(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】光学画像化システムのための傾斜可能な折り返しミラー
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240912BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240912BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240912BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240912BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/17
G03B30/00
H04N23/55
H04N23/68
(21)【出願番号】P 2021537750
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2019086857
(87)【国際公開番号】W WO2020136144
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515100639
【氏名又は名称】オプトチューン スウィツァランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】スモルカ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ブエラー,ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】バイエルン,サンギュー
(72)【発明者】
【氏名】ハース,ヨハネス
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0042870(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0231793(US,A1)
【文献】国際公開第2017/149092(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0329111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G03B 30/00
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学画像化システム(100)における光学画像安定化のための傾斜可能ミラー(1)であって、前記傾斜可能ミラー(1)は、
- 光学画像化システム(100)において入射光(500)を反射するためのミラー基板(1S)の前面に平面反射層(1R)を備えた堅固な前記ミラー基板(1S)、
- 前記ミラー基板(1S)がミラーフレーム(1F)内に傾斜可能に配置されている、前記ミラーフレーム(1F)、
- 前記ミラーフレーム(1F)に対して一次(x)及び二次(y)の傾斜軸の周りで前記ミラー基板(1S)を傾斜させるためのアクチュエータ(2)、
を含み、
前記ミラー基板(1S)は、前記ミラーフレーム(1F)に接続された2軸ジンバル(5)に配置され、前記ミラーフレーム(1F)内の前記ミラー基板(1S)を前記一次傾斜軸及び二次傾斜軸(x、y)の周りに独立して傾斜させ、
前記アクチュエータ(2)は、前記ミラー基板(1S)を傾斜させるためのローレンツ力を生成するように構成され、前記アクチュエータ(2)は、前記一次
傾斜軸と二次
傾斜軸(x、y)との周りで前記ミラー基板(1S)を傾斜させるための、
前記一次傾斜軸及び二次傾斜軸(x、y)に直交する第三軸に沿う方向を指す磁化を有する前記2軸ジンバル(5)の中央部分の裏側に堅固に配置された単一の永久磁石(210)、及び複数の作動コイル(201、202、203、204)を含み、各作動コイル(201、202、203、204)は、作動コイル(201、202、203、204)のコイル軸の周りに円周方向に延在し、前記コイル軸に垂直なコイル領域を囲み、
前記作動コイル(201、202、203、204)は、前記永久磁石(210)に対して軸方向の距離を隔てて配置され、前記2軸ジンバル(5)と前記永久磁石(210)の中央部分(50)の中心を囲むように正方形に配置され、
前記複数の作動コイル(201、202、203、204)は、少なくとも前記一次
傾斜軸(x)の周りに前記ミラー基板(1S)を傾斜させるために配置された少なくとも第1の一次作動コイル(201)、及び少なくとも前記二次
傾斜軸(y)の周りに前記ミラー基板(1S)を傾斜させるために配置された少なくとも第1の二次作動コイル(202)を含み、前記コイル領域に対して、第1の一次作動コイル及び第2の一次作動コイル(201、203)は、前記一次
傾斜軸及び二次
傾斜軸(x、y)に平行に延びる平面内に配置され、
前記第1の一次作動コイル(201)のコイル軸は、前記ミラーフレーム(1F)上の前記一次
傾斜軸(x)に対して横方向にシフトして配置され、かつ前記第1の二次作動コイル(202)のコイル軸は、前記ミラーフレーム(1F)上の前記二次
傾斜軸(y)に対して横方向にシフトして配置され、
前記傾斜可能ミラー(1)は、前記ミラーフレーム(1F)に配置されたプリント回路基板(7)を含み、前記プリント回路基板(7)は、前記作動コイル(201、202、203、204)、及び第1の磁場センサー(61)を含み、前記プリント回路基板(7)は、前記作動コイル(201、202、203、204)に提供される電流を制御するように構成される、前記傾斜可能ミラー(1)。
【請求項2】
前記
単一の
永久磁石(
210)は、前記一次
傾斜軸と二次
傾斜軸(x、y)との交点に中心がある、請求項1に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(2)は、第2の一次作動コイル(203)及び第2の二次作動コイル(204)を含み、前記第2の一次作動コイル(203)は、前記ミラー基板(1S)を少なくとも前記一次
傾斜軸(x)の周りに傾斜させるために配置され、かつ前記第2の二次作動コイル(204)は、前記ミラー基板(1S)を少なくとも前記二次
傾斜軸
(y)の周りに傾斜させるために配置され、前記コイル領域に対して、前記第1の二次作動コイル及び第2の二次作動コイル(202,204)は、前記一次
傾斜軸及び二次
傾斜軸(x、y)に平行に延びる平面内に配置され、前記第2の一次作動コイル(203)は、前記ミラーフレーム(1F)上の前記第1の一次作動コイル(201)の対向する側に配置され、前記第2の一次作動コイル(203)のコイル軸は前記一次
傾斜軸(x)から横方向にシフトして配置され、前記第2の二次作動コイル(204)は、前記第1の二次作動コイル(202)の対向する側に配置され、前記第2の二次作動コイル(204)のコイル軸は前記ミラーフレーム(1F)の前記二次
傾斜軸(y)から横方向にシフトして配置される、請求項1又は2に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項4】
前記第1及び第2の一次作動コイル(201、203)は、前記一次
傾斜軸及び二次
傾斜軸(x、y)に平行に延びる平面にて前記一次
傾斜軸(x)の周りに対称に配置され、及び/又は前記第1及び第2の二次作動コイル(202、204)は、前記二次
傾斜軸及び一次
傾斜軸(x、y)に平行に延びる平面にて前記二次
傾斜軸(y)の周りに対称に配置される、請求項3に記載の傾斜可能ミラー。
【請求項5】
前記作動コイル(2、201;202、203、204)は、前記ミラーフレーム(1F)の裏側に配置される、請求項2~4のいずれか一項に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項6】
前記作動コイル(201;202、203、204)は、前記作動コイル(201;202、203、204)が
単一の
永久磁石(210)に前記コイル軸の方向に沿って少なくとも部分的に重ね合わせるように配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項7】
前記2軸ジンバル(5)は、前記ミラー基板(1S)を含む中央部分(50)を含むばね手段(53、54)を含み、前記中央部分(50)は、前記中央部分(50)を囲む円周方向の第1の部分(51)に一体的に接続され、前記中央部分(50)が前記第1の部分(51)に対して前記一次
傾斜軸(x)の周りに傾斜させることができるようにさせ、かつ前記第1の部分(51)は、前記第1の部分(51)を囲む円周方向の第2の部分(52)に一体的に接続され、その結果、前記中央部分(50)と共に前記第1の部分(51)は、前記第2の部分(52)に対して前記二次
傾斜軸(y)の周りに傾斜させることができる、請求項
1に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項8】
