勢されて成る。このように、本発明に係るリークテスタ1は、前記摺動ベース16の移動に応じて開閉する把持爪14を備えるので、図4(a)に示すように、ワークWに干渉することなく把持爪14を十分に開いた状態にできる。
【0014】
前記樹脂材15aは、前記開口面Waに当接することで当該開口面Waの凹凸形状に合わせて弾性変形可能に構成されているため、開口面Waに押圧されることで、当該開口面Waと確実に密着する。また、前記摺動ベース16は、可動軸11の前端に連結されて成り、当該可動軸11と一体に固定されて成る。
【0015】
前記ケース15bおよび摺動ベース16は、図3に示すように、径方向および軸方向への移動を許容するフローティングジョイント15xを介して連結されているため、ケース15bと摺動ベース16とが相対的に移動可能に構成される。しかも、ケース15bは、圧縮ばね15cの付勢を常時受けているため、樹脂材15aがワークWの開口面Waに押圧されると、図4(c)に示すように、圧縮ばね15cの撓み量に応じて軸方向へ後退しつつ開口面Waの向きに倣う。したがって、フローティングジョイント15xを搭載することで、樹脂材15aがよりワークWに密着し易く正確なエアリークテストに最適である。
【0016】
また、本発明に係るリークテスタ1は、ワークWの開口面Waに密着させる圧接体15を当該ワークWの姿勢に応じて倣わせることができるフローティング機構20を備えている。このフローティング機構20は、図3に示すように、直動シリンダ10の他端に配された中空鍔付き部材17の鍔部17aを軸方向および径方向に遊嵌自在に支持して成るガイドブロック21と、このガイドブロック21に一部内包され前記ロッドエンド18の後方への移動を所定位置で規制する規制部材22とを備えて成り、ガイドブロック21および規制部材22は、ねじ止めなどにより一体に構成されている。
【0017】
前記ガイドブロック21は、鍔部17aの前端あるいは後端に適宜密着可能な遊嵌部21aを形成されて成る一方、規制部材22は、ロッドエンド18を後端側に案内するとともに調心可能なテーパ部22aと、このテーパ部22aからロッドエンド18の外周および後端に嵌まり込む嵌合部22bとを備える。これにより、フローティング機構20は、図4(a)に示すように、可動軸11を引き込んだ状態であれば、ロッドエンド18の後端および中空鍔付き部材17の鍔部17aの前端が、前記ガイドブロック21および規制部材22に当接して軸方向に突っ張られるので、直動シリンダ10および圧接体15に外力が加わっても、当該直動シリンダ10を所定の高さ位置に位置決めできる。
【0018】
一方、このフローティング機構20は、図5および図4(b),図4(c)に示すように、ロッドエンド18とテーパ部22aとの接触が直動シリンダ10の作動によって解かれた以降であれば、本来有するフローティング作用を発揮する。
【0019】
また、本発明に係るリークテスタ1は、図1および図2に示すように、直動シリンダ10を鉛直に吊り下げ、当該直動シリンダ10の自重を相殺して上下ならびに径方向への移動を許容する自重相殺ユニット30を備えている。この自重相殺ユニット30は、前記フローティング機構20と一体に取り付けられ前記直動シリンダ10の上方に配された前進シリンダ40に取り付けられている。つまり、自重相殺ユニット30は、前記直動シリンダ10と前記前進シリンダ40とを接続しているので、直動シリンダ10をフローティング機構20に対して前後左右上下への移動をより大きく許容することができる。
【0020】
さらに、本発明に係るリークテスタ1は、ワークWに予め設けられている通気経路Rへ圧縮エアを給送可能なエアユニットAと、ワークW内へ給送する圧縮エアの圧力を測定可能な圧力センサPと、この圧力センサPから出力される測定圧力に基づいてワークWがエア漏れを生じているか否かを判定する判定装置Jとを備える。
【0021】
前記エアユニットAは、圧接体15により通気経路Rの一端を封止された状態のワークWへ圧縮エアを給送可能に構成されており、通気経路Rの他端側を封止して当該通気経路Rを密閉状態にすることができる。また、前記圧力センサPは、エアユニットAに接続されており、通気経路R内に給送した圧縮エアの圧力を計測することができる。これにより、判定装置Jは、圧力センサPから出力された測定圧力と、予め設定され記憶している基準圧力とを比較し、当該測定圧力が基準圧力を下回っているとエア漏れを生じているワークWであることを表示するなど外部出力可能に構成される。
【0022】
