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特許7554739ファルネソイドX受容体アゴニストおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ファルネソイドX受容体アゴニストおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20240912BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20240912BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07D401/14
A61P1/16
A61P1/04
A61K31/4439
A61K31/444
C07D417/14 CSP
C07D413/14
A61K31/506
C07D403/14
C07D409/14
A61K31/497
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021513407
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019051603
(87)【国際公開番号】W WO2020061113
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】62/733,004
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/733,006
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/881,560
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523190594
【氏名又は名称】オルガノボ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ニコラス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴベク,スティーブン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,カレンサ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ライ,アンディリー ジー.
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532772(JP,A)
【文献】国際公開第2017/049172(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/049173(WO,A1)
【文献】特許第7258763(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物であって、
【化1】
式中、
【化2】
は、
【化3】
であり、
はNであり、および、X、X、ならびにXはCHであり、
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、および単環式のC-Cヘテロシクロアルキルから選択され、
はCRまたはNであり、
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり、
あるいは、RとRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され、
はCRまたはNであり、
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり、
はそれぞれ独立してCH、CF、またはNであり、
とRは一体となって、CHCH-である架橋を形成し、
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり、
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり、
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり、
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり
はC-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり、
はH、F、または-CHであり、
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)であり、
11はH、F、または-CHであり、
12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択された追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-OR17、および-O-C-Cアルキル-OR17から選択された1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し
15はC-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR17、C-Cシクロアルキル、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり

17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり
は0、1、または2であり、および、
nは0である、
化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項2】
前記Rは-C(CHである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項3】
前記R12と前記R13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、4員または5員のヘテロシクロアルキル環を形成する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項4】
前記R10は、
【化4】
である、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項5】
前記XはCHであり、前記XはCHであり、前記XはCRであり、および、前記RはC-Cアルキルである、請求項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項6】
前記RはC-Cアルコキシである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項7】
前記Lは存在せず、前記mは0であり、前記RはHであり、および、前記R11はHである、請求項6に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項8】
以下から選択される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【化5】

【化6】
【化7】

【化8】
【化9】
【請求項9】
以下に示す化合
【化10】
またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項10】
請求項1-9のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物の肝臓の疾患もしくは疾病、肝線維症、肝臓炎、または胃腸の疾患もしくは疾病を処置または予防するための薬剤の製造における、請求項1-9のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物の使用。
【請求項12】
前記胃腸の疾患もしくは疾病は、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群であって、前記肝臓の疾患が、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から選択される、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年9月18日に出願された米国仮特許出願第62/733,004号と、2018年9月18日に出願された米国仮特許出願第62/733,006号と、2019年8月1日に出願された米国仮特許出願第62/881,560号の利益を主張するものであり、これらはすべて全体として参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、ファルネソイドX受容体アゴニストである化合物、そのような化合物を作る方法、そのような化合物を含む医薬組成物および薬剤、ならびにファルネソイドX受容体活性に関連する疾病、疾患、または障害の処置において上記化合物を使用する方法が記載される。
【背景技術】
【0003】
ファルネソイドX受容体(FXR)は、肝臓、腸、腎臓、副腎、および脂肪組織中で高度に発現される核内受容体である。FXRは、胆汁酸の合成と輸送、脂質代謝、およびグルコース恒常性の制御に関与する多種多様な標的遺伝子を調節する。FXRアゴニズムは、多くの代謝障害、肝臓の疾患または疾病、炎症性の疾病、胃腸疾患、あるいは細胞増殖疾患のための処置様式である。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様において、式(I’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が本明細書に記載され、
【0005】
【化1】
式中、
環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、あるいはチアジアゾリルである、5員のヘテロアリールであり;
あるいは、環Aは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはトリアジニルである、6員のヘテロアリールであり;
、X、X、およびXはそれぞれ独立してCRまたはNであり;ここで、X、X、X、およびXの少なくとも1つはCRであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、および単環式のC-Cヘテロシクロアルキルから選択され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
はそれぞれ独立してCH、CF、またはNであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cシクロアルキル、およびC-Cヘテロアルキルから選択され;
はC-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)、-N(R16)C(=O)R14、または-N(R16)C(=O)OR15であり;
11はH、F、または-CHであり;
12は、1つまたは2つのオキソ基で随意に置換された-C-Cアルキル-OR17、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
13はHまたはC-Cアルキルであり;あるいは、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択された追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-OR17、および-O-C-Cアルキル-OR17から選択された1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
14はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cアルキル-OR17であり;
15はC-Cアルキル、C-Cアルキル-OR17、C-Cシクロアルキル、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり;
16はHまたはC-Cアルキルであり;
17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
18はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、または、単環式のヘテロアリールであり;
mは0、1、または2であり;および、
nは0、1、または2である。
【0006】
いくつかの実施形態では、式(Ia’)の構造を有する式(I’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0007】
【化2】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNであり、および、X、X、ならびにXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XとXはNであり、および、XとXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XとXはNであり、および、XとXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、X、X、X、およびXはCHである。
【0008】
別の態様において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が本明細書に記載され、
【0009】
【化3】
式中、
環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、またはチアジアゾリルである、5員のヘテロアリールであり;
あるいは、環Aは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはトリアジニルである、6員のヘテロアリールであり;
はC(H)、C(F)、またはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、および単環式のC-Cヘテロシクロアルキルから選択され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
はそれぞれ独立してCHまたはNであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、およびC-Cヘテロアルキルから選択され;
はC-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)、-N(R16)C(=O)R14、または-N(R16)C(=O)OR15であり;
11はH、F、または-CHであり;
12は、1つまたは2つのオキソ基で随意に置換された-C-Cアルキル-OR17または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
13はHまたはC-Cアルキルであり;あるいは、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択された追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-OR17、および-O-C-Cアルキル-OR17から選択された1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
14はC-CアルキルまたはC-Cアルキル-OR17であり;
15はC-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR17、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり;
16はHまたはC-Cアルキルであり;
17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
18はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、または、単環式のヘテロアリールであり;
mは0、1、または2であり;および、
nは0、1、または2である。
【0010】
いくつかの実施形態では、式(Ia)の構造を有する式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0011】
【化4】
【0012】
いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aはオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、またはピラゾリルである、5員のヘテロアリールであり;あるいは、環Aはピリジニルまたはピリミジニルである、6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環nは0である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環
【0013】
【化5】
は、
【0014】
【化6】
である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(R12)(R13)である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12は、-CHCHOH、-CHCHCHOH、または-CHCHC(CHOHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R13はHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択された追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-OR17、および-O-C-Cアルキル-OR17から選択された1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0015】
別の態様において、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が本明細書に記載され、
【0016】
【化7】
式中、環Aは、
【0017】
【化8】
であり;
はCHまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
はそれぞれ独立してCHまたはNであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
はC-Cアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)、-N(R16)C(=O)R14、または-N(R16)C(=O)OR15であり;
11はH、F、または-CHであり;
12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
14はC-CアルキルまたはC-Cアルキル-OR17であり;
15はC-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR17、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり;
16はHまたはC-Cアルキルであり;
17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;および、
mは0、1、または2である。
【0018】
いくつかの実施形態では、式(IIa)の構造を有する式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0019】
【化9】
【0020】
いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0021】
【化10】
である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0022】
【化11】
である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0023】
【化12】
である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHである。いくつかの実施形態において、式(I)、(I)、(II)、または(III)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。いくつかの実施形態において、式(I)、(I)、(II)、または(III)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHであり、および、RはHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(R12)(R13)である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、4員または5員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0024】
【化13】
である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0025】
【化14】
である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)R14である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)OR15である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、C-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R16はHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、1つのXはCHであり、および、1つのXはNである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれCHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rはハロゲン、-CN、またはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、またはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-OCHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Lは存在しない。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0である。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R11はHである。いくつかの実施形態において、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはそれぞれHである。
【0026】
様々な変数について上に記載された基の任意の組み合わせが本明細書で企図される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0027】
1つの態様において、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、皮膚投与、または経眼投与による哺乳動物への投与のために製剤される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内投与、皮下投与、または経口投与による哺乳動物への投与のために製剤される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与による哺乳動物への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁液、ゲル、分散剤、溶液、エマルジョン、軟膏、またはローション剤の形態である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である。
【0028】
別の態様では、FXRアゴニズムから恩恵を得ることになる哺乳動物の疾患または疾病を処置する方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載されるような化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、それを必要としている哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患または疾病は、代謝疾患である。いくつかの実施形態では、上記疾患または疾病は、肝臓疾患である。
【0029】
いくつかの実施形態では、化合物は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、経皮投与、あるいは眼投与によって哺乳動物に投与される。
【0030】
1つの態様では、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、それを必要としている哺乳動物に投与する工程を含む、本明細書に記載される疾患または疾病の任意の1つを処置または予防する方法が本明細書に記載されている。
【0031】
1つの態様では、哺乳動物における代謝または肝臓の疾患の処置または予防のための方法が本明細書に記載され、上記方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、それを必要としている哺乳動物に投与する工程を含む。他の実施形態では、代謝または肝臓の疾患は、FXRアゴニストによる処置に反応しやすい。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物に加えて、第2の治療剤を哺乳動物に投与する工程をさらに含む。
【0032】
1つの態様では、哺乳動物における肝臓の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、上記方法は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、アルコール性または非アルコール性の肝臓疾患である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、脂肪肝(脂肪症)、肝硬変、またはアルコール性肝炎である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、肝線維症を伴う。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、肝線維症を伴わない非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、肝内胆汁うっ滞または肝外胆汁うっ滞である。
【0033】
1つの態様では、哺乳動物における肝線維症を処置または予防する方法が本明細書に記載され、上記方法は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、C型肝炎ウイルス(HCV)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝硬変、ウィルソン病、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV関連の脂肪性肝炎と肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、あるいは胆汁性肝硬変と診断される。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断される。
【0034】
1つの態様では、哺乳動物における肝臓炎を処置または予防する方法が本明細書に記載され、上記方法は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、C型肝炎ウイルス(HCV)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝硬変、ウィルソン病、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV関連の脂肪性肝炎と肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、あるいは胆汁性肝硬変と診断される。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断される。いくつかの実施形態では、肝臓炎は胃腸管の炎症に関連付けられる。いくつかの実施形態では、哺乳動物は炎症性腸疾患と診断される。
【0035】
1つの態様では、哺乳動物における胃腸の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、上記方法は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、胃腸の疾患または疾病は、壊死性腸炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、偽膜性大腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、術後の炎症、胃の発癌、移植片対宿主病、あるいはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、胃腸疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS-C)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)、または胆汁酸性下痢(BAD)である。
【0036】
1つの態様では、FXRアゴニストを用いる処置から利益を得ることになる、哺乳動物における疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、上記方法は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法はさらに、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物に加えて、少なくとも1つの追加の治療剤を投与する工程をさらに含む。
【0037】
前述の態様のいずれかにおいて、さらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効な量は、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)吸入によって投与され、および/または、(e)経鼻投与によって投与され;あるいは、および/または、(f)哺乳動物へ注入によって投与され、および/または、(g)哺乳動物に局所的に投与され、および/または、(h)点眼によって投与され、および/または、(i)哺乳動物に直腸で投与され、および/または、(j)哺乳動物に非全身的にあるいは局所的に投与される。
【0038】
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態は、化合物が哺乳動物に1日に1回投与されるか、または化合物が哺乳動物に1日の間に複数回、投与されるさらなる実施形態を含んでいる。いくつかの実施形態において、化合物は連続的な投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、連続的な毎日の投薬スケジュールで投与される。
【0039】
疾患または疾病の処置を含む前述の態様のいずれかにおいて、本明細書に記載される式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)、(II)、または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の投与に加えて、少なくとも1つの追加の薬剤の投与を含む、さらなる実施形態がある。様々な実施形態では、それぞれの薬剤は同時を含む任意の順に投与される。
【0040】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、哺乳動物または被験体はヒトである。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物はヒトに投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は経口で投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書には、被験体の代謝障害を処置または予防する方法が記載され、上記方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、被験体の胃腸管に投与する工程であって、それによって、腸内のファルネソイドX受容体(FXR)を活性化し、被験体の代謝障害を処置または予防する、工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物の吸収は、優先的に腸の内部に制限される。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強しない。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強せず、全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、送達された化合物の全身の血漿レベルの保持をもたらす。いくつかの実施形態では、上記方法は、食事による体重の増加を減少または予防する。いくつかの実施形態では、上記方法は、被験体における代謝率を増大させる。いくつかの実施形態では、代謝率の増大は、被験体において酸化的リン酸化を増強することを含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、被験体においてグルコースおよび/または脂質の恒常性を改善する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、結果的に被験体における食物摂取量および/または脂肪消費量の大きな変化を引き起こさない。いくつかの実施形態では、上記方法は、被験体における食欲の大きな変化を引き起こさない。いくつかの実施形態では、代謝障害は、肥満症、糖尿病、インスリン抵抗性、脂質異常症またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、代謝障害は、インスリン非依存性糖尿病である。いくつかの実施形態では、上記方法は、食事による体重の増加を防ぐか、炎症を減少させるか、熱産生を増強するか、肝臓におけるインスリン感受性を増強するか、肝臓脂肪症を減少させるか、BATの活性化を促進するか、血糖を低下させるか、体重減少を増大させるか、またはそれらの任意の組み合わせをもたらす。いくつかの実施形態では、上記方法は、肝臓におけるインスリン感受性を増強し、褐色脂肪組織(BAT)活性化を促進する。いくつかの実施形態では、上記方法は、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴン様ペプチド(GLP)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤、ニコチンアミドリボヌクレオシド、ニコチンアミドリボヌクレオシドのアナログ、またはそれらの組み合わせを被験体に投与する工程をさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書には、被験体の腸内領域における炎症を処置または予防する方法が記載され、上記方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、被験体の胃腸管に投与する工程であって、それによって、腸内のFXR受容体を活性化する工程、および被験体の腸内領域における炎症を処置または予防する工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物の吸収は、優先的に腸の内部に制限される。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強しない。いくつかの実施形態では、炎症は、壊死性腸炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、偽膜性大腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流疾患(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、手術後の炎症、胃の発癌、またはそれらの任意の組み合わせから選択される臨床症状に関連付けられている。いくつかの実施形態において、1つ以上のFXR標的遺伝子は、IBABP、OSTα、Per1、FGF15、FGF19、SHP、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、治療上有効な量の抗生物質治療薬(antibiotic therapy)を被験体に投与する工程をさらに含み、ここで上記方法は、被験体の偽膜性大腸炎に関連付けられた炎症を処置または予防する。いくつかの実施形態では、上記方法は、治療上有効な量の経口コルチコステロイド、他の抗炎症治療薬または免疫調節治療薬(anti-inflammatoryまたはimmunomodulatory therapy)、ニコチンアミドリボヌクレオシド、ニコチンアミドリボヌクレオシドのアナログ、またはそれらの組み合わせを被験体に投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、HSLリン酸化およびβ3-アドレナリン受容体発現を増大させる。いくつかの実施形態では、被験体における化合物の血清中濃度は、化合物の投与後にそのEC50を下回ったままである。
【0045】
いくつかの実施形態において、本明細書には、被験体の細胞増殖性疾患を処置または予防する方法が記載され、上記方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を被験体の胃腸管に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞増殖性疾患は腺癌である。いくつかの実施形態では、腺癌は結腸癌である。いくつかの実施形態では、腺癌を処置することで、腺癌のサイズ、腺癌の体積、腺癌の数、腺癌による悪液質を減少させ、腺癌の進行を遅らせ、被験体の生存率を上昇させ、またはこれらの組み合わせを引き起こす。いくつかの実施形態では、上記方法は、化学療法薬、生物製剤、放射線治療薬、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の治療用化合物を被験体に投与する工程をさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書には、被験体の肝臓の疾患または疾病を処置または予防する方法が記載され、上記方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、アルコール性または非アルコール性の肝臓疾患である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、脂肪肝(脂肪症)、肝硬変、またはアルコール性肝炎である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、肝内胆汁うっ滞または肝外胆汁うっ滞である。
【0047】
パッケージング材と、パッケージング材内の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩と、および上記化合物または組成物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物が、FXRアゴニズムから恩恵を得ることになる疾患または疾病の1つ以上の症状の処置、予防、または改善のために使用されることを示すラベルとを含む、製品が提供される。
【0048】
本明細書に記載される化合物、方法、および組成物の他の目標、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなる。しかしながら、本開示の趣旨と範囲内の様々な変化と修飾が詳細な記載から当業者に明らかとなるため、詳細な記載と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも、一例として与えられるものに過ぎないことが、理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0049】
核ホルモン受容体のファルネソイドX受容体(FXRまたは核受容体のサブファミリー1、グループH、メンバー4(NR1H4)としても知られている)(OMIM:603826)は、胆汁酸代謝のための制御因子として機能する。FXRは、副腎、腎臓、胃、十二指腸、空腸、回腸、結腸、胆嚢、肝臓、マクロファージ、および白色および褐色の脂肪組織を含む多様な組織において発現されたリガンド活性化転写受容体である。FXRは、肝臓、腸、および腎臓などの胆汁酸の代謝に関与する組織で高度に発現される。胆汁酸は、FXRのための内因性リガンドとして機能し、その結果、胆汁酸の腸溶および全身の放出が、遺伝子発現ネットワークにおけるFXR配向の変化を誘発する。胆汁酸は、コレステロールの一次的な酸化生成物であり、場合によっては、腸内への分泌で、コレステロール吸収の制御因子となる。胆汁酸へのコレステロールの転換のための律速段階は、チトクロムp450酵素コレステロール7-α-ヒドロキシラーゼ(CYP7A1)によって触媒され、肝臓において生じる。シトクロムP450酵素ステロール12-α-ヒドロキシラーゼ(CYP8B1)は、コール酸の産生を媒介し、2つの主要な胆汁酸、コール酸とケノデオキシコール酸の相対量を決定する。FXRの活性化は、肝小ヘテロ二量体パートナー(hepatic small heterodimer partner)(SHP)(核受容体サブファミリー0、群B、メンバー2;またはNR0B2としても知られている)の発現レベル、および、マウスにおける線維芽細胞増殖因子15(FGF15)とヒトにおける線維芽細胞増殖因子19(FGF19)の腸内の発現を増大させることによって、CYP7A1とCYP8B1の転写を抑制することができる。SHPは肝臓受容体ホモログ(LRH-1)および肝細胞核因子4アルファ(HNFa4)、CYP7A1とCYP8B1の遺伝子発現を調節する転写因子を抑制する。FXRによるCYP8B1抑制は、種特異的であり得、FXR活性化は、場合によっては、ヒトでCYP8B1発現を増大させることがある(Sanyal et al PNAS、2007、104、15665)。場合によっては、腸から放出されたFGF15/19は、その後、肝臓において線維芽細胞増殖因子受容体4を活性化し、これは、Cyp7A1とCYP8B1を抑制するマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路の活性化につながる。
【0050】
いくつかの実施形態では、高いレベルの胆汁酸は、インスリン抵抗性に関連している。例えば、インスリン抵抗性は、しばしば血液からのグルコースの取り込みの減少、および肝臓における新規のグルコース産生の増加につながる。いくつかの例では、胆汁酸の腸内の隔離は、腸内のL細胞からのグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)の分泌を促進することによってインスリン抵抗性を改善することが示された。GLP-1は、プログルカゴン遺伝子の転写産物に由来するインクレチンである。それは、食物の摂取に応じて放出され、食欲および胃腸機能の制御を行い、膵臓からのインスリン分泌を促進する。GLP-1の生物学的に活性な形態は、GLP-1-(7-37)およびGLP-1-(7-36)NH2を含み、これは、結果としてプログルカゴン分子の選択的な切断をもたらす。そのような場合、胆汁酸の産生の減少につながるFXRの活性化は、インスリン抵抗性の低減に相関している。
【0051】
いくつかの実施形態では、FXRの活性化はペプチドYY(PYYまたはPYY3-36)などの膵臓ポリペプチドの倍(-fold)の分泌にも相関している。いくつかの例では、ペプチドYYは、報酬処理(reward processing)に関係する脳の領域である、視床下部および脳幹内のニューロン活性を調節する消化管ホルモンペプチドである。いくつかの例では、PYYのレベルの低下は、食欲および体重増加の増大に相関している。
【0052】
いくつかの例では、FXRの活性化は、間接的に血漿トリグリセリドの減少につながる。血流からのトリグリセリドのクリアランスは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)によるものである。LPL活性は、その活性化因子、アポリポタンパク質CIIの誘導によって増強され、肝臓におけるその阻害剤、アポリポタンパク質CIIIの抑制は、FXR活性化で生じる。
【0053】
場合によっては、FXRの活性化はさらに、脂肪細胞の分化および機能などのエネルギー消費を調節する。脂肪組織は、含脂肪細胞または脂肪細胞を含む。いくつかの例では、脂肪細胞は、褐色脂肪組織(BAT)または白色脂肪組織(WAT)へとさらに分化される。BATの機能は体熱を発することであるが、WATは脂肪蓄積組織として機能する。
【0054】
いくつかの例では、FXRは腸内で広く発現される。場合によっては、FXRの活性化は、腸内のFGF19(またはマウスにおけるFGF15)の発現および分泌を誘発することが示されている。FGF19は、胆汁酸合成を調節するほかに、グルコース代謝、脂質代謝、およびエネルギー消費に対して効果を発揮するホルモンである。いくつかの例では、FGF19は、脂肪細胞の機能および分化を調節することも観察された。実際に、試験では、高脂肪食を与えたマウスへのFGF19の投与によって、エネルギー消費が増加し、脂肪細胞の分化および機能が調節され、体重増加が逆転し、インスリン抵抗性が改善されたことが示されている(Fu et al.,“Fibroblast growth factor 19 increases metabolic rate and reverses dietary and leptin-deficient diabetes.”Endocrinology 145:2594-2603(2004)を参照)。
【0055】
場合によっては、腸内のFXR活性は、食物摂取間などのマイクロバイオームの異常増殖の減少にも関与することが示されてきた(Li et al.,Nat Commun 4:2384,2013)。例えば、FXRの活性化が、Ang2、iNos、およびIl18などの回腸におけるいくつかの遺伝子の発現の増加に相関しており、これによって抗菌作用が確立されたことを、試験は示した(Inagaki et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 103:3920-3925,2006)。
【0056】
場合によっては、FXRは腸における障壁機能と免疫調節に関与している。FXRは、肝臓と腸における胆汁塩の合成、輸送、および代謝に関与する遺伝子の転写を調節し、場合によっては、腸の炎症の改善と胃腸管への細菌移行の予防につながることが示されている(Gadaleta et al.,Gut.2011 Apr;60(4):463-72)。
【0057】
場合によっては、胆汁酸の過剰産生、または胆汁酸の不適切な輸送および再循環は、下痢を引き起こすことがあり得る。FXRは、肝臓と腸における胆汁塩の合成、輸送、および代謝に関与する遺伝子の転写を調節し、場合によっては、下痢の改善をもたらすこともある(Camilleri,Gut Liver.2015 May;9(3):332ー339)
【0058】
Gタンパク質共役型胆汁酸受容体1(GPBAR2、GPCR19、胆汁酸に対する膜型受容体またはM-BAR、あるいはTGR5としても知られている)は、胆汁酸に対する細胞表面受容体である。胆汁酸による活性化で、TGRは、細胞内cAMPの産生を誘発し、これは、その後、BATにおける脱ヨード酵素(DIO2)の活性化が原因のトリヨードサイロニンの増加を引き起こし、結果としてエネルギー消費が増大する。
【0059】
したがって、いくつかの実施形態では、胆汁酸合成、胆汁酸循環、グルコース代謝、脂質代謝、またはインスリン感受性などの代謝プロセスの調節は、FXRの活性化によって調節される。さらに、いくつかの実施形態では、胆汁酸合成、胆汁酸循環、グルコース代謝、脂質代謝、またはインスリン感受性などの代謝プロセスの調節不全は、結果として、糖尿病または糖尿病関連の疾病または障害、アルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病、腸の炎症、または細胞増殖性障害などの、代謝疾患をもたらす。
【0060】
本明細書には、特定の実施形態において、FXRアゴニストとしての活性を有する化合物が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、胆汁酸、他の合成FXRリガンド、および他の天然FXRリガンドとは構造的に異なる。
【0061】
いくつかの実施形態において、治療上有効な量のFXRアゴニストを投与することによって、糖尿病、肥満症、耐糖能障害、脂質異常症、またはインスリン抵抗性などの代謝障害を処置または予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの例では、化合物は被験体のGI管に投与される。
【0062】
追加の実施形態では、治療上有効な量のFXRアゴニストを(例えば、GI管経由で)それを必要としている被験体に投与することによって、アルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病(例えば、胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変、脂肪症、肝硬変、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、または肝酵素の上昇)を処置または予防する方法が本明細書で開示される。追加の実施形態では、治療上有効な量のFXRアゴニストを、それを必要としている被験体に投与することによって、胆汁うっ滞、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、または原発性硬化性胆管炎(PSC)を処置または予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のFXRアゴニストを、それを必要としている被験体に投与することによって、胆汁うっ滞を処置または予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のFXRアゴニストを、それを必要としている被験体に投与することによって、原発性胆汁性肝硬変を処置または予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のFXRアゴニストを、それを必要としている被験体に投与することによって、NASHを処置または予防する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量のFXRアゴニストを、それを必要としている被験体に投与することによって、NAFLDを処置または予防する方法が本明細書で開示される。
【0063】
さらなる実施形態において、治療上有効な量のFXRアゴニストを(例えば、GI管経由で)それを必要としている被験体に投与することによって、腸における炎症および/または癌などの細胞増殖性障害を処置または予防する方法が本明細書で開示される。
【0064】
またさらなる実施形態において、例えば、FGF19(マウスにおけるFGF15)の活性の増加、GLP-1の分泌の増加、またはPYYの分泌の増加などの、胆汁酸合成、グルコース代謝、脂質代謝、またはインスリン感受性などの代謝プロセスに関連付けられたタンパク質または遺伝子の1つ以上を調節するFXRアゴニストが本明細書で開示される。
【0065】
代謝障害
本明細書には、特定の態様において、必要としている被験体の代謝障害を処置する方法が開示される。本明細書には、必要としている被験体の代謝障害を予防する方法も記載される。いくつかの例では、これらの方法は、本明細書に開示される治療上有効な量の化合物の1つ以上を、それを必要としている被験体に投与する工程を含む。いくつかの例では、本明細書に開示される1つ以上の化合物は、胃腸(GI)管に吸収される。さらなる例では、GI管に吸収された1つ以上の開示された化合物は、FXR受容体を活性化し、それによって、被験体の代謝障害を処置または予防する。
【0066】
いくつかの実施形態では、開示された化合物は全身曝露を実証する。いくつかの例では、開示された化合物は、腸内に局所曝露を有するが、肝臓または全身での曝露は限定される。いくつかの実施形態では、腸内の開示された化合物の局所曝露は、腸内のFXR標的遺伝子の調節によって実証され得る。いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、SHP、FGF19(FGF15)、IBABP、C3、OST α/βを含み得る。いくつかの実施形態では、開示された化合物の曝露は、腸内における約40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、またはそれ以上である。いくつかの例では、開示された化合物の曝露は、体循環における約0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、またはそれ以下である。いくつかの実施形態では、腸管腔内のFXRアゴニストの曝露は、全身作用に起因する副作用の確率を低下させ、それによって、治療の安全性プロフィールが改善される。追加の実施形態では、開示された化合物は、腸内のFXR標的遺伝子発現を増強する。追加の実施形態では、開示された化合物は、例えば、肝臓内のCYP7A1およびCYP8B1遺伝子の発現を阻害するFGF19(FGF15)などの、FXR媒介性の経路における遺伝子の発現をさらに調節する。いくつかの例では、開示された化合物は、FXR媒介性の経路において遺伝子発現を増強する。他の例では、開示された化合物は、FXR媒介性の経路における遺伝子発現を低減または阻害する。いくつかの例では、開示された化合物の不存在下での遺伝子発現に対して、腸、肝臓、腎臓、または他の組織内の遺伝子発現における増強は、約1%、5% 10% 15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%、10,000%、50,000%、100,000%、500,000%、またはそれ以上である。場合によっては、開示された化合物の不存在下での遺伝子発現に対して、腸、肝臓、腎臓、または他の組織内の遺伝子発現における低減は、約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、またはそれ以下である。
【0067】
いくつかの実施形態では、上記方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強せず、全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、上記方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、送達された化合物の全身の血漿レベルの保持をもたらす。
【0068】
いくつかの実施形態では、代謝障害は、炭水化物、脂質、タンパク質、核酸、またはその組み合わせの正常な代謝の変化を伴う障害を指す。いくつかの例では、代謝障害は、代謝経路の不足または過剰のいずれかに関係し、これは、結果として、核酸、タンパク質、脂質、および/または炭水化物の代謝の不均衡をもたらす。代謝に影響を与える因子は、限定されないが、内分泌(ホルモン)制御系(例えば、インスリン経路、GLP-1、オキシントモジュリン、PYYなどを含む腸内分泌ホルモン)、または神経制御系(例えば、脳内のGLP-1)を含む。典型的な代謝障害は、限定されないが、糖尿病、インスリン抵抗性、脂質異常症、肝臓疾患、炎症関連の腸疾患、細胞増殖性障害などを含む。
【0069】
真性糖尿病および糖尿病関連の疾病または障害
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFXRアゴニストの投与によって、真性糖尿病または糖尿病関連の疾病または障害を有する被験体を処置する方法が本明細書で開示される。いくつかの例では、糖尿病は、II型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)である。いくつかの例では、糖尿病関連の疾病または障害は、肥満症、耐糖能障害、脂質異常症、およびインスリン抵抗性を含む。いくつかの例では、糖尿病関連の疾病または障害は、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脂肪性肝疾患、盲目症、胆嚢疾患、または多嚢胞性卵巣疾患などの、二次的な合併症をさらに含む。場合によっては、FXRアゴニストは、II型糖尿病、肥満症、耐糖能障害、脂質異常症、インスリン抵抗性、またはアテローム性動脈硬化症、脳卒中、脂肪性肝疾患、盲目症、胆嚢疾患、または多嚢胞性卵巣疾患などの二次的な合併症の処置のために投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、糖尿病の被験体(例えば、II型糖尿病の被験体)はさらに、25~29、30~34、または35~40の肥満度指数(BMI)などの、25以上、30以上、35以上、40以上のBMIを特徴とする。