前記第1の部分(51)は、楕円形、菱形又は長円形の外周を有する、請求項
7に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項9】
前記
2軸ジンバル(5)の前記第2の部分(52)は、前記ミラーフレーム(1F)に取り付けられた長方形の外周を有し、
前記第2の部分(52)の前記長方形の外周は、長方形の円周の2つの平行な側面に沿って延びる長方形の延長の第1の軸(1001)、及び前記第1の軸(1001)に直交する第2の軸(1002)を有し、前記一次
傾斜軸(x)及び二次
傾斜軸(y)は、前記第1及び第2の軸(1001、1002)に対してある角度で配置され、
前記第2の部分(52)の長方形の外周は、前記長方形の輪郭の2つの平行な側面に沿って延びる長方形の延長の第1の軸(1001)、及び前記第1の軸(1001)に直交する第2の軸(1002)を有し、前記一次
傾斜軸及び二次
傾斜軸(x、y)は、前記第1及び第2の軸(1001、1002)に平行に延びている、請求項
7又は
8に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項10】
前記傾斜可能ミラー(1)は、第1及び第2の磁場センサー(61、62)を含み、前記磁場センサー(61、62)は、前記ミラーフレーム(1F)に配置される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項11】
前記プリント回路基板(7)は、第2の磁場センサー(62)を含み、前記プリント回路基板(7)は、前記磁場センサー(61、62)からのセンサーデータを受信するように、かつ処理するように構成される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の傾斜可能ミラー(1)。
【請求項12】
光学画像化システム(100)であって、請求項1~
11のいずれか一項に記載の傾斜可能ミラー(1)、画像センサー(2001)、及び画像化用のレンズシステム(2000)を含み、前記レンズシステム(2000)は、前記画像化システム(100)の光軸(300)を規定する光軸(300)を有し、前記レンズシステム(2000)は、第1の側面を用いて画像センサー(2001)の前に配置され、かつ前記傾斜可能ミラー(1)は、前記第1の側面の反対側の前記レンズシステム(2000)の第2の側面に配置され、前記画像化システム(100)の前記光軸(300)は、前記傾斜可能ミラー(1)によって折り返され、
前記傾斜可能ミラー(1)は、入射光線(500)が、前記画像センサー(2001)上のその投影位置を維持し、それにより、前記光学画像化システム(100)に光学的画像安定化を提供するように、前記光学画像化システム(100)の動きに応答して前記反射層(1R)を傾斜させるように構成される、前記光学画像化システム(100)。
【請求項13】
前記光学画像化システム(100)は、焦点距離が調整可能な少なくとも1つのレンズを含み、前記レンズは、透明な流体で満たされた容器を含み、前記容器は、前記容器の透明な底部に面する弾性変形可能かつ透明な膜を含む、請求項
12に記載の光学画像化システム(100)。
【請求項14】
前記光学画像化システム(100)は、前記光学画像化システム(100)の動きを検出するための動き検出手段を含み、前記動き検出手段は、検出された動き及びその方向を示す動き信号を生成するように構成され、前記光学画像化システム(100)は、前記傾斜可能ミラー(1)の前記プリント回路基板(7)に配置された制御電子機器をさらに含み、前記制御電子機器は、前記傾斜可能ミラー(1)の前記反射層(1R)の傾斜位置を制御するための制御信号を生成するように構成され、前記制御信号は、動きに応答して、特に前記光学画像システム(100)の前記動き検出手段の受信された動き信号に応答して、前記反射層(1R)を傾斜させるように構成され、入射光線(500)が前記イメージセンサー(2001)上の投影位置を維持するようにさせ、光学画像安定化のために前記光学画像化システム(100)に能動的な制御を提供し、
前記制御電子機器は、前記傾斜可能ミラー(1)の前記磁場センサー(61、62)に接続され、かつ前記制御電子機器は、前記磁場センサー(61、62)からのセンサー信号を受信及び処理するように構成され、それによって、光学画像安定化のための前記光学画像システム(100)への閉ループ制御を提供する、請求項
12又は
13に記載の光学画像化システム(100)。
【請求項15】
前記アクチュエータ(2)は、入射光線(500)が前記画像センサー(2001)上のその投影位置を維持し、それにより、前記光学画像化システム(100)に光学画像安定化を提供するように、前記光学画像化システム(100)の動きに応答して前記反射層(1R)を傾斜させるように構成される、請求項
12~
14のいずれか一項に記載の光学画像化システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学画像を安定化するための光学画像化システムのための傾斜可能かつ調整可能な折り返しミラー及び前記ミラーを備える光学画像化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学画像化システムは、画像センサー、例えば、剛性のレンズ円筒に備えられるレンズシステム及び折り返しプリズムを備える。
【0003】
このような光学画像化システムは、携帯電話、カメラを備えた携帯コンピュータなどの小型携帯用デバイスに含まれることが多く、該システムでは、構成要素のための空間は通常非常に限定的であり、1回以上の折り返しプリズムによって折り返される光路を備えることを必要とされることが多い。
【0004】
このようなシステムでの光学画像安定化は、例えば画像化システムを持った人の振動動作のために前記画像センサーが動かされても入射光線は前記画像センサーの同じ場所に投影されるように、画像化システムの選択された構成要素を能動的又は受動的のいずれかで動かすこと(黒い実線の矢印で示されているように)によって実現される。
【0005】
通常、光学画像安定化を実現するために、折り返しプリズムが傾けられるか、又はレンズシステムを備えたレンズ円筒が光路(白抜きの矢印で示す)に対して横方向に移動されるかのどちらかである。
【0006】
前記折り返しプリズムは、例えば、空気よりも屈折率の高いガラスから成る固体部分を備えるために、前記折り返しプリズムを傾斜させることに利点があり、したがって、入射光線をより高度に閉じ込めることで、前記光学システムをよりコンパクトに構築できる。
【0007】
さらに、前記プリズムを傾斜させることは、レンズ円筒を平行移動させるよりも有利であり、前記プリズムが傾けられる角度ごとに、入射光は、前記傾斜角の2倍だけ偏向され、前記プリズムのより小さな傾斜角を可能にする。前記レンズ円筒の並進運動の場合、この関係は適用されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ただし、作動のためには、プリズム全体を傾斜させる必要があり、より高い作動力及び前記傾斜可能なプリズム用のより大きな構築空間が必要である。これにより、前記画像安定化システムのエネルギー消費量がより増加する。
【0009】
本発明の目的は、特に同等の小さな視野を有する光学画像化システムについてのこれらの欠点に対処するデバイスを提供することである。本発明の別の目的は、光学画像安定化機能を備えた光学的画像化システムの迅速で信頼性が高く正確な組み立てを可能にするデバイスを提供することである。さらに、本発明の目的は、波面収差を排除しつつ、高い集光効率を有するデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
少なくとも1つの目的は、請求項1の特徴を有する傾斜可能なミラーによって実現される。
【0011】
有利な実施形態は、下位請求項に記載されている。
【0012】
請求項1によれば、光学画像化システムにおける光学画像安定化のための傾斜可能ミラーは、以下の構成要素を含む。
- 入射光を光学画像化システムに向けて反射するための、前面に平面反射層を備えた剛性ミラー基板、
- 前記ミラー基板がミラーフレーム内に傾斜可能に配置されているミラーフレーム、
- ミラーフレームに対して一次及び二次傾斜軸の周りでミラー基板を傾斜させるためのアクチュエータ。
【0013】
「傾斜可能」又は「傾斜可能に」という用語は、特に、軸の周りである角度に回転可能である前記ミラー又は前記傾斜可能な構成要素の特性を指す。「傾斜可能ミラー」という用語は、少なくとも傾斜可能な反射面を含むミラーデバイスを指す。
【0014】
前記傾斜角度は特に±5°以内である。
【0015】
光学画像化システムは、周囲の画像を画像センサーに投影するように構成された光学システムである。光軸は、画像化システムに対して定義されることができ、前記光軸は、特に、画像化システムによって含まれるレンズ又は画像化ミラーシステムによって与えられる。
【0016】
前記傾斜可能ミラーは、特にそのような光学システムに含まれ、傾斜可能ミラーは、特に、画像化システムの光軸を折り返す折り返しミラーとして配置される。
