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  • 特許-製品の整列装置 図1
  • 特許-製品の整列装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】製品の整列装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/31 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65G47/31 D
B65G47/31 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021030582
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131576
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】八田 昌幸
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-292146(JP,A)
【文献】特開2019-177963(JP,A)
【文献】特開昭60-031455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/30
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列させるべき製品を受け取って搬送する入力コンベアと、整列状態の製品を搬送する出力コンベアと、これら前記入力コンベアと前記出力コンベアとの間に配置された複数の変速コンベアと、前記各変速コンベア上にて製品が先頭になる度に、前記出力コンベア上の目標位置に先頭製品を供給すべく、前記各変速コンベアの変速制御を介して前記先頭製品の移送補正を実施するコントローラとを備える製品の整列装置であって、
前記コントローラは、前記整列装置の停止信号を受信したとき、前記各変速コンベア上の全ての製品を前記入力コンベアに戻すべく、前記各変速コンベアを逆走行させる逆走行制御を実行する、製品の整列装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記停止信号を受信したとき、前記逆走行制御により前記各変速コンベア上の全ての製品が前記入力コンベアに戻されたことを確認する戻し確認手段を備える、請求項1に記載の製品の整列装置。
【請求項3】
前記コントローラは、製品毎の搬送状況及び移送補正に関するデータファイルを作成して保存し、
前記コントローラは、前記停止信号を受信したとき、前記逆走行制御の実行、及び前記戻し確認手段による確認の後、前記データファイルを消去するデータクリア手段を備える、請求項2に記載の製品の整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不規則な間隔や密着状態で供給される製品を所定の間隔パターンを有した整列状態に並び替えて搬送する製品の整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、整列させるべき製品を受け取って搬送する入力コンベアと、整列状態の製品を搬送する出力コンベアと、これら入力コンベアと出力コンベアとの間に配置された複数の変速コンベアと、各変速コンベア上にて製品が先頭になる度に、出力コンベア上の目標位置に先頭製品を供給すべく、各変速コンベアの変速制御を介して先頭製品の移送補正を実施するコントローラとを備えた製品の整列装置が開示されている。
【0003】
この整列装置は、入力コンベアから供給された製品が不規則な間隔又は製品同士が密着するような状態で供給されてきても、各変速コンベアによって製品の所望の整列状態を正確に作り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4197883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品の搬送経路における整列装置の下流側に配置された他の装置が停止した場合、整列装置を停止させる手動の停止ボタン等を押された場合、或いは、整列装置が何等かの非常停止信号(地震、安全カバー開放、装置異常信号等)を受けた場合には、これら停止信号を受けて整列装置が停止する。この場合、各変速コンベア上の製品は慣性等により位置ずれを生じた停止状態で配置される。従って、整列装置を再起動するためには、各変速コンベア上の製品を人手で一旦全て取り除かなければならない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、整列装置が停止した場合に人手で各変速コンベア上の製品を取り除く必要がなく、再起動を容易に且つ迅速に行うことができる製品の整列装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、本発明の製品の整列装置は、整列させるべき製品を受け取って搬送する入力コンベアと、整列状態の製品を搬送する出力コンベアと、これら入力コンベアと出力コンベアとの間に配置された複数の変速コンベアと、各変速コンベア上にて製品が先頭になる度に、出力コンベア上の目標位置に先頭製品を供給すべく、各変速コンベアの変速制御を介して先頭製品の移送補正を実施するコントローラとを備える製品の整列装置であって、コントローラは、整列装置の停止信号を受信したとき、各変速コンベア上の全ての製品を入力コンベアに戻すべく、各変速コンベアを逆走行させる逆走行制御を実行する。