【0071】
いくつかの例では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、被験体の体重増加を減少または予防する。いくつかの例では、体重増加は、食事性の体重増加である。他の例では、体重増加は、家族性/遺伝性の肥満症または薬物に起因する肥満症など、食事に関連しないものである。いくつかの例では、そのような方法は、被験体の体重増加を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上低減または予防する。いくつかの例では、体重増加は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%低減または予防される。場合によっては、体重増加の低減または予防は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された体重増加の低減または予防に関連している。
【0072】
同様に、場合によっては、FXRアゴニストは被験体のBMIを低下させる。いくつかの例では、そのような方法は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体と比較して、被験体のBMIを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、またはそれ以上低下させる。いくつかの例では、被験体は、体重過多であるが肥満ではない。他の例では、被験体は、体重過多でも肥満でもない。
【0073】
いくつかの例では、FXRアゴニストの投与は血清脂質の量の減少をもたらす。いくつかの例では、血清脂質の量の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。場合によっては、血清脂質の量の減少は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%である。場合によっては、血清脂質の量の減少は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された血清脂質の量に関連している。
【0074】
いくつかの例では、FXRアゴニストの投与は、トリグリセリド(例えば、肝性トリグリセリド)レベルの低下をもたらす。いくつかの例では、トリグリセリド(例えば、肝性トリグリセリド)レベルの低下は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。いくつかの例では、トリグリセリド(例えば、肝性トリグリセリド)レベルの低下は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%である。場合によっては、トリグリセリド(例えば、肝性トリグリセリド)レベルの低下は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたトリグリセリド(例えば、肝性トリグリセリド)レベルに関連している。
【0075】
いくつかの例では、FXRアゴニストの投与は、肝臓におけるインスリンに対するインスリン感受性の増大をもたらす。いくつかの例では、インスリン感受性の増大は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上である。場合によっては、インスリン感受性の増大は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%である。場合によっては、インスリン感受性の増大は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された感受性に関連している。
【0076】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、被験体における血清インスリンの量の減少をもたらす。いくつかの例では、血清インスリンの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。いくつかの例では、血清インスリンは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%減少される。場合によっては、血清インスリンレベルの低下は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたレベルに関連している。
【0077】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、被験体における血清グルコースの量の減少をもたらす。いくつかの例では、血清グルコースの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。いくつかの例では、血清グルコースは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%減少される。場合によっては、血清グルコースレベルの低下は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたレベルに関連している。
【0078】
いくつかの例では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、被験体の白色脂肪組織の褐色化を増加させる。いくつかの例では、被験体の白色脂肪組織の褐色化の増加率は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上である。
【0079】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、被験体の食物摂取量および/または脂肪消費量の有意な変化をもたらさない。いくつかの例では、食物摂取量および/または脂肪消費量は、例えば、15%未満、10%未満、または5%未満減少される。いくつかの実施形態では、被験体の食欲の有意な変化は生じない。他の実施形態では、被験体によって報告された食欲の低下は最小である。
【0080】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、被験体の代謝率の増加をもたらす。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体において代謝率を増加させる。場合によっては、被験体における代謝率は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上増加する。いくつかの例では、代謝率は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%増加する。場合によっては、代謝率の増加は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された代謝率に関連している。
【0081】
いくつかの実施形態では、代謝の増加は、被験体における酸化的リン酸化の増強によって生じ、これは(BATなどの)組織におけるエネルギー消費の増大につながる。そのような事例では、FXRアゴニストは、BATの活性を増大させる助けとなる。いくつかの例では、BATの活性は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上増加する。いくつかの例では、BATの活性は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%増加する。場合によっては、BATの活性の増大は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたBATの活性に関連している。
【0082】
アルコール性および非アルコール性の肝臓の疾患または疾病
本明細書には、アルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病を処置するおよび/または予防する方法が開示される。典型的なアルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、限定されないが、胆汁うっ滞、肝硬変、脂肪症、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝酵素の上昇、およびトリグリセリドレベルの上昇を含む。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、アルコール性または非アルコール性の肝臓疾患の予防または処置に使用される。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、胆汁うっ滞、肝硬変、脂肪症、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、または原発性硬化性胆管炎(PSC)の予防または処置に使用される。
【0083】
胆汁うっ滞
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の胆汁うっ滞の処置に使用される。胆汁うっ滞は胆汁の流れの障害または休止であり、、場合によっては、肝臓における胆汁酸および他の毒素の蓄積により肝毒性を引き起こす。いくつかの例では、胆汁うっ滞は、胆石症、妊娠時胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、および原発性硬化性胆管炎(PSC)を含む、多くの肝臓疾患の要素である。いくつかの例では、閉塞症は、胆石、胆汁外傷、薬物、1つ以上の追加の肝臓疾患、または癌が原因である。場合によっては、胆汁酸の腸肝循環によって、腸から脂肪および脂溶性ビタミンを吸収することができ、肝臓からのコレステロール、毒素、およびビリルビンなどの代謝副産物の除去が可能になる。場合によっては、FXRの活性化は、小管の胆汁輸送体BSEP(ABCB11)と多剤耐性関連タンパク質2(MRP2;ABCC2、cMOAT)の発現を引き起こし、例えば、ステロール12α-ヒドロキシラーゼ(CYP8B1)とCYP7A1などの胆汁酸生合成に含まれる遺伝子を抑制する。
【0084】
いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の胆汁うっ滞を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、胆汁うっ滞は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、胆汁うっ滞のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における胆汁うっ滞のレベルに関連している。
【0085】
原発性胆汁性肝硬変および肝硬変
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の原発性胆汁性肝硬変(PBC)の処置に使用される。PBCは、主として肝臓から胆汁酸(BA)を輸送する胆管の自己免疫破壊から生じ、胆汁うっ滞をもたらす肝臓疾患である。PBCが進行すると、BAの持続的な毒性の蓄積が進行性の肝損傷を引き起こす。慢性の炎症および線維症は、肝硬変を進行させかねない。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のPBCを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、PBCは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、PBCのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるPBCのレベルに関連している。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝硬変を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝硬変を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、肝硬変は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝硬変のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における肝硬変のレベルに関連している。
【0087】
非アルコール性脂肪性肝疾患および非アルコール性脂肪性肝炎
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓における脂肪過多(脂肪症)に関係し、場合によっては、炎症、細胞死、および線維症の組織学的特徴によって定義されるNASHへと進行する。いくつかの例では、原発性のNASHはインスリン抵抗性に関係し、一方で二次的なNASHは、医学的または外科的な状態、あるいは限定されないが、タモキシフェンなどの薬物によって引き起こされる。場合によっては、NASHは、進行性の線維症、肝細胞癌、または肝臓移植を必要とする末期の肝臓疾患に進行する
【0088】
いくつかの例では、NASHはトリグリセリド(TG)不均衡の結果として進行する。例えば、機能不全の脂肪細胞は、サイトカインおよびケモカインなどの炎症促進性の分子を分泌し、これは、インスリン抵抗性および脂肪細胞における脂肪分解抑制の失敗につながる。いくつかの例では、脂肪分解抑制のこの失敗は、遊離脂肪酸(FFA)の循環への放出および肝臓内の取り込みにつながる。場合によっては、脂肪滴におけるトリグリセリド(TG)の形態でのFFAの過剰蓄積は、酸化ストレス、ミトコンドリアの機能不全、および炎症促進性の分子のアップレギュレーションにつながる。
【0089】
いくつかの例では、FXRの活性化は、SHPの活性化を介してステロール調節エレメント結合タンパク質1c(SREBP1c)を抑制することによって促進されたトリグリセリド(TG)/脂肪酸(FA)合成を阻害する。場合によっては、FXRは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)活性の刺激によってTGのクリアランスを、およびシンデカン1(SDC1)およびVLDL受容体(VLDLR)の誘導によってレムナントおよび低密度リポタンパク質の肝摂取を増大させる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置に使用される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のNASHを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、NASHは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、NASHのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるNASHのレベルに関連している。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、NAFLDの処置に使用される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のNAFLDを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、NAFLDは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、NAFLDのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるNAFLDのレベルに関連している。
【0092】
脂肪症
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の脂肪肝(脂肪症)を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体中の脂肪症を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、脂肪症は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、脂肪症のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における脂肪症のレベルに関連している。
【0093】
バルーン障害
細胞の損傷を表す特徴である肝細胞バルーン障害はNASHの特徴である。バルーン障害は進行性のNAFL(3型および4型)を意味する特徴である。この用語は肥大した肝細胞(腫れたように見える肝細胞)に当てはまり、罹患した細胞は、脂肪過多症の領域、および古典的脂肪性肝炎、細静脈周囲領域でしばしば混ざりあっている。肝細胞性のバルーン障害は、H&Eで検知できる類洞周囲線維症の領域で最も一般的に見られる。バルーン障害の肝細胞は、(典型的な、あるいは、形成不良の)MHを含むときに、最も容易に分かる。肝細胞バルーン障害は微小管の破壊と重度の細胞障害の構造的な徴候である。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝臓バルーン障害を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝臓バルーン障害を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、肝臓バルーン障害は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝臓バルーン障害は、FXRアゴニストでは処置されなかった被験体における肝臓バルーン障害のレベルに関連している。
【0095】
アルコール性肝炎
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体のアルコール性肝炎を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のアルコール性肝炎を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、アルコール性肝炎のレベルは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、アルコール性肝炎のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるアルコール性肝炎のレベルに関連している。
【0096】
原発性硬化性胆管炎
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、原発性硬化性胆管炎(PSC)の処置に使用される。PSCは、慢性および進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である。PSCは、肝管における進行性の炎症、線維症、および狭窄形成を特徴とする。一般的な症状は、そう痒症および黄疸を含む。該疾患は、炎症性腸疾患(IBD)に強く関係しており、潰瘍性大腸炎の患者の約5%はPSCを有する。PSCの患者の最大70%までは、IBD、最も一般には潰瘍性大腸炎を有している。
【0097】
さらなるアルコール性および非アルコール性の肝臓の疾患または疾病
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝酵素を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝酵素(例えば、血清ALTおよび/またはASTのレベル)を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、肝酵素のレベルは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝酵素のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における肝酵素のレベルに関連している。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝臓トリグリセリドを減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝臓トリグリセリドを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、肝臓トリグリセリドのレベルは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝臓トリグリセリドのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における肝臓トリグリセリドのレベルに関連している。
【0099】
炎症性腸疾患
本明細書には、炎症性腸疾患を処置または予防する方法が開示される。典型的な炎症性の疾病は、壊死性腸炎(NEC)、胃炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、偽膜性大腸炎、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流疾患(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、肥満手術後の胃腸管の合併症、胃の発癌、あるいは胃または腸の切除後の胃の発癌を含む。いくつかの実施形態では、炎症性の疾病はNECであり、被験体は新生児または未熟で出生した幼児である。いくつかの実施形態では、被験体は経腸栄養児または人工栄養児である。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、炎症性腸疾患を抱える被験体に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、壊死性腸炎(NEC)、胃炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、偽膜性大腸炎、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流疾患(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、肥満手術後の胃腸管の合併症、胃の発癌、あるいは胃または腸の切除後の胃の発癌を有する被験体に投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体(ヒトなど)の腸の炎症を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の腸の炎症を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、腸の炎症は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、腸の炎症のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における腸の炎症のレベルに関連している。<胃腸疾患>
【0102】
本明細書では、特定の実施形態において、被験体の胃腸疾患を処置または予防する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載されるようなファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、胃腸疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS-C)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)、または胆汁酸性下痢(BAD)である。
【0103】
過敏性大腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛を含む症状と、長期間、しばしば数年にわたって存続する排便パターンの変化との組み合わせである。IBSの原因は依然として不明であり、しかしながら、腸運動性に関する問題、食物アレルギー、遺伝因子、小腸細菌の過剰成長、および腸-脳の軸に関する問題は、潜在的な役割を持つものと考えられている。いくつかの例では、IBSは下痢を伴い、下痢を伴うIBS(IBS-D)として分類される。いくつかの例では、IBSは便秘を伴い、便秘を伴うIBS(IBSーC)として分類される。いくつかの例では、IBSは下痢と便秘の交互のパターンを伴い、混合型IBS(IBS-M)として分類される。いくつかの例では、IBSは下痢または便秘のいずれかを伴い、分類不能型IBS(IBS-U)として分類される。いくつかの例では、IBSには4つの異なる変形:IBS-D、IBS-C、IBSM、およびIBS-Uがある。
【0104】
いくつかの実施形態において、IBSの症状は異なる疾病によって模倣される。いくつかの実施形態において、糖消化不良症、セリアック病、セリアック病のないグルテン不耐性、膵臓の外分泌腺機能不全、小腸細菌の過剰成長、顕微鏡的大腸炎、または胆汁酸吸収不良(BAM)が、IBS-Dを模倣する。いくつかの実施形態では、アニスムス、骨盤底協調障害または恥骨直腸筋痙攣、または下行性会陰症候群はIBS-Cを模倣する。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物におけるIBSあるいはその変形のいずれかの処置で使用される。いくつかの例では、FXRアゴニスト治療剤は、哺乳動物におけるIBS障害を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。
【0106】
胆汁酸吸収不良
胆汁酸性下痢(BAD)、胆汁酸により引き起こされた下痢、胆汁性下痢または胆汁分泌性の腸疾患、あるいは胆汁塩吸収不良としても知られている胆汁酸吸収不良(BAM)は、結腸中の胆汁酸の存在が下痢を引き起こす疾病である。BAMはクローン病、胆嚢摘出術、小児脂肪便症、放射線療法、および膵臓病などの多くの疾病によって引き起こされる。いくつかの例では、BAMはメトホルミンなどの薬物によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、BAMは胆汁酸の過剰生産によって引き起こされる。胆汁酸合成は、回腸のホルモン線維芽細胞成長因子19(FGF-19)によって負に調節され、低レベルのFGF-19は胆汁酸の増大を引き起こす。FXR活性化はFGF-19の合成を促し、結果的に、胆汁酸のレベルを低下させる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物のBAMの処置に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されたFXRアゴニストは胆汁酸合成を減少させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されたFXRアゴニストは胆汁酸レベルを減少させる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストおよび追加の治療剤はBADを防ぐ。いくつかの例では、FXRアゴニストは、哺乳動物におけるBAMを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。
【0108】
移植片対宿主病(GvHD)
移植片対宿主病(GvHD)は、組織不適合性のドナー(つまり、遺伝学的または免疫学的に異なるドナー)からの組織または細胞の移植の後に発生する医学的合併症である。提供された組織または細胞(移植片)中の免疫細胞は、レシピエント(宿主)を異物として認識し、惹起し、攻撃する。GvHDを生じさせる移植組織または細胞の非限定的な例は血液製剤、骨髄細胞などの幹細胞、および臓器である。症状がどこで現れ、あるいは、進行するかに基づいて、様々なタイプのGvHD:皮膚GvHD、肝臓GvHD、眼GvHD、神経筋GvHD、尿生殖器GvHD、および胃腸(GI)管GvHDがある。GI管GvHDの症状は、嚥下障害、嚥下に伴う痛み、体重減少、悪心、嘔吐、下痢、および/または腹部痙攣を含む。GI管GvHDは粘膜および重度の腸の炎症の皮膚脱落を引き起こす。胆管上皮の炎症は、グルココルチコイド受容体(GR)、FXR、またはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)などの核受容体によって制御されやすい。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物におけるGvHDまたはGvHDの合併症の処置で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物におけるGI管GvHDあるいはGI管GvHD合併症の処置で使用される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、哺乳動物におけるGI管GvHDあるいはGI管GvHD合併症を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、GI管GvHDあるいはGI管GvHD合併症は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されたFXRアゴニストは、GI管GvHDによって引き起こされた腸の炎症を減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるFXRアゴニストは、GI管GvHDによって引き起こされる腸の炎症を、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少させる。
【0110】
腎疾患
本明細書では、特定の実施形態では、被験体の腎疾患を処置または予防する方法が開示され、上記方法は、本明細書に記載されるようなファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、腎疾患は肝臓病に関連する。いくつかの実施形態では、腎疾患は線維性の肝疾患に関連する。いくつかの実施形態では、腎疾患は代謝性の肝疾患に関連する。いくつかの実施形態において、腎疾患は、限定されないが、糖尿病、メタボリックシンドローム、NAFLD、インスリン抵抗性、脂肪酸代謝障害、および胆汁うっ滞などの代謝性疾病に関連する。いくつかの実施形態では、腎疾患は、糖尿病腎症、線維症に関連する腎疾患、線維症に関連しない腎疾患、腎線維症、または任意の組み合わせである。
【0111】
糖尿病腎症
糖尿病腎症は腎臓の糸球体への損傷を特徴とする腎疾患である。糖尿病は、活性酸素種の生産過剰に寄与し、これは、ネフローゼ症候群と糸球体の瘢痕につながる。糖尿病腎症が進行するにつれ、糸球体濾過障壁(GFB)はますます破損し、結果的に、血液中のタンパク質は障壁から漏れて、ボーマン腔に蓄積する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の胆汁うっ滞の処置に使用される。
【0113】
腎線維症
腎線維症は、慢性腎疾患の特徴である、線維芽細胞の活性化および腎臓中の細胞外マトリックスまたは結合組織の過度の沈着を特徴とする。FXRは腎線維症を防ぐ際に重要な役割を果たす。FXRの活性化は腎線維症を抑え、腎臓中の細胞外マトリックスタンパク質の蓄積を減少させる。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物の腎線維症の処置に使用される。
【0115】
1つの態様では、哺乳動物における腎臓の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に開示されるFXRアゴニスト、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、腎臓の疾患または疾病は、糖尿病腎症、線維症に関連する腎疾患、線維症に関連しない腎疾患、腎線維症、代謝疾患に関連する腎疾患、慢性腎疾患、多発性嚢胞腎、急性腎疾患、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0116】
細胞増殖性疾患
本明細書には、例えば、特定のタイプの癌において細胞増殖性疾患を予防または処置する方法が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、腺癌、あるいは腺組織に由来するか、または腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成する癌腫の予防または処置に使用される。いくつかの実施形態では、腺癌は、細胞配置の優性パターンに従って乳頭状腺癌、肺胞腺癌として、または、細胞の特定の生成物に従って粘液性腺癌として分類される。いくつかの例では、腺癌は、例えば、結腸、腎臓、乳房、頚部、食道、胃、膵臓、前立腺、または肺において観察される。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、結腸癌、例えば、結腸(大腸の最長部分)の組織で形成される癌、あるいは空腸および/または回腸などの、腸の別の部分の癌などの腸の癌の予防または処置に使用される。いくつかの例では、結腸癌はまた「大腸癌」とも呼ばれる。いくつかの例では、最も一般的なタイプの結腸癌は、結腸腺癌である。
【0118】
場合によっては、癌進行は身体中の癌のステージまたは範囲を特徴とする。ステージ分類は通常、腫瘍のサイズ、リンパ節における癌の存在、および原発性癌の部位以外の部位における癌の存在に基づく。結腸癌のステージは、ステージI、ステージII、ステージIII、およびステージIVを含む。いくつかの実施形態では、結腸腺癌はあらゆるステージから生じる。他の実施形態では、結腸腺癌は、ステージIの癌、ステージIIの癌、またはステージIIIの癌である。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの癌を有する被験体に投与される。いくつかの例では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、ステージI、ステージII、またはステージIIIの結腸腺癌を有する被験体に投与される。
【0120】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストはさらに、被験体の腫瘍量を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の腫瘍量(結腸腫瘍量など)を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、腫瘍量は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、腫瘍量のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における腫瘍量のレベルに関連している。
【0121】
いくつかの例では、本明細書に開示されるFXRアゴニストはさらに、被験体の腫瘍のサイズおよび/または量を減少させる。場合によっては、FXRアゴニストは、被験体の腫瘍のサイズおよび/または量(結腸腫瘍など)を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、腫瘍サイズは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、腫瘍サイズは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体の腫瘍サイズに関連している。
【0122】
追加の実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体における腫瘍による悪液質の効果を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の悪液質(結腸腫瘍などが原因)の効果を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、悪液質の効果は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、悪液質の効果は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体の悪液質の効果に関連している。
【0123】
他の実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、腫瘍を抱える被験体の生存率を上昇させる。場合によっては、FXRアゴニストは、被験体の腫瘍(結腸癌など)を有する被験体の生存率を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上増加させる。いくつかの例では、生存率は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%増加する。いくつかの例では、生存率は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体の生存率に関連している。
【0124】
化合物
薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性な代謝産物、および薬学的に許容可能な溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ファルネソイドX受容体アゴニストである。
【0125】
いくつかの実施形態では、式(I’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、
【0126】
【化15】
式中、
環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、またはチアジアゾリルである、5員のヘテロアリールであり;
あるいは、環Aは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはトリアジニルである、6員のヘテロアリールであり;
、X、X、およびXはそれぞれ独立してCRまたはNであり;ここで、X、X、X、およびXの少なくとも1つはCRであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、および単環式のC-Cヘテロシクロアルキルから選択され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
はそれぞれ独立してCH、CF、またはNであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cシクロアルキル、およびC-Cヘテロアルキルから選択され;
はC-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)、-N(R16)C(=O)R14、または-N(R16)C(=O)OR15であり;
11はH、F、または-CHであり;
12は、1つまたは2つのオキソ基で随意に置換された-C-Cアルキル-OR17または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
13はHまたはC-Cアルキルであり;あるいは、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択された追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-OR17、および-O-C-Cアルキル-OR17から選択された1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
14はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cアルキル-OR17であり;
15はC-Cアルキル、C-Cアルキル-OR17、C-Cシクロアルキル、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり;
16はHまたはC-Cアルキルであり;
17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
18はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、または、単環式のヘテロアリールであり;
mは0、1、または2であり;および、
nは0、1、または2である。
【0127】
いくつかの実施形態では、式(Ia’)の構造を有する式(I’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物である。
【0128】
【化16】
【0129】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNであり、および、X、X、ならびにXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNであり、および、X、X、ならびにXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNであり、および、X、X、ならびにXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNであり、および、X、X、ならびにXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XとXはNであり、および、XとXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XとXはNであり、および、XとXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、X、X、X、およびXはCHである。
【0130】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、nは0である。
【0131】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0132】
【化17】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0133】
【化18】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0134】
【化19】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0135】
【化20】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0136】
【化21】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0137】
【化22】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0138】
【化23】
である。
【0139】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cハロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCFである。
【0140】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHであり、および、RはHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CH-である架橋を形成する。
【0141】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0または1である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは1である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは2である。
【0142】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(R12)(R13)である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、4員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された4員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0143】
【化24】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、5員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0144】
【化25】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、6員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0145】
【化26】
である。
【0146】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)R14である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OCHである。
【0147】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)OR15である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、C-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、
【0148】
【化27】
である。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R16はHである。
【0149】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、またはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Clである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-OCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、RはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CFである。
【0150】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、1つのXはCHであり、および、1つのXはNである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、1つのXはCFであり、および、1つのXはNである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、1つのXはCFであり、および、1つのXはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれCFである。
【0151】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0152】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはハロゲンまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-Clである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-CHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-OCHである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-CFである。
【0153】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0154】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはそれぞれHである。
【0155】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Lは存在しない。
【0156】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。
【0157】
いくつかの実施形態では、式(I’)または(Ia’)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R11はHである。
【0158】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、
【0159】
【化28】
式中、
環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、またはチアジアゾリルである、5員のヘテロアリールであり;
あるいは、環Aは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはトリアジニルである、6員のヘテロアリールであり;
はC(H)、C(F)、またはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、および単環式のC-Cヘテロシクロアルキルから選択され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
はそれぞれ独立してCHまたはNであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、およびC-Cヘテロアルキルから選択され;
はC-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)、-N(R16)C(=O)R14、または-N(R16)C(=O)OR15であり;
11はH、F、または-CHであり;
12は、1つまたは2つのオキソ基で随意に置換された-C-Cアルキル-OR17または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
13はHまたはC-Cアルキルであり;あるいは、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択された追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-S(=O)(C-Cアルキル)、-C-Cアルキル-OR17、および-O-C-Cアルキル-OR17から選択された1つ、2つ、または3つの基で随意に置換された、4員、5員、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
14はC-CアルキルまたはC-Cアルキル-OR17であり;
15はC-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR17、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり;
16はHまたはC-Cアルキルであり;
17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
18はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、または、単環式のヘテロアリールであり;
mは0、1、または2であり;および、
nは0、1、または2である。
【0160】
いくつかの実施形態では、式(Ia)の構造を有する式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0161】
【化29】
【0162】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、nは0である。
【0163】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0164】
【化30】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0165】
【化31】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0166】
【化32】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0167】
【化33】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0168】
【化34】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0169】
【化35】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0170】
【化36】
である。
【0171】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cハロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCFである。
【0172】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHであり、および、RはHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CH-である架橋を形成する。
【0173】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0または1である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは1である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは2である。
【0174】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはC(H)である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはC(F)である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0175】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(R12)(R13)である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、4員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された4員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0176】
【化37】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、5員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0177】
【化38】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された、6員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0178】
【化39】
である。
【0179】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)R14である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OCHである。
【0180】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)OR15である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、C-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、
【0181】
【化40】
である。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R16はHである。