【0017】
傾斜可能ミラーにより、前記画像化システムのコンパクトな設計を可能にする。
【0018】
したがって、本発明の別の実施形態によれば、前記傾斜可能ミラーは、光学画像化システムの折り返しミラーである。
【0019】
前記ミラーの平面反射層は、特に、銀、金、又は誘電体の層などの平面反射金属化合物を含む。
【0020】
前記反射層は特に鏡面として形成される。
【0021】
前記反射層は、特にガラス又は透明なプラスチック又はポリマーなどの保護化合物で覆うことができる。前記保護化合物の表面-空気界面は、前記反射鏡表面に平行であり、すなわち、前記反射層に平行である。
【0022】
前記反射層は、前記ミラーフレームを関連した固定フレームを提供する前記ミラーフレームに対して傾斜可能に配置されている。前記ミラー基板のいずれの傾きは、前記ミラーフレームに対して決定できる。
【0023】
画像安定化を可能にするために、前記ミラーは、前記ミラーフレームに対して一次及び二次傾斜軸の周りで前記ミラー基板(およびしたがって前記反射層)を傾斜させるためのアクチュエータを含む。
【0024】
前記一次と二次の軸は、特に互いに直交している。
【0025】
「一次」及び「二次」という用語は、傾斜軸を区別する目的のためだけのものである。
【0026】
画像安定化の用途に適応させるため、動きの補正を最小限の遅れで実現されるように前記アクチュエータは十分に速い応答時間で提供する必要がある。
【0027】
ミラーとプリズムとの間の1つの重要な違いは、ミラーがその反射層上に保護膜を含んでもよく、前記膜がミラーの反射層に平行に延びる膜-空気界面を有し、前記プリズムは、前記プリズムの反射部分を備える角度を囲むプリズム-空気の境界面を示す本体を有することである。
【0028】
前記ミラーの反射層上に前記ミラーが保護膜を有していない場合、前記ミラーと前記プリズム間の違いはさらに明白であり、前記プリズムは、プリズムの反射表面上に配置された固体の透明な本体を含み、前記本体は、プリズムの反射部分内の角度を囲む少なくとも1つの表面を含むためである。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、前記アクチュエータは、圧電アクチュエータ又は形状記憶合金アクチュエータ、ローレンツ力に基づくボイスコイルアクチュエータ、又はリラクタンスアクチュエータである。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラー基板を一次軸と二次軸の周りで傾斜させるために、前記アクチュエータは、前記ミラー基板の前面の反対側に延びる前記ミラー基板の背面に堅固に配置された少なくとも1つの永久磁石、及び複数の作動コイル、特に4つの作動コイルを含むことで、前記アクチュエータがミラー基板を傾斜させるためのローレンツ力を生成できるようになる。
【0031】
前記少なくとも1つの磁石は磁化を有し、特に磁化は前記一次軸及び二次軸に直交する方向に沿って配向される。
【0032】
例えば、前記ミラー基板を傾斜させるためのジンバルからの構成要素など、他の構成要素は、少なくとも1つの磁石及び前記ミラー基板との間に配置されることができる。
【0033】
前記作動コイルは、前記ミラーフレームと堅固に取り付けられているか、又は構成要素、例えば前記ミラーフレームに堅固に取り付けられたプリント基板などに含まれているか、又はそれに取り付けられている。
【0034】
ローレンツ力によって作動するアクチュエータはまた、ボイスコイルアクチュエータを指す。
【0035】
本明細書内の文脈では、「磁石」という用語は、特に、作動するために構成及び配置された磁石に関する。
【0036】
了解度の理由から本明細書内の文脈では、「作動コイル」は「コイル」のみで言及されることもある。
【0037】
本明細書内の文脈における「コイル」という用語は、特に、適切な磁場を生成するために構成され、かつ前記ミラー基板を傾斜させるために構成された導電性構造を指す。したがって、本明細書内の文脈で構造がコイルと見なされるかどうかは、構造の機能のみに依存する。つまり、前記構造が前記ミラー基板を傾斜させるために少なくとも1つの磁石にローレンツ力を誘発するために使用される場合である。後者の構造は、本発明の意味の範囲内でコイルと見なされる。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、前記少なくとも1つの磁石は、前記一次軸と二次軸との交点に中心を有する。
【0039】
これにより、前記ミラー基板の制御された作動が可能になる。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、前記複数の作動コイルは、少なくとも一次軸の周りで前記ミラー基板を傾斜させるように配置された少なくとも第1の一次作動コイルを含み、かつ少なくとも二次軸の周りで前記ミラー基板を傾斜させるように配置された少なくとも第1の二次作動コイルを含む。
【0041】
一つの実施形態によれば、前記第1の一次作動コイルは、前記一次軸の周りでのみ作動に影響を与えるように前記ミラーフレーム上に配置することができる。
【0042】
別の実施形態によれば、前記第1の一次作動コイルは、前記一次軸及び二次軸の周りの作動に影響を与えるように、前記ミラーフレーム上に配置することができる。
【0043】
同様に、一つの実施形態によれば、前記第1の二次作動コイルは、前記二次軸の周りでのみ作動に影響を与えるように前記ミラーフレーム上に配置することができる。
【0044】
別の実施形態によれば、前記第1の二次作動コイルは、前記一次軸及び二次軸の周りの作動に影響を与えるように前記ミラーフレーム上に配置することができる。
【0045】
「一次」及び「二次」という用語は、純粋に区別のためのもので、順序又は順番とは結びつかない。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1の一次コイルは、前記ミラーフレーム上の前記一次軸に対して横方向にシフトして配置され、かつ前記第1の二次作動コイルは、前記ミラーフレーム上の前記二次軸に対して横方向にシフトして配置される。
【0047】
この構成は、前記第1の一次コイルのみによる前記一次軸の周りの前記ミラー基板の作動、及び前記第1の二次コイルのみによる前記二次軸の周りの前記ミラー基板の作動を可能にする。
【0048】
前記2つのコイルによって生成されたローレンツ力は、前記ミラーの傾斜をもたらすトルクに変換される。
【0049】
本発明の別の実施形態によれば、前記アクチュエータは、第2の一次作動コイル及び第2の二次作動コイルを含み、前記第2の一次作動コイルは、少なくとも前記一次軸の周り又は一次軸のみを傾斜させるために配置され、かつ前記第2の二次作動コイルは、少なくとも前記二次軸の周り又は二次軸にのみ前記ミラー基板を傾けるために配置され、前記第2の一次作動コイルは、前記ミラーフレーム上の前記第1の一次作動コイルの反対側及び、特に前記第1の一次作動コイルに平行に、特に前記一次軸から横方向にシフトして配置され、前記第2の二次作動コイルは、ミラーフレーム上の前記第1の二次作動コイルの反対側及び、特に前記第1の二次作動コイルに平行に、特に前記二次軸から横方向にシフトして配置されている。
【0050】
特に対称的な制御及び力の設計が実現されるように、この実施形態は、相補的な一次コイル及び二次コイルを提供する。
【0051】
前記第1及び第2の一次コイルは、特に、前記一次軸及び二次軸に平行に延びる平面内に配置される。
【0052】
前記第1及び第2の二次コイルは、前記一次軸及び二次軸に平行に延びる平面内に特に配置され、前記平面は、前記第1及び第2の一次コイルが配置される平面とは特に異なる。
【0053】
これにより、傾斜可能なミラーと拡張コイルのコンパクトな設計が可能になる。
【0054】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1及び第2の一次作動コイルは、前記二次軸及び一次軸に平行に延びる平面に対称的に配置され、特に軸対称、特に前記一次軸の周りに対称であり、及び/又は前記第1及び第2の二次作動コイルは、二次軸及び一次軸に平行に延びる平面に対称的に配置され、特に軸対称、特に前記二次軸の周りに対称に配置される。
【0055】
前記一次コイルと二次コイルの前記平面は異なる平面にすることができる。
【0056】
本発明の別の実施形態によれば、前記作動コイルは、前記ミラーフレームの裏側に配置され、例えば、プリント回路基板上に配置されるということは、プリント回路基板に組み込まれることである。前記ミラーフレームの裏側は、特に、前記反射層(すなわち、その表面法線)とは反対側(その表面法線を備える)に面する側であり、前記ミラー基板の表側とは反対側の前記ミラー基板の側に配置される。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、前記作動コイルが少なくとも一つの磁石を少なくとも部分的に重ね合わせるように前記作動コイルが配置されている。