【発明の効果】
【0008】
従って本発明の製品の整列装置によれば、整列装置が停止した場合に人手で各変速コンベア上の製品を取り除く必要がなく、再起動操作を容易に且つ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】製品の整列装置の全体を示した概略図である。
図2】整列装置が有する製品戻し機能を説明するための図である。
図3】コントローラが実行する製品戻し制御の制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、一実施形態に係る製品の整列装置を概略的に示す。整列装置はベルトコンベアからなる水平な入力コンベア2を備え、この入力コンベア2は不規則な間隔にて製品Aを受取り、そして、受取った製品Aを搬送速度Vにて搬送する。
【0011】
入力コンベア2の前方にはベルトコンベアからなる水平な出力コンベア4が配置され、この出力コンベア4は搬送速度Vよりも速い搬送速度Vにて製品Aを搬送する。より詳しくは、出力コンベア4には一定のピッチ間隔Pを存してプッシャ6が設けられており、製品Aはプッシャ6間にて規定されるポケット内に位置付けられた状態で搬送される。なお、出力コンベア4は例えば包装機(図示しない)まで延びている。
【0012】
入力コンベア2と出力コンベア4との間にはベルトコンベアからなる変速コンベアVC,VC,VCが一列にして配置され、これら変速コンベアVC~VCは入力コンベア2と出力コンベア4との間の変速移送路を構成する。各変速コンベアVCは駆動プーリ10をそれぞれ有し、これら駆動プーリ10はサーボモータM~Mにそれぞれ接続され、これらサーボモータMはコントローラ14の出力側に電気的に接続されている。また、サーボモータM~MはロータリエンコーダE~Eをそれぞれ有し、これらロータリエンコーダEはコントローラ14の入力側に電気的に接続されている。
【0013】
各変速コンベアVCは出力コンベア4の搬送速度Vよりも速い許容最高移送速度VMAXを有し、通常、所定の基準移送速度Vにて製品Aを移送する。なお、この実施形態の場合、基準移送速度Vは搬送速度Vに一致している。更に、出力コンベア4の駆動プーリ18にもロータリエンコーダEが接続され、このロータリエンコーダEもまたコントローラ14の入力側に電気的に接続されている。
【0014】
一方、各変速コンベアVC及び出力コンベア4の上方にはセンサS,S,S,Sがそれぞれ配置されており、これらセンサSはコントローラ14の入力側に電気的に接続されている。各センサSは光学的に製品Aの通過を検出し、その検出信号をコントローラ14に供給する。
【0015】
コントローラ14は、各サーボモータM、各ロータリエンコーダE及び各センサSに接続された制御回路22と、この制御回路22に接続された記憶回路24を含み、制御回路22はマイクロプロセッサやその周辺回路及び入出力インタフェースを有するコンピュータからなる。記憶回路はRAM及びROM等を含み、例えばROMには各変速コンベアVCの走行を制御する制御プログラムファイルが格納され、そして、RAMには制御プログラムの実行により、製品Aの搬送状況や移送補正等に関して作成されたデータファイルが保存される。
【0016】
コントローラ14は、入力コンベア2上に不所望な間隔パターンで供給される製品Aを3つの変速コンベアVC~VCを介して出力コンベア4まで移送する際、各変速コンベアVC上にて製品Aが先頭になる度に、各変速コンベアVCの移送速度を制御する。コントローラ14は、この変速制御を介して先頭製品Aの移送補正を実施し、出力コンベア4上の目標位置に先頭製品Aが供給される。
【0017】
詳しくは、制御回路22には、データ作成/更新部26のプログラムが格納され、データ作成/更新部26において各変速コンベアVCの移送増分を演算し、各変速コンベアVC上の製品Aのデータファイルを作成且つ更新する。製品Aのデータファイルは記憶回路24に保存される。この後、制御回路22は製品Aのデータファイルに基づき、各変速コンベアVC上での製品Aの移送補正量を演算し、そして、この移送補正量に基づき、各変速コンベアVCの各サーボモータMに指令信号を出力し、その移送速度を実際に変速制御する。
【0018】
データ作成/更新部26においてデータファイルの作成/更新が繰り返し実施されることにより、変速コンベアVCから変速コンベアVC上に存在する全ての製品Aに関してデータレコードが作成される。そして、各変速コンベアVC上での移送に基づき、製品Aの現在位置が常時監視され、そして、製品Aの移乗がある度に、その製品Aが存在する各変速コンベアVCのコンベア番号CNが1だけ増加更新されることになる。
【0019】
変速制御及び移送補正に関する制御ルーチンが繰り返して実行されると、各変速コンベアVC上の全製品Aに関して、製品Aの移送が進行するに連れ、製品Aのデータレコード中の現在位置やコンベア番号CN等が順次更新される。そして、この更新結果に基づき、各変速コンベアVCの変速制御により、各製品Aの移送補正が順次実施される結果、各製品Aは最下流の変速コンベアVCから出力コンベア4上の目標位置に正確に供給される。
【0020】
ここで、整列装置は、整列装置とは異なる他の装置、具体的には製品Aの搬送経路における整列装置の下流側に配置された他の装置が停止したとの停止信号を受信した場合、整列装置を停止させる手動の停止ボタン等を押された場合、或いは、整列装置が何等かの非常停止信号(地震、安全カバー開放、装置異常信号等)を受けた場合には、これら停止信号を受けて、各変速コンベアVC上の全ての製品Aを入力コンベア2上に戻す製品戻し制御を実行する。