このように構成されたリークテスタ1の作用について、図1図4図5に基づき説明する。まず、前記ワークWは、図示しないコンベア上によって順次移送され、所定位置に静止して留まっている。このリークテストを実施するワークWを把持するために、前進シリンダ40が作動して、直動シリンダ10が図1(a)に示す位置から図1(b)に示す位置へと前方へ大きく移動する。このとき、直動シリンダ10は、自重相殺ユニット30によって吊下されているので、外形の寸法精度が悪いワークWであっても、開いた状態の把持爪14が自重相殺ユニット30のフローティング作用によって柔軟に姿勢を変えることができる。よって、前記把持爪14は、当該ワークWの外形を把持可能な位置まで移動できる。
【0023】
次に、ワークWを把持可能な位置に待機している把持爪14は、図4(a)に示す開いた状態から図4(b)に示す閉じた状態へ変化する。これは、前記直動シリンダ10の可動軸11の伸長動作が開始されるためであり、把持爪14の開状態を保持していた前記摺動ベース16が前記可動軸11とともに前進するからである。これにより、把持爪14は、前記爪ばね19の付勢力によって徐々に先端を閉じ、ワークWの外形を把持する。
【0024】
また、このワークWの外形を把持爪14によって把持する際、図4(b)に示すように、可動軸11とともに前進する前記ロッドエンド18は、前記規制部材22の嵌合部22bから抜け出てテーパ部22aへと解放される。これにより、前記中空鍔付き部材17の鍔部17aが遊嵌部21aで自由に姿勢を変化させることができるので、把持爪14は閉じる方向へ揺動しながらも図5に示すようにワークWの姿勢に倣って傾くことができる。さらに、このとき、前記把持爪14は、前記自重相殺ユニット30のフローティング作用も受けるので、よりワークWの姿勢に倣い易い。
【0025】
次に、把持爪14によりワークWを把持すると、この後も、可動軸11は伸長し続ける。したがって、図4(c)に示すように、樹脂材15aが、前記ワークの開口面Waに当接し、さらに前記圧縮ばね15cが僅かに撓む程度までワークWの開口面Waへ押し付けられる。これにより、圧縮ばね15cやフローティングジョイント15xを備えるリークテスタ1は、前記開口面Waと外形とに多少の傾きの違いがあっても前記フローティングジョイント15xのフローティング作用によって外形と開口面Waとの寸法精度の違いを吸収できるので、開口面Waにより密着し易い。しかも、前記樹脂材15aは、弾性変形可能なため、開口面Waに多少の凹凸があっても、圧縮ばね15cに付勢されて当該開口面Waと当接するので、ワークWとの密着性もさらに高まる。
【0026】
ところで、前記把持爪14は、複数配置するとしたが、図2に示すように少なくとも3つ以上設置するのがよい。これは、寸法精度の悪い鋳肌のワークW外形を3つの把持爪14で把持させた場合、一見すると3つの把持爪14が均等にワークWの外形に当接しているようだが、寸法精度の悪さによって例えば1つの把持爪14とワークWの外形との間に隙間を生じるような不確実な把持状態になることもある。このような不確実な把持状態であっても、この3つの把持爪14で保持したワークWの開口面Waは、前述のように圧接体15によって軸方向へ押圧されるので、この押圧によって把持爪14とワークWとの隙間が少なく変化して把持状態が安定することにも繋がる。このように、3つ以上の把持爪14を配置することは、ワークWの把持状態を良好に修正可能にできる。
【0027】
このように、本発明に係るリークテスタ1は、可動軸11の復帰状態を保つ規制部材22を配し、この規制部材22が可動軸11の伸長によって可動軸11の一端から離脱して径方向へ徐々に空間を形成するテーパ部22aを備える前記フローティング機構20を採用しているので、1つの直動シリンダ10の作動により前記把持爪14を固定状態からフローティング状態へと状態を変化させることができ、かつ、当該把持爪14を開いた状態から閉じワークWを把持でき、さらに、当該ワークWの開口面Waに圧接体15を押し付けることができる。このように、把持爪14のフローティング動作、ワークWの把持動作、圧接体15の押圧動作と3つの異なる動作を1つの直動シリンダ10の伸長動作のみにより実現できる。これにより、例えば、把持爪14の揺動動作と、圧接体15の開口面Waへの押圧動作とを個別に制御しなくてもよいので、部品点数の少ない低コストで煩雑な制御も不要なリークテスタ1が得られる。しかも、ワークWの外形や開口面Waの寸法精度の違いによる問題まで解消できるので、より正確なリークテストが実現できる。
【符号の説明】
【0028】
1 … リークテスタ
10 … 直動シリンダ
11 … 可動軸
12 … 本体
14 … 把持爪
15 … 圧接体
15x… フローティングジョイント
16a… 当接部
18 … ロッドエンド
19 … 爪ばね
20 … フローティング機構
21 … ガイドブロック
22 … 規制部材
30 … 自重相殺ユニット
40 … 前進シリンダ
W … ワーク
Wa… 開口面
図1
図2
図3
図4
図5