【0182】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、またはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Clである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルであるいくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-OCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、RはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CFである。
【0183】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、1つのXはCHであり、および、1つのXはNである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれCHである。
【0184】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0185】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはハロゲンまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-Clである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-CHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-OCHである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-CFである。
【0186】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0187】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、各RはHである。
【0188】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Lは存在しない。
【0189】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。
【0190】
いくつかの実施形態では、式(I)または(Ia)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R11はHである。
【0191】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物が本明細書に記載され:
【0192】
【化41】
式中、
環Aは、
【0193】
【化42】
であり;
はCHまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR15C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、-NR17C(=O)N(R17、-SH、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、R1とRは介在する原子と一体となって、環中の0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する縮合された5または6員の環を形成し、ここで、縮合された5または6員の環はハロゲンまたはC-Cアルキルで随意に置換され;
はCRまたはNであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-NR17S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
はそれぞれ独立してCHまたはNであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
はC-Cアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-OC(=O)N(R12)(R13)、-N(R16)C(=O)R14、または-N(R16)C(=O)OR15であり;
11はH、F、または-CHであり;
12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含み、ならびに-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1、2、または3つの基で随意に置換された、4、5、または6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
14は、C-CアルキルまたはC-Cアルキル-OR17であり;
15は、C-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR17、またはC-Cヘテロシクロアルキルであり;
16は、HまたはC-Cアルキルであり;
17はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;および、
mは0、1、または2である。
【0194】
いくつかの実施形態では、式(IIa)の構造を有する式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0195】
【化43】
【0196】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0197】
【化44】
である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0198】
【化45】
である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、
【0199】
【化46】
である。
【0200】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CHC(CHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHCF3である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHCHCHである。
【0201】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHであり、およびRはHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CH-である架橋を形成する。
【0202】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0または1である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは1である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは2である。
【0203】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれNである。
【0204】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(R12)(R13)である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された4員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された4員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0205】
【化47】
である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された5員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12とR13は一体となって、O、S、およびNから選択される追加のヘテロ原子を随意に含有し、かつ-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択される1つまたは2つの基で随意に置換された6員のヘテロシクロアルキル環を形成する。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0206】
【化48】
である。
【0207】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)R14である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OCHである。
【0208】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R16)C(=O)OR15である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OR17である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は-C-Cアルキル-OCHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、C-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15は、
【0209】
【化49】
である。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R16はHである。
【0210】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは、H、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキル、またはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Clである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルであるいくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-OCHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、RはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-CFである。
【0211】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、1つのXはCHであり、および、1つのXはNである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれCHである。
【0212】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0213】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R17、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R17、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R17、-NR17C(=O)(C-Cアルキル)、-NR17C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R17、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、または単環式のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、-CN、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、またはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはハロゲンまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、およびRは-Clである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-CHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-OCHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、RはC-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCRであり、および、Rは-CFである。
【0214】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはNである。
【0215】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルであるいくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、RはC-Cフルオロアルキルである。
【0216】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Lは存在しない。
【0217】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。
【0218】
いくつかの実施形態では、式(II)または(IIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R11はHである。
【0219】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、
【0220】
【化50】
式中、
環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、またはチアジアゾリルである、5員のヘテロアリールであり;
あるいは、環Aは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはトリアジニルである、6員のヘテロアリールであり;
あるいは、環Aはフェニルであり;
はCHまたはNであり;
はC-Cアルコキシであり;
はハロゲンであり;
はH、F、または-CHであり;
はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
はそれぞれ独立して、H、F、-OH、または-CHであり;
はH、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり;
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR17-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR17-、-NR17C(=O)-、-OC(=O)NR17-、-NR17C(=O)O-、-NR17C(=O)NR17-、-NR17S(=O)-、または-NR17-であり;
は存在しないか、またはC-Cアルキレンであり;
は、C-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり;
はH、F、または-CHであり;
10は、-CHOH、-CHCHOH、C-Cヘテロアルキル、-C(=O)R14、-C(=O)OR14、-OC(=O)R14、-OC(=O)OR14、テトラゾリル、イミダゾール、5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、-S(=O)N(R12、-NR15S(=O)14、C(=O)NR15S(=O)14、-S(=O)NR15C(=O)R14、-CHN(R12、-NR15C(=O)R14、-C(=O)N(R12、-NR15C(=O)OR14、-OC(=O)N(R12、-NR15C(=O)N(R12、-C(=NH)NH、-NHC(=NH)NH、-C(=O)NHC(=NH)NH、-S(=O)OH、または-OP(=O)(OR15であり;
あるいは、R10は-L-L-L-R13であり;
は、存在しないか、C-Cアルキレン、またはC-Cヘテロアルキレンであり;
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-NR15、-C(=O)-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-OP(=O)(OR15)O-、または-(OCHCH)r-であり、rは1または2であり;
は、C-CアルキレンまたはC-Cヘテロアルキレンであり;
13はH、-CN、-OH、-N(R12、-NR15S(=O)14、-S(=O)N(R12、-SR12、-S(=O)R14、-S(=O)14、-SOH、-OP(=O)(OR15、-C(=O)R14、-OC(=O)R14、-COH、-CO14、-OC(=O)OR14、-NR15C(=O)R14、-C(=O)N(R12、-NR15C(=O)OR14、-OC(=O)N(R12、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、またはヘテロアリールであり;
11はH、F、または-CHであり;
あるいは、RとR11は一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し;
12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR15、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル、または単環式のヘテロアリールであり、ここで、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル、または単環式のヘテロアリールは、1つ、2つ、または3つのR16基で随意に置換され;
14は、C-Cアルキル、-C-Cアルキル-OR15、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル、または単環式のヘテロアリールであり、ここで、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル、または単環式のヘテロアリールは、1つ、2つ、または3つのR16基で随意に置換され;
15はそれぞれ独立して、HまたはC-Cアルキルであり;
16はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、フェニル、または単環式のヘテロアリールであり;
mは0、1、または2であり;および、
nは0、1、または2である。
【0221】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、nは0である。
【0222】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、nは1または2である。いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、nは1である。いくつかの実施形態では、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、nは2である。
【0223】
いくつかの実施形態では、式(IIIa)の構造を有する式(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物がある。
【0224】
【化51】
【0225】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、またはピラゾリルである、5員のヘテロアリールであり;あるいは、環Aは、ピリジニルまたはピリミジニルである6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、オキサゾリル、チアゾリル、またはピラゾリルである、5員のヘテロアリールであり;いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aは、ピリジニルまたはピリミジニルである6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、環Aはフェニルである。
【0226】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、
【0227】
【化52】
は、
【0228】
【化53】
である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、
【0229】
【化54】
は、
【0230】
【化55】
である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、
【0231】
【化56】
は、
【0232】
【化57】
である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、
【0233】
【化58】
は、
【0234】
【化59】
である。
【0235】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-C(CHである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cハロアルキルである。
【0236】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHであり、および、RはHである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RとRは一体となって、-CH-である架橋を形成する。
【0237】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0または1である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは0である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは1である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、mは2である。
【0238】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはCHである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、XはそれぞれNである。
【0239】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-CHOH、C-Cヘテロアルキル、-OC(=O)R14、-NR15C(=O)R14、-C(=O)N(R12、-NR15C(=O)OR14、または-OC(=O)N(R12である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)R14である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は、1つ、2つ、または3つのR16基で随意に置換されたC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択された1つまたは2つの基で随意に置換されたC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択された1つまたは2つの基で随意に置換された4員のヘテロシクロアルキル環である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0240】
【化60】
である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択された1つまたは2つの基で随意に置換された5員のヘテロシクロアルキル環である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は、-OH、-N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシから選択された1つまたは2つの基で随意に置換された4員のヘテロシクロアルキル環である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0241】
【化61】
である。
【0242】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(R12である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、または-C-Cアルキル-OR15である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(H)-C-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は-OC(=O)N(H)-C-Cアルキル-OR15である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、
【0243】
【化62】
である。
【0244】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R10は、-N(R15)C(=O)OR14である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14はC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OHである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は-C-Cアルキル-OCHである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14はC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R14は、
【0245】
【化63】
である。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R15はHである。
【0246】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-OCHである。
【0247】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Fである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rは-Clである。
【0248】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、または、その薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはC-Cフルオロアルキルである。
【0249】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、Lは存在しない。
【0250】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、RはHである。
【0251】
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物があり、ここで、R11はHである。
【0252】
様々な変数について上述された基の任意の組み合わせが、本明細書において企図される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0253】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、表1に記載される化合物を含む。
【0254】
【表1-1】
【0255】
【表1-2】
【0256】
【表1-3】
【0257】
【表1-4】
【0258】
【表1-5】
【0259】
【表1-6】
【0260】
【表1-7】
【0261】
【表1-8】
【0262】
【表1-9】
【0263】
【表1-10】
【0264】
【表1-11】
【0265】
【表1-12】
【0266】
いくつかの実施形態では、表1に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩または溶媒和物が本明細書で提供される。
【0267】
一態様において、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。同様に、同じタイプの活性を有するこうした化合物の活性代謝物は、本開示の範囲内に含まれている。さらに、本明細書に記載される化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態に加え、非溶媒和形態で存在することができる。本明細書で提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものとみなされる。
【0268】
「薬学的に許容可能な」とは、本明細書で使用されるように、担体または希釈剤などの材料を指し、その材料は、化合物の生物学的活性あるいは特性を抑制せず、比較的無毒であり、つまり、この材料は望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれている組成物の成分のいずれにも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与される。
【0269】
「薬学的に許容可能な塩」との用語は、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオンの形態を指し、あるいは代替的な実施形態では、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオンの形態からなる、治療上活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry, Wiley-VCH 2002. S.M. Berge, L.D. Bighley, D.C. Monkhouse, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19. P. H. Stahl and C. G. Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich: Wiley-VCH/VHCA, 2002。薬学的な塩は、典型的には非イオン種よりも溶けやすく、胃液および腸液中で急速に溶けやすく、ゆえに、固体剤形に有用である。さらに、その溶解度がしばしばpHに影響されるため、消化管のある部分または別の部分における選択的な溶解が可能であり、この能力は、遅延放出性および徐放性の挙動の一態様として操作することができる。さらに、塩成形分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0270】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、「薬学的に許容可能な酸付加塩」を提供するために、本明細書に記載される化合物を酸と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物(つまり、遊離塩基形態)は塩基性であり、有機酸または無機酸と反応する。無機酸としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸が挙げられる。有機酸としては、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタール酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;樟脳酸(+);カンフル-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;桂皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチシン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;フマル酸モノメチル、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p);および、ウンデシレン酸が挙げられる。
【0271】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、塩化物塩、硫酸塩、臭化物塩、メシレート塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩として調製される。
【0272】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、「薬学的に許容可能な塩基付加塩」を提供するために、本明細書に記載される化合物を塩基と反応させることによって得られる。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は酸性であり、塩基と反応する。こうした状況下で、本明細書で記載される化合物の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオンと取り替えられる。いくつかの場合、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と協調する。他の場合では、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基は、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N-メチルグルカミン塩、またはアンモニウム塩として調製される。
【0274】
薬学的に許容可能な塩への言及には、溶媒付加形態が含まれることを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒で化合物を分離または精製するプロセス中に形成される。溶媒が水であるときに水和物が形成され、あるいは、溶媒がアルコールであるときにアルコラートが形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製されるか、または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は随意に、溶媒和形態だけでなく非溶媒和形態でも存在する。
【0275】
本明細書に記載される方法および製剤は、本明細書に記載される化合物のN-オキシド(適切な場合)、結晶形態(多形体としても知られる)、または薬学的に許容可能な塩、ならびに、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の有機基(例えば、アルキル基、芳香族環)の部位は、様々な代謝反応の影響を受けやすい。有機基において適切な置換基を取り込むと、この代謝経路が低減され、最小化され、または除去される。特定の実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を低減するか、または排除するための適切な置換基は、一例として、ハロゲン、重水素、アルキル基、ハロアルキル基、またはジュウテロアルキル基である。
【0277】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、同位体で(例えば、放射性同位体で)、または、限定されないが、発色団もしくは蛍光性部分、生物発光標識、あるいは化学発光標識の使用を含む他の手段によって、標識される。
【0278】
本明細書で記載される化合物は同位体標識された化合物を含み、その化合物は、1つ以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と取り替えられるという事実を除いて、本明細書で提示される様々な式と構造中に詳述される化合物と同一である。本発明の化合物に取り込むことができる同位体の例としては、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。一態様では、本明細書に記載される同位体標識された化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれている化合物は、薬物および/または基質組織の分布アッセイに有用である。一態様では、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボでの半減期の延長または必要用量の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の1つ以上の水素原子は、重水素と取り替えられる。
【0279】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、1つ以上の立体中心を保有し、各立体中心はR配置またはS配置のいずれかで独立して存在する。本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー形態、エナンチオマー形態、アトロプ異性体、およびエピマー形態、ならびにこれらの適切な混合物を含む。本明細書で提供される化合物および方法は、すべてのシス(cis)、トランス(トランス)、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性体、ならびにこれらの適切な混合物を含む。
【0280】
個々の立体異性体は、必要に応じて、立体選択的な合成および/またはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離などの方法によって得られる。ある実施形態では、本明細書に記載される化合物は、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させて一対のジアステレオマー異性体化合物/塩を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、その個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態では、エナンチオマーの分解は、本明細書に記載される化合物の共有結合のジアステレオマー誘導体を用いて実行される。別の実施形態では、ジアステレオマーは、溶解度の差に基づいて分離/分解技術によって分離される。他の実施形態では、立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、または、ジアステレオマー塩を形成して、再結晶化もしくはクロマトグラフィーにより分離することによって、あるいはそれらの任意の組み合わせによって行われる。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981。いくつかの実施形態では、立体異性体は立体選択的な合成によって得られる。
【0281】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物はプロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」とは、インビボで親薬物に変換された薬剤を指す。プロドラッグは、状況によっては親薬物よりも投与しやすいため、しばしば有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。プロドラッグは輸送体用の基質であってもよい。さらにまたは代替的に、プロドラッグは、親薬物よりも、医薬組成物中での溶解度が向上している。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計により、有効な水溶性が増大する。プロドラッグの一例は、限定されないが、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、代謝的に加水分解され活性な実体を与える、本明細書に記載される化合物である。プロドラッグのさらなる例は、酸性基に結合される短ペプチド(ポリアミノ酸)であり、このペプチドは代謝されることで活性な部分を暴露する。ある実施形態では、インビボ投与の際に、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に化学変換される。ある実施形態では、プロドラッグは、1つ以上の工程またはプロセスによって酵素で代謝され、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態になる。
【0282】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグとしては、限定されないが、エステル、エーテル、炭酸塩、チオ炭酸塩、N-アシル誘導体、N-アシルオキシアルキル誘導体、三級アミンの四級誘導体、N-マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、およびスルホン酸エステルが挙げられる。例えば、Design of Prodrugs, Bundgaard, A. Ed., Elseview, 1985 and Method in Enzymology, Widder, K. et al., Ed.; Academic, 1985, vol. 42, p. 309-396; Bundgaard, H. “Design and Application of Prodrugs” in A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p. 113-191; and Bundgaard, H., Advanced Drug Delivery Review, 1992, 8, 1-38を参照のこと。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物のヒドロキシル基はプロドラッグを形成するために用いられ、ここで、上記ヒドロキシル基は、アシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル、リン酸エステル、糖エステル、エーテルなどに組み入れられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物中のヒドロキシル基はプロドラッグであり、ヒドロキシルはインビボで代謝されてカルボン酸基をもたらす。いくつかの実施形態では、カルボキシル基を用いてエステルまたはアミド(つまり、プロドラッグ)がもたらされ、その後、これをインビボで代謝することでカルボン酸基がもたらされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、アルキルエステルプロドラッグとして調製される。
【0283】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグ形態であって、本明細書で説明されるように本明細書に記載される化合物を生成するためにインビボで代謝されるプロドラッグ形態は、請求項の範囲内に含まれる。場合によっては、本明細書に記載される化合物のいくつかは、別の誘導体または活性化合物のプロドラッグである。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物のプロドラッグは、胃腸管の特定の領域への化合物の標的送達を可能にする。薬物の結腸代謝による薬理学的に活性な代謝物の形成は、結腸に特異的な薬物送達系のために一般に用いられる「プロドラッグ」アプローチである。
【0284】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは、経口投与の際に、胃と小腸で無傷で無傷のままであるように、薬物と担体との間の共有結合の形成によって形成される。このアプローチはプロドラッグの形成に関与し、そのプロドラックは、活性な薬剤を放出するために生物学的環境において自発的または酵素的な形質転換を必要とする親薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体である。プロドラッグを形成すると、親薬物分子よりも送達特性が向上する。上部消化管の悪環境に由来する薬物の安定性の問題は、結腸に達すると親薬物分子に変換されるプロドラッグ形成によって排除することが可能である。部位特異的なプロドラッグ活性化による部位特異的な薬物送達は、プロドラッグ-薬物変換のための非標的組織に対する特定の酵素の改変されたpHあるいは高活性などの、標的部位における複数の特異的な特性を利用することによって達成され得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、薬物と担体との共有結合により、抱合体が形成される。こうした抱合体としては、限定されないが、アゾ結合抱合体、グリコシド抱合体、グルクロニド抱合体、シクロデキストリン抱合体、デキストラン抱合体、あるいはアミノ酸抱合体が挙げられる。
【0286】
追加のまたはさらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、生物への投与の際に新陳代謝されて代謝産物を生成し、その後、この代謝産物を用いることで所望の治療効果を含む所望の効果がもたらされる。
【0287】
本明細書で開示される化合物の「代謝産物」は、化合物が代謝されるときに形成される、上記化合物の誘導体である。「活性代謝物」との用語は、化合物が代謝されるときに形成される、上記化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。「代謝される(metabolized)」との用語は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の全体を指す。したがって、酵素は、化合物に対して特異的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書で開示される化合物の代謝産物は、随意に、宿主に化合物を投与し、その宿主からの組織サンプルを解析することによって、または、インビトロで、肝細胞で化合物をインキュベートし、その結果生じる化合物を解析することによって、同定される。
【0288】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、消化管からの吸収後に急速に代謝されて、FXRアゴニスト活性を有意に減少させる代謝産物になる。
【0289】
追加のまたはさらなる実施形態では、化合物は血漿中で急速に代謝される。
【0290】
追加のまたはさらなる実施形態では、化合物は腸により急速に代謝される。
【0291】
追加のまたはさらなる実施形態では、化合物は肝臓により急速に代謝される。
【0292】
化合物の合成
本明細書に記載される化合物は、標準的な合成技術を使用して、または、当該技術分野で知られている方法を本明細書に記載される方法と組み合わせて使用して合成される。
【0293】
別段の定めのない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換DNA技術、および薬理学の従来の方法が使用される。
【0294】
化合物は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry, 6th Edition, John Wiley and Sons, Inc.に記載されるような、標準的な有機化学技術を用いて調製される。溶媒、反応温度、反応時間の変化、および様々な化学試薬、ならびに他の反応条件などの本明細書に記載される合成形質転換の代替的な反応条件が用いられてもよい。出発物質は市販の供給源から入手可能であるか、または容易に調製される。
【0295】
本明細書に記載される化合物の調製に役立つ反応物の合成を詳述するか、または調製について記載された記事を参照する適切な参考文献および論文としては、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”, John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandler et al., “Organic Functional Group Preparations,” 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House, “Modern Synthetic Reactions”, 2nd Ed., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, “Heterocyclic Chemistry”, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure”, 4th Ed., Wiley Interscience, New York, 1992が挙げられる。本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応物の合成について詳述するか、または、調製について記載される記事を参照する、追加の適切な参考文献および論文としては、例えば、Fuhrhop, J. and Penzlin G. “Organic Synthesis: Concepts, Methods, Starting Materials”, Second, Revised and Enlarged Edition (1994) John Wiley & Sons ISBN: 3 527-29074-5; Hoffman, R.V. “Organic Chemistry, An Intermediate Text” (1996) Oxford University Press, ISBN 0-19-509618-5; Larock, R. C. “Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations” 2nd Edition (1999) Wiley-VCH, ISBN: 0-471-19031-4; March, J. “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure” 4th Edition (1992) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-60180-2; Otera, J. (editor) “Modern Carbonyl Chemistry” (2000) Wiley-VCH, ISBN: 3-527-29871-1; Patai, S. “Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups” (1992) Interscience ISBN: 0-471-93022-9; Solomons, T. W. G. “Organic Chemistry” 7th Edition (2000) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-19095-0; Stowell, J.C., “Intermediate Organic Chemistry” 2nd Edition (1993) Wiley-Interscience, ISBN: 0-471-57456-2; “Industrial Organic Chemicals: Starting Materials and Intermediates: An Ullmann’s Encyclopedia” (1999) John Wiley & Sons, ISBN: 3-527-29645-X, in 8 volumes; “Organic Reactions” (1942-2000) John Wiley & Sons, in over 55 volumes; and “Chemistry of Functional Groups” John Wiley & Sons, in 73 volumesが挙げられる。
【0296】
本明細書に記載される化合物は、以下のスキーム1~11に記載される一般的な合成経路によって調製される。
【0297】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム1に概説されるように調製される。
【0298】
【化64】
【0299】
スキーム1では、X、X、X、およびXは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、XはCHまたはNである。いくつかの実施形態では、XはCHである。いくつかの実施形態では、XはNである。いくつかの実施形態では、Rはアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rは独立してアルキル基または水素である。いくつかの実施形態では、同じホウ素原子上のそれぞれの酸素原子を介して同じホウ素原子に結合するアルキル基は、同じホウ素原子上の2つの酸素原子を架橋するアルキレン基である。いくつかの実施形態では、ホウ素原子、同じホウ素原子上の2つの酸素原子、および2つの酸素原子を架橋するアルキレン基の炭素原子は、5員または6員の環を形成する。いくつかの実施形態では、架橋するアルキレン基は、-C(CHC(CH-であり、5員環の一部である。
【0300】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール(I-1)を適切なS1条件下で反応させることで、ヘテロアリールハロゲン化物(I-2)が得られる。いくつかの実施形態では、適切なS1条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、I-1をtBuOHおよび適切な酸と反応させることが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な酸は強酸である。いくつかの実施形態では、強酸は、硫酸、塩酸、または臭化水素酸である。いくつかの実施形態では、強酸は硫酸である。いくつかの実施形態では、強酸は濃硫酸である。いくつかの実施形態では、適切な時間とは、約1時間から約12~18時間であり、ここで、約12-18時間の時間範囲は、本明細書において「一晩」として交換可能に言及される。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約60℃~約110℃である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約80℃~約90℃である。
【0301】
いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ホウ素試薬(I-3)をヘテロアリールハロゲン化物(I-2)と反応させることでI-4が得られる。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はアリールボロン酸である。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はアリールボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬は置換ピリジルボロン酸である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールハロゲン化物はピラゾリルブロミド(pyrazolyl bromide)である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールハロゲン化物は3-ブロモピラゾールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールハロゲン化物は4-ブロモピラゾールである。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、パラジウムが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、パラジウム、適切な塩基、および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、パラジウムは、Pd(dppf)Clの形態で送達される。いくつかの実施形態では、適切な塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基は、炭酸塩、リン酸塩、オキシド、または水酸化物である。いくつかの実施形態では、無機塩基はアルカリ金属の無機塩基である。いくつかの実施形態では、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、セシウム、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な無機塩基は、NaCO、KCO、CsCO、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記組み合わせは、NaCOとKCOの組み合わせである。いくつかの実施形態では、無機塩基はKCOである。いくつかの実施形態では、無機塩基はCsCOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水性溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水と有機溶媒の混合物である。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒は、C1-4-アルコール、THF、2-MeTHF、DMF、ジオキサン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒はジオキサンである。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約1時間から約12~18時間である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約50℃~約115℃である。いくつかの実施形態では、適切な温度は約80℃である。いくつかの実施形態では、反応はマイクロ波で行われる。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約10分~約30分である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約130℃~約170℃である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約150℃~約160℃である。