【0058】
したがって、前記一次軸及び二次軸に直交する三次の軸に沿った前記少なくとも1つの磁石上のコイル輪郭の投影において、前記投影されたコイル輪郭は、前記少なくとも1つの磁石の輪郭と重ねられている。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、複数の作動磁石が前記ミラーによって含まれている場合、各コイルは少なくとも1つの磁石と重なる。
【0060】
本発明の別の実施形態によれば、前記傾斜可能ミラーは、前記ミラー基板の裏側に堅固に配置された複数の磁石を含み、前記磁石は、ローレンツ力によって前記ミラー基板を作動させるために構成されている。
【0061】
各磁石は磁化を有し、特に前記各磁石の磁化は、前記一次軸及び二次軸に直交する方向に沿って配向されている。
【0062】
前記磁石の向きは、反対方向又は同じ方向を指すことができる。
【0063】
例えば、前記ミラー基板を傾斜させるためのジンバルからの構成要素など、他の構成要素は、前記磁石と前記ミラー基板との間に配置することができる。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、前記複数の磁石は、第1及び第2の一次磁石、並びに第1及び第2の二次磁石を含み、前記第1の一次磁石は、前記ミラー基板上の前記一次軸に対して横方向にシフトして配置され、前記第2の一次磁石は、前記一次軸に対して横方向にシフトし、かつ前記第1の一次磁石の反対側に配置され、前記第1の二次磁石は、前記ミラー基板上の前記二次軸に対して横方向にシフトして配置され、前記第2の二次磁石は、前記二次軸に対して横方向にシフトし、かつ前記第1の二次磁石の反対側に配置され、各磁石は、前記ミラーフレーム上に配置された対応する作動コイルに関連付けられている。
【0065】
この実施形態は、前記磁石における対称的な設計及び対称的な作動力を可能にする。
【0066】
本発明の別の実施形態によれば、前記磁石は互いに対称に配置され、特に前記第1及び第2の一次磁石は前記一次及び二次軸に平行に広がる平面において互いに軸対称に -特に一次軸に対して- 配置され、特に前記第1及び第2の二次磁石は前記一次及び二次軸に平行に広がる平面において互いに軸対称に -特に二次軸に対して- 配置される。
【0067】
この実施形態は、ミラー基板上での対称的な力の生成及び対称的なトルクの生成を可能にする。
【0068】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1の一次作動コイルは、二軸ジンバルの第1の部分又は中心部分のようなジンバルの構成要素及び/又は前記ミラー基板上に配置された前記第1の一次磁石の反対側の前記ミラーフレーム上に配置され、前記第2の一次作動コイルは、二軸ジンバルの中心部分又は第1の部分のようなジンバルの構成要素及び/また前記ミラー基板上配置された前記第2の一次磁石の反対側の前記ミラーフレーム上に配置され、第1の二次作動コイルは、ミラー基板上及び/また中心又は二軸ジンバルの第1の部分のようなジンバルの構成要素に配置された第1の二次磁石の反対側のミラーフレーム上に配置され、及び/又は、第2の二次作動コイルは、ミラー基板上及び/また中心又は二軸ジンバルの第1の部分のようなジンバルの構成要素上に配置された第2の二次磁石の反対側の前記ミラーフレーム上に配置される。
【0069】
「上に配置される」という用語は、特に、前記コイルが、前記ミラーフレームに取り付けられたプリント回路基板のような別の構成要素に取り付けられている実施形態を指す。したがって、「上に配置される」という用語は、コイルがミラーフレームに直接配置される又は取り付けられる必要がない実施形態も含む。同じことが前記磁石にも当てはまる。
【0070】
この実施形態によれば、前記コイルは、前記ミラーの固定部分、すなわち前記ミラーフレーム上に配置され、前記磁石は、前記ミラーの傾斜可能な部分上に配置される。
【0071】
「反対側」という用語は、各磁石が、上で詳述したように、三次の軸に沿って対応するコイルと特に少なくとも部分的に重なっている配置を指す。
【0072】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラー基板は、前記ミラーフレーム内のミラー基板を前記一次軸及び二次軸の周りに独立して傾けることができる前記ミラーフレームに接続された2軸ジンバル上に配置される。
【0073】
ジンバルは、特に、前記ジンバルが配置されているフレームに対して前記ジンバルに配置又は統合された構成要素を回転又は傾斜させるための少なくとも1つの回転可能又は傾斜可能な部分を含むデバイスである。
【0074】
本発明の前記ミラーの場合、画像安定化を光学画像化システムに提供するように、前記ジンバルを、前記一次及び二次軸について特に-5°から5°以内でミラー基板およびしたがって反射層を傾けるように構成される。
【0075】
前記2軸はまた、本明細書の文脈では「ジンバル」のみも指す。
【0076】
したがって、前記傾斜可能ミラーは調整可能で傾斜可能なミラーである。
【0077】
本発明の別の実施形態によれば、前記2軸ジンバルは、前記ミラー基板に取り付けられたオルトを含む中央部分を含むばね手段を含み、前記中央部分は、前記第1の部分に対して前記一次軸を中心に傾斜させることができるように、前記中央部分を取り囲む円周方向の前記第1の部分に一体的に接続され、かつ前記第1の部分は、前記第1の部分を取り囲む円周方向の第2の部分に一体的に接続され、結果として、前記中央部分と共に第1の部分は、前記第2の部分に対して前記二次軸を中心に傾斜させることができ、特に前記第2の部分は特に前記ミラーフレームに接続されている。
【0078】
一度平衡位置から傾斜したそれぞれの部分は前記アクチュエータからの作動力が停止したときに平衡位置に戻れるように、前記ばね手段は、前記ジンバルの中心及び/又は第1の部分上に復元力を生成する構成にされている。
【0079】
前記ジンバルに作動力が加えられていない場合、前記中央部分、第1の部分、及び第2の部分は、特に平面であり、特に同じ平面内に延びる。
【0080】
前記ジンバルの平衡位置は、特に、前記中央、第1及び第2の部分が前記共通平面内に延びる位置である。この共通の平衡面は、前記ミラーの反射層に特に平行に伸びている。
【0081】
前記ミラー基板を前記中央部分の表側に配置することができ、前記少なくとも1つの磁石は前記中央部分の裏側に配置される。裏側は(表面法線で)前記反射層とは反対側を向いており、前記中央部分の表側は(表面法線で)前記反射層の方を向いている。
【0082】
前記ばね手段は作動力が停止したときに想定される前記傾斜軸に対する前記傾斜可能ミラーに制御を提供し、したがって、自動調整可能な傾斜可能ミラーを提供する。
【0083】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1及び第2の一次磁石は前記中央部分に配置され、前記第1及び第2の二次磁石は前記第1の部分に配置される。
【0084】
本発明の別の実施形態によれば、前記ばね手段は4つのばねアームを含み、各ばねアームは、トルクがばねアームに加えられたときに復元力を生成するように構成され、2つの一次アームは、前記二軸ジンバルの中央部分を前記ジンバルの第1部分と接続し、2つの一次アームが、前記一次軸に沿ってかつその上に延び、前記一次アームについて前記中央部分を傾斜可能にし、2つの二次アームは、前記第1の部分を前記2軸ジンバルの第2の部分と接続し、前記2つの二次アームは、二次軸に沿ってかつその上に延び、前記第1の部分及び中央部分を前記二次アームについて傾斜可能にする。
【0085】
この実施形態は、特に、前記一次軸及び二次軸の周りで可撓性のあるばねであるジンバルを特に提供する。
【0086】
本発明の別の実施形態によれば、前記中央部分、第1の部分及び第2の部分、特に前記4つのばねアームは、特に金属シートから互いに一体的に形成されている。
【0087】
この実施形態は、作動力が停止したときに復元力を自動的に提供する前記ジンバルにより、前記傾斜可能なミラーのための堅牢で統合された解決策を可能にする。
【0088】
本発明の別の実施形態によれば、特に4つのばねアーム、中央部分、第1の部分及び第2の部分を含む前記2軸ジンバルは、金属化合物を含むか、又は特に金属化合物から成る。
【0089】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラー、特に前記2軸ジンバルは、5Hz未満又は30Hzを超える共振周波数を含む。
【0090】
カメラ又は光学画像化システムを備えた携帯電話又は携帯用コンピュータのよう携帯用光学デバイスにおいて、デバイスを保持している人の一般的な揺れ動作は約10Hzである。この実施形態は、共振周波数のかなり外側で前記傾斜可能ミラーの良好な制御を可能にする。
【0091】
本発明の別の実施形態によれば、前記2軸ジンバルの前記中央部分は、円形の外周を有する。