【0021】
コントローラ14の制御回路22には、整列装置に備えられた停止信号入力部(停止信号入力手段)28から前述した停止信号が入力される。また、制御回路22には、逆走行部(逆走行制御)30、戻し確認部(戻し確認手段)32、及びデータクリア部(データクリア手段)34の各制御プログラムファイルが格納されている。
【0022】
図2(a)~(c)は整列装置が有する製品戻し制御の説明図であり、図3は製品戻し制御の制御フローを示す。図2(a)においては、前述した変速制御及び移送補正による整列制御が実施されることにより、出力コンベア4上にて一定の間隔を存して整列した製品Aの整列状態が作り出されている。
【0023】
図3に示すように、製品戻し制御は、整列装置の運転が開始されると、先ずステップS1において、制御回路22が停止信号入力部28を介して他の装置の停止信号を受信するか否かを判定する。ステップS1の判定結果がNo(偽)のときには、ステップS2に移行し、図2(a)に示した整列制御が継続して実施される。一方、ステップS1の判定結果が真(Yes)のときには、ステップS3に移行する。
【0024】
ステップS3においては、制御回路22の戻し確認部32において製品Aの計数が完了したか否かを判定する。具体的には、戻し確認部32は、データファイルに保存されている各変速コンベアVC上の全ての製品Aの数と、各センサSの検出信号に基づく各変速コンベアVC間の製品Aの移乗数とを比較することにより、各変速コンベアVC上の全ての製品Aが入力コンベア2上に戻されているか否かが判定される。
【0025】
ステップS3の判定結果がNo(偽)であり、戻し確認部32における製品Aの計数が完了していない、即ち各変速コンベアVC上の少なくとも何れかに製品Aが残っていると判定された場合、ステップS4に移行する。ステップS4においては、制御回路22の逆走行部30が各変速コンベアVCの逆走行を実施する。これにより、図2(b)、(c)に示すように、各変速コンベアVC上の製品Aが入力コンベア2に順次戻される。各変速コンベアVCの逆走行は、各サーボモータMを逆回転させることにより行われる。
【0026】
入力コンベア2上の製品Aは、各変速コンベアVCと同様の逆走行を実施することにより、製品Aの搬送経路において整列装置よりも上流側に位置する上流側装置(図示しない)まで戻される。また、出力コンベア4上の製品Aは、プッシャ6間にて規定されるポケット内に位置付けられた状態で引き続き搬送され、製品Aの搬送経路において整列装置よりも下流側に位置する下流側装置(図示しない)まで搬送される。
【0027】
一方、ステップS3の判定結果が真(Yes)であり、戻し確認部32における製品Aの計数が完了し、即ち各変速コンベアVC上の全ての製品Aが入力コンベア2に戻されたと判定された場合、ステップS5に移行する。ステップS5において、制御回路22のデータクリア部34は、記憶回路24に保存される全ての製品Aの搬送状況や移送補正等に関して作成されたデータファイルを消去する。これにより、停止信号を受信する前の整列装置の運転履歴がリセットされ、ステップS6に移行する。
【0028】
ステップS6においては、各変速コンベアVCの運転を停止する。また、前述した上流側装置及び下流側装置への製品Aの搬送が完了している場合には、入力コンベア2及び出力コンベア4の運転も併せて停止する。これにより、整列装置の運転が完全に停止されるとともに、整列装置の再起動が許可される。
【0029】
以上のように、本実施形態の整列装置によれば、コントローラ14は、停止信号入力部28を介して、整列装置の停止信号を受信したとき、各変速コンベアVC上の全ての製品Aを入力コンベア2側、つまり、入力コンベア2上は勿論のこと、その上流側の上流側装置上に戻すべく、各変速コンベアVCを逆走行させる逆走行制御を逆走行部30が実行する。これにより、整列装置が停止した場合に人手で各変速コンベアVC上の製品Aを取り除く必要がなく、整列装置の再起動を容易に且つ迅速に行うことができる。
【0030】
また、コントローラ14は、停止信号を受信したとき、逆走行制御により各変速コンベアVC上の全ての製品Aが入力コンベア2側に戻されたことを確認する戻し確認手段を戻し確認部32が実行する。これにより、各変速コンベアVCの製品Aを入力コンベア2側に確実に戻すことができるため、製品戻し制御の信頼性を高めることができる。
【0031】
また、コントローラ14は、データ作成/更新部26において製品A毎の搬送状況及び移送補正に関するデータファイルを作成して記憶回路24に保存するが、停止信号を受信したとき、逆走行制御の実行、及び戻し確認手段による確認の後、上記データファイルを消去するデータクリア手段をデータクリア部34が実行する。これにより、停止信号を受信する前の整列装置の運転履歴がリセットされ、整列装置を初期化することができるため、整列装置の再起動をより一層容易に且つ迅速に行うことができる。
【0032】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、入力コンベア2、出力コンベア4、及び各変速コンベアVCからなる製品Aの移送機構は、前述した構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
2 入力コンベア
4 出力コンベア
14 コントローラ
30 逆走行部(逆走行制御)
32 戻し確認部(戻し確認手段)
34 データクリア部(データクリア手段)
A 製品
VC 変速コンベア
図1
図2
図3