【0302】
いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ハロゲン化アリール(I-5)をホウ素試薬(I-6)と反応させることでI-4が得られる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アリールは臭化アリールである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アリールは、置換されたハロゲン化ピリジルである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アリールは、置換された臭化ピリジルである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化アリールは、置換された4-ブロモピリジンである。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールボロン酸である。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールピナコリルボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールホウ素試薬はピラゾリルホウ素試薬である。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、パラジウムが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、パラジウム、適切な塩基、および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、パラジウムは、Pd(dppf)Clの形態で送達される。いくつかの実施形態では、適切な塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基は、炭酸塩、リン酸塩、オキシド、または水酸化物である。いくつかの実施形態では、無機塩基はアルカリ金属の無機塩基である。いくつかの実施形態では、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、セシウム、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な無機塩基は、NaCO、KCO、CsCO、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記組み合わせは、NaCOとKCOの組み合わせである。いくつかの実施形態では、無機塩基はKCOである。いくつかの実施形態では、無機塩基はCsCOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水性溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水と有機溶媒の混合物である。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒は、C1-4-アルコール、THF、2-MeTHF、DME、DMF、ジオキサン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒はジオキサンである。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒は2-MeTHFである。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒はDMEである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約2時間~一晩、および約90℃である。いくつかの実施形態では、反応はマイクロ波で行われる。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約10分~約30分である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約130℃~約170℃である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約150℃~約160℃である。
【0303】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム2に概説されるように調製される。
【0304】
【化65】
【0305】
スキーム2では、XはC-HまたはNである。いくつかの実施形態では、II-2の5員の複素環は、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルである。いくつかの実施形態では、Rは、NHBoc、ヨウ化物、臭化物、塩化物、またはトリフルオロメタンスルホナート(トリフレート、-OTf、CFSO-)である。いくつかの実施形態では、RはNHBocである。いくつかの実施形態では、Rは臭化物または塩化物である。いくつかの実施形態では、Rは塩化物である。
【0306】
いくつかの実施形態では、フッ化アリール(II-1)を、適切なSAr反応条件下でヘテロアリール(II-2)と反応させることで、II-3が得られる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール(II-2)をフッ化アリール(II-1)と反応させ、ここで、Rはクロロである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール(II-2)をフッ化アリール(II-1)と反応させ、ここで、RはNHBocである。いくつかの実施形態では、適切なSAr反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な塩基および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基は炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、炭酸塩基はアルカリ金属炭酸塩である。いくつかの実施形態では、適切なアルカリ金属炭酸塩はKCOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、DMSO、NMP、トルエン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、水と、DMSO、NMP、トルエン、またはその組み合わせとの混合物である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はNMPである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、一晩および約100℃である。
【0307】
いくつかの実施形態では、II-3を、適切なアンモニア源の存在下で、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件下にさらすことで、II-4が得られる。いくつかの実施形態では、RがハロであるII-3を、適切なアンモニア源の存在下で、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件にさらすことで、II-4が得られる。いくつかの実施形態では、RがブロモまたはクロロであるII-3を、適切なアンモニア源の存在下で、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件にさらすことで、II-4が得られる。いくつかの実施形態では、RがクロロであるII-3を、適切なアンモニア源の存在下で、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件にさらすことで、II-4が得られる。いくつかの実施形態では、適切なアンモニア源はLiHMDSである。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、適切なリガンド、および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、適切なリガンドは、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はジオキサンまたはTHFである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約2時間~一晩、および約100℃である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、一晩および約60℃である。
【0308】
いくつかの実施形態では、適切な加水分解反応条件は、tert-ブチルオキシカルボニルで保護されたアニリン(II-3)を脱保護して、II-4を得るのに十分である。いくつかの実施形態では、適切な加水分解反応条件は、tert-ブチルオキシカルボニルで保護されたアニリン(II-3)(ここで、RはNHBocである)を脱保護して、II-4を得るのに十分である。いくつかの実施形態では、適切な加水分解条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な酸および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な酸はHCl水溶液である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はメタノールである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はEtOAcである。いくつかの実施形態では、適切な酸はEtOAc中のHClである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、一晩および50℃である。
【0309】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム3に概説されるように調製される。
【0310】
【化66】
【0311】
スキーム3では、XおよびRは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、Rはアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rは独立してアルキル基または水素である。いくつかの実施形態では、同じホウ素原子上のそれぞれの酸素原子を介して同じホウ素原子に結合するアルキル基は、同じホウ素原子上の2つの酸素原子を架橋するアルキレン基である。いくつかの実施形態では、ホウ素原子、同じホウ素原子上の2つの酸素原子、および2つの酸素原子を架橋するアルキレン基の炭素原子は、5員または6員の環を形成する。いくつかの実施形態では、架橋するアルキレン基は、-C(CHC(CH-であり、5員環の一部である。
【0312】
いくつかの実施形態では、チオアミド(III-1)を、適切な縮合反応条件下で、その後、適切な臭素化反応条件で、ブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール(2ブロモ-1,1ジメトキシエタン)と反応させることで、2-置換ブロモチアゾール(III-2)が得られる。いくつかの実施形態では、適切な縮合反応条件は、適切な臭素化反応条件下での臭素化後に2-置換ブロモチアゾール(III-2)をもたらす中間体の2-置換チアゾールをもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、適切な縮合反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な酸触媒および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な酸はp-トルエンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は酢酸である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、一晩および約120℃である。いくつかの実施形態では、適切な臭素化反応条件は、中間体の2-置換チアゾールを臭素化し(brominate)、III-2をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、適切な臭素化条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な臭素化剤および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な臭素化剤はNBSである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDMFである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約1時間および室温である。
【0313】
いくつかの実施形態では、ホウ素試薬(III-3)を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、エノールトリフレート(III-2)と反応させることで、III-4が得られる。いくつかの実施形態では、2-置換ブロモチアゾールは、5-ブロモ-2-置換チアゾールである。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、パラジウムが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、パラジウム、適切な塩基、および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、パラジウムは、Pd(dppf)Clの形態で送達される。いくつかの実施形態では、適切な塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基は、炭酸塩、リン酸塩、オキシド、または水酸化物である。いくつかの実施形態では、無機塩基はアルカリ金属の無機塩基である。いくつかの実施形態では、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、セシウム、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な無機塩基は、NaCO、KCO、CsCO、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記組み合わせは、NaCOとKCOの組み合わせである。いくつかの実施形態では、無機塩基はKCOである。いくつかの実施形態では、無機塩基はCsCOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水性溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水と有機溶媒の混合物である。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒は、C1-4-アルコール、THF、DMF、ジオキサン、またそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒はジオキサンである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、一晩および約80℃である。
【0314】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム4に概説されるように調製される。
【0315】
【化67】
【0316】
いくつかの実施形態では、ピリジンカルボン酸(IV-1)は、メチルケトン(IV-2)に変換される。いくつかの実施形態では、IV-1は、代替的にワインレブケトン合成と呼ばれる一連の反応を使用して、IV-2に変換される。いくつかの実施形態では、IV-1を一連の適切な反応条件下で反応させることで、IV-2が得られる。いくつかの実施形態では、上記一連の適切な反応条件には、適切なカルボン酸活性化反応条件、適切なワインレブアミド形成反応条件、および適切なアルキル化反応条件が含まれ、その順序で適用される。いくつかの実施形態では、カルボン酸活性化反応条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切なカルボン酸活性化剤および溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、カルボン酸活性化剤はカルボニルジイミダゾールである。いくつかの実施形態では、溶媒はDCEまたはDCMである。いくつかの実施形態では、時間および温度は、15分~60分および室温である。いくつかの実施形態では、ワインレブアミド形成反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンの酸性塩および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(dimethylhyroxylamine)の酸性塩は塩酸塩である。いくつかの実施形態では、溶媒は、カルボン酸活性化反応条件に含まれる溶媒と同じ物である。いくつかの実施形態では、時間および温度は、一晩および室温である。いくつかの実施形態では、アルキル化反応条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切なアルキル有機金属試薬および溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、アルキル有機金属試薬は、CHMgBr、CHMgCl、CHMgI、(CHMg、またはCHLiである。いくつかの実施形態では、アルキル有機金属試薬はCHMgBrである。いくつかの実施形態では、溶媒は、THF、EtO、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、時間および温度は、一晩および0℃~室温である。いくつかの実施形態では、初期温度が第1の時間にわたって維持され、その後、温度は第2の時間にわたって第2の温度に温められる。いくつかの実施形態では、初期温度は約0℃であり、第1の時間は15分~60分であり、第2の温度は室温であり、第2の時間は一晩である。
【0317】
いくつかの実施形態では、α-ブロモケトン(IV-3)は、ケトン(IV-2)を適切な臭素化条件にさらすことにより得られる。いくつかの実施形態では、適切な臭素化条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、臭素、HBr、および酢酸が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な時間は一晩である。いくつかの実施形態では、適切な温度はおよそ室温である。
【0318】
いくつかの実施形態では、α-ハロケトン(IV-3)を、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な溶媒においてアミド(IV-4)および適切な銀塩で処理することで、IV-5が得られる。いくつかの実施形態では、銀塩は、AgOTf、AgBF、AgClO4、またはAgSbFである。いくつかの実施形態では、銀塩はAgSbFである。いくつかの実施形態では、銀塩はAgOTfである。いくつかの実施形態では、溶媒は、EtOAc、ジオキサン、またはDCEである。いくつかの実施形態では、時間は一晩である。いくつかの実施形態では、温度は、約50℃~約100℃である。いくつかの実施形態では、温度は約70℃または約100℃である。
【0319】
いくつかの実施形態では、IV-5を適切なアンモニア源の存在下で、パラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件にさらすことで、IV-6が得られる。いくつかの実施形態では、適切なアンモニア源はLiHMDSである。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、適切なリガンド、および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、適切なリガンドは、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はジオキサンまたはTHFである。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約2時間~一晩、および約100℃である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、一晩および約60℃である。
【0320】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム5に概説されるように調製される。
【0321】
【化68】
【0322】
いくつかの実施形態では、R’’はアルコール保護基である。いくつかの実施形態では、アルコール保護基は、例えば、Wuts, P. G. M. “Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis” (2014) John Wiley & Sons ISBN: 978-1-118-05748-3に記載されるような、メチル、置換メチル基、置換エチル基、置換ベンジル基、またはシリル基である。いくつかの実施形態では、アルコール保護基はシリル基である。いくつかの実施形態では、シリル基は、tert-ブチルジメチルシリル基である。
【0323】
いくつかの実施形態では、V-1を適切なアルコール保護反応条件にさらすことでビス-シリル中間体が形成され、その後、適切な加水分解反応条件にさらすことでV-2が形成され、ここで、R’’がシリル基である。いくつかの実施形態では、R’’はtert-ブチルジメチルシリルであり、アルコール保護反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な溶媒において、tert-ブチルジメチルシリルハロゲン化物および適切な塩基が含まれる。いくつかの実施形態では、tert-ブチルジメチルシリルハロゲン化物は、tert-ブチルジメチルシリル塩化物である。いくつかの実施形態では、塩基はイミダゾールである。いくつかの実施形態では、溶媒はDMFである。いくつかの実施形態では、上記時間は約2時間であり、上記温度はおよそ室温である。いくつかの実施形態では、ビス-シリル中間体(シリルエステル)を適切な加水分解反応条件にさらすことで、V-2が形成される。いくつかの実施形態では、適切な加水分解反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって適切な溶媒において塩基が含まれる。いくつかの実施形態では、塩基はKCOである。いくつかの実施形態では、溶媒は、水、エタノール、およびTHFの混合物である。いくつかの実施形態では、溶媒は、エタノール水溶液、THF水溶液またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記時間は約3時間であり、上記温度はおよそ室温である。
【0324】
いくつかの実施形態では、R’’はメチル、置換メチル基、置換エチル基、または置換ベンジル基であり、V-1を適切なアルコール保護反応条件にさらすことで、ビス-アルキル中間体が形成され(カルボン酸とアルコールOHの両方をアルキル化することで、エステルとエーテルがそれぞれ形成され、ならびに、スキーム5、およびスキーム5を参照するスキーム、またはスキーム5で開示された中間体あるいは生成物を参照するスキームにおいて、ビス-アルキル中間体上のアルキル基は、メチル、置換メチル基、置換エチル基、または置換ベンジル基である)、その後、適切な加水分解反応条件にさらすことで式V-2が形成される。
【0325】
いくつかの実施形態では、保護されたアルコール(V-2)は、適切な塩素化反応条件下で、酸塩化物(V-3)に変換される。いくつかの実施形態では、塩素化反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な溶媒において、(クロロメチレン)ジメチルイミニウム塩化物および適切な塩基が含まれる。いくつかの実施形態では、塩基は無水KCOである。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、上記時間は約0.5時間~約2時間である。いくつかの実施形態では、上記温度は約0℃である。いくつかの実施形態では、上記温度は室温である。
【0326】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム6に概説されるように調製される。
【0327】
【化69】
【0328】
スキーム6では、XおよびRは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は臭化物である。いくつかの実施形態では、Rは、-COR’または-CNである。いくつかの実施形態では、R’は、-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、R’は-CH、-C(CH、または-CHCHである。いくつかの実施形態では、R’は、-CHCHである。
【0329】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物(VI-1)を適切な温度に冷却し、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いて、適切な金属ハロゲン交換条件下で反応させ、その後、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切なケトン(VI-2)と反応させることで、三級アルコールが得られる。いくつかの実施形態では、適切な金属ハロゲン交換条件には有機金属試薬が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬はアルキルリチウムである。いくつかの実施形態では、アルキルリチウムはn-ブチルリチウムである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬の添加前に、VI-1を約-78℃に冷却する。いくつかの実施形態では、ケトン(VI-2)の添加前に、VI-1を約-78℃で約1時間反応させる。いくつかの実施形態では、ケトン(VI-2)の添加後に、VI-1を約2時間反応させる。いくつかの実施形態では、VI-1およびケトン(VI-2)を反応させるための適切な温度は、約-78℃である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶媒において、アリル化試薬とルイス酸の使用を含む適切なアリル化条件下で、三級アルコールを反応させることで、VI-3が形成される。いくつかの実施形態では、適切なアリル化試薬はアリルトリメチルシランである。いくつかの実施形態では、適切なルイス酸はBF-OEtである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、約1時間にわたって約-78℃である。いくつかの実施形態では、反応物を、一晩およそ室温までさらに温める。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたる適切な温度は、一晩にわたり約0℃である。
【0330】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物(VI-1)を適切な温度に冷却し、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いて、適切な金属ハロゲン交換条件下で反応させ、その後、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切なケトン(VI-4)と反応させることで、三級アルコールが得られる。いくつかの実施形態では、適切な金属ハロゲン交換条件には有機金属試薬が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬はアルキルリチウムである。いくつかの実施形態では、アルキルリチウムはn-ブチルリチウムである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬の添加前に、VI-1を約-60℃に冷却する。いくつかの実施形態では、VI-4は、約-60℃で約45分かけてゆっくりと添加される。いくつかの実施形態では、ケトン(VI-4)を完全に添加した後に、VI-1を-60℃で約1時間反応させる。いくつかの実施形態では、VI-1およびケトン(VI-4)を反応させるための適切な温度は、約-60℃である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒において、アリル化試薬とルイス酸の使用を含む適切なアリル化条件下で、五級アルコールを反応させることで、VI-3が形成される。いくつかの実施形態では、適切なアリル化試薬はアリルトリメチルシランである。いくつかの実施形態では、適切なルイス酸はBF-OEtである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、約1時間にわたって約-65℃である。
【0331】
いくつかの実施形態では、VI-5を、適切な期間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で、1,3-ジオキサラン(dioxalane)脱保護条件下で反応させ、その後、適切な期間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で、結果として生じるケトン中間体の還元的シアノ化(reductive cyanation)を行うことで、VI-6が得られる。いくつかの実施形態では、1,3-ジオキサラン脱保護条件には、適切な酸の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な酸はギ酸である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHF/水の混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたる適切な温度は、一晩にわたり約40℃~約65である。いくつかの実施形態では、適切な期間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で、適切な還元的シアノ化条件下で、結果として生じるケトンを反応させることで、VI-6が形成される。いくつかの実施形態では、適切な還元的シアノ化条件には、適切なシアノ化試薬および適切な塩基の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、適切なシアノ化試薬は適切なイソシアン化物である。いくつかの実施形態では、適切なイソシアン化物はトルエンスルホニルメチルイソシアン化物(To-MIC)である。いくつかの実施形態では、適切な塩基は、強力な非求核塩基である。いくつかの実施形態では、強力な非求核塩基はt-BuOKである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDMEである。いくつかの実施形態では、ケトン中間体および適切なシアノ化試薬は、適切な塩基の添加前に、約0~5℃に冷却される。いくつかの実施形態では、適切な塩基は、約0~5℃で約1時間かけてゆっくりと添加される。いくつかの実施形態では、還元的シアノ化反応は、塩基を完全に添加した後に25℃で約1時間起こる。いくつかの実施形態では、還元的シアノ化反応は、塩基を完全に添加した後に25℃で約2時間起こる。いくつかの実施形態では、還元的シアノ化反応のための適切な温度は約-25℃である。
【0332】
いくつかの実施形態では、適切な期間にわたって適切な温度で、および適切な溶媒において、適切な酸化的開裂条件下で、VI-3またはVI-6を反応させることで、VI-7が得られる。いくつかの実施形態では、酸化的開裂条件には、中間体のジオールを形成するためのオスミウム、試薬とN-メチルモルホリンN-オキシドの使用が含まれる。いくつかの実施形態では、オスミウム試薬はOsOまたはKOsO-2HOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はACN/水の混合物である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はアセトン/水の混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、一晩にわたって約0℃~およそ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、2時間にわたって約0℃~およそ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、2時間にわたっておよそ室温である。いくつかの実施形態では、ジオールを、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で、適切な酸化的開裂条件下で切断することで、VI-7が形成される。いくつかの実施形態では、適切な酸化的開裂条件にはNaIOの使用が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHF/水の混合物である。いくつかの実施形態では、NaIOは、約0~5℃で約0.5時間かけて、ジオール中間体に添加される。いくつかの実施形態では、NaIOを完全に添加した後の適切な時間にわたって適切な温度とは、3時間にわたって約0℃~およそ室温である。いくつかの実施形態では、NaIOを完全に添加した後の適切な時間にわたって適切な温度とは、3時間にわたっておよそ室温である。
【0333】
いくつかの実施形態では、VI-7を適切な還元条件下で一級アルコールに還元し、その後、適切なハロゲン化条件下でハロゲン化することで、VI-8が得られる。いくつかの実施形態では、適切な還元条件には水素化ホウ素試薬の使用が含まれる。いくつかの実施形態では、還元条件には、適切な時間にわたって、適切な温度で、適切な溶媒において、NaBHの使用が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、約1時間にわたって約-0℃である。いくつかの実施形態では、反応物を3時間にわたりおよそ室温に温める。いくつかの実施形態では、適切なハロゲン化条件下で、一級アルコールを反応させることで、ハロゲン化アルキルが得られる。いくつかの実施形態では、適切なハロゲン化条件は、適切な当初温度で、適切な溶媒においてCBrを使用すること、その後に、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度でPPhを使用することを含む、臭素化条件である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMなどのハロゲン化溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な初期温度は約0℃である。いくつかの実施形態では、適切な初期温度は約0℃であり、PPhは1時間かけてゆっくりと添加される。いくつかの実施形態では、PPhを完全に添加した後の適切な温度および適切な時間は、約1.5時間にわたり約25℃である。いくつかの実施形態では、PPhの添加のための適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、反応物をおよそ室温で一晩さらに温める。
【0334】
いくつかの実施形態では、VI-8を分子内アルキル化条件にさらすことで、VI-9が形成される。いくつかの実施形態では、分子内アルキル化条条件には、適切な時間にわたって、適切な温度で、および適切な溶媒において適切な塩基が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な塩基はリチウムジイソプロピルアミドである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はHMPAとTHFの混合物である。いくつかの実施形態では、適切な塩基は、約-65℃で1時間かけてゆっくりと添加される。いくつかの実施形態では、適切な塩基を完全に添加した後の適切な時間にわたる適切な温度は、約3時間にわたり約-65℃Cである。
【0335】
いくつかの実施形態では、Rが-CNである場合、VI-9は、適切な還元条件によってアルデヒド(VI-10)に還元される。いくつかの実施形態では、Rが-COEtである場合、VI-9は、適切な還元条件によって還元され、その後、適切な酸化条件によって、アルデヒド(VI-10)に酸化される。いくつかの実施形態では、適切な還元条件には、適切な時間にわたる適切な温度で、適切な溶媒において、DIBALHを使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、DIBALHは、適切な温度で、適切な時間にわたって添加される。いくつかの実施形態では、DIBALHは、約65℃で1時間かけてゆっくりと添加される。いくつかの実施形態では、適切なDIBALHを完全に添加した後の適切な時間にわたる適切な温度は、約1時間にわたり約-65℃である。いくつかの実施形態では、適切な酸化条件はクロムベースの酸化である。いくつかの実施形態では、適切な酸化条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶媒において、PCCを使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、シリカゲルが添加される。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な温度は約2時間にわたりおよそ室温である。代替的に、いくつかの実施形態では、酸化条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶媒において、アミン塩基とともに塩化オキサリルおよびDMSOを使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、適切なアミン塩基はTEAである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、約1時間にわたって約78℃である。
【0336】
いくつかの実施形態では、アルデヒド(VI-10)は、適切な条件下で亜硫酸水素付加物(VI-11)に変換される。いくつかの実施形態では、適切な条件には、適切な時間にわたって、適切な温度で、適切な溶媒において試薬を使用することを含む。いくつかの実施形態では、適切な試薬はメタ重亜硫酸カリウム水溶液である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、適切な温度および適切な時間は、約3.5時間にわたり約45℃である。いくつかの実施形態では、反応物は、一晩にわたりおよそ室温にさらに温められる。
【0337】
いくつかの実施形態では、亜硫酸水素塩付加物(VI-11)は、適切な条件によってアルデヒド(VI-10)に変換し戻される。いくつかの実施形態では、適切な条件には、適切な時間にわたって、適切な温度で、適切な溶媒において、適切な塩基を使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な塩基は炭酸塩である。いくつかの実施形態では、適切な塩基は炭酸ナトリウム水溶液である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な温度および適切な時間は、約1時間にわたり約-25℃である。
【0338】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム7に概説されるように調製される。
【0339】
【化70】
【0340】
スキーム7では、X、X、X、R、およびRは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、XとXの両方はNである。いくつかの実施形態では、XまたはXの一方はNであり、他方はCRである。いくつかの実施形態では、XとXの両方はCRである。
【0341】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物(VII-1)を適切な温度に冷却し、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶剤を用いて適切な金属-ハロゲン交換条件下で反応させることで、アリールまたはヘテロアリール臭化マグネシウム塩(VII-2)が得られる。いくつかの実施形態では、適切な金属-ハロゲン交換条件には金属試薬が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、金属試薬はマグネシウムである。いくつかの実施形態では、適切な金属-ハロゲン交換条件には塩が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な塩は塩化リチウムを含む。いくつかの実施形態では、適切な金属-ハロゲン交換条件にはマグネシウム活性化試薬が含まれる。いくつかの実施形態では、適切なマグネシウム活性化試薬はDIBAL-Hを含む。いくつかの実施形態では、適切な金属、適切な塩、および適切な溶媒は、10℃または室温で組み合わせられる。いくつかの実施形態では、マグネシウム、塩化リチウム、およびTHFは、10℃で組み合わせられる。いくつかの実施形態では、マグネシウム、塩化リチウム、およびTHFは、室温で組み合わせられる。いくつかの実施形態では、DIBAL-Hは、10℃または室温で適切な金属、適切な塩、および適切な溶媒の混合物に添加され、反応物は約15分間撹拌される。いくつかの実施形態では、温度を下げるか、または維持する。いくつかの実施形態では、温度を0℃に下げる。いくつかの実施形態では、THF中のVII-1の溶液を反応物に添加する。いくつかの実施形態では、VII-1の添加後に、VII-1を約1時間~2時間反応させる。いくつかの実施形態では、VII-1を約10℃で約1時間反応させる。いくつかの実施形態では、VII-1を反応させるための適切な温度は約25℃である。
【0342】
いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いて、適切な亜鉛置換条件下でアリールまたはヘテロアリール臭化マグネシウム塩(VII-2)を反応させることで、亜鉛アリールまたはヘテロアリール二量体(VII-3)が得られる。いくつかの実施形態では、適切な亜鉛置換条件にはハロゲン化亜鉛塩が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な亜鉛置換条件には塩化亜鉛が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化亜鉛塩の添加後に、VII-2を約1時間反応させる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化亜鉛塩の添加後に、VII-2を約25℃で約1時間反応させる。いくつかの実施形態では、VII-2を反応させるための適切な温度は約25℃である。
【0343】
いくつかの実施形態では、適切なカップリング反応条件下で、1,4-エンドエチレンシクロヘキシルカルボン酸をN-ヒドロキシフタルイミドと反応させることで、VII-4が得られる。いくつかの実施形態では、適切なカップリング反応条件には、適切な時間わたって、および適切な温度で、適切なカップリング剤、適切な塩基、適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、N,N-ジイソプロピルカルボジイミドである。いくつかの実施形態では、塩基はDMAPである。いくつかの実施形態では、溶媒はDCMまたはDCEである。いくつかの実施形態では、上記時間および温度は、一晩および室温である。
【0344】
いくつかの実施形態では、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件下で、VII-2およびVII-4を反応させることで、アリール-アルキル(VII-5)が得られる。いくつかの実施形態では、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件下で、VII-3およびVII-4を反応させることで、アリール-アルキル(VII-5)が得られる。いくつかの実施形態では、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件下で、VII-4を反応させることで、アリール-アルキル(VII-5)が得られる。いくつかの実施形態では、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には、ニッケルが含まれる。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつXが-CMeであるか、または、Xが-CMeであり、かつXが-CHである場合、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には、ニッケルが含まれる。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつXが-CMeである場合、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には、ニッケルが含まれる。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつXが-CHである場合、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には、ニッケルが含まれる。いくつかの実施形態では、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切なNi源、適切なアリール亜鉛(arylzinc)またはヘテロアリール亜鉛(heteroarylzinc)試薬、適切な補助リガンド(auxiliary ligand)、および溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、Ni源は、ニッケル(II)アセチルアセトネートである。いくつかの実施形態では、Ni源は、Ni(II)ハロゲン化物またはその溶媒和物である。いくつかの実施形態では、Ni(II)ハロゲン化物は、Ni(II)塩化物またはNi(II)臭化物である。いくつかの実施形態では、アリール亜鉛試薬は、置換フェニル亜鉛試薬である。いくつかの実施形態では、置換フェニル亜鉛試薬はメトキシフェニル亜鉛試薬である。いくつかの実施形態では、メトキシフェニル亜鉛試薬は、ビス(4-メトキシ-3-メチルフェニル)亜鉛またはビス(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)亜鉛である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール亜鉛は、置換ピリジニル亜鉛(pyridinylzinc)試薬である。いくつかの実施形態では、置換ピリジニル亜鉛試薬は、メトキシピリジニル亜鉛(methoxypyridinylzinc)試薬である。いくつかの実施形態では、メトキシピリジニル亜鉛試薬は、ビス(6-メトキシ-5-メチルピリジン-3-イル)亜鉛である。いくつかの実施形態では、補助リガンドは、2,2’ビピリジンである。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつXが-CMeである場合、補助リガンドは2,2’-ビピリジンである。いくつかの実施形態では、補助リガンドは、アルキル置換2,2’-ビピリジンである。いくつかの実施形態では、アルキル置換2,2’-ビピリジンは、6,6’-ジメチル-2,2’-ビピリジンまたは4,4’-ジ-tert-2,2’-ビピリジンである。いくつかの実施形態では、アルキル置換2,2’-ビピリジンは、6,6’-ジメチル-2、2’-ビピリジンである。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつXが-CHである場合、アルキル置換2,2’-ビピリジンは、6,6’-ジメチル-2,2’-ビピリジンである。いくつかの実施形態では、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には、鉄が含まれる。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつ-3がNである場合、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には鉄が含まれる。いくつかの実施形態では、Xが-CMeであり、かつXがNである場合、適切なアリール-アルキルクロスカップリング反応条件には鉄が含まれ、および、VII-2はVII-4と反応する。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、N,N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、DMF、THF、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒はDMPUである。いくつかの実施形態では、上記時間および温度は、一晩および25℃である。
【0345】
いくつかの実施形態では、アリール-アルキル(VII-5)は、適切な還元条件によってアルコールに還元され、その後、適切な酸化条件によってアルデヒド(VII-6)に酸化される。いくつかの実施形態では、適切な還元条件には、適切な時間にわたる適切な温度で、適切な溶媒において、DIBALHを使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、約1時間にわたって約-78℃である。いくつかの実施形態では、アルコールを得るために、反応物を約2時間にわたっておよそ室温にさらに温める。いくつかの実施形態では、適切な酸化条件はクロムベースの酸化である。いくつかの実施形態では、適切な酸化条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶媒において、PCCを使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、シリカゲルが添加される。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な温度は約2時間にわたりおよそ室温である。代替的に、いくつかの実施形態では、酸化条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶媒において、アミン塩基とともに塩化オキサリルおよびDMSOを使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、適切なアミン塩基はTEAである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって適切な温度とは、約1時間にわたって約78℃である。
【0346】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム8に概説されるように調製される。
【0347】
【化71】
【0348】
スキーム8では、置換基X、X、X、R、R、およびRは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態では、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物である。
【0349】
いくつかの実施形態では、ボロン酸エステル(VIII-2)を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ハロゲン化物(VIII-1)と反応させることでVIII-3が得られる。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、パラジウム、適切な塩基、および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、パラジウムは、Pd(dppf)ClまたはPd(PPhの形態で送達される。いくつかの実施形態では、適切な塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基は、炭酸塩、リン酸塩、オキシド、または水酸化物である。いくつかの実施形態では、無機塩基はアルカリ金属の無機塩基である。いくつかの実施形態では、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、セシウム、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な無機塩基は、NaCO、KCO、CsCO、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記組み合わせは、NaCOとKCOの組み合わせである。いくつかの実施形態では、無機塩基はKCOである。いくつかの実施形態では、無機塩基はCsCOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水性溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は水と有機溶媒の混合物である。いくつかの実施形態では、混合物での有機溶媒は、C1-4-アルコール、THF、DMF、DME、ジオキサン、アセトニトリル、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、混合物中の有機溶媒はジオキサンである。いくつかの実施形態では、適切な時間は約1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、約50℃~約115℃である。いくつかの実施形態では、適切な温度は約50℃である。いくつかの実施形態では、適切な温度は約100℃である。
【0350】
いくつかの実施形態では、VIII-3を適切な水素化条件下にさらし、その後、適切な酸性条件下で処理することで、シクロヘキサノン(VIII-4)が得られる。いくつかの実施形態では、適切な水素化条件にはパラジウム触媒が含まれる。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒による水素化条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶剤において、水素ガスを含む大気下での10%のPd/Cが含まれる。いくつかの実施形態では、水素ガスは、約1気圧の分圧で大気中に存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、EtOAc、エタノール、メタノール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な時間は約4.5時間~一晩であり、適切な温度はおよそ室温である。いくつかの実施形態では、酸性条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、水とトルエンの混合物中のギ酸が含まれる。いくつかの実施形態では、適切な時間は約4時間であり、適切な温度は約120℃である。いくつかの実施形態では、適切な時間は一晩であり、適切な温度は溶媒の沸点である。いくつかの実施形態では、酸性条件には、適切な温度で適切な時間にわたる、アセトンと水の混合物中のPPTSが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な時間は約10時間であり、適切な温度は約60℃である。いくつかの実施形態では、酸性条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、3MのHClおよびTHFが含まれる。いくつかの実施形態では、適切な時間は約3時間~一晩であり、適切な温度は約60℃である。