【0092】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1の部分は、楕円形、菱形又は卵形の外周を有し、特に、楕円、菱形又は卵形の主軸が前記一次及び二次ばねアームと整列し、特に、前記第1の部分は、前記中央部分が配置される円形領域内を囲む。
【0093】
本発明の別の実施形態によれば、前記第2の部分は、ミラーフレームに取り付けられるように適合された長方形の外周を有する。
【0094】
この実施形態は、前記ジンバルをミラーフレームに適合させるための追加の構成要素なしで、ジンバル及びミラーの迅速な組み立てを可能にする。
【0095】
本発明の別の実施形態によれば、前記第2の部分の長方形の外周は、長方形の外周の2つの平行な側面に沿って延びる長方形の第1の延長軸及び、前記第1の軸に直交する第2の軸を有する。前記二軸ジンバルの前記一次軸及び二次軸、特に4つのスプリングアームは、第1及び第2の軸に対してある角度で配置されている。
【0096】
前記延長軸は、長方形の側面と整列しているか、又は平行である。
【0097】
この実施形態は、少なくとも1つの特に短側面を有するコンパクトで特に傾斜可能なミラーを可能にし、前記ミラー、およびしたがって光学画像化システムのスリムな設計を可能にする。
【0098】
本発明の別の実施形態によれば、第2の部分の長方形の外周は、長方形の輪郭の平行な2つの側面に沿って延びる長方形の第1の延長軸と、前記第1の軸に直交する第2の軸とを有する。前記一次軸及び二次軸、特に前記ジンバルの4つのばねアームは、第1軸と第2軸に位置合わせされている。
【0099】
この設計により、前記ジンバルの軸を前記ミラーフレームの形状に合わせたコンパクトな設計が可能になる。
【0100】
本発明の別の実施形態によれば、前記傾斜可能ミラーは、第1及び第2の磁場センサー、特に第1及び第2のホールセンサーを含み、前記磁場センサーは、前記ミラーフレーム上又はプリント回路基板上又はその中に配置され、前記第1の磁場センサーは、前記一次軸に対して横方向にシフトして配置され、前記第2の磁場センサーは、前記二次軸に対してシフトされる。
【0101】
前記アクチュエータに提供される制御信号は、前記磁気センサーからのセンサー信号に対応し参照できるため、前記磁気センサーは光学システムにおける前記傾斜可能ミラーの閉ループ稼働を可能にする。
【0102】
前記磁気センサーは、前記ミラー基板の位置又はその傾斜角を示すセンサー信号を提供するように特に構成されている。
【0103】
各2つのセンサーは、傾斜軸の1つ、又は前記一次平面及び二次平面の間に伸びる平面内の2つの独立した軸の周りの傾斜に特に感度がある。
【0104】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1及び第2の磁場センサーは、前記作動コイルに対して横方向にシフトして配置されている。
【0105】
前記センサーのこの配置は、前記作動コイルによって生成された前記センサーによって登録された磁場の影響を減らすことを可能にする。
【0106】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1及び第2の磁場センサーはそれぞれ、前記少なくとも1つの磁石及び前記作動コイルに対して、前記第1及び/又は第2の磁場センサーによって登録された磁場強度、特に磁束が少なくとも1つの前記磁石から、特に前記4つの磁石から、80%を超え、特に90%を超え、より特には95%を超えて発生するように配置され、特に、前記ミラー基板が前記一次軸又は二次軸の周りで平衡位置に対して0.5°傾斜される場合に、20%未満、より特に10%未満、より特に5%未満の登録された磁場強度が前記作動コイルから発生するように配置される。
【0107】
この実施形態は、前記磁気センサーにより前記ミラー基板の正確な位置推定を可能にする。
【0108】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1の磁場センサーは、前記一次軸周りのミラーフレームに対する前記ミラー基板の傾斜角度に、特に比例、関連、又は線形を示すセンサーデータを提供するように構成され、前記第2の磁場センサーは、前記二次軸周りのミラーフレームに対する前記ミラー基板の傾斜角度に、特に比例、関連、又は線形を示すセンサーデータを提供するように構成される。
【0109】
本発明の別の実施形態によれば、前記傾斜可能ミラーは、前記ミラーフレームに配置されたプリント回路基板を含み、前記プリント回路基板は、前記作動コイル、及び特に前記第1及び第2の磁場センサーを特に含み、前記プリント回路基板は、特に、前記作動コイルに供給される電流を制御し、前記磁場センサーからのセンサーデータを決定するように構成されている。
【0110】
前記プリント回路基板は、前記作動コイルを一体的に含むことができる。前記プリント回路基板は、回路基板上の電気構成要素に接触するための接触ピンを有することができる。
【0111】
回路基板の使用は、前記ミラーの組み立て中に1つの組み立て工程のみ必要であるように、前記コイルと全ての電気構成要素の事前製造と事前組み立てが可能になる。
【0112】
本発明の別の実施形態によれば、前記反射層は長方形である。
【0113】
これは、楕円形、長円形、円形のような他の形状と比較して、前記光学システムに反射される相対照度をより高めることを可能にする。
【0114】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラー基板は、前記一次軸及び二次軸によって定義される平面内に長方形の外側輪郭を有する。
【0115】
これにより、長方形のミラーフレームの形状に組み込むことを可能にする。
【0116】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラー基板の長方形の反射層及び/又は長方形の外郭は、長方形の反射層及び/又は長方形の外郭に沿った第1の側面に沿った第1の軸、及び第1の側面に直交する第2の側面に沿った第2の軸を有し、一次及び二次軸は第1及び第2の軸に対してある角度で配置されており、特に、前記角度が90°又はその倍数ではない。特に、前記角度が10°よりも大きく、80°よりも小さい。本実施形態では、前記ミラーのコンパクトな設計を実現している。
【0117】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームは、ミラーハウジングとして形成されており、前記ミラーフレームは、光学システムによって登録される入射光に面する側に入口アパーチャーを備える入口壁部材を有し、前記ミラーフレームは、特に光学画像化システムに向けて反射されたミラーの入射光に面する側に出口アパーチャーを有する出口壁部材を有し、前記ハウジングが、前記入口壁部材と前記出口壁部材とを接続する2つの横方向の側壁を含み、特に、前記反射層が、前記入口アパーチャー及び前記出口アパーチャーに対してある角度で配置されており、特に、前記角度は30°~60°の範囲内であり、より特には、前記角度が45°である。
【0118】
1つの実施形態において、前記ミラーフレームは、対角線平面又は対角線にシフトした平面に沿って切断された立方体の形状をしている。前記平面とは、反射層が配置されている平面であり、特に前記ジンバル及び前記プリント回路基板及び前記ミラー基板を制御するために使用される他の構成要素もまた配置される平面でもある。前記入口アパーチャーを有する壁部材及び前記出口アパーチャーを有する壁部材は、特に、入口アパーチャーと出口アパーチャーとが90°の角度を囲むように90°の角度で接している。
【0119】
前記側壁は、特に光を吸収するものである。前記入口アパーチャーを含む壁部材は、前記アパーチャーの接続フレーム部分として形成することができる。前記出口アパーチャーを含む壁部材も、フレーム部分として形成することができる。
【0120】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームの前記入口アパーチャーは長方形の開口を形成する長方形の輪郭を有している。
【0121】
反射層の表面全体に入射光線が提供されるように、この実施形態は長方形の反射層と組み合わせることができる。この実施形態では、特に高い集光性を可能にする。
【0122】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームの出口アパーチャーは、円形の開口を形成する円形の輪郭を有している。
【0123】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームは、前記2軸ジンバルを前記ミラーフレームに取り付けるための突起及び/又は窪みを含み、その結果、前記2軸ジンバルが突起及び/又は窪みによって定義される前記ミラーフレームの位置に取り付けられるようにさせる。
【0124】
この実施形態では、前記ミラーの迅速で信頼性の高い組み立てを可能にするあらかじめ定義された1つの位置において、前記ジンバルの前記ミラーフレームへの取り付けを可能にしている。
【0125】