【0351】
いくつかの実施形態では、VIII-4を、適切な一炭素増炭反応条件下で反応させることで、エノールエーテル(VIII-5)が得られる。いくつかの実施形態では、適切な一炭素増炭条件には、適切な第1の温度で適切な第1の時間にわたって、適切な溶剤において適切な塩基を用いてホスホニウム塩を脱プロトン化してから、第2の温度で第2の時間にわたってシクロヘキサノン(VIII-4)を添加することが含まれる。いくつかの実施形態では、ホスホニウム塩はアルキルトリフェニルホスホニウム塩である。いくつかの実施形態では、アルキルトリフェニルホスホニウム塩はアルキルトリフェニルホスホニウム塩化物である。いくつかの実施形態では、アルキルトリフェニルホスホニウム塩化物は、(メトキシメチル)トリフェニル-ホスホニウム塩化物[PhP+CHOCH Cl]である。いくつかの実施形態では、適切な塩基は、LiHMDS、NaHMDS、または、KHMDSである。いくつかの実施形態では、適切な塩基はNaHMDSである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、適切な第1の時間は、約0.5時間~約2時間であり、適切な第1の温度は約0℃である。いくつかの実施形態では、適切な第2の時間は約0.5時間~約3時間であり、適切な第2の温度は約0℃である。いくつかの実施形態では、適切な第2の時間は一晩であり、適切な第2の温度は0℃で始まり、第2の時間にわたっておよそ室温まで上昇する。
【0352】
いくつかの実施形態では、トランス-アルデヒドがVIII-6である場合、エノールエーテル(VIII-5)は、シス-アルデヒドとトランス-アルデヒドの混合物をもたらす、適切な酸性条件下で加水分解される。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な溶媒における適切な酸が含まれる。いくつかの実施形態では、酸はギ酸であり、溶媒は水とトルエンの混合物であり、時間は約2時間~一晩であり、温度は約120℃~約130℃である。いくつかの実施形態では、酸はHClであり、溶媒はTHFであり、時間は約1時間~約6時間であり、温度は約60℃である。いくつかの実施形態では、適切な塩基条件下でシス-アルデヒドとトランス-アルデヒドの混合物を処理すると、トランス-アルデヒド(VIII-6)がさらに富化された混合物が得られる。いくつかの実施形態では、適切な塩基条件には、適切な温度で適切な時間にわたって、適切な溶媒における適切な塩基が含まれる。いくつかの実施形態では、塩基はNaOHである。いくつかの実施形態では、溶媒は、EtOH、トルエン、THF、またはそれらの組み合わせを含む、水溶媒混合物である。いくつかの実施形態では、水溶媒混合物はトルエンを含む。いくつかの実施形態では、水溶媒混合物はTHFを含む。いくつかの実施形態では、適切な時間は約5時間~一晩であり、適切な温度はおよそ室温である。いくつかの実施形態では、塩基はNaOMeである。いくつかの実施形態では、溶媒は、Cアルコール、またはその混合物である。いくつかの実施形態では、溶媒はメタノールまたはエタノールである。いくつかの実施形態では、溶媒はメタノールである。いくつかの実施形態では、適切な時間は4時間~一晩であり、適切な温度はおよそ室温である。いくつかの実施形態では、シス-アルデヒドとトランス-アルデヒドの混合物のさらなる精製により、トランス-アルデヒド(VIII-6)が得られる。いくつかの実施形態では、さらなる精製は、結晶化、クロマトグラフィー、またはそれらの組み合わせの技術を含む。いくつかの実施形態では、さらなる精製は結晶化を含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム9に概説されるように調製される。
【0354】
【化72】
【0355】
スキーム9では、置換基X、X、X、R、R、R、およびmは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態では、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物である。
【0356】
いくつかの実施形態では、IX-1を適切な温度に冷却し、適切な第1の時間にわたって、および適切な第1の温度で、適切な溶媒において、適切な金属-ハロゲン交換条件下で反応させ、その後、適切な第2の時間にわたって、および適切な第2の温度で、適切なケトン(IX-2)と反応させることで、IX-3が得られる。いくつかの実施形態では、適切な金属ハロゲン交換条件には有機金属試薬が含まれる。いくつかの実施形態では、有機金属試薬はアルキルリチウム試薬である。いくつかの実施形態では、アルキルリチウム試薬はn-ブチルリチウムである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬の添加前に、IX-1を約-78℃に冷却する。いくつかの実施形態では、第1の時間は約1時間~約2時間であり、第1の温度は約-78℃である。いくつかの実施形態では、第2の時間は約3時間であり、第2の温度は約-78℃である。いくつかの実施形態では、第2の時間は一晩であり、第2の温度は、最初は約-78℃で、上記第2の時間にわたって室温まで温められる。
【0357】
いくつかの実施形態では、アルコール(IX-3)を、適切な還元条件下で反応させることで、IX-3に由来する飽和または不飽和の置換シクロヘキシルケタールの混合物を形成する。いくつかの実施形態では、適切な還元条件には、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒における適切な還元剤および適切な酸が含まれる。いくつかの実施形態では、還元剤はシリル水素化物であり、酸はトリフルオロ酢酸(trifluoracetic acid)である。いくつかの実施形態では、シリル水素化物はトリエチルシランである。いくつかの実施形態では、溶媒はジクロロメタンである。いくつかの実施形態では、上記時間は、約1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、上記温度は、約0℃~およそ室温である。いくつかの実施形態では、上記温度は約0℃である。いくつかの実施形態では、IX-3に由来する飽和および不飽和の置換シクロヘキシルケタールの混合物を、適切な加水分解反応条件下で反応させることで、飽和ケトン(VIII-4)を含む、飽和および不飽和の置換シクロヘキシルケトンの混合物を形成する。いくつかの実施形態では、適切な加水分解反応条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な溶媒における適切な酸が含まれる。いくつかの実施形態では、酸はギ酸であり、溶媒はトルエン/水の混合物であり、上記温度は約130℃であり、上記時間は一晩である。いくつかの実施形態では、酸はギ酸であり、溶媒はTHF/水の混合物であり、上記温度は約80℃であり、上記時間は一晩である。いくつかの実施形態では、飽和ケトン(VIII-4)を含む、飽和置換および不飽和置換のシクロヘキシルケトンの混合物を、適切な還元反応条件下で還元することで、不飽和成分をVIII-4に変換する。いくつかの実施形態では、適切な還元反応条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な還元剤および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、還元剤は水素である。いくつかの実施形態では、水素は、約15psi~約30psiの圧力で送達される。いくつかの実施形態では、適切な還元反応条件には触媒が含まれる。いくつかの実施形態では、触媒はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、パラジウムを含む触媒は、10%のパラジウム炭素である。いくつかの実施形態では、溶媒は酢酸エチルおよび濃縮されたHClである。いくつかの実施形態では、溶媒は酢酸エチルである。いくつかの実施形態では、上記時間は、約30分~およそ一晩である。いくつかの実施形態では、上記温度はおよそ室温である。
【0358】
いくつかの実施形態では、スキーム8に記載されるように、ケトン(VIII-4)は、ケトン(VIII-4)をトランス-アルデヒド(VIII-6)に変換するのにも適した反応条件下で、トランス-アルデヒド(VIII-6)に変換される。
【0359】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム10に概説されるように調製される。
【0360】
【化73】
【0361】
スキーム10では、環A、X、X、X、X、X、X、およびX、ならびに、置換基R、R、およびRは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、Rは、ハロゲン化物または-OHである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、ヨード、ブロモ、またはクロロである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物はクロロである。いくつかの実施形態では、Rは-OHである。いくつかの実施形態では、R’’はアルコール保護基である。いくつかの実施形態では、アルコール保護基は、例えば、Wuts, P. G. M. “Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis” (2014) John Wiley & Sons ISBN: 978-1-118-05748-3に記載されるような、メチル、置換メチル基、置換エチル基、置換ベンジル基、またはシリル基である。いくつかの実施形態では、アルコール保護基はシリル基である。いくつかの実施形態では、シリル基は、tert-ブチルジメチルシリル基である。
【0362】
いくつかの実施形態では、アルデヒド(VII-6)(例えば、スキーム8にように、Xおよび各XがCHである)を、適切な還元的アミノ化反応条件下でアニリン(X-1)と反応させることで、X-2aが得られる。いくつかの実施形態では、適切な還元的アミノ化反応条件には、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な還元剤および適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、還元剤は、ピコリンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、またはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態では、還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DCM、DCE、THF、アセトニトリル、DMF、またはN,N-ジメチルアセトアミドである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DCM、DCE、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、上記時間は約30分~一晩であり、上記温度は、最初は約0℃で、上記時間にわたっておよそ室温まで上昇させる。いくつかの実施形態では、上記温度はおよそ室温である。
【0363】
いくつかの実施形態では、アルデヒド(VI-10)(例えば、スキーム6のように、Xおよび各XがCHである)を、適切な還元的アミノ化反応条件下でアニリン(X-1)と反応させることで、X-2bが得られる。いくつかの実施形態では、適切な還元的アミノ化反応条件には、適切な時間にわたり、適切な温度で、適切な縮合触媒、適切な還元剤、および適切な溶媒が随意に含まれる。いくつかの実施形態では、適切な還元的アミノ化反応条件には、第1の時間にわたって第1の温度で、適切な溶媒において、VI-10、X-1、および縮合触媒を保持し、続いて、還元剤を添加し、第1の時間にわたって第2の温度で、結果として生じる混合物を保持することが含まれる。いくつかの実施形態では、溶媒はアルコールである。いくつかの実施形態では、溶媒はメタノールである。いくつかの実施形態では、縮合触媒は酢酸である。いくつかの実施形態では、第1の温度はおよそ室温~約60℃であり、第1の時間は約3時間~約68時間である。いくつかの実施形態では、第1の温度はおよそ室温であり、第1の時間は一晩である。いくつかの実施形態では、第1の温度は約60℃であり、第1の時間は約4時間である。いくつかの実施形態では、還元剤はピコリン-BH3である。いくつかの実施形態では、第2の温度は室温である。いくつかの実施形態では、第2の温度は約40℃である。いくつかの実施形態では、第2の時間は、一晩~約4日である。
【0364】
いくつかの実施形態では、適切な還元的アミノ化反応条件には、VI-10、X-1、および適切な溶媒の混合物に適切な還元剤を添加し、適切な時間にわたって適切な温度で、結果として生じる混合物を保持することが含まれる。いくつかの実施形態では、還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態では、還元剤前に1当量のAcOHを添加する。いくつかの実施形態では、溶媒はDCMまたはDCEである。いくつかの実施形態では、上記時間は一晩であり、上記温度はおよそ室温である。いくつかの実施形態では、上記温度は約45℃である。
【0365】
いくつかの実施形態では、アミン(X-2a)または(X-2b)(スキーム10に関連する本明細書の開示において、集合的におよび代替的に「X-2」と呼ばれる)を、適切なアシル化反応条件下で、その後、適切な加水分解反応条件下で、シクロヘキサン(X-3)(例えば、スキーム10のような)と反応させることで、X-4がそれぞれ得られる。いくつかの実施形態では、シクロヘキサン(X-3)は、酸塩化物またはカルボン酸である。いくつかの実施形態では、X-3が酸塩化物である場合、適切なアシル化反応条件は、適切な加水分解反応条件下での脱保護の後にX-4をもたらす、中間体の保護シクロヘキシルアルコールをもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、XはNまたはCHであり、アシル化反応条件は、適切な時間にわたって適切な温度で、適切な塩基、適切な溶媒、および任意にDMAPが含まれる。いくつかの実施形態では、塩基は、TEAまたはピリジンである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DCE、DCM、トルエン、ピリジン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、上記温度は80℃であり、上記時間は約1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、上記温度は室温であり、上記時間は1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、初期温度は0℃であり、反応物は室温に温められ、上記時間は約15分~約5時間である。いくつかの実施形態では、反応条件にはDMAPが含まれる。いくつかの実施形態では、XはNであり、反応条件はDMAPを含み、塩基はTEAであり、溶媒はトルエンであり、上記温度は約80℃であり、上記時間は約1時間~約2時間である。いくつかの実施形態では、XはNであり、反応条件はDMAPを含み、塩基はピリジンであり、溶媒はトルエンであり、上記温度は約80℃であり、上記時間は約1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、XはCHであり、塩基はTEAであり、溶媒はトルエンであり、上記温度はおよそ室温であり、上記時間は約1時間~約2時間である。いくつかの実施形態では、XはCHであり、塩基はピリジンであり、溶媒はトルエンであり、上記温度はおよそ室温であり、上記時間は約1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、X-3がカルボン酸である場合、カップリング試薬が使用される。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、HATU、EDC、T3P、HBTU、BCTU、またはpyBOPである。いくつかの実施形態では、X-3はカルボン酸であり、塩基はトリエチルアミンであり、溶媒はDCMであり、カップリング試薬は、適切な時間にわたって適切な温度で、T3Pであり、および随意にDMAPである。いくつかの実施形態では、塩基は、TEAまたはピリジンである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DCE、DCM、トルエン、ピリジン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、上記温度は40℃であり、上記時間は約2時間~約63時間である。いくつかの実施形態では、上記温度は室温であり、上記時間は1時間~一晩である。いくつかの実施形態では、初期温度は25℃であり、上記反応は40℃に温められ、上記時間は約2時間~約63時間である。いくつかの実施形態では、反応条件にはDMAPが含まれる。
【0366】
いくつかの実施形態では、適切な加水分解反応条件は、中間体の保護シクロヘキシルアルコールを脱保護し、X-4をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、加水分解反応条件には、適切な時間にわたって適切な温度の、適切な酸、適切な溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、酸はHCl水溶液である。いくつかの実施形態では、HCl水溶液の濃度は、約1Mである。いくつかの実施形態では、溶媒は、THF、メタノール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、上記温度は約0℃~およそ室温であり、上記時間は約1時間~約4時間である。いくつかの実施形態では、R’’は、tert-ブチルジメチルシリルであり、酸は1MのHClであり、溶媒はTHFとメタノールの組み合わせであり、上記温度は約0℃~およそ室温であり、上記時間は約1時間~約19時間である。いくつかの実施形態では、R’’はtert-ブチルジメチルシリル以外のものであり、例えば、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”に開示される対応する方法に従って、保護基R’’を除去することで、X-4が得られる。
【0367】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、スキーム11に概説されるように調製される。
【0368】
【化74】
【0369】
スキーム11では、環Aおよび置換基X、X、X、X、X、X、X、R、R、R、R、R、R、R、およびmは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態では、Rは独立してアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、または水素であり、もしくは、両方のRは一体となって、環中に1~3のNの原子および0~2のOまたはSの原子を有する、置換または非置換の縮合4員、5員、あるいは6員の環を形成する。
【0370】
いくつかの実施形態では、XI-2は、XI-1およびアミン、NHRから調製される。いくつかの実施形態では、XI-1を、ACNなどの適切な溶媒において、室温~約80℃などの適切な温度で、適切な時間にわたって、カルボニルジイミダゾールにさらすことで、中間体のカルバミルイミダゾールが得られる。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約2時間~約6時間またはおよそ一晩である。いくつかの実施形態では、中間体のカルバモイルイミダゾールは、適切な溶媒中のNHRで処理され、適切な温度で適切な時間にわたって反応を進行させる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はアセトニトリルである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はMeOH、THF、あるいはDCMである。いくつかの実施形態では、NHRが、MeOH、THF、あるいはDCM中の溶液として添加される。いくつかの実施形態では、NHRが適切に添加される。いくつかの実施形態では、室温での適切な時間とは、およそ室温で約15分~およそ一晩である。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約1日から約7日である。いくつかの実施形態では、適切な温度は、およそ室温~約50℃、または、およそ室温~約100℃まである。いくつかの実施形態では、アミン、NHRは塩として送達される。いくつかの実施形態では、塩は塩酸塩である。いくつかの実施形態では、アミン、NHRが塩酸塩として送達される場合、iPrNEtなどのの適切な塩基は、塩酸塩の添加前に、中間体のカルボニルイミダゾールと組み合わせられる。
【0371】
いくつかの実施形態では、化合物は、実施例に記載される通りに調製される。
【0372】
特定の用語
特段の定めのない限り、本出願で使用される以下の用語の定義を下に示す。用語「含むこと(including)」、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定しない。本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈されてはならない。本明細書で用いられているように、C-Cは、C-C、C-C...C-Cを含む。ほんの一例として、「C-C」として指定される基は、その部分に1から4の炭素原子があること、すなわち、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、または4つの炭素原子を含有する基であることを示す。したがって、ほんの一例として、「C-Cアルキル」は、アルキル基に1~4の炭素原子があることを示す(すなわち、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから選択される)。
【0373】
「アルキル」基とは、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は分枝鎖または直鎖である。いくつかの実施形態では、「アルキル」基は、1~10の炭素原子、すなわち、C-C10アルキルを有する。「1~10」などの数の範囲は、本明細書で出てくるときは常に所定の範囲内の各々の整数を指す;例えば、「1~10の炭素原子」とは、アルキル基が、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、6つの炭素原子などから、最大10の炭素原子までの炭素原子からなることを意味するが、本定義はさらに、数の範囲が指定されていない用語「アルキル」の出現もカバーする。いくつかの実施形態では、アルキルはC-Cアルキルである。一態様では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、またはt-ブチルである。典型的なアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルが挙げられる。
【0374】
「アルキレン」基とは、二価アルキル基を指す。上記の一価アルキル基のいずれかは、アルキルからの第2の水素原子の除去によるアルキレンであってもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンは、C-Cアルキレンである。他の実施形態では、アルキレンはC-Cアルキレンである。特定の実施形態では、アルキレンは、1~4の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは1~3の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1~2の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは1つの炭素原子(例えばCアルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは、2つの炭素原子(例えばC2アルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは、2~4の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。典型的なアルキレン基は、限定されないが、-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-CHCH-、-CHCH(CH)-、-CHC(CH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-などを含む。
【0375】
「重水素化アルキル」とは、アルキルの1つ以上の水素原子が重水素と置き換えられているアルキル基を指す。
【0376】
「アルケニル」との用語は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合が存在するアルキル基の一種を指す。一実施形態では、アルケニル基は、式-C(R)=CRを有し、ここで、Rはアルケニル基の残りの部分を指し、それは同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、RはHまたはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルケニルは、エテニル(すなわち、ビニル)、プロペニル(すなわち、アリル)、ブテニル、ペンテニル、ペンタジエニルなどから選択される。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH=CH、-C(CH)=CH、-CH=CHCH、-C(CH)=CHCH、および-CHCH=CHが挙げられる。
【0377】
「アルキニル」との用語は、少なくとも1つの炭素炭素三重結合が存在するアルキル基の一種を指す。一実施形態において、アルケニル基は式-C≡CRを有し、ここで、Rはアルキニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態では、RはHまたはアルキルである。いくつかの実施形態において、アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどから選択される。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、-CHC≡CHが挙げられる。
【0378】
「アルコキシ」基は(アルキル)O-基を指し、アルキルは本明細書で定義される通りである。
【0379】
「アルキルアミン」との用語は、-N(アルキル)基を指し、ここで、xは0であり、かつyは2であるか、または、xは1であり、かつyは1であるか、または、xは2であり、かつyは0である。
【0380】
「芳香族」との用語は、4n+2π電子(nは整数である)を含有する、非局在化されたπ-電子系を有する平面環を指す。用語「芳香族」は、炭素環式アリール(「アリール」、例えば、フェニル)と、複素環式アリール(または「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含んでいる。この用語は、単環式または縮合環の多環式(つまり、炭素または窒素の原子の隣接する対を共有する環)基を含んでいる。
【0381】
「炭素環式」または「炭素環」との用語は、環の骨格を形成する原子がすべて炭素原子である、環または環系を指す。したがって、上記用語は、環骨格が炭素とは異なる少なくとも1つの原子を含有している「複素環式」または「複素環」と、炭素環式とを区別している。いくつかの実施形態では、二環式の炭素環の2つの環の少なくとも1つは、芳香族である。いくつかの実施形態では、二環式の炭素環の両方の環は、芳香族である。炭素環は、シクロアルキルおよびアリールを含む。
【0382】
本明細書で使用されるように、「アリール」との用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香族環を指す。一態様では、アリールは、フェニルまたはナフチルである。いくつかの実施形態では、アリールはフェニルである。いくつかの実施形態では、アリールはC-C10アリールである。構造によっては、アリール基はモノラジカルまたはジラジカル(つまり、アリーレン基)である。
【0383】
「シクロアルキル」との用語は、単環式または多環式の脂肪族の非芳香族基を指し、ここで、環を形成する原子(つまり、骨格原子)の各々は炭素原子である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、スピロ環状化合物または架橋化合物である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは随意に芳香環で縮合され、結合点は、芳香環炭素原子ではない炭素にある。シクロアルキル基は、3~10の環状原子を有する基を含む。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニル、およびビシクロ[1.1.1]ペンチルの中から選択される。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C-Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、単環式シクロアルキルである。単環式シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含むが、これらに限定されない。多環式シクロアルキルは、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル(decalinyl)、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。
【0384】
「ハロ」、あるいは代替的に「ハロゲン」または「ハロゲン化物」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、あるいはヨードを意味する。いくつかの実施形態では、ハロは、フルオロ、クロロ、またはブロモである。
【0385】
「ハロアルキル」との用語は、1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換えられるアルキルを指す。一態様では、フルオロアルキルは、C-Cフルオロアルキルである。
【0386】
「フルオロアルキル」との用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換えられるアルキルを指す。一態様では、フルオロアルキルは、C-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、フルオロアルキルは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどから選択される。
【0387】
「ヘテロアルキル」との用語は、アルキルの1つ以上骨格原子が炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素(例えば、-NH-、-N(アルキル)-、硫黄、あるいはそれらの組み合わせ)から選択されるアルキル基を指す。ヘテロアルキルは、ヘテロアルキルの炭素原子で残りの分子に付けられる。1つの態様では、ヘテロアルキルはC-Cヘテロアルキルである。
【0388】
「ヘテロアルキレン」との用語は、二価ヘテロアルキル基を指す。
【0389】
「複素環」または「複素環式」との用語は、環中に1~4のヘテロ原子を含む芳香族複素環(ヘテロアリールとしても知られている)およびヘテロシクロアルキル環(ヘテロ脂環式基としても知られている)を指し、ここで、環中の各ヘテロ原子はO、S、およびNから選択され、ここで、環の各複素環基は、その環系中に3~10の原子を有し、ただし、いずれの環も2つの隣接するOあるいはS原子を含んでいないことを条件とする。いくつかの実施形態では、複素環は、単環式、二環式、多環式、スピロ環、または架橋の化合物である。非芳香族複素環基(ヘテロシクロアルキルとしても知られる)は、その環系に3~10の原子を有する環を含み、芳香族複素環基は、その環系に5~10の原子を有する環を含む。複素環式基はベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ピロリン(pyrrolin)-2-イル、ピロリン-3-イル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H-インドリル、インドリン-2-オニル(onyl)、イソインドリン-1-オニル、イソインドリン-1,3-ジオニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オニル、イソインドリン-1,3-ジチオニル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オニル、およびベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オニル、およびキノリジニルである。芳香族複素環式基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。前述の基は、可能であれば、C結合される(または、C連結される)か、あるいはN結合される。例えば、ピロールに由来する基は、ピロール-1-イル(N結合された)またはピロール-3-イル(C結合された)を含む。さらに、イミダゾールに由来する基は、イミダゾール-1-イルまたはイミダゾール-3-イル(両方ともN結合された)またはイミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イルまたはイミダゾール-5-イル(すべてC結合された)を含む。複素環式基はベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環は、ピロリジン-2-オンなどの、1つまたは2つのオキソ(=O)部分と随意に置換される。いくつかの実施形態では、二環式の複素環の2つの環の少なくとも1つは芳香族である。いくつかの実施形態では、二環式の複素環の両方の環は芳香族である。
【0390】
「ヘテロアリール」あるいは代替的に「ヘテロ芳香族」との用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロアリール基の例示的な例としては、単環式ヘテロアリールおよび二環式ヘテロアリールが挙げられる。単環式のヘテロアリールは、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、およびフラザニルを含む。二環式のヘテロアリールは、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、およびプテリジンを含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に0~4のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に1~4のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に0~4のN原子、0~1のO原子、および0~1のS原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に1~4のN原子、0~1のO原子、および0~1のS原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールはC-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式のヘテロアリールはC-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式のヘテロアリールは5員または6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、二環式のヘテロアリールはC-Cヘテロアリールである。
【0391】
「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ脂環式」基とは、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルはアリールまたはヘテロアリールで縮合される。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、オキサゾリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジン-2-オニル、ピロリジン-2,5-ジチオニル、ピロリジン-2,5-ジオニル、ピロリジノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリジン-2-オニル、またはチアゾリジン-2-オニルである。ヘテロ脂環式との用語は、限定されないが、単糖類、二糖類、および少糖類を含む、炭水化物のすべての環状形態も含んでいる。一態様では、ヘテロシクロアルキルはC-C10ヘテロシクロアルキルである。別の態様では、ヘテロシクロアルキルはC-C10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは環に0~2のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環に0~2のN原子、0~2のO原子、および0~1のS原子を含む。
【0392】
「結合」または「単結合」との用語は、結合によって結合された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの原子間あるいは2つの部分間の化学結合を指す。一態様では、本明細書に記載される基が単結合であるときに、参照基は存在せず、それによって、残りの特定された基の間での単結合の形成が可能になる。
【0393】
「部分」との用語は、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学的部分は、分子に埋め込まれているか、または付加された化学物質と認識されることが多い。
【0394】
「随意に置換される」または「置換される」との用語は、参照基が1つ以上の追加の基で随意に置換されることを意味する。いくつかの他の実施形態では、随意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、-CHCOH、-CHCOアルキル、-CHC(=O)NH、-CHC(=O)NH(アルキル)、-CHC(=O)N(アルキル)、-CHS(=O)NH、-CHS(=O)NH(アルキル)、-CHS(=O)N(アルキル)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、およびアリールスルホンから個々に、および独立して選択される。「随意に置換される」または「置換される」との用語は、参照された基がD、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、およびアリールスルホンから個々に、および独立して選択された1つ以上の追加の基で随意に置換されることを意味する。いくつかの他の実施形態では、随意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OH、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)NH(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(C-Cアルキル)、-S(=O)N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルコキシ、-SC-Cアルキル、-S(=O)C-Cアルキル、および-S(=O)-Cアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、随意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-OH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-CF、-OCH、および-OCFから独立して選択される。いくつかの実施形態では、置換基は、前述の基の1つまたは2つで置換される。いくつかの実施形態では、置換基は一つの保護基で置換される。いくつかの実施形態では、脂肪族炭素原子(非環式または環式)上の随意の置換基は、オキソ(=O)を含む。
【0395】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、または成分に関する「許容可能な」との用語は、処置されている被験体の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0396】
本明細書で使用されるように、「調節する(modulate)」との用語は、標的の活性を変更するように、直接または間接的に標的と相互作用することを意味し、標的の活性を変更するころには、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することが含まれる。
【0397】
本明細書で使用されるようように、「モジュレーター」との用語は、直接または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用としては、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、分解剤(degrader)、またはそれらの組み合わせの相互作用が挙げられる。いくつかの実施形態では、モジュレーターはアゴニストである。
【0398】
本明細書で使用されるように、「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法とともに使用され得る投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0399】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用されるように、一人の患者に対して選択された治療薬の投与を包含することを意味しており、同じあるいは異なる投与経路によって、または同じあるいは異なる時間に、薬剤が投与される治療レジメンを含むことを意図している。
【0400】
「有効な量」または「治療上有効な量」との用語は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患あるいは疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている十分な量の薬剤あるいは化合物を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効な量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの技術を使用して随意に決定される。
【0401】
「増強する(enhance)」または「増強すること(enhancing)」との用語は、本明細書で使用されるように、効能または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増大させるか延長することを意味する。したがって、治療薬の効果を増強することに関して、「増強する」との用語は、効能または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増大させるか、または延長する能力を指す。本明細書で使用されるように、「増強有効量」とは、望ましい系において別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0402】
本明細書で使用されるように、「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」との用語は、1つを超える有効成分の混合または併用に起因し、かつ、有効成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせを含む、生成物を意味する。「固定された組み合わせ」との用語は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤(co-agent)が両方とも、単一の実体または用量の形態で同時に患者に投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」との用語は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、特定の介在する時間制限なく、同時に、同時発生的に、または順次に、別々の実体として患者に投与されることを意味し、こうした投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者の用語は、カクテル療法、例えば、3以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0403】
「キット」および「製品」との用語は同義語として使用される。
【0404】
「被験体」または「患者」との用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスのメンバーが挙げられる:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の類人猿ならびにサル類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウスおよびモルモットなどの、げっ歯類を含む実験動物。一態様では、哺乳動物はヒトである。
【0405】
「処置する」、「処置すること」、または「処置」との用語は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和するか、軽減するか、あるいは改善すること、追加の症状を防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の発現を抑えること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的におよび/または治療的に止めることを含む。
【0406】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、医薬組成物へと製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed(Easton,Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York,N.Y.,1980、および、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られ、これらは、そのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0407】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、単独で、あるいは、医薬組成物において、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、投与される。本明細書に記載される化合物および組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする方法によって達成され得る。これらの方法は、限定されないが、腸内経路(経口、胃または十二指腸の栄養管、肛門坐剤および直腸の浣腸を含む)、非経口経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、鞘内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む、注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、および局所(上皮、真皮、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、膣を含む)の投与を介した送達を含むが、最も適切な経路は、例えば、レシピエントの疾病または障害に左右され得る。ほんの一例として、本明細書に記載される化合物は、例えば、手術中の局所注入、クリーム剤または軟膏剤などの局所適用、注射、カテーテル、または移植によって、処置を必要としている領域へと局所的に投与され得る。投与は病変組織または臓器の部位での直接注射によるものでもあり得る。
【0408】
いくつかの実施形態では、経口投与に適した医薬組成物は、各々があらかじめ決められた量の有効成分を含む、カプセル、カシェ、あるいは錠剤などの分散単位として;粉末または顆粒として;水性液または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油型エマルションまたは油液中の油中水型エマルションとして提示される。いくつかの実施形態では、有効成分は、ボーラス剤(bolus)、舐剤、またはペースト剤として提供される。
【0409】
経口的に使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤、ならびに、ゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られた密封された軟カプセル剤を含む。錠剤は、随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は、随意に結合剤、不活性希釈剤、平滑剤、表面活性剤または分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。湿製錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作られ得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、製剤化されることで、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらす。経口投与のためのすべての製剤はこうした投与に適した量でなければならない。押し出し型のカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定化剤と組み合わせて活性成分を含むことができる。軟カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態において、安定剤が加えられる。糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、識別のために、または活性化合物の投与量の様々な組み合わせを特徴付けるために、錠剤またはドラジェ・コーティング(Dragee coatings)に加えられ得る。
【0410】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば、ボーラス注入または持続注入などの注入によって非経口投与のために製剤化される。注入のための製剤は、追加の保存剤とともに、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器で提供されてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。組成物は、単位投与用また複数回投与用の容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアル中に提供されてもよく、使用の直前に、粉末形態で、あるいは、無菌の液体担体、例えば、生理食塩水または発熱性物質を含まない蒸留水の付加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で、保存され得る。即席の注射液および懸濁液は、上に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製されてよい。
【0411】
非経口投与のための医薬組成物は、製剤を所望のレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および溶質を含み得る、活性化合物の水性および非水性(油性)の無菌注入溶液と;懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌の懸濁液とを含む。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルあるいはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤も含んでいてもよい。
【0412】
医薬組成物はまた、デボー製剤として製剤されてもよい。そのような長時間作用型の製剤は、移植(例えば皮下あるいは筋肉内)、または筋肉内注射により投与されてもよい。ゆえに、例えばこの化合物は、適切なポリマー材料あるいは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤されてもよい。
【0413】
頬側または舌下の投与のために、医薬組成物は、従来の方法で製剤された錠剤、ロゼンジ、トローチ、またはゲルの形態を呈してもよい。そのような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの香味をつけた(flavored)主成分中の有効成分を含み得る。
【0414】
医薬組成物はまた、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有している、坐剤または停留浣腸剤などの直腸組成物中に製剤されてもよい。
【0415】
医薬組成物は、局所に、すなわち非全身的に投与されてもよい。この方法として、外部の表皮または頬腔への本発明の化合物の投与、ならびにそのような化合物の耳、目、および鼻への滴下が挙げられ、それにより、化合物は血流に著しく進入することはない。対照的に、全身投与とは経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内の投与を指す。
【0416】
局所投与に適した医薬組成物として、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、あるいはペースト剤などの、皮膚を通って炎症の部位へ浸透するのに適した液体または半液体の調剤、および目、耳、あるいは鼻への投与に適した滴剤が挙げられる。有効成分は、局所投与のために製剤の0.001重量%~10%重量w/w、例えば、1重量%~2重量%を含んでもよい。
【0417】
吸入による投与のための医薬組成物は、注入器、噴霧器、加圧パック、またはエアロゾルスプレーを送達する他の都合の良い手段から好都合に送達される。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などの、適切な噴射剤(propellant)を含んでもよい。加圧エアロゾルの場合、投与ユニットは、バルブを設けて計量済の量を送達することにより決定されてもよい。代替的に、吸入または通気による投与のために、医薬調製物は、乾燥粉末組成物、例えば化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物の形態を呈してもよい。粉末組成物は、粉末が吸入器または注入器を用いて投与され得る単位剤形、例えば、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパックで提供され得る。
【0418】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、胃腸管の特定の領域への送達が達成されるように製剤される。 例えば、本明細書に開示される化合物は、胃腸管の特定の領域への化合物の送達を達成するために、生体接着性ポリマー、pH感受性コーティング、時間依存性の生分解性ポリマー、ミクロフローラ活性化システムなどによる経口送達のために製剤化される。
【0419】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、化合物の制御放出をもたらすように製剤化される。制御放出とは、本明細書に記載される化合物が長期間にわたって所望のプロファイルにしたがって組みこまれる剤形からの本明細書に記載される化合物の放出を指す。制御放出特性は、例えば、持続放出、長期放出、パルス放出、および遅延放出の特性を含む。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、あらかじめ定められた特性に従って、長期間にわたる被験体への薬剤の送達を可能にする。そのような放出速度は、長期間、治療上有効なレベルの薬剤を提供し、その結果として、より長期間の薬理反応を提供し、一方で、従来の急速放出剤形と比較して、副作用を最小限に抑える。こうした長期間の反応により、対応する短時間作用性の即時放出調合剤では達成されない多くの固有の利益がもたらされる。