本発明の別の実施形態によれば、前記2軸ジンバルを取り付けるための前記ミラーフレームの少なくとも1つの突起がピンとして形成されており、特に、前記突起が、前記一次及び二次軸に垂直な方向に沿って延びる4つのピンからなり、前記2軸ジンバルが、前記ピンを受け入れた少なくとも1つ、特に4つの対応する窪み又は穴を含む。
【0126】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームは、前記プリント回路基板を前記ミラーフレームに対してあらかじめ定義した位置に取り付けるための突起及び/又は窪みを含む。
【0127】
この実施形態は、前記傾斜可能ミラーの全ての構成要素を最高の精度を備えた最小量の位置合わせで組み立てることができるというモジュール的な目的に寄与するものである。
【0128】
本発明の別の実施形態によれば、前記プリント回路基板を取り付けるための前記ミラーフレームの前記突起の少なくとも1つがピンとして形成されており、特に、前記突起が、前記一次及び二次軸に垂直な方向に沿って延びる4つのピンからなり、プリント回路基板が、前記ピンを受容した少なくとも1つ、特に4つの対応する突起又は穴を含む。
【0129】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームは、ミラー基板、特にジンバル、中央部分、及び/又は第1の部分の前記一次軸又は二次軸について傾斜角を制限するための少なくとも2つ、特に4つのハードストップを含み、ハードストップは前記ミラーフレームに一体的に形成されている。
【0130】
この実施形態により、前記ミラーは、機械的な衝撃や強い振動に対してより強固で丈夫となる。
【0131】
本発明の別の実施形態によれば、前記ミラーフレームは、対応した窪みを有している光学システムに前記ミラーを取り付けるための出口アパーチャーの突起を含み、その結果、前記ミラーはあらかじめ定義した位置及び向き、特に1つのあらかじめ定義した位置及び向きのみで光学システムに取り付けできるようにさせる。
【0132】
本発明はまた、本発明による前記ミラーを含む光学画像化システムにも関し、前記光学画像化システムは、光学画像安定化のために構成される。
【0133】
追加の態様は、本発明による少なくとも1つの実施形態による折り返しミラーとしての前記傾斜可能ミラー、画像センサー、及び画像化システムの光軸を定義する光軸を備える画像化するためのレンズシステムを含む光学画像化システムに関し、前記レンズシステムは、第1の側面を備える画像センサーの前に配置され、かつ前記調整可能な傾斜可能ミラーは、第1の側面の反対側のレンズシステムの第2の側面に配置され、前記画像化システムの光軸は、傾斜可能ミラーによって折り返されている。
【0134】
前記画像センサーは、特に、アレイに配置された複数の感光性ピクセルを備えたピクセルベースの画像センサーである。
【0135】
前記光学システムは非常にコンパクトに構築でき、携帯電話や携帯コンピュータなどの携帯デバイスに統合することができる。
【0136】
前記斜可能な折り返しミラーは、特に光学画像化システムの最後の構成要素であり、つまり、入射光を受け取る画像化システムの最初の構成要素である。
【0137】
前記ミラーの前に、平面ガラスやポリマー窓などの保護デバイスを配置することができる。
【0138】
前記光学システムは、折り返しプリズムによってもたらされる光学的歪みの影響を受けない。
【0139】
前記アクチュエータは、前記傾斜可能ミラーの位置を制御及び確認するための閉ループシステムの一部にすることができる。
【0140】
本発明の別の実施形態によれば、入射光線が、画像センサー上のその投影位置を維持し、それにより、光学画像化システムに光学的画像安定化を提供するように、前記傾斜可能ミラーは、前記光学画像化システムの動きに応答して反射層が傾斜するように構成される。
【0141】
この実施形態は、前記折り返しミラーによって光学画像安定化が促進されることを可能にする。
【0142】
本発明の別の実施形態によれば、光学画像化システムは、焦点距離が調整可能な少なくとも1つのレンズを含み、前記レンズは、透明な流体で満たされた容器を含み、容器は、容器の透明な底部に面する弾性的に変形可能で透明な膜を含む。
【0143】
この実施形態は、ズーム、テレ、広角、又はマクロ画像化システムなどの強固で安定的な光学画像化システムを可能にし、並進可動の光学構成要素なしで、非常にコンパクトで強固な設計を可能にする。
【0144】
本発明の別の実施形態によれば、前記画像化システムは、前記光学システムの動きを検出するための動き検出システムを含み、前記動き検出システムは、動き及びその方向を示す動きの信号を生成するように構成され、前記光学画像化システムは、前記傾斜可能ミラーのプリント回路基板上に特に配置された制御電子機器をさらに含み、前記制御電子機器は、傾斜可能ミラーの反射層の傾斜位置を制御するための制御信号を生成するように構成され、入射光線が画像センサー上に投影された位置を維持するように、前記制御信号は、前記反射層、特に、光学画像化システムの動きに応答する前記ジンバル上のミラー基板を傾斜するように構成されている。
【0145】
当業者に知られている複数の動き検出システムが存在する。そのいくつかは、慣性センサーに基づくものであり、いくつかは光学センサーに基づくものであり、いくつかはソフトウェアに基づくものである。
【0146】
本発明がこれらの動き検出システムのいずれかと組み合わせて使用できることは、本発明の1つの利点である。
【0147】
本発明の別の実施形態によれば、前記制御電子機器は、傾斜可能ミラーの磁場センサーに接続され、前記制御電子機器は、磁場センサーからのセンサー信号を受信及び処理するように構成され、それによって、光学画像安定化のための光学画像化システムに閉ループ制御を提供する。
【0148】
閉ループシステムの利点については、上記で詳述している。
【0149】
本発明の別の実施形態によれば、前記光学システムは、画像センサーに画像化される視野を含み、視野は、70°よりも小さく、特に30°よりも小さい。
【0150】
視野は、前記システムの光軸に関して測定された全開口角である画像化アパーチャーによって測定される。
【0151】
このようなシステムでは、前記調整可能なミラーの使用が特に有利である。
【0152】
本発明の別の態様によれば、本発明は、本発明による光学システムを含む、携帯電話などの携帯コンピュータ化デバイスに関する。
【0153】
特に、例示的な実施形態は、図と併せて以下に説明される。図は、特許請求の範囲に添付され、示された実施形態の個々の特徴及び本発明の態様を説明するテキストが添付されている。図に示されている、及び/又は図の前記テキストに記載されている個々の特徴のそれぞれは、本発明によるデバイスに関する特許請求の範囲に(また、分離された方法で)組み込まれ得る。
【0154】
以下では、本発明のさらなる特徴及び実施形態が、特許請求の範囲に添付される図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【
図1】当技術分野による折り返しプリズムを備えた概略的光学画像化システムを示す。
【
図2】折り返しミラーを備えた本発明による概略的光学画像化システムを示す。
【
図3A】単一の磁石とプリント回路基板を備えたミラーの概略的な図を示す。
【
図3B】単一の磁石とプリント回路基板を備えたミラーの概略的な図を示す。
【
図4A】4つの磁石を備えた本発明によるミラーの斜視図を示す。
【
図4B】前記アクチュエータの磁石コイル組み立てを示す。
【
図5A】本発明による前記ミラーのジンバルの一実施形態を示す。
【
図5B】本発明による前記ミラーのジンバルの別の実施形態を示す。
【
図6B】前記コイルを含むプリント回路基板を備える実施形態を示す。
【
図7】ハウジングとして形成されたミラーフレームを備える実施形態を示す。
【
図8B】
図8Aの前記ホールセンサーを使用したシミュレーション測定データを示す。
【
図9A】ミラーの円形入口アパーチャーを備えた実施形態を示す。
【
図9B】ミラーの長方形の入口アパーチャーを有する実施形態を示す。
【
図10】機械的衝撃に対してミラーを保護するためのハードストップを備えた実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0156】
図1は、最先端技術で一般的に見られるような画像化システムを示している。前記画像化システムは、画像センサー、剛性レンズ円筒に含まれるレンズシステム、及び折り返しプリズムを含む。
【0157】
このような光学画像化システムは、携帯電話、カメラを備えた携帯コンピュータなどのコンパクトな携帯デバイスに含まることが多く、構成要素の空間は通常非常に限られており、光路を1つ以上の折り返しプリズムで折り返すことが必要されることが多い。
【0158】
このようなシステムでの光学画像安定化は、例えば画像化システムを持っている人の振動動作のために画像センサーが動かされても、入射光線が画像センサーの同じ位置に投影されるように、画像システムの選択された構成要素を(黒い実線の矢印で示すように)移動させることによって実現される。
【0159】
この場合、画像安定化を実現するために、前記折り返しプリズムが傾斜されるか、又は前記レンズシステムを備えたレンズ円筒が光路(白抜きの矢印で示される)へ横方向に移動するかのどちらかである。
【0160】
前記折り返しプリズムは、例えば空気よりも屈折率の高いガラスからなる固体部分を持っており、したがって、前記入射光線をより高度に閉じ込めることで、光学システムをよりコンパクトに構築できるために、前記折り返しプリズムを傾けることには利点がある。
【0161】
さらに、前記プリズムを傾けることは、前記レンズ円筒を平行移動させるよりも有利である。前記プリズムが傾けられる角度ごとに、入射光は前記角度の2倍だけ反射され、より小さな傾斜角度が可能になる。レンズ円筒の並進運動の場合、この関係は適用されない。
【0162】
ただし、作動には、プリズム全体を傾斜させる必要があり、傾斜可能なプリズムには、より高い作動力とより大きな構築空間が必要になる。これにより、画像安定化システムのエネルギー消費量が増加する。
【0163】
図2は、本発明による光学画像化システム100の概略的図を示しており、ここで、前記折り返しプリズムは、傾斜可能ミラー1によって置き換えられている。
【0164】
前記傾斜可能ミラー1は、軽量であるという利点を提供し、したがって、エネルギー消費が低減され、並びに前記アクチュエータに必要な力も低減される。
【0165】
そのようなシステム100は、例えばテレ又はズーム対物レンズなどの視野が小さい、例えば30°より小さい画像化システムにおいて特に有利で、折り返しプリズムによって提供されるさらなる光閉じ込めは必要ない。
【0166】
さらに、光が前記プリズムを通って伝播せず、ミラーの反射面で直接反射されるため、波面の歪みが少なくなることが期待できる。
【0167】
本発明による前記光学システム100は、焦点距離を調整可能な(図示せず)レンズと組み合わせることができる。
【0168】
一実施形態では、おそらく、ほこり、湿度、水などの環境の影響に対する保護を提供するための平面カバーガラス又は透明な平面要素を除いて、前記折り返しミラー1の前(すなわち、入射光に面する側)にさらなる光学要素は配置されない。
【0169】
傾斜可能ミラー1を作動させるために、光学画像化システム100は、アクチュエータ5を含む(例えば、
図8Aを参照のこと)。前記アクチュエータは、例えば、圧電アクチュエータ、固体形状記憶合金ワイヤベースのアクチュエータ、又は前記ミラー1の傾斜可能部分1Sにローレンツ力を誘導することに基づくアクチュエータ5である。
【0170】
このようなローレンツ力は、通常、ボイスコイルアクチュエータによって誘導される。
【0171】
図3A及び3Bには、本発明による光学画像化システム100の画像安定化のための傾斜可能ミラー1が示されている。
図3Aは、ミラー1の裏側を示すミラー1の三次元図を示している。
【0172】
前記ミラー1は、ここではハウジングの形態のミラーフレーム1Fを備え、ミラーフレーム1は、ミラー1の傾斜可能部分1S(裏側からは見えない)を保持するように構成される。
【0173】
前記傾斜可能部分1Sは、前記ジンバル5の一次傾斜軸xの周りに傾斜可能な中央部分50を含む2軸ジンバル5によって傾斜され、前記中央部分50は、第1の部分51によって配置及び囲まれる。前記2軸ジンバル5及び本明細書で参照される構成要素は、
図5A及び
図5Bにも示されている。中央部分50は、中央部分50が第1の部分51に対して傾斜可能であるように、第1の部分51と中央部分50との間の唯一の接続構成要素である2つの一次ばねアーム53によって主軸xを中心に傾斜可能である。次に、第1の部分51は、2つの二次ばねアーム54によって与えられるジンバル5の二次軸yを中心に傾斜可能である。第1の部分51は、第2の部分52に対して傾斜可能であるように、第1の部分51は、2つの二次ばねアーム54によってのみ第1の部分51に接続されている第2の部分52によって囲まれている。第1の部分51が二次軸yの周りに傾斜されるときはいつでも、中央部分50も二次軸yの周りに傾斜している。
【0174】
したがって、前記2軸ジンバル5は、一次軸及び二次軸x、yの周りで中央部分50を傾けることを可能にする。
【0175】
前記2軸ジンバル5は、4つのばねアーム53、54が一体的に形成され、アーム53、54がトルクを受けた瞬間に復元力を提供するように、例えば、金属シートから一体的に形成される。
【0176】
画像安定化の適用で一般的な小さなたわみ角の場合、復元力は線形であると見なすことができる。
【0177】
前記2軸ジンバル5は、特に軽量であり、その共振周波数(中央部に荷重がある場合、又はない場合)、並びにその復元力、すなわち、ばね定数は、適宜、前記ばねアーム53、54及び中央50及び/又は第1の部分51のサイズを設計することによって調整することができる。
【0178】
前記ばねアーム53、54は、特にピン又はシート形状である。
【0179】
携帯光学システムの手振れ/手による揺れの典型的な周波数領域である10Hzの周波数領域で十分に制御できるようにするために、前記傾斜可能ミラー1の共振周波数は、5Hz未満又は30Hzを超えるのいずれかである必要がある。
【0180】
前記ばねアーム53、54は、0.5°の機械的傾斜で約0.5mN*mmの復元トルク(復元力とも呼ばれる)を示すように設計することができる。
【0181】
そのようなトルクは、一般的なボイスコイルアクチュエータ5で提供することができる。
【0182】
さらに、本明細書で開示される剛性ばね設計は、高い再現性及びほとんど温度依存性がないことを保証する。
【0183】
前記2軸ジンバル5の中央部分50は、円形の形状を有することができ(
図5A及びBに示されるように)、第1の部分51は、楕円形の外側輪郭(例えば、
図5Aおよび
図5Bを参照)又は菱形の外側の輪郭(例えば、
図3Aを参照)を有することができる。
【0184】
楕円形、菱形又は長円形の代わりに、前記第1の部分51は、前記二次軸及び/又は一次軸x、yに沿って軸対称を示す外側輪郭を有することができる。
【0185】
前記第2の部分52は、前記ミラーフレーム1Fに取り付けることができるように、ミラーフレーム1Fの輪郭に一致する長方形の外側輪郭を特に有する。
【0186】
主軸(例えば、楕円または菱形)が前記第2の部分52の長方形(例えば、
図5Aまたは3Aを参照)の側面に沿ってではなく、約45°の角度で配向されるように、前記第1の部分51の特定の輪郭は、長方形の幾何学的形状(例えば、長方形の第2の部分52)における前記ジンバル5の配置を可能にする。これにより、コンパクトなミラーフレーム1Fとジンバル設計が可能になる。
【0187】
あるいは、前記ジンバルの一次軸と二次軸を長方形の前記ミラーフレーム1Fの側面に揃えることができる(例:
図5B)。この実施形態は、コンパクトな光学システムのための特にスリムな折り返しミラーの設計を可能にする。
【0188】
前記ジンバル5の第2の部分52は、前記ミラーフレーム1F上へのジンバル5の定義された配置及び組み立てのために、特に4つの穴57を有する。この目的のために、前記ミラーフレーム1Fは、前記ジンバル5の穴57に一致する対応する整列したピン1Gを有する。これにより、前記ジンバル5を備えた前記ミラーフレーム1Fの迅速かつ正確な組み立てが可能になる。
【0189】
前記反射層1R(反射面とも呼ばれる)が前記一次軸及び二次軸x、yの周りで傾斜可能であるように、前記反射層1Rを含む前記ミラー基板1Sは、前記ジンバル5の中央部分50上に配置される。
【0190】
図3Aは、前記ジンバル5の中央部分50の裏側に配置された単一の永久磁石210を備えた傾斜可能ミラー1を示している。前記磁石210は、前記一次軸及び二次軸x、yに直交する第3の軸に沿う方向を指す磁化を有する。
【0191】
前記中央部50の裏側は、前記ミラー基板1Sの反射層1Rとは反対側を向いた中央部50の側である。
【0192】
あるいは、前記傾斜可能ミラー1は、4つの磁石211、212、213、214;第1及び第2の一次磁石211、213、並びに第1及び第2の二次磁石212、214を含むことができる。この実施形態は、
図4に示されている。
【0193】
図4Aでは、前記2つの一次磁石211、213が前記中央部分50上に配置され、前記中央部分50を前記第1の部分51と傾斜可能に接続する前記一次ばねアーム53によって定義される一次軸xに対して横方向にシフトされる。
【0194】
前記2つの二次磁石212、214は、前記第1の部分51上の前記二次軸yに対して横方向にシフトして配置されている。前記二次軸yは、二次ばねアーム54によって定義される。前記それぞれの磁石211、212、213、214上の作動コイル201、202、203、204(図示なし)は、磁石211、212、213、214にローレンツ力を誘導し、したがって、前記一次軸と二次軸x、yの周りの傾斜制御が実現される。
【0195】
対応する4つの前記作動コイル201、202、203、204(