【0420】
胃腸管(例えば、結腸など)の特定の領域に無傷の治療用化合物を送達するためのアプローチは、以下のものを含む。
【0421】
(i)ポリマーによるコーティング:無傷の分子は、結腸でのみ分解する適切なポリマーを用いた薬物分子のコーティングにより、腸の上部部分で吸収されることなく、結腸に送達され得る。
【0422】
(ii)pH感受性ポリマーによるコーティング:腸溶性の、および、結腸を標的とした送達系の大半は、従来の硬カプセル内に充填される錠剤またはペレット剤のコーティングに基づく。最も一般的に使用されるpH依存性コーティンポリマーはメタクリル酸コポリマーであり、これは、一般的にはEudragit(登録商標)Sとして、より具体的には、Eudragit(登録商標)LおよびEudragit(登録商標)Sとして知られている。Eudragit(登録商標)L100とS100は、メタクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマーである
【0423】
(iii)生分解性ポリマーによるコーティング
【0424】
(iv)マトリックスへの埋め込み
【0425】
(v)生物分解性マトリックスおよびヒドロゲルへの埋め込み
【0426】
(vi)pH感受性マトリックスへの埋め込み
【0427】
(vii)時限放出系
【0428】
(viii)Redox感受性ポリマー
【0429】
(ix)生体接着系
【0430】
(x)微粒子によるコーティング
【0431】
(xi)浸透圧制御された薬物送達。
【0432】
結腸を標的とした薬物送達または制御放出系に対する別のアプローチは、薬物を捕捉して結腸中で放出するためにポリマーマトリクスに薬物を埋め込むことを含む。これらの細胞外マトリックスはpH感受性であり得るか、生分解性であり得る。マルチマトリックス(MMX)ベースの遅延放出錠剤などのマトリックスに基づく系は、結腸での薬物放出を確かなものにする。
【0433】
胃腸管の特定の領域に対する治療薬の標的送達に対するさらなる薬学的アプローチが知られている。Chourasia MK,Jain SK,Pharmaceutical approaches to colon targeted drug delivery systems.,J Pharm Sci. 2003 Jan-Apr; 6(1):33-66. Patel M,Shah T,Amin A. Therapeutic opportunities in colon-specific drug-delivery systems Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 2007; 24(2):147-202. Kumar P,Mishra B. Colon targeted drug delivery systems-an overview. Curr Drug Deliv. 2008 Jul; 5(3):186-98. Van den Mooter G. Colon drug delivery. Expert Opin Drug Deliv. 2006 Jan; 3(1):111-25. Seth Amidon,Jack E. Brown,and Vivek S. Dave,Colon-Targeted Oral Drug Delivery Systems: Design Trends and Approaches,AAPS PharmSciTech. 2015 Aug; 16(4): 731-741。
【0434】
特に上述した成分に加えて、本明細書に記載される化合物と組成物は、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野で従来の他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に適した薬剤は香料を含んでもよいことを理解されたい。
【0435】
投薬方法と処置レジメン
一実施形態では、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、FXRアゴニストの投与から利益を得ることになる哺乳動物における、疾患または疾病の処置のための薬物の調製に使用される。そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物を、治療上有効な量で哺乳動物に投与する工程を含む。
【0436】
本明細書には、追加の治療薬と組み合わせてFXRアゴニストを投与する方法が開示される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、糖尿病または糖尿病関連の疾患または疾病、アルコール性または非アルコール性の肝疾患、炎症関連の腸疾患、または細胞増殖性障害の処置のための治療薬を含む。
【0437】
ある実施形態では、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与される。ある治療用途では、前記組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するか少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、前記疾患または疾病を既に患う患者に投与される。この使用に有効な量は、前記疾患または疾病の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、ならびに処置を行う医師の判断に依存する。治療上有効な量は、用量漸増試験および/または用量範囲の臨床試験を含むがこれらに限定されない方法によって随意に決定される。
【0438】
予防用途では、本明細書に記載の化合物を含む組成物は、特定の疾患、障害、あるいは疾病の影響を受け易いか、またはその危険に曝されている患者に投与される。このような量は、「予防に有効な量または投与量」であると定義される。この用途では、正確な量も患者の健康状態や体重などに左右される。患者に使用される際、この用途に有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、ならびに処置する医師の判断に依存する。一態様では、予防処置は、疾患または疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在寛解期にある哺乳動物に、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む。
【0439】
患者の状態が改善されない特定の実施形態では、患者の疾患または疾病の症状を改善する、あるいはそうでなければ管理または制限するために、医師の裁量により、化合物は、慢性的に、つまり患者の生涯全体を含む長時間にわたって投与される。
【0440】
患者の状態が改善するある特定の実施形態では、投与されている薬の投与量は、一時的に減らされるか、あるいは一定の期間、一時的に止められる(つまり「休薬日」)。特定の実施形態では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日以上を含む、2日から1年の間である。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む、ほんの一例として、10%~100%である。
【0441】
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。その後、特定の実施形態では、投与の用量あるいは頻度、またはその両方は、症状に応じて、疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルまで減少される。しかしある実施形態では、患者は、症状の再発時に長期間にわたり間欠的処置を必要とする。
【0442】
そのような量に相当する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の状態およびその重症度、処置を必要とする被験体または宿主の同一性(例えば、体重、性別)などの要因に依存して変動するが、それにもかかわらず、例えば投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体または宿主を含む、その症例を取り巻く特別な状況に応じて決定される。
【0443】
しかし一般的に、ヒト成人の処置に使用される投与量は通常、1日当たり0.01mg~5000mgの範囲である。一態様では、成人の処置に利用される投与量は、1日当たり約1mg~約1000mgである。一実施形態では、望ましい投与量は、単回投与で、または同時にあるいは適切な間隔で投与される分割量で、例えば、1日あたり2、3、4回あるいはそれ以上のサブ用量として好適に提供される。
【0444】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩に適切な毎日の投与量は、体重1kgあたり約0.01~約50mgである。いくつかの実施形態では、剤形中の有効成分の毎日の投与量または量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるか、または高くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位用量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0445】
こうした治療レジメンの毒性と治療効果は、LD50とED50の判定を含むがこれらに限定されない、細胞培養物または実験動物における標準的な製薬手順によって判定される。毒性と治療効果との用量比は治療指数であり、これはLD50とED50との比として表される。ある実施形態では、細胞培養アッセイと動物研究から得たデータは、ヒトを含む哺乳動物に使用するための治療上有効な1日量の範囲および/または治療上有効な単位用量を製剤するのに使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の1日の用量は、毒性が最小限であるED50を含む循環濃度の範囲内にある。ある実施形態では、1日量の範囲および/または単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
【0446】
前述の態様のいずれかでは、有効な量の本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または(b)哺乳動物に経口投与され、および/または(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または(d)哺乳動物に注射により投与され、および/または(e)哺乳動物に局所投与され、および/または(f)哺乳動物に非全身または局所投与される、実施形態がある。
【0447】
前述の態様のいずれかでは、(i)化合物が1日1回投与される、または(ii)化合物が1日にわたり哺乳動物に複数回投与されるさらなる実施形態を含む、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態がある。
【0448】
前述の態様のいずれかでは、有効量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施形態が提供され、該実施形態は、(i)化合物が継続的または断続的に単回投与として投与され、(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとであり、(iii)化合物が8時間ごとに哺乳動物に投与され、(iv)化合物が12時間ごとに哺乳動物に投与され、(v)化合物が24時間ごとに哺乳動物に投与される、さらなる実施形態を含む。さらなるまたは代替的な実施形態では、前記方法は休薬期間を含み、そこでは化合物の投与は一時的に中断され、または投与されている化合物の量は一時的に減らされ、休薬期間の終わりに化合物の投薬が再開される。一実施形態では、休薬期間の長さは2日~1年と様々である。
【0449】
ある例では、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することが適切である。
【0450】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物の1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって増強される(つまり、アジュバント自体は治療利益が最小限であるが、別の治療薬と組み合わせると患者への全体的な治療利益が増強される)。またはいくつかの実施形態では、患者が受ける利益は、本明細書に記載される化合物の1つを、同様に治療効果を持つ別の薬剤(治療レジメンも含む)と共に投与することによって増加される。
【0451】
1つの特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は第2の治療薬と同時投与され、ここで、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と第2の治療薬は、処置されている疾患、障害、または疾病の様々な態様を調節し、それによりいずれかの治療薬単独を投与した場合よりも大きな全体的な利益をもたらす。
【0452】
どの場合にも、処置されている疾患、障害、または疾病に関係なく、患者が受ける全体的な利益は、2つの治療薬の相加によりもたらされるか、または患者は相乗的な利益を受ける場合がある。
【0453】
ある実施形態では、本明細書に開示の化合物の様々な治療上有効な投与量は、本明細書に開示の化合物が、治療上有効な薬物やアジュバントなどの1以上の追加の薬剤と併用して投与されるとき、医薬組成物の製剤および/または処置レジメンに利用されることになる。併用療法レジメンに使用される薬物と他の薬剤の治療上有効な量は随意に、有効成分自体について上述されるものと同様の手段により決定される。さらに、本明細書に記載の予防/処置の方法は、規則正しい(metronomic)投薬の使用を包含し、つまり、毒性の副作用を最小限に抑えるために、より頻繁かつ少ない投与量を提供する。いくつかの実施形態では、併用処置レジメンは、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が本明細書に記載の第2の薬剤による処置の前、最中、または後に開始され、かつ第2の薬剤による処置の間または当該処置の終了後のあらゆる時点まで継続する、処置レジメンを包含する。併用処置レジメンはまた、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および併用して使用される第2の薬剤が、同時あるいは異なる時間に、および/または処置期間中の増減する間隔で投与される処置を含む。併用処置はさらに、患者の臨床管理を補助するために様々な時点で開始かつ停止される周期的な処置を含む。
【0454】
緩和が求められる疾病を処置、予防、または改善するための投薬レジメンは、様々な要因(例えば、被験体の疾患、障害、または疾病、被験体の年齢、体重、性別、食事、および病状)に合わせて改変されることを理解されたい。ゆえにいくつかの例では、実際に利用される投薬レジメンは、本明細書に明記される投薬レジメンとは異なるものであり、いくつかの実施形態では前記投薬レジメンから逸脱するものである。
【0455】
本明細書に記載の併用療法では、共投与化合物の用量は、併用される薬物の種類、利用される特定の薬物、処置される疾患または疾病などにより変動する。追加の実施形態では、1つ以上の他の治療薬と共投与されるとき、本明細書に提供される化合物は、1つ以上の他の治療薬と同時に、または連続して投与される。
【0456】
併用療法では、多数の治療薬(うち1つは本明細書に記載の化合物のうち1つである)は、任意の順で、または同時にも投与される。同時投与の場合、複数の治療薬は、ほんの一例ではあるが、単一の統合形態で、または複数の形態で(例えば、単一の丸剤として、あるいは2つの別個の丸剤として)提供される。
【0457】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、併用療法と同様に、疾患または疾病の発生の前、最中、または後に投与され、化合物を含有する組成物を投与するタイミングは変動する。ゆえに一実施形態では、本明細書に記載される化合物は予防薬として使用されるとともに、疾患または疾病の発症を防ぐために、疾病または疾患を進行させる傾向のある被験体に連続投与される。別の実施形態では、前記化合物と組成物は、症状の発症中、または発症後可能な限り早急に被験体に投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、疾患または疾病の発症が検出されるか疑われた後で可能な限り早急に、かつ疾患の処置に必要な期間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、処置に必要な期間は様々であり、処置期間は各被験体の特定のニーズに合わせて調整される。例えば特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物、または該化合物を含有する製剤は、少なくとも2週間、約1か月~約5年間にわたり投与される。
【0458】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、糖尿病または糖尿病関連の疾患あるいは疾病の処置のための追加の治療薬と併用して投与される。
【0459】
いくつかの例では、追加の治療薬は、スタチン、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLPアゴニスト、DPP-4阻害剤(シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン(anaglptin)、テネリグリプチン、アログリプチン、ゲミグリプチン(gemiglptin)、あるいはデュトグリプチン(dutoglpitin)など)、カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、あるいはドーパミンなど)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマアゴニスト(例えば、チアゾリジンジオン(TZD)(ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、あるいはトログリタゾンなど)、アレグリタザル、ファルグリタザル、ムラグリタザル、あるいはテサグリタザル)、またはそれらの組み合わせを含む。場合により、前記スタチンはHMG-CoA還元酵素阻害剤である。他の例では、追加の治療薬は、魚油、フィブラート、ナイアシン、レチノイン酸(例えば9シス-レチノイン酸)、ニコチンアミドリボヌクレオシド、あるいはそれらのアナログなどビタミン、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、NAD+産生を促すニコチンアミドリボヌクレオシドまたはそのアナログ、すなわち多くの酵素反応のための基質は、FXRの標的であるp450を含む(例えば、Yang et al.,J.Med.Chem.50:6458-61,2007を参照)。
【0460】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、糖尿病あるいは糖尿病関連の障害もしくは疾病の処置のために追加の治療薬と併用して投与され、該追加の治療薬は、スタチン、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLPアゴニスト、DPP-4阻害剤(シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、ゲミグリプチン、あるいはデュトグリプチンなど)、カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、あるいはドーパミンなど)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマアゴニスト(例えば、チアゾリジンジオン(TZD)(ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、あるいはトログリタゾンなど)、アレグリタザル、ファルグリタザル、ムラグリタザル、あるいはテサグリタザル)、またはそれらの組み合わせなどである。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、糖尿病あるいは糖尿病関連の障害もしくは疾病の処置のために、魚油、フィブラート、ナイアシン、レチノイン酸(例えば9シス-レチノイン酸)、ニコチンアミドリボヌクレオシド、あるいはそれらのアナログなどのビタミン、またはこれらの組み合わせなどの追加の治療薬と併用して投与される。
【0461】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、脂質異常症の処置のために、HMG-CoA還元酵素阻害剤などのスタチン、魚油、フィブラート、ナイアシン、またはそれらの組み合わせと併用して投与される。
【0462】
追加の実施形態では、FXRアゴニストは、食物摂取による体重増加および/または血糖値上昇を下げるなど、糖尿病と糖尿病関連の障害または疾病の処置のために、レチノイン酸などのビタミンと併用して投与される。
【0463】
いくつかの実施形態では、ファルネソイドX受容体アゴニストは少なくとも1つの追加の治療薬とともに投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は血糖降下薬である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は抗肥満薬である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト(ガンマ、デュアル、あるいはパン)、ジペプチジルペプチダーゼ(IV)阻害剤、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-I)アナログ、インスリンあるいはインスリンアナログ、インスリン分泌促進物質、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤、グルコファージ(glucophage)、ヒトアミリンアナログ、ビグアニド、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド、チアゾリジンジオン、およびスルホニル尿素の中から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、メトホルミン、シタグリプチン、サクサグリプチン、レパグリニド、ナテグリニド、エキセナチド、リラグルチド、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリンイソフェン、およびグルカゴン様ペプチド1、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は脂質低下剤である。ある実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬はファルネソイドX受容体アゴニストと同時に投与される。ある実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬はファルネソイドX受容体アゴニストほど頻繁には投与されない。ある実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬はファルネソイドX受容体アゴニストよりも頻繁に投与される。ある実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬はファルネソイドX受容体アゴニストの投与前に投与される。ある実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬はファルネソイドX受容体アゴニストの投与後に投与される。
【0464】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、化学療法、抗炎症薬、放射線療法、モノクローナル抗体、またはこれらの組み合わせと併用して投与される。
【0465】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、糖尿病または非アルコール性肝臓疾患の処置のための追加の治療薬と併用して投与される。いくつかの実施形態では、前記追加の治療薬は、抗酸化剤、コルチコステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)、またはこれらの組み合わせを含む。
【0466】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、アルコール性あるいは非アルコール性肝臓疾患の処置のために抗酸化剤、コルチコステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)、またはこれらの組み合わせなどの追加の治療薬と併用して投与される。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、アルコール性あるいは非アルコール性肝臓疾患の処置のために抗酸化剤、ビタミン前駆体、コルチコステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)、またはこれらの組み合わせと併用して投与される。
【0467】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、炎症関連腸疾病の処置のための追加の治療薬と併用して投与される。いくつかの例では、前記追加の治療薬は、抗生物質(メトロニダゾール、バンコマイシン、および/あるいはフィダキソマイシンなど)、コルチコステロイド、または追加の抗炎症性あるいは免疫調節性の治療薬を含む。
【0468】
いくつかの例では、FXRアゴニストは、炎症関連腸疾病の処置のために、抗生物質、コルチコステロイド、または追加の抗炎症性あるいは免疫調節性の治療薬などの追加の治療薬と併用して投与される。場合によりFXRアゴニストは、炎症関連の腸疾病の処置のために、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン、コルチコステロイド、またはそれらの組み合わせと併用して投与される。
【0469】
上記で議論されるように、炎症は時に、偽膜性大腸炎に関連する。いくつかの例では、偽膜性大腸炎は、細菌の過剰増殖(クロストリジウム・ディフィシルの過剰増殖など)に関連する。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、細菌の過剰増殖に関連した炎症(例えば偽膜性大腸炎)の処置のために、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン、またはそれらの組み合わせなどの抗生物質と併用して投与される。
【0470】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、細胞増殖性障害の処置のための追加の治療薬と併用して投与される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、化学療法薬、生物剤(biologic)(抗体、例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブなど)、放射線治療薬(例えばFOLFOX、FOLFIRI、CapeOX、5-FU、ロイコボリン、レゴラフェニブ、イリノテカン、あるいはオキサリプラチン)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0471】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、原発性胆汁性肝硬変の処置のための追加の治療薬と併用して投与される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬としてウルソデオキシコール酸(UDCA)が挙げられる。
【0472】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、細胞増殖性障害の処置のために、生物剤、化学療法薬、放射線治療薬、またはそれらの組み合わせなどの追加の治療薬と併用して投与される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、細胞増殖性障害の処置のために、抗体(例えばベバシズマブ、セツキシマブ、あるいはパニツムマブ)、化学療法薬、FOLFOX、FOLFIRI、CapeOX、5-FU、ロイコボリン、レゴラフェニブ、イリノテカン、オキサリプラチン、またはそれらの組み合わせと併用して投与される。
【実施例
【0473】
以下の実施例は説明目的のためだけに提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を限定するものではない。
【0474】
上記で使用されるように、かつ本発明の記載全体にわたり、以下の略語は、他に明記されない限り以下の意味を持つものであると理解される。
acac アセチルアセトン
ACNまたはMeCN アセトニトリル
AcOH 酢酸
Ac アセチル
BINAP 2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン
Bn ベンジル
BOCまたはBoc tert-ブチルカルバメート
i-Bu iso-ブチル
t-Bu tert-ブチル
Cy シクロヘキシル
CDI 1,1-カルボニルジイミダゾール
DBAまたはdba ジベンジリデンアセトン
DCE ジクロロエタン(ClCHCHCl)
DCM ジクロロメタン(CHCl
DIBAL-H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEAまたはDIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン
DME 1,2-ジメトキシエタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMA N,N-ジメチルアセトアミド
DMPU N,N’-ジメチルプロピレン尿素
DMSO ジメチルスルホキシド
Dppfまたはdppf 1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDCまたはEDCI N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロリド
EEDQ 2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン
eq 当量
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IBX 2-ヨードキシ安息香酸
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaHMDS ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
LiHMDS リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
LAH 無水アルミニウムリチウム(lithium aluminum anhydride)
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
2-MeTHF 2-メチルテトラヒドロフラン
Me メチル
MeOH メタノール
MS 質量分析
Ms メシル
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
NBS Nブロモスクシンイミド
NMM N-メチル-モルホリン
NMP N-メチル-ピロリジン-2-オン
NMR 核磁気共鳴
OTf トリフルオロメタンスルホネート
PCC クロロクロム酸ピリジニウム
PE 石油エーテル
Ph フェニル
PPTS ピリジウムp-トルエンスルホネート
iPr/i-Pr iso-プロピル
RP-HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
rt 室温
TBS tert-ブチルジメチルシリル
TBAF テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド
TBAI テトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMEDA N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン
TMS トリメチルシリル
TsOH/p-TsOH p-トルエンスルホン酸
【0475】
中間体1
トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0476】
【化75】
【0477】
工程1:8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン
1,4-ジオキサ-スピロ[4,5]デカ-7-エン-8-ボロン酸ピナコールエステル(25.0g、93.9mmol)、4-ヨード-2-メチルアニソール(28.0g、113mmol)、Pd(dppf)Cl(1.38g、1.89mmol)、ジオキサン(470mL)、および1M NaCO(282mL、282mmol)の混合物を、3回の真空/Nサイクルで脱気し、50℃で2.5時間撹拌し、次いで室温に冷ました。混合物をEtOAc(500mL)で稀釈し、飽和NaHCO(2×500mL)で洗浄した。水層をEtOAc(200mL)で逆抽出した。組み合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で0~5%EtOAc)により精製することで、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン(19.9g、81%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.21-7.16(m,2H),6.85(d,1H),5.89-5.84(m,1H),3.90(s,4H),3.76(s,3H),2.52-2.47(m,2H),2.32(br s,2H),2.13(s,3H),1.77(t,2H);LCMS:261.1[M+H]
【0478】
工程2:8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン
パラジウム炭素(10wt%、8.08g、7.59mmol)を、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エンをEtOAc(300mL)に溶かした溶液に、N下において室温で添加した。NインレットをHのバルーンと取り替えた。反応物を4.5時間撹拌し、EtOAcを用いてセライトに通して濾過し、次いで濃縮することで、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン(18.2g、13%のケトンを含有)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.00-6.95(m,2H),6.81(d,1H),3.91-3.84(m,4H),3.73(s,3H),2.49-2.42(m,1H),2.11(s,3H),1.76-1.68(m,4H),1.67-1.55(m,4H);LCMS:263.1[M+H]
【0479】
工程3:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン
ギ酸(96%、14mL、356mmol)、次いでHO(2.20mL、122mmol)を、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロデカンをトルエン(60mL)に溶かした溶液に、N下において室温で添加した。反応物を120℃で4時間加熱し、室温に冷まし、次いでHO(200mL)とトルエン(200mL)へ注いだ。トルエン層を洗浄した(200mLのHO、次いで200mLの飽和NaHCO)。水層をトルエン(100mL)で逆抽出した。組み合わせたトルエン抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮することで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン(15.5g、2工程にわたり88%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.08-7.03(m,2H),6.84(d,1H),3.74(s,3H),3.00-2.91(m,1H),2.61-2.51(m,2H),2.28-2.20(m,2H),2.12(s,3H),2.06-1.98(m,2H),1.88-1.76(m,2H);LCMS:219.0[M+H]
【0480】
工程4:1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)-2-メチルベンゼン
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(35.74g、104.3mmol)とTHF(260mL)の混合物をN下において、氷/ブライン槽中、-2.2℃に冷却した。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(THF中で2M、50mL、100mmol)を、添加用漏斗を介して液滴により、THF水洗(5mL)を用いて12分かけて(内部温度は0.6℃以下)添加した。反応物を30分間撹拌し、次いで4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン(14.5g、66.6mmol)を5分かけて(7.3℃まで発熱)少量ずつ添加した。残りのシクロヘキサノンをすすいで、THF(20mL)と反応させた。反応物を0℃で25分間撹拌し、次いでHO(400mL)とトルエン(400mL)へ注いだ。トルエン層を洗浄し(400mLのHO)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中でEtOAc0~5%)により精製することで、1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)-2-メチルベンゼン(15.6g、95%)を薄金油として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ6.99-6.94(m,2H),6.80(d,1H),5.87(s,1H),3.73(s,3H),3.48(s,3H),2.78-2.71(m,1H),2.56-2.44(m,1H),2.10(s,3H),2.17-2.09(m,1H),2.01-1.91(m,1H),1.83-1.73(m,2H),1.72-1.63(m,1H),1.38-1.23(m,2H);LCMS:247.1[M+H]
【0481】
工程5:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
ギ酸(96%、12.5mL、331mmol)、次いで水(2.5mL、139mmol)を、1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)-2-メチルベンゼンをトルエン(130mL)に溶かした溶液にN下で添加した。反応物を120℃で2時間加熱し、室温に冷まし、次いで350mLのEtOAcと350mLのHOへ注いだ。有機質層を350mLのHOで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮することで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(15.05g)を1:1の立体異性体の混合物として得た。
【0482】
工程6:トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
水酸化ナトリウム水溶液(3.2M、31mL、99mmol)を、工程5(14.68g、63.19mmoL)、トルエン(60mL)、およびエタノール(250mL)の粗製混合物に室温で添加した。反応物を5.5時間撹拌し(平衡をNMRによりモニタリング)、次いで350mLのHOと350mLのEtOAcへ注いだ。有機質層を350mLのHOで洗浄し、水層を150mLのEtOAcで逆抽出した。組み合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中でEtOAc0~5%)により精製することで、トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(10.17g、69%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.60(s,1H),7.01-6.97(m,2H),6.82(d,1H),3.74(s,3H),2.41-2.27(m,2H),2.12(s,3H),2.03-1.96(m,2H),1.87-1.80(m,2H),1.51-1.39(m,2H),1.35-1.23(m,2H);LCMS:233.0[M+H]
【0483】
中間体2
4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
【0484】
【化76】
【0485】
工程1:エチル4-ヒドロキシ-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
n-ブチルリチウム(ヘキサン中で2.5M、60mL、150.0mmol)を液滴により、4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチルベンゼン(27.78g、138.2mmol)をTHF(300mL)に溶かした溶液に-78℃で添加した。混合物を-78℃に1時間撹拌し、次いで液滴によりエチル4-オキソシクロヘキサンカルボキシレート(22.34g、131.3mmol)とTHF(300mL)の溶液に-78℃で添加した。反応混合物を-78℃で2時間撹拌し、飽和NHCl(600mL)に添加し、次いでEtOAc(2×600mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を洗浄し(水400mL、次いでブライン400mL)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、次いで濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=10/1)により精製することで、エチル4-ヒドロキシ-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(18.9g、45%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.11-7.26(m,2H),6.75-6.84(m,1H),4.59-4.64(m,1H),3.98-4.11(m,2H),3.72(s,3H),2.25-2.39(m,1H),2.07-2.13(s,3H),1.77-1.93(m,3H),1.42-1.75(m,5H),1.11-1.23(m,3H);LCMS:275.2[M-OH]
【0486】
工程2:エチル4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(24.85g、84.03mmol)を、エチル4-ヒドロキシ-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(18.90g、64.64mmol)、アリルトリメチルシラン(11.82g、103.42mmol)、およびCHCl(400mL)の溶液に-78℃で添加した。混合物を-78℃で1時間撹拌し、室温で一晩撹拌し、次いでブライン(200mL)とCHCl(200mL)に添加した。有機質層を分離し、洗浄し(2×200mLの飽和NaHCO、次いでブライン200mL)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、次いで濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20/1)により精製することで、エチル4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(15g、71%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.00-7.10(m,2H),6.76(d,1H),5.26-5.50(m,1H),4.81-4.98(m,2H),4.15(q,0.5H),4.03(q,1.5H),3.81(s,3H),2.26-2.42(m,3H),2.21(s,3H),2.15(d,1.5H),1.98(d,0.5H),1.75-1.88(m,2.5H),1.60-1.72(m,0.5H),1.33-1.55(m,3H),1.27(t,0.8H),1.18(t,2.2H);LCMS:339.3[M+Na]
【0487】
工程3:エチル4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
四酸化オスミウム(tert-ブタノール中で0.1M、7.6mL、0.76mmol)を、エチル4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(4.81g、15.2mmol)、N-オキシド(2.67g、22.8mmol)、CHCN(100mL)、およびHO(25mL)の溶液に0℃で添加した。反応物を室温で一晩撹拌し、次いで飽和NaSO(50mL)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、濃縮し、水(80mL)に溶解し、次いでEtOAc(2×100mL)で抽出した。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=1/1)により精製することで、エチル4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(5.23g、94%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.05-7.16(m,2H),6.78(d,1H),4.06-4.17(m,0.5H),3.95-4.05(m,1.5H),3.80(s,3H),3.48-3.66(m,1H),3.18-3.32(m,2H),2.40-2.53(m,2H),2.27-2.37(m,1H),2.19(s,3H),1.80(t,3H),1.32-1.68(m,7H),1.24(td,0.8H),1.17(t,2.2H);LCMS:373.3[M+Na]
【0488】
工程4:エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボキシレート
過ヨウ素酸ナトリウム(3.83g、17.90mmol)を、エチル4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(5.23g、14.9mmol)、THF(70mL)、およびHO(35mL)の溶液に0℃で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、水(50mL)に添加し、次いでEtOAc(2×100mL)で抽出した。有機質層を組み合わせ、洗浄し(水80mL、次いでブライン80mL)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、次いで濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5/1)により精製することで、エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.95g、82%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ9.28-9.42(m,1H),7.07-7.19(m,2H),6.79(d,1H),4.15(q,0.5H),4.04(q,1.5H),3.82(s,3H),2.41-2.52(m,3H),2.33(s,1H),2.21(s,3H),1.75-1.92(m,3H),1.46-1.63(m,4H),1.23-1.31(t,0.5H),1.19(t,2.5H);LCMS:341.3[M+Na]
【0489】
工程5:エチル4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
水素化ホウ素ナトリウム(704mg、18.6mmol)を、エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.95g、12.41mmol)とTHF(100mL)の溶液に0℃で添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、室温で一晩撹拌し、次いで水(100mL)で稀釈した。有機溶媒を減圧下で取り除き、水層をCHCl(2×300mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=3/1)により精製することで、エチル4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.11g、67%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ6.96-7.04(m,2H),6.71(d,1H),4.03-4.12(q,0.4H),3.97(q,,1.6H),3.74(s,3H),3.28-3.38(m,2H),2.19-2.39(m,3H),2.14(s,3H),1.71-1.80(m,2H),1.60-1.70(m,2H),1.28-1.50(m,4H),1.17-1.24(t,1H),1.12(t,2H);LCMS:343.2[M+Na]
【0490】
工程6:エチル4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
トリフェニルホスフィン(4.60g、17.54mmol)とCHCl(20mL)を液滴により、エチル4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(2.81g、8.77mmol)、CBr(4.36g、13.16mmol)、およびCHCl(40mL)の溶液に0℃で添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、室温で一晩撹拌し、次いで濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20/1)により精製することで、エチル4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(2.62g、77%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ6.96-7.08(m,2H),6.77(d,1H),4.15(q,0.3H),4.03(q,1.7H),3.81(s,3H),2.91-3.06(m,2H),2.24-2.41(m,3H),2.15-2.24(s,3H),1.95-2.06(m,2H),1.77-1.87(m,2H),1.34-1.53(m,4H),1.27(t,1H),1.18(t,2H);LCMS:405.1[M+Na]
【0491】
工程7:エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート
リチウムジイソプロピルアミド(THF中で2M、4.8mL、9.60mmol)を液滴により、エチル4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(1.81g、4.72mmol)、HMPA(4.23g、23.61mmol)、およびTHF(90mL)の溶液に-78℃で添加した。混合物を-78℃で3時間撹拌し、飽和NHCl(600mL)に添加し、次いでEtOAc(2×150mL)で抽出した。組み合わせた有機質層を洗浄し(100mLのHO、次いでブライン100mL)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、次いで濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=30/1)により精製することで、エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート(1.17g、82%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ6.98-7.05(m,2H),6.69(d,1H),4.05(q,2H),3.73(s,3H),2.14(s,3H),1.70-1.87(m,12H),1.18(t,3H);LCMS:303.3[M+H]
【0492】
工程8:(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタノール
水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中で1M、14mL、14.0mmol)を、エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート(1.64g、5.42mmol)とCHCl(100mL)の溶液に-78℃で添加した。混合物を-78℃で1時間撹拌し、室温で2時間撹拌し、次いで冷たいHO(80mL)に添加した。pHを1N HClにより調整し(pH=6)、混合物を濾過した。層を分離し、水層をCHCl(2×200mL)で抽出した。組み合わせた有機質層を洗浄し(水100mL、次いでブライン100mL)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=10/1)により精製することで、(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタノール(1.22g、82%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ6.99-7.07(m,2H),6.64-6.72(m,1H),3.73(s,3H),3.25(s,2H),2.14(s,3H),1.69-1.81(m,6H),1.40-1.50(m,6H);LCMS:261.2[M+H]
【0493】
工程9:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
ピリジニウムクロロクロメート(1.03g、4.78mmol)を、(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタノール(621mg、2.39mmol)、SiO(1.93g、32.19mmol)、およびCHCl(120mL)の混合物に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、中性のアルミナプラグに通して濾過し、次いで濃縮することで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド(601mg、93%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ9.48-9.56(s,1H),7.06-7.11(m,2H),6.72-6.78(m,1H),3.81(s,3H),2.22(s,3H),1.83-1.91(m,6H),1.71-1.80(m,6H);LCMS:259.3[M+H]
【0494】
中間体2に記載される手順に従い、以下の中間体を5-ブロモ-N,N-ジメチルピリジン-2-アミンから合成した。
【0495】
【表2】
【0496】
中間体3
4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
【0497】
【化77】
【0498】
工程1:1-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)4-メチル ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート
N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(17.98g、142.5mmol)を、4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸(25g、117.8mmol)、2-ヒドロキシイソインドリン-1,3-ジオン(19.22g、117.8mmol)、DMAP(4.32g、35.3mmol)、およびCHCl(500mL)の溶液に、N下において室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、HO(300mL×2)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc:10/1~2/1)により精製することで、1-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)4-メチル ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート(23g)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.88(d,2H),7.78(d,2H),3.68(s,3H),2.10-2.04(m,6H),1.93-1.87(m,6H);LCMS:358.1[M+H]
【0499】
工程2a:(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)マグネシウムリチウムブロミドクロリド
マグネシウム(2.37g、97.6mmol)と乾燥LiCl(4.14g、97.6mmol)を計量し、炉乾燥され二重マニホルドに接続された250mL二首フラスコへ入れた。フラスコに封をし、真空状態にし、N(3回)を入れ戻した。テトラヒドロフラン(70mL)を添加し、混合物を15分間撹拌し、次いでDIBAL-H(トルエン中で1M、1.30mL)を液滴により室温で添加した。反応物を15分間撹拌し、0℃に冷却し、次いで5-ブロモ-2-メトキシ-1,3-ジメチルベンゼン(14g、65.09mmol)とTHF(70mL)の溶液を液滴により添加した。混合物を室温に暖め、2時間撹拌することで、THF(~140mL)に溶けた灰色の溶液として(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)マグネシウムリチウムブロミドクロリドを得た。
【0500】
工程2b:ビス(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)亜鉛
亜鉛(II)クロリド(1M THF、39mL)を液滴により、(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)マグネシウムリチウムブロミドクロリドとTHFの溶液(~140mL)に室温で添加した。混合物を室温で1時間撹拌することで、THF(~180mL)に溶かした灰色の溶液としてビス(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)亜鉛を得た。
【0501】
工程2c:メチル4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート
ビス(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)亜鉛とTHFの溶液(~180mL)を、1-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)4-メチル ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート(4.9g、13.71mmol)、2-メチル-6-(6-メチル-2-ピリジル)ピリジン(1.52g、8.23mmol)、Ni(acac)2(1.76g、6.86mmol)、およびDMF(50mL)の溶液に室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、濃縮により有機溶媒を取り除き、次いでEtOAc(500mL)で希釈した。有機質層を水(200mL)で洗浄し、濾過し、乾燥させ(NaSO)、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=50/1)により精製することで、メチル4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート(2.3g)を白色固形物として得た。LCMS:303.2[M+H]
【0502】
工程3:(4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタノール
DIBAL-H(トルエン中で1M、34mL)を、メチル4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート(3.4g、11.24mmol)とCHCl(30mL)の溶液に-78℃で添加した。混合物を室温に暖め、室温で一晩撹拌し、飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液(100mL)へ注ぎ、CHCl(100mL)で希釈し、次いで室温で3時間撹拌した。水相をCHCl(50mL×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=2/1)により精製することで、(4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタノール(2.3g74%)を濃い茶色の固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ6.95(s,2H),3.71(s,3H),3.33(s,2H),2.27(s,6H),1.84-1.80(m,6H),1.56-1.52(m,6H);LCMS:275.2[M+H]
【0503】
工程4:4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
クロロクロム酸ピリジニウム(3.61g、16.76mmol)とSiO(6.80g、113.16mmol)を、(4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタノール(2.3g、8.38mmol)とCHCl(20mL)の溶液に室温で添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで中性アルミナプラグに通して濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20/1)により精製することで、4-(4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド(1.9g、74%の収率)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.46(s,1H),6.95(s,2H),3.59(s,3H),2.18(s,6H),1.78-1.74(m,6H),1.69-1.64(m,6H);LCMS:273.1[M+H]
【0504】
中間体3に記載される手順に従い、以下の中間体を中間体3(工程1)と適切な出発物質から合成した。
【0505】
【表3】
【0506】
中間体2
4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
【0507】
【化78】
【0508】
工程1:8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オール
3つのバッチを並行して用意した。n-BuLi(762mL、1.90mol、n-ヘキサン中で2.5M)を液滴により1時間かけて、4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチルベンゼン(333g、1.66mol)と乾燥THF(2L)の溶液に、N下において-60℃で添加した。反応物を-60℃で1時間撹拌し、次いで1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(284.53g、1.82mol)と乾燥THF(1L)の溶液を液滴により45分かけて添加した。反応物を-60℃で1時間撹拌し、次いで3つのバッチを飽和NHCl水溶液(3L)に注いだ。この混合物をEtOAc(5L×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(5L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでn-ヘキサン(1.2L)の中で一晩かけて室温で粉状にした。混合物を濾過し、この濾過ケークを冷たいnヘキサン(200mL×2)で洗浄し、次いで真空下で乾燥させることで、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オール(1100g、82%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.30-7.20(m,2H),6.74(d,1H),4.02-3.87(m,4H),3.78(s,3H),2.18(s,3H),2.15-2.00(m,4H),1.82-1.73(m,2H),1.68-1.60(m,2H),1.48(s,1H)。
【0509】
工程2:8-アリル-8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン
4つのバッチを並行して用意した。BF・EtO(376.95g、2.65mol)を、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オール(275g、0.99mol)、アリルトリメチルシラン(180.62g、1.58mol)、および乾燥DCM(3L)の溶液に、N下において-65℃で添加した。反応混合物を-65℃で1時間撹拌し、次いで4つのバッチを飽和NaHCO水溶液(10L)に慎重に注いだ。この混合物をDCM(5L×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(5L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、8-アリル-8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン(1350g)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.17-7.01(m,2H),6.85-6.75(m,1H),5.53-5.37(m,1H),5.01-4.85(m,2H),3.99-3.87(m,4H),3.82(s,3H),2.37-2.29(m,1H),2.28-2.21(m,5H),2.20-2.10(m,2H),1.82-1.71(m,2H),1.70-1.52(m,3H)。
【0510】
工程3:4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン
3つのバッチを並行して用意した。水(450mL)、次いでギ酸(285.95g、5.95mol)を、8-アリル-8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン(450g)とTHF(1.8L)の溶液に室温で添加した。反応混合物を一晩還流させ、室温に冷ましてから、3つのバッチを飽和NaHCO水溶液(3L)に注いだ。この混合物をEA(3L×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(3L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲル上でのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=1/0~50/1)により精製することで、4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン(800g、2工程にわたり69.3%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.16-7.06(m,2H),6.80-6.73(m,1H),5.48-5.30(m,1H),4.96-4.79(m,2H),3.77(s,3H),2.48-2.35(m,2H),2.32-2.05(m,9H),1.89-1.77(m,2H)。
【0511】
工程4:4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル
3つのバッチを並行して用意した。t-BuOK(299.69g、2.67mol)を1時間かけて少しずつ(内部温度を5℃未満に維持)、4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン(230g、890.25mmol)、Tos-MIC(260.72g、1.34mol)、およびDME(2L)の溶液に、N下において0℃で添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで3つのバッチを飽和NHCl水溶液(5L)に注いだ。この混合物をEtOAc(5L×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(5L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲル上でのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=1/0~50/1)により精製することで、4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(508g、70.6%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.13-6.99(m,2H),6.83-6.75(m,1H),5.51-5.31(m,1H),5.03-4.85(m,2H),3.84(s,3H),2.58-2.48(m,1H),2.38-2.02(m,7H),1.98-1.79(m,2H),1.78-1.56(m,3H),1.54-1.40(m,1H)。
【0512】
工程5:4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル
3つのバッチを並行して用意した。NMO(242.66g、2.07mol)、次いでKOsOO(7.63g、20.71mmol)を、4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(186g、690.47mmol)、アセトン(2L)、およびHO(250mL)の溶液に0℃で添加した。反応物を室温に暖め、2時間撹拌した。3つのバッチを飽和NaSO水溶液(4L)に注ぎ、混合物をEtOAc(3L×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(3L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲル上でのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5/1~1/2)により精製することで、4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(600g、95.4%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.21-7.01(m,2H),6.87-6.74(m,1H),3.83(s,3H),3.65-3.49(m,1H),3.35-3.17(m,2H),2.60-2.45(m,1H),2.41-2.11(m,5H),2.01-1.81(m,4H),1.79-1.38(m,6H)。
【0513】
工程6:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボニトリル
3つのバッチを並行して用意した。NaIO(169.20g、791.05mmol)を30分かけて少しずつ(内部温度を5℃未満に維持)、4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(200g、659.21mmol)、THF(2L)、およびHO(1L)に0℃で添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで3つのバッチを水(2L)に注いだ。この混合物をEtOAc(2L×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(2L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボニトリル(510g)を無色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ9.43-9.22(m,1H),7.20-6.99(m,2H),6.87-6.71(m,1H),3.82(s,3H),2.63-2.48(m,2H),2.46-2.36(m,1H),2.33-2.13(m,4H),2.02-1.71(m,5H),1.71-1.57(m,2H)。
【0514】
工程7:4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル
3つのバッチを並行して用意した。NaBH(35.55g、939.73mmol)を、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボニトリル(170g)とTHF(1.7L)の溶液に、N下において0℃で添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで3つのバッチを氷冷水(3L)に注いだ。この混合物をEtOAc(1.5L×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(2L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(495g)を無色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.18-6.97(m,2H),6.88-6.71(m,1H),3.85-3.78(m,3H),3.76-3.70(m,1H),3.44-3.33(m,2H),2.71-2.69(m,0.5H),2.60-2.48(m,0.5H),2.37-2.35(m,0.5H),2.27-2.19(m,3H),2.14-2.12(m,0.5H),1.96-1.79(m,5H),1.78-1.61(m,3H),1.58-1.45(m,1H)。
【0515】
工程8:4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル
3つのバッチを並行して用意した。PPh(316.62g、1.21mol)とDCM(1L)の溶液を1時間かけて液滴により、4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチル-フェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(165g)、CBr(300.24g、905.37mmol)、およびDCM(1.5L)の溶液に、N下において0℃で添加した。混合物を室温で1.5時間撹拌し、他の2つのバッチと組み合わせて濃縮した。粗製生成物をMTBE(5L)に入れ、室温で一晩かけて粉状にした。固形物を濾過により除去し、ケークをMTBE(500mL×2)で洗浄し、濾液を濃縮し、次いでシリカゲル上でのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=30/1)により精製することで、4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(530g、80%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.11-6.96(m,2H),6.86-6.73(m,1H),3.87-3.73(m,3H),3.09-2.93(m,2H),2.78-2.68(m,0.5H),2.62-2.50(m,0.5H),2.38-2.34(m,1H),2.28-2.18(m,3H),2.17-2.10(m,2H),2.08-1.99(m,1H),1.99-1.79(m,3H),1.77-1.45(m,3H)。
【0516】
工程9:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボニトリル
3つのバッチを並行して用意した。LDA(420mL、840mmol、THF中で2M)を1時間かけて液滴により、4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチル-フェニル)シクロヘキサンカルボニトリル(143g、425.26mmol)、HMPA(381.03g、2.13mol)、およびTHF(1430mL)の溶液に、N下において-65℃で添加した。混合物を-65℃で3時間撹拌し、次いで3つのバッチを飽和NHCl水溶液(5L)に注いだ。この混合物をEtOAc(3L×2)で抽出した。組み合わせた有機質層を水(3L)で洗浄し、ブライン(3L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでEA:ヘキサン(1:30、775mL)に入れて室温で一晩かけて粉状にした。混合物を濾過し、濾過ケークをEA:ヘキサン(1:30、150mL)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボニトリル(240g、73%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.13-6.98(m,2H),6.83-6.73(m,1H),3.82(s,3H),2.22(s,3H),2.12-1.98(m,6H),1.94-1.80(m,6H)。
【0517】
工程10:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
3つのバッチを並行して用意した。DIBAL-H(1M PhMe、830mL、830mmol)を、4-(4-メトキシ-3-メチル-フェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボニトリル(106g、415.11mmol)をDCM(1L)に溶かした溶液に、N下において-65℃で添加した。混合物を-65℃で1時間撹拌し、次いで3つのバッチを飽和NaKテトラート水溶液(3L)に注ぎ、DCM(1.5L)で希釈した。この混合物を室温で3時間撹拌した。有機質層を分離し、水相をDCM(2L×2)で抽出した。有機質層を組み合わせ、ブライン(3L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド(336g)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.50-9.43(m,1H),7.11-7.00(m,2H),6.83-6.79(m,1H),3.77-3.68(m,3H),2.18-2.02(m,3H),1.82-1.72(m,6H),1.71-1.60(m,6H)。
【0518】
工程11:カリウム-ヒドロキシ(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタンスルホネート
6つのバッチを並行して用意した。メタ重亜硫酸カリウム水溶液(2M、54mL、108mmol)を10分かけて、4-(4-メトキシ-3-メチル-フェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド(56g)をTHF(300mL)に溶かした溶液に45℃で添加した。混合物を45℃で3.5時間撹拌し、室温に冷まし、次いで室温で一晩撹拌した。6つのバッチを濾過し、濾過ケークをPE(400mL)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、カリウム-ヒドロキシ(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタンスルホネート(381g、2工程にわたり81%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d) 7.12-6.97(m,2H),6.88-6.71(m,1H),4.51(d,1H),3.73(s,3H),3.56(d,1H),2.11(s,3H),1.88-1.56(m,12H)。
【0519】
工程12:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
6つのバッチを並行して用意した。飽和NaCO水溶液(300mL)を、カリウム-ヒドロキシ(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メタンスルホネート(63.5g、167.76mmol)とDCM(300mL)の混合物に、N下において室温で添加した。混合物を1時間撹拌し、次いで6つのバッチをDCM(1500mL)とHO(1500mL)の混合物へ注いだ。有機質層を分離し、水相をDCM(1500mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(2L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド(240.3g、92%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.52-9.41(m,1H),7.14 - 7.02(m,2H),6.84-7.80(m,1H),3.73(s,3H),2.12(s,3H),1.83-1.72(m,6H),1.71-1.56(m,6H);LCMS:259.1[M+H]
【0520】
中間体4
(2-アミノピリジン-4-イル)ボロン酸
【0521】
【化79】
【0522】
酢酸カリウム(47.93g、488.4mmol)、Pd(OAc)(1.04g、4.62mmol)、および2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(3.34g、9.54mmol)を、4-ブロモピリジン-2-アミン(50g、289mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(110.1g、433.5mmol)、およびジオキサン(1000mL)の溶液に室温で添加した。混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、100℃で一晩加熱し、室温に冷まし、次いで水(1000mL)へ注ぐことで水性懸濁液を得た。この懸濁液をEtOAc(500mL×3)で洗浄し、濾過した。濾過ケークをHO(100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させることで、(2-アミノピリジン-4-イル)ボロン酸(25g、62%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDOD):δ7.57(d,1H),7.09(s,1H),7.01(d,1H);LCMS:139.0[M+H]
【0523】
中間体5
4-(1-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
【0524】
【化80】
【0525】
(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)ヒドラジンヒドロクロリド(27g、151.19mmol)、2-ブロモマロンアルデヒド(27.4g、181.43mmol)、およびHOAc(400mL)の混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を1M NaOH(~400mL)によりpH=7に調整し、次いでEtOAc(300mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1→20/1)により精製することで、4-(1-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(18g、46%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.64(s,1H),7.52(s,1H),1.81(s,6H);LCMS:257.0[M+H]
【0526】
中間体6
4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン
【0527】
【化81】
【0528】
工程1:2-(tert-ブチル)チアゾール
2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン(45.06g、266.6mmol)を、2,2-ジメチルプロパンチオアミド(25.0g、213mmol)、pTsOH(4.59g、26.6mmol)、およびAcOH(50mL)の溶液に室温で添加した。混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、120℃で一晩撹拌し、室温に冷まし、水(100mL)へ注ぎ、次いで酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機質層を組み合わせ、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、2-(tert-ブチル)チアゾール(30g)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.71(d,1H),7.19(d,1H),1.48(s,9H);LCMS:142.0[M+H]
【0529】
工程2:5-ブロモ-2-(tert-ブチル)チアゾール
N-ブロモスクシンイミド(75.61g、424.8mmol)を、2-(tert-ブチル)チアゾール(30g、212.4mmol)とCHCl(300mL)の溶液に0℃で添加した。混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、室温で一晩撹拌し、EtOAc(100mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO(30mL×3)で洗浄した。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:10/3→2/1)により精製することで、5-ブロモ-2-(tert-ブチル)チアゾール(30g、64%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.57(s,1H),1.43(s,9H);LCMS:220.2[M+H]
【0530】
工程3:4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン
Pd(dppf)Cl(5.32g、7.27mmol)を、5-ブロモ-2-(tert-ブチル)チアゾール(16g、72.68mmol)、CsCO(71.05g、218.05mmol)、中間体4(15.04g、109.03mmol)、ジオキサン(40mL)、およびHO(10mL)の混合物に、N下において室温で添加した。反応混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、80℃で一晩撹拌し、室温に冷まし、水(100mL)へ注ぎ、次いで酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/3~1/1)により精製することで、4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-アミン(8.1g、48%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.11(s,1H),7.91(d,1H),6.78(d,1H),6.60(s,1H),6.03(s,2H),1.40(s,9H);LCMS:234.1[M+H]
【0531】
中間体7
4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
【0532】
【化82】
【0533】
工程1:2-ブロモ-N-メトキシ-N-メチルイソニコチンアミド
2-ブロモピリジン-4-カルボン酸(50g、247.52mmol)とCDI(42.14g、259.9mmol)をCHCl(500mL)に入れた混合物を25℃で0.5時間撹拌した。N-メトキシメタンアミンヒドロクロリド(48.29g、495.4mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を氷冷HO(1000mL)へ注ぎ、EtOAc(500mL×2)で抽出した。有機質層を飽和NaHCO(200mL)とブライン(300mL)で洗浄し、次いで濃縮することで、2-ブロモ-N-メトキシ-N-メチル-ピリジン-4-カルボキサミド(60g、粗製)を茶色の油として得た。
【0534】
工程2:1-(2-ブロモピリジン-4-イル)エタノン
臭化メチルマグネシウム溶液(エーテル中で3M、204mL)を液滴により40℃で、2-ブロモ-N-メトキシ-N-メチル-ピリジン-4-カルボキサミド(60g、粗製)をTHF(500mL)に溶かした溶液に添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、NHCl水溶液(300mL)へ注ぎ、次いでEA(200mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、次いで粉状にすることで(PE、200mL)、1-(2-ブロモ-4-ピリジル)エタノン(40g、2工程にわたり81%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.56(d,1H),7.91(s,1H),7.63(d,1H),2.62(s,3H)。
【0535】
工程3:2-ブロモ-1-(2-ブロモピリジン-4-イル)エタノン
臭素(12.4mL、240mmol)を液滴により、1-(2-ブロモピリジン-4-イル)エタノン(30g、149.98mmol)とHBr(400mL、AcOH中で30%)の溶液に室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、MTBE(1000mL)へ注ぎ、次いで濾過した。濾過ケークを水(300mL)とEtOAc(300mL)に注いだ。混合物を飽和NaHCOによりpH=8に調整し、EtOAc(500mL×2)で抽出した。組み合わせた有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いで粉状にすることにより精製することで(MTBE、150mL)、2-ブロモ-1-(2-ブロモピリジン-4-イル)エタノン(36g、86%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.60(d,1H),7.95(s,1H),7.72(d,1H),4.38(s,2H);LCMS:278.0[M+H]
【0536】
工程4:4-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)オキサゾール
トリフルオロメタンスルホン酸銀(27.63g、107.6mmol)を、2-ブロモ-1-(2-ブロモピリジン-4-イル)エタノン(15g、53.8mmol)、ピバルアミド(7.07g、69.9mmol)、およびEtOAc(400mL)の混合物に室温で添加した。反応物を80℃で22時間加熱し、室温に冷まし、次いでHO(100mL)へ注いだ。有機質層を分離し、水層をEtOAc(100mL×2)で抽出した。組み合わせた有機質層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1→20/1)により精製することで、4-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)オキサゾール(12.5g、85%)を茶色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.35(d,1H),7.99(s,1H),7.85(s,1H),7.56(d,1H),1.44(s,9H);LCMS:281.1[M+H]
【0537】
工程5:4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(THF中で1M、56.8mL、56.8mmol)を液滴により、4-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-(tert-ブチル)オキサゾール(14.5g、51.6mmol)、XPhos(2.46g、5.2mmol)、Pd(dba)(2.36g、2.58mmol)、およびジオキサン(400mL)の溶液に、N下において室温で添加した。混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、100℃で一晩加熱し、室温に冷まし、HO(500mL)へ注ぎ、次いでEtOAc(200mL×3)で抽出した。有機質層をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで濃縮した。粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1→0/1)により精製することで不純材料を得て、これをPE/EA=5:1(30mL)により粉状にし、濾過し、次いで乾燥させることで、4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(7.15g、63%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.53(s,1H),7.89(d,1H),6.82(s,1H),6.78(d,1H),5.99(s,2H),1.35(s,9H);LCMS:218.1[M+H]
【0538】
中間体8
4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
【0539】
【化83】
【0540】
2-メチルテトラヒドロフラン(10mL)、Pd(dppf)Cl、次いでKCO水溶液(3M、10mL、30mmol)を、4-ブロモピリジン-2-アミン(1.87g、10.8mmol)と1-(tert-ブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(2.50g、10.0mmol)に、40mLバイアルの中で添加した。反応物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、50℃で21時間加熱し、次いで室温に冷ました。層を分離し、有機質層を飽和NaKテトラート水溶液(25mL)で洗浄し、次いでブライン(25mL)で洗浄した。水層を2-メチルテトラヒドロフラン(25mL)で逆抽出した。組み合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、次いで真空下で1時間かけて乾燥させた。粗製材料とMTBE(25mL)の懸濁液を2時間還流させ、一晩かけて室温に冷まし、次いで濾過した。濾過ケークをMTBE(2×3mL)で洗浄し、次いで真空下で乾燥させることで、4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(1.15g、53%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.27(s,1H),7.86-7.82(m,2H),6.74(d,1H),6.61(s,1H),5.77(s,2H),1.54(s,9H);LCMS:217.1[M+H]
【0541】
中間体9
4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
【0542】
【化84】
【0543】
工程1:4-ブロモ-1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール
濃硫酸(3.9mL、74.8mmol)を、4-ブロモ-1H-ピラゾール(10g、68.04mmol)と2-メチルブタン-2-オール(74mL)の溶液に室温で添加した。混合物を100℃で48時間加熱し、濃縮し、HO(20mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機質層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/0→200/1)により精製することで、4-ブロモ-1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール(5.3g、35%)を無色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.49(s,1H),7.48(s,1H),1.90-1.84(m,2H),1.54(s,6H),0.70(t,3H)。
【0544】
工程2:4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
Pd(dppf)Cl(1.45g、1.98mmol)を、4-ブロモ-1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール(8.6g、39.61mmol)、中間体4(6.56g、47.53mmol)、KCO(10.95g、79.22mmol)、ジオキサン(90mL)、およびHO(45mL)の混合物に、N下において室温で添加した。混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、80℃で4時間加熱し、室温に冷まし、次いでHO(100mL)へ注いだ。沈殿物を濾過により取り除いた。濾液を酢酸エチル(200mL)とHO(100mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/CHOH=100/1→30/1)により精製することで、不純な赤色固形物2.7gを得た。CHOH(4M、30mL)に入れたHClを添加した。溶液を室温で2時間撹拌し、濃縮し、酢酸エチル(15mL)で希釈し、次いで一晩撹拌した。固形物を濾過し、酢酸エチル(10mL)で洗浄し、乾燥させることで、4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミンヒドロクロリド(3.1g)を得た。この材料をHO(5mL)に溶解した。炭酸カリウム水溶液(2M、~8mL)をpH=9~10になるまで徐々に添加した。混合物を酢酸エチル(20mL×6)で抽出した。組み合わせた有機物をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(2.35g、90%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.24(s,1H),7.84-7.83(m,2H),6.75-6.73(m,1H),6.60(s,1H),5.74(s,2H),1.87-1.81(m,2H),1.52(s,6H),0.62(t,3H);LCMS:231.2[M+H]
【0545】
中間体9に記載される手順に従い、以下の中間体を適切なアルコールまたは適切な中間体から合成した。
【0546】
【表4】
【0547】
中間体10
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボン酸
【0548】
【化85】
【0549】
工程1:トランス-tert-ブチルジメチルシリル4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボキシレート)
tert-ブチルジメチルシリルクロリド(31.47g、208.8mmol)を、トランス-4-ヒドロキシ-シクロヘキサンカルボン酸(10.03g、69.57mmol)、イミダゾール(18.96g、278.5mmol)、およびDMF(140mL)の混合物に、N下において室温で添加した(32℃までの発熱反応)。反応物を室温で2時間撹拌し、次いでジエチルエーテル(300mL)で希釈した。有機質層を洗浄し(2×300mLの1N HCl、次いでブライン300mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮することで、透明な油としてトランス-tert-ブチルジメチルシリル4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(31.5gを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ3.61-3.53(m,1H),2.26-2.18(m,1H),2.04-1.96(m,2H),1.92-1.85(m,2H),1.51-1.39(m,2H),1.39-1.27(m,2H),0.94(s,9H),0.89(s,9H),0.26(s,6H),0.06(s,6H)。
【0550】
工程2:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボン酸
O(300mL)に入れた炭酸カリウム(58.01g、419.7mmol)を、トランス-tert-ブチルジメチルシリル4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(31.5gの粗製、69.6mmol)、エタノール(1000mL)、およびTHF(300mL)の混合物に、N下において室温で添加した。反応物を室温で3時間撹拌し、300mLが残るまで濃縮し、ブライン(600mL)で稀釈し、次いで20%NaHSO4(550mL)で酸性化してpH2~3とした。水層をジエチルエーテル(800mL)で抽出した。有機質層を洗浄し(ブライン800mL)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥させる(シラノール副産物を取り除く)ことで、白色固形物としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボン酸(17.3g、2工程にわたり96%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ12.30(br s,1H),3.59-3.51(m,1H),2.15-2.05(m,1H),1.88-1.74(m,4H),1.41-1.29(m,2H),1.28-1.16(m,2H),0.84(s,9H),0.02(s,6H)。
【0551】
中間体11
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボニルクロリド
【0552】
【化86】
【0553】
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボニルクロリド
(クロロメチレン)ジメチルリチウムクロリド(34.02g、265.78mmol)を計量して1000mL丸底フラスコ(3首)に移し、真空/Nサイクル(3×)で脱気した。トルエン(240mL)をフラスコに添加し、混合物を氷槽の中で冷却した(1.3℃)。無水炭酸カリウム(68.71g、497.14mmol)と中間体10(34.29g、132.69mmol)を連続して反応物に添加した。氷槽を取り除き、混合物を35分間撹拌した。セライト(7g)を反応物に添加し、次いで反応物をトルエンで洗浄しながら(3×100mL)、セライト(70g、Chemglassの465mLのフリット漏斗)を通して濾過した。この溶液(451g、酸塩化物8.5%、収率100%、72mg/mL)をアシル化反応の直後に使用した。H NMR(400MHz,CDCl):δ3.77-3.68(m,1H),2.83-2.74(m,1H),2.31-2.22(m,2H),2.09-1.99(m,2H),1.76-1.63(m,2H),1.54-1.42(m,2H),1.02(s,9H),0.20(s,6H)。~5分間にわたりヒートガンにより加熱し、次いで一晩冷ますことにより、炭酸カリウムを真空下で乾燥させた。
【0554】
中間体12
2,2-ジメチルアゼチジン-3-オール ヒドロクロリド
【0555】
【化87】
【0556】
工程1:2-シクロプロピル-4-(3-ニトロフェニル)オキサゾール
1-ベンズヒドリル-2,2-ジメチルアゼチジン-3-オール(6.03g、22.6mmol)をCHOH(90mL)に溶かした溶液を、2回の真空/Nサイクルで脱気した。塩酸水溶液(1.0N、22mL、22mmol)、次いでPd/C(10wt%、2.40g、2.25mmol)を反応物に添加した。反応物を室温で15時間、Hバルーン下で撹拌し、セライトに通して濾過し、濾過ケークをCHOH(5×20mL)ですすいだ。濾液を濃縮し、凍結乾燥し、次いで真空下で乾燥させることで、2,2-ジメチルアゼチジン-3-オールヒドロクロリド(1.99g、64%)を淡黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.94(s,2H),6.12(s,1H),4.17(t,1H),3.88(dd,1H),3.54(dd,1H),1.41(d,6H)。
【0557】
中間体13
3-((メチルスルホニル)メチル)アゼチジンヒドロクロリド
【0558】
【化88】
【0559】
工程1:tert-ブチル3-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート
メタンスルホニルクロリド(9.8g、85.55mmol)を、tert-ブチル3-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(10g、53.41mmol)とEtN(10.81g、106.8mmol)をCHCl(100mL)に溶かした溶液に、N下において0℃で添加した。反応物を室温に暖め、2時間撹拌し、水(200mL)へ注ぎ、次いでCHCl(100mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層を飽和NaHCO(100mL)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(PE/EA=4/1~3/1)により精製することで、tert-ブチル3-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(13g、収率83%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ4.36(d,2H),4.06(t,2H),3.78-3.67(m,2H),3.06(s,3H),2.99-2.87(m,1H),1.44(s,9H)。
【0560】
工程2:tert-ブチル3-((メチルチオ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート
ナトリウムチオメトキシド(36.5g、104.2mmol、純度20%)を、tert-ブチル3-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(13g、44.1mmol)をDMF(150mL)に溶かした溶液に、N下において室温で添加した。反応物を一晩撹拌し、水(300mL)へ注ぎ、次いでEtOAc(200mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(PE/EA=20/1~10/1)により精製することで、tert-ブチル3-((メチルチオ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(9.86g、93%)を無色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ4.08-3.97(m,2H),3.62(d,2H),2.82-2.67(m,3H),2.11(s,3H),1.44(s,9H);LCMS:218.1[M+H]
【0561】
工程3:tert-ブチル3-((メチルスルホニル)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート
3-クロロ過安息香酸(14.90g、73.38mmol、純度85%)を少しずつ、tert-ブチル3-((メチルチオ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(8.86g、36.69mmol)をCHCl(90mL)に溶かした溶液に0℃で添加した。反応混合物を室温に暖め、室温で2時間撹拌し、次いで濾過した。濾液をCHCl(100mL)で希釈し、飽和KCO(100mL×2)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(PE/EA=60/40)により精製することで、tert-ブチル3-((メチルスルホニル)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(6.5g、71%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ4.08-3.90(m,2H),3.80-3.62(m,2H),3.48(d,2H),3.08-2.88(m,4H),1.37(s,9H);LCMS:272.0[M+Na]
【0562】
工程4:3-((メチルスルホニル)メチル)アゼチジンヒドロクロリド
tert-ブチル3-((メチルスルホニル)メチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(1g、4.01mmol)とHCl(EtOAc中で4M、20mL)の混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮することで、3-((メチルスルホニル)メチル)アゼチジンヒドロクロリド(650mg)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ9.25(s,1H),9.07(s,1H),4.10-3.98(m,2H),3.91-3.80(m,2H),3.55(d,2H),3.33-3.20(m,1H),2.99(s,3H);LCMS:150.1[M+H]
【0563】
中間体14
6-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-アミン
【0564】
【化89】
【0565】
4-アミノ-6-ブロモピリミジン(500mg、2.87mmol)、1-(tert-ブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(898mg、3.59mmol)、および1-1’-ビス(ジフェニルホスフィノフェロセンジクロロパラジウム(II)(105mg、0.144mmol)を計量して、20mLマイクロウェーブバイアルに移した。1,4-ジオキサン(3.92mL)と炭酸カリウム水溶液(2.2M、3.92mL、8.62mmol)をバイアルに添加した。反応混合物を電子レンジに入れ、150℃で15分間加熱した。水層をピペットにより取り除き、EtOAc(20mL)、続いてセライトとNaSOを有機質層に添加した。有機質層を濾過して濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~100%EtOAc、次いでCHCl中で0~12%CHOH)により精製することで、6-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-アミン(484mg、77%)を紫色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.33(s,2H),7.93(s,1H),6.71(br,2H),6.59(d,1H),1.55(s,9H);LCMS:217.9[M+H]
【0566】
中間体14に記載される手順に従い、以下の中間体を、適切なアミノ/ハロ(ヘテロ)芳香族出発材料と1-(tert-ブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから合成した。
【0567】
【表5】
【0568】
中間体15
4-(4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン-2-アミン
【0569】
【化90】
【0570】
工程1:4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール
1-ブロモ-3,3-ジメチル-ブタン-2-オン(15g、83.77mmol)とホルムアミド(84.75g、1.88mol)の混合物を170℃で5時間撹拌し、室温に冷まし、水(200mL)へと注ぎ、次いでEtOAc(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで濃縮することで、4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール(8g)を黄色の油として得て、これを次の工程に直接使用した。LCMS:125.2[M+H]