図4Aには示されていない)は、関連する磁石211、212、213、214と重なる前記ミラーフレーム1F上に配置されている。
【0196】
図4Bは、前記4つの磁石211のうちの1つ及び関連する作動コイル201の断面を示す。前記作動コイル201、202、203、204は、前記磁石211、212、213、214と同様又は同じ外側輪郭を有することができる。図示の例では、前記磁石211及びコイル201は細長い形状を有している。
【0197】
前記作動コイル201、202、203、204は、コイル軸205の周りに延びる導電性基板を含む。前記コイル201は、前記コイル軸205が本質的に磁石211の磁化Mに沿って配向されるようにミラーフレーム1F上に配置される。これにより、ローレンツ力の効率的な生成を可能にする。
【0198】
前記作動コイル201、202、203、204は、前記コイル軸205の周りに巻かれた電線からなることができる。
【0199】
図6Aには、前記2軸ジンバル5及び4つの作動コイル201、202、203、204が示されている。前記コイル201、202、203、204が前記ミラーフレーム上に配置されているが、前記ミラーフレームは示されていない。前記ジンバル5では、1つの前記中央磁石210が前記中央部分50に配置されている。前記コイル201、202、203、204は、磁石210に対して軸方向のある距離で配置され、前記ジンバル5及び磁石210の中央部分50の中心の周りの正方形に配置されている。前記コイル201、202、203、204は、コイル軸の周りに円周方向に延在し、前記コイル軸に垂直なコイル領域を囲む。前記各コイル201、202、203、204のコイル領域は、ローレンツ力が、各コイル201、202、203、204によって前記磁石201に誘導されるように、磁石210と重なる。
【0200】
前記コイル201、202、203、204は、ジンバル5によって定義される平面内で細長い形状をしている。すなわち、前記コイル201、202、203、204は前記コイル軸の周りを円形に伸びていない。
【0201】
この実施形態における前記コイル201、202、203、204は、前記ジンバル5のばねアーム53、54の配向によって定義される一次軸又は二次軸x、yに沿って配向されていない。それにもかかわらず、対応する電流をコイルに供給することにより、単一の傾斜軸の周りの傾斜を制御することは容易に可能である。
【0202】
隣接するコイル201、202、203、204は正方形の角で重なり、よりコンパクトな配置を提供する。
【0203】
図6Bには、
図6Aと同様の実施形態が示されているが、この実施形態では、前記傾斜可能ミラー1は、プリント回路基板7(PCB)を含み、前記コイルはPCB7に含まれ、かつ統合される。この実施形態では、前記ミラー1のより迅速な組み立てが可能になる。前記コイルの接触は、PCB7の接触ピン71によって促進される。
【0204】
図7は、
図6Bと同様の実施形態を示している。
図7には、前記ミラーフレーム1Fが示されている。前記ミラーフレーム1Fは、前記ミラー基板1Sを囲むハウジングとして形成されている。
【0205】
前記ハウジングは、2つの側壁82、入射光500のための入口アパーチャー80A、及び反射光501のための出口アパーチャー81Aを含む。前記ハウジングは、安定性、防塵、並びに前記ミラー1を光学システム100に組み立てるための対応する突起及び窪みのために形成された突起及び窪みなどの迅速な組み立てのための手段を提供する。前記ハウジングは、プラスチック、非磁性金属、又は前記アクチュエータを防御するための磁性金属からできる。前記傾斜可能ミラー1は非常にコンパクトであり、空間的に厳しい用途で使用することができる。
【0206】
図8Aは、すでに上で詳述したように、前記磁石210を制御するために配置された単一の磁石210及び前記4つの作動コイル201、202、203、204を有する前記ミラーの選択された部分を示す。加えて、前記ミラー1は、一次軸及び二次軸x、yに対して横方向にシフトして配置された2つのホールセンサー61、62を含み、各ホールセンサー61、62は、前記ミラー1の傾斜角、特に前記一次軸又は二次軸x、yに沿った前記反射面1Rの傾斜角を決定するための信号を生成するように構成される。
【0207】
コントローラーが発する制御信号の作用が、前記ホールセンサー61、62からの信号によって決定されるように、次いでコントローラーはさらに前記ミラー1の傾斜を調整できるように、これらの信号は、傾斜可能ミラー1の閉ループ制御を提供するために使用できる。
【0208】
前記ホールセンサー61、62は、前記ミラー基板1S、すなわち前記少なくとも一つの磁石210の傾斜に感度を有することと同時に、前記作動コイル201、202、203、204によって生成される磁界が検出されないか、又はホールセンサーの測定に最小限の影響しか与えないように配置される必要がある。
【0209】
このため、前記ホールセンサー61、62は、前記一次軸又は二次軸x、yの1つに横方向にシフトして配置される必要があるが、作動コイル201、202、203、204よりも一次軸x及び二次軸yに近い。特に前記ホールセンサー61、62は、前記コイル領域の外側に配置される必要がある。
【0210】
前記ホールセンサー61、62の登録された磁場は、最大傾斜角で前記コイル201、202、203、204によって生成された磁場の20%を超える磁場を含む必要がある。1つの軸の周りの前記最大傾斜角は、例えば±0.5°である。
【0211】
これは、例えば
図3Bに示されている。前記ホールセンサー61、62は、PCB7の裏側に配置することができ、裏側は、前記ミラー基板1Sの前記反射層1Rとは反対側を向いている。
【0212】
これにより、前記PCB7の接触ピン71を対応するプラグ(図示せず)によって接触させることができるので、本発明による前記ミラー1の迅速な組み立て及び接触が可能になる。さらに、前記PCB7は、PCB7をあらかじめ定義した位置及び向きでのみ前記ミラーフレーム1Fに組み立てることを可能にするピン-窪みシステム1Pによって前記ミラーフレーム1Fに取り付けることができる。
【0213】
図8Bは、前記作動コイル201、202、203、204によって生成される磁場の影響、及び前記ホールセンサー61の1つの傾斜軸/(ここではx軸)の周りの決定された傾斜角へのその影響を図に示す。図のy軸上には磁束密度がプロットされ、図のx軸上にはx軸の周りの傾斜角がプロットされる。四角の点線は磁石210の磁場磁束に対応し、三角形の実線はホールセンサー61に登録される前記アクチュエータコイル201、202、203、204の磁場が重ね合わされた磁石210の磁場に対応する。線の間の偏差は、ホールセンサー信号のコイル磁場によって誘発された誤差を示している。
【0214】
他の傾斜軸の周りの傾斜ための前記ホールセンサー61は、前記x軸の周りの傾斜(円の破線)によって完全に影響を受けない。
【0215】
3mmの磁石210の場合、前記ホールセンサー61、62のための最適位置は、0.8mmの距離で前記磁石210の中心から各方向に0.9mmであることが見出された。
【0216】
図9は、ハウジングの形態のミラーフレーム1F(前記少なくとも1つの磁石210、及び前記コイル201、202、203、204が配置されている裏側に2つの光吸収側壁82を有する)、入射光500のための開口アパーチャー80A、並びに反射光ための出口アパーチャー81Aを示す。
【0217】
図9Bでは、前記ミラー1の反射層1Rは、前記入口アパーチャー80Aと同様に長方形であり、同じ相対照度を実現するために、長方形又は正方形の反射層は、円形のミラーの対応する直径よりも小さい幅を有することができるので、従来の円形のアパーチャーよりも優れている。
【0218】
図9Aの前記ハウジングは、円形の入口アパーチャー80A及び前記ミラー1の楕円形の反射層1Rを有する。
【0219】
図9A及び
図9Bに示される両方のハウジングは、円形の出口アパーチャー81Aを有し、出口アパーチャー81を含む側には、明確に定義された位置で光学系100に前記ミラー1を組み立てるための、及び前記ハウジングを例えば接着材によって光学システムに固定するための、突起83(
図9A)が提供される。
図9Bでは、前記ハウジングは、前記出口アパーチャー81Aの側の前記光学システムから対応する組み立てピンを受け入れるための穴84を有する。接着剤をポケットに入れることができるように、前記ミラー1が光学システム100に組み立てられているとき、接着剤ポケットが維持されるように、前記突起83及び穴84は形成することができる。
【0220】
図10には、
図9Bからの前記ミラー1の断面が示されている。前記ハウジングは、前記ミラー基板1Sの傾斜角を制限するための複数のハードストップ1Hを有する。前記ハードストップ1Hは、前記ミラー基板1Sに近いそれぞれの角に配置されている。前記ハードストップ1Hは、前記ミラーフレーム1Fと一体的に形成することができる。例えば、傾斜可能ミラー1が外部の機械的衝撃を受けたとき、前記ハードストップ1Hは、前記傾斜可能ミラー1を大きな傾斜角に対して保護する。