【0571】
工程2:4-(4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-1-イル)-2-クロロピリジン
炭酸カリウム(18.92g、136.89mmol)を、4-tert-ブチル-1H-イミダゾール(8g、54.76mmol)、2-クロロ-4-フルオロ-ピリジン(14.41g、109.52mmol)、およびNMP(80mL)の溶液に室温で添加した。混合物を100℃で一晩撹拌し、室温に冷まし、水(200mL)に注ぎ、次いでEtOAc(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(300mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=70/30)により精製することで、4-(4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-1-イル)-2-クロロピリジン(4g、31%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.50(d,1H),8.44(d,1H),7.97(d,1H),7.80(dd,1H),7.72(d,1H),1.25(s,9H);LCMS:236.1[M+H]
【0572】
工程3:4-(4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン-2-アミン
リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(THF中で1M、31.2mL)を、4-(4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-1-イル)-2-クロロピリジン(3.5g、14.85mmol)、Pd(dba)(543.9mg、0.59mmol)、XPhos(566.2mg、1.19mmol)、およびジオキサン(100mL)の溶液に、N下において室温で添加した。混合物を3回の真空/Nサイクルで脱気し、100℃で一晩撹拌し、室温に冷まし、水(100mL)へ注ぎ、次いでEtOAc(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=30/70)により精製することで不純材料(2.1g)を得て、これをさらに逆相HPLC(水(10mM NH4HCO3)/CHCN)により精製することで、4-(4-(tert-ブチル)-1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン-2-アミン(1.36g、71%)を茶色の固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.16(s,1H),7.95(d,1H),7.35(s,1H),6.80(dd,1H),6.60(s,1H),6.10(s,2H),1.24(s,9H);LCMS:217.1[M+H]
【0573】
中間体15の工程2~3に記載される手順に従い、以下の中間体を2-クロロ-4-フルオロピリジンと3-(tert-ブチル)-1H-ピラゾールから合成した。
【0574】
【表6】
【0575】
化合物1
トランス-4-((4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)(((トランス)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)カルバメート
【0576】
【化91】
【0577】
工程1:4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)ピリジン-2-アミン
中間体1(1.0g、4.30mmol)、次いでナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.33g、6.26mmol)を、中間体6(913mg、3.91mmol)をCHCl(12mL)に溶かした溶液に0℃で添加した。氷/水槽を取り除いた。反応物を室温で一晩撹拌し、次いでEtOAc(15mL)で希釈した。有機質層を3.0M KCO(20mL)で洗浄し、ブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~50%EtOAc)により精製した。残存するAcOHに注目した。そのためこの生成物画分を濃縮し、EtOAc(20mL)で希釈し、3.0M KCO(20mL)で洗浄し、ブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、次いで濃縮することで、4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)ピリジン-2-アミン(1.34g、76%)をベージュ色の固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.11(s,1H),7.95(d,1H),7.02-6.96(m,2H),6.83-6.69(m,1H),6.75-6.69(m,2H),6.65(s,1H),3.76(s,3H),3.15(t,2H),2.42-2.32(m,1H),2.11(s,3H),1.93-1.75(m,4H),1.65-1.52(m,1H),1.46-1.32(m,11H),1.15-1.02(m,2H);LCMS:450.3[M+H]
【0578】
工程2:トランス-N-(4-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
中間体11(10.4mL、70.6mg/mL、2.66mmol)を、4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)ピリジン-2-アミン(600mg、1.33mmol)、DMAP(165mg、1.33mmol)、トリエチルアミン(744μL、5.33mmol)、およびトルエン(2.5mL)の混合物を室温で添加した。反応物を80℃で一晩加熱した。さらに中間体11(10.4mL、70.6mg/mL、2.66mmol)を添加した。反応物を80℃で2時間加熱し、室温に冷まし、EtOAc(30mL)で希釈し、1.0M KHPO(15mL)で洗浄し、ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で0~20%EtOAc)により精製することで、トランス-N-(4-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(566mg、61%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.53(d,1H),8.46(s,1H),7.73(s,1H),7.62(dd,1H),6.97-6.91(m,2H),6.81-6.76(m,1H),3.74-3.68(m,5H),3.58-3.47(m,1H),2.48-2.15(m,2H),2.08(s,3H),1.83-1.68(m,8H),1.52-1.39(m,12H),1.35-1.20(m,2H),1.19-0.92(m,4H),0.81(s,9H),0.00(s,6H);LCMS:690.6[M+H]
【0579】
工程3:トランス-(4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
塩酸水溶液(1N、1.27mL、1.27mmol)を、トランス-N-(4-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(562mg、0.82mmol)、THF(3mL)、およびCHOH(3mL)の溶液に0℃で添加した。反応物を室温で1時間撹拌し、EtOAc(15mL)で希釈し、飽和NaHCO(10mL)で洗浄し、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~100%EtOAc)により精製することで、トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イルピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(406mg、86%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.53(d,1H),8.46(s,1H),7.73(s,1H),7.61(dd,1H),6.97-6.91(m,2H),6.80-6.75(m,1H),4.45(d,1H),3.74-3.68(m,5H),3.33-3.25(m,1H),2.38-2.25(m,1H),2.22-2.12(m,1H),2.08(s,3H),1.82-1.68(m,8H),1.50-1.38(m,12H),1.32-1.20(m,2H),1.09-0.95(m,2H),0.95-0.80(m,2H);LCMS:576.4[M+H]
【0580】
工程4:トランス-4-((4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)(((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)カルバメート
トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イルピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(220mg、0.38mmol)、CDI(97mg、0.60mmol)、およびCHCN(8mL)の溶液を80℃で一晩加熱し、室温に冷ました。アミノテトラヒドロピラン(34μL、0.34mmol)をCHCN溶液の一部(0.45mL、0.085mmol)に添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。さらに4-アミノテトラヒドロピラン(34μL、0.34mmol)を添加し、混合物を室温で1日中撹拌した。さらに4-アミノテトラヒドロピラン(9μL、0.09mmol)を添加し、混合物を室温でさらに1日中撹拌した。反応物をEtOAc(10mL)で希釈し、飽和NaHCO(10mL)で洗浄し、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~100%CHOH)により精製することで、トランス-4-((4-(2-(tert-ブチル)チアゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)(((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)カルバメート(51mg、86%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.53(d,1H),8.46(s,1H),7.74(s,1H),7.61(dd,1H),7.08-7.02(d,1H),6.96-6.91(m,2H),6.80-6.75(m,1H),4.45(d,1H),3.81-3.68(m,7H),3.49-3.38(m,1H),3.33-3.25(t,2H),2.38-2.25(m,2H),2.08(s,3H),1.93-1.60(m,10H),1.57-1.40(m,12H),1.39-1.20(m,4H),1.09-0.95(m,4H);LCMS:703.5[M+H]
【0581】
化合物1に記載される手順に従い、以下の化合物を適切な中間体と適切なアミンから合成した。
【0582】
【表7-1】
【0583】
【表7-2】
【0584】
【表7-3】
【0585】
化合物2
4-((4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)カルバモイル)(トランス-シクロヘキシル)(3-ヒドロキシプロピル)カルバメート
【0586】
【化92】
【0587】
工程1:4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)ピリジン-2-アミン
メタノール(4.0mL)と酢酸(38μL、0.61mmol)を、中間体2(523mg、2.02mmol)と中間体7(398mg、1.83mmol)に、40mLバイアル中で添加した。混合物を60℃で3時間撹拌し、室温に冷ました。2-メチルピリジンボラン複合体(196mg、1.83mmol)を添加した。反応物を室温で63時間撹拌し、EtOAc(10mL)で希釈し、飽和NHCl(10mL)で洗浄し、飽和NaHCO(10mL)で洗浄し、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で0~30%EtOAc)により精製することで、4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)ピリジン-2-アミン(685mg、81%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.55(s,1H),7.91(d,1H),7.26-7.07(m,2H),6.97(s,1H),6.82(d,1H),6.72(dd,1H),6.53(t,1H),3.73(s,3H),3.13(d,2H),2.11(s,3H),1.75-1.69(m,6H),1.57-1.50(m,6H),1.37(s,9H);LCMS:460.4[M+H]
【0588】
工程2:トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
ジクロロメタン(7.0mL)とトリエチルアミン(831μL、5.96mmol)を、4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)ピリジン-2-アミン(685mg、1.49mmol)と中間体10(462mg、1.79mmol)に、40mLバイアルの中で添加した。1-プロピルホスホン酸環状無水物(CHCl中でT3P 50+%w/w溶液、1.90g、2.98mmol)を計量して別のバイアルへ移し、反応物に添加した。ジクロロメタン(2mL)をT3Pバイアルに添加し、この溶液を反応物に添加した。反応物を室温で15時間撹拌し、水(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で0~15%EtOAc)により精製することで、トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(995mg、95%)をオフホワイト発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.85(s,1H),8.53(d,1H),7.77(s,1H),7.67(d,1H),7.02-6.97(m,2H),6.76(d,1H),3.75(s,2H),3.71(s,3H),3.59-3.47(m,1H),2.36-2.20(m,1H),2.08(s,3H),1.80-1.70(m,4H),1.65-1.57(m,6H),1.52-1.42(2H),1.41-1.17(m,15H),1.04-0.90(m,2H),0.81(s,9H),0.14(s,6H);LCMS:700.1[M+H]
【0589】
工程3:トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イルピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
塩酸水溶液(1N、2.12mL、2.12mmol)を、トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(990mg、1.41mmol)、CHOH(5.0mL)、およびTHF(5.0mL)の溶液に0℃で添加した。氷/水槽を取り除いた。反応物を室温で1時間撹拌し、氷/水槽の中で冷やし、飽和NaHCO(7mL)で希釈し、次いでEtOAc(10mL)で抽出した。有機質層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~50%EtOAc、次いでCHCl中で0~5%CHOH)により精製することで、トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イルピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)シクロヘキサンカルボキサミド(727mg、87%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.85(s,1H),8.53(d,1H),7.78(s,1H),7.67(d,1H),7.02-6.97(m,2H),6.76(d,1H),4.44(d,1H),3.73(s,2H),3.70(s,3H),3.33-3.26(m,1H),2.33-2.15(m,1H),2.08(s,3H),1.80-1.67(m,4H),1.65-1.54(m,6H),1.49-1.32(m,17H),0.94-0.78(m,2H);LCMS:586.4[M+H]
【0590】
工程4:4-((4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)カルバモイル)(トランス-シクロヘキシル)(3-ヒドロキシプロピル)カルバメート
トランス-N-(4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イルピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)シクロヘキサンカルボキサミド(100mg、0.17mmol)、CDI(42mg、0.26mmol)、およびCHCN(1mL)の溶液を80℃で一晩加熱し、次いで室温に冷ました。3-アミノ-1-プロパノール(26μL、0.34mmol)をCHCN溶液の一部(0.5mL、0.085mmol)に添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、EtOAc(10mL)で希釈し、飽和NaHCO(10mL)で洗浄し、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~5.5%CHOH)により精製することで、4-((4-(2-(tert-ブチル)オキサゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)カルバモイル)(トランス-シクロヘキシル)(3-ヒドロキシプロピル)カルバメート(53mg、91%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.85(s,1H),8.54(d,1H),7.79(s,1H),7.68(d,1H),7.02-6.97(m,2H),6.91(t,0.90H),6.77(d,1H),6.67-6.59(m,0.10H),4.40-4.32(m,2H),3.75(s,2H),3.70(s,3H),3.39-3.31(m,2H),3.01-2.95(m,2H),2.36-2.25(m,1H),2.08(s,3H),1.92-1.75(m,4H),1.65-1.57(m,6H),1.55-1.42(m,4H),1.41-1.31(m,15H),1.08-0.93(m,2H);LCMS:687.5[M+H]
【0591】
化合物2に記載される手順に従い、以下の化合物を適切な中間体と適切なアミンから合成した。
【0592】
【表7-4】
【0593】
【表7-5】
【0594】
【表7-6】
【0595】
【表7-7】
【0596】
【表7-8】
【0597】
【表7-9】
【0598】
【表7-10】
【0599】
NaIO、THF、HO、0~50℃、37時間を使用して、以下の化合物を化合物2.29から合成した。
【0600】
【表8】
【0601】
m-CPBA、CHCl、0℃~室温、4時間を使用して、以下の化合物を化合物2.29から合成した。
【0602】
【表9】
【0603】
化合物3
4-((4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル 3-ヒドロキシアゼチジン-トランス-1-カルボキシレート
【0604】
【化93】
【0605】
工程1:4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)ピリジン-2-アミン
中間体2(199mg、0.77mmol)と中間体8(200mg、0.925mmol)をCHOH(4mL)に懸濁させた。酢酸(13.2μL、0.23mmol)を添加した。反応混合物を60℃の油浴の中、4時間撹拌し、室温に冷ました。2-メチルピリジンボラン複合体(82mg、0.77mmol)を添加した。反応物を室温で16時間撹拌し、20mLの飽和NHClで希釈し、次いでEtOAc20mLで抽出した。有機質層をブライン20mLで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で20~80%EtOAc)により精製することで、4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)ピリジン-2-アミン(255mg、72%)をオフホワイト発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.26(s,1H),7.86(d,1H),7.84(s,1H),7.09-7.04(m,2H),6.80(d,1H),6.70(s,1H),6.68(d,1H),6.16(t,1H),3.72(s,3H),3.11(d,2H),2.12(s,3H),1.77-1.67(m,6H),1.59-1.47(m,15H);LCMS:459.6[M+H]
【0606】
工程2:トランス-N-(4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
4-(1-(tertブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)ピリジン-2-アミン(250mg、0.545mmol)とDMAP(69mg、0.57mmol)をトルエン(1mL)の中で組み合わせた。トリエチルアミン(0.3mL、2.15mmol)、次いで中間体11(4.4mL、71mg/mL、1.12mmol)を室温で添加した。反応物を80℃で2時間加熱し、室温に冷まし、5mLの1M KHPOで希釈し、次いでEtOAc20mLで抽出した。有機質層をブライン20mLで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で10~25%EtOAc)により精製することで、トランス-N-(4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(308mg、81%)をオフホワイト発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.61(s,1H),8.40(d,1H),8.15(s,1H),7.73(s,1H),7.58(d,1H),7.02-6.96(m,2H),6.76(d,1H),3.75-3.68(m,5H),3.56-3.45(m,1H),2.31-2.20(m,1H),2.08(s,3H),1.80-1.68(m,4H),1.66-1.52(m,15H),1.50-1.29(m,8H),0.98-0.84(m,2H),0.79(s,9H),-0.02(s,6H);LCMS:699.6[M+H]。化合物2の工程2の手順に従い、化合物3の工程2を合成できることに留意されたい。
【0607】
工程3:トランス-N-(4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
塩酸水溶液(1N、0.65mL、0.65mmol)を、トランス-N-(4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(303mg、0.433mmol)をTHF(1.3mL)とCHOH(1.3mL)に溶かした溶液に0℃で添加した。反応物を室温で2.5時間撹拌し、氷/水槽の中で0℃に冷まし、20mLの飽和NaHCOで希釈し、次いでEtOAc20mLで抽出した。有機質層を20mLの飽和NaHCOで洗浄し、ブライン20mLで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~5%CHOH)により精製することで、トランス-N-(4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)シクロヘキサンカルボキサミド(214mg、85%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.61(s,1H),8.41(d,1H),8.15(s,1H),7.74(s,1H),7.58(d,1H),7.03-6.96(m,2H),6.76(d,1H),3.75-3.67(m,5H),3.32-3.23(m,1H),2.28-2.17(m,1H),2.08(s,3H),1.80-1.67(m,4H),1.64-1.52(m,16H),1.46-1.31(m,8H),0.89-0.74(m,2H);LCMS:585.7[M+H]
【0608】
工程4:4-((4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル 3-ヒドロキシアゼチジン-トランス-1-カルボキシレート
トランス-N-(4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)シクロヘキサンカルボキサミド(100mg、0.171mmol)、CDI(42mg、0.26mmol)、およびCHCN(1mL)の混合物を80℃で2時間加熱し、次いで室温に冷ました。3-ヒドロキシアゼチジンヒドロクロリド(37mg、0.34mmol)、次いでiPrNEt(0.12mL、0.68mmol)を、この溶液の一部(0.5mL、0.09mmol)に室温で添加した。反応物を室温で20時間撹拌し、10mLのEtOAcで希釈し、10mLの飽和NaHCOで洗浄し、ブライン10mLで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中で0~50%EtOAc、次いでCHCl中で0~10%CHOH)により精製することで、4-((4-(1-(tert-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル 3-ヒドロキシアゼチジン-トランス-1-カルボキシレート(51mg、87%)を白色発泡体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.62(s,1H),8.41(d,1H),8.16(s,1H),7.75(s,1H),7.58(d,1H),7.03-6.95(m,2H),6.76(d,1H),5.63(d,1H),4.40-4.29(m,2H),4.01-3.94(m,2H),3.76-3.67(m,5H),3.59-3.52(m,2H),2.36-2.25(m,1H),2.08(s,3H),1.89-1.74(m,4H),1.65-1.53(m,15H),1.52-1.39(m,2H),1.39-1.30(m,6H),1.06-0.91(m,2H);LCMS 684.6[M+H]
【0609】
化合物3に記載した手順に従い、以下の化合物を適切な中間体から合成した。
【0610】
【表10-1】
【0611】
【表10-2】
【0612】
【表10-3】
【0613】
化合物4
4-(((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)カルバモイル)シクロヘキシル トランス-3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート
【0614】
【化94】
【0615】
工程1:N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン
ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(689.1mg、3.25mmol)を、中間体2(420.0mg、1.63mmol)、中間体9(449.3mg、1.95mmol)、および1,2-ジクロロエタン(10mL)の溶液に、N下において0℃で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、飽和NaHCO(20mL)で希釈し、次いでCHCl(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/CHOH=80/1→50/1)により精製することで、N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(600mg、78%)を赤色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.86-7.82(m,3H),7.11(s,1H),7.09(s,1H),6.80-6.63(m,3H),6.60-6.55(m,1H),3.81(s,3H),3.10(d,2H),2.22(s,3H),1.98-1.90(m,2H),1.84-1.83(m,5H),1.65-1.62(m,13H),0.76-0.67(m,3H)。
【0616】
工程2:tert-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-N-(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド
プロピルホスホン酸無水物溶液(EtOAc中で純度50%、1.4mL、2.28mmol)を、N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン(400.0mg、0.85mmol)、EtN(0.48mL、3.39mmol)、DMAP(31.0mg、0.25mmol)、中間体10(415.5mg、4.61mmol)、およびCHCl(10mL)の混合物に添加した。混合物を40℃で3時間撹拌し、水(10mL)へ注ぎ、次いでCHCl(10mL×4)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/CHOH=200/1~150/1)により精製することで、tert-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-N-(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド(700mg、77%)を赤色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.43(d,1H),7.91(s,1H),7.88(s,1H),7.30-7.27(m,2H),7.04-7.02(m,2H),7.72(d,1H),3.80-3.79(m,1H),3.78(s,3H),3.60-3.55(m,2H),2.32-2.18(m,2H),2.05(s,3H),2.00-1.96(m,15H),1.82(s,6H),1.73-1.64(m,4H),1.04-1.12(m,2H),0.89-0.87(m,9H),0.79-0.75(m,3H),0.064(s,6H);LCMS:713.6[M+H]
【0617】
工程3:tert-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-N-(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド
塩酸水溶液(1M、0.56mL、0.56mmol)を液滴により、tert-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-N-(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド(400mg、0.56mmol)、THF(5mL)、およびCHOH(5mL)の溶液に0℃で添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、飽和NaHCO(20mL)へ注ぎ、次いで酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/0→3/1)により精製することで、tert-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-N-(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド(370mg、63%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.59(s,1H),8.41(d,1H),8.16(s,1H),7.73(s,1H),7.58(d,1H),7.01-6.95(m,2H),6.72(d,1H),4.41(d,1H),3.71-3.70(m,5H),3.33-3.32(m,1H),2.24-2.22(m,1H),2.08(s,3H),1.88-1.86(m,2H),1.62-1.60(m,4H),1.58-1.54(m,12H),1.37-1.34(m,8H),0.83-0.80(m,2H),0.65(t,3H);LCMS:599.4[M+H]
【0618】
工程4:tert-4-(((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)カルバモイル)シクロヘキシル 3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート
1,1’-カルボニルジイミダゾール(60.9mg、0.37mmol)を、tert-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)-N-(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド(150.0mg、0.25mmol)とCHCN(5mL)の溶液に室温で添加した。混合物を80℃で一晩撹拌し、室温に冷ました。N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(71.2mg、0.55mmol)、次いでアゼチジン-3-オール ヒドロクロリド(54.9mg、0.50mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、HO(10mL)へ注ぎ、次いで酢酸エチル(10mL×4)で抽出した。有機質層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いで分取-HPLC(水(0.04%HCl)-CHCN)により精製することで、tert-4-(((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)(4-(1-(tert-ペンチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)カルバモイル)シクロヘキシル 3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(80.5mg、45%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.59(s,1H),8.40(d,1H),8.16(s,1H),7.74(s,1H),7.58(d,1H),7.00-6.97(m,2H),6.76(d,1H),5.75-5.73(m,1H),4.74-4.35(m,2H),3.99-3.95(m,2H),3.72-3.70(m,5H),3.57-3.54(m,2H),2.33-2.22(m,1H),2.08(s,3H),2.88-2.84(m,6H),1.62-1.57(m,7H),1.54(s,6H),1.38-1.37(m,1 H),1.36-1.34(m,6H),1.07-0.91(m,2H),0.65(t,3H);LCMS:698.5[M+H]
【0619】
化合物4に記載した手順に従い、以下の化合物を適切な中間体から合成した。
【0620】
【表10-4】
【0621】
【表10-5】
【0622】
【表10-6】
【0623】
実施例A-1:非経口医薬組成物
注入(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物1~1000mgを滅菌水に溶解させ、次いで0.9%滅菌塩10mLと混合した。適切な緩衝液を随意に添加し、同様に随意に酸または塩基を添加することでpHを調整する。混合物を注入による投与に適した投与ユニットの形態に組み込む。
【0624】
実施例A-2:経口溶液
経口送達用の医薬組成物を調製するために、十分な量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、(随意に可溶化剤、緩衝液、および矯味賦形剤と共に)水に添加し、溶液20mg/mLを得る。
【0625】
実施例A-3:経口錠剤
本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩20~50重量%、微結晶性セルロース20~50重量%、低置換ヒドロキシプロピルセルロース1~10重量%、およびステアリン酸マグネシウムまたは他の適切な賦形剤1~10重量%を混合することにより、錠剤を調製する。錠剤は直接圧縮により調製される。圧縮錠剤の全重量を100~500mgに維持する。
【0626】
実施例A-4:経口カプセル
経口送達用の医薬組成物を調製するために、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩10~500mgを、デンプンなどの適切な粉末混合物と合わせる。経口投与に適したハードゼラチンカプセルなどの経口投薬ユニットに混合物を組み込む。
【0627】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩10~500mgを、サイズ4のカプセル、またはサイズ1のカプセル(ヒプロメロースまたはハードゼラチン)に入れ、カプセルを閉じる。
【0628】
実施例A-5:局所ゲル組成物
局所ゲル医薬組成物を調製するために、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、イソプロピルミリステート、および精製アルコールUSPと混合する。次いで、結果として生じるゲル混合物を、局所投与に適したチューブなどの容器に組み込む。
【0629】
実施例B-1:インビトロFXRアッセイ(TK)
播種
DMEM+10%チャコール二重処理済みFBSを含んだT175フラスコの中でCV-1細胞を2,000,000の細胞密度で播種し、5%COの中18時間(O/N)、37℃でインキュベートした。
【0630】
トランスフェクション
インキュベーションの18時間後、T175フラスコ中の培地を、新鮮なDMEM+10%チャコール超処理した血清で変化させた。ポリプロピレンチューブの中では、OptiMEM(Life Technologies,Cat#31985-062)2500μLを、hFXR、hRXR、TK-ECRE-luc、pCMX-YFPに対する発現プラスミドと組み合わせた。その後、チューブに軽くボルテックス処理を施し、室温で5分間インキュベートした。トランスフェクション試薬(RocheのX-tremeGENE HP、Cat#06 366 236 001)をOptiMEM/プラスミド混合物に添加し、ボルテックス処理を施し、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、トランスフェクション試薬/DNA混合物の複合体をT175フラスコの中で細胞に添加し、この細胞を5%COの中で18時間(O/N)、37℃でインキュベートした。
【0631】
試験化合物
化合物をDMSOの中で連続希釈し、トランスフェクト済みのCV-1細胞に添加した。その後、細胞を18時間かけてインキュベートした。翌日、細胞を溶解し、その発光を調べた。
【0632】
本明細書に開示される典型的な化合物の代表的なデータを表2に提示する。
【0633】
【表10-7】
【0634】
【表10-8】
【0635】
実施例B-2:インビトロFXRアッセイ(hSHP)
播種
DMEM+10%チャコール二重処理済みFBSを含んだT175フラスコの中でCV-1細胞を2,000,000の細胞密度で播種し、5%COの中18時間(O/N)、37℃でインキュベートした。
【0636】
トランスフェクション
インキュベーションの18時間後、T175フラスコ中の培地を、新鮮なDMEM+10%チャコール超処理した血清で変化させた。ポリプロピレンチューブの中では、OptiMEM(Life Technologies,Cat#31985-062)2500μLを、hFXR、hRXR、hSHP-luc、pCMX-YFPに対する発現プラスミドと組み合わせた。その後、チューブに軽くボルテックス処理を施し、室温で5分間インキュベートした。トランスフェクション試薬(RocheのX-tremeGENE HP、Cat#06 366 236 001)をOptiMEM/プラスミド混合物に添加し、ボルテックス処理を施し、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、トランスフェクション試薬/DNA混合物の複合体をT175フラスコの中で細胞に添加し、この細胞を5%COの中で18時間(O/N)、37℃でインキュベートした。
【0637】
試験化合物
化合物をDMSOの中で連続希釈し、トランスフェクト済みのCV-1細胞に添加した。その後、細胞を18時間かけてインキュベートした。翌日、細胞を溶解し、その発光を調べた。
【0638】
実施例B-3:NASH活性試験(STZモデル)
生後2日でSTZ200ugの皮下注入一回、その後、生後4週で自由裁量により高脂肪食(HFD)を与えることにより、オスのC57BL/6にNASHを誘導する。HFDを継続している間、化合物を4~8週間投薬し、NASHに対する効果を求めることができる。試験全体にわたる空腹時血糖を、手持ち式グルコース計で測定することができる。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびトリグリセリド(TG)を、臨床化学分析器により測定することができる。トリグリセリドE-試験キット(Wako,Tokyo,Japan)を使用して肝臓組織中のTG含有量を測定することができる。Tissue-TEK O.C.T.化合物に埋め込んだ組織上で肝切片の組織学的分析を実施し、液体窒素中で急速凍結させ、-80℃で保管することができる。切片を切断し(5um)、空気乾燥し、アセトン中に固定することができる。ヘマトキシリン・エオシン染色では、肝切片をブアン液によりあらかじめ固定し、次いでヘマトキシリン・エオシン溶液で染色することができる。肝線維症の程度(ゾーン3)をシリウスレッド染色で評価することができる。
【0639】
実施例B-4:NASH活性試験(AMLNモデル)
AMLN食(DIO-NASH)(D09100301,Research Diet,USA)(脂肪40%(トランス脂肪18%)、炭水化物40%(フルクトース20%)、およびコレステロール2%)による食事誘発によって、オスのC57BL/6マウスにNASHを誘導させる。29週間かけて動物に食事を与え続ける。食事誘導の26週間後、肝生検を実施して疾患進行(脂肪肝と線維症)に対するベースライン組織学的評価を行い、肝線維症の段階、脂肪症スコア、体重に応じて処置群へと階層化および無作為割り付けを行う。生検の3週間後、マウスを処置群に階層化し、経口胃管栄養によりFXRアゴニストを8週間毎日投与する。研究の終わりに肝生検を実施して、H&Eとシリウスレッドでそれぞれ染色した組織切片を調べることで脂肪肝と繊維症を評価する。コラーゲンの酸加水分解によるヒドロキシプロリン残基の比色定量によって、肝臓内の全コラーゲン含有量を測定する。製造業者の指示に従い、市販のキット(Roche Diagnostics,Germany)を備えた自動分析器Cobas C-111を使用して、肝臓ホモジネート内のトリグリセリドと総コレステロールの含有量を一回の判定で測定する。
【0640】
実施例B-5:CCl線維症モデル
腹腔内注入によりCClを隔週投与することで、オスのBALB/cマウスに線維症を誘導させることができる。CClは油と1:1の比で製剤され、1mL/kgでIP注入される。線維症を誘導して2~4週間後、CCl投与を継続させながら、2~6週間の処置にわたり経口胃管栄養により化合物を毎日投与することができる。試験の終わりに、肝臓をホルマリンで固定し、シリウスレッドにより染色することで、線維症の組織病理学評価を行うことができる。コラーゲンの酸加水分解によるヒドロキシプロリン残基の比色定量によって、全コラーゲン含有量を測定することができる。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を臨床化学分析器により測定することができる。
【0641】
実施例B-6:肝内胆汁うっ滞モデル
げっ歯類に対する17a-エチニルエストラジオール(EE2)処置により誘導される実験用肝内胆汁うっ滞は、エストロゲンで誘導された胆汁うっ滞に関与するメカニズムを調べるために広く使用されているインビボモデルである。17a-エチニルエストラジオール(E2)10mg/kgを5日間毎日皮下注入することで、オスの成体マウスに肝内胆汁うっ滞を誘導させることができる。胆汁うっ滞のE2誘導の間に化合物を投与することで、FXRリガンドの検査を実施することができる。肝臓/体重の比を評価して、血清中の総胆汁酸量を測定することより胆汁うっ滞性効果を定量化することができ、Diagnostic Chemicals Ltd.の試薬と対照、およびCobas Mira plus CC分析器(Roche Diagnostics)を使用してアルカリフォスファターゼ値を測定することができる。組織学的測定と有糸分裂測定では、各マウスの肝臓試料を10%中性緩衝ホルマリンの中に固定させることができる。標準プロトコルを使用してスライドをヘマトキシリン・エオシンにより染色し、構造変化を顕微鏡で調べる。Ki67に対する免疫組織化学的染色により肝細胞増殖を評価する。
【0642】
実施例B-7:直接の標的遺伝子調節
マウスに化合物を急性的または慢性的に投与して、投与後の様々な時点で組織を採取することにより、FXRリガンドによる直接の標的遺伝子調節を評価することができる。回腸や肝臓などの組織からRNAを単離し、cDNAへ逆転写することで、SHP、BSEP、IBABP、FGF15、Cyp7a1、Cyp8b1、C3などのFXRにより直接的または間接的に調節されることが文献中で知られている遺伝子の定量的PCR分析を行うことができる。
【0643】
実施例B-8:マウスPK研究
マウス(CD-1マウス、C57BLマウス、食事により肥満を誘導させたマウス)への単回ボーラス静脈内投与と経口投与の後、被験物質として本明細書に開示される化合物のいずれか1つの血漿薬物動態を測定する。被験物質は、静脈内投与のためにDMSO、PEG400、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)のビヒクル溶液中で製剤化され、選択される投与量(例えば3mL/kgの投与量)で投与される。経口投与製剤は適切な経口投与ビヒクル(植物油、PEG400、Solutol、クエン酸塩緩衝液、またはカルボキシメチルセルロース)中で調製され、選択された投与量において5~10mL/kgの投与量で投与される。静脈内投与または経口投与後に所定の間隔でチークパウチ方法により血液試料(約0.15mL)を採取し、EDTAを含有するチューブへ入れる。10,000gで5分間の血液遠心分離により血漿を単離させ、アリコートを96ウェルのプレートに移し、分析を行うまで60℃以下で保管する。
【0644】
被験物質の較正標準を、一定の濃度域においてDMSO保存溶液をDMSOで希釈することにより調製する。DMSO中の較正標準のアリコートを未処置マウスの血漿と組み合わせ、そうすることで血漿中の較正標準の最終濃度はDMSO中の較正標準より10倍低くなるPK血漿試料をブランクDMSOと組み合わせることで、マトリクスを一致させる。較正標準とPKサンプルを、分析的内部標準を含有する氷冷アセトニトリルと組み合わせ、4℃で30分間、1850gで遠心分離する。上清画分をLC/MS/MSにより分析し、較正曲線に対して定量化する。薬物動態パラメータ(曲線下面積(AUC)、Cmax、Tmax、排出半減期(T1/2)、クリアランス(CL)、定常状態分布容積(Vdss)、および平均滞留時間(MRT))を、Microsoft Excel(2013年版)を用いた非コンパートメント解析により計算する。
【0645】
実施例B-9:ラットANITモデル
ある範囲の投与量(例えば0.01~100mg/kgの範囲の投与量)を超える胆汁うっ滞の慢性的処置モデルに対して、本明細書に記載される化合物を評価する。このモデルを使用して、胆汁酸吸収不良(例えば、一次または二次胆液酸性下痢)、胆汁逆流胃炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、空置大腸炎、不確定大腸炎(indeterminate colitis)、アラジール症候群、胆道閉鎖症、減少性肝移植拒絶反応(ductopenic liver transplant rejection)、骨髄または幹細胞移植に関連する移植片対宿主病、嚢胞性線維症肝疾患、非経口栄養に関連する肝疾患など、胆汁うっ滞性肝障害の処置に対する、FXRアゴニスト、例えば本明細書に記載される化合物の使用の適合性を評価する。
【0646】
ある投与量の範囲(例えば0.01~100mg/kgの範囲の投与量)で、本明細書に記載の化合物による処置前3日間にわたり食物にα-ナフチルイソチオシアネート(ANIT)(0.1%w/w)を含ませて、ラットを処置する。非胆汁うっ滞の対照群は、ANITを含んでいない標準の固形飼料を与えられ、非胆汁うっ滞の対照動物(「対照」)として扱われる。経口投与の14日後、ラットの血清を分析物のレベルに対して分析する。LLQ 定量下限。平均±SEM;N=5。
【0647】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ビリルビン、および胆汁酸を循環させるレベルの上昇など、肝胆道の損傷指標のレベルをラットの血清に対して測定する。ANIT曝露により、深刻な胆汁うっ滞と肝細胞損傷を誘発する。このような指標の多くを改善する化合物は、上記の疾患または疾病の処置に役立つ。
【0648】
肝臓中の胆汁酸蓄積の減少、胆管中の胆汁酸排出の増大、および胆汁酸合成の阻害は、FXRアゴニストの薬理作用と一貫している。血清抱合型ビリルビン(肝機能に対する直接指標)の改善は、胆汁排出が改善された胆汁うっ滞からの回復を示唆する。
【0649】
さらに分析を行い、血清FGF15線維芽細胞増殖因子15(げっ歯類中のFGF15、ヒト中のFGF19)の発現、すなわち、門脈血の中で分泌され、かつ肝臓へのシグナル伝達によりSHPでCyp7a1発現を相乗的に抑えるホルモンに対する、本明細書に記載される化合物の効果を確認する。FGF15/19の抗胆汁うっ滞性の特性を伴うFGF15/19の直接的FXR依存性誘発により、FXRアゴニストの標的結合を検出するのに好都合な血清バイオマーカーになる。
【0650】
FGF15 Meso Scale Discovery(MSD)アッセイを使用して血清FGF15値を定量化する。例えば、R&D SystemsのマウスFGF15抗体(AF6755)を、このアッセイにおいて捕捉抗体と検出抗体の両方として使用する。MSD SULFO-TAG NHS-Esterを使用してFGF15抗体を標識する。MSD標準96ウェルプレートをFGF15捕捉抗体で覆い、このプレートをMSD Blocker A(R93AA-2)で遮断する。PBS+0.05%Tween20でプレートを洗浄後、MSD希釈液4を各ウェルに分注し、30分間インキュベートする。25piのキャリブレータ希釈または試料(血清またはEDTA血漿)を各ウェルに分注し、室温で振盪させながらインキュベートする。
【0651】
洗浄後、検出抗体を加え、室温で1時間振盪させながらインキュベートする。洗浄し、MSD Read緩衝液(R92TC-2)を加えた後、MSD SECTOR Imager 6000の上でプレートを読む。MSDデータ分析ソフトウェアを使用して標準曲線と未知の試料のプロットを算出する。
【0652】
本明細書に記載される実施例と実施形態は、単に例示を目的とするものであり、当業者に示唆される様々な改変または変更は、本出願、および添付の特許請求の範囲の趣旨と範囲内に包含される。
【0653】
実施例B-10:マウス慢性DSS大腸炎モデル
慢性デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導マウスを使用して、炎症性腸疾患(IBD)に対する化合物の治療可能性を試験することができる。DSSを含む飲料水をマウスに与えることで、慢性大腸炎を誘導することができる。例えば、2%DSSを含む飲料水を5日間与え、標準の飲料水を5日間与えるというサイクルを2回以上繰り返すことができ、DSSの濃度は計3回のサイクルにおいてそれぞれ2.5%および3%と高かった。大腸炎は1回目のDSS供給の後に進行し、この様子を体重減少、便の硬さ、直腸出血によりモニタリングすることができる。開始と同時に2%DSSを含む水をマウスに与えることでFXRアゴニストを試験することができる。代替的に、1回目の2%DSS水と通常の水の供給後に、FXRアゴニストの試験を実行することができる。マウスにFXRアゴニストを投与する期間中、体重減少、便の硬さ、直腸出血を観察することにより治療効果をモニタリングすることができる。マウスを安楽死させた後、結腸の重量と長さ、H&E染色による結腸組織構造および粘膜内の構造変化、ならびにその疾患に関連する遺伝子のタンパク質発現とRNA発現を測定することにより、疾患進行とFXRアゴニストの効果をさらに定量化することができる。
【0654】
実施例B-11:養子T細胞移入大腸炎マウスモデル
養子T細胞移入大腸炎モデルを、ヒト炎症性腸疾患(IBD)に対する関連マウスモデルとして容認する。このモデルに大腸炎を誘導するために、CD4 Tリンパ球集団をドナーマウスの脾臓から単離し、続いてCD4+CD45RB高T細胞の部分集団を、フローサイトメトリーを用いる細胞選別により精製する。精製したCD4+CD45RB高T細胞をレシピエントSCIDマウスの腹膜腔に注入する。T細胞移入後約3~6週間で大腸炎が進行する。この様子は、体重減少(体重減少は変動する場合がある)、便の硬さ、または出血性下痢によりモニタリングすることができる。FXRアゴニストの試験は、レシピエントSCIDマウスへの精製CD4+CD45RB高T細胞の注入と同時に開始することができる。代替的に、大腸炎がこのモデルで既に進行しているとき、T細胞移入の2または3週間後にFXRアゴニストを投与することができる。マウスにFXRアゴニストを投与する期間中、体重減少、便の硬さ、直腸出血を観察することにより治療効果をモニタリングすることができる。マウスを安楽死させた後、結腸の重量と長さ、H&E染色による結腸と回腸組織構造および粘膜内の構造変化、ならびにその疾患に関連する遺伝子のタンパク質発現とRNA発現を測定することにより、疾患進行とFXRアゴニストの効果をさらに定量化することができる。
【0655】
実施例B-12:Mdr1a-/-マウスモデル
Mdr1a-/-マウスモデルは、ヒトIBDを対象とする新たな治療法の試験に使用される、自然発症大腸炎モデルである。このモデルにおいてMdr1a遺伝子が減少すると、腸の障壁機能が損なわれ、この結果、腸バクテリアの浸潤が増加し、さらには大腸炎が生じる。適切な収容条件下では、Mdr1a-/-マウスは約8~13週齢で大腸炎を進行させる場合がある。疾患の進行中、直腸脱、便の硬さ、および直腸出血に対する臨床観察スコアを合計して疾患活動性指数(DAI)を求め、これを用いて疾患をモニタリングすることができる。疾患の初期段階でFXRアゴニストの試験を開始することができ、この時のDAIスコアは通常、1.0未満である。代替的に、大腸炎が進行したときにFXRアゴニストの投与を開始することができ、この時のDAIスコアは一般的に2.0以上である。DAIの測定によりFXRアゴニストの治療効果をモニタリングすることができ、所望の疾患重症度が達成されたときに試験を終了させることができる。この時のDAIスコアは一般的に5.0である。マウスを安楽死させた後、結腸の重量と長さ、H&E染色による結腸組織構造および粘膜内の構造変化、ならびにその疾患に関連する遺伝子のタンパク質発現とRNA発現を測定することにより、疾患進行とFXRアゴニストの効果をさらに定量化することができる。
【0656】
本明細書に記載される実施例と実施形態は、単に例示を目的とするものであり、当業者に示唆される様々な改変または変更は、本出願、および添付の特許請求の範囲の趣旨と範囲内に包